(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119543
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240827BHJP
H01M 50/169 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/15 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20240827BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240827BHJP
H01G 11/84 20130101ALI20240827BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20240827BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/169
H01M50/15
H01M50/55 101
H01M10/058
H01G11/84
H01G11/78
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026525
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】鹿田 勝也
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
5H029
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078AB06
5E078HA04
5E078HA05
5E078HA12
5E078HA25
5H011AA01
5H011AA04
5H011AA09
5H011CC06
5H011DD13
5H011DD26
5H011FF03
5H011KK01
5H011KK04
5H028BB01
5H028BB05
5H028HH09
5H029AJ14
5H029BJ02
5H029CJ05
5H029DJ02
5H029DJ05
5H029HJ15
5H043AA19
5H043DA08
(57)【要約】
【課題】蓄電デバイスの封口板の高さ位置の誤差を小さくし、蓄電パック構築時のサーミスタの接触不良を防止する。
【解決手段】ここに開示される製造方法は、ケース本体14に封口板12を嵌合させる嵌合工程と、ケース本体14を一対の側壁押圧具J10で挟持し、封口板12をケース本体14に固定する固定工程と、封口板12とケース本体14とを溶接する溶接工程とを備えている。そして、ここに開示される製造方法では、側壁押圧具J10の押圧面J12の一部に、サーミスタ設置部50近傍の第1側壁14cに向かって突出する凸部J14が設けられており、当該凸部J14は、弾性材料によって構成されている。かかる構成の製造方法によると、幅方向の全域において封口板12をケース本体14に適切に固定した状態で溶接工程を実施できるため、封口板12の局所的な反りによるサーミスタの接触不良を防止できる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子及びサーミスタ設置部を有する封口板と、上面開口を有する箱型のケース本体とを準備する準備工程と、
前記ケース本体の前記上面開口に前記封口板を嵌合させる嵌合工程と、
前記ケース本体の両側壁の上部を一対の側壁押圧具で挟持し、前記封口板を前記ケース本体に固定する固定工程と、
前記封口板と前記ケース本体とを溶接する溶接工程と
を備えており、
前記一対の側壁押圧具の押圧面の一部に、前記サーミスタ設置部の近傍の前記ケース本体の両側壁に向かって突出する凸部が設けられており、
前記凸部は、弾性材料によって構成されている、蓄電デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記電極端子は、前記封口板の幅方向の両端部に設けられており、前記サーミスタ設置部は前記電極端子よりも幅方向の中央部に設けられている、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記固定工程において、前記サーミスタ設置部の近傍の前記ケース本体の両側壁に20N以上の荷重を加える、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記固定工程において、前記封口板を上方から下方に向かって押圧する上面押圧具を使用する、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記上面押圧具は、前記サーミスタ設置部を押圧する、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記準備工程において、高さ方向の上方に向かって凸状に湾曲した封口板を準備する、請求項4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される技術は、蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の蓄電デバイスは、様々な分野において用いられている。この種の蓄電デバイスは、ケース内に電極体を収容することで構築される。この蓄電デバイスのケースは、上面開口を有する箱型のケース本体と、一対の電極端子を有する封口板とを備えている。かかる構成の蓄電デバイスの製造では、まず、封口板の電極端子に電極体を取り付ける。次に、ケース本体の内部に電極体を収容した後に、当該ケース本体の上面開口に封口板を嵌合させる。そして、レーザなどでケース本体と封口板とを溶接する。
【0003】
上述の製造工程において、ケース本体に封口板が適切に嵌合していないと、溶接不良が生じる可能性がある。このため、封口板の嵌合を適切に行うための技術が提案されている(特許文献1~4参照)。例えば、特許文献1に記載の製造方法は、外装缶(ケース本体)の開口に封口体(封口板)を嵌合させて嵌合体を形成する工程と、嵌合体を封口体側から押圧した状態で、封口体の一部を外装缶に溶接する仮止め溶接工程と、封口体の外周を外装缶に溶接する本溶接工程とを備えている。これによって、封口体の反りを抑えて、封口体と外装缶との溶接不良を防止できるとされている。また、特許文献1では、嵌合体を封口体側から押圧する上型と、外装缶の両側面を押圧する横型とを備えた製造装置が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-277593号公報
【特許文献2】特開2001-185099号公報
【特許文献3】特開2001-185092号公報
【特許文献4】特開2000-231908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記構成の蓄電デバイスは、複数個の蓄電デバイスを配列した蓄電パックの状態で使用されることがある。この蓄電パックは、複数の蓄電デバイスの各々の温度を測定する温度測定部材を備えていることがある。この温度測定部材は、温度測定素子であるサーミスタと、複数個のサーミスタを固定するブラケットとを備えている。そして、複数個のサーミスタの各々は、複数の蓄電デバイスの各々の封口板の上面(サーミスタ設置部)と接触する。かかる構成の温度測定部材によると、複数個の蓄電デバイスの温度変化を監視できる。
【0006】
しかし、上記構成の蓄電パックでは、一部の蓄電デバイスにおいて、サーミスタの接触不良が生じることがあった。本発明者は、この接触不良の原因を検討した結果、ケース本体と封口板とが適切に溶接された蓄電デバイスでも、高さ方向における封口板の溶接位置に微小な(0.1~0.2mm程度の)誤差が生じていることを発見した。そして、複数の蓄電デバイスの各々で封口板の高さ位置が異なると、サーミスタの先端が封口板のサーミスタ設置部に到達できずに接触不良となる蓄電デバイスが生じ得ることが分かった。
【0007】
ここに開示される技術は、かかる問題を解決するためになされたものであり、蓄電デバイスの封口板の高さ位置の誤差を小さくし、蓄電パック構築時のサーミスタの接触不良を防止する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述の課題を解決するために、溶接後の封口板の高さ位置に微小な誤差が生じる原因について検討した結果、以下の知見を見出した。まず、蓄電デバイスの封口板には電極端子が装着されている。かかる構成の蓄電デバイスでは、電極端子を取り付ける際のカシメ加工によって、電極端子近傍の封口板に僅かな(0.05~0.1mm程度の)膨張変形が生じることがある。このような電極端子近傍が膨張した封口板をケース本体に嵌合させると、電極端子から離れた領域において、封口板とケース本体との間に微小な隙間が生じる。このような隙間が生じた組立体であっても、ケース本体の側壁を押圧具で押圧すると、ケース本体が封口板に向かって変形するため隙間が解消されたように見える。しかし、本発明者の検討の結果、この隙間が生じていた部分では、ケース本体と封口板との間に殆ど摩擦力が生じていないことが分かった。これによって、高さ方向における封口板の変形を規制できずに、溶接時の熱によって封口板が反るおそれがある。そして、この封口板の局所的な反りがサーミスタ設置部に生じると、蓄電パック構築時のサーミスタの接触不良が生じる原因となる。
【0009】
ここに開示される蓄電デバイスの製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)は、上述の知見に基づいてなされたものである。具体的には、ここに開示される製造方法は、電極端子及びサーミスタ設置部を有する封口板と、上面開口を有する箱型のケース本体とを準備する準備工程と、ケース本体の上面開口に封口板を嵌合させる嵌合工程と、ケース本体の両側壁の上部を一対の側壁押圧具で挟持し、封口板をケース本体に固定する固定工程と、封口板と前記ケース本体とを溶接する溶接工程とを備えている。そして、ここに開示される製造方法では、一対の側壁押圧具の押圧面の一部に、サーミスタ設置部の近傍のケース本体の両側壁に向かって突出する凸部が設けられており、凸部は、弾性材料によって構成されている。
【0010】
上記構成の製造方法の固定工程では、側壁押圧具の押圧面から突出した凸部が、サーミスタ設置部の近傍のケース本体を押圧する。これによって、電極端子近傍に膨張変形が生じた封口板を使用してサーミスタ設置部の近傍に隙間が生じた場合でも、当該サーミスタ設置部近傍の封口板をケース本体に固定できる。加えて、この凸部は、弾性材料によって構成されている。これによって、側壁押圧具がケース本体を挟持した際に凸部が弾性変形するため、サーミスタ設置部から離れた領域の封口板も十分に固定できる。以上の通り、ここに開示される製造方法によると、サーミスタ設置部と電極端子の各々の近傍(典型的には、幅方向の全域)において封口板をケース本体に適切に固定した状態で溶接を実施できるため、封口板の局所的な反りによるサーミスタの接触不良を防止できる。
【0011】
ここに開示される製造方法の一態様では、電極端子は封口板の幅方向の両端部に設けられており、サーミスタ設置部は電極端子よりも幅方向の中央部に設けられている。かかる構成の蓄電デバイスでは、サーミスタ設置部の近傍に隙間が生じやすいため、ここに開示される技術の効果が特に好適に発揮される。
【0012】
ここに開示される製造方法の一態様では、固定工程において、サーミスタ設置部の近傍のケース本体の両側壁に20N以上の荷重を加える。これによって、ケース本体と封口板との間により適切な摩擦力を生じさせ、溶接中の封口板の反りを好適に防止できる。
【0013】
ここに開示される製造方法の一態様では、固定工程において、封口板を上方から下方に向かって押圧する上面押圧具を使用する。これによって、高さ方向の上方に向かって大きく湾曲した封口板が供給された場合の溶接不良を防止できる。
【0014】
また、上面押圧具を使用する態様では、上面押圧具は、サーミスタ設置部を押圧することが好ましい。これによって、サーミスタ設置部の高さ位置の誤差をさらに小さくできる。
【0015】
また、上面押圧具を使用する態様では、準備工程において、高さ方向の上方に向かって凸状に湾曲した封口板を準備することが好ましい。これによって、高さ方向の下方に向かって封口板が湾曲することによるサーミスタの接触不良を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、二次電池の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す二次電池の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す二次電池の電極端子近傍の構造を示す断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す二次電池を用いて構築した蓄電パックの平面図である。
【
図6】
図6は、二次電池とサーミスタとの接触部分を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る製造方法を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、嵌合工程で構築した組立体の平面図である。
【
図9】
図9は、固定工程を開始する前の組立体と治具を示す平面図である。
【
図11】
図11は、固定工程を実施した後の組立体と治具を示す断面図である。
【
図12】
図12は、溶接工程における組立体と治具を示す断面図である。
【
図13】
図13は、他の実施形態における固定工程を実施した後の組立体と治具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、ここで開示される技術の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と、当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0018】
なお、本明細書における「蓄電デバイス」とは、電解質を介して一対の電極(正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって充放電が生じる装置を包含する概念である。すなわち、ここに開示される技術における蓄電デバイスは、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の二次電池や、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなどを包含する。
【0019】
1.二次電池の構造
先ず、本実施形態に係る製造方法の製造対象(蓄電デバイス)の一例として、二次電池の構造について説明する。
図1は、二次電池の外観を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示す二次電池の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図3は、
図1に示す二次電池の電極端子近傍の構造を示す断面図である。
図4は、
図2中のIV-IV断面図である。
図5は、
図1に示す二次電池を用いて構築した蓄電パックの平面図である。
図6は、二次電池とサーミスタとの接触部分を模式的に示す断面図である。なお、図中の符号Xは幅方向を示しており、符号Yは奥行方向を示しており、符号Zは高さ方向を示している。さらに、符号L、R、F、Rr、U、Dは、それぞれ、左方、右方、前方、後方、上方、下方を示している。但し、これらの方向は、説明の便宜上定めたものであり、使用中や製造中の二次電池の設置態様を限定することを意図したものではない。
【0020】
図1~
図4に示す二次電池1は、ケース10と、電極体20と、電解液30とを備えている。以下、各部材について説明する。
【0021】
(1)ケース
ケース10は、内部空間10aを有する扁平な箱状の容器である。このケース10の内部空間10aには、電極体20と電解液30が収容される。なお、ケース10は、一定以上の強度を有する金属製の部材であることが好ましい。ケース10の素材の一例として、アルミニウム、アルミニウム合金などが挙げられる。そして、ケース10は、ケース本体14と封口板12を備えている。以下、各部材について説明する。
【0022】
(a)ケース本体
ケース本体14は、上面開口14aを有する箱型の容器である。具体的には、ケース本体14は、長尺な矩形の板状部材である底部14bと、底部14bの長辺(幅方向Xに沿った辺)から上方Dに延在する一対の第1側壁14cと、底部14bの短辺(奥行方向Yに沿った辺)から上方Dに延在する一対の第2側壁14dとを備える。換言すると、第1側壁14cは、相対的に面積が大きい側壁である。一方、第2側壁14dは、相対的に面積が小さい側壁である。
【0023】
なお、ケース本体14の具体的な寸法は、ここに開示される技術の効果を著しく阻害しない限りにおいて適宜変更できる。例えば、ケース本体14の幅(幅方向Xにおける寸法)は、75mm~175mm(好適には100mm~150mm)に設定され得る。ケース本体14の奥行(奥行方向Yにおける寸法)は、7.5mm~17.5mm(好適には10mm~15mm)に設定され得る。ケース本体14の高さ(高さ方向Zにおける寸法)は、25mm~100mm(好適には50mm~75mm)に設定され得る。また、ケース本体14を構成する各部材(底部14b、第1側壁14cおよび第2側壁14d)の厚みは、1mm~2mm(好適には1.5mm程度)に設定され得る。
【0024】
(b)封口板
封口板12は、ケース本体14の上面開口14aを封止する板状部材である。具体的には、
図4に示すように、封口板12は、ケース本体14の上面開口14aに嵌め込まれている。そして、製造後のケース10では、封口板12とケース本体14とを跨ぐように溶接部60が形成される。この溶接部60は、封口板12とケース本体14との境界にレーザを照射することによって形成される。なお、この溶接部60は、封口板12の外周縁の全周に亘って形成されている(
図1参照)。
【0025】
なお、封口板12の具体的な寸法も、ここに開示される技術の効果を著しく阻害しない限りにおいて適宜変更できる。例えば、封口板12の幅は、75mm~175mm(好適には100mm~150mm)に設定され得る。封口板12の奥行は、7.5mm~17.5mm(好適には10mm~15mm)に設定され得る。そして、封口板12の厚みは、1mm~2mm(好適には1.5mm程度)に設定され得る。このような薄くて幅広の封口板12は、レーザ溶接時の熱で反りやすいため、ここに開示される技術を特に好適に適用することができる。
【0026】
また、封口板12は、電極端子40とサーミスタ設置部50を有している。以下、各構成について説明する。
【0027】
(b-1)電極端子
電極端子40は、ケース10内の電極体20と電気的に接続された導電部材である。
図1に示す二次電池1では、封口板12の幅方向Xの両端部の各々に電極端子40が設けられている。この一対の電極端子40のうち、一方(
図1中の左方L側)の電極端子40は、電極体20の正極と接続される正極端子42となる。また、他方(
図1中の右方R側)の電極端子40は、電極体20の負極と接続される負極端子44となる。なお、
図2及び
図3に示すように、各々の電極端子40は、複数の導電部材を組み合わせた構造体であり、高さ方向Zに沿って延びている。具体的には、
図2に示すように、電極端子40の下端部を構成する集電部材40aは、ケース10の内部で電極体20と接続されている。一方、電極端子40の上端部を構成する外部端子40bは、ケース10の外部に露出している。そして、
図3に示すように、集電部材40aと外部端子40bは、封口板12を貫通する軸部40sを介して電気的に接続される。また、電極端子40と封口板12との間には、複数のガスケットを組み合わせた絶縁部材40cが配置されている。これによって、電極端子40と封口板12との導通を防止できる。なお、電極端子40を封口板12に装着させる際には、封口板12の端子挿通孔12cに、導電部材(外部端子40bや軸部40sなど)と絶縁部材40cを組み付け、これらの部材を加圧変形させるカシメ加工を実施する。
【0028】
(b-2)サーミスタ設置部
サーミスタ設置部50は、封口板12の上面の一部に設けられている。このサーミスタ設置部50は、蓄電パック構築時に温度測定部材のサーミスタが接触する部分である。例えば、
図5に示す蓄電パック(組電池)100は、複数の二次電池1を所定の配列方向(
図5中の奥行方向Y)に沿って配列することによって構築される。この蓄電パック100では、各々の二次電池1の電極端子40がバスバー110を介して電気的に接続される。また、蓄電パック100は、二次電池1の温度を測定する温度測定部材120を備えている。この温度測定部材120は、温度測定素子であるサーミスタ124と、複数個のサーミスタ124を固定するブラケット122とを備えている。
図6に示すように、各々のサーミスタ124は、ブラケット122から下方に向かって突出している。そして、各々のサーミスタ124の先端124aは、複数の二次電池1の各々のサーミスタ設置部50に接触する。これによって、温度測定部材120は、二次電池1の温度変化を監視する。
【0029】
また、
図1及び
図2に示す二次電池1では、一対の電極端子40よりも幅方向Xの中央部にサーミスタ設置部50が設けられている。詳しくは後述するが、かかる構成の封口板12を使用すると、固定工程において、封口板12とケース本体14との間の隙間Sがサーミスタ設置部50の近傍に生じやすくなる傾向がある。しかし、ここに開示される技術によると、このような隙間Sが生じたとしても、封口板12をケース本体14に十分に固定した状態で溶接を行うことができる。このため、上記構成の封口板12は、ここに開示される技術の効果を特に好適に発揮できる。なお、
図1及び
図2に示す二次電池1では、幅方向Xにおいてガス排出弁12bを挟むように一対のサーミスタ設置部50が設けられている。
【0030】
(c)他の部材
また、
図1に示す封口板12は、電極端子40とサーミスタ設置部の他に、注液孔12aとガス排出弁12bを備えている。注液孔12aは、ケース10の内部に電解液30を注液するための開口部である。製造後の二次電池1では、注液孔12aが封止部材16で封止されている。一方、ガス排出弁12bは、封口板12の他の部分よりも厚みが薄くなるように形成された薄肉部である。このガス排出弁12bは、分解ガス等の発生によってケース10の内圧が急激に上昇した場合に開裂する。これによって、充放電中の二次電池1の過剰な変形を防止できる。
【0031】
(2)電極体
図2に示すように、電極体20は、ケース10の内部に収容されている。本実施形態では、ケース10の内部に1つの電極体20が収容されている。なお、電極体20の数は、特に限定されず、複数でもよい。例えば、電極体20は、セパレータを介して正極と負極とを積層することによって構成される。この正極は、正極芯体(アルミニウム箔など)と、当該正極芯体の表面に塗布された正極活物質層とを備えている。一方、負極は、負極芯体(銅箔など)と、当該負極芯体の表面に塗布され負極活物質層とを備えている。なお、電極体20を構成する各部材(正極、負極およびセパレータ等)の素材は、一般的な二次電池で使用され得る材料を特に制限なく使用でき、ここに開示される技術を限定するものではないため詳細な説明を省略する。
【0032】
また、電極体20の幅方向Xの一方の側縁には、正極接続部20Aが設けられている。また、電極体20の他方の側縁には、負極接続部20Bが設けられている。正極接続部20Aは、正極活物質層が塗布されていない正極芯体を束ねることによって構成される。一方、負極接続部20Bは、負極活物質層が塗布されていない負極芯体を束ねることによって構成される。正極端子42は、正極接続部20Aを介して電極体20の正極に接続される。また、負極端子44は、負極接続部20Bを介して電極体20の負極に接続される。また、電極体20とケース本体14との間には、絶縁シート(図示省略)が配置されている。これによって、電極体20とケース10との導通を防止できる。
【0033】
(3)電解液
電解液30は、電極体20と共にケース10の内部に収容されている。具体的には、電解液30は、電極体20の内部(正極と負極との極間)に浸透している。また、電解液30の一部は、余剰電解液32として電極体20の外部(電極体20とケース10との間)に存在していてもよい。これによって、電極体20の内部で電解液30が分解された際に、余剰電解液32を電極体20の内部に供給できる。なお、電解液30の成分は、一般的な二次電池で使用され得るものを特に制限なく使用でき、ここに開示される技術を限定するものではないため詳細な説明を省略する。
【0034】
2.製造方法
以下、ここに開示される蓄電デバイスの製造方法の一実施形態として、上記構成の二次電池1を製造する方法を説明する。
図7は、本実施形態に係る製造方法を説明するフローチャートである。
図8は、嵌合工程で構築した組立体の平面図である。
図9は、固定工程を開始する前の組立体と治具を示す平面図である。
図10は、
図9中のX-X断面図である。
図11は、固定工程を実施した後の組立体と治具を示す断面図である。
図12は、溶接工程における組立体と治具を示す断面図である。
【0035】
図7に示すように、本実施形態に係る製造方法は、準備工程S10と、嵌合工程S20と、固定工程S30と、溶接工程S40とを備えている。以下、各々の工程について説明する。
【0036】
(1)準備工程S10
準備工程S10では、電極端子40及びサーミスタ設置部50を有する封口板12と、上面開口14aを有する箱型のケース本体14とを準備する。封口板12とケース本体14の構造は、既に説明したため、重複する説明を省略する。なお、本工程では、電極端子40の集電部材40aと電極体20の集電タブ20Tとを接合してもよい。これによって、電極端子40を介して封口板12と電極体20とが一体化する。
【0037】
(2)嵌合工程S20
嵌合工程S20では、ケース本体14の上面開口14aに封口板12を嵌合させる。具体的には、まず、電極体20をケース本体14の上面開口14aに挿入する。そして、電極体20と封口板12をさらに下降させる。これによって、ケース本体14の上面開口14aに封口板12が嵌合される。以下の説明では、ケース本体14に封口板12が嵌合した構造体を「組立体A」と称する。
【0038】
図8に示すように、この組立体Aでは、平面視において、封口板12とケース本体14との間に微小な隙間Sが生じることがある。具体的には、電極端子40を封口板12に装着する際には、電極端子40を加圧変形させるカシメ加工を実施する。このときの圧力によって、電極端子40(例えば軸部40s)から径方向の外側に向かって封口板12が膨張変形することがある(
図8中の矢印E参照)。このような電極端子40近傍が膨張変形した封口板12をケース本体14に嵌合させると、当該電極端子40近傍では、ケース本体14の内壁に対して封口板12が隙間なく配置される。一方で、電極端子40から離れた領域(
図8では幅方向Xの中央部)では、膨張変形した電極端子40近傍よりも奥行方向Yの寸法が短くなっているため、封口板12とケース本体14との間に微小な隙間Sが生じる。このような組立体Aの第1側壁14cを押圧面が平坦な側壁押圧具で押圧すると、ケース本体14が封口板12に向かって変形するため隙間Sが解消されたように見える。しかし、本発明者の検討の結果、この隙間Sが生じていた部分では、ケース本体14と封口板12とが接触しているだけであり、摩擦力が殆ど生じていないことが分かった。この状態では高さ方向における封口板の変形を規制できないため、封口板12とケース本体14とを溶接すると、隙間Sが生じていた位置の近傍で僅かな(0.05~0.1mm程度の)熱変形(反り)が生じることがある。そして、この封口板12の局所的な反りがサーミスタ設置部50に生じると、
図5に示す蓄電パック100を構築した際に、サーミスタ124の先端124a(
図6参照)がサーミスタ設置部50に届かない二次電池1が生じることがある。本実施形態に係る製造方法では、このような封口板12の局所的な反りがサーミスタ設置部50に生じることを防止するために、次工程である固定工程S30を実施する。
【0039】
(3)固定工程S30
固定工程S30では、ケース本体14の両側壁(第1側壁14c)の上部を一対の側壁押圧具J10で挟持し、封口板12をケース本体14に固定する。具体的には、
図9に示すように、本実施形態における固定工程S30では、一対の側壁押圧具J10を備えた固定治具J1を使用する。この側壁押圧具J10は、ケース本体14の第1側壁14c(すなわち幅方向X)に沿って延びる一対の板状部材である。
図10に示すように、側壁押圧具J10の高さ寸法は、第1側壁14cの上部のみを押圧するように設定されている。固定工程S30では、一対の側壁押圧具J10の間に組立体Aを配置した状態で、当該一対の側壁押圧具J10を奥行方向Yの内方に向かって移動させる。これによって、一対の側壁押圧具J10に組立体Aが挟持され、封口板12がケース本体14に固定される。
【0040】
ここで、本実施形態に係る製造方法では、一対の側壁押圧具J10の押圧面J12の一部に、サーミスタ設置部50の近傍のケース本体14の両側壁(両側の第1側壁14c)に向かって突出する凸部J14が設けられている。この凸部J14は、側壁押圧具J10の他の押圧面J12よりも先に、第1側壁14cのサーミスタ設置部50の近傍に接触して当該領域を押圧する。これによって、サーミスタ設置部50の近傍に隙間Sが生じていたとしても、当該隙間Sの近傍の封口板12とケース本体14との間に強い摩擦力を生じさせることができる。加えて、この凸部J14は、弾性材料によって構成されている。これによって、側壁押圧具J10がケース本体14を挟持した際に凸部J14が弾性変形するため、サーミスタ設置部50から離れた領域(例えば、
図9中の幅方向Xにおける組立体Aの両端部)においても、封口板12とケース本体14との間に強い摩擦力を生じさせることができる。以上の通り、ここに開示される製造方法によると、幅方向Xの全域において封口板12をケース本体14に適切に固定した状態で、後述の溶接工程S40を実施できるため、封口板12の局所的な反りによるサーミスタ124(
図6参照)の接触不良を防止できる。
【0041】
凸部J14を構成する弾性材料は、側壁押圧具J10の拘束荷重によって弾性変形する材料で構成されていればよい。このような弾性材料の一例として、合成ゴム、天然ゴムなどが挙げられる。また、凸部J14は、バネを用いた機械的な弾性材料であってもよい。例えば、凸部J14は、ケース本体14の第1側壁14cに接触する接触板と、側壁押圧具J10と接触板との間に配置されたバネ体とによって構成されていてもよい。かかる構成の凸部J14では、バネ体の弾性力を調節することによって、幅方向Xの全域において封口板12をケース本体14に適切に固定することができる。一方、側壁押圧具J10は、ケース10や凸部J14よりも高硬度の材料で構成されていることが好ましい。これによって、ケース10を安定的に押圧することができる。なお、側壁押圧具J10の材料としては、銅、銅合金、モリブデン、SUSなどの金属材料が挙げられる。
【0042】
なお、固定工程S30における諸条件(拘束荷重、凸部J14の寸法など)は、サーミスタ設置部50近傍の第1側壁14cに所定の荷重が局所的に加わるように、押圧対象(組立体A)の構造などを考慮して適宜設定することが好ましい。例えば、本発明者の実験によると、サーミスタ設置部50近傍の第1側壁14cに加わる荷重は、20N以上が好ましく、30N以上がより好ましく、40N以上がさらに好ましく、50N以上が特に好ましい。これによって、サーミスタ設置部50近傍の封口板12とケース本体14との間に適切な摩擦力を生じさせ、サーミスタ設置部50の反りをより好適に防止できる。なお、サーミスタ設置部50近傍に加わる荷重の上限は、特に限定されず、100N以下でもよく、90N以下でもよく、80N以下でもよく、70N以下でもよい。
【0043】
以下、上述した局所的な荷重をサーミスタ設置部50近傍の第1側壁14cに加えるための条件の一例について説明する。なお、以下で説明する条件は、サーミスタ設置部50近傍に適切な拘束荷重を加えるための条件の一例を示すものであり、ここに開示される製造方法を限定することを意図したものではない。具体的には、上述した通り、サーミスタ設置部50近傍に加わる荷重は、押圧対象(組立体A)の構造、拘束荷重、凸部J14の構造、嵌合工程で生じた隙間Sの大きさ等に影響される。このため、本実施形態に係る製造方法を行う際には、複数個(3個程度)の組立体Aに対して、嵌合工程S20で生じる隙間Sの奥行寸法s1と、固定工程S30でサーミスタ設置部50近傍に加わった荷重とを測定する予備試験を実施し、当該予備試験の結果に基づいて凸部J14の寸法や拘束荷重などを適宜設定することが好ましい。
【0044】
例えば、側壁押圧具J10が第1側壁14cの全域に加える拘束荷重は、150N~300N(好適には200N~300N)の範囲に設定され得る。また、凸部J14の突出量tは、隙間Sの奥行寸法s1の平均値の2倍以上(より好適には3倍以上、さらに好適には4倍以上、特に好適には5倍以上)となるように設定され得る。また、凸部J14の具体的な突出量tは、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が特に好ましい。これによって、サーミスタ設置部50に局所的な反りが生じることを好適に防止できる。一方、サーミスタ設置部50の局所的な反りを防止するという観点からは、凸部J14の突出量tの上限は、特に限定されず、5mm以下でもよく、4mm以下でもよく、3mm以下でもよく、2mm以下でもよい。なお、後述する溶接工程S40における冷却性を考慮すると、押圧前の凸部J14の突出量t(
図10参照)の上限は、1.5mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。これによって、
図11に示すように、凸部J14が弾性変形した際に、金属製の側壁押圧具J10がケース本体14に接触するため、好適な冷却性を発揮できる。
【0045】
また、凸部J14の高さz2は、封口板12の厚みよりも大きければよい。例えば、封口板12の厚みが1.5mm程度である場合、凸部J14の高さz2は、2mm以上が好ましく、2.5mm以上がより好ましい。これによって、封口板12をケース本体14に適切に固定できる。一方、凸部J14の高さz2の上限は、特に限定されず、10mm以下でもよく、7.5mm以下でもよく、5mm以下でもよい。
【0046】
なお、溶接工程S40における冷却性能を考慮すると、側壁押圧具J10の高さz1に対する凸部J14の高さz2の割合(z2/z1)を一定以下に設定した方が好ましい。
これによって、金属製の側壁押圧具J10をケース本体14に十分に接触させ、好適な冷却性を発揮できる。具体的には、上記割合(z2/z1)は、85%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、75%以下がさらに好ましく、70%以下が特に好ましい。一方、上記割合(z2/z1)の下限値は、冷却性能の観点からは特に限定されず、20%以上でもよく、30%以上でもよく、40%以上でもよい。
【0047】
なお、本実施形態における固定治具J1は、
図9に示すように、側壁押圧具J10の他に、組立体Aの形状を保持する一対の保持部材J20を備えている。この保持部材J20の各々は、幅方向Xの内方に向かって突出する保持突起J22を有している。この保持突起J22は、組立体Aを挟持する側壁押圧具J10の間に挿入される。これによって、奥行方向Yの内方に向かう側壁押圧具J10の移動が規制されるため、側壁押圧具J10からの圧力によって組立体Aが必要以上に変形することを防止できる。
【0048】
(4)溶接工程S40
溶接工程S40では、封口板12とケース本体14とを溶接する。具体的には、
図12に示すように、本工程では、側壁押圧具J10によってケース本体14に封口板12が固定された状態で、封口板12とケース本体14との境界にレーザLを照射する。これによって、封口板12とケース本体14とを跨ぐ溶接部60(
図4参照)が形成される。このとき、本実施形態では、サーミスタ設置部50の近傍の第1側壁14cを凸部J14で押圧しているため、当該サーミスタ設置部50近傍の封口板12とケース本体14との間に十分な摩擦力が生じている。これによって、溶接時の熱でサーミスタ設置部50が反ることを防止できるため、製造後の二次電池1のサーミスタ設置部50の高さ位置にばらつきが生じることを抑制できる。このため、本実施形態に係る製造方法によると、
図5に示すような蓄電パック100を構築した際に、一部のサーミスタ124で接触不良が生じることを抑制できる。
【0049】
3.他の実施形態
以上、ここに開示される技術の一実施形態について説明した。なお、ここに開示される技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の構成を変更した他の実施形態を包含する。以下、ここに開示される技術の実施形態の他の例について説明する。
【0050】
図13は、他の実施形態における固定工程を示す断面図である。この
図13に示すように、固定工程では、封口板12を上方Uから下方Dに向かって押圧する上面押圧具J30を使用してもよい。具体的には、製造公差等によって、封口板12が高さ方向Zの上方Uに向かって大きく湾曲していた場合、封口板12の一部がケース本体14の上面よりも上方に配置される可能性がある。この状態でレーザ溶接を行うと、封口板12とケース本体14とを跨ぐ溶接部60が形成されないという溶接不良が生じる。これに対して、
図13に示すように、上面押圧具J30で封口板12を下方Dに向けて押圧すれば、上方Uに大きく湾曲した封口板12を矯正できるため、溶接不良の発生を防止することができる。なお、上面押圧具J30は、サーミスタ設置部50を押圧することが好ましい。これによって、サーミスタ設置部50の高さ位置の誤差をさらに小さくできるため、蓄電パック構築時のサーミスタの接触不良をより好適に防止できる。
【0051】
また、上述した上面押圧具J30を使用する場合には、準備工程において、高さ方向Zの上方Uに向かって凸状に予め湾曲させた封口板12を準備することが好ましい。具体的には、製造公差等によって、高さ方向Zの下方Dに向かって湾曲した封口板12が準備工程に供給されることがある。この下方Dに湾曲した封口板12は、固定不良や溶接不良の原因にはならないが、サーミスタ設置部50の高さ位置に誤差が生じる原因にはなり得る。これに対して、予め上方Uに向かって湾曲させた(折り曲げた)封口板12を準備した後に、固定工程で上面押圧具J30を用いて、上方Uに向かう湾曲を矯正すれば、上方Uと下方Dの両方におけるサーミスタ設置部50の高さ位置の誤差をさらに小さくできる。
【0052】
なお、封口板12を予め上方Uに湾曲させる場合には、幅方向Xの両端部(電極端子40の近傍)に対して、中央部(サーミスタ設置部50)が上方Uに0.1mm以上の位置に配置されるように、封口板12を折り曲げると好ましい。これによって、サーミスタ設置部50が高さ方向Zの下方Dにずれることを好適に防止できる。一方、固定工程における矯正のしやすさを考慮すると、幅方向Xの両端部に対する中央部の高さ位置が0.3mm以下になるように、封口板12を上方Uに折り曲げることが好ましい。
【0053】
以上、ここに開示される技術を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。すなわち、ここに開示される技術は、以下の項目1~項目6に記載の形態を包含する。
【0054】
<項目1>
電極端子及びサーミスタ設置部を有する封口板と、上面開口を有する箱型のケース本体とを準備する準備工程と、
前記ケース本体の前記上面開口に前記封口板を嵌合させる嵌合工程と、
前記ケース本体の両側壁の上部を一対の側壁押圧具で挟持し、前記封口板を前記ケース本体に固定する固定工程と、
前記封口板と前記ケース本体とを溶接する溶接工程と
を備えており、
前記一対の側壁押圧具の押圧面の一部に、前記サーミスタ設置部の近傍の前記ケース本体の両側壁に向かって突出する凸部が設けられており、
前記凸部は、弾性材料によって構成されている、蓄電デバイスの製造方法。
【0055】
<項目2>
前記電極端子は、前記封口板の幅方向の両端部に設けられており、前記サーミスタ設置部は前記電極端子よりも幅方向の中央部に設けられている、項目1に記載の製造方法。
【0056】
<項目3>
前記押圧面からの前記凸部の突出量が0.1mm~1mmである、項目1または2に記載の製造方法。
【0057】
<項目4>
前記固定工程において、前記封口板を上方から下方に向かって押圧する上面押圧具を使用する、項目1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
【0058】
<項目5>
前記上面押圧具は、前記サーミスタ設置部を押圧する、請求項4に記載の製造方法。
【0059】
<項目6>
前記準備工程において、高さ方向の上方に向かって凸状に湾曲した封口板を準備する、項目4または5に記載の製造方法。
【符号の説明】
【0060】
1 二次電池
10 ケース
10a 内部空間
12c 端子挿通孔
14 ケース本体
14b 底部
14c 第1側壁
14d 第2側壁
20 電極体
20T 集電タブ
30 電解液
32 余剰電解液
40 電極端子
40a 集電部材
40b 外部端子
40c 絶縁部材
40s 軸部
42 正極端子
44 負極端子
50 サーミスタ設置部
60 溶接部
100 蓄電パック(組電池)
110 バスバー
120 温度測定部材
122 ブラケット
124 サーミスタ
A 組立体
J1 固定治具
J10 側壁押圧具
J12 押圧面
J14 凸部
J20 保持部材
J22 保持突起
J30 上面押圧具
S 隙間