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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119690
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】フィードスルー構造、及び水中機器
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/22 20060101AFI20240827BHJP
   H02G 15/14 20060101ALI20240827BHJP
   H02G 1/10 20060101ALI20240827BHJP
   H02G 9/00 20060101ALI20240827BHJP
   G02B 6/46 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
H02G3/22
H02G15/14
H02G1/10
H02G9/00
G02B6/46 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026770
(22)【出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】志賀 広明
(72)【発明者】
【氏名】長沢 敏秀
【テーマコード(参考)】
2H038
5G352
5G363
5G369
5G375
【Fターム(参考)】
2H038CA42
5G352EA07
5G363AA01
5G363AA03
5G363BA01
5G363BA07
5G363CA05
5G363CA12
5G363CA15
5G363CA20
5G363CB01
5G363CB20
5G369AA05
5G369BA02
5G369BB02
5G369DC13
5G369DC14
5G369DC16
5G375AA18
5G375AA20
5G375BB02
5G375BB23
5G375BB28
5G375CC02
5G375EA08
(57)【要約】
【課題】水中機器において、フィードスルーにおける水密性を向上する。
【解決手段】ボディ部品12及びプロテクタ部品13は、端面板22の貫通孔に挿入される。プロテクタ部品13は、貫通孔において、ボディ部品12よりも端面板22の外面側に配置される。ボディ部品12は、テールケーブル25を耐圧筐体本体21の内部空間側に導入する。プロテクタ部品13は、テールケーブル25を保護する。ナット14は、プロテクタ部品13を端面板22に固定する。弾性部材15は、プロテクタ部品13とナット14との境界部分を覆うように端面板22とに取り付けられる。絶縁性液体16は、弾性部材15と、プロテクタ部品13との間の空間に充填される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔が形成される耐圧筐体の端面板の前記貫通孔に挿入され、テールケーブルを前記耐圧筐体の内部空間側に導入するボディ部品と、
前記貫通孔において、前記ボディ部品よりも前記端面板の外面側に配置され、前記テールケーブルを保護するプロテクタ部品と、
前記プロテクタ部品を前記端面板に固定するナットと、
前記プロテクタ部品と前記ナットとの境界部分を覆うように前記端面板に取り付けられる第1の弾性部材と、
前記第1の弾性部材と前記プロテクタ部品との間の空間に充填される絶縁性液体とを有するフィードスルー構造。
【請求項2】
前記第1の弾性部材の一端は、テープを用いて前記端面板に水密に固定され、前記第1の弾性部材の他端は、テープを用いて前記プロテクタ部品に水密に固定される、請求項1に記載のフィードスルー構造。
【請求項3】
前記ボディ部品は第1の金属材料を用いて形成され、前記プロテクタ部品、前記ナット、及び前記端面板は、前記第1の金属材料とは異なる第2の金属材料を用いて形成される、請求項1又は2に記載のフィードスルー構造。
【請求項4】
前記テールケーブルと前記プロテクタ部品とを水密に固定する第2の弾性部材を更に有する、請求項1又は2に記載のフィードスルー構造。
【請求項5】
前記第2の弾性部材と前記プロテクタ部品との間に、前記テールケーブルを保持するホルダを更に有する、請求項4に記載のフィードスルー構造。
【請求項6】
前記絶縁性液体は、更に、前記プロテクタ部品と前記テールケーブルとの間の空間に充填される、請求項1又は2に記載のフィードスルー構造。
【請求項7】
前記プロテクタ部品は、前記プロテクタ部品と前記テールケーブルとの間の空間と、前記第1の弾性部材と前記プロテクタ部品との間の空間とをつなぐ孔を有し、
前記絶縁性液体は、前記孔を通じて、前記第1の弾性部材と前記プロテクタ部品との間の空間と、前記プロテクタ部品と前記テールケーブルとの間の空間とに充填される、請求項6に記載のフィードスルー構造。
【請求項8】
少なくとも一方の端部に開口が形成され、内部空間を有する耐圧筐体本体と、
貫通孔が形成され、前記開口に配置される少なくとも1つの端面板と、
前記内部空間に配置される内部ユニットと、
前記貫通孔に挿入されるフィードスルー構造とを有し、
前記フィードスルー構造は、
前記端面板の前記貫通孔に挿入され、テールケーブルを前記耐圧筐体本体の内部空間側に導入するボディ部品と、
前記貫通孔において、前記ボディ部品よりも前記端面板の外面側に配置され、前記テールケーブルを保護するプロテクタ部品と、
前記プロテクタ部品を前記端面板に固定するナットと、
前記プロテクタ部品と前記ナットとの境界部分を覆うように前記端面板に取り付けられる第1の弾性部材と、
前記第1の弾性部材と前記プロテクタ部品との間の空間に充填される絶縁性液体とを有する、水中機器。
【請求項9】
前記第1の弾性部材の一端は、テープを用いて前記端面板に水密に固定され、前記第1の弾性部材の他端は、テープを用いて前記プロテクタ部品に水密に固定される、請求項8に記載の水中機器。
【請求項10】
前記ボディ部品は第1の金属材料を用いて形成され、前記プロテクタ部品、前記ナット、及び前記端面板は、前記第1の金属材料とは異なる金属材料を用いて形成される、請求項8又は9に記載の水中機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィードスルー構造、及び水中機器に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、特許文献1は、海底中継装置を開示する。海底中継装置は、内部に中継器ユニットが格納される耐圧筐体と、耐圧筐体の両端に配置される耐圧筐体蓋とを有する。耐圧筐体蓋には、海底ケーブルを中継器ユニットに接続するためのフィードスルー構造が配置される。特許文献1に記載のフィードスルー構造は、テールケーブルを海底中継装置内に導入するテールケーブル導入部と、テールケーブル導入部に取り付けられるキャップ部材とを有する。キャップ部材が取り付けられたテールケーブル導入部は、耐圧筐体蓋に形成された開口に挿入され、ナットを用いて耐圧筐体蓋に固定される。
【0003】
特許文献1に記載のフィードスルー構造において、キャップ部材とテールケーブルとの間にゴムキャップが配置される。また、キャップ部材には、絶縁性オイルであるポリブデンを充填するためのポリブデン注入部が設けられており、ポリブデンは、ゴムキャップ及びキャップ部材とテールケーブル導入部との離間部分に充填される。ポリブデン注入部は、ポリブデンが充填された後、ネジにより閉塞される。ゴムキャップとテールケーブルとは、テープを用いてテーピングされ、ゴムキャップとテールケーブルとの隙間から海水が浸入することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/097972号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフィードスルー構造では、フィードスルー構造と、耐圧筐体蓋との境界部分から海水が侵入することは考慮されていない。この部分から海水が侵入した場合、テールケーブル導入部と耐圧筐体蓋との境界にまで海水が到達する可能性がある。従って、水密性がより向上したフィードスルー構造が求められる。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑み、フィードスルーにおける水密性を向上できるフィードスルー構造、及び水中機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、第1の態様において、フィードスルー構造を提供する。フィードスルー構造は、貫通孔が形成される耐圧筐体の端面板の前記貫通孔に挿入され、テールケーブルを前記耐圧筐体の内部空間側に導入するボディ部品と、前記貫通孔において、前記ボディ部品よりも前記端面板の外面側に配置され、前記テールケーブルを保護するプロテクタ部品と、前記プロテクタ部品を前記端面板に固定するナットと、前記プロテクタ部品と前記ナットとの境界部分を覆うように前記端面板に取り付けられる第1の弾性部材と、前記第1の弾性部材と前記プロテクタ部品との間の空間に充填される絶縁性液体とを含む。
【0008】
本開示は、第2の態様として、水中機器を提供する。水中機器は、少なくとも一方の端部に開口が形成され、内部空間を有する耐圧筐体本体と、貫通孔が形成され、前記開口に配置される少なくとも1つの端面板と、前記内部空間に配置される内部ユニットと、前記貫通孔に挿入されるフィードスルー構造とを含む。フィードスルー構造は、前記端面板の前記貫通孔に挿入され、テールケーブルを前記耐圧筐体本体の内部空間側に導入するボディ部品と、前記貫通孔において、前記ボディ部品よりも前記端面板の外面側に配置され、前記テールケーブルを保護するプロテクタ部品と、前記プロテクタ部品を前記端面板に固定するナットと、前記プロテクタ部品と前記ナットとの境界部分を覆うように前記端面板に取り付けられる第1の弾性部材と、前記第1の弾性部材と前記プロテクタ部品との間の空間に充填される絶縁性液体とを含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係るフィードスルー構造、及び水中機器は、フィードスルーにおける水密性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の水中機器の概略的な構成を示す断面図。
図2】本開示の一実施形態に係る水中機器の構成例を示す断面図。
図3】フィードスルー構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の説明に先立って、本開示の概要を説明する。図1は、本開示の水中機器の概略的な構成を示す。水中機器10は、耐圧筐体本体21、少なくとも1つの端面板22、内部ユニット23、及びフィードスルー構造11を有する。耐圧筐体本体21は、少なくとも一方の端部に開口が形成され、内部空間を有する。端面板22は、開口に配置される。端面板22には、貫通孔が形成されている。内部ユニット23は、耐圧筐体本体21の内部空間に配置される。フィードスルー構造11は、端面板22の貫通孔に挿入される。
【0012】
フィードスルー構造11は、ボディ部品12、プロテクタ部品13、ナット14、及び弾性部材15、及び絶縁性液体16を有する。ボディ部品12及びプロテクタ部品13は、端面板22の貫通孔に挿入される。プロテクタ部品13は、貫通孔において、ボディ部品12よりも端面板22の外面側に配置される。
【0013】
ボディ部品12は、テールケーブル25を耐圧筐体本体21の内部空間側に導入する。プロテクタ部品13は、テールケーブル25を保護する。ナット14は、プロテクタ部品13を端面板22に固定する。弾性部材15は、プロテクタ部品13とナット14との境界部分を覆うように端面板22とに取り付けられる。絶縁性液体16は、弾性部材15と、プロテクタ部品13との間の空間に充填される。
【0014】
本開示では、弾性部材15は、プロテクタ部品13とナット14との境界部分を覆う。また、弾性部材15とプロテクタ部品13との間の空間には、絶縁性液体16が充填される。このようにすることで、プロテクタ部品13とナット14との境界部分から水が浸入すること防止することができ、フィードスルーにおける水密性を向上できる。
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素及び同様な要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0016】
図2は、本開示の一実施形態に係る水中機器の断面を示す。本実施形態において、水中機器100は、例えば海中に配置される海底機器として構成される。水中機器100は、耐圧筐体101、内部ユニット102を有する。水中機器100は、図1に示される水中機器10に対応する。耐圧筐体101は、図1に示される耐圧筐体20に対応する。内部ユニット102は、図1に示される内部ユニット23に対応する。
【0017】
耐圧筐体101は、中空円筒状の耐圧筐体本体103と、2つの端面板104とを有する。端面板104は、中実円筒状に形成されており、耐圧筐体本体103の開口端を閉塞する。端面板104は、テールケーブル150に接続されるケーブルを耐圧筐体本体103に引き込むフィードスルー構造105を有する。端面板104は、耐圧筐体カバーとも呼ばれる。耐圧筐体本体103は、図1に示される耐圧筐体本体21に対応する。端面板104は、図1に示される端面板22に対応する。テールケーブル150は、図1に示されるテールケーブル25に対応する。
【0018】
内部ユニット102は、耐圧筐体本体103の内部空間に収容される。内部ユニット102は、水中機器100において所定の機能を提供するための回路を含む。例えば、水中機器100が光信号を伝搬する海底ケーブルの中継機として用いられる場合、内部ユニット102は、光信号を増幅する光信号増幅器を含む。内部ユニット102には、フィードスルー構造105を介して、テールケーブル150が接続される。テールケーブル150は、例えば、電気配線と光ケーブルとを含む。内部ユニット102は、テールケーブル150の電気配線から供給される電力で動作する。また、内部ユニット102は、テールケーブル150の光ファイバから供給される光信号を増幅する。
【0019】
図3は、フィードスルー構造105を示す。フィードスルー構造105は、ボディ部品151、プロテクタ部品152、グランドナット153、第1の弾性部材154、第2の弾性部材155、及びホルダ156を有する。フィードスルー構造105は、図1に示されるフィードスルー構造11に対応する。フィードスルー構造105において、ボディ部品151、プロテクタ部品152、グランドナット153、及びホルダ156は、例えば金属材料を用いて形成される。
【0020】
端面板104は、耐圧筐体101(図2を参照)の内部空間を規定する内面104aと、内面104aとは反対側を向く外面104bとを有する。外面104bは、海底などの水中に設置された場合に高い圧力が加わる面である。端面板104には、耐圧筐体101の軸方向に延びる貫通孔160が形成されている。以下の説明において、「軸方向」は、耐圧筐体101の軸方向を意味するものとする。また、「径方向」は、耐圧筐体101の径方向を意味するものとする。貫通孔160は、内面104a及び外面104bに開口している。
【0021】
ボディ部品151及びプロテクタ部品152は、端面板104の貫通孔160の内部に配置される。ボディ部品151及びプロテクタ部品152は、それぞれ、テールケーブル150を内部に収容する貫通孔を有している。ボディ部品151及びプロテクタ部品152には、それぞれ径方向に形成される凹部が形成されていてもよく、その凹部には、環状に延びるOリングが配置されてもよい。ボディ部品151は、図1に示されるボディ部品12に対応する。プロテクタ部品152は、図1に示されるプロテクタ部品13に対応する。
【0022】
テールケーブル150は、例えば、中心導体と、中心導体を被覆する樹脂を含む。中心導体は、給電管とも呼ばれる。中心導体は、例えば内部に光ファイバ及び電気配線が配置される金属製のパイプであってもよい。プロテクタ部品152は、貫通孔160において、ボディ部品151よりも高圧側、すなわち外面104b側に配置される。グランドナット153は、貫通孔160において、ボディ部品151及びプロテクタ部品152を端面板104に固定するために使用される。グランドナット153は、図1に示されるナット14に対応する。
【0023】
第1の弾性部材154は、一端が端面板104に取り付けられ、他端がプロテクタ部品152に取り付けられる。端面板104の外面104bは、貫通孔160の周りに凸部を有している。外面104bに形成された凸部の壁には、第1の弾性部材154の厚みに対応した段差が形成されており、第1の弾性部材154の一端はその段差に配置される。テープ171は、第1の弾性部材154の一端側において、端面板104と第1の弾性部材154とを水密に固定する。また、プロテクタ部品152には、第1の弾性部材154の厚みに対応した凹部が形成されており、第1の弾性部材154の他端は、その凹部に配置される。テープ172は、第1の弾性部材154の他端側において、プロテクタ部品152と第1の弾性部材154とを水密に固定する。第1の弾性部材154は、端面板104の貫通孔160と、フィードスルー構造105との境界部分を覆う。より詳細には、第1の弾性部材154は、グランドナット153と端面板104との境界部分を覆う。第1の弾性部材154は、図1に示される弾性部材15に対応する。
【0024】
第2の弾性部材155は、一端がプロテクタ部品152に取り付けられ、他端がテールケーブル150に取り付けられる。プロテクタ部品152には、第2の弾性部材155の厚みに対応した段差が形成されており、第2の弾性部材155の一端は、その段差に配置される。テープ173は、第2の弾性部材155の一端側において、プロテクタ部品152と第2の弾性部材155とを水密に固定する。また、テープ174は、第2の弾性部材155の他端側において、テールケーブル150と第2の弾性部材155とを水密に固定する。第1の弾性部材154及第2の弾性部材155は、例えばゴム材料を用いて形成される。第1の弾性部材154及び第2の弾性部材155は、ゴムキャップとも呼ばれる。
【0025】
ホルダ156は、テールケーブル150の中心導体が端面板104の貫通孔の中央付近を通るように、テールケーブル150を保持する。ホルダ156は、フィードスルー構造において、テールケーブル150の接続部の強度保護のために使用される。ホルダ156は、例えば半円状の2つの部品で形成されており、中央部分に、テールケーブル150が通る穴が形成されている。ホルダ156の半円状の2つの部品は、テールケーブル150を挟み込むように、例えばネジなどを用いてプロテクタ部品152に取り付けられる。プロテクタ部品152及びホルダ156は、テールケーブル150が挙動した際に、曲がりや伸びが内部のボディ部品151に伝達しないように、テールケーブル50を把持している。
【0026】
ホルダ156には、内部、すなわちプロテクタ部品152方向に絶縁性液体157を伝達させるための孔が形成されている。例えば、第2の弾性部材155が固定される前、テールケーブル150とプロテクタ部品152の間の空間には、ホルダ156に形成された孔を通じて、絶縁性液体157が充填される。絶縁性液体157は、典型的には、絶縁油又はフッ素系不活性液体である。また、プロテクタ部品152は、径方向のいくつかの箇所に、孔152aを有する。孔152aは、プロテクタ部品152とテールケーブル150との間に充填される絶縁性液体157を、プロテクタ部品152とグランドナット153との境界部分の方向に通過させる。絶縁性液体157は、図1に示される絶縁性液体16に対応する。絶縁性液体157が充填された後、第2の弾性部材155がテールケーブル150及びプロテクタ部品152に固定される。
【0027】
ここで、一般的に、フィードスルー構造105のボディ部品151、プロテクタ部品152、及びグランドナット153と、端面板104とは、同じ金属材料で形成される。例えば、これら部品には、銅系材の金属が使用される。しかしながら、近年、これら部品に使用される金属が入手困難になりつつあり、原価低減、客先要求、及び製造性改善などの観点から、代替材が求められた。その場合、ボディ部品151に銅系材の金属(第1の金属材料)を使用し、プロテクタ部品152、グランドナット153、及び端面板104に、ステンレス合金、又はチタン合金などの新材料(第2の金属材料)を使用することが考えられる。しかしながら、そのような構成では、異種金属の接触面が水や海水によって侵食し、異種金属腐食が発生する可能性がある。海底中継器の標準設計としては、海水中における耐食性が良いこととされているため、腐食を防止する構造設計が必要である。
【0028】
本実施形態では、プロテクタ部品152とグランドナット153との境界は第1の弾性部材154で覆われ、かつ第1の弾性部材154とプロテクタ部品152及びグランドナット153の間の空間は絶縁性液体157で満たされる。このような構成を採用することで、端面板104の貫通孔160とフィードスルー構造105との境界部分、すなわち端面板104とグランドナット153との境界部分に海水などの水が浸入することが抑制される。また、本実施形態では、テールケーブル150とプロテクタ部品152との境界は第2の弾性部材155で覆われ、かつ第2の弾性部材155とプロテクタ部品152の間の空間は絶縁性液体157で満たされる。このような構成を採用することで、テールケーブル150とフィードスルー構造105との境界部分に海水などの水が浸入することが抑制される。
【0029】
本実施形態では、端面板104の貫通孔160とフィードスルー構造105との境界部分に水が浸入することを抑制できる。このため、本実施形態は、端面板104の貫通孔160とフィードスルー構造105との境界部分から海水が侵入し、侵入した水がボディ部品151に到達することを抑制できる。従って、本実施形態は、ボディ部品151と、プロテクタ部品152、グランドナット153、及び端面板104とで異なる金属材料が使用される場合でも、異種金属が接触する面に海水が入り込むことを防止でき、腐食の発生を防止できる。
【0030】
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0031】
10:水中機器
11:フィードスルー構造
12:ボディ部品
13:プロテクタ部品
14:ナット
15:弾性部材
16:絶縁性液体
20:耐圧筐体
21:耐圧筐体本体
22:端面板
23:内部ユニット
25:テールケーブル
100:水中機器
101:耐圧筐体
102:内部ユニット
103:耐圧筐体本体
104:端面板
105:フィードスルー構造
150:テールケーブル
151:ボディ部品
152:プロテクタ部品
153:グランドナット
154:第1の弾性部材
155:第2の弾性部材
156:ホルダ
157:絶縁性液体
160:貫通孔
171-174:テープ
図1
図2
図3