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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119603
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 25/22 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H02P25/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026617
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小池 進
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505CC04
5H505CC09
5H505HA03
5H505HA05
5H505HA06
5H505HB01
5H505HB05
5H505JJ03
5H505JJ26
(57)【要約】
【課題】各通電系統の意図しない動作の発生が抑制される制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置10は、各マイコン30A,30Bが実装された回路基板11を有している。回路基板11には、各通電系統12A,12Bが実装されている。第1通電系統12Aと第2通電系統12Bとは、互いに異なるバッテリ(B1,B2)から通電制御のための電力が供給される。回路基板11には、第1通電系統12Aと第2通電系統12Bとに関して、互いに異なる内部グランド(SG1,SG2)が形成されている。第1通電系統12Aは、第1内部グランドSG1を介して、第1ボディアースBo1に接続されている。第2通電系統12Bは、第2内部グランドSG2を介して、第2ボディアースBo2に接続されている。第1内部グランドSG1と第2内部グランドSG2とは、バンドパスフィルタ回路16を介して、互いに接続されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1巻線群および第2巻線群を含む複数の巻線群に対する通電制御を、個別に実施するための第1制御部および第2制御部を含む複数の制御部が実装された回路基板を有する制御装置であって、
前記回路基板には、前記第1巻線群に対する前記通電制御を実施するために前記第1制御部と組み合わせて構成される第1通電系統、および前記第2巻線群に対する前記通電制御を実施するために前記第2制御部と組み合わせて構成される第2通電系統を含む複数の通電系統が実装され、
前記第1通電系統と前記第2通電系統とは、個別にアースされた互いに異なるバッテリから前記通電制御のための電力が供給されるものであり、
前記回路基板には、前記第1通電系統と前記第2通電系統とに関して、互いに異なる内部グランドが形成され、
前記第1通電系統は、第1内部グランドを介して、対応する前記バッテリのアースに接続され、
前記第2通電系統は、第2内部グランドを介して、対応する前記バッテリのアースに接続され、
前記第1内部グランドと前記第2内部グランドとは、バンドパスフィルタ回路を介して、互いに接続されている制御装置。
【請求項2】
前記第1制御部と前記第2制御部とは、互いにデジタル信号を送受信するものであり、
前記バンドパスフィルタ回路は、高周波数側の信号成分を減衰するための第1カットオフ周波数と、低周波数側の信号成分を減衰するための第2カットオフ周波数とを有するフィルタ処理を実施し、
前記第1カットオフ周波数と前記第2カットオフ周波数との周波数差である帯域幅は、前記デジタル信号の周波数を含むように調整されている請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記バンドパスフィルタ回路は、前記第1内部グランドから前記第2内部グランドへの信号成分をフィルタ処理する第1フィルタ回路を含み、
前記回路基板は、前記第1通電系統の構成が実装される領域である第1系統領域と、前記第2通電系統の構成が実装される領域である第2系統領域とを含み、
前記第1フィルタ回路は、前記第1系統領域に実装されている請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記バンドパスフィルタ回路は、前記第2内部グランドから前記第1内部グランドへの信号成分をフィルタ処理する第2フィルタ回路を含み、
前記第2フィルタ回路は前記第2系統領域に実装されている請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記バンドパスフィルタ回路は、前記第1内部グランドおよび前記第2内部グランドの間の双方向の信号成分をフィルタ処理する双方向フィルタ回路を含み、
前記回路基板は、前記第1通電系統の構成が実装される領域である第1系統領域と、前記第2通電系統の構成が実装される領域である第2系統領域とを含み、
前記双方向フィルタ回路は前記第1系統領域と前記第2系統領域とに跨って実装されている請求項1又は請求項2に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば下記特許文献1には、モータ巻線に対する通電制御をすることによって、モータの駆動を制御する制御装置が記載されている。この制御装置において、モータ巻線は、第1モータ巻線と、第2モータ巻線とを含んでいる。モータ巻線に対する通電制御にかかる構成の組み合わせからなる通電系統は、第1モータ巻線の通電制御にかかる構成の組み合わせである第1通電系統と、第2モータ巻線の通電制御にかかる構成の組み合わせである第2通電系統とを含んでいる。各通電系統が通電制御するための電力は、互いに異なるバッテリから供給されるように構成されている。各通電系統に電力を供給するバッテリは、車両の部位に個別に接続されることによって、アースされている。また、各通電系統は、回路基板において、互いに異なる内部グランド(所謂、シグナルグランド)を形成している。各通電系統は、対応する内部グランドを介して、対応するバッテリのアースに接続されている。また、各通電系統の内部グランドは、グランド間コンデンサを介して、互いに接続されている。これにより、制御装置の外部へのノイズの伝搬を低減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-18087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
たとえば、各通電系統は、対応するバッテリのアースを介して、車体のノイズに晒される。こうした車体のノイズは、各通電系統の内部グランドを介して、グランド間コンデンサに伝達される。その結果、各通電系統は、グランド間コンデンサを介して、車体のノイズに晒される。車体のノイズは、通電系統の基準電位を変動させ得る。これにより、各通電系統の意図しない動作の発生が懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決し得る制御装置は、第1巻線群および第2巻線群を含む複数の巻線群に対する通電制御を、個別に実施するための第1制御部および第2制御部を含む複数の制御部が実装された回路基板を有する。前記回路基板には、前記第1巻線群に対する前記通電制御を実施するために前記第1制御部と組み合わせて構成される第1通電系統、および前記第2巻線群に対する前記通電制御を実施するために前記第2制御部と組み合わせて構成される第2通電系統を含む複数の通電系統が実装され、前記第1通電系統と前記第2通電系統とは、個別にアースされた互いに異なるバッテリから前記通電制御のための電力が供給されるものであり、前記回路基板には、前記第1通電系統と前記第2通電系統とに関して、互いに異なる内部グランドが形成され、前記第1通電系統は、第1内部グランドを介して、対応する前記バッテリのアースに接続され、前記第2通電系統は、第2内部グランドを介して、対応する前記バッテリのアースに接続され、前記第1内部グランドと前記第2内部グランドとは、バンドパスフィルタ回路を介して、互いに接続されている制御装置。
【0006】
上記構成によれば、各通電系統が晒されるアース先のノイズは、別の通電系統に伝わるとしても、バンドパスフィルタ回路によって減衰される。つまり、各通電系統がアース先のノイズに晒されたとしても、別の通電系統への影響を低減することができる。これにより、各通電系統がアース先のノイズに晒されたとしても、別の通電系統の基準電位の変動が抑制される。したがって、各通電系統の意図しない動作の発生が抑制される。
【0007】
上記制御装置において、前記第1制御部と前記第2制御部とは、互いにデジタル信号を送受信するものであり、前記バンドパスフィルタ回路は、高周波数側の信号成分を減衰するための第1カットオフ周波数と、低周波数側の信号成分を減衰するための第2カットオフ周波数とを有するフィルタ処理を実施し、前記第1カットオフ周波数と前記第2カットオフ周波数との周波数差である帯域幅は、前記デジタル信号の周波数を含むように調整されていることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、バンドパスフィルタ回路は、帯域幅に含まれる第1制御部と第2制御部とが互い送受信するデジタル信号が有する周波数付近の成分を減衰させることなく通過させることができる。これは、デジタル信号の誤認を低減させるのに効果的である。
【0009】
上記制御装置において、前記バンドパスフィルタ回路は、前記第1内部グランドから前記第2内部グランドへの信号成分をフィルタ処理する第1フィルタ回路を含み、前記回路基板は、前記第1通電系統の構成が実装される領域である第1系統領域と、前記第2通電系統の構成が実装される領域である第2系統領域とを含み、前記第1フィルタ回路は、前記第1系統領域に実装されていることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、第1フィルタ回路は、第1系統領域に実装される。つまり、第1フィルタ回路は、第1制御部等、第1通電系統の構成に近接して配置される。これにより、第1通電系統の構成を一部分に寄せ集めることができる。これは、第1通電系統にかかる電気抵抗を低減させるのに効果的である。
【0011】
上記制御装置において、前記バンドパスフィルタ回路が前記第1フィルタ回路を含むことを前提として、前記バンドパスフィルタ回路は、前記第2内部グランドから前記第1内部グランドへの信号成分をフィルタ処理する第2フィルタ回路を含み、前記第2フィルタ回路は前記第2系統領域に実装されていることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、第1フィルタ回路は第1系統領域に実装されるとともに、第2フィルタ回路は第2系統領域に実装される。つまり、第1フィルタ回路および第2フィルタ回路の各々は、対応する制御部等、通電系統の構成に近接して配置される。これにより、通電系統毎に構成を一部分に寄せ集めることができる。これは、回路基板の電気抵抗を低減させるのに効果的である。
【0013】
上記制御装置において、前記バンドパスフィルタ回路は、前記第1内部グランドおよび前記第2内部グランドの間の双方向の信号成分をフィルタ処理する双方向フィルタ回路を含み、前記回路基板は、前記第1通電系統の構成が実装される領域である第1系統領域と、前記第2通電系統の構成が実装される領域である第2系統領域とを含み、前記双方向フィルタ回路は前記第1系統領域と前記第2系統領域とに跨って実装されていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、双方向フィルタ回路は、第1系統領域と第2系統領域とに跨って実装される。つまり、双方向フィルタ回路は、各制御部等、各通電系統の構成のいずれにも近接して配置される。これは、回路基板の電気抵抗を低減させるのに効果的である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の制御装置によれば、各通電系統の意図しない動作の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1の実施形態にかかる制御装置が搭載される車両の構成を示す図である。
図2図1の車両システムの構成を示す図である。
図3図2のモータ装置の電気的構成を示す図である。
図4図3の制御装置のバンドパスフィルタ回路の詳細を示す図である。
図5図3の制御装置の回路基板のレイアウトを示す図である。
図6】制御装置の電気的構成の参考例を示す図である。
図7】第2の実施形態にかかる制御装置のバンドパスフィルタ回路の詳細を示す図である。
図8】第3の実施形態にかかる制御装置のバンドパスフィルタ回路の詳細を示す図である。
図9】第3の実施形態にかかる制御装置の回路基板のレイアウトを示す図である。
図10】第4の実施形態にかかる制御装置のバンドパスフィルタ回路の詳細を示す図である。
図11】第4の実施形態にかかる制御装置の回路基板のレイアウトを示す図である。
図12】第5の実施形態にかかる制御装置の回路基板のレイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、制御装置の第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1及び図2に示すように、車両システムCSは、車両VCにかかる各種制御を実施するために当該車両VCに搭載されるシステムである。車両システムCSは、操舵システムSTGを含む他、各種システムCSa,CSb等、複数のシステムを含んでいる。たとえば、操舵システムSTGは、車両VCの進行方向を変化させるように車両VCの転舵輪Tの転舵にかかる制御を実施する。車両VCは、車両用のバッテリVBを搭載している。車両用のバッテリVBは、第1バッテリB1と第2バッテリB2とを含んでいる。各バッテリB1,B2は、直流電源である二次電池である。各バッテリB1,B2は、車両VCの部位に個別に接続されることによって、アースされている。つまり、第1バッテリB1のボディアースBo1と、第2バッテリB2の第2ボディアースBo2とは、車両VCの互いに異なる部位に形成されている。各バッテリB1,B2は、操舵システムSTGを含む複数のシステムのそれぞれに対して接続されている。操舵システムSTGを含む複数のシステムの各々は、各バッテリB1,B2から電力が供給される。
【0018】
<操舵システムについて>
図2に示すように、操舵システムSTGは、モータ装置MCUを有する。モータ装置MCUは、制御装置10と、モータ20とが一体化された機電一体型のモータ装置である。制御装置10は、モータ20を制御対象として、当該モータ20の駆動を制御する。モータ20は、車両VCの転舵輪Tを転舵させるための転舵力を発生させる。モータ20の回転に応じて、転舵輪Tは転舵する。モータ20は、たとえば、3相のブラシレスモータである。3相は、U相、V相、およびW相である。
【0019】
<制御装置の電気的構成について>
図3に示すように、モータ20は、U相巻線、V相巻線、およびW相巻線からなる3相の組を含む巻線群21を複数備えている。巻線群21は、第1巻線群21Aと、第2巻線群21Bとを含んでいる。制御装置10は、モータ20の駆動を制御する際、各巻線群21A,21Bに対する通電制御を独立して実施する。制御装置10は、第1巻線群21Aに対する通電制御を実施するための制御部30を複数備えている。
【0020】
制御部30は、第1マイコン30Aと第2マイコン30Bとを含んでいる。第1マイコン30Aは、第1巻線群21Aに対する通電制御を実施する。第2マイコン30Bは、第2巻線群21Bに対する通電制御を実施する。つまり、各マイコン30A,30Bは、各巻線群21A,21Bに対する通電制御を個別に実施する。本実施形態において、第1マイコン30Aは第1制御部の一例であるとともに、第2マイコン30Bは第2制御部の一例である。
【0021】
制御装置10は、回路基板11を有している。回路基板11には、各マイコン30A,30Bが実装されている。その他、回路基板11には、各マイコン30A,30Bと組み合わせて構成される、ICチップおよび素子といった複数の電子部品が実装される。回路基板11には、制御部30と組み合わせて構成される複数の通電系統12が実装されている。通電系統12は、第1通電系統12Aと第2通電系統12Bとを含んでいる。第1通電系統12Aは、第1マイコン30Aと組み合わせて構成されている。第1通電系統12Aは、第1マイコン30A、第1駆動回路31A、第1電源IC32A、および第1電源フィルタ回路33Aを含んで構成されている。第2通電系統12Bは、第2マイコン30Bと組み合わせて構成されている。第2通電系統12Bは、第2マイコン30B、第2駆動回路31B、第2電源IC32B、および第2電源フィルタ回路33Bを含んで構成されている。
【0022】
第1駆動回路31Aは、第1巻線群21Aに供給される電力を生成する。第1駆動回路31Aは、車両用のバッテリVBからの直流電力を3相の交流電力に変換する。第1駆動回路31Aは、たとえば、複数のFET(Field Effect Transistor)を有している。第1駆動回路31Aは、モータリレー13Aを介して、第1巻線群21Aの各相に接続されている。これと同様、第2駆動回路31Bは、第2巻線群21Bに供給される電力を生成する。第2駆動回路31Bは、車両用のバッテリVBからの直流電力を3相の交流電力に変換する。第2駆動回路31Bは、たとえば、複数のFET(Field Effect Transistor)を有している。第2駆動回路31Bは、モータリレー13Bを介して、第2巻線群21Bの各相に接続されている。
【0023】
第1電源IC32Aは、チップ型の集積回路である。第1電源IC32Aは、第1マイコン30Aの動作に必要な電力を調整および監視する。これと同様、第2電源IC32Bは、チップ型の集積回路である。第2電源IC32Bは、第2マイコン30Bの動作に必要な電力を調整および監視する。
【0024】
第1電源フィルタ回路33Aは、たとえば、コイル41Aおよび平滑コンデンサ42Aからなるローパスフィルタ回路である。これと同様、第2電源フィルタ回路33Bは、たとえば、コイル41Bおよび平滑コンデンサ42Bからなるローパスフィルタ回路である。
【0025】
第1マイコン30Aは、チップ型の集積回路である。第1マイコン30Aは、第1駆動回路31Aを介して、第1巻線群21Aに対する通電制御を実施する。これと同様、第2マイコン30Bは、チップ型の集積回路である。第2マイコン30Bは、第2駆動回路31Bを介して、第2巻線群21Bに対する通電制御を実施する。
【0026】
各通電系統12A,12Bは、互いに異なる車両用のバッテリVBから、各巻線群21A,21Bに対する通電制御のための電力が供給される。より詳しくは、第1通電系統12Aは、第1バッテリB1から、第1巻線群21Aに対する通電制御のための電力が供給される。第2通電系統12Bは、第2バッテリB2から、第2巻線群21Bに対する通電制御のための電力が供給される。
【0027】
第1バッテリB1の電力は、高電位線L1Aを介して、第1駆動回路31Aに供給される。高電位線L1Aの途中には、電源リレー14Aが設けられている。電源リレー14Aは、第1バッテリB1からの第1通電系統12Aへの電力の供給および停止を切り替える。第1バッテリB1の電力は、高電位線L1Aの接続点P1Aから分岐している高電位分岐線L2Aを介して、第1電源IC32Aに供給される。第1バッテリB1の電力は、第1電源IC32Aを経由する供給線L3Aを介して、第1マイコン30Aに供給される。
【0028】
第1駆動回路31Aは、低電位線L4Aを介して、第1バッテリB1の第1ボディアースBo1に接続されている。
第1電源フィルタ回路33Aは、高電位線L1Aおよび低電位線L4Aの第1バッテリB1側に接続されている。コイル41Aは、高電位線L1Aにおいて、第1バッテリB1の高電位側と、接続点P1Aとの間に接続されている。平滑コンデンサ42Aは、高電位線L1Aの接続点P2Aと、低電位線L4Aの接続点P3Aとの間に接続されている。
【0029】
第2バッテリB2の電力は、高電位線L1Bを介して、第2駆動回路31Bに供給される。高電位線L1Bの途中には、電源リレー14Bが設けられている。電源リレー14Bは、第2バッテリB2からの第2通電系統12Bへの電力の供給および停止を切り替える。第2バッテリB2の電力は、高電位線L1Bの接続点P1Bから分岐している高電位分岐線L2Bを介して、第2電源IC32Bに供給される。第2バッテリB2の電力は、第2電源IC32Bを経由する供給線L3Bを介して、第2マイコン30Bに供給される。
【0030】
第2駆動回路31Bは、低電位線L4Bを介して、第2バッテリB2の第2ボディアースBo2に接続されている。
第2電源フィルタ回路33Bは、高電位線L1Bおよび低電位線L4Bの第2バッテリB2側に接続されている。コイル41Bは、高電位線L1Bにおいて、第2バッテリB2の高電位側と、接続点P1Bとの間に接続されている。平滑コンデンサ42Bは、高電位線L1Bの接続点P2Bと、低電位線L4Bの接続点P3Bとの間に接続されている。
【0031】
第1マイコン30Aと第2マイコン30Bとは、デジタル信号線LNを介して、マイコン間通信ができるように互いに接続されている。つまり、第1マイコン30Aと第2マイコン30Bとは、互いにデジタル信号DSを送受信することができる。なお、デジタル信号線LNは、複数の信号線を含んでいてもよい。
【0032】
各マイコン30A,30Bは、マイコン間通信を通じて、各通電系統12A,12Bの異常を判断したりすることができるように構成されている。第1マイコン30Aは、第1巻線群21Aに対する通電制御を正常に実施することができなくなるような異常を判断する場合、第1バッテリB1からの電力を停止するようにモータリレー13Aおよび電源リレー14Aを切り替え制御する。つまり、第1通電系統12Aは、通電制御を停止する。これと同様、第2マイコン30Bは、第2巻線群21Bに対する通電制御を正常に実施することができなくなるような異常を判断する場合、第2バッテリB2からの電力を停止するようにモータリレー13Bおよび電源リレー14Bを切り替え制御する。つまり、第2通電系統12Bは、通電制御を停止する。たとえば、各マイコン30A,30Bは、電力供給に関する異常が生じる場合、対応する巻線群21(21A,21B)に対する通電制御を正常に実施することができなくなる異常を判断する。電力供給に関する異常は、高電位線L1A,L1Bまたは低電位線L4A,L4Bの断線による配線抵抗の増加や、低電位線L4A,L4Bの対応する車両用のバッテリVB(B1,B2)側へのショート等のことである。
【0033】
<グランドについて>
回路基板11において、第1通電系統12Aの構成が実装される第1系統領域RAには、第1内部グランドSG1が形成されている。第1内部グランドSG1は、第1通電系統12Aを構成する各回路における基準電位を定義する、所謂、シグナルグランドである。第1マイコン30A、第1駆動回路31A、および第1電源IC32Aといった各回路の低電位側は、第1内部グランドSG1に接続されている。第1内部グランドSG1は、低電位線L4Aに接続されている。つまり、第1内部グランドSG1は、第1バッテリB1の第1ボディアースBo1に接続されている。これにより、第1内部グランドSG1によって定義される第1通電系統12Aにおける基準電位は、第1ボディアースBo1を通じて変動が抑えられている。
【0034】
回路基板11において、第2通電系統12Bの構成が実装される第2系統領域RBには、第2内部グランドSG2が形成されている。第2内部グランドSG2は、第2通電系統12Bを構成する各回路における基準電位を定義する、所謂、シグナルグランドである。第2マイコン30B、第2駆動回路31B、および第2電源IC32Bといった各回路の低電位側は、第2内部グランドSG2に接続されている。第2内部グランドSG2は、低電位線L4Bに接続されている。つまり、第2内部グランドSG2は、第2バッテリB2の第2ボディアースBo2に接続されている。これにより、第2内部グランドSG2によって定義される第2通電系統12Bにおける基準電位は、第2ボディアースBo2を通じて変動が抑えられている。
【0035】
第1駆動回路31Aの低電位側、すなわち低電位線L4Aは、モータ20のケース22に接続されることによって、第1外部グランドFG1が形成されている。第2駆動回路31Bの低電位側、すなわち低電位線L4Bは、モータ20のケース22に接続されることによって、第2外部グランドFG2が形成されている。第1外部グランドFG1と第2外部グランドFG2とは、各通電系統12A,12Bにおける基準電位を定義する、所謂、フレームグランドである。フレームグランドは、シャーシグランドとも呼ばれる。ケース22は、車両VCの部位に接続されることによって、第3ボディアースBo3を形成している。第3ボディアースBo3は、各ボディアースBo1,Bo2と異なる部位に形成されている。これにより、各外部グランドFG1,FG2によって定義される各通電系統12A,12Bにおける基準電位は、第3ボディアースBo3を通じて変動が抑えられている。
【0036】
第1内部グランドSG1と第2内部グランドSG2とは、グランド間線15を介して、互いに接続されている。グランド間線15上には、バンドパスフィルタ回路16が接続されている。つまり、第1内部グランドSG1と第2内部グランドSG2とは、バンドパスフィルタ回路16を介して、互いに接続されている。バンドパスフィルタ回路16は、第1フィルタ回路34A(図3中「第1BPF」)と第2フィルタ回路34B(図3中「第2BPF」)とを含んでいる。第1フィルタ回路34Aは、第1通電系統12Aの回路の一部を構成する。第2フィルタ回路34Bは、第2通電系統12Bの回路の一部を構成する。
【0037】
<バンドパスフィルタ回路について>
図4に示すように、バンドパスフィルタ回路16は、第1フィルタ回路34Aと第2フィルタ回路34Bとが、図中の上下方向で対称に接続されている。
【0038】
より詳しくは、第1フィルタ回路34Aは、フィルタ用コイル51A、フィルタ用コンデンサ52A、およびフィルタ用抵抗53Aを有している。フィルタ用コイル51Aとフィルタ用コンデンサ52Aとは、グランド間線15において、直列接続されている。フィルタ用コイル51Aは、第1内部グランドSG1に接続されている。グランド間線15の接続点P4Aから分岐しているグランド間分岐線54Aは、フィルタ用抵抗53Aを介して、ケース22に接続されている。つまり、第1フィルタ回路34Aは、第1外部グランドFG1に接続されている。第1フィルタ回路34Aにおいて、フィルタ用コイル51Aとフィルタ用抵抗53Aとからなる第1LR回路55Aは、ローパスフィルタ回路相当の機能を有する。第1フィルタ回路34Aにおいて、フィルタ用コンデンサ52Aとフィルタ用抵抗53Aとからなる第1CR回路56Aは、ハイパスフィルタ回路相当の機能を有する。第1フィルタ回路34Aは、所謂、LC直列型のバンドパスフィルタ回路である。
【0039】
第1LR回路55Aは、高周波数側の信号成分を減衰するための第1カットオフ周波数fcLAを有するフィルタ処理を実施する。第1カットオフ周波数fcLAは、デジタル信号DSの周波数fcdsよりも大きい値である。第1CR回路56Aは、低周波数側の信号成分を減衰するための第2カットオフ周波数fcHAを有するフィルタ処理を実施する。第2カットオフ周波数fcHAは、デジタル信号DSの周波数fcdsよりも小さい値である。つまり、第1フィルタ回路34Aにおいて、第1カットオフ周波数fcLAと第2カットオフ周波数fcHAとの周波数差である帯域幅WAは、デジタル信号DSの周波数fcdsを含むように調整されている。第1フィルタ回路34Aは、グランド間線15を介して、第1内部グランドSG1から第2内部グランドSG2へと伝わる信号成分のうち、帯域幅WAから外れた周波数の成分を減衰する。第1フィルタ回路34Aは、帯域幅WAに含まれた周波数の成分については減衰させないため、当該帯域幅WAに含まれた周波数を有するデジタル信号DSの誤認を低減させる。
【0040】
図4中の上下方向で、第1フィルタ回路34Aと対称に接続されている、第2フィルタ回路34Bは、第1フィルタ回路34Aに対応する構成を有している。フィルタ用コイル51Bは、フィルタ用コイル51Aに対応する。フィルタ用コンデンサ52Bは、フィルタ用コンデンサ52Aに対応する。フィルタ用抵抗53Bは、フィルタ用抵抗53Aに対応する。グランド間線15の接続点P4Bから分岐しているグランド間分岐線54Bは、グランド間分岐線54Aに対応する。第2LR回路55Bは、第1LR回路55Aに対応する。第2CR回路56Bは、第1CR回路56Aに対応する。第2フィルタ回路34Bは、所謂、LC直列型のバンドパスフィルタ回路である。つまり、第2フィルタ回路34Bにおいて、第1カットオフ周波数fcLBと第2カットオフ周波数fcHBとの周波数差である帯域幅WBは、デジタル信号DSの周波数fcdsを含むように調整されている。第2フィルタ回路34Bは、グランド間線15を介して、第2内部グランドSG2から第1内部グランドSG1へと伝わる信号成分のうち、帯域幅WBから外れた周波数の成分を減衰する。第2フィルタ回路34Bは、帯域幅WBに含まれた周波数の成分については減衰させないため、当該帯域幅WBに含まれた周波数を有するデジタル信号DSの誤認を低減させる。
【0041】
<回路基板のレイアウトについて>
図5に示すように、回路基板11は、たとえば、板厚方向からみて、第1通電系統12Aと第2通電系統12Bとは、互いに境界線BLを対象軸とする線対称の位置に設けられている。
【0042】
より詳しくは、第1通電系統12Aが設けられている第1系統領域RAには、第1マイコン30A、第1駆動回路31A、第1電源IC32A、および第1電源フィルタ回路33Aの他、第1フィルタ回路34Aが設けられている。つまり、第1系統領域RAにおいて、第1フィルタ回路34Aは、第1マイコン30A等、第1通電系統12Aの構成に近接して配置されている。
【0043】
第2通電系統12Bが設けられている第2系統領域RBには、第2マイコン30B、第2駆動回路31B、第2電源IC32B、および第2電源フィルタ回路33Bの他、第2フィルタ回路34Bが設けられている。つまり、第2系統領域RBにおいて、第2フィルタ回路34Bは、第2マイコン30B等、第2通電系統12Bの構成に近接して配置されている。
【0044】
第1フィルタ回路34Aと第2フィルタ回路34Bとを含むバンドパスフィルタ回路16は、第1系統領域RAと第2系統領域RBとに跨って実装されている。つまり、回路基板11において、第1フィルタ回路34Aと第2フィルタ回路34Bとは、互いに近接して配置されている。
【0045】
<本実施形態の作用>
たとえば、図6に示す比較例において、第2通電系統12Bは、異常に伴って通電制御を停止する場合、第2ボディアースBo2に接続されたままである。この場合、第2内部グランドSG2は、第2ボディアースBo2を介して、アース先である車両VCの車体ノイズに晒される。その結果、第1通電系統12Aは、通電制御を継続する場合、グランド間線15を介して、第2内部グランドSG2が晒される車体ノイズに晒される。グランド間線15にはグランド間コンデンサCGが設けられているが、たとえば、低周波数側の信号成分についてはグランド間コンデンサCGによっても減衰されることなく、第1通電系統12Aへと伝わる。つまり、第2内部グランドSG2が晒される車体ノイズは、第1通電系統12Aの基準電位を変動させ得る。これは、第1通電系統12Aにおける異常の誤判断を招き得る。
【0046】
これに対して、図3に示す本実施形態において、第2内部グランドSG2が晒される車体ノイズは、第1通電系統12Aに伝わるとしても、バンドパスフィルタ回路16によって減衰される。たとえば、第2内部グランドSG2が晒される車体ノイズは、第2フィルタ回路34Bによって減衰される。なお、第1通電系統12Aが異常の場合、第1内部グランドSG1が晒される車体ノイズは、第1フィルタ回路34Aによって減衰される。これにより、各通電系統12A,12Bが車体ノイズに晒されたとしても、別の通電系統の基準電位の変動が抑制される。
【0047】
<本実施形態の効果>
(1-1)第1内部グランドSG1と第2内部グランドSG2とを互いに接続する、グランド間線15上には、バンドパスフィルタ回路16が接続されるように構成した。これにより、各通電系統12A,12Bが車体ノイズに晒されたとしても、別の通電系統の基準電位の変動が抑制される。したがって、各通電系統12A,12Bの意図しない動作の発生が抑制される。
【0048】
(1-2)各帯域幅WA,WBは、デジタル信号DSの周波数を含むように調整されている。各フィルタ回路34A,34Bは、各帯域幅WA,WBに含まれる第1マイコン30Aと第2マイコン30Bとが互い送受信するデジタル信号DSが有する周波数付近の成分を減衰させることなく通過させることができる。これは、デジタル信号DSの誤認を低減させるのに効果的である。
【0049】
(1-3)バンドパスフィルタ回路16は、第1内部グランドSG1から第2内部グランドSG2への車体ノイズをフィルタ処理する第1フィルタ回路34Aを含んでいる。第1フィルタ回路34Aは、第1系統領域RAに実装されるように構成した。つまり、第1フィルタ回路34Aは、第1マイコン30A等、第1通電系統12Aの構成に近接して配置される。これにより、第1通電系統12Aの構成を一部分に寄せ集めることができる。これは、第1通電系統12Aにかかる電気抵抗を低減させるのに効果的である。ここに記載した作用および効果は、バンドパスフィルタ回路16が、第2内部グランドSG2から第1内部グランドSG1への車体ノイズをフィルタ処理する第2フィルタ回路34Bを含んでいる場合も同様に得られる。
【0050】
(1-4)第1フィルタ回路34Aは第1系統領域RAに実装されるとともに、当該第2フィルタ回路34Bは第2系統領域RBに実装されるように構成した。つまり、第1フィルタ回路34Aおよび第2フィルタ回路34Bの各々は、対応する制御部30(30A,30B)等、対応する通電系統12(12A,12B)の構成に近接して配置される。これにより、各通電系統12A,12Bの毎に構成を一部分に寄せ集めることができる。これは、回路基板11の電気抵抗を低減させるのに効果的である。
【0051】
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
<バンドパスフィルタ回路について>
図7に示すように、本実施形態のバンドパスフィルタ回路16は、第1フィルタ回路34Aおよび第2フィルタ回路34Bの代わりに、第1フィルタ回路35Aおよび第2フィルタ回路35Bを含んでいる。第1フィルタ回路35Aと第2フィルタ回路35Bとは、図7中の上下方向で対称に接続されている。
【0053】
より詳しくは、第1フィルタ回路35Aは、ローパス用コイル61A、ローパス用コンデンサ62A、ハイパス用コンデンサ63A、およびハイパス用コイル64Aを有している。ローパス用コイル61Aとハイパス用コンデンサ63Aとは、グランド間線15において、直列接続されている。ローパス用コイル61Aは、第1内部グランドSG1に接続されている。グランド間線15の接続点P5Aから分岐しているグランド間分岐線65Aは、ローパス用コンデンサ62Aを介して、ケース22に接続されている。グランド間線15の接続点P6Aから分岐しているグランド間分岐線66Aは、ハイパス用コイル64Aを介して、ケース22に接続されている。つまり、第1フィルタ回路35Aは、第1外部グランドFG1に接続されている。第1フィルタ回路35Aにおいて、ローパス用コイル61Aとローパス用コンデンサ62Aとからなる第1LC回路67Aは、ローパスフィルタ回路相当の機能を有する。第1フィルタ回路35Aにおいて、ハイパス用コンデンサ63Aとハイパス用コイル64Aとからなる第1CL回路68Aは、ハイパスフィルタ回路相当の機能を有する。第1LC回路67Aは、第1LR回路55A等と同様、高周波数側の信号成分を減衰するための第1カットオフ周波数fcLAを有するフィルタ処理を実施する。第1CL回路68Aは、第1CR回路56A等と同様、低周波数側の信号成分を減衰するための第2カットオフ周波数fcHAを有するフィルタ処理を実施する。第1フィルタ回路35Aの帯域幅WAは、第1フィルタ回路34Aと同様、デジタル信号DSの周波数fcdsを含むように調整されている。
【0054】
図4中の上下方向で、第1フィルタ回路35Aと対称に接続されている、第2フィルタ回路35Bは、第1フィルタ回路35Aに対応する構成を有している。ローパス用コイル61Bは、ローパス用コイル61Aに対応する。ローパス用コンデンサ62Bは、ローパス用コンデンサ62Aに対応する。ハイパス用コンデンサ63Bは、ハイパス用コンデンサ63Aに対応する。ハイパス用コイル64Bは、ハイパス用コイル64Aに対応する。グランド間線15の接続点P5Bから分岐しているグランド間分岐線65Bは、グランド間分岐線65Aに対応する。グランド間線15の接続点P6Bから分岐しているグランド間分岐線66Bは、グランド間分岐線66Aに対応する。第2LC回路67Bは、第1LC回路67Aに対応する。第2CL回路68Bは、第1CL回路68Aに対応する。つまり、第2LC回路67Bが有する第1カットオフ周波数fcLBは、第2LR回路55B等と同様の値である。第2CL回路68Bが有する第2カットオフ周波数fcHAは、第2CR回路56B等と同様の値である。第2フィルタ回路35Bの帯域幅WBは、第2フィルタ回路34Bと同様、デジタル信号DSの周波数fcdsを含むように調整されている。
【0055】
<回路基板のレイアウトについて>
図5に示すように、第1フィルタ回路35Aは、第1系統領域RAに設けられている。第1系統領域RAにおいて、第1フィルタ回路35Aは、第1マイコン30A等、第1通電系統12Aの構成に近接して配置されている。第2フィルタ回路35Bは、第2系統領域RBに設けられている。第2系統領域RBにおいて、第2フィルタ回路35Bは、第2マイコン30B等、第2通電系統12Bの構成に近接して配置されている。回路基板11において、第1フィルタ回路35Aと第2フィルタ回路35Bとは、互いに近接して配置されている。
【0056】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の各効果に準じた効果が得られる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
<バンドパスフィルタ回路について>
図8に示すように、本実施形態のバンドパスフィルタ回路16は、第1フィルタ回路34Aおよび第2フィルタ回路34Bを含まない、双方向フィルタ回路36である。
【0058】
より詳しくは、双方向フィルタ回路36は、ハイパス用コイル71およびローパス用コンデンサ72を有している。ハイパス用コイル71とローパス用コンデンサ72とは、グランド間線15とケース22とに対して、並列接続されている。ハイパス用コイル71とローパス用コンデンサ72との各々は、第1内部グランドSG1および第2内部グランドSG2に接続されているとともに、ケース22に接続されている。つまり、双方向フィルタ回路36は、第1外部グランドFG1および第2外部グランドFG2に接続されている。ハイパス用コイル71は、ハイパスフィルタ回路相当の機能を有する。ローパス用コンデンサ72は、ローパスフィルタ回路相当の機能を有する。双方向フィルタ回路36は、所謂、LC並列型のバンドパスフィルタ回路である。
【0059】
ローパス用コンデンサ72は、第1LR回路55A等と同様、高周波数側の信号成分を減衰するための第1カットオフ周波数fcLAを有するフィルタ処理を実施する。ハイパス用コイル71は、第1CR回路56A等と同様、低周波数側の信号成分を減衰するための第2カットオフ周波数fcHAを有するフィルタ処理を実施する。双方向フィルタ回路36の帯域幅Wは、第1フィルタ回路34Aおよび第2フィルタ回路34Bと同様、デジタル信号DSの周波数fcdsを含むように調整されている。
【0060】
<回路基板のレイアウトについて>
図9に示すように、双方向フィルタ回路36は、第1系統領域RAと第2系統領域RBとに跨って実装されている。つまり、双方向フィルタ回路36は、各マイコン30A,30B等、各通電系統12A,12Bの構成のいずれにも近接して配置される。
【0061】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の各効果に準じた効果に加えて、以下の効果が得られる。
<本実施形態の効果>
(3-1)双方向フィルタ回路36は、第1系統領域RAと第2系統領域RBとに跨って実装されるように構成した。つまり、双方向フィルタ回路36は、各マイコン30A,30B等、各通電系統12A,12Bの構成のいずれにも近接して配置される。これは、回路基板11の電気抵抗を低減させるのに効果的である。
【0062】
<第4の実施形態>
以下、第4の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
<バンドパスフィルタ回路について>
図10に示すように、本実施形態のバンドパスフィルタ回路16は、第2フィルタ回路34Bをなくして、第1フィルタ回路34Aのみを含んでいる。本実施形態のバンドパスフィルタ回路16は、第1フィルタ回路34Aである。より詳しくは、グランド間線15の接続点P4Aは、第2内部グランドSG2に接続されている。つまり、フィルタ用コンデンサ52Aおよびフィルタ用抵抗53Aは、接続点P4Aにおいて、第2内部グランドSG2に接続されている。バンドパスフィルタ回路16は、グランド間線15を介して、第1内部グランドSG1から第2内部グランドSG2へと伝わる信号成分のうち、帯域幅WAから外れた周波数の成分を減衰する。つまり、第1通電系統12Aが異常の場合、第1内部グランドSG1が晒される車体ノイズは、第1フィルタ回路34Aによって減衰される。
【0064】
<回路基板のレイアウトについて>
図11に示すように、第1フィルタ回路34Aであるバンドパスフィルタ回路16は、第1系統領域RAにのみ実装されている。つまり、バンドパスフィルタ回路16は、第1マイコン30A等、第1通電系統12Aの構成に近接して配置される。
【0065】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1-1)~(1-3)に準じた効果が得られる。
<第5の実施形態>
以下、第5の実施形態について、第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。なお、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の構成については第1の実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0066】
<バンドパスフィルタ回路について>
図10に二点鎖線で示すように、本実施形態のバンドパスフィルタ回路16は、第1フィルタ回路34Aをなくして、第2フィルタ回路34Bのみを含んでいる。本実施形態のバンドパスフィルタ回路16は、第2フィルタ回路34Bである。より詳しくは、グランド間線15の接続点P4Bは、第1内部グランドSG1に接続されている。つまり、フィルタ用コンデンサ52Bおよびフィルタ用抵抗53Bは、接続点P4Bにおいて、第1内部グランドSG1に接続されている。バンドパスフィルタ回路16は、グランド間線15を介して、第2内部グランドSG2から第1内部グランドSG1へと伝わる信号成分のうち、帯域幅WBから外れた周波数の成分を減衰する。つまり、第2通電系統12Bが異常の場合、第2内部グランドSG2が晒される車体ノイズは、第2フィルタ回路34Bによって減衰される。
【0067】
<回路基板のレイアウトについて>
図12に示すように、第2フィルタ回路34Bであるバンドパスフィルタ回路16は、第2系統領域RBにのみ実装されている。つまり、バンドパスフィルタ回路16は、第2マイコン30B等、第2通電系統12Bの構成に近接して配置される。
【0068】
以上説明した本実施形態によれば、上記第1の実施形態の効果(1-1)~(1-3)に準じた効果が得られる。
<他の実施形態>
上記各実施形態は次のように変更してもよい。また、以下の他の実施形態は、技術的に矛盾しない範囲において、互いに組み合わせることができる。
【0069】
・上記第1の実施形態において、グランド間分岐線54Aは、フィルタ用抵抗53Aを介して、ケース22に接続されるようにしたが、電位の安定が想定される部位に接続されていればよい。たとえば、図4に二点鎖線で示すように、グランド間分岐線54Aは、フィルタ用抵抗53Aを介して、高電位線L1Aの接続点P2A、または高電位線L1Bの接続点P2Bに接続されていてもよい。これは、グランド間分岐線54Bについても同様である。つまり、図4に二点鎖線で示すように、グランド間分岐線54Bは、フィルタ用抵抗53Bを介して、高電位線L1Aの接続点P2A、または高電位線L1Bの接続点P2Bに接続されていてもよい。ここに記載した他の実施形態は、上記第2~第5の実施形態についても同様に適用できる。たとえば、上記第2の実施形態の場合、図7に二点鎖線で示す通りである。また、上記第3の実施形態の場合、図8に二点鎖線で示す通りである。また、上記第4および第5の実施形態の場合、図10に二点鎖線で示す通りである。
【0070】
・上記第1の実施形態において、第1フィルタ回路34Aは、ローパスフィルタ回路およびハイパスフィルタ回路相当の機能を有するのであれば、他の回路によって構成されるバンドパスフィルタ回路であってもよい。これは、第2フィルタ回路34Bについても同様である。ここに記載した他の実施形態は、上記第2~第5の実施形態についても同様に適用できる。
【0071】
・上記第1の実施形態において、各カットオフ周波数fcLA,fcHAの値は、帯域幅WAが周波数fcdsを含む範囲内で適宜変更可能である。たとえば、各カットオフ周波数fcLA,fcHAの値は、帯域幅WAが車体ノイズとして減衰させたい成分を含まない範囲となるように設定されていればよい。この場合、デジタル信号DSの周波数fcdsは、帯域幅WAに含まれるように調整されるようにすればよい。一方、各カットオフ周波数fcLA,fcHAの値は、デジタル信号DSの誤認の可能性が低い範囲で、帯域幅WAが周波数fcdsを含まないように設定されていてもよい。ここに記載した他の実施形態は、上記第2~第5の実施形態についても同様に適用できる。
【0072】
・上記第1の実施形態において、各フィルタ回路34A,34Bは、第1系統領域RAおよび第2系統領域RBのいずれかに纏めて実装されていてもよい。この場合、第1フィルタ回路34Aは、第2系統領域RBに実装されるようにすればよい。また、第2フィルタ回路34Bは、第1系統領域RAに実装されるようにすればよい。ここに記載した他の実施形態は、上記第2の実施形態についても同様に適用できる。つまり、各フィルタ回路35A,35Bは、第1系統領域RAおよび第2系統領域RBのいずれかに纏めて実装されていてもよい。
【0073】
・上記第1の実施形態は、各フィルタ回路34A,34Bが実装される領域を入れ換えてもよい。ここに記載した他の実施形態は、上記第2、第4、および第5の実施形態についても同様に適用できる。
【0074】
・上記第1の実施形態において、各フィルタ回路34A,34Bに対して、上記第2の実施形態における各フィルタ回路35A,35Bを直列接続するようにしてもよい。また、各フィルタ回路34A,34Bに対して、上記第3の実施形態における双方向フィルタ回路36を直列接続するようにしてもよい。この場合、上記第2の実施形態における各フィルタ回路35A,35Bをさらに直列接続するようにしてもよい。ここに記載した他の実施形態は、上記第4および第5の実施形態についても同様に適用できる。
【0075】
・上記第2の実施形態において、各フィルタ回路35A,35Bに対して、上記第3の実施形態における双方向フィルタ回路36を直列接続するようにしてもよい。
・上記第3の実施形態において、双方向フィルタ回路36は、第1系統領域RAおよび第2系統領域RBのいずれかに実装されていてもよい。
【0076】
・上記第4の実施形態において、第1フィルタ回路34Aは、第2系統領域RBに実装されていてもよい。また、第1フィルタ回路34Aは、第1系統領域RAと第2系統領域RBとに跨って実装されていてもよい。
【0077】
・上記第5の実施形態において、第2フィルタ回路34Bは、第1系統領域RAに実装されていてもよい。また、第2フィルタ回路34Bは、第1系統領域RAと第2系統領域RBとに跨って実装されていてもよい。
【0078】
・上記各実施形態において、第3ボディアースBo3は、制御装置10、すなわち各通電系統12A,12Bにおける基準電位を定義しているとも言える。これは、各ボディアースBo1,Bo2についても同様である。つまり、各ボディアースBo1,Bo2,Bo3は、各内部グランドSG1,SG2に対して、各外部グランドFG1,FG2と同様、所謂、フレームグランドとして定義することもできる。
【0079】
・上記各実施形態において、回路基板11の各通電系統12A,12Bの構成を実装する方法は、適宜変更してもよい。たとえば、第1系統領域RAは、各駆動回路31A,31Bおよび各電源フィルタ回路33A,33Bの発熱部品を実装する領域としてもよい。第2系統領域RBは、各マイコン30A,30Bおよび各電源IC32A,32Bといった、各駆動回路31A,31Bおよび各電源フィルタ回路33A,33Bと比べて発熱し難い部品を実装する領域としてもよい。この場合、第1系統領域RAと第2系統領域RBとは、異なる回路基板の領域とすることもできる。つまり、回路基板11は、複数の回路基板を含んでいてもよい。複数の回路基板を含む場合、各回路基板の配置は、板厚方向で積層する等、適宜の方法を適用することができる。
【0080】
・上記各実施形態において、回路基板11の形状は、円形等、適宜変更可能である。この場合であっても、回路基板11は、第1系統領域RAおよび第2系統領域RBを有するように、各通電系統12A,12Bの部品が実装されていればよい。
【0081】
・上記各実施形態において、巻線群21は、第1巻線群21Aおよび第2巻線群21Bの2組を少なくとも含んでいればよく、たとえば、3組以上を含んでいてもよい。この場合、車両用のバッテリVBは、巻線群21の組と同数のバッテリを含むようにすればよい。また、回路基板11は、巻線群21の組と同数の通電系統12を含むようにすればよい。
【0082】
・上記各実施形態において、操舵システムSTGは、電動パワーステアリング装置を含んでいてもよい。この場合、モータ装置MCUは、電動パワーステアリング装置の駆動源として使用される。つまり、モータ20は、操舵アシスト力を発生するアシストモータとして機能する。制御装置10は、アシストモータとしてのモータ20を制御する。
【0083】
・上記各実施形態において、操舵システムSTGは、ステアバイワイヤ方式の操舵装置を含んでいてもよい。この場合、モータ装置MCUは、ステアバイワイヤ方式の操舵装置における反力機構あるいは転舵機構の駆動源として使用される。つまり、モータ20は、操舵反力を発生する反力モータ、あるいは車両VCの転舵輪Tを転舵させるための転舵力を発生する転舵モータとして機能する。制御装置10は、反力モータあるいは転舵モータとしてのモータ20を制御する。
【0084】
・上記各実施形態において、モータ装置MCUは、車両用途に限られない。上記各実施形態の制御装置10は、正常の系統の基準電位の変動に伴う、正常の系統の意図しない動作の発生が抑制される点で、モータ装置MCUの用途に関係なく有効である。
【0085】
・上記各実施形態は、モータ20と一体化された機電一体型に限らず、たとえば、モータ20と個別に用いられる制御装置に適用することもできる。
・本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0086】
次に、上記各実施形態および他の実施形態から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(付記1)前記バンドパスフィルタ回路は、前記第1内部グランドから前記第2内部グランドへの信号を前記フィルタ処理する第1フィルタ回路と、前記第2内部グランドから前記第1内部グランドへの信号を前記フィルタ処理する第2フィルタ回路とを含み、前記基板は、前記第1通電系統の構成が実装される領域である第1系統領域と、前記第2通電系統の構成が実装される領域である第2系統領域とを含み、前記第1フィルタ回路は前記第1系統領域に実装されているとともに、前記第2フィルタ回路は前記第2系統領域に実装されている。
【0087】
(付記ロ)第1巻線群および第2巻線群を含む複数の巻線群を有するモータと、前記複数の巻線群に対する通電制御を、個別に実施するための第1制御部および第2制御部を含む複数の制御部が実装された回路基板を有する制御装置と、を備えたモータ装置であって、前記回路基板には、前記第1巻線群に対する前記通電制御を実施するために前記第1制御部と組み合わせて構成される第1通電系統、および前記第2巻線群に対する前記通電制御を実施するために前記第2制御部と組み合わせて構成される第2通電系統を含む複数の通電系統が実装され、前記第1通電系統と前記第2通電系統とは、個別にアースされた互いに異なるバッテリから前記通電制御のための電力が供給されるものであり、前記回路基板には、前記第1通電系統と前記第2通電系統とに関して、互いに異なる第1内部グランドと第2内部グランドとが形成され、前記第1通電系統は、前記第1内部グランドを介して、対応する前記バッテリのアースに接続され、前記第2通電系統は、前記第2内部グランドを介して、対応する前記バッテリのアースに接続され、前記第1内部グランドと前記第2内部グランドとは、バンドパスフィルタ回路を介して、互いに接続されている。
【符号の説明】
【0088】
10…制御装置
11…回路基板
12(12A,12B)…通電系統(第1通電系統、第2通電系統)
16…バンドパスフィルタ回路
21(21A,21B)…巻線群(第1巻線群、第2巻線群)
30(30A,30B)…制御部(第1マイコン、第2マイコン)
31A…第1駆動回路
31B…第2駆動回路
32A…第1電源IC
32B…第2電源IC
33A…第1電源フィルタ回路
33B…第2電源フィルタ回路
34A,35A…第1フィルタ回路
34B,35B…第2フィルタ回路
36…双方向フィルタ回路
VB(B1,B2)…車両用のバッテリ(第1バッテリ、第2バッテリ)
Bo1…第1ボディアース(アース)
Bo2…第2ボディアース(アース)
LN…デジタル信号線
SG1…第1内部グランド
SG2…第2内部グランド
図1
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図12