IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-導体接続構造 図1
  • 特開-導体接続構造 図2
  • 特開-導体接続構造 図3
  • 特開-導体接続構造 図4
  • 特開-導体接続構造 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119601
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】導体接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 31/00 20060101AFI20240827BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H01R31/00 A
H01R13/11 E
H01R13/11 302P
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026615
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】豊島 拡平
(57)【要約】
【課題】クリップ状端子を介して第1導体と第2導体とが導通する導体接続構造において、接触抵抗を低減させる。
【解決手段】導体接続構造1は、互いに間隔をあけて配置された板状の第1導体4及び第2導体5と、クリップ状端子2とを備えている。クリップ状端子2は、基部20と、第1弾性片21と、第2弾性片22とを備えている。第1導体4は、平坦面40から突出した第1凸部41及び第2凸部42を備えている。導体接続構造1は、第1導体4及び第2導体5が第1弾性片21と第2弾性片22との間に挟まれることでクリップ状端子2を介して第1導体4と第2導体5とが導通する。また、第1弾性片21の屈曲部21aよりも基部20側の部分が第1凸部41に接触し、屈曲部21aよりも先端21b側の部分が第2凸部42に接触し、第2弾性片22の屈曲部22aが第2導体5の平坦面50に接触する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をあけて配置された板状の第1導体及び第2導体と、クリップ状端子と、を備え、
前記クリップ状端子は、金属板で構成されており、基部と、前記基部の一端から曲げ起こされた第1弾性片と、前記基部の他端から曲げ起こされ、前記第1弾性片と対向した第2弾性片と、を備え、
前記第1弾性片及び前記第2弾性片は、自然状態において前記基部側から先端側に向かうにしたがって互いに近付く方向に延びており、その先端側部分に互いに離れる方向に曲がった屈曲部が形成されており、
前記第1導体及び前記第2導体が前記第1弾性片と前記第2弾性片との間に挟まれることで、前記クリップ状端子を介して前記第1導体と前記第2導体とが導通し、
前記第1導体は、前記第2導体と反対側の平坦面から突出した第1凸部及び第2凸部を備え、
前記第1弾性片の前記屈曲部よりも前記基部側の部分が前記第1凸部に接触し、前記第1弾性片の前記屈曲部よりも先端側の部分が前記第2凸部に接触し、前記第2弾性片の前記屈曲部が前記第2導体に接触する
ことを特徴とする導体接続構造。
【請求項2】
前記第2凸部の前記平坦面からの突出長が、前記第1凸部の前記平坦面からの突出長よりも大きく形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の導体接続構造。
【請求項3】
前記第1凸部は、前記平坦面から最も離れた頂部と、前記平坦面と前記頂部とを結んだ第1傾斜面と、前記第1傾斜面よりも前記第2凸部寄りに位置し、前記平坦面と前記頂部とを結んだ第2傾斜面と、を備え、
前記第2傾斜面の傾斜角度が、前記第1傾斜面の傾斜角度よりも急に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の導体接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ状端子を用いた導体接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリップ状端子を用いた導体接続構造の一例として、図4,5に示すものが公知である(特許文献1を参照)。
【0003】
図4,5に示す導体接続構造501は、電気自動車の電源回路に適用されるものであり、互いに間隔をあけて配置された板状の第1導体504及び第2導体505と、クリップ状端子502と、を備えている。第1導体504は、バッテリ側に接続された電線511の端末に接続されている。第2導体505は、負荷側に接続された電線512の端末に接続されている。
【0004】
クリップ状端子502は、金属板で構成されており、基部520と、基部520の一端から曲げ起こされた第1弾性片521と、基部520の他端から曲げ起こされた第2弾性片522と、を備えている。また、クリップ状端子502は、第1弾性片521及び第2弾性片522を複数対備えている。
【0005】
第1弾性片521及び第2弾性片522は、自然状態において基部520側から先端側に向かうにしたがって互いに近付く方向に延びており、その先端側部分に互いに離れる方向に曲がった屈曲部521a,522aが形成されている。
【0006】
第1導体504及び第2導体505は、第1弾性片521と第2弾性片522との間に挟まれることで、クリップ状端子502を介して導通する。この際、第1弾性片521の屈曲部521aが第1導体504に弾性接触し、第2弾性片522の屈曲部522aが第2導体505に弾性接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-220129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した導体接続構造501においては、接触抵抗を低減させることが要望されており、改善の余地があった。
【0009】
そこで、本発明は、クリップ状端子を介して第1導体と第2導体とが導通する導体接続構造において、接触抵抗を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、互いに間隔をあけて配置された板状の第1導体及び第2導体と、クリップ状端子と、を備え、前記クリップ状端子は、金属板で構成されており、基部と、前記基部の一端から曲げ起こされた第1弾性片と、前記基部の他端から曲げ起こされ、前記第1弾性片と対向した第2弾性片と、を備え、前記第1弾性片及び前記第2弾性片は、自然状態において前記基部側から先端側に向かうにしたがって互いに近付く方向に延びており、その先端側部分に互いに離れる方向に曲がった屈曲部が形成されており、前記第1導体及び前記第2導体が前記第1弾性片と前記第2弾性片との間に挟まれることで、前記クリップ状端子を介して前記第1導体と前記第2導体とが導通し、前記第1導体は、前記第2導体と反対側の平坦面から突出した第1凸部及び第2凸部を備え、前記第1弾性片の前記屈曲部よりも前記基部側の部分が前記第1凸部に接触し、前記第1弾性片の前記屈曲部よりも先端側の部分が前記第2凸部に接触し、前記第2弾性片の前記屈曲部が前記第2導体に接触することを特徴とする導体接続構造である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、クリップ状端子と第1導体間の接触抵抗を低減させることができ、通電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態にかかる導体接続構造を示す斜視図である。
図2図1の導体接続構造の正面図である。
図3図1のクリップ状端子のみを示す斜視図である。
図4】従来の導体接続構造を示す斜視図である。
図5図4の導体接続構造の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態にかかる「導体接続構造」について、図1~3を参照して説明する。
【0014】
図1,2に示す導体接続構造1は、電気自動車の電源回路に適用されるものであり、板状の第1導体4及び第2導体5と、クリップ状端子2と、を備えている。第1導体4は、バッテリ側に接続されている。第2導体5は、負荷側に接続されている。また、第1導体4及び第2導体5は、不図示の樹脂部に保持されており、互いに間隔をあけて平行に配置された状態が維持されている。
【0015】
クリップ状端子2は、金属板で構成されており、図3に示すように、平板状の基部20と、基部20の一端から曲げ起こされた第1弾性片21と、基部20の他端から曲げ起こされ、第1弾性片21と対向した第2弾性片22と、を備えている。また、クリップ状端子2は、第1弾性片21及び第2弾性片22を二対備えている。二つの第1弾性片21は、基部20の一端に間隔をあけて並んでいる。同様に、二つの第2弾性片22は、基部20の他端に間隔をあけて並んでいる。
【0016】
第1弾性片21及び第2弾性片22は、細長い帯状に形成されている。対を成す第1弾性片21及び第2弾性片22は、自然状態において基部20側から先端21b,22b側に向かうにしたがって互いに近付く方向に延びており、その先端21b,22b側部分に互いに離れる方向に曲がった屈曲部21a,22aが形成されている。
【0017】
第1導体4及び第2導体5は、第1弾性片21と第2弾性片22との間に挟まれることで、クリップ状端子2を介して導通する。第1導体4及び第2導体5は、第1弾性片21と第2弾性片22との間に挟まれる際、先端21b,22b側から基部20側に向かって第1弾性片21と第2弾性片22との間に挿入されることで挟まれる。また、第1導体4及び第2導体5は、第1弾性片21と第2弾性片22との間から抜去される際、基部20側から先端21b,22b側に向かって移動されて抜去される。なお、実際に挿入・抜去される際は、第1導体4及び第2導体5は移動されず、クリップ状端子2が移動される。
【0018】
第1導体4は、第2導体5と反対側の平坦面40から突出した第1凸部41及び第2凸部42を備えている。第1凸部41及び第2凸部42は、第1導体4及び第2導体5とクリップ状端子2との挿抜方向に間隔をあけて並んでいる。第1凸部41は、第2凸部42よりも挿抜方向のクリップ状端子2寄りに位置している。
【0019】
第1凸部41及び第2凸部42は、図2に示すように、側方からみて山形状に形成されている。
【0020】
第1凸部41は、平坦面40から最も離れた頂部41aと、平坦面40と頂部41aとを結んだ第1傾斜面41bと、第1傾斜面41bよりも第2凸部42寄りに位置し、平坦面40と頂部41aとを結んだ第2傾斜面41cと、を備えている。第2傾斜面41cの傾斜角度は、第1傾斜面41bの傾斜角度よりも急に形成されている。
【0021】
第2凸部42の平坦面40から頂部42aまでの突出長は、第1凸部41の平坦面40から頂部41aまでの突出長よりも大きく形成されている。
【0022】
第1導体4及び第2導体5が第1弾性片21と第2弾性片22との間に挿入される際、第1弾性片21の屈曲部21aが第1凸部41を乗り越え、乗り越えた後第2凸部42に突き当たって図1,2に示すように位置決めがされる。この位置決めがされた状態において、第1弾性片21の屈曲部21aよりも基部20側の部分が第1凸部41に弾性接触しており、第1弾性片21の屈曲部21aよりも先端21b側の部分が第2凸部42に弾性接触している。また、第2弾性片22の屈曲部22aが第2導体5の第1導体4と反対側の平坦面50に弾性接触している。
【0023】
このように、導体接続構造1においては、クリップ状端子2の各第1弾性片21が第1導体4に2点接触し、各第2弾性片22が第2導体5に1点接触する。図4,5に示した従来の導体接続構造501においては、クリップ状端子502と第1導体504及び第2導体505との接点数が、一対の第1弾性片521及び第2弾性片522当たり2点であった。これに対し、本例の導体接続構造1においては、一対の第1弾性片21及び第2弾性片22当たりの接点数が3点であり、従来技術よりも接触面積が増加しており、これにより接触抵抗が低減されて通電性能が向上している。また、接触抵抗が低減されているため、発熱量も低減されている。
【0024】
また、第1凸部41及び第2凸部42の突出長は、第2凸部42に突き当ての機能があることと挿入力を考慮して、上記のように第2凸部42の突出長が第1凸部41よりも大きく形成されている。
【0025】
さらに、第1凸部41については、上記のように第2傾斜面41cの傾斜角度が、第1傾斜面41bの傾斜角度よりも急に形成されている。これにより、挿入性を良好にし、かつ、第1弾性片21の屈曲部21aが第1凸部41を乗り越えた後に軽い力で抜けることを防止することができる。
【0026】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0027】
1 導体接続構造
2 クリップ状端子
4 第1導体
5 第2導体
20 基部
21 第1弾性片
21a 屈曲部
22 第2弾性片
22a 屈曲部
40 平坦面
41 第1凸部
42 第2凸部
図1
図2
図3
図4
図5