(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119611
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】睫毛・眉毛用水中油型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20240827BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/84 20060101ALI20240827BHJP
A61Q 1/10 20060101ALI20240827BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/41
A61K8/84
A61Q1/10
A61K8/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026635
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤森 健
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB132
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC012
4C083AC062
4C083AC102
4C083AC172
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC532
4C083AC541
4C083AC542
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD282
4C083BB04
4C083BB11
4C083CC14
4C083DD33
4C083EE03
4C083EE05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】睫毛に塗布したときに付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しづらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力にも優れた睫毛・眉毛用水中油型化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ステアリン酸、(B)一般式(1)
(式中、R
1、R
2、R
3は、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を示し、R
1、R
2、R
3の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である)で表されるヒドロキシアミン化合物、(C)HLB11~18の脂肪酸ポリエチレングリコール
を含有し、成分(B)に対する成分(A)のモル比(A)/(B)が、1.1~5.5である睫毛・眉毛用水中油型化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ステアリン酸、
(B)一般式(1)
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3は、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を示し、R
1、R
2、R
3の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である)
で表されるヒドロキシアミン化合物、
(C)HLB11~18の脂肪酸ポリエチレングリコール
を含有し、成分(B)に対する成分(A)のモル比(A)/(B)が、1.1~5.5である睫毛・眉毛用水中油型化粧料。
【請求項2】
成分(B)が、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールから選ばれる1種以上である請求項1記載の睫毛・眉毛用水中油型化粧料。
【請求項3】
成分(C)が、HLB11~18のステアリン酸ポリエチレングリコールを含む請求項1又は2記載の睫毛・眉毛用水中油型化粧料。
【請求項4】
さらに、(D)ガラス転移温度Tgが0~40℃のアクリル酸アルキルから選ばれるモノマーの重合体又は共重合体を含有する請求項1~3のいずれか1項記載の睫毛・眉毛用水中油型化粧料。
【請求項5】
さらに、(E)油剤を含有する請求項1~4のいずれか1項記載の睫毛・眉毛用水中油型化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、睫毛・眉毛用水中油型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
睫毛用化粧料においては、睫毛にカールアップ効果やボリューム効果を与え、睫毛を美しく見せ、その化粧効果を持続させるための検討がなされている。
例えば、特許文献1には、植物性バター、アルカリ剤、ワックス、水を含有するケラチン繊維用組成物が、ケラチン繊維に、優れたボリュームアップ効果、美容効果を与えることが記載されている。
特許文献2には、ポリオキシアルキレン化ワックス、アルカリ剤、脂肪酸、水を含有するケラチン繊維用組成物が、ケラチン繊維に、優れたメーキャップ効果、特に伸長効果を与えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-87150号公報
【特許文献2】特開2018-168100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の睫毛用化粧料は、塗布時に睫毛への付着性が悪く、睫毛の毛束が作れず、ロング感も得られなかった。また、睫毛に多く付着させると、ダマが発生しやすく、睫毛の毛束が綺麗に分かれずセパレート感やロング感が得られなかった。さらに、日常生活での皮脂や汗によるにじみにおいても課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、ステアリン酸と、特定のヒドロキシアミン化合物を特定のモル比で用いるとともに、特定HLBの脂肪酸ポリエチレングリコールを組合わせることにより、前記課題を解決した睫毛・眉毛用水中油型化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ステアリン酸、
(B)一般式(1)
【0007】
【0008】
(式中、R1、R2、R3は、炭素数1~5のアルキル基又は炭素数1~5のヒドロキシアルキル基を示し、R1、R2、R3の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である)
で表されるヒドロキシアミン化合物、
(C)HLB11~18の脂肪酸ポリエチレングリコール
を含有し、成分(B)に対する成分(A)のモル比(A)/(B)が、1.1~5.5である睫毛・眉毛用水中油型化粧料に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の睫毛・眉毛用水中油型化粧料は、睫毛に塗布したときに付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)のステアリン酸の含有量は、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力に優れ、塗布時の滑らかさの観点から、全組成中に1~7質量%であるのが好ましく、2~6質量%がより好ましく、3~5質量%がさらに好ましい。
【0011】
本発明においては、成分(A)以外の脂肪酸を含有することができる。
かかる脂肪酸としては、ステアリン酸以外で、炭素数炭素数14~22の直鎖状又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
成分(A)以外の脂肪酸は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、眉毛や睫毛への付着性の観点から、全組成中に0.01~3質量%であるのが好ましく、0.05~2.5質量%がより好ましく、0.1~2質量%がさらに好ましい。
【0012】
成分(B)のヒドロキシアミン化合物は、前記一般式(1)で表されるものであり、具体的には、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
【0013】
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力に優れ、脂肪酸塩生成と乳化物の経日安定性の観点から、全組成中に0.1~2.6質量%であるのが好ましく、0.2~2.3質量%がより好ましく、0.3~2質量%がさらに好ましい。
【0014】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)のモル比(A)/(B)は、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力の観点から、1.1~5.5であり、1.3~5が好ましく、1.5~4.5がさらに好ましい。
【0015】
成分(C)は、HLB11~18の脂肪酸ポリエチレングリコールであり、HLB15~18が好ましい。
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lipophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、ノニオン性界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。
2種以上のノニオン性界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、各ノニオン性界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
【0016】
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、ノニオン性界面活性剤XのHLB値を示す。
Wxは、HLBxの値を有するノニオン性界面活性剤Xの重量(g)を示す。
【0017】
成分(C)としては、長時間のにじみ抑制の観点から、少なくともステアリン酸ポリエチレングリコールを含むことが好ましい。
【0018】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りのダマのなさや、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間のにじみ抑制、カールキープ力の観点から、全組成中に0.1~10質量%であるのが好ましく、0.5~4質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
【0019】
本発明の睫毛・眉毛用水中油型化粧料は、さらに、(D)ガラス転移温度Tgが0~40℃のアクリル酸アルキルから選ばれるモノマーの重合体又は共重合体を含有することができる。
成分(D)の重合体又は共重合体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されないが、アクリル酸アルキルから選ばれるモノマーを含む単量体混合物を主成分とし、更に、アクリル酸アルキルモノマーから選ばれるモノマーと、これ以外のモノマーを含む単量体混合物を主成分とし、これらが乳化重合されて得られた共重合体が好ましい。
【0020】
成分(D)の重合体又は共重合体のガラス転移温度(Tg)は、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力に加え、クレンジング時に眉毛や睫毛への負荷を避けるため、35~42℃程度の水でのマスカラ剤の剥離が容易であることの観点から、0~40℃であり、10~30℃が好ましい。
【0021】
また、成分(D)の重合体又は共重合体は、これら重合体又は共重合体と水とを含むエマルションの形態を有するものを使用することができ、アクリル酸アルキル共重合体エマルションが好ましい。エマルション中の共重合体含有量(固形分)は制限されないが、20~60質量%であるのが好ましく、25~55質量%がより好ましい。
【0022】
成分(D)の重合体又は共重合体としては、例えば、
ヨドゾール GH256F(アクリル酸アルキル共重合体エマルション;ヌーリオン・ジャパン社製;Tg 20℃、ポリマー純分29%)、
ヨドゾール GH41F(アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション;ヌーリオン・ジャパン社製;Tg 5℃、ポリマー純分45%)、
ビニゾール1086WP(アクリレーツコポリマーアンモニウムエマルション、大同化成工業社製;Tg 10℃、ポリマー純分40%)等の市販品を用いることができる。
【0023】
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、睫毛のカールキープ力や眉毛の毛流れの維持、の観点から、全組成中に4~25質量%であるのが好ましく、5~23質量%がより好ましく、6~21質量%がさらに好ましい。
【0024】
本発明の睫毛・眉毛用水中油型化粧料は、さらに、(E)油剤を含有することができる。
油剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、25℃で液状のものとして、例えば、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ミネラルオイル、ポリブテン、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、スクワラン、スクワレン、ペトロラタム等の直鎖又は分岐の炭化水素油;アボガド油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、パーム油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヒマワリ油、ツバキ油、トウモロコシ油等の植物油;液状ラノリン等の動物油;ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、メトキシケイ皮酸オクチル、酢酸トコフェロール、炭酸プロピレン、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジ(カプリン酸/カプリル酸)プロパンジオール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸ポリグリセリル-2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル-2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2、オクタカプリル酸ポリグリセリル-6、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、フィトステロール脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール等のエステル油;セタノール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、ホホバアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、長鎖分岐脂肪族アルコール等の高級アルコール;ジフェニルジメチコン、ジメチルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン、トリス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン等のシリコーン油などが挙げられる。
【0025】
また、25℃で固形のワックスとして、例えば、コメヌカロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウ、ミツロウ、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、水添ホホバ油等が挙げられる。
25℃で固形のワックスとは、融点が40℃以上で水不溶のものをいう。
【0026】
成分(E)としては、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力に加え、経日の乳化安定性とマスカラ塗布後の仕上がり感の観点から、植物油、高級アルコール、ワックスから選ばれる1種以上を含むのが好ましい。また、少なくとも植物油としてオリーブ油、高級アルコールとしてベヘニルアルコール、ワックスから選ばれる1種以上又は2種以上を含むのがより好ましい。
【0027】
成分(E)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、睫毛への付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、塗布直後から睫毛の毛束感(セパレート感)とロング感が際立ち、長時間にじみにくく、カールキープ力に加え、眉毛や睫毛への塗布のしやすさや、経日の安定性の観点から、全組成中に5~30質量%であるのが好ましく、10~27質量%がより好ましく、15~25質量%がさらに好ましい。
【0028】
本発明において、水の含有量は、塗布の滑らかさや経日の乳化安定の観点から、全組成中に30~70質量%であるのが好ましく、35~65質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。
【0029】
本発明の睫毛・眉毛用水中油型化粧料は、さらに、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、粉体、繊維、水溶性溶剤、皮膜剤、無機塩、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、保湿剤、色素、香料、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤等を含有することができる。
【0030】
本発明の睫毛・眉毛用水中油型化粧料は、通常の方法に従い、各成分を均一に混合し、攪拌することにより製造することができる。
具体的には、成分(A)、(C)及び(E)を含む油相を加熱溶解させ、成分(B)を含む加熱した水相を混合、及び攪拌して乳化物を製造し、40℃まで冷却後、残りの成分(D)及び他成分を混合、及び再攪拌することにより製造するのが好ましい。
【0031】
本発明の睫毛・眉毛用水中油型化粧料は、マスカラ、マスカラ下地、マスカラトップコート、アイブロウマスカラ等とすることができる。なかでも、睫毛用化粧料が好ましく、マスカラとして好適である。
【0032】
本発明の睫毛・眉毛用水中油型化粧料は、マスカラ等に通常用いられる塗布具、例えば、繊維を針金でねじったブラシや、コーム形状、コイル形状等の塗布具、樹脂を用いてブラシ形状に成形した樹脂成形ブラシなどを用いて適用することができる。
【実施例0033】
実施例1~19、比較例1~4
表1~表2に示す組成の睫毛用水中油型化粧料(マスカラ)を製造し、睫毛への付着性、重ね塗りによるダマのなさ、セパレート感、ロング効果、長時間にじみのなさ、塗布8時間後のカールキープ力を評価した。結果を表1~表2に併せて示す。
【0034】
(製造方法)
成分(A)、(C)及び(E)を含む油相成分を混合し、90℃に加熱して溶解、均一化し、油相を得た。
次に、成分(B)を含む水相成分を90℃で加熱溶解した後、あらかじめ溶解させておいた油相をこれに添加して、ホモミキサーにより乳化させる。そして、室温まで撹拌をしながら冷却し、40℃で(D)及び残りの成分を添加し、再度攪拌する。これを所定の気密容器に充填して、目的の睫毛用水中油型化粧料(マスカラ)を得た。
【0035】
(評価方法)
女性パネラー20名により、各睫毛用水中油型化粧料(マスカラ)を睫に塗布してもらい、睫毛への付着性、重ね塗りによるダマのなさ、セパレート感、ロング効果、長時間にじみのなさ、塗布8時間後のカールキープ力について、官能評価した。結果は、以下の基準で示した。
なお、睫毛への付着性については、ブラシを使って自身の睫毛に一回塗布した時のマスカラの付着のしやすさを評価した。重ね塗りについては、最初の塗布時に5回を限度に塗り広げたときの睫毛上に形成されたマスカラの塊をダマとして評価した。また、セパレート感については、塗布により睫毛同士の付着性による毛束があるかどうか、ロング効果については、塗布により自身の睫毛が塗布前よりも長くなっているように感じるか、にじみのなさについては、塗布後~8時間で目周りの発汗や皮脂によりにじみがあるかどうか、カールキープ力については、塗布時の角度がどれだけ維持されているかという観点から評価を行った。
【0036】
(評価基準)
5;良いと答えた人数が17人以上。
4;良いと答えた人数が12~16人。
3;良いと答えた人数が8~11人。
2;良いと答えた人数が7人以下。
【0037】
【0038】
【0039】
*1:ルナック S-98(花王社製;C18:97%)、
*2:ルナック BA(花王社製;C22:90%、C20:10%)、
*3:ミリスチン酸(POFAC 1498)(SOUTHERN ACIDS INDUSTRIES SDN. BHD.社製;C14:98%)、
*4:TRIS AMINO ULTRA PC(ANGUS CHEMICAL COMPANY社製)、
*5:AMPD ULTRA PC(ANGUS CHEMICAL COMPANY社製)、
*6:AMP-ULTRA PC 1000(ANGUS CHEMICAL COMPANY社製)、
*7:トリエタノールアミン-S(大倉ケミテック社製)、
*8:NIKKOL MYS-10V(日本サーファクタント工業社製;HLB11)、
*9:NIKKOL MYS-25V(日本サーファクタント工業株社製;HLB15)、
*10:NIKKOL MYS-45V(日本サーファクタント工業社製;HLB18)、
*11:NIKKOL MYS-2V(日本サーファクタント工業社製;HLB4)、
*12:NIKKOL HCO-80(日本サーファクタント工業社製;HLB15)、
*13:クロピュア OL-LQ-(JP)(クローダジャパン社製)、
*14:NIKKOL オリーブ油(日本サーファクタント工業社製)、
*15:べヘニルアルコール 65(高級アルコール工業社製;C18:<20%、C22:65-70%)、
*16:カルコール 6850(花王社製;C16:C18=1:1)、
*17:TOWAX-1F6(K)(東亜化成社製)、
*18:ゴールデンブランド(三木化学工業社製)、
*19:パラフィンワックス155(G)(日本精蝋株社製)、
*20:ヨドゾール GH256F(アクリル酸アルキル共重合体エマルション;ヌーリオン・ジャパン社製;Tg 20℃、ポリマー純分29%)、
*21:ヨドゾール GH41F(アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション;ヌーリオン・ジャパン社製;Tg 5℃、ポリマー純分45%)、
*22:DPG-RF(ADEKA社製)、
*23:HECダイセル SE600(ダイセル社製)、
*24:ELESTAB CPN ULTRAPURE(BASF Beauty Care Solutions France SAS社製)、
*25:ディゾルビンNA2-S(Nouryon社製)、
*26:フェノキシエタノール-S(四日市合成社製)、
*27:95度合成アルコール(日本合成アルコール社製)、
*28:PE-BLACK 10F1(御国色素社製)
【0040】
処方例1(アイブロウマスカラ)
以下に示す組成の眉毛用水中油型化粧料(アイブロウマスカラ)は、実施例1~19と同様にして製造され、眉毛に塗布したときに付着性に優れ、重ね塗りしてもダマが発生しずらく、長時間にじみにくいものである。
【0041】
(成分)
ステアリン酸*1 4(質量%)
ベヘン酸*2 0.2
2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール*4 1
ステアリン酸PEG-45*10 3
オリーブ果実油 1
ベヘニルアルコール*15 2
セトステアリルアルコール*16 0.2
カルナウバロウ*17 2
ミツロウ*18 4
マイクロクリスタリンワックス
(Sonneborn,LLC社製) 2
アクリレーツコポリマー*20 15
アクリレーツコポリマーアンモニウム
(ビニゾール1086WP、大同化成工業社製;Tg 10℃、ポリマー純分40%)
15
ジプロピレングリコール*22 2
ヒドロキシエチルセルロース*23 0.3
ポリアクリル酸Na
(アロンビス AH-105X、東亞合成社製) 0.15
クロルフェネシン*24 0.2
フェノキシエタノール*26 0.6
EDTA-2Na*25 0.15
エタノール*27 1
マイカ(雲母粉SA-310、ヤマグチマイカ社製) 1
黒酸化鉄
(TAROX 合成酸化鉄 BL-100P、チタン工業社製) 0.5
黄酸化鉄
(TAROX 合成酸化鉄 LL-100P、チタン工業社製) 2
ベンガラ
(TAROX 合成酸化鉄 R-516P、チタン工業社製) 1
ベンガラ被覆雲母チタン
(CLOISONNE GOLD BASF SE社製) 5
酸化チタン
(タイペーク CR-50 COSMETIC GRADE、石原産業社製)
3
精製水 残余
合計 100