(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011957
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A63F7/02 315A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114326
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】森口 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】切替 秀幸
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088AA11
2C088AA42
2C088EB15
2C088EB74
(57)【要約】
【課題】新たな遊技性によって興趣を向上し得る遊技機を提供することを目的とする。
【解決手段】パチンコ機は、第1または第2始動入賞口への入賞を契機として行われる大当り判定が当りの判定結果となることで、大当り遊技を生起させる。第1始動入賞口への入賞を契機として行われる大当り判定が当りの判定結果で付与される大当り遊技では、大当り遊技後にリミット回数が付与されない一方で、第2始動入賞口への入賞を契機として行われる大当り判定が当りの判定結果で付与される大当り遊技では、大当り遊技後にリミット回数が付与される。すなわち、第1始動入賞口への入賞に基づいて決定可能な当りの種類と、第2始動入賞口への入賞に基づいて決定可能な当りの種類とで、付与される有利状態で得られる特典の種類が異なる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が入賞可能な第1始動入賞手段または第2始動入賞手段への入賞を契機として行われる判定が特定の判定結果となることで、通常状態より遊技者に有利な有利状態を付与し得るよう構成された遊技機において、
前記判定が特定の判定結果となる場合に、有利状態の種類を決定する種類決定手段を備え、
前記種類決定手段が決定可能な有利状態の種類には、付与される特典の期待値が異なるものが設けられ、
前記第1始動入賞手段への入賞での判定が特定の判定結果となった場合に前記種類決定手段が決定可能な有利状態の種類と、前記第2始動入賞手段への入賞での判定が特定の判定結果となった場合に前記種類決定手段が決定可能な有利状態の種類とで、付与される特典の種類が異なる
ことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記第1始動入賞手段への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差と、前記第2始動入賞手段への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差とは異なるものが設けられている請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記第2始動入賞手段への入賞での判定が特定の判定結果となった場合に、遊技球が入賞可能な特定入賞口と、
前記特定入賞口へ入賞した遊技球を特定領域および非特定領域の何れかに振り分ける振分手段と、を備え、
前記特定領域を遊技球が通過するか否かで付与される有利状態で得られる特典の期待値が異なる請求項1または2記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞手段への入賞を契機とする判定が特定の判定結果となることで、有利状態を生起し得るよう構成された遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
代表的な遊技機であるパチンコ機は、パチンコ球(遊技球)が流下可能な遊技領域が画成された遊技盤に、パチンコ球が入賞可能な始動入賞口(始動入賞手段)や、演出図柄(所謂飾図)を変動表示して図柄変動演出を行う液晶式やドラム式等の表示装置(表示手段)が設けられ、遊技領域を流下するパチンコ球が始動入賞口へ入賞するのを契機として、表示装置の図柄変動演出を開始するよう構成されている。そして、始動入賞口へのパチンコ球の入賞を契機として行われる当り判定に当せんすることで、表示装置に所定の当り表示が表示され、その結果、遊技者に有利な当り遊技が生起される。当り遊技では、遊技盤に設けられた特別入賞装置が開放して多数の賞球を獲得し得るようになっている。また、このように構成されたパチンコ機において、当り遊技の終了後に、確変状態や変短状態(時短状態)等の、通常時に比べて遊技者に有利な有利状態を付与する遊技性を有する機種が多数提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のパチンコ機のように、確変状態や変短状態等の有利状態を付与するのみではマンネリとなって遊技の興趣を向上することは望めず、新たな遊技性によって興趣を向上し得るパチンコ機が求められている。
【0005】
すなわち本発明は、従来の技術に係る遊技機に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、新たな遊技性によって興趣を向上し得る遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、
遊技球が入賞可能な第1始動入賞手段(31)または第2始動入賞手段(32)への入賞を契機として行われる判定が特定の判定結果となることで、通常状態より遊技者に有利な有利状態を付与し得るよう構成された遊技機において、
前記判定が特定の判定結果となる場合に、有利状態の種類を決定する種類決定手段(60a)を備え、
前記種類決定手段(60a)が決定可能な有利状態の種類には、付与される特典の期待値が異なるものが設けられ、
前記第1始動入賞手段(31)への入賞での判定が特定の判定結果となった場合に前記種類決定手段(60a)が決定可能な有利状態の種類と、前記第2始動入賞手段(32)への入賞での判定が特定の判定結果となった場合に前記種類決定手段(60a)が決定可能な有利状態の種類とで、付与される特典の種類が異なることを要旨とする。
このように、付与される有利状態で得られる特典の種類が、入賞した始動入賞手段の種類によって異なるという新たな遊技性によって、遊技の興趣を上向することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、
前記第1始動入賞手段(31)への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差と、前記第2始動入賞手段(32)への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差とは異なるものが設けられていることを要旨とする。
このように、特典の種類による期待値の差が、入賞した始動入賞手段の種類によって異なる場合があるので、遊技が単調となるのを防いで興趣を向上することができる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、
前記第2始動入賞手段(32)への入賞での判定が特定の判定結果となった場合に、遊技球が入賞可能な特定入賞口(33a)と、
前記特定入賞口(33a)へ入賞した遊技球を特定領域(34b)および非特定領域(34a)の何れかに振り分ける振分手段(35,SL3)と、を備え、
前記特定領域(34b)を遊技球が通過するか否かで付与される有利状態で得られる特典の期待値が異なることを要旨とする。
このように、第2始動入賞手段への入賞での判定が特定の判定結果となった場合には、遊技球が特定領域を通過するか否かによって付与される特典の期待値が異なるので、遊技が単調となるのを防いで興趣を向上することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る遊技機によれば、従来機種にはない新たな遊技性によって興趣を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1に係るパチンコ機を示す正面図である。
【
図2】実施例1に係る遊技盤を示す正面図であって、遊技情報表示器を拡大して示している。
【
図3】実施例1に係るパチンコ機の制御構成を示すブロック図である。
【
図4】実施例1に係るパチンコ機の特別入賞部の内部構造を示す説明図である。
【
図5】実施例1に係るパチンコ機の大当り状態の種類を示す説明図である。
【
図6】実施例2に係るパチンコ機の大当り状態の種類の一部を示す説明図である。
【
図8】実施例3に係るパチンコ機の大当り状態の種類を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る遊技機につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下詳細に説明する。なお、遊技機としては、遊技媒体としてパチンコ球(遊技球)を用いて遊技が行われるパチンコ機を例にして説明する。また、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」とは、特に断りのない限り、
図1に示すようにパチンコ機10を前側(遊技者側)から見た状態で指称する。
【実施例0012】
(パチンコ機10について)
実施例1に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤20(
図2参照)を着脱可能に保持する中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤20には、表示演出を行う演出実行手段としての演出表示装置(演出手段)17が配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤20を透視可能に保護する透明板13bで前後に開口する窓口13aを覆うよう構成された前枠13が開閉可能に組付けられると共に、該前枠13の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。実施例1では、前枠13の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿14が一体的に組付けられており、前枠13の開閉に合わせて上球受け皿14も一体的に開閉するよう構成される。
【0013】
前記前枠13には、
図1に示す如く、前記中枠12に配設された球発射装置(図示せず)を作動する操作ハンドル16が下球受け皿15の右側方に設けられる。この操作ハンドル16は、左回転方向に付勢された操作レバー16aを備えており、該操作レバー16aを右回転するよう遊技者が回動操作することで球発射装置が作動されて、前記上球受け皿14に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤20に向けて発射されるようになっている。ここで、操作レバー16aの回動量に応じて前記球発射装置によるパチンコ球の打球力が強弱変化するよう構成されており、遊技者が操作レバー16aを操作して回動量を調節することで、前記遊技盤20の前面側に形成された後述する遊技領域21(
図2参照)のうち、第1球流下経路21a(後述)にパチンコ球を流下させる所謂「左打ち」と、第2球流下経路21b(後述)にパチンコ球を流下させる所謂「右打ち」とを打ち分けできるようになっている。また、前枠13には、窓口13aの外周を囲繞するようランプ装置(発光手段)18が配設されると共に、該前枠13における上部の左右の隅部に、音声を出力可能なスピーカ(音出力手段)19が配設されている。そして、ランプ装置18に設けられたLED等の発光体(図示せず)を点灯・点滅したり、スピーカ19から適宜の音声を出力することで、演出表示装置17での表示演出に合わせて発光演出や音声演出を行い得るよう構成されている。すなわち、ランプ装置18およびスピーカ19は、演出表示装置17での表示演出に合わせた演出を実行可能な演出実行手段として機能している。
【0014】
前記中枠12の後面側(遊技盤20の後面側)には、遊技を統括的に制御する主制御基板60(
図3参照)が配設されている。そして、主制御基板60は、パチンコ機10に備えられた各種検出センサ(検出手段)SE1~SE5からの検出信号に基づいて、当該主制御基板60に備えられる主制御CPU60aが各種処理を実行し、その処理結果に応じた各種の制御信号(制御コマンド)を出力するように構成されている。また、中枠12の後面側(遊技盤20の後面側)には、主制御基板60からの制御信号に基づいて演出を統括的に制御する演出制御基板65(
図3参照)と、演出制御基板65からの制御信号に基づいて、記憶手段に記憶する各種の画像データ(図柄、背景画像、文字、キャラクタ等の画像データ)をもとに演出表示装置17での表示内容を更新する表示制御基板67(
図3参照)とが配設されている。演出制御基板65は、ランプ装置18やスピーカ19と電気的に接続されて発光演出や音声演出を直接的に制御すると共に、表示制御基板67と電気的に接続されて該表示制御基板67を介して演出表示装置17での表示演出を間接的に制御する。すなわち、演出表示装置17、ランプ装置18およびスピーカ19等の演出実行手段の動作は、主制御基板60が出力した制御信号(制御コマンド)に基づいた演出制御基板65の制御によってコントロールされるようになっている。
【0015】
図3に示すように、主制御基板60は、遊技に関する制御処理を実行する主制御CPU60a、該主制御CPU60aが実行する制御プログラムを記憶する主制御ROM60b、当該主制御CPU60aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な主制御RAM60c等を備えている。また、演出制御基板65は、演出に関する制御処理を実行する演出制御CPU65a、該演出制御CPU65aが実行する制御プログラムを記憶する演出制御ROM65b、当該演出制御CPU65aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な演出制御RAM65c等を備えている。更に、表示制御基板67は、演出に関する制御処理を実行する表示制御CPU67a、該表示制御CPU67aが実行する制御プログラムを記憶する表示制御ROM67b、当該表示制御CPU67aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な表示制御RAM67c等を備え、表示制御ROM67bには演出表示装置17での表示に関する画像データが記憶されている。
【0016】
また、図示しないが、前記中枠12の後面側には、球払出装置を駆動制御する払出制御基板、前記球発射装置を駆動制御する発射制御基板等が配設されている。前記払出制御基板は前記主制御基板60に配線接続されており、該主制御基板60の主制御CPU60aからの賞球払出指令コマンド(制御信号)に基づいて前記球払出装置を制御することで、該賞球払出指令コマンドにより特定される賞球数に対応するパチンコ球を払い出すよう構成される。
【0017】
(遊技盤20について)
次に、
図2を参照し、前記遊技盤20の構成について説明する。遊技盤20は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材等からなる透明な平板状の板部材であって、該遊技盤20の前面には、略円形状に湾曲形成した案内レール22が配設されている。そして、球発射装置から発射されたパチンコ球が案内レール22により画成される遊技領域21を流下して、後述する入賞口31a,32a,33aに入賞し得るようになっている。また、遊技盤20には、前後に貫通する装着口(図示せず)が適宜位置に開設されており、各装着口に対して各種の遊技部品が前側から取り付けられる。なお、遊技盤20は、木材板の表面に各種絵柄等が描かれた合成樹脂シート等を貼付けて装飾したものであってもよい。
【0018】
前記遊技領域21(盤面)には、パチンコ球が入賞(入球)可能な入賞口31a,32a,33aが形成された第1始動入賞部(第1始動入賞手段)31、第2始動入賞部(第2始動入賞手段)32および特別入賞部(特別入賞手段)33が設けられると共に、多数の遊技釘が設けられている。従って、遊技領域21に到達したパチンコ球は、遊技釘との接触により流下方向が不規則に変化することとなり、その一部が入賞口31a,32a,33aへと入賞(入球)する。また、遊技領域21の最下部位置には、該遊技領域21に打ち出されたパチンコ球を排出するアウト口23が開設されており、遊技領域21の最下部まで流下したパチンコ球がアウト口23から遊技領域21外へと排出されるようになっている。
【0019】
(枠状装飾体25)
前記遊技盤20(盤面)には、前後に開口する開口部25aが形成された枠状装飾体25が取り付けられている。枠状装飾体25は、遊技盤20の前面より前方に突出して内周側(すなわち開口部25a)へのパチンコ球の進入を防ぐ庇状部25bと、該庇状部25bの後端から外周方向に延出する薄板状の台板部25cとを備えている。そして、枠状装飾体25の開口部25aを介して、遊技盤20の後面側に配設された演出表示装置17(表示画面17a)が、遊技盤20の前面側に臨んでいる。
【0020】
図2に示す如く、前記遊技領域21の略中央に枠状装飾体25が存在することによって遊技領域21は左右に分岐しており、庇状部25bの左側方を流下するパチンコ球の経路(移動領域)である第1球流下経路21aと、庇状部25bの右側方を流下するパチンコ球の経路(移動領域)である第2球流下経路21bとが形成されている。そして、パチンコ球を第1球流下経路21aへと流下させる場合(左打ちした場合)には、第2球流下経路21bを流下させる場合よりも第1始動入賞部31への入賞可能性が高くなり、パチンコ球を第2球流下経路21bへと流下させる場合(右打ちした場合)には、第1球流下経路21aを流下させる場合よりも第2始動入賞部32(および後述するゲート30への入球可能性)や特別入賞部33への入賞可能性が高くなるように構成されている。
【0021】
(始動入賞部31,32)
前記第1始動入賞部31は、前記枠状装飾体25より下方において第1始動入賞口31aが常にパチンコ球を受け入れ可能に開口している。一方、第2始動入賞部32は、始動用開閉部材32bの開閉により、第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞(入球)が可能な開状態および入賞(入球)が不可能な閉状態に変化する。すなわち、第2始動入賞部32は、所定の開放条件および閉鎖条件に従って第2始動入賞口32aを開閉する開閉型の入賞部(可変入賞部)とされている。また、第2始動入賞部32は、始動用開閉部材32bを開閉作動(駆動)する駆動手段としての始動入賞ソレノイドSL1(
図3参照)を備えている。なお、第2始動入賞部32は、前記第2球流下経路21bにおいて、該第2球流下経路21bを流下するパチンコ球が高確率で入賞可能な位置に配置されている。
【0022】
前記第1および第2始動入賞部31,32には、第1および第2始動入賞口31a,32aに入賞(入球)したパチンコ球を検出する始動入賞検出センサSE1,SE2(
図3参照)が設けられている。そして、始動入賞検出センサSE1,SE2によってパチンコ球が検出されると(始動入賞口31a,32aへの入賞が検出されると)、球払出装置が規定賞球数のパチンコ球(賞球)を払い出すようになっている。実施例1では、第1始動入賞口31aへの入賞によって4個の賞球が払い出されるのに対し、第2始動入賞口32aへの入賞によって1個の賞球が払い出されるよう設定されて、賞球数としては第1始動入賞口31aの方が有利になっている。また、前記主制御基板60(主制御CPU60a)では、始動入賞検出センサSE1,SE2によるパチンコ球の検出(始動条件の成立)を契機として始動入賞情報(後述する各種乱数の値)が取得され、この取得された始動入賞情報に基づいて、大当り判定や小当り判定等の特図当り判定や、後述するc時短を付与するか否かの判定等、特定の判定結果となるか否かの各種判定が行われる。そして、演出表示装置17の表示画面17aでは、始動入賞検出センサSE1,SE2による検出(始動入賞)を契機として、特図当り判定等の結果を示す図柄変動演出(演出用の図柄としての飾図の変動表示を含む表示演出)が行われるようになっている。
【0023】
(ゲート30について)
図2に示す如く、前記枠状装飾体25の左側部に位置する台板部25cの前面に、第2球流下経路21bに臨んでパチンコ球が下方に向けて通過可能なゲート30が設けられている。ゲート30には、該ゲート30のゲート口を通過するパチンコ球を検出するゲートセンサSE4が設けられている。ゲートセンサSE4は、前記主制御基板60と電気的に接続されており(
図3参照)、該ゲートセンサSE4から主制御基板60(主制御CPU60a)への球検出信号の入力(すなわちゲートセンサSE4のパチンコ球の検出)に伴って各種情報(後述する普図当り判定用乱数)が取得され、この取得した情報に基づいて、第2始動入賞部32の始動用開閉部材32bを開放するか否かの判定(普図当り判定)が行われるよう構成される。そして、普図当り判定の結果に応じて、前記始動入賞ソレノイドSL1が駆動制御されて、始動用開閉部材32bが開閉動作するようになっている。
【0024】
(特別入賞部33)
前記特別入賞部33は、特別入賞口(入球口、可変入球口)33aと、特別用開閉部材33bとを備え、所定の開放条件および閉鎖条件に従って特別入賞口33aを特別用開閉部材33bにより開閉する開閉型の入賞部(可変入賞部)とされている。特別入賞部33は、駆動手段としての特別入賞ソレノイドSL2(
図3参照)を備え、この特別入賞ソレノイドSL2の駆動に応じて特別用開閉部材33bを開放することで、特別入賞口33aをパチンコ球が入賞不可能な閉状態から入賞可能な開状態へと変化させる。また、特別入賞部33には、特別入賞口33aに入賞したパチンコ球を検出する特別入賞検出センサSE3(特別入賞検出手段、
図3参照)が設けられている。この特別入賞検出センサSE3によってパチンコ球が検出されると、前記球払出装置によって規定賞球数(例えば8個)のパチンコ球(賞球)が払い出される。特別入賞口33aは、大当り遊技の状態や小当り遊技の状態で開放されるようになっている。なお、小当りに関連する構成については、詳細説明は省略する。
【0025】
図4に示す如く、前記特別入賞部33の内部には、前記特別入賞口33aに連通した第1通路(非特定領域)34aおよび第2通路(特定領域)34bを備えている。また特別入賞部33は、第1通路34aおよび第2通路34bに分岐する分岐位置に、当該特別入賞口33aに入賞したパチンコ球を第1通路34aおよび第2通路34bの何れかに振り分ける切替部材35が設けられると共に、該切替部材35を作動する駆動手段としての切替ソレノイドSL3(
図3参照)を備えている。切替部材35は、第1通路34aを開放する一方で第2通路34bを閉鎖する第1姿勢と、第2通路34bを開放する一方で第1通路34aを閉鎖する第2姿勢とに変位し得るよう設けられており、切替ソレノイドSL3の駆動に伴って切替部材35を第1姿勢および第2姿勢に姿勢変位することで、パチンコ球を何れかの通路に誘導するようになっている。なお、
図4では、第1姿勢の切替部材35を実線で示すと共に、第2姿勢の切替部材35を二点鎖線で示している。ここで、特別入賞部33は、常には切替部材35が第1姿勢に保持され、後述する特定大当り遊技中の特定ラウンドにおいて切替部材35を第1姿勢から第2姿勢に姿勢変位するよう切替ソレノイドSL3が駆動制御される。実施例1では、特別入賞部33の特別入賞口33aが、前記第2始動入賞部32への入賞での当り判定が当りの判定結果となった場合に、遊技球が入賞可能な特定入賞口であり、切替部材35および切替ソレノイドSL3が、特定入賞口へ入賞した遊技球を特定領域および非特定領域の何れかに振り分ける振分手段を構成する。
【0026】
図4に示す如く、前記第1通路34aおよび第2通路34bに分岐する分岐位置より上流に、前記特別入賞検出センサSE3が設けられると共に、第2通路34bに対応してパチンコ球を検出する球検出手段としての特定領域通過検出センサSE5が設けられている。特定領域通過検出センサSE5は、特別入賞検出センサSE3と同様に前記主制御基板60(主制御CPU60a)に配線接続されており(
図3参照)、特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出すると、検出信号をメイン制御基板60に出力するよう構成される。
【0027】
ここで、実施例1のパチンコ機10では、大当り遊技後の遊技状態として、遊技者に有利な後述する確変状態を付与するか否かを、特定の種類の大当り遊技(特定大当り遊技)における特定ラウンド目のラウンド遊技において開放した特別入賞口33aに入ったパチンコ球が前記特定領域通過検出センサSE5で検出されるか否か(特定領域としての第2通路43bをパチンコ球が通過したか否か)により決定するよう構成されている。すなわち、特定大当り遊技における特定ラウンド(実施例1では2回目のラウンド)において、特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出した場合(すなわち特定領域をパチンコ球が通過した場合)に、特定大当り遊技後に主制御基板60(主制御CPU60a)が確変状態の付与を決定するよう構成されている。また、特定大当り遊技における特定ラウンドにおいて、特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出しない場合(すなわち特定領域をパチンコ球が通過しなかった場合)は、特定大当り遊技後に主制御基板60(主制御CPU60a)が確変状態の付与を決定しない(非確変状態の付与を決定する)よう構成されている。すなわち、主制御基板60(主制御CPU60a)は、大当り遊技における特定ラウンド中に特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出した場合に、当該大当り遊技の終了後に確変状態を付与することを決定する特定状態付与決定手段としての機能を有している。なお、特別入賞部33では、特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出したことを条件として、大当り遊技の特定ラウンドにおいて第1姿勢から第2姿勢に姿勢変位された切替部材35を第2姿勢から第1姿勢に姿勢変位するよう切替ソレノイドSL3が駆動制御される。
【0028】
(遊技情報表示器Mについて)
図2に示すように、遊技盤20には、各種の遊技情報を表示可能な遊技情報表示器Mが配設されている。遊技情報表示器Mは、複数の表示部Ma,Mb,Mc,Md,Me,Mf,Mgを備えると共に、主制御基板60の主制御CPU60aと電気的に接続され、主制御CPU60aによって表示内容(発光態様)が制御される。遊技情報表示器Mは、遊技盤20の前面における遊技領域21外の位置(実施例1では、遊技領域21の左下方)に配設される。なお、実施例1の遊技情報表示器Mは、各表示部Ma,Mb,Mc,Md,Me,Mf,Mgが個別に点灯制御可能な複数のLEDからなる発光表示部で構成されているが、対応する情報を表示乃至報知し得るものであれば、7セグメント表示器やドットマトリックス、小型の液晶表示器、その他の表示手段を採用できる。
【0029】
(特図表示部Ma,Mbについて)
遊技情報表示器Mには、始動入賞(始動入賞口31a,32aへの入賞)を契機として行われる判定(特図当り判定(大当り判定)等の特定の結果となるか否かの判定)の結果を示す報知用の特別図柄(以下、特図という)を特定可能に表示する特図表示部(図柄表示部)Ma,Mbが設けられている(
図3参照)。特図表示部Ma,Mbとしては、前記第1始動入賞口31aへの入賞(第1始動入賞検出センサSE1による検出)を契機として変動表示(図柄変動)を開始した後に最終的に複数種類の図柄(特別図柄)の内の1つを停止表示(確定表示)する複数のLED(実施例1では8個)から構成された発光表示部としての第1特図表示部Maと、第2始動入賞口32aへの入賞(第2始動入賞検出センサSE2による検出)を契機として変動表示(図柄変動)を開始した後に最終的に複数種類の特別図柄(以下、「特図」という)の内の1つを停止表示(確定表示)する複数のLED(実施例1では8個)から構成された発光表示部としての第2特図表示部Mbとの2種類が設けられている。
【0030】
実施例1のパチンコ機10は、各特図表示部Ma,Mbにおいて表示し得る特図として、大当りを認識し得る大当り表示(大当り図柄)としての100種類の特図と、はずれを認識し得るはずれ表示(はずれ図柄)としての1種類の特図とが各特図表示部Ma,Mbに対応して夫々設定されており、特図当り判定の結果に応じて1つの特図が決定されて、決定された特図が特図変動表示の結果として各特図表示部Ma,Mbに確定停止表示される。そして、大当り表示(当り表示)としての特図が前記特図表示部Ma,Mbの何れかに表示された場合には、該大当り表示に対応した大当り状態での遊技(大当り遊技)が遊技者に付与される。大当り遊技は、通常状態より遊技者に有利な有利状態である。実施例1では、特図表示部Ma,Mbに表示された大当り表示(大当り図柄)の種類(後述する図柄A,B,a,b)によって、付与される大当り遊技の種類を識別し得るようになっている。この大当り遊技の種類については後述する。なお、前述した各特図表示部Ma,Mbにおいて表示し得る大当り図柄およびはずれ図柄としての特図の数は一例であって、適宜に変更することができる。
【0031】
ここで、特図表示部Ma,Mbでの特図変動表示の変動時間および停止表示する特図の種類は、第1および第2始動入賞検出センサSE1,SE2によるパチンコ球の検出を契機として主制御CPU60aに取得される始動入賞情報(取得した乱数の値)に基づいて決定される。具体的に、主制御CPU60aは、大当り遊技を付与するか否かの決定(特図当り判定)に用いる特図当り判定用乱数の値と、特図(特
図1や特
図2)のうち当り図柄(大当り図柄)の決定に用いる特図決定用乱数の値と、特図変動表示の変動時間の決定や図柄変動演出における演出種類の決定に用いる特図変動パターン振分用乱数の値とを、第1および第2始動入賞検出センサSE1,SE2によるパチンコ球の検出タイミングに応じて取得し、主制御基板60の主制御RAM60cに記憶する。そして、主制御CPU60aは、主制御RAM60cに記憶した特図当り判定用乱数の値に応じた当り判定(入賞判定)として、特図当り判定(大当り判定)を行う。この特図当り判定において主制御CPU60aは、大当り判定が当りの判定結果となった場合に、特図決定用乱数の値に応じて大当り図柄としての特図を決定する。また、特図当り判定では、大当り判定がはずれの判定結果となった場合に、停止表示する特図としてはずれを示す1種類の特図を決定する。
【0032】
(特図保留表示部Mc,Mdについて)
特図保留表示部Mc,Mdは、始動入賞が生じた際に取得される始動入賞情報(各種乱数情報)を始動保留情報(特図保留情報)として主制御RAM60cに記憶する場合に、当該始動保留情報の保留数を特定可能に表示する表示部である。ここで、前記特図保留表示部Mc,Mdは、第1始動入賞口31aにパチンコ球が入賞した際に取得される始動入賞情報(各種乱数情報)を主制御RAM60cが第1始動保留情報として記憶した保留数を表示する第1特図保留表示部Mcと、第2始動入賞口32aにパチンコ球が入賞した際に取得される始動入賞情報(各種乱数情報)を主制御RAM60cが第2始動保留情報として記憶した保留数を表示する第2特図保留表示部Mdとからなり、各特図保留表示部Mc,Mdの何れも複数個の発光表示部により構成されている。この第1始動保留情報の保留数を表示する複数のLED(実施例1では2個)から構成された発光表示部としての第1特図保留表示部Mcが設けられると共に、該第2始動保留情報の保留数を表示する複数のLED(実施例1では2個)から構成された発光表示部としての第2特図保留表示部Mdが設けられている。すなわち、第1および第2特図保留表示部Mc,Mdの表示内容によって、保留されている第1特図変動表示および第2特図変動表示の回数(図柄変動演出の回数)が報知される。
【0033】
ここで、第1特図保留表示部Mcで表示される第1始動保留情報の保留数は、第1始動入賞口31aへパチンコ球が入賞することで1加算されると共に、第1特図変動表示(図柄変動演出)が行われる毎に1減算される。同様に、第2特図保留表示部Mdで表示される第2始動保留情報の保留数は、第2始動入賞口32aへパチンコ球が入賞することで1加算されると共に、第2特図変動表示(図柄変動演出)が行われる毎に1減算される。なお、第1および第2始動保留情報の保留数には所定の上限数(実施例1では何れに対しても「4」)が設定されており、該上限数まで第1および第2始動保留情報の保留数を夫々加算し得るよう設定されている。
【0034】
(普図表示部Meについて)
遊技情報表示器Mには、ゲートセンサSE4のパチンコ球の検出(ゲート口(作動口)へのパチンコ球の通過)を契機として変動表示を開始した後に最終的に複数種類の図柄(普通図柄)の内の1つを停止表示(確定表示)する複数のLED(実施例1では2個)から構成された発光表示部としての普図表示部Meが設けられている。なお、普図表示部Meに停止表示される普通図柄(以下、「普図」という)としては、普図当り遊技状態(以下、普図当り遊技という場合がある)が付与されることを認識し得る当り図柄としての複数種類の普図と、はずれを認識し得るはずれ表示(はずれ図柄)としての1種類の普図とが設定されている。
【0035】
なお、主制御CPU60aは、作動入球情報としての複数種類の乱数の値をゲートセンサSE4によるパチンコ球の検出を契機として取得すると共に、普図表示部Meでの普図変動表示の変動時間および停止表示する普図の種類を作動入球情報(取得した乱数の値)に基づいて決定するよう構成されている。具体的に、主制御CPU60aは、普図当り遊技状態を付与するか否かの決定(普図当り判定)に用いる普図当り判定用乱数の値と、普図としての当り図柄の決定に用いる普図決定用乱数の値と、普図変動表示の変動時間の決定に用いる普図変動パターン振分用乱数の値とを、ゲートセンサSE4によるパチンコ球の検出タイミングに応じて取得し、主制御RAM60cに記憶する。そして、主制御RAM60cに記憶した普図当り判定用乱数の値に応じて普図当り判定を行い、この普図当り判定がはずれの判定結果となった場合には、停止表示する普図としてはずれを示す1種類の普図を決定する。また、普図当り判定が当りの判定結果となった場合には、普図決定用乱数の値に応じて当り図柄としての普図を決定する。更に、普図変動パターン振分用乱数の値に応じて普図変動表示の変動時間を特定する普図変動パターンを複数種類のうちから決定する。
【0036】
(普図保留表示部Mfについて)
普図保留表示部Mfは、ゲート30をパチンコ球が通過した際に取得される作動入球情報(普図当り判定用乱数等の各種乱数情報)を、機内部の記憶手段(具体的には主制御RAM60c)に作動保留情報(普図保留情報)として記憶する場合に、当該作動保留情報の保留数を特定可能に表示する表示部である。ここで、普図保留表示部Mfは、
図2に示すように、複数のLED(実施例1では2個)により構成された発光表示部であり、該普図保留表示部Mfの表示内容によって保留されている普図の変動回数が報知される。普図保留表示部Mfで表示される作動保留記憶数は、ゲート30をパチンコ球が通過すると1加算され、普図変動表示が開始されることにより1減算される。なお、作動保留記憶数には所定の上限数(実施例1では「4」)が設定されており、該上限数まで作動保留記憶数を加算し得るよう設定されている。
【0037】
(状態表示部Mgについて)
表示部Mgは、パチンコ機10における現在の遊技状態が複数種類のうち何れであるかを判別可能に表示する表示部であって、複数個(実施例1では2個)のLEDにより構成されている。ここで、実施例1のパチンコ機10は、後述する複数種類の遊技状態を生起し得ることから、表示部MgのLEDが異なった点灯パターン(点灯位置、点灯数、点灯色等)で点灯することで、各遊技状態が生起されていることを夫々報知するようになっている。
【0038】
(確変状態について)
実施例1のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態(有利状態)として第1特典遊技状態を付与する機能を備えている。第1特典遊技状態では、特図当り確率を低確率から高確率に変更することにより特別入賞口33aへのパチンコ球の入賞機会を高めることができる。以下の説明では、第1特典遊技状態を、便宜的に「確変状態」というものとする。
【0039】
確変機能は、大当り遊技の終了後に大当りの抽選確率(大当り確率)を低確率から高確率に変動させる確変状態を付与する機能である。なお、確変状態が付与されていない状態を非確変状態というものとする。このように、確変状態が付与されると、大当りの抽選確率が高確率に変動して大当り遊技が生起され易くなるため、確変状態は遊技者にとって有利であり、遊技者は確変大当り遊技になることを期待しつつ遊技を行っている。なお、確変状態が付与される期間としては、大当り遊技終了後、次回の大当り遊技が生起されるまでの間継続して確変状態を付与する場合や、確変状態が付与されてから所定条件(確変状態での特図変動回数の上限等)を満たすまでの間継続して確変状態を付与し、当該所定条件を満たすことを条件に非確変状態に移行させる場合等が設定可能であり、実施例1では、大当り遊技の終了後に確変状態を付与する全ての大当り遊技において、次回の大当り遊技が生起されるまでの間継続して確変状態を付与するよう設定されている場合で説明する。確変状態は、大当り遊技の終了後に遊技者が得られる特典の種類の1つである。
【0040】
(変短状態について)
実施例1のパチンコ機10は、大当り遊技終了後に遊技者に有利な遊技状態(有利状態)として第2特典遊技状態を付与する機能を備えている。ここで、第2特典遊技状態としては、前記第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞契機が、当該第2特典遊技状態が付与されていない状態と較べて増加する入賞率向上状態である。具体的には、第2特典遊技状態では、(1)普図変動表示の変動時間の短縮、(2)普図当り確率を低確率から高確率に変動、(3)普図当り1回についての第2始動入賞口32aを開放する始動用開閉部材32bの開放時間を増やすこと、により第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞契機を増加することができる。なお、第2特典遊技状態では、上記(1)~(3)を単独または複数を組み合わせることができる。なお、実施例1では、第2特典遊技状態を変短状態と指称するものとし、実施例1の変短状態は上記(1)~(3)を組み合わせて設定されている。また、変短状態が付与されていない状態を非変短状態というものとする。すなわち、変短状態は、第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞率が向上した入賞率向上状態であり、大当り遊技終了後に遊技者が得られる特典の種類の1つである。
【0041】
パチンコ機10は、変短状態が生起される変動回数(以下、変短回数という)を、大当り図柄の種類(図柄A、図柄B、図柄a、図柄bに応じて決定するよう構成されている。実施例1では、大当り図柄の種類が予め定めた図柄(実施例1において図柄A)である場合に、大当り遊技終了後に付与される変短回数は70回に設定されている。また、大当り図柄の種類が予め定めた別の図柄(実施例1において図柄B、図柄a、図柄b)である場合に、次回の大当り遊技が生起されるまでの間継続して変短状態が付与されるよう設定される。なお、変短状態が付与される期間としては、上記のものに限られない。
【0042】
実施例1のパチンコ機10は、確変状態および変短状態を主制御CPU60aが生起させ得ることにより、大当り遊技が生起されていない場合の遊技状態として、確変状態および変短状態の両方が生起されていない通常遊技状態としての「非確変・非変短状態」と、確変状態および変短状態の両方が生起されている「確変・変短状態」と、確変状態が生起されている一方で変短状態が生起されていない「確変・非変短状態」と、確変が生起されていない一方で変短状態が生起されている「非確変・変短状態」を生起可能に構成されている。この場合に、主制御CPU60aは、主制御RAM60cに記憶される複数種類のフラグ(確変フラグおよび変短フラグ)の設定値によって前述した各遊技状態を判別し得るように構成されている。主制御CPU60aは、確変状態を生起させる場合に対応して、主制御RAM60cに記憶される確変フラグの値を「1」に設定する。すなわち、確変フラグの設定値は、主制御CPU60aが確変状態を生起させるタイミングで「0」から「1」に変更され、確変状態を終了させるタイミングで「1」から「0」へと戻される。また、主制御CPU60aは、変短状態を生起させる場合に対応して、主制御RAM60cに記憶される変短フラグの値を「1」に設定する。すなわち、変短フラグの設定値は、主制御CPU60aが変短状態を生起させるタイミングで「0」から「1」に変更され、変短状態を終了させるタイミングで「1」から「0」へと戻される。なお、主制御CPU60aは、大当り遊技を開始するタイミングで確変フラグおよび変短フラグの各設定値を「0」に設定するようになっている。
【0043】
(確変リミッタ機能について)
実施例1のパチンコ機10は、確変大当り遊技(大当り終了後に確変状態が付与される大当り遊技)に当選し、かつ主制御CPU60aが確変状態の付与を決定する連続回数を、予め設定されたリミット回数を上限として制限するための確変リミッタ機能を備えている。そして、確変リミッタが作動している遊技状態(リミット遊技状態)は、大当り遊技終了後に遊技者が得られる特典の種類の1つである。なお、確変大当り遊技に当選し、かつ確変状態の付与が決定された回数について、以後確変大当り回数(所定条件の成立回数)と指称する場合もある。すなわち、主制御CPU60aは、確変大当り回数をカウント可能な確変カウンタとしての機能を備え、最初に確変大当り遊技に当選すると共に確変状態を付与することが決定される度に確変カウンタの値が1ずつ加算され、その回数がリミット回数に達するまでは、確変リミッタは非作動であり、確変大当り遊技の終了後には確変状態が付与される一方で、確変カウンタの値(確変大当り回数)がリミット回数に達した場合には、リミット回数目の確変大当り遊技の終了後に確変リミッタが作動する。そして、該リミット回数に達した確変大当り遊技の終了後は、強制的に通常遊技状態とするよう構成される。また、確変カウンタの値(確変大当り回数)がリミット回数に達した場合には、確変カウンタの値(確変大当り回数)がリセットされる(すなわち「0」とされる)。なお、確変状態以外の遊技状態から最初に確変大当り遊技に当選した大当り遊技について、初回大当り遊技と指称する場合がある。
【0044】
実施例1では、後述する如く、大当り遊技の種類によって異なる複数種類のリミット回数が設定されている。具体的に、実施例1では「1回」と「5回」の2種類のリミット回数が設定されている。なお、リミット回数は、初回大当り遊技の種類に依存し、例えば、初回大当り遊技としてリミット回数が「5回」の大当り遊技に当選し、その次にリミット回数が「1回」の大当り遊技に当選したとしても、リミット回数が「5回」から「1回」に変更されることはない。前記リミット回数の種類は、2種類に限らず、3種類以上設定することができる。
【0045】
(大当り遊技について)
次に、実施例1のパチンコ機10で生起される大当り遊技について説明する。大当り遊技は、特図変動表示の結果として第1特図表示部Maまたは第2特図表示部Mbに大当り図柄が確定停止表示された後に開始されるよう設定されており、当選した大当り(大当り図柄)の種類に応じて、特別入賞部33の特別用開閉部材33bが開閉動作される。実施例1では、
図5に示すように、特別用開閉部材33bを1回開放するラウンド遊技を規定ラウンド数(実施例1では5回または10回)だけ実行した後に、大当り遊技が終了するようになっている。1回のラウンド遊技は、特別入賞口33aに規定入賞数(実施例1では、8個)のパチンコ球が入賞するか、あるいは各ラウンド遊技の開始から規定のラウンド時間(実施例1では25秒)が経過することで終了する(ラウンド終了条件が成立する)よう設定されている。なお、大当り遊技では、1回目のラウンド遊技を開始する前にオープニング演出時間が設定されると共に、最後のラウンド遊技の終了後にエンディング演出時間が設定される。また、大当り遊技における各ラウンド遊技の終了からの特別用開閉部材33bが閉鎖状態で保持される待機時間として、インターバル時間が設定される。
【0046】
実施例1のパチンコ機10では、前記第1~第2始動入賞口31a,32aへのパチンコ球の入賞(始動条件の成立)に基づいて行われる特図当り判定の結果が当りの判定結果となった場合に、遊技者に与える価値が異なる複数種類の大当り遊技(当り)の中から1つの大当り遊技(当り)が決定され、その決定された大当り遊技が生起される(
図5参照)。ここで、複数種類の大当り遊技の内で何れの大当り遊技が生起されるかは、特図当り判定に当選した際に主制御CPU60aで決定される大当り図柄の種類に基づいて決定される。実施例1において第1特図表示部Maに表示可能な100種類の大当り図柄(特
図1の大当り図柄)は、図柄A、図柄Bの2つのグループに分類されており、第1特図表示部Maに確定停止表示された大当り図柄としての特
図1に応じた大当り遊技が生起される。また、実施例1において第2特図表示部Mbに表示可能な100種類の大当り図柄(特
図2の大当り図柄)は、図柄a、図柄bの2つのグループに分類されており、第2特図表示部Mbに確定停止表示された大当り図柄としての特
図2に応じた大当り遊技が生起される。実施例1では、主制御CPU60aが、大当り判定(当り判定)が当りの判定結果となる場合に、当りの種類を複数から決定する当り種類決定手段(種類決定手段)として機能する。
【0047】
実施例1のパチンコ機10は、
図5に示すように、前記第1始動入賞口31aへのパチンコ球の入賞を契機として行われる特図当り判定が当りの判定結果となった場合には、第1始動入賞口31aへパチンコ球が入賞した際に取得された特図決定用乱数に基づいて、2種類の図柄(図柄A、図柄B)の何れかに分類される1つの大当り図柄を決定する。具体的には、第1特図始動保留情報に基づく特図当り判定の判定結果が当りの判定結果となった場合に、遊技状態の違いに関わらず、50パーセントの確率で大当り図柄としての図柄Aが選択され、50パーセントの確率で大当り図柄としての図柄Bが選択されるよう特図決定用判定値が割り当てられている。また、実施例1のパチンコ機10は、前記第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞を契機として行われる特図当り判定が当りの判定結果となった場合には、第2始動入賞口32aへパチンコ球が入賞した際に取得された特図決定用乱数に基づいて、2種類の図柄(図柄a、図柄b)の何れかに分類される1つの大当り図柄を決定する。具体的には、第2特図始動保留情報に基づく特図当り判定の判定結果が当りの判定結果となった場合に、遊技状態の違いに関わらず、50パーセントの確率で大当り図柄としての図柄aが選択され、50パーセントの確率で大当り図柄としての図柄bが選択されるよう特図決定用判定値が割り当てられている。なお、前述した大当り図柄の振分確率は一例である。
【0048】
ここで、実施例1のパチンコ機10では、大当り遊技の種類は、大当り遊技の終了後に確変状態を付与可能な特定大当り遊技と、大当り遊技の終了後に確変状態を実質的に付与不能な非特定大当り遊技とに大別される。特定大当り遊技および非特定大当り遊技は、当該特定大当り遊技を主制御CPU60aが決定した際に、規定ラウンド数のラウンド遊技の内で特定ラウンド(実施例1では2ラウンド)において前記特別入賞部33の切替部材35が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変位するよう切替ソレノイドSL3を駆動するよう設定され、非特定大当り遊技における特定ラウンド目のラウンド遊技において切替部材35を第1姿勢に保持するよう切替ソレノイドSL3を駆動するよう設定されている。このように、特定大当り遊技では、特定ラウンドにおいて前記特定領域にパチンコ球が入賞可能となる一方で、非特定大当り遊技では、前記特定領域にパチンコ球が実質的に入賞不能となっている。そして、特定大当り遊技の特定ラウンド(2ラウンド)において前記特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出した場合に、大当り遊技終了後に確変状態が付与することを決定するようになっている。
【0049】
実施例1のパチンコ機10では、大当り遊技として、図柄Aに対応する第1の大当り遊技(第1の当り遊技状態)、図柄Bに対応する第2の大当り遊技(第2の当り遊技状態)、図柄aに対応する第3の大当り遊技(第3の当り遊技状態)、図柄bに対応する第4の大当り遊技(第4の当り遊技状態)の4種類が設定されている。
【0050】
(第1の大当り遊技について)
図5に示すように、図柄Aに分類される大当り図柄(特図)に対応する第1の大当り遊技は、当該第1の大当り遊技が決定された時点の遊技状態(確変状態および変短状態)に関わりなく、特別用開閉部材33bを予め定められた態様で動作させて特別入賞口33aを開放するようになっている。具体的に、第1の大当り遊技は、ラウンド遊技の合計回数が「7回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技の規定入賞数が「8個」に設定されている。また、第1の大当り遊技は、当該大当り遊技の終了後に、70回の図柄変動演出(特図変動表示)が実行されるまでの間、継続して変短状態が付与されるように設定されている。また、第1の大当り遊技は、特定ラウンド(2ラウンド)において、前記切替部材35が第1姿勢に保持される非特定大当り遊技として設定されている。
【0051】
(第2の大当り遊技について)
図5に示すように、図柄Bに分類される大当り図柄(特図)に対応する第2の大当り遊技は、当該第2の大当り遊技が決定された時点の遊技状態(確変状態および変短状態)に関わりなく、特別用開閉部材33bを予め定められた態様で動作させて特別入賞口33aを開放するようになっている。具体的に、第2の大当り遊技は、ラウンド遊技の合計回数が「7回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技の規定入賞数が「8個」に設定されている。また、第2の大当り遊技は、当該大当り遊技の終了後に、次回当りまで変短状態が生起されるように設定されている。また、第2の大当り遊技は、特定ラウンド(2ラウンド)において、前記切替部材35が第1姿勢に保持される非特定大当り遊技として設定されている。
【0052】
図柄AおよびBに分類される大当りの種類(当りの種類)は、大当り遊技終了後に確変状態が実質的に付与されない遊技であり、図柄Aに分類される大当りの種類と図柄Bに分類される大当りの種類とでは、大当り遊技の終了後に生起(付与)される第2特典遊技状態である変短状態の変短回数が異なるよう設定されている。すなわち、前記第1始動入賞部31への入賞によって決定可能な図柄Aに分類される大当りの種類と図柄Bに分類される大当りの種類とでは、大当り遊技の終了後に生起(付与)される有利状態で得られる特典の期待値である変短回数が異なっている。
【0053】
(第3の大当り遊技について)
図5に示すように、図柄aに分類される大当り図柄(特図)に対応する第3の大当り遊技は、当該第3の大当り遊技が決定された時点の遊技状態(確変状態および変短状態)に関わりなく、特別用開閉部材33bを予め定められた態様で動作させて特別入賞口33aを開放するようになっている。具体的に、第3の大当り遊技は、ラウンド遊技の合計回数が「10回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技の規定入賞数が「8個」に設定されている。また、第3の大当り遊技は、当該大当り遊技の終了後に、次回当りまで変短状態が生起されると共に、リミット回数は「5回」に設定されている。また、第3の大当り遊技は、特定ラウンド(2ラウンド)において、前記切替部材35が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変位される特定大当り遊技として設定されている。
【0054】
(第4の大当り遊技について)
図5に示すように、図柄bに分類される大当り図柄(特図)に対応する第4の大当り遊技は、当該第4の大当り遊技が決定された時点の遊技状態(確変状態および変短状態)に関わりなく、特別用開閉部材33bを予め定められた態様で動作させて特別入賞口33aを開放するようになっている。具体的に、第4の大当り遊技は、ラウンド遊技の合計回数が「10回」に設定された大当り遊技であって、各ラウンド遊技の規定入賞数が「8個」に設定されている。また、第4の大当り遊技は、当該大当り遊技の終了後に、次回当りまで変短状態が生起されると共に、リミット回数は「3回」に設定されている。また、第4の大当り遊技は、特定ラウンド(2ラウンド)において、前記切替部材35が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変位される特定大当り遊技として設定されている。
【0055】
図柄a、bに分類される大当りの種類(当りの種類)は、大当り遊技終了後に確変状態が付与される可能性のある遊技であることから、大当り遊技の終了後に生起(付与)される可能性のある特典遊技状態(確変状態や変短状態等の遊技状態)は同じであるが、リミット回数は異なっている。すなわち、前記第2始動入賞部32への入賞によって決定可能な図柄aに分類される大当りの種類と、図柄bに分類される大当りの種類とでは、大当り遊技の終了後に生起(付与)される有利状態で得られる特典の期待値であるリミット回数が異なっている。
【0056】
次に、パチンコ機10で行われる遊技の流れについて、一例としてリミット回数との関係で説明する。
【0057】
前記通常遊技状態では、後述する如く、「左打ち」が遊技者にとって有利であることから、「左打ち」が行われる。該「左打ち」を行っている状況において、前記第1始動入賞口31aにパチンコ球が入賞すると、大当り判定が行われる。大当り判定において第1または第2の大当り遊技に当選すると、当該第1または第2の大当り遊技の終了後には、遊技状態が非確変・変短状態になる。当該非確変・変短状態では、後述する如く、「右打ち」が遊技者にとって有利であることから、「右打ち」が行われる。ゲート30にパチンコ球が通過してゲートセンサSE4でパチンコ球が検出されることを契機として行われる普図当り判定で当選し、前記始動用開閉部材32bが開閉動作することで第2始動入賞口32aにパチンコ球が入賞すると、大当り判定が行われる。大当り判定において第3の大当り遊技に当選すると、主制御CPU60aは、確変カウンタの値を1加算する。すなわち、確変大当り回数は「1回」となる。主制御CPU60aは、確変カウンタの確変大当り回数がリミット回数に達しているかを判定し、リミット回数に達していない場合、主制御CPU60aは、第3の大当り遊技の終了後の遊技状態を確変・変短状態とする。
【0058】
確変・変短状態では、後述する如く、「右打ち」が遊技者にとって有利であることから、引き続き「右打ち」が行われ、該「右打ち」を行っている状況において、ゲート30にパチンコ球が通過して普図当り判定で当選し、前記始動用開閉部材32bが開閉動作することで前記第2始動入賞口32aにパチンコ球が入賞すると、大当り判定が行われる。大当り判定において第3または第4の大当り遊技に当選すると、主制御CPU60aは、主制御RAM60cに記憶されている確変大当り回数を1加算し、確変大当り回数は「2回」となる。そして、主制御CPU60aは、加算後の確変大当り回数がリミット回数に達しているかを判定する。初回大当り遊技が第3の大当り遊技の場合に設定されるリミット回数は「5回」であるので、主制御CPU60aは、確変大当り回数がリミット回数に達していないと判定し、第3または第4の大当り遊技の終了後の遊技状態を確変・変短状態とする。
【0059】
確変・変短状態では、遊技者にとって有利な「右打ち」が引き続き行われ、前述したと同様に第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞を契機とする大当り判定が行われる。大当り判定において第3または第4の大当り遊技に当選すると、主制御CPU60aは、主制御RAM60cに記憶されている確変大当り回数を1加算し、確変大当り回数は「3回」となる。そして、「右打ち」を行っている状況において、最初の第3の大当り遊技から数えて5回目の第3または第4の大当り遊技に当選すると、主制御CPU60aは、主制御RAM60cに記憶されている確変大当り回数を1加算し、確変大当り回数は「5回」となる。そして、主制御CPU60aは、加算後の確変大当り回数がリミット回数に達しているかを判定する。加算後の確変大当り回数は「5回」であるので、主制御CPU60aは、リミット回数に達していると判定し、リミット回数目の第3または第4の大当り遊技の終了後には、遊技状態を強制的に通常遊技状態とすると共に、確変カウンタの確変大当り回数をリセット(「0回」とする)。すなわち、第1または第2の大当り遊技に当選した場合は、当該第1または第2の大当り遊技の終了後に、5回の第3または第4の大当り遊技あるいは1回の第4の大当り遊技の何れかが付与される権利が遊技者に与えられる。
【0060】
ここで、確変状態および変短状態は、何れも通常遊技状態より大当り判定で当選し易く、当該確変状態または変短状態が付与されている遊技状態(確変・変短状態、非確変・変短状態、確変・非変短状態)が、通常遊技状態より有利な有利状態である。
図5に示す如く、第1始動入賞部31への入賞による大当り判定で当選した場合に決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)には、リミット回数が設定されていない(「0回」)第1および第2の大当り遊技が設定される一方で、第2始動入賞部32への入賞による大当り判定で当選した場合に決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)には、リミット回数が設定されている(「1回または5回」)第3および第4の大当り遊技が設定されており、第1始動入賞部31への入賞での当り判定が当りの判定結果となった場合に決定可能な当りの種類と、第2始動入賞部32への入賞での当り判定が当りの判定結果となった場合に決定可能な当りの種類とで、付与される有利状態で得られる特典の種類(リミット遊技の有無)が異なっている。また、大当り遊技後の確変状態や変短状態等の有利状態において遊技者が獲得可能な出球は、該有利状態において遊技者が得られる特典の種類の1つであって、その獲得可能な出球の数(出球数)が特典の期待値である。そして、実施例1では、第1始動入賞部31への入賞に基づく大当り遊技後に変短状態のみが付与される場合における大当り遊技後に獲得可能な出球数と、第2始動入賞部32への入賞に基づく大当り遊技後に確変状態、変短状態およびリミット遊技が付与される場合における大当り遊技後に獲得可能な出球数とは異なるようになり、第1始動入賞部31への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差と、第2始動入賞部32への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差とは異なるものが設けられていると言える。更に言えば、第1始動入賞部31への入賞に基づく第1の大当り遊技後に獲得可能な出球数と、第1始動入賞部31への入賞に基づく第2の大当り遊技後に獲得可能な出球数とでは、当該大当り遊技後に付与される変短回数の違いによって異なるものとなり、第1始動入賞部31への入賞に基づき決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)によって、大当り遊技後に得られる特典の期待値には異なるものが設けられていると言える。また、第2始動入賞部32への入賞に基づく第3の大当り遊技後に獲得可能な出球数と、第2始動入賞部32への入賞に基づく第4の大当り遊技後に獲得可能な出球数とでは、当該大当り遊技後に付与されるリミット回数の違いによって異なるものとなり、第2始動入賞部32への入賞に基づき決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)によって、大当り遊技後に得られる特典の期待値には異なるものが設けられていると言える。
【0061】
実施例1のパチンコ機10では、第1始動入賞部31への入賞による大当り判定で当選した場合に決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)には、変短回数が70回の第1の大当り遊技と、次回まで変短状態が継続する第2の大当り遊技とが設定されており、大当り遊技の終了後に得られる特典の期待値である変短回数が異なっている。これに対し、前記第2始動入賞部32への入賞による大当り判定で当選した場合に決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)には、リミット回数が「5回」の第3の大当り遊技と、リミット回数が「1回」の第4の大当り遊技とが設定されており、大当り遊技の終了後に得られる特典の期待値であるリミット回数が異なっている。すなわち、変短回数やリミット回数は、遊技者が得られる特典の期待値であり、第1始動入賞部31への入賞によって決定可能な第1の大当り遊技(図柄Aに分類される大当りの種類)と、第2の大当り遊技(図柄Bに分類される大当りの種類)とにおいて、大当り遊技の終了後に生起(付与)される有利状態(非確変・変短状態)で得られる期待値(変短回数)が異なる特典の種類(変短遊技)と、第2始動入賞部32への入賞によって決定可能な第3の大当り遊技(図柄aに分類される大当りの種類)と、第4の大当り遊技(図柄bに分類される大当りの種類)とにおいて、大当り遊技の終了後に生起(付与)される有利状態(確変・変短状態)で得られる期待値(リミット回数)が異なる特典の種類(リミット遊技)とが異なっていると言える。また、大当り判定で当選可能(当り種類決定手段が決定可能)な当りの種類には、付与される有利状態で得られる特典の期待値が異なるものが設けられていると言える。
【0062】
(演出表示装置17について)
図3に示すように、演出表示装置17は、表示制御基板67と電気的に接続され、表示制御基板67の制御によって表示内容が更新されるようになっている。なお表示制御基板67は、演出制御基板65の演出制御CPU65aが決定した演出パターンに応じて該演出制御CPU65aが出力する演出パターン指定コマンド等の制御信号に基づいて、演出表示装置17に表示される図柄変動演出等の表示演出の内容を制御するよう構成されている。演出表示装置17の表示画面17aには、演出用の図柄である飾図を変動表示する図柄列(図柄群表示領域)として複数(左図柄列、中図柄列および右図柄列の3つ)が設定されており、始動入賞(始動入賞口31a,32aへの入賞)を契機として、各図柄列の飾図が変動表示される。そして、各図柄列に定められた有効停止位置を組み合わせた停止図柄有効ラインに停止表示(確定表示)される飾図の図柄組み合わせを導出するようになっている。演出表示装置17では、飾図の変動表示(図柄変動)が開始された後、主制御CPU60aが決定した特図変動パターンにより特定される変動時間の経過後に所定の飾図が有効停止位置に停止表示(確定停止表示)される。また、飾図の変動表示に合わせて各種の表示演出が行われる。すなわち、演出表示装置17で行われる図柄変動演出(図柄変動)は、飾図の変動時間において演出表示装置17に表示される表示演出(飾図の変動表示を含む)である。
【0063】
ここで、第1特図表示部Maと演出表示装置17とでは、第1特図変動表示と該第1特図変動表示に関する図柄変動演出とが同時に開始され、特
図1と飾図とが同時に停止表示(確定停止表示)される。同様に、第2特図表示部Mbと演出表示装置17とでは、第2特図変動表示と該第2特図変動表示に関する図柄変動演出とが同時に開始され、特
図2と飾図とが同時に停止表示(確定停止表示)される。
【0064】
また、前記演出表示装置17には、第1特図表示部Maおよび第2特図表示部Mbで行われる特図変動表示の結果として表示される特図(大当り図柄およびはずれ図柄)に応じた飾図の図柄組み合わせが表示される。なお、実施例1では、特図に対する飾図の図柄組み合わせは一対一になっておらず、特図としての複数種類の大当り図柄に対し飾図の図柄組み合わせが共通する複数の中から選択され、特図としての1種類のはずれ図柄に対し飾図の図柄組み合わせが共通する複数の中から選択されるようになっている。
【0065】
ここで、大当りの図柄組み合わせとして、各図柄列の有効停止位置に同じ飾図が停止表示される図柄組み合わせ(例えば、「222」、「777」等)が設定されている。この大当り遊技の発生を認識できる飾図の図柄組み合わせが、演出表示装置17において前述した特図表示部Ma,Mbに表示される大当り図柄に対応して表示される大当り表示(大当りの図柄組み合わせ)となり、図柄変動演出の終了後に遊技者に有利な大当り遊技が付与される。そして、大当り表示とは異なる飾図の図柄組み合わせが、図柄演出表示装置17のはずれ表示(はずれの図柄組み合わせ)となる。
【0066】
また、図柄変動演出において、複数の図柄列の内で、特定の図柄列(例えば、左図柄列および右図柄列)に同じ飾図が停止表示され、かつ残りの図柄列(例えば、中図柄列)が変動表示された表示(リーチ表示)となることで、リーチが生起されたことを遊技者が認識し得るようになっている。具体的なリーチ表示の例としては、左図柄列および右図柄列に同じ飾図が停止表示された図柄組み合わせ(「1↓1」、「4↓4」等)となる。なお、「↓」は変動中であることを表している。また、リーチ表示を形成する特定の図柄列(左図柄列および右図柄列)の飾図を停止表示した状態で、残りの図柄列(中図柄列)に飾図が停止表示された後に、全ての図柄列の飾図が停止表示(確定表示)されるようになっている。
【0067】
(パチンコ機10に備えられる各種基60,65,66等について)
次に、
図3を参照し、パチンコ機10が備える前述した各制御基板60,65,66についての具体的な基板構成や制御内容を、主制御基板60、演出制御基板65、表示制御基板66の順に説明する。
【0068】
(主制御基板60について)
主制御基板60は、特図当り判定等の制御処理を実行する主制御CPU60a、該主制御CPU60aが実行する制御プログラムを記憶する主制御ROM60b、当該主制御CPU60aの処理に必要なデータの書込み・読出しが可能な主制御RAM60c等を備えている。
【0069】
図3に示す如く、主制御CPU60aは、第1始動入賞検出センサSE1、第2始動入賞検出センサSE2、特別入賞検出センサSE3、ゲートセンサSE4、特定領域通過検出センサSE5等の各種の検出センサと電気的に接続され、各検出センサからの検出信号を夫々入力すると共に、該検出信号の入力の有無を夫々判定するよう構成されている。また、主制御CPU60aは、始動入賞ソレノイドSL1、特別入賞ソレノイドSL2、切替ソレノイドSL3等の各種の駆動手段と電気的に接続され、各駆動手段を夫々駆動制御するよう構成されている。更に、主制御CPU60aは、遊技に関する各種の情報を表示する遊技情報表示器Mと電気的に接続され、当該遊技情報表示器Mに備えられる各表示部Ma,Mb,Mc,Md,Me,Mf,Mgの表示内容(発光態様)を夫々制御するよう構成されている。
【0070】
主制御CPU60aは、第1始動入賞口31aまたは第2始動入賞口32aへパチンコ球が入賞したこと(第1始動入賞検出センサSE1または第2始動入賞検出センサSE2がパチンコ球を検出したこと)を契機として入賞情報としての判定用乱数を取得するよう設定される。ここで、主制御CPU60aが取得する判定用乱数(入賞情報)としては、特図当り判定用乱数、特図決定用乱数、特図変動パターン振分用乱数、普図当り判定用乱数、普図決定用乱数等の各種乱数が設定されている。そして、主制御CPU60aがこれらの値を所定の周期(実施例1では4ms)で更新し、更新後の値を主制御RAM60cに一時的に記憶して更新前の値を書き換えることにより、第1または第2始動入賞検出センサSE1,SE2の検出信号が主制御CPU60aに入力されたタイミングに応じた判定用乱数が取得される。また、主制御CPU60aは、時間を計測するタイマ更新処理を実行する。主制御RAM60cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)されるようになっている。
【0071】
前記特図当り判定用乱数は、特図変動表示(図柄変動演出)の結果として当り遊技(大当り遊技)を発生するか否かの当り判定(大当り判定)で用いる乱数である。実施例1では、特図当り判定用乱数として、「0」~「65535」の全65536通りの整数値が設定されており、所定の周期(4ms)で1ずつ更新されるようになっている。また、特図決定用乱数は、大当り判定の結果に応じて第1特図表示部Maに確定停止表示させる特
図1または第2特図表示部Mbに確定停止表示させる特
図2を決定する際に用いる乱数である。ここで、実施例1では、特図決定用乱数として、「0」~「100」の全101通りの整数値が設定されており、所定の周期(4ms)で1ずつ更新されるようになっている。特図決定用乱数の各値には、前述したはずれを示す1種類の特図表示に対応する乱数と、大当りの当選を示す100種類の特図表示に対応する乱数とが設定されており、該特図決定用乱数の値により、第1特図表示部Maに確定停止表示される特
図1または第2特図表示部Mbに確定停止表示される特
図2が特定されるようになっている。すなわち、第1始動入賞検出センサSE1の検出を契機として取得される特図決定用乱数の値により、第1特図表示部Maに確定停止表示される特
図1が特定され、第2始動入賞検出センサSE2の検出を契機として取得される特図決定用乱数の値により、第2特図表示部Mbに確定停止表示される特
図2が特定される。また、前述したように、前記大当り図柄としての特
図1および特
図2は、大当り遊技の種類毎に分類されており、特
図1または特
図2が特定されることで、特図変動表示(図柄変動演出)の終了後に付与される大当り遊技の種類が特定される。
【0072】
前記特図変動パターン振分用乱数は、図柄変動演出における演出時間を特定する複数の特図変動パターンから1つの特図変動パターンを決定する際に用いられる乱数である。実施例1では、特図変動パターン振分用乱数として、「0」~「250」の全251通りの整数値が設定されており、所定の周期(4ms)で1ずつ更新されるようになっている。
【0073】
実施例1のパチンコ機では、特図当り判定用乱数、特図決定用乱数および特図変動パターン振分用乱数は、第1始動入賞口31aまたは第2始動入賞口32aへパチンコ球が入賞したこと(第1始動入賞検出センサSE1または第2始動入賞検出センサSE2がパチンコ球を検出したこと)を契機として、主制御RAM60cに一時的に記憶されている各乱数を同じタイミングで前記主制御CPU60aが取得するようになっている。また、第1始動入賞口31aへパチンコ球が入賞したことを契機に取得される各乱数は、第2始動入賞口32aへパチンコ球が入賞したことを契機に取得される各乱数と同一のものが共通で使用され、各始動入賞口31a,32aへの入賞タイミングに応じた乱数を前記主制御CPU60aが取得するようになっている。
【0074】
前記主制御CPU60aは、前記ゲート30をパチンコ球が通過したこと(ゲートセンサSE4がパチンコ球を検出したこと)を契機として通過検出情報としての各種乱数を取得するよう設定されている。ここで、主制御CPU60aがゲートセンサSE4の検出を契機に取得する乱数としては、普図当り判定用乱数、普図変動パターン決定用乱数等の各種乱数が設定されている。そして、主制御CPU60aがこれらの乱数値を所定の周期(実施例1では4ms)で更新し、更新後の乱数値を主制御RAM60cに一時的に記憶して更新前の値を書き換えることにより、ゲートセンサSE4の検出信号が主制御CPU60aに入力されたタイミングに応じて乱数が取得されるようになっている。また、主制御CPU60aは、時間を計測するタイマ更新処理を実行する。主制御RAM60cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)されるようになっている。
【0075】
前記ゲートセンサSE4をパチンコ球が通過した際に取得される通過(入球)検出情報(各種乱数値)は、普図始動保留情報として主制御RAM60cの所定の普図記憶領域(記憶領域)に一時的に記憶保持される。普図始動保留情報は、主制御RAM60cに記憶する順序で記憶する普図記憶領域が定まっており、普図始動保留情報に基づいて前記普図表示部Meで普図変動表示を実行する場合に、主制御RAM60cに記憶した順序で普図始動保留情報が主制御CPU60aにより読み出される。
【0076】
前記普図当り判定用乱数は、普図変動の結果として第2始動入賞部32の始動用開閉部材32bを開放して第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞を可能とする普図当り(普通当り)かを判定する普図当り判定(普通当り判定)で用いられる乱数である。実施例1では、普図当り判定用乱数として、「0」~「65535」の全65536通りの整数値が設定されており、所定の周期(4ms)で1ずつ更新されるようになっている。前記普図変動パターン決定用乱数は、普図変動表示における普図変動の変動時間を定めた普図変動パターンの決定に用いる乱数である。実施例1では、普図変動パターン振分用乱数として、「0」~「8」の全9通りの整数値が設定されており、所定の周期(4ms)で1ずつ更新される。そして、ゲート30をパチンコ球が通過したこと(ゲートセンサSE4がパチンコ球を検出したこと)を契機として、主制御RAM60cに一時的に記憶されている通過検出情報(普図当り判定用乱数および普図変動パターン決定用乱数等)を同じタイミングで前記主制御CPU60aが取得するようになっている。
【0077】
(判定値について)
一方、前記主制御ROM60bには、特図変動表示(図柄変動演出)の結果、大当り遊技を生起させることを示す大当り判定値が記憶されている。大当り判定値は、前記特図当り判定用乱数を用いて大当りか否かの判定(大当り判定)で用いる判定値であり、特図当り判定用乱数の取り得る「0」~「65535」までの全65536通りの整数の中から所定数の判定値が定められている。ここで、大当り判定値は、大当り判定を行う時点で前述した確変状態が付与されているか否かで判定値の設定数が異なっている。具体的には、確変状態のときに設定される大当り判定値の数(実施例1では、大当りの当選確率が1/91.40となる数)は、非確変状態の場合に設定される大当り判定値の数(実施例1では、大当りの当選確率が1/199.00となる数)よりも多く設定されている。すなわち、確変状態における大当り判定値の設定数を多くすることで、大当り遊技が生起し易くなっている。
【0078】
また、前記主制御ROM60bには、特図決定用判定値が記憶されている。特図決定用判定値は、大当り判定の判定結果が当りの判定結果の場合に、第1特図表示部Maに確定停止表示させる大当り図柄としての特
図1または第2特図表示部Mbに確定停止表示させる大当り図柄としての特
図2を、特図決定用乱数を用いて決定する判定値である。ここで、実施例1では、特図決定用判定値には、前述した101種類の特図決定用乱数に対応した「0」~「100」の整数値が設定されており、特図決定用判定値の夫々に個別に特
図1および特
図2が対応付けられている。
【0079】
前記主制御ROM60bには、普図変動表示の結果、普図当り遊技を生起させることを示す普図当り判定値が記憶されている。普図当り判定値は、前記普図当り判定用乱数を用いて普図当りか否かの判定(普図当り判定)で用いる判定値であり、普図当り判定用乱数の取り得る「0」~「65535」までの全65536通りの整数の中から所定数の判定値が定められている。ここで、普図当り判定値は、普図当り判定を行う時点で前述した変短状態が付与されているか否かで判定値の設定数が異なっている。具体的には、変短状態の場合に設定される普図当り判定値の数(実施例1では65535個)は、非変短状態の場合に設定される普図当り判定値の数(実施例1では1125個)よりも多く設定されている。すなわち、変短状態における普図当り判定値の設定数を多くすることで、普図当り遊技が生起し易くなっている。
【0080】
前記主制御ROM60bには、変動内容を特定する複数種類の特図変動パターン(変動パターン)が記憶されており、各特図変動パターンに対応して特図変動パターン振分判定値が記憶されている。ここで、前記特図変動パターンは、第1特図変動表示または第2特図変動表示が開始してから確定停止表示されるまでの間に実行される表示内容(特図変動表示の内容、図柄変動演出の表示内容、発光演出態様、音声演出態様)の基本的なベースとなる内容を特定するものである。また、特図変動パターンは、第1特図変動表示または第2特図変動表示が開始してから特
図1または特
図2が確定停止表示されるまでの変動時間(特図変動表示および図柄変動演出の時間)を特定している。特図変動パターン振分判定値は、前記特図変動パターン振分用乱数を用いて特図変動パターンの決定に用いる判定値であり、特図変動パターン毎に所定の判定値が割当てられており、取得された特図変動パターン振分用乱数に対応する特図変動パターン振分判定値が割り当てられた特図変動パターンが特定されるようになっている。
【0081】
前記主制御ROM60bに記憶される特図変動パターンには、当り用の特図変動パターンと、はずれ用の特図変動パターンとに分類されており、遊技状態に応じて特図変動パターン毎に特定の特図変動パターン振分判定値が定められている。なお、当り用の特図変動パターンは、大当り判定の結果が当りの結果の場合に決定可能な特図変動パターンである。また、はずれ用の特図変動パターンは、当り判定(大当り判定)の結果がはずれの場合に選択される特図変動パターンである。そして、はずれ用の特図変動パターンには、リーチ演出が行われた後に最終的にはずれとするリーチはずれ特図変動パターンと、リーチを形成せずにはずれとするはずれ特図変動パターンとがある。なお、リーチ演出は、図柄変動演出においてリーチ表示となる有効図柄の図柄組み合わせが演出表示装置17に表示されてから、当り表示(大当り表示)またははずれ表示となる飾図の図柄組み合わせが停止表示されるまでの間に行われる演出である。
【0082】
前記主制御CPU60aが決定可能な特図変動パターンが遊技状態毎に定められており、遊技状態毎に定められた特図変動パターン(変動パターン)の種類の中から主制御CPU60aが1つの特図変動パターンを決定することで、遊技状態毎に特有の図柄変動(特図変動表示および図柄変動演出)が実行されるよう構成される。具体的に、主制御ROM60bに設定された各特図変動パターンに対する特図変動パターン振分判定値の割当数が遊技状態に対応する特図変動パターンテーブル毎に定められており、各遊技状態において参照される特図変動パターンテーブルの中から、取得した特図変動パターン振分用乱数に対応する特図変動パターンを主制御CPU60aが決定するようになっている。
【0083】
実施例1のパチンコ機10では、遊技状態として設定されている通常遊技状態、確変・非変短状態、確変・変短状態および非確変・変短状態の場合において、前記第1始動入賞部31への入賞に基づいて主制御CPU60aが特図変動パターンを決定する第1特図変動パターンテーブル(変動パターンテーブル)と、前記各遊技状態の場合において、前記第2始動入賞部32への入賞に基づいて主制御CPU60aが特図変動パターンを決定する第2特図変動パターンテーブル(変動パターンテーブル)とが設定されている。各特図変動パターンテーブルには、はずれ用の特図変動パターンとしてはずれ特図変動パターンと、リーチはずれ特図変動パターンと、当り用の特図変動パターンとして大当り特図変動パターンとが設定されており、これらの特図変動パターンに対して特図変動パターン振分判定値が割り当てられている。
【0084】
前記第1特図変動パターンテーブルに設定される各特図変動パターンの決定割合および変動時間と、第2特図変動パターンテーブルに設定される各特図変動パターンの決定割合および変動時間とを比較すると、通常遊技状態および確変・非変短状態の場合は、「左打ち」により第1始動入賞部31への入賞を狙う方が遊技者にとって有利であり、確変・変短状態および非確変・変短状態の場合は、「右打ち」により第2始動入賞部32への入賞を狙う方が遊技者にとって有利なように設定されている。例えば、通常遊技状態において「右打ち」して第2始動入賞部32に入賞した場合に第2特図変動パターンテーブルの中から決定される特図変動パターンの変動時間は、通常遊技状態において「左打ち」して第1始動入賞部31に入賞した場合に第1特図変動パターンテーブルの中から決定される特図変動パターンの変更時間より極めて長く設定され、逆に、例えば確変・変短状態において「左打ち」して第1始動入賞部31に入賞した場合に第1特図変動パターンテーブルの中から決定される特図変動パターンの変動時間は、確変・変短状態において「右打ち」して第2始動入賞部32に入賞した場合に第2特図変動パターンテーブルの中から決定される特図変動パターンの変更時間より極めて長くなるよう設定されている等である。また、確変・変短状態および非確変・変短状態では、第2始動入賞口32aへのパチンコ球の入賞契機が増加する入賞率向上状態であることから、当該確変・変短状態および非確変・変短状態においては、前記右打ちを行う方が有利である。
【0085】
(実施例1の作用)
次に、前述した実施例1に係る作用・効果につき説明する。
【0086】
実施例1のパチンコ機10では、第1始動入賞部31への入賞での当り判定が当りの判定結果となった場合に決定可能な第1または第2の大当り遊技(大当りの種類)では、大当り遊技の終了後にリミット回数は付与されないのに対し、第2始動入賞部32への入賞での当り判定が当りの判定結果となった場合に決定可能な第3または第4の大当り遊技(大当りの種類)では、大当り遊技の終了後にリミット回数が付与されるよう設定されている。すなわち、大当り遊技の終了後に付与される有利状態で得られる特典の種類が、入賞した始動入賞手段31,32の種類によって異なるという新たな遊技性によって、遊技の興趣を上向することができる。言い替えると、第1始動入賞部31への入賞での当り判定が当りの判定結果となった特図の種類によって大当り遊技の終了後に付与される特典の種類と、第2始動入賞部32への入賞での当り判定が当りの判定結果となった特図の種類によって大当り遊技の終了後に付与される特典の種類とが異なることで、当りとなる特図の種類に対する関心を高めて遊技の興趣を向上することができる。また、第1始動入賞部31への入賞による当り判定で当選した場合に決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)のように、大当り遊技の終了後に付与されるリミット回数が設定されていない大当りの種類による大当り遊技後の有利状態で獲得可能な出球数は、第2始動入賞部32への入賞による当り判定で当選した場合に決定可能な大当り遊技の種類(大当りの種類)のように、大当り遊技の終了後に付与するリミット回数が設定されている大当りの種類による大当り遊技後の有利状態で獲得可能な出球数より少なくなる。すなわち、リミット回数の違いや獲得可能な出球数の違いが、特典の期待値が異なることであることから、第1始動入賞部31への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差と、第2始動入賞部32への入賞に基づき付与可能な有利状態で得られる特典の種類による期待値の差とが異なるので、遊技が単調となるのを防いで興趣を向上することができる。
【0087】
実施例1のパチンコ機10では、通常遊技状態において第1または第2の大当り遊技に当選した場合は、大当り遊技の終了後には非確変・変短状態の遊技状態となるので、その変短状態の間に第2始動入賞部32への入賞によって第3の大当り遊技に当選すれば、当該第3の大当り遊技に設定されているリミット回数(5回)の大当り遊技を獲得する権利が付与され、遊技の興趣を向上することができる。言い替えると、通常遊技状態において当選した大当り遊技とは別に、その後に当選した大当り遊技に設定されているリミット回数分の大当り遊技を獲得することが可能となるので、遊技の興趣を向上することができる。
前記主制御CPU60aは、当該主制御CPU60aが第5の大当り遊技(特定大当り遊技)を決定した際に、特定ラウンド(2ラウンド)において前記特別入賞部33の切替部材35を、所定の動作パターンで第1姿勢と第2姿勢とに姿勢変位するよう設定されて、第5の大当り遊技の特定ラウンドでは、パチンコ球が第1通路(非特定領域)34aと第2通路(特定領域)34bとの何れかを通過可能に構成されている。そして、実施例2では、特定ラウンドにおいて第2通路34bをパチンコ球が通過しなかった場合(特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出しなかった場合、すなわちパチンコ球が第1通路34aを通過した場合)に、主制御CPU60aは、付与するリミット回数を「1回」に決定する一方で、特定ラウンドにおいて第2通路34bをパチンコ球が通過した場合(特定領域通過検出センサSE5がパチンコ球を検出した場合)に、主制御CPU60aは、付与するリミット回数を「2回」に決定するよう構成されている。
実施例2のパチンコ機では、実施例1のパチンコ機10が奏する作用効果が得られる。加えて、実施例2のパチンコ機では、前記第2始動入賞部32(第2始動入賞口32a)への入賞での当り判定が当りの判定結果となった場合に、特別入賞口(特定入賞口)33aに入賞したパチンコ球が、第1通路(非特定領域)34aを通過した場合と、第2通路(特定領域)34bを通過した場合とで、大当り遊技の終了後に付与される有利状態で得られる特典の期待値であるリミット回数が異なる第5の大当り遊技を設定するようにしたので、遊技が単調となるのを防いで興趣をより向上することができる。