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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119595
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】含フッ素低分子化合物の吸着方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/047 20060101AFI20240827BHJP
   B01J 20/26 20060101ALI20240827BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20240827BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20240827BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20240827BHJP
   C08L 83/04 20060101ALI20240827BHJP
   C08L 27/12 20060101ALI20240827BHJP
   C08K 5/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B01D53/047
B01J20/26 A
B01J20/28 Z
B01J20/34 E
C08L9/00
C08L83/04
C08L27/12
C08K5/02
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026604
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】米田 聡
(72)【発明者】
【氏名】岸川 洋介
(72)【発明者】
【氏名】山内 昭佳
(72)【発明者】
【氏名】匂坂 重仁
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 達
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 泉
【テーマコード(参考)】
4D012
4G066
4J002
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012CA20
4D012CB05
4D012CD07
4G066AC10B
4G066AC12B
4G066AC15B
4G066AC28B
4G066BA09
4G066BA20
4G066CA32
4G066DA01
4G066GA14
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AC121
4J002BB151
4J002BB181
4J002BD141
4J002BD151
4J002BD161
4J002CP031
4J002EB066
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ポリマーを含有する吸着材を用いた含フッ素低分子化合物の吸着方法を提供すること。
【解決手段】含フッ素低分子化合物の吸着方法であって、吸着材と前記含フッ素低分子化合物とを接触させて、前記吸着材に前記含フッ素低分子化合物を吸着させること、を含み、前記吸着材は、ゴムおよび前記ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含み、前記ゴムは、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムを含む、含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素低分子化合物の吸着方法であって、
吸着材と前記含フッ素低分子化合物とを接触させて、前記吸着材に前記含フッ素低分子化合物を吸着させること、
を含み、
前記吸着材は、ゴムおよび前記ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含み、
前記ゴムは、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムを含む、
含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項2】
前記吸着材が、粒子状である、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項3】
前記吸着材の粒子径が、1.0mm未満である、請求項2に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項4】
前記炭化水素系ゴムは、ジエン系ゴムである、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項5】
前記炭化水素系ゴムは、
-CH-C(-X)=CH-CH-:
[式中:
は、水素原子、塩素原子、または炭素数1~6のアルキル基である]
で表される単量体単位を含む、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項6】
前記炭化水素系ゴムは、さらに
-CHCHX-:
[式中:
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、またはフェニル基である。]
で表される単量体単位を含む、請求項5に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項7】
前記シリコーンゴムは、
SiO(4-a)/2
[式中:
Rは、互いに同一または異なってもよい、非置換または置換の、炭素数1~10の一価の炭化水素基であり、
aは1.9~2.1である。]
の平均組成式で表される化合物を含む、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項8】
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリール基、およびこれらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子またはシアノ基で置換された基である、請求項7に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項9】
前記フッ素ゴムは、下記式:
CF=CR
[式中:
は、水素原子、またはフッ素原子であり、
は、水素原子、フッ素原子、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、またはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である。]
で表される含フッ素単量体に由来する単量体単位を含む、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項10】
前記含フッ素低分子化合物は、-150℃から150℃の温度領域において飽和蒸気圧を有し、フッ素原子を1つ以上有する、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項11】
前記含フッ素低分子化合物は、式(1)または(2):
: (1)
[式中、p、q、およびrは、1以上の整数であって、
q+r=2p+2であり、
Yは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
: (2)
[式中、n、m、およびlは、1以上の整数であって、
m+l=2n、n≧2であり、
Zは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
で表される少なくとも1種のフルオロカーボンである、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項12】
pは1または2であり、qは2以上である、請求項11に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項13】
Yにおけるハロゲン原子は、塩素原子である、請求項12に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項14】
nは2または3であり、mは2以上である、請求項11に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項15】
Zは、水素原子である、請求項12に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項16】
前記吸着材の分極率と前記含フッ素低分子化合物の分極率との差に基づいて、前記吸着材への含フッ素低分子化合物の吸着量を制御する、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の方法により含フッ素低分子化合物を吸着すること、及び
前記含フッ素低分子化合物を吸着した前記吸着材を減圧条件下に置き、前記吸着材から、前記含フッ素低分子化合物を脱着させること、
を含む、含フッ素低分子化合物の吸脱着方法。
【請求項18】
炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムおよび前記ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む吸着材と、
前記吸着材に吸着された含フッ素低分子化合物と、
を含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、含フッ素低分子化合物の吸着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低分子化合物の吸着方法として、低分子化合物と吸着材とを接触させて、吸着材に低分子化合物を吸着させる方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-189269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ポリマーを含む吸着材に可燃性ガスの吸着方法が開示されているが、可燃性ガス以外の低分子化合物の吸着方法については開示されていない。
【0005】
本開示は、ポリマーを含む吸着材を用いた含フッ素低分子化合物の吸着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様を含む。
[1]含フッ素低分子化合物の吸着方法であって、
吸着材と前記含フッ素低分子化合物とを接触させて、前記吸着材に前記含フッ素低分子化合物を吸着させること、
を含み、
前記吸着材は、ゴムおよび前記ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含み、
前記ゴムは、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムを含む、
含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[2]前記吸着材が、粒子状である、上記[1]に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[3]前記吸着材の粒子径が、1.0mm未満である、上記[2]に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[4]前記炭化水素系ゴムは、ジエン系ゴムである、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[5]前記炭化水素系ゴムは、
-CH-C(-X)=CH-CH-:
[式中:
は、水素原子、塩素原子、または炭素数1~6のアルキル基である]
で表される単量体単位を含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[6]前記炭化水素系ゴムは、さらに
-CHCHX-:
[式中:
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、またはフェニル基である。]で表される単量体単位を含む、上記[5]に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[7]前記シリコーンゴムは、
SiO(4-a)/2
[式中:
Rは、互いに同一または異なってもよい、非置換または置換の、炭素数1~10の一価の炭化水素基であり、
aは1.9~2.1である。]
の平均組成式で表される化合物を含む、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[8]Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリール基、およびこれらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子またはシアノ基で置換された基である、上記[7]に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[9]前記フッ素ゴムは、下記式:
CF=CR
[式中:
は、水素原子、またはフッ素原子であり、
は、水素原子、フッ素原子、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、またはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である。]
で表される含フッ素単量体に由来する単量体単位を含む、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[10]前記含フッ素低分子化合物は、-150℃から150℃の温度領域において飽和蒸気圧を有し、フッ素原子を1つ以上有する、上記[1]~[9]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[11]前記含フッ素低分子化合物は、式(1)または(2):
: (1)
[式中、p、q、およびrは、1以上の整数であって、
q+r=2p+2であり、
Yは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
: (2)
[式中、n、m、およびlは、1以上の整数であって、
m+l=2n、n≧2であり、
Zは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
で表される少なくとも1種のフルオロカーボンである、上記[1]~[10]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[12]pは1または2であり、qは2以上である、上記[11]に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[13]ハロゲン原子は、塩素原子である、上記[11]または[12]に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[14]nは2または3であり、mは2以上である、[11]~[13]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[15]Zは、水素原子である、[11]~[14]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[16]前記吸着材の分極率と前記含フッ素低分子化合物の分極率との差に基づいて、前記吸着材への含フッ素低分子化合物の吸着量を制御する、上記[1]~[15]のいずれか1つに記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
[17]上記[1]~[16]のいずれか1つに記載の方法により含フッ素低分子化合物を吸着すること、及び
前記含フッ素低分子化合物を吸着した前記吸着材を減圧条件下に置き、前記吸着材から、前記含フッ素低分子化合物を脱着させること、
を含む、含フッ素低分子化合物の吸脱着方法。
[18]炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムおよび前記ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む吸着材と、
前記吸着材に吸着された含フッ素低分子化合物と、
を含む組成物。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ポリマーを含む吸着材に含フッ素低分子化合物を吸着させる、含フッ素低分子化合物の吸着方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(吸着方法)
本開示の含フッ素低分子化合物の吸着方法は、
吸着材と含フッ素低分子化合物とを接触させて、吸着材に含フッ素低分子化合物を吸着させること、を含み、
吸着材は、ゴムおよび当該ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含み、
上記ゴムは、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムを含む。
【0009】
本開示の吸着方法は、上記構成を含むことにより、ポリマーを含有する吸着材に含フッ素低分子化合物を吸着させることができる。さらに、従来の吸着方法では、特定の低分子化合物のみを選択的に吸着するところ、本開示の吸着方法では、1種類の吸着材により、異なる複数の種類の含フッ素低分子化合物を吸着でき、含フッ素低分子化合物の回収に有用であり得る。さらに、1種類の吸着材に複数の含フッ素低分子化合物を吸着させる場合、複数の含フッ素低分子化合物のそれぞれを特定の比率で吸着材に吸着させることができる。
【0010】
吸着材と含フッ素低分子化合物とを接触させることによって、含フッ素低分子化合物が吸着材に吸着する。例えば、吸着は以下の工程を順に行うことにより実施してもよい。なお、本開示の吸着方法は、以下の工程に限定されるものではない。
i)圧力容器内に吸着材を封入する。
ii)吸着材を封入した圧力容器内を真空条件とする。
iii)吸着材を封入した圧力容器内に含フッ素低分子化合物を所定の圧力になるまで導入する。
【0011】
吸着材を封入する圧力容器は、常套の圧力容器を使用することができる。例えば、圧力容器は、シリンダー容器であってよい。圧力容器の容積は、特に限定されないが、例えば10ml~100mlであってよく、例えば50ml)であってよい。圧力容器内に封入する吸着材の量は、例えば1g~100g、10~20gであってよく、例えば10gであってよい。圧力容器に封入する吸着剤の量は、0.01g/mL~1g/ml、0.1g/mL~0.5g/mL、例えば0.2g/mLであってよい。
【0012】
圧力容器に含フッ素低分子化合物を導入する前に、吸着材を封入した圧力容器内を真空条件とする。ここに、真空条件とは、完全に真空である状態に限定されず、実質的に真空である状態も含む。具体的には、吸着材を封入した圧力容器内の圧力は、ゲージ圧で-0.1MPa~-0.01MPa、好ましくは-0.1MPa~-0.05MPa、より好ましくは-0.1MPa~-0.07MPaとしてもよい。一態様では、吸着材を封入した圧力容器内の圧力は、ゲージ圧で-0.1MPaであってよい。
【0013】
含フッ素低分子化合物を圧力容器内に所定の圧力になるまで導入する。当該所定の圧力(以下、「導入圧力」ともいう)は、吸着材に吸着させる含フッ素低分子化合物の種類に応じて設定してもよい。例えば、導入圧力は、ゲージ圧で、好ましくは0.001MPa~10MPa、より好ましくは0.01MPa~5MPa、さらに好ましくは0.1MPa~1MPaであってよい。
【0014】
吸着材として炭化水素系ゴムおよびフッ素ゴムを用いる場合、導入圧力は、ゲージ圧で、0.1kPa以上50kPa以下であってよく、好ましくは0.5kPa以上30kPa以下、より好ましくは1kPa以上10kPa以下、特に好ましくは3kPa以上7kPa以下であってよい。例えば、導入圧力は、5kPaであってよい。
【0015】
吸着材としてシリコーンゴムを用いる場合、導入圧力は、ゲージ圧で、0.01MPa以上10MPa以下であってよく、好ましくは0.05MPa以上5MPa以下、より好ましくは0.1MPa以上3.0MPa以下、特に好ましくは0.3MPa以上1.0MPa以下であってよい。例えば、導入圧力は、0.8MPaであってよい。
【0016】
吸着材と含フッ素低分子化合物とを接触させる時間は、吸着材に吸着させる含フッ素低分子化合物の種類に応じて設定してもよい。例えば、時間は、1分以上、好ましくは30分以上、より好ましくは120分以上であってよい。
【0017】
(吸着材)
本開示の吸着方法に用いられる吸着材は、ゴムおよび当該ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む。本明細書においてゴムとは、常温常圧下でゴム状であって、化学的な硬化処理が行われていないポリマー(つまり、高分子化合物)を意味する。本明細書においてゴムの硬化物とは、ゴムを化学的な硬化処理によって硬化させて得られるポリマーを意味する。上記硬化処理としては、例えば加硫、及び、架橋を挙げることができる。
【0018】
ゴムの硬化方法としては、特に制限されないが公知の加硫剤、及び、硬化剤等を用いて硬化する方法が挙げられる。加硫剤としては、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、及び、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物も使用できる。ビスフェノールA等のポリオールも使用できる。また、公知の加硫促進剤を併用してもよい。また、公知の加硫剤としては、例えば、硫黄、及び、4、4’-ジチオジモルホリンジモルホリン等が挙げられる。硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降性硫黄、高分散性硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。
【0019】
吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、本開示の吸着方法に用いられる吸着材は、粒子状であってよい。吸着材の粒子形状は、特に限定されず、例えば、球状形状、扁平形状、不定形状いずれの粒子形状であってもよい。取り扱いを容易にする観点から、粒子状の吸着剤は、当該粒子状の吸着剤をナイロンメッシュ等の袋に詰めた状態で含フッ素低分子化合物を吸着させてもよい。
【0020】
粒子状の吸着材の作製方法は、特に限定されず、常套の手段であってよい。例えば、塊状、またはペレット状のポリマー(例えば、ゴムおよび/またはゴムの硬化物)を粉砕機により粉砕することによって、粒子状の吸着材を作製してもよい。粉砕を効率的に実施するために、ポリマー(例えば、ゴムおよび/またはゴムの硬化物)を液体窒素等により凍結させ、凍結したポリマーを粉砕してもよい。他の粒子状の吸着材の作製方法としては、原子または分子を化学反応により成長および集合体を形成させて粒子を得る方法が挙げられる。例えば、粒子状の吸着材は、乳化重合、または懸濁重合等により作製してもよい。
【0021】
吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、吸着材の粒子径は、1.0mm未満であってよく、好ましくは900μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは300μm以下、特に好ましくは150μm以下であってよい。
【0022】
粒子状の吸着材を取り扱い易くする観点から、吸着材の粒子径は、0.1μm以上であってよく、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であってよい。
【0023】
吸着材の粒子径とは、吸着材の最大粒子径を意味する。吸着材の最大粒子径は、光学顕微鏡で測定することにより得ることができる。例えば、吸着剤を光学顕微鏡で観察することにより得られる視野の範囲のうち、最も粒子径が大きい粒子の粒子径を吸着材の最大粒子径としてもよい。吸着材の最大粒子径は、レーザ回折・散乱法により求められる粒度分布において、小粒径側からの積算粒子体積が全粒子体積の99%に達するときの粒径D99であってよい。
【0024】
吸着材の粒子径および最大粒子径は、常套の手段により制御することができる。例えば、吸着材の最大粒子径は、粉砕機の粉砕条件を調整することにより制御することができる。または、吸着材の最大粒子径は、分級することによって所定の最大粒子径を有する吸着材へと調整することができる。
【0025】
本開示の吸着方法に用いられる吸着材に含まれるゴムは、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムである。以下に、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムについて説明する。
【0026】
[炭化水素系ゴム]
炭化水素系ゴムとは、炭化水素を主成分とするポリマーを意味する。
【0027】
一態様では、炭化水素系ゴムは、直鎖の炭化水素化合物であってもよい。一態様では、上記炭化水素化合物は、一つ以上の置換基を有していてもよい。一態様では、炭化水素系ゴムは、その主鎖を構成する炭素原子間の一部に二重結合を含んでいてもよい。
【0028】
上記炭化水素化合物に関する置換基としては、例えば水素原子、塩素原子、または炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。
【0029】
一態様では、炭化水素系ゴムは、ジエン系ゴムであってよい。ジエン系ゴムとは、共役二重結合を持つジエンモノマーを原料としたゴム、または共役二重結合を持つジエンモノマーと当該ジエンモノマーと共重合可能な1種類以上のビニル系モノマーを原料としたゴムを意味する。ジエン系ゴムは、天然ゴムおよび/または合成ゴムであってよい。ジエン系ゴムは、主鎖に二重結合を有する。
【0030】
一態様では、ジエン系ゴムは、一つ以上の置換基を有していてもよい。当該置換基としては、例えば水素原子、塩素原子、または炭素数1~6のアルキル基が挙げられる。
【0031】
一態様では、炭化水素系ゴムは、
-CH-C(-X)=CH-CH-:
[式中:
は、水素原子、塩素原子、または炭素数1~6のアルキル基である]
で表される単量体単位を含んでいてもよい。
【0032】
上記式で表される単量体単位は、ジエンモノマーに由来する単量体単位であってよい。
【0033】
は、水素原子、塩素原子、または炭素数1~6のアルキル基である。
【0034】
上記炭素数1~6のアルキルは、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。上記炭素数1~6のアルキルは、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
【0035】
吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、Xは、水素原子であってよい。
【0036】
一態様では、炭化水素系ゴムは、上記式-CH-C(-X)=CH-CH-で表される単量体単位の他に、さらに
-CHCHX-:
[式中:
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、またはフェニル基である。]で表される単量体単位を含んでいてもよい。
【0037】
上記式で表される単量体単位は、ジエンモノマーと共重合可能なビニル系モノマーに由来する単量体単位であってよい。
【0038】
上記炭素数1~6のアルキルは、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。上記炭素数1~6のアルキルは、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
【0039】
吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、Xは、シアノ基であってよい。
【0040】
炭化水素系ゴムに含まれる上記式-CH-C(-X)=CH-CH-で表される単量体単位および上記式-CHCHX-で表される単量体単位とのモル比は、40~90/60~10であるものが好ましく、より好ましくは45~70/55~30であり、更に好ましくは50~65/50~35であってよい。
【0041】
一態様では、炭化水素系ゴムとしては、例えば、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレン・イソブチレン共重合ゴム(IIR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム(EPDM)、及びハロゲン化ブチルゴム(HR)等が挙げられる。
【0042】
一態様では、吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、炭化水素系ゴムは、NBRであってよい。同様の観点から、NBR中のアクリロニトリルの含有率は10mol%以上60mol%以下であってよく、好ましくは30mol%以上55mol%以下、より好ましくは35mol%以上50mol%以下であってよい。NBR中のアクリロニトリルの含有率は、「ISO 24698-1(2008)」または「JIS K 6451-1:2016 合成ゴム―NBR―結合アクリロニトリル量の求め方」に記載のアクリロニトリルの定量方法に準拠して求めてもよい。
【0043】
吸着材に含まれ得る炭化水素系ゴムは、市販品として入手可能なものを用いてもよい。
【0044】
[シリコーンゴム]
シリコーンゴムとは、ケイ素原子が酸素原子を介して他のケイ素原子と結合した構造に有機基が付加しているポリマーである。換言すると、シリコーンゴムとは、ポリオルガノシロキサン骨格を有するポリマーである。シリコーンゴムは、架橋構造を有していてもよく、シリコーンゴム前駆体であるオルガノシロキサンを架橋することによって得ることができる。
【0045】
シリコーンゴムは、
SiO(4-a)/2
[式中:
Rは、互いに同一または異なってもよい、非置換または置換の、炭素数1~10の一価の炭化水素基であり、
aは1.9~2.1である。]
の平均組成式で表される化合物を含んでいてもよい。
【0046】
上記式中、Rは、互いに同一または異なってもよい、非置換または置換の、炭素数1~10の一価の炭化水素基である。
【0047】
上記互いに同一または異なってもよい、非置換または置換の、炭素数1~10の一価の炭化水素基における「炭素数1~10の一価の炭化水素基」は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、環構造を含んでいてもよい。
【0048】
一態様では、上記「炭素数1~10の一価の炭化水素基」は、好ましくは炭素数1~6の一価の炭化水素基、より好ましくは炭素数1~3の一価の炭化水素基であってよい。
【0049】
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリール基、およびこれらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子またはシアノ基で置換された基であるってよい。
【0050】
具体的には、アルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、またはデシル基等が挙げられる。シクロアルキル基として、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。アリール基として、フェニル基、トリル基、キシリル基、またはナフチル基等が挙げられる。アルケニル基として、炭素数2~10のアルケニル基が挙げられ、例えば、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、Rは、メチル基であってよい。
【0051】
一態様では、上記「炭素数1~10の一価の炭化水素基」は、炭素数2~10のアルケニル基であってよく、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等であってよく、またはこれらの基の水素原子の一部または全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、またはシアノ基等で置換したものであってよい。
【0052】
一態様では、吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、Rは互いに同一であってよい。
【0053】
一態様では、吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、Rは、非置換の基である。
【0054】
一態様では、aは1.9~2.1である。
【0055】
シリコーンゴムは、1種の重合体からなる単独重合体であってもよいし、2種以上の重合体からなる共重合体であってもよい。
【0056】
一態様では、シリコーンゴムとしては、例えば、ポリジメチルシロキサンであってよい。一態様では、シリコーンゴムとしては、例えば、ジメチルシロキサンとジメチルシロキサン以外のオルガノシロキサンとの共重合体であってよい。ジメチルシロキサン以外のオルガノシロキサンとしては、ビニルメチルシロキサン、ジフェニルシロキサン、およびメチルトリフルオロプロピルシロキサンからなる群から選択される一種のオルガノシロキサンであってよい。
【0057】
吸着材に含まれ得るシリコーンゴムは、市販品として入手可能なものを用いてもよい。
【0058】
[フッ素ゴム]
フッ素ゴムとは、分子内にフッ素原子を含むポリマーである。例えば、フッ素ゴムは、フッ素原子により置換された炭化水素化合物であり得る。
【0059】
フッ素ゴムは、下記式:
CF=CR
[式中:
は、水素原子、またはフッ素原子であり、
は、水素原子、フッ素原子、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、またはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である。]
で表される含フッ素単量体に由来する単量体単位を含んでいてもよい。
【0060】
は、水素原子、またはフッ素原子である。
【0061】
は、水素原子、フッ素原子、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、またはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である。
【0062】
フッ素ゴムは、1種の重合体からなる単独重合体であってもよいし、2種以上の重合体からなる共重合体であってもよい。吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、フッ素ゴムは、2種以上の重合体からなる共重合体であってよい。
【0063】
2種以上の重合体からなる共重合体は、上記式CF=CRで表される含フッ素単量体に由来する1種または2種類以上の単量体単位を含んでもよい。例えば、フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライド(VDF)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、VDF/HFP/テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体、TFE/プロピレン共重合体、TFE/プロピレン/VDF共重合体、エチレン/HFP共重合体、エチレン/HFP/VDF共重合体、エチレン/HFP/TFE共重合体、VDF/TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)共重合体、VDF/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であってよい。
【0064】
一態様では、吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、フッ素ゴムは、2元系材料であるVDF/HFP共重合体または3元系材料であるVDF/TFE/HFP共重合体であってよく、好ましくは2元系材料であるVDF/HFP共重合体であってよい。
【0065】
VDF/HFP共重合体としては、VDF/HFPのモル比が45~85/55~15であるものが好ましく、より好ましくは50~80/50~20であり、更に好ましくは60~80/40~20である。
【0066】
VDF/HFP/TFE共重合体としては、VDF/HFP/TFEのモル比が40~80/10~35/10~35であってよい。
【0067】
吸着材に含まれ得るフッ素ゴムは、市販品として入手可能なものを用いてもよい。
【0068】
[含フッ素低分子化合物]
本開示の吸着方法において、吸着材に吸着させる含フッ素低分子化合物は、分子中にフッ素原子を含む低分子化合物を意味する。上記含フッ素低分子化合物は、分子中の炭素原子、硫黄原子、ケイ素原子、および/または窒素原子に結合する水素原子の一部または全部がフッ素原子によって置換された低分子化合物であってもよい。含フッ素低分子化合物は、フッ素原子以外のハロゲン原子を含んでいてもよく、例えば、塩素原子および/または臭素原子を含んでいてもよい。
【0069】
含フッ素低分子化合物の分子量は、1000以下であってよい。吸着材に含フッ素化合物を効率的に吸着させる観点から、含フッ素低分子化合物の分子量は、30以上1000以下であってよく、好ましくは30以上500以下、より好ましくは30以上400以下であってよい。
【0070】
一実施形態では、含フッ素低分子化合物は、-150℃から150℃の温度領域において飽和蒸気圧を有し、フッ素原子を1つ以上有する。飽和蒸気圧とは、含フッ素低分子化合物の液体と気体とが平衡状態にあるときの気体の圧力を意味する。上記飽和蒸気圧は、大気圧と等しくなる時の飽和蒸気圧であってよい。含フッ素低分子化合物の飽和蒸気圧と大気圧とが等しくなる時の含フッ素低分子化合物の温度が沸点である。上記温度領域に飽和蒸気圧を有する含フッ素低分子化合物を用いることにより、吸着材に含フッ素低分子化合物をより吸着させ易くなる。
【0071】
吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、含フッ素低分子化合物は、-120℃から100℃の温度領域に飽和蒸気圧を有していてもよく、好ましくは-100℃から60℃、より好ましくは-100℃から20℃、さらに好ましくは-100℃から-20℃、特に好ましくは-90℃から-40℃の温度領域に飽和蒸気圧を有していてもよい。
【0072】
飽和蒸気圧は、常套の測定方法によって得られた飽和蒸気圧であってよい。例えば、飽和蒸気圧は、静止法、沸点法、DSC法、気体流通法、またはアイソテニスコープ法等によって求めてもよい。
【0073】
含フッ素低分子化合物は、式(1)または(2):
: (1)
[式中、p、q、およびrは、1以上の整数であって、
q+r=2p+2であり、
Yは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
: (2)
[式中、n、m、およびlは、1以上の整数であって、
m+l=2n、n≧2であり、
Zは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
で表される少なくとも1種のフルオロカーボンであってよい。
【0074】
一態様では、pは1以上10以下であり、qは2以上であり、好ましくはpは1以上5以下であり、qは2以上であってよい。吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、pは1または2であり、qは2以上であってよい。
【0075】
一態様では、Yは、塩素原子であってよい。
【0076】
一態様では、nは2以上10以下であり、mは2以上であり、好ましくはnは2以上5以下であり、mは2以上であってよい。吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、nは2または3であり、mは2以上であってよい。
【0077】
一態様では、Zは、水素原子であってよい。
【0078】
含フッ素低分子化合物としては、例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、およびハイドロフルオロオレフィン(HFO)からなる群から選択される1種以上の含フッ素低分子化合物であってよい。
【0079】
CFCとしては、トリクロロフルオロメタン(CFC-11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC-12)、クロロトリフルオロメタン(CFC-13)、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン(CFC-113)、1,2-ジクロロテトラフルオロエタン(CFC-114)、またはクロロペンタフルオロエタン(CFC-115)が挙げられる。
【0080】
HCFCとしては、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)、2,2‐ジクロロ‐1,1,1‐トリフルオロエタン(HCFC-123)、2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HCFC-124)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b)、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン(HCFC-122b)、3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225ca)、または1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC-225cb)が挙げられる。
【0081】
HFCとしては、トリフルオロメタン(HFC-23)、ジフルオロメタン(HFC-32)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン(HFC-125)、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFC-134a)、トリフルオロエタン(HFC-143a)、1,1-ジフルオロエタン(HFC-152a)、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(HFC-227ea)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236fa)、1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)、1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(HFC-365mfc)が挙げられる。
【0082】
HFOとしては、2,3,3,3ーテトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)または1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)が挙げられる。
【0083】
一態様では、吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に吸着させる観点から、含フッ素低分子化合物は、HFC-32、HFC-125、HCFC-22、HFC-134a、およびHFO-1234yfからなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素低分子化合物であってよい。
【0084】
本開示の吸着方法は、吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差に基づいて、吸着材への含フッ素低分子化合物の吸着量を制御することができる。本開示の吸着方法では、特に、吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差が小さい場合、吸着材への含フッ素低分子化合物の吸着量が大きくなり易い。吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差に基づいて、1種類の吸着材に吸着させる異なる複数の含フッ素低分子化合物のそれぞれの比率をより調整し易くなる。
【0085】
吸着材への含フッ素低分子化合物の吸着のメカニズムは、必ずしも明らかではないが、吸着材と含フッ素低分子化合物との間に作用する分子間力が要因と考えられる。吸着量の制御に関して、分子間力として電気的な相互作用が支配的と考えられ、当該電気的な相互作用は、吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差に起因すると考えられる。
【0086】
吸着材の分極率とは、密度汎関数法(DFT)によって求められる分極率を単位体積当たりに換算した値である。詳しくは、吸着剤の単量体から構成される重合度3以上のオリゴマーについて、構造最適化計算で得られた安定構造に対し、分極率計算を実施する。吸着材の分極率は、計算された吸着剤のオリゴマーの分極率を、吸着剤のオリゴマーの分子体積を割ることによって求められる値である。量子化学計算において、構造最適化計算では、交換相関汎関数にはωB97X-Dを用い、基底関数として6-31G(d,p)を適用した。分極率計算では、交換相関汎関数にはωB97X-Dを用い、基底関数には6-311++G(2d,p)を適用した。量子化学計算プログラムとしては、Gaussian社製の量子化学計算プログラムであるGaussian16を使用した。分子体積の計算にはケモインフォマティクス用のソフトウェアであるRDKitを使用した。
【0087】
含フッ素低分子化合物の分極率とは、密度汎関数法(DFT)によって求められる分極率を単位体積当たりに換算した値である。詳しくは、含フッ素低分子化合物の分子ついて、構造最適化計算で得られた安定構造に対し、分極率計算を実施する。含フッ素低分子化合物の分極率は、計算された含フッ素低分子化合物の分極率を、含フッ素低分子化合物の分子体積を割ることによって求められる値である。量子化学計算において、構造最適化計算では、交換相関汎関数にはωB97X-Dを用い、基底関数として6-31G(d,p)を適用した。分極率計算では、交換相関汎関数にはωB97X-Dを用い、基底関数には6-311++G(2d,p)を適用した。量子化学計算プログラムとしては、Gaussian社製の量子化学計算プログラムであるGaussian16を使用した。分子体積の計算にはケモインフォマティクス用のソフトウェアであるRDKitを使用した。
【0088】
吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差は、吸着材に吸着させる含フッ素低分子化合物の種類に応じて設定してもよい。例えば、吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差は、0.001以上0.01以下であってよく、好ましくは0.003以上0.08以下、より好ましくは0.005以上0.08以下、さらに好ましくは0.007以上0.06以下であってよい。吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差は、絶対値であってよい。
【0089】
(吸脱着方法)
以下、本開示の吸脱着方法について説明する。
【0090】
本開示の吸脱着方法は、本開示の吸着方法により含フッ素低分子化合物を吸着すること、及び含フッ素低分子化合物を吸着した吸着材を減圧条件下に置き、吸着材から、含フッ素低分子化合物を脱着させること、を含む。
【0091】
含フッ素低分子化合物を吸着した吸着材は、本開示の吸着方法により得ることができる。含フッ素低分子化合物を吸着した吸着材を減圧条件下に置き、吸着材から、含フッ素低分子化合物を脱着させることができる。例えば、吸脱着は、以下の工程を順に行うことにより実施することができる。
i)圧力容器内に吸着材を封入する。
ii)吸着材を封入した圧力容器内を真空条件とする。
iii)吸着材を封入した圧力容器内に含フッ素低分子化合物を所定の圧力になるまで導入する。
iv)含フッ素低分子化合物を所定圧力まで導入した後、圧力容器内を減圧する。
【0092】
iv)において、減圧下に置かれた吸着材から含フッ素低分子化合物が脱着し、容器内の圧力が変化し得る。当該圧力変化から、吸着材に対する含フッ素低分子化合物の吸着量を定量することができる。
【0093】
上記i)~iii)に関しては、本開示の吸着方法と同様の条件で実施することができる。
【0094】
iv)の工程における減圧条件は、真空条件であってよい。iv)の工程における真空条件とは、ゲージ圧で-0.1MPa~-0.01MPa、好ましくは-0.1MPa~-0.05MPa、Pa以下、より好ましくは-0.1MPa~-0.07MPaとしてもよい。一態様では、吸着材を封入した圧力容器内の圧力は、ゲージ圧で-0.1MPaであってよい。減圧下に置かれた吸着材から含フッ素低分子化合物が脱着し、容器内の圧力が変化し得る。当該圧力変化からの吸着材に対する含フッ素低分子化合物の吸着量を定量は、PV=nRTの理想気体の状態方程式に適用し、算出することができる。
【0095】
含フッ素低分子化合物を吸着した吸着材を減圧条件下に置く時間は、吸着材から含フッ素低分子化合物を脱着させる量に基づいて適宜選択することができる。吸着材に含フッ素低分子化合物を効率的に脱着させる観点から、吸着材と含フッ素低分子化合物とを接触させる時間は、20分以上360分以下であってよく、好ましくは40分以上240分以下、より好ましくは60分以上180分以下、特に好ましくは100分以上140分以下であってよい。一態様では、減圧条件下に置く時間は、120分であってよい。
【0096】
上記真空条件下における温度は、吸着材から含フッ素低分子化合物を脱着させる量に基づいて適宜選択することができる。吸着材から含フッ素低分子化合物を効率的に脱着させる観点から、吸着材と含フッ素低分子化合物とを接触させる際の温度は、-50℃以上50℃以下であってよく、好ましくは-30℃以上30℃以下、より好ましくは-15℃以上15℃以下、特に好ましくは-5℃以上5℃以下であってよい。一態様では、吸着材から含フッ素低分子化合物を脱着させる際の温度は、25℃であってよい。
【0097】
(組成物)
以下、本開示の組成物について説明する。
【0098】
本開示の組成物は、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムおよび当該ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む吸着材と、吸着材に吸着された含フッ素低分子化合物と、を含む。
【0099】
本開示の組成物は、例えば、本開示の吸着方法により得ることができる。具体的には、吸着材と含フッ素低分子化合物とを接触させて、吸着材に含フッ素低分子化合物を吸着させることにより得ることができる。
【0100】
本開示の組成物は、例えば、含フッ素低分子化合物を貯蔵する貯蔵材料または含フッ素低分子化合物を貯蔵し放出する貯蔵放出材料として機能し得る。
【0101】
本開示の組成物は、含フッ素低分子化合物を含む。具体的には、本開示の組成物は、組成物全量に対し、含フッ素低分子化合物を0.01質量%以上35質量%以下含み得る。組成物が含フッ素低分子化合物を安定して貯蔵できるようにする観点から、本開示の組成物は、組成物全量に対し、含フッ素低分子化合物を0.01質量%以上30質量%以下、好ましくは0.01質量%以上25質量%以下であってよい。
【0102】
以上、本開示の吸着方法、吸脱着方法、および組成物について詳述した。なお、本開示の吸着方法、吸脱着方法、および組成物などは、上記で例示したものに限定されない。
【実施例0103】
以下、本開示の吸着方法および吸脱着方法について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0104】
(分極率の測定)
吸着材の分極率とは、密度汎関数法(DFT)によって求められる分極率を単位体積当たりに換算した値である。詳しくは、吸着剤の単量体から構成される重合度3以上のオリゴマーについて、構造最適化計算で得られた安定構造に対し、分極率計算を実施する。吸着材の分極率は、計算された吸着剤のオリゴマーの分極率を、吸着剤のオリゴマーの分子体積を割ることによって求められる値である。含フッ素低分子化合物の分極率とは、密度汎関数法(DFT)によって求められる分極率を単位体積当たりに換算した値である。詳しくは、含フッ素低分子化合物の分子ついて、構造最適化計算で得られた安定構造に対し、分極率計算を実施する。含フッ素低分子化合物の分極率は、計算された含フッ素低分子化合物の分極率を、含フッ素低分子化合物の分子体積を割ることによって求められる値である。量子化学計算において、構造最適化計算では、交換相関汎関数にはωB97X-Dを用い、基底関数として6-31G(d,p)を適用した。分極率計算では、交換相関汎関数にはωB97X-Dを用い、基底関数には6-311++G(2d,p)を適用した。量子化学計算プログラムとしては、Gaussian社製の量子化学計算プログラムであるGaussian16を使用した。分子体積の計算にはケモインフォマティクス用のソフトウェアであるRDKitを使用した。吸着材の分極率および含フッ素低分子化合物それぞれの分極率は、表1および表2に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
(吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差)
吸着材の分極率と含フッ素低分子化合物の分極率との差(以下、吸着材との分極率との差とも称す)は、(吸着材の分極率-含フッ素低分子化合物の分極率)により表される。
【0108】
実施例1
吸着材として、ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製「KMP-598」、直鎖上のポリジメチルシロキサン)のゴム材料を用いた。当該ゴム材料のバルク試料を粉砕後、N凍結粉砕器で最大粒子径が80μmの粉体を調製した。
【0109】
上記ゴム材料が、含フッ素低分子化合物を吸着すること、および吸着後に減圧することにより脱着することを示すために、上記粉体を用いて、クロロジフルオロメタン(R22)およびペンタフルオロエタン(R125)の含フッ素低分子化合物をそれぞれ用いて気相からの吸着実験を行った。
【0110】
上記ゴム材料の粉体を約10g計量し、所定の圧力容器内に封入後、容器内を温度25℃、真空条件としてゲージ圧-0.1MPaとしたのち、含フッ素低分子化合物を、R22は0.8MPa、R125は0.8MPaの圧力になるまで導入した。導入後、温度25℃、ゲージ圧-0.1MPaの真空中に脱着させた際の圧力変化を、PV=nRTの理想気体の状態方程式に適用し、パウダーに対する吸着量の定量を実施した。吸脱着の結果を表3に示す。
【0111】
実施例2
吸着材として、アクリロニトリルブタジエンゴム(JSR製,「PN20HA」 アクリロニトリル含有率:41.5%)のゴム材料を用いた。当該ゴム材料のバルク試料を粉砕後、N凍結粉砕器で最大粒子径が80μmの粉体を調製した。
【0112】
上記ゴム材料が、含フッ素低分子化合物を吸着すること、および吸着後に減圧することにより脱着することを示すために、上記粉体を用いて、R22およびR125の含フッ素低分子化合物をそれぞれ用いて気相からの吸着実験を行った。
【0113】
上記ゴム材料の粉体を約10g計量し、所定の圧力容器内に封入後、容器内を温度25℃、真空条件としてゲージ圧-0.1MPaとしたのち、含フッ素低分子化合物を所定の圧力5kPaになるまで導入した。導入後、ゲージ圧-0.1MPaの真空中に脱着させた際の圧力変化を、PV=nRTの理想気体の状態方程式に適用し、パウダーに対する吸着量の定量を実施した。吸脱着の結果を表3に示す。
【0114】
実施例3
吸着材としてフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンゴム(ダイキン製生ゴム「G-701BP」、二元系フッ素ゴム)を用いたこと以外、実施例2と同様の方法により含フッ素低分子化合物の吸脱着を行った。吸脱着の結果を表3に示す。
【0115】
【表3】
【0116】
実施例4
吸着材として、アクリロニトリルブタジエンゴム(JSR製,「PN20HA」 アクリロニトリル含有率:41.5%)のゴム材料を用いた。当該ゴム材料のバルク試料を粉砕後、N凍結粉砕器で最大粒子径が80μmの粉体を調製した。
【0117】
上記ゴム材料が、含フッ素低分子化合物を吸着すること、および吸着後に減圧することにより脱着することを示すために、上記粉体を用いて、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(R134a)および2,3,3,3ーテトラフルオロプロペン(R1234yf)の含フッ素低分子化合物をそれぞれ用いて気相からの吸着実験を行った。
【0118】
上記ゴム材料の粉体を約10g計量し、所定の圧力容器内に封入後、容器内を温度25℃、真空条件としてゲージ圧-0.1MPaとしたのち、含フッ素低分子化合物を所定の圧力5kPaになるまで導入した。導入後、ゲージ圧-0.1Paの真空中に脱着させた際の圧力変化を、PV=nRTの理想気体の状態方程式に適用し、パウダーに対する吸着量の定量を実施した。吸脱着の結果を表4に示す。
【0119】
実施例5
吸着材としてアクリロニトリルブタジエンゴム(JSR製,「S215SL」 アクリロニトリル含有率:47.5%)を用いたこと以外、実施例4と同様の方法により含フッ素低分子化合物の吸脱着を行った。吸脱着の結果を表4に示す。
【0120】
【表4】
【0121】
上記の結果から、本開示の吸着方法により、吸着材に含フッ素低分子化合物を吸着させることができた。また、本開示の吸脱着方法により、吸着材に含フッ素低分子化合物を吸着させ、その後脱着させることできた。さらに、1種類の吸着材により、異なる種類の含フッ素低分子化合物を吸着および脱着できた。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示の吸着方法は、種々多様な用途、例えば含フッ素低分子化合物を回収する方法として好適に利用され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素低分子化合物の吸着方法であって、
吸着材と前記含フッ素低分子化合物とを接触させて、前記吸着材に前記含フッ素低分子化合物を吸着させること、
を含み、
前記吸着材は、ゴムおよび前記ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含み、
前記ゴムは、炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムを含
前記含フッ素低分子化合物は、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、およびハイドロフルオロオレフィン(HFO)からなる群から選択される1種以上である、含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項2】
前記吸着材が、粒子状である、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項3】
前記吸着材の粒子径が、1.0mm未満である、請求項2に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項4】
前記炭化水素系ゴムは、ジエン系ゴムである、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項5】
前記炭化水素系ゴムは、
-CH-C(-X)=CH-CH-:
[式中:
は、水素原子、塩素原子、または炭素数1~6のアルキル基である]
で表される単量体単位を含む、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項6】
前記炭化水素系ゴムは、さらに
-CHCHX-:
[式中:
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、またはフェニル基である。]
で表される単量体単位を含む、請求項5に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項7】
前記シリコーンゴムは、
SiO(4-a)/2
[式中:
Rは、互いに同一または異なってもよい、非置換または置換の、炭素数1~10の一価の炭化水素基であり、
aは1.9~2.1である。]
の平均組成式で表される化合物を含む、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項8】
Rは、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、ビニル基、アリール基、およびこれらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子またはシアノ基で置換された基である、請求項7に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項9】
前記フッ素ゴムは、下記式:
CF=CR
[式中:
は、水素原子、またはフッ素原子であり、
は、水素原子、フッ素原子、フッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルキル基、またはフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコキシ基である。]
で表される含フッ素単量体に由来する単量体単位を含む、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項10】
前記含フッ素低分子化合物は、-150℃から150℃の温度領域において飽和蒸気圧を有し、フッ素原子を1つ以上有する、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項11】
前記含フッ素低分子化合物は、式(1)または(2):
: (1)
[式中、p、q、およびrは、1以上の整数であって、
q+r=2p+2であり、
Yは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
: (2)
[式中、n、m、およびlは、1以上の整数であって、
m+l=2n、n≧2であり、
Zは、それぞれ独立して、ハロゲン原子及び水素原子からなる群より選択される1種の原子を表す。]
で表される少なくとも1種のフルオロカーボンである、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項12】
pは1または2であり、qは2以上である、請求項11に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項13】
Yにおけるハロゲン原子は、塩素原子である、請求項12に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項14】
nは2または3であり、mは2以上である、請求項11に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項15】
Zは、水素原子である、請求項12に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項16】
同じ種類の前記吸着材を用いた場合に、
前記吸着材の分極率と前記含フッ素低分子化合物の分極率との差に基づいて、前記吸着材への含フッ素低分子化合物の吸着量を制御する、請求項1に記載の含フッ素低分子化合物の吸着方法。
【請求項17】
請求項1~15のいずれか1項に記載の方法により含フッ素低分子化合物を吸着すること、及び
前記含フッ素低分子化合物を吸着した前記吸着材を減圧条件下に置き、前記吸着材から、前記含フッ素低分子化合物を脱着させること、
を含
前記含フッ素低分子化合物は、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、およびハイドロフルオロオレフィン(HFO)からなる群から選択される1種以上である、含フッ素低分子化合物の吸脱着方法。
【請求項18】
炭化水素系ゴム、シリコーンゴム、およびフッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種のゴムおよび前記ゴムの硬化物からなる群より選択される少なくとも1種のポリマーを含む吸着材と、
前記吸着材に吸着された含フッ素低分子化合物と、
を含
前記含フッ素低分子化合物は、クロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、およびハイドロフルオロオレフィン(HFO)からなる群から選択される1種以上である、組成物。