IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーソリューションズ株式会社の特許一覧

特開2024-119583通信装置、無線通信システム、及びプログラム
<>
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図1
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図2
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図3
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図4
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図5
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図6
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図7A
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図7B
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図7C
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図7D
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図7E
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図8
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図9
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図10
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図11
  • 特開-通信装置、無線通信システム、及びプログラム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119583
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】通信装置、無線通信システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/30 20180101AFI20240827BHJP
   H04W 48/20 20090101ALI20240827BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240827BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20240827BHJP
【FI】
H04W76/30
H04W48/20
H04W84/12
H04W48/16 132
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026587
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】313006647
【氏名又は名称】セイコーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 善行
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
(57)【要約】
【課題】電波強度の高い最適なアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能な通信装置、無線通信システム、及びプログラムを提供する。
【解決手段】アクセスポイント機能を有する自装置が現在接続する他の通信装置との無線通信の電波強度が予め定められた切断閾値以下の場合に、当該他の通信装置との接続を切断する通信制御部を備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイント機能を有する自装置が現在接続する他の通信装置との無線通信の電波強度が予め定められた切断閾値以下の場合に、当該他の通信装置との接続を切断する通信制御部を備える通信装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、
前記切断閾値よりも大きい値である切断対象閾値が、自装置と接続した前記他の通信装置毎の過去の最大電波強度よりも大きい場合は、電波強度が前記切断閾値以下となった場合であっても当該他の通信装置との接続を切断しない請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、
前記電波強度が予め定められた回数、継続して前記切断閾値以下となった場合に、当該他の通信装置との接続を切断する請求項1又は2に記載の通信装置。
【請求項4】
通信装置と、
前記通信装置と接続する複数の他の通信装置と、を備え、
前記通信装置は、
アクセスポイント機能を有する自装置と、当該自装置が現在接続する前記他の通信装置との無線通信の電波強度が予め定められた閾値以下となった場合に、当該他の通信装置との接続を切断する通信制御部を備える無線通信システム。
【請求項5】
前記他の通信装置は、
アクセスポイント機能を有する前記通信装置を検索可能である請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
コンピュータに、
アクセスポイント機能を有する自装置と、当該自装置が現在接続する他の通信装置との無線通信の電波強度が予め定められた切断閾値以下の場合に、当該他の通信装置との接続を切断する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、無線通信システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店で使用されている注文管理システムは、注文情報を入力し無線で通信する入力端末と、入力端末をネットワークに接続するアクセスポイント機能を有する通信装置と、無線を中継する無線中継装置と、複数の出力装置(プリンタ・ディスプレイ装置)と、これらを制御する注文管理装置とから構成される。
【0003】
ここで、入力端末は、電波強度の高いアクセスポイントを検索して接続するものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-152750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
入力端末は、飲食店の各テーブルに配置されており、多台数の装置がネットワークに接続している。このため、店舗全体を複数のアクセスポイントでカバーしているが、テーブルレイアウト変更や入力端末の交換により、入力端末自体の移動を行うことで、テーブルに配置した入力端末が最適なアクセスポイントへ接続されていないことがある。
入力端末が最適なアクセスポイント先への切り替えを行うには、入力端末側のソフトウエアが能動的に動作することが必要であり、各種入力端末の種類によって切り替え仕様が異なる。
このため、テーブルに再配置した入力端末は、実際の通信を開始すると、アクセスポイントとの接続が不安定となり、通信エラーが発生して、アクセスポイントへの再接続などが発生することにより、入力端末から注文データを登録する客からはクレームが出ることがある。
【0006】
そこで、本願発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電波強度の高い最適なアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能な通信装置、無線通信システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の通信装置は、アクセスポイント機能を有する自装置が現在接続する他の通信装置との無線通信の電波強度が予め定められた切断閾値以下の場合に、当該他の通信装置との接続を切断する通信制御部を備える。
【0008】
第1の態様の通信装置によれば、電波強度の高い最適なアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能となる。
【0009】
また、第2の態様の通信装置では、前記通信制御部は、前記切断閾値よりも大きい値である切断対象閾値が、自装置と接続した前記他の通信装置毎の過去の最大電波強度よりも大きい場合は、電波強度が前記切断閾値以下となった場合であっても当該他の通信装置との接続を切断しない。
【0010】
第2の態様の通信装置によれば、電波強度が低い場合は、他のアクセスポイントを検索しても低い電波強度のアクセスポイントしか接続することができないため、切断対象とはならないようにすることで、頻繁に切断されることを防止し、安定した通信をすることが可能となる。
【0011】
また、第3の態様の通信装置では、前記通信制御部は、前記電波強度が予め定められた回数、継続して前記切断閾値以下となった場合に、当該他の通信装置との接続を切断する。
【0012】
第3の態様の通信装置によれば、電波強度が一時的に低下することで切断閾値以下となった場合の切断を防止することが可能となる。
【0013】
また、第4の態様の無線通信システムは、通信装置と、前記通信装置と接続する複数の他の通信装置と、を備え、前記通信装置は、アクセスポイント機能を有する自装置と、当該自装置が現在接続する前記他の通信装置との無線通信の電波強度が予め定められた閾値以下となった場合に、当該他の通信装置との接続を切断する通信制御部を備える。
【0014】
第4の態様の無線通信システムによれば、電波強度の高い最適なアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能となる。
【0015】
また、第5の態様の無線通信システムでは、前記他の通信装置は、アクセスポイント機能を有する前記通信装置を検索可能である。
【0016】
第5の態様の無線通信システムによれば、より電波強度の高いアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能となる。
【0017】
また、第6の態様のプログラムは、コンピュータに、アクセスポイント機能を有する自装置と、当該自装置が現在接続する他の通信装置との無線通信の電波強度が予め定められた切断閾値以下の場合に、当該他の通信装置との接続を切断する処理を実行させる。
【0018】
第6の態様のプログラムによれば、電波強度の高い最適なアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電波強度の高い最適なアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る注文管理システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態に係るアクセスポイントの概略ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係るコントローラの概略ブロック図である。
図4】本発明の実施の形態に係る閾値設定の一例を説明するための説明図である。
図5】本発明の実施の形態に係る履歴データの一例を説明するための説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係る接続機器リストの一例を説明するための説明図である。
図7A】本発明の実施の形態に係るアクセスポイントと入力端末との接続の状態の一例を説明するための説明図である。
図7B】本発明の実施の形態に係るアクセスポイントと入力端末との接続の状態の一例を説明するための説明図である。
図7C】本発明の実施の形態に係るアクセスポイントと入力端末との接続の状態の一例を説明するための説明図である。
図7D】本発明の実施の形態に係るアクセスポイントと入力端末との接続の状態の一例を説明するための説明図である。
図7E】本発明の実施の形態に係るアクセスポイントと入力端末との接続の状態の一例を説明するための説明図である。
図8】本発明の実施の形態に係るアクセスポイントとの接続が切断される場合の電波強度の変化の一例を説明するための説明図である。
図9】本発明の実施の形態での入力端末との接続の電波強度の監視処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10図9に続く入力端末との接続の電波強度の監視処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の実施の形態に係る電波強度、MAX RSSI及びCOUNTの一例を説明するための説明図である。
図12】本発明の実施の形態での入力端末の追加又は削除の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
図1を用いて、本実施の形態に係る注文管理システム1の一例を説明する。なお、注文管理システム1は、無線通信システムの一例である。
図1は、本実施の形態に係る注文管理システム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る注文管理システム1は、飲食店などの店舗内に収容されている。注文管理システム1は、コントローラ10と、有線接続装置20と、入力端末40と、会計装置50と、ルーター60と、を備えている。
【0023】
本実施形態におけるコントローラ10は、注文管理システム1の全体を管理するサーバ機能を備えている。また、コントローラ10は、有線接続装置20、会計装置50、及びルーター60の各々と有線ネットワークN1を介して通信可能とされている。また、コントローラ10は、入力端末40と無線ネットワークN2を介して通信可能とされている。なお、有線ネットワークN1には、一例として、店舗内に有線で構築されたLAN(Local Area Network)等が適用される。無線ネットワークN2には、無線LANの規格の一例であるWi-Fi(登録商標)等が適用される。すなわち、コントローラ10は、無線ネットワークN2のアクセスポイントとしての無線通信機能も備えている。コントローラ10のアクセスポイント機能については、有線接続装置20のアクセスポイント機能と合わせて後述する。また、本実施形態では、アクセスポイント機能を備えるコントローラ10をアクセスポイントとも称する。ここで、コントローラ10は、通信装置の一例である。
【0024】
本実施形態における有線接続装置20は、コントローラ10、会計装置50、及びルーター60の各々と有線ネットワークN1を介して通信可能とされている。また、有線接続装置20は、来店客が各テーブルで使用するタブレット型コンピュータ端末などの入力端末40の各々と無線ネットワークN2を介して通信可能とされている。すなわち、有線接続装置20は、無線ネットワークN2のアクセスポイントとしての無線通信機能を備えている。有線接続装置20のアクセスポイント機能については、コントローラ10のアクセスポイント機能と合わせて後述する。また、本実施形態では、アクセスポイント機能を備える有線接続装置20をアクセスポイントとも称する。また、有線接続装置20は、有線ネットワークN1に有線で接続される場合に限定されず、アクセスポイントに無線で接続されると共に、入力端末40を有線ネットワークN1に接続させることを中継する無線中継装置(いわゆるリピータ)を含んでもよい。ここで、有線接続装置20は、通信装置の一例である。
【0025】
本実施形態における入力端末40は、来店客が各テーブルで使用するタブレット型コンピュータ端末などの注文データを入力する装置である。なお、入力端末40は、来店客が各テーブルで使用するタブレット型コンピュータ端末に限定されず、接客担当者が業務に使用するハンディターミナルなどの装置も含んでもよい。また、端末の形状としてタブレット型である必要はなく、スマートフォン型であったり、入力用に作成された専用端末であってもよい。ここで、入力端末40は、他の通信装置の一例である。
【0026】
本実施形態における会計装置50は、有線ネットワークN1に接続されており、一例として、POS(Point Of Sales)レジスタ等が適用される。
【0027】
本実施形態におけるルーター60は、有線ネットワークN1と外部ネットワークN3とを接続するための装置である。なお、外部ネットワークN3には、一例として、インターネットやWAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)等が適用される。
【0028】
例えば、有線接続装置20は、入力端末40から無線ネットワークN2を介して受け付けた来店客の注文を示す注文データをコントローラ10に送信する。コントローラ10では、受信した注文データを来店客毎に記憶して管理する。コントローラ10は、受信した注文データに基づいて、伝票を印刷するための伝票データを生成し、生成した伝票データをプリンタ(図示省略)に送信して伝票を出力させる。また、会計装置50では、上記プリンタにより印刷された伝票に基づいて、来店客毎に会計処理を行い、会計処理の完了を示す情報を、コントローラ10に送信する。なお、有線接続装置20の一部にプリンタ機能を備えるようにしてもよい。
【0029】
また、アクセスポイント機能を有するコントローラ10、有線接続装置20は、図示しないが、Beaconを定期的、例えば15秒毎に送信しており、クライアントとなる入力端末40と接続する。また、コントローラ10、有線接続装置20は、接続する入力端末40との無線ネットワークN2の電波強度を取得可能にされている。
【0030】
(アクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20))
次に、本実施の形態に係るアクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20)のハードウェア構成について説明する。
【0031】
図2は、本実施の形態に係るアクセスポイントのブロック図である。
図2に示すように、本実施の形態に係るアクセスポイントは、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、ストレージ104、入力部105、表示部106及び通信インタフェース(I/F)107を有する。各構成は、バス108を介して相互に通信可能に接続されている。
【0032】
CPU101は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU101は、ROM102又はストレージ104からプログラムを読み出し、RAM103を作業領域としてプログラムを実行する。CPU101は、ROM102又はストレージ104に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
【0033】
ROM102は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM103は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ104は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)又はフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。本実施形態では、後述する履歴データ(図5参照)や接続機器リスト(図6参照)が記憶される。
【0034】
入力部105は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0035】
表示部106は、例えば、液晶ディスプレイであり、CPU101の制御に応じて各種の情報を表示する。また、表示部106は、タッチパネル方式を採用して、入力部105として機能してもよい。
【0036】
通信インタフェース107は、店舗内の他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、有線の場合は、イーサネット(登録商標)、無線の場合はWi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0037】
ここで、ROM102又はストレージ104に記憶されているプログラムは、アクセスポイントに予めインストールされていてもよい。また、プログラムは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布し、有線接続装置20に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(登録商標)カード等のメモリカード、等が想定される。
【0038】
その他、アクセスポイントに、プリンタ機能を備えている場合は、プリント部を備える。
【0039】
上記のプログラムを実行する際に、アクセスポイントは、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。
【0040】
図3は、アクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20)のCPU101の機能構成の例を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、アクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20)は、機能構成として、通信制御部110を有する。各機能構成は、CPU101がROM102又はストレージ104に記憶されているプログラムを読み出し、実行することにより実現される。なお、図3に示すアクセスポイントの機能構成は、本実施形態のアクセスポイント機能を説明するために必要な機能構成のみを記載しているため、コントローラ10及び有線接続装置20の機能構成は、図3に示すものに限定されない。
【0042】
(通信制御部110)
通信制御部110は、アクセスポイント機能を有する自装置が現在接続する入力端末40との無線通信の電波強度が予め定められた切断閾値以下の場合に、当該入力端末との接続を切断する。ここで、電波強度は、本実施形態では、「RSSI(Received Signal Strength Indicator)」を用いているが、これに限定されず、他の指標であってもよい。
【0043】
また、通信制御部110は、切断閾値よりも大きい値である切断対象閾値が、自装置と接続した入力端末40毎の過去の最大電波強度よりも大きい場合は、電波強度が切断閾値以下となった場合であっても当該入力端末40との接続を切断しない。すなわち、過去に切断対象閾値を超えた電波強度(RSSI)で接続した履歴がある場合のみ、アクセスポイントとの接続を切断する対象とする。
【0044】
また、通信制御部110は、電波強度(RSSI)が予め定められた回数、継続して切断閾値以下となった場合に、入力端末40との接続を切断する。すなわち、切断閾値以下に、予め定められた切断判定回数、連続して計数された場合に、接続を切断し、一時的に切断閾値以下となった場合は、接続を切断しないようにしている。
【0045】
つぎに、図4を用いて、本実施形態における閾値設定の一例について説明する。
図4は、ユーザが設定し、アクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20)に読み込ませる閾値設定の一例である。閾値設定には、本実施形態では、切断閾値、切断対象閾値及び切断判定回数が含まれる。切断設定は、ユーザにより入力部105を用いて入力されるが、CPU101がネットワークN1を介して他の装置から読み込んでもよい。また、閾値設定は、全てのアクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20)で同じ設定であってもよいし、アクセスポイント毎に異なる設定であってもよい。また、閾値設定は、ユーザが設定する場合に限定されず、アクセスポイントの機種毎に初期値が予め設定されていてもよい。
【0046】
ここで、切断閾値は、電波強度(RSSI)が切断閾値以下となった場合、当該入力端末40を切断する値である。切断対象閾値は、切断する機器の対象とするか判定するための閾値である。アクセスポイントと入力端末40との最大電波強度(MAX RSSI)が切断対象閾値以上とならなければ、切断しない。アクセスポイントと入力端末40との最大電波強度(MAX RSSI)が切断対象閾値以上となるのは、例えば、入力端末40が何らかの事情により、配置されているテーブルから別のアクセスポイント近傍に移動させられた時である。そういった接続は入力端末40にとってはイレギュラーな接続状態であるため、その後、もとの位置に戻された入力端末40が元来接続されていたアクセスポイントと接続し直すことができるように、切断対象閾値が設定されている。一方、固定的な位置に設置されていても、電波強度が低い入力端末40も存在する。このような元々電波強度(RSSI)が低い入力端末は、他のアクセスポイントを検索しても低い電波強度(RSSI)のアクセスポイントしか接続することができないため、切断対象とはならないようにすることで、頻繁に切断されることを防止している。また、切断判定回数は、電波強度(RSSI)が、切断閾値以下となった回数が、当該切断判定回数以上となった場合に、アクセスポイントとの接続を切断する値である。すなわち、電波強度(RSSI)が一時的に低下した場合などの頻繁な切断及び再接続を防止している。
【0047】
つぎに、図5を用いて、履歴データの一例について説明する。
図5は、入力端末40との接続履歴を記憶する履歴データの一例である。履歴データとしては、本実施形態では、「MAC(Media Access Control)アドレス」、「RSSI」、「MAX RSSI」及び「COUNT」が含まれる。また、履歴データは、接続している入力端末40の数量分、ストレージ104に記憶されている。
【0048】
ここで、「MACアドレス」は、12バイトのアクセスポイント固有のIDである。「RSSI」は、アクセスポイントが受信する電波の強度である。本実施形態では、0~128までの正数であり、数値が大きい方が電波が強いことを表している。「MAX RSSI」は、アクセスポイントのこれまでに取得したRSSIの最大値である。「COUNT」は、RSSIが切断閾値以下に継続してなった検出回数であり、切断閾値以下となることが継続しない場合、すなわち、切断閾値を超えた場合にリセットされる。
【0049】
つぎに、図6を用いて、接続機器リストの一例について説明する。図6は、現在アクセスポイントに接続されている接続機器リストの一例である。接続機器リストとしては、本実施形態では、MACアドレス、RSSIが含まれる。また、接続機器リストは、現在アクセスポイントに接続している入力端末40の数量分、ストレージ104に記憶されている。
【0050】
つぎに、図7を用いて、本実施の形態におけるアクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20)と入力端末40との接続の状態の一例について説明する。
【0051】
図7Aは、入力端末40Aと入力端末40Bとが各テーブルに配置され、アクセスポイントのコントローラ10に接続されている状態を示している。この状態の、アクセスポイントのコントローラ10と、入力端末40Bとの電波強度(RSSI)は、例えば、60である。
【0052】
図7Bは、図7Aに示す状態から、入力端末40Bの電源が切られ、アクセスポイントの有線接続装置20の近辺で電源が入れられるなどにより、アクセスポイントの有線接続装置20に接続されている状態を示している。この状態の、アクセスポイントの有線接続装置20と、入力端末40Bとの電波強度(RSSI)は、例えば、70である。
【0053】
図7Cは、図7Bに示す状態から、入力端末40Bが移動され、アクセスポイントの有線接続装置20へ接続されたままテーブルに配置された状態を示している。この状態の、アクセスポイントの有線接続装置20と、入力端末40Bとの電波強度(RSSI)は、例えば、20である。かかる電波強度(RSSI)の値である20は、切断閾値よりも低い値である。
【0054】
図7Dは、図7Cに示す状態から、アクセスポイントの有線接続装置20が、入力端末40Bとの電波強度(RSSI)の値が切断閾値よりも低い値であったため、当該入力端末40Bとの接続を切断(図中の×印)した状態を示している。
【0055】
図7Eは、図7Dに示す状態から、入力端末40Bが、アクセスポイントの検索を行い、他のアクセスポイントよりも電波強度の高いアクセスポイントのコントローラ10に接続した状態を示している。この状態の、アクセスポイントのコントローラ10と、入力端末40Bとの電波強度(RSSI)は、例えば、60である。このように、一旦、電波強度(RSSI)が低いアクセスポイントと接続した場合であっても、当該アクセスポイント側から入力端末40との接続を切断することで、入力端末40が再度アクセスポイントの検索を行い、電波強度の高いアクセスポイントに接続することを可能としている。
【0056】
つぎに、図8を用いてアクセスポイントとの接続が切断される場合の電波強度の変化の一例について説明する。
図8は、アクセスポイントと入力端末40との電波強度の変化の一例をグラフにしたものである。ここでは、切断閾値の電波強度(RSSI)が「30」で、切断対象閾値の電波強度(RSSI)が50である場合を例にして説明する。
【0057】
図8に示すように、入力端末40が、切断閾値から切断対象閾値の間の電波強度(RSSI)でアクセスポイントに接続されている場合に、次の電波強度(RSSI)の計測時である図8中(1)の部分で切断対象閾値を超えているため、切断対象となることを示している。ここで、本実施形態では、1回でも切断対象閾値を超えた場合は切断対象としている。なお、切断対象とするだけであり、この時点で直ちに切断する訳ではない。また、その後、図8中(2)の部分で切断閾値以下となっているが、1回のみであるため、アクセスポイントと入力端末40との接続は切断されない。その後、図8中(3)の部分で、予め定められた回数、本例では3回継続して切断閾値以下となっているため、入力端末40はアクセスポイントにより当該アクセスポイントとの接続が切断される。
【0058】
つぎに、図9乃至図12を用いて本実施の形態におけるアクセスポイントの作用について説明する。
図9及び図10は、アクセスポイントのCPU101が行う入力端末40との接続の電波強度の監視処理の流れの一例を示すフローチャートである。CPU101がROM102又はストレージ104からプログラムを読み出して、展開して実行することにより、当該処理が行なわれる。
【0059】
ステップS100において、CPU101により、閾値設定(図4参照)の読み込みが行われる。そして、次のステップS101に進む。
【0060】
ステップS101において、CPU101により、履歴データ(図5参照)の読み込みが行われる。そして、次のステップS102に進む。
【0061】
ステップS102において、CPU101により、接続機器リスト(図6参照)の取得が行われる。そして、次のステップS103に進む。
【0062】
ステップS103において、CPU101により、接続機器リストのうち未処理データがあるか判定される。すなわち、ステップS102において取得した接続機器リストに掲載されている入力端末40の全てについて後述するステップS106の処理を行ったか判定される。未処理データが無く全ての入力端末40の処理を行ったと判定された場合は、後述する図10のステップS110に進み、未処理データがあると判定された場合は、次のステップS104に進む。
【0063】
ステップS104において、CPU101により、接続機器リストから未処理の入力端末40のデータの1件分の読み込みが行われる。そして、次のステップS105に進む。
【0064】
ステップS105において、CPU101により、ステップS104で読み込まれた未処理の入力端末40について、接続機器リストに掲載されている入力端末40のMACアドレスと現在の電波強度(RSSI)の追加又は修正が履歴データに対して行われる。そして、次のステップS106に進む。
【0065】
ステップS106において、CPU101により、ステップS101で取得された履歴データの電波強度(RSSI)のMAX RSSIと、ステップS105で追加又は修正された現在の電波強度(RSSI)との比較が行われる。そして、MAX RSSIの方がRSSIよりも小さいと判定された場合は、次のステップS107に進む。一方、MAX RSSIの方がRSSIよりも小さいと判定されない場合、すなわち、MAX RSSIの方がRSSIよりも大きい場合は、上述したステップS103に戻る。
【0066】
ステップS107において、CPU101により、履歴データのMAX RSSIが更新される。すなわち、現在の電波強度(RSSI)がMAX RSSIとなる。そして、上述したステップS103に戻る。
【0067】
ステップS110において、CPU101により、接続機器リストのうち未処理データがあるか判定される。すなわち、ステップS102において取得した接続機器リストに掲載されている入力端末40の全てについて後述するステップS111又はステップS112の処理を行ったか判定される。未処理データが無く全ての入力端末40の処理を行ったと判定された場合は、後述するステップS120に進み、未処理データがあると判定された場合は、次のステップS111に進む。
【0068】
ステップS111において、CPU101により、切断対象閾値とMAX RSSIの比較が行われる。そして、切断対象閾値の方がMAX RSSIよりも大きいと判定された場合は、後述するステップS113に進み、切断対象閾値の方がMAX RSSIよりも大きいと判定されない場合、すなわち、切断対象閾値の方がMAX RSSIよりも小さい場合は、次のステップS112に進む。
【0069】
ステップS112において、CPU101により、切断閾値と現在の電波強度(RSSI)との比較が行われる。切断閾値が現在の電波強度(RSSI)以下であると判定された場合は、ステップS113に進み、切断閾値が現在の電波強度(RSSI)以下であると判定されない場合、すなわち、切断閾値の方が現在の電波強度(RSSI)よりも大きいと判定された場合は、ステップS114に進む。
【0070】
ステップS113において、CPU101により、後述するステップS114で計数される検出回数がクリアされる。そして、上述したステップS110に戻る。
【0071】
ステップS114において、CPU101により、検出回数が+1される。すなわち、電波状況が悪く、切断閾値の方が現在の電波強度(RSSI)よりも大きい判定結果が計数される。そして、次のステップS115に進む。
【0072】
ステップS115において、CPU101により、切断判定回数(図4参照)とステップS114で計数された検出回数とが比較される。切断判定回数が検出回数よりも大きい値であると判定された場合は、上述したステップS110に戻り、切断判定回数が検出回数以下である、すなわち、切断閾値以下の電波強度(RSSI)が切断判定回数を超えて検出された場合は、次のステップS116に進む。
【0073】
ステップS116において、CPU101により、切断イベント送信処理が行われる。すなわち、アクセスポイントと入力端末40との接続が切断される処理の命令が出力される。かかる切断イベント送信処理に基づき、後述する図12のステップS230における切断処理が実行される。そして、次のステップS117に進む。
【0074】
ステップS117において、CPU101により、ステップS116において切断イベント送信処理がされた入力端末40についての履歴該当データが削除される。すなわち、アクセスポイントが読み込んだ接続機器リストに基づいて入力端末40毎に一時的に記憶していたMACアドレス、RSSI、MAX RSSI及びCOUNTが削除される。具体的には、図11(A)に示すように、MACアドレス「00:80:15:22:22:22」のNo1の入力端末40とMACアドレス「00:80:15:11:11:11」のNo2の入力端末40とが接続されていた場合に、MACアドレス「00:80:15:22:22:22」のNo1の入力端末40に対し切断イベント送信処理がされた場合は、図11(B)に示すように、MACアドレス「00:80:15:22:22:22」の入力端末40についての履歴該当データが削除され、MACアドレス「00:80:15:11:11:11」の入力端末40についての履歴該当データのみが残される。そして、上述したステップS110に戻る。
【0075】
ステップS120において、CPU101により、予め定められた時間、本例では15秒のWaitが行われる。かかるWait中に、ポーリングが行われ、再接続するための準備が行われる。そして、上述した図9のステップS101に戻る。
【0076】
図12は、入力端末40の追加又は削除の処理の流れの一例を示すフローチャートである。CPU101がROM102又はストレージ104からプログラムを読み出して、展開して実行することにより、当該処理が行なわれる。なお、図12に示す処理は、図9及び図10に示す処理とは別に行われる。
【0077】
ステップS200において、CPU101により、イベントの種類による処理の分岐が行われる。具体的には、タイマイベント等、接続イベント及び切断イベントがある。タイマイベント等の場合は、ステップS210に進み、接続イベントの場合はステップS220に進み、切断イベントの場合はステップS230に進む。
【0078】
タイマイベント等の場合は、ステップS210において、CPU101により、端末接続チェックが行われる。入力端末40の電源が切断された場合や、入力端末40がアクセスポイントの電波の圏外に移動された場合など、切断イベントが実行されることなく入力端末40からポーリング応答やグループキー更新が返ってこない場合などに行われる処理である。そして、次のステップS211に進む。
【0079】
ステップS211において、CPU101により、上述したステップS210で行われた端末接続チェックの結果、入力端末40との接続が可能であった場合は、上述したステップS200に戻り、接続が不可能であった場合は、次のステップS212に進む。
【0080】
ステップS212において、CPU101により、接続が不可能であった入力端末40に対しての切断イベント送信処理が行われる。すなわち、アクセスポイントと入力端末40との接続が切断される処理の命令が出力される。かかる切断イベント送信処理に基づき、後述するステップS230における切断処理が実行される。そして、上述したステップS200に戻る。
【0081】
接続イベントの場合は、ステップS220において、CPU101により、接続処理が行われる。入力端末40からアクセスポイントに対し接続してきた場合などに行われる処理であり、入力端末40がアクセスポイントに接続される。そして、次のステップS221に進む。
【0082】
ステップS221において、CPU101により、接続機器リストにステップS220で接続された入力端末40が追加される。そして、上述したステップS200に戻る。
【0083】
切断イベントの場合は、ステップS230において、CPU101により、切断処理が行われる。図10に示すステップS116やステップS212などの切断イベント送信処理を受けて行われる処理であり、入力端末40がアクセスポイントから切断される。そして、次のステップS231に進む。
【0084】
ステップS231において、CPU101により、接続機器リストからステップS230で切断された入力端末40が削除される。そして、上述したステップS200に戻る。
【0085】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0086】
本実施の形態によれば、入力端末40を電波強度(RSSI)の高い最適なアクセスポイントに接続させることで、安定した通信をすることが可能なアクセスポイント(コントローラ10、有線接続装置20)を提供することが可能となる。すなわち、入力端末40が、電波強度(RSSI)が低いアクセスポイントに接続している場合は、当該アクセスポイントから接続が切断される。そして、アクセスポイントを検索することで、切断されたアクセスポイントよりも電波強度(RSSI)が高いアクセスポイントに接続することが可能となる。これにより、安定した通信をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1 注文管理システム
10 コントローラ
20 有線接続装置
40 入力端末
110 通信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10
図11
図12