(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119571
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】カーテンウォールの固定構造及びカーテンウォールの施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 2/96 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
E04B2/96
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026572
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】小野沢 篤
(72)【発明者】
【氏名】北垣 秀典
(72)【発明者】
【氏名】平塚 寧子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 彩香
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002NA01
2E002NB02
2E002NB06
2E002NC01
2E002PA01
2E002PA08
2E002QB01
2E002QB04
2E002QC01
2E002SA02
2E002TA02
2E002XA05
2E002XA08
(57)【要約】
【課題】躯体の強度を低下させずに幅方向のファスナーの位置を容易に調整できるカーテンウォールの固定構造を提供する。
【解決手段】建物の躯体と、方立に連結されるとともに、躯体にボルトを用いて固定されるファスナーと、を備える。躯体は、カーテンウォールの壁面に沿った幅方向に、ボルトが挿し通し可能な複数の孔部がフランジ部に形成されたH形鋼を有する。ファスナーは、幅方向に延びボルトが挿し通される長孔部を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の躯体と、
方立に連結されるとともに、前記躯体にボルトを用いて固定されるファスナーと、
を備え、
前記躯体は、カーテンウォールの壁面に沿った幅方向に、前記ボルトが挿し通し可能な複数の孔部がフランジ部に形成されたH形鋼を有し、
前記ファスナーは、前記幅方向に延び前記ボルトが挿し通される長孔部を有する、カーテンウォールの固定構造。
【請求項2】
前記長孔部は、前記幅方向に間隔をあけて複数並んで配置されている、
請求項1に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項3】
前記ファスナーは、前記壁面と直交する方向の寸法よりも前記幅方向の寸法が長い、
請求項1または2に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項4】
前記長孔部の前記幅方向の最大長さは、隣り合う前記孔部における縁部の最大距離の最大値以上である、
請求項1または2に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項5】
前記長孔部は、前記ファスナーにおける前記幅方向ついて、前記方立が連結された領域から離れて配置されている、
請求項1または2に記載のカーテンウォールの固定構造。
【請求項6】
カーテンウォールの壁面に沿った幅方向に、断面が円形でありボルトが挿し通し可能な複数の孔部がフランジ部に形成されたH形鋼を有する躯体に、前記幅方向に延び前記ボルトが挿し通される長孔部を有するファスナーを配置することと、
前記ファスナーに方立を連結することと、
前記方立を連結した前記ファスナーを前記ボルトに対して前記長孔部に沿って移動させて前記ファスナーの前記幅方向の位置を調整することと、
前記幅方向の位置を調整した前記ファスナーを、前記ボルトを用いて前記躯体に固定することと、
を含むカーテンウォールの施工方法。
【請求項7】
前記長孔部を前記幅方向に間隔をあけて複数並んで配置する、
請求項6に記載のカーテンウォールの施工方法。
【請求項8】
前記ファスナーには、前記壁面と直交する方向の寸法よりも前記幅方向の寸法が長い前記ファスナーを用いる、
請求項6または7に記載のカーテンウォールの施工方法。
【請求項9】
前記ファスナーには、前記長孔部の前記幅方向の最大長さが、隣り合う前記孔部における縁部の最大距離の最大値以上の前記ファスナーを用いる、
請求項6または7に記載のカーテンウォールの施工方法。
【請求項10】
前記長孔部を、前記ファスナーにおける前記幅方向ついて、前記方立が連結された領域から離れて配置する、
請求項6または7に記載のカーテンウォールの施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カーテンウォールの固定構造及びカーテンウォールの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、中高層ビルなどの建物の外壁にカーテンウォールを設ける場合、建物の躯体にファスナーを固定し、ファスナーにカーテンウォールの方立を固定している。特許文献1には、フランジ部の所定位置に複数の孔部が格子状に配置されたH形鋼が開示されている。特許文献1に記載されたH形鋼の孔部及びファスナーに挿し通されたボルトにナットをねじ込むことによって、躯体としてのH形鋼にファスナーを固定することができる。
【0003】
特許文献1に記載されたカーテンウォールの固定構造では、ボルトの位置がH形鋼における孔部の位置に制限されるため、カーテンウォールの壁面に沿った幅方向の方立の位置に応じて、ファスナーの位置を調整することが困難である。例えば、H形鋼にファスナーを溶接し、ファスナーとカーテンウォールとを固定することによって、幅方向の方立の位置にファスナーを配置できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
躯体にファスナーを溶接固定してしまうと、躯体の強度が低下する。躯体の強度補強のための対策は煩雑である。
【0006】
本開示は、以上のような点を考慮してなされたもので、躯体の強度を低下させずに幅方向のファスナーの位置を容易に調整できるカーテンウォールの固定構造及びカーテンウォールの施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、建物の躯体と、方立に連結されるとともに、前記躯体にボルトを用いて固定されるファスナーと、を備え、前記躯体は、カーテンウォールの壁面に沿った幅方向に、前記ボルトが挿し通し可能な複数の孔部がフランジ部に形成されたH形鋼を有し、前記ファスナーは、前記幅方向に延び前記ボルトが挿し通される長孔部を有する、カーテンウォールの固定構造である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のカーテンウォールの固定構造を示し、
図2のA-A線断面に対応する鉛直断面図である。
【
図3】本開示のカーテンウォールの固定構造を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のカーテンウォールの固定構造及びカーテンウォールの施工方法の実施の形態を、
図1から
図3を参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や孔部の数等を異ならせている。
【0010】
図1および
図2に示すように、カーテンウォールの固定構造1は、ファスナー2と、固定金具4と、ボルト5と、を有する。ファスナー2は、躯体3に取り付けられる。カーテンウォール11は、固定金具4を介してファスナー2に取り付けられる。カーテンウォール11は、面材10を有する。面材10は、無目及び左右一対の方立13を四周枠組みすることによって構成した枠の内部にガラスやコンクリート等の面材パネル14を保持したものである。
【0011】
以下の説明では、カーテンウォール11における面材10の壁面に直交する方向を屋内外方向と表記する。カーテンウォール11の壁面に沿った水平方向であり、かつ屋内外方向に直交する方向を幅方向と表記する。図面では、幅方向を矢印Xで示し、屋内外方向を矢印Yで示し、上下方向を矢印Zで示す。
【0012】
躯体3は、H形鋼である。躯体3は、建物の幅方向全体にわたって延びる。躯体3は、板面が水平面となる姿勢の上フランジ31Aと下フランジ31Bとウェブ31Cとを有する。上フランジ31A及び下フランジ31Bは、フランジ部に対応する。上フランジ31A及び下フランジ31Bは、それぞれ複数の孔部32を有する。孔部32は、断面が円形であり、上フランジ31A及び下フランジ31Bをそれぞれ上下方向に貫通する。孔部32の断面は、例えば、楕円、長円、多角形であってもよい。孔部32には、ボルト5が挿し通し可能である。孔部32は、幅方向に間隔をあけて直線上に配置された列が屋内外方向に間隔をあけて2列設けられている。2列の孔部32は、ウェブ31Cを中心として屋内外方向に線対称に配置されている。
【0013】
複数の孔部32が形成された各列においては、4つの孔部32が組を形成し、幅方向に複数の組が配列されている。組を形成する4つの孔部32のうち、隣り合う孔部32は、中心位置が距離LAで幅方向にそれぞれ離れている。他の孔部32は、距離LAで離れた孔部32から中心位置が距離LBで幅方向に離れている。組を形成する4つの孔部32のうち、幅方向の両端に位置する孔部32の中心位置が距離Lで離れている。距離Lは、2×LA+LBで表される。一例として、距離LAは、87.5mmであり、距離LBは、85mmである。距離LAが87.5mmであり、距離LBが85mmである4つの孔部32の組は、距離Lが250mmのピッチで幅方向に配列される。
【0014】
固定金具4は、取付部51と、調整ボルト装着部52と、を有する。取付部51は、上下方向に延びる矩形の平板状である。取付部51は、挿通孔53と、挿通孔54と、を有する。挿通孔53及び挿通孔54は、取付部51を屋内外方向に貫通する。挿通孔54は、挿通孔53を挟んで上下方向の両側に配置されている。取付部51は、方立13に係合するボルト41が挿通孔54に挿し通され、ボルト41にナットが締結されることによって方立13に屋内側から固定される。挿通孔53には、屋外側からボルト40が挿入されて挿し通される。
【0015】
調整ボルト装着部52は、取付部51の上端から屋内側に延びている。調整ボルト装着部52は、挿通孔55と、収容溝56と、調整ナット43と、を有する。挿通孔55は、調整ボルト装着部52における屋内外方向の中央に位置する。挿通孔55は、断面円形であり、調整ボルト装着部52を上下方向に貫通する。挿通孔55には、調整ボルト42が上側から挿通する。収容溝56は、挿通孔55における上下方向の中途に設けられている。収容溝56は、幅方向と直交する横断面が矩形状であり、幅方向の両端部が開口した溝である。収容溝56は、幅方向に延びる中心軸線が挿通孔55の中心軸線と直交する。調整ナット43は、収容溝56に収容されている。調整ナット43は、平行な2辺が収容溝56の壁面と嵌め合わされることによって、調整ボルト装着部52に対して回転不能に装着される。調整ナット43の雌ねじ部には、調整ボルト42の雄ねじ部がねじ込まれている。
【0016】
ファスナー2は、幅方向と直交する断面形状がL字形の金具である。ファスナー2は、上側から見て、屋内外方向の寸法よりも幅方向の寸法が長い。ファスナー2は、方立固定片21と、躯体固定片22と、を有する。方立固定片21は、上下方向に延びる矩形の平板状である。方立固定片21は、屋内外方向に貫通するルーズ孔21aを有する。ルーズ孔21aは、上下方向に延びる。ルーズ孔21aには、屋外側からボルト40が挿入されて挿し通される。方立固定片21は、ボルト40がルーズ孔21aに挿し通され、ボルト40にナットが締結されることによって方立13に屋内側から連結される。
【0017】
躯体固定片22は、板面が長方形の平板状である。躯体固定片22は、板面が水平面となる姿勢で方立固定片21の下縁部から屋内側に突出する。躯体固定片22は、長孔部23を有する。長孔部23は、躯体固定片22を上下方向に貫通する。長孔部23は、幅方向に延びる。長孔部23は、幅方向の両端に半円の円弧部23aをそれぞれ有する。長孔部23は、幅方向の両端に円弧部23aを有さず、上側から見て矩形状であってもよい。長孔部23の屋内外方向の寸法は、ボルト5の直径よりも大きい。長孔部23には、ボルト5が挿し通される。長孔部23は、幅方向に間隔をあけて2つ並んで配置されている。2つの長孔部23は、屋内外方向の位置が同一である。長孔部23は、躯体固定片22における幅方向の中央を中心として線対称に配置されている。長孔部23は、ファスナー2における幅方向について、方立13が連結された領域から離れて配置されている。
【0018】
長孔部23の屋内外方向の位置は、躯体3における孔部32の列のうち、屋外側に位置する列と同一の位置である。長孔部23の幅方向の最大長さは、隣り合う孔部32における縁部の最大距離の最大値以上である。長孔部23が両端に円弧部23aを有する場合、長孔部23における両端の円弧部23aの中心距離LCは、躯体3における幅方向で隣り合う孔部32の中心距離LA、LBの最大値以上である。一例として、躯体3において幅方向で隣り合う孔部32の距離LAが87.5mmであり、距離LBが85mmである場合、長孔部23における両端の円弧部23aの中心距離LCは、87.5mm以上である。
【0019】
長孔部23の屋内外方向の位置が屋外側に位置する列と同一の位置であり、長孔部23における両端の円弧部23aの中心距離LCが孔部32の中心距離LA、LBの最大値以上であるため、躯体固定片22を上フランジ31Aに設置したときに、長孔部23は複数の孔部32のいずれかと上下方向に連通する。上下方向に連通する長孔部23及び孔部32には、ボルト5が上側から挿し通され、ボルト5にナットが締結されることによって、躯体3に躯体固定片22が上側から固定される。躯体固定片22を有するファスナー2は、ナットによる締結前に、孔部32に挿し通されたボルト5に対して幅方向に移動可能である。方立13に連結されたファスナー2を幅方向に移動させることによって、カーテンウォール11と躯体3の幅方向の位置を調整可能である。
【0020】
上記構成のカーテンウォール11の施工方法は、カーテンウォール11の壁面に沿った幅方向に、断面が円形でありボルト5が挿し通し可能な複数の孔部32がフランジ部に対応する上フランジ31Aに形成されたH形鋼を有する躯体3に、幅方向に延びボルト5が挿し通される長孔部23を有するファスナー2を配置することと、長孔部23と、長孔部23と対向する孔部32に挿し通したボルト5を用いて、ファスナー2を躯体3に仮固定することと、ファスナー2に方立13を連結することと、方立13を連結したファスナー2をボルト5に対して長孔部23に沿って移動させてファスナー2の幅方向の位置を調整することと、幅方向の位置を調整したファスナー2を、ボルト5を用いて躯体3に固定することと、を含む。
【0021】
複数の孔部32が上フランジ31Aに形成されたH形鋼を有する躯体3に、長孔部23を有するファスナー2を配置することは、ファスナー2に方立13を連結する前に実施される。長孔部23と、長孔部23と対向する孔部32に挿し通したボルト5を用いて、ファスナー2を躯体3に仮固定することは、躯体3に対して方立13を配置する幅方向の位置に応じてファスナー2を設置し、ファスナー2における長孔部23と、長孔部23と上下方向に重なる孔部32にボルト5を上側から挿し通すとともに、ボルト41にナットを軽く締結してファスナー2を躯体3に仮固定する。
【0022】
ファスナー2を躯体3に仮固定した後には、ファスナー2に方立13を連結する。ファスナー2に方立13を連結することは、固定金具4における挿通孔53及びファスナー2におけるルーズ孔21aにボルト40を屋外側から挿し通しボルト40にナットを締結する。ボルト40にナットを締結することによって、固定金具4を介してファスナー2に方立13を連結する。
【0023】
ファスナー2に方立13を連結した後には、方立13を連結したファスナー2をボルト5に対して長孔部23に沿って移動させてファスナー2の幅方向の位置を調整する。ファスナー2は、躯体3に仮固定されているだけなので、ボルト5及び躯体3に対するファスナー2の幅方向の位置を容易に微調整可能である。ファスナー2の幅方向の位置を微調整することによって、ボルト5及び躯体3に対する方立13の幅方向の位置を微調整できる。ファスナー2を介して方立13の幅方向の位置を微調整した後には、ボルト5にナットを締結することによって、幅方向の位置を調整したファスナー2を躯体3に本固定する。ファスナー2を躯体3に本固定することによって、方立13を含むカーテンウォール11が、躯体3における調整された幅方向の位置に設置される。
【0024】
実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法を用いたときには、躯体3の孔部32に挿し通されることによってボルト5の幅方向の位置が規定された場合でも、躯体3にファスナー2を溶接することなく、長孔部23に沿ってファスナー2を移動させて幅方向の位置を調整できる。実施形態のカーテンウォールの固定構造1を用いたときには、躯体3の強度を低下させずに幅方向のファスナー2の位置を容易に調整できる。
【0025】
実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法を用いたときには、ファスナー2の屋内外方向の寸法よりも幅方向の寸法が長いため、ファスナー2は幅方向に大きな面積で躯体3に接する。ファスナー2と躯体3が大きな面積で接することによってファスナー2と躯体3との間の摩擦力が大きくなり、風圧等によってカーテンウォール11を介して方立13に大きな負荷が掛かった際にも、躯体3に対するカーテンウォール11の位置がずれることを抑制できる。
【0026】
実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法を用いたときには、長孔部23がファスナー2における幅方向ついて、方立13が連結された領域から離れて配置されているため、方立13を介してファスナー2に加わる負荷に対する強度低下を抑制することができる。
【0027】
実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法を用いたときには、長孔部23が幅方向に間隔をあけて複数並んで配置されているため、複数のボルト5によってファスナー2と躯体3を固定することができる。ファスナー2と躯体3を複数のボルト5によって固定することによってファスナー2と躯体3の接合力を大きくでき、風圧等によって躯体3に対するカーテンウォール11の位置がずれることを抑制できる。
【0028】
実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法を用いたときには、ファスナー2の長孔部23における両端の円弧部23aの中心距離LCが、躯体3における隣り合う孔部32の中心距離LA、LBの最大値以上であるため、ファスナー2を躯体3に設置した際に孔部32の少なくとも1つが長孔部23と上下方向に重なる。孔部32の少なくとも1つが長孔部23と上下方向に重なることによって、長孔部23及び孔部32にボルト5を挿し通してファスナー2と躯体3を固定することができる。
【0029】
図3に示すように、複数のカーテンウォール11を幅方向に並べる場合、方立13は意匠性の観点から一定のピッチPで配置されることが好ましい。方立13の配置ピッチPが4つの孔部32が形成する組の距離Lの整数倍でない場合及び躯体3における孔部32の位置が各方立13が配置される位置と対応しない場合の少なくとも何れか一方では、ファスナー2が長孔部23を有さないときにボルト5を用いてファスナー2と躯体3を固定することは困難である。実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法を用いたときには、方立13の配置ピッチPが4つの孔部32が形成する組の距離Lの整数倍でない場合及び躯体3における孔部32の位置が各方立13が配置される位置と対応しない場合であっても、ボルト5に対して長孔部23に沿ってファスナー2を幅方向に移動させることよって、方立13及びカーテンウォール11の位置を容易に調整できる。方立13及びカーテンウォール11を一定のピッチPで幅方向に並べることによって、意匠性を向上させることができる。
【0030】
以上、添付図面を参照しながら本開示に係る好適な実施形態について説明したが、本開示は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0031】
実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法においては、複数の孔部32が形成された列が上フランジ31A及び下フランジ31Bにそれぞれ2列設けられる構成を例示したが、それぞれ1列設けられる構成であってもよいし、それぞれ3列以上設けられる構成であってもよい。
【0032】
実施形態のカーテンウォールの固定構造1及び施工方法においては、ファスナー2に2つの長孔部23が設けられる構成を例示したが、1つの長孔部23が設けられる構成あってもよいし、3つ以上の長孔部23が設けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0033】
1…カーテンウォールの固定構造、2…ファスナー、3…躯体、5…ボルト、11…カーテンウォール、13…方立、23…長孔部、23a…円弧部、31A…上フランジ、31B…下フランジ、32…孔部