(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119546
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】車両用ドア開閉操作装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/18 20140101AFI20240827BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E05B85/18 B
E05B49/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026529
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】遠山 孝生
(72)【発明者】
【氏名】小野 高志
(72)【発明者】
【氏名】西塚 三男
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250DD06
2E250FF23
2E250FF27
2E250FF35
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP12
2E250SS09
(57)【要約】
【課題】配線をより簡単にできるとともに、検知範囲を拡げることができる車両用ドア開閉操作装置を提供する。
【解決手段】本発明による車両用ドア開閉操作装置2は、車両のドア1の外板10に設けられたドア開口部10aに取り付けられて、ドア1の開閉操作を行うための車両用ドア開閉操作装置2であって、ドア1に対して固定的に設けられるとともに、ドア1の外部に現れるようにドア開口部10aに取り付けられた枠体5の枠体開口部51又はドア開口部10aに沿って配置され、利用者が携帯する携帯機器又は媒体から認証情報を受信するための受信部80を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの外板に設けられたドア開口部に取り付けられて、前記ドアの開閉操作を行うための車両用ドア開閉操作装置であって、
前記ドアに対して固定的に設けられるとともに、前記ドアの外部に現れるように前記ドア開口部に取り付けられた枠体の枠体開口部又は前記ドア開口部に沿って配置され、利用者が携帯する携帯機器又は媒体から認証情報を受信するための受信部
を備える、車両用ドア開閉操作装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記枠体に取り付けられている、
請求項1に記載の車両用ドア開閉操作装置。
【請求項3】
前記受信部は、前記枠体の裏面に取り付けられている、
請求項2に記載の車両用ドア開閉操作装置。
【請求項4】
前記受信部は、前記ドア開口部の内側に位置するように前記ドアの内部の部材に取り付けられている、
請求項1に記載の車両用ドア開閉操作装置。
【請求項5】
前記受信部が受信した前記認証情報に基づいてドアロックの施錠及び/又は解錠を行うロック制御部をさらに備える、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の車両用ドア開閉操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの開閉操作に使用される車両用ドア開閉操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の車両用ドア開閉操作装置としては、例えば下記の特許文献1に示されている構成を挙げることができる。特許文献1には、ドアハンドルが収納可能なハンドルアセンブリが記載されている。ドアハンドルにはNFCモジュールが内蔵されており、利用者がNFC携帯電話をもってドアに近づくと、ドアハンドルが外部に現れてドアの開閉操作が可能となる。また、車両の電源が切られた後にNFC携帯電話をドアハンドルに近づけると車両全体がロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国特許出願公開第108547523号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された従来装置では、ドアハンドル(可動部)にNFCモジュール(受信部)を配置している。このように、可動部に受信部を配置すると、受信部の配線が煩わしい。また、可動部は比較的小さな部品であるので、比較的小さな受信部しか可動部に配置できない。このため、従来装置では、受信部の検知又は通信範囲が狭くなっている。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、配線をより簡単にできるとともに、検知範囲を拡げることができる車両用ドア開閉操作装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一実施形態において、車両のドアの外板に設けられたドア開口部に取り付けられて、ドアの開閉操作を行うための車両用ドア開閉操作装置であって、ドアに対して固定的に設けられるとともに、ドアの外部に現れるようにドア開口部に取り付けられた枠体の枠体開口部又はドア開口部に沿って配置され、利用者が携帯する携帯機器又は媒体から認証情報を受信するための受信部を備える、車両用ドア開閉操作装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用ドア開閉操作装置の一実施形態によれば、利用者が携帯する携帯機器又は媒体から認証情報を受信するための受信部が、ドアに対して固定的に設けられるとともに、ドアの外部に現れるようにドア開口部に取り付けられた枠体の枠体開口部又はドア開口部に沿って配置されているので、配線をより簡単にできるとともに、検知範囲を拡げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1による車両のドアに取り付けられた状態の車両用ドア開閉操作装置を示す正面図である。
【
図4】
図1の車両用ドア開閉操作装置を単体で示す正面図である。
【
図5】
図4の車両用ドア開閉操作装置を示す背面図である。
【
図6】
図4の車両用ドア開閉操作装置を示す平面図である。
【
図8】本発明の実施の形態2による車両のドアに取り付けられた状態の車両用ドア開閉操作装置を示す正面図である。
【
図9】本発明の実施の形態3による車両用ドア開閉操作装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による車両のドア1に取り付けられた状態の車両用ドア開閉操作装置2を示す正面図であり、
図2は
図1の線A-Aに沿う断面図であり、
図3は
図1の線B-Bに沿う断面図である。
図4は
図1の車両用ドア開閉操作装置2を単体で示す正面図であり、
図5は
図4の車両用ドア開閉操作装置2を示す背面図であり、
図6は
図4の車両用ドア開閉操作装置2を示す平面図であり、
図7は
図6の線C-Cに沿う断面図である。
【0011】
以下、上下方向D1、前後方向D2及び表裏方向D3との用語、及びそれらに関連する上、下、前、後、表及び裏等の用語を用いて車両用ドア開閉操作装置2の各部の構成を説明することがある。これらの用語は、
図1に示すように車両用ドア開閉操作装置2が車両のドア1に取り付けられた状態の向きを基準としている。これら上下方向D1、前後方向D2及び表裏方向D3は互いに直交した方向であり得る。上下方向D1は車両の高さ方向(鉛直方向)に延在され、前後方向D2は車両の前後方向に延在され、表裏方向D3は車両の幅方向に延在され得る。表裏方向D3に関して、表側は車両幅方向外側であり、裏側は車両幅方向内側であり得る。より一般的に、上下方向D1、前後方向D2及び表裏方向D3を第1方向、第2方向及び第3方向等と呼んでもよい。
【0012】
車両のドア1は、図示しない車両本体に対して相対的に移動可能に取り付けられている。ドア1は、
図1に示す外板10と、図示しない内装とを有していてよい。外板10は、ドアパネルと呼んでもよい。外板10は、塗装鋼板等の金属板であり得る。外板10と内装との間には、表裏方向D3に所定の厚みを有するドア内部空間が設けられている。外板10には、ドア開口部10aが設けられている。ドア開口部10aは、ドア1の外側とドア内部空間とを連通できる。
図1に特に表れているように、ドア開口部10aは、上下方向D1と比較して前後方向D2に長く延びる矩形であり得る。
【0013】
車両用ドア開閉操作装置2は、
図1~
図3に示すようにドア開口部10aに取り付けられて、ドア1の開閉操作のための装置である。車両用ドア開閉操作装置2は、ブラケット3、カバー4、枠体5、ベース6、ラッチ開放機構7、及びロック操作機構8を有している。
【0014】
図2に特に現れているように、ブラケット3は、ドア1の内部に配置される部材である。ブラケット3は、ドア1の外板10に対して固定的に配置されている。ブラケット3は、全体として裏側に開口を有する箱形とされている。カバー4は、ブラケット3の裏側開口を閉じるようにブラケット3の裏側に着脱可能に取り付けられている。ブラケット3は、枠体5、ベース6、ラッチ開放機構7及びロック操作機構8を支持できる。ブラケット3の下部表側には、ブラケット3の内外を連通するブラケット開口部3aが設けられている。ブラケット3は、ブラケット開口部3aがドア開口部10aと重なるように配置され得る。
【0015】
枠体5は、ドア1の外部に現れるようにドア開口部10aに取り付けられる部材である。枠体5は、ドア1の外板10に対して固定的に設けられ得る。枠体5は、エスカッションと呼ばれることもある。枠体5は、樹脂製の部材であり得る。
【0016】
図1に特に表れているように、枠体5は、ドア1の外側に現れる意匠面50と、意匠面50に設けられた枠体開口部51とを有していてよい。枠体開口部51は、ドア開口部10aよりも小さくてよい。前後方向D2に関する枠体開口部51の中心位置は、同方向に関するドア開口部10aの中心位置からずれていてよい。図示の態様では、枠体開口部51の中心位置は、ドア開口部10aの中心位置よりも前側(前後方向D2に係る一端側)にずらされている。枠体開口部51よりも後側(前後方向D2に係る他端側)の領域における意匠面50を被覆部50aと呼ぶことができる。
【0017】
図2及び
図3に特に現れているように、枠体5は、意匠面50の内縁から裏側に向けて延出された延出部52をさらに有していてよい。延出部52の先端は、ドア1の外板10の端部を超えて裏側に位置されていてよい。
【0018】
ドア1に対する枠体5の固定方法は任意であるが、図示の態様では意匠面50の裏面及び延出部52の先端から突出された突起50b,52aがブラケット3及びベース6に係合されることで、枠体5がドア1に対して固定されている。図示の態様のように、ドア1の外板10の裏面とブラケット3との間にシム11が設けられ、意匠面50の裏面から突出された突起50bがシム11を通されていてよい。
【0019】
ベース6は、ドア1の内部に位置するようにドア開口部10aに取り付けられる部材である。ベース6は、樹脂製の部材であり得る。ベース6は、ドア1の外板10に対して固定的に配置され得る。図示の態様では、ベース6は、ブラケット3の内部に固定的に配置されている。ベース6は、車外にいる利用者が枠体開口部51を通して見える範囲に延在するようにブラケット3内の下部に配置されている。ベース6は、枠体5の下側の延出部52の先端に隣接する端部60と、端部60から裏側に向けて延出され壁部61とを有していてよい。端部60には、延出部52の先端から突出された突起52aが係合されていてよい。壁部61は、端部60から裏側に向かうにつれて上方に向かうように延在されている。
図2に示すように壁部61は円弧状であり得る。壁部61の裏面下部には固定部62が設けられている。固定部62は、内壁にねじが設けられた筒体であり得る。ドア1に対するベース6の固定方向は任意であるが、図示の態様ではブラケット3を通して固定部62にボルト63が取り付けられることで、ベース6がブラケット3を介してドア1に固定されている。
【0020】
ラッチ開放機構7は、車両本体に対するドア1のラッチを開放するための機構である。ラッチ開放機構7は任意の構成を有していてよいが、図示のラッチ開放機構7は、第1ラッチ開放レバー70、第1回動軸71、付勢手段72、ラッチ開放スイッチ73、第2ラッチ開放レバー74及び第2回動軸75を有している。
【0021】
第1ラッチ開放レバー70は、ドア1の内部に配置されている。第1ラッチ開放レバー70は、ブラケット3の上部に設けられた第1回動軸71(
図2及び
図4等参照)を中心に回動可能に設けられている。第1ラッチ開放レバー70は、互いに一体に設けられた板状の第1操作部70a及び第1作用部70bを有している。第1操作部70aはブラケット3の内部に配置されており、第1作用部70bはブラケット3の外部(上部)に配置されている。第1回動軸71は、第1操作部70aと第1作用部70bとの間に配置されている。第1ラッチ開放レバー70は、第1操作部70aがブラケット3の表側内壁面から離れる方向に付勢手段72(
図4等参照)によって付勢されている。付勢手段72は、第1回動軸71の外周に設けられた巻ばねであり得る。付勢手段72の付勢により、第1作用部70bがラッチ開放スイッチ73に常時押し当てられている。第1操作部70aは、ドア開口部10aに挿入された利用者の指先により表側に向かう引き操作を受けることができるように配置されている。この第1操作部70aに対する引き操作により、第1ラッチ開放レバー70が回動されて、第1作用部70bがラッチ開放スイッチ73から引き離される。この第1作用部70bの引き離しをラッチ開放スイッチ73が検出したとき、ラッチ開放スイッチ73から図示しないアクチュエータに信号が入力されて、ドア1のラッチが開放され得る。
【0022】
第1ラッチ開放レバー70は、車両の電源が有効な(ラッチ開放スイッチ73及びアクチュエータに電力が供給可能な)通常時に使用されることが想定されている。これに対して、第2ラッチ開放レバー74は、バッテリー上がり等の非常時に使用されることが想定されている。
【0023】
図7に特に現れているように、第2ラッチ開放レバー74は、ブラケット3の側壁の外側に配置された第2回動軸75を中心に回動可能に設けられている。図示の態様では、第2回動軸75は、ブラケット3の前側の側壁の外側に配置されている。第2ラッチ開放レバー74は、互いに一体に設けられた第2操作部74a及び第2作用部74bを有している。第2操作部74aは、ブラケット3の側壁に設けられ挿通孔を通してブラケット3の内部空間に挿通されている。第2作用部74bは、図示しないワイヤーによりラッチに接続されている。第2ラッチ開放レバー74は、図示されないスプリングによって、またはワイヤーによって、第2操作部74aが上方に向かうように付勢されている。ドア開口部10aに挿入された利用者の指先により第2操作部74aが押し下げられることで、第2ラッチ開放レバー74の回動がワイヤーを通してラッチに伝えられて、それによりラッチが開放され得る。
【0024】
ロック操作機構8は、ドア1のドアロックを施解錠するための機構である。ロック操作機構8は、受信部80、ロック制御部81及びロック操作部82を有している。
【0025】
受信部80は、利用者が携帯する携帯機器又は媒体から認証情報を受信するためのものである。携帯機器又は媒体としては、例えばスマートフォン、携帯電話、又は認証情報が格納されたチップが搭載されたカード等が挙げられる。受信部80は、アンテナとも呼ばれる。受信部80と携帯機器又は媒体との間の通信方式は任意である。通信方式としては、例えばNFC(近距離無線通信)、RFID、ブルートゥース(登録商標)及び無線LANが挙げられる。本実施の形態の受信部80はNFCを介して携帯機器又は媒体から認証情報を受信できる。この点において、受信部80はNFCアンテナと呼んでよい。
【0026】
受信部80はハーネス80aを通してロック制御部81に接続されている。ロック制御部81は、受信部80が受信した認証情報に基づいてドアロックの施錠及び/又は解錠を行うための構成である。ロック制御部81には、利用者の認証情報が予め登録されている。この点において、ロック制御部81は、認証モジュール又はNFCモジュールと呼んでよい。ロック制御部81は、受信部80が受信した認証情報と、ロック制御部81に予め登録されている認証情報とが一致したとき、図示しないロックアクチュエータに施錠及び/又は解錠信号を入力してドアロックを施錠及び/又は解錠できる。ロック制御部81は、ドアロックが施錠されているときに認証情報が一致した場合、ロックアクチュエータに解錠信号を入力してドアロックを解錠できる。同様に、ロック制御部81は、ドアロックが解錠されているときに認証情報が一致した場合、ロックアクチュエータに施錠信号を入力してドアロックを施錠できる。なお、ロック制御部81は、認証情報の認証を行う認証部と、認証部の認証に基づきロックアクチュエータに施錠及び/又は解錠信号を入力する施解錠部とを含んでいてよい。図ではこれら認証部及び施解錠部が一体であるように示しているが、これら認証部及び施解錠部が互いに別体であってよい。例えば施解錠部は車載器側の制御部によって構成されてもよい。
【0027】
ロック制御部81は任意の位置に配置できるが、図示の形態では、ロック制御部81は、枠体5の被覆部50a(枠体開口部51よりも後側の領域における意匠面50)の裏側においてブラケット3に固定されている。
【0028】
本実施の形態の受信部80は、ドア1に対して固定的に設けられるとともに、ドア1の外部に現れるようにドア開口部10aに取り付けられた枠体5の枠体開口部51に沿って配置されている。これにより、従来構成のように可動部に受信部80を設ける場合と比較して、配線をより簡単にできるとともに、検知範囲を拡げることができる。
【0029】
受信部80がドア1に対して固定的に設けられるとは、受信部80がドア1に対して固定的に設けられた部材に固定されていることを意味すると理解してよい。図示の形態では受信部80は枠体5に取り付けられることによってドア1に対して固定的に設けられている。受信部80は、枠体5の表面に取り付けられていてもよいが、図示の形態では枠体5の裏面に取り付けられている。より具体的には、
図2に特に表れているように、受信部80は、意匠面50の裏面に取り付けられている。また、受信部80は、延出部52の外縁に沿って配置されている。
【0030】
図示の形態では、受信部80は、枠体開口部51よりも大きな環状とされており、枠体開口部51の外周に沿って配置されている。受信部80は、コ字形等の他の形状とされていてもよい。また、受信部80は、ドア開口部10aよりも小さな環状とされており、少なくとも部分的にドア開口部10aに沿って配置されているとも理解できる。
【0031】
受信部80が枠体開口部51を形成する辺縁のうちの少なくとも一辺に沿って配置されていれば、受信部80が枠体開口部51の外周に沿って延在されていると理解できる。
【0032】
受信部80が枠体開口部51の外周に沿って延在されていることには、例えば、上下方向D1に延びる枠体開口部51のいずれかの辺縁に沿うように受信部80が配置されることが含まれていてよい。意匠面50側の辺縁に沿うように配置した場合、例えば受信部80の検知領域の存在を示す何らかの表示を意匠面50に設けることで、利用者が携帯機器又は媒体を翳す箇所をひとめで視認できるため利便性が向上する。
【0033】
受信部80が枠体開口部51の外周に沿って延在されていることには、前後方向D2に延びる枠体開口部51のいずれかの辺縁に沿うように受信部80が配置されることが含まれていてよい。この場合、受信部80の検知領域と枠体開口部51とが重合するよう設定することで、検知領域の存在を示す表示等がなくとも、大まかに枠体開口部51の周辺に携帯機器又は媒体をかざすだけで認証ができるようになるため利便性が向上する。
【0034】
利用者が携帯する携帯機器又は媒体は、NFCを介しての受信部80との認証情報の通信に加えて、NFCとは別の通信手段(例えばLF電波又はRF電波等)を介して図示しない車載機器との通信を行う電子キーとしての機能を有していてよい。別の通信手段を介して車載機器と通信を行う電子キーは、NFCを介しての認証情報の通信を行う携帯機器又は媒体とは、一体であってもよいし別体であってもよい。電子キーは、より一般的に携帯器と呼んでもよい。
【0035】
電子キーは、所定の認証IDを格納している。車載機器は、図示しないアンテナを介して車両周辺に向けてリクエスト信号を発信する。電子キーは、車載機器からのリクエスト信号を受信したとき、電子キー内に格納されている認証IDを車載機器に送信する。車載機器は、受信した認証IDと予め記憶している認証IDとの照合を行うことができる。車載機器は、ロック制御部81又は別の制御部を含んでいてよい。
【0036】
ロック操作部82は、電子キーとともにドアロックの施錠及び/又は解錠に使用できる。ロック操作部82は、押圧部82a(
図3及び
図7等参照)及び押圧スイッチ82b(
図4及び
図7等参照)を有している。押圧部82aは、利用者によって押圧される部分である。押圧部82aはボタンと呼ぶこともできる。押圧スイッチ82bは、押圧部82aの押圧を検出するためのセンサである。押圧スイッチ82bは、押圧部82aの押圧を検出したときに、押圧検出信号を車載機器に入力する。車載機器は、電子キーから受信した認証IDと予め記憶している認証IDとが一致しているときに、押圧スイッチ82bからの押圧検出信号を検出した際に、図示しないロックアクチュエータに施錠及び/又は解錠信号を入力してドアロックを施錠及び/又は解錠できる。車載機器は、ドアロックが施錠されているときに解錠信号をロックアクチュエータに入力してドアロックを解錠し、ドアロックが解錠されているときに施錠信号をロックアクチュエータに入力して、ドアロックを施錠できる。
【0037】
押圧部82a及び押圧スイッチ82bは任意の位置に配置することができるが、図示の形態のように、押圧部82aはドア1の内部に配置されてよい。より具体的には、押圧部82aは、前後方向D2に関して第2ラッチ開放レバー74とは逆側のブラケット3の後側に配置されてよい。さらにより具体的には、押圧部82aは、ブラケット3の天板に設けられた開口部に配置されてよい。押圧スイッチ82bは、押圧部82aから離れて配置されてよいが、
図7に示すように押圧部82aに直接的に接続されていてよい。
【0038】
車載機器は、電子キーから受信した認証IDと予め記憶している認証IDとが一致しているときに、上述の第1ラッチ開放レバー70の引き操作に応じて、ドア1のロック解除及びラッチ開放を行ってよい。すなわち、ラッチ開放機構7の第1作用部70bの引き離しをラッチ開放スイッチ73が検出したときに、ラッチ開放スイッチ73から車載機器に操作検出信号が入力され、車載機器は、電子キーから受信した認証IDと予め記憶している認証IDとが一致しているときに、ラッチ開放スイッチ73からの操作検出信号を検出した際に、図示しないロックアクチュエータに解錠信号を入力してドアロックを解錠するとともに、図示しないラッチアクチュエータに信号を入力してドア1のラッチを開放してよい。
【0039】
車両及び電子キーの電源が有効な通常時のドアロックの施錠及び/又は解錠並びにラッチ開放は以下のように行うことができる。
(1)解錠操作(電子キー利用):電子キーの認証IDの照合を伴う、押圧部82aの押圧又は第1ラッチ開放レバー70の引き操作
(2)解錠操作(NFC利用):携帯機器又は媒体を受信部80の近傍にかざす
(3)ラッチ開放:第1ラッチ開放レバー70の引き操作
(4)施錠操作(電子キー利用):電子キーの認証IDの照合を伴う、押圧部82aの押圧
(5)施錠操作(NFC利用):携帯機器又は媒体を受信部80にかざす
【0040】
車両及び電子キーの電源が有効な通常時、利用者は、以下の第1及び第2の選択肢を有する。すなわち、利用者は、第1の選択肢として、ロック操作部82の操作によって車両からリクエスト信号を発信させて、利用者が占有している電子キーを使ったハンズフリー操作で施解錠を行うことができる。また、利用者は、第2の選択肢として、受信部80を用いた施解錠が考えられる。例えば、車両を複数人でシェアしたい場合等に、携帯機器としてのスマートフォンを介して認証情報を貸与することができる。また、利用者は、紛失等により電子キーが手元にない場合に、手持ちのスマートフォンやNFCアンテナを搭載した非常用カードキーを財布に入れておけば施解錠が可能となる。
【0041】
電子キーのバッテリー上がり時等の非常時のドアロックの施錠及び/又は解錠並びにラッチ開放は以下のように行うことができる。なお、携帯機器又は媒体と電子キーとが一体であるとき、NFCについては電力不要である場合がある。
(1)解錠操作(NFC利用):携帯機器又は媒体を受信部80にかざす
(2)ラッチ開放:第1ラッチ開放レバー70の引き操作
(3)施錠操作(NFC利用):携帯機器又は媒体を受信部80にかざす
【0042】
車両のバッテリー上がり時等の非常時のドアロックの施錠及び/又は解錠並びにラッチ開放は以下のように行うことができる。
(1)解錠操作(メカキー利用):キーシリンダ(図示せず)にメカキー(図示せず)を挿入し解錠
(2)ラッチ開放:第2ラッチ開放レバー74の回動操作
(3)施錠操作(メカキー利用):キーシリンダにメカキーを挿入し施錠
【0043】
換言すると、電子キー又は車両のバッテリー上がり時等の非常時において、利用者は電子キーを使用したハンズフリー操作は利用不可となる。その代替として、利用者は以下の第1及び第2の選択肢を有する。すなわち、利用者は、第1の選択肢として、携帯機器又は媒体を受信部80にかざし、NFCを利用した認証を経て、施解錠を行うことができる。これは、受信部80を用いたNFCを利用した認証は電力消費量が少ないためである。この第1の選択肢は、車両の電源が有効な時に採り得る。また、利用者は、第2の選択肢として、メカキー(物理的な鍵)を用いて施解錠を行うことができる。キーシリンダは、図示されていないが、例えば被覆部50aの裏側等に配置され得る。被覆部50aは脱着可能とされていてよい。この第2の選択肢は、車両のバッテリー上がっている時にも採り得る。
【0044】
なお、受信部80及びキーシリンダは車両の両側のドア(運転席側ドア及び助手席側ドア)にそれぞれ設けられていてもよいが、運転席側ドア及び助手席側ドアで仕様を変えてもよい。すなわち、一方のドアに受信部80及びキーシリンダのいずれか一方のみが設けられ、他方のドアに受信部80及びキーシリンダの他方のみが設けられてもよい。例えば、運転席側ドアには、受信部80が設けられている一方でキーシリンダが設けられておらず、助手席側ドアには、キーシリンダが設けられている一方で受信部80が設けられていなくてもよい。このように運転席側ドア及び助手席側ドアで仕様を変えることで、車両用ドア開閉操作装置2(ハンドル)のミニマム化(造形面及び/又はコスト面)を図ることができるとのメリットがある。
【0045】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2による車両のドア1に取り付けられた状態の車両用ドア開閉操作装置2を示す正面図である。実施の形態1では受信部80が枠体開口部51に沿って配置されると説明したが、
図8に示すように、受信部80はドア開口部10aに沿って配置されてもよい。
図8では受信部80がドア開口部10aの内側に配置されているが、枠体5の大きさ等の設置条件によっては、受信部80がドア開口部10aの外側に配置されてもよい。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0046】
実施の形態3.
図9は、本発明の実施の形態3による車両用ドア開閉操作装置2の断面図である。
図9は
図1の線A-Aの位置での車両用ドア開閉操作装置2の断面を示している。実施の形態1では受信部80が枠体5に取り付けられるように説明した。これには、ドア1の外側に受信部80を配置することで、金属製のドア1の外板10により受信部80と携帯機器又は媒体との間の通信が阻害されにくくできるとの利点が有る。しかしながら、
図9に示すように、受信部80は、ドア開口部10aの内側に位置するようにドア1の内部の部材に取り付けられていてよい。このような配置によっても、金属製のドア1の外板10により受信部80と携帯機器又は媒体との間の通信が阻害されにくくできる。ドア開口部10aの内側に受信部80が位置するとは、表裏方向D3に沿ってドア開口部10aを見たときに、ドア開口部10aの内部領域に受信部80が位置するとも理解できる。
図9に示すように、受信部80は、ベース6に取り付けられていてよい。受信部80は、ベース6の表側端部に取り付けることができる。その他の構成は実施の形態1,2と同様である。
【0047】
なお、実施の形態1~3ではドア1のラッチを開放するためのレバー(第1ラッチ開放レバー70)がドア1の内部に配置されている形態を説明したが、様々なラッチ開放レバー又はハンドルを有する車両用ドア開閉操作装置においても本発明を適用できる。例えばラッチ開放ハンドルが枠体開口部の内部に格納されている車両用ドア開閉操作装置においても、認証情報を受信するための受信部を、枠体の枠体開口部又はドア開口部に沿って配置することができる。
【0048】
また、実施の形態1~3では受信部が受信した認証情報がドアロックの施解錠に利用されるように説明したが、認証情報は任意に利用できる。例えばラッチ開放ハンドルが枠体開口部の内部に格納されている車両用ドア開閉操作装置においては、受信部が受信した認証情報と、認証モジュールに予め登録されている認証情報とが一致した場合に、枠体開口部から外部にラッチ開放ハンドルを出してもよい。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0050】
本明細書に記載の発明は、以下のように記載することも可能である。
[1]
車両のドアの外板に設けられたドア開口部に取り付けられて、前記ドアの開閉操作を行うための車両用ドア開閉操作装置であって、
前記ドアに対して固定的に設けられるとともに、前記ドアの外部に現れるように前記ドア開口部に取り付けられた枠体の枠体開口部又は前記ドア開口部に沿って配置され、利用者が携帯する携帯機器又は媒体から認証情報を受信するための受信部
を備える、車両用ドア開閉操作装置。
[2]
前記受信部は、前記枠体に取り付けられている、
[1]に記載の車両用ドア開閉操作装置。
[3]
前記受信部は、前記枠体の裏面に取り付けられている、
[2]に記載の車両用ドア開閉操作装置。
[4]
前記受信部は、前記ドア開口部の内側に位置するように前記ドアの内部の部材に取り付けられている、
[1]に記載の車両用ドア開閉操作装置。
[5]
前記受信部が受信した前記認証情報に基づいてドアロックの施錠及び/又は解錠を行うロック制御部をさらに備える、
[1]から[4]までのいずれか1項に記載の車両用ドア開閉操作装置。
【符号の説明】
【0051】
1 :ドア
10 :外板
10a :ドア開口部
2 :車両用ドア開閉操作装置
5 :枠体
51 :枠体開口部
80 :受信部
81 :ロック制御部