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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119545
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電気設備監視装置
(51)【国際特許分類】
   H02B 3/00 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H02B3/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026528
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】592175863
【氏名又は名称】一般財団法人中部電気保安協会
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124420
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】武村 順三
(72)【発明者】
【氏名】芦田 和毅
(57)【要約】
【課題】より良好な画像及び映像の少なくとも一方が得られる電気設備監視装置を提供する。
【解決手段】電気設備監視装置1は、可視光に係る画像を取得する第1カメラ72と、可視光の発光により照明可能である照明部76と、を備えている。照明部76は、複数の発光部材90を有している。複数の発光部材90は、第1カメラ72を囲む仮想的な線に切れ目Cを付して成る仮想線Lの上で並ぶように配置されている。又、電気設備監視装置1は、赤外線に係る画像を取得する第2カメラ74を備えている。第2カメラ74は、切れ目Cに配置されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光に係る画像及び映像の少なくとも一方を取得する第1カメラと、
可視光の発光により照明可能である照明部と、
を備えており、
前記照明部は、複数の発光部材を有しており、
複数の前記発光部材は、前記第1カメラを囲む仮想的な線に切れ目を付して成る仮想線の上で並ぶように配置されている
ことを特徴とする電気設備監視装置。
【請求項2】
更に、赤外線に係る画像及び映像の少なくとも一方を取得する第2カメラを備えており、
前記第2カメラは、前記切れ目に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気設備監視装置。
【請求項3】
更に、前記第1カメラ及び前記照明部を制御する制御部を備えており、
前記第1カメラは、前記制御部の制御により、前記画像及び前記映像の少なくとも一方の取得を複数回行い、
前記照明部は、前記制御部の制御により、前記画像及び前記映像の少なくとも一方の取得毎に、照明態様を変更して照明する
ことを特徴とする請求項1に記載の電気設備監視装置。
【請求項4】
前記照明態様の変更は、照明の色の変更である
ことを特徴とする請求項3に記載の電気設備監視装置。
【請求項5】
更に、前記制御部を起動するための制御部起動手段を有しており、
前記制御部は、前記第1カメラにおける前記画像及び前記映像の少なくとも一方の取得のための動作時のみ起動する
ことを特徴とする請求項3に記載の電気設備監視装置。
【請求項6】
更に、ハウジングと、すべりネジと、モータと、を備えており、
前記ハウジングは、前記第1カメラ及び前記照明部を保持しており、
前記すべりネジは、ネジ軸と、ナット部と、を有しており、
前記ナット部は、前記ネジ軸と噛み合っていて、前記ハウジングに保持されており、
前記モータは、前記ネジ軸を回転することで、前記ナット部を前記ネジ軸上で移動させて、前記ハウジングを移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電気設備監視装置。
【請求項7】
更に、前記ハウジングを前記移動の方向に案内するガイド機構を備えている
ことを特徴とする請求項6に記載の電気設備監視装置。
【請求項8】
前記すべりネジは、ボールネジである
ことを特徴とする請求項6に記載の電気設備監視装置。
【請求項9】
前記ネジ軸は、金属製である
ことを特徴とする請求項6に記載の電気設備監視装置。
【請求項10】
更に、バッテリと、給電モジュールと、受電モジュールと、を備えており、
前記給電モジュールは、前記受電モジュールに対して、無接点で電力を供給可能であり、
前記バッテリは、前記第1カメラ及び前記照明部の電源であって、前記受電モジュールからの電力の供給により充電され、
前記受電モジュールは、前記ハウジングに保持されており、前記給電モジュールは、前記ハウジング外に設置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の電気設備監視装置。
【請求項11】
更に、温度センサ、湿度センサ、及び気圧センサの少なくとも何れかを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の電気設備監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電盤、分電盤、制御盤等の電気設備を監視する電気設備監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第7058624号公報(特許文献1)には、電気設備点検装置が開示されている。この電気設備点検装置は、配電盤100の電気機器120が設置された内壁を有する筐体110と、内壁の前面側に配置されたレール10と、レール10に沿って移動して、電気機器120と対向して電気機器120を撮像可能な撮像装置(可視光カメラ21、X線カメラ22及び赤外線カメラ23)と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7058624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記電気設備点検装置では、配電盤100の電気機器120を撮影可能な撮影距離以上離れた位置に撮像装置を配置可能なレール10と、そのレール10を有する筐体110とが必要となる。よって、レール10及び筐体110が大掛かりとなり、設置済みの配電盤100への新たな導入が行い難い。更に、上記電気設備点検装置では、撮像装置の位置の精度は、レール10による移動により、向上の余地がある。又、上記電気設備点検装置において、レール10及び撮像装置の移動機構の少なくとも一方の部品等が樹脂製であった場合、電気機器120の発熱による筐体110内の高温化により樹脂製の部品等が変形等といった温度の影響を受けるため、撮像装置の位置の精度に向上の余地がある。加えて、撮像装置には電力の供給が必要であるところ、上記電気設備点検装置では、撮像装置の電源について何らの配慮もない。仮に、近くの電源からの配線で電力を供給するのであれば、その配線を、撮像装置の移動を妨げないように行う必要があり、煩わしい。あるいは、仮に、バッテリで電力を供給するのであれば、点検時にバッテリ切れで撮像装置が撮像不能となる可能性がある。
又、上記電気設備点検装置では、撮像時の補助的な光源について配慮されていない。よって、例えば可視光カメラ21では、暗い筐体110内で撮像されることとなり、実際には点検に有用な画像を得難い。更に、上記電気設備点検装置では、撮像装置として複数種類のカメラを備えているものの、各種のカメラは単純に並べられているだけである。よって、より良好な画像を取得するための各種カメラの配置等に向上の余地がある。又、上記電気設備点検装置では、電気設備の点検において、各種のカメラで取得した画像以外の情報の使用は、特に考慮されていない。
【0005】
そこで、本発明の主な目的の一つは、コンパクトで、既存の電気設備に対してより導入し易い電気設備監視装置を提供することである。
更に、本発明の別の主な目的の一つは、移動可能である撮像装置の位置精度が向上した電気設備監視装置を提供することである。
加えて、本発明の更に別の主な目的の一つは、移動可能である撮像装置の電源がより容易に供給される電気設備監視装置を提供することである。
又、本発明の更に別の主な目的の一つは、より良好な画像及び映像の少なくとも一方が得られる電気設備監視装置を提供することである。
更に、電気設備の発熱等による高温の影響をより受け難い電気設備監視装置を提供することである。
加えて、より多様な情報の使用によって、監視の精度がより向上した電気設備監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電気設備監視装置を開示する。この電気設備監視装置は、可視光に係る画像を取得する第1カメラを備えていても良い。電気設備監視装置は、可視光の発光により照明可能である照明部を備えていても良い。照明部は、複数の発光部材を有していても良い。複数の発光部材は、第1カメラを囲む仮想的な線に切れ目を付して成る仮想線の上で並ぶように配置されていても良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明の主な効果の一つは、コンパクトで、既存の電気設備に対してより導入し易い電気設備監視装置が提供されることである。
更に、本発明の別の主な効果の一つは、移動可能である撮像装置の位置精度が向上した電気設備監視装置が提供されることである。
加えて、本発明の更に別の主な効果の一つは、移動可能である撮像装置の電源がより容易に供給される電気設備監視装置が提供されることである。
又、本発明の更に別の主な効果の一つは、より良好な画像及び映像の少なくとも一方が得られる電気設備監視装置が提供されることである。
更に、本発明の更に別の主な効果の一つは、電気設備の発熱等による高温の影響をより受け難い電気設備監視装置を提供することである。
加えて、本発明の更に別の主な効果の一つは、より多様な情報の使用によって、監視の精度がより向上した電気設備監視装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る電気設備監視装置の斜視図である。
図2図1の電気設備監視装置の前面図である。
図3図1における第1ベースを示す前面図である。
図4図1における第2ベースを示す前面図である。
図5図1における本体を示す前面図である。
図6図5の内部の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態及びその変更例が、適宜図面に基づいて説明される。
本発明は、下記の形態及び変更例に限定されない。
【0010】
図1は、当該形態の電気設備監視装置1の斜視図である。図2は、電気設備監視装置1の前面図である。
電気設備監視装置1は、高圧電気設備を遠隔から監視する装置である。高圧電気設備は、例えば高圧受電設備である。尚、電気設備監視装置1は、低圧電気設備を始めとする高圧電気設備以外の電気設備を監視しても良い。又、電気設備監視装置1は、近接する電気設備を監視しても良い。電気設備監視装置1において、情報の収集、蓄積、及び可視化の少なくとも何れかは、電気設備の設置された現地で実施されても良い。
高圧電気設備は、管理者以外のアクセスを抑制するため、又電気機器を保護するため、外箱を有している。外箱は、1つの内面に1つ以上の電気機器を搭載し、その内面と対向する面に、電気機器にアクセスするための扉を有している。尚、外箱と共に、あるいは外箱に代えて、塀が設けられても良い。
電気設備監視装置1は、外箱の扉の内面に設けられる。電気設備監視装置1は、外箱の内部に配置された電気機器等に干渉しないように、薄型に、ここでは板状に形成される。電気設備監視装置1の外箱における電気機器設置部と扉との間の大きさは、省スペース化のため、上下方向及び幅方向の大きさに比べ、小さくされる。
電気設備監視装置1の方向は、説明の便宜のため、ここでは次のように定められる。即ち、監視対象である電気機器に近い側が電気設備監視装置1の前側とされ、外箱の扉側が電気設備監視装置1の後側とされて、電気設備監視装置1の前後方向が定められる。又、地球の中心に近い側が電気設備監視装置1の下側とされ、地球の中心から遠い側が電気設備監視装置1の上側とされて、電気設備監視装置1の上下方向が定められる。更に、電気設備監視装置1の前面を前方から見た場合の左側が電気設備監視装置1の左側とされ、右側が電気設備監視装置1の右側とされて、電気設備監視装置1の左右方向が定められる。
尚、電気設備監視装置1は、塀の内面等に設けられても良い。
【0011】
電気設備監視装置1は、フレーム2と、第1ベース4と、第2ベース6と、ガイド機構8と、すべりネジ10と、本体12と、を有する。
【0012】
フレーム2は、金属製で、矩形枠状であり、各種の部材を直接的に又は間接的に支持する。
フレーム2は、上下方向の大きさ及び左右方向の大きさに対して前後方向の大きさが小さく、薄型となっている。例えば、フレーム2の上下方向の大きさは、700mm(ミリメートル)である。又、フレーム2の左右方向の大きさは、236mmである。更に、フレーム2の前後方向の大きさは、20mmである。この例の場合、例えば次のような大きさの外箱に対応可能である。即ち、上下方向の大きさが2400mm程度であり、左右方向の大きさが1750mm程度であり、前後方向の大きさが850mm程度である外箱である。
【0013】
図3は、第1ベース4の前面図である。
第1ベース4は、フレーム2の上部に配置される。
第1ベース4は、板組み部20と、第1端部スイッチ22と、第1ガイドバー受け部24と、ネジ軸受け部26と、を有する。
【0014】
板組み部20は、左板及び右板、並びにこれらの間の後板及び水平板を含む。板組み部20は、左板及び右板において、フレーム2に保持されている。
第1端部スイッチ22は、アクチュエータの押下によりオフからオンに切り替わるスイッチである。第1端部スイッチ22は、板組み部20の水平板の下面に配置されている。第1端部スイッチ22のアクチュエータは、下方に向けられており、上方に押下される。
第1ガイドバー受け部24は、板組み部20の水平板の左部に固定されている。
ネジ軸受け部26は、板組み部20の水平板の右部に固定されている。
【0015】
図4は、第2ベース6の前面図である。
第2ベース6は、フレーム2の下部に配置される。
第2ベース6は、ケース30と、第2端部スイッチ31と、給電モジュール32と、給電モジュール保持部33と、被検知体34と、第2ガイドバー受け部35と、モータ36と、カップリング38と、モータドライバ40と、第2ベース制御部42と、を有する。
【0016】
ケース30は、前から見て“U”字状の箱体である。ケース30は、最上面に対して下方に凹む凹部44を有している。
ケース30は、フレーム2に保持されている。
【0017】
第2端部スイッチ31は、アクチュエータの押下によりオフからオンに切り替わるスイッチである。第2端部スイッチ31は、凹部44の右部の上面に配置されている。第2端部スイッチ31のアクチュエータは、上方に向けられており、下方に押下される。
【0018】
給電モジュール32は、無接点で電力を供給可能である。給電モジュール32は、板状であり、上下左右に延びる状態で、凹部44の左部に配置されている。
給電モジュール保持部33は、上下に延びる棒状であり、凹部44内に配置されている。給電モジュール保持部33は、給電モジュール32の後面を保持する。
被検知体34は、給電モジュール保持部33の前面上部に設けられる。被検知体34は、磁気を帯びたシールである。尚、被検知体34は、磁気以外を帯びていても良いし、シールでなくても良いし、他の部材の一部であっても良い。
【0019】
第2ガイドバー受け部35は、ケース30における凹部44左方の上面に固定されている。
【0020】
モータ36は、モータ本体46と、モータ軸48と、を有する。
モータ本体46は、円筒状であり、上下に延びている。
モータ軸48は、上下に延びており、モータ本体46内に、上端部が露出した状態で配置されている。
モータ36は、ステッピングモータであり、モータ軸48につき、回転量を制御可能な状態で回転可能である。
モータ36は、ケース30における凹部44右方の内部に固定されている。
【0021】
カップリング38は、モータ軸48の上端部に接続されている。
カップリング38は、モータ軸48と共に回転可能である。
尚、モータ軸48とカップリング38との間に、1以上のギヤ等の変速機構あるいは動力伝達機構が介装されても良い。
【0022】
モータドライバ40は、モータ36と電気的に接続される。
モータドライバ40は、モータ36を制御する。
第2ベース制御部42とは別にモータドライバ40が設けられることで、第2ベース制御部42のみ設けられる場合に比べ、コストがその分僅かに上昇するものの、モータ36をより正確に制御することができる。
【0023】
第2ベース制御部42は、第1端部スイッチ22、第2端部スイッチ31、給電モジュール32、及びモータドライバ40と電気的に接続されており、給電モジュール32、及びモータドライバ40をそれぞれ制御する。
第2ベース制御部42は、第2ベース通信部49を有している。第2ベース通信部49は、各種の情報につき無線で通信可能である。尚、第2ベース通信部49は、有線で通信可能であっても良い。又、第2ベース通信部49は、省略されても良い。
第2ベース制御部42は、電源(図示略)と電気的に接続されている。電源は、電気機器の電源と共通している。尚、電源は、電気機器の電源と共通していなくても良い。
給電モジュール32は、第2ベース制御部42を介して、電源から電力の供給を受ける。モータドライバ40は、第2ベース制御部42を介して、電源から電力の供給を受ける。モータ36は、モータドライバ40から電力の供給を受ける。尚、電力の供給ルートは、様々に変更可能である。例えば、給電モジュール32は、電源から電力を供給されても良い。又、モータ36は、第2ベース制御部42から電力の供給を受けても良い。
【0024】
ガイド機構8は、ガイドバー50と、被ガイド部52と、を有する。
ガイドバー50は、上下に延びる棒状の部材である。ガイドバー50の上端部は、第1ガイドバー受け部24に保持されている。ガイドバー50の下端部は、第2ガイドバー受け部35に保持されている。
被ガイド部52は、筒状であり、ガイドバー50を受け入れている。被ガイド部52は、ガイドバー50に沿って上下方向に移動可能である。被ガイド部52の移動は、ガイドバー50に案内される。
【0025】
すべりネジ10は、ネジ軸54と、ナット部56と、を有する。
ネジ軸54は、金属製であり、上下に延びる円柱状の部材である。ネジ軸54は、外曲面において、ネジ溝(図示略)を有している。ネジ軸54は、ネジ山の断面が台形である台形ネジである。ネジ軸54の上端部は、ネジ軸受け部26に、回転可能に保持されている。ネジ軸54の下端部は、カップリング38に連結されている。尚、ネジ軸54は、ネジ山の断面が三角形である三角ネジであっても良い。又、ネジ軸54の材質は、金属以外であっても良い。
ナット部56は、筒状であり、ネジ軸54を受け入れていて、ネジ軸54と噛み合う。ナット部56は、ネジ軸54の回転により、ネジ軸54上で上下方向に移動される。
尚、すべりネジ10は、ボールネジであっても良い。この場合、本体12の位置決めの精度がより一層良好となる。又、ナット部56の材質は、金属であっても良いし、金属以外であっても良い。
【0026】
図5は、本体12の前面図である。図6は、本体12の内部の前面図である。
本体12は、第1ベース4及び第2ベース6の間において、上下方向に移動可能である。尚、図1において、本体12は移動範囲内の中間位置に描かれている。又、図2の実線において、本体12は移動範囲の上端位置に隣接する位置に描かれている。他方、図2の2点鎖線12Lにおいて、本体12の外形が移動範囲の下端位置に隣接する位置に描かれている。
【0027】
本体12は、ハウジング60と、受電モジュール62と、磁気センサ64と、温度センサ66と、湿度センサ67と、気圧センサ68と、バッテリ70と、第1カメラ72と、第2カメラ74と、照明部76と、制御回路部78と、制御部80と、を有する。
【0028】
ハウジング60は、ハウジング本体81と、被ガイド部保持部82と、ナット部保持部84と、第1カメラ孔86と、第2カメラ孔88と、複数(12箇所)の照明孔89と、を有している。
ハウジング本体81は、箱状であり、前板部と後蓋部とを有している。
被ガイド部保持部82は、ガイド機構8の被ガイド部52を保持する。被ガイド部保持部82は、ハウジング本体81の左上部に配置されている。
ナット部保持部84は、すべりネジ10のナット部56を保持する。ナット部保持部84は、ハウジング本体81の右部に配置されている。
ハウジング60及びその内部機構は、ナット部56の移動により移動される。ハウジング60及びその内部機構の移動は、ガイド機構8により案内される。ハウジング60及びその内部機構、即ち本体12は、左右方向において、ガイド機構8とすべりネジ10との間に配置される。
尚、ナット部56は、すべりネジ10の構成要素ではなく、本体12の構成要素とされても良い。ネジ軸受け部26は、第1ベース4の構成要素ではなく、すべりネジ10の構成要素とされても良い。又、被ガイド部52は、ガイド機構8の構成要素ではなく、本体12の構成要素とされても良い。第1ガイドバー受け部24は、第1ベース4の構成要素ではなく、ガイド機構8の構成要素とされても良い。
【0029】
第1カメラ孔86は、ハウジング本体81の前板部の右下部において開けられている。
第2カメラ孔88は、ハウジング本体81の前板部の右下部において開けられている。第2カメラ孔88は、第1カメラ孔86の下側に配置されている。
各照明孔89は、前から見て円形である。複数の照明孔89は、第1カメラ孔86を囲む仮想的な線に切れ目Cを付して成る仮想線Lの上で並んでいる(図6参照)。仮想線Lは、円から切れ目Cを除いた弧である。複数の照明孔89は、前から見て、仮想線Lの両端部に位置するものを除き、仮想線Lの方向において等間隔に配置されている。前から見て、仮想線Lの両端部に位置する2つの照明孔89の間に、第2カメラ孔88が配置されている。切れ目Cの長さは、隣接する照明孔89同士の間の大きさより長い。各照明孔89及び第2カメラ孔88は、仮想線Lを含む仮想的な円の上で並んでいる。第2カメラ孔88は、切れ目Cに配置されている。尚、照明孔89の数及び配置の少なくとも一方は、様々に変更可能である。例えば、仮想線Lは、仮想的な楕円に切れ目Cを付したものであっても良いし、仮想的な多角形に切れ目Cを付したものであっても良いし、切れ目Cを複数有するものであっても良い。
【0030】
受電モジュール62は、上下左右に延びる板状である。受電モジュール62は、ハウジング本体81の前板部に対し、後面側で固定される。受電モジュール62は、ハウジング本体81の左下部内に配置される。
受電モジュール62は、給電モジュール32から電力を無接点で受電可能である。受電モジュール62は、給電モジュール32と向かい合うと、向かい合わない場合に比べてより効率良く電力を受電可能であり、給電モジュール32と上下方向の位置が合う状態で向かい合うと、更に効率良く電力を受電可能である。受電モジュール62は、給電モジュール32と接触することなく、給電モジュール32から電力を受電可能である。尚、受電モジュール62は、給電モジュール32と接触した状態で、給電モジュール32から電力を受電しても良い。
【0031】
磁気センサ64は、磁気の強さを検知するセンサである。磁気センサ64は、ハウジング本体81の中央部内であって、受電モジュール62の上側に配置される。
磁気センサ64は、被検知体34の磁気を検知可能であり、これにより本体12の第2ベース6への接近が十分に良好な精度で検知可能となる。尚、ハウジング本体81の前板部は、自身が被検知体34の磁気を妨げないようにするための磁気センサ孔を有していても良い。
【0032】
温度センサ66は、周囲の温度を検知するセンサである。温度センサ66は、ハウジング本体81の中央部内であって、磁気センサ64の上側に配置される。
温度センサ66は、電気機器が収められた外箱の内部の温度である箱内温度を検知する。尚、ハウジング本体81の前板部は、より正確な箱内温度を得るための温度センサ孔を有していても良い。温度センサ孔は、磁気センサ孔と共通であっても良く、各種の孔について任意の組合せで共通化されても良い。
【0033】
湿度センサ67は、周囲の湿度を検知するセンサである。湿度センサ67は、ハウジング本体81の中央部内であって、温度センサ66の隣接位置に配置される。
湿度センサ67は、電気機器が収められた外箱の内部の湿度である箱内湿度を検知する。尚、ハウジング本体81の前板部は、より正確な箱内湿度を得るための湿度センサ孔を有していても良い。
【0034】
気圧センサ68は、周囲の気圧を検知するセンサである。気圧センサ68は、ハウジング本体81の中央部内であって、温度センサ66の隣接位置に配置される。
気圧センサ68は、電気機器が収められた外箱の内部の気圧である箱内気圧を検知する。尚、ハウジング本体81の前板部は、より正確な箱内気圧を得るための気圧センサ孔を有していても良い。
【0035】
バッテリ70は、本体12の電源である。バッテリ70は、充放電が可能な2次電池である。バッテリ70は、ハウジング本体81の前板部の上部に対し、後面側で固定される。
バッテリ70として、携帯機器を充電可能なモバイルバッテリを用いることができる。この場合、バッテリ70が低廉となる。
【0036】
第1カメラ72は、可視光について撮像可能なカメラである。第1カメラ72は、ハウジング本体81の前板部に対し、後面側で固定される。第1カメラ72は、第1カメラ孔86の後側に配置されており、第1カメラ孔86を通じて、自身の前側における可視光画像を撮影可能である。
尚、第1カメラ72は、可視光の波長域である可視域に隣接する波長域である可視隣接波長域について撮像可能であっても良い。可視隣接波長域は、可視域の短波長側であっても良いし、長波長側であっても良いし、短波長側及び長波長側であっても良い。
【0037】
第2カメラ74は、赤外線について撮像可能なサーモカメラである。第2カメラ74は、ハウジング本体81の前板部に対し、後面側で固定される。第2カメラ74は、第2カメラ孔88の後側に配置されており、第2カメラ孔88を通じて、自身の前側における熱画像を撮影可能である。
尚、第2カメラ74は、赤外線の波長域である赤外域に隣接する波長域である赤外隣接波長域について撮像可能であっても良い。赤外隣接波長域は、赤外域の短波長側であっても良いし、長波長側であっても良いし、短波長側及び長波長側であっても良い。赤外線は、近赤外線、中赤外線、及び遠赤外線の少なくとも何れかであっても良い。
【0038】
照明部76は、複数(12個)の発光部材90を有する。
各発光部材90は、白色を含む複数の色で発光可能なカラーLEDである。尚、発光部材90の少なくとも何れかは、白色で発光しなくても良いし、単色で発光しても良いし、LEDでなくても良いし、可視光に代えてあるいは可視光と共に、他の光線を照射しても良い。発光部材90は、3個以上であっても良いし、4個以上であっても良いし、5個以上であっても良く、個数が多いほど第1カメラ72を多く取り囲める。
各発光部材90は、対応する照明孔89の後側に配置されており、照明孔89を通じて、自身の前側を可視光で照明可能である。複数の発光部材90は、仮想線Lに沿って並び、第1カメラ72の上方、左方及び右方を取り囲む。仮想線Lの両端における発光部材90は、左右方向において第2カメラ74を挟む。第2カメラ74は、切れ目Cに配置されている。尚、1つの照明孔89に対して複数の発光部材90が配置されても良いし、1つの発光部材90に対して複数の照明孔89が配置されても良い。
【0039】
制御回路部78は、制御部80と各種の部分とをつなぐ部分である。制御回路部78は、制御回路基板91と、マイクロコンピュータ92と、を含む。
制御回路基板91は、各種の電子部品を搭載する。
制御回路基板91は、制御部起動手段としてのマイクロコンピュータ92を搭載する。マイクロコンピュータ92は、第1通信部93を有している。第1通信部93は、各種の情報につき無線で通信可能である。尚、第1通信部93は、有線で通信可能であっても良い。
又、制御回路基板91は、磁気センサ64と、温度センサ66と、湿度センサ67と、気圧センサ68と、第1カメラ72と、第2カメラ74と、照明部76の各発光部材90と、を搭載する。
制御回路基板91は、各種の電子部品と、図示しないリード線により電気的に接続される。制御回路基板91は、受電モジュール62と、バッテリ70と、制御部80と電気的に接続される。尚、受電モジュール62及びバッテリ70は、互いに直接電気的に接続されても良く、受電モジュール62及びバッテリ70の少なくとも一方は、制御回路基板91に電気的に接続されなくても良い。
【0040】
制御回路部78のマイクロコンピュータ92は、第1通信部93における起動指令信号の受信に基づいて、制御部80を起動する。
又、マイクロコンピュータ92は、第1通信部93における停止指令信号の受信に基づいて、制御部80を停止する。尚、制御部80の停止は、動作の終了等に基づいて、制御部80自身により行われても良い。
他方、マイクロコンピュータ92は、受電モジュール62で受電した電力によるバッテリ70の充電を制御する。尚、バッテリ70の充電は、バッテリ70自身及び受電モジュール62の少なくとも一方に設けられた充電制御部により制御されても良い。
【0041】
制御回路基板91の形状は、次の通りである。
即ち、制御回路基板91の上部は、矩形状の中央部の左上部において上方に突出している。その突出部の右側に隣接して、バッテリ70が配置されている。
又、制御回路基板91の中央部の下辺中央部は、その左右両側に対して下方に突出している。その突出部上において、磁気センサ64が搭載されている。尚、当該突出部において、他のセンサが搭載されても良いし、複数のセンサが搭載されても良い。センサ毎あるいはセンサ群毎に突出部が設けられても良い。
更に、制御回路基板91の中央部の下辺右部は、その左側に対して下方へ延設されている。即ち、制御回路基板91は、下部において、延設部94を有している。延設部94の下部は、仮想線Lに沿っている倒れた“C”字状に形成された照明搭載部96となっている。照明搭載部96は、第1カメラ72の上方、左方及び右方を囲んでいる。延設部94は、第1カメラ72と電気的に接続されている。又、照明搭載部96は、下方に開放されており、照明搭載部96の下端部は、左右方向において第2カメラ74を挟んでいる。延設部94は、第2カメラ74と電気的に接続されている。照明搭載部96は、左上部において、制御回路基板91における他の部分とつながっている。そして、照明搭載部96に、照明部76に係る各発光部材90が搭載されている。複数の発光部材90は、照明搭載部96上で並べられている。
制御回路基板91は、磁気センサ64、温度センサ66、湿度センサ67、及び気圧センサ68、並びに各発光部材90の搭載された側を前方に向けた状態で、ハウジング本体81の前板部の後面に対し固定されている。尚、これらのセンサの少なくとも何れかは、制御回路基板91の前面側ではなく、後面側に搭載されても良い。
【0042】
制御部80は、本体12の各種部材を制御する。
制御部80は、制御回路基板91の中央部の右側に配置されている。制御部80は、制御回路基板91と電気的に接続されている。
制御部80は、1枚の基板から成るコンピュータであるワンボードコンピュータ100を含む。ワンボードコンピュータ100は、CPU102と、記憶手段としてのメモリ104と、第2通信部106と、を含む。尚、CPU102、メモリ104、及び第2通信部106の少なくとも何れかは、1つのチップに統合されていても良い。CPU102を含めて1つのチップに統合された場合、SoC(System on Chip)となる。又、制御部80は、GPU(Graphics Processing Unit)等の他の処理部を含んでいても良い。
CPU102は、メモリ104、及び第2通信部106を制御する。
メモリ104は、各種の情報を記憶する。
第2通信部106は、各種の情報につき無線で通信可能である。第2通信部106は、第2ベース通信部49と通信可能である。尚、第2ベース通信部49は、本体12の第2通信部106に代えて、あるいは第2通信部106と共に、第1通信部93と通信可能であっても良い。
尚、制御部80は、CPU102のみを含むようにして、メモリ104及び第2通信部106は制御回路部78に具備されても良い。第1通信部93及び第2通信部106が統合されても良い。CPU102及びメモリ104のみが制御部80に含まれても良いし、CPU102及び第2通信部106のみが制御部80に含まれても良い。制御回路部78及び制御部80が統合され、あるいは3つ以上の部分に分離されても良い。第2通信部106は、有線で通信可能であっても良い。制御部80で行われる制御の一部は、制御回路部78において行われても良い。制御回路部78及び制御部80の少なくとも一方は、第1端部スイッチ22等の第1ベース4の各種部材、及び第2ベース制御部42等の第2ベース6の各種部材の少なくとも何れかと、電気的に接続されていても良いし、通信可能であっても良い。
【0043】
制御部80は、磁気センサ64の状態に適宜応じ、受電モジュール62からバッテリ70への電力供給を制御する。
制御部80は、温度センサ66で検知した温度に対応する温度情報を温度センサ66から受信し、メモリ104に記憶する。
制御部80は、湿度センサ67で検知した湿度に対応する湿度情報を湿度センサ67から受信し、メモリ104に記憶する。
制御部80は、気圧センサ68で検知した気圧に対応する気圧情報を気圧センサ68から受信し、メモリ104に記憶する。
制御部80は、所定の温度等送信タイミングにおいて、温度情報、湿度情報及び気圧情報の外部への送信を制御する。尚、これらの情報の一部は、他の情報とは別のタイミングで送信されても良い。
【0044】
制御部80は、第1カメラ72を制御して、所定の撮影タイミングでの可視光画像の取得、及び取得した可視光画像のメモリ104への記憶を制御する。尚、可視光画像は、静止画であっても良いし、動画であっても良い。
制御部80は、第2カメラ74を制御して、特定の撮影タイミングでの熱画像の取得、及び取得した熱画像のメモリ104への記憶を制御する。尚、熱画像は、静止画であっても良いし、動画であっても良い。
制御部80は、所定の画像送信タイミングにおいて、可視光画像及び熱画像の外部への送信を制御する。尚、可視光画像は、熱画像とは別のタイミングで送信されても良い。又、温度等送信タイミング、及び画像送信タイミングは、一致していても良いし、異なっていても良い。
制御部80は、各発光部材90を制御して、照明部76における照明態様を制御する。照明態様は、明度及び色の少なくとも一方の調節が含まれる。制御部80は、照明部76の各発光部材90を同様の態様で発光させる。制御部80は、各発光部材90のR値(赤色成分値)、G値(緑色成分値)、及びB値(青色成分値)の制御により、照明態様を制御する。尚、制御部80は、発光部材90の点消灯を1個置きに変えたり、発光部材90の点灯色を2個置きに変えたりしても良い。又、照明態様の制御は、RGBの各値の指定以外でなされても良い。
【0045】
かような電気設備監視装置1の動作例が、以下説明される。
【0046】
本体12は、非監視動作時即ち待機時、上下方向の移動範囲内における下端位置にある。尚、本体12の待機時の位置である待機位置は、下端位置以外に設定されても良い。
待機位置において、本体12の磁気センサ64は、第2ベース6の被検知体34に対し、向かい合う状態で隣接している。
又、待機位置において、第2ベース6の第2端部スイッチ31のプランジャは、本体12のハウジング60の下面により押下されており、第2端部スイッチ31は、オンとなっている。
更に、待機位置において、本体12の磁気センサ64は、第2ベース6の被検知体34に対し、向かい合う状態で隣接している。
加えて、待機位置において、本体12の受電モジュール62は、第2ベース6の給電モジュール32と、上下方向の位置が合う状態で向かい合う。受電モジュール62は、第2ベース制御部42により制御される給電モジュール32から無接点で電力を受け取り、マイクロコンピュータ92の制御に従って、バッテリ70を充電する。バッテリ70の充電は、バッテリ70が満充電状態等の所定の充電状態である場合休止され、満充電以外の状態等の特定の充電状態である場合に開始される。
【0047】
電気設備及び電気設備監視装置1の設置場所から離れた場所において、電気設備を点検する点検者は、各種の情報を通信可能な端末を操作して、電気設備監視装置1に対し、電気設備監視装置1の起動を指令する信号である起動指令信号を送信する。端末は、インターネットを介して、電気設備監視装置1と通信可能である。
点検者は、電気設備の点検を欲する任意のタイミングで、起動指令信号を送信する。例えば、点検者は、6か月毎等の所定期間毎に、起動指令信号を送信する。又、点検者は、電気設備からのエラー信号の受信に基づき、起動指令信号を送信する。
尚、端末は、インターネットに代えて、あるいはインターネットと共に、専用線及び携帯電話網の少なくとも一方等により通信可能であっても良い。又、端末は、事業所等に据え置いたものであっても良いし、携帯端末であっても良い。起動指令信号の送信は、端末において自動化されていても良い。点検者は、電気設備及び電気設備監視装置1の設置場所に居ても良い。
【0048】
電気設備監視装置1は、起動指令信号を、本体12の制御回路部78におけるマイクロコンピュータ92の第1通信部93において受信する。
マイクロコンピュータ92は、第1通信部93において起動指令信号を受信すると、制御部80を起動する。制御部80への動作用電力の供給は、起動指令信号を受信した第1通信部93により開始される。よって、監視動作時のみ制御部80への動作用電力の供給がなされることにより、大部分の時間を占める待機時における制御部80の電力消費が低減される。従って、電気設備監視装置1における電力消費は、効果的に低減される。
【0049】
制御部80は、起動すると、CPU102がメモリ104に記憶されたプログラムを実行することにより、所定の順序で各種の処理を実行する。
制御部80は、起動後、初期化処理を行い、又第2通信部106を介して、第2ベース通信部49に対し、監視動作の開始指令を送信する。
【0050】
第2ベース制御部42は、第2ベース通信部49において監視動作の開始指令を受信すると、本体12を所定の移動態様で移動させるため、モータドライバ40を介してモータ36を制御する。所定の移動態様は、例えば所定速度における本体12の移動範囲上端への上昇移動、及び特定速度における本体12の移動範囲下端即ち待機位置への下降移動である。尚、所定速度と特定速度は、一致していても良いし、異なっていても良い。又、本体12は、左右方向等、上下方向以外の方向で移動可能であっても良いし、上下左右に二次元的に移動可能であっても良い。
モータドライバ40は、モータ軸48の回転量を制御する。モータ軸48の回転量は、カップリング38の回転量に対応し、カップリング38の回転量は、ネジ軸54の回転量に対応し、ネジ軸54の回転量は、ナット部56の上下方向の移動量に対応し、ナット部保持部84を介して本体12の移動量に対応する。よって、第2ベース制御部42は、本体12の移動を制御可能である。第2ベース制御部42とはハードウェアとして独立したモータドライバ40におけるより正確なモータ軸48の回転量制御により、本体12の移動における位置の精度は十分なものとなる。尚、本体12の移動は、点検者の端末の操作に応じても良い。この場合、第2ベース通信部49は、モータドライバ40への指令に応じたモータ指令信号(即ち本体移動指令信号)を受信して、モータドライバ40がモータ指令信号に基づきモータ36を制御しても良い。
第2ベース制御部42は、第1ベース4の第1端部スイッチ22がオンとなったことを把握すると、モータドライバ40を介してモータ36を休止し、更にモータ軸48の回転方向を、本体12の下降に対応する方向に切り替える。尚、第2ベース制御部42及びモータドライバ40は、モータ36を休止せず、すぐにモータ軸48の回転方向を逆方向としても良い。
又、本体12の移動がガイド機構8により案内されるため、本体12の位置の精度は十分なものとなる。
【0051】
本体12が所定の移動態様で移動している間、制御部80は、所定の撮影タイミングで第1カメラ72から可視光画像を取得して記憶し、又特定の撮影タイミングで第2カメラ74から熱画像を取得して記憶する。
尚、所定の撮影タイミング、及び特定の撮影タイミングは、一致していても良いし、異なっていても良い。又、可視光画像の取得及び熱画像の取得の少なくとも一方は、点検者の端末の操作に応じても良い。この場合、第2通信部106は、可視光画像の撮像指令に応じた可視光画像取得指令信号、及び熱画像の撮像指令に応じた熱画像取得指令信号をそれぞれ受信して、CPU102が、可視光画像取得指令信号に基づき第1カメラ72を制御し、熱画像取得指令信号に基づき第2カメラ74を制御しても良い。
【0052】
制御部80は、第1カメラ72における可視光画像の撮影時に、照明部76を制御して照明態様を制御する。
ここでは、制御部80は、可視光画像の撮影時、照明態様につき、赤色、緑色、及び青色に順次変更する。制御部80は、明白色照明時、赤色照明時、緑色照明時、及び青色照明時のそれぞれにおいて、可視光画像を取得する。制御部80は、照明の色を少なくとも2色以上に変更したうえで、それぞれの色に係る可視光画像を撮影する。尚、色の数は4に限られないし、色は白、赤、緑、青に限られないし、明度は明白色に限られない。
かように照明態様を異ならせた可視光画像の取得により、例えば電気機器に使用された部材における色及び素材の種類等の理由で付着した傷が特定色照明時により強調されて浮かび上がる可視光画像を得られる等、電気機器の異常及び変化の少なくとも一方の検出を始めとする電気機器の監視に一層適した可視光画像を得ることができる。よって、電気機器の監視の精度が向上する。
又、照明部76の複数の発光部材90が、第1カメラ72を囲む仮想的な線に切れ目Cを付して成る仮想線Lの上に配置されるため、第1カメラ72において偏り等の少ない状態で十分良好に照明された可視光画像が取得される。
尚、可視光画像の取得は、上述の態様に限られない。
【0053】
又、制御部80は、第2カメラ74における熱画像の撮影時に、各発光部材90を点灯させない。かような照明部76の消灯により、照明部76による熱画像への影響が低減される。尚、制御部80は、熱画像の撮影時に、1以上の発光部材90を点灯しても良い。
第2カメラ74は、発光部材90が配置された仮想線Lにおける第2カメラ74の大きさに相当する切れ目Cに配置されている。従って、第2カメラ74は、第1カメラ72の周囲の大部分を取り囲む照明部76の配置を十分に維持して良好な可視光画像の取得に配慮しつつ、第1カメラ72に対して切れ目がない場合に比べより近くに配置される。第1カメラ72及び第2カメラ74が近接して配置されれば、可視光画像と熱画像とが同一のあるいは近接した撮影位置において本体12の大きな移動を経ることなく取得され、可視光画像及び熱画像を併用した解析がより行い易く、又当該解析の精度がより高くなる。
【0054】
他方、本体12が所定の移動態様で移動している間、制御部80は、第1の情報取得タイミングで温度センサ66から温度情報を取得して記憶し、第2の情報取得タイミングで湿度センサ67から湿度情報を取得して記憶し、第3の情報取得タイミングで気圧センサ68から気圧情報を取得して記憶する。
尚、第1~第3の情報取得タイミングは、全て一致していても良いし、一部が残部と異なっていても良いし、全て異なっていても良い。第1~第3の情報取得タイミングの少なくとも何れかは、少なくとも一方の画像の取得タイミングと一致していても良いし、異なっていても良い。又、各種情報の取得の少なくとも何れかは、点検者の端末の操作に応じても良い。この場合、第2通信部106は、温度情報取得指令に応じた温度情報取得指令信号、湿度情報取得指令に応じた湿度情報取得指令信号、及び気圧情報取得指令に応じた気圧情報取得指令信号をそれぞれ受信して、CPU102が、温度情報取得指令信号に基づき温度センサ66を制御し、湿度情報取得指令信号に基づき湿度センサ67を制御し、気圧情報取得指令信号に基づき気圧センサ68を制御しても良い。更に、温度センサ66から発せられる温度情報の形式と、メモリ104で記憶される温度情報の形式とは、互いに対応していれば異なっていても良い。湿度情報の形式、及び気圧情報の形式についても、同様である。
【0055】
そして、本体12が所定の移動態様での移動を終えて待機位置に至り、制御部80が磁気センサ64における被検知体34の磁気の検知により本体12が待機位置であることを把握すると、制御部80は、第2通信部106において、取得した各種の画像及び情報を、点検者の端末に送信する。制御部80は、かような送信が完了すると、終了処理を行い、自身の電源を切る。
尚、制御部80は、第2ベース6の第2端部スイッチ31のオフ状態を把握することで本体12が待機位置であることを認識しても良い。又、各種の画像及び情報の端末への送信タイミングは様々に変更可能である。例えば、各種の画像及び情報の一部は、他と異なるタイミングで送信されても良い。あるいは、各種の画像及び情報の全てが、互いに異なるタイミングで送信されても良い。CPU102は、各種の画像又は情報を取得した時に、当該画像又は情報を都度送信しても良い。本体12の移動並びに各種の画像の取得及び各種の情報の取得が点検者による端末を通じた操作による場合等において、送信タイミングも、同様に点検者の端末の操作によっても良い。制御部80は、各種の画像及び情報を正常に受信した旨の信号である受信確認信号を点検者の端末から受け取った場合に、終了処理等を行っても良い。
【0056】
更に、本体12が待機位置に復帰し、第2端部スイッチ31がオフとなると、第2ベース制御部42がモータドライバ40を介してモータ36を停止する。
又、本体12の移動並びに各種の画像の取得及び各種の情報の取得等によって消費されたバッテリ70の電力は、給電モジュール32と向かい合った受電モジュール62を通じて補充される。
【0057】
以上の電気設備監視装置1は、可視光に係る画像を取得する第1カメラ72と、可視光の発光により照明可能である照明部76と、を備えている。照明部76は、複数の発光部材90を有している。複数の発光部材90は、第1カメラ72を囲む仮想的な線に切れ目Cを付して成る仮想線Lの上で並ぶように配置されている。
よって、電気設備監視装置1では、より適切な照明によって、より良好な画像が得られる。
【0058】
又、電気設備監視装置1は、赤外線に係る画像を取得する第2カメラ74を備えている。第2カメラ74は、切れ目に配置されている。よって、電気設備監視装置1では、第1カメラ72及び第2カメラ74の双方において、より良好な画像が得られる。
更に、電気設備監視装置1は、第1カメラ72及び照明部76を制御する制御部80を備えている。第1カメラ72は、制御部80の制御により、画像の取得を複数回行う。照明部76は、制御部80の制御により、画像の取得毎に、照明態様を変更して照明する。又、照明態様の変更は、照明の色の変更である。よって、電気設備監視装置1では、監視により適した一層良好な画像が得られる。
又更に、電気設備監視装置1は、制御部80を起動するための制御回路部78を有している。制御部80は、第1カメラ72における画像及び映像の少なくとも一方の取得のための動作時のみ起動する。よって、電気設備監視装置1では、電気機器の監視のための消費電力が低減される。従って、電気設備監視装置1は、既存の電気設備に対してより導入し易いものとなる。
【0059】
加えて、電気設備監視装置1は、ハウジング60と、すべりネジ10と、モータ36と、を備えている。ハウジング60は、第1カメラ72及び照明部76を保持している。すべりネジ10は、ネジ軸54と、ナット部56と、を有している。ナット部56は、ネジ軸54と噛み合っていて、ハウジング60に保持されている。モータ36は、ネジ軸54を回転することで、ナット部56をネジ軸54上で移動させて、ハウジング60を移動させる。よって、電気設備監視装置1では、より良好な画像がより広範囲に得られる。又、電気設備監視装置1では、すべりネジ10により、移動可能である第1カメラ72の位置精度が向上する。例えば、電気設備監視装置1では、すべりネジ10により、第1カメラ72及び照明部76を保持する本体12の位置の制御値に対する実際の位置の誤差を1mm以下とすることが可能である。更に、電気設備監視装置1は、すべりネジ10に基づく移動により、第1カメラ72の移動が可能でありながら、よりコンパクトで、既存の電気設備に対してより導入し易いものとなる。
更に、電気設備監視装置1は、ハウジング60を移動の方向に案内するガイド機構8を備えている。よって、電気設備監視装置1では、移動可能である第1カメラ72及び第2カメラ74の位置精度が更に向上する。
又、すべりネジ10は、ボールネジである場合、移動可能である第1カメラ72及び第2カメラ74の位置精度が更に向上する。
加えて、すべりネジ10のネジ軸54は、金属製である場合、樹脂製である場合に比べて、電気設備の発熱等による高温環境の影響を受け難く、移動可能である第1カメラ72及び第2カメラ74の位置精度が更に向上する。
更に、電気設備監視装置1は、バッテリ70と、給電モジュール32と、受電モジュール62と、を備えている。給電モジュール32は、受電モジュール62に対して、無接点で電力を供給可能である。バッテリ70は、第1カメラ72及び照明部76の電源であって、受電モジュール62からの電力の供給により充電される。受電モジュール62は、ハウジング60に保持されており、給電モジュール32は、ハウジング60外に設置されている。よって、電気設備監視装置1では、移動可能である第1カメラ72及び照明部76の電源であるバッテリ70が、より容易に充電される。又、電気設備監視装置1では、電源のための構成要素がよりコンパクトになり、電気設備監視装置1が既存の電気設備に対してより導入し易いものとなる。
【0060】
又更に、電気設備監視装置1は、温度センサ66、湿度センサ67、及び気圧センサ68を備えている。よって、電気設備監視装置1では、電気機器の監視に有用である、より多様な情報が得られる。
例えば、可視光画像及び熱画像の少なくとも一方と、温度情報、湿度情報及び気圧情報の少なくとも何れかと、を組合せて処理した情報が、電気設備の監視に用いられても良い。温度情報は、電気設備における電気機器毎の温度上昇値の把握に用いられても良い。湿度情報は、電気設備に関連する空調機の消費電力の把握に用いられても良く、空調機の消費電力から電気設備の通電電流を予測して電気設備あるいは電気機器毎の温度情報が把握されても良い。気圧情報は、電気設備の周囲における天気の把握に用いられても良く、天気から、電気設備に関連する、ポンプ等の天気の種別により消費電力の傾向を変える機器に係る消費電力が把握されても良い。
【符号の説明】
【0061】
1・・電気設備監視装置、8・・ガイド機構、10・・すべりネジ、32・・給電モジュール、36・・モータ、54・・ネジ軸、56・・ナット部、60・・ハウジング、62・・受電モジュール、66・・温度センサ、67・・湿度センサ、68・・気圧センサ、70・・バッテリ、72・・第1カメラ、74・・第2カメラ、76・・照明部、78・・制御回路部、80・・制御部、90・・発光部材、C・・切れ目、L・・(複数の発光部材が並べられる)仮想線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6