(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119596
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】スイッチングトランジスタのドライバ回路、レーザドライバ回路、コンバータのコントローラ回路
(51)【国際特許分類】
H02M 1/08 20060101AFI20240827BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20240827BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H02M1/08 A
H03K17/16 F
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026605
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】司 武人
【テーマコード(参考)】
5H730
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730BB14
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FG01
5H740BA12
5H740BC01
5H740BC02
5H740HH05
5H740JA01
5H740JB01
5H740KK01
5H740MM01
5J055AX25
5J055BX16
5J055DX02
5J055EX07
5J055EY21
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX04
(57)【要約】
【課題】リンギングを抑制する。
【解決手段】ハイサイドライン204と出力ライン202の間には、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2、第3NMOSトランジスタMN3が並列に接続される。出力ライン202とローサイドライン206の間には、第1NMOSトランジスタMN1および第2NMOSトランジスタMN2が並列に接続される。第1PMOSトランジスタMP1および第2NMOSトランジスタMN2のゲートには、VPGATE信号が入力される。第2PMOSトランジスタMP2および第1NMOSトランジスタMN1のゲートには、VNGATE1信号が入力される。第3NMOSトランジスタMN3のゲートには、VNGATE2信号が入力される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GaN-HEMT(高電子移動度トランジスタ)であるスイッチングトランジスタを駆動するドライバ回路であって、
前記スイッチングトランジスタのゲートと接続される出力ラインと、
前記スイッチングトランジスタのソースと接続されるローサイドラインと、
ハイサイドラインと、
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に接続され、ゲートにPゲート信号を受ける第1PMOSトランジスタと、
前記出力ラインと前記ローサイドラインの間に接続され、ゲートに第1Nゲート信号を受ける第1NMOSトランジスタと、
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に接続され、ゲートに前記第1Nゲート信号を受ける第2PMOSトランジスタと、
前記出力ラインと前記ローサイドラインの間に接続され、ゲートに前記Pゲート信号を受ける第2NMOSトランジスタと、
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に接続され、ゲートに第2Nゲート信号を受ける第3NMOSトランジスタと、
前記Pゲート信号、前記第1Nゲート信号および前記第2Nゲート信号を生成する制御回路と、
を備える、ドライバ回路。
【請求項2】
前記スイッチングトランジスタのターンオン動作において、
前記第1Nゲート信号がローに遷移し、続いて前記第2Nゲート信号がハイに遷移し、続いて前記Pゲート信号が、前記第1Nゲート信号および前記第2Nゲート信号の遷移よりも緩やかにローに遷移する、請求項1に記載のドライバ回路。
【請求項3】
前記スイッチングトランジスタのターンオフ動作において、
前記Pゲート信号が緩やかにハイに遷移し、続いて前記第2Nゲート信号がローに遷移するとともに前記第1Nゲート信号が緩やかにハイに遷移する、請求項1または2に記載のドライバ回路。
【請求項4】
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に、前記第3NMOSトランジスタと直列に接続されたレベルシフト素子をさらに備える、請求項1または2に記載のドライバ回路。
【請求項5】
前記レベルシフト素子はダイオードを含む、請求項4に記載のドライバ回路。
【請求項6】
前記レベルシフト素子は、前記第3NMOSトランジスタと同期してスイッチング可能なMOSトランジスタである、請求項4に記載のドライバ回路。
【請求項7】
前記制御回路は、
出力が前記第1PMOSトランジスタのゲートおよび前記第2NMOSトランジスタのゲートと接続され、前記Pゲート信号を出力する第1出力インバータと、
出力が前記第1NMOSトランジスタのゲートおよび前記第2PMOSトランジスタのゲートと接続され、前記第1Nゲート信号を出力する第2出力インバータと、
出力が前記第3NMOSトランジスタのゲートと接続され、前記第2Nゲート信号を出力する第3出力インバータと、
を含み、
前記第2出力インバータのPMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第2出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗よりも大きい、請求項1または2に記載のドライバ回路。
【請求項8】
前記第1出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第2出力インバータの前記NMOSトランジスタのオン抵抗よりも大きい、請求項7に記載のドライバ回路。
【請求項9】
前記第3出力インバータのPMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第2出力インバータの前記PMOSトランジスタのオン抵抗よりも小さく、前記第3出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第1出力インバータの前記NMOSトランジスタのオン抵抗よりも小さい、請求項8に記載のドライバ回路。
【請求項10】
前記スイッチングトランジスタのターンオン動作において、
前記出力ラインの電圧は、第1期間において第1の傾きで上昇し、続く第2期間において前記第1の傾きより大きい第2の傾きで上昇し、続く第3期間において前記第2の傾きより小さい第3の傾きで上昇する、請求項1または2に記載のドライバ回路。
【請求項11】
前記第2期間の長さは、200ps~800psである、請求項10に記載のドライバ回路。
【請求項12】
前記第3期間の長さは、1ns~5nsである、請求項10または11に記載のドライバ回路。
【請求項13】
ひとつの半導体基板に一体集積化される、請求項1または2に記載のドライバ回路。
【請求項14】
請求項1または2に記載のドライバ回路を備える、レーザドライバ回路。
【請求項15】
請求項1または2に記載のドライバ回路を備える、コンバータのコントローラ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングトランジスタのドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パワートランジスタとして、従来のシリコンMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)よりも大電力・高効率・小型化であるSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などの化合物半導体のデバイスの開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライバ回路とHEMTを接続するワイヤーやプリント基板には、寄生インダクタンスが存在する。GaN-HEMTを高速にスイッチングするためにHEMTのゲート電圧を高速に遷移させると、寄生インダクタによって、HEMTのゲートやドライバ回路の電源ラインにリンギングが発生する。
【0005】
GaN-HEMTは、ゲート電圧の最大定格(ゲート耐圧)が6V程度でありSi-FETに比べて低く、ゲート耐圧としきい値電圧の差が小さいため、耐圧保護を図りながら高速駆動することが難しい。
【0006】
本開示はかかる状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、リンギングを抑制したドライバ回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係るドライバ回路は、GaN-HEMT(高電子移動度トランジスタ)であるスイッチングトランジスタを駆動する。ドライバ回路は、スイッチングトランジスタのゲートと接続される出力ラインと、スイッチングトランジスタのソースと接続されるローサイドラインと、ハイサイドラインと、ハイサイドラインと出力ラインの間に接続され、ゲートにPゲート信号を受ける第1PMOSトランジスタと、出力ラインとローサイドラインの間に接続され、ゲートに第1Nゲート信号を受ける第1NMOSトランジスタと、ハイサイドラインと出力ラインの間に接続され、ゲートに第1Nゲート信号を受ける第2PMOSトランジスタと、出力ラインとローサイドラインの間に接続され、ゲートにPゲート信号を受ける第2NMOSトランジスタと、ハイサイドラインと出力ラインの間に接続され、ゲートに第2Nゲート信号を受ける第3NMOSトランジスタと、Pゲート信号、第1Nゲート信号および第2Nゲート信号を生成する制御回路と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素を任意に組み合わせたもの、構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明あるいは本開示の態様として有効である。さらに、この項目(課題を解決するための手段)の記載は、本発明の欠くべからざるすべての特徴を説明するものではなく、したがって、記載されるこれらの特徴のサブコンビネーションも、本発明たり得る。
【発明の効果】
【0009】
本開示のある態様によれば、リンギングを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係るスイッチング回路の回路図である。
【
図11】
図11は、一実施例に係る制御回路を備えるドライバ回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係るドライバ回路は、GaN-HEMT(高電子移動度トランジスタ)であるスイッチングトランジスタを駆動する。ドライバ回路は、スイッチングトランジスタのゲートと接続される出力ラインと、スイッチングトランジスタのソースと接続されるローサイドラインと、ハイサイドラインと、ハイサイドラインと出力ラインの間に接続され、ゲートにPゲート信号を受ける第1PMOSトランジスタと、出力ラインとローサイドラインの間に接続され、ゲートに第1Nゲート信号を受ける第1NMOSトランジスタと、ハイサイドラインと出力ラインの間に接続され、ゲートに第1Nゲート信号を受ける第2PMOSトランジスタと、出力ラインとローサイドラインの間に接続され、ゲートにPゲート信号を受ける第2NMOSトランジスタと、ハイサイドラインと出力ラインの間に接続され、ゲートに第2Nゲート信号を受ける第3NMOSトランジスタと、Pゲート信号、第1Nゲート信号および第2Nゲート信号を生成する制御回路と、を備える。
【0013】
この構成によると、2個のPMOSトランジスタと3個のNMOSトランジスタのターンオン、ターンオフのタイミングを適切に制御することにより、急峻な電流変化に起因する出力電圧のリンギングと、スイッチングトランジスタのゲート容量の充電中における電流経路の遮断に起因する電源電圧のリンギングを抑制できる。
【0014】
一実施形態において、制御回路は、スイッチングトランジスタのターンオン動作において、第1Nゲート信号をローに遷移させ、続いて第2Nゲート信号をハイに遷移させ、続いてPゲート信号を、第1Nゲート信号および第2Nゲート信号の遷移よりも緩やかにローに遷移させてもよい。
【0015】
一実施形態において、制御回路は、スイッチングトランジスタのターンオフ動作において、Pゲート信号を緩やかにハイに遷移させ、続いて第2Nゲート信号をローに遷移させるとともに第1Nゲート信号を緩やかにハイに遷移させてもよい。
【0016】
一実施形態において、ドライバ回路は、ハイサイドラインと出力ラインの間に、第3NMOSトランジスタと直列に接続されたレベルシフト素子をさらに備えてもよい。これにより、第3NMOSトランジスタがオフとなるときの出力ラインの電圧レベルを下げることができ、リンギングをさらに抑制できる。
【0017】
一実施形態において、レベルシフト素子はダイオードを含んでもよい。
【0018】
一実施形態において、レベルシフト素子は、第3NMOSトランジスタと同期してスイッチング可能なMOSトランジスタであってもよい。
【0019】
一実施形態において、制御回路は、出力が第1PMOSトランジスタのゲートおよび第2NMOSトランジスタのゲートと接続され、Pゲート信号を出力する第1出力インバータと、出力が第1NMOSトランジスタのゲートおよび第2PMOSトランジスタのゲートと接続され、第1Nゲート信号を出力する第2出力インバータと、出力が第3NMOSトランジスタのゲートと接続され、第2Nゲート信号を出力する第3出力インバータと、を含んでもよい。第2出力インバータのPMOSトランジスタのオン抵抗は、第2出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗よりも大きくてもよい。これにより、第1Nゲート信号の立ち下がりのスロープを急峻とし、立ち上がりスロープを緩やかにすることができる。
【0020】
一実施形態において、第1出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗は、第2出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗よりも大きくてもよい。これにより、Pゲート信号の立ち下がりを緩やかにできる。
【0021】
一実施形態において、第3出力インバータのPMOSトランジスタのオン抵抗は、第2出力インバータのPMOSトランジスタのオン抵抗よりも小さく、第3出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗は、第1出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗よりも小さくてもよい。これにより、第2Nゲート信号の立ち下がりおよび立ち上がりを急峻にできる。
【0022】
一実施形態において、スイッチングトランジスタのターンオン動作において、出力ラインの電圧は、第1期間において第1の傾きで上昇し、続く第2期間において第1の傾きより大きい第2の傾きで上昇し、続く第3期間において第2の傾きより小さい第3の傾きで上昇してもよい。
【0023】
一実施形態において、第2期間の長さは、200ps~800psであってもよい。
【0024】
一実施形態において、第3期間の長さは、1ns~5nsであってもよい。
【0025】
一実施形態において、ひとつの半導体基板に一体集積化されてもよい。「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
【0026】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0028】
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、それらの電気的な接続状態に実質的な影響を及ぼさない、あるいはそれらの結合により奏される機能や効果を損なわせない、その他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0029】
図1は、実施形態に係るスイッチング回路100の回路図である。スイッチング回路100は、スイッチングトランジスタ102およびドライバ回路200を備える。スイッチングトランジスタ102は、GaN-HEMT(High Electron Mobility Transistor)である。
【0030】
ドライバ回路200は、出力ライン202、ハイサイドライン204、ローサイドライン206、第1PMOSトランジスタMP1、第1NMOSトランジスタMN1、第2PMOSトランジスタMP2、第2PMOSトランジスタMP2、第3NMOSトランジスタMN3、レベルシフト素子210および制御回路220を備える。
【0031】
出力ライン202は、第2端子T2を介してスイッチングトランジスタ102のゲートと接続される。ローサイドライン206は、第3端子T3を介して、スイッチングトランジスタ102のソースと同電位か、またはそれより低い電位と接続される。ハイサイドライン204は、第1端子T1を介して、スイッチングトランジスタ102のソース電位よりも高い電位(Vcc)のラインと接続される。
【0032】
第1PMOSトランジスタMP1は、ハイサイドライン204と出力ライン202の間に接続され、そのゲートにPゲート信号VPGATE(以下、VPGATE信号)を受ける。
【0033】
第1NMOSトランジスタMN1は、出力ライン202とローサイドライン206の間に接続され、ゲートに第1Nゲート信号VNGATE1(以下、VNGATE1信号)を受ける。
【0034】
第2PMOSトランジスタMP2は、ハイサイドライン204と出力ライン202の間に接続され、ゲートにVNGATE1信号を受ける。
【0035】
第2NMOSトランジスタMN2は、出力ライン202とローサイドライン206の間に接続され、ゲートにPゲート信号VPGATEを受ける。
【0036】
第3NMOSトランジスタMN3は、ハイサイドライン204と出力ライン202の間に接続され、ゲートに第2Nゲート信号VNGATE2(以下、VNGATE2信号)を受ける。
【0037】
制御回路220は、入力信号INに応じて、VPGATE信号、VNGATE1信号およびVNGATE2を生成する。各信号の波形については後述する。
【0038】
レベルシフト素子210は、第3NMOSトランジスタMN3のソースと、出力ライン202の間に接続されている。レベルシフト素子210の両端間電圧は、一定レベルΔVに保たれる。本実施形態では、レベルシフト素子210は、ゲート・ソース間と、バックゲート・ドレイン間が結線されたNMOSトランジスタであり、バックゲート・ソース間のボディダイオードが、レベルシフト素子として利用され、ΔV=Vfとなる。Vfはダイオードの順方向電圧である。
【0039】
以上がスイッチング回路100の構成である。
【0040】
続いてその動作を説明する。
【0041】
図2は、
図1のスイッチング回路100の動作波形図である。はじめに、制御回路220が生成する制御信号VPGATE,VNGATE1,VNGATE2について説明する。
【0042】
時刻t0に、入力信号INがローからハイに遷移すると、制御回路220は、VNGATE1信号をハイからローに高速に遷移させる。制御回路220は、入力信号INの遷移から遅延時間τ1経過後の時刻t1に、VNGATE2信号をローからハイに高速に遷移させる。制御回路220は、入力信号INの遷移から遅延時間τ2(τ2>τ1)経過後の時刻t2に、VPGATE信号をハイからローへと緩やかに遷移させる。
【0043】
時刻t3に、入力信号INがハイからローに遷移すると、制御回路220は、VPGATE信号をローからハイへと緩やかに遷移させる。制御回路220は、入力信号INの遷移から遅延時間τ3経過後の時刻t4に、VNGATE1信号をローからハイへと緩やかに遷移させ、VNGATE2信号をハイからローへと緩やかに遷移させる。
【0044】
続いて、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2、第3NMOSトランジスタMN3、第1NMOSトランジスタMN1、第2NMOSトランジスタMN2の状態変化を説明する。
【0045】
Vth(MP1)、Vth(MP2)はPMOSトランジスタのしきい値電圧であり、Vth(MN1)、Vth(MN2)、Vth(MN3)は、NMOSトランジスタのしきい値電圧である。
【0046】
時刻t0より前において、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2、第3NMOSトランジスタMN3がオフであり、第1NMOSトランジスタMN1、第2NMOSトランジスタMN2がオンである。第2端子T2には、ロー(0V)の出力電圧VOUTが発生し、スイッチングトランジスタ102はオフとなる。
【0047】
時刻t0に対応する時刻t10に、VNGATE1信号がハイからローに遷移すると第2PMOSトランジスタMP2がターンオンし、第1NMOSトランジスタMN1がターンオフする。
【0048】
時刻t1に対応する時刻t11に、VNGATE2信号がローからハイに遷移すると、第3NMOSトランジスタMN3がターンオンする。
【0049】
時刻t12に、VPGATE信号が、Vcc-Vth(MP1)より低くなると、第1PMOSトランジスタMP1がターンオンする。
【0050】
出力電圧VOUTが上昇するにしたがって、第3NMOSトランジスタMN3のゲートソース間電圧Vgsが小さくなる。時刻t13にVOUTが、Va=Vcc-Vth(MN3)-ΔVまで上昇すると、第3NMOSトランジスタMN3がターンオフする。Vaは、GaN HEMTのプラトー電圧に定めることが望ましい。
【0051】
時刻t14に、VPGATE信号が、Vth(MN2)より低くなると、第2NMOSトランジスタMN2がターンオフする。
【0052】
時刻t10~t14におけるトランジスタMP1,MP2,MN3,MN1,MN2の状態変化によって、出力電圧VOUTがローからハイへと遷移し、スイッチングトランジスタ102がターンオンする。
【0053】
時刻t16に、VPGATEがしきい値電圧Vth(MN2)を超えると、第2NMOSトランジスタMN2がターンオンする。時刻t4にVNGATE2がハイからローに変化するが、それより前に第3NMOSトランジスタMN3はオフしているため、第3NMOSトランジスタMN3の状態に変化は生じない。
【0054】
時刻t17にVPGATE信号がVcc-Vth(MP1)を超えると、第1PMOSトランジスタMP1がターンオフする。またVNGATE1信号が、Vth(MN1)を超えると、第1NMOSトランジスタMN1がターンオンする。これらは同時である必要はない。
【0055】
時刻t18にVNGATE1信号が、Vcc-Vth(MP2)を超えると、第2PMOSトランジスタMP2がターンオフする。
【0056】
時刻t16~t18におけるトランジスタMP1,MP2,MN3,MN1,MN2の状態変化によって、出力電圧VOUTがハイからローへと遷移し、スイッチングトランジスタ102がターンオフする。
【0057】
このスイッチング回路100では、出力ライン202(第2端子T2)の電圧VOUTは、第1期間t10~t11において第1の傾きで上昇し、続く第2期間t11~t13において第1の傾きより大きい第2の傾きで上昇し、続く第3期間t13~t15において第2の傾きより小さい第3の傾きで上昇する。
【0058】
一例として第2期間の長さは、200ps~800psである。これに対して、第3期間の長さは、スイッチングトランジスタ102のゲート容量に応じて決まるものであり、典型的には1ns~5nsである。
【0059】
スイッチング回路100は、以下の状態を遷移する。
第1状態φ1: 時刻t10より前の期間および時刻t18より後の期間
第2状態φ2: 期間t10~t11
第3状態φ3: 期間t11~t13
第4状態φ4: 期間t13~t16
第5状態φ5: 期間t16~t17
第6状態φ6: 期間t17~t18
【0060】
図3は、第1状態φ1を示す図である。
図3~
図8において、破線は有効な電流経路を表す。第1状態φ1では、第1NMOSトランジスタMN1と第2NMOSトランジスタMN2がオン状態であり、スイッチングトランジスタ102のゲート容量を放電し、ゲート電圧を0Vに固定できる。
【0061】
図4は、第2状態φ2を示す図である。第2状態φ2では、第2PMOSトランジスタMP2と第2NMOSトランジスタMN2がオンである。第2PMOSトランジスタMP2の電流供給能力は低く、また第2NMOSトランジスタMN2が接地への貫通経路を形成しているため、ドライバ回路200の駆動能力は低い。そのためスイッチングトランジスタ102のゲート容量への充電電流の量は少なく、出力電圧V
OUTを緩やかに上昇させることができる。
【0062】
図5は、第3状態φ3を示す図である。第3状態φ3では、電流供給能力の高い第3NMOSトランジスタMN3がオンとなる。第3NMOSトランジスタMN3の電流供給能力は、出力電圧V
OUTの上昇速度がリンギングを発生させない範囲において、なるべく大きく設計される。なお、第3状態φ3では、出力電圧V
OUTが、Va=Vcc-(Vf+Vth
(MN3))まで上昇すると、第3NMOSトランジスタMN3に電流が流れなくなる。
【0063】
図6は、第4状態φ4を示す図である。第4状態φ4では、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2がオンである。この状態では、出力電圧V
OUTをハイ電圧Vccに保つことができる。
【0064】
図7は、第5状態φ5を示す図である。第5状態φ5では、第2PMOSトランジスタMP2と第2NMOSトランジスタMN2に加えて、第2NMOSトランジスタMN2がオンとなる。第2NMOSトランジスタMN2の電流供給能力は低く、また第1PMOSトランジスタMP1および第2PMOSトランジスタMP2が電源ラインからの貫通経路を形成しているため、ドライバ回路200の駆動能力は低い。そのためスイッチングトランジスタ102のゲート容量からの放電電流の量は少なく、出力電圧V
OUTを緩やかに低下させることができる。
【0065】
図8は、第6状態φ6を示す図である。第6状態φ6では、第1NMOSトランジスタMN1が追加でオンとなり、第1PMOSトランジスタMP1がオフとなる。その結果、出力電圧V
OUTは第5状態φ5よりも速い速度で低下させることができる。
【0066】
以上がドライバ回路200の動作である。続いてその効果を説明する。
【0067】
・第1の効果
図9は、第1の課題を説明する図である。
図9には、スイッチングトランジスタ102のターンオン動作中のドライバ回路200Rの等価回路図が示される。ハイサイドトランジスタMHは、第1端子T1と第2端子T2の間に接続されるトランジスタ(またはトランジスタ群)を簡略化して示したものであり、ローサイドトランジスタMLは、第2端子T2と第3端子T3の間に接続されるトランジスタ(またはトランジスタ群)を簡略化して示したものである。
【0068】
スイッチングトランジスタ102をターンオンする際に、ハイサイドトランジスタMHがオンとなり、Lpcb1,Lwire1,MH,Lwire2,Lpcb2の経路で電流が流れ、スイッチングトランジスタ102のゲート容量Cissに駆動電流IOUT(充電電流)が供給される。充電中に、駆動電流IOUTが急峻に変化すると、dIOUT/dtが大きくなるため、ワイヤーの寄生インダクタンスLwireやプリント基板の配線の寄生インダクタンスLpcbに発生する起電力L×dIOUT/dtが大きくなり、それが出力電圧VOUTのリンギングをもたらす(課題1)。
【0069】
この課題1に関して、本実施形態では、スイッチングトランジスタ102をターンオン動作中において、スイッチングトランジスタ102のゲートにソースする駆動電流IOUTを3段階で段階的に変化させている。これにより、駆動電流の変化速度dIOUT/dtが小さくなり、出力電圧VOUTのリンギングを抑制できる。
【0070】
・第2の効果
図10は、第2の課題を説明する図である。
図10の左には、スイッチングトランジスタ102をターンオンするときのドライバ回路200Rが、
図10の右には、スイッチングトランジスタ102をターンオフするときのドライバ回路200Rが示される。
【0071】
図10の左に示す様に、ターンオン動作中は、ハイサイドトランジスタMHがオン、ローサイドトランジスタMLがオフであり、スイッチングトランジスタ102のゲートに充電電流I
OUTが供給される。
【0072】
スイッチングトランジスタ102を、オン時間が非常に短い状態(すなわちデューティサイクルが小さい状態)でスイッチングさせる場合、
図10の充電電流が流れている状態で、ハイサイドトランジスタMHがオフ、ローサイドトランジスタMLがローである放電状態へと遷移する。Lpcb1,Lwire1に流れていた電流I
CHGが遮断されてゼロとなるため、dI
CHG/dtが大きくなり、(Lpcb1+Lwire1)×dI
CHG/dtの逆起電力を発生させる。この逆起電力によって、第1端子T1の電源電圧Vccにリンギングが発生する(課題2)。
【0073】
本実施形態では、スイッチングトランジスタ102のオン時間が短い状況では、第2状態φ2~第4状態φ4のいずれかの状態から、第4状態φ4、第5状態φ5に遷移することとなる。上述のように、第4状態φ4、第5状態φ5では、第1PMOSトランジスタMP1、第2PMOSトランジスタMP2の少なくとも一方がオンであるため、
図10の寄生インダクタンスLpcb1+Lwire1に流れる電流I
CHGは、第1PMOSトランジスタMP1や第2PMOSトランジスタMP2に流れ続けることができる。dI
CHG/dtを小さくすることができ、逆起電力が小さくなるため、電源電圧Vccのリンギングを抑制できる。
【0074】
・第3の効果
第3の効果は、レベルシフト素子210を省略した比較技術との対比によって明確となる。レベルシフト素子210を省略した場合、第3状態φ3における出力電圧VOUTの到達点Va’は、
Va’=Vcc-Vth(MN3)
となる。第3NMOSトランジスタMN3のしきい値電圧Vth(MN3)が小さい場合(たとえば0.8V)、到達点Va’が電源電圧Vccと非常に近くなってしまう。
【0075】
実施形態では、第3NMOSトランジスタMN3と直列にレベルシフト素子210を挿入することで、到達点Vaは、比較技術に比べて、レベルシフト素子210の電圧ΔVだけ低くなる。これにより、第3状態φ3における出力電圧VOUTの上昇速度を速めても、リンギングが発生しにくくなる。
【0076】
図11は、一実施例に係る制御回路220Aを備えるドライバ回路200Aの回路図である。制御回路220Aは、インバータおよびバッファの組み合わせで構成される。
【0077】
入力バッファ232は入力信号INを受ける。インバータ233は、入力バッファ232の出力を反転する。第1出力インバータ222は、インバータ233の出力を反転し、VPGATE信号として出力する。第1出力インバータ222のPMOSトランジスタのオン抵抗とNMOSトランジスタのオン抵抗は、実質的に等しい。これにより、VPGATE信号の上りのスロープと下りのスロープは同程度となる。なお、オン抵抗は、MOSFETのサイズW/L(ゲート幅/ゲート長)をパラメータとして設計される。
【0078】
インバータ234は、入力バッファ232の出力を反転する。第2出力インバータ224は、インバータ234の出力を反転し、VNGATE1信号として出力する。第2出力インバータ224のPMOSトランジスタのオン抵抗は、第1出力インバータ222のPMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタのオン抵抗と実質的に等しい。また第2出力インバータ224のNMOSトランジスタのオン抵抗は、第2出力インバータ224のPMOSトランジスタのオン抵抗よりも低い。これにより、VNGATE1信号は、立ち下がりが急峻となり、また立ち上がりは、VPGATE信号の立ち上がりと同程度の速度となる。
【0079】
インバータ235および236はバッファ237を構成しており、入力バッファ232の出力を遅延する。第3出力インバータ226は、インバータ236の出力を反転し、VNGATE2信号として出力する。第3出力インバータ226のPMOSトランジスタのオン抵抗およびNMOSトランジスタのオン抵抗は、いずれも低く設計されている。これにより、VNGATE2信号は、立ち下がりおよび立ち下がりが急峻となる。また2個のインバータ235,236を含むバッファ237によって他の経路より遅延が大きくなるため、
図2に示す様に、VNGATE2信号の立ち上がりは、入力信号INに対してτ
1、遅れることとなる。
【0080】
その限りでないが、
図10においてRon大と記載されている複数のMOSトランジスタのオン抵抗は実質的に等しくてよく、Ron小と記載されている複数のMOSトランジスタのオン抵抗は実質的に等しくてもよい。
【0081】
図11の制御回路220Aによれば、
図2に示すようなVPGATE信号、VNGATE1信号、VNGATE2信号を生成でき、トランジスタMP1,MP2,MN3およびトランジスタMN1,MN2を制御できる。
【0082】
(用途)
続いてドライバ回路200の用途を説明する。
【0083】
図12は、発光装置400の回路図である。発光装置400は、半導体レーザ402と、半導体レーザ402を駆動するレーザドライバ回路300を備える。レーザドライバ回路300は、GaN HEMTである駆動トランジスタ302と、ゲートドライバ回路310と、を備える。駆動トランジスタ302は上述のスイッチングトランジスタ102に対応しており、ゲートドライバ回路310は、上述のドライバ回路200を備える。
【0084】
ドライバ回路200を利用することにより、リンギングを抑えながら、駆動トランジスタ302を高速にスイッチングすることができるため、半導体レーザ402をnsオーダーのパルス幅でパルス発光させることが可能となる。
【0085】
図13は、DC/DCコンバータ500の回路図である。DC/DCコンバータ500は、昇圧コンバータであり、ローサイドトランジスタ502、インダクタL1、整流素子504、出力キャパシタC1およびコントローラ回路600を備える。ローサイドトランジスタ502は上述のスイッチングトランジスタ102に対応する。
【0086】
コントローラ回路600は、フィードバック回路610およびドライバ回路200を備える。フィードバック回路610は、DC/DCコンバータ500の出力に応じたフィードバック信号VFBがその目標レベルに近づくように、パルス変調信号Spのデューティサイクルあるいは周波数をフィードバック制御する。ドライバ回路200は、パルス変調信号Spを入力信号INとして受け、ローサイドトランジスタ502を駆動する。なお整流素子504は、ダイオードでなく、同期整流トランジスタであってもよい。
【0087】
ドライバ回路200は、昇圧コンバータに限らず、その他のコンバータやインバータを構成するGaN HEMTの駆動に利用できる。
【0088】
(変形例)
上述した実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なことが当業者に理解される。以下、こうした変形例について説明する。
【0089】
(変形例1)
レベルシフト素子210は、ダイオードに限定されず、第3NMOSトランジスタMN3と同期してスイッチング可能なMOSトランジスタであってもよい。
【0090】
(変形例2)
図2の波形図では、第1PMOSトランジスタMP1がターンオンするタイミングt
12が、出力電圧V
OUTが電圧Vaに到達する時刻t
13よりも前であるが、本開示はそれに限定されない。出力電圧V
OUTが変化する速度は、第2端子T2に接続されるゲート容量Cissによって決まるため、ゲート容量Cissが小さい場合には、t
12とt
13のタイミングは入れ替わる。
【0091】
(変形例3)
図11の制御回路220Aの構成は例示であり、当業者によれば、さまざまな変形例が本開示に含まれることが理解される。たとえば
図11では、インバータのPMOSトランジスタとNMOSトランジスタのオン抵抗を異ならしめることにより、VPGATE信号およびVNGATE信号のスロープを設計したが、本開示はそれに限定されない。たとえば、PMOSトランジスタと直列に抵抗を挿入することで立ち上がりのスロープを調節してもよいし、NMOSトランジスタと直列に抵抗を挿入することで立ち下がりのスロープを調節してもよい。
【0092】
実施の形態にもとづき、具体的な用語を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【0093】
(付記)
本明細書には以下の技術が開示される。
【0094】
(項目1)
GaN-HEMT(高電子移動度トランジスタ)であるスイッチングトランジスタを駆動するドライバ回路であって、
前記スイッチングトランジスタのゲートと接続される出力ラインと、
前記スイッチングトランジスタのソースと接続されるローサイドラインと、
ハイサイドラインと、
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に接続され、ゲートにPゲート信号を受ける第1PMOSトランジスタと、
前記出力ラインと前記ローサイドラインの間に接続され、ゲートに第1Nゲート信号を受ける第1NMOSトランジスタと、
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に接続され、ゲートに前記第1Nゲート信号を受ける第2PMOSトランジスタと、
前記出力ラインと前記ローサイドラインの間に接続され、ゲートに前記Pゲート信号を受ける第2NMOSトランジスタと、
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に接続され、ゲートに第2Nゲート信号を受ける第3NMOSトランジスタと、
前記Pゲート信号、前記第1Nゲート信号および前記第2Nゲート信号を生成する制御回路と、
を備える、ドライバ回路。
【0095】
(項目2)
前記スイッチングトランジスタのターンオン動作において、
前記第1Nゲート信号がローに遷移し、続いて前記第2Nゲート信号がハイに遷移し、続いて前記Pゲート信号が、前記第1Nゲート信号および前記第2Nゲート信号の遷移よりも緩やかにローに遷移する、項目1に記載のドライバ回路。
【0096】
(項目3)
前記スイッチングトランジスタのターンオフ動作において、
前記Pゲート信号が緩やかにハイに遷移し、続いて前記第2Nゲート信号がローに遷移するとともに前記第1Nゲート信号が緩やかにハイに遷移する、項目1または2に記載のドライバ回路。
【0097】
(項目4)
前記ハイサイドラインと前記出力ラインの間に、前記第3NMOSトランジスタと直列に接続されたレベルシフト素子をさらに備える、項目1から3のいずれかに記載のドライバ回路。
【0098】
(項目5)
前記レベルシフト素子はダイオードを含む、項目4に記載のドライバ回路。
【0099】
(項目6)
前記レベルシフト素子は、前記第3NMOSトランジスタと同期してスイッチング可能なMOSトランジスタである、項目4に記載のドライバ回路。
【0100】
(項目7)
前記制御回路は、
出力が前記第1PMOSトランジスタのゲートおよび前記第2NMOSトランジスタのゲートと接続され、前記Pゲート信号を出力する第1出力インバータと、
出力が前記第1NMOSトランジスタのゲートおよび前記第2PMOSトランジスタのゲートと接続され、前記第1Nゲート信号を出力する第2出力インバータと、
出力が前記第3NMOSトランジスタのゲートと接続され、前記第2Nゲート信号を出力する第3出力インバータと、
を含み、
前記第2出力インバータのPMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第2出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗よりも大きい、項目1から6のいずれかに記載のドライバ回路。
【0101】
(項目8)
前記第1出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第2出力インバータの前記NMOSトランジスタのオン抵抗よりも大きい、項目7に記載のドライバ回路。
【0102】
(項目9)
前記第3出力インバータのPMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第2出力インバータの前記PMOSトランジスタのオン抵抗よりも小さく、前記第3出力インバータのNMOSトランジスタのオン抵抗は、前記第1出力インバータの前記NMOSトランジスタのオン抵抗よりも小さい、項目8に記載のドライバ回路。
【0103】
(項目10)
前記スイッチングトランジスタのターンオン動作において、
前記出力ラインの電圧は、第1期間において第1の傾きで上昇し、続く第2期間において前記第1の傾きより大きい第2の傾きで上昇し、続く第3期間において前記第2の傾きより小さい第3の傾きで上昇する、項目1から9のいずれかに記載のドライバ回路。
【0104】
(項目11)
前記第2期間の長さは、200ps~800psである、項目10に記載のドライバ回路。
【0105】
(項目12)
前記第3期間の長さは、1ns~5nsである、項目10または11に記載のドライバ回路。
【0106】
(項目13)
ひとつの半導体基板に一体集積化される、項目1から12のいずれかに記載のドライバ回路。
【0107】
(項目14)
項目1から13のいずれかに記載のドライバ回路を備える、レーザドライバ回路。
【0108】
(項目15)
項目1から13のいずれかに記載のドライバ回路を備える、コンバータのコントローラ回路。
【符号の説明】
【0109】
100 スイッチング回路
102 スイッチングトランジスタ
200 ドライバ回路
202 出力ライン
204 ハイサイドライン
206 ローサイドライン
MN1 第1NMOSトランジスタ
MN2 第2NMOSトランジスタ
MN3 第3NMOSトランジスタ
MP1 第1PMOSトランジスタ
MP2 第2PMOSトランジスタ
210 レベルシフト素子
220 制御回路
222 第1出力インバータ
224 第2出力インバータ
226 第3出力インバータ
T1 第1端子
T2 第2端子
T3 第3端子