(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119564
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電池内部インピーダンス測定治具、測定システムおよび測定方法
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20240827BHJP
G01R 27/06 20060101ALI20240827BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20240827BHJP
【FI】
G01R27/02 A
G01R27/06
G01R31/389
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026557
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 司
(72)【発明者】
【氏名】石垣 将紀
【テーマコード(参考)】
2G028
2G216
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BE04
2G028CG08
2G028CG15
2G216BA51
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、電池の内部インピーダンスを測定する際の誤差を低減することである。
【解決手段】2点接触治具14bは、電池16の正極20pに共通に接触させる第1治具電極52-1および第2治具電極52-2と、第1治具電極52-1に接続された第1コネクタ41と、第2治具電極52-2に接続された第2コネクタ42と、を備えている。第1コネクタ41および第2コネクタ42との間には、第1コネクタ41と第2コネクタ42との間の伝送特性を測定する測定装置が接続される。第1コネクタ41と第2コネクタ42との間の伝送特性は、Sパラメータによって表される特性であり、測定装置は、コンピュータ10およびネットワークアナライザ12によって構成される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が有する1つの電池電極に共通に接触させる第1電極および第2電極と、
前記第1電極に接続された第1端子と、
前記第2電極に接続された第2端子と、を備え、
前記第1端子および前記第2端子には、
前記第1端子と前記第2端子との間の伝送特性を測定する測定装置が接続されることを特徴とする電池内部インピーダンス測定治具。
【請求項2】
請求項1に記載の電池内部インピーダンス測定治具であって、
前記第1電極および前記第2電極と、
前記第1電極から引き出された第1導体パターンと、
前記第2電極から引き出された第2導体パターンと、を備える基板を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、
ギャップを隔てて隣接し、
前記第1端子には、前記第1導体パターンを介して前記第1電極が接続され、
前記第2端子には、前記第2導体パターンを介して前記第2電極が接続されていることを特徴とする電池内部インピーダンス測定治具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のインピーダンス測定治具と、
前記測定装置と、を備え、
前記測定装置は、
前記第1端子と、前記第2端子との間の透過係数を測定する処理と、
測定された前記透過係数をシャントスルー法の透過係数として用いることで、前記シャントスルー法に基づき、前記電池の内部インピーダンスを測定する処理と、を実行することを特徴とする電池内部インピーダンス測定システム。
【請求項4】
請求項3に記載の電池内部インピーダンス測定システムであって、
前記測定装置は、
前記第1端子における反射係数S11を測定する処理と、
前記第2端子における反射係数S22を測定する処理と、
前記透過係数として、前記第1端子から前記第2端子への透過係数S21と、前記第2端子から前記第1端子への透過係数S12とを測定する処理と、
前記透過係数S21、前記透過係数S12、前記反射係数S11、および前記反射係数S22に基づいて、前記電池の内部インピーダンスを求める処理と、を実行することを特徴とする電池内部インピーダンス測定システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の電池内部インピーダンス測定システムであって、
直列に接続された複数の前記電池のそれぞれに前記電池内部インピーダンス測定治具が装着され、
前記電池内部インピーダンス測定システムは、
複数の前記電池に対応する複数の前記電池内部インピーダンス測定治具のうちの1つを、ユーザの操作によって選択し、選択された前記電池内部インピーダンス測定治具が備える前記第1端子および前記第2端子を前記測定装置に接続するセレクタを備えることを特徴とする電池内部インピーダンス測定システム。
【請求項6】
第1端子および第2端子を備える測定治具に電池を装着することと、
前記第1端子と、前記第2端子との間の透過係数を測定することと、
測定された前記透過係数をシャントスルー法の透過係数とすることで、前記シャントスルー法に基づき、前記電池の内部インピーダンスを測定することと、を含み、
前記測定治具は、
前記電池が装着されたときに、前記電池が有する1つの電池電極に共通に接触する第1電極および第2電極を備え、
前記第1端子および前記第2端子は、それぞれ、前記第1電極および前記第2電極に接続されていることを特徴とする電池内部インピーダンス測定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の電池内部インピーダンス測定方法であって、
前記測定治具は、
前記第1電極および前記第2電極と、
前記第1電極から引き出された第1導体パターンと、
前記第2電極から引き出された第2導体パターンと、を備える基板を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、
ギャップを隔てて隣接し、
前記第1端子には、前記第1導体パターンを介して前記第1電極が接続され、
前記第2端子には、前記第2導体パターンを介して前記第2電極が接続されていることを特徴とする電池内部インピーダンス測定方法。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の電池内部インピーダンス測定方法であって、
前記第1端子における反射係数S11を測定し、
前記第2端子における反射係数S22を測定し、
前記透過係数として、前記第1端子から前記第2端子への透過係数S21と、前記第2端子から前記第1端子への透過係数S12とを測定し、
前記透過係数S21、前記透過係数S12、前記反射係数S11、および前記反射係数S22に基づいて、前記電池の内部インピーダンスを求める工程を含むことを特徴とする電池内部インピーダンス測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池内部インピーダンス測定治具、測定システムおよび測定方法に関し、特に、電池の電極と、電池内部インピーダンス測定治具の電極とを接触させる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車には電池が搭載される。また、太陽光発電システムは、発電された電気エネルギーを蓄えるための電池を備える。これらの電池については、使用前や点検の際に性能が評価されることがある。電池の性能を示す指標としては、内部インピーダンスがある。内部インピーダンスが所定の周波数帯域で測定され、内部インピーダンスに基づいて電池の性能、例えば、電池が劣化した度合いが評価される。
【0003】
以下の特許文献1には、信号線に対して並列または直列に被測定素子が接続された状態で信号線のSパラメータを測定し、測定されたSパラメータに基づいて被測定素子のインピーダンスを測定する方法および装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電池の内部インピーダンスを測定する場合、測定装置の端子と電池の電極との間の接触状態が良好でない場合、測定装置の端子と電池の電極との接触インピーダンスが無視できない値となってしまうことがある。これによって、測定によって得られた内部インピーダンスに誤差が含まれてしまう場合がある。
【0006】
本発明の目的は、電池の内部インピーダンスを測定する際の誤差を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電池内部インピーダンス測定治具は、電池が有する1つの電池電極に共通に接触させる第1電極および第2電極と、前記第1電極に接続された第1端子と、前記第2電極に接続された第2端子と、を備え、前記第1端子および前記第2端子には、前記第1端子と前記第2端子との間の伝送特性を測定する測定装置が接続されることを特徴とする。
【0008】
望ましくは、前記第1電極および前記第2電極と、前記第1電極から引き出された第1導体パターンと、前記第2電極から引き出された第2導体パターンと、を備える基板を備え、前記第1電極および前記第2電極は、ギャップを隔てて隣接し、前記第1端子には、前記第1導体パターンを介して前記第1電極が接続され、前記第2端子には、前記第2導体パターンを介して前記第2電極が接続されている。
【0009】
本発明は、前記インピーダンス測定治具と、前記測定装置と、を備え、前記測定装置は、 前記第1端子と、前記第2端子との間の透過係数を測定する処理と、測定された前記透過係数をシャントスルー法の透過係数として用いることで、前記シャントスルー法に基づき、前記電池の内部インピーダンスを測定する処理と、を実行することを特徴とする。
【0010】
望ましくは、前記測定装置は、前記第1端子における反射係数S11を測定する処理と、 前記第2端子における反射係数S22を測定する処理と、前記透過係数として、前記第1端子から前記第2端子への透過係数S21と、前記第2端子から前記第1端子への透過係数S12とを測定する処理と、前記透過係数S21、前記透過係数S12、前記反射係数S11、および前記反射係数S22に基づいて、前記電池の内部インピーダンスを求める処理と、を実行する。
【0011】
望ましくは、直列に接続された複数の前記電池のそれぞれに前記電池内部インピーダンス測定治具が装着され、前記電池内部インピーダンス測定システムは、複数の前記電池に対応する複数の前記電池内部インピーダンス測定治具のうちの1つを、ユーザの操作によって選択し、選択された前記電池内部インピーダンス測定治具が備える前記第1端子および前記第2端子を前記測定装置に接続するセレクタを備える。
【0012】
また、本発明は、第1端子および第2端子を備える測定治具に電池を装着することと、 前記第1端子と、前記第2端子との間の透過係数を測定することと、測定された前記透過係数をシャントスルー法の透過係数とすることで、前記シャントスルー法に基づき、前記電池の内部インピーダンスを測定することと、を含み、前記測定治具は、前記電池が装着されたときに、前記電池が有する1つの電池電極に共通に接触する第1電極および第2電極を備え、前記第1端子および前記第2端子は、それぞれ、前記第1電極および前記第2電極に接続されていることを特徴とする。
【0013】
望ましくは、前記測定治具は、前記第1電極および前記第2電極と、前記第1電極から引き出された第1導体パターンと、前記第2電極から引き出された第2導体パターンと、を備える基板を備え、前記第1電極および前記第2電極は、ギャップを隔てて隣接し、 前記第1端子には、前記第1導体パターンを介して前記第1電極が接続され、前記第2端子には、前記第2導体パターンを介して前記第2電極が接続されている。
【0014】
望ましくは、前記第1端子における反射係数S11を測定し、前記第2端子における反射係数S22を測定し、前記透過係数として、前記第1端子から前記第2端子への透過係数S21と、前記第2端子から前記第1端子への透過係数S12とを測定し、前記透過係数S21、前記透過係数S12、前記反射係数S11、および前記反射係数S22に基づいて、前記電池の内部インピーダンスを求める工程を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電池の内部インピーダンスを測定する際の誤差を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】本発明の実施形態に係る電池内部インピーダンス測定システムの構成を示す図である。
【
図1B】電池内部インピーダンス測定治具および電池を示す図である。
【
図2】シャントスルー法に従って供試素子のインピーダンスを測定する際の測定回路を示す図である。
【
図4】1点接触基板についての測定等価回路を示す図である。
【
図6】2点接触基板についての測定等価回路を示す図である。
【
図7】1点接触治具を用いて得られた測定インピーダンスの誤差と、2点接触治具を用いて得られた測定インピーダンスの誤差を示す図である。
【
図8A】圧力を変化させた場合における測定インピーダンスの測定結果を示す図である。
【
図8B】圧力を変化させた場合における測定インピーダンスの測定結果を示す図である。
【
図9】複数チャネル測定システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
各図を参照して本発明の各実施形態について説明する。複数の図面に示されている同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。また、本願の明細書および図面では、説明を簡略化するため、回路素子を示すアルファベットの符号は、その素子のインピーダンスを示す符号としても用いられる。また、本願の明細書における「上」「下」「左」「右」等の用語は、図面における方向を示す。これらの用語は説明の便宜上のものであり、各構成要素を配置する際の姿勢を限定するものではない。
【0018】
図1Aには、本発明の実施形態に係る電池内部インピーダンス測定システム100の構成が模式的に示されている。電池内部インピーダンス測定システム100は、コンピュータ10、ネットワークアナライザ12、および電池内部インピーダンス測定治具14を備えている。
図1Bには、電池内部インピーダンス測定治具14および電池16が示されている。
【0019】
電池内部インピーダンス測定治具14は、電池16の正極20pおよび負極20nに接触する。
図1Bに示されているように、電池内部インピーダンス測定治具14は、電池16に対して着脱自在である。電池内部インピーダンス測定治具14は、電池16の正極20pに共通に接続された第1コネクタ41および第2コネクタ42を備えている。第1コネクタ41および第2コネクタ42は、それぞれ、同軸ケーブル18および19を介してネットワークアナライザ12に接続されている。
【0020】
すなわち、一端に第1コネクタ41が接続された同軸ケーブル18の他端は、ネットワークアナライザ12の第1ポートP1に接続され、一端に第2コネクタ42が接続された同軸ケーブル19の他端は、ネットワークアナライザ12の第2ポートP2に接続されている。電池16の負極20nは、電池内部インピーダンス測定治具14において第1コネクタ41および第2コネクタ42のグランド導体に接続され、第1コネクタ41および第2コネクタ42のグランド導体は、それぞれに接続される同軸ケーブル18および19のシールド導体に接続されている。
【0021】
ネットワークアナライザ12は、第1コネクタ41と第2コネクタ42との間のSパラメータ(散乱パラメータ)を測定する。Sパラメータには、第1コネクタ41での反射係数S11、第2コネクタ42での反射係数S22、第1コネクタ41から第2コネクタ42への透過係数S21、および第2コネクタ42から第1コネクタ41への透過係数S12がある。Sパラメータが測定される周波数範囲は、例えば、100kHz~1GHzである。反射係数S11、透過係数S21、透過係数S12および反射係数S22は、ある周波数を指定した場合における大きさおよび位相回転量を示す複素数である。
【0022】
ネットワークアナライザ12は、Sパラメータをコンピュータ10に出力する。コンピュータ10は、Sパラメータに基づいて、例えば、後述するシャントスルー法に従って電池16の内部インピーダンスを求める。コンピュータ10は、Sパラメータや、Sパラメータから求められた内部インピーダンスを自らのディスプレイに表示してもよい。
【0023】
シャントスルー法について説明する。シャントスルー法では、インピーダンスを測定する対象となる供試素子が伝送線路に並列(シャント)に接続され、その伝送線路のSパラメータが測定される。さらに、その測定されたSパラメータに基づいて、供試素子のインピーダンスが求められる。Sパラメータが複素数で求められることから、供試素子のインピーダンスもまた複素数で求められる。
【0024】
図2には、シャントスルー法に従って供試素子Z
dのインピーダンスを測定する際の測定回路が示されている。このシャントスルー法測定回路102は、第1信号端子31s、第1グランド端子31g、供試素子Z
d、第2信号端子32sおよび第2グランド端子32gを備えている。伝送線路は、信号線51sおよびグランド線51gによって構成されている。第1信号端子31sと第2信号端子32sとの間は信号線51sによって接続され、第1グランド端子31gおよび第2グランド端子32gとの間はグランド線51gによって接続されている。供試素子Z
dは、信号線51sとグランド線51gとの間に接続されている。
【0025】
第1信号端子31sおよび第1グランド端子31gは、ネットワークアナライザ12の第1ポートP1に接続され、第2信号端子21sおよび第2グランド端子32gは、ネットワークアナライザ12の第2ポートP2に接続される。
図2に示されているシャントスルー法測定回路102では、第1信号端子31sと第1グランド端子31gとの間に、第1ポートP1に等価な入出力素子Z
a1が接続され、第2信号端子32sと第2グランド端子32gとの間に、第2ポートP2に等価な入出力素子Z
a1が接続されている。入出力素子Z
a1は、第1ポートP1における入出力インピーダンスZ
0を有し、入出力素子Z
a2は、第2ポートP2における入出力インピーダンスZ
0を有する。入出力インピーダンスZ
0は、例えば、50Ωである。
【0026】
ネットワークアナライザ12で求められる反射係数S11、透過係数S21、透過係数S12および反射係数S22は、供試素子ZdのインピーダンスZdおよびネットワークアナライザ12の第1ポートP1および第2ポートP2の入出力インピーダンスZ0を用いて(数1)~(数4)のように表される。
【0027】
【0028】
(数1)および(数2)から供試素子Zdの測定インピーダンスZmeasは、(数5)のように表される。また、(数2)に基づいて(数5)からS11を消去することで、(数6)が得られる。
【0029】
【0030】
コンピュータ10は、(数5)または(数6)に基づいて測定インピーダンスZmeasを求める。また、コンピュータ10は、ネットワークアナライザ12によって求められたSパラメータをディスプレイに表示し、ディスプレイに表示されたSパラメータをユーザが参照し、ユーザが別に所持する小型のコンピュータ等によって電池16の測定インピーダンスZmeasを求めてもよい。
【0031】
図3には、電池内部インピーダンス測定治具14が備える1点接触基板50が示されている。
図3(a)には、第1コネクタ41および第2コネクタ42が実装される表面(おもて面)が示されている。
図3(b)には、電池16の正極20pおよび負極20nが接触する裏面が示されている。1点接触基板50は絶縁板70を備えている。また、1点接触基板50は、治具電極52、第1導体パターン54、第2導体パターン56、第1コネクタ内導体パターン58、第2コネクタ内導体パターン60、グランド治具電極62、およびグランドパターン64を絶縁板70の表面に備えている。1点接触基板50は、さらに、治具電極52Bおよびグランド治具電極62Bを絶縁板70の裏面に備えている。
【0032】
1点接触基板50の表面について説明する。治具電極52からは、第1導体パターン54が左上側に引き出されており、その先端には第1コネクタ内導体パターン58が形成されている。治具電極52からは、さらに、第2導体パターン56が左下側に引き出されており、その先端には第2コネクタ内導体パターン60が形成されている。
【0033】
グランド治具電極62からは、グランドパターン64が右方向に延びている。グランドパターン64の右端では、第1コネクタグランド導体パターン66および第2コネクタグランド導体パターン68が形成されている。治具電極52、グランド治具電極62、第1コネクタ内導体パターン58、第2コネクタ内導体パターン60、第1コネクタグランド導体パターン66および第2コネクタグランド導体パターン68を除く領域は、レジスト等の絶縁体で覆われていてもよい。
【0034】
第1コネクタ内導体パターン58および第1コネクタグランド導体パターン66には、第1コネクタ41が実装される。第1コネクタ41に同軸ケーブル18が接続されることで、同軸ケーブル18の内導体が第1コネクタ内導体パターン58に接続され、同軸ケーブル18のシールド導体が第1コネクタグランド導体パターン66に接続される。第2コネクタ内導体パターン60および第2コネクタグランド導体パターン68には、第2コネクタ42が実装される。第2コネクタ42に同軸ケーブル19が接続されることで、同軸ケーブル19の内導体が第2コネクタ内導体パターン60に接続され、同軸ケーブル19のシールド導体が第2コネクタグランド導体パターン68に接続される。
【0035】
1点接触基板50の裏面について説明する。治具電極52Bの構造は、治具電極52の構造に対して鏡像(面対称)の関係にあり、絶縁板70を介して治具電極52に対向している。治具電極52Bは、スルーホールによって治具電極52に電気的に接続されている。グランド治具電極62Bの構造は、グランド治具電極62の構造に対し鏡像の関係にあり、絶縁板70を介して、グランド治具電極62に対向している。グランド治具電極62Bは、スルーホールによってグランド治具電極62に電気的に接続されている。
【0036】
1点接触基板50を備える電池内部インピーダンス測定治具14(以下、1点接触治具14aという)に電池16を装着した状態では、1点接触基板50の治具電極52Bが電池16の正極20pに接触し、1点接触基板50のグランド治具電極62Bが電池16の負極20nに接触する。この状態では、電池16の正極20pは、第1コネクタ41に接続された同軸ケーブル18の内導体に接続され、さらに、第2コネクタ42に接続された同軸ケーブル19の内導体に接続される。また、電池16の負極20nは、第1コネクタ41に接続された同軸ケーブル18のシールド導体に接続され、さらに、第2コネクタ42に接続された同軸ケーブル19のシールド導体に接続される。
【0037】
図4には、1点接触治具14aに電池16が装着されたときの等価回路が示されている。この測定等価回路104は、第1正極端子31p、第1負極端子31n、接触インピーダンス素子Z
c、内部インピーダンス素子Z
dut、第2正極端子32pおよび第2負極端子32nを備えている。第1正極端子31pと第2正極端子32pとの間は信号線51sによって接続されている。第1負極端子31nと第2負極端子32nとの間はグランド線51gによって接続されている。信号線51sとグランド線51gとの間には、直列に接続された接触インピーダンス素子Z
cおよび内部インピーダンス素子Z
dutが接続されている。
【0038】
第1正極端子31pは、第1コネクタ41の内導体に対応し、第1負極端子31nは、第1コネクタ41のグランド導体に対応する。第2正極端子32pは、第2コネクタ42の内導体に対応し、第2負極端子32nは、第2コネクタ42のグランド導体に対応する。
【0039】
接触インピーダンス素子Zcは、治具電極52Bと電池16の正極20pとの接触インピーダンスと、グランド治具電極62Bと電池16の負極20nとの接触インピーダンスとを加算したインピーダンスを有する。供試素子としての内部インピーダンス素子Zdutは、電池16の内部インピーダンスを有する。
【0040】
ネットワークアナライザ12で求められる反射係数S11、透過係数S21、透過係数S12および反射係数S22は、接触インピーダンスZc、電池16の内部インピーダンスZdutおよびネットワークアナライザ12の入出力インピーダンスZ0を用いて(数7)~(数10)のように表される。
【0041】
【0042】
(数7)~(数10)は、それぞれ、(数1)~(数4)におけるZdを、Zdut+Zcに置き換えたものに等しい。(数5)または(数6)に基づいて求められる測定インピーダンスZmeasは、電池16の実際の内部インピーダンスZdutに接触インピーダンスZcを加算したものとなり、測定インピーダンスZmeasには、接触インピーダンスZcの誤差が含まれる。すなわち、(数6)に(数8)の透過係数S21を代入して測定インピーダンスを求めると、(数11)のように測定インピーダンスZmeasが表される。
【0043】
【0044】
本発明の実施形態に係る2点接触治具14bでは、このような接触インピーダンスに基づく誤差が低減される。2点接触治具14bは、
図5に示された2点接触基板80を用いた電池内部インピーダンス測定治具14をいう。
図5(a)には、第1コネクタ41および第2コネクタ42が実装される表面が示されている。
図5(b)には、電池16の正極20pおよび負極20nが接触する裏面が示されている。2点接触基板80は、絶縁板70を備えている。また、2点接触基板80は、第1治具電極52-1、第2治具電極52-2、第1導体パターン54、第2導体パターン56、第1コネクタ内導体パターン58、第2コネクタ内導体パターン60、第1グランド治具電極62-1、第2グランド治具電極62-2、グランドパターン64-1およびグランドパターン64-2を絶縁板70の表面に備えている。また、2点接触基板80は、第1治具電極52B-1、第2治具電極52B-2、第1グランド治具電極62B-1、および第2グランド治具電極62B-2を絶縁板70の裏面に備えている。
【0045】
2点接触基板80の表面について説明する。第1治具電極52-1および第2治具電極52-2は、左右方向に延びるギャップ82によって、円形の導体板が分割された構造を有している。第1治具電極52-1および第2治具電極52-2は、左右方向に延びるギャップによって、多角形の導体板が分割された構造を有してもよい。第1治具電極52-1からは、第1導体パターン54が左上側に引き出されており、その先端に第1コネクタ内導体パターン58が形成されている。第2治具電極52-2からは、第2導体パターン56が左下側に引き出されており、その先端には第2コネクタ内導体パターン60が形成されている。
【0046】
第1グランド治具電極62-1および第2グランド治具電極62-2は、左右方向に延びるギャップ86によって、円形の導体板が分割された構造を有している。すなわち、第1グランド治具電極62-1および第2グランド治具電極62-2は、ギャップ86を隔てて隣接している。第1グランド治具電極62-1および第2グランド治具電極62-2は、左右方向に延びるギャップによって、多角形の導体板が分割された構造を有してもよい。第1グランド治具電極62-1からは、グランドパターン64-1が右方向に延びており、その先端には第1コネクタグランド導体パターン66が形成されている。第2グランド治具電極62-2からは、グランドパターン64-2が右方向に延びており、その先端には第2コネクタグランド導体パターン68が形成されている。また、グランドパターン64-1とグランドパターン64-2との間には、ギャップ84が形成されている。
【0047】
第1コネクタ内導体パターン58および第1コネクタグランド導体パターン66には、第1コネクタ41が実装される。第1コネクタ41に同軸ケーブル18が接続されることで、同軸ケーブル18の内導体が第1コネクタ内導体パターン58に接続され、同軸ケーブル18のシールド導体が第1コネクタグランド導体パターン66に接続される。第2コネクタ内導体パターン60および第2コネクタグランド導体パターン68には、第2コネクタ42が実装される。第2コネクタ42に同軸ケーブル19が接続されることで、同軸ケーブル19の内導体が第2コネクタ内導体パターン60に接続され、同軸ケーブル19のシールド導体が第2コネクタグランド導体パターン68に接続される。
【0048】
2点接触基板80の裏面について説明する。第1治具電極52B-1および第2治具電極52B-2の構造は、それぞれ、第1治具電極52-1および第2治具電極52-2の構造に対し鏡像の関係にある。第1治具電極52B-1および第2治具電極52B-2は、絶縁板70を介して、それぞれ、第1治具電極52-1および第2治具電極52-2に対向している。第1治具電極52B-1および第2治具電極52B-2は、それぞれ、スルーホールによって第1治具電極52-1および第2治具電極52-2に電気的に接続されている。
【0049】
第1グランド治具電極62B-1および第2グランド治具電極62B-2の構造は、それぞれ、第1グランド治具電極62-1および第2グランド治具電極62-2の構造に対し鏡像の関係にある。第1グランド治具電極62-1および第2グランド治具電極62-2は、絶縁板70を介して、それぞれ、第1グランド治具電極62-1および第2グランド治具電極62-2に対向している。第1グランド治具電極62B-1および第2グランド治具電極62B-2は、それぞれ、スルーホールによって第1グランド治具電極62-1および第2グランド治具電極62-2に電気的に接続されている。
【0050】
2点接触治具14bに電池16を装着した状態では、2点接触基板80の第1治具電極52B-1および第2治具電極52B-2が電池16の正極20pに共通に接触する。また、2点接触基板80の第1グランド治具電極62B-1および第2グランド治具電極62B-2が電池16の負極20nに共通に接触する。この状態では、電池16の正極20pは、第1コネクタ41に接続された同軸ケーブル18の内導体に接続され、さらに、第2コネクタ42に接続された同軸ケーブル19の内導体に接続される。また、電池16の負極20nは、第1コネクタ41に接続された同軸ケーブル18のシールド導体に接続され、さらに、第2コネクタ42に接続された同軸ケーブル19のシールド導体に接続される。
【0051】
このように、本発明の実施形態に係る2点接触治具14b(電池内部インピーダンス測定治具14)は、電池16が有する1つの電池電極、すなわち、正極20pに共通に接触させる第1治具電極52-1(第1電極)および第2治具電極52-2(第2電極)と、第1治具電極52-1に接続された第1コネクタ41(第1端子)と、第2治具電極52-2に接続された第2コネクタ42(第2端子)と、を備えている。第1コネクタ41および第2コネクタ42との間には、第1コネクタ41と第2コネクタ42との間の伝送特性を測定する測定装置が接続される。第1コネクタ41と第2コネクタ42との間の伝送特性は、Sパラメータによって表される特性であり、測定装置は、コンピュータ10およびネットワークアナライザ12によって構成される。
【0052】
図6には、2点接触治具14bに電池16が装着されたときの等価回路が示されている。この測定等価回路106は、第1正極端子31p、第1負極端子31n、第1接触インピーダンス素子Z
c1、第2接触インピーダンス素子Z
c2、電池16の内部インピーダンス素子Z
dut、第2正極端子32pおよび第2負極端子32nを備えている。第1接触インピーダンス素子Z
c1の一端は、第1正極端子31pに接続され、他端は第2接触インピーダンス素子Z
c2の一端に接続されている。第2接触インピーダンス素子Z
c2の他端は第2正極端子32pに接続されている。第1負極端子31nと第2負極端子32nとの間はグランド線51gによって接続されている。内部インピーダンス素子Z
dutは、第1接触インピーダンス素子Z
c1および第2接触インピーダンス素子Z
c2の接続点と、グランド線51gとの間に接続されている。
【0053】
第1正極端子31pは、第1コネクタ41の内導体に対応し、第1負極端子31nは、第1コネクタ41のグランド導体に対応する。第2正極端子32pは、第2コネクタ42の内導体に対応し、第2負極端子32nは、第2コネクタ42のグランド導体に対応する。
【0054】
第1接触インピーダンス素子Zc1は、第1治具電極52B-1と電池16の正極20pとの接触インピーダンスと、第1グランド治具電極62B-1と電池16の負極20nとの接触インピーダンスとを加算したインピーダンスを有する。第2接触インピーダンス素子Zc2は、第2治具電極52B-2と電池16の正極20pとの接触インピーダンスと、第2グランド治具電極62B-2と電池16の負極20nとの接触インピーダンスとを加算したインピーダンスを有する。
【0055】
ネットワークアナライザ12で求められる反射係数S11、透過係数S21、透過係数S12および反射係数S22は、第1接触インピーダンスZc1、第2接触インピーダンスZc2および内部インピーダンスZdutを用いて(数12)~(数15)のように表される。
【0056】
【0057】
シャントインピーダンス法に基づいて得られる(数6)に、(数13)で示される透過係数S
21を代入して、S
21を消去することで(数16)が得られる。
【数16】
【0058】
このように、コンピュータ10およびネットワークアナライザ12によって構成される測定装置は、次のような処理を実行する。すなわち、測定装置は、第1コネクタ41(第1端子)と、第2コネクタ42(第2端子)との間の透過係数を測定する処理(数13)と、測定された透過係数をシャントスルー法の透過係数として用いることで、シャントスルー法に基づき、電池16の内部インピーダンスZdutを測定する処理(数16)とを実行する。
【0059】
図7には、1点接触治具14aを用いて得られた測定インピーダンスZ
measの誤差と、2点接触治具14bを用いて得られた測定インピーダンスZ
measの誤差が示されている。横軸は、内部インピーダンスZ
dut[mΩ]を示し、縦軸は、内部インピーダンスZ
dutの大きさに対する、接触インピーダンスの実数部の百分率(誤差率)を示す。ただし、第1接触インピーダンスZ
c1および第2接触インピーダンスZ
c2は等しいものとしている。
【0060】
1点接触治具14aを用いて得られた測定インピーダンスZmeasでは、内部インピーダンスZdutが小さくなる程、誤差が大きくなる。一方、2点接触治具15bを用いて得られる測定インピーダンスZmeasは、1点接触治具14aを用いた場合と比べて誤差が小さい。また、内部インピーダンスZdutが小さくなる程、誤差が大きくなるという傾向は、1点接触治具14aを用いた場合に比べて弱い。
【0061】
図8Aには、1点接触治具14aと電池16とを接触させる圧力を変化させた場合における測定インピーダンスZ
meas1と、2点接触治具14bと電池16とを接触させる圧力を変化させた場合における測定インピーダンスZ
meas2の測定結果が示されている。各測定インピーダンスは、4.5N、10.7N、14.8N、および3000Nの4通りについて測定された。縦軸は、各測定インピーダンスの実数部[μΩ]を示す。
図8Bは、2点接触治具14bを用いて得られた測定インピーダンスZ
meas2の縦軸のスケールが拡大されたものである。
【0062】
上記では、2点接触治具14bを用いて得られた透過係数S21あるいは透過係数S21および反射係数S11を用いて、各測定インピーダンスZmeasを求める実施形態が示された。コンピュータ10は、2点接触治具14bを用いて得られた反射係数S11、透過係数S21、透過係数S12、および反射係数S22を用いて、第1接触インピーダンスZc1、第2接触インピーダンスZc2および電池16の内部インピーダンスZdutを求めてもよい。すなわち、コンピュータ10は、以下の(数17)~(数19)を用いて第1接触インピーダンスZc1、第2接触インピーダンスZc2および電池16の内部インピーダンスZdutを求めてもよい。ここで、(数17)~(数19)は、(数12)、(数13)および(数15)から導かれる。
【0063】
【0064】
この場合、コンピュータ10およびネットワークアナライザ12によって構成される測定装置は、次のような処理を実行する。すなわち、測定装置は、第1コネクタ41(第1端子)における反射係数S11を測定する処理と、第2コネクタ42(第2端子)における反射係数S22を測定する処理と、透過係数として、第1コネクタ41から第2コネクタ42への透過係数S21と、第2コネクタ42から第1コネクタ41への透過係数S12とを測定する処理と、透過係数S21、透過係数S12、反射係数S11および反射係数S22に基づいて、電池16の内部インピーダンスZdut、第1接触インピーダンスZc1および第2接触インピーダンスZc2のうちいずれか求める処理と、を実行する。
【0065】
また、コンピュータ10は、ネットワークアナライザ12によって求められたSパラメータをディスプレイに表示してもよい。ユーザは、ディスプレイに表示されたSパラメータを参照し、ユーザが別に所持する小型のコンピュータ等によって、(数17)~(数19)を用いて第1接触インピーダンスZc1、第2接触インピーダンスZc2および電池16の内部インピーダンスZdutを求めてもよい。
【0066】
図9には、電池内部インピーダンス測定システム100を応用した複数チャネル測定システム108の構成が示されている。複数チャネル測定システム108は、コンピュータ10、ネットワークアナライザ12、セレクタ90、2点接触治具14b-1~14b-nを備えている。複数チャネル測定システム108は、直列に接続された複数n個の電池16-1~16-nのうち1つをセレクタ90によって選択し、選択された1つの電池16-j(j=1~n)について、インピーダンスの測定を行うものである。電池16-1~16-nは、それぞれ、2点接触治具14b-1~14b-nに装着されている。
【0067】
ネットワークアナライザ12の第1ポートP1には、同軸ケーブル18の一端が接続され、同軸ケーブル18の他端は、セレクタ90に接続されている。第2ポートP2には、同軸ケーブル19の一端が接続され、同軸ケーブル19の他端は、セレクタ90に接続されている。2点接触治具14b-jが備える第1コネクタ41には、同軸コネクタ18-jの一端が接続され、同軸コネクタ18-jの他端はセレクタ90に接続されている。2点接触治具14b-jが備える第2コネクタ42には、同軸コネクタ19-jの一端が接続され、同軸コネクタ19-jの他端はセレクタ90に接続されている。
【0068】
セレクタ90は、ユーザの選択操作に従って、同軸ケーブル18-1~18-nのうちの1つである同軸ケーブル18-kに同軸ケーブル18を接続し、同軸ケーブル19-1~19-nのうちの1つである同軸ケーブル19-kに同軸ケーブル19を接続する。これによって、電池16-kが装着された2点接触治具14b-kの第1コネクタ41が第1ポートP1に接続され、第2コネクタ42が第2ポートP2に接続される。
【0069】
このように、複数チャネル測定システム108では、直列に接続された複数の電池16-1~16-nのそれぞれに2点接触治具14b(電池内部インピーダンス測定治具14)が装着されている。セレクタ90は、複数の電池16-1~16-nに対応する複数の2点接触治具14b-1~14b-nのうちの1つを、ユーザの操作によって選択し、選択された2点接触治具14b-kが備える第1コネクタ41(第1端子)および第2コネクタ42(第2端子)を、測定装置を構成するネットワークアナライザ12に接続する。
【0070】
ネットワークアナライザ12は、Sパラメータを測定し、Sパラメータをコンピュータ10に出力する。コンピュータ10は、シャントスルー法に基づく測定インピーダンスZmeasや、Sパラメータに基づく電池16-kの内部インピーダンスZdut、第1接触インピーダンスZc1および第2接触インピーダンスZc2を求める。
【0071】
複数チャネル測定システム108によれば、電池16-1~16-nが直列接続された状態で、電池16-1~16-nのそれぞれについてのインピーダンス測定を容易に行うことができる。
【0072】
[本発明の構成]
構成1:
電池が有する1つの電池電極に共通に接触させる第1電極および第2電極と、
前記第1電極に接続された第1端子と、
前記第2電極に接続された第2端子と、を備え、
前記第1端子および前記第2端子には、
前記第1端子と前記第2端子との間の伝送特性を測定する測定装置が接続されることを特徴とする電池内部インピーダンス測定治具。
構成2:
構成1に記載の電池内部インピーダンス測定治具であって、
前記第1電極および前記第2電極と、
前記第1電極から引き出された第1導体パターンと、
前記第2電極から引き出された第2導体パターンと、を備える基板を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、
ギャップを隔てて隣接し、
前記第1端子には、前記第1導体パターンを介して前記第1電極が接続され、
前記第2端子には、前記第2導体パターンを介して前記第2電極が接続されていることを特徴とする電池内部インピーダンス測定治具。
構成3:
構成1または構成2に記載のインピーダンス測定治具と、
前記測定装置と、を備え、
前記測定装置は、
前記第1端子と、前記第2端子との間の透過係数を測定する処理と、
測定された前記透過係数をシャントスルー法の透過係数として用いることで、前記シャントスルー法に基づき、前記電池の内部インピーダンスを測定する処理と、を実行することを特徴とする電池内部インピーダンス測定システム。
構成4:
構成3に記載の電池内部インピーダンス測定システムであって、
前記測定装置は、
前記第1端子における反射係数S11を測定する処理と、
前記第2端子における反射係数S22を測定する処理と、
前記透過係数として、前記第1端子から前記第2端子への透過係数S21と、前記第2端子から前記第1端子への透過係数S12とを測定する処理と、
前記透過係数S21、前記透過係数S12、前記反射係数S11、および前記反射係数S22に基づいて、前記電池の内部インピーダンスを求める処理と、を実行することを特徴とする電池内部インピーダンス測定システム。
構成5:
構成3または構成4に記載の電池内部インピーダンス測定システムであって、
直列に接続された複数の前記電池のそれぞれに前記電池内部インピーダンス測定治具が装着され、
前記電池内部インピーダンス測定システムは、
複数の前記電池に対応する複数の前記電池内部インピーダンス測定治具のうちの1つを、ユーザの操作によって選択し、選択された前記電池内部インピーダンス測定治具が備える前記第1端子および前記第2端子を前記測定装置に接続するセレクタを備えることを特徴とする電池内部インピーダンス測定システム。
構成6:
第1端子および第2端子を備える測定治具に電池を装着することと、
前記第1端子と、前記第2端子との間の透過係数を測定することと、
測定された前記透過係数をシャントスルー法の透過係数とすることで、前記シャントスルー法に基づき、前記電池の内部インピーダンスを測定することと、を含み、
前記測定治具は、
前記電池が装着されたときに、前記電池が有する1つの電池電極に共通に接触する第1電極および第2電極を備え、
前記第1端子および前記第2端子は、それぞれ、前記第1電極および前記第2電極に接続されていることを特徴とする電池内部インピーダンス測定方法。
構成7:
構成6に記載の電池内部インピーダンス測定方法であって、
前記測定治具は、
前記第1電極および前記第2電極と、
前記第1電極から引き出された第1導体パターンと、
前記第2電極から引き出された第2導体パターンと、を備える基板を備え、
前記第1電極および前記第2電極は、
ギャップを隔てて隣接し、
前記第1端子には、前記第1導体パターンを介して前記第1電極が接続され、
前記第2端子には、前記第2導体パターンを介して前記第2電極が接続されていることを特徴とする電池内部インピーダンス測定方法。
構成8:
構成6または構成7に記載の電池内部インピーダンス測定方法であって、
前記第1端子における反射係数S11を測定し、
前記第2端子における反射係数S22を測定し、
前記透過係数として、前記第1端子から前記第2端子への透過係数S21と、前記第2端子から前記第1端子への透過係数S12とを測定し、
前記透過係数S21、前記透過係数S12、前記反射係数S11、および前記反射係数S22に基づいて、前記電池の内部インピーダンスを求める工程を含むことを特徴とする電池内部インピーダンス測定方法。
【符号の説明】
【0073】
10 コンピュータ、12 ネットワークアナライザ、14 電池内部インピーダンス測定治具、14a 1点接触治具、14b,14b-1~14b-n 2点接触治具、16 16-1~16-n 電池、18,18-1~18-n,19,19-1~19-n 同軸ケーブル、20p 正極、20n 負極、31s 第1信号端子、31g 第1グランド端子、31p 第1正極端子、31n 第1負極端子、32s 第2信号端子、32g 第2グランド端子、32p 第2正極端子、32n 第2負極端子、41 第1コネクタ、42 第2コネクタ、50 1点接触基板、51s 信号線、51g グランド線、52,52B 治具電極、52-1,52B-1 第1治具電極、52-2,52B-2 第2治具電極、54 第1導体パターン、56 第2導体パターン、58 第1コネクタ内導体パターン、60 第2コネクタ内導体パターン、62,62B グランド治具電極、62-1,62B-1 第1グランド治具電極、62-2,62B-2 第2グランド治具電極、64 グランドパターン、64-1 第1グランドパターン、64-2 第2グランドパターン、66 第1コネクタグランド導体パターン、68 第2コネクタグランド導体パターン、70 絶縁板、80 2点接触基板、82,84,86 ギャップ、100 電池内部インピーダンス測定システム、102 シャントスルー法測定回路、104,106 測定等価回路、108 複数チャネル測定システム。