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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119708
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】取付体
(51)【国際特許分類】
   E04F 19/08 20060101AFI20240827BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20240827BHJP
   F16B 5/07 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E04F19/08 103G
F16B5/06 B
F16B5/07 E
E04F19/08 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023060289
(22)【出願日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2023026315
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】392034746
【氏名又は名称】吉川化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】溝田 豊彦
【テーマコード(参考)】
3J001
【Fターム(参考)】
3J001FA16
3J001JB02
3J001JB12
3J001KA19
3J001KB04
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、被取付部材の取付面と取付体との間に隙間や段差があっても、取付体を変形させることなく被取付部材に所望の強度で取り付け可能な取付体を得ること。
【解決手段】本発明は、被取付部材1の取付面2に取り付けるための取付体100であって、第1の面S1と第1の面と反対側の第2の面S2とを備え、第1の面と第2の面とを貫通する固定具50が挿通可能な孔状部10を備えた本体100aと、本体内の第1の面側に配置され、第1の面に対して進退可能な第1の移動体110と、本体内の第2の面側に配置され、第2の面に対して進退可能な第2の移動体120とを備え、第1の移動体は、第2の移動体の位置を固定するための進行位置と、第2の移動体の固定を解除するための退避位置との間で移動可能であり、第1の移動体の進行位置への移動に伴い、第2の移動体が本体に対して移動可能な位置から本体に対して固定される位置へと移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付部材に取り付けるための取付体であって、
第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを備え、前記第1の面と前記第2の面とを貫通する固定具が挿通可能な孔状部を備えた本体と、
前記本体内の前記第1の面側に配置され、前記第1の面に対して進退可能な第1の移動体と、
前記本体内の前記第2の面側に配置され、前記第2の面に対して進退可能な第2の移動体と
を備え、
前記第1の移動体は、前記第2の移動体の位置を固定するための進行位置と、前記第2の移動体の固定を解除するための退避位置との間で移動可能であり、
前記第1の移動体の前記進行位置への移動に伴い、前記第2の移動体が前記本体に対して移動可能な位置から前記本体に対して固定される位置へと移動するように構成されている、取付体。
【請求項2】
前記第1の移動体および/または前記第2の移動体は、前記第1の移動体の移動に伴い前記第2の移動体を前記第1の移動体の移動方向に対して略垂直な第1の方向へ移動させるように構成されている、請求項1に記載の取付体。
【請求項3】
前記本体は、前記第2の移動体と対向する部分に複数の第1の凹凸部を備え、
前記第2の移動体は、前記移動方向に並ぶ複数の第2の凹凸部を備える、請求項2に記載の取付体。
【請求項4】
前記第1の移動体の移動に伴う前記第2の移動体の前記第1の方向への移動によって、前記複数の第1の凹凸部と前記複数の第2の凹凸部とが係合するように構成されている、請求項3に記載の取付体。
【請求項5】
前記複数の第1の凹凸部と前記複数の第2の凹凸部との係合を解除する方向に付勢する付勢部を有する、請求項4に記載の取付体。
【請求項6】
前記付勢部は前記第2の移動体に設けられる、請求項5に記載の取付体。
【請求項7】
前記第1の移動体と前記第2の移動体とは、前記進行位置から前記退避位置へ向かう前記第1の移動体の移動の際に連動して移動可能なように構成されている、請求項1に記載の取付体。
【請求項8】
前記第1の移動体は、前記第1の面から前記第2の面に向かって形成される長軸からなる係合部を有し、
前記第2の移動体は、前記係合部に係合可能な前記第1の面から前記第2の面に向かって形成される短軸からなる被係合部を有し、
前記係合部に前記被係合部が係合することで、前記第1の移動体と前記第2の移動体とが、前記進行位置から前記退避位置へ向かう前記第1の移動体の移動の際に連動して移動可能なように構成されている、請求項7に記載の取付体。
【請求項9】
前記孔状部は、前記固定具が挿通される方向が前記第1の面および前記第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向を可能とする形状を有している、請求項1に記載の取付体。
【請求項10】
前記第1の移動体は、ガイド部を備え、前記第1の移動体が前記進行位置に位置した際に、前記ガイド部は、前記第1の面側において、前記孔状部に固定具が挿通される方向を規制するように構成されている、請求項1に記載の取付体。
【請求項11】
前記ガイド部によって規制される前記固定具が挿通される方向は、前記第1の面および前記第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向である、請求項10に記載の取付体。
【請求項12】
前記第1の移動体には、工具差込孔を有する、請求項1に記載の取付体。
【請求項13】
被取付部材に取り付けるための取付体であって、
第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを備え、前記第1の面と前記第2の面とを貫通する孔状部を備えた本体と、
前記本体内の前記第1の面側に配置され、前記第1の面に対して進行位置と退避位置との間で移動可能な第1の移動体と
を備え、
前記第1の移動体はガイド部を備え、
前記第1の移動体が前記進行位置に位置した際に、前記ガイド部は、前記第1の面側において、前記孔状部に固定具が挿通される方向を規制するように構成されている、取付体。
【請求項14】
前記ガイド部によって規制される前記固定具が挿通される方向は、前記第1の面および前記第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向である、請求項13に記載の取付体。
【請求項15】
前記被取付部材には開口部が形成されており、前記本体は前記開口部に嵌挿可能な形状を有する、請求項1または13に記載の取付体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、床下収納庫、点検口、床ガラリ等のために形成された開口部を塞ぐために取り付けられる取付体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅などの建造物の床板、天井板などには、収納庫、点検口等が設けられる。これらは、床板や天井板等に形成された開口(被取付部材に形成された取付面)に枠体など(取付体)が設置され、その枠体などに蓋等が開閉可能に嵌め込まれることによって設置される。
【0003】
従来、床面(被取付部材)に形成された開口部に蓋枠(取付体)が嵌め込まれ、蓋枠の複数箇所で開口部の内壁面にビス(固定具)を用いて、開口部に蓋枠を固定するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところで、このように被取付部材の開口部に取付体を取り付ける場合において、取付体に直接固定具を装着する際に取付体を所望の強度で被取付部材に取り付けられるように蓋枠の大きさなどが設計されているが、実際には開口部の内壁面と取付体の外面との間にはどうしても隙間が生じるため、開口部の内壁面に取付体を直接固定具を用いて取り付けようとするとその隙間を解消するように取付体が変形した状態で固定することになり、その結果、所望の強度が得られないという問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-336921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、被取付部材の取付面と取付体との間に隙間や段差があっても取付体を変形させることなく被取付部材を所望の強度で取り付けることが可能な取付体を得ることを目的とする。
【0007】
また、本発明は、被取付部材に取付体を固定具で取り付ける際の固定具の取付角度(固定具が挿通される孔状部に対する固定具の挿通方向)のばらつきを抑えて、作業の効率性を高めることが可能な取付体を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の項目を提供する。
【0009】
(項目1)
被取付部材に取り付けるための取付体であって、
第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを備え、前記第1の面と前記第2の面とを貫通する固定具が挿通可能な孔状部を備えた本体と、
前記本体内の前記第1の面側に配置され、前記第1の面に対して進退可能な第1の移動体と、
前記本体内の前記第2の面側に配置され、前記第2の面に対して進退可能な第2の移動体と
を備え、
前記第1の移動体は、前記第2の移動体の位置を固定するための進行位置と、前記第2の移動体の固定を解除するための退避位置との間で移動可能であり、
前記第1の移動体の前記進行位置への移動に伴い、前記第2の移動体が前記本体に対して移動可能な位置から前記本体に対して固定される位置へと移動するように構成されている、取付体。
【0010】
(項目2)
前記第1の移動体および/または前記第2の移動体は、前記第1の移動体の移動に伴い前記第2の移動体を前記第1の移動体の移動方向に対して略垂直な第1の方向へ移動させるように構成されている、項目1に記載の取付体。
【0011】
(項目3)
前記本体は、前記第2の移動体と対向する部分に複数の第1の凹凸部を備え、
前記第2の移動体は、前記移動方向に並ぶ複数の第2の凹凸部を備える、項目2に記載の取付体。
【0012】
(項目4)
前記第1の移動体の移動に伴う前記第2の移動体の前記第1の方向への移動によって、前記複数の第1の凹凸部と前記複数の第2の凹凸部とが係合するように構成されている、項目3に記載の取付体。
【0013】
(項目5)
前記複数の第1の凹凸部と前記複数の第2の凹凸部との係合を解除する方向に付勢する付勢部を有する、項目4に記載の取付体。
【0014】
(項目6)
前記付勢部は前記第2の移動体に設けられる、項目5に記載の取付体。
【0015】
(項目7)
前記第1の移動体と前記第2の移動体とは、前記進行位置から前記退避位置へ向かう前記第1の移動体の移動の際に連動して移動可能なように構成されている、項目1に記載の取付体。
【0016】
(項目8)
前記第1の移動体は、前記第1の面から前記第2の面に向かって形成される長軸からなる係合部を有し、
前記第2の移動体は、前記係合部に係合可能な前記第1の面から前記第2の面に向かって形成される短軸からなる被係合部を有し、
前記係合部に前記被係合部が係合することで、前記第1の移動体と前記第2の移動体とが、前記進行位置から前記退避位置へ向かう前記第1の移動体の移動の際に連動して移動可能なように構成されている、項目7に記載の取付体。
【0017】
(項目9)
前記孔状部は、前記固定具が挿通される方向が前記第1の面および前記第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向を可能とする形状を有している、項目1に記載の取付体。
【0018】
(項目10)
前記第1の移動体は、ガイド部を備え、前記第1の移動体が前記進行位置に位置した際に、前記ガイド部は、前記第1の面側において、前記孔状部に固定具が挿通される方向を規制するように構成されている、項目1に記載の取付体。
【0019】
(項目11)
前記ガイド部によって規制される前記固定具が挿通される方向は、前記第1の面および前記第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向である、項目10に記載の取付体。
【0020】
(項目12)
前記第1の移動体には、工具差込孔を有する、項目1に記載の取付体。
【0021】
(項目13)
被取付部材に取り付けるための取付体であって、
第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを備え、前記第1の面と前記第2の面とを貫通する孔状部を備えた本体と、
前記本体内の前記第1の面側に配置され、前記第1の面に対して進行位置と退避位置との間で移動可能な第1の移動体と
を備え、
前記第1の移動体はガイド部を備え、
前記第1の移動体が前記進行位置に位置した際に、前記ガイド部は、前記第1の面側において、前記孔状部に固定具が挿通される方向を規制するように構成されている、取付体。
【0022】
(項目14)
前記ガイド部によって規制される前記固定具が挿通される方向は、前記第1の面および前記第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向である、項目13に記載の取付体。
【0023】
(項目15)
前記被取付部材には開口部が形成されており、前記本体は前記開口部に嵌挿可能な形状を有する、項目1または13に記載の取付体。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、被取付部材の取付面と取付体との間に隙間や段差があっても取付体を変形させることなく被取付部材に所望の強度で取り付けることが可能な取付体を得ることができる。
【0025】
また、本発明によれば、被取付部材に取付体を固定具で取り付ける際の固定具の取付角度(固定具が挿通される孔状部に対する固定具の挿通方向)のばらつきを抑えて、作業の効率性を高めることが可能な取付体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態1における取付体100の一部を示す図。
図2図1に示す第1移動体110および第2の移動体120の機能を説明する図。
図3図1に示す第2の移動体120および本体100aの具体的構成を示す図。
図4図1に示す第1の移動体110の機能を説明する図。
図5図1に示す第1の移動体110および本体100aの具体的構成を示す図。
図5A図5に示す第1の移動体110の変形例としての第1の移動体210を説明する図。
図6図1に一部が示される取付体100の全体の具体的な構成を示す図。
図7】本発明の実施形態2による取付体300で用いられる第1移動体310および第2の移動体320の機能を説明する図。
図8図7に示す第1の移動体310および第2の移動体320の具体的構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0028】
本明細書において、「約」とは、後に続く数字の±10%の範囲内をいう。
【0029】
本発明は、被取付部材の取付面と取付体との間に隙間や段差があっても取付体を変形させることなく被取付部材に所望の強度で取り付けることが可能な取付体を得ることを課題とし、
被取付部材に取り付けるための取付体であって、
第1の面と前記第1の面と反対側の第2の面とを備え、第1の面と第2の面とを貫通する固定具が挿通可能な孔状部を備えた本体と、
本体内の第1の面側に配置され、第1の面に対して進退可能な第1の移動体と、
本体内の第2の面側に配置され、第2の面に対して進退可能な第2の移動体と
を備え、
第1の移動体は、第2の移動体の位置を固定するための進行位置と、第2の移動体の固定を解除するための退避位置との間で移動可能であり、
第1の移動体の進行位置への移動に伴い、第2の移動体が本体に対して移動可能な位置から本体に対して固定される位置へと移動するように構成されている、取付体を提供することにより、上記の課題を解決したものである。
【0030】
従って、本発明の取付体は、本体の第1の面に対して進退可能な第1の移動体と本体の第2の面に対して進退可能な第2の移動体とを備え、第1の移動体が、第2の移動体の位置が固定される進行位置と、第2の移動体の固定が解除される退避位置との間で移動可能であり、かつ、第1の移動体の進行位置への移動に伴って、第2の移動体が本体に対して移動可能な位置から本体に対して固定される位置へ移動するものであれば、特に限定されるものではない。
【0031】
すなわち、取付体は、本体内に第2の面に対して進退可能である第2の移動体を備えることによって、被取付部材と取付体との間、具体的には、被取付部材のうちの本体の第2の面と対向する面と本体の第2の面との間に隙間(または段差)があった場合であっても、本体の第2の面から第2の移動体を突出させることで、第2の移動体を被取付部材のうちの本体の第2の面と対向する面に当接することが可能であり、これにより本体を変形させることなく被取付部材と取付体との間の隙間(または段差)を埋めた状態で所望の強度で被取付部材に取付体を固定することが可能となる。
【0032】
また、取付体は、第2の移動体の移動が第1の移動体の移動に連動するように構成されている場合、第1の移動体をガイド部が孔状部に挿入する進行方向(第2の面側に向かう方向)に移動することによる動作(例えば、後述する孔状部への固定具の挿通方向を規制する動作)と、第1の移動体の孔状部に挿入する進行方向(第2の面側に向かう方向)への移動に伴って第2の移動体が第2の面側に向かう方向(第2の面から突出する方向)に移動することで第2の移動体を被取付部材に当接させることにより被取付部材の表面との隙間(または段差)を吸収する動作とを同時にすることが可能となる。このように1つの動作(第1の移動体の移動の動作)によって、上述の2つの動作が連動して行われることが可能となる結果、作業の効率性を高めることが可能となる。また、第1の移動体の進行位置と退避位置との間での移動は、直線的なスライド移動でも回転的な回動移動でもよい。
【0033】
ここで、第1の移動体および/または第2の移動体は、第1の移動体の移動に伴い第2の移動体を第1の移動体の移動方向に対して略垂直な第1の方向へ移動させるように構成されていることが好ましい。第1の移動体の移動に伴い第2の移動体を第1の移動体の移動方向に対して略垂直な第1の方向へ移動させる手段は任意であり得る。例えば、第1の移動体と第2の移動体とのそれぞれ当接する面のいずれか一方に傾斜部を有する場合であっても良いし、両方に傾斜部を有する場合であってもよい。第1の移動体の移動によりその移動方向とは略垂直の方向に第2の移動体を移動可能とすることによって、第2の移動体が本体の上内壁面もしくは下内壁面(例えば、図2を参照)に当接することによって第2の移動体の上下方向の位置が強固に固定することが可能となる。
【0034】
なお、第1の移動体および/または第2の移動体は、第1の移動体の移動に伴い、第2の移動体を第1の移動体の移動方向に対して略垂直な第2の方向へ移動させるように構成されていてもよい。ただし、この場合は、第1の移動体の移動方向に略垂直な第2の方向は、具体的には第1の面および第2の面と平行な方向(本体の長手方向)であり、従って、第2の移動体は、左側部分(図3の紙面における左側)と右側部分(図3の紙面における右側)との2部品構成で、第1の移動体の移動に伴い、左側部分と右側部分とが離れたり近づいたりするように構成されていることが前提となる。
【0035】
この場合も第1の移動体の移動に伴い第2の移動体を第1の移動体の移動方向に対して略垂直な第2の方向へ移動させる手段は任意であり得る。例えば、第1の移動体と第2の移動体とのそれぞれ当接する面のいずれか一方に傾斜部を有する場合であっても良いし、両方に傾斜部を有する場合であってもよい。
【0036】
また、この場合も、第1の移動体の移動によりその移動方向と略垂直な第2の方向に第2の移動体を移動可能とすることによって、第2の移動体の左側部分が本体の左側内壁面に当接し、第2の移動体の右側部分が右側内壁面(図示せず)に当接することによって第2の移動体の左右方向の位置が強固に固定されることが可能となる。
【0037】
さらに、第1の移動体と第2の移動体とは、少なくとも第1の移動体の進行位置から第1の移動体の退避位置へ向かう第1の移動体の移動の際に連動して移動可能なように構成されていることが好ましい。
【0038】
この場合、第1の移動体を退避位置に戻しておけば、第2の移動体も第1の移動体との連動により退避方向に移動することとなり、第1の移動体が退避位置にあるのに、第2の移動体が第2の面から突出する状態を回避することが可能となる。
【0039】
このような構成とすることによって、第1の移動体が退避位置にある場合に、取付対象面側に位置する第2の面から第2の移動体が突出することを回避することが可能であり、取付体を被取付部材の取付対象面に取り付ける際に、第2の面から突出している第2の移動体が取付の邪魔になるのを回避できるという優れた効果を奏することが可能となる。
【0040】
係合部と被係合部とは、少なくとも第1の移動体の進行位置から第1の移動体の退避位置へ向かう第1の移動体の移動の際に第1の移動体と第2の移動体とが連動して移動可能であれば、任意の形態であり得る。例えば、ラック&ピニオンであっても良いし、溝部などの凹状部と、突出片などの凸状部とであってもよい。また、係合部と被係合部とをそれぞれ一組設ける場合であっても良いし、複数設けても良い。そして、第1の移動体の係合部に第2の移動体の被係合部が係合させることによって、第1の移動体と第2の移動体とが、少なくとも第1の移動体の進行位置から第1の移動体の退避位置へ向かう第1の移動体の移動の際に連動することとなる。
【0041】
1つの実施形態では、第1の移動体は、第1の面から第2の面に向かって形成される長軸からなる係合部を有し、第2の移動体は、係合部に係合可能な第1の面から第2の面に向かって形成される短軸からなる被係合部を有している。このような構成にすることにより、第1の移動体の進行位置から退避位置への移動において、移動当初においては短軸である第2の移動体の被係合部が、長軸である第1の移動体の係合部に係合しない状態があり、第1の移動体の退避位置への移動が継続するうちに第2の移動体の被係合部が第1の移動体の係合部と係合し、それ以降は第1の移動体と第2の移動体とが連動して移動することが可能となる。
【0042】
上述のように第1の移動体が進行位置から退避位置へ所定距離までの移動においては、第1の移動体と第2の移動体とは進行位置から退避位置に向かう方向において連動していないため、第1の移動体が進行位置にあって第2の移動体が本体に当接固定されている状態から退避位置への移動によって、第2の移動体が退避位置への移動方向とは略直交する本体から離れる方向に移動する状況においても問題なく第1の移動体の移動を行うことが可能となる。
【0043】
そして、第2の移動体と本体との当接が解除された後は、係合部と被係合部との係合により、第1の移動体の退避位置への移動に伴って第2の移動体も連動して退避位置に向かう方向に移動することになり、第1の移動体が退避位置に移動した際には第2の移動体は第2の面から突出することが防止される。
【0044】
また、本体は、第2の移動体と対向する部分に複数の第1の凹凸部を備え、第2の移動体は、移動方向に並ぶ複数の第2の凹凸部を備えることが好ましい。このようにすることで、第1の移動体の移動に伴って第2の移動体が第1の移動方向と略垂直な方向(図2における本体の上下内壁面に向かう方向あるいは左右内壁面に向かう方向)への移動により、第2の移動体の複数の第2の凹凸部と本体に設けられた複数の第1の凹凸部とが係合することとなって上下方向および左右方向に対する動きをロックすることが可能となる。
【0045】
また、複数の第1の凹凸部と複数の第2の凹凸部との係合を解除する方向に付勢する付勢部材を備えていてもよい。このような付勢部材を設けることにより、複数の第1の凹凸部と複数の第2の凹凸部との不要な係合、つまり、第2の移動体を本体に対して移動させたいときに、複数の第1の凹凸部に複数の第2の凹凸部が引っ掛かって第2の移動体が動かなくなるなどの不具合を抑制することが可能となる。
【0046】
なお、付勢部材は本体に設けても良いし、第2の移動体に設ける場合であっても、それぞれ両者に設ける場合であっても良い。また、付勢部材の設ける数などは任意であり得る。
【0047】
さらに、付勢部材の形態も任意であり得る。例えば、第2の移動体と材質が同じで一体的であって板ばね状のものであっても良いし、第2の移動体とは別体の金属などのコイルバネ、板バネなどであってもよいし、弾性を有する材料からなる弾性部材であっても良い。
【0048】
さらに、第1の移動体と第2の移動体とは、少なくとも第1の移動体の進行位置から第1の移動体の退避位置へ向かう第1の移動体の移動の際に連動して移動可能なように構成されていることが好ましい。
【0049】
この場合、第1の移動体を退避位置に戻しておけば、第2の移動体も第1の移動体との連動によりその退避位置に戻ることとなり、第1の移動体が退避位置にあるのに、第2の移動体が退避位置になくて第2の面から突出する状態を回避することが可能となる。このような構成とすることによって、第1の移動体が退避位置にある場合に、取付対象面側に位置する第2の面から第2の移動体が突出することを回避することが可能であり、取付体を被取付部材の取付対象面に取り付ける際に、第2の面から飛び出している第2の移動体が取付の邪魔になるのを回避できるという優れた効果を奏することが可能となる。
【0050】
1つの実施形態では、第1の移動体は、第1の面から第2の面に向かって形成される長軸からなる係合部を有し、第2の移動体は、係合部に係合可能な第1の面から第2の面に向かって形成される短軸からなる被係合部を有している。
【0051】
そして、第1の移動体の係合部に第2の移動体の被係合部を係合させることによって、第1の移動体と第2の移動体とが、少なくとも第1の移動体の進行位置から第1の移動体の退避位置へ向かう第1の移動体の移動の際に連動することとなる。
【0052】
また、孔状部は、固定具が挿通される方向が第1の面および第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向を可能とする形状を有していることが好ましい。
【0053】
孔状部における固定具の挿通方向を本体の第1の面および第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向にすると、固定具で取付体を固定したときに、傾斜方向(すなわち、第1の面および第2の面に平行な方向)の力を取付体に作用させることが可能となる。
【0054】
このように第1の面および第2の面に平行な方向の力を取付体に作用させることで、被取付部材の開口部に嵌め込まれた取付体のフランジ部分に下向きの力が作用することで、被取付部材の開口部周辺部と取付体のフランジ部分との間に隙間が存在した場合であってもその隙間を埋めることが可能となる結果、被取付部材の開口部と取付体との密着性を高めて取付強度、気密性を向上させることが可能となる。
【0055】
また、第1の移動体は、ガイド部を備え、第1の移動体が進行位置に位置した際に、ガイド部は、第1の面側において、孔状部に固定具が挿通される方向を規制するように構成されていることが好ましい。この場合、孔状部に固定具を挿通することで本体に対する固定具の角度が決まり、固定具を被取付部材に所定角度で取り付ける作業のばらつきを軽減できる。
【0056】
例えば、ガイド部により規制される固定具の挿通方向は、第1の面および第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向であってもよいし、第1の面および第2の面に対して垂直な方向でもよい。好ましくは、固定具の挿通方向は、第1の面および第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向である。固定具の挿通方向を、第1の面および第2の面に対して垂直な方向に対して傾斜する方向とすることで、上述したように、取付体を第1の面および第2の面に沿った方向に付勢して取付体と被取付部材との密着性を確保することが可能となる。
【0057】
ここで、第1の移動体には工具差込孔が形成されていることが好ましい。なぜなら、取付作業において、第2の移動体のロック位置が所望の位置ではなく(すなわち、第2の移動体と被取付部材との間の隙間が解消不足の場合)再度ロックを行う必要があるが、第2の移動体のロック状態(連動している第1の移動体もロック状態)の解除が難しい場合が発生し得るが、第1の移動体に工具差込孔を設けることによって、工具差込孔に工具を差し込んだ状態で工具を第1の移動体の孔状部に対して退避する方向に力を加えることによって孔状部に挿入された状態である第1の移動体を退避位置に移動させることを容易に行うことが可能となる。第1の移動体と第2の移動体との連動が解除されることにより、その結果、第2の移動体のロック状態が解除される。
【0058】
さらに、被取付部材には開口部が形成されている場合、取付体の本体は開口部に嵌挿可能な形状を有することが好ましい。なぜなら、取付体の本体を被取付部材の開口部に嵌め込むことで、被取付部材における取付体の取り付け部分を平坦にできるからである。例えば、被取付部材が建築物の床板であり、取付体が床下収納庫の枠体である場合、床下収納庫の枠体の上面が床板の面とほぼ面一となって躓きなどの不具合を回避することが可能となる。
【0059】
上述したように、本発明の取付体は、本体の第1の面に対して進退可能な第1の移動体と本体の第2の面に対して進退可能な第2の移動体とを備え、第1の移動体が、第2の移動体の位置が固定される進行位置と、第2の移動体の固定が解除される退避位置との間で移動可能であり、かつ、第1の移動体の進行位置への移動に伴って、第2の移動体が本体に対して移動可能な位置から本体に対して固定される位置へ移動するものであれば、特に限定されるものではないが、以下の実施形態では、取付体を構成する本体、第1の移動体、および第2の移動体の具体的な構成を説明する。
【0060】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0061】
(実施形態1)
図1は、本発明の一つの実施形態における取付体の一部を示す図であり、図1(a)は、取付体100が被取付部材1に取り付けられた状態を示す図である。
【0062】
被取付部材1は、例えば、取付体100が嵌め込まれる開口部3が形成された床部材(図6参照)であり、床板1aと根太1bとを含んでいる。
【0063】
取付体100は、被取付部材1の取付面2、つまり開口部3の内壁面に取り付けられるものであり、本体100aと第1の移動体110と第2の移動体120とを有する。なお、第1の移動体110および/または第2の移動体120は、本体100aに着脱不能な状態で収納されている。
【0064】
本体100aは、第1の面S1と第1の面と反対側の第2の面S2とを備え、本体100aには、第1の面S1と第2の面S2とを貫通する孔状部10が形成されている。ここで、第2の面S2は、被取付部材1の取付面2に当接可能な面である。
【0065】
第2の移動体120は、本体100a内の第2の面S2側に、第2の面S2に対して進退可能に配置されており、第2の移動体120は、第2の面S2から突出する位置と本体100a内の位置とで進退可能となっている。
【0066】
また、第1の移動体110は、本体100aの内部であって第1の面S1側に、第1の面S1に対して進退可能に配置されており、孔状部10に第1の面S1側から孔状部10に挿入可能な進行位置(図1(a)、図4(a)参照)と孔状部10への挿入が解除される退避位置(図4(b)参照)との間で移動可能となっている。図1(a)に示す様に、第1の移動体110が有するガイド部113が、孔状部10に挿入される進行位置に配置することによって、第1の面S1側において、固定具50が挿通される方向Dfが規制される。ここで、ガイド部113によって規制される固定具50が挿通される方向Dfは、第1の面S1および第2の面S2に対して垂直な方向に対して傾斜する方向である。
【0067】
挿通される方向Dfに従って、固定具50を被取付部材1に向かって打設することによって、取付体100を被取付部材1に取り付けることができる。
【0068】
ここで、第1の移動体110の移動と第2の移動体120の移動とは連動しており、第
1の移動体110は、第2の移動体120の位置を固定するための進行位置と、第2の移動体120の固定を解除するための退避位置との間で移動可能であり、第1の移動体110の進行位置への移動に伴い、第2の移動体120が本体100aに対して移動可能な位置から本体100aに対して固定される位置へと移動するように構成されている。
【0069】
このように本実施形態1の取付体100では、第2の移動体120が第2の面S2に対して進退可能となっていることによって被取付部材1と取付体100(本体100a)との間に隙間(または段差)があったとしても、第2の移動体120の第2の面S2から突出することでその隙間(または段差)を吸収することが可能となっており、これにより、被取付部材1の取付面2と取付体100との間に隙間があっても取付体を変形させることなく固定具50で被取付部材1に直接取り付けることが可能である。
【0070】
以下、取付体100の本体100a、第1の移動体110、および第2の移動体120を説明する。
【0071】
まず、取付体100の本体100aの構造を説明する。
【0072】
(本体100a)
図1(b)は、取付体100の本体100aの構造を示す。
【0073】
取付体100(本体100a、第1の移動体110および第2の移動体120も含む)は、図6に示すように枠体であり、取付体100の本体100aは、本体100aの内周側に位置する内周側壁101と、本体100aの外周側に位置する外周側壁102とを備え、これらの内周側壁101と外周側壁102とを連結壁103で連結した構造となっている。
【0074】
この本体100aには、固定具50を装着するための装着部130(図6参照)が複数形成されており、装着部130には、第1の移動体110および第2の移動体120を収容する収容スペース104が形成されている。
【0075】
また、外周側壁102の上端部102aは、被取付部材1の開口部の周縁に当接する係止部となっている。
【0076】
そして、本体100aのうちの固定具50が装着される部分である装着部130には、第1の面S1と第2の面S2とを貫通し、固定具50が挿通可能な孔状部10が形成されている。この孔状部10では、第1の面S1において固定具50の直径よりも大きな開口部10aが形成され、第2の面S2において固定具50の直径とほぼ同じ大きさの開口部10bが形成され、さらに、その間を繋ぐ筒状部10cが形成されている。開口部10a、開口部10bおよび筒状部10cは、開口部の回りがすべて壁で囲まれる穴であっても良いし、一部に切欠きを有する溝(スリット)などであってもよい。
【0077】
また、図3に示す様に、本体100aの装着部130には、第2の移動体120が収容可能な形状の収容スペース104が形成されている。また、この収容スペース104の上内壁面には、孔状部10が設けられている。なお、孔状部10は、第1の面S1に設けられた固定具50の直径よりも大きな開口部10aと第2の面S2に設けられている固定具50の直径とほぼ同じ大きさの開口部10bとを有する。
【0078】
また、収容スペース104の第2の移動体120と対向する面(図3においては上内壁面)には、複数の凹凸部105が形成されている。なお、図3においては凹凸部105を上内壁面に設けたが、凹凸部105を設ける場所は任意であり、第2の移動体120と対向する面として下面であってもよいし、左右の面であってもよい。
【0079】
(第1の移動体110および第2の移動体120の機能)
図2は、図1に示す第1の移動体110および第2の移動体120の機能を説明する図であり、図2(a)は、本体100aの内に配置された第1の移動体110が退避位置に位置し第2の移動体120が取付体に対して固定されていない状態を示し、図2(b)は、第1の移動体110が進行位置に向かって移動している途中の状態であって、第2の取付体120の第2の面S2側が第2の面S2(外周側壁の表面)から突出した状態を示し、図2(c)は、第1の移動体110が進行位置に移動した状態であって、第2の移動体120が本体100aに固定された状態を示している。
【0080】
この実施形態の取付体100では、装着部130(図6参照)の収容スペース104にて第1の移動体110と第2の移動体120とは図2(a)に示すように収容され、第1の移動体110および第2の移動体120は、取付体100の本体100aに対して前後方向(つまり、図2の紙面の左右方向)に移動可能に配置されている。
【0081】
第1の移動体110は、図2に示す様に第1の面S1に対して進退可能な状態で本体100a内に配置されている。そして、第2の移動体120は、第1の移動体110の上に載置された状態であり、本体100aの内で、本体100aの第2の面S2に対して進退可能な状態で配置されている。
【0082】
さらに、第1の移動体110と第2の移動体120とが接する面の少なくともいずれか一方には傾斜部が形成されている。図2においては、第2の移動体120の下面には傾斜部123が、また、第1の移動体110のベース部111の上にも傾斜部112が形成されている。
【0083】
従って、図2(a)に示すように、第1の移動体110上に第2の移動体120が載置された状態で、第1の移動体110が進行位置(図2の左側)への移動がはじまると、第1の移動体110のベース部111の前端が第2の移動体120の傾斜部123に当接し、かつ第2の移動体120の後端が第1の移動体110の傾斜部112に当接することとなり、第2の移動体120は第1の移動体110に押されて第2の移動体120も同じ方向に移動することになり、その結果、第2の移動体120は本体100aの第2の面S2より突出する。
【0084】
そして、図2(b)に示す様に、第1の移動体110の進行位置への移動が継続されると、それに伴う第2の移動体120の移動により第2の移動体120が被取付部材1の取付面2に当接し、それによって、第2の移動体120の水平方向の移動が規制される。これによって、被取付部材1と取付体100との間に隙間Dxなどが存在しても、隙間などを解消することが可能となる。
【0085】
なお、図2(c)に示す様に、図2(b)の状態において、さらに第1の移動体110が進行位置に向かって移動を継続することによって、第2の移動体120は、本体100a内の収容スペース104の上内壁面に当接する状態まで移動し、その状態で停止することとなる。この状態となることで、第2の移動体120は第1の移動体110と本体100aの上内壁面との間で固定されるため、特に上下方向に対して強固に固定された状態となる。
【0086】
以上説示したように、第1の移動体110の退避位置から進行位置への移動によって、第1の移動体110の退避位置における第2の移動体120が本体100aに対して固定されていない状態から、第1の移動体110の進行位置における第2の移動体120が被取付部材1と本体100aとの隙間を埋めるとともに本体100aに対して固定される状態に変化する。
【0087】
従って、第1の移動体110を進行位置に退避位置から移動させるという1つの作業を行うことで、第2の移動体120を被取付部材1の取付面2に当接させる作業と、第2の移動体120を本体100aに対して固定させる作業とを、同時にワンタッチで行うことが可能となり、作業の効率性を高めることが可能となる。
【0088】
なお、第2の移動体120を第1の移動体110の移動方向に対して略垂直な第1の方向へ移動させる傾斜部は、第1の移動体110および第2の移動体120の両方に備える必要はなく、それらの一方が備えていてもよい。
【0089】
ここで、第1の移動体110はガイド部113を備えることによって、進行位置への移動によって固定具50の挿通方向を規制し、退避位置への移動によって固定具50の挿通方向の規制を解除するようにしてもよい。このようなガイド部113を備えることで、第1の移動体110の進行位置へ移動させる作業は、第2の移動体120を被取付部材1の取付面2に当接させる作業と、第2の移動体120を本体100aに対して固定させる作業に加えて、固定具50の挿通方向を規定するという作業を同時にワンタッチで行うことが可能となる。
【0090】
図4は、図1に示す第1の移動体110のガイド部113の機能を説明する図であり、図4(a)は、本体100aに装着された第1の移動体110のガイド部113が、固定具50が挿通される方向を規制する位置(進行位置)にある状態を示し、図4(b)は、第1の移動体110のガイド部113が固定具50の挿通される方向を規制しない位置(退避位置)にある状態を示す。
【0091】
図4(a)に示すように、第1の移動体110が進行位置にあるとき、つまり、本体100a内で第1の移動体110のガイド部113が本体100aの第1の面S1に当接するまで第1の移動体110が進行したとき、孔状部10の第1の面S1に存在する開口部10aとガイド部113との組み合わせにより固定具50の直径とほぼ同じ大きさの固定具50が挿通可能な穴10dが形成される。それによって、第2の面S2に設けられた固定具50の直径とほぼ同じ大きさの開口部10bと第1の面S1に形成された固定具50の直径とほぼ同じ大きさの穴10dとによって、固定具50が孔状部10に挿通される方向Dfが規制される。
【0092】
一方、図2(b)に示すように、第1の移動体110が退避位置に位置する状態では、孔状部10の第1の面S1では固定具50の直径よりも大きい開口部10aが形成されているため固定具50が挿通される方向が定まらない。
【0093】
このように第1の移動体110を、固定具50の挿通方向が規制される進行位置と固定具50の挿通方向が規制されない退避位置との間で移動させることには以下の役割がある。
【0094】
すなわち、取付体100を本体100aの第2の面S2にだけ固定具50が挿通する開口部10bがあるものにすると、固定具50が正しくない挿通方向で取り付けられる危険があることから、この実施形態の取付体100では、第1の移動体110を利用して固定具50が正しい挿通方向に取り付けられるようにしている。
【0095】
このような取付体100では、第1の移動体110が退避位置にあれば、固定具50の取付の際、完全な挿通孔がない、つまり、固定具50の挿通方向が規定されないので、作業者が違和感を感じて作業を躊躇して間違った作業の回避につながる。何より図4(b)の二点鎖線で示された固定具50が水平になった状態では、第1の移動体110のガイド部113が邪魔になってドライバーなどの工具で固定具50を回せないことから、施工間違い防止の役割がある。
【0096】
次に、第1の移動体110のより具体的な構造を説明する。
【0097】
図5は、第1の移動体110および本体100aの一部(図6のR1部分)を示す図であり、図5(a)は、第1の移動体110のより具体的な構造を示し、図5(b)は、本体100aの装着部130(図6のR1部分)の収容スペース104に第1の移動体110が装着される前の状態を示す。
【0098】
第1の移動体110は、図5(a)に示すように、ベース部111と傾斜部112とガイド部113とを有している。ここで、ガイド部113は、第1の移動体110が本体100aの進行位置に位置するときに、本体100aの孔状部10に挿入されて第1の面S1に存在する開口部10aとの組み合わせにより固定具50の挿通する方向を規制する部分である。また、ベース部111の一端側の縁部には、工具差込孔114が形成されている。この工具差込孔114に工具を差し込むことで、第1の移動体110を進行位置から退避位置に容易に移動させることが可能となる。
【0099】
本体100aの装着部130に形成されている収容スペース104は、図5(b)に示すように、このような構造の第1の移動体110を移動可能に収容する形状となっている。
【0100】
つまり、収容スペース104には第1の移動体110を、孔状部10に挿入可能な進行位置と孔状部10への挿入が解除される退避位置との間で移動可能にするための第1の移動ガイド部104aが形成されている。ベース部111の側縁部111aがこの第1の移動ガイド部104aに支持されることで、第1の移動体110は、収容スペース104内で、進行方向(内周側壁101および第1の面S1側から外周側壁102および第2の面S2側へ向かう方向)あるいはその反対の退避方向に移動可能になっている。
【0101】
図5(c)は、第1の移動体110が進行位置にある状態を示し、図5(d)は、第1の移動体110が進行位置から退避位置まで引き出された状態を示す。
【0102】
図5(c)に示すように、本体100aの装着部130にて第1の移動体110が進行位置に位置している状態では、第1の移動体110のガイド部113が、本体100aの孔状部10の第1の面S1に存在する開口部10aと当接し、開口部10aの上面部とガイド部113とで囲われた部分に固定具50の直径とほぼ同じ大きさの穴10dが形成される。この状態において、第1の移動体110のガイド部113と開口部10aとの組み合わせで形成された固定具50の直径とほぼ同じ大きさの穴10dと、第2の面S2に設けられた固定具50の直径とほぼ同じ大きさの開口部10bとの2点で固定具50が挿通される方向を規制することが可能となる。
【0103】
なお、図5において、第1の移動ガイド部104aは第1の移動体110を水平方向に移動可能とするスライド機構であるが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1の移動体110は、回動機構によって進行位置と退避位置との間で移動可能とされるものでもよい。
【0104】
図5Aは、図5に示す第1の移動体110の変形例としての第1の移動体210および本体200aの一部(図6のR1部分に相当)を示す図であり、図5A(a)は、第1の移動体210のより具体的な構造を示し、図5A(b)は、本体200aの装着部230の収容スペースに第1の移動体210が装着された状態を示し、図5A(c)は、収容スペース内での第1の移動体210と第2の移動体220との係合状態を示す。
【0105】
この第1の移動体210は、図5A(b)に示すように本体200aの装着部230の収容スペースに収容され、図5A(b)に示される退避位置から矢印で示すように、本体200aに対して回動することで進行位置に移動するものであり、進行位置では、図5(c)に示す状態に相当する状態となる。
【0106】
この第1の移動体210は、図5A(a)に示すように、図5(a)に示す第1の移動体110と同様にベース部111およびガイド部113を有するとともに、回動軸部214とカム部212とを有している。
【0107】
ここで、回動軸部214は、ベース部111を本体200aに対して、本体200aの長手方向に平行な軸の回りで回動可能に支持する部分であり、ベース部111の両端に設けられている。また、カム部212は、第1の移動体210が退避位置(図5A(b))から進行位置(図5(c)参照)に向けて回動したときに、図5A(c)に示すように第1の移動体210の上に載置されている第2の移動体220を持ち上げるものである。この第2の移動体220の上面にも、本体200aの装着部230の上内壁面に形成された凹凸部(図示せず)と係合する凹凸部222が形成されている。
【0108】
次に、第2の移動体120の具体的な構造を示す。
【0109】
図3は、第2の移動体120および本体100aの一部(図6のR2部分)を示しており、図3(a)は、第2の移動体120のより具体的な構造を示し、図3(b)は、本体100aの装着部130(図6のR2部分)に第2の移動体120が装着される前の状態を示す。
【0110】
第2の移動体120は、図3(a)に示すように、ブロック状体であり、本体100aの孔状部10を収納可能な凹部121を備えている。また第2の移動体120の本体100a内の内壁面と対向する面には凹凸部122が形成されている。さらに第2の移動体120には傾斜部123が形成されている。
【0111】
本体100aの装着部130には、図3(b)に示すように、第2の移動体120が収容可能な形状の収容スペース104が形成されている。
【0112】
この収容スペース104の上内壁面には、孔状部10が設けられている。なお、孔状部10は、第1の面S1に設けられた固定具50の直径よりも大きな開口部10aと第2の面S2に設けられている固定具50の直径とほぼ同じ大きさの開口部10bとを有する。
【0113】
また、収容スペース104の第2の移動体120と対向する面(図3における上内壁面)には、複数の凹凸部105が形成されている。
【0114】
上述した構成の取付体100では、第1の移動体110の進行方向(図2の紙面の左方向)の移動により第2の移動体120が上方(図2の紙面の上方向)に移動したときに、第2の移動体120の本体100aの上内壁面に対向する面に設けられた複数の凹凸部122と、本体100aの上内壁面に設けられた複数の凹凸部105とが、係合することとなり、特に第1の移動体110の移動方向(図2の紙面の左右方向)に対して第2の移動体120をより強固に固定することが可能となる。なお、複数の凹凸部105は、本体100aの左右の内側壁面に設けられていてもよい。その場合、第2の移動体120は左右の部分が分離された2部品で構成されており、本体100aの左内側壁面に形成された凹凸部は、第2の移動体120の左側部分の左側壁面に設けられた複数の凹凸部と係合し、本体100aの右内側壁面に形成された凹凸部は、第2の移動体120の右側部分の右側壁面に設けられた複数の凹凸部と係合する。
【0115】
図3(c)は、本体100aの装着部130における収容スペース104に第2の移動体120を収容した状態を示し、図3(d)は、さらに、この収容スペース104に第1の移動体110を収容した状態を示している。
【0116】
図3(c)に示すように本体100aの装着部130における収容スペース104に第2の移動体120が収容され、さらに、図3(d)に示すように、収容スペース104に第1の移動体110が収容された状態では、上述したように第1の移動体110の上に第2の移動体120が載置されることとなり、第1の移動体110の移動に連動して第2の移動体120が移動する状態となる。
【0117】
次に本実施形態の取付体100を被取付部材1の取付面2に取り付ける方法の一例を説明する。
【0118】
図6は、上述した実施形態の取付体100を被取付部材1の取付面2に取り付ける様子を示す図であり、取付体100の全体の具体的な構成が示されている。
【0119】
図6に示すように、被取付部材1の取付面2、例えば、住宅の床部材の表面に形成された開口部3の内壁面に取付体100を取り付ける場合、まず、取付体100はその本体100aの装着部130の収容スペース104に第2の移動体120および第1の移動体110が収容された状態にしておく(図6参照)。
【0120】
このとき、第2の移動体120は本体100aの外周側壁102の表面(他方の面)S2から突出しないように装着部130の収容スペース104内に配置し(図2(a)参照)、第1の移動体110は、装着部130の孔状部10に挿入されない退避位置に配置しておく。
【0121】
この状態の取付体100を被取付部材1に形成されている開口部3に嵌め込む。このように開口部3に取付体100を嵌め込んだ状態で、図2(b)に示すように、第1の移動体110を進行位置へ向けて移動させる。このとき、第1の移動体110の移動に連動して第2の移動体120がまず第1の移動体110の移動方向に沿って第1の移動体110とともに移動する。
【0122】
例えば、図2(a)および(b)に示すように、第2の移動体120に対向する被取付部材1の取付面2に隙間(段差)がある場合は、第2の移動体120は、取付体100の外周側壁102の表面(他方の面)S2から突出して被取付部材1の取付面2に当接するように水平移動する。
【0123】
その後、第1の移動体110を進行位置まで移動させると、第2の移動体120は、第1の移動体110の移動に伴って、第2の移動体120の下面の傾斜部123および第1の移動体110の上面の傾斜部112によって装着部130の収容スペース104の上内壁面側に持ち上げられる。このとき、第2の移動体120の上面に形成されている凹凸部122が、収容スペース104の上内壁面に形成されている凹凸部105に係合することで、第2の移動体120が強固に装着部130内で固定されることとなる。
【0124】
また、このとき、進行位置の第1の移動体110は、取付体100の一方の面S1側(内周側壁101の側)において孔状部10に挿入されてガイド部113と第1の面S1に存在する開口部10aとの組み合わせにより、固定具50の直径とほぼ同じ大きさの固定具50が挿通可能な穴10dを形成する。これにより、固定具50の挿通する方向が規制される。
【0125】
このようにして取付体100の本体100aにおけるすべての装着部130にて第1の移動体110の移動により第2の移動体120を固定して孔状部10での固定具50の挿通方向を規制した後、孔状部10に固定具50を挿通すると、固定具50は所定の方向を向くこととなる。このため、固定具50を被取付部材1、具体的には被取付部材1を構成する根太1bにねじ込んだり打ち込んだりするときの角度を簡単にそろえることができる。
【0126】
例えば、孔状部10とガイド部113との組み合わせにより挿通方向が図4(a)に示すように斜め下方に規定された釘、ねじ釘などの固定具50を被取付部材1に対して取り付けると、取付体100には、被取付部材1の垂直な取付面2に対して鉛直方向の力がかかり、取付体100の外周側壁102の上端部102aと被取付部材1の開口部3の周縁部との密着強度が高まり、取付強度、気密性などが向上する。
【0127】
なお、第1の移動体110の移動による第2の移動体120の位置決めに失敗したときには、第1の移動体110の工具差込孔114にドライバーなどの工具を差し込んで第1の移動体110を進行位置から退避させることで、第1の移動体110と第2の移動体120とが装着部130内での移動をロックされた状態を解除することが可能である。
【0128】
このように、本実施形態の取付体100は、第1の面S1と第1の面と反対側の第2の面S2とを備え、第1の面S1と第2の面S2とを貫通する固定具50が挿通可能な孔状部10を備えた本体100aと、本体100a内の第1の面S1側に配置され、第1の面S1に対して進退可能な第1の移動体110と、本体100a内の第2の面S2側に配置され、第2の面S2に対して進退可能な第2の移動体120とを備え、第1の移動体110は、第2の移動体120の位置を固定するための進行位置と、第2の移動体120の固定を解除するための退避位置との間で移動可能であり、第1の移動体110の進行位置への移動に伴い、第2の移動体120が本体100aに対して移動可能な位置から本体100aに対して固定される位置へと移動するように構成されているので、被取付部材1の取付面2と取付体100との間に隙間や段差があっても、取付体100を変形させることなく被取付部材1に所望の強度で取り付けることが可能となる。
【0129】
また、本実施形態の取付体100では、第1の移動体110はガイド部113を備え、第1の移動体110が進行位置に位置した際に、ガイド部113は、第1の面S1側において、孔状部10に固定具50が挿通される方向Dfを規制するように構成されているので、被取付部材1に取付体100を固定具50で取り付ける際の固定具50の取付角度のばらつきを抑えて、作業の効率性を高めることが可能となる。
【0130】
(実施形態2)
次に本発明の実施形態2として、実施形態1の取付体100の取付作業の作業性をさらに向上させた改良型の取付体300(図面には番号付与せず)を説明する。
【0131】
この改良型の取付体300は、図1図5で説明した実施形態1の取付体100と同様、本体100aを有するが、第1の移動体110および第2の移動体120とは異なる、第1の移動体310および第2の移動体320を備えている点で、実施形態1の取付体100とは異なる(図7参照)。第1の移動体310および第2の移動体320はそれぞれ、実施形態1の取付体100における第1の移動体110および第2の移動体120の有する機能を同様に備えるとともに、より作業性を向上させるための以下に示す機能を有するものである。
【0132】
(第1の移動体310および第2の移動体320の有する機能)
図7は、本発明の実施形態2による取付体で用いられる第1移動体310および第2の移動体320が有する機能を説明する図であり、図7(a)~図7(c)は、第1の移動体310が進行位置から退避位置へ向かう方向に移動させた場合における第1の移動体310と第2の移動体320との関係状態の推移を示している。なお、図7では、第1の移動体310については、図8のX-X線に沿った断面構造を示している。
【0133】
この実施形態2の取付体300では、第1の移動体310と第2の移動体320とは、第1の移動体310の進行位置から第1の移動体310の退避位置へ向かう第1の移動体310の移動の際に連動して移動可能なように構成されている。
【0134】
より具体的には、第1の移動体310は、本体の第1の面S1から本体の第2の面S2(図1参照)に向かって形成される長軸からなる係合部315を有し、第2の移動体320は、係合部315に係合可能な第1の面S1から第2の面S2に向かって形成される短軸からなる被係合部325を有している。そして、係合部315に被係合部325を係合させることによって、第1の移動体310と第2の移動体320とが、第1の移動体310の進行位置から第1の移動体310の退避位置へ向かう第1の移動体310の移動の際に連動可能なようになっている。
【0135】
まず、図7(a)に示すように、第1の移動体310が進行位置に位置しているときは、第2の移動体320は、図2(c)に示す実施形態1の取付体100のときと同様に、第1の移動体310により持ち上げられた状態となっており、この状態では、第1の凹凸部105と第2の凹凸部122とが係合することにより、第2の移動体320が本体100aに固定されている。なお、この状態においては、第1の移動体310の係合部315と第2の移動体320の被係合部325とは係合していない。
【0136】
この状態から、矢印A1で示すように、第1の移動体310を退避位置へ向けて移動させると、図7(b)に示すように、本体100a内の収容スペース104の上内壁面と第2の移動体320の上面との間に隙間Dyができ、これにより、第2の凹凸部122と第1の凹凸部105との係合が解除されることとなる。
【0137】
そしてさらに第1の移動体310を矢印A2で示すように、退避位置に向けて移動させると、図7(c)に示すように、第1の移動体310の係合部315が第2の移動体320の被係合部325に係合し、この係合によって第1の移動体310と第2の移動体320とが連動して第1の移動体310の退避位置へ向かうように移動することが可能となる。このときの第1の移動体310と第2の移動体320との連動により、第2の面から飛び出していた第2の移動体320が第2の面S2に対して退避することとが可能となる。
【0138】
また、上述したように、第1の移動体310が係合部315を有し、第2の移動体320が係合部315に係合可能な被係合部325を有し、第1の移動体310と第2の移動体320とが、進行位置から退避位置へ向かう第1の移動体310の移動の際に連動するようになっている場合、取付体の取付作業前に、第1の移動体310の位置を退避位置にしておけば、第2の移動体320が第2の面から突出しない状態を確実に実現できる。このような構成とすることによって、第1の移動体が退避位置にある場合に、取付対象面側に位置する第2の面から第2の移動体が突出することを回避することが可能であり、取付体を被取付部材の取付対象面に取り付ける際に、第2の面から飛び出している第2の移動体が取付の邪魔になるのを回避できるという優れた効果を奏することが可能となる。
【0139】
また、このような第2の移動体320は、図7に示すように、本体100aに向かって付勢可能な付勢部324を備えていてもよい。例えば、付勢部324は、本体101aの複数の第1の凹凸部105と第2の移動体320の複数の第2の凹凸部122との係合を解除する方向に付勢するように構成されていることが好ましい。
【0140】
この場合、第1の移動体310による第2の移動体320の持ち上げが第1の移動体310の退避位置への移動より解除されたとき、付勢部324による、複数の第1の凹凸部と複数の第2の凹凸部との係合を解除する方向の付勢により、複数の第1の凹凸部105と複数の第2の凹凸部122との係合がよりスムーズに解除することが可能となる。
【0141】
さらに、付勢部324は、第1の移動体310の進行位置から退避位置への移動の際に複数の第1の凹凸部と複数の第2の凹凸部との係合解除をスムーズにする機能だけでなく、図7(d)の矢印A3で示す第1の移動体310の退避位置から進行位置への移動の際に、第1の移動体310が強く操作された場合あるいは素早く操作された場合などで、例えば、図7(d)に示す様に第1の移動体310と連動する第2の移動体320が第1の移動体310の移動により前のめりになることによって、第2の凹凸部(第2の移動体320の凹凸部)が第1の凹凸部(本体100aの凹凸部)に引っ掛かり、第1の移動体をスムーズに進行位置に移動させることができなくなるのを防止することが可能となる。
【0142】
従って、付勢部324は、実施形態2に示す第2の移動体320だけでなく、実施形態1の第2の移動体120、実施形態1の変形例の第2の移動体220に設けていてもよい。
【0143】
次に、第1の移動体310および第2の移動体320の具体的な構造を説明する。
【0144】
図8は、第1の移動体310および第2の移動体320の構造を示す図であり、図8(a)は、第1の移動体310の係合部315および第2の移動体320の被係合部325の具体的構造を示し、図8(b)は、第2の移動体320の付勢部324の具体的構造を示す。
【0145】
この実施形態2の取付体300で用いられる第1の移動体310は、実施形態1の第1の移動体110において、上述した係合部315として、ベース部111の表面にガイド部113の両側に位置するように形成された一対の溝部を備えたものであり、その他の構成は、実施形態1の第1の移動体110と同一である(図8(a))。ここで、溝部(係合部)315は、第1の移動体310の移動方向(つまり、第2の面S2(第1の面S1)に垂直な方向に延びている。
【0146】
ただし、係合部315の具体的な構成は、ベース部111の表面にガイド部113の両側に位置するように形成された一対の溝部に限定されるものではなく、凸条部(直線状の凸部)であってもよい。
【0147】
また、この実施形態2の取付体300で用いられる第2の移動体320は、実施形態1の第2の移動体120において、上述した被係合部325として、ブロック状体の裏面に第1の移動体310の係合部315である一対の溝部に係合する一対の板状凸状片を備え、さらに、ブロック状体の上面の両側部に、上述した付勢部324として一対の上側に反った付勢片を備えたものであり、その他の構成は、実施形態1の第1の移動体110と同一である。
【0148】
ここで、付勢部324としての一対の上方に反った付勢片は、付勢時の変形が塑性変形とならないようにできるだけ広い範囲で変形させるために、付勢片の回動中心は、付勢片に隣接する切込み324aを前面壁の上端から入れることで、第2の移動体320の前面壁320aの上端部E1ではなく、上端部E1より下側にオフセットした部位E2としている。
【0149】
なお、この実施形態2の取付体300として、第1の移動体310が進行位置から退避位置へ移動する際の第1の移動体310と第2の移動体320との連動と、第2の移動体320の付勢部による本体の付勢とを行うものを示したが、実施形態2の取付体300は、このような2つの移動体の連動のみを行うものでも、第2の移動体の付勢部による本体の付勢のみを行うものでもよい。
【0150】
また、上述したように、複数の凹凸部105が、本体100aの左右の内側壁面に設けられており、第2の移動体320が左右の部分が分離された2部品で構成され、本体100aの左内側壁面に形成された凹凸部は、第2の移動体320の左側部分の左側壁面に設けられた複数の凹凸部と係合し、本体100aの右内側壁面に形成された凹凸部は、第2の移動体320の右側部分の右側壁面に設けられた複数の凹凸部と係合する場合は、付勢部324は、第2の移動体320の左側部分の左側壁面、および第2の移動体320の右側部分の右側壁面に、それぞれ本体の左内側壁面、および右内側壁面に対向するように形成される。
【0151】
なお、図6においては、図1に一部が示される取付体100の全体の具体的な構成を示す図として示されているが、図7に示されている取付体300も取付体100の全体の具体的な構成は同様である。
【0152】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は、被取付部材の取付面と取付体との間に隙間や段差があっても、取付体を変形させることなく被取付部材に所望の強度で取り付けることが可能な取付体を得ることができるものとして有用である。
【符号の説明】
【0154】
1 被取付部材
1a 床板
1b 根太
2 取付面
3 開口部
10 孔状部
10a、10b 開口部
10c 筒状部
10d 穴
50 固定具
100、300 取付体
100a、200a 本体
101 内周側壁
102 外周側壁
103 連結壁
104 収容スペース
105、122、222 凹凸部
110、210、310 第1の移動体
111 ベース部
112、123 傾斜部
113 ガイド部
114 工具差込孔
120、220、320 第2の移動体
120c ブロック連結部
121 凹部
130、230 装着部
212 カム部
214 回動軸部
315 係合部
324 付勢部
324a 切込み
325 被係合部
Df 挿通方向
Dx 隙間
S1 第1の面
S2 第2の面
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8