(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119703
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】ハサミ
(51)【国際特許分類】
B26B 13/26 20060101AFI20240827BHJP
B26B 13/22 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B26B13/26
B26B13/22
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023039095
(22)【出願日】2023-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-16
(71)【出願人】
【識別番号】523089357
【氏名又は名称】今井 友幸
(72)【発明者】
【氏名】今井 友幸
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA07
3C065BA01
3C065DA02
3C065GA12
(57)【要約】
【課題】腕の疲労を軽減し、誰でも力を加えやすく安定的な剪断操作を可能とするハサミを提供する。
【解決手段】本発明のハサミでは、卓上に設置可能な底面を有する台部と、前記台部上に設けられる環状のハンドル部と、前記ハンドル部の上部に上端が回動自在に連結された棒状のレバーと、前記台部の前端部に、前方に突き出した状態で固定された固定刃と、前記ハンドル部、前記台部、または、前記固定刃に基端側が回動自在連結され、かつ、基端側に屈曲部が形成された可動刃と、前記レバーの下端部と前記可動刃の屈曲部が揺動自在に連結されたリンク部材と、を含んで成り、前記レバーが前後に回動したとき、前記リンク部材を介して、前記可動刃の先端側が上下に回動し、固定刃と可動刃が開閉可能である構成を採用した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卓上に設置可能な底面を有する台部と、前記台部上に設けられる環状のハンドル部と、前記ハンドル部の上部に上端が回動自在に連結された棒状のレバーと、前記台部の前端部に、前方に突き出した状態で固定された固定刃と、前記ハンドル部、前記台部、または、前記固定刃に基端側が回動自在連結され、かつ、基端側に屈曲部が形成された可動刃と、前記レバーの下端部と前記可動刃の屈曲部が揺動自在に連結されたリンク部材と、を含んで成り、前記レバーが前後に回動したとき、前記リンク部材を介して、前記可動刃の先端側が上下に回動し、固定刃と可動刃が開閉可能となっているハサミ。
【請求項2】
前記レバーと前記ハンドル部後部の間にコイルばねを備え、前記レバーが後方に回動したとき、弾性反発力で前記レバーが前方に付勢されることを特徴とする請求項1のハサミ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に卓上で使用されるハサミに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般のハサミは、刃部と柄部を有する2つのハサミ部材をX字形に連結して刃と刃が合わさるようにし、支点が刃部と柄部の中間に配置される。また柄部には、指を入れるハンドル部が設けられている。
【0003】
特許文献1は固定ハンドルに固定刃、可動ハンドルに可動刃が接続されており、可動ハンドルを回動させることで、固定刃と切断対象物を平行に維持し、可動刃が剪断を可能とする構造をとる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1によれば、ハンドルの回動方向が上下であり、ハンドルに指を入れて操作する際に肘や前腕が卓上から浮いてしまう問題があった。このため、腕が疲れ長時間の使用には不向きである。
【0006】
また、特許文献1のハサミでは、固定刃と卓上との接地面とが線接触になるため、接触面積が小さく、左右方向に不安定で倒れやすい。
【0007】
重ねて、特許文献1のハサミによれば、可動ハンドルに入る指の本数は2本程度であり、その本数で可動ハンドルに力を加え剪断操作する必要がある。このため、力が弱い老人や手が不自由な人にとって操作が困難となる。
【0008】
本発明は、腕の疲労を軽減し、誰でも力を加えやすく安定的な剪断操作を可能とするハサミを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のハサミでは、卓上に設置可能な底面を有する台部と、前記台部上に設けられる環状のハンドル部と、前記ハンドル部の上部に上端が回動自在に連結された棒状のレバーと、前記台部の前端部に、前方に突き出した状態で固定された固定刃と、前記ハンドル部、前記台部、または、前記固定刃に基端側が回動自在連結され、かつ、基端側に屈曲部が形成された可動刃と、前記レバーの下端部と前記可動刃の屈曲部が揺動自在に連結されたリンク部材と、を含んで成り、前記レバーが前後に回動したとき、前記リンク部材を介して、前記可動刃の先端側が上下に回動し、固定刃と可動刃が開閉可能である構成を採用した。
【0010】
また本発明では、前記レバーと前記ハンドル部後部の間にコイルばねを備え、前記レバーが後方に回動したとき、弾性反発力で前記レバーが前方に付勢される構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のハサミは、レバーを前後方向に操作することで可動刃が閉じる機構を採用しているため腕を浮かせる必要がなく、肘や前腕を卓上に置いて剪断操作することができる。これにより、長時間作業する場合の疲れを軽減することを可能とする。また、板状の台部を備えているため、卓上との接触面積が大きく、安定した状態で作業できる。重ねて、親指はハンドル部の外側から、それ以外の指はレバーにかけることができるため、全ての指の力を加えて剪断操作することができる。
【0012】
また、請求項2の構成を採用することで、レバーを引く動作で可動刃が閉じ剪断し手を放すことでコイルばねの弾性反発力により可動刃が自動的に元の位置に戻るため、レバーを引く動作のみで剪断し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】 本発明における第1実施形態のハサミを示す全体斜視図である。
【
図2】 本発明における第1実施形態のハサミを示す全体側面図である。
【
図3】 本発明における第1実施形態のハサミを示す上面図である。
【
図4】 本発明における第1実施形態のハサミの刃が開いた状態のA-A断面図である。
【
図5】 本発明における第1実施形態のハサミの刃が閉じた状態のA-A断面図である。
【
図6】 本発明における第1実施形態のハサミの台部の形状を示すB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
『第1実施形態』
図1ないし
図6は本発明に係るハサミの第1実施形態を示す。符号1で示すものは、ハサミ台であり、符号11で示すものはハサミ台の台部である。符号12で示すものはハサミ台のハンドル部であり、符号13で示すものはハサミ台のレバーである。符号2で示すものは、ハサミ刃であり、符号21で示すものは固定刃である。符号22で示すものはハサミ刃の可動刃であり、符号3で示すものはリンク部材である。
【0015】
まずハサミの基本構成について説明する。
図1~
図5に示すようにハサミ台1は、卓上に設置可能な底面を有する台部11、台部11上に設けられる環状のハンドル部12を備え、ハンドル部12の上部には、棒状のレバー13の上端が前後方向に回動自在に連結されている。
【0016】
次にハサミ刃2は、固定刃21と可動刃22から構成されており、台部11の前端部に、前方に突き出した状態で固定刃21が固定される一方、ハサミ台1のハンドル部12(または台部11)および固定刃21に可動刃22の基端側が回動自在に連結されている。また可動刃22の基端側には下方に屈曲した屈曲端22aが形成され、上記レバー13の下端部と可動刃22の屈曲端22aの先端に、リンク部材3の両端がそれぞれ揺動自在に連結されている。
【0017】
上記のようにハサミを構成したことにより、
図4及び
図5に示すように台部11の底面を卓上に設置した状態でハンドル部12の後部に外側から親指を、それ以外の指をレバー13にかけ、レバー13を握って後方に引く操作でリンク部材3を後方に追従させ、更に追従させたリンク部材3で屈曲端22aを後方に回動させて、可動刃22の先端側を下方に回動させ、固定刃21と可動刃22の間にある物体を剪断することができる。
【0018】
上記ハサミ刃2の開閉機構についてもう少し詳しく説明する。まず上記レバー13を後方に引く操作で、ハンドル部12に固定されたレバー13の上端を支点としてレバー13の下端部が後方に回動する。その際、レバー13の下端部に連結されているリンク部材3の後端が追従して後方に移動し、リンク部材3の前端に連結されている可動刃22の屈曲端22aが後方に引かれて回動する。これによりハンドル部12(または台部11)に固定されている可動刃22の支点を中心にして可動刃22の先端側が下方に回動する。
【0019】
次に上記ハサミの各構成要素について説明する。まずハサミ台1を構成する台部11に関しては、本実施形態では、
図1~5に示すように上面中央に凹部が形成されている。この溝の中でレバー13下端部とリンク部材3の後端が連結されている。この凹部の前方は、
図6に示すように中が空洞の筒状に形成されている。これによって
図4に示すようにレバー13の前面が筒の上面後部に引っ掛かり、レバー13が開きすぎないためのストッパーの役割を果たす。台部11の底面の形状に関しては、本実施形態では摩擦係数の小さい素材(プラスチックや金属等)で形成された平面を使用しているが、左右に脚をつけた面や、キャスターをつけても問題ない。
【0020】
また上記ハサミ台1を構成するハンドル部12に関しては、本実施形態では、環状の形状が台形であるが、円弧や長方形でも問題ない。また本実施形態では、ハンドル部12の前面下部に可動刃22が挿入されるスリット状の溝を形成している。この溝は上面は、
図4に示すように可動刃22が開きすぎないためのストッパーの役割を果たすこともできる。
【0021】
また上記ハサミ台1を構成するレバー13に関しては、本実施形態では、レバー13の上端がハンドル部12の上部に連結されており、下端がリンク部材3の後端に連結されている。また、レバー13とハンドル部12の間にコイルばねを設け、レバー13が前方に弾性反発力で付勢される構成を採用しても問題ない(図示せず)。また本実施形態では、レバー13の形状は直方体であるが、円柱でも問題ない。
【0022】
次に上記ハサミ刃2を構成する固定刃21に関しては、本実施形態では、台部11の前端に前方に突き出した形状を有し、一般的なハサミと同様に刃物鋼(ステンレス鋼やステライト、ハイス鋼、ダマスカス鋼など)が主な材質として形成されている。
【0023】
またハサミ刃2を構成する可動刃22に関しては、本実施形態では、可動刃22の基端側に下方にくの字型に屈曲した屈曲部が形成された形状であり、固定刃21と同じ材質を使用している。また本実施形態では、屈曲部の先端側の端部(屈曲端22a)がリンク部材3の前端と連結されている。屈曲部の根本(屈曲点)側は、ハンドル部12の前面下部の溝に挿入された状態でハンドル部12と連結され、可動刃22の回動の支点となっている。
【0024】
そして上記リンク部材3に関しては、本実施形態では、直方体の形状を有し、リンク部材3の前端が可動刃22の屈曲部の先端側の端部(屈曲端22a)と連結され、リンク部材3の後端がレバー13の下端と連結されている。本実施形態では1つのリンク部材を使用しているが、複数のリンク部材を用いたり、リンク部材の形状を変えることでレバー13と可動刃22の対応する角度比率を変えるように変更することもできる。
【符号の説明】
【0025】
1 ハサミ台
11 台部
12 ハンドル部
13 レバー
2 ハサミ刃
21 固定刃
22 可動刃
22a 屈曲端
3 リンク部材