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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119555
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20240827BHJP
   G05D 1/49 20240101ALI20240827BHJP
   G05D 1/46 20240101ALI20240827BHJP
   B64U 20/80 20230101ALI20240827BHJP
   B64U 101/29 20230101ALN20240827BHJP
【FI】
A61L2/10
G05D1/08 Z
G05D1/10
B64U20/80
B64U101:29
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026545
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 渚紗
【テーマコード(参考)】
4C058
5H301
【Fターム(参考)】
4C058AA02
4C058AA23
4C058AA30
4C058BB06
4C058DD20
4C058EE03
4C058KK02
4C058KK26
5H301BB20
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC08
5H301CC09
5H301CC10
5H301DD06
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】汚染箇所の処理を効率よく実施できる処理装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、処理装置は、紫外線照射部と、制御部とを備える。紫外線照射部は、移動体に設けられ、照射対象において一の方向に広がりのある配光分布特性となる紫外線を照射する。制御部は、移動体の移動方向が一の方向となるように移動体の姿勢を調整し、姿勢が調整された移動体を移動方向に移動させる。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に設けられ、照射対象において一の方向に広がりのある配光分布特性となる紫外線を照射する紫外線光源を備えた紫外線照射部と;
前記移動体の移動方向が前記一の方向となるように前記移動体の姿勢を調整し、姿勢が調整された前記移動体を前記移動方向に移動させる制御部と、
を具備する処理装置。
【請求項2】
前記移動体は、前記紫外線光源による紫外線の照射対象を検知する検知部をさらに具備し、
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記姿勢を調整する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記移動体の移動経路を判断し、前記移動経路に基づいて前記姿勢を調整する、
請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記照射対象において一の方向に広がりのある配光分布特性となる紫外線は、前記紫外線照射部が照射する楕円配光の光によって実現され、
前記制御部は、前記移動体の移動方向と前記楕円配光における長軸方向とを一致させるように前記移動体の姿勢を調整する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記紫外線光源は、240nm以上、300nm以下の範囲内にピーク波長を有する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記移動体は、飛行体である、
請求項1に記載の処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
室内の細菌やウイルス等による汚染箇所を紫外線等によって処理する処理装置が知られている。また、この種の処理装置の中で、飛行体等の移動体に処理機能を持たせることで空間を移動しながら処理を実施できる処理装置も知られている。この種の移動できる処理装置では、汚染箇所の処理を効率よく実施できることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-180956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、汚染箇所の処理を効率よく実施できる処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、処理装置は、紫外線照射部と、制御部とを備える。紫外線照射部は、移動体に設けられ、照射対象において一の方向に広がりのある配光分布特性となる紫外線を照射する。制御部は、移動体の移動方向が一の方向となるように移動体の姿勢を調整し、姿勢が調整された移動体を移動方向に移動させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、汚染箇所の処理を効率よく実施できる処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る処理装置としての移動体の使用状態を示す概略図である。
図2図2は、移動体の一例を示す図である。
図3図3は、一例の配光分布特性を示す図である。
図4図4は、移動体の一例の構成を示すブロック図である。
図5図5は、移動体の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施形態における移動体の移動方向と配光の方向との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施形態に係る処理装置は、移動体に搭載された紫外線を照射対象物(例えば、細菌やウイルス等が少なくとも1つ以上付着している汚染箇所や、空気)に照射することで、照射対象物を除菌、殺菌又は滅菌するように構成されている。以下の実施形態において記載される用語「除菌」は、「滅菌」又は「殺菌」に置き換えることが可能である。
【0009】
実施形態に係る処理装置は、紫外線照射部(103)と、制御部(201)とを備える。紫外線照射部(103)は、移動体(1)に設けられ、照射対象において一の方向に広がりのある配光分布特性となる紫外線を照射する。制御部(201)は、移動体(1)の移動方向が一の方向となるように移動体(1)の姿勢を調整し、姿勢が調整された移動体(1)を移動方向に移動させる。
【0010】
また、実施形態において、移動体(1)は、紫外線光源による紫外線の照射対象を検知する検知部(104)をさらに備える。制御部(201)は、検知部(104)の検知結果に基づいて移動体(1)の姿勢を調整する。
【0011】
また、実施形態において、検知部(104)は、さらに、汚染箇所の形状を検知する。制御部(201)は、汚染箇所の形状にさらに基づいて移動体(1)の移動経路を決定する。
【0012】
また、実施形態において、制御部(201)は、検知部(104)の検知結果に基づいて移動体の移動経路を判断し、移動経路に基づいて移動体(1)の姿勢を調整する。
【0013】
また、実施形態において、照射対象において一の方向に広がりのある配光分布特性となる紫外線は、紫外線照射部(103)が照射する楕円配光の光によって実現され、制御部(201)は、移動体(1)の移動方向と楕円配光における長軸方向とを一致させるように移動体(1)の姿勢を調整する。
【0014】
また、実施形態において、紫外線光源は、240nm以上、300nm以下の範囲内にピーク波長を有する。
【0015】
また、実施形態において、移動体(1)は、飛行体である。
【0016】
以上の構成によれば、移動体(1)から照射される光の放射強度の広がりの方向と、移動体(1)の移動方向が一致しているので、汚染箇所への紫外線照射が短時間で行われ得る。結果として、汚染箇所の処理が効率よく実施される。
【0017】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、実施形態に係る処理装置としての移動体の使用状態を示す概略図である。移動体は、処理装置の一例である。図1に示すように、実施形態に係る移動体1は、例えば、屋内において使用される。屋内とは、劇場、映画館等の内側空間であり得る。劇場、映画館等の床には、多数の椅子2が設置されている。椅子2は、座面2aを備えており、背もたれ2b、ひじ掛け2cも備えていてもよい。図1は、屋内を側面方向から見た図を示している。椅子2は、図1の奥行方向にも設置されていてもよい。移動体1は、例えば屋内を飛行しながら紫外線UVを照射することにより、椅子2を含む屋内の汚染箇所を除菌する。実施形態では、屋内は、劇場、映画館等の屋内であるとされているがこれに限定されるものではない。屋内は、オフィス環境、カフェ、貸会議室、ファミリーレストラン等の除菌が要求される任意の屋内であってよい。また、汚染箇所は、細菌及びウイルスによる汚染が生じ得る箇所であって紫外線UVの照射の対象となる箇所である。例えば、汚染箇所は、細菌及びウイルス等が1つ以上付着し得る箇所であってもよいし、細菌やウイルス等が単位面積あたりに規定数量以上付着し得る箇所であってもよい。
【0018】
図2は、移動体1の一例を示す図である。図2では、移動体1としてドローン(飛行する移動体の一例)が示されている。ドローンは、空中での飛行姿勢を自由に変更できるように複数のロータを備えたマルチコプターである。ここで、移動体1は、ドローンに限るものではない。移動体1として、空中を飛行しながら紫外線を照射できる各種の移動体が採用され得る。例えば、移動体1として、ラジコン飛行機、ラジコンヘリコプター、ラジコン飛行船、バルーン等の飛行体が用いられてもよい。さらには、移動体1は、必ずしも空中を飛行できるものでなくてもよい。例えば、移動体1は、屋内の汚染箇所を自走しながら汚染箇所に紫外線を照射する自走移動体であってもよい。例えば、移動体1は、AGV(Auto Guided Vehicle)、自律型の移動ロボット等であってもよい。以下では、移動体1はドローンであるとして説明が続けられる。
【0019】
移動体1は、筐体101と、ロータ102と、紫外線照射部103と、検知部104とを有する。
【0020】
図2の移動体1では、筐体101の内部に複数のロータ102が設けられている。筐体101の上部及び下部にはロータ102を露出させるための開口が空けられており、移動体1は、複数のロータ102をバランスよく回転させることで飛行する。ロータ102の周囲が筐体101に囲まれていることにより、移動体1の飛行中において屋内に居る人とロータ102との接触が抑制され得る。一方で、実施形態においては、ロータ102は必ずしも筐体101の内部に設けられていなくてもない。
【0021】
紫外線照射部103は、例えば筐体101の下部、すなわち飛行時に屋内の床と面する側に設けられる。紫外線照射部103は、光源と、駆動回路とを備える。光源は、紫外線光源である。駆動回路は、電源からの電力に基づいて光源を発光させる。光源としては、ランプ(例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、蛍光形紫外線ランプ、エキシマランプ等)であってもよく、LED(Light Emitting Diode)光源(SMD、COB、CSP等)であってもよい。本実施形態の紫外線は、240nm以上、300nm以下の範囲内にピーク波長を有する紫外線である。また、光源は、複数の光源によって構成されていてもよい。
【0022】
ここで、実施形態における紫外線照射部103から照射される光の配光は、少なくとも一の方向に偏って放射強度の広がりのある特性を有している。図3は、一例の配光分布特性を示す図である。図3に示すように、少なくとも一の方向に偏って放射強度の広がりのある特性を有している。ここで、図3のX軸及びY軸は、紫外線の照射面に対して平行な面内の互いに直交する2つの軸であって、図2で示したX軸の方向及びY軸の方向と対応している。図1に示す例のように、移動体1が屋内の床に向けて紫外線を照射する場合、X軸及びY軸は、床と略平行な2つの軸に相当する。また、X軸とY軸の交点は、紫外線照射部の光源中心位置に相当する。さらに、図3のそれぞれの領域に付されている数値は、光源中心位置の放射強度を100としたときの相対放射強度を示している。つまり、図3において、50の楕円は、放射強度が光源中心位置に対して50%となる箇所を結んだ等放射強度線を示している。30の楕円、20の楕円、10の楕円も同様である。
【0023】
一例の配光分布特性は、X軸方向において放射強度の広がりのある楕円配光である。このような楕円配光は、例えば、楕円配光の光源(ランプやLED)を採用することで実現され得る。ここでの楕円配光の光源とは、光源から照射される光の配光が楕円となる光源のことを指す。または、楕円配光は、複数の光源(ランプやLED)を特定の配置とすることによっても実現され得る。つまり、紫外線照射部から楕円配光の光が照射されるように、複数の光源を配置することで実現され得る。例えば、楕円配光は、複数の光源を長方形状又は楕円状に配置することで実現され得る。この場合には、光源は必ずしも楕円配光の光源でなくてもよい。また、楕円配光は、照射面で楕円配光となることで実現され得る。例えば、紫外線照射部103から照射される光が非楕円配光の場合でも、照射面に高低差がある場合、位置が高い箇所に入射する紫外線強度が高くなり、位置が低い箇所に入射する紫外線強度が低くなることで、照射面において楕円配光となる。例えば、照射対象が椅子の場合、座面に対して背もたれやひじ掛けは位置が高いため、照射される紫外線の強度は座面より高くなる。このように照射対象物の形状により楕円配光が実現されてもよい。
【0024】
また、図3は、X軸方向において広がりのある楕円配光の例を示している。一方で、実施形態における光源の配光分布特性は、必ずしもX軸方向において放射強度の広がりのある楕円配光である必要はない。すなわち、実施形態における光源の配光分布特性は、Y軸方向において放射強度の広がりのある楕円配光であってもよい。さらには、実施形態における光源の配光分布特性は、楕円配光でなくてもよい。実施形態における光源の配光分布特性は、半楕円の配光分布特性、略長方形の配光分布特性等であってもよい。この他、実施形態における光源の配光分布特性は、X軸又はY軸に対して非対称の配光分布特性であってもよい。つまり、実施形態における光源の配光分布特性は、少なくとも一の方向に偏って放射強度の広がりのある特性であれば任意の配光特性であってよい。
【0025】
ここで、紫外線照射部103が筐体101の下部に設けられる場合、移動体1が地上にある基地に帰還するために着陸した際に紫外線照射部103が床面や基地等と接触する可能性がある。このような移動体1の着陸時における紫外線照射部103の接触を避けるために、筐体101に脚部101aが設けられていてもよい。一方で、基地等が天井にあって紫外線照射部103の接触がないことが保証される場合には筐体101に脚部101aが設けられていなくてもよい。
【0026】
検知部104は、屋内の汚染箇所や、汚染可能性箇所(汚染されている可能性がある箇所)の位置等を検知する。以下、検知部104は、汚染箇所を検知するものとして説明する。検知部104は、例えばカメラであり、屋内の汚染箇所としての椅子2の位置、形状等を検知するための画像を取得する。検知部は、汚染箇所の位置、形状等を検知することができればカメラに限定されるものではない。例えば、人が椅子2に座っている状況であれば、赤外線センサ等の人感センサが検知部104として用いられることにより、人感センサによって検知される人の居る位置が汚染箇所として特定され得る。
【0027】
図4は、移動体1の一例の構成を示すブロック図である。一例の移動体1は、制御部201と、ロータ駆動部202と、点灯駆動部203と、通信部204と、電源部205とを有する。
【0028】
制御部201は、移動体1の全体的な制御を実施する。制御部201は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal processor)等である。記憶媒体は、プロセッサによって実行される移動体1の制御のためのプログラム等を記憶する。記憶媒体は、半導体メモリ等であってよい。プロセッサ及び記憶媒体は、それぞれ1つずつであってもよいし、複数であってもよい。
【0029】
ロータ駆動部202は、ロータ102を回転させるための駆動機構及びこの駆動機構を動作させるための駆動回路を含む。駆動機構は、モータ等を備える。ロータ駆動部202は、制御部201からの制御指令に応じてそれぞれのロータ102を個別に回転させることで移動体1を任意の方向に移動させる。ロータ駆動部202は、ロータ102の向きを変えるための調整機構及び調整機構を動作させるための駆動回路をさらに有していてもよい。調整機構は、モータ等を備える。調整機構を有していていることにより、ロータ駆動部202は、制御部201からの制御指令に応じてそれぞれのロータ102の向きを変えることにより、移動体1のより複雑な姿勢の調整をし得る。
【0030】
点灯駆動部203は、紫外線照射部103の紫外線光源を点灯/消灯するための点灯回路を含む。点灯駆動部203は、制御部201からの制御指令に応じて紫外線光源を点灯又は消灯する。点灯駆動部203は、一定強度で紫外線光源を点灯させるように構成されていてよい。または、点灯駆動部203は、制御部201からの制御指令に応じた強度で紫外線光源を点灯させるように構成されていてもよい。
【0031】
通信部204は、移動体1と移動体1の外部機器との通信のための通信回路を含む。移動体1の外部機器は、例えば制御装置3である。制御装置3は、少なくとも移動体1の飛行方向を指示する装置である。制御装置3は、例えば、コンピュータ、スマートデバイスであってよい。この場合、制御装置3は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、CPU、GPU、ASIC、マイコン、FPGA及びDSP(Digital Signal processor)等である。記憶媒体は、記憶媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD等)、光磁気ディスク(MO等)、及び、半導体メモリ(USBメモリ、SSD等)等であってよい。制御装置3のプロセッサ及び記憶媒体はそれぞれ1つであってもよく、複数であってもよい。また、制御装置3は、移動体1のリモートコントローラであってもよい。この場合には、制御装置3は、ユーザの操作を受け付けるユーザインタフェースを備えていて、ユーザの操作に応じた信号を移動体1に送信する。ユーザインタフェースは、ボタン、スイッチ、ジョイスティック等であり得る。通信部204による制御装置3と移動体1との通信手法は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信であり得る。しかしながら、移動体1が飛行体でない場合等では、制御装置3と移動体1との通信手法として有線通信も採用され得る。
【0032】
電源部205は、移動体1の電源を含む。電源は、例えば二次電池であって図示しない基地からの電力によって充電され得る。また、電源部205は、変換回路を含む。変換回路は、電源の電圧を、ロータ102、紫外線照射部103、検知部104、制御部201、ロータ駆動部202、点灯駆動部203、通信部204のそれぞれの動作に必要な電圧に変換する回路である。変換回路は、DC/DC変換回路、DC/AC変換回路、AC/DC変換回路等を含むことができる。図4においては、電源部205は、1つしか記載されていないが、電源部205は複数設けられてもよい。その場合、それぞれの電源部205が電力を供給する先は別々であっても、共通であってもよい。例えば、電源部205が2つ設けられた場合、一方の電源部205は、ロータ駆動部202と、検知部104と、通信部204とへ電力を供給し、他方の電源部205は、点灯駆動部203と、紫外線照射部103へ電力を供給するように構成されてもよい。また、一方の電源部205は、ロータ駆動部202と、検知部104と、通信部204と、点灯駆動部203と、紫外線照射部103とへ電力を供給し、他方の電源部205は、ロータ駆動部202と、点灯駆動部203と、紫外線照射部103とへ電力を供給するように構成されてもよい。
【0033】
次に、移動体1の動作を説明する。図5は、移動体1の動作を示すフローチャートである。図5の処理は、制御部201によって制御される。ここで、以下の説明では、制御装置3は、リモートコントローラであるとする。つまり、移動体1は、ユーザの操作に従って飛行するものとする。
【0034】
図5の処理は、例えば移動体1の電源投入後や、移動体1が移動を開始(移動体1が飛行体の場合は離陸)した後に開始される。電源投入後のステップS1において、制御部201は、紫外線照射部103の光源を点灯するように点灯駆動部203に指令を出す。また、移動開始後のステップS1において、制御部201は、ロータ駆動部202へ動作を開始する指令を出すと同時に、もしくは、ロータ駆動部202へ動作を開始する指令を出した直後に、紫外線照射部103の光源を点灯するように点灯駆動部203に指令を出す。これを受けて、点灯駆動部203は、紫外線照射部103の光源に信号を出力して光源を点灯させる。
【0035】
ステップS2において、制御部201は、移動方向を判別する。移動方向は、制御装置3から指令される。ユーザは、移動体1を所望の方向に移動させるように制御装置3のユーザインタフェースを操作する。これを受けて制御装置3は、移動体1に対して移動指令を送信する。制御部201は、通信部204を介して受け取った移動指令に基づいて移動方向を判別する。ここで、移動方向は、移動体1が飛行体であれば飛行方向である。また、移動方向は、移動体1が自走移動体であれば、床面等に対する走行方向である。
【0036】
ステップS3において、制御部201は、判別した移動方向に光源の配光の広い方向を合わせるようにロータ駆動部202に対して指令を出す。これを受けて、ロータ駆動部202は、ロータ102の駆動機構及び/又は調整機構を駆動して移動体1の姿勢を調整する。
【0037】
図6は、実施形態における移動体1の移動方向と配光の方向との関係を示す図である。前述したように、移動体1は、例えば劇場に設けられた椅子2の除菌を実施する。ユーザは、椅子2の上を飛行するように制御装置3のユーザインタフェースを操作する。
【0038】
例えば、ユーザが図6に示す椅子2のグループ21の上空を飛行するようにユーザインタフェースを操作したとする。これを受けて、移動体1の制御部201は、移動体1の移動方向がD1であると判別する。
【0039】
ここで、実施形態における紫外線照射部103の光源は、少なくとも一部の方向に偏って放射強度の広がりのある特性を有している。したがって、移動方向と配光領域Rにおける配光の広い方向とを合わせることにより、短時間で所望の汚染箇所への紫外線の照射が行われ得る。
【0040】
例えば、図6に示すような楕円配光の場合には、配光領域Rにおける長軸を移動方向D1と一致させる。制御部201は、配光領域Rにおける長軸が移動方向D1と一致するようにロータ駆動部202に対して姿勢調整の指令をする。
【0041】
椅子2のグループ21の除菌が終わった場合には、ユーザは、別の椅子2のグループ22の除菌を実施すべく、ユーザインタフェースを操作する。これを受けて、移動体1の制御部201は、移動体1の移動方向がD2であると判別する。この場合、制御部201は、配光領域Rにおける長軸が移動方向D2と一致するようにロータ駆動部202に対して姿勢調整の指令をする。
【0042】
図6で示した例は、楕円配光の例であるが、楕円配光以外の場合も同様である。例えば、半楕円の配光分布特性の場合も、制御部201は、配光領域における長軸方向が移動方向と一致するように移動体1の姿勢を調整する。また、略長方形の配光分布特性の場合は、制御部201は、配光領域における長辺方向が移動方向と一致するように移動体1の姿勢を調整する。
【0043】
ここで、図5の説明に戻る。ステップS4において、制御部201は、移動体1の移動を移動させるようにロータ駆動部202に対して指令を出す。これを受けて、ロータ駆動部202は、ロータ102の駆動機構を駆動して移動体1を移動させる。このとき、制御部201は、検知部104によって収集される画像等の情報から、移動体1が正しく移動しているか否かを判定し、移動体1の移動方向がずれている場合には、ロータ駆動部202に対して移動方向を調整するように指令してよい。
【0044】
ステップS5において、制御部201は、動作を終了するか否かを判定する。例えば、図示しない基地に帰還したことが判定されたときに動作を終了すると判定される。ステップS5において、動作を終了すると判定されていないときには、処理はステップS2に戻る。ステップS5において、動作を終了すると判定されたときには、処理はステップS6に移行する。
【0045】
ステップS6において、制御部201は、紫外線照射部103の光源を消灯するように点灯駆動部203に指令を出す。これを受けて、点灯駆動部203は、紫外線照射部103の光源に信号を出力して光源を消灯させる。その後、図5の処理は終了する。
【0046】
以上説明したように実施形態によれば、移動体に備えられた紫外線の光源は、少なくとも一の方向に偏って放射強度の広がりのある配光分布特性を有している。そして、移動体の移動方向と配光の広い方向とが一致するように移動体の姿勢が調整される。これにより、移動方向と配光領域Rにおける配光の広い方向とを合わせることにより、短時間で所望の汚染箇所への紫外線の照射が行われ得る。結果として、汚染箇所の処理が効率よく実施される。
【0047】
ここで、少なくとも一の方向に偏って放射強度の広がりのある配光分布特性を有するようにするため、複数の光源が楕円状、長方形状等で配置され得る。複数の光源が楕円状、長方形状等で配置される場合、移動体1の脚部101a等を配置するためのスペースが確保され得る。複数の光源が、1行配置される等していれば、移動体1の脚部101a等を配置するためのスペースはより確保され得る。
【0048】
また、図4の例では、制御装置3は、リモートコントローラであるとされているが、制御装置3は、コンピュータ、スマートデバイス等であってもよい。この場合、制御装置3は、予め移動経路を移動体1に対して通知しておくこともできる。移動体1の移動経路が通知されている場合であっても、図5の動作は適用され得る。つまり、制御部201は、制御装置3から通知された移動経路に従って現在の移動体1の移動方向を判別し、判別した移動方向に光源の配光の広い方向を合わせるようにロータ駆動部202に対して指令を出してよい。さらに、制御装置3がコンピュータ、スマートデバイスである場合には、制御装置3は、移動経路から移動体1の移動方向を判別し、判別したから移動体の移動方向と配光の広い方向とが一致するように移動体の姿勢を判別し、判別した移動方向と姿勢に基づいて移動体1に対して移動指令を送信してもよい。この場合、制御装置3が制御部201の一部の動作を実施することになる。
【0049】
さらに、移動体1は、制御装置3からの移動方向の指令によらずに自律的に移動方向を決定してもよい。例えば、移動体1の制御部201は、実際の除菌に先立って、劇場等の屋内を移動(飛行)し、検知部104によって屋内の情報を収集する。そして、制御部201は、収集した屋内の情報から屋内における汚染箇所や汚染可能性箇所を特定し、特定した箇所に対して処理を行うことが可能なように移動経路を決定してよい。汚染箇所の特定に際して、制御部201は、収集した屋内の情報から汚染箇所や汚染可能性箇所の形状や配置を特定し、形状や配置に応じて移動経路を決定してもよい。例えば、図6では椅子2のグループ21、22は略長方形状に配列されている。この場合、制御部201は、長方形状の椅子2のグループ21、22それぞれの長辺方向に沿って移動体1が移動するように移動経路を決定してよい。つまり、制御部201は、汚染箇所の形状の長尺の方向と移動方向とが一致するように移動経路を決定してよい。この場合、光源の配光の広い方向も汚染箇所の形状の長尺の方向と一致することになる。したがって、汚染箇所への紫外線の照射が短時間で完了することが期待される。なお、検知部104で検知した結果に基づいて移動経路や移動時の移動体の向きが決定される場合は、検知部104によって検知された照射対象が存在しない領域(例えば、椅子2のグループ21とグループ22の間)を移動する間は、移動方向と、配光が広い方向と、を一致させなくてもよい。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1…移動体、2…椅子、3…制御装置、101…筐体、101a…脚部、102…ロータ、103…紫外線照射部、104…検知部、201…制御部、202…ロータ駆動部、203…点灯駆動部、204…通信部、205…電源部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6