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特開2024-119540決済装置、取引処理装置及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119540
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】決済装置、取引処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20240827BHJP
   G06Q 20/24 20120101ALI20240827BHJP
【FI】
G07G1/12 321P
G07G1/12 331H
G06Q20/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026521
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 秀規
【テーマコード(参考)】
3E142
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
3E142FA03
3E142FA13
3E142KA05
5L020AA52
5L055AA52
(57)【要約】
【課題】クレジット決済を取り消すための返金処理での操作者の手間を軽減する。
【解決手段】実施形態の決済装置は、決済手段、判定手段、読取制御手段及び返金手段を備える。決済手段は、クレジットカードに記録されたカードデータを接触読み取りする接触読取デバイスと非接触読み取りする非接触読取デバイスとを選択的に用いてクレジット決済を行う。判定手段は、過去の取引に関して完了しているクレジット決済に関して、接触読み取り及び非接触読み取りのいずれで読み取られたカードデータが用いられたかを判定する。読取制御手段は、接触読み取りと判定されたなら接触読取デバイスによる読み取りを受ける状態を、また非接触読み取りと判定されたならば非接触読取デバイスによる読み取りを受ける状態を形成する。返金手段は、接触読取デバイス又は非接触読取デバイスにより読み取られたカードデータを用いて、取引に関する決済金額の返金処理を行う。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレジットカードに記録されたカードデータを接触読み取りする接触読取デバイスと、クレジットカードに記録されたカードデータを非接触読み取りする非接触読取デバイスとを選択的に用いてクレジットカード決済を行う決済手段と、
過去の取引に関して完了しているクレジットカード決済に関して、前記接触読み取り及び前記非接触読み取りのいずれにより読み取られたカードデータが前記決済手段により用いられたかを判定する判定手段と、
前記判定手段により接触読み取りであると判定されたことに応じて前記接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、また前記判定手段により非接触読み取りであると判定されたことに応じて前記非接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、それぞれ形成する読取制御手段と、
前記読取制御手段の制御の下に前記接触読取デバイス又は前記非接触読取デバイスにより読み取られたカードデータを用いて、前記取引に関する決済金額の返金処理を行う返金手段と、
を具備する決済装置。
【請求項2】
前記読取制御手段は、操作者により接触読み取り、非接触読み取り及び自動設定のいずれかの指示を受け付け、接触読み取りが指定された場合には前記接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を形成し、非接触読み取りが指定された場合には前記非接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を形成し、自動設定が指示された場合には、前記判定手段により接触読み取りであると判定されたことに応じて前記接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、また前記判定手段により非接触読み取りであると判定されたことに応じて前記非接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、それぞれ形成する、
請求項1に記載の決済装置。
【請求項3】
取引に関する代金をクレジットカード決済した際に、そのクレジットカード決済に用いるクレジットカードからのカードデータの読み取りに接触読み取り及び非接触読み取りにいずれが利用されたかを判別可能な読取方法データを、決済された取引を管理するための管理データに付加する付加手段、をさらに備え、
前記判定手段は、前記読取方法データに基づいて、前記接触読み取り及び前記非接触読み取りのいずれによりカードデータが読み取られたかを判定する、
請求項1に記載の決済装置。
【請求項4】
取引の内容を登録する登録手段と、
クレジットカードに記録されたカードデータを接触読み取りする接触読取デバイスと、クレジットカードに記録されたカードデータを非接触読み取りする非接触読取デバイスとを選択的に用いて、前記登録手段により登録された取引に関する代金についてのクレジットカード決済を行う決済手段と、
過去の取引に関して完了しているクレジットカード決済に関して、前記接触読み取り及び前記非接触読み取りのいずれにより読み取られたカードデータが前記決済手段により用いられたかを判定する判定手段と、
前記判定手段により接触読み取りであると判定されたことに応じて前記接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、また前記判定手段により非接触読み取りであると判定されたことに応じて前記非接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、それぞれ形成する読取制御手段と、
前記読取制御手段の制御の下に前記接触読取デバイス又は前記非接触読取デバイスにより読み取られたカードデータを用いて、前記取引に関する決済金額の返金処理を行う返金手段と、
を具備する取引処理装置。
【請求項5】
決済装置に備えられたコンピュータを、
クレジットカードに記録されたカードデータを接触読み取りする接触読取デバイスと、クレジットカードに記録されたカードデータを非接触読み取りする非接触読取デバイスとを選択的に用いてクレジットカード決済を行う決済手段と、
過去の取引に関して完了しているクレジットカード決済に関して、前記接触読み取り及び前記非接触読み取りのいずれにより読み取られたカードデータが前記決済手段により用いられたかを判定する判定手段と、
前記判定手段により接触読み取りであると判定されたことに応じて前記接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、また前記判定手段により非接触読み取りであると判定されたことに応じて前記非接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、それぞれ形成する読取制御手段と、
前記読取制御手段の制御の下に前記接触読取デバイス又は前記非接触読取デバイスにより読み取られたカードデータを用いて、前記取引に関する決済金額の返金処理を行う返金手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【請求項6】
取引処理装置に備えられたコンピュータを、
取引の内容を登録する登録手段と、
クレジットカードに記録されたカードデータを接触読み取りする接触読取デバイスと、クレジットカードに記録されたカードデータを非接触読み取りする非接触読取デバイスとを選択的に用いて、前記登録手段により登録された取引に関する代金についてのクレジットカード決済を行う決済手段と、
過去の取引に関して完了しているクレジットカード決済に関して、前記接触読み取り及び前記非接触読み取りのいずれにより読み取られたカードデータが前記決済手段により用いられたかを判定する判定手段と、
前記判定手段により接触読み取りであると判定されたことに応じて前記接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、また前記判定手段により非接触読み取りであると判定されたことに応じて前記非接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、それぞれ形成する読取制御手段と、
前記読取制御手段の制御の下に前記接触読取デバイス又は前記非接触読取デバイスにより読み取られたカードデータを用いて、前記取引に関する決済金額の返金処理を行う返金手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、決済装置、取引処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クレジットカードによる決済が完了している取引を取り消す場合は、完了しているクレジット決済を取り消して返金処理を行うことになる。そしてこの返金処理に際してのクレジットカードの読み取りは、決済時のクレジットカードの読み取り方法に準じた方法で行う必要がある。
つまり、返金処理に際しては、店員が、決済時に使用した読み取り方法を確認の上で、その読み取り方法によるクレジットカードの読み取りを行うように処置する必要があり、大きな負担となっていた。
このような事情から、クレジットカード決済を取り消すための返金処理に際しての操作者の手間を軽減できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-61807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、クレジットカード決済を取り消すための返金処理に際しての操作者の手間を軽減できる決済装置、取引処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の決済装置は、決済手段、判定手段、読取制御手段及び返金手段を備える。決済手段は、クレジットカードに記録されたカードデータを接触読み取りする接触読取デバイスと、クレジットカードに記録されたカードデータを非接触読み取りする非接触読取デバイスとを選択的に用いてクレジットカード決済を行う。判定手段は、過去の取引に関して完了しているクレジットカード決済に関して、接触読み取り及び非接触読み取りのいずれにより読み取られたカードデータが決済手段により用いられたかを判定する。読取制御手段は、判定手段により接触読み取りであると判定されたことに応じて接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、また判定手段により非接触読み取りであると判定されたことに応じて非接触読取デバイスによるカードデータの読み取りを受ける状態を、それぞれ形成する。返金手段は、読取制御手段の制御の下に接触読取デバイス又は非接触読取デバイスにより読み取られたカードデータを用いて、取引に関する決済金額の返金処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】一実施形態に係るPOSシステムの概略構成と、POS端末装置及びPOSサーバの要部回路構成とを表すブロック図。
図2】取引処理のフローチャート。
図3】取引処理のフローチャート。
図4】第1の案内画面の一例を表す図。
図5】1面待ち表示のために図1中の店員側タッチパネルに表示させるウィンドウの一例を表す図。
図6】1面待ち表示のために図1中の客側タッチパネルに表示させる画面の一例を表す図。
図7】2面待ち表示のために図1中の店員側タッチパネルに表示させるウィンドウWICの一例を表す図。
図8】2面待ち表示のために図1中の客側タッチパネルに表示させる画面の一例を表す図。
図9】過去取引処理のフローチャート。
図10】過去取引処理のフローチャート。
図11】第2の案内画面の一例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。
【0008】
図1は本実施形態に係るPOSシステム1の概略構成と、POS端末装置100及びPOSサーバ200の要部回路構成とを表すブロック図である。
POSシステム1は、POS端末装置100とPOSサーバ200とを通信ネットワーク2を介して通信可能として構成されている。通信ネットワーク2としては、典型的にはLAN(local area network)が用いられる。しかしながら通信ネットワーク2としては、LANの他に、インターネット、VPN(virtual private network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。
【0009】
POS端末装置100は、店舗における客に対する商品の販売のための処理を行う。つまりPOS端末装置100は、商品販売のための取引に関する処理を行う取引処理装置の一例である。POS端末装置100は、取引の処理の一環として後述のように決済も行うのであり、決済装置としての機能も備える。
POS端末装置100は、いわゆる対面式であり、主に店員がその操作者となる。POS端末装置100は、店員用のワークスペースに面する状態で店内等に設置される。客は、通常は、ワークスペースとは別に定められた待機スペースで待機する。
【0010】
POS端末装置100は、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、決済端末108、釣銭ユニット109、レシートプリンタ110、客側タッチパネル111、客面表示器112、通信ユニット113及び伝送路114を含む。そしてプロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、決済端末108、釣銭ユニット109、レシートプリンタ110、客側タッチパネル111、客面表示器112及び通信ユニット113は、伝送路114に接続されている。なお、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、決済端末108、釣銭ユニット109、レシートプリンタ110、客側タッチパネル111及び客面表示器112の一部又は全ては、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、通信ユニット113及び伝送路114を備えるメインユニットとは別ユニットとされて、メインユニットに外付けされるのでも構わない。
【0011】
プロセッサ101、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103が伝送路114で接続されて、POS端末装置100の制御に関する情報処理を実行するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに基づく情報処理を実行することにより、POS端末装置100の各種の機能を実現するべくPOS端末装置100の各部を制御する。
【0012】
メイン記憶ユニット102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット102は、プロセッサ101が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット102は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ101によるワークエリアとして使用する。
【0013】
補助記憶ユニット103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット103は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを備える。補助記憶ユニット103は、プロセッサ101が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット103は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット103は、本実施形態においては、取引処理プログラムPRAを記憶する。取引処理プログラムPRAは、取引を処理するための後述する情報処理に関する処理手順を記述したアプリケーションプログラムである。
【0014】
店員側タッチパネル104は、店員側に向けて設けられている。店員側タッチパネル104は、店員に対する情報提示のための画面を表示する。また店員側タッチパネル104は、店員による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
キーボード105は、多数のハードキーを、店員側からの店員による操作が簡易なように備える。キーボード105は、これらのハードキーの押下による店員の指示を入力する。キーボード105が備えるハードキーには、クレジットカードの読取方法の指定を受け付けるためのキーKEA,KEB,KECを含む。
【0015】
固定スキャナ106は、店員側に向けられた読取窓を有する。固定スキャナ106は、読取窓の前に翳された商品を撮像した上で、当該商品に形成されたバーコードが表すバーコード情報を画像処理によって認識する。そして固定スキャナ106は、バーコード情報をプロセッサ101へ出力する。なお、固定スキャナ106は、レーザ光の反射を利用して光学的にバーコードを読み取るような他のタイプの周知のデバイスを利用することもできる。また固定スキャナ106は、商品を撮像して得た商品自体の画像からオブジェクト認識技術を利用して商品を特定する機能を備えるタイプの周知のデバイスを利用することもできる。
ハンディスキャナ107は、店員の手に持って用いられ、読み取り口に対向されたバーコードを光学的に読み取る。ハンディスキャナ107は、読み取ったバーコードが表すバーコード情報をプロセッサ101へと出力する。
【0016】
決済端末108は、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネーカードなどの決済用カードに記録されているデータを読み取る。また決済端末108は、決済用カードに対してデータを書き込む。決済端末108は、クレジットカードのIC読み取り、磁気読み取り及び近接通信読み取りにそれぞれ対応する読取デバイスを備える。IC読み取り用の読取デバイスは、電気的な接点を介した通信により、クレジットカードに設けられたIC(integrated circuit)に記憶されているデータを読み取る。磁気読み取り用の読取デバイスは、クレジットカードの表面に形成された磁気ストライプに磁気記録されているデータを、磁気ヘッドを用いて読み取る。かくして、これらIC読み取り及び磁気読み取りは、いずれも決済端末108とクレジットカードとの接触を伴い、それぞれ接触読み取りの例である。そしてIC読み取り用及び磁気読み取り用の読取デバイスは、いずれも接触読取デバイスの例である。近接通信読み取り用の読取デバイスは、NFC(near field communication)等の無線通信により、クレジットカードに設けられたIC(integrated circuit)に記憶されているデータを読み取る。かくして、近接通信読み取りは、非接触読み取りの例である。そして近接通信読み取り用の読取デバイスは、非接触読取デバイスの例である。
【0017】
釣銭ユニット109は、硬貨投入口から投入された硬貨を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット109は、収納庫に収容している硬貨を、硬貨排出口を介して硬貨トレイへと排出する。釣銭ユニット109は、紙幣投入口から投入された紙幣を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット109は、収納庫に収容している紙幣を紙幣排出口から排出する。紙幣排出口は、排出された紙幣を、その一部を外部に露出させた状態で保持する。
レシートプリンタ110は、レシート用紙に対してレシート、領収証又は売上票などの証票の画像を印刷する。レシートプリンタ110は、上記の画像を印刷したレシート用紙をレシート排出口から外部へと排出する。
【0018】
客側タッチパネル111は、客側に向けて設けられている。客側タッチパネル111は、客に対する情報提示のための画面を表示する。また客側タッチパネル111は、客による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
客面表示器112は、客側に向けて設けられている。客面表示器112は、客に対する情報提示のための画面を表示する。客面表示器112は、主に文字列の表示に適応し、客側タッチパネル111よりも簡易な画面を表示する。
【0019】
通信ユニット113は、プロセッサ101が通信ネットワーク2を介して、例えばPOSサーバ200などの任意の装置と各種データを授受するための通信処理を行う。通信ユニット113としては、通信ネットワーク2の通信方式に準じた周知のデバイスを用いることができる。
伝送路114は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含む。伝送路114は、接続されている各部の間で授受されるデータ及び信号を伝送する。
【0020】
POS端末装置100の基本ハードウェアとしては、例えば既存の別のPOS端末装置のハードウェアを用いることができる。このときにPOS端末装置100の譲渡は一般に、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶された状態にて行われる。しかし、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶されない状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット103に、任意の作業者の操作に応じて取引処理プログラムPRAが書き込まれてもよい。あるいは、取引処理プログラムPRAと同種の別バージョンの情報処理プログラムが補助記憶ユニット103に記憶された状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット103に既に記憶されている情報処理プログラムを置き換える形で、取引処理プログラムPRAが書き込まれてもよい。取引処理プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。取引処理プログラムPRAは、メイン記憶ユニット102に記憶されてもよい。
【0021】
POSサーバ200は、プロセッサ201、メイン記憶ユニット202、補助記憶ユニット203、通信ユニット204及び伝送路205等を備える。プロセッサ201と、メイン記憶ユニット202、補助記憶ユニット203及び通信ユニット204とは、伝送路205を介して通信可能とされている。
【0022】
プロセッサ201、メイン記憶ユニット202及び補助記憶ユニット203を伝送路205で接続することによって、POSサーバ200を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ201は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ201は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに従って、POSサーバ200としての各種の機能を実現するべく各部を制御するための情報処理を実行する。
【0023】
メイン記憶ユニット202は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット202は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット202は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット202は、プロセッサ201が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット202は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ201によるワークエリアとして使用する。
【0024】
補助記憶ユニット203は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット203は、例えばEEPROM、HDD、SSD、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用できる。補助記憶ユニット203は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ201での処理によって生成されたデータとを記憶する。補助記憶ユニット203は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。
【0025】
補助記憶ユニット203の記憶領域の一部は、ジャーナルファイルFIA及びトランザクションファイルFIBを記憶する領域として利用される。ジャーナルファイルFIAは、取引毎に生成されるジャーナルデータを集積したデータファイルである。トランザクションファイルFIBは、POS端末装置100で取引毎に生成されるトランザクションデータを集積したデータファイルである。
【0026】
通信ユニット204は、通信ネットワーク2を介したデータ通信を行うための通信処理を実行する。通信ユニット204としては、通信ネットワーク2の通信方式に準じた周知のデバイスを用いることができる。
伝送路205は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
POSサーバ200のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。
【0027】
次に以上のように構成されたPOSシステム1の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の内容は、特徴的な動作に関する処理の説明を中心とし、既存の同種のPOSシステムで行われている一部の処理の説明は省略する。例えば、ある画面の表示中に「戻り」を指示するためのボタンがタップされたことに応じて、該当の画面の表示前の動作状態に戻す処理が行われる場合があるが、そのような処理についての説明は省略している。また以下に説明する処理に関しても一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略などは適宜に可能である。
【0028】
POS端末装置100が、取引処理のための動作状態で起動されると、プロセッサ101は取引処理プログラムPRAに基づく情報処理(以下、取引処理と称する)を開始する。
図2及び図3は取引処理のフローチャートである。
【0029】
図2中のACT101としてプロセッサ101は、登録処理を実行する。登録処理は、客が購入する商品を取引の対象とする商品(以下、取引商品と称する)として登録するための処理である。プロセッサ101は例えば、取引商品に関する追加指示、削除指示、あるいは数量変更指示などのための操作者による予め定められた操作に応じて、取引商品のリストを表した取引データを生成、編集する。なお、追加指示のために店員が行う操作は例えば、商品に表示されているバーコードを、固定スキャナ106又はハンディスキャナ107などを用いてスキャンさせるための操作である。追加指示のために店員が行う操作は例えば、商品コードを直接入力するための店員側タッチパネル104又はキーボード105の操作である。追加指示のために店員が行う操作は例えば、商品を示すあらかじめ設定された商品のプリセットキーを押下するような店員側タッチパネル104又はキーボード105の操作である。つまりプロセッサ101は、既存の別のPOS端末装置で行われているのと同様な操作を受ける。そして取引データの生成、編集に際しては、例えば既存の別のPOS端末装置で行われているのと同様な処理を行う。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは登録手段として機能する。
【0030】
そしてプロセッサ101は、会計の開始を指示するための予め定められた操作に応じて登録処理を終えて、ACT102へと進む。
ACT102としてプロセッサ101は、決済方法を操作者に選択させるための選択画面を店員側タッチパネル104に表示させる。プロセッサ101は、客側タッチパネル111にも、選択画面を表示させるのでも構わない。POS端末装置100は、現金決済、クレジットカード決済、電子マネー決済、コード決済、プリペイドカード決済、金券決済、ポイント決済などの周知の様々な決済方法に対応し得る。選択画面は、それら対応する決済方法のうちの1つを選択可能とするものとして予め定められる。なお、選択画面にてどのような決済方法の選択を可能とするかは、例えばPOS端末装置100の管理者などにより適宜に定められて構わない。
【0031】
ACT103としてプロセッサ101は、クレジットカード決済が指定されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、クレジットカード決済が指定されたことを確認できないならば、他のどの決済方法が指定されたかを確認して、その決済方法での決済を行うなどする他の処理へと進む。なお、当該の他の処理は、例えば既存の別のPOS端末装置で行われているのと同様であってよく、ここでは説明を省略する。
【0032】
操作者がクレジットカード決済を選択すると、プロセッサ101はACT103にてYESと判定し、ACT104へと進む。
ACT104としてプロセッサ101は、第1の案内画面を店員側タッチパネル104に表示させる。第1の案内画面は、クレジットカードの読み取りに関して、1面待ち、2面待ち、3面待ちのいずれとするかの指示を操作者に促すとともに、その指示を受けるためのGUI(graphical user interface)画面である。ここで「1面待ち」とは、近接通信読み取りのみを待ち受ける状態である。「2面待ち」とは、IC読み取り及び磁気読み取りを待ち受ける状態である。「3面待ち」とは、近接通信読み取り、IC読み取り及び磁気読み取りを待ち受ける状態である。
【0033】
図4は第1の案内画面の一例を表す図である。
なお、図4及び以降の図に表す各種の画面は、表示オブジェクトの一部の図示を省略している場合がある。
第1の案内画面は、ウィンドウWIAを、登録済みの取引商品の一覧を表した画面にポップアップ表示した画面である。
【0034】
第1の案内画面を表示させた状態でプロセッサ101は、ACT105へと進む。
ACT105としてプロセッサ101は、1面待ちが指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT106へと進む。
ACT106としてプロセッサ101は、2面待ちが指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT107へと進む。
ACT107としてプロセッサ101は、3面待ちが指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT105へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT105~ACT107としては、1面待ち、2面待ち及び3面待ちのいずれかが指示されるのを待ち受ける。
【0035】
店員は、客がクレジットカードによるタッチ決済を希望するならば、キーボード105に設けられたキーKEAを押下するなどの予め定められた操作によって1面待ちを指示する。この指示に応じてプロセッサ101は、ACT105にてYESと判定し、ACT108へと進む。
ACT108としてプロセッサ101は、決済端末108の近接通信読み取りのみを有効化する。これにより決済端末108は、NFC等の無線通信によるクレジットカードに記録されているデータ(以下、カードデータと称する)の読み取りを試みる状態となる。
【0036】
ACT109としてプロセッサ101は、1面待ち表示を行う。1面待ち表示は、タッチ決済対応のクレジットカードを決済端末108に近接させるように店員及び客に案内するための表示である。プロセッサ101は例えば、1面待ち表示のための予め定められた画面を店員側タッチパネル104及び客側タッチパネル111に表示させる。またプロセッサ101は、「カードを読み込んでください」のような文字メッセージを客面表示器112に表示させる。
【0037】
図5は1面待ち表示のために店員側タッチパネル104に表示させるウィンドウWIBの一例を表す図である。プロセッサ101は例えば、店員側タッチパネル104に表示されていた画面におけるウィンドウWIAに代えてウィンドウWIBをポップアップ表示させる。
図6は1面待ち表示のために客側タッチパネル111に表示させる画面の一例を表す図である。
【0038】
店員は、客がIC読み取り又は磁気読み取りによるクレジットカード決済を希望するならば、キーボード105に設けられたキーKEBを押下するなどの予め定められた操作によって2面待ちを指示する。この指示に応じてプロセッサ101は、ACT106にてYESと判定し、ACT110へと進む。
ACT110としてプロセッサ101は、決済端末108のIC読み取り及び磁気読み取りを有効化する。これにより決済端末108は、IC読み取り及び磁気読み取りによるクレジットカードからのカードデータの読み取りを試みる状態となる。
【0039】
ACT111としてプロセッサ101は、2面待ち表示を行う。2面待ち表示は、ICカードタイプのクレジットカードを決済端末に挿入するか、磁気カードタイプのクレジットカードをスキャンさせるように店員及び客に案内するための表示である。プロセッサ101は例えば、2面待ち表示のための予め定められた画面を店員側タッチパネル104及び客側タッチパネル111に表示させる。またプロセッサ101は、「カードを読み込んでください」のような文字メッセージを客面表示器112に表示させる。
【0040】
図7は2面待ち表示のために店員側タッチパネル104に表示させるウィンドウWICの一例を表す図である。プロセッサ101は例えば、店員側タッチパネル104に表示されていた画面におけるウィンドウWIAに代えてウィンドウWICをポップアップ表示させる。
図8は2面待ち表示のために客側タッチパネル111に表示させる画面の一例を表す図である。
【0041】
店員は、客が希望する読取方法を確認することなく3面待ちを指示するのでも構わない。あるいは店員は、客が希望する読取方法を確認した場合であっても、3面待ちを指示しても構わない。そしてこの場合に店員は、キーボード105に設けられたキーKECを押下するなどの予め定められた操作によって3面待ちを指示する。この指示に応じてプロセッサ101は、ACT107にてYESと判定し、ACT112へと進む。
【0042】
ACT112としてプロセッサ101は、決済端末108の近接通信読み取り、IC読み取り及び磁気読み取りをいずれも有効化する。これにより決済端末108は、近接通信読み取り、IC読み取り及び磁気読み取りによるクレジットカードからのカードデータの読み取りを試みる状態となる。
【0043】
ACT113としてプロセッサ101は、3面待ち表示を行う。3面待ち表示は、タッチ決済対応のクレジットカードを決済端末に近接させるか、ICカードタイプのクレジットカードを決済端末に挿入するか、あるいは磁気カードタイプのクレジットカードをスキャンさせるように店員及び客に案内するための表示である。プロセッサ101は例えば、3面待ち表示のための予め定められた画面を店員側タッチパネル104及び客側タッチパネル111に表示させる。またプロセッサ101は、「カードを読み込んでください」のような文字メッセージを客面表示器112に表示させる。
【0044】
なお、3面待ち表示において店員側タッチパネル104にポップアップ表示させるウィンドウは、図5のウィンドウWIBに表されるイラストと、図7のウィンドウWIBに表されるイラストと、をいずれも表したウィンドウとする。あるいは、ウィンドウWIB及びウィンドウWIBを交互に表示させるのでも構わない。
【0045】
また3面待ち表示において客側タッチパネル111に表示させる画面は、図6の画面に表されるイラストと、図8の画面に表されるイラストと、をいずれも表した画面とする。あるいは、図6の画面及び図8の画面を交互に表示させるのでも構わない。
【0046】
プロセッサ101は、図2中のACT109、ACT111又はACT113を終えると、図3中のACT121へと進む。
ACT121としてプロセッサ101は、決済端末108にてカードデータが読み取られるのを待ち受ける。
【0047】
決済端末108は、近接通信読み取りが有効であるときにタッチ決済対応のクレジットカードが近接すると、当該のクレジットカードに備えられた通信回路と無線通信を行い、当該のクレジットカードに備えられたメモリが記憶するカードデータを読み出す。決済端末108は、IC読み取りが有効であるときに挿入用のスロットにICカードタイプのクレジットカードが挿入され、当該のクレジットカードに備えられたICと電気的接触が成立すると、この電気的接続を介して、ICに含まれるメモリが記憶するカードデータを読み出す。決済端末108は、磁気読み取りが有効であるときにスキャン用のスリットをクレジットカードがスキャンされると、当該のクレジットカードに形成された磁気ストライプに磁気記録されているカードデータを読み取る。そして決済端末108は、このように読み取ったカードデータをメイン記憶ユニット102又は補助記憶ユニット103に保存した上で、読み取りをプロセッサ101に通知する。プロセッサ101は、この通知を受けるとACT121にてYESと判定し、ACT122へと進む。
【0048】
ACT122としてプロセッサ101は、決済処理を実行する。つまりプロセッサ101は、図2中のACT101で登録された全ての取引商品に関する決済額を算出し、決済端末108によりクレジットカードから読み取られたカードデータに含まれるクレジットカード番号の通知を伴って、図1には表されていない決済サーバに対して決済額のクレジット決済を要求するための周知の処理を実行する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。
【0049】
ACT123としてプロセッサ101は、今回の取引に関するレシートを発行する。つまりプロセッサ101は例えば、今回の取引の内容及び会計結果を表したレシート画像を生成し、このレシート画像をレシートプリンタ110にプリントさせる。
ACT124としてプロセッサ101は、今回の取引に関するジャーナルデータ及びトランザクションデータをPOSサーバ200にアップロードする。そしてプロセッサ101は、1取引に関する取引処理を終了する。
【0050】
ジャーナルデータは、取引レシートに表したのと同等な情報を表したディジタルデータである。ジャーナルデータが含む情報は、取引レシートに表した情報と完全に一致している必要はない。トランザクションデータは、今回の処理対象となった取引の処理に関してジャーナルデータよりも詳細な情報を表したディジタルデータである。トランザクションデータは例えば、今回の処理対象となった取引の処理に関してPOS端末装置100でなされた操作の個々に関連付けて、その操作に関する情報を表したデータとする。つまりジャーナルデータ及びトランザクションデータに基づき、決済済みの取引を管理することが可能であり、ジャーナルデータ及びトランザクションデータはそれぞれ、決済済みの取引を管理するための管理データの例である。なおプロセッサ101がジャーナルデータ及びトランザクションデータにどのような情報を含めるかは、例えばPOS端末装置100の設計者又は管理者などによって適宜に定められてよい。ただしプロセッサ101は、ジャーナルデータには、クレジットカードからのカードデータの読み取り方法を表す読取方法データを含める。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは付加手段として機能する。
【0051】
POSサーバ200にてプロセッサ201は、アップロードされたジャーナルデータ及びトランザクションデータが通信ユニット204により受信されると、当該のジャーナルデータ及びトランザクションデータを含むようにジャーナルファイルFIA及びトランザクションファイルFIBを更新する。かくして、POSシステム1で処理済みの取引に関する情報はジャーナルファイルFIA及びトランザクションファイルFIBに集積される。
【0052】
さて、客が、上述のような処理により代金の決済を終えた取引に関する取引商品の返品を、当日又は後日に店員に申し出る場合がある。この場合に店員は、店員側タッチパネル104又はキーボード105での予め定められた操作によって取引検索を指示する。
POS端末装置100にてプロセッサ101は、取引検索が指示されると、取引処理プログラムPRAに基づく過去取引処理を実行する。なおこの過去取引処理と、前述した取引処理とは、それぞれ別々のアプリケーションプログラムに従って実行されるのでも構わない。
【0053】
図9及び図10は過去取引処理のフローチャートである。
図9中のACT201としてプロセッサ101は、条件設定処理を実行する。つまりプロセッサ101は、店員による操作を受けながら、決済済みの取引を検索するための店員の希望する検索条件を設定する。プロセッサ101は、検索条件を例えば、レジ番号、日付、取引番号及び取引レシートに表された決済金額などの情報の少なくとも1つの組み合わせとして設定する。
【0054】
ACT202としてプロセッサ101は、検索処理を実行する。つまりプロセッサ101は例えば、ACT201で設定した検索条件の通知を伴って、取引の検索をPOSサーバ200に要求する。POSサーバ200にてプロセッサ201は、上記の要求に応じて検索条件に合致する取引を検索し、該当する取引のリストを表すリストデータをPOS端末装置100に応答する。POS端末装置100にてプロセッサ101は、リストデータを取得する。
【0055】
ACT203としてプロセッサ101は、取引選択処理を実行する。つまりプロセッサ101は例えば、ACT201で取得したリストデータに基づく取引の一覧画面を店員側タッチパネル104に表示させる。そしてプロセッサ101は、店員による操作に応じて、処理の対象とする1つの取引(以下、対象取引と称する)を選択する。さらにプロセッサ101は、対象取引に関するジャーナルデータをPOSサーバ200から取得する。そしてプロセッサ101は例えば、取得したジャーナルデータに基づき対象取引の内容を表した画面を店員側タッチパネル104に表示させる。
【0056】
ACT204としてプロセッサ101は、対象取引に関しての返金が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならば、操作者による指示の内容を確認の上で、その指示に応じた動作を行わせるための他の処理へと移行する。なお、当該の他の処理は、例えば既存の別のPOS端末装置で行われているのと同様であってよく、ここでは説明を省略する。
【0057】
店員は、対象取引に関して決済済みの代金を客に返金すべきであると判断したならば、例えば店員側タッチパネル104又はキーボード105での予め定められた操作によって返金を指示する。この指示に応じてプロセッサ101は、ACT204にてYESと判定し、ACT205へと進む。
【0058】
ACT205としてプロセッサ101は、対象取引の代金の決済がクレジットカード決済により行われているか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならば、決済方法を確認の上で、その決済方法に応じた返金のための他の処理へと移行する。なお、当該の他の処理は、例えば既存の別のPOS端末装置で行われているのと同様であってよく、ここでは説明を省略する。
【0059】
プロセッサ101は、対象取引の代金の決済がクレジットカード決済により行われているならば、ACT205にてYESと判定し、ACT206へと進む。
ACT206としてプロセッサ101は、第2の案内画面を店員側タッチパネル104に表示させる。第2の案内画面は、クレジットカードの読み取りに関して、1面待ち及び2面待ちのいずれとするかの指示を操作者に促すとともに、その指示を受けるためのGUI画面である。
【0060】
図11は第2の案内画面の一例を表す図である。
第2の案内画面は、ウィンドウWIDを、対象取引の内容を表した画面にポップアップ表示した画面である。
ウィンドウWIDは、ボタンBUAを表す。ボタンBUAは、1面待ち及び2面待ちのいずれに移行するかの自動判定を操作者が指示するためのソフトキーである。
【0061】
第2の案内画面を表示させた状態でプロセッサ101は、図10中のACT211へと進む。
ACT211としてプロセッサ101は、1面待ちが指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT212へと進む。
ACT212としてプロセッサ101は、2面待ちが指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT213へと進む。
ACT213としてプロセッサ101は、自動判定が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT211へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT211~ACT213としては、1面待ち、2面待ち及び自動判定のいずれかが指示されるのを待ち受ける。
【0062】
店員は、対象取引に関してクレジットカードによるタッチ決済が行われていることを確認できたならば、キーボード105に設けられたキーKEAを押下するなどの予め定められた操作によって1面待ちを指示する。この指示に応じてプロセッサ101は、ACT211にてYESと判定し、ACT214へと進む。
ACT214としてプロセッサ101は、決済端末108の近接通信読み取りのみを有効化する。これにより決済端末108は、NFC等の無線通信によるクレジットカードからのカードデータの読み取りを試みる状態となる。
ACT215としてプロセッサ101は、図9中のACT109と同様に1面待ち表示を行う。
【0063】
店員は、対象取引に関してIC読み取り又は磁気読み取りによるクレジットカード決済が行われていることを確認できたならば、キーボード105に設けられたキーKEBを押下するなどの予め定められた操作によって2面待ちを指示する。この指示に応じてプロセッサ101は、ACT212にてYESと判定し、ACT216へと進む。
ACT216としてプロセッサ101は、決済端末108のIC読み取り及び磁気読み取りを有効化する。これにより決済端末108は、IC読み取り及び磁気読み取りによるクレジットカードからのカードデータの読み取りを試みる状態となる。
ACT217としてプロセッサ101は、図9中のACT111と同様に2面待ち表示を行う。
【0064】
店員は、対象取引に関してどの読取方法が適用されたかを確認することなく、また確認したとしても、ボタンBUAをタップするなどの予め定められた操作によって自動判定を指示することもできる。この指示に応じてプロセッサ101は、ACT213にてYESと判定し、ACT218へと進む。
ACT218としてプロセッサ101は、対象取引に関してIC読み取りによるクレジットカード決済が行われたか否かを、ACT203で取得したジャーナルデータに含まれる読出方法データに基づき確認する。そしてプロセッサ101は、IC読み取りによるクレジットカード決済が行われていないならばNOと判定し、ACT219へと進む。
【0065】
ACT219としてプロセッサ101は、対象取引に関して磁気読み取りによるクレジットカード決済が行われたか否かを、ACT203で取得したジャーナルデータに含まれる読出方法データに基づき確認する。そしてプロセッサ101は、磁気読み取りによるクレジットカード決済行われていないならばNOと判定し、ACT214へと進み、ACT214以降を前述と同様に実行する。つまりプロセッサ101は、ACT203で取得したジャーナルデータに含まれる読出方法データが「IC読み取り」又は「磁気読み取り」を表さないならば、つまり当該の読出方法データが「近接通信読み取り」を表すならば、1面待ちが指示されたものとしてACT214及びACT215を実行する。
【0066】
プロセッサ101は、対象取引に関してIC読み取りによるクレジットカード決済が行われたことを確認できたならばACT218にてYESと判定して、また対象取引に関して磁気読み取りによるクレジットカード決済が行われたことを確認できたならばACT219にてYESと判定して、いずれの場合もACT216へと進み、ACT216以降を前述と同様に実行する。つまりプロセッサ101は、ACT203で取得したジャーナルデータに含まれる読出方法データが「IC読み取り」又は「磁気読み取り」を表すならば、2面待ちが指示されたものとしてACT216及びACT217を実行する。
【0067】
以上のようにプロセッサ101は、ACT218及びACT219において、対象取引のクレジット決済に関して接触読み取り及び非接触読み取りのいずれが用いられたかを判定し、その判定結果に基づいて接触読み取りを行う状態又は非接触読み取りを行う状態をそれぞれ形成している。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは判定手段及び読取制御手段として機能する。
【0068】
プロセッサ101は、ACT215又はACT217を終えると、ACT220へと進む。
ACT220としてプロセッサ101は、決済端末108にてクレジットカードに記録されたカードデータが読み取られるのを、図3中のACT121と同様にして待ち受ける。そしてプロセッサ201は、決済端末108から前述のように読み取りの通知を受けると、YESと判定してACT221へと進む。
【0069】
ACT221としてプロセッサ101は、対象取引に関して決済済みの代金を返金するための返金処理を実行する。つまりプロセッサ101は、対象取引に関する返金を、決済端末108によりクレジットカードから読み取られたカードデータに含まれるクレジットカード番号の通知を伴って、決済サーバに対して要求するための周知の処理を実行する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは返金手段として機能する。
【0070】
ACT222としてプロセッサ101は、今回の返金に関するレシートを発行する。つまりプロセッサ101は例えば、対象取引の内容及び返金結果を表したレシート画像を生成し、このレシート画像をレシートプリンタ110にプリントさせる。
ACT223としてプロセッサ101は、今回の返金に関するジャーナルデータ及びトランザクションデータをPOSサーバ200にアップロードする。そしてプロセッサ101は、過去取引処理を終了する。
【0071】
以上のようにPOS端末装置100は、クレジットカード決済済みの代金の返金処理のためにクレジットカードからカードデータを読み取るに当たっては、店員が自動判定を指示すれば、決済時においてIC読み取り又は磁気読み取りを利用している場合には、同様にIC読み取り又は磁気読み取りを利用し、決済時に近接通信読み取りを利用している場合には、同様に近接通信読み取りを利用するように自動的に設定する。かくして、クレジットカード決済を取り消すための返金処理に際しての店員の手間を軽減できる。
【0072】
またPOS端末装置100は、クレジットカード決済済みの代金の返金処理のためにクレジットカードからカードデータを読み取るに当たっては、決済時と同様にキーKEA、KEBの押下により、IC読み取り又は磁気読み取りを利用する状態か、近接通信読み取りを利用する状態を選択的に設定することもできる。これにより、POS端末装置100の操作に慣れた店員であれば、決済時と同様な操作を行うことも可能である。
【0073】
またPOS端末装置100は、ジャーナルデータに読取方法データを含め、取引検索により取得したジャーナルデータに含まれる読取方法データから返金の対象となる取引の決済に際して利用した読取方法を判定するので、その判定を容易に、かつ確実に行うことができる。
【0074】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
プロセッサ101は、図10中のACT211,ACT212は省略して、自動判定指示のみを待ち受けるようにしても構わない。さらには図9中のACT206及び図10のACT213も省略し、図9中のACT205にてYESと判定した場合にACT218へと進むのでも構わない。
【0075】
プロセッサ101は、読出方法データをトランザクションデータに含めても構わない。この場合には、プロセッサ101は例えば、図9中のACT203では、ジャーナルデータを取得するのに代えて、あるいはジャーナルデータを取得するのに加えて、対象取引に関するジャーナルデータをPOSサーバ200から取得するようにする。
【0076】
プロセッサ101は、読出方法データをジャーナルデータ及びトランザクションデータとは別のデータに含めても構わない。
【0077】
別の登録装置により登録された取引に関する決済を行う決済装置として実現することも可能である。なお、決済装置として実現する場合であっても、読取方法の指定の受け付けは登録装置にて行われても構わない。
【0078】
プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104及び通信ユニット113として例えばタブレットコンピュータなどのような汎用のコンピュータ装置を用い、当該のコンピュータ装置に適宜にデバイスを接続することによってPOS端末装置100が構成されても構わない。
【0079】
情報処理によりプロセッサ101が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0080】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1…POSシステム、2…通信ネットワーク、100…POS端末装置、200…POSサーバ、101,201…プロセッサ、102,202…メイン記憶ユニット、103,203…補助記憶ユニット、104…店員側タッチパネル、105…キーボード、106…固定スキャナ、107…ハンディスキャナ、108…決済端末、109…釣銭ユニット、110…レシートプリンタ、111…客側タッチパネル、112…客面表示器、113,204…通信ユニット、114,205…伝送路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11