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  • 特開-プレカット加工方法 図1
  • 特開-プレカット加工方法 図2
  • 特開-プレカット加工方法 図3
  • 特開-プレカット加工方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119604
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】プレカット加工方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20240827BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240827BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B41J29/00 A
G05B19/418 Z
B41J29/00 H
B41J29/38 206
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026622
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】596008231
【氏名又は名称】株式会社トーアエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】野口 睦
【テーマコード(参考)】
2C061
3C100
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AS11
2C061CK01
2C061HH08
3C100AA22
3C100BB01
3C100BB06
3C100EE18
(57)【要約】
【課題】加工が終わった素材への印字処理を加工機内で行うと、印字完了を待って次素材投入となるため効率の悪さを改善する。
【解決手段】素材18のプレカットのための加工機12とプレカット制御装置28と、加工機12の外に配置した印字装置24を備える。プレカット制御装置28は、加工機12に投入する前の素材18に割り付け処理をしてから、印字装置24に印字データを送る。印字装置24は、素材18の該当する印字面に印字処理を実行する。印字処理が終了した素材18を加工機12に投入する。プレカット制御装置28は、加工機12に対して該当するプレカット制御データ34を送信し、プレカット処理を実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレカットデータにより製品を素材に割り付けて、上記素材を加工機に投入する前に、
上記加工機の外に設けた上記素材を置くことができる場所で、
上記素材を置くことができる場所に設けた印字装置により、上記素材に印字処理を実行し、
その後、上記素材を上記加工機に投入してプレカットをすることを特徴とする素材のプレカット方法。
【請求項2】
上記加工機に素材を投入する経路上に、上記印字処理のために素材を置くことができる場所を設けることを特徴とする請求項1に記載の素材のプレカット方法。
【請求項3】
搬送コンベアで素材を印字装置に搬送し、プリントヘッドは印字装置の素材印字面側に取り付けられていて、プリントヘッドは素材先端から後端へ自走して、印字処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の素材のプレカット方法。
【請求項4】
ロボットアームで素材を印字装置に搬送し、プリントヘッドは印字装置の素材印字面側に取り付けられていて、プリントヘッドは素材先端から後端へ自走して、印字処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載の素材のプレカット方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレカット前の素材に印字処理を実行するプレカット加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、加工機に投入された素材が切削加工や孔開け加工されて、さらに印字処理された後に製品として排出されていた。加工機から加工済みの素材が排出されると、新たな素材を加工機に投入して、次の製品の加工を開始する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6704875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製品の生産性を向上させるために、切削加工装置や孔開け加工装置や印字装置を、加工中の衝突を避けつつ同時並行動作させることも可能である。しかしながら、製品の形状や仕様によっては各装置の動線が互いに干渉することがあり、例えば、印字装置を他の全ての加工が済んだ後に動作させることも少なくない。こうした処理が生産性向上の妨げになっていた。本発明は、こうした加工処理の生産効率を向上させることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0006】
<構成1>
プレカットデータにより製品を素材に割り付けて、上記素材を加工機に投入する前に、
上記加工機の外に設けた上記素材を置くことができる場所で、
上記素材を置くことができる場所に設けた印字装置により、上記素材に印字処理を実行し、
その後、上記素材を上記加工機に投入してプレカットをすることを特徴とする素材のプレカット方法。
<構成2>
上記加工機に素材を投入する経路上に、上記印字処理のために素材を置くことができる場所を設けることを特徴とする構成1に記載の素材のプレカット方法。
【0007】
<構成3>
搬送コンベアで素材を印字装置に搬送し、プリントヘッドは印字装置の素材印字面側に取り付けられていて、プリントヘッドは素材先端から後端へ自走して、印字処理を実行することを特徴とする構成1または2に記載の素材のプレカット方法。
<構成4>
ロボットアームで素材を印字装置に搬送し、プリントヘッドは印字装置の素材印字面側に取り付けられていて、プリントヘッドは素材先端から後端へ自走して、印字処理を実行することを特徴とする構成1または2に記載の素材のプレカット方法。
【発明の効果】
【0008】
予め加工機とは別の場所で印字処理を実行してから加工機でプレカットをするので、複数の素材を連続してプレカットする場合の生産性が向上する。加工機での穿孔処理や切断処理に対して、印字処理を加工機とは別の場所で行うと、加工機の内部で穿孔装置や切断装置と印字装置の動作の干渉を考慮しなくてよいから制御が容易になる。
加工機とは別の場所で印字処理を実行すれば、印字装置は素材表面の任意の箇所に自由に印字処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1の方法を実施するプレカット制御装置の平面図である。
図2図1に示した装置の制御動作説明図である。
図3】実施例2の方法を実施するプレカット制御装置の平面図である。
図4】実施例3の方法を実施するプレカット制御装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例0011】
図1に示したプレカット装置は、素材18の切断や孔開け加工をするために、加工機上流コンベア60に素材18を投入して、加工機12でプレカット加工をする。素材18は製品30に加工されて排出コンベア20に排出される。本発明では、加工機12とは別に加工機12の外の印字台54に設けた印字装置24を使用する。加工前の素材18にプレカットのための割り付け処理をしたら、その素材18を加工機12に投入する前に印字処理を行う。
【0012】
この実施例では、素材18を加工機上流コンベア60に投入するための横送りコンベア58の前端に、印字台54を配置して、ここに印字装置24を設置している。印字装置24は、印字台54上に取付けられた走行レール56に沿って移動することができる。この印字装置24を使用すると、印字台54上では他の装置との干渉がないので、素材18の任意の箇所に印字処理ができる。
【0013】
印字処理が終了した素材18は、横送りコンベア58に送りこまれ、加工機上流コンベア60に押し出される。素材18は、加工機上流コンベア60から加工機12に投入され、プレカット加工が行われる。プレカット加工が終了すると、製品30が加工機下流コンベア62に押し出され、排出コンベア20に向けて排出される。
【0014】
図2に示すように、コンピュータ26のプレカット制御装置28には、CADデータ33とプレカット制御データ34とを含むデータベース32が設けられている。
【0015】
プレカット制御データ34には、加工対象となる素材18の加工のための割り付けデータ36と印字処理のための印字データ40が含まれている。プレカット制御装置28から印字装置24には印字処理時に印字データ40が送られる。また、プレカット制御装置28から加工機12には、印字済みの素材18が加工機上流コンベア60に投入されたタイミングで、割り付けデータ36が送られる。
【0016】
上記の印字台54は、加工機12の外であって、素材18を置くことができる場所であれば、どこにでも設置できる。加工機上流コンベア60に素材18を投入するための経路上のどこでもよい。図1において、印字台54と横送りコンベア58上に引いた矢印42がその経路である。印字された素材18がこの経路上にあれば、プレカット制御装置28は、印字処理をした順に経路上を送られてくる印字済みの素材18が、加工機22に投入されるタイミングを認識してプレカット制御ができる。印字台54はコンベア58の中間にあってもよい。コンベア58の一部が印字台を兼ねていてもよい。以上のように、印字処理とプレカット処理が並行して実行されれば、プレカット時間が短縮されて生産性が向上する。
【0017】
一般的な加工機12に設けられた既存の印字装置は、加工中の素材18の上部または下部を移動するから、素材18の一方の面にだけ印字することができる。一般には素材18の下面あるいは側面に印字をする。加工機12から排出された製品を開口部別に梱包するときには、確認のために印字された面を上向きにする作業が必要になる。
【0018】
この作業を不要にするには加工機12内の印字装置が素材18の上面に印字をすればよい。しかしながら、素材高さの違う素材18が次々に加工機12に送りこまれるから、そのつど印字装置の印字面の高さの自動制御が必要になり、印字装置の構造も制御も複雑になって、設備コストが増大する。
【0019】
一方、加工機12の外に設置された印字装置24で素材18の印字処理をすれば、素材18の形状にかかわらず、印字箇所も印字面も自由度が大きく、製品の上面あるいは見やすい側面等への印字ができる。素材18の複数の面にも印字できる。
【0020】
また、加工機12内部の印字装置では印字が難しかった素材18の両端付近にも印字ができる。製品の常に上面に印字が施されているように、加工機12から製品を排出こともできる。従って、製品を開口部別に梱包するような場合に、印字された面が見やすいように、製品を裏返したりする作業が不要になる。本発明により、ある素材のプレカット処理中に、その後プレカットをする素材の印字処理を実行するので、プレカット処理の生産性を大きく向上させることができる。
【実施例0021】
図3に示した実施例2では、素材18を素材置き場16から自動的に印字台54に送り込む機構が設けられている。素材置き場16には、プレカットに使用するための例えば2種類の素材18が左右別々に並べて保管されている。いずれかの素材18を選択して、横送りコンベア50が動作すると、素材18は縦送りコンベア52に送り込まれる。縦送りコンベア52は、素材18を加工機12のプレカットラインと平行に移動させる。そして、その素材18は印字台54に押し出すようにして送り込まれる。その後の処理は実施例1と同様である。
【0022】
縦送りコンベア52を使用すると、プレカットラインと平行に配置された複数種類の素材18を選別して縦方向の位置調整をしてから、印字台54や横送りコンベア58を通じて加工機12に投入できる。プレカットラインの幅方向に比べて長さ方向にはスペースがとりやすいから、この方向に素材置き場16を長く設置して、保管できる素材18の種類を増やすことができる。
【実施例0023】
この実施例3では、実施例2の横送りコンベア50と縦送りコンベア52の代わりに、ロボットアーム22を使用する。即ち、図4に示すように、ロボットアーム22が素材置き場16から吸着装置44(あるいはクランプ機構)により素材18を1本取り出して、上記加工機12の外に設けた印字台54上に置く。その後の処理は実施例1と同様である。
【0024】
実施例2でも実施例3でも、印字台54を、加工機上流コンベア60に素材18を投入するための経路上のどこにでも設置できる。図3図4では素材置き場16から素材18までがその経路である。
【符号の説明】
【0025】
12 加工機
16 素材置き場
18 素材
20 排出コンベア
22 ロボットアーム
24 印字装置
26 コンピュータ
28 プレカット制御装置
30 製品
32 データベース
33 CADデータ
34 プレカット制御データ
36 割り付けデータ
40 印字データ
42 矢印(素材を投入する経路)
44 吸着装置
50 横送りコンベア
52 縦送りコンベア
54 印字台
56 走行レール
58 横送りコンベア
60 加工機上流コンベア
62 加工機下流コンベア
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図1
図2
図3
図4