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特開2024-119598デジタルフィルタおよびΔΣ型A/Dコンバータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119598
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】デジタルフィルタおよびΔΣ型A/Dコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H03M 3/02 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H03M3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026607
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100133215
【弁理士】
【氏名又は名称】真家 大樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 謹司
【テーマコード(参考)】
5J064
【Fターム(参考)】
5J064AA03
5J064BA03
5J064BA06
5J064BC06
5J064BC07
5J064BC08
5J064BC10
5J064BC12
5J064BC15
5J064BC16
5J064BC25
(57)【要約】
【課題】より速くデジタル信号をフィルタリングできるデジタルフィルタを実現するための技術を提供する。
【解決手段】デジタルフィルタ20は、デジタル信号Sinをフィルタリングし、デジタルの出力信号Doutを生成する。デジタルフィルタ20は、複数の第1遅延器を含むFIRフィルタを有する、デジタル信号Sinをフィルタリングする第1フィルタ200と、デジタル信号Sinおよび第1フィルタ200がデジタル信号Sinをフィルタリングして得た信号のいずれかの信号を選択する選択部30と、第1遅延器より多い複数の第2遅延器を含む少なくとも1つのFIRフィルタを有し、選択部30によって選択された信号に基づいてデジタルの出力信号を生成する第2フィルタ220と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル信号をフィルタリングし、デジタルの出力信号を生成するデジタルフィルタであって、
複数の第1遅延器を含むFIRフィルタを有する、前記デジタル信号をフィルタリングする第1フィルタと、
前記デジタル信号および前記第1フィルタが前記デジタル信号をフィルタリングして得た信号のいずれかの信号を選択する選択部と、
前記第1遅延器より多い複数の第2遅延器を含む少なくとも1つのFIRフィルタを有し、前記選択部によって選択された信号に基づいて前記デジタルの出力信号を生成する第2フィルタと、を備える、
デジタルフィルタ。
【請求項2】
前記第2遅延器のそれぞれは、前記選択部によって選択された信号が入力されるように配置される、
請求項1に記載のデジタルフィルタ。
【請求項3】
前記第2フィルタは、複数段のFIRフィルタを有し、
前記第1フィルタは、前記第2フィルタが有する1段目のFIRフィルタを構成する、
請求項1に記載のデジタルフィルタ。
【請求項4】
アナログ信号をオーバーサンプリングし、前記デジタル信号を生成するΔΣ変調器と、
請求項1に記載のデジタルフィルタと、を備える、
ΔΣ型A/Dコンバータ。
【請求項5】
前記アナログ信号を切り替える切り替え部をさらに備え、
前記選択部は、前記アナログ信号の切り替わりに際して、前記第1フィルタが前記デジタル信号をフィルタリングして得た信号を選択する、
請求項4に記載のΔΣ型A/Dコンバータ。
【請求項6】
前記デジタルフィルタは、前記切り替え部によって前記アナログ信号が切り替えられてから所定時間が経過したことに応じて、前記デジタル信号のフィルタリングを開始する、
請求項5に記載のΔΣ型A/Dコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、デジタルフィルタおよびΔΣ型A/Dコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ信号処理などにおいて、ΔΣ変調を利用したA/Dコンバータ(以下、「ΔΣ型A/Dコンバータ」ともいう。)が広く利用されている(特許文献1,2を参照)。ΔΣ型A/Dコンバータは、アナログの入力信号をオーバーサンプリングし、オーバーサンプリングした結果をデジタルフィルタで平滑化してデジタルの出力信号を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-171035号公報
【特許文献2】特開2017-208667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ΔΣ型A/Dコンバータに入力されるアナログの入力信号が切り替わる場合、デジタルフィルタの反応速度が遅いと、アナログの入力信号が切り替わる際に、適切にアナログの入力信号をA/D変換することが難しくなる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、より速くデジタル信号をフィルタリングできるデジタルフィルタを実現するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様のデジタルフィルタは、デジタル信号をフィルタリングし、デジタルの出力信号を生成するデジタルフィルタである。デジタルフィルタは、複数の第1遅延器を含むFIRフィルタを有する、デジタル信号をフィルタリングする第1フィルタと、デジタル信号および第1フィルタがデジタル信号をフィルタリングして得た信号のいずれかの信号を選択する選択部と、第1遅延器より多い複数の第2遅延器を含む少なくとも1つのFIRフィルタを有し、選択部によって選択された信号に基づいてデジタルの出力信号を生成する第2フィルタと、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、ΔΣ型A/Dコンバータである。ΔΣ型A/Dコンバータは、アナログ信号をオーバーサンプリングし、デジタル信号を生成するΔΣ変調器と、上記デジタルフィルタと、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、より速くデジタル信号をフィルタリングできるデジタルフィルタを実現するための技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係るΔΣ型A/Dコンバータを示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係るアナログ部のブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係るデジタルフィルタのブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係るΔΣ型A/Dコンバータの動作の一例を説明するための図である。
図5図5は、比較技術に係るデジタルフィルタのブロック図である。
図6図6は、比較技術に係るデジタルフィルタの動作の一例を説明するための図である。
図7図7は、第1実施形態に係るデジタルフィルタおよび比較技術に係るデジタルフィルタ40の動作の一例を説明するための図である。
図8図8は、第2実施形態に係るデジタルフィルタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(概要)
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を説明する。この概要は、後述する詳細な説明の前置きとして、実施形態の基本的な理解を目的として、1つまたは複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化して説明するものであり、発明あるいは開示の広さを限定するものではない。この概要は、考えられるすべての実施形態の包括的な概要ではなく、すべての実施形態の重要な要素を特定することも、一部またはすべての態様の範囲を線引きすることも意図していない。便宜上、「一実施形態」は、本明細書に開示するひとつの実施形態(実施例や変形例)または複数の実施形態(実施例や変形例)を指すものとして用いる場合がある。
【0012】
一実施形態に係るデジタルフィルタは、デジタル信号をフィルタリングし、デジタルの出力信号を生成する。デジタルフィルタは、複数の第1遅延器を含むFIRフィルタを有する、デジタル信号をフィルタリングする第1フィルタと、デジタル信号および第1フィルタがデジタル信号をフィルタリングして得た信号のいずれかの信号を選択する選択部と、第1遅延器より多い複数の第2遅延器を含む少なくとも1つのFIRフィルタを有し、選択部によって選択された信号に基づいてデジタルの出力信号を生成する第2フィルタと、を備える。
【0013】
この構成によれば、より速くデジタル信号をフィルタリングすることが可能となる。
【0014】
一実施形態において、第2遅延器のそれぞれは、選択部によって選択された信号が入力されるように配置されてよい。
【0015】
一実施形態において、第2フィルタは、複数段のFIRフィルタを有してよい。第1フィルタは、第2フィルタが有する1段目のFIRフィルタを構成してよい。
【0016】
一実施形態に係るΔΣ型A/Dコンバータは、アナログ信号をオーバーサンプリングし、デジタル信号を生成するΔΣ変調器と、上記デジタルフィルタと、を備える。
【0017】
一実施形態において、ΔΣ型A/Dコンバータは、アナログ信号を切り替える切り替え部をさらに備えてよい。選択部は、アナログ信号の切り替わりに際して、第1フィルタがデジタル信号をフィルタリングして得た信号を選択してよい。
【0018】
一実施形態において、デジタルフィルタは、切り替え部によってアナログ信号が切り替えられてから所定時間が経過したことに応じて、デジタル信号のフィルタリングを開始してよい。
【0019】
(実施形態)
以下、好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施形態は、開示および発明を限定するものではなく例示であって、実施形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも開示および発明の本質的なものであるとは限らない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るΔΣ型A/Dコンバータ1を示すブロック図である。ΔΣ型A/Dコンバータ1は、m個(m:2以上の整数)のアナログ信号Ain1~Ainmから1つのアナログ信号を選択し、選択したアナログ信号Ainをデジタルの出力信号Doutに変換する。ΔΣ型A/Dコンバータ1は、主として、マルチプレクサ10(切り替え部)、アナログ部11(「ΔΣ変調器」ともいう。)、デジタルフィルタ20および制御部30を備える。
【0021】
マルチプレクサ10は、アナログ部11にアナログ信号Ainを入力するものであり、そのアナログ信号Ain切り替えるように構成される。具体的には、マルチプレクサ10は、制御部30からの信号Schに基づいて、m個のアナログ信号Ain1~Ainmから1つのアナログ信号を選択し、選択したアナログ信号Ainをアナログ部11に入力する。アナログ部11は、アナログ信号Ainをオーバーサンプリングし、デジタル信号Sinを生成する。本実施形態に係るアナログ部11の構成は、図2を参照して後述する。
【0022】
デジタルフィルタ20は、アナログ部11が生成したデジタル信号Sinをフィルタリング(平滑化)し、デジタルの出力信号Doutを生成する。本実施形態に係るデジタルフィルタ20の構成は、図3を参照して後述する。
【0023】
制御部30は、マルチプレクサ10およびデジタルフィルタ20の動作を制御するために、各種の信号を伝送する。たとえば、制御部30は、マルチプレクサ10が選択するアナログ信号を指定するための信号Schをマルチプレクサ10に伝送してよい。また、制御部30は、デジタルフィルタ20の動作を指示するための信号Sconをデジタルフィルタ20に伝送してよい。信号Sconは、たとえば、デジタルフィルタ20がフィルタリングを開始するタイミングを指示する信号、およびデジタルフィルタ20がフィルタリングに用いる信号を指示する信号を含んでよい。制御部30は、必要に応じて、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を有してよい。
【0024】
図2は、第1実施形態に係るアナログ部11のブロック図である。本実施形態に係るアナログ部11は、積分回路12、量子化器14およびD/Aコンバータ16を備える。アナログ部11の各構成要素は、図示しない回路によって生成されるクロック信号に基づいて動作してよい。
【0025】
D/Aコンバータ16は、アナログ部11が生成するデジタル信号Sinをアナログの帰還信号Sfbに変換する。
【0026】
積分回路12は、アナログ信号Ainに応じた信号と帰還信号Sfbに応じた信号との差分に応じた信号を積分する。積分回路12は、直列に接続された複数の積分器(具体的には、1段目の積分器121、2段目の積分器122、3段目の積分器123)、係数回路COa1~COa3,COb4および加算器ADD4を有する。なお、積分回路12の回路構成は、図2に示す構成に限定されるものではなく、当業者には各種の変形例が存在することが理解される。たとえば、本実施形態に係る積分回路12の次数が3次である例を説明するが、積分回路12の次数は、2次であってよいし、4次以上であってよい。
【0027】
1段目の積分器121は、入力信号Ainに応じた信号Ain’と、帰還信号Sfbに応じた信号Sfb’の差分に応じた信号Sad1を生成する。1段目の積分器121は、係数回路COb1,COc1、加算器ADD1および遅延器DE1を有する。係数回路COb1は、入力信号Ainに係数b1を乗じ、信号Ain’(=b1×Sin)を生成する。係数回路COc1は、帰還信号Sfbに係数-c1を乗じ、信号Sfb’(=-c1×Sfb)を生成する。加算器ADD1は、信号Ain’、信号Sfb’および1段目の積分器121の出力信号Sde1を加算して、
Sad1=b1×Sin-c1×Sfb+Sde1
で表される信号Sad1を生成する。遅延器DE1は、加算器ADD1が生成した信号Sa1を遅延させ、出力信号Sde1を生成する。
【0028】
2段目の積分器122は、係数回路COb2,COc2,COg1、加算器ADD2および遅延器DE2を有する。係数回路COb2は、入力信号Ainに係数b2を乗じた信号(=b2×Ain)を生成する。係数回路COc2は、1段目の積分器121の出力信号Sde1に係数c2を乗じた信号(=c2×Sde1)を生成する。係数回路g1は、3段目の積分器123の出力信号Sde3に係数-g1を乗じた信号(=-g1×Sde3)を生成する。加算器ADD2は、係数回路COb2,COc2,COg1が生成した信号および2段目の積分器122の出力信号Sde2を加算して、
Sad2=b2×Ain+c2×Sde1+Sde2-g1×Sde3
で表される信号Sad2を生成する。遅延器DE2は、Sad2を遅延させた出力信号Sde2を生成する。
【0029】
3段目の積分器123は、係数回路COb3,COc3、加算器ADD3および遅延器DE3を有する。係数回路COb3は、入力信号Ainに係数b3を乗じた信号(=b3×Ain)を生成する。係数回路COc3は、2段目の積分器122の出力信号Sde2に係数c3を乗じた信号(=c3×Sde2)を生成する。加算器ADD3は、係数回路COb3,COc3が生成した信号および3段目の積分器123の出力信号Sde3を加算して、
Sad3=b3×Ain+c3×Sde2+Sde3
で表される信号Sad3を生成する。遅延器DE3は、信号Sad3を遅延させた出力信号Sde3を生成する。
【0030】
係数回路COb4は、入力信号Ainに係数b4を乗じた信号(=b4×Ain)を生成する。係数回路COa1は、1段目の積分器121の出力信号Sde1に係数a1を乗じた信号(=a1×Sde1)を生成する。係数回路COa2は、2段目の積分器122の出力信号Sde2に係数a2を乗じた信号(=a2×Sde2)を生成する。係数回路COa3は、3段目の積分器123の出力信号Sde3に係数a3を乗じた信号(=a3×Sde3)を生成する。加算器ADD4は、係数回路COa1~COa3,COb4が生成した信号を加算して、
Sad4=b4×Ain+a1×Sde1+a2×Sde2+a3×Sde3
で表される出力信号Sad4を生成し、この出力信号Sad4を積分回路12の出力信号として量子化器14に入力する。
【0031】
量子化器14は、積分回路12の出力信号Sad4を量子化し、デジタル信号Sinを生成する。
【0032】
図3は、第1実施形態に係るデジタルフィルタ20のブロック図である。デジタルフィルタ20は、デジタル信号Sinをフィルタリングし、デジタルの出力信号Doutを生成する。デジタルフィルタ20は、主として第1フィルタ200および第2フィルタ220を備える。デジタルフィルタ20の各構成要素は、図示しない回路によって生成されるクロック信号に基づいて動作してよい。
【0033】
第1フィルタ200(「高速応答用フィルタ」ともいう。)は、デジタル信号Sinをフィルタリングし、信号S1を生成する。本実施形態に係る第1フィルタ200は、4次のFIR(Finite Impulse Response)フィルタとして機能し、より具体的には、4つの遅延器D1~D4、係数回路Cf1~Cf5および加算器A1~A4を有する。なお、第1フィルタ200の構成は、図3に示される構成に限定されるものではなく、たとえば、第1フィルタ200は、2次、3次または5次以上のFIRフィルタであってよい。
【0034】
遅延器D1~D4のそれぞれは、デジタル信号Sinまたは前段の遅延器から入力される信号を遅延させ、信号Sd1~Sd4のそれぞれを生成する。たとえば、遅延器D1は、デジタル信号Sinを遅延させ、信号Sd1を生成する。遅延器D2は、信号Sd1を遅延させ、信号Sd2を生成する。遅延器D3は、信号Sd2を遅延させ、信号Sd3を生成する。遅延器D4は、信号Sd3を遅延させ、信号Sd4を生成する。なお、本実施形態では、第1フィルタ200が有する遅延器の数が4つである例を説明するが、遅延器の数は、2つ、3つまたは5つ以上であってよい。係数回路および加算器の数および配置は、遅延器の数に応じて適宜調整されてよい。
【0035】
係数回路Cf1~Cf5はそれぞれ、入力される信号に係数f1~f5のそれぞれを乗じる。係数回路Cf1は、デジタル信号Sinに係数f1を乗じる。係数回路Cf2は、信号Sd1に係数f2を乗じる。係数回路Cf3は、信号Sd2に係数f3を乗じる。係数回路Cf4は、信号Sd3に係数f4を乗じる。係数回路Cf5は、信号Sd4に係数f5を乗じる。
【0036】
加算器A1~A4はそれぞれ、入力される複数の信号を加算する。加算器A1は、係数回路Cf1が生成した信号(=f1×Sin)および係数回路Cf2が生成した信号(=f2×Sd1)を加算して、Sa1=f1×Sin+f2×Sd1で表される信号Sa1を生成する。加算器A2は、加算器A1が生成した信号Sa1および係数回路Cf3が生成した信号(=f3×Sd2)を加算して、Sa2=Sa1+f3×Sd2で表される信号Sa2を生成する。加算器A3は、加算器A2が生成した信号Sa2および係数回路Cf4が生成した信号(=f4×Sd3)を加算して、Sa3=Sa2+f4×Sd3で表される信号Sa3を生成する。加算器A4は、加算器A3が生成した信号Sa3および係数回路Cf5が生成した信号(=f5×Sd4)を加算して、S1=Sa3+f5×Sd4で表される信号S1を、第1フィルタ200の出力信号として生成する。
【0037】
制御部30は、選択部としての機能を有し、デジタル信号Sinおよび第1フィルタ200がデジタル信号Sinをフィルタリングして得た信号S1のいずれかの信号を選択し、その選択結果に応じた信号Siniを第2フィルタ220に伝送する。
【0038】
第2フィルタ220は、信号Siniに基づき、制御部30によって選択された信号に基づく出力信号Doutを生成する。本実施形態に係る第2フィルタ220は、第1フィルタ200が含む遅延器D1~D4より多い数の遅延器を有する、複数段のフィルタを備える。本実施形態に係る第2フィルタ220は、1段目のフィルタ222、2段目のフィルタ224および3段目のフィルタ226を有する。
【0039】
1段目のフィルタ222は、y’次(y’:2以上の整数)のFIRフィルタとしての機能を有し、信号S1およびデジタル信号Sinのいずれかの信号に基づく信号S2を生成する。本実施形態に係るフィルタ222は、y’個のセレクタM11~M1y’、y’個の遅延器D11~D1y’、y個(y=y’+1)の係数回路Ca11~Ca1yおよびy’個の加算器A11~A1y’を有する。
【0040】
セレクタM11~M1y’はそれぞれ、2入力のセレクタであり、制御部30からの信号Siniに基づいて、第1入力または第2入力の一方に入力された信号を出力する。セレクタM11~M1y’の第1入力には、信号S1が入力され、セレクタM11~M1y’の第2入力には、デジタル信号Sinまたは信号Sinに基づいてフィルタ222内で生成された信号が入力される。出力された信号Ss11~Ss1y’のそれぞれは、遅延器D11~D1y’のそれぞれに入力される。
【0041】
たとえば、セレクタM11は、信号S1およびデジタル信号Sinが入力され、これらの一方の信号Ss11を遅延器D11に入力する。また、セレクタM12は、信号S1および遅延器D11が生成するSd11が入力され、これらの一方の信号Ss12を遅延器D12に入力する。さらに、セレクタM1y’は、信号S1および前段の遅延器が生成した信号Sd1y’’が入力され、これらの一方の信号Ss1y’を遅延器D1y’に入力する。
【0042】
遅延器D11~D1y’はそれぞれ、セレクタM11~M1y’のそれぞれによって選択された信号が入力されるように配置される。遅延器D11~D1y’はそれぞれ、入力される信号S11~Ss1y’のそれぞれを遅延させ、信号Sd11~Sd1y’のそれぞれを生成する。たとえば、遅延器D11は、入力される信号Ss11を遅延させ、信号Sd11を生成する。また、遅延器D12は、入力される信号Ss12を遅延させ、信号Sd12を生成する。さらに、遅延器D1y’は、入力される信号Ss1y’を遅延させ、信号Sd1y’を生成する。
【0043】
係数回路Ca11~Ca1yはそれぞれ、入力される信号に係数a11~a1yのそれぞれを乗じる。たとえば、係数回路Ca11は、デジタル信号Sinに係数a11を乗じる。また、係数回路Ca12は、信号Sd11に係数a12を乗じる。さらに、係数回路Ca1yは、信号Sd1y’に係数a1yを乗じる。
【0044】
加算器A11~A1y’はそれぞれ、入力される複数の信号を加算する。たとえば、加算器A11は、係数回路Ca11が生成した信号(=a11×Sin)および係数回路Ca12が生成した信号(=a12×Sd11)を加算して、Sa11=a11×Sin+a12×Sd11で表される信号Sa11を生成する。また、加算器A12は、加算器A11が生成した信号Sa11および係数回路Ca13が生成した信号(=a13×Sd12)を加算して、Sa12=Sa11+a13×Sd12で表される信号Sa12を生成する。さらに、加算器A1y’は、その前段の加算器が生成した信号Sa1y’’および係数回路Ca1yが生成した信号(=a1y×Sd1y’)を加算して、Sa1y’=Sa1y’’+a1y×Sd1y’で表される信号S2を、1段目のフィルタ222の出力信号として生成する。
【0045】
2段目のフィルタ224は、3次のFIRフィルタとしての機能を有し、1段目のフィルタ222が生成した信号S2または第1フィルタ200が生成した信号S1に基づき信号S3を生成する。2段目のフィルタ224は、セレクタM21~M24、ダウンサンプリング器DS1、遅延器D21~D23、係数回路Cb11~Cb14および加算器A21~A23を有する。
【0046】
セレクタM21~M24はそれぞれ、2入力のセレクタであり、第1入力または第2入力の一方に入力された信号を出力する。セレクタM21~M24の第1入力には、信号S1が入力され、セレクタM21~M24の第2入力には、信号S2または信号S2に基づいてフィルタ224内で生成された信号が入力される。セレクタM21~M24は、制御部30からの信号Siniに基づいて、第1入力の信号および第2入力の信号の一方の信号Ss21~Ss24をダウンサンプリング器DS1または遅延器D21~D23に入力する。
【0047】
たとえば、セレクタM21は、信号S1および信号S2が入力され、これらの一方の信号Ss21をダウンサンプリング器DS1に入力する。また、セレクタM22は、信号S1およびダウンサンプリング器DS1が生成するSds1が入力され、これらの一方の信号Ss22を遅延器D21に入力する。また、セレクタM23は、信号S1および遅延器D21が生成する信号Sd21が入力され、これらの一方の信号Ss23を遅延器D22に入力する。さらに、セレクタM24は、信号S1および遅延器D22が生成した信号Sd22が入力され、これらの一方の信号Ss24を遅延器D23に入力する。
【0048】
ダウンサンプリング器DS1は、入力される信号Ss21をダウンサンプリングして、信号Sds1を生成する。遅延器D21は、信号Ss22を遅延させ、信号Sd21を生成する。また、遅延器D22は、信号Ss23を遅延させ、信号Sd22を生成する。さらに、遅延器D23は、信号Ss24を遅延させ、信号Sd23を生成する。
【0049】
係数回路Cb11は、信号Sds1に係数b11を乗じる。係数回路Cb12は、信号Sd21に係数b12を乗じる。係数回路Cb13は、信号Sd22に係数b13を乗じる。係数回路Cb14は、信号Sd23に係数b14を乗じる。
【0050】
加算器A21~A23はそれぞれ、入力される複数の信号を加算する。たとえば、加算器A21は、係数回路Cb11が生成した信号(=b11×Sds1)および係数回路Cb12が生成した信号(=b12×Sd21)を加算して、Sa21=b11×Sds1+b12×Sd21で表される信号Sa21を生成する。また、加算器A22は、加算器A21が生成した信号Sa21および係数回路Cb13が生成した信号(=b13×Sd22)を加算して、Sa22=Sa21+b13×Sd22で表される信号Sa22を生成する。さらに、加算器A23は、加算器A22が生成した信号Sa22および係数回路Cb14が生成した信号(=b14×Sa23)を加算して、S3=Sa22+b14×Sa23で表される信号S3を、2段目のフィルタ224の出力信号として生成する。
【0051】
3段目のフィルタ226は、3次のFIRフィルタとしての機能を有し、第1フィルタ200が生成した信号S1および2段目のフィルタ224が生成した信号S3の一方の信号に基づき、デジタルフィルタ20の出力信号として信号Doutを生成する。3段目のフィルタ226は、セレクタM31~M34、ダウンサンプリング器DS2、遅延器D31~D33、係数回路Cc11~Cc14および加算器A31~A33を有する。
【0052】
セレクタM31~M34はそれぞれ、2入力のセレクタであり、第1入力または第2入力の一方に入力された信号を出力する。セレクタM31~M34の第1入力には、信号S1が入力され、セレクタM31~M34の第2入力には、信号S3または信号S3に基づいてフィルタ226内で生成された信号が入力される。セレクタM31~M34は、第1入力の信号および第2入力の信号の一方の信号Ss31~Ss34を、制御部30からの信号Siniに基づいて、ダウンサンプリング器DS2または遅延器D31~D33に入力する。
【0053】
たとえば、セレクタM31は、信号S1および信号S3が入力され、これらの一方の信号Ss31をダウンサンプリング器DS2に入力する。また、セレクタM32は、信号S1およびダウンサンプリング器DS2が生成するSds2が入力され、これらの一方の信号Ss32を遅延器D31に入力する。また、セレクタM33は、信号S1および遅延器D31が生成する信号Sd31が入力され、これらの一方の信号Ss33を遅延器D32に入力する。さらに、セレクタM34は、信号S1および遅延器D32が生成した信号Sd32が入力され、これらの一方の信号Ss34を遅延器D33に入力する。
【0054】
ダウンサンプリング器DS2は、入力される信号Ss31をダウンサンプリングして、信号Sds2を生成する。遅延器D31は、信号Ss32を遅延させ、信号Sd31を生成する。また、遅延器D32は、信号Ss33を遅延させ、信号Sd32を生成する。さらに、遅延器D33は、信号Ss34を遅延させ、信号Sd33を生成する。
【0055】
係数回路Cc11は、信号Sds2に係数c11を乗じる。係数回路Cc12は、信号Sd31に係数c12を乗じる。係数回路Cc13は、信号Sd32に係数c13を乗じる。係数回路Cc14は、信号Sd33に係数c14を乗じる。
【0056】
本実施形態に係るデジタルフィルタ20は、制御部30からの信号Siniに応じたフィルタリングを行う。具体的には、デジタルフィルタ20は、信号Siniに応じて、各遅延器の第1入力および第2入力のいずれかが選択され、選択された入力への信号のフィルタリングを行う。
【0057】
第2入力が選択される場合、第2フィルタ220は、全ての遅延器D11~D1y’,D21~D23,D31~D33を通じてデジタル信号Sinをフィルタリングするように動作する。具体的には、第2フィルタ220の1段目のフィルタ222は、デジタル信号Sinに対応する信号Ss11が遅延器D11に入力され、デジタル信号Sinに基づく信号Sd11を生成する。以降、遅延器D12~Dd1y’によって順次信号が遅延し、y’回遅延した信号を含む信号S2が生成される。2段目のフィルタ224では、信号S2に基づいて、遅延器D21~D23を通じて、さらに3回遅延した信号S3が生成される。3段目のフィルタ226では、信号S3に基づいて、遅延器D31~D33を通じて、さらに3回遅延した信号Doutが生成される。このように、第2入力が選択される場合、第2フィルタ220は、1段目~3段目のフィルタ222,224,226のすべての遅延器を通じて、出力信号Doutを生成する。
【0058】
第1入力が選択される場合、第2フィルタ220は、第1フィルタ200が生成した信号S1に基づき出力信号Doutを生成する。具体的には、第2フィルタ220の各遅延器D11~D1y’,D21~D23,D31~D33に、第1フィルタ200が生成した信号S1が入力されるように、各セレクタSs11~SsM1y’,Ss21~Ss24,Ss31~Ss34は信号を選択する。この場合、第2フィルタ220の最終段のセレクタSs34は、第1フィルタ200によって信号S1が生成されると、その信号S1に対応する信号Ss34を最終段の遅延器D33に入力できる。これにより、第2入力が選択される場合と異なり、第2フィルタ220の最終段の加算器A33は、最終段の遅延器D33より前段の遅延器D11~D1y’,D21~D23,D31~D32の出力を待たなくとも、出力信号Doutを生成できる。この出力信号Doutは、第1フィルタ200において遅延器D1~D4によって4回遅延し、最終段の遅延器D33によって1回遅延し、合計5回遅延した信号を含む。
【0059】
このように、出力信号Doutは、第1入力が選択される場合には、5個の遅延器によって遅延した信号を含み、第2入力が選択される場合には、(y’+6)個の遅延器によって遅延した信号を含む。このため、第1入力が選択される場合には、第2入力が選択される場合よりも遅延が少なくなり、その結果、第2入力が選択される場合よりも早く出力信号Doutを生成できる。この場合、第2入力が選択される場合よりも最初に生成される出力信号Doutの精度は下がるものの、一定の精度を有する出力信号Doutをより早く生成できる。また、第1入力が選択された場合であっても、最初に出力信号Doutが生成された後において、最終段の遅延器D33よりも前段の遅延器D11~D1y’,D21~D23,D31~D32の処理を受けた信号が順次出力信号Doutに加わり、時間の経過に応じて、より精度の良い出力信号Doutが生成される。
【0060】
図4は、第1実施形態に係るΔΣ型A/Dコンバータ1の動作の一例を説明するための図である。図4には、アナログ部11に入力されるアナログ信号Ain、アナログ部11がデジタルフィルタ20に入力するデジタル信号Sin、およびデジタルフィルタ20が生成するデジタルの出力信号Doutを示す。図4において、横軸はクロック信号のサイクル数を示し、縦軸は各信号の値を示す。
【0061】
図4に示す例では、タイミングt1においてアナログ信号Ainが切り替わり、切り替わった後のアナログ信号Ainがタイミングt2において収束する。このアナログ信号Ainの切り替わりに応じて、その値は、0から0.37に変化する。このとき、デジタルフィルタ20は、タイミングt1から待ち時間Twが経過したタイミングt2においてフィルタリングを開始するように、制御部30によって制御されてよい。このとき、制御部30は、第1フィルタ200が生成した信号S1を選択し、その信号S1に基づく出力信号Doutが生成されるように、信号Siniを第2フィルタ220に伝送する。これにより、第1フィルタ200が生成した信号S1に基づき出力信号Soutが生成される。
【0062】
高精度のA/Dコンバータを実現するために、ΔΣ型A/Dコンバータが使用される。ΔΣ型A/Dコンバータのデジタルフィルタは、アナログ部が得たオーバーサンプリングの結果における高周波領域を減衰させるが、高精度な変換のためにデジタルフィルタにおける処理に時間がかかると、アナログ信号の入力に対する反応速度が遅くなる。特に、複数のチャネルを通じてアナログ信号の切り替えられる場合、デジタルフィルタの反応速度が遅いと、想定外の入力があった場合などにおいて、適切な対応を行うことが難しくなる。
【0063】
本実施形態に係るデジタルフィルタ20によれば、予め次数の少ない(遅延の少ない)第1フィルタ200でデジタル信号Sinをフィルタリングして信号S1を生成し、第2フィルタ220は、その信号S1に基づき、デジタルの出力信号Doutを生成できる。このとき、第2フィルタ220の最終段の遅延器D33に、他の遅延器D11~D1y’,D21~D23,D31~D32を介さずに、第1フィルタ200が生成した信号S1を入力できる。このため、デジタルフィルタ20は、アナログ信号Ainの入力に対して、より速くデジタル信号Sinをフィルタリングできる。
【0064】
また、本実施形態では、制御部30は、アナログ信号Ainの切り替わりに際して、第1フィルタ200がデジタル信号Sinをフィルタリングして得た信号S1を選択する。このため、アナログ信号Ainが切り替わる場合であっても、デジタルフィルタ20は、信号S1に基づき、より速くデジタル信号Sinをフィルタリングできる。
【0065】
また、本実施形態では、デジタルフィルタ20は、アナログ信号Ainが切り替えられてから所定時間(Tw)が経過したことに応じて、デジタル信号Sinのフィルタリングを開始する。これにより、アナログ信号Ainが収束するまでに時間がかかる場合に、適切にデジタル信号Sinをフィルタリングすることが可能となる。
【0066】
(比較技術)
図5は、比較技術に係るデジタルフィルタ40のブロック図である。比較技術に係るデジタルフィルタ40は、第1フィルタ400、第2フィルタ402、第3フィルタ404、第4フィルタ406および第5フィルタ408を備える。デジタルフィルタ40の各構成要素は、図示しない回路によって生成されるクロック信号に基づいて動作してよい。
【0067】
第1フィルタ400は、9次のFIRフィルタとしての機能を有し、デジタル信号Sinをフィルタリングして、信号S11を生成する。第1フィルタ400は、遅延器D41~D49、係数回路Ca21~Ca30および加算器A41~A49を有する。
【0068】
遅延器D41は、デジタル信号Sinを遅延させ、信号Sd41を生成する。遅延器D42~D48は、入力される信号Sd41~Sd47を順次遅延させ、信号Sd42~Sd48を生成する。最終段の遅延器D49は、遅延器D41~D48を通じて8回遅延した信号Sd48をさらに遅延させ、信号Sd49を生成する。
【0069】
係数回路Ca21は、デジタル信号Sinに係数a21を乗じる。係数回路Ca22~Ca30のそれぞれは、信号Sd41~Sd49のそれぞれに係数a22~a30のそれぞれを乗じる。加算器A41~A49のそれぞれは、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A49は、
S11=a21×Sin+a22×Sd41+a23×Sd42+a24×Sd43+a25×Sd44+a26×Sd45+a27×Sd46+a28×Sd47+a29×Sd48+a30×Sd49
で表される信号S11を生成する。
【0070】
第2フィルタ402は、3次のFIRフィルタとしての機能を有し、第1フィルタ400が生成した信号S11をフィルタリングして、信号S12を生成する。第2フィルタ402は、ダウンサンプリング器DS11、遅延器D50~D52、係数回路Cb21~Cb24および加算器A50~A52を有する。
【0071】
ダウンサンプリング器DS11は、信号S11をダウンサンプリングして、信号Sds11を生成する。遅延器D50は、信号Sds11を遅延させて信号Sd50を生成し、遅延器D51は、信号Sd50を遅延させて信号Sd51を生成し、遅延器D52は、信号Sd51を遅延させて信号Sd52を生成する。
【0072】
係数回路Cb21は、信号Sds11に係数b21を乗じ、係数回路Cb22は、信号Sd50に係数b22を乗じ、係数回路Cb23は、信号Sd51に係数b23を乗じ、係数回路Cb24は、信号Sd52に係数b24を乗じる。加算器A50~A52のそれぞれは、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A52は、
S12=b21×Sds11+b22×Sd50+b23×Sd51+b24×Sd52
で表される信号S12を生成する。
【0073】
第3フィルタ404は、3次のFIRフィルタとしての機能を有し、第2フィルタ402が生成した信号S12をフィルタリングして、信号S13を生成する。第3フィルタ404は、ダウンサンプリング器DS12、遅延器D53~D55、係数回路Cc21~Cc24および加算器A53~A55を有する。
【0074】
ダウンサンプリング器DS12は、信号S12をダウンサンプリングして、信号Sds12を生成する。遅延器D53は、信号Sds12を遅延させて信号Sd53を生成し、遅延器D54は、信号Sd53を遅延させて信号Sd54を生成し、遅延器D55は、信号Sd54を遅延させて信号Sd55を生成する。
【0075】
係数回路Cc21は、信号Sds12に係数c21を乗じ、係数回路Cc22は、信号Sd53に係数c22を乗じ、係数回路Cc23は、信号Sd54に係数c23を乗じ、係数回路Cc24は、信号Sd55に係数c24を乗じる。加算器A53~A55のそれぞれは、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A55は、
S13=c21×Sds12+c22×Sd53+c23×Sd54+c24×Sd55
で表される信号S13を生成する。
【0076】
第4フィルタ406は、6次のFIRフィルタとしての機能を有し、第3フィルタ404が生成した信号S13をフィルタリングして、信号S14を生成する。第4フィルタ406は、ダウンサンプリング器DS13、遅延器D56~D61、係数回路Cd1~Cd7および加算器A56~A61を有する。
【0077】
ダウンサンプリング器DS13は、信号S13をダウンサンプリングして、信号Sds13を生成する。遅延器D56は、信号Sds13を遅延させ、信号Sd56を生成する。遅延器D57~D60は、入力される信号Sd56~Sd59を順次遅延させ、信号Sd57~Sd60を生成する。最終段の遅延器D61は、遅延器D56~D60を通じて5回遅延した信号Sd60をさらに遅延させ、信号Sd61を生成する。
【0078】
係数回路Cd1は、信号Sds13に係数d1を乗じる。係数回路Cd2~Cd7のそれぞれは、信号Sd56~Sd61のそれぞれに係数d2~d7のそれぞれを乗じる。加算器A56~A61のそれぞれは、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A61は、
S14=d1×Sds13+d2×Sd56+d3×Sd57+d4×Sd58+d5×Sd59+d6×Sd60+d7×Sd61
で表される信号S14を生成する。
【0079】
第5フィルタ408は、6次のFIRフィルタとしての機能を有し、第4フィルタ406が生成した信号S14をフィルタリングして、信号S15を生成する。第5フィルタ408は、ダウンサンプリング器DS14,DS15、遅延器D62~D67、係数回路Ce1~Ce7および加算器A62~A67を有する。
【0080】
ダウンサンプリング器DS14は、信号S14をダウンサンプリングして、信号Sds14を生成する。遅延器D62は、信号Sds14を遅延させ、信号Sd62を生成する。遅延器D63~D66は、入力される信号Sd62~Sd65を順次遅延させ、信号Sd63~Sd66を生成する。最終段の遅延器D67は、遅延器D62~D66を通じて5回遅延した信号Sd66をさらに遅延させ、信号Sd67を生成する。
【0081】
係数回路Ce1は、信号Sds14に係数e1を乗じる。係数回路Ce2~Ce7のそれぞれは、信号Sd62~Sd67のそれぞれに係数e2~e7のそれぞれを乗じる。加算器A62~A67のそれぞれは、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A67は、
S15=e1×Sds14+e2×Sd62+e3×Sd63+e4×Sd64+e5×Sd65+e6×Sd66+e7×Sd67
で表される信号S15を生成する。ダウンサンプリング器DS15は、信号S15をダウンサンプリングして、デジタルフィルタ40の出力信号Dout1を生成する。
【0082】
図6は、比較技術に係るデジタルフィルタ40の動作の一例を説明するための図である。図6には、アナログ信号Ainと、アナログ部11の出力と、比較技術に係るデジタルフィルタ40が生成するデジタルの出力信号Dout1とを示す。図6では、横軸をクロック信号は、クロック信号のサイクル数を示し、縦軸は各信号の値を示す。
【0083】
図6に示すように、タイミングt11において、アナログ信号Ainが切り替わり、その値は、0から0.37に変化する。アナログ部11は、この切り替わりにすぐに応答してデジタル信号Dinを生成できる。比較技術に係るデジタルフィルタ40は、タイミングt12においてアナログ信号の切り替わりに応じたデジタルの出力信号Dout1をする。しかしながら、その値は0.17と切り替わり後のアナログ信号Ainの値から離れている。その後、タイミングt13において、切り替わり後のアナログ信号Ainの値を有するデジタルの出力信号Dout1が生成される。
【0084】
比較技術に係るデジタルフィルタ40では、すべての遅延器D41~D67によって遅延した信号に基づきデジタルの出力信号Dout1が生成される。このため、デジタルフィルタ40は、アナログ信号の切り替わりに対してすぐに応答できない。
【0085】
(シミュレーション)
図7は、第1実施形態に係るデジタルフィルタ20および比較技術に係るデジタルフィルタ40の動作の一例を説明するための図である。図7には、アナログ部11に入力されるアナログ信号Ain、比較技術に係るデジタルフィルタ40が生成するデジタルの出力信号Dout1、実施例1に係るデジタルフィルタが生成するデジタルの出力信号、および実施例2に係るデジタルフィルタが生成するデジタルの出力信号を示す。実施例1に係るデジタルフィルタは、第1実施形態に係るデジタルフィルタ20について、第1フィルタ200を8次のFIRフィルタとしたデジタルフィルタである。実施例2に係るデジタルフィルタは、第1実施形態に係るデジタルフィルタ20である。
【0086】
図7に示すように、アナログ信号は、タイミングt21において切り替わり、その値は、0から0.37となる。その後、比較技術に係るデジタルフィルタ、実施例1に係るデジタルフィルタおよび実施例2に係るデジタルフィルタは、切り替わった後のアナログ信号に基づき生成されるデジタル信号をフィルタリングする。
【0087】
実施例1に係るデジタルフィルタは、タイミングt22においてデジタルの出力信号を出力する。その出力信号の値は、0.4であり、その後、徐々に切り替わった後のアナログ信号の値に近づく。実施例1に係るデジタルフィルタに次いで、実施例2に係るデジタルフィルタは、タイミングt23において、切り替わり後のアナログ信号の値と同じ値をもつデジタルの出力信号を出力する。
【0088】
比較技術に係るデジタルフィルタは、タイミングt24において最初にデジタルの出力信号を出力するが、その値は、切り替わった後のアナログ信号の値とは大きくずれている。その後、タイミングt25において、比較技術に係るデジタルフィルタが出力するデジタルの出力信号の値は、切り替わった後のアナログ信号の値となる。
【0089】
このように、アナログ信号の切り替わりに際して、実施例1,2に係るデジタルフィルタは、比較技術に係るデジタルフィルタよりも早くデジタルの出力信号を生成できる。また、実施例2では、実施例1よりも出力のタイミングが遅くなるものの、実施例1よりも精度の高い値を有するデジタルの出力信号を生成できる。補助フィルタの次数を選択することにより、デジタルフィルタの出力の早さおよび出力信号の精度を調整できる。デジタルフィルタが用いられるシステムの要求に応じて、補助フィルタの次数は、最適な値が選択されてよい。
【0090】
(第2実施形態)
第2実施形態では、デジタルフィルタの構成が、第1実施形態に係るデジタルフィルタ20と異なる。なお、第2実施形態に係るマルチプレクサ、アナログ部および制御部は、第1実施形態に係るマルチプレクサ10、アナログ部11および制御部30と実質的に同一の構成を有してよい。
【0091】
図8は、第2実施形態に係るデジタルフィルタ50(第2フィルタ)のブロック図である。第2実施形態に係るデジタルフィルタ50は、デジタル信号Sinをフィルタリングして、デジタルの出力信号Dout2を生成する。第2実施形態に係るデジタルフィルタ50は、3段のフィルタを有し、具体的には、1段目のフィルタ500、2段目のフィルタ520および3段目のフィルタ540を備える。デジタルフィルタ50の各構成要素は、図示しない回路によって生成されるクロック信号に基づいて動作してよい。なお、本実施形態では、デジタルフィルタ50が3段のフィルタで構成される例を説明するが、デジタルフィルタ50は2段のフィルタで構成されてよいし、4段以上のフィルタで構成されてよい。
【0092】
1段目のフィルタ500(第1フィルタ)は、9次のFIRフィルタとしての機能を有し、デジタル信号Sinをフィルタリングして、信号S21を生成する。フィルタ500は、遅延器D71~D79、係数回路Ca41~Ca50および加算器A71~A79を有する。
【0093】
遅延器D71は、デジタル信号Sinを遅延させ、信号Sd71を生成する。遅延器D72~D78は、入力される信号Sd71~Sd77を順次遅延させ、信号Sd72~Sd78を生成する。最終段の遅延器D79は、遅延器D71~D78を通じて8回遅延した信号Sd78をさらに遅延させ、信号Sd79を生成する。
【0094】
係数回路Ca41は、デジタル信号Sinに係数a41を乗じる。係数回路Ca42~Ca50のそれぞれは、信号Sd71~Sd79のそれぞれに係数a42~a50のそれぞれを乗じる。加算器A71~A79のそれぞれは、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A79は、
S21=a41×Sin+a42×Sd71+a43×Sd72+a44×Sd73+a45×Sd74+a46×Sd75+a47×Sd76+a48×Sd77+a49×Sd78+a50×Sd79
で表される信号S21を生成する。
【0095】
第2実施形態に係る制御部32は、デジタル信号Sinおよび1段目のフィルタ500がデジタル信号Sinをフィルタリングして生成した信号S21のいずれかの信号を選択する。制御部32は、選択した信号に基づくデジタルの出力信号Dout2が生成されるように、信号Sini1を2段目のフィルタ520および3段目のフィルタ540に伝送する。
【0096】
2段目のフィルタ520は、3次のFIRフィルタとしての機能を有し、1段目のフィルタ500が生成した信号S21に基づく信号S22を生成する。2段目のフィルタ520は、セレクタM41~M43、ダウンサンプリング器DS31、遅延器D80~D82、係数回路Cb31~Cb34および加算器A80~A82を有する。
【0097】
セレクタM41~M43はそれぞれ、2入力のセレクタであり、第1入力または第2入力の一方に入力された信号を出力する。セレクタM41~M43の第1入力には、信号S21が入力され、セレクタM41~M43の第2入力には、信号S21に基づいてフィルタ520内で生成された信号が入力される。セレクタM41~M43は、制御部32からの信号Sini1に基づいて、第1入力の信号および第2入力の信号の一方の信号Ss41~Ss43を遅延器D80~D82に入力する。
【0098】
たとえば、セレクタM41は、信号S21およびダウンサンプリング器DS21が生成するSds21が入力され、これらの一方の信号Ss41を遅延器D80に入力する。また、セレクタM42は、信号S21および遅延器D80が生成する信号Sd80が入力され、これらの一方の信号Ss42を遅延器D81に入力する。さらに、セレクタM43は、信号S21および遅延器D81が生成した信号Sd81が入力され、これらの一方の信号Ss43を遅延器D82に入力する。
【0099】
ダウンサンプリング器DS21は、入力される信号S21をダウンサンプリングして、信号Sds21を生成する。遅延器D80は、信号Ss41を遅延させ、信号Sd80を生成する。また、遅延器D81は、信号Ss42を遅延させ、信号Sd81を生成する。さらに、遅延器D82は、信号Ss43を遅延させ、信号Sd82を生成する。
【0100】
係数回路Cb31は、信号Sds21に係数b31を乗じ、係数回路Cb32は、信号Sd80に係数b32を乗じ、係数回路Cb33は、信号Sd81に係数b33を乗じ、係数回路Cb34は、信号Sd82に係数b34を乗じる。加算器A80~A82は、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A82は、係数回路Cb31~Cb34が生成した信号を加算して、
S22=b31×Sds21+b32×Sd80+b33×Sd81+b34×Sd82
で表される信号S22を生成する。
【0101】
3段目のフィルタ540は、3次のFIRフィルタとしての機能を有し、1段目のフィルタ500が生成した信号S21または2段目のフィルタ520が生成した信号S22に基づき、デジタルフィルタ50の出力信号Dout2を生成する。3段目のフィルタ540は、セレクタM51~M54、ダウンサンプリング器DS22、遅延器D83~D85、係数回路Cc31~Cc34および加算器A83~A85を有する。
【0102】
セレクタM51~M54は、それぞれ、2入力のセレクタであり、第1入力または第2入力の一方に入力された信号の一方の信号を出力する。セレクタM51~M54の第1入力には、信号S21が入力され、セレクタM51~M54の第2入力には、信号S22または信号S22に基づいてフィルタ540内で生成された信号が入力される。セレクタM51~M54は、制御部30からの信号Sini1に基づいて、第1入力の信号および第2入力の信号から1つの信号を選択し、選択した信号Ss51~Ss54をダウンサンプリング器DS22または遅延器D83~D85に入力する。
【0103】
たとえば、セレクタM51は、信号S21および1段目のフィルタ520が生成した信号S22が入力され、これらの一方の信号Ss51をダウンサンプリング器DS22に入力する。セレクタM52は、信号S21およびダウンサンプリング器DS22が生成した信号Sds22が入力され、これらの一方の信号Ss52を遅延器D83に入力する。セレクタM53は、信号S21および遅延器D83が生成した信号Sd83が入力され、これらの一方の信号Ss53を遅延器D84に入力する。セレクタM54は、信号S21および遅延器D84が生成した信号Sd84が入力され、これらの一方の信号Ss54を遅延器D85に入力する。
【0104】
ダウンサンプリング器DS22は、入力される信号Ss51をダウンサンプリングして、信号Sds22を生成する。遅延器D83は、信号Ss52を遅延させ、信号Sd83を生成する。また、遅延器D84は、信号Ss53を遅延させ、信号Sd84を生成する。さらに、遅延器D85は、信号Ss54を遅延させ、信号Sd85を生成する。
【0105】
係数回路Cc31は、信号Sds22に係数c31を乗じ、係数回路Cc32は、信号Sd83に係数c32を乗じ、係数回路Cc33は、信号Sd84に係数c33を乗じ、係数回路Cc34は、信号Sd85に係数c34を乗じる。加算器A83~A85は、入力される複数の信号を加算する。最終段の加算器A85は、係数回路Cc31~Cc34が生成した信号を加算して、
Dout2=c31×Sds22+c32×Sd83+c33×Sd84+c34×Sd85
で表される出力信号Dout2を生成する。
【0106】
第2実施形態に係るデジタルフィルタ50は、制御部32からの信号Sini1に応じたフィルタリングを行う。具体的には、デジタルフィルタ50は、信号Sini1に応じて、各遅延器の第1入力および第2入力のいずれかが選択され、選択された入力への信号のフィルタリングを行う。
【0107】
第2入力が選択される場合、デジタルフィルタ50は、全ての遅延器D71~D85を通じてデジタル信号Sinをフィルタリングし、デジタルの出力信号Dout2を生成する。一方、第1入力が選択される場合、1段目のフィルタ500が信号S21を生成すると、3段目のフィルタ540が有する最終段の遅延器D85には、その信号S21に対応する信号Ss54が入力される。3段目のフィルタ540は、遅延器D85が生成する信号Sd85に応じて、デジタルの出力信号Dout2を生成する。このように、第2入力が選択される場合、デジタルフィルタ50の一部の遅延器による遅延を省略してデジタルの出力信号Dout2できる。このため、第2入力が選択される場合、第1入力が選択される場合よりも、速くデジタル信号Sinをフィルタリングすることが可能となる。
【0108】
第2実施形態に係るデジタルフィルタ50は、複数段のフィルタで構成され、1段目のフィルタ500は、高速応答用フィルタとして機能する。このため、第2実施形態に係るデジタルフィルタ50によれば、第1実施形態と比べて、より少ないハードウェア構成でデジタルフィルタ50を構成することが可能となる。
【0109】
(補足)
本開示に係る実施形態について、具体的な用語を用いて説明したが、この説明は、理解を助けるための例示に過ぎず、本開示あるいは請求の範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定されるものである。また、実施形態のみでなく、ここでは説明しない実施形態、実施例、変形例も、本発明の範囲に含まれる。
【0110】
(付記)
本明細書に開示される技術は、一側面において以下のように把握できる。
【0111】
(項目1)
デジタル信号をフィルタリングし、デジタルの出力信号を生成するデジタルフィルタであって、
複数の第1遅延器を含むFIRフィルタを有する、前記デジタル信号をフィルタリングする第1フィルタと、
前記デジタル信号および前記第1フィルタが前記デジタル信号をフィルタリングして得た信号のいずれかの信号を選択する選択部と、
前記第1遅延器より多い複数の第2遅延器を含む少なくとも1つのFIRフィルタを有し、前記選択部によって選択された信号に基づいて前記デジタルの出力信号を生成する第2フィルタと、を備える、
デジタルフィルタ。
【0112】
(項目2)
前記第2遅延器のそれぞれは、前記選択部によって選択された信号が入力されるように配置される、
項目1に記載のデジタルフィルタ。
【0113】
(項目3)
前記第2フィルタは、複数段のFIRフィルタを有し、
前記第1フィルタは、前記第2フィルタが有する1段目のFIRフィルタを構成する、
項目1または2に記載のデジタルフィルタ。
【0114】
(項目4)
アナログ信号をオーバーサンプリングし、前記デジタル信号を生成するΔΣ変調器と、
項目1~3のいずれか一項に記載のデジタルフィルタと、を備える、
ΔΣ型A/Dコンバータ。
【0115】
(項目5)
前記アナログ信号を切り替える切り替え部をさらに備え、
前記選択部は、前記アナログ信号の切り替わりに際して、前記第1フィルタが前記デジタル信号をフィルタリングして得た信号を選択する、
項目4に記載のΔΣ型A/Dコンバータ。
【0116】
(項目6)
前記デジタルフィルタは、前記切り替え部によって前記アナログ信号が切り替えられてから所定時間が経過したことに応じて、前記デジタル信号のフィルタリングを開始する、
項目5に記載のΔΣ型A/Dコンバータ。
【符号の説明】
【0117】
1 ΔΣ型A/Dコンバータ、10 マルチプレクサ、11 アナログ部、20,50 デジタルフィルタ、200 第1フィルタ、220 第2フィルタ、222,500 1段目のフィルタ、224,520 2段目のフィルタ、226,540 3段目のフィルタ、D1~D4,D11~D1y’,D21~D23,D31~D33,D71~D85 遅延器、30 制御部。
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