(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011964
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/153 20210101AFI20240118BHJP
H01M 50/559 20210101ALI20240118BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240118BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20240118BHJP
H01M 50/545 20210101ALI20240118BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240118BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20240118BHJP
【FI】
H01M50/153
H01M50/559
H01M50/184 E
H01M50/342 101
H01M50/545
H01M50/586
H01M50/533
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114334
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 守伯
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC06
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH02
5H012AA04
5H012BB01
5H012CC01
5H012DD05
5H012EE04
5H012FF01
5H012GG01
5H043AA04
5H043BA11
5H043CA07
5H043CA12
5H043CA13
5H043DA03
5H043DA09
5H043EA22
5H043GA22
5H043GA28
5H043GA30
5H043JA01E
5H043JA02E
5H043JA03D
5H043KA44E
5H043KA44F
5H043KA45E
5H043LA02E
5H043LA21D
5H043LA22D
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電池密閉化および端子設置の観点から新たな電池構造を提供すること。
【解決手段】電極組立体と、前記電極組立体を収納する外装体100と、および前記外装体100を密閉するための密閉部材300と、を有する二次電池が提供される。密閉部材300は、底壁310と側壁320とを有する筒状部材であって、外装体100の外装体開口150に設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、前記電極組立体を収納する外装体と、および前記外装体を密閉するための密閉部材と、を有して成り、
前記密閉部材は、底壁と側壁とを有する筒状部材であって、前記外装体の外装体開口に設けられている、二次電池。
【請求項2】
前記密閉部材の周囲に設けられた電極端子をさらに有して成る、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記密閉部材を介して前記電極端子と前記電極組立体とが互いに電気的に接続されている、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電極端子は前記外装体開口と重なる端子開口を有し、前記端子開口に位置付けられた前記密閉部材が前記外装体開口を塞いでいる、請求項2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記電極端子と前記外装体との間に設けられた絶縁部材が、前記外装体開口を成す外装体開口縁の周囲を覆うように延在しており、
前記密閉部材の開口端の外周側に設けられた第1の突出部が、前記電極端子を介して、前記絶縁部材を圧接している、請求項2に記載の二次電池。
【請求項6】
前記底壁に溝が設けられている、請求項1に記載の二次電池。
【請求項7】
前記溝は前記底壁の外縁部に設けられている、請求項6に記載の二次電池。
【請求項8】
前記底壁は、前記二次電池の上昇したセル内圧に起因して、前記溝を基点に開裂する、請求項6に記載の二次電池。
【請求項9】
前記密閉部材の開口端の内周側壁部に第2の突出部が設けられている、請求項6に記載の二次電池。
【請求項10】
前記外装体内部において、
前記密閉部材の側壁により形作られる開口部よりも小さい貫通孔を有する絶縁部材が、前記開口部と前記貫通孔とが互いに重なるように前記密閉部材に設けられており、
前記電極組立体と電気的に接続している導電部材が、前記貫通孔を介して前記密閉部材の一部領域と接合している、請求項6に記載の二次電池。
【請求項11】
前記導電部材は、前記貫通孔を跨ぐように設けられている、請求項10に記載の二次電池。
【請求項12】
前記電極組立体と前記密閉部材とを互いに電気的に接続する導電部材は、前記密閉部材の底壁の一部領域との接合のために前記密閉部材とオーバーラップしており、
前記一部領域以外となる前記一方の主面の非オーバーラップ領域は、前記導電部材が相対的に大きくなった前記導電部材の幅広部分および/または相対的に小さくなった前記導電部材の幅狭部分によりもたらされている、請求項10に記載の二次電池。
【請求項13】
前記電極端子は前記外装体開口と重なる端子開口を有し、前記端子開口に位置付けられて前記外装体開口を塞いでいる前記密閉部材が、前記二次電池の上昇したセル内圧に起因して、前記底壁に設けられた溝を基点に前記底壁が開裂し、前記開裂した前記底壁が前記密閉部材の開口端へと移動できる、請求項2に記載の二次電池。
【請求項14】
前記側壁と前記底壁に囲まれる空間内に樹脂製の栓部材が設けられている、請求項6~13のいずれか一項に二次電池。
【請求項15】
前記外装体がカップ状部材および蓋状部材から構成されており、前記蓋状部材が前記外装体開口を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項16】
前記電極組立体の電極として、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極および負極が含まれる、請求項1~13のいずれか一項に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関する。特に、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層から成る電極組立体を備えた二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、いわゆる蓄電池ゆえ充電および放電の繰り返しが可能であり、様々な用途に用いられている。例えば、携帯電話、スマートフォンおよびノートパソコンなどのモバイル機器に二次電池が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2748539号公報
【特許文献2】特開2005-190688号公報
【特許文献3】特開2019-87477号公報
【特許文献4】特許第4605823号公報
【特許文献5】特許第5551781号公報
【特許文献6】特開2014-203626号公報
【特許文献7】特開2004-172012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池は、充放電に寄与するイオン移動のための媒体として液体の電解質が一般に使用されている。つまり、いわゆる電解液が二次電池に用いられている。そのような二次電池においては、電解液の漏出防止や電池内で発生したガスの漏出防止のために電池を密閉しておく必要がある。
【0005】
一方、二次電池は、その使用のために外部との電気接続に供する外部端子を設ける必要がある。
【0006】
本願発明者は、電池の密閉化と外部端子の設置との双方を満たすことができる電池構造について開発の余地が依然ないかを鋭意検討した。その結果、電池の密閉化および外部端子の設置との双方を満たす電池構造には依然開発の余地が残されていることを見出した。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものである。即ち、本発明の主たる目的は、電池密閉化および端子設置の観点から新たな電池構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記課題の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成された二次電池の発明に至った。
【0009】
本発明に係る二次電池は、電極組立体と、前記電極組立体を収納する外装体と、および前記外装体を密閉するための密閉部材と、を有して成り、
前記密閉部材は、底壁と側壁とを有する筒状部材であって、前記外装体の外装体開口に設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る二次電池では、電池の密閉化と外部端子設置との双方が関連する電池構成が従前に見られない構成となっているところ、安全機能が好適に奏され得る。より具体的には、セル内圧が異常上昇するなどで押圧力が発生した場合、電極端子とは異なる別個の部材を成す密閉部材が、その開裂により外装体内部のガスの解放を可能とする。これにより、意図しない電池爆発などより重大な事故を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、電極構成層を模式的に示した断面図である(
図1(A):平面積層構造、
図1(B):巻回構造)。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る二次電池の模式図である(
図2(A):断面図、
図2(B):半分割斜視図)
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る二次電池の模式図である(
図3(A):断面図、
図3(B):半分割斜視図)
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る二次電池の外装体開口が関連する構成を示す模式断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る二次電池を構成する代表的要素を示す模式図である。
【
図6】
図6は、密閉部材を示す半分割斜視図である。
【
図7】
図7は、密閉部材の側壁端部の押圧を説明するための模式的断面図である。
【
図8】
図8は、第3の突出部の幅W1と外装体開口の端部と密閉部材の側壁との間の距離W2との関係を示す模式断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る二次電池の安全機能(第2の突出部)を説明するための模式断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る二次電池の安全機能(第2の突出部)を説明するための半分割斜視図である。
【
図11】
図11は、密閉部材の底壁に溝を設けた態様を示す半分割斜視図である。
【
図12】
図12は、密閉部材の底壁に溝を設けた態様を示す模式断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の一実施形態に係る二次電池の安全機能(第3の絶縁部材)を説明するための模式図である。
【
図14】
図14は、本発明の一実施形態に係る二次電池の安全機能(第3の絶縁部材)を説明するための模式図である。
【
図15】
図15は、本発明の一実施形態に係る二次電池の安全機能(栓部材)を説明するための模式図である。
【
図16】
図16は、本発明の一実施形態に係る二次電池の安全機能(栓部材)を説明するための模式図である。
【
図17】
図17は、本発明の一実施形態に係る二次電池の安全機能(栓部材)を説明するための模式図である。
【
図18】
図18は、導電部材の接続手法を例示説明するための模式図である(
図18(A):抵抗溶接、
図18(B):超音波溶接、
図18(C):レーザ溶接)。
【
図19】
図19は、「セル内圧作用に鑑みた密閉解除機構」および「干渉作用による密閉解除機構」を説明するための模式的平面図である。
【
図20】
図20は、本発明の変更態様として二次電池の外観を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本発明の一実施形態に係る二次電池をより詳細に説明する。必要に応じて図面を参照して説明を行うものの、図面における各種の要素は、本発明の理解のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観および/または寸法比などは実物と異なり得る。
【0013】
本明細書で直接的または間接的に説明される「断面視」は、二次電池を構成する電極組立体または電極構成層の積層方向に沿って二次電池を切り取った仮想的な断面に基づいている。本明細書で直接的または間接的に説明される“厚み”の方向は、二次電池を構成する電極材の積層方向および/または巻回積層構造の巻回軸に沿う方向などに基づいている。例えばボタン型またはコイン型などの「板状に厚みを有する二次電池」でいえば、“厚み”の方向は、かかる二次電池の板厚方向に相当し得る。本明細書で用いる「平面視」または「平面視形状」とは、当該板厚方向または電池主面の法線方向・垂線方向に沿って対象物を上側または下側からみた場合の見取図に基づいている。
【0014】
本明細書で直接的または間接的に用いる“上下方向”および“左右方向”は、それぞれ図中における上下方向および左右方向に相当する。特記しない限り、同じ符号または記号は、同じ部材もしくは部位または同じ意味内容を示すものとする。ある好適な態様では、鉛直方向下向き(すなわち、重力が働く方向)が「下方向」に相当し、その逆向きが「上方向」に相当すると捉えることができる。
【0015】
本明細書で言及する各種の数値範囲は、特段の説明がふされない限り、下限および上限の数値そのものも含むことを意図している。
【0016】
[二次電池の基本構成]
本明細書でいう「二次電池」は、充電・放電の繰り返しが可能な電池のことを指している。従って、本発明に係る二次電池は、その名称に過度に拘泥されるものでなく、例えば蓄電デバイスなども対象に含まれ得る。
【0017】
本発明に係る二次電池は、正極、負極及びセパレータを含む電極構成層が積層した電極組立体を有して成る。
図1(A)および1(B)には電極組立体10を例示している。図示されるように、正極1と負極2とはセパレータ3を介して積み重なって電極構成層5を成しており、かかる電極構成層5が少なくとも1つ以上積層して電極組立体10が構成されている。
図1(A)では、電極構成層5が巻回されずに平面状に積層した平面積層構造を有している。一方、
図1(B)では、電極構成層5が巻回状に巻かれた巻回積層構造を有している。つまり、
図1(B)では、正極1、負極2および正極1と負極2との間に配置されたセパレータ3を含む電極構成層5がロール状に巻回した巻回構造を有している。二次電池ではこのような電極組立体が電解質(例えば非水電解質)と共に外装体に封入されている。なお、電極組立体の構造は必ずしも平面積層構造または巻回構造に限定されない。例えば、電極組立体は、正極、セパレータおよび負極を長いフィルム上に積層してから折りたたんだ、いわゆるスタック・アンド・フォールディング型構造を有していてもよい。
【0018】
正極は、少なくとも正極材層および正極集電体から構成されている。正極では正極集電体の少なくとも片面に正極材層が設けられている。正極材層には電極活物質として正極活物質が含まれている。例えば、電極組立体における複数の正極は、それぞれ、正極集電体の両面に正極材層が設けられているものでよいし、あるいは、正極集電体の片面にのみ正極材層が設けられているものでもよい。
【0019】
負極は、少なくとも負極材層および負極集電体から構成されている。負極では負極集電体の少なくとも片面に負極材層が設けられている。負極材層には電極活物質として負極活物質が含まれている。例えば、電極組立体における複数の負極は、それぞれ、負極集電体の両面に負極材層が設けられているものでよいし、あるいは、負極集電体の片面にのみ負極材層が設けられているものでもよい。
【0020】
正極および負極に含まれる電極活物質、即ち、正極活物質および負極活物質は、二次電池において電子の受け渡しに直接関与する物質であり、充放電、すなわち電池反応を担う正負極の主物質である。より具体的には、「正極材層に含まれる正極活物質」および「負極材層に含まれる負極活物質」に起因して電解質にイオンがもたらされ、かかるイオンが正極と負極との間で移動して電子の受け渡しが行われて充放電がなされる。正極材層および負極材層は特にリチウムイオンを吸蔵放出可能な層であってよい。つまり、本発明に係る二次電池は、非水電解質を介してリチウムイオンが正極と負極との間で移動して電池の充放電が行われる非水電解質二次電池となっていてよい。充放電にリチウムイオンが関与する場合、本発明に係る二次電池は、いわゆる“リチウムイオン電池”に相当し、正極および負極としてリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有する。
【0021】
正極材層の正極活物質は例えば粒状体から構成されるところ、粒子同士のより十分な接触と形状保持のためにバインダーが正極材層に含まれていてよい。更には、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が正極材層に含まれていてもよい。同様にして、負極材層の負極活物質は例えば粒状体から構成されるところ、粒子同士のより十分な接触と形状保持のためにバインダーが含まれていてよく、電池反応を推進する電子の伝達を円滑にするために導電助剤が負極材層に含まれていてもよい。このように、複数の成分が含有される形態ゆえ、正極材層および負極材層はそれぞれ“正極合材層”および“負極合材層”などと称すこともできる。
【0022】
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であってよい。かかる観点でいえば、正極活物質は例えばリチウム含有複合酸化物であってよい。より具体的には、正極活物質は、リチウムと、コバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄から成る群から選択される少なくとも1種の遷移金属とを含むリチウム遷移金属複合酸化物であってよい。つまり、本発明に係る二次電池の正極材層においては、そのようなリチウム遷移金属複合酸化物が正極活物質として好ましくは含まれている。例えば、正極活物質はコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、または、それらの遷移金属の一部を別の金属で置き換えたものであってよい。このような正極活物質は、単独種として含まれてよいものの、二種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
【0023】
正極材層に含まれる得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド-テトラフルオロエチレン共重合体およびポリテトラフルオロエチレンなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。正極材層に含まれる得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。
【0024】
正極材層の厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上300μm以下であってよく、例えば5μm以上200μm以下である。正極材層の厚み寸法は二次電池内部での厚みであり、任意の10箇所における測定値の平均値を採用してよい。
【0025】
負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵放出に資する物質であってよい。かかる観点でいえば、負極活物質は例えば各種の炭素材料、酸化物、および/または、リチウム合金などであってよい。
【0026】
負極活物質の各種の炭素材料としては、黒鉛(天然黒鉛および/もしくは人造黒鉛)、ハードカーボン、ソフトカーボン、ならびに/またはダイヤモンド状炭素などを挙げることができる。負極活物質の酸化物としては、酸化シリコン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛および酸化リチウムなどから成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極活物質のリチウム合金は、リチウムと合金形成され得る金属であればよく、例えば、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、Laなどの金属とリチウムとの2元、3元またはそれ以上の合金であってよい。
【0027】
負極材層に含まれる得るバインダーとしては、特に制限されるわけではないが、スチレンブタジエンゴム、ポリアクリル酸、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド系樹脂およびポリアミドイミド系樹脂から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。負極材層に含まれる得る導電助剤としては、特に制限されるわけではないが、サーマルブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラックおよびアセチレンブラック等のカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブおよび気相成長炭素繊維等の炭素繊維、銅、ニッケル、アルミニウムおよび銀等の金属粉末、ならびに、ポリフェニレン誘導体などから選択される少なくとも1種を挙げることができる。なお、負極材層には、電池製造時に使用された増粘剤成分(例えばカルボキシルメチルセルロース)に起因する成分が含まれていてもよい。
【0028】
負極材層の厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上300μm以下であってよく、例えば5μm以上200μm以下である。負極材層の厚み寸法は二次電池内部での厚みであり、任意の10箇所における測定値の平均値を採用してよい。
【0029】
正極および負極に用いられる正極集電体および負極集電体は、電池反応に起因して電極活物質で発生した電子を集めたり供給したりするのに資する部材である。このような電極集電体は、シート状の金属部材であってよい。また、電極集電体は、多孔または穿孔の形態を有していてよい。例えば、集電体は金属箔、パンチングメタル、網またはエキスパンドメタル等であってよい。正極に用いられる正極集電体は、アルミニウム、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものが好ましく、例えばアルミニウム箔であってよい。一方、負極に用いられる負極集電体は、銅、ステンレスおよびニッケル等から成る群から選択される少なくとも1種を含んだ金属箔から成るものが好ましく、例えば銅箔であってよい。
【0030】
正極集電体および負極集電体の各厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上100μm以下であってよく、例えば10μm以上70μm以下である。正極集電体および負極集電体の厚み寸法は二次電池内部での厚みであり、任意の10箇所における測定値の平均値を採用してよい。
【0031】
正極および負極に用いられるセパレータは、正負極の接触による短絡防止および電解質保持などの観点から設けられる部材である。換言すれば、セパレータは、正極と負極と間の電子的接触を防止しつつイオンを通過させる部材であるといえる。例えば、セパレータは多孔性または微多孔性の絶縁性部材であり、その小さい厚みに起因して膜形態を有している。あくまでも例示にすぎないが、ポリオレフィン製の微多孔膜がセパレータとして用いられてよい。この点、セパレータとして用いられる微多孔膜は、例えば、ポリオレフィンとしてポリエチレン(PE)のみ又はポリプロピレン(PP)のみを含んだものであってよい。更にいえば、セパレータは、“PE製の微多孔膜”と“PP製の微多孔膜”とから構成される積層体であってもよい。セパレータの表面が無機粒子コート層および/または接着層等により覆われていてもよい。セパレータの表面が接着性を有していてもよい。なお、本発明において、セパレータは、その名称によって特に拘泥されるべきでなく、同様の機能を有する固体電解質、ゲル状電解質、および/または絶縁性の無機粒子などであってもよい。
【0032】
セパレータの厚み寸法は、特に制限されるわけではないが、1μm以上100μm以下であってよく、例えば2μm以上20μm以下である。セパレータの厚み寸法は二次電池内部での厚み(特に正極と負極との間での厚み)であり、任意の10箇所における測定値の平均値を採用してよい。
【0033】
本発明の二次電池では、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層から成る電極組立体が電解質と共に外装体に封入されていてよい。電解質は有機電解質および有機溶媒などを含む“非水系”の電解質であってよく、または水を含む“水系”の電解質であってもよい。正極および負極がリチウムイオンを吸蔵放出可能な層を有する場合、二次電池は“非水系”の電解質を含むことが好ましい。すなわち、電解質が非水電解質となっていることが好ましい。電解質では電極(正極および/または負極)から放出された金属イオンが存在することになり、それゆえ、電解質は電池反応における金属イオンの移動を助力し得る。なお、電解質は液体状またはゲル状などの形態を有していてよい。
【0034】
非水電解質は、溶媒と溶質とを含む電解質である。溶媒は有機溶媒であってよい。具体的な非水電解質の有機溶媒としては、少なくともカーボネートを含んで成るものであってよい。かかるカーボネートは、環状カーボネート類および/または鎖状カーボネート類であってよい。特に制限されるわけではないが、環状カーボネート類としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)およびビニレンカーボネート(VC)から成る群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。鎖状カーボネート類としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)およびジプロピルカーボネート(DPC)から成る群から選択される少なくも1種を挙げることができる。あくまでも例示にすぎないが、非水電解質として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組合せが用いられてよく、例えばエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合物を用いてよい。また、具体的な非水電解質の溶質としては、例えば、LiPF6および/またはLiBF4などのLi塩が用いられてよい。
【0035】
二次電池の外装体は、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層が積層した電極組立体を包み込む部材である。後述するが、外装体は、非ラミネート構成を有する金属外装体であってよい。
【0036】
[本発明の二次電池の特徴]
本発明の二次電池は、電極組立体を包み込む外装体に設けられる周辺部材に関して特徴を有している。特に、二次電池の外装体開口が関連する密閉構造および外部端子構造の点で特徴を有している。
【0037】
本発明の二次電池では、電池の密閉化と外部端子設置との双方が関連する電池構成が従前に見られないものとなっている。電極組立体を包み込む外装体には、その開口部に密閉部材が設けられている。かかる二次電池の密閉部材は、外装体の開口部を介して電極組立体と電気的に接続されている。それゆえ、密閉部材は、電極端子としても機能し得る。密閉部材は、底壁と側壁とを有する筒状部材となっている。
【0038】
図2(A)および
図2(B)には、本発明の一実施形態に係る二次電池1000を断面視および半分割斜視図で示している。
図2~
図4に示されるように、二次電池の外装体100は、外装体開口150を有する。密閉部材300は外装体100の外装体開口150を封じている。
【0039】
密閉部材300によって外装体開口150が封じられているので、二次電池において電解液の漏出が防止されると共に、外装体内で発生したガスの漏出が防止される。密閉部材300は、専ら密閉化に資する部材であり、それ相応の形状を有している。具体的には、
図2~
図6に示されるように、密閉部材300は、底壁310と側壁320とを有する筒状部材となっている。密閉部材300は、「筒状」ゆえに、筒の底部分となる底壁310と、筒の側面部分となる側壁320とを有して成る。このような密閉部材ゆえ、外装体開口を好適に塞ぐことができ、電解液および/または発生ガスの漏出が好適に防止されている。
【0040】
図4に示すように、密閉部材の底壁310は、外装体開口150を形作る外装体100の主面と略平行となるように位置づけられている。底壁310は、外装体開口150の大部分を塞いでいる。密閉部材の側壁320は、底壁310を基点にして、底壁310に対して略垂直に延在している。換言すると、側壁320は、底壁310を周回するように底壁310に設けられている。側壁320は、外装体開口150を形作る外装体100の主面と略直交するように位置づけられている。
【0041】
密閉部材300は、底壁310と側壁320とによって形作られる凹部が、二次電池の外表面を成すように設けられる。換言すると、二次電池内部に向かって窪むように、密閉部材300が二次電池に設けられている。かかる密閉部材の配置では、底壁310から周回状に延在する側壁320によって形作られる密閉部材の開口部350が、二次電池の外表面側に形成される。このような形状の密閉部材300は、電池密閉化に資すると共に、好ましくは、後述するセル内圧の上昇時における安全機構にも資する。
【0042】
なお、本開示の密閉部材は、“筒状”ゆえ、中空構造を有する。つまり、密閉部材の断面視輪郭の内側領域には空間が広がっている。密閉部材の材質は、金属であってよい。つまり、密閉部材は、金属部材であってよい。金属製であって、電池の密閉化に資するものであれば、その金属の種類には特に制限はない。なお、密閉部材を外装体開口に設ける際の密閉部材の底壁開裂をより重視する場合では(設置時の底壁開裂ついては後述する)、密閉部材は、易変形性の金属材から構成されていることが好ましく、例えばアルミ合金および/または軟鋼を含んでいてよい。なお、密閉部材の底壁と側壁とは互いに同じ材質であってよい。また、密閉部材において、底壁と側壁とは互いに一体化していてよい。つまり、底壁と側壁とを備えた密閉部材が一体化物として単一パーツを成していてよい。密閉部材は、常套の金属加工法によって得ることができる。例えば、金属板等をプレス加工に付すことにより得ることができる。
【0043】
一実施形態では、密閉部材は、電極組立体に電気的に接続されている。電極組立体から延在する導電部材が密閉部材に直接的に接続されていてよく、あるいは、導電部材が密閉部材に間接的に接続されていてもよい。ある好適な態様では、密閉部材と電極組立体とが互いに電気的に接続されている。例えば、
図2に示されるように、電極組立体10から延在する導電部材400(例えば、いわゆる“タブ”)が密閉部材300に電気的と接続されている。密閉部材と電極組立体とが電気的に接続されている点から、密閉部材は、電極端子としても機能し得る。換言すると、密閉部材は、後述する電極端子の代用として使用することが可能である。つまり、密閉部材は、外部機器との接続に供する出力端子に相当し得る。
【0044】
一実施形態では、密閉部材は、外部機器との接続に供する電気取出し部分を有していてもよい。例えば、電気取出し部分は、密閉部材の側部であってよい。密閉部材を介して電極組立体から電気を取り出し易くする観点から、密閉部材の側部は、外装体開口を有する外装体表面に沿って延在する部分を有していてもよい。換言すると、密閉部材の側部は、外装体開口を有する外装体表面に沿って折り曲げられていてもよい。
図2(A)および
図2(B)に示すように、密閉部材300の側壁320は、底壁310を基点にして、当該底壁310に対して略垂直に延在しているところ、密閉部材300は、外装体開口を有する外装体表面に沿うように側壁320から延在する部分330をさらに有する。かかる密閉部材の側壁320の態様では、側壁320が外装体表面を覆うように存在するため、外部機器との接続に供し得る側壁320の面積がより大きくなる。従って、側壁320と外部機器との電気的な接続がし易くなる。
【0045】
一実施形態では、二次電池は、密閉部材とは別個の部材として電極端子を有してもよい。
図3(A)および
図3(B)には、本発明の一実施形態に係る二次電池1000を断面視および半分割斜視図で示していると共に、
図4には、外装体100の開口部(以下では「外装体開口150」とも称する)の周囲における二次電池1000の構成を断面視で示している。また、
図5は、本発明の理解を促進すべく、本発明の二次電池の特徴が関連する要素について個々に分けて示している。
図3(A)および
図3(B)に示すように、密閉部材300の周囲に電極端子200が設けられていてもよい。換言すると、一実施形態に係る二次電池1000では、外装体開口150に近位して電極端子(具体的には、正極端子または負極端子)200が配置されている。
【0046】
電極端子200は、外部機器との接続に供する出力端子に相当する。かかる電極端子200は、全体として平板状の形態を有していてよい。かかる態様の二次電池では、電極端子200に密閉部材300が付加的に設けられていると言える。より具体的には、電極端子200と組み合わされた密閉部材300が外装体100の外装体開口150を封じている。
図3に示されるように、電極組立体10から延在する導電部材400(例えば、いわゆる“タブ”)が密閉部材300を介して電極端子200に電気的と接続されている。
【0047】
上記電極端子を有する態様では、密閉部材300は、あくまでも電極端子200と異なる別個の部材に相当し、電極端子200は外部機器との接続に供する出力端子に相当する。つまり、かかる態様では、密閉部材300および電極端子200はそれぞれ異なる機能を供するように外装体100に設けられており、密閉部材300が専ら電池の密閉化のための部材として外装体開口150に配置されつつも電極端子200が外部出力端子として外装体開口150に配置されている。外装体開口が関係する二次電池の構成としては、外装体開口に電極端子が出力端子として設けられ、実質的にその出力端子を直接的に利用して外装体開口を塞ぐ構成が考えられるものの、電極端子を有する本態様では、そのような構成とはなっておらず、電池密閉化および端子設置の点で新たな電池構成となっている。
【0048】
電極端子を有する態様において電極端子は、電極組立体に電気的に接続されている。電極組立体から延在する導電部材が電極端子に直接的に接続されていてよく、あるいは、導電部材が電極端子に間接的に接続されていてもよい。ある好適な態様では、密閉部材を介して電極端子と電極組立体とが互いに電気的に接続されている。例えば、
図3に示されるように、電極組立体10から延在する導電部材400(例えば、いわゆる“タブ”)が密閉部材300を介して電極端子200に電気的と接続されている。より具体的には、電極組立体10から延在する導電部材400が密閉部材300に接続されていると共に、密閉部材300が電極端子200にも接続されていてよい。
【0049】
図4に示されるように、密閉部材の底壁310(即ち“一方の主面”)と導電部材400とが互い接合させることによって、密閉部材300と導電部材400とが互いに電気的に接続されていてよい。例えば、溶接によって密閉部材300と導電部材400とが接合されていてよい。
図4に示す態様では、密閉部材300と導電部材400とが溶接部410によって接合されている。なお、密閉部材の底壁310では、一方の主面および/または他方の主面が好ましくはフラット面となっている(
図4参照)。したがって、密閉部材の底壁310(即ち“一方の主面”)がそのようなフラット面を有する場合、かかるフラット面を介して密閉部材300と導電部材400とが互いに接続される。例えば、フラット面として供されている密閉部材300の底と導電部材400の上面とが互い溶接されていてよい。
【0050】
ある好適な電極端子を有する態様では、電極端子は外装体開口と重なる端子開口を有し、端子開口に位置付けられた密閉部材が外装体開口を塞いでいる。これは、電極端子が外装体の外装体開口と重なるように位置付けられる端子開口を有し、密閉部材が端子開口を介して外装体開口を塞ぐように設けられていることを意味している。つまり、電極端子は、その端子開口が外装体開口と重なるように配置されていると共に、その端子開口に収まるように配置されている密閉部材が外装体開口を塞ぐようになっている。
図3~
図5に示される形態でいえば、端子開口220と外装体開口150とが互いに同心となるように又は同心円を成すように電極端子200が外装体100に配置され、それにより共通化された開口部に対して密閉部材300が配置されている。
図3および
図4に示される形態から分かるように、端子開口220の内部に位置付けられた密閉部材300は、外装体開口150を形成している外装体開口縁155のレベルにまで軸方向に延在するように配置されており、密閉部材300が外装体開口の“穴”を塞ぐようになっている。このように、外部出力端子として設けられた電極端子とは別部材として端子開口に配置された密閉部材によって電池密閉化が好適に図られている。
【0051】
本発明の二次電池において、電極端子は、外部機器との接続に供する出力端子である。電極端子200は、例えば平板形態を有している(
図3参照)。換言すれば、電極端子は平板状部材であってよい。平板状の電極端子は、例えば金属円板であってよい。平板状ゆえ、電極端子は、その厚みが一定となったものであってよい。電極端子は、電気導電性を有する限り、その材質に特に制限はない。二次電池の端子材料として一般に用いられている金属材から電極端子が構成されていてもよい。例えば、電極端子は、SUS、アルミニウム、ニッケルおよび銅から成る群から選択される少なくとも1種の金属を含んで成っていてよい。電極端子材の平面視形状も特に制限はなく、円形であってよく、あるいは四角形などを含む多角形であってもよい。なお、電極端子は、外装体よりも相対的に剛性が高いものであってもよい。
【0052】
電極端子を有する態様において、本発明の二次電池では、電極端子と外装体との間に第1の絶縁部材が設けられてよい。これにより、電池電極の極性として外装体の電極極性と電極端子の極性とが互いに異なる電池設計がより容易となる。
図4には、電極端子200と外装体100との間で電池の幅方向に延在する第1の絶縁部材510が設けられている。かかる場合、電池の外周縁に相当する外装体の主面の周縁領域から内側(面方向の内側)へと延在するように第1の絶縁部材510が設けられてよい(
図4参照)。好ましくは、電極端子200と外装体100との間に設けられた第1の絶縁部材510が、外装体開口150を成す外装体開口縁155に至るまで延在している。
【0053】
外装体開口縁と密閉部材との間に第2の絶縁部材が設けられてよい。
図4に示すように、第2の絶縁部材520は、第1の絶縁部材510よりも、相対的に密閉部材300に近位に位置する。つまり、第1の絶縁部材510は、密閉部材300に対して相対的に外側に位置し、第2の絶縁部材520は密閉部材300に対して相対的に内側に位置する。この点につき、前者は外ガスケットまたは外側絶縁部材、後者は内ガスケットまたは内側絶縁体と称すこともできる。図示されるように、絶縁部材として第1の絶縁部材510と第2の絶縁部材520は互いに隣接していてよく、好ましくは互いに接していてよい(例えば、断面視にて第1の絶縁部材510の端部と、第2の絶縁部材520の端部とが少なくとも部分的に接していてよい)。
【0054】
図4に示すように、第2の絶縁部材520は、外装体開口縁155と密閉部材300との間で二次電池の厚み方向(または電極端子の厚み方向)に延在するように設けられていてよい。別の切り口で捉えると、第2の絶縁部材520は、密閉部材300の表面(例えば、側壁)に沿うように設けられていてよい。上記のような構成を採ることにより、第2の絶縁部材520は、密閉部材300と共に開口封止により好適に寄与する。つまり、密閉部材300は、第2の絶縁部材520と共に外装体開口の“穴”をより好適に塞ぐことができる。
【0055】
電極端子を有する態様において、電極端子と外装体との間に設けられた絶縁部材が、外装体開口を成す外装体開口縁の周囲を覆うように延在していてよい。換言すると、第1の絶縁部材と第2の絶縁部材とが、外装体開口を成す外装体開口縁の周囲を覆うように設けられていてよい。
図4に示すように、第1の絶縁部材510は、外装体100の一方の主面と接している。第2の絶縁部材520は、第1の絶縁部材510の端部から続くように延在し、外装体の外装体開口縁155の端面および外装体の他方の主面と接するように設けられていている。かかる構成を採ることにより、電池外部から電池内部へと繋がる通路をより長く塞ぐことができ、二次電池をより好適に密閉できる。
【0056】
一実施形態では、密閉部材は、側壁の端部の外周側に第1の突出部を有していてもよい。
図4および
図6に示すように、第1の突出部321は、密閉部材の側壁320から、密閉部材300の外側面(つまり、外周側の側面)から張り出すように設けられている。第1の突出部321は、後述する第2の突出部322とともに、側壁320の端部に平板面を形成し得る。
図4に示すように、第1の突出部321は、電極端子200に向かって突出しており、第1の突出部321および電極端子200は、互いに接している。
【0057】
一実施形態では、第1の突出部が、電極端子を介して、絶縁部材を圧接していてよい。例えば、
図4に示すように、第1の突出部321が、電極端子200を介して、第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520を圧接していてよい。ここでいう「圧接」とは、単に接しているというよりも、むしろ圧力および/または圧縮力などが加えられた状態で緊密に接している態様を指している。例えば、電極端子200を介して、第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520が第1の突出部321から圧力を受けている状態で又は第1の突出部321に抗するような抗力を伴って当該電極端子200を介して第1の突出部321に緊密に隣接している。
【0058】
同様に、電極端子200を介して第1の突出部321も第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520から圧力を受けている状態で又は第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520に抗するような抗力を伴って当該電極端子200を介して第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520に緊密に隣接している。また、そのように第1の突出部321と第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520とが電極端子200を介して圧接されている態様は、第1の突出部321が電極端子200と圧接されていると共に、第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520もまた電極端子200と圧接されているともいえる。第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520が後述する樹脂部材等となっている場合、そのような圧接に起因して、第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520が圧縮された状態となっていてよい。
【0059】
第1の突出部321による圧接は、密閉部材の側壁320の端部を押圧することによってもたらされるものであってよい。
図7(A)は、第1の突出部321が形成される前の密閉部材の状態を示す。
図7(A)に示すように、密閉部材300の側壁320の周縁部を電池内部に向かって押圧(矢印の方向)して押し潰すことによって、側壁320の端部が変形し得る。具体的には、密閉部材の側壁320の端部を押圧することによって、
図7(B)に示すように、側壁320の端部の外周側に第1の突出部321が形成され得る。また、側壁320の端部の内周側に後述する第2の突出部322が形成され得る。
【0060】
図7(B)に示すように、形成される第1の突出部321は、電極端子200と当接することになる。つまり、押圧力を受けながら形成され得る第1の突出部321と当接した電極端子200にも、上記押圧力が与えられることになる。押圧力を受けた電極端子200は、電極端子200と接する第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520を押圧し得る。結果として、第1の絶縁部材510および第2の絶縁部材520は圧接され、より好適な密閉化がもたらされ得る。
【0061】
第1の突出部321は、側壁320の端部を加締めることによって形成してもよい。加締めは、プレス加締め又はスピン加締めを用いてもよい。側壁320の周縁部を外周側および内周側に潰して押し広げる観点から、スピン加締めが好ましい。
【0062】
一実施形態では、密閉部材は、底壁と側壁とを繋ぐ部分に第3の突出部を有していてもよい。
図4に示すように、第3の突出部323は、密閉部材の底壁310と同一平面状に位置するように密閉部材300の外側面(つまり、外周側の側面)から突出し得る。かかる態様により、第1の突出部321と第3の突出部323とによって、第1の絶縁部材510および/または第2の絶縁部材520を挟持して圧接できるため、より好適な密閉化がもたらされ得る。
【0063】
第3の突出部を有する態様では、絶縁部材が第3の突出部を覆うように設けられていてよい。
図4に示すように、外装体開口の外装体開口縁155と密閉部材300との間に設けられた第2の絶縁部材520が、第3の突出部323を少なくとも部分的に覆うように設けられていてよい。かかる態様を採ることにより、絶縁部材によるシール領域がより増すことになり、より好適な密閉化に資するものとなる。
【0064】
一実施形態では、
図8に示すように、第3の突出部の幅W1は、外装体開口の外装体開口縁155と密閉部材の側壁320との間の距離W2より長くてもよい。「第3の突出部の幅」とは、密閉部材の側壁320から第3の突出部の端部までの最短離隔距離を意味する。「外装体開口の端部と密閉部材の側壁との間の距離」とは、密閉部材の側壁320から外装体開口の外装体開口縁155までの最短離隔距離を意味する。第3の突出部の幅W1が、外装体開口の端部と密閉部材の側壁との間の距離W2より長い場合、第3の突出部323と外装体100とによって第2の絶縁部材520を挟持し易くなり、より好適な密閉化に資するものとなる。
【0065】
本明細書において「絶縁部材」は、少なくとも外装体と密閉部材および/または電極端子との間に介在し、それらの間の“絶縁”に寄与する部材のことを意味している。絶縁部材は、“絶縁性”を呈すのであればその材質の種類につき特に制限はない。二次電池の絶縁材として一般に用いられる材料(即ち、二次電池にて絶縁材料として一般に用いられる材料、好ましくは二次電池の絶縁材料として封止用に一般に用いられる材料)から絶縁部材が形成されていてもよい。
【0066】
ある好適な態様において、絶縁部材は樹脂材から構成されている。つまり、絶縁部材が樹脂部材となっていてよい。絶縁部材に用いられる樹脂材は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および/またはエンジニアプラスチックなどの種類に属するものであってよい。絶縁部材の樹脂材についてより具体的に例示すれば、フッ素系樹脂のPFA樹脂が信頼性および/または成形性の点で好ましいが、これに限定されない。熱可塑性樹脂としてPE樹脂および/またはPP樹脂などのポリオレフィンが絶縁部材に含まれていてよく、エンジニアプラスチックとしてPBT樹脂、PPS樹脂および/またはLCP樹脂が絶縁部材に含まれていてよく、あるいは、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂および/またはエポキシ樹脂等が絶縁部材に含まれていてよい。なお、絶縁部材は、外装体開口と密閉部材との間の“封止”にも資する部材ゆえ、絶縁部材を「封止絶縁部材」、「封止部材」または「封止樹脂部材」などと称すこともできる。
【0067】
本発明の二次電池は、好ましくは、より安全な電池として供され易い。例えば、外装体の内圧が上昇する異常事態が発生した場合、意図しない電池爆発などより重大な事故を未然に防ぐべく、二次電池が密閉化解除の機構を好ましくは有している。つまり、過充電又は内部短絡等で電池内部の異常発熱で生じたガスによって外装体内部の圧力(本明細書では「セル内圧」とも称する)が上昇して電池が爆発する破裂事象を防止するために、かかるセル内圧が過度に上昇した時にガスを開放する機構を二次電池が備えていることが好ましい。この点、本発明の二次電池は、セル内圧が過度に上昇した際、好ましくは密閉部材がその密閉状態を解除できるようになっている。
【0068】
より具体的には、密閉部材は、好ましくは、二次電池の上昇したセル内圧に起因して、底壁が開裂できるようになっている。つまり、セル内圧が過度に上昇した際、その圧力を受けて電池の密閉状態が解除されるべく外装体(特に外装体開口)に対して密閉部材は変位できる。例えば
図9および
図10に示すように、二次電池の上昇したセル内圧から受ける外力によって、外装体開口に嵌るように設けられている密閉部材の底壁310が開裂する。好ましくは、開裂した底壁310は密閉部材300の開口部350へと移動できる。底壁310が開裂する際、溶接部410は破断し得る。
【0069】
一実施形態では、密閉部材の底壁に、底壁の他の部分よりも相対的に底壁の厚みが薄くなっている部分があってよい。つまり、密閉部材の底壁に溝が設けられていてよい。
図9(A)および
図10(A)に示すように、底壁の溝311は、底壁の他の部分よりも相対的に厚みが薄いため、強度が弱い。したがって、溝311を基点に底壁310が外力によって断裂し易くなっている。
図9(B)および
図10(B)に示すように、密閉部材の底壁310は、上昇したセル内圧に起因して、溝311を基点に開裂し易くなっており、それゆえ、二次電池の上昇したセル内圧に起因して開裂した底壁が密閉部材の開口部350へと移動し易くなる。このように、本発明の二次電池では、密閉部材の形状が特異的な形状であるがゆえ、電池を密閉および封止できると共に、好適な安全機能を付加的することができる。
【0070】
溝を設ける底壁の箇所は、特に限定されない。例えば、
図11(B)に示すように、溝311は、底壁310の主面のうち、電池の内部側に面している底壁の主面(つまり電極組立体と対向する側の主面)に設けてもよく、電池の外部側に面している底壁の主面(つまり密閉部材の開口部を通して見える主面)に設けてもよい。溝311は、底壁310を横断するように設けてもよく、
図12に示すように底壁310の一部にのみ設けて、部分的に開裂する機構としてもよい。溝311は、底壁310上を直線状および/または曲線状に設けてもよい。具体的には、
図11(A)に示すように、溝311は底壁310上にて十字状に設けてもよく、あるいは四角形、または多角形の輪郭線を成すように設けてもよい。
【0071】
一実施形態では、
図4および
図10に示すように、底壁310の外縁部に溝311が設けられていてよい。底壁310の外縁部とは、側壁320に囲まれる底壁310の領域において、相対的に側壁320に近位な底壁310の箇所を意味する。底壁310の外縁部に沿って溝311を設けることにより、溝に囲まれる底壁の領域を最大化し易くなる。かかる態様を採ることにより、上昇したセル内圧から受ける力を効率よく底壁が開裂するための圧力として利用し易くなり、底壁310がより開裂し易くなる。
【0072】
開裂した底壁の移動を予め考慮して、密閉部材300の開口端の内周側壁部に第2の突出部322が設けられていてよい(
図4参照)。かかる場合、
図10(B)に示すように、セル内圧が過度に上昇した際に、その圧力を受けて開裂した底壁310が密閉部材の開口部へと動くことができると共に、第2の突出部322で開裂した底壁310の移動を制限できる。つまり、密閉部材300の開口部へと動く底壁310が第2の突出部322に当接することで底壁310の移動が最終的に阻止され、より安全な二次電池がもたらされる。
【0073】
一実施形態では、外装体内部において、密閉部材の側壁により形作られる開口部よりも小さい貫通孔を有する絶縁部材が、上記開口部と上記貫通孔とが互いに重なるように密閉部材に設けられている。つまり、密閉部材の開口部と絶縁部材の貫通孔とが同心状に又は同心円を成すように密閉部材と絶縁部材が配置されている。電極組立体に電気的に接続している導電部材が、上記貫通孔を介して密閉部材の一部領域と接合している。かかる絶縁部材は、第1の絶縁部材および第2の絶縁部材とは別個の絶縁部材であることから、第3の絶縁部材とも称す。
【0074】
具体的には、
図13(A)および
図13(B)に示すように、第3の絶縁部材530は、貫通孔535を有する。第3の絶縁部材530は、密閉部材300と導電部材400との間に設けられている。第3の絶縁部材530は、貫通孔535が外装体開口と重なるように、密閉部材300と導電部材400との間に位置づけられている。
【0075】
第3の絶縁部材530の貫通孔535は、密閉部材の開口部350よりも相対的に小さい。具体的には、第3の絶縁部材の貫通孔535と密閉部材の開口部350とを互いに同心状配置した場合、第3の絶縁部材の貫通孔535は、密閉部材の開口部350の内周側に位置付けられる。
【0076】
図13(A)および
図13(B)に示すように、密閉部材の底壁310に溝311を有する態様の場合、第3の絶縁部材の貫通孔535は、溝311に囲まれる領域よりも相対的に小さい。
図13(A)および
図13(B)の態様では、溝311は、底壁310に円周状に設けられている。つまり、溝311は、円周状の領域を形作っている。第3の絶縁部材の貫通孔535は、上記溝311が形作る円周上の領域よりも相対的に小さくてもよい。換言すると、貫通孔535は、上記溝311が形作る円周上の領域よりも内周側に位置付けられている。別の切り口で捉えると、開裂の基点となり得る箇所(例えば、底壁の厚みが相対的に最薄の箇所)を予想して、第3の絶縁部材の貫通孔535の大きさを決めてもよい。
図13(B)に示す底壁開裂後では、第3の絶縁部材530は、開裂の基点となった箇所よりも、内周側に及んでいる。つまり、第3の絶縁部材530の貫通孔535は、開裂の基点となった箇所よりも内周側の方向に超えて延在している。かかる態様を採ることにより、導電部材400と密閉部材の底壁310との間には、第3の絶縁部材530が介在することになる。
【0077】
図13(A)に示すように、導電部材400は、第3の絶縁部材の貫通孔535を介して底壁310と電気的に接続されている。したがって、電気は
図13(A)の矢印の方向に流れることができる。つまり、側壁320-底壁310-導電部材400(電極端子を有する態様では、電極端子200-側壁320-底壁310-導電部材400)という経路で電気が流れ得る。上昇したセル内圧に起因して底壁310が開裂した場合、
図13(B)に示すように、底壁310は密閉部材300の開口部350へと移動し得る。その際、底壁310と導電部材400との接続が切断され得るため、底壁310と導電部材400との間の電気的な接続が解消される。また、側壁320と導電部材400との間には第3の絶縁部材が介在しているため、側壁320と導電部材400との間は電気的に接続されていない。電極端子を有する態様において、上昇したセル内圧に起因して底壁310が開裂した場合でも、上記と同様の理由により、導電部材400と電極端子200との間は電気的に接続されなくなり、通電されなくなる。従って、底壁開裂時に二次電池が再充放電される虞を減じ易くなり、より安全な電池として本発明の二次電池を供すことができる。なお、第3の絶縁部材は、上記のような二次電池の通電を遮断に資することから、インシュレーターまたは遮断絶縁体とも称す。
【0078】
一実施形態では、
図14に示すように、第3の絶縁部材530は、導電部材400に被覆して設けてもよい。つまり、絶縁膜として、第3の絶縁部材530を導電部材400に設けてもよい。
【0079】
一実施形態では、側壁と底壁に囲まれる空間内に樹脂製の栓部材(以後、単に栓部材とも称す)が設けられていてよい。栓部材は、樹脂製ゆえに電気絶縁性を示し得る。
図15(A)および
図15(B)に示すように、栓部材600は、密閉部材の底壁310および側壁320に囲まれる空間に配置され得る。栓部材600は、好ましくは密閉部材の開口部350に嵌め込める形状を有する。つまり、栓部材600は、密閉部材の開口部350に“栓”ができるような形状を有していてよい。具体的には、平面視において、栓部材の底部610の形状と密閉部材の開口部350が形作る形状とが、略同じ形状および大きさを有してよい。
【0080】
栓部材を設けることにより、上昇したセル内圧に起因して底壁が開裂した際、底壁が栓部材に当接することになる。当接の衝撃により、栓部材は、密閉部材の開口部へと移動し得る。ここで、栓部材は、その形状が密閉部材の開口部に嵌め込めるような形状となっているため、栓部材は密閉部材の開口部を塞ぐように位置づけられる。つまり、栓部材が開口部に栓をするように位置づけられる。これにより、密閉部材の開口部から底壁、底壁の破片、および電解液等が出ることを抑制し易くなる。
【0081】
一実施形態では、
図15(A)および
図15(B)に示すように、栓部材600は、底部610と、底部から延在する側部620とを有する器状の栓部材となっていてよい。器状の栓部材600は、栓部材の底部610と栓部材の側部620とから形作られる空間650を有する。栓部材の底部610と栓部材の側部620とから形作られる空間650は、開裂した底壁を収納可能な空間となっている。
【0082】
図16(A)に示すように、器状の栓部材600は、上記空間650が密閉部材の底壁310と対向するように位置付けられる。かかる形態を採ることにより、上昇したセル内圧に起因して開裂した底壁310(
図16(B)参照)が、器状の栓部材600に当接し得る。当接した底壁310は、上記空間650に収容され得る(
図16(C)参照)。底壁310との当接の衝撃により、栓部材600は、密閉部材の開口部350に嵌り込む(
図16(D)参照)。
図16(B)~(D)の間に、底壁310と接続されている導電部材400は底壁310から切断され得て、底壁310と導電部材400との電気的な接続は解除され得る。なお、底壁310が開裂した際、二次電池内部の内圧は、
図16(B)に示すように、二次電池内部のガス等の気体が密閉部材の側壁320と栓部材の側部620との間を通って密閉部材の開口部350から抜けることで減少し得る。このような機構により、密閉部材の開口部から底壁、底壁の破片、および電解液等が出ることを抑制し易くなる。
【0083】
一実施形態では、
図17に示すように、栓部材600とともに第3の絶縁部材530を設けてもよい。かかる態様を採ることにより、開裂した後の密閉部材の底壁310と導電部材400とが互いに電気的に接続された状態を維持している場合でも、密閉部材の底壁310は、栓部材600に収容されることにより、側壁320および/または電極端子200と電気的に絶縁される。また、密閉部材の側壁320は、第3の絶縁部材530によって導電部材400と電気的に絶縁される。したがって、底壁310が開裂した後、二次電池への通電がより遮断され易くなり、本発明の二次電池をより安全な電池として供すことができる。
【0084】
なお、栓部材は、例えば、絶縁部材に用いられる樹脂材を用いて得ることができる。
【0085】
本発明の二次電池では、電極端子および/または密閉部材は、外装体に対して設けられている。ここで、本明細書でいう「外装体」とは、正極、負極およびセパレータを含む電極構成層が積層した電極組立体を収納または包み込むための部材を意味している。例えば、外装体は、非ラミネート構成を有する金属外装体であってよい。これは、外装体が金属シート/融着層/保護層から成るようなラミネート部材などとなっていないことを意味している。本発明における外装体が、いわゆるラミネートフィルムから成るパウチに相当するソフトケース型電池の外装体とは異なっていてよいといえる。非ラミネート構成を有する金属外装体は、金属単一部材から成る構成を好ましくは有する。例えば、かかる金属外装体は、ステンレス(SUS)および/またはアルミニウムなどの金属から成る単一部材であってよい。ここでいう「金属単一部材」とは、広義には、外装体がいわゆるラミネート構成を有さないことを意味しており、狭義には、外装体が実質的に金属のみから成る部材となることを意味している。したがって、実質的に金属のみから成る部材となるのであれば、金属外装体の表面に適当な表面処理がなされていてもよい。例えば、そのような金属外装体をその厚み方向に切断した切断面においては、表面処理などが為されている部分を除き、単一の金属層を確認できる。なお、本明細書における「ステンレス」は、例えば「JIS G 0203 鉄鋼用語」に規定されているステンレス鋼のことを指しており、クロムまたはクロムとニッケルとを含有する合金鋼であってよい。ある好適な態様では、外装体は、缶形態を有していてよい(かかる場合、本明細書では「外装缶」とも称す)。
【0086】
本発明の二次電池では、外装体が主として2パーツから構成されていてよい。例えば、外装体が、金属部材の第1金属外装体および第2金属外装体と2パーツから構成されていてよい。非ラミネート構成を有する外装体の場合、第1金属外装体および第2金属外装体の各々が金属単一部材となっていてよい。本発明において、外装体は、比較的薄い厚さを有していてよい。例えば、第1金属外装体および第2金属外装体の各々は、その厚さ寸法が50μm以上200μm未満であってよく、例えば、50μm以上190μm以下、50μm以上180μm以下、あるいは、50μm以上170μm以下などであってよい。
【0087】
第1金属外装体および第2金属外装体と2パーツから構成される外装体では、第1金属外装体および第2金属外装体の一方に上述の“外装体開口”が設けられていてよい。つまり、第1金属外装体および第2金属外装体のいずれか一方に開口部が設けられており、その開口部を有する一方のサブ外装体に対して電極端子および/または密閉部材が設けられてよい。なお、金属部材の第1金属外装体と第2金属外装体とは、レーザ溶接により互いに組み合わせて外装体としてよく、あるいは、かしめ加工により互いに組み合わせて外装体としてもよい。
【0088】
第1金属外装体および第2金属外装体の一方がカップ状部材であり、第1金属外装体および第2金属外装体の他方が蓋状部材であってよい。かかる場合、例えば、蓋状部材の周縁部分を外側から溶接処理またはかしめ加工することで金属外装体同士を繋ぎ合わせてよく、それにより、比較的簡易な封入が可能となり得る。「カップ状部材」とは、胴部に相当する側壁または側面部とそれに連続する主面部(典型的な態様では、例えば底部)とを有して成り、内側に中空部が形成されるような部材を意味している。また、「蓋状部材」とは、カップ状部材に対して蓋をするように組み合わされる部材(好ましくは、カップ状部材の側壁に接してカップ状部材の内側中空部を外部から遮断するように設けられる部材)を意味している。蓋状部材は、例えば面方向(特に、カップ状部材の側壁の立設状に延在する方向に対して直交する方向)に延在する単一部材(典型的には平板状の部材)であってよく、特にカップ状部材の側壁に接するように設けられる部材であってよい。
【0089】
かかる場合、蓋状部材に上述の“外装体開口”が設けられてよい。つまり、外装体がカップ状部材100Aおよび蓋状部材100Bから構成されており、蓋状部材100Bが外装体開口150を有していてよい(
図5参照)。蓋状部材が外装体開口を備える場合、当該蓋状部材に対して電極端子および/または密閉部材が設けられる。かかる場合、蓋状部材上に電極端子および/または密閉部材を設けた組合せ体を一旦得ることができ、比較的簡易に二次電池を製造ができる。
【0090】
[本発明の二次電池の製造方法]
本発明の二次電池は、正極、負極及びセパレータを含む電極構成層が積層した電極組立体を外装体に封入することを通じて得ることができる。
【0091】
電極組立体は、常套的な手法で作製してよく、それを外装体内に配置することを通じて二次電池を得ることができる。例えば、外装体が上述のカップ状部材および蓋状部材から構成される場合、カップ状部材の内側に電極組立体を仕込むと共に蓋状部材でカップ状部材の開口端を閉じる工程を通じて二次電池を得ることができる。
【0092】
例えば、外装体の蓋状部材に対して電極端子および密閉部材を設けるに際しては、端子開口と外装体開口とが互いに重なるように電極端子と蓋状部材とを組み合わせつつ密閉部材を設けてよい。電極端子と蓋状部材との間には絶縁部材を介在させて組み合わせることが好ましい。密閉部材は、端子開口を介して外装体開口を閉じることになるように組み合わせ体に含めることができる。密閉部材を組み合わせ体に取り付けて固定するために、密閉部材の側壁の周縁部を押圧して押し潰してもよい。つまり、密閉部材の側壁の周縁部を変形させることで第1の突出部を形成し、第1の突出部が外装体を介して絶縁部材を圧接して密閉部材を固定してもよい。かかる方法を採ることにより、密閉部材と外装部材とがリベットの如く互いに締結され、好適な封止がもたらされ易い。
【0093】
また、本発明の二次電池の製造に用いられる密閉部材は、好ましくは底面(即ち、一方の主面)がフラット面となっているので、溶接処理が行い易い。つまり、フラット面として供された密閉部材の一方の主面および/または他方の主面は好適な接続処理に付し易い。より具体的には、
図18に示すように、抵抗溶接(
図18(A))、超音波溶接(
図18(B))および/またはレーザ溶接(
図18(C))などを実施して、密閉部材のフラット面と導電部材400(例えば“タブ”)とを比較的容易に接続できる。
【0094】
本発明は、種々の態様で具現化することができる。以下それについて説明する。
【0095】
(共通開口部の密閉解除)
かかる態様は、互いに同心状配置の端子開口および外装体開口から構成された共通開口部に設けられた密閉部材が、上記の密閉解除に資するものとなっている。具体的には、本発明の二次電池では、端子開口と外装体開口とが互いに同心状に又は同心円を成すように位置付けられるように電極端子が外装体に配置されていてよく、そのように共通化された開口部に対して密閉部材が配置されていてよい。かかる場合において、密閉部材の底壁が、上昇したセル内圧に起因して開裂し、密閉部材の開口部へと移動できる可動部材となっていてよい。
【0096】
換言すれば、本態様に係る二次電池において、電極端子は、外装体の開口端側に設けられた外装体開口と重なるように位置付けられた端子開口を有するところ、その端子開口を塞ぐように設けられている密閉部材の底壁が、二次電池の上昇したセル内圧に起因して開裂し、密閉部材の開口部へと移動できる。
【0097】
このような共通開口部が関係する密閉化解除の機構では、外部出力端子として設けられる電極端子を介しつつも当該端子と別個の密閉部材によって好適に電池密閉化のための密閉部材のみが可動する。よって、セル内圧が過度に上昇した際の予測可能性が高くなり、密閉部材の可動を前提としたより好適な電池設計が可能となる。つまり、セル内圧が過度に上昇した場合の外装体の開裂モードについて予測不能性をできるだけ回避し、本発明の二次電池をより安全な電池として供すことができる。
【0098】
(干渉作用による密閉解除機構)
かかる態様は、セル内圧が過度に上昇した際に、導電部材と第3の絶縁部材との位置関係により密閉解除がより好適に働く二次電池の構成に関する。
【0099】
具体的には、電極組立体と密閉部材とを互いに電気的に接続する導電部材は、第3の絶縁部材の貫通孔に跨ぐようになっている。
図19(A)は、
図13のA方向からの視点を模式的に示す。
図19(A)に示すように、導電部材400の外縁部分(特に導電部材の先端における外縁部分)が第3の絶縁部材の貫通孔535上に位置付けられている。一方で、
図19(B)および(C)では、導電部材400の外縁部分(特に導電部材の先端における外縁部分)が、第3の絶縁部材の貫通孔535を跨ぐように位置づけられている。
【0100】
このように第3の絶縁部材の貫通孔535を跨ぐ導電部材400に外力(特に電池内側から電池外側へと共通開口の軸方向の外力)が作用する場合、当該導電部材400は第3の絶縁部材の貫通孔535の周辺部分に当接するように干渉され得る。このような干渉ゆえ、上昇したセル内圧の作用に起因して密閉部材の底壁が外側に動くに際しては、密閉部材の底壁と導電部材とが互いに離れる応力が働き易い。つまり、上昇したセル内圧の作用に起因して密閉部材の底壁には電池外側へと動く力が働き、それに伴って、密閉部材に接続された導電部材も同様に外側に動く力が働くことになるが、導電部材は第3の絶縁部材に干渉されるので、外側に動こうとする密閉部材の底壁と、その動きが阻止される導電部材との間で互いの接合が解除される力が好適に生じ得る。よって、ある好ましい態様では、外側に動く密閉部材の底壁は、導電部材と最終的に接合解除され、より安全な密閉解除がもたらされる。密閉部材の底壁と導電部材との接合解除は、密閉部材の底壁と導電部材との電気的断絶を意味するので、密閉解除後における偶発的なショートなど非所望な事象が回避され易くなる。
【0101】
(セル内圧作用に鑑みた密閉解除機構)
かかる態様は、セル内圧が過度に上昇した際に導電部材と第3の絶縁部材との位置関係により密閉解除がより好適に働く二次電池の構成に関する。特に、密閉部材と、それに接続される導電部材との関係でより好適に密閉解除が機能するようになっている。
【0102】
具体的には、電極組立体と密閉部材とを互いに電気的に接続する導電部材は、密閉部材の底壁の一部領域との接合のために密閉部材とオーバーラップしており、当該一部領域以外となる密閉部材における非オーバーラップ領域は、導電部材の特異的な形状によりもたらされている。
【0103】
かかる態様において、導電部材と密閉部材との接合に供しない“非オーバーラップ領域”は、導電部材の幅寸法が相対的に大きくなった導電部材の幅広形状および/または幅寸法が相対的に小さくなった導電部材の幅狭形状によりもたらされていてよい。例えば、
図19(B)は、導電部材400の幅寸法は局所的に大きくなった幅広箇所470を有している。幅広部分となっている導電部材400の両端475は、第3の絶縁性部材の貫通孔535の周辺部分と接している。
【0104】
上昇したセル内圧の作用に起因して密閉部材の底壁には電池外側へと動く力が働き、それに伴って、密閉部材に接続された導電部材も同様に外側に動く力が働くことになるが、導電部材は第3の絶縁部材に干渉されるので、外側に動こうとする密閉部材の底壁と、その動きが阻止される導電部材との間で互いの接合が解除される力が好適に生じることになる。ここで、幅広箇所470は、その両端475が第3の絶縁部材と接しているため、導電部材は第3の絶縁部材と相対的に強く干渉され得る。つまり、導電部材が電池外側へと動く力がより阻止され易くなる。外側に動く密閉部材の底壁は、導電部材と最終的に接合解除され易くなり、さらに安全な密閉解除がもたらされる。
【0105】
図19(B)の例示態様に示されるように、導電部材400の先端部分は、その幅寸法が他の部分と比べて相対的に減じられた幅狭箇所460となっている。よって、導電部材400の先端部分が密閉部材300との接合のために密閉部材300上に配置されていたとしても、幅狭箇所460の周囲は、密閉部材300とオーバーラップすることはなく接合に供しない。つまり、かかる幅狭箇所460の周囲における密閉部材300の露出箇所もまた密閉部材に及ぼされる効果的な内圧作用に寄与する。図示する態様から分かるように、導電部材400と密閉部材300との接合箇所を電池内側から捉えると、そのような導電部材400の幅狭形状(即ち、幅狭箇所460)に起因して密閉部材の底壁310は部分的に露出している。この露出部には、上昇したセル内圧の作用が導電部材を介さず直接的に密閉部材に及ぶことになり、過度に上昇したセル内圧に起因する密閉部材の動き/移動がより効果的に助力される。このように、本発明のある好適な態様に係る二次電池では、導電部材と密閉部材との特異的な接合態様によって、より好適に密閉解除が機能する。
【0106】
なお、導電部材の幅寸法が相対的に大きくなった導電部材の幅広形状および/または幅寸法が相対的に小さくなった導電部材の幅狭形状は、
図19(B)の十字状の形状に限定されない。例えば、星型、二股形状、円形、または菱形等の形状であってよい。
【0107】
導電部材と密閉部材とは、それらが互いにオーバーラップする領域の全てが接合されている必要はない。換言すれば、導電部材と密閉部材とが互いにオーバーラップする領域のうちの一部のみが接合されるように導電部材と密閉部材とが電気的に接続されていてよい。あくまでも例示にすぎないが、導電部材と密閉部材とがスポット的に接合された点接合部により互いに電気的に接続されていてよい。このような局所的な接合の場合、セル内圧の異常上昇時に外側に動く密閉部材は導電部材と接合解除され易くなる。かかる一部のみの接合の観点でいえば、例えば
図19に示すような平面視において、導電部材と密閉部材とがスポット的に局所箇所Sでのみ互いに接合されている。
【0108】
一実施形態では、第3の絶縁部材の形状を、導電部材が電池外側へと動く力がより阻止され易くなる形状にしてもよい。例えば、
図19(C)に示すように、第3の絶縁部材の貫通孔535を横断する橋部536を設けて、導電部材400の端部を当該橋部536に当接させてもよい。橋部536は、導電部材400が当接可能な位置であれば、例えば十字状、放射状、または梯子状に設けてもよい。
【0109】
(器状の栓部材の底壁保持機構)
一実施形態では、
図15(B)に示すように、器状の栓部材の側部620の内周側に突起部625が設けられていてよい。かかる態様により、器状の栓部材600に収容された底壁310が、栓部材の側壁に設けられた突起部625によって保持され得る。また、器状の栓部材の底部610に接着剤等を設けることにより、器状の栓部材に収容された底壁を保持してもよい。かかる態様を採ることにより、器状の栓部材に収容した底壁が、栓部材から外れ難くすることができる。
【0110】
(平面視円形の二次電池)
かかる態様では、二次電池の全体的な平面視形状が円形となっている。つまり、二次電池1000は、その外形の点でボタン型またはコイン型となっている(
図3参照)。
【0111】
二次電池の平面視形状が円形ということは電極組立体を上側または下側から捉えた際の電極組立体、および/またはそれを内包する外装体の形状が円形であることを意味している。
【0112】
ここでいう「円形」とは、完全な円形(すなわち単に“円”または“真円”)であることに限らず、それから変更されつつも当業者の認識として“丸い形”に通常含まれ得る略円形状も含んでいる。例えば、円または真円のみならず、その円弧の曲率が局所的に異なるものであってよく、さらには例えば楕円などの円または真円から派生した形状であってもよい。典型的な例でいえば、このような平面視円形を有する電池は、いわゆるボタン型またはコイン型の電池に相当する。
【0113】
平面視形状が円形となっている二次電池において、外装体開口の平面視形状が円形となっていたり、端子開口の平面視形状もまた円形となっていたりしてよい(ここでいう円形も二次電池の平面視形状に関して説明した円形と同義である)。かかる場合、本発明では、外装体の平面視輪郭(特に外縁を成す部分の輪郭)が円形状であると共に、電極端子および/または密閉部材の平面視輪郭(特に外縁を成す部分の輪郭)が円形状となっていてもよい。
【0114】
ある好適な態様では、ボタン型またはコイン型ゆえ、二次電池の軸方向(例えば電池主面の法線方向または垂線方向)の寸法が幅寸法(直径寸法)と比して小さくなっている。ただし、本発明の二次電池は、これに限らず、二次電池の軸方向(例えば電池主面の法線方向または垂線方向)の寸法が幅寸法(直径寸法)と同じかあるいは、それと比して大きくなっていてもよい。
【0115】
(円盤形状の電極端子)
かかる態様では、電極端子の全体的な形状が円盤状となっている。端的にいえば、電極端子が金属円板となっており、上述のボタン型またはコイン型の電池により適した電極端子となっている。
【0116】
例えば、円盤状の電極端子は、
図5に示される形態を有していてよい。電極端子は、その中心に端子開口を有している。かかる端子開口は、上述したように好ましくは外装体開口と整合または整列するように設けられるところ、かかる端子開口を介して密閉部材が外装体開口を塞ぐようになっている。
【0117】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、あくまでも典型例を例示したに過ぎない。従って、本発明はこれに限定されず、種々の態様が考えられることを当業者は容易に理解されよう。
【0118】
例えば、上記では、二次電池として、
図3に示すようなボタン型またはコイン型の二次電池について触れたが、本発明は必ずしもこれに限定されない。つまり、外装体はいわゆる円筒缶タイプの外装体に限定されず、それゆえ角缶または異形缶タイプの外装体であってもよい。
【0119】
本発明の二次電池は、例えば、角型の二次電池であってもよい(例えば
図20参照)。換言すれば、二次電池1000は、その平面視形状が、円形に限らず、正方形や矩形などの形状を有していてもよい。
【0120】
また、上記では、外装体がカップ状部材および蓋状部材から構成されている態様について触れたが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、外装体がカップ状部材同士から構成されていてもよい。つまり、第1金属外装体および第2金属外装体は、それぞれカップ状部材となっていてよい。換言すれば、外装体がカップ状部材の第1金属外装体と、同じくカップ状部材の第2金属外装体とから少なくとも構成されていてよい。この場合、カップ状部材の第1金属外装体と第2金属外装体とは、それらの側壁が互いに合わせるように組み合わされて外装体が構成されてよい。第1金属外装体および第2金属外装体のいずれか一方のカップ状部材に上述の“外装体開口”が設けられてよく、それゆえ、そのカップ状部材に対して電極端子および密閉部材が設けられていてよい。更にいえば、外装体がカップ状部材および蓋状部材から構成される場合、蓋状部材に対して外装体開口が設けられることに言及したものの、本発明は必ずしもそれに限らない。カップ状部材の方に外装体開口が設けられてもよい。
【0121】
上記で説明した本発明は、ある好適な一実施態様として、下記のうちの少なくとも1つの事項に相当し得ることを確認的に付言しておく。
・密閉部材(即ち、密閉化部材)は押圧により電池に設けることができるので、生産性が良く、加工コストを下げ易い。なお、押圧によって密閉部材を変形に付して電池に設ける
ことができる。
・導電部材(例えばタブ)の接合面をフラット面として供し易く、タブ接合が容易となり、品質が良くなる。
・導電部材(例えばタブ)の接合については、レーザ溶接、超音波溶接および/または抵抗溶接などのいずれの溶接法も採用できる。
・ガス抜き安全機能は、密閉部材の底壁に設ける溝により調整できる。つまり、開放時の内圧をかかる溝の深さにより調整することができる。溝の深さについていえば、溝を深くすれば解放時の内圧を相対的に低く調整でき、溝を浅くすれば解放時の内圧を相対的に高く調整できる。なお、例えば
図11(A)に示されるように、底壁に溝を相対的に多く設けることにより、相対的に底壁の厚みが薄い部分が増え、底壁がより開裂し易くなる。
・溶接を用いる封止構造ではないので、その点で製造コストが安い。例えば超音波やレーザによる溶接で封止構造を得る必要がないので、コンタミやスパッタ飛散などの問題が生じ難い。また、封止のために抵抗溶接も使用しなくて済むので溶接時の異常放電によるトラブルも発生し難い。さらには、接着剤を用いた接合に基づく封止構造でもない。そのような接着剤を用いる接合は、接着剤塗布機器が別途で必要となり製造コストが上がってしまう。
・絶縁部材の形状自由度は大きい。外径方向により大きく延在する絶縁部材を用いれば、外装缶の外側の正極と負極との物理的な距離をより広げることができ、短絡の不都合がより回避され易い。
・絶縁部材を大きくすることで、密閉部材と導通している電極端子も大きく(幅方向または径方向に大きく)できる。
・外装体として設けられる蓋状部材には特に細工を施す必要が無いか又はそのような細工が減じられる。つまり、外装体の蓋部材とカップ部材との接合はレーザ溶接でも、クリンプ加工でも良く、特段の制限はない。
・設置前の密閉部材は、比較的な単純な形状ゆえ、大量生産に適しており、低コスト化に寄与し得る。例えば、単純な形状ゆえ、密閉部材を鍛造加工または転造加工で容易に得ることができ、比較的安価で得ることができる。
・電池の上面のみで正極と負極との通電が可能となる。
・押圧で変形させて密閉部材を全体的に低背化できるので、電池として密閉化に関連する部分の容積を小さくすることができ、ひいては、電池容量の拡大設計を図り易い。
・電極端子および絶縁部材(例えばガスケット)は、設計自由度が比較的高く、設置箇所に合わせて電極端子および/または絶縁部材の大きさを任意に変更できる。
・電極端子の材質は、密閉部材と必ずしも同一にする必要はなく、任意に選択できる(あくまでも例示であるが、電極端子の材質としてSUS材および/またはメッキSPP材を用いてもよい)。
・電極端子は、絶縁部材と共に密閉部材の設置に際して押圧に付して設けることができ、別途の導電接続加工を省くことも可能である。
・電池の耐熱性は、実質的に絶縁部材の耐熱性に依存し得、耐熱性の高い絶縁部材を使用すれば、電池の封止耐熱特性が向上し得る(例えば、絶縁部材にPPSのようなエンジニアリングプラスチックの熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂を使用してもよい)。
・電極端子と外装体との間に絶縁部材が設けられるので、外装ケースに相当する外装体との電気絶縁をより確実に図ることができ、また、電極組立体との接触に起因する電気ショートの懸念が減じられるので、電気的により安全な設計とし易い。
・外装体の厚み(例えば蓋状部材の板厚)を増減させた場合、その増減に合わせて密閉部材の高さ寸法(側壁の延在方向の寸法)を増減させれば対応できる。例えば、ある好適な態様において、外装体の厚み(例えば蓋状部材の板厚)は、およそ0.005mm以上2mm以下と密閉部材の高さ変更加工限界まで対応できる。
・密閉部材と導電部材との接合ポイントを密閉部材の中心に位置付け、その中心から等距離の位置で、外装体開口縁部上の絶縁部材で導電部材が支えられるようにすれば、セル内圧の異常上昇時に当該絶縁部材が導電部材に対して好適な抵抗となり、密閉部材が導電部材と所望に接合解除され易くなる。
【0122】
本開示の二次電池の態様は、以下のとおりである。
<1>電極組立体と、前記電極組立体を収納する外装体と、および前記外装体を密閉するための密閉部材と、を有して成り、
前記密閉部材は、底壁と側壁とを有する筒状部材であって、前記外装体の外装体開口に設けられている、二次電池。
<2>前記密閉部材の周囲に設けられた電極端子をさらに有して成る、<1>に記載の二次電池。
<3>前記密閉部材を介して前記電極端子と前記電極組立体とが互いに電気的に接続されている、<2>に記載の二次電池。
<4>前記電極端子は前記外装体開口と重なる端子開口を有し、前記端子開口に位置付けられた前記密閉部材が前記外装体開口を塞いでいる、<2>または<3>に記載の二次電池。
<5>前記電極端子と前記外装体との間に設けられた絶縁部材が、前記外装体開口を成す外装体開口縁の周囲を覆うように延在しており、
前記密閉部材の開口端の外周側に設けられた第1の突出部が、前記電極端子を介して、前記絶縁部材を圧接している、<2>~<4>のいずれか1つに記載の二次電池。
<6>前記底壁に溝が設けられている、<1>~<5>のいずれか1つに記載の二次電池。
<7>前記溝は前記底壁の外縁部に設けられている、<6>に記載の二次電池。
<8>前記底壁は、前記二次電池の上昇したセル内圧に起因して、前記溝を基点に開裂する、<6>または<7>に記載の二次電池。
<9>前記密閉部材の開口端の内周側壁部に第2の突出部が設けられている、<6>~<8>のいずれか1つに記載の二次電池。
<10>前記外装体内部において、
前記密閉部材の側壁により形作られる開口部よりも小さい貫通孔を有する絶縁部材が、前記開口部と前記貫通孔とが互いに重なるように前記密閉部材に設けられており、
前記電極組立体と電気的に接続している導電部材が、前記貫通孔を介して前記密閉部材の一部領域と接合している、<6>~<9>のいずれか1つに記載の二次電池。
<11>前記導電部材は、前記貫通孔を跨ぐように設けられている、<10>に記載の二次電池。
<12>前記電極組立体と前記密閉部材とを互いに電気的に接続する導電部材は、前記密閉部材の底壁の一部領域との接合のために前記密閉部材とオーバーラップしており、
前記一部領域以外となる前記一方の主面の非オーバーラップ領域は、前記導電部材が相対的に大きくなった前記導電部材の幅広部分および/または相対的に小さくなった前記導電部材の幅狭部分によりもたらされている、<10>または<11>に記載の二次電池。
<13>前記電極端子は前記外装体開口と重なる端子開口を有し、前記端子開口に位置付けられて前記外装体開口を塞いでいる前記密閉部材が、前記二次電池の上昇したセル内圧に起因して、前記底壁に設けられた溝を基点に前記底壁が開裂し、前記開裂した前記底壁が前記密閉部材の開口端へと移動できる、<1>~<12>のいずれか1つに記載の二次電池。
<14>前記側壁と前記底壁に囲まれる空間内に樹脂製の栓部材が設けられている、<6>~<13>のいずれか1つに二次電池。
<15>前記外装体がカップ状部材および蓋状部材から構成されており、前記蓋状部材が前記外装体開口を有する、<1>~<14>のいずれか1つに記載の二次電池。
<16>前記電極組立体の電極として、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極および負極が含まれる、<1>~<15>のいずれか1つに記載の二次電池。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明に係る二次電池は、蓄電が想定される様々な分野に利用することができる。あくまでも例示にすぎないが、本発明の二次電池は、電気・電子機器などが使用される電気・情報・通信分野(例えば、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコンおよびデジタルカメラ、活動量計、アームコンピューター、電子ペーパー、ウェアラブルデバイスなどや、RFIDタグ、カード型電子マネー、スマートウォッチなどの小型電子機などを含む電気・電子機器分野あるいはモバイル機器分野)、家庭・小型産業用途(例えば、電動工具、ゴルフカート、家庭用・介護用・産業用ロボットの分野)、大型産業用途(例えば、フォークリフト、エレベーター、湾港クレーンの分野)、交通システム分野(例えば、ハイブリッド車、電気自動車、バス、電車、電動アシスト自転車、電動二輪車などの分野)、電力系統用途(例えば、各種発電、ロードコンディショナー、スマートグリッド、一般家庭設置型蓄電システムなどの分野)、医療用途(イヤホン補聴器などの医療用機器分野)、医薬用途(服用管理システムなどの分野)、ならびに、IoT分野、宇宙・深海用途(例えば、宇宙探査機、潜水調査船などの分野)などに利用することができる。
【符号の説明】
【0124】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
5 電極構成層
10、10’ 電極組立体
100 外装体
100A カップ状部材
100B 蓋状部材
150 外装体開口
155 外装体開口縁
200 電極端子
220 端子開口
300 密閉部材
310 底壁
311 溝
320 側壁
321 第1の突出部
322 第2の突出部
323 第3の突出部
350 密閉部材の開口部
400 導電部材
410 溶接部
460 幅狭箇所
470 幅広箇所
475 幅広箇所の両端
500 絶縁部材
510 第1の絶縁部材
520 第2の絶縁部材
530 第3の絶縁部材
535 貫通孔
536 橋部
600 栓部材
610 底部
620 側部
625 突起部
650 栓部材の底部と栓部材の側部とから形作られる空間
1000 二次電池
W1 第3の突出部の幅
W2 外装体開口の外装体開口縁と密閉部材の側壁との間の距離