(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011956
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】ロボット及びロボットシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20240118BHJP
B25J 15/04 20060101ALI20240118BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240118BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B25J15/00 D
B25J15/04 C
B25J13/00 Z
B25J15/08 M
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114325
(22)【出願日】2022-07-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000154990
【氏名又は名称】株式会社牧野フライス製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】谷川 直純
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707BS10
3C707CY36
3C707DS06
3C707DS10
3C707ES03
3C707ES04
3C707ET08
3C707ET10
3C707EU01
3C707EV05
3C707GS03
3C707GS04
3C707HS27
3C707KS07
3C707KT01
3C707LV02
3C707LV06
3C707LV15
3C707MT10
(57)【要約】
【課題】ロボットハンドのアクチュエータを極力小さくし、搬送物の重量に依存しない、コンパクトなロボットハンドとロボットシステムの提供すること。
【解決手段】ロボットシステムにおいて、ロボットアーム40と、その先端に第1の回転軸線300回りに回転可能に設けられたロボットハンド60と、ロボットハンド60のベース62に設けられ第1の回転軸線300に平行に延びる第1のフィンガ68と、ロボットハンド60のベース62に移動可能に設けられ、第1の回転軸線300に直交する方向に移動するフレーム88と、フレーム88に設けられ第1の回転軸線300に平行に延びる第2のフィンガ72と、搬送物45の第1の穴に第1のフィンガ68を挿入し、かつ、第2の穴に第2のフィンガ72を挿入し、ロボットハンド60を回転させることにより搬送物45を回転させる制御を行う制御装置200と、を具備する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物に係合する複数のフィンガをロボットハンドに有し該搬送物を移動するロボットシステムにおいて、
ロボットアームと、
前記ロボットアームの先端に第1の回転軸線回りに回転可能に設けられたロボットハンドと、
前記複数のフィンガの一つであって、前記ロボットハンドのベースに設けられ前記第1の回転軸線に平行な方向に延びる第1のフィンガと、
前記ロボットハンドのベースに移動可能に設けられ、前記第1の回転軸線に直交する方向に移動するフレームと、
前記複数のフィンガの一つであって、前記フレームに設けられ前記第1の回転軸線に平行な方向に延びる第2のフィンガと、
前記搬送物に設けられた第1の穴に前記第1のフィンガを挿入し、該搬送物に設けられた第2の穴に前記第2のフィンガを挿入し、前記第1の回転軸線回りに前記ロボットハンドを回転させることにより該搬送物を回転させる制御を行う制御装置と、
を具備することを特徴としたロボットシステム。
【請求項2】
前記第1のフィンガは円筒形状であり、該円筒の軸線は前記第1の回転軸線と一致し、前記制御装置は前記第1の回転軸線を水平の状態にして搬送物を持ち上げ、前記ロボットハンドを回転させる請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記ロボットハンドはベースと、フレームと、前記ベースと前記フレームの間に設けられ、前記ベースに対する前記フレームの移動を案内する直動案内装置と、前記ベースに対し前記フレームを移動する送り機構とを有している請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記送り機構が、該直動案内装置に沿って該フレームに設けられたボールねじと、前記ボールねじに係合し、前記ベースに設けられたボールねじナットと、該ボールねじを駆動するフィンガ開閉サーボモータとで構成された請求項3に記載のロボットシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のロボットを2台用い、前記搬送物の両側に該ロボットを配置し、前記搬送物の両側面に形成されたそれぞれ2つの穴に前記2台のロボットの第1のフィンガと第2のフィンガを挿入し、前記制御装置は、前記2台のロボットを同時に制御し該搬送物を回転させる搬送ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の移動や姿勢の転回を行うロボット及びそのロボットを用いたロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットハンドが複数の指を有し、電動のアクチュエータにより複数の指の開閉動作を行うことで搬送物等の把持を行う発明が開示されており、1つのアクチュエータで2本の指の開閉動作を連動させるロボットハンドが開示されている。特許文献2には、自動車の製造工程における自動車のドアの把持装置及び方法に関する双腕ロボットの発明が開示されている。双腕ロボットの腕の先端にはそれぞれ第1把持治具及び第2把持治具を備えている。第1把持治具は2つのドアパッドを有し、2つのドアパッドの間隔を把持するドアの種類、寸法に応じて可変させる機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-159999号公報
【特許文献2】特開2012-140022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようにロボットハンドが複数の指を有し、それらの指がアクチュエータにて連動する場合、搬送物を把持する指の姿勢が変化すると、搬送物の重量が全ての指の動作に影響を与える。2本の指が開閉するロボットハンドの場合、2本の指で搬送物を把持し、2本の指が上下に位置する姿勢になると、下側の指に搬送物の重量が作用して、下側の指を開く方向の力が作用する。すると、上側の指にも連動して開く方向の力が作用するため、把持力が減少する。このとき、搬送物を落としてしまうリスクがある。例えば、重量搬送物を把持する場合は、さらにリスクが高まる。このようなリスクを回避するために大型な剛性の高いロボットハンドを使用したり、能力の大きなアクチュエータを用いる必要があるため、ロボットハンド自体の構造が大型になり、重量が増えるため、ロボットにおける可搬重量が小さくなる問題があった。
【0005】
本発明は、前述した従来技術の課題を解決するために、アクチュエータで開閉動作するフィンガを有するロボットハンドで搬送物を保持し、該搬送物を転回させるロボットにおいて、ロボットハンドのフィンガ開閉アクチュエータの大きさを極力小さくし、可搬重量を大きくできるロボット及びロボットシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の目的を達成するため、本発明によれば、搬送物に係合する複数のフィンガを有し搬送物を移動するロボットにおいて、ロボットアームと、ロボットアームの先端に第1の回転軸線回りに回転可能に設けられたロボットハンドと、複数のフィンガの一つであって、ロボットハンドのベースに設けられ第1の回転軸線に平行な方向に延びる第1のフィンガと、ロボットハンドのベースに移動可能に設けられ、第1の回転軸線に直交する方向に移動するフレームと、複数のフィンガの一つであって、フレームに設けられ第1の回転軸線に平行な方向に延びる第2のフィンガと、搬送物に設けられた第1の穴に第1のフィンガを挿入し、搬送物に設けられた第2の穴に第2のフィンガを挿入し、第1の回転軸線回りにロボットハンドを回転させることにより該搬送物を回転させる制御を行う制御装置と備えたロボットシステムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ロボットハンドで把持した搬送物を、第1のフィンガを支点に転回させるとき、搬送物の重量は第1のフィンガ,第2のフィンガ及びのフレームを介してロボットの手首部が受ける。つまり搬送物を持ち上げ、転回させるときにかかる搬送物の重力方向の負荷をフィンガ開閉サーボモータには与えない。ロボットの荷重支持能力、並びに手首部、第1のフィンガ,第2のフィンガ及びフレームの剛性は、把持する搬送物の重量に相応する大きさにする必要はあるが、フィンガ開閉サーボモータの駆動能力は、少なくとも第2のフィンガを第1のフィンガに対して接近、離反させる能力だけあれば良い。従って、フィンガ開閉サーボモータを極力小さくすることができ、ロボットハンドを小型、軽量化することが可能となる。また、小型、軽量化したロボットハンドでも重量の大きな搬送物を移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るロボットの概略図を示す。
【
図2a】
図2aは、本実施形態に係るロボットハンドの側面図である。
【
図2b】
図2bは、本実施形態に係るロボットハンドの正面図である。
【
図3】
図3の(a)~(d)は、本実施形態に係るロボットが搬送物を転回させるときの状態変化を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係るロボットを2台用いて、搬送物を把持し転回させるロボットシステムの概略図である。
【
図6】
図6は、ロボットハンドで搬送物を移動させる形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係るロボット及びロボットシステムを説明する。理解を容易にするために、図の縮尺を変更して説明する場合がある。
【0010】
本願発明の一実施形態に係るロボットについて、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係るロボット1は、
図1に示すように、床面に設置される旋回ベース10、旋回部20、第1アーム30、ロボットアーム40、手首部50,ロボットハンド60を備えている。
【0011】
旋回部20は、旋回ベース10に鉛直軸線回りに旋回可能に支持されている。第1アーム30は、旋回部20に前後に回動可能に設けられ、ロボットアーム40は、第1アーム30に対して上下に回動可能に設けられている。ロボットアーム40の先端部には、ロボットアーム40に対して上下に回動可能に設けられた手首部50を有し、さらに、手首部50に対して回転可能に設けられたロボットハンド60、ロボット1を制御する制御装置200を有する。
【0012】
ロボットハンド60は、ベース62、フレーム88、フィンガ開閉サーボモータ64、クランプ用アクチュエータ66、第1のフィンガ68、チャック装置70、第2のフィンガ72を有する。
【0013】
図2aは、本実施形態に係る2つのフィンガを有したロボットハンド60の側面図を示し、
図2bは、本実施形態に係るロボットハンド60の正面図を示し、
図2cは
図2aのA-A断面図を示している。図中には、ロボットの1つの構成要素である手首部50と、手首部50の先端に、手首部50の第1の回転軸線300回りに回転可能に設けられたロボットハンド60と、ベース62に設けられるガイドブロック82、及びボールねじナット29と、ガイドブロック82に係合するレール84と、レール84が固定されるフレーム88と、フレーム88に設けられるフィンガ開閉サーボモータ64と、フィンガ開閉サーボモータ64と連結されているボールねじ28と、フレーム88に設けられたクランプ用アクチュエータ66によって着脱可能にクランプされる第1のフィンガ68と、フレーム88に設けられる第2のフィンガ72を示す。本実施形態では、第1のフィンガ68のシャンク68aはテーパ形状を有するが、これに限らず、ストレート形状や六角形状等であってもよい。
【0014】
直動案内装置を構成するガイドブロック82はレール84を支え、レール84は軸線方向に沿って前後に移動する。本実施形態では、ベース62に対してフレーム88を移動させる送り機構として、ボールねじ28と、ボールねじナット29と、アクチュエータであるフィンガ開閉サーボモータ64を用いた形態で説明する。フィンガ開閉サーボモータ64は、ボールねじ28を回転駆動し、フレーム88を移動させる。ボールねじ28を回転させることで、第2のフィンガ72を第1のフィンガ68に対して、接近、離反させるまた、送り機構は流体圧シリンダを用いた駆動機構で、ベース62に対してフレーム88を移動させてもよい。
【0015】
第1のフィンガ68は、ロボットハンド60に設けられているクランプ用アクチュエータ66によってクランプされている。第1のフィンガ68は、ロボットハンド60のベース62を介してロボット1の手首部50に連結されている。搬送物45を保持する場合、搬送物45の保持穴47に挿入される第1のフィンガ68は円筒形状が好ましく、第1の回転軸線300と同軸である。また、保持穴47の形状については円形に限らず種々の形状が考えられるが、好ましくは円形がよい。第2のフィンガ72は、フレーム88に取り付けられており、拡縮可能な三つ爪を有するフィンガが好ましい。なお、搬送物45に設けられた保持穴47の位置および2つの保持穴47の間隔は、制御装置200に記憶されており、記憶された位置及び間隔に基づいてロボットハンド60の位置決めと第1のフィンガ68と第2のフィンガ72の間隔の制御が行われる。保持穴47の位置および2つの保持穴47の間隔は、予めロボットをティーチングして記憶させてもよいし、数値制御プログラムとして制御装置200に入力して記憶させてもよい。
【0016】
図3は、ロボットハンド60で搬送物45の転回を行う際の状態変化を示すフロー図であり、その手順を説明する。
図3(a)は、ロボットの近傍に台車100によって搬送物45を水平姿勢で運搬する。第1のフィンガ68と第2のフィンガ72の間隔をフィンガ開閉サーボモータ64で保持穴47の間隔に合わせ、第2のフィンガ72の直径を縮径して、第1のフィンガ68と第2のフィンガ72を保持穴47へ挿入する。挿入後は、フィンガ開閉サーボモータ64への給電をオフする。第1のフィンガ68の外径は、保持穴47の内径より若干小さく作られており、第1のフィンガ68と保持穴47との間には隙間がある。
図3(b)は、第2のフィンガ72を拡径して保持穴47へ接触させ、ロボットハンド60を上昇させて搬送物45を水平姿勢のまま持ち上げる。このとき、フィンガ開閉サーボモータ64に負荷を与えないよう、フィンガ開閉サーボモータ64への給電をオフのままにする。
【0017】
図3(c)は、第1のフィンガ68を支点とした搬送物45の転回を示す図であり、図中に示すように第1のフィンガ68と第2のフィンガ72で搬送物45を持ち上げる力をフレーム88の移動方向とその垂直方向に分解した分力で示す。第1のフィンガ68は、持ち上げ力P1に対する第1分力P11と、第2分力P12が作用する。一方、第2のフィンガ72は、持ち上げ力P2に対する第1分力P21と、第2分力P22が作用する。
【0018】
図3(c)では、ロボット1の手首部50を回転駆動させ、搬送物45を垂直にする。保持穴47に両フィンガ68、72が挿入された状態で搬送物45の姿勢を転回させていくと、前記隙間に起因する第1のフィンガ68と第2のフィンガ72間の距離の変化により、分力P22は、分力P12と共に、第1の円筒フィンガ68で支持することになる。このとき、分力P21は、フレーム88、レール84、ガイドブロック82を介してベース62が支持する。分力P11,P12は、第1のフィンガ68を固定しているベース62が支持する。このような動作を行うことによって、搬送物45の重量は、ベース62だけで受けることになる。搬送物45の姿勢が垂直に近づくに従って、第1のフィンガ68と保持穴47との隙間のため、第1のフィンガ68と第2のフィンガ72との間隔が徐々に広がるが、フィンガ開閉サーボモータ64への給電をオフしているのでフィンガ開閉サーボモータ64には負荷を与えない。結局、分力P22は第2のフィンガ72では支持されず、第1のフィンガ68で支持することになる。第2のフィンガ72に作用する分力P21によるモーメント荷重は、フレーム88を介してベース62が支持する。従って、搬送物45の転回49の動作中は、ベース62だけで搬送物45の重量を受けることになる。
【0019】
図3(d)は、搬送物45が垂直姿勢のとき、第1のフィンガ68のみで搬送物45の重量を支持し、搬送物45を台車100にのせる。第2のフィンガ72を収縮させ、両フィンガを搬送物45から抜く。以上で、ロボットハンド60で搬送物45を転回する作業が完了する。
【0020】
上述した、フィンガ開閉サーボモータ64は、フィンガ開閉サーボモータ64の給電をオン/オフ制御することに代えて、トルクリミッタ付きモータを採用してもよい。トルクリミッタ付きモータとは、過負荷に対する安全機能を備えたサーボモータであり、予め設定された値を超える負荷トルクがモータ軸に作用すると切断し、負荷トルクが設定値に戻ると接続するクラッチ付モータ等がある。
【0021】
図4に示すように、ロボットを第1のロボット51、第2のロボット54として2台用いるときは、搬送物45の両側にそれぞれ対向配置され、ロボット制御装置200により、該2台の第1のロボット51、第2のロボット54の同期制御をおこなうことで、該搬送物45の重力方向の転回を行う。第1のロボット51と第2のロボット54は、それぞれ、第1のロボットハンド52と第2のロボットハンド56を有する。搬送物45が大型ではなく、長さは同程度だが厚みが薄い場合は、第1のロボット51だけで転回を行うことができる。
なお、本実施形態に限らず、ロボットハンドは、加工機に載置されているワークを反転させる作業や、素材、加工後のワークを台車に載置させる場合、予めロボットハンドで素材やワークの姿勢を変えた上で素材、ワークを台車に載置することができる。
【0022】
図5,6に示すように、第1のフィンガ68と第2のフィンガ72は、保持する搬送物45に応じた複数種類のフィンガと交換することができる。第1のフィンガ68を取り外し、フィンガクランプ装置39のテーパ穴41に交換フィンガ110のシャンク92を挿入し、クランプ用アクチュエータ66によって交換フィンガ110を把持することでフィンガの交換を行う。第2のフィンガ72は、チャック装置70の内蔵アクチュエータで第2のフィンガ72の爪を拡径させて交換したい交換フィンガを挿入し、第2のフィンガ72の爪を縮径させることで交換フィンガ120のシャンク90を把持する。
【0023】
ロボットの近傍には、複数種類のフィンガを格納するためのフィンガラック150が設けられている。フィンガラック150に格納される複数種類のフィンガは、上述した円筒フィンガ以外にも、搬送物45の角部に係合するL形のフィンガ、例えば、
図5に示すような、第1のL形フィンガ110、第2のL形フィンガ120を備えている。また、第1のL形フィンガ110のシャンク92は、第1のフィンガ68のシャンクと同じテーパ形状を有している。
【0024】
図6では、
図5に示したフィンガラック150から、搬送物45に適応したフィンガに交換を行うことで一つの形状に限らず、異なる形状の搬送物45を移動させる実施例として、第1のL形フィンガ110、第2のL形フィンガ120で角形の搬送物45を移動する機械を示している。
【0025】
ロボットハンド60を上述のように構成したので、ボールねじ28、フィンガ開閉サーボモータ64の能力を最小限のものにできる。少なくとも、第1のフィンガ68及び第2のフィンガ72間の距離を無負荷状態で調整できるだけの能力でよい。つまり、ハンド開閉のアクチュエータを小型化できるため、ロボットハンド60を小型軽量化できる。そうすると、ロボットハンド60が軽量化された分、重い搬送物45を保持して転回等の処理を行うことができる。
【0026】
他の実施形態としては、ロボットハンド60にカメラ400を設置してもよい。カメラ400がある場合は、予め制御装置200に搬送物45の保持穴47の位置および2つの保持穴47の間隔を記憶させておかなくても、保持穴47を撮影することで、ロボットハンド60に対する保持穴47の相対位置および2つの保持穴47の間隔を制御装置200に取得することができる。撮影した結果から得られた2つの保持穴47の間隔に合致するように、第1のフィンガ68と第2のフィンガ72の間隔を変更すればよい。
【符号の説明】
【0027】
1 ロボット
39 フィンガクランプ装置
40 ロボットアーム
45 搬送物
50 手首部
51 第1のロボット
54 第2のロボット
60 ロボットハンド
62 ベース
64 フィンガ開閉サーボモータ
66 クランプ用アクチュエータ
68 第1のフィンガ
72 第2のフィンガ
150 フィンガラック
200 制御装置
400 カメラ
【手続補正書】
【提出日】2023-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物に係合する複数のフィンガをロボットハンドに有し該搬送物を移動するロボットシステムにおいて、
ロボットアームと、
前記ロボットアームの先端に第1の回転軸線回りに回転可能に設けられたロボットハンドと、
前記複数のフィンガの一つであって、前記ロボットハンドのベースに設けられ前記第1の回転軸線に平行な方向に延びる第1のフィンガと、
前記ロボットハンドのベースに移動可能に設けられ、前記第1の回転軸線に直交する方向に移動するフレームと、
前記複数のフィンガの一つであって、前記フレームに設けられ前記第1の回転軸線に平行な方向に延びる第2のフィンガと、
前記搬送物に設けられた第1の穴に前記第1のフィンガを挿入し、該搬送物に設けられた第2の穴に前記第2のフィンガを挿入し、前記第1の回転軸線回りに前記ロボットハンドを回転させることにより該搬送物を回転させる制御を行う制御装置と、
を具備し、
前記第1のフィンガは円筒形状であり、該円筒の軸線は前記第1の回転軸線と一致し、前記制御装置は前記第1の回転軸線を水平の状態にして搬送物を持ち上げ、前記ロボットハンドを回転させることを特徴としたロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボットハンドはベースと、フレームと、前記ベースと前記フレームの間に設けられ、前記ベースに対する前記フレームの移動を案内する直動案内装置と、前記ベースに対し前記フレームを移動する送り機構とを有している請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記送り機構が、該直動案内装置に沿って該フレームに設けられたボールねじと、前記ボールねじに係合し、前記ベースに設けられたボールねじナットと、該ボールねじを駆動するフィンガ開閉サーボモータとで構成された請求項2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のロボットを2台用い、前記搬送物の両側に該ロボットを配置し、前記搬送物の両側面に形成されたそれぞれ2つの穴に前記2台のロボットの第1のフィンガと第2のフィンガを挿入し、前記制御装置は、前記2台のロボットを同時に制御し該搬送物を回転させる搬送ロボットシステム。