(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119626
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
A45D33/00 615F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026655
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【弁理士】
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】落合 皐汰朗
(57)【要約】
【課題】中皿を廃しつつ塗布用具を収容することができる容器を提供する。
【解決手段】内容物Cを収容する容器本体2と容器本体2に取り付けられる蓋体3とを備える容器1であって、蓋体3は、板状の天壁部31と、天壁部31の周縁部から下方に延在する筒状の外壁部32と、外壁部32よりも径方向内側において天壁部31の下面から下方に延在する第1保持腕部36と、第1保持腕部36に対向する位置において、外壁部32よりも径方向内側において天壁部31の下面から下方に延在する第2保持腕部37と、を有し、第1保持腕部36及び第2保持腕部37によりパフPを保持可能である容器1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と前記容器本体に取り付けられる蓋体とを備える容器であって、前記蓋体は、
板状の天壁部と、
前記天壁部の周縁部から下方に延在する筒状の外壁部と、
前記外壁部よりも径方向内側において前記天壁部の下面から下方に延在する第1垂直腕部及び前記第1垂直腕部から径方向内側に突出する第1爪部を備える第1保持腕部と、
前記第1保持腕部に対向する位置において、前記外壁部よりも径方向内側において前記天壁部の下面から下方に延在する第2垂直腕部及び前記第2垂直腕部から径方向内側に突出する第2爪部を備える第2保持腕部と、
を有し、前記第1保持腕部及び前記第2保持腕部により塗布用具を保持可能である容器。
【請求項2】
前記外壁部よりも径方向内側において前記天壁部の下面から下方に延在する筒状の内壁部を更に備え、
前記第1垂直腕部と前記第2垂直腕部は、前記内壁部の下端部分から下方に延在している請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第1垂直腕部及び前記第1爪部の周方向における長さは、前記第2垂直腕部及び前記第2爪部よりも短く、
前記第1爪部の径方向における長さは、前記第2爪部よりも長い請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記第1爪部と前記第2爪部の上面はそれぞれ基端側から先端側向けて下方に傾斜する傾斜面になっている請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物と塗布用具とを収容する容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、化粧料等の内容物を収容する容器においては、内容物を収容する容器本体と当該容器本体に取り付けられる蓋体との間に中皿を設け、この中皿の上にパフ等の塗布用具を載置することで、容器内に内容物に加えて塗布用具を収容することが行われていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の容器では、塗布用具を収容するための中皿を設ける必要があり、部品点数と製造コストの増加を招いていた。
【0005】
また、内容物の塗布の際には蓋体に加えて中皿を外さなければ内容物を塗布することができず、不便であった。
【0006】
本発明はこのような問題を解決することを課題とするものであって、中皿を廃しつつ塗布用具を収容することができる容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容物を収容する容器本体と前記容器本体に取り付けられる蓋体とを備える容器であって、前記蓋体は、板状の天壁部と、前記天壁部の周縁部から下方に延在する筒状の外壁部と、前記外壁部よりも径方向内側において前記天壁部の下面から下方に延在する第1垂直腕部及び前記第1垂直腕部から径方向内側に突出する第1爪部を備える第1保持腕部と、前記第1保持腕部に対向する位置において、前記外壁部よりも径方向内側において前記天壁部の下面から下方に延在する第2垂直腕部及び前記第2垂直腕部から径方向内側に突出する第2爪部を備える第2保持腕部と、を有し、前記第1保持腕部及び前記第2保持腕部により塗布用具を保持可能である容器であることを特徴とする。
【0008】
上記容器について、前記外壁部よりも径方向内側において前記天壁部の下面から下方に延在する筒状の内壁部を更に備え、前記第1垂直腕部と前記第2垂直腕部は、前記内壁部の下端部分から下方に延在していることが好ましい。
【0009】
また、上記容器について、前記第1垂直腕部及び前記第1爪部の周方向における長さは、前記第2垂直腕部及び前記第2爪部よりも短く、前記第1爪部の径方向における長さは、前記第2爪部よりも長いことが好ましい。
【0010】
また、上記容器について、前記第1爪部と前記第2爪部の上面はそれぞれ基端側から先端側向けて下方に傾斜する傾斜面になっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の容器によれば、中皿を廃しつつ塗布用具を収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る容器についての軸方向と平行な第1平面による断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る容器についての軸方向と平行かつ
図1の第1平面と垂直な第2平面による断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る容器に用いられる蓋体の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る容器の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る容器1についての軸方向と平行な第1平面による断面図である。
図2は、本発明の実施形態に係る容器1についての軸方向と平行かつ
図1の第1平面と垂直な第2平面による断面図である。なお、以下の説明において、容器1についての上方及び下方とは、それぞれ
図1及び
図2における紙面上方及び下方を示している。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る容器1は、内容物Cを収容する容器本体2と、容器本体2に取り付けられると共に塗布用具であるパフPを保持可能な蓋体3とを備えている。なお、パフP等、本実施形態に係る容器1に収容される塗布用具は、弾性変形可能なものが想定されている。
【0015】
容器本体2は、有底筒状であり、底部21と、底部21の周縁部から上方に向けて延在する筒状の周壁22を備えている。周壁22の上部は、外径が縮径した外径縮径部23になっていて、外径縮径部23の外周面には第1ねじ部24が形成されている。容器本体2に収容される内容物Cは、例えば粉体の化粧料を固形化したプレストパウダーの如き固形状の内容物Cであり、パフPに掬い取られて使用者の肌に塗布される。
【0016】
図3は、本発明の実施形態に係る容器1に用いられる蓋体3の底面図である。
図1乃至
図3に示すように、蓋体3は、板状の天壁部31と、天壁部31の周縁部から下方に延在する筒状の外壁部32と、外壁部32よりも径方向内側において天壁部31の下面から下方に延在する筒状の内壁部35と、内壁部35の下端から下方に延在する第1保持腕部36及び第2保持腕部37と、外壁部32と内壁部35との間において天壁部31の下面に当接して取り付けられた環状のシーリング材Sを備えている。
【0017】
外壁部32は、その下部は、内径が拡径した内径拡径部33になっていて、内径拡径部33の内周面には容器本体2の第1ねじ部24に螺合する第2ねじ部34が形成されている。第1ねじ部24と第2ねじ部34とを螺合させることで、蓋体3を容器本体2に取り付けることができる。蓋体3を容器本体2に取り付けた状態においては、容器本体2の周壁22の上端部が、蓋体3の下面に取り付けられているシーリング材Sに当接することにより、容器1の内部を密閉することができる。
【0018】
内壁部35は、天壁部31の下面において天壁部31の周方向に沿い連続的に形成されている。内壁部35の下端部分の対向する位置には、パフPを保持可能な第1保持腕部36及び第2保持腕部37が設けられている。
【0019】
第1保持腕部36は、内壁部35の下端部分から下方に向けて延在する第1垂直腕部36aと、第1垂直腕部36aから径方向内側に突出する第1爪部36bを備えている。第1爪部36bの上面は、基端側から先端側に向けて下方に傾斜する傾斜面になっている。
【0020】
第2保持腕部37は、第1垂直腕部36aに対向する位置において内壁部35の下端部分から下方に向けて延在する第2垂直腕部37aと、第2垂直腕部37aから径方向内側に突出する第2爪部37bを備えている。第2爪部37bの上面も、第1爪部36bの上面と同様に、基端側から先端側に向けて下方に傾斜する傾斜面になっている。
【0021】
第1垂直腕部36a及び第1爪部36bの周方向における長さは、第2垂直腕部37a及び第2爪部37bよりも短くなっている。また、第1爪部36bの径方向における長さは、第2爪部37bよりも長くなっている。
【0022】
上述した構成を備える容器1内にパフPを収容する際には、まずパフPの一端部を第1爪部36bと天壁部31との間隙、又は第2爪部37bと天壁部31との間隙のうち一方の間隙に挿入して、当該一端部が第1爪部36bと第2爪部37bのうち何れか一方に支持された状態にされる。
【0023】
次に、当該一端部が支持された状態でパフPを弾性変形させて、一端部と反対側の他端部を他方の間隙に挿入することで、パフPの両端部の下面が第1爪部36bと第2爪部37bに支持された状態になり、パフPが蓋体3に保持された状態になる。
【0024】
ここで、第1保持腕部36と第2保持腕部37の形状が異なることにより、天壁部31との間隙の形状も異なることになり、使用者は挿入しやすい方の間隙からパフPの一端部を挿入することができ、パフPの収容をスムーズに行うことができる。
【0025】
また、第1保持腕部36と第2保持腕部37は形状が異なりつつも、パフPと第1爪部36b又は第2爪部37bとの接触面積を同等のものとすることができる。これにより、パフPの保持力も同等なものにすることができるため、第1保持腕部36と第2保持腕部37のうちどちらの側からパフPを挿入したとしても、同様にパフPの安定した保持を行うことが可能になる。
【0026】
更に、第1爪部36bと第2爪部37bの上面がそれぞれ基端側から先端側向けて下方に傾斜する傾斜面になっていて、この傾斜面がパフPの挿入時にガイド面として機能する。すなわち、第1爪部36bと第2爪部37bの先端側においてはこれらと天壁部31との間隙を広く確保することでパフPの挿入をスムーズに行うことが可能になると共に、基端側では間隙が狭まることでパフPをしっかりと保持することが可能になる。
【0027】
また、筒状の内壁部35が設けられていることにより、シーリング材Sと周壁22の上端部との当接部位が、パフPが収容される領域(第1保持腕部36と第2保持腕部37の間)から隔離されていることにより、パフPに付着した内容物Cがシーリング材Sに付着して容器1の密閉性が低下することを効果的に抑制することができる。
【0028】
上述した実施形態に係る容器1によると、従来の塗布用具を収容可能な容器において用いられていた中皿を廃した構成により塗布用具を収容することができ、部品点数と製造コストの増加を防止すると共に、内容物Cの塗布時に中皿を取り外す手間を省略することができ、内容物Cの塗布を迅速に行うことが可能になる。
【0029】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、種々の変形を採用することができる。例えば、上述した実施形態に係る容器1では塗布容器としてパフPが用いられていたが、本発明においてはこれに限らず、例えば先端に弾性変形可能なスポンジ等により形成されたブラシ部を有するペンタイプの塗布用具であってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1:容器
2:容器本体
3:蓋体
21:底部
22:周壁
23:外径縮径部
24:第1ねじ部
31:天壁部
32:外壁部
33:内径拡径部
34:第2ねじ部
35:内壁部
36:第1保持腕部
36a:第1垂直腕部
36b:第1爪部
37:第2保持腕部
37a:第2垂直腕部
37b:第2爪部
C:内容物
P:パフ(塗布用具)
S:シーリング材