(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119584
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 1/2791 20220101AFI20240827BHJP
【FI】
H02K1/2791
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026589
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢頭 大侑
(72)【発明者】
【氏名】井上 義康
(72)【発明者】
【氏名】今野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 謙吾
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA10
5H622PP19
(57)【要約】
【課題】一例として、支持部材の軽量化と支持部材の剛性確保とを両立させつつ、接着材のひずみを抑制することができるモータを提供する。
【解決手段】モータは、シャフトと、シャフトと同軸上に設けられたステータと、ステータの周囲に設けられたロータヨーク46と、シャフトに対してロータヨーク46を支持する支持部材44とを備える。支持部材44は、ロータヨーク46の径方向にロータヨーク46と対向する対向部80を有する。ロータヨーク46の内周面90には、対向部80と内周面90とを接着する接着材96を収容する溝92が形成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフト(32)と、
前記シャフトと同軸上に設けられたステータ(22)と、
前記ステータの周囲に設けられたロータヨーク(46)と、
前記シャフトに対して前記ロータヨークを支持する支持部材(44)と、
を備え、
前記支持部材は、前記ロータヨークの径方向に前記ロータヨークと対向する対向部(80)を有し、
前記ロータヨークにおける前記対向部と対向する対向面(90;98)には、前記対向部と前記対向面とを接着する接着材(96)を収容する溝(92)が形成されている、
モータ(10)。
【請求項2】
前記対向面には、ロータマグネット(48)が設けられており、
前記溝は、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記溝は、前記支持部材の軸方向における前記対向部の長さの範囲に収まっている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記溝は、前記ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記ロータヨークにおける前記対向面とは反対側の面には、ロータマグネットが設けられており、
前記溝及び前記ロータマグネットの互いの一部は、前記ロータヨークの軸方向にオーバーラップしている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項6】
前記対向面には、前記ロータヨークの軸方向に並ぶ複数の前記溝が形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項7】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記溝が形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項8】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
各前記溝は、前記ロータヨークの周方向における各前記ロータマグネットの幅の範囲に収まっている、
請求項7に記載のモータ。
【請求項9】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
前記対向面における隣り合う前記溝の間の領域は、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路に位置する、
請求項7に記載のモータ。
【請求項10】
各前記溝は、前記ロータヨークの軸方向一方側に開放する開放部を有する、
請求項7に記載のモータ。
【請求項11】
前記対向面には、ロータマグネットが設けられており、
複数の前記溝は、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されており、
各前記溝は、前記ロータマグネットの側に向かうに従って前記ロータヨークの周方向における幅が狭くなるテーパ状に形成されている、
請求項7に記載のモータ。
【請求項12】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
各前記溝は、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路から外れている、
請求項7に記載のモータ。
【請求項13】
前記対向面には、前記ロータヨークの径方向に前記対向部と当接する当接部(94)が形成されている、
請求項1に記載のモータ。
【請求項14】
前記当接部は、前記溝に対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている、
請求項13に記載のモータ。
【請求項15】
前記対向面には、ロータマグネットが設けられており、
前記当接部は、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている、
請求項13に記載のモータ。
【請求項16】
前記当接部は、前記溝に対する前記ロータヨークの軸方向一方側の位置に形成された第1当接部と、
前記溝に対する前記ロータヨークの軸方向他方側の位置に形成された第2当接部と、を有する、
請求項13に記載のモータ。
【請求項17】
前記当接部は、前記ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている、
請求項13に記載のモータ。
【請求項18】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記当接部が形成されており、
各前記当接部は、隣り合う前記ロータマグネットの間の範囲に跨って形成されている、
請求項13に記載のモータ。
【請求項19】
各前記当接部は、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路に位置する、
請求項18に記載のモータ。
【請求項20】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記当接部が形成されており、
前記溝は、隣り合う前記当接部の間において前記ロータヨークの軸方向一方側の端部に開放されている、
請求項13に記載のモータ。
【請求項21】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記溝が形成されており、
前記当接部は、前記対向面における隣り合う前記溝の間の領域に形成されている、
請求項13に記載のモータ。
【請求項22】
前記当接部は、前記ロータヨークの一部が前記ロータヨークの径方向に膨出する凸部によって形成されている、
請求項13に記載のモータ。
【請求項23】
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記凸部が形成されており、
各前記凸部は、前記ロータヨークの周方向における各前記ロータマグネットの幅の範囲に収まっている、
請求項22に記載のモータ。
【請求項24】
前記対向部は、前記ロータヨークの径方向内側に位置し、
前記対向面は、前記ロータヨークの内周面(90)である、
請求項1に記載のモータ。
【請求項25】
前記対向部は、前記ロータヨークの径方向外側に位置し、
前記対向面は、前記ロータヨークの外周面(98)である、
請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータとしては、例えば、次のものが知られている。すなわち、特許文献1には、シャフトと、シャフトと同軸上に設けられたステータと、ステータの周囲に設けられたロータヨークと、シャフトに対してロータヨークを支持する支持部材とを備えるモータが開示されている。支持部材は、ロータヨークの径方向にロータヨークと対向する対向部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記モータにおいては、支持部材の軽量化と支持部材の剛性確保とを両立させることを求められることがある。また、ロータヨークにおける対向部と対向する対向面と、対向部とを接着材によって接着する場合、接着材のひずみを抑制することを求められることがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、一例として、支持部材の軽量化と支持部材の剛性確保とを両立させつつ、接着材のひずみを抑制することができるモータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、シャフトと、前記シャフトと同軸上に設けられたステータと、前記ステータの周囲に設けられたロータヨークと、前記シャフトに対して前記ロータヨークを支持する支持部材と、を備え、前記支持部材が、前記ロータヨークの径方向に前記ロータヨークと対向する対向部を有し、前記ロータヨークにおける前記対向部と対向する対向面に、前記対向部と前記対向面とを接着する接着材を収容する溝が形成されているモータである。
【0007】
請求項1に係る発明では、溝が、ロータヨークの対向面に形成されている。したがって、例えば、溝が対向部に形成されている場合に比して、対向部の剛性、ひいては、支持部材の剛性を確保することができる。つまり、対向部以外の部位が肉抜きされることにより支持部材の軽量化が図られる場合でも、支持部材の剛性を確保することができる。これにより、支持部材の軽量化と支持部材の剛性確保とを両立することができる。
【0008】
また、例えば、ロータヨークが支持部材に比して熱膨張率の低い材料で形成された場合において、温度変化の大きい環境でも、例えば、溝が支持部材の対向部に形成された場合に比して、溝に収容された接着材のひずみを抑制することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記対向面に、ロータマグネットが設けられており、前記溝が、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されているモータである。
【0010】
請求項2に係る発明では、溝が、ロータマグネットに対してロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている。したがって、例えば、溝がロータマグネットと重なる位置に形成されている場合に比して、ロータヨークにおける磁気回路部の厚みが減少することを抑制することができる。これにより、モータの磁気特性と、ロータヨークに対するロータマグネットの支持剛性とを確保することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記溝が、前記支持部材の軸方向における前記対向部の長さの範囲に収まっているモータである。
【0012】
請求項3に係る発明では、溝が、支持部材の軸方向における対向部の長さの範囲に収まっている。したがって、例えば、溝が対向部の長さの範囲を超えて形成されている場合に比して、適切な量の接着材によって、支持部材に対するロータヨークの接着強度を確保することができる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記溝が、前記ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されているモータである。
【0014】
請求項4に係る発明では、溝が、ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている。したがって、ロータヨークの重心をロータヨークの回転軸の中心に合わせることができる。これにより、ロータの回転バランスを確保することができ、溝の加工性も確保することができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記ロータヨークにおける前記対向面とは反対側の面に、ロータマグネットが設けられており、前記溝及び前記ロータマグネットの互いの一部が、前記ロータヨークの軸方向にオーバーラップしているモータである。
【0016】
請求項5係る発明では、溝及びロータマグネットの互いの一部が、ロータヨークの軸方向にオーバーラップしている。したがって、例えば、溝及びロータマグネットがロータヨークの軸方向にずれている場合に比して、ロータを軸方向に小型化することができる。
【0017】
請求項6に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの軸方向に並ぶ複数の前記溝が形成されているモータである。
【0018】
請求項6に係る発明では、対向面に、ロータヨークの軸方向に並ぶ複数の溝が形成されている。したがって、例えば、複数の溝の幅を有する一つの溝が形成されている場合に比して、ロータヨークの軸方向に沿った各溝の幅を狭めることができる。これにより、ロータヨークの剛性を向上させることができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記溝が形成されているモータである。
【0020】
請求項7に係る発明では、複数の溝が、ロータヨークの周方向に並んで形成されている。したがって、隣り合う溝の間でロータヨークの肉厚を確保することができる。これにより、例えば、溝がロータヨークの周方向に環状に形成されている場合に比して、ロータヨークの剛性を向上させることができる。
【0021】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、各前記溝が、前記ロータヨークの周方向における各前記ロータマグネットの幅の範囲に収まっているモータである。
【0022】
請求項8に係る発明では、各溝が、ロータヨークの周方向における各ロータマグネットの幅の範囲に収まっている。したがって、溝が形成されたことによる剛性低下分をロータマグネットによって補うことができる。これにより、ロータヨークの剛性を確保することができる。
【0023】
請求項9に係る発明は、請求項7に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、前記対向面における隣り合う前記溝の間の領域が、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路に位置するモータである。
【0024】
請求項9に係る発明では、対向面における隣り合う溝の間の領域が、隣り合うロータマグネットの磁束経路に位置する。したがって、隣り合う溝の間の領域による肉厚が確保された部分に磁束経路の一部を形成することができる。これにより、例えば、溝が形成されたことによる薄肉部分のみが磁束経路に位置する場合に比して、モータの磁気特性を向上させることができる。
【0025】
請求項10に係る発明は、請求項7に記載のモータにおいて、各前記溝が、前記ロータマグヨークの軸方向一方側に開放する開放部を有するモータである。
【0026】
請求項10に係る発明では、各溝が、ロータヨークの軸方向一方側に開放する開放部を有する。したがって、例えば、各溝が、開放部を有さずにロータヨークの軸方向一方側に閉じた形状である場合に比して、ロータヨークの対向面に各溝を容易に形成することができる。
【0027】
請求項11に係る発明は、請求項7に記載のモータにおいて、前記対向面に、ロータマグネットが設けられており、複数の前記溝が、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されており、各前記溝が、前記ロータマグネットの側に向かうに従って前記ロータヨークの周方向における幅が狭くなるテーパ状に形成されているモータである。
【0028】
請求項11に係る発明では、各溝が、ロータマグネットの側に向かうに従ってロータヨークの周方向における幅が狭くなるテーパ状に形成されている。したがって、各溝が形成されたことによる薄肉部分が、隣り合うロータマグネットの磁束経路に位置することを抑制することができる。これにより、モータの磁気特性が低下することを抑制することができる。また、各溝がテーパ状に形成されることにより、各溝が形成されたことによる薄肉部分が磁束経路に位置することを抑制しつつ、ロータヨークの軸方向における溝の長さを確保することができる。これにより、接着材の量を確保することができるので、対向部に対するロータヨークの接着強度を確保することができる。
【0029】
請求項12に係る発明は、請求項7に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、各前記溝が、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路から外れているモータである。
【0030】
請求項12に係る発明では、各溝が、隣り合うロータマグネットの磁束経路から外れている。したがって、各溝が形成されたことによる薄肉部分が磁束経路に位置することを抑制することができるので、例えば、各溝が形成されたことによる薄肉部分が磁束経路に位置する場合に比して、磁束経路におけるロータヨークの肉厚を確保することができる。これにより、モータの磁気特性が低下することを抑制することができる。
【0031】
請求項13に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの径方向に前記対向部と当接する当接部が形成されているモータである。
【0032】
請求項13に係る発明では、対向面に、ロータヨークの径方向に対向部と当接する当接部が形成されている。したがって、例えば、ロータヨークに外乱が作用した場合、又は、ロータヨークを支持部材に対して組み付ける作業を行う場合に、ロータヨークが対向部に対して傾く(倒れる)ことを抑制することができる。これにより、ロータヨークの重心をロータヨークの回転軸の中心に合わせることができるので、ロータの回転バランスを確保することができる。
【0033】
請求項14に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記当接部が、前記溝に対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されているモータである。
【0034】
請求項14に係る発明では、当接部が、溝に対してロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている。したがって、例えば、溝の断面形状を溝の周方向に亘って一定にすることができる。これにより、溝の加工性を確保することができる。
【0035】
請求項15に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記対向面に、ロータマグネットが設けられており、前記当接部が、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されているモータである。
【0036】
請求項15に係る発明では、当接部が、ロータマグネットに対してロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている。したがって、当接部とロータマグネットとが干渉することを抑制しつつ、当接部を対向部に当接させることができる。
【0037】
請求項16に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記当接部が、前記溝に対する前記ロータヨークの軸方向一方側の位置に形成された第1当接部と、前記溝に対する前記ロータヨークの軸方向他方側の位置に形成された第2当接部とを有するモータである。
【0038】
請求項16に係る発明では、当接部が、溝に対するロータヨークの軸方向一方側の位置に形成された第1当接部と、溝に対するロータヨークの軸方向他方側の位置に形成された第2当接部とを有する。したがって、例えば、当接部が第1当接部及び第2当接部のどちらか一方のみを有する場合に比して、ロータヨークが対向部に対して傾く(倒れる)ことをより一層効果的に抑制することができる。
【0039】
請求項17に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記当接部が、前記ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されているモータである。
【0040】
請求項17に係る発明では、溝が、ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている。したがって、ロータヨークの重心をロータヨークの回転軸の中心に合わせることができる。これにより、ロータの回転バランスを確保することができ、溝の加工性も確保することができる。
【0041】
請求項18に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記当接部が形成されており、各前記当接部が、隣り合う前記ロータマグネットの間の範囲に跨って形成されているモータである。
【0042】
請求項18に係る発明では、各当接部が、隣り合うロータマグネットの間の範囲に跨って形成されている。したがって、ロータマグネットの間の剛性低下分を当接部によって補うことができる。これにより、ロータヨークの剛性を確保することができる。
【0043】
請求項19に係る発明は、請求項18に記載のモータにおいて、各前記当接部が、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路に位置するモータである。
【0044】
請求項19に係る発明では、各当接部が、隣り合うロータマグネットの磁束経路に位置する。したがって、各当接部による厚肉部分に磁束経路の一部を形成することができる。これにより、例えば、各当接部が磁束経路から外れている場合に比して、モータの磁気特性を向上させることができる。
【0045】
請求項20に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記当接部が形成されており、前記溝が、隣り合う前記当接部の間において前記ロータヨークの軸方向一方側の端部に開放されているモータである。
【0046】
請求項20に係る発明では、溝が、隣り合う当接部の間においてロータヨークの軸方向一方側の端部に開放されている。したがって、隣り合う当接部の間において溝の幅を確保することができる。これにより、例えば、溝が、隣り合う当接部の間においてロータヨークの軸方向一方側に閉じている場合に比して、隣り合う当接部の間において、接着材の量を増やすことができるので、対向部と対向面との接着強度を向上させることができる。
【0047】
請求項21に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記溝が形成されており、前記当接部が、前記対向面における隣り合う前記溝の間の領域に形成されているモータである。
【0048】
請求項21に係る発明では、当接部が、対向面における隣り合う溝の間の領域に形成されている。したがって、例えば、溝がロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている場合に比して、当接部と対向部とが当接する面積を拡大することができる。これにより、対向部に対するロータヨークの支持剛性を向上させることができる。また、各隣り合う溝の間において、当接部が剛性部として機能するので、例えば、溝がロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている場合に比して、ロータヨークの剛性を向上させることができる。
【0049】
請求項22に係る発明は、請求項13に記載のモータにおいて、前記当接部が、前記ロータヨークの一部が前記ロータヨークの径方向に膨出する凸部によって形成されているモータである。
【0050】
請求項22に係る発明では、当接部が、ロータヨークの一部がロータヨークの径方向内側に膨出する凸部によって形成されている。したがって、対向面における当接部以外の領域を溝として形成することができるので、例えば、切削加工により溝を形成しなくても、プレス加工によって当接部を形成することにより、対向面に溝を形成することができる。これにより、例えば、切削加工により溝を形成する場合に比して、コストを低減することができる。
【0051】
請求項23に係る発明は、請求項22に記載のモータにおいて、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記ロータマグネットが設けられており、前記対向面に、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記凸部が形成されており、各前記凸部は、前記ロータヨークの周方向における各前記ロータマグネットの幅の範囲に収まっているモータである。
【0052】
請求項23に係る発明では、各凸部が、ロータヨークの周方向における各ロータマグネットの幅の範囲に収まっている。したがって、内側に空洞を有する各凸部が、隣り合うロータマグネットの磁束経路に位置することを抑制することができる。これにより、例えば、凸部が磁束経路に位置する場合に比して、モータの磁気特性を向上させることができる。
【0053】
請求項24に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記対向部が、前記ロータヨークの径方向内側に位置し、前記対向面が、前記ロータヨークの内周面であるモータである。
【0054】
請求項24に係る発明では、対向部が、ロータヨークの径方向内側に位置する。したがって、支持部材の径方向への拡がりを抑制することができる。これにより、モータを径方向に小型化することができる。
【0055】
請求項25に係る発明は、請求項1に記載のモータにおいて、前記対向部が、前記ロータヨークの径方向外側に位置し、前記対向面が、前記ロータヨークの外周面であるモータである。
【0056】
請求項25に係る発明では、対向部が、ロータヨークの径方向外側に位置する。したがって、例えば、対向部がロータヨークの径方向内側に位置する場合に比して、ロータの内部の空間をロータの径方向外側に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】第1実施形態に係るモータの縦断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る支持部材の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るロータヨークの斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るロータヨークの内周面に複数のロータマグネットが設けられた状態を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係る支持部材の対向部とロータヨークの溝と複数のロータマグネットとの位置関係を説明する説明図である。
【
図6】第1実施形態に係るロータヨークの一部を拡大して示す図である。
【
図7】第1実施形態に係るロータの一部について各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。
【
図8】第2実施形態に係るロータヨークの斜視図である。
【
図11】第2実施形態に係るロータヨークの内周面に複数のロータマグネットが設けられた状態を示す平面図である。
【
図12】第2実施形態に係る支持部材の対向部とロータヨークの溝と複数のロータマグネットとの位置関係を説明する説明図である。
【
図13】第2実施形態に係る複数の当接部の変形例を示す図である。
【
図14】第3実施形態に係るロータヨークの斜視図である。
【
図15】第3実施形態に係るロータヨークの内周面に複数のロータマグネットが設けられた状態を示す平面図である。
【
図16】第3実施形態に係る支持部材の対向部とロータヨークの溝と複数のロータマグネットとの位置関係を説明する説明図である。
【
図17】第4実施形態に係るロータの一部について各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。
【
図18】第4実施形態に係る支持部材の対向部とロータヨークの溝と複数のロータマグネットとの位置関係を説明する説明図である。
【
図19】第4実施形態に係るロータの変形例を示す図である。
【
図20】第5実施形態に係るロータヨークの斜視図である。
【
図21】第5実施形態に係るロータの一部について各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。
【
図22】第5実施形態に係るロータヨークの内周面に複数のロータマグネットが設けられた状態を示す平面図である。
【
図23】第5実施形態に係る当接部とロータヨークの溝と複数のロータマグネットとの位置関係を説明する説明図である。
【
図24】第6実施形態に係るロータヨークの斜視図である。
【
図25】第7実施形態に係るロータヨークの斜視図である。
【
図26】第8実施形態に係るロータの一部について各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。
【
図27】第9実施形態に係る支持部材の対向部とロータヨークの溝と複数のロータマグネットとの位置関係を説明する説明図である。
【
図28】第9実施形態に係る溝の変形例を示す図である。
【
図29】比較例に係るロータについて各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
[第1実施形態]
はじめに、本発明の第1実施形態について説明する。
【0059】
図1は、第1実施形態に係るモータ10の縦断面図である。モータ10は、アウタロータ型のブラシレスモータであり、ステータ22と、ロータ24と、ベース部材26と、第1玉軸受28と、第2玉軸受30と、シャフト32とを備える。矢印A1側はモータ10の軸方向一方側を示し、矢印A2側はモータ10の軸方向他方側を示している。
【0060】
ステータ22、ロータ24、及びベース部材26は、モータ本体34を構成している。ステータ22は、環状を成しており、シャフト32と同軸上(同心状)に設けられている。ステータ22は、ステータコア36と、複数の巻線巻回部38とを有する。ステータコア36は、環状部40と、環状部40の周囲に放射状に延びる複数のティース部42とを有する。複数のティース部42には、図示しないインシュレータが装着されている。各ティース部42には、インシュレータを介して巻線が巻回されており、これにより、各ティース部42には、巻線巻回部38が形成されている。
【0061】
ロータ24は、支持部材44と、ロータヨーク46と、複数のロータマグネット48とを有する。ロータヨーク46は、支持部材44に比して熱膨張率の低い材料で形成されている。例えば、支持部材44は、樹脂によって形成されており、ロータヨーク46は、鉄によって形成されている。
【0062】
支持部材44は、ステータ22の軸方向一方側にステータ22と対向して配置されている。支持部材44の中央部には、支持部材44の軸方向に貫通する貫通孔52が形成されており、貫通孔52には、シャフト32が挿入されている。また、支持部材44の中央部には、支持部材44の軸方向一方側に突出する突出部54が形成されており、突出部54には、支持部材44の径方向に延びる複数のネジ孔56が形成されている。
【0063】
複数のネジ孔56は、貫通孔52と連通している。複数のネジ孔56には、止めネジ58(イモネジ)がそれぞれ螺入されている。各止めネジ58の先端部は、シャフト32に形成された複数の凹部60にそれぞれ嵌合されており、これにより、ロータ24は、シャフト32に固定されている。
【0064】
ロータヨーク46(バックヨーク)は、円環状に形成されており、ステータ22の周囲に設けられている。ロータヨーク46は、支持部材44の外周部に固定されており、支持部材44によってシャフト32に対して支持されている。支持部材44及びロータヨーク46は、有底円筒状(有天円筒状)のロータハウジング64を構成している。ロータハウジング64の内側には、ステータ22が回転可能に収容されている。
【0065】
ロータヨーク46の内周面90には、複数のロータマグネット48が設けられている。複数のロータマグネット48は、ロータヨーク46の周方向に並んで配置されている。各ロータマグネット48は、ステータ22(ティース部42)とモータ10の径方向に対向している。隣り合うロータマグネット48は、互いに異なる磁極が隣り合うように配置されている。
【0066】
ベース部材26(センターピース)は、円盤部68と、軸受収容部70とを有する。円盤部68は、ステータ22の軸方向他方側にステータ22と対向して配置されている。軸受収容部70は、円盤部68からステータ22側に向けて突出している。軸受収容部70は、ステータコア36に形成された環状部40の内側に嵌合(圧入)されており、これにより、ステータ22は、軸受収容部70に支持されている。軸受収容部70は、円筒状に形成されており、ベース部材26の軸方向の両側に開口している。
【0067】
軸受収容部70の内側には、軸受収容部70の軸方向に間隔を空けて第1玉軸受28及び第2玉軸受30が収容されている。第1玉軸受28及び第2玉軸受30の内側には、シャフト32が挿入されており、シャフト32は、第1玉軸受28及び第2玉軸受30によって回転可能に支持されている。
【0068】
図2は、第1実施形態に係る支持部材44の斜視図である。支持部材44には、支持部材44の軸方向に貫通する複数の肉抜き部50が支持部材44の周方向に等間隔に形成されている。これにより、支持部材44には、複数のスポーク72が形成されている。複数のスポーク72は、支持部材44の中央部を中心にして放射状に延びている。
【0069】
支持部材44の外周部は、支持部材44の中央部に対して複数のスポーク72によって支持されている。支持部材44の外周部は、対向部80と、ストッパ部82と、複数の位置決め部84とを有する。対向部80は、支持部材44の周方向に沿って環状に形成されている。
【0070】
ストッパ部82は、対向部80に対する支持部材44の軸方向一方側に位置している。ストッパ部82は、対向部80に対して支持部材44の径方向外側に突出している。ストッパ部82は、支持部材44の周方向に沿って環状に形成されている。ストッパ部82には、複数の位置決め凹部86が形成されている。各位置決め凹部86は、支持部材44の径方向外側に開口する凹状に形成されている。各位置決め凹部86は、支持部材44の軸方向に貫通している。
【0071】
複数の位置決め部84は、支持部材44の周方向に並んで形成されている。各位置決め部84は、対向部80から支持部材44の軸方向他方側に延出している。各位置決め部84は、隣り合うロータマグネット48(
図1参照)の間に配置されて、各ロータマグネット48を位置決めする。
【0072】
図3は、第1実施形態に係るロータヨーク46の斜視図である。ロータヨーク46の軸方向一方側の端部には、複数の位置決め突起88が形成されている。各位置決め突起88は、ロータヨーク46の軸方向一方側に突出している。各位置決め突起88が位置決め凹部86(
図2参照)に係合されることにより、ロータヨーク46が支持部材44の周方向に位置決めされる。ロータヨーク46の内周面90には、複数のロータマグネット48(
図1参照)が固着される固着面90Aが形成されている。
【0073】
また、ロータヨーク46の内周面90には、溝92が形成されている。溝92は、固着面90Aに対するロータヨーク46の軸方向一方側に位置する。固着面90A及び溝92は、ロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている。溝92は、ロータヨーク46が環状に形成された状態において切削加工等によって形成されてもよい。また、プレス加工されることにより溝92を有する板状部材が形成され、その後、板状部材が円環状に加工されることにより、ロータヨーク46が形成されてもよい。
【0074】
図4は、第1実施形態に係るロータヨーク46の内周面90に複数のロータマグネット48が設けられた状態を示す斜視図である。ロータマグネット48の固着面90Aには、複数のロータマグネット48が固着される。隣り合うロータマグネット48は、ロータヨーク46の周方向に間隔を空けて配置される。溝92は、固着面90Aに対するロータヨーク46の軸方向一方側に位置する。固着面90Aに複数のロータマグネット48が固着された状態において、溝92は、複数のロータマグネット48に対するロータヨーク46の軸方向一方側に位置する。
【0075】
図5は、第1実施形態に係る支持部材44の対向部80とロータヨーク46の溝92と複数のロータマグネット48との位置関係を説明する説明図である。
図5では、対向部80と、ロータヨーク46と、複数のロータマグネット48とが平面的に展開された状態で示されている。溝92は、支持部材44の軸方向における対向部80の長さの範囲Lに収まっている。対向部80は、複数のロータマグネット48に対するロータヨーク46の軸方向一方側に位置する。
【0076】
図6は、第1実施形態に係るロータヨーク46の一部を拡大して示す図である。ロータヨーク46の内周面90には、当接部94が形成されている。当接部94は、第1当接部94A及び第2当接部94Bを有する。第1当接部94A及び第2当接部94Bは、ロータヨーク46の軸方向における溝92の両側に隣接する部分である。つまり、第1当接部94Aは、溝92に対するロータヨーク46の軸方向一方側の位置に形成されており、第2当接部94Bは、溝92に対するロータヨーク46の軸方向他方側の位置に形成されている。第1当接部94A及び第2当接部94Bは、ロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている。
【0077】
図7は、第1実施形態に係るロータ24の一部24Aについて各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。ロータヨーク46の内周面90には、接着材96が塗布されている。ロータヨーク46の内周面90は、支持部材44の対向部80に接着材96によって接着されている。内周面90が対向部80に接着された状態において、対向部80は、ロータヨーク46の径方向内側に位置し、かつ、ロータヨーク46の径方向にロータヨーク46の内周面90と対向する。内周面90は、本発明における対向面の一例である。接着材96の一部は、溝92に収容されている。接着材96の一部が溝92に収容されることにより、例えば、溝92が省かれた場合に比して、接着材96の量を増やすことができるので、対向部80と内周面90との接着強度を向上させることができる。
【0078】
ストッパ部82は、支持部材44の軸方向一方側からロータヨーク46に当接することにより、支持部材44の軸方向にロータヨーク46を位置決めしている。また、ストッパ部82がロータヨーク46に当接することにより、ロータヨーク46に外乱が作用した場合、又は、ロータヨーク46を支持部材44に対して組み付ける作業を行う場合に、ロータヨーク46が対向部80に対して傾く(倒れる)ことが抑制される。なお、ストッパ部82は、ロータヨーク46に対して支持部材44の軸方向に離れていてもよい。
【0079】
接着材96は、ロータヨーク46の軸方向における溝92の両側にも行き渡っており、第1当接部94A及び第2当接部94Bは、接着材96を介して対向部80に接着されている。これにより、第1当接部94A及び第2当接部94Bは、ロータヨーク46の径方向に接着材96を介して対向部80と当接している。なお、第1当接部94A及び第2当接部94Bは、接着材96を介さずに対向部80と直接的に当接してもよい。つまり、ロータヨーク46は、第1当接部94A及び第2当接部94Bにおいて対向部80に嵌合されてもよい。
【0080】
接着材96は、固着面90Aにも行き渡っており、各ロータマグネット48は、固着面90Aに接着材96によって固着されている。各ロータマグネット48が固着面90Aに固着された状態において、溝92は、ロータマグネット48に対するロータヨーク46の軸方向一方側の位置に位置する。また、各ロータマグネット48が固着面90Aに固着された状態において、対向部80は、ロータヨーク46の軸方向一方側から各ロータマグネット48に当接している。なお、対向部80は、各ロータマグネット48に対してロータヨーク46の軸方向に離れていてもよい。
【0081】
ここで、比較例について説明する。
図29は、比較例に係るロータの一部について各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。比較例に係るロータでは、溝92がロータヨーク46の内周面90ではなく、対向部80の外周面に形成されている。このように、溝92が対向部80の外周面に形成されている場合には、対向部80の剛性、ひいては、支持部材44の剛性が低下する。また、支持部材44は、樹脂によって形成され、ロータヨーク46は、鉄で形成されることにより、支持部材44の方がロータヨーク46よりも熱膨張率が高い。したがって、例えば、溝92が対向部80の外周面に形成されている場合には、温度変化の大きい環境において、溝92に収容された接着材96のひずみが増大する虞がある。
【0082】
これに対して、第1実施形態(
図7参照)では、溝92が、ロータヨーク46の内周面90に形成されており、対向部80に形成されていないので、比較例のように、溝92が対向部80に形成されている場合に比して、対向部80の剛性、ひいては、支持部材44の剛性を確保することができる。つまり、複数のスポーク72(
図2参照)の間の部位が肉抜きされることにより支持部材44の軽量化が図られる場合でも、支持部材44の剛性を確保することができる。これにより、支持部材44の軽量化と支持部材44の剛性確保とを両立することができる。
【0083】
また、第1実施形態では、溝92が、支持部材44に比して熱膨張率の低いロータヨーク46に形成されている。したがって、温度変化の大きい環境でも、比較例に比して、溝92に収容された接着材96のひずみを抑制することができる。
【0084】
また、第1実施形態では、溝92が、ロータマグネット48に対してロータヨーク46の軸方向にずれた位置に形成されている。したがって、例えば、溝92がロータマグネット48と重なる位置に形成されている場合に比して、ロータヨーク46における磁気回路部の厚みが減少することを抑制することができる。これにより、モータ10の磁気特性と、ロータヨーク46に対するロータマグネット48の支持剛性とを確保することができる。
【0085】
また、溝92は、ロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている。したがって、ロータヨーク46の重心をロータヨーク46の回転軸の中心に合わせることができる。これにより、ロータ24の回転バランスを確保することができる。また、溝92が環状に形成されることにより、溝92の加工性を確保することができる。
【0086】
また、溝92は、支持部材44の軸方向における対向部80の長さの範囲Lに収まっている。したがって、例えば、溝92が対向部80の長さの範囲Lを超えて形成されている場合に比して、適切な量の接着材96によって、支持部材44に対するロータヨーク46の接着強度を確保することができる。
【0087】
また、ロータヨーク46の内周面90には、ロータヨーク46の径方向に対向部80と当接する当接部94が形成されている。したがって、例えば、ロータヨーク46に外乱が作用した場合、又は、ロータヨーク46を支持部材44に対して組み付ける作業を行う場合に、ロータヨーク46が対向部80に対して傾く(倒れる)ことを抑制することができる。これにより、ロータヨーク46の重心をロータヨーク46の回転軸の中心に合わせることができるので、ロータ24の回転バランスを確保することができる。
【0088】
また、当接部94は、溝92に対するロータヨーク46の軸方向一方側の位置に形成された第1当接部94Aと、溝92に対するロータヨーク46の軸方向他方側の位置に形成された第2当接部94Bとを有する。したがって、例えば、当接部94が第1当接部94A及び第2当接部94Bのどちらか一方のみを有する場合に比して、ロータヨーク46が対向部80に対して傾く(倒れる)ことをより一層効果的に抑制することができる。
【0089】
また、当接部94は、溝92に対してロータヨーク46の軸方向にずれた位置に形成されている。したがって、溝92の断面形状を溝92の周方向に亘って一定にすることができる。これにより、溝92の加工性を確保することができる。
【0090】
また、当接部94は、ロータマグネット48に対してロータヨーク46の軸方向にずれた位置に形成されている。したがって、当接部94とロータマグネット48とが干渉することを抑制しつつ、当接部94を対向部80に当接させることができる。
【0091】
また、当接部94は、ロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている。したがって、ロータヨーク46の重心をロータヨーク46の回転軸の中心に合わせることができる。これにより、ロータ24の回転バランスを確保することができる。また、当接部94が環状に形成されることにより、溝92の加工性を確保することができる。
【0092】
また、対向部80は、ロータヨーク46の径方向内側に位置する。したがって、支持部材44の径方向への拡がりを抑制することができる。これにより、モータ10を径方向に小型化することができる。
【0093】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0094】
第2実施形態では、第1実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図8は、第2実施形態に係るロータヨーク46の斜視図である。第2実施形態に係るロータヨーク46の内周面90には、複数の第1当接部94Aが形成されている。複数の第1当接部94Aは、互いに同じ形状に形成されている。複数の第1当接部94Aは、ロータヨーク46の周方向に等間隔に並んで形成されている。複数の第1当接部94Aは、本発明における複数の当接部の一例である。第2当接部94Bは、ロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている。
【0095】
図9は、
図8のF9-F9線断面図(第1当接部94Aの位置における断面図)であり、
図10は、
図8のF10-F10線断面図(第1当接部94Aからずれた位置における断面図)である。
図9及び
図10は、
図8の各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。ロータヨーク46の軸方向を溝92の幅方向とした場合に、各第1当接部94Aは、溝92の幅の範囲W1内に収まる位置に形成されている。具体的には、各当接部94は、溝92の幅方向一方側の端部(溝92におけるロータヨーク46の軸方向一方側に位置する端部)に形成されている。溝92は、隣り合う第1当接部94Aの間においてロータヨーク46の軸方向一方側の端部に開放されている(
図10参照)。すなわち、溝92は、隣り合う当接部94の間にロータヨーク46の軸方向一方側に開放する開放部92Aを有する。
【0096】
図11は、第2実施形態に係るロータヨーク46の内周面90に複数のロータマグネット48が設けられた状態を示す平面図である。各第1当接部94Aは、平面視でロータヨーク46の周方向に沿う円弧状に形成されている。
【0097】
図12は、第2実施形態に係る支持部材44の対向部80とロータヨーク46の溝92と複数のロータマグネット48との位置関係を説明する説明図である。
図12では、対向部80と、ロータヨーク46と、複数のロータマグネット48とが平面的に展開された状態で示されている。各第1当接部94Aは、支持部材44の軸方向における対向部80の長さの範囲Lに収まっている。また、各第1当接部94Aは、隣り合うロータマグネット48の間の範囲Rに跨って形成されている。一例として、第1当接部94Aの数は、ロータマグネット48の数と同一であり、各第1当接部94Aは、各範囲Rに対応して形成されている。ロータヨーク46には、隣り合うロータマグネット48の一方から他方へ磁束が通る磁束経路Mが形成される。各第1当接部94Aは、磁束経路Mに位置する。
【0098】
第2実施形態では、複数の第1当接部94Aが、ロータヨーク46の周方向に並んで形成されている。したがって、隣り合う第1当接部94Aの間が肉抜きされているので、例えば、第1当接部94Aがロータヨーク46の周方向に環状に形成されている場合に比して、軽量化することができる。
【0099】
また、各第1当接部94Aは、隣り合うロータマグネット48の間の範囲Rに跨って形成されている。したがって、ロータマグネット48の間の剛性低下分を第1当接部94Aによって補うことができる。これにより、ロータヨーク46の剛性を確保することができる。
【0100】
また、複数の第1当接部94Aは、互いに同じ形状に形成されており、かつ、ロータヨーク46の周方向に等間隔に並んでいる。したがって、ロータヨーク46の重心をロータヨーク46の回転軸の中心に合わせることができる。これにより、ロータ24の回転バランスを確保することができる。
【0101】
また、各第1当接部94Aは、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mに位置する。したがって、各第1当接部94Aによる厚肉部分が磁束経路Mの一部を形成するので、例えば、各第1当接部94Aが磁束経路Mから外れている場合に比して、モータ10の磁気特性を向上させることができる。
【0102】
また、溝92は、隣り合う第1当接部94Aの間においてロータヨーク46の軸方向一方側の端部に開放されている。したがって、隣り合う第1当接部94Aの間において溝92の幅を確保することができる。これにより、例えば、溝92が、隣り合う第1当接部94Aの間においてロータヨーク46の軸方向一方側に閉じている場合に比して、隣り合う第1当接部94Aの間において、接着材96の量を増やすことができるので、対向部80と内周面90との接着強度を向上させることができる。
【0103】
図13は、第2実施形態に係る複数の当接部94の変形例を示す図である。本変形例では、各当接部94が、複数の範囲R(一例として、2つの範囲R)に跨って形成されている。このように構成されていても、
図12に示す構成と同様の効果を得ることができる。
【0104】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0105】
第3実施形態では、第1実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図14は、第3実施形態に係るロータヨーク46の斜視図である。第3実施形態に係るロータヨーク46の内周面90には、複数の溝92が形成されている。複数の溝92は、互いに同じ形状に形成されている。複数の溝92は、ロータヨーク46の周方向に等間隔に並んで形成されている。各溝92は、ロータヨーク46の周方向を長手方向として形成されている。複数の溝92の数は、いくつでもよい。
【0106】
図15は、第3実施形態に係るロータヨーク46の内周面90に複数のロータマグネット48が設けられた状態を示す平面図である。各溝92は、ロータヨーク46の周方向における各ロータマグネット48の幅の範囲W2に収まっている。
【0107】
図16は、第3実施形態に係る支持部材44の対向部80とロータヨーク46の溝92と複数のロータマグネット48との位置関係を説明する説明図である。
図16では、対向部80と、ロータヨーク46と、複数のロータマグネット48とが平面的に展開された状態で示されている。各溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側の端部に開放されている。すなわち、各溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側に開放する開放部92Aを有する。各溝92におけるロータヨーク46の軸方向他方側の端部は閉じている。
【0108】
ロータヨーク46には、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mが形成される。内周面90における隣り合う溝92の間の領域Aは、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mに位置する。各隣り合う溝92の間の領域Aは、当接部94として形成されている。
【0109】
第3実施形態では、複数の溝92が、ロータヨーク46の周方向に並んで形成されている。したがって、隣り合う溝92の間でロータヨーク46の肉厚を確保することができる。これにより、例えば、溝92がロータヨーク46の周方向に環状に形成されている場合に比して、ロータヨーク46の剛性を向上させることができる。
【0110】
また、複数の溝92は、互いに同じ形状に形成されており、かつ、ロータヨーク46の周方向に等間隔に並んでいる。したがって、ロータヨーク46の重心をロータヨーク46の回転軸の中心に合わせることができる。これにより、ロータ24の回転バランスを確保することができる。
【0111】
また、各溝92は、ロータヨーク46の周方向における各ロータマグネット48の幅の範囲W2に収まっている。したがって、溝92が形成されたことによる剛性低下分をロータマグネット48によって補うことができる。これにより、ロータヨーク46の剛性を確保することができる。
【0112】
また、内周面90における隣り合う溝92の間の領域Aは、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mに位置する。したがって、隣り合う溝92の間の領域Aによる肉厚が確保された部分が磁束経路Mの一部を形成するので、例えば、溝92が形成されたことによる薄肉部分のみが磁束経路Mに位置する場合に比して、モータ10の磁気特性を向上させることができる。
【0113】
また、各隣り合う溝92の間の領域Aは、当接部94として形成されている。したがって、例えば、溝92がロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている場合に比して、当接部94と対向部80とが当接する面積を拡大することができる。これにより、対向部80に対するロータヨーク46の支持剛性を向上させることができる。また、各隣り合う溝92の間において、当接部94が剛性部として機能するので、例えば、溝92がロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている場合に比して、ロータヨーク46の剛性を向上させることができる。さらに、各当接部94が接着材96を介して対向部80と当接することにより、対向部80に対するロータヨーク46の接着強度を向上させることができる。
【0114】
また、各溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側に開放する開放部92Aを有する。したがって、例えば、各溝92が、開放部92Aを有さずにロータヨーク46の軸方向一方側に閉じた形状である場合に比して、ロータヨーク46の内周面90に各溝92を容易に形成することができる。
【0115】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0116】
第4実施形態では、第1実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図17は、第4実施形態に係るロータ24の一部24Aについて各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。第4実施形態に係るロータ24では、対向部80は、ロータヨーク46の径方向外側に位置しており、ロータヨーク46の外周面98がロータヨーク46の径方向に対向部80と対向している。外周面98は、本発明における対向面の一例である。ロータヨーク46の内周面90には、複数のロータマグネット48が接着材96によって固着されている。内周面90は、本発明における対向面とは反対側の面の一例である。
【0117】
ロータヨーク46の外周面98には、溝92が形成されている。溝92は、固着面90A及びロータマグネット48に対するロータヨーク46の軸方向一方側に位置する。溝92に対するロータヨーク46の軸方向一方側の位置には、第1当接部94Aが形成されており、溝92に対するロータヨーク46の軸方向他方側の位置には、第2当接部94Bが形成されている。
【0118】
図18は、第4実施形態に係る支持部材44の対向部80とロータヨーク46の溝92と複数のロータマグネット48との位置関係を説明する説明図である。
図18では、対向部80と、ロータヨーク46と、複数のロータマグネット48とが平面的に展開された状態で示されている。溝92は、支持部材44の軸方向における対向部80の長さの範囲Lに収まっている。対向部80は、複数のロータマグネット48に対するロータヨーク46の軸方向一方側に位置する。
【0119】
第4実施形態では、溝92が、ロータヨーク46の外周面98(
図17参照)に形成されており、対向部80に形成されていないので、例えば、溝92が対向部80に形成されている場合に比して、対向部80の剛性、ひいては、支持部材44の剛性を確保することができる。これにより、複数の肉抜き部50(
図2参照)を有することによる支持部材44の軽量化と、支持部材44の剛性確保とを両立することができる。
【0120】
また、第4実施形態では、溝92が、支持部材44に比して熱膨張率の低いロータヨーク46に形成されている。したがって、温度変化の大きい環境でも、溝92に収容された接着材96のひずみを抑制することができる。
【0121】
また、第4実施形態では、溝92が、ロータマグネット48に対してロータヨーク46の軸方向にずれた位置に形成されている。したがって、例えば、溝92がロータマグネット48と重なる位置に形成されている場合に比して、ロータヨーク46における磁気回路部の厚みが減少することを抑制することができる。これにより、モータ10の磁気特性と、ロータヨーク46に対するロータマグネット48の支持剛性とを確保することができる。
【0122】
また、溝92は、支持部材44の軸方向における対向部80の長さの範囲Lに収まっている。したがって、例えば、溝92が対向部80の長さの範囲Lを超えて形成されている場合に比して、適切な量の接着材96によって、支持部材44に対するロータヨーク46の接着強度を確保することができる。
【0123】
また、ロータヨーク46の外周面98には、ロータヨーク46の径方向に対向部80と当接する当接部94が形成されている。したがって、ロータヨーク46に外乱が作用した場合、又は、ロータヨーク46を支持部材44に対して組み付ける作業を行う場合に、ロータヨーク46が対向部80に対して傾く(倒れる)ことを抑制することができる。これにより、ロータヨーク46の重心をロータヨーク46の回転軸の中心に合わせることができるので、ロータ24の回転バランスを確保することができる。
【0124】
また、当接部94は、溝92に対するロータヨーク46の軸方向一方側の位置に形成された第1当接部94Aと、溝92に対するロータヨーク46の軸方向他方側の位置に形成された第2当接部94Bとを有する。したがって、例えば、当接部94が第1当接部94A及び第2当接部94Bのどちらか一方のみを有する場合に比して、ロータヨーク46が対向部80に対して傾く(倒れる)ことをより一層効果的に抑制することができる。
【0125】
また、対向部80は、ロータヨーク46の径方向外側に位置する。したがって、例えば、対向部80がロータヨーク46の径方向内側に位置する場合に比して、ロータ24の内部の空間をロータ24の径方向外側に拡大することができる。
【0126】
また、溝92が、ロータヨーク46の外周面98に形成されることにより、ロータヨーク46の内周面90側における磁束経路を確保することができる。これにより、モータ10の磁気特性を向上させることができる。
【0127】
図19は、第4実施形態に係るロータ24の変形例を示す図である。本変形例では、溝92及びロータマグネット48の互いの一部がロータヨーク46の軸方向にオーバーラップしている。このように構成されていると、例えば、溝92及びロータマグネット48がロータヨーク46の軸方向にずれている場合に比して、ロータ24を軸方向に小型化することができる。
【0128】
また、溝92が、ロータヨーク46の外周面98に形成されることにより、ロータヨーク46の軸方向に溝92とオーバーラップする領域まで固着面90Aを確保することができる。これにより、例えば、溝92がロータヨーク46の内周面90に形成されている場合に比して、ロータヨーク46の軸方向におけるロータマグネット48の配置の自由度を向上させることができる。
【0129】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。
【0130】
第5実施形態では、第1実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図20は、第5実施形態に係るロータヨーク46の斜視図である。
図21は、第5実施形態に係るロータ24の一部24Aについて各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。第5実施形態に係るロータヨーク46において、当接部94は、第1当接部94A及び第2当接部94Bを有する。第1当接部94A及び第2当接部94Bは、ロータヨーク46の一部がロータヨーク46の径方向内側に膨出する凸部によって形成されている。このような凸部は、例えば、プレス加工によって形成される。
【0131】
第1当接部94A及び第2当接部94Bがプレス加工によって形成されることにより、第1当接部94Aの内側及び第2当接部94Bの内側には、ロータヨーク46の径方向外側に開口する空洞100がそれぞれ形成されている。第4実施形態において、第1当接部94A及び第2当接部94Bは、本発明における凸部の一例である。
【0132】
内周面90には、複数の第1当接部94Aがロータヨーク46の周方向に等間隔に形成されている。同様に、内周面90には、複数の第2当接部94Bがロータヨーク46の周方向に等間隔に形成されている。各当接部94において、第1当接部94Aと第2当接部94Bとはロータヨーク46の軸方向に並んで形成されている。内周面90における第1当接部94Aと第2当接部94Bとの間の領域は、溝92として形成されている(
図21参照)。
【0133】
図22は、第5実施形態に係るロータヨーク46の内周面90に複数のロータマグネット48が設けられた状態を示す平面図である。
図23は、第5実施形態に係る当接部94とロータヨーク46の溝92と複数のロータマグネット48との位置関係を説明する説明図である。
図23では、当接部94と、ロータヨーク46と、複数のロータマグネット48とが平面的に展開された状態で示されている。各当接部94は、ロータヨーク46の周方向における各ロータマグネット48の幅の範囲W2に収まっている。また、各当接部94は、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mから外れた位置に形成されている。
【0134】
第5実施形態において、第1当接部94A及び第2当接部94Bは、ロータヨーク46の一部がロータヨーク46の径方向内側に膨出する凸部によって形成されている。そして、内周面90における第1当接部94と第2当接部94Bとの間の領域が溝92として形成されている。したがって、例えば、切削加工により溝92を形成しなくても、プレス加工によって第1当接部94及び第2当接部94Bを形成することにより、内周面90に溝92を形成することができる。これにより、例えば、切削加工により溝92を形成する場合に比して、コストを低減することができる。
【0135】
また、各当接部94は、ロータヨーク46の周方向における各ロータマグネット48の幅の範囲W2に収まっている。したがって、内側に空洞100を有する第1当接部94A及び第2当接部94Bが、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mに位置することを抑制することができる。これにより、例えば、第1当接部94A及び第2当接部94Bが磁束経路Mに位置する場合に比して、モータ10の磁気特性を向上させることができる。
【0136】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。
【0137】
第6実施形態では、第1実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図24は、第6実施形態に係るロータヨーク46の斜視図である。第6実施形態に係るロータヨーク46では、複数の溝92が形成されている。各溝92は、ロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている。複数の溝92は、ロータヨーク46の軸方向に並んで形成されている。複数の溝92の数は、いくつでもよい。
【0138】
当接部94は、第1当接部94A、第2当接部94B、及び第3当接部94Cを有する。第1当接部94Aは、複数の溝92に対するロータヨーク46の軸方向一方側の位置に形成されており、第2当接部94Bは、複数の溝92に対するロータヨーク46の軸方向他方側の位置に形成されている。第3当接部94Cは、複数の溝92の間に形成されている。
【0139】
第6実施形態では、内周面90に、ロータヨーク46の軸方向に並ぶ複数の溝92が形成されている。したがって、例えば、複数の溝92の幅を有する一つの溝92が形成されている場合に比して、ロータヨーク46の軸方向に沿った各溝92の幅を狭めることができる。これにより、ロータヨーク46の剛性を向上させることができる。
【0140】
また、複数の溝92の間が第3当接部94Cとして形成されるので、例えば、当接部94が第1当接部94A及び第2当接部94Bのみを有する場合に比して、ロータヨーク46が対向部80に対して傾く(倒れる)ことをより一層効果的に抑制することができる。
【0141】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態について説明する。
【0142】
第7実施形態では、第3実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図25は、第7実施形態に係るロータヨーク46の斜視図である。第7実施形態に係るロータヨーク46の内周面90には、複数の溝92が形成されている。複数の溝92は、互いに同じ形状に形成されている。複数の溝92は、ロータヨーク46の周方向に等間隔に並んで形成されている。複数の溝92の数は、いくつでもよい。
【0143】
各溝92は、ロータヨーク46の軸方向を長手方向として形成されている。各溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側の端部に開放されている。すなわち、各溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側に開放する開放部92Aを有する。各溝92におけるロータヨーク46の軸方向他方側の端部は閉じている。各隣り合う溝92の間の領域は、当接部94として形成されている。
【0144】
第7実施形態では、複数の溝92が、ロータヨーク46の周方向に並んで形成されている。したがって、隣り合う溝92の間でロータヨーク46の肉厚を確保することができる。これにより、例えば、溝92がロータヨーク46の周方向に環状に形成されている場合に比して、ロータヨーク46の剛性を向上させることができる。
【0145】
また、複数の溝92は、互いに同じ形状に形成されており、かつ、ロータヨーク46の周方向に等間隔に並んでいる。したがって、ロータヨーク46の重心をロータヨーク46の回転軸の中心に合わせることができる。これにより、ロータ24の回転バランスを確保することができる。
【0146】
また、各隣り合う溝92の間の領域は、当接部94として形成されている。したがって、例えば、溝92がロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている場合に比して、当接部94と対向部80とが当接する面積を拡大することができる。これにより、対向部80に対するロータヨーク46の支持剛性を向上させることができる。また、各隣り合う溝92の間において、当接部94が剛性部として機能するので、例えば、溝92がロータヨーク46の周方向に沿って環状に形成されている場合に比して、ロータヨーク46の剛性を向上させることができる。さらに、各当接部94が接着材96を介して対向部80と当接することにより、対向部80に対するロータヨーク46の接着強度を向上させることができる。
【0147】
また、各溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側に開放する開放部92Aを有する。したがって、例えば、各溝92が、開放部92Aを有さずにロータヨーク46の軸方向一方側に閉じた形状である場合に比して、ロータヨーク46の内周面90に各溝92を容易に形成することができる。
【0148】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態について説明する。
【0149】
第8実施形態では、第1実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図26は、第8実施形態に係るロータ24の一部24Aについて各部の寸法を誇張して示す模式的な断面図である。第8実施形態に係るロータ24において、溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側の端部に開放されている。すなわち、溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側に開放する開放部92Aを有する。また、溝92は、ロータヨーク46の軸方向一方側から他方側に向かうに従って深さ寸法が小さくなるように底部が傾斜して形成されている。
【0150】
第8実施形態では、溝92が、ロータヨーク46の軸方向一方側から他方側に向かうに従って深さ寸法が小さくなるように底部が傾斜して形成されている。したがって、溝92のロータマグネット48側の部分におけるロータヨーク46の肉厚を確保することができる。これにより、例えば、溝92の深さ寸法がロータヨーク46の軸方向に一定である場合に比して、ロータヨーク46に対するロータマグネット48の支持剛性を向上させることができる。
【0151】
また、溝92のロータマグネット48側の部分において、ロータヨーク46における磁気回路部の厚みが確保されるので、モータ10の磁気特性が低下することを抑制することができる。
【0152】
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態について説明する。
【0153】
第9実施形態では、第3実施形態に対して、次のように構成が変更されている。
図27は、第9実施形態に係る支持部材44の対向部80とロータヨーク46の溝92と複数のロータマグネット48との位置関係を説明する説明図である。
図27では、対向部80と、ロータヨーク46と、複数のロータマグネット48とが平面的に展開された状態で示されている。各溝92は、ロータマグネット48の側に向かうに従ってロータヨーク46の周方向における幅が狭くなるテーパ状に形成されている。各溝92は、ロータヨーク46の径方向内側から見た場合に三角形状に形成されている。つまり、溝92のロータマグネット48側の端部が角形状になっている。各溝92のテーパ形状は、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mから溝92が外れる形状に設定されている。
【0154】
第9実施形態では、各溝92が、隣り合うロータマグネット48の磁束経路Mから外れている。したがって、各溝92が形成されたことによる薄肉部分が磁束経路Mに位置することを抑制することができるので、例えば、各溝92が形成されたことによる薄肉部分が磁束経路Mに位置する場合に比して、磁束経路Mにおけるロータヨーク46の肉厚を確保することができる。これにより、モータ10の磁気特性が低下することを抑制することができる。
【0155】
また、各溝92は、ロータマグネット48の側に向かうに従ってロータヨーク46の周方向における幅が狭くなるテーパ状に形成されている。したがって、各溝92が形成されたことによる薄肉部分が磁束経路Mに位置することを抑制することができる。これにより、モータ10の磁気特性が低下することを抑制することができる。また、各溝92がテーパ状に形成されることにより、各溝92が形成されたことによる薄肉部分が磁束経路Mに位置することを抑制しつつ、ロータヨーク46の軸方向における溝92の長さを確保することができる。これにより、接着材96の量を確保することができるので、対向部80に対するロータヨーク46の接着強度を確保することができる。
【0156】
図28は、第9実施形態に係る溝92の変形例を示す図である。本変形例では、各溝92が、ロータヨーク46の径方向内側から見た場合に半円形又は半楕円形に形成されている。つまり、溝92のロータマグネット48側の端部が円弧形状になっている。このように構成されていても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0157】
なお、上記複数の実施形態のうち組み合わせ可能な実施形態は、適宜組み合わされて実施されてもよい。
【0158】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0159】
本発明の特徴を以下の通り示す。
(第1態様)
シャフト(32)と、
前記シャフトと同軸上に設けられたステータ(22)と、
前記ステータの周囲に設けられたロータヨーク(46)と、
前記シャフトに対して前記ロータヨークを支持する支持部材(44)と、
を備え、
前記支持部材は、前記ロータヨークの径方向に前記ロータヨークと対向する対向部(80)を有し、
前記ロータヨークにおける前記対向部と対向する対向面(90;98)には、前記対向部と前記対向面とを接着する接着材(96)を収容する溝(92)が形成されている、
モータ(10)。
(第2態様)
前記対向面には、ロータマグネット(48)が設けられており、
前記溝は、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている、
第1態様に記載のモータ。
(第3態様)
前記溝は、前記支持部材の軸方向における前記対向部の長さの範囲に収まっている、
第1態様又は第2態様に記載のモータ。
(第4態様)
前記溝は、前記ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている、
第1態様から第3態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第5態様)
前記ロータヨークにおける前記対向面とは反対側の面には、ロータマグネットが設けられており、
前記溝及び前記ロータマグネットの互いの一部は、前記ロータヨークの軸方向にオーバーラップしている、
第1態様に記載のモータ。
(第6態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの軸方向に並ぶ複数の前記溝が形成されている、
第1態様から第5態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第7態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記溝が形成されている
第1態様から第3態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第8態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
各前記溝は、前記ロータヨークの周方向における各前記ロータマグネットの幅の範囲に収まっている、
第7態様に記載のモータ。
(第9態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
前記対向面における隣り合う前記溝の間の領域は、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路に位置する、
第7態様又は第8態様に記載のモータ。
(第10態様)
各前記溝は、前記ロータヨークの軸方向一方側に開放する開放部を有する、
第7態様から第9態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第11態様)
前記対向面には、ロータマグネットが設けられており、
複数の前記溝は、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されており、
各前記溝は、前記ロータマグネットの側に向かうに従って前記ロータヨークの周方向における幅が狭くなるテーパ状に形成されている、
第7態様から第10態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第12態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
各前記溝は、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路から外れている、
第7態様から第11態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第13態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの径方向に前記対向部と当接する当接部(94)が形成されている、
第1態様から第11態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第14態様)
前記当接部は、前記溝に対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている、
第13態様に記載のモータ。
(第15態様)
前記対向面には、ロータマグネットが設けられており、
前記当接部は、前記ロータマグネットに対して前記ロータヨークの軸方向にずれた位置に形成されている、
第13態様又は第14態様に記載のモータ。
(第16態様)
前記当接部は、前記溝に対する前記ロータヨークの軸方向一方側の位置に形成された第1当接部と、
前記溝に対する前記ロータヨークの軸方向他方側の位置に形成された第2当接部と、を有する、
第13態様から第15態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第17態様)
前記当接部は、前記ロータヨークの周方向に沿って環状に形成されている、
第13態様から第16態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第18態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記当接部が形成されており、
各前記当接部は、隣り合う前記ロータマグネットの間の範囲に跨って形成されている、
第13態様から第16態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第19態様)
各前記当接部は、隣り合う前記ロータマグネットの磁束経路に位置する、
第18態様に記載のモータ。
(第20態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記当接部が形成されており、
前記溝は、隣り合う前記当接部の間において前記ロータヨークの軸方向一方側の端部に開放されている、
第13態様から第16態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第21態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記溝が形成されており、
前記当接部は、前記対向面における隣り合う前記溝の間の領域に形成されている
第13態様から第16態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第22態様)
前記当接部は、前記ロータヨークの一部が前記ロータヨークの径方向に膨出する凸部によって形成されている、
第13態様から第16態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第23態様)
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数のロータマグネットが設けられており、
前記対向面には、前記ロータヨークの周方向に並ぶ複数の前記凸部が形成されており、
各前記凸部は、前記ロータヨークの周方向における各前記ロータマグネットの幅の範囲に収まっている、
第22態様に記載のモータ。
(第24態様)
前記対向部は、前記ロータヨークの径方向内側に位置し、
前記対向面は、前記ロータヨークの内周面(90)である
第1態様から第23態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
(第25態様)
前記対向部は、前記ロータヨークの径方向外側に位置し、
前記対向面は、前記ロータヨークの外周面(98)である
第1態様から第23態様のいずれか一つの態様に記載のモータ。
【符号の説明】
【0160】
10…モータ、22…ステータ、24…ロータ、26…ベース部材、28…第1玉軸受、30…第2玉軸受、32…シャフト、34…モータ本体、36…ステータコア、38…巻線巻回部、40…環状部、42…ティース部、44…支持部材、46…ロータヨーク、48…ロータマグネット、50…肉抜き部、52…貫通孔、54…突出部、56…ネジ孔、58…止めネジ、60…凹部、64…ロータハウジング、68…円盤部、70…軸受収容部、72…スポーク、80…対向部、82…ストッパ部、84…位置決め部、86…位置決め凹部、88…位置決め突起、90…内周面(対向面の一例)、90A…固着面、92…溝、92A…開放部、94…当接部、94A…第1当接部、94B…第2当接部、94C…第3当接部、96…接着材、98…外周面(対向面の一例)、100…空洞