(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119635
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電子機器の冷却構造
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20240827BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H05K7/20 H
G06F1/20 B
G06F1/20 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026687
(22)【出願日】2023-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲塚▼崎 遥
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AB06
5E322AB07
5E322AB11
5E322BA01
5E322BA05
5E322BB03
5E322DB10
5E322FA09
(57)【要約】
【課題】シーリング部材が隙間をより確実に封止することができ、ひいては送風機による筐体の内部の冷却効率を上げることができる電子機器の冷却構造を提供する。
【解決手段】実施形態の電子機器の冷却構造では、筐体は、送風機を収容する。筐体は、送風機に向く第1の面と、第1の面に沿う第1の方向における当該第1の面の端部から突出した第1の壁と、を有する。シーリング部材は、粘着面と第1の非粘着面とを有する。粘着面は、第1の面に接着されるとともに第1の壁から第1の方向の反対の第2の方向に離間している。第1の非粘着面は、第1の方向における粘着面の端部と第1の壁との間で第1の面に接触するとともに第1の壁に接触する。シーリング部材は、送風機と第1の面との間で圧縮されるとともに送風機と第1の壁との間で圧縮され、送風機と第1の面との間の隙間を封止するとともに送風機と第1の壁との間の隙間を封止する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、
第1の面と、前記第1の面に沿う第1の方向における当該第1の面の端部から突出した第1の壁と、を有し、前記送風機を収容し、前記第1の面が前記送風機に向く、筐体と、
前記第1の面に接着されるとともに前記第1の壁から前記第1の方向の反対の第2の方向に離間した粘着面と、前記第1の方向における前記粘着面の端部と前記第1の壁との間で前記第1の面に接触するとともに前記第1の壁に接触する第1の非粘着面と、を有し、前記送風機と前記第1の面との間で圧縮されるとともに前記送風機と前記第1の壁との間で圧縮され、前記送風機と前記第1の面との間の隙間を封止するとともに前記送風機と前記第1の壁との間の隙間を封止する、シーリング部材と、
を備える電子機器の冷却構造。
【請求項2】
前記筐体は、前記第1の壁から前記第2の方向に離間するとともに前記第1の面から突出する第2の壁と、前記第1の面から突出する第3の壁と、前記第1の面に沿うとともに前記第1の方向と直交する第3の方向に前記第3の壁から離間した位置で前記第1の面から突出した第4の壁と、を有し、
前記粘着面は、前記第1の壁と前記第2の壁との間で前記第1の面に接着され、
前記第1の非粘着面は、前記第3の壁と前記第4の壁との間で前記第1の面に接触する、
請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
【請求項3】
前記第2の壁は、前記第3の方向における前記シーリング部材の端面に接触する第2の面を有する、
請求項2に記載の電子機器の冷却構造。
【請求項4】
前記シーリング部材は、前記第2の方向における当該シーリング部材の端部と前記粘着面との間で前記第1の面に接触する第2の非粘着面を有する、
請求項2又は請求項3に記載の電子機器の冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電子機器の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の電子機器は、筐体の内部の電子部品を冷却するための送風機を有する。送風機は、例えば、筐体に設けられた排気口から気流を放出することで、発熱する電子部品の冷却を促進する。
【0003】
送風機による排気を効率良く行うため、排気を整流するシーリング部材が配置される。シーリング部材は、部品同士の隙間を封止し、送風機により生じた気流が所望の経路から外れることを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シーリング部材は、筐体の内面に貼り付けられる。このとき、シーリング部材が所望の位置に取り付けられる前に誤って他の位置に貼り付いてしまう虞がある。
【0006】
本発明の一実施形態に係る目的は、シーリング部材が隙間をより確実に封止することができ、ひいては送風機による筐体の内部の冷却効率を上げることができる電子機器の冷却構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器の冷却構造では、筐体は、送風機を収容する。筐体は、送風機に向く第1の面と、第1の面に沿う第1の方向における当該第1の面の端部から突出した第1の壁と、を有する。シーリング部材は、粘着面と第1の非粘着面とを有する。粘着面は、第1の面に接着されるとともに第1の壁から第1の方向の反対の第2の方向に離間している。第1の非粘着面は、第1の方向における粘着面の端部と第1の壁との間で第1の面に接触するとともに第1の壁に接触する。シーリング部材は、送風機と第1の面との間で圧縮されるとともに送風機と第1の壁との間で圧縮され、送風機と第1の面との間の隙間を封止するとともに送風機と第1の壁との間の隙間を封止する。
【0008】
前記電子機器の冷却構造では、筐体は、第2の壁と、第3の壁と、第4の壁とを有する。第2の壁は、第1の壁から第2の方向に離間するとともに、第1の面から突出する。第3の壁は、第1の面から突出する。第4の壁は、第1の面に沿うとともに第1の方向と直交する第3の方向に第3の壁から離間した位置で第1の面から突出する。粘着面は、第1の壁と第2の壁との間で第1の面に接着される。第1の非粘着面は、第3の壁と第4の壁との間で第1の面に接触する。
【0009】
前記電子機器の冷却構造では、第2の壁は、第3の方向におけるシーリング部材の端面に接触する第2の面を有する。
【0010】
前記電子機器の冷却構造では、シーリング部材は、第2の方向におけるシーリング部材の端部と粘着面との間で第1の面に接触する第2の非粘着面を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記態様によれば、シーリング部材により送風機と筐体との間の隙間をより確実に封止することができ、ひいては送風機により筐体の内部の冷却効率を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、一つの実施形態の電子機器の本体の内部を示す平面図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態の電子機器における、カバーを示す斜視図である。
【
図3】
図3は、上記実施形態の冷却ファンが取り付けられた筐体を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、上記実施形態のシーリング部材を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、上記実施形態の端部が折り曲げられたシーリング部材を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、上記実施形態の筐体に接着されたシーリング部材の一部を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、上記実施形態の筐体に接着されたシーリング部材の他の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
以下、添付図面を参照して、電子機器1の実施形態を詳細に説明する。以下に記載する実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用及び結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。なお、本明細書では、序数は、部品や部材を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0014】
以下、一つの実施形態に係る電子機器1の概略と構造について説明する。
図1は、一つの実施形態の電子機器1の本体の内部を示す平面図である。電子機器1は、所謂オールインワン型のパーソナルコンピュータとして構成されている。なお、電子機器1は、上記例には限定されず、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータや、クラムシェル型(ノートブック型)のパーソナルコンピュータ、映像電子機器、テレビジョン受像機、ゲーム機等であってもよい。
【0015】
図1に示されるように、電子機器1は、筐体10と、基板11と、電子部品12と、冷却ファン13と、ヒートシンク14と、ヒートパイプ15と、を備えている。冷却ファン13は、送風機の一例である。
【0016】
以下の各図では、便宜上、互いに直交する三方向が定義されている。+X方向及び-X方向は、筐体10の長手方向であり、左右方向とも称され得る。+Y方向及び-Y方向は、筐体10の短手方向であり、前後方向とも称され得る。+Z方向及び-Z方向は、筐体10の厚さ方向であり、上下方向とも称され得る。なお、本実施形態における前後左右上下のような方向を示す表現は、便宜上の呼称であり、電子機器1の位置、姿勢、及び使用態様を限定するものではない。
【0017】
筐体10は、基板11、電子部品12、冷却ファン13、ヒートシンク14、及びヒートパイプ15を収容している。筐体10は、カバー20を有する。カバー20は、他のカバーと組み合わされることで、箱型の筐体10を形成する。
【0018】
図2は、本実施形態の電子機器1におけるカバー20を示す斜視図である。
図2に示されるように、カバー20は、内面21と、端壁22と、第1の壁23と、第2の壁24と、第3の壁25と、第4の壁26と、を備えている。
【0019】
内面21は、筐体10の内面の一部を形成し、略+Z方向に向いている。言い換えると、内面21は、筐体10の内部の空間に向く。内面21に、例えば当該内面21から突出したボスを介して、基板11が取り付けられている。
【0020】
内面21は、被接着面31を有する。被接着面31は、第1の面の一例である。被接着面31は、内面21の一部であり、+Z方向及び-Z方向と略直交する平面である。なお、
図2に示されるように、被接着面31は、複数のリブにより形成され、複数の窪み又は孔が設けられても良い。内面21は、例えば、+X方向及び-X方向に延びた略長方形の面である。
【0021】
端壁22は、筐体10の外面の一部を形成する。端壁22は、被接着面31から+Y方向に離間した位置で、内面21から略+Z方向に突出している。端壁22は、+X方向及び-X方向に延びている。
【0022】
端壁22に、通気口35が設けられている。通気口35は、被接着面31から+Y方向に離間した位置で、端壁22を貫通している。このため、通気口35は、筐体10の内部と外部とを連通している。
【0023】
第1の壁23は、被接着面31の-X方向における端部から略+Z方向に突出している。-X方向は、被接着面31に沿う方向であり、第1の方向の一例である。第1の壁23は、+Y方向及び-Y方向に延びている。
【0024】
第2の壁24は、被接着面31の+X方向における端部から略+Z方向に突出している。このため、第2の壁24は、第1の壁23から+X方向に離間している。+X方向は、第2の方向の一例である。
【0025】
第2の壁24は、三つの位置合わせ面24a,24b,24cを有する。位置合わせ面24cは、第2の面の一例である。位置合わせ面24aは、-X方向に向く。このため、位置合わせ面24aは、第1の壁23に向く。位置合わせ面24bは、+Y方向に向く。位置合わせ面24cは、-Y方向に向く。位置合わせ面24b,24cは、互いに向かい合っている。位置合わせ面24aは、位置合わせ面24b,24cの間に位置している。
【0026】
第3の壁25は、被接着面31の-Y方向における端部から略+Z方向に突出している。第4の壁26は、被接着面31の+Y方向における端部から略+Z方向に突出している。このため、第4の壁26は、第3の壁25から+Y方向に離間している。+Y方向は、被接着面31に沿う方向であり、第3の方向の一例である。
【0027】
基板11は、+Z方向に向く実装面11aを有する。実装面11aには、電子部品12などの各種の電子部品が実装されている。電子部品12は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。なお、電子部品12は、上記に限定されない。
【0028】
冷却ファン13は、カバー20の内面21に取り付けられている。冷却ファン13は、通気口35から-Y方向に離間した位置に配置されている。冷却ファン13は、筐体10の内部から空気を吸引し、+Y方向に空気を流す。言い換えると、冷却ファン13は、通気口35に向かって気流を発生させる。なお、冷却ファン13は、例えば筐体10に設けられた吸気口から筐体10の外部の空気を吸引しても良い。
【0029】
冷却ファン13は、隙間Gを介して被接着面31を覆う。このため、被接着面31は、冷却ファン13に向いている。冷却ファン13は、第1の壁23と第2の壁24との間に位置している。冷却ファン13と第1の壁23との間には、隙間Gが設けられる。冷却ファン13は、例えば、第2の壁24に接触している。
【0030】
ヒートシンク14は、冷却ファン13と通気口35との間に位置する。ヒートシンク14は、例えば、複数の放熱フィンを有する。当該複数の放熱フィンは、+Y方向及び-Y方向に延びる板状に形成され、+X方向及び-X方向に隙間を介して並べられている。このため、冷却ファン13が発生させた気流は、複数の放熱フィンの間を通過することができる。
【0031】
ヒートパイプ15の一端部は、電子部品12に熱的に接続されている。ヒートパイプ15の他端部は、ヒートシンク14に熱的に接続されている。ヒートパイプ15は、電子部品12で発生した熱を一端部で受けて他端部に輸送する。
【0032】
ヒートパイプ15は、電子部品12から受けた熱をヒートシンク14へ輸送する。冷却ファン13により生じた気流が、ヒートシンク14の熱を受け取り、通気口35から筐体10の外部に放出される。このように、冷却ファン13は、電子部品12を冷却する。電子機器1は、複数のヒートパイプ15を備えても良い。
【0033】
図3は、本実施形態の冷却ファン13が取り付けられた筐体10を示す斜視図である。
図3に示すように、電子機器1は、シーリング部材40をさらに備えている。シーリング部材40は、例えば、ウレタン樹脂のような合成樹脂で作られる。シーリング部材40は、カバー20に取り付けられ、冷却ファン13とカバー20との間の隙間Gを封止する。
【0034】
図4は、本実施形態のシーリング部材40を示す斜視図である。また、
図5は、本実施形態の端部45が折り曲げられたシーリング部材40を示す斜視図である。
図4及び
図5に示されるように、シーリング部材40は、直方体状に形成される。
【0035】
シーリング部材40は、底面40a、側面40b、40c、40dを有する。底面40a、側面40b、側面40c、及び側面40dは、少なくともシーリング部材40がカバー20に取り付けられる前において、平坦に形成される。
【0036】
底面40aは、-Z方向におけるシーリング部材40の端部に設けられている。側面40bは、+X方向におけるシーリング部材40の端面である。側面40cは、-Y方向におけるシーリング部材40の端面である。側面40dは、+Y方向におけるシーリング部材40の端面である。
【0037】
底面40aは、粘着面41、第1の非粘着面42、及び第2の非粘着面43を有する。第1の非粘着面42は、-X方向における底面40aの端部に設けられている。第2の非粘着面43は、+X方向における底面40aの端部に設けられている。このため、第2の非粘着面43は、第1の非粘着面42から+X方向に離間している。粘着面41は、第1の非粘着面42と第2の非粘着面43との間に設けられている。
【0038】
第1の非粘着面42及び第2の非粘着面43は、例えば、ウレタン樹脂で作られたシーリング部材40の本体によって形成される。粘着面41は、例えば、シーリング部材40の本体に貼り付けられた両面テープにより形成される。なお、粘着面41、第1の非粘着面42、及び第2の非粘着面43は、この例に限定されない。
【0039】
シーリング部材40の少なくとも一部は、第1の壁23と第2の壁24との間に配置されている。さらに、シーリング部材40の少なくとも一部は、第3の壁25と第4の壁26との間に配置されている。
【0040】
底面40aの少なくとも一部は、被接着面31に接する。具体的には、粘着面41は、第1の壁23と第2の壁24との間において、被接着面31に接着される。粘着面41は、第1の壁23から+X方向に離間するとともに、第2の壁24から-X方向に離間している。
【0041】
第1の非粘着面42は、-X方向における粘着面41の端部と第1の壁23との間で、被接着面31に接触している。なお、第1の非粘着面42は、被接着面31に接着されていない。
【0042】
第1の非粘着面42は、第3の壁25と第4の壁26との間で、被接着面31に接触している。このため、第3の壁25と第4の壁26とは、被接着面31に接着されていない第1の非粘着面42を含むシーリング部材40の一部が+Y方向及び-Y方向に動くことを制限する。
【0043】
第2の非粘着面43は、+X方向におけるシーリング部材40の端部(側面40b)と粘着面41との間で被接着面31に接触している。なお、第2の非粘着面43は、被接着面31に接着されていない。
【0044】
側面40bは、第2の壁24の位置合わせ面24aに接触している。なお、側面40bは、位置合わせ面24aから僅かに離間していても良い。
【0045】
図6は、本実施形態の筐体10に接着されたシーリング部材40の一部を示す斜視図である。
図6に示すように、側面40cは、第2の壁24の位置合わせ面24b及び第3の壁25に接触している。側面40dは、第2の壁24の位置合わせ面24c及び第4の壁26に接触している。なお、側面40c及び側面40dは、位置合わせ面24b、位置合わせ面24c、第3の壁25、及び第4の壁26から僅かに離間していても良い。
【0046】
+Z方向及び-Z方向において、シーリング部材40の厚さは、隙間Gの長さの1.1倍~1.8倍、より具体的には1.3倍~1.6倍に設定される。+Y方向及び-Y方向において、シーリング部材40の幅は、第3の壁25と第4の壁26との間の距離よりも僅かに短く設定される。なお、シーリング部材40の寸法は、この例に限られない。
【0047】
+Z方向及び-Z方向において、第1の壁23と第2の壁24とのそれぞれの長さは、シーリング部材40の厚さよりも長い。また、第3の壁25と第4の壁26とのそれぞれの長さは、シーリング部材40の厚さよりも短い。なお、第1の壁23、第2の壁24、第3の壁25、及び第4の壁26の寸法は、これに限定されない。
【0048】
図7は、本実施形態の筐体10に接着されたシーリング部材40の他の一部を示す斜視図である。
図7に示されるように、-X方向におけるシーリング部材40の端部45は、第1の壁23に沿って+Z方向に向かって曲げられている。このため、第1の非粘着面42の一部は、第1の壁23に接触している。
【0049】
シーリング部材40は、冷却ファン13と被接着面31との間で圧縮されている。言い換えると、冷却ファン13は、シーリング部材40を被接着面31に押し付けている。このため、シーリング部材40は、冷却ファン13と被接着面31との間の隙間Gをほぼ隙間なく封止している。
【0050】
シーリング部材40の端部45は、冷却ファン13と第1の壁23との間で圧縮されている。言い換えると、冷却ファン13は、シーリング部材40の端部45を、第1の壁23に押し付けている。このため、シーリング部材40の端部45は、冷却ファン13と第1の壁23との間の隙間Gをほぼ隙間なく封止している。
【0051】
以下に、冷却ファン13のカバー20への取付方法の一例が説明される。まず、
図6に示すように、シーリング部材40の側面40bが、第2の壁24の位置合わせ面24aに突き当てられる。これにより、左右方向(±X方向)におけるシーリング部材40の位置合わせが行われる。
【0052】
さらに、シーリング部材40の側面40cが第2の壁24の位置合わせ面24bに突き当てられ、又は側面40dが位置合わせ面24cに突き当てられる。これにより、前後方向(±Y方向)におけるシーリング部材40の位置合わせが行われる。
【0053】
シーリング部材40は、当該シーリング部材40が第3の壁25及び第4の壁26の間に位置するように、位置合わせ面24aに対する傾きを調整される。第3の壁25及び第4の壁26に対するシーリング部材40の位置は、シーリング部材40が第3の壁25又は第4の壁26に接触させられることで調整されても良いし、目視で調整されても良い。
【0054】
シーリング部材40が第2の壁24に突き当てられ左右方向及び前後方向において位置合わせされている間、第2の非粘着面43が被接着面31に接触させられる。一方、粘着面41は、被接着面31から離間させられる。このため、粘着面41は、シーリング部材40の位置合わせを制限しない。
【0055】
次に、粘着面41が、被接着面31に接触させられ、被接着面31に接着される。シーリング部材40は、上述のように位置決めされているため、所望の位置で被接着面31に接着される。
【0056】
+X方向及び-X方向におけるシーリング部材40の長さは、第1の壁23と第2の壁24との間の距離よりも長い。このため、-X方向におけるシーリング部材40の端部45は、第1の壁23に乗り上げる。端部45において、シーリング部材40の底面40aは、第1の非粘着面42を有する。このため、シーリング部材40は、第1の壁23に接着されない。
【0057】
次に、シーリング部材40の端部45は、第1の非粘着面42が第1の壁23に沿うように+Z方向へ略L字形状に折り曲げられる。シーリング部材40が折り曲げられた状態で、冷却ファン13が、カバー20に取り付けられる。これにより、シーリング部材40は、冷却ファン13と被接着面31との間で圧縮されるとともに、冷却ファン13と第1の壁23との間で圧縮され、隙間Gを封止する。なお、シーリング部材40の端部45は、冷却ファン13がカバー20に取り付けられるとき、冷却ファン13によって折り曲げられても良い。
【0058】
以上の実施形態の電子機器1では、筐体10は、冷却ファン13を収容する。筐体10は、冷却ファン13に向く被接着面31と、被接着面31に沿う-X方向における当該被接着面31の端部から突出した第1の壁23と、を有する。シーリング部材40は、粘着面41と第1の非粘着面42とを有する。粘着面41は、被接着面31に接着されるとともに第1の壁23から+X方向に離間している。第1の非粘着面42は、-X方向における粘着面41の端部と第1の壁23との間で被接着面31に接触するとともに第1の壁23に接触する。シーリング部材40は、冷却ファン13と被接着面31との間で圧縮されるとともに冷却ファン13と第1の壁23との間で圧縮され、冷却ファン13と被接着面31との間の隙間Gを封止するとともに冷却ファン13と第1の壁23との間の隙間Gを封止する。
【0059】
上述の構成では、粘着面41ではなく第1の非粘着面42が、第1の壁23に接触する。例えば粘着面41が第1の壁23に接触する場合、シーリング部材40の取付作業において粘着面41の全域が被接着面31に接着される前に誤って粘着面41が第1の壁23に接着されてしまうことがある。この場合、シーリング部材40が被接着面31の所望の領域に接着されることができず、シーリング部材40が例えば被接着面31と第1の壁23との角部分から浮いてしまう虞がある。
【0060】
しかし、上述の冷却構造は、シーリング部材40が第1の壁23に接着されないため、粘着面41と第1の壁23との接着がシーリング部材40と被接着面31との接触を妨げてしまうことを抑制できる。これにより、冷却構造を備える電子機器1は、シーリング部材40により冷却ファン13と筐体10との間の隙間Gをより確実に封止することができ、ひいては冷却ファン13による筐体10の内部の冷却効率を上げることができる。
【0061】
また、本実施形態では、筐体10は、第2の壁24と、第3の壁25と、第4の壁26とを有する。第2の壁24は、第1の壁23から+X方向に離間するとともに、被接着面31から突出する。第3の壁25は、被接着面31から突出する。第4の壁26は、第3の壁25から+Y方向に離間している。粘着面41は、第1の壁23と第2の壁24との間で被接着面31に接着される。第1の非粘着面42は、第3の壁25と第4の壁26との間で被接着面31に接触する。
【0062】
上述の構成とすることで、第2の壁24が+X方向におけるシーリング部材40の位置合わせを行うことが可能であるとともに、第3の壁25及び第4の壁26が+Y方向におけるシーリング部材40の位置合わせを行うことが可能である。これにより、冷却構造を備える電子機器1は、シーリング部材40を筐体10に取り付ける作業の効率を向上させ、シーリング部材40により隙間Gをより確実に封止することができる。
【0063】
また、本実施形態では、第2の壁24は、+Y方向におけるシーリング部材40の端面である側面40dに接触する位置合わせ面24cを有する。
【0064】
上述の構成とすることで、位置合わせ面24cも、+Y方向におけるシーリング部材40の位置合わせを行うことが可能である。これにより、冷却構造を備える電子機器1は、シーリング部材40を筐体10に取り付ける作業の際に、シーリング部材40の+Y方向の位置合わせを容易にし、ひいては作業効率を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、シーリング部材40は、+X方向におけるシーリング部材40の端部と粘着面41との間で被接着面31に接触する第2の非粘着面43を有する。
【0066】
上述の構成とすることで、例えば、+X方向におけるシーリング部材40の端部である側面40bが第2の壁24に当接することで、+X方向においてシーリング部材40が位置合わせされる。+X方向におけるシーリング部材40の端部の近傍に第2の非粘着面43が設けられることで、+X方向におけるシーリング部材40の位置合わせが完了する前にシーリング部材40が誤って被接着面31に接着されてしまうことが抑制される。これにより、冷却構造を備える電子機器1は、シーリング部材40を筐体10に張り付ける作業の作業効率を向上させ、より確実に隙間Gを封止することができる。
【0067】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0068】
1 電子機器
10 筐体
11 基板
12 電子部品
13 冷却ファン
14 ヒートシンク
15 ヒートパイプ
23 第1の壁
24 第2の壁
24c 位置合わせ面
25 第3の壁
26 第4の壁
31 被接着面
40 シーリング部材
41 粘着面
42 第1の非粘着面
43 第2の非粘着面
45 端部
G 隙間
【手続補正書】
【提出日】2023-07-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、
カバーを有し、前記送風機を収容する、筐体と、
底面を有する、シーリング部材と、
を備え、
前記カバーは、前記送風機に向く第1の面と、前記第1の面に沿う第1の方向における当該第1の面の端部の一部から突出した第1の壁と、を有し、前記送風機から離間した位置に通気口が設けられ、
前記送風機は、前記第1の面及び前記第1の壁から離間して配置され、当該送風機と前記通気口との間で気流を発生させ、
前記底面は、前記第1の面に接着されるとともに前記第1の壁から前記第1の方向の反対の第2の方向に離間した粘着面と、前記第1の方向における前記底面の端部に設けられて前記第1の方向における前記粘着面の端部と前記第1の壁との間で前記第1の面に接触するとともに前記第1の壁に接触する第1の非粘着面と、を有し、
前記シーリング部材は、前記送風機と前記第1の面との間で圧縮されるとともに前記送風機と前記第1の壁との間で圧縮され、前記送風機と前記第1の面との間及び前記送風機と前記第1の壁との間の、前記送風機と前記通気口との間の前記気流の経路に連通する隙間を封止する、
電子機器の冷却構造。
【請求項2】
前記カバーは、前記第1の壁から前記第2の方向に離間するとともに前記第1の面から突出する第2の壁と、前記第1の面から突出する第3の壁と、前記第1の面に沿うとともに前記第1の方向と直交する第3の方向に前記第3の壁から離間した位置で前記第1の面から突出した第4の壁と、を有し、
前記粘着面は、前記第1の壁と前記第2の壁との間で前記第1の面に接着され、
前記第1の非粘着面は、前記第3の壁と前記第4の壁との間で前記第1の面に接触する、
請求項1に記載の電子機器の冷却構造。
【請求項3】
前記第2の壁は、前記第3の方向における前記シーリング部材の端面に接触する第2の面を有する、
請求項2に記載の電子機器の冷却構造。
【請求項4】
前記底面は、前記第2の方向における前記底面の端部に設けられるとともに前記第2の方向における前記シーリング部材の端部と前記粘着面との間で前記第1の面に接触する第2の非粘着面を有する、
請求項2又は請求項3に記載の電子機器の冷却構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の第1態様に係る電子機器の冷却構造では、筐体は、カバーを有し、送風機を収容する。シーリング部材は、底面を有する。カバーは、送風機に向く第1の面と、第1の面に沿う第1の方向における当該第1の面の端部の一部から突出した第1の壁と、を有し、送風機から離間した位置に通気口が設けられる。送風機は、第1の面及び第1の壁から離間して配置され、当該送風機と通気口との間で気流を発生させる。底面は、第1の面に接着されるとともに第1の壁から第1の方向の反対の第2の方向に離間した粘着面と、第1の方向における底面の端部に設けられて第1の方向における粘着面の端部と第1の壁との間で第1の面に接触するとともに第1の壁に接触する第1の非粘着面と、を有する。シーリング部材は、送風機と第1の面との間で圧縮されるとともに送風機と第1の壁との間で圧縮され、送風機と第1の面との間及び送風機と第1の壁との間の、送風機と通気口との間の気流の経路に連通する隙間を封止する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記電子機器の冷却構造では、カバーは、第2の壁と、第3の壁と、第4の壁とを有する。第2の壁は、第1の壁から第2の方向に離間するとともに、第1の面から突出する。第3の壁は、第1の面から突出する。第4の壁は、第1の面に沿うとともに第1の方向と直交する第3の方向に第3の壁から離間した位置で第1の面から突出する。粘着面は、第1の壁と第2の壁との間で第1の面に接着される。第1の非粘着面は、第3の壁と第4の壁との間で第1の面に接触する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
前記電子機器の冷却構造では、底面は、第2の方向における当該底面の端部に設けられるとともに第2の方向におけるシーリング部材の端部と粘着面との間で第1の面に接触する第2の非粘着面を有する。