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特開2024-119688監視装置、監視システム、監視方法、およびプログラム
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  • 特開-監視装置、監視システム、監視方法、およびプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119688
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】監視装置、監視システム、監視方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/01 20060101AFI20240827BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240827BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240827BHJP
   G08B 21/22 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G08B25/01 C
G08B25/00 510M
H04N7/18 D
G08B21/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026768
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】加藤 麻理奈
(72)【発明者】
【氏名】片岡 誠
【テーマコード(参考)】
5C054
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FE14
5C054FE16
5C054HA18
5C086AA22
5C086CA23
5C086CB35
5C086CB36
5C086DA08
5C086DA14
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087BB15
5C087BB74
5C087DD03
5C087EE07
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】振動の減少につながる事象の発生を監視する監視装置、監視システム、監視方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】監視装置1は、光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得する取得部11と、振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、振動パターンから人間の人数の減少に関する変化が検出された場合にアラートを発報する監視部12とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得する取得部と、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動パターンから前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する監視部と
を備える監視装置。
【請求項2】
前記監視部は、前記振動パターンに基づいて前記人間の人数を推定し、推定された前記人数が減少した場合に前記アラートを発報する
請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
経路の始点における前記人間の人数を、前記始点の周辺に設置されたカメラによって撮影された画像に基づいて特定する特定部をさらに備え、
前記監視部は、推定された前記人数が、特定された前記人数と比べて減少した場合に前記アラートを発報する
請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記監視部は、前記振動パターンから前記変化を検知した後、前記振動パターンが変化した状態が一定期間以上継続した場合に前記アラートを発報する
請求項1または2のいずれかに記載の監視装置。
【請求項5】
前記監視部は、前記振動パターンから前記変化が検知され、かつ、グループから離れた人間が移動することに応じて発生した振動が検知された場合に前記アラートを発報する
請求項1または2のいずれかに記載の監視装置。
【請求項6】
前記振動情報から抽出された振動パターンを、鳥獣が移動することに応じて発生する振動パターンと前記人間が移動することに応じて発生する振動パターンとに分ける分析部を備える
請求項1または2のいずれかに記載の監視装置。
【請求項7】
光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルにおいて発生した振動を検知する振動検知部と、
情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記振動検知部で検知した振動に関する振動情報を取得し、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動から前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する
監視システム。
【請求項8】
前記情報処理装置は、
前記振動パターンに基づいて前記人間の人数を推定し、推定された前記人数が減少した場合に前記アラートを発報する
請求項7に記載の監視システム。
【請求項9】
経路に埋設された光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得し、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動パターンから前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する
監視方法。
【請求項10】
コンピュータに、
光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得する処理と、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動パターンから前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する処理と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は監視装置、監視システム、監視方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フェンスの周辺で何らかの事象が発生したことを光ファイバーで検出することが記載されている。また、事象が発生した場所に存在する人数を判断し、人数が多いほど緊急度を高くすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/024388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、遭難や迷子のように振動の減少につながる事象を検出することは難しい。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためにされたものであって、振動の減少につながる事象の発生を監視する監視装置、監視システム、監視方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる監視装置は、
経路に埋設された光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得する取得部と、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動パターンから前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する監視部と
を備える。
【0007】
本開示にかかる監視システムは、
光ファイバケーブルと、
前記光ファイバケーブルにおいて発生した振動を検知する振動検知部と、
情報処理装置と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記振動検知部で検知した振動に関する振動情報を取得し、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動パターンから前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する。
【0008】
本開示にかかる監視方法は、
経路に埋設された光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得し、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動パターンから前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する。
【0009】
本開示にかかるプログラムは、
コンピュータに、
経路に埋設された光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得する処理と、
前記振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視し、前記振動パターンから前記人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する処理と
を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、振動の減少につながる事象の発生を監視する監視装置、監視システム、監視方法、およびプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1にかかる監視装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態2にかかる監視システムの構成を説明する図である。
図3】実施形態2にかかる監視システムの動作の一例を説明する図である。
図4】実施形態2にかかる監視システムが発報するアラートの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1
以下、図面を参照して本実施の形態について説明する。図1は、実施形態1にかかる監視装置1の構成を説明するブロック図である。
【0013】
監視装置1は、取得部11および監視部12を備えている。監視装置1は、光ファイバーケーブル(不図示)において発生した振動を検知する図示しない振動検知部(センサ)に接続されていてもよい。
【0014】
取得部11は、経路に埋設された光ファイバケーブルにおける振動に関する振動情報を取得する。取得部11は、振動情報を振動検知部から取得してもよい。なお、光ファイバケーブルは、経路の床下に限らず、壁面、天井などに埋設するようにしてもよい。また、埋設までを行わず、単に経路に沿って取り付けるようにしてもよい。さらには、経路上に存在する物体に取り付けるようにしてもよい。経路上に存在する物体としては、例えば、フェンスやガードレールなどである。
【0015】
監視部12は、振動情報に基づいて、人間がグループまたは単独で移動することに応じて発生する振動パターンを監視する。監視部12は、振動パターンから人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する。
【0016】
実施形態1にかかる監視装置は、振動パターンから人間の人数の減少に関する変化を検知した場合にアラートを発報する。したがって、実施形態1にかかる監視装置は、振動の減少につながる事象を監視できる。
【0017】
なお、監視装置1は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ、および記憶装置を備えるものである。また、当該記憶装置には、本実施形態にかかる監視方法の処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。そして、当該プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムを前記メモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行する。これにより、前記プロセッサは、取得部11および監視部12の機能を実現する。
【0018】
または、取得部11および監視部12は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。
【0019】
実施形態2
図2を参照して、実施形態2にかかる監視システム1000について説明する。監視システム1000は、光ファイバケーブル100、振動検知部200、カメラ300、および情報処理装置400を備えている。情報処理装置400は、実施形態1にかかる監視装置1の具体例である。
【0020】
光ファイバケーブル100は、登山道Rに埋設されている。人間20や鳥獣が登山道Rを移動することで、光ファイバケーブル100に振動が伝わる。光ファイバケーブル100は、振動検知部200に接続されている。登山道Rは、上述した経路の一例である。登山道R以外を経路とするケースについては実施形態2の最後に説明する。
【0021】
振動検知部200は、光ファイバケーブル100で発生した振動を検知する。振動検知部200は、具体的には、光ファイバケーブル100にパルス光を入射し、反射光や散乱光を受信する。反射光や散乱光には、光ファイバケーブル100に伝わった振動が重畳されている。したがって、振動検知部200は、光ファイバケーブル100に発生した振動を検知できる。振動検知部200は、検知した振動に関する振動情報を情報処理装置400に出力する。
【0022】
カメラ300は、登山道Rの出入口の周辺に設置されている。出入口は、上述した経路の始点に対応する。撮影された画像には、グループまたは単独で登山道Rに入る人間20が写っている。カメラ300は、撮影された画像を情報処理装置400に出力する。
【0023】
情報処理装置400は、人間20が遭難したことや迷子になったことを検知した場合にアラームを発報する。情報処理装置400は、カメラ300で撮影された画像からグループまたは単独で登山道Rに入る人間20の人数を特定し、特定した人数に基づいてアラートを発報する。情報処理装置400は、取得部410、分析部420、特定部430、および監視部440を備えている。
【0024】
取得部410は、上述した取得部11の具体例である。取得部410は、振動検知部200で検知した振動に関する振動情報を取得する。
【0025】
分析部420は、振動情報から振動パターンを抽出する。そして、分析部420は、抽出された振動パターンを、人間20が登山道Rを移動することに応じて発生した振動と、鳥獣が登山道Rを移動することに応じて発生した振動とに分ける。鳥獣による振動パターンと人間20による振動パターンとが予め収集されており、分析部420は、予め収集された振動パターンに基づいて分析を行う。人間20による振動パターンが、監視部440によって監視される。
【0026】
特定部430は、登山道Rの出入口においてグループまたは単独で行動する人間の人数を、カメラ300によって撮影された画像に基づいて特定する。複数の人間がグループで行動している場合、特定部430は、グループの人数を特定する。1人の人間が単独で行動している場合、特定部430は、人数を1人と特定する。
【0027】
監視部440は、上述した監視部12の具体例である。監視部440は、人間20が登山道R上を移動することに応じて発生した振動パターンを監視する。
【0028】
監視部440は、具体的には、振動パターンに基づいて、振動を発生させた人間の人数を推定する。監視部440は、例えば、振動強度や、振動強度の振幅の大きさに基づいて人数を推定してもよい。そして、監視部440は、推定された人数が、特定部430によって特定された人数と比べて減少した場合にアラートを発報する。監視部440は、学習済みモデルを用いたり、統計処理を行ったりすることで人数を推定してもよい。
【0029】
なお、監視部440は、推定された人数が、過去に推定された人数よりも減少した場合にアラートを発報してもよい。この場合、監視システム1000はカメラ300を備えていなくてもよく、情報処理装置400は特定部430を備えていなくてもよい。ただし、カメラ300を用いることでより正確にアラートを発報できると考えられる。
【0030】
図3を参照して、実施形態2にかかる監視システムの動作について具体的に説明する。図3では、正規の登山道R1と非正規の登山道R2とが示されている。正規の登山道R1には、光ファイバケーブル100が埋設されている。非正規の登山道R2には、光ファイバケーブルは埋設されていない。
【0031】
登山道R1は、区間S1、S2、S3、およびS4を含んでいる。登山道R1の出入口には、カメラ300が設置されている。図3では、登山道R1の両端にカメラ300が設置されているが、登山道R1の一端にカメラ300が設置されていてもよい。
【0032】
人間21および22は、グループで区間S1内を移動している。人間23および24は、区間S2内で立ち止まっている。人間25は、区間S3内を移動している。人間26は、登山道R2の上で停止または移動している。鳥獣30は、区間S4の上で移動している。人間26は遭難者であり、人間25を含むグループから離れているものとする。
【0033】
情報処理装置400の特定部430は、人間21および22を含むグループ(グループ1と言われる)の人数を、カメラ300が撮影した画像に基づいて2人と特定する。同様に、特定部430は、人間23および24を含むグループ(グループ2と言われる)の人数を2人と特定する。特定部430は、人間25および26を含むグループ(グループ3と言われる)の人数を2人と特定する。ただし、人間26は、登山道R1の出入口においてグループ3から離れていなかったものとする。
【0034】
人間21が区間S1内を移動することで、振動パターンW1が光ファイバケーブル100に伝わる。人間22が区間S1内を移動することで、振動パターンW2が光ファイバケーブル100に伝わる。人間21および22はグループで移動しているため、振動パターンW1およびW2が重畳された振動パターンが検出される。また、人間25が区間S3の上で移動することで、振動パターンW3が光ファイバケーブル100に伝わる。また、鳥獣30が移動することで、図示しない振動パターンが光ファイバケーブル100に伝わる。
【0035】
情報処理装置400の取得部410は、光ファイバケーブル100における振動に関する振動情報を取得する。情報処理装置400の分析部420は、振動情報から検出された振動パターンが、人間が移動することに応じて発生した振動パターンか鳥獣30が移動することに応じて発生した振動パターンかを分析する。分析部420は、振動パターンW1およびW2が重畳された振動パターンと、振動パターンW3とを人間による振動パターンに分類する。
【0036】
監視部440は、グループ1によって発生する振動パターン、グループ2によって発生する振動パターン、およびグループ3によって発生する振動パターンを監視する。監視部440は、振動パターンから推定された人数が減少した場合にアラームを発報する。
【0037】
まず、グループ1によって発生する振動について説明する。グループ1によって発生した振動パターンは、振動パターンW1およびW2を重畳させた振動パターンである。監視部440は、振動パターンが発生した位置を特定する。また、監視部440は、振動パターンに基づいて、振動を発生させた人物の人数を推定する。推定された人数がグループ1の人数である2人に一致しているため、監視部440は、アラームを発報しない。
【0038】
次に、グループ2によって発生する振動について説明する。人間23および24が立ち止まっているため、グループ2によって発生する振動パターンは検出されない。他の人間が人間23および24を追い越す場合、および人間23および24が休憩する場合、人間23および24が立ち止まる可能性がある。監視部440は、アラームを誤発報しないように、振動パターンが変化した後、振動パターンが変化した状態が一定期間継続した場合にアラームを発報する。一定期間は、例えば、2時間程度に設定される。
【0039】
最後にグループ3について説明する。人間26が遭難しているため、グループ3の移動によって発生する振動パターンは、振動パターンW3である。監視部440は、振動パターンW3が発生した位置を特定する。そして、監視部440は、振動パターンを発生させた人間の人数を1人と推定する。推定された人数は、グループ3の人数である2人より少ない。したがって、監視部440は、アラームを発報する。監視部440は、推定された人数が2人より小さい状態が一定期間以上継続した場合にアラームを発報してもよい。アラームには、特定された位置を表す情報が含まれる。特定された位置は、特定された区間(例:区間S3)であってもよく、より詳細な位置であってもよい。
【0040】
非正規の経路R2にも、光ファイバケーブルが埋設されていてもよい。この場合、監視部440は、振動パターンから人数の減少に関する変化が検出され、かつ、グループから離れた人間が非正規の経路R2の上を移動することに応じて発生した振動が検出された場合にアラームを発報してもよい。これにより、より正確に遭難を検知できる可能性がある。
【0041】
また、図3は、人間がグループで登山道R1を移動する場合を示しているが、人間が単独で登山道R1を移動してもよい。この場合、監視部440は、単独で登山道R1を移動する人間による振動が一定期間以上消失した場合にアラームを発報してもよい。
【0042】
また、図3では、カメラ300が登山道R1の出入口の周辺に設置されているが、カメラ300は登山道Rの途中に設置されていてもよい。この場合も、カメラ300が設置された位置におけるグループの人数を特定し、この人数を基準としてアラームを発報することができる。この場合、カメラが設置された位置の周辺を、経路の始点とみなすこともできる。
【0043】
図4は、監視部440が発報するアラームを含む表示画面を説明する図である。表示画面は、管理者が使用する端末40に表示されている。表示画面は、登山道R1と登山道R2を示す地図情報と、メッセージ41と、マーク42とを含んでいる。登山道R1と交わる点線は、区間の境界を示している。メッセージ41は、遭難が発生したことと、遭難が発生した可能性のある区間に関する情報を示している。マーク42は、遭難が発生した位置を表している。
【0044】
表示画面を確認した管理者は、遭難が発生した位置の周辺で捜索を行う。これにより、遭難者を早期に救助できる。振動パターンが変化した状態が一定期間継続した場合にアラームを発報する場合、遭難者が一定期間移動している可能性がある。この場合、マーク42が表示された位置から人間が歩行し得る範囲(例:半径数km)が、捜索範囲に設定される。
【0045】
次に、実施形態2が奏する効果について説明する。山岳部での遭難事故は、2022年において過去5年間で最多を記録していると複数の自治体により報告されている。遭難者の60%以上を60代以上の高齢者が占めている。少子高齢社会において、今後も高齢者の遭難事故は高い水準で発生し得ることが想定される。
【0046】
市街地等においてはカメラを用いて迷子を発見できる。しかしながら、砂漠や山などの広い領域で遭難した遭難者をカメラで発見することは現実的ではない。
【0047】
実施形態2にかかる監視装置は、登山道Rで人間が遭難したこと、または登山道Rで人間が迷子になったことを検出できる。撮影画像のみから人間が減少したことを検出する場合、登山道Rに沿って多数のカメラを用意しなければならないが、実施形態2によりカメラの数を削減できる。
【0048】
実施形態2にかかる監視システムは、カメラに電源を供給することが困難なエリアや広いエリアであっても利用可能である。実施形態2は、カメラを設置するコストに見合わない広い領域(距離)を監視する際に特に効果的である。また、光ファイバケーブルは土中に埋設されるため、山間部などの周囲の景観を崩さないという利点がある。
【0049】
振動情報は、登山道の混雑時間やオフピーク時間に関する情報を得るために転用されてもよい。また、振動情報は、遭難が発生した時期および時間帯を解析し、遭難を防止するために転用されてもよい。また、人間が一時的に立ち止まる回数が多い位置や、人間が休憩する回数が多い位置に関する情報は、登山道の整備に転用され得る。
【0050】
光ファイバケーブルが埋設される経路は、登山道には限られず、人間がグループまたは単独で移動する経路であればよい。経路は、自然公園や洞窟内の通路であってもよい。
【0051】
また、空港において利用者が通るべき経路に、光ファイバケーブルが埋設されていてもよい。利用者がチェックイン、手荷物検査、搭乗ゲートへの移動等のため、決められたルートを通る必要があるものとする。この場合、実施形態2を適用することで、決められたルートから外れた人間(例:迷子)がいることを検出できる。
【0052】
光ファイバケーブルは、避難経路に埋設されていてもよい。監視装置は、光ファイバケーブルに伝わった振動パターンを監視し、振動パターンが変化した場合、避難経路から外れた人間が存在することを伝えるアラームを発報する。これにより、災害等から避難できなかった人間を救助することが容易になる。また、避難訓練において適切に避難しなかった人間がいることを検知できる。
【0053】
また、施設(例:病院)の通路に光ファイバケーブルを埋設することで、利用者が通路上からいなくなったことを検知できる。
【0054】
子供が登下校を行う道路の下に光ファイバケーブルが埋設されてもよい。実施形態2を適用することで子供が事故や事件に巻き込まれたことを検知できる。例えば、集団登校を行う子供による振動パターンの周囲に、誘拐犯である大人による振動パターンが発生し、かつ、子供による振動パターンが変化した場合、誘拐が発生したことを検知できる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 監視装置
11、410 取得部
12、440 監視部
1000 監視システム
100 光ファイバケーブル
200 振動検知部
300 カメラ
400 情報処理装置
420 分析部
430 特定部
R、R1、R2 登山道
20、21、22、23、24、25、26 人間
30 鳥獣
40 端末
41 メッセージ
42 マーク
S1、S2、S3、S4 区間
W1、W2、W3 振動パターン
図1
図2
図3
図4