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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119662
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電源制御装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/08 20060101AFI20240827BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H03K17/08 C
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026726
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 凌
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX34
5J055AX53
5J055AX64
5J055BX16
5J055CX07
5J055DX13
5J055EY21
5J055EZ57
(57)【要約】
【課題】ショート発生時に、素早く電源電流の制御が可能な電源制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】SW制御回路18及びSW制御回路20が回路のショートを検出すると、SW制御回路18はスイッチSW0をオフし、SW制御回路20はSW1をオンする。これにより、NMOSFET12のゲートソース間がショートしてNMOSFET12がオフし、バッテリ14から負荷への電力供給が停止される。さらに、ショート検出回路24が回路のショートを検出すると、スイッチSW2をオンしてNMOSFET12のゲートがグランドされる。これにより、NMOSFET12の寄生容量により一定時間高い状態になっていたゲート電位を瞬時にGNDまで落とせるため、より速くNMOSFET12をオフにすることができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から負荷への電力の供給をオンオフするスイッチ部を作動させる作動回路と、
前記スイッチ部とグランドとの間に接続され、前記スイッチ部の前記グランドへの接続と非接続とを切り替えるグランドスイッチ部と、
回路のショートが検出された場合に、前記作動回路の接続を制御して前記スイッチ部をオフし、前記グランドスイッチ部を制御して前記スイッチ部をグランドに接続する制御部と、
を備えた電源制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ショートが検出された場合に、前記作動回路との接続を制御して前記スイッチ部をオフする第1制御部と、
前記ショートが検出された場合に、前記グランドスイッチ部を制御して前記スイッチ部をグランドに接続する第2制御部と、
からなる請求項1に記載の電源制御装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記作動回路を作動させる第1スイッチを制御する第1スイッチ制御部と、
前記作動回路を非作動にする第2スイッチを制御する第2スイッチ制御部と、
を含む請求項2に記載の電源制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電源と負荷との間に接続されたハイサイドスイッチとしてNチャネル型のパワーMOSFETを用いた負荷駆動回路であって、前記パワーMOSFETのゲート電圧と前記電源の電源電圧とを比較する比較回路と、前記パワーMOSFETのターンオフ動作において前記パワーMOSFETのゲート端子から電荷を放電させる遮断回路とを具備し、前記パワーMOSFETのゲート端子から電荷を放電させる放電速度は、前記ゲート電圧が前記電源電圧より高い場合と比較して、前記ゲート電圧が前記電源電圧より低い場合を遅く切り換えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-109916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、ハイサイドスイッチとして用いられるNチャネル型のMOSFETのターンオフ動作に際し、簡単な構成でオフ時間Toffと立下り時間Tfの最適化が可能である。しかしながら、ショート発生時には素早く電源電流の制御を行う必要があるため改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、ショート発生時に、素早く電源電流の制御が可能な電源制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る電源制御装置は、電源から負荷への電力の供給をオンオフするスイッチ部を作動させる作動回路と、前記スイッチ部とグランドとの間に接続され、前記スイッチ部の前記グランドへの接続と非接続とを切り替えるグランドスイッチ部と、回路のショートが検出された場合に、前記作動回路の接続を制御して前記スイッチ部をオフし、前記グランドスイッチ部を制御して前記スイッチ部をグランドに接続する制御部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、ショート発生時に、素早く電源電流の制御が可能な電源制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る電源制御装置の概略構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る電源制御装置において、スイッチSW0をオフし、スイッチSW1をオンした状態を示す図である。
図3】本実施形態に係る電源制御装置において、スイッチSW0をオフし、スイッチSW1をオンし、かつスイッチSW2をオンした状態を示す図である。
図4】従来の電源制御装置の一例を示す図である。
図5】従来の電源制御装置において、スイッチSW0がオフし、スイッチSW1がオンした状態を示す図である。
図6】従来の電源制御装置と本実施形態に係る電源制御装置のゲート電位及びソース電位の時間変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る電源制御装置の概略構成を示す図である。なお、図1中の点線は外部接続を表す。
【0010】
本実施形態に係る電源制御装置10は、ハイサイドFETドライバによるバッテリ電流制御を行うものである。具体的には、本実施形態に係る電源制御装置10は、図1に示すように、バッテリ14の電力を負荷16に供給するスイッチ部の一例としてのNMOSFET12を制御するものである。
【0011】
NMOSFET12のドレイン端子には電源の一例としてのバッテリ14が接続され、ソース端子にはグランド(GND)された負荷16が接続されている。すなわち、NMOSFET12をオンすることにより、バッテリ14からの電力が負荷16に供給されるようになっている。
【0012】
NMOSFET12のゲート端子には出力端子Aoutが設けられ、ソース端子には負荷16との間に入力端子Ainが設けられている。
【0013】
入力端子Aoutには、第1スイッチの一例としてのスイッチSW0、及び第2スイッチの一例としてのスイッチSW1の一端がそれぞれ接続されている。スイッチSW0の他端は作動回路の一例としての昇圧回路22の一端に接続され、スイッチSW1の他端は昇圧回路22の他端及び入力端子Ainに接続されている。
【0014】
スイッチSW0はSW制御回路18によってオンオフが制御され、スイッチSW1はSW制御回路20によってオンオフが制御される。
【0015】
また、SW制御回路18は、回路のショートを検出した場合に、スイッチSW0をオフする。一方、SW制御回路20は、回路のショートを検出した場合に、スイッチSW1をオンする。
【0016】
昇圧回路22は、バッテリ14から負荷16への電力の供給をオンオフするNMOSFET12を作動させる。具体的には、昇圧回路22は、入力端子Ainの電圧を基準にゲートソース間電圧12Vを作ることにより、NMOSFET12をオンして、バッテリ14からの電力を負荷16に供給する。
【0017】
また、入力端子Aoutには、グランドスイッチ部の一例としてのスイッチSW2の一端がさらに接続されており、スイッチSW2の他端はグランドされている。すなわち、スイッチSW2は、NMOSFET12のゲートとグランドとの間に接続され、NMOSFET12のゲートのグランドへの接続と非接続とを切り替える。当該スイッチSW2は、ショート検出回路24によってオンオフが制御される。具体的には、ショート検出回路24によって回路のショートが検出された場合に、スイッチSW2がオンされるようになっている。
【0018】
なお、SW制御回路18、SW制御回路20、及びショート検出回路24は、回路のショートが検出された場合に、昇圧回路22の接続を制御してNMOSFET12をオフし、スイッチSW2を制御してNMOSFET12のゲートをグランドに接続する制御部の一例に対応する。また、SW制御回路18及びSW制御回路20は、昇圧回路22との接続を制御してNMOSFET12をオフする第1制御部の一例に対応する。また、ショート検出回路24は、第2制御部の一例に対応する。また、SW制御回路18は、昇圧回路22を作動させるスイッチSW0を制御する第1スイッチ制御部に対応し、SW制御回路20は昇圧回路22を非作動にするスイッチSW1を制御する第2スイッチ制御部に対応する。
【0019】
続いて、本実施形態に係る電源制御装置10のスイッチSW0、スイッチSW1、及びスイッチSW2の制御について説明する。
【0020】
まず、図1に示すように、SW制御回路18がスイッチSW0をオンし、SW制御回路20がスイッチSW1をオフし、ショート検出回路24がスイッチSW2をオフする。これにより、昇圧回路22が入力端子Ain電圧を基準にゲートソース間に電圧12Vを発生し、NMOSFET12がオンされて、バッテリ14からの電力が負荷16に供給される。
【0021】
ここで、SW制御回路18及びSW制御回路20が回路のショートを検出すると、図2に示すように、SW制御回路18はスイッチSW0をオフし、SW制御回路20はSW1をオンする。これにより、NMOSFET12のゲートソース間がショートしてNMOSFET12がオフし、バッテリ14から負荷への電力供給が停止される。図2は、本実施形態に係る電源制御装置10において、スイッチSW0をオフし、スイッチSW1をオンした状態を示す図である。
【0022】
さらに、ショート検出回路24が回路のショートを検出すると、図3に示すように、スイッチSW2をオンしてNMOSFET12のゲートがグランドされる。これにより、NMOSFET12の寄生容量により一定時間高い状態になっていたゲート電位を瞬時にグランドまで落とせるため、より速くNMOSFET12をオフにすることができる。また、ショート時にはNMOSFET12のソース電位はグランドになるため、ゲート電位をグランドにした際でもNMOSFET12のゲート耐圧を超える懸念はない。図3は、本実施形態に係る電源制御装置10において、スイッチSW0をオフし、スイッチSW1をオンし、かつスイッチSW2をオンした状態を示す図である。
【0023】
次に、参考例として従来の電源制御装置50について簡単に説明する。図4は、従来の電源制御装置の一例を示す図である。なお、図1~3と共通の構成については同一符号で示す。
【0024】
従来の電源制御装置50は、図4に示すように、本実施形態に係る電源制御装置10に対して、スイッチSW2が省略された構成とされている。換言すれば、本実施形態に係る電源制御装置10は、従来の電源制御装置50に対して、NMOSFET12のゲートにグランドされたスイッチSW2を追加している。
【0025】
従来の電源制御装置50では、図4に示すように、SW制御回路18がスイッチSW0をオンし、SW制御回路20がスイッチSW1をオフする。これにより、昇圧回路22が入力端子Ain電圧を基準にゲートソース間に電圧12Vを発生し、NMOSFET12がオンされて、バッテリ14からの電力が負荷16に供給される。
【0026】
ここで、SW制御回路18及びSW制御回路20が回路のショートを検出すると、図5に示すように、SW制御回路18はスイッチSW0をオフし、SW制御回路20はSW1をオンする。これにより、NMOSFET12のゲートソース間がショートしてNMOSFET12がオフし、バッテリ14から負荷への電力供給が停止される。図5は、従来の電源制御装置50において、スイッチSW0がオフし、スイッチSW1がオンした状態を示す図である。
【0027】
ところで、NMOSFET12のオフ時間が遅いとショート電流とオン抵抗による損失でNMOSFET12が破壊され、バッテリ14の過放電による劣化や発火に繋がる虞がある。そのため、ショート検出時にはスイッチに素早くバッテリ電流制御を行う必要がある。
【0028】
従来の電源制御装置50のNMOSFET12の制御は、MOSFETのIDーVGS特性を利用しているが、スイッチSW1のオン抵抗とNMOSFET12の寄生容量によりこのスイッチングには遅延時間が発生する。しかし、ショート検出時には素早くバッテリ14の電流制御を行う必要があり、従来の電源制御装置50では過放電によるバッテリ14の劣化や発火が懸念される。
【0029】
これに対して、本実施形態に係る電源制御装置10では、ショート検出時にスイッチSW0をオフしてスイッチSW1をオンすることで、NMOSFET12をオフし、かつスイッチSW2をオンすることでNMOSFET12のゲートをグランドする。これにより、NMOSFET12の寄生容量により一定時間高い状態になっていたゲート電位を瞬時にグランドまで落とせるため、従来の電源制御装置50に比べてより速くNMOSFET12をオフにすることができる。
【0030】
図6は、従来の電源制御装置50と本実施形態に係る電源制御装置10のゲート電位及びソース電位の時間変化を示す図である。
【0031】
図6に示すように、従来の電源制御装置50のゲート電位及び従来のソース電位に比べて、本実施形態に係る電源制御装置10では、ゲート電位及びソース電位が0Vになるまでの時間が短縮されている。
【0032】
詳細には、従来の電源制御装置50では、ゲート電位及びソース電位の立下りがスイッチのオン抵抗と寄生容量によってなまっていたが、本実施形態に係る電源制御装置10では、ゲート電位がグランドにショートするため、立下りが急になっており、それにともなってソース電位も落ちている。これにより、NMOSFET12のオフ時間を従来の電源制御装置50よりも約87%短縮することができる。従って、本実施形態に係る電源制御装置10は、ショート発生時に、素早く電源電流の制御が可能となる。
【0033】
なお、上記の実施形態では、NMOSFET12をスイッチ部の一例として適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、NMOSFET12以外のFETを適用してもよい。
【0034】
また、上記の実施形態では、ハイサイドFETドライバを一例として説明したが、ハイサイドドライバに限るものではなく、ローサイドFETドライバに適用してもよい。
【0035】
また、上記の実施形態では、SW制御回路18、SW制御回路20、及びショート検出回路24をそれぞれ個別の回路として説明したが、これに限るものではなく、SW制御回路18及びSW制御回路20は1つの回路としてもよいし、SW制御回路18、SW制御回路20、及びショート検出回路24を1つの回路としてもよい。
【0036】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0037】
10 電源制御装置
12 NMOSFET
14 バッテリ
16 負荷
18、20 SW制御回路
22 昇圧回路
24 ショート検出回路
Ain 入力端子
Aout 出力端子
SW0、SW1、SW2 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6