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特開2024-119634USB接続デバイス調整装置、調整方法、および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119634
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】USB接続デバイス調整装置、調整方法、および製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/00 20060101AFI20240827BHJP
   G06F 13/38 20060101ALI20240827BHJP
   G06F 13/14 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G06F3/00 A
G06F13/38 350
G06F13/14 330B
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026686
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】393010318
【氏名又は名称】エレコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000844
【氏名又は名称】弁理士法人クレイア特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 正和
(57)【要約】
【課題】調整パラメータの値が異なる複数のUSB接続デバイスを同時に接続して調整することのできるUSB接続デバイス調整装置、調整方法、および製造方法を提供する。
【解決手段】USB接続デバイス調整装置100は、複数のUSB接続デバイス200に固有のシリアル番号を設定するシリアル番号設定部と、複数のUSB接続デバイス200にファームウエアを書き込むファームウエア書込部と、複数のUSB接続デバイス200のそれぞれに、および/または測定器300に調整用の測定を指示し、測定結果をシリアル番号を用いて個別に受信し、複数のUSB接続デバイス200のそれぞれに、測定結果に基づき、シリアル番号を用いて個別に調整パラメータを設定する調整部130と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのUSB経路に接続された複数のUSB接続デバイスを調整する調整装置であって、
前記複数のUSB接続デバイスに固有のシリアル番号を設定するシリアル番号設定部と、
前記複数のUSB接続デバイスにファームウエアを書き込むファームウエア書込部と、
前記複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、および/または測定器に調整用の測定を指示し、前記シリアル番号に対応する測定結果を個別に受信し、前記複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、前記測定結果に基づき、前記シリアル番号を用いて個別に調整パラメータを設定する調整部と、を備える、USB接続デバイス調整装置。
【請求項2】
前記シリアル番号設定部は、設定時の年月日時分秒の数字を前記シリアル番号として設定する、請求項1に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項3】
前記測定結果をそれぞれのUSB接続デバイスから受信し、受信した前記測定結果に基づき前記それぞれのUSB接続デバイスに前記調整パラメータを設定する、請求項1に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項4】
前記測定結果をそれぞれのUSB接続デバイスに一対一で対応する測定器から受信し、受信した前記測定結果に基づき前記それぞれのUSB接続デバイスに前記調整パラメータを設定する、請求項1に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項5】
前記複数のUSB接続デバイスの調整用の測定は、共通の測定器を用いて、それぞれのUSB接続デバイスごとに順次行い、
前記測定結果を、前記共通の測定器から受信し、受信した前記測定結果に基づき前記それぞれのUSB接続デバイスに前記調整パラメータを設定する、請求項1に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項6】
さらにサーバを備え、
前記複数のUSB接続デバイスのそれぞれの前記シリアル番号、前記測定結果、および前記調整パラメータを前記サーバに保存する、請求項1に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項7】
前記調整部は、少なくとも第1の測定系を用いた調整および第2の測定系を用いた調整を行い、
前記第2の測定系を用いた調整は、前記第1の測定系を用いた調整における同一の前記シリアル番号の前記測定結果および/または前記調整パラメータを参照する、請求項1に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項8】
前記複数のUSB接続デバイスは光マウスであって、
前記調整パラメータは、光源の強さ、レンズの位置、および/または光センサの位置を調整するパラメータである、請求項1から7のいずれか1項に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項9】
前記複数のUSB接続デバイスはプリンタであって、
前記調整パラメータは、搬送ローラの速度制御パラメータである、請求項1から7のいずれか1項に記載のUSB接続デバイス調整装置。
【請求項10】
1つのUSB経路に複数のUSB接続デバイスを接続する接続工程と、
前記複数のUSB接続デバイスに固有のシリアル番号を設定するシリアル番号設定工程と、
前記複数のUSB接続デバイスにファームウエアを書き込むファームウエア書込工程と、
前記複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、および/または測定器に調整用の測定を指示し、前記シリアル番号に対応する測定結果を個別に受信し、前記複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、前記測定結果に基づき、前記シリアル番号を用いて個別に調整パラメータを設定する調整工程と、を備える、USB接続デバイス調整方法。
【請求項11】
1つのUSB経路に複数のUSB接続デバイスを接続する接続工程と、
前記複数のUSB接続デバイスに固有のシリアル番号を設定するシリアル番号設定工程と、
前記複数のUSB接続デバイスにファームウエアを書き込むファームウエア書込工程と、
前記複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、および/または測定器に調整用の測定を指示し、前記シリアル番号に対応する測定結果を個別に受信し、前記複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、前記測定結果に基づき、前記シリアル番号を用いて個別に調整パラメータを設定する調整工程と、を含む、USB接続デバイスの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USB接続デバイスの調整装置、調整方法および製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
USBデバイスおよびその調整装置、調整方法に関しては以下の発明が開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1(特開2001-144769号公報)には、USBインターフェースを介して、VIDおよびPIDが同一のデバイスが複数台、ホストコンピュータに接続されている場合でも、それらを識別可能なデバイスの制御方法が開示されている。
特許文献1に記載の発明では、USBインターフェースを介してホストコンピュータとの間で通信を行うために、製造元識別情報および機種識別情報が付与されているUSB対応デバイスにおいて、製造元識別情報および機種識別情報とは異なる機体識別情報が付与されており、機体識別情報は、ロータリースイッチ、ディップスイッチおよび不揮発性メモリ等の装置によって付与されている。
【0004】
また、特許文献2(特開2003-316720号公報)には、複数の同一の機器がUSBに接続されている場合、USB識別番号の保有、及び書き込み方式では、USBファンクションデバイス上に専用の不揮発性メモリ等を設ける必要があり、且つ同一番号が重複しないよう、USB識別番号を管理する必要が生じるとの課題に対応する情報システムが開示されている。
特許文献2に記載の情報処理システムでは、ホストコンピュータとUSB識別情報をもつ周辺装置がUSBインターフェースで接続されている情報処理システムにおいて、USB識別情報は周辺装置固有の識別子を用いる。
【0005】
また、特許文献3(特開2008-47111号公報)には、イメージ分解能を調整可能な光マウスが開示されている。
特許文献3に記載の光マウスは、入力装置であって、光センサと、ナビゲーション表面から光センサに光情報を提供するレンズと、光センサとレンズとナビゲーション表面との間の距離の1つ又は複数が、入力装置の使用中に変更されることを可能にするためのアクチュエータとを含む。
【0006】
また、特許文献4(特開2004-164632号公報)には、記憶済みのソフトウェアが誤って消去されることを防止するという機能ができるだけ単純な構成で実現されたUSBプリンタが開示されている。
特許文献4に記載のUSBプリンタは、USBプリンタに搭載したフラッシュメモリ25を2つの領域に分け、これらの領域を、ホスト11が有するUSBマスストレージクラスドライバのSCSIコマンドセットに定義された論理ユニット番号に対応し、データの読み出し、書き込み及び削除を実行可能なディスク領域と、読み出しのみ実行可能なCD-ROM領域とに分けてコントローラ21が管理する。この結果、コントローラ21は、ホスト11からたとえCD-ROM領域に対する書き込み指令や削除指令が発行されたとしても、その指令を実行しない。したがって、CD-ROM領域のソフトウェアは誤って消去されることはない。
【0007】
また、特許文献5(特開2012-88914号公報)には、搬送量を適切に補正することのできる印刷装置の製造方法が開示されている。
特許文献5に記載の印刷装置の製造方法は、所定方向に媒体を搬送し、画像を形成する印刷装置の製造方法であって、媒体に形成されたパターンを所定方向と交差する交差方向に挟み込むスケールであって所定方向に並ぶ目盛りが形成されたスケールを複数配置することと、所定方向におけるパターンの位置と複数のスケールの目盛りとを取得することと、複数のスケールの目盛りに基づいて、パターンが配置された位置における仮想的な目盛りを求めることと、仮想的な目盛りとパターンの位置とに基づいて、パターンを形成した印刷装置による媒体の搬送量の補正値を求めることと、補正値を印刷装置の記憶装置に記憶することと、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001-144769号公報
【特許文献2】特開2003-316720号公報
【特許文献3】特開2008-47111号公報
【特許文献4】特開2004-164632号公報
【特許文献5】特開2012-88914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
USBに接続されるマウスにおいては、光源の強さ、レンズの位置、センサの位置などの調整パラメータをホストからUSB経路を介して設定することができる。
また、USBに接続されるプリンタにおいても、フィードローラモータ、紙送りローラモータ、印字ヘッド駆動モータ等から構成されるアクチュエータの調整パラメータをホストからUSB経路を介して調整することができる。
その他、多くのUSB接続デバイスが調整パラメータを備えている。
【0010】
これらのUSB接続デバイスは、製造工程の最終段階において、製品毎に個別に必要な測定を行い、測定結果に基づいて調整パラメータを設定して出荷されている。製造されたばかりのUSB接続デバイスは、製品ごとにばらつきがあるため、製造工程の最終段階において調整パラメータの設定を製品毎に行う必要があるためである。
USB接続デバイスは、一般に、自己のベンダーID(VendorID)とプロダクトID(ProductID)とシリアル番号(Serial Number)とを設定することができる。
しかし、マウスまたはプリンタなどのUSB接続デバイスでは、自己のベンダーIDとプロダクトIDとは設定されていても、シリアル番号は設定されておらず、したがって、同一機種のUSB接続デバイスのそれぞれを個別に識別することができなかった。このため、複数台のUSB接続デバイスを調整する場合、1台ずつ順次USB経路に接続して必要な測定を行い、測定結果に基づいて調整パラメータを設定する必要があった。
【0011】
特許文献1に記載の発明では、USB対応デバイスにロータリースイッチ、ディップスイッチおよび不揮発性メモリ等の装置によって機体識別情報を付与し、付与されるハードウエアデバイスドライバが同一である同一機種のデバイスが複数台プラグインされていても、確実に、通信先のデバイスを指定できる。しかし、特許文献1には同一機種のデバイスの製造工程における調整方法に関しては記載されていない。
【0012】
特許文献2に記載の発明では、シリアル番号が記録されていないUSB対応記録装置(インクジェットカラープリンタ等)に対して、記録装置が有する記録ヘッド内部に記憶されたシリアルナンバ等、装置が持つモジュール固有の番号をUSBデバイスIDとして用いている。しかし、特許文献2にも同一機種の記録装置の製造工程における調整方法に関しては記載されていない。
【0013】
特許文献3に記載の発明では、光マウスのレンズおよび光センサの距離を変更する第1および第2のアクチュエータのパラメータを光マウスの使用中に変更することが記載されている。しかし、光マウスの製造工程における調整方法に関しては記載されていない。
【0014】
特許文献4に記載の発明では、フィードローラモータ、紙送りローラモータ、印字ヘッド駆動モータ等から構成されるアクチュエータを適切に動作させることにより、印刷用紙の位置及び印字ヘッドの位置関係を調整して所望の印刷結果が得られるようにすることが記載されているが、USBプリンタの製造工程における調整方法に関しては記載されていない。
【0015】
特許文献5に記載の発明では、印刷装置でテストシートを印刷し、印刷したテストシートをスキャナで読み取らせ、スキャナで読み取った画像データを解析し、補正値を算出してプリンタのメモリに記憶させる。
この場合、印刷装置がUSBプリンタの場合には、同一機種のUSBプリンタはUSB接続時に互いに区別できないため、従来は1台ごとに印刷、読み取り、補正値の記憶を行う必要があった。
【0016】
本発明の主な目的は、USB接続デバイスの製造工程において、作業効率に優れたUSB接続デバイス調整装置、USB接続デバイス調整方法およびUSBデバイスの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、互いに特性が異なり、製造工程での調整段階において、調整パラメータの値が異なるUSB接続デバイスに対して、複数のUSB接続デバイスを同時に接続して調整することのできるUSB接続デバイス調整装置、USB接続デバイス調整方法およびUSBデバイスの製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、品質保証に優れたUSB接続デバイス調整装置、USB接続デバイス調整方法およびUSBデバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
(1)
一局面に従うUSB接続デバイス調整装置は、1つのUSB経路に接続された複数のUSB接続デバイスを調整する調整装置であって、複数のUSB接続デバイスに固有のシリアル番号を設定するシリアル番号設定部と、複数のUSB接続デバイスにファームウエアを書き込むファームウエア書込部と、複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、および/または測定器に調整用の測定を指示し、シリアル番号に対応する測定結果を個別に受信し、複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、測定結果に基づき、シリアル番号を用いて個別に調整パラメータを設定する調整部と、を備える。
【0018】
USBメモリの場合、もともと不揮発性のメモリーが含まれているため、個別のUSBメモリごとにシリアル番号を設定することが比較的容易である。
しかし、USBマウスや比較的小規模のUSBプリンタの場合、従来は、USBコントローラを構成するマイコンに不揮発性メモリが含まれていないため、製造元識別情報および機種識別情報は設定され得たとしても、互いに重複することのないシリアル番号は設定されていなかった。特許文献1および2は、そのために、USBコントローラ以外の部分、例えば、ロータリースイッチ、ディップスイッチおよび不揮発性メモリ等、あるいは、装置が持つモジュール固有の番号等をシリアル番号として用いている。
【0019】
しかし、近年、不揮発性メモリ乃至不揮発性メモリ内蔵マイコンの低価格化に伴い、マウスなどのUSB接続デバイスに不揮発性メモリを搭載することが容易になった。また、特許文献3乃至5のUSB接続デバイスのように、アクチュエータを搭載し、アクチュエータの調整パラメータの保存用として不揮発性メモリを使用するUSB接続デバイスも多くなった。したがって、近年、USB接続デバイスにおいて、内蔵する不揮発性メモリにシリアル番号を設定することの障壁は低下しつつある。
一局面に従うUSB接続デバイス調整装置は、このような背景のもと、シリアル番号を設定可能な複数のUSB接続デバイスに、互いに重複することのない固有のシリアル番号を設定することで、1つのUSB経路に接続された複数の同一機種のUSB接続デバイスの中から特定のUSB接続デバイスを指定して通信することができるようにした。
そして、複数の同一機種のUSB接続デバイスの中から特定のUSB接続デバイスを指定して通信することによって、複数の同一機種のUSB接続デバイスの特性を並行してまたは連続的に測定し、測定結果に基づき調整パラメータを並行してまたは連続的に設定することで、USB接続デバイスの調整効率を大幅に向上させた。
【0020】
(2)
第2の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面に従うUSB接続デバイス調整装置において、シリアル番号設定部は、設定時の年月日時分秒の数字をシリアル番号として設定してもよい。
【0021】
USB接続デバイスに設定時の年月日時分秒の数字をBCD(2進化10進数)で表現したものをシリアル番号として設定することにより、簡単でかつ確実に、互いに重複することのないシリアル番号を設定することができる。
【0022】
(3)
第3の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面または第2の発明に従うUSB接続デバイス調整装置において、測定結果をそれぞれのUSB接続デバイスから受信し、受信した測定結果に基づきそれぞれのUSB接続デバイスに調整パラメータを設定してもよい。
【0023】
USB接続デバイスによっては、例えばマウスの光センサなどのようにUSB接続デバイス自体が測定機能を備えている場合がある。この場合には、測定結果をそれぞれのUSB接続デバイス自体から受信し、受信した測定結果に基づきそれぞれのUSB接続デバイスに調整パラメータを設定することができる。
【0024】
(4)
第4の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面または第2の発明に従うUSB接続デバイス調整装置において、測定結果をそれぞれのUSB接続デバイスに一対一で対応する測定器から受信し、受信した測定結果に基づきそれぞれのUSB接続デバイスに調整パラメータを設定してもよい。
【0025】
測定結果を、それぞれのUSB接続デバイス自体からではなく、それぞれのUSB接続デバイスに一対一で対応する測定器から受信する場合には、測定器から受信した測定結果に基づきそれぞれのUSB接続デバイスに調整パラメータを設定することができる。したがって、USB接続デバイス調整装置は複数のUSB接続デバイスを並行して調整することができる。
【0026】
(5)
第5の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面または第2の発明に従うUSB接続デバイス調整装置において、複数のUSB接続デバイスの調整用の測定は、共通の測定器を用いて、それぞれのUSB接続デバイスごとに順次行い、測定結果を、共通の測定器から受信し、受信した測定結果に基づきそれぞれのUSB接続デバイスに調整パラメータを設定してもよい。
【0027】
USB接続デバイスの調整用の測定を共通の測定器を用いて行う場合には、USB接続デバイス調整装置から複数のUSB接続デバイスに順次測定用の信号発出を指示し、発出された信号を共通の測定器で測定し、測定結果に基づいて信号を発出したUSB接続デバイスに調整パラメータを設定する必要がある。
この場合には複数のUSB接続デバイスを完全に並行して調整することはできないが、測定用の信号発出の時間(例えばプリンタでテストチャートを印刷する時間)に比べて測定器が測定する時間(例えばスキャナーで印刷結果をスキャンする時間)が短ければオーバーオールの調整時間を短くすることができる。
【0028】
(6)
第6の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面から第5の発明のいずれかに従うUSB接続デバイス調整装置において、さらにサーバを備え、複数のUSB接続デバイスのそれぞれのシリアル番号、測定結果、および調整パラメータをサーバに保存してもよい。
【0029】
製品出荷後の品質保証においては、出荷されたUSB接続デバイスが、出荷前の調整時にどのようは測定結果でどのような調整パラメータが設定されたかをそれぞれのUSBデバイスごとに記録しておくことが望ましい。
従来は、製品のシリアル番号を記載したシールを作業者が製品に貼着し、設定したシリアル番号と測定結果と調整パラメータとを別途の媒体に記録する必要があった。
第6の発明に係るUSB接続デバイス調整装置では、サーバを備え、出荷前の調整直前にシリアル番号を設定し、シリアル番号と測定結果と調整パラメータとをサーバに保存することによって、製品出荷後の品質保証等においても、該当するシリアル番号の製品の出荷前の測定結果と調整パラメータとを読み出すことができる。したがって、製品の販売後に不具合が生じた場合も、製造時の製造段階における製品の状態および調整段階で行われた測定および調整のデータを確認することが可能となり、トレーサビリティにより品質保証に優れた製品とすることができる。
【0030】
また、製品によっては、出荷前に複数の測定系を用いた調整工程が必要で、かつ、後の調整工程において前の調整工程の測定値および/または調整パラメータの参照が必要な場合がある。このような場合にも、サーバーにシリアル番号、測定結果、および調整パラメータを保存しておくことで、効率よく確実に、該当するUSB接続デバイスの前の調整工程での測定値および/または調整パラメータを参照することができる。
【0031】
(7)
第7の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面から第6の発明のいずれかに従うUSB接続デバイス調整装置において、調整部は、少なくとも第1の測定系を用いた調整および第2の測定系を用いた調整を行い、第2の測定系を用いた調整は、第1の測定系を用いた調整における同一のシリアル番号の測定結果および/または調整パラメータを参照してもよい。
【0032】
USB接続デバイス調整装置が複数のUSB接続デバイスの複数の測定系を用いた調整に用いられ、かつ、後の調整工程において前の調整工程の測定値および/または調整パラメータの参照が必要な場合、第7の発明に係るUSB接続デバイス調整装置では、それぞれのUSB接続デバイスの前の調整工程の測定値および/または調整パラメータをUSB接続デバイス調整装置自体または外付けのサーバに保存し、後の調整工程においてシリアル番号に基づいて該当するUSB接続デバイス調整装置の前の調整工程における測定値および/または調整パラメータを読み出すことで、効率的に複数の調整工程を実行することができる。
【0033】
(8)
第8の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面から第7の発明のいずれかに係るUSB接続デバイス調整装置において、複数のUSB接続デバイスは光マウスであって、調整パラメータは、光源の強さ、レンズの位置、および/または光センサの位置を調整するパラメータであってもよい。
【0034】
光マウスの場合、レーザーまたはLEDなどの光源の強さを調整する必要がある。また、近年は、特許文献3に記載の光マウスのように、アクチュエータを備え、光センサとレンズとナビゲーション表面との間の距離の1つ又は複数を調整することで分解能を調整できる光マウスも市場に出ている。この場合、光マウスが備える光センサが測定器に相当するので、USB接続デバイス調整装置は、同じUSB経路に接続された複数の光マウスから個別に光センサの出力を読み出し、その結果に基づいて光源の強さ、レンズの位置、および/または光センサの位置を調整するパラメータを設定することができる。
【0035】
(9)
第9の発明に係るUSB接続デバイス調整装置は、一局面から第7の発明のいずれかに係るUSB接続デバイス調整装置において、複数のUSB接続デバイスはプリンタであって、調整パラメータは、搬送ローラの速度制御パラメータであってもよい。
【0036】
プリンタの場合は、搬送モータ、搬送ローラ、ロータリー式エンコーダ、印字ヘッド駆動モータ等から構成されるアクチュエータを適切に動作させることにより、所望の位置に印刷させることができる。しかし、プリンタ自体には印刷位置を測定する機能は備えられていないため、USB接続デバイス調整装置は、スキャナなどの測定器により印刷位置を測定し、測定された印刷位置に基づいて、印刷を行ったUSB接続プリンタのアクチュエータのパラメータを設定する必要がある。
この場合、調整するプリンタごとに調整装置とスキャナなどの測定器を備えている場合は完全に並列して調整を行うことができるが、調整装置とスキャナなどの測定器との台数が並列して調整するプリンタの台数より少ない場合は、複数のプリンタを並列して調整することができなかった。
第9の発明に係るUSB接続デバイス調整装置では、USB接続デバイス調整装置から複数のUSB接続プリンタに順次印刷するよう指示し、印刷結果を共通のスキャナなどの測定器で測定し、測定結果に基づいて印刷したシリアル番号のUSB接続プリンタに調整パラメータを設定することで、1台の調整装置と、1台または並列して調整するプリンタの台数より少ないスキャナなどの測定器で複数のプリンタを並列して調整を行うことができる。
【0037】
(10)
他の局面に従うUSB接続デバイス調整方法は、1つのUSB経路に複数のUSB接続デバイスを接続する接続工程と、複数のUSB接続デバイスに固有のシリアル番号を設定するシリアル番号設定工程と、複数のUSB接続デバイスにファームウエアを書き込むファームウエア書込工程と、複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、および/または測定器に調整用の測定を指示し、シリアル番号に対応する測定結果を個別に受信し、複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、測定結果に基づき、シリアル番号を用いて個別に調整パラメータを設定する調整工程と、を備える。
【0038】
他の局面に従うUSB接続デバイス調整方法は、一局面に従うUSB接続デバイス調整装置に対応する方法の発明であって、シリアル番号を設定可能な複数のUSB接続デバイスに、互いに重複することのないシリアル番号を設定することで、1つのUSB経路に接続された複数の同一機種のUSB接続デバイスの中から特定のUSB接続デバイスを指定して通信することができるようにし、複数の同一機種のUSB接続デバイスの中から特定のUSB接続デバイスを指定して通信することによって、複数の同一機種のUSB接続デバイスの特性を並行して測定し、測定結果に基づき調整パラメータを並行して設定することで、USB接続デバイスの調整効率を大幅に向上させることができる。
【0039】
(11)
さらに他の局面に従うUSB接続デバイスの製造方法は、1つのUSB経路に複数のUSB接続デバイスを接続する接続工程と、複数のUSB接続デバイスに固有のシリアル番号を設定するシリアル番号設定工程と、複数のUSB接続デバイスにファームウエアを書き込むファームウエア書込工程と、複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、および/または測定器に調整用の測定を指示し、シリアル番号に対応する測定結果を個別に受信し、複数のUSB接続デバイスのそれぞれに、測定結果に基づき、シリアル番号を用いて個別に調整パラメータを設定する調整工程と、を含む。
【0040】
さらに他の局面に従うUSB接続デバイスの製造方法では、USB接続デバイスの調整効率を大幅に向上させることができるため、USB接続デバイスの製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】調整システムを説明するための模式的構成図である。
図2】USB接続デバイスの個体識別情報の模式的説明図である。
図3】第1の実施形態の調整システムの模式的構成図である。
図4】第2の実施形態の調整システムの模式的構成図である。
図5】第3の実施形態の調整システムの模式的構成図である。
図6】USB接続デバイス調整装置を用いた調整方法の模式的フローチャートである。
図7】光マウスの調整パラメータの一例を示す模式的構造図である。
図8】USB接続インクジェットプリンタの調整パラメータの一例を示す模式的構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付す。また、同符号の場合には、それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さないものとする
【0043】
(USB接続デバイス調整装置100および調整システム600の構成)
図1は、USB接続デバイス調整装置100と、調整の対象となるUSB接続デバイス200a-200n、調整に用いられる測定器300a、300b、および調整結果等が保存されるサーバ400を含めた調整システム600の模式的構成図である。
図1において、USB接続デバイス調整装置100はUSB通信部110、通信部120、調整部130、制御部140、記憶部150、および表示/操作部160を備えている。
USB通信部110は調整の対象となる複数のUSB接続デバイス200a-200n(光マウス210、USBプリンタ220など)とUSB経路500を介して通信を行う。なお、図1ではUSB接続デバイス調整装置100は直接USB接続デバイス200a-200nに接続されているが、途中、USBハブ(図示せず)を介して接続されてもよい。
通信部120はイーサネット、無線LAN,Bluetooth(登録商標)など任意のネットワーク経路550を介してUSB接続デバイス200a-200nに用いられる測定器300a-300b、およびシリアル番号、測定結果、および調整パラメータをセットで記録するサーバ400に接続される。なお、測定器300がUSB接続の場合は、USB通信部110を介して接続される。
【0044】
調整部130は、USB通信部110または通信部120を介して、USB接続デバイス200および/または測定器300に測定開始を指示する。そして、測定完了後、USB接続デバイス200自体の測定値、またはUSB接続デバイス200の出力を測定する測定器300の測定値を受信し、受信した測定値に基づいて調整パラメータを決定し、決定した調整パラメータをUSB通信部110およびUSB経路500を介してUSB接続デバイス200に書き込む。なお、本形態においては、調整部130が測定値に基づく調整パラメータを決定する例を示したが、これに限らず、測定値に基づく調整パラメータの決定に関する処理は、他の外部装置(外部接続されたコンピュータ等)が行ってもよい。
制御部140は、複数のUSB接続デバイス200に、USB通信部110およびUSB経路500を介して、互いに重複することのないシリアル番号を設定するとともに、ファームウエアを書き込む。また、調整工程終了時には、サーバ400に、シリアル番号、測定結果、および調整パラメータをセットで記録する。シリアル番号については後述する。
記憶部150は、USB接続デバイス200に書き込むファームウエア、調整に必要な測定値と調整パラメータとの関係を示す情報などを記憶する。
表示/操作部160は、USB接続デバイス200の調整を行う作業者の必要とする情報の表示および作業者の操作に用いられる。
【0045】
(シリアル番号の設定)
USB接続デバイス200には、図2に示すようなID(識別番号)を備えられており、ベンダーIDはデバイスメーカーに対して個別に割り振られており、プロダクトIDはデバイスメーカーにより製品に対して個別に割り振られている。
シリアル番号は、同一の製品に対して、互いに重複しないように割り当てられた固有の通し番号である。例えばUSBメモリでは、重複しないように割り当てられたシリアル番号が設定されている。しかし、光マウス210、USBプリンタ220など、比較的小規模のUSB接続デバイス200では重複しないように割り当てられたシリアル番号が設定されていない場合が多い。
これは、従来のUSB接続デバイス200の場合、個別に識別することの効果がはっきりしなかったこと、また、重複しないシリアル番号を個別に設定するためにはUSBコントローラ自体あるいはその周辺に不揮発性メモリが必要でコストアップになったことなどが原因であった。しかし、近年、不揮発性メモリ乃至不揮発性メモリ内蔵マイコンの低価格化に伴い、光マウス210などのUSB接続デバイス200に不揮発性メモリを搭載することが容易になってきた。
一方、重複しないシリアル番号が設定されていないUSB接続デバイス200の場合、1つのUSB経路500に同一製品のUSB接続デバイス200を接続すると、それぞれのUSB接続デバイス200を個別に識別できない。したがって、複数のUSB接続デバイス200を調整する場合には、1台ずつUSB接続デバイス200をUSB経路500に接続して調整しなければならず、複数のUSB接続デバイス200を並行して調整することはできなかった。
本発明のUSB接続デバイス調整装置100では、調整を開始する前に、互いに重複することのないシリアル番号を設定することによって、それぞれのUSB接続デバイス200を個別に識別できるようにした。
【0046】
互いに重複することのないシリアル番号を設定する方法は任意であるが、例えば次のような方法が考えられる。
USB接続デバイス調整装置100で各USB接続デバイス200にシリアル番号を設定するにあたって、設定を開始する時間(年月日時分秒)をシリアル番号とする。具体的には、設定を開始する時間が2023年1月1日12時30分0秒であれば、シリアル番号を「20230101123000」とする。1台のUSB接続デバイス200にシリアル番号を設定するのに1秒以上の時間を要する場合は、1種類のUSB接続デバイス製品にシリアル番号を設定するUSB接続デバイス調整装置100が1台であれば、この方法により確実に、互いに重複することのないシリアル番号をUSB接続デバイス200に設定することができる。
なお、もし1台のUSB接続デバイス200にシリアル番号を設定する時間が1秒以下である場合は例えば、さらに1/10秒単位の数字を追加すればよい。また、1種類のUSB接続デバイス製品にシリアル番号を設定するUSB接続デバイス調整装置100が複数台ある場合は、年の前に各USB接続デバイス調整装置100のIDを追加すればよい。
また、USB接続デバイス200の製造工場が複数個所に渡る場合は、製造工場を識別するための記号等をさらに追加してもよい。
【0047】
(第1の実施形態の調整システム600a)
図3に第1の実施形態の調整システム600aの模式的構成図を示す。第1の実施形態の調整システム600aは、例えば光マウス210のように調整パラメータを設定する対象(光源211、アクチュエータなど)と測定器300(光センサ213)とが調整の対象となるUSB接続デバイス200に内蔵されている場合を例示している。
この場合、USB接続デバイス調整装置100は、複数のUSB接続デバイス200(光マウス210)に光源211の強さ、アクチュエータの初期設定値などを設定して、光源211を発光させ、光センサ213で入射光の強度、分解能などを測定させ、USB経路500を通じて、複数のUSB接続デバイス200の測定結果を順次受信して、該当するシリアル番号のUSB接続デバイス200(光マウス210)に光源211の強度、レンズ212の位置、光センサ213の位置などの調整パラメータを設定する。
第1の実施形態では、測定も調整パラメータの設定もUSB接続デバイス200で行うことができるため、USB接続デバイス調整装置100は、それぞれのUSB接続デバイス200自体から測定結果を受信し、測定結果に基づいて、複数のUSB接続デバイス200に調整パラメータを設定することができる。また、複数のUSB接続デバイス200の調整をほぼ並行して個なうことができる。
【0048】
(第2の実施形態の調整システム600b)
図4に第2の実施形態の調整システム600bの模式的構成図を示す。第2の実施形態の調整システム600bは、例えばUSBプリンタ220の印刷位置の調整において、調整するUSBプリンタ220の1台ごとに1台の測定器300(スキャナ)を用意し、USBプリンタ220で印刷したテストシートを測定器300で読み取らせ、測定器300で読み取った画像データを解析し、補正値を算出してUSBプリンタ220にその補正値を調整パラメータとして設定する場合に相当する。調整パラメータとしては、例えば搬送ローラ221の搬送誤差の補正などが挙げられる。
この場合、調整するUSBプリンタ220の1台ごとに1台の測定器300を用意する必要はあるが、第1の実施形態と同様に複数のUSB接続デバイス200の調整をほぼ並行して個なうことができる。
【0049】
(第3の実施形態の調整システム600c)
図5に第3の実施形態の調整システム600cの模式的構成図を示す。第3の実施形態の調整システム600cは、複数のUSB接続デバイス200と、1台またはUSB接続デバイス200よりも少ない台数の測定器300とで構成される。例えばUSBプリンタ220の印刷位置の調整においては、調整する複数のUSB接続デバイス200(USBプリンタ220)に1台のスキャナを用意し、複数のUSB接続デバイス200ごとに印刷したテストシートを順次スキャナで読み取らせ、スキャナで読み取った画像データを解析し、補正値を算出して順次それぞれのUSBプリンタ220にその補正値を調整パラメータとして設定する場合に相当する。この場合もスキャナで読み取った画像データを解析し算出した補正値を、該当するUSB接続デバイス200に設定するためには、互いに重複することの無いシリアル番号をUSB接続デバイス200に設定しておく必要がある。
第3の実施形態では、調整するUSB接続デバイス200よりも用意する測定器300を少なくすることができるが、調整工程の効率が測定器300の測定時間で律速されるので、測定器300の測定時間が短い場合に用いることが好ましい。
【0050】
(USB接続デバイス200の調整方法のフローチャート)
図6にUSB接続デバイス調整装置100を用いたUSB接続デバイス200の調整方法の模式的フローチャートを示す。
以下、図6に沿って、各ステップについて説明する。
ステップS1:制御部140が、USB通信部110およびUSB経路500を介して、USB経路に接続した複数のUSB接続デバイス200に互いに重複することのないシリアル番号を設定する(シリアル番号設定工程)。
互いに重複することのないシリアル番号の設定方法としては、シリアル番号を設定する時刻、具体的には、年月日時間分秒をBCD(2進化10進数)で表現したものをシリアル番号として設定してもよい。この場合、製造されたUSB接続デバイス200は、1個ずつUSB接続デバイス調整装置100のUSBポートに接続することでUSB経路500に接続され、接続されたUSB接続デバイス200には順次シリアル番号が書き込まれることにより、重複することがない固有のシリアル番号が設定される。
ステップS2:制御部140が、USB通信部110およびUSB経路500を介して、USB経路に接続した複数のUSB接続デバイス200にファームウエアを書き込む(ファームウエア書込工程)。
この場合、USB接続デバイス200のそれぞれには固有のシリアル番号が設定されているが、複数のシリアル番号を指定する、または、製造元識別情報(VID)および機種識別情報(PID)のみを指定することによって、複数のUSB接続デバイスに同時にファームウエアを書き込むことができる。
【0051】
ステップS3:調整部130は、USB通信部110または通信部120を介して、USB接続デバイス200および/または測定器300に測定開始を指示する。
この場合、例えばUSB接続デバイス200が第1の実施形態の調整システム600aの光マウス210であれば、光マウス210のアクチュエータに初期設定値を設定した後、光源211に発光を指示し、光センサ213に受光を指示する。
また、USB接続デバイス200が第2の実施形態の調整システム600bまたは第3の実施形態の調整システム600cのUSBプリンタ220であれば、USBプリンタ220の搬送ローラ221などに初期値を設定した後テストシートを印刷し、印刷したテストシートをスキャナ(測定器300)で読み取らせる。
【0052】
ステップS4:調整部130は、USB通信部110または通信部120を介して、USB接続デバイス200および/または測定器300から測定結果を受信する。
この場合、例えばUSB接続デバイス200が第1の実施形態の調整システム600aの光マウス210であれば、光センサ213で測定した入射光の強度、分解能などをUSB経路500を通じて受信する。
また、USB接続デバイス200が第2の実施形態の調整システム600bまたは第3の実施形態の調整システム600cのUSBプリンタ220であれば、スキャナ(測定器300)で読み取った画像データを受信する。この場合、スキャナに画像データを解析する機能を持たせて、USB接続デバイス調整装置100は解析結果を受信してもよい。
【0053】
ステップS5:調整部130は、受信した測定結果に基づいてUSB接続デバイス200に設定すべき調整パラメータを決定する。
この場合、調整部130は、記憶部150に保存した、調整に必要な測定値と調整パラメータとの関係を示す情報を利用することができる。
ステップS6:調整部130は、USB通信部110を介して、該当するシリアル番号のUSB接続デバイス200(光マウス210、USBプリンタ220など)に調整パラメータを設定する。
なお、本実施形態におけるステップS3~ステップS6は、調整工程に相当する。
【0054】
ステップS7:調整して設定すべきパラメータが他にもある場合は、再度測定指示(ステップS3)に戻る。
ステップS8:すべてのパラメータの設定が完了した場合は、各USB接続デバイス200のシリアル番号、測定値、調整パラメータをサーバ400に保存し、調整終了とする。
【0055】
図7は、光マウス210の調整パラメータの一例を示す模式的構造図である。図7において、211は光源、212はレンズ、213は光センサ、214はマウスパッドである。光マウス210では、光源211から出た光がマウスパッド215で反射してレンズ212を通って光センサ213に入力される。この場合、光源211の強さが強すぎる場合、または弱すぎる場合、マウスパッド214の凹凸などの画像を光センサ213で正確に捉えることができなくなる。また、レンズ212および光センサ213の位置(マウスパッド214からの距離)が適切でない場合、光センサ213の画像がぼけてしまう。
このため、光マウス210の調整工程では、光源211を発光させ、光センサ213で入射光の強度、分解能などを測定させて、光センサ213の光源211の強さ、およびレンズ212と光センサ213の位置を図7の矢印方向に調整している。
【0056】
図8は、インクジェット方式のUSBプリンタ220の調整パラメータの一例を示す模式的構造図である。図8において、221は搬送ローラ、222はロータリー式エンコーダ、223は従動ローラ、224はキャリッジ、225はインクジェットのヘッド、226は排紙ローラ、227は従動ローラ、228はプラテン、Pは印刷用紙である。
搬送ローラ221はロータリー式エンコーダ222の出力から計算される速度が所定の値となるようにフィードバックされている。この場合、搬送ローラ221が真円で搬送ローラ221の回転中心が真円のちょうど中心であれば、搬送ローラ221の速度は一定でよいが、搬送ローラ221が真円でない場合、あるいは回転中心が真円の中心でない場合には、印刷用紙Pの搬送速度が一定になるように搬送ローラ221の速度制御を行う必要がある。
このため、USBプリンタ220の調整工程ではテストシートに印刷を行い、印刷後のテストシートをスキャナで読み取らせ、スキャナで読み取った画像データを解析し、補正値を算出して順次それぞれのUSBプリンタ220にその補正値を搬送ローラ221の速度制御パラメータとして設定している。
【0057】
(保存されたシリアル番号、測定値、調整パラメータの再利用)
サーバ400に保存されたシリアル番号、測定値、調整パラメータの情報は、以下のように再利用される。
まず第1に、製品出荷後の品質保証に利用することができる。
製品出荷後の品質保証においては、出荷されたUSB接続デバイス200が、出荷前の調整時にどのようは測定結果でどのような調整パラメータが設定されたかをそれぞれのUSB接続デバイス200ごとに記録しておくことが望ましい。
このような場合、従来は製品のシリアル番号を作業者が別途設定し(例えばシリアル番号を記載したシールを貼着し)、設定したシリアル番号と測定結果と調整パラメータとを記録する必要があった。
これに対して、本発明のUSB接続デバイス調整装置100では、サーバ400を備え、出荷前の調整前にシリアル番号を設定し、シリアル番号と測定結果と調整パラメータとをサーバ400に保存することによって、製品出荷後の品質保証等においても、そのシリアル番号の製品の出荷前の測定結果と調整パラメータとを読み出すことができる。
【0058】
また、USB接続デバイス200のパラメータ調整のために異なる2種類の測定系が必要な場合、まず第1の測定系で複数のUSB接続デバイス200のいくつかのパラメータ調整用の測定を行い、調整パラメータを設定した後、第2の測定系で複数のUSB接続デバイス200の残りのパラメータを調整する。この場合、第2の測定系での調整において、第1の測定系での測定結果と調整パラメータを参照して第2の測定系での調整を行う場合がある。
このような場合、本発明のUSB接続デバイス調整装置100では、第2の測定系での調整に用いられるUSB接続デバイス調整装置100が第1の測定系での調整結果を保存したサーバ400から、各USB接続デバイス200の第1の測定系での測定値、調整パラメータを入手することで、効率よく第2の測定系での調整を行うことができる。
なお、この場合は、第1の測定系での調整結果をサーバ400からではなく、第1の測定系で用いられたUSB接続デバイス調整装置100から入手するようにしてもよい。
【0059】
本発明において、USB接続デバイス調整装置100が『USB接続デバイス調整装置』に相当し、USB接続デバイス200、200a-200nが『USB接続デバイス』に相当し、調整部130が『調整部』に相当し、制御部140が『シリアル番号設定部』および『ファームウエア書込部』に相当し、測定器300、300a-300nが『測定器』に相当し、サーバ400が『サーバ』に相当し、光マウス210が『光マウス』に相当し、光源211が『光源』に相当し、レンズ212が『レンズ』に相当し、光センサ213が『光センサ』に相当し、USBプリンタ220が『プリンタ』に相当し、搬送ローラ221が『搬送ローラ』に相当する。
【0060】
本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0061】
100 USB接続デバイス調整装置
130 調整部
140 制御部
200、200a-200n USB接続デバイス
210 光マウス
211 光源
212 レンズ
213 光センサ
220 USBプリンタ
221 搬送ローラ
300、300a-300n 測定器
400 サーバ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8