(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119714
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】システム、送信機、受信機、方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/80 20160101AFI20240827BHJP
H02J 50/20 20160101ALI20240827BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20240827BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H02J50/80
H02J50/20
H02J50/40
H02J7/00 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096179
(22)【出願日】2023-06-12
(62)【分割の表示】P 2023025976の分割
【原出願日】2023-02-22
(71)【出願人】
【識別番号】520354692
【氏名又は名称】エイターリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小舘 直人
(72)【発明者】
【氏名】村井 彬人
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503BB01
5G503BB03
5G503GB09
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD05
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】ワイヤレス給電するシステムにおいて、送信機と、複数の受信機とのペアリングを効率的に実施する。
【解決手段】システムは、送信機と、1又は複数の受信機とを備える。送信機は、給電信号を送信するステップと、受信機から、受信機の識別情報を含むデータ信号を受信するステップと、受信したデータ信号に基づき、受信機を登録するステップとを実行する。受信機は、固有の識別情報が割り当てられており、送信機から送信される給電信号により、蓄電部に蓄電される容量が所定値に達すると、識別情報を含むデータ信号を送信するステップを実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機と、1又は複数の受信機とを備え、
前記送信機は、
給電信号を送信するステップと、
前記受信機から、前記受信機の識別情報を含むデータ信号を受信するステップと、
受信した前記データ信号に基づき、前記受信機を登録するステップと
を実行し、
前記受信機は、
固有の識別情報が割り当てられており、前記送信機から送信される前記給電信号により、蓄電部に蓄電される容量が所定値に達すると、前記識別情報を含むデータ信号を送信するステップ
を実行するシステム。
【請求項2】
前記送信機は、
前記送信機と前記受信機とを関連付けるための第1モードへの遷移を前記複数の受信機へ指示するステップと、
前記第1モードへの遷移を指示した後、前記複数の受信機へ前記送信機の識別情報を送信するステップと
を実行し、
前記受信機は、前記データ信号を送信するステップにおいて、受信した前記識別情報により特定される送信機へ、前記データ信号を送信する請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記送信機は、前記指示するステップにおいて、前記複数の受信機へ第1モードへの遷移を指示するための情報で前記給電信号を変調する請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記送信機は、前記送信するステップにおいて、前記送信機の識別情報で前記給電信号を変調して送信することで、前記送信機の識別情報を前記受信機へ送信する請求項2記載のシステム。
【請求項5】
前記受信機は、前記送信機と前記受信機とを関連付けるための第1モードが設定されており、
前記送信機は、前記第1モードの前記受信機へ前記送信機の識別情報を送信するステップを実行し、
前記受信機は、前記データ信号を送信するステップにおいて、受信した前記識別情報により特定される送信機へ、前記データ信号を送信する請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記送信機は、登録した前記受信機へ自己の識別情報を含むデータ信号を送信するステップを実行する請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記受信機は、前記データ信号を送信するステップにおいて、自己の識別情報に基づく仕様でデータ信号を送信する請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記受信機は、前記データ信号を送信するステップにおいて、自己の識別情報に応じた周波数、周期、又はこれらの組み合わせで前記データ信号を送信する請求項7記載のシステム。
【請求項9】
請求項1から8に記載のシステムで使用される送信機。
【請求項10】
請求項1から8に記載のシステムで使用される受信機。
【請求項11】
送信機と、受信機とを備えるシステムで実行される方法であって、前記送信機及び前記受信機が、請求項1から請求項8に係る発明のうちいずれかの発明が有する全てのステップを実行する方法。
【請求項12】
送信機と、受信機とを備えるシステムで実行されるプログラムであって、前記送信機及び前記受信機に、請求項1から請求項8に係る発明のうちいずれかの発明が有する全てのステップを実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システム、送信機、受信機、方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ワイヤレスで給電対象に電力を供給する無線送電装置において、通常の電力伝送を行う状態と、通常時よりも弱い電力を伝送する状態とを切り換え可能な無線送電装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、抑制伝送モードにおいて、作業者が無線送電装置と、各センサユニットを対応づけるペアリング処理を行うようにしている。しかしながら、無線送電装置と、複数のセンサユニットとのペアリングを一斉に行うことについては記載されていない。
【0005】
本開示の目的は、ワイヤレス給電するシステムにおいて、送信機と、複数の受信機とのペアリングを効率的に実施することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
システムは、送信機と、1又は複数の受信機とを備える。送信機は、給電信号を送信するステップと、受信機から、受信機の識別情報を含むデータ信号を受信するステップと、受信したデータ信号に基づき、受信機を登録するステップとを実行する。受信機は、固有の識別情報が割り当てられており、送信機から送信される給電信号により、蓄電部に蓄電される容量が所定値に達すると、識別情報を含むデータ信号を送信するステップを実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ワイヤレス給電するシステムにおいて、送信機と、複数の受信機とのペアリングを効率的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
【
図3】送信機100に記憶される送信機情報1061のデータ構造の例を示す模式図である。
【
図4】受信機200に記憶される送信機情報2081のデータ構造の例を示す模式図である。
【
図5】受信機200に記憶される受信機情報2082のデータ構造の例を示す模式図である。
【
図6】送信機100と複数の受信機200とがペアリングする際の送信機100及び複数の受信機200の動作を説明するための図である。
【
図7】送信機100と複数の受信機200とがペアリングする際の送信機100及び複数の受信機200の動作のその他の例を説明するための図である。
【
図8】変形例に係る送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
【
図9】送信機100と複数の受信機200とがペアリングする際の送信機100及び複数の受信機200の動作のその他の例を説明するための図である。
【
図10】コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0010】
<概要>
WPT(Wireless Power Transfer)システムにおいて、給電信号を送信する送信機と、給電信号を受信する複数の受信機とが存在する。給電信号を受けて複数の受信機が電力を蓄積する際の時間差を利用することで、送信機と複数の受信機とを、電波干渉を抑えて関連付ける。関連付けられた送信機と複数の受信機とは、データ信号を送受信する。
【0011】
<1 システム全体の構成図>
図1は、本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【0012】
図1に示すWPTシステム1は、例えば、送信機100、受信機200、第1情報処理装置300、及び第2情報処理装置400を備える。
図1に示すWPTシステム1は、例えば、ビル、又は工場等で利用される。なお、送信機100と第1情報処理装置300との接続、及び第1情報処理装置300と第2情報処理装置400との接続は、有線であっても無線であっても構わない。
【0013】
図1において、WPTシステム1が送信機100を3台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる送信機100の数は、3台に限定されない。WPTシステム1に含まれる送信機100は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0014】
図1において、WPTシステム1が受信機200を7台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる受信機200の数は、7台に限定されない。WPTシステム1に含まれる受信機200は、6台以下であってもよいし、8台以上であってもよい。
【0015】
図1において、WPTシステム1が第1情報処理装置300を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0016】
送信機100は、例えば、受信機200へ給電信号、又はデータ信号を送信する。送信機100は、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。送信機100は、例えば、2.4GHz帯の電波により、受信機200へデータ信号を送信する。送信機100は、データ信号を、920MHz帯の電波により送信してもよい。
【0017】
送信機100は、例えば、1台の受信機200へ給電信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へ給電信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、1台の受信機200へデータ信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、他の送信機100と同じデータ信号を送信してもよいし、他の送信機100と異なるデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、所定のコマンド信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよいし、予め設定された信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよい。
【0018】
送信機100は、例えば、受信機200から送信されるデータ信号を受信する。送信機100は、例えば、1台の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよいし、複数の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよい。送信機100は、受信機200から送信されるデータ信号を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100は、送信機100の状態に関する情報を第1情報処理装置300へ送信する。
【0019】
受信機200は、例えば、送信機100から送信される給電信号、又はデータ信号を受信する。受信機200は、例えば、蓄電部を有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を蓄電部に貯える。受信機200は、例えば、所定のセンサを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力によりセンサを駆動させる。
【0020】
受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信する。
【0021】
第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200の動作を監視する情報処理装置である。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100、及び受信機200の状態に関する情報に基づき、送信機100、又は受信機200が予め設定された状態になっているか否かを判断する。予め設定された状態になっていると判断した場合、第1情報処理装置300は、所定の情報を第2情報処理装置400へ送信する。
【0022】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200についての情報を蓄積する。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。
【0023】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。例えば、第1情報処理装置300は、所定の指示、又は情報を送信機100へ送信する。
【0024】
また、第1情報処理装置300は、第2情報処理装置400の動作を制御する。
【0025】
第2情報処理装置400は、例えば、WPTシステム1の管理者が操作する情報処理装置である。第2情報処理装置400は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっている旨の連絡を第1情報処理装置300から受信すると、送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっていることをユーザに提示する。
【0026】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・送信機100の配置に関する情報
・受信機200の配置に関する情報
・消費電力に関する情報
・電力強度に関する情報
【0027】
<1.1 送信機と受信機の構成>
図2は、
図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、送信機100と受信機200とは、例えば、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機100と受信機200とは、数m程度の距離だけ隔てられて設置される。具体的には、例えば、送信機100は、屋内の高所、例えば、天井、又は壁に設けられた所定の高位置に固定して設置される。受信機200は、屋内の所定のデバイスに設置されたり、給電が必要なデバイスの近傍に載置されたりする。また、受信機200は、ユーザにより携帯されてもよい。送信機100は、所定の周波数、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。受信機200は、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電するか、又は、変換した電力を所定のデバイスへ供給する。
【0028】
送信機100は、例えば、発振器101、変調器107、送信アンテナ102、マイコン(制御器)103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、記憶部106を有する。発振器101、変調器107、マイコン103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、記憶部106又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB(プリント基板)に実装されていてもよい。
【0029】
発振器101は、所定周波数帯、例えば、920MHz帯の信号を発振させる。
【0030】
変調器107は、マイコン103の指示に応じ、発振された信号の変調処理を実施する。変調器107は、例えば、マイコン103により設定された信号で、発振された信号を変調する。変調方式は、振幅変調、周波数変調、位相変調のいずれであっても構わない。変調された信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。
【0031】
送信アンテナ102は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に送信可能に形成されている。送信アンテナ102は、変調器107で変調された信号を、給電信号として放射する。
【0032】
マイコン103は、送信機100の動作を制御する。マイコン103は、例えば、ARMプロセッサを搭載したシングルボードコンピュータにより実現される。マイコン103は、例えば、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。
【0033】
また、マイコン103は、送信機100と、複数の受信機200とを関連付ける処理を制御する。つまり、マイコン103は、送信機100と、複数の受信機200とのペアリングを制御する。
【0034】
データ送受信機104は、デジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機104は、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機104は、例えば、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から所定の信号を抽出し、デジタルデータに変換してマイコン103へ送信する。
【0035】
データ送受信アンテナ105は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ105は、データ送受信機104から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ105は、受信機200から送信されたデータ信号を受信する。
【0036】
記憶部106は、例えば、メモリ等により実現され、送信機100が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部106は、例えば、送信機情報1061、及び受信機情報1062を記憶する。送信機情報1061は、例えば、自装置に関する情報を含む。自装置に関する情報は、例えば、自装置の識別情報を含む。送信機情報1061は、例えば、記憶部106に予め記憶されている。
【0037】
受信機情報1062は、例えば、ペアリングする受信機200に関する情報を含む。ペアリングする受信機200に関する情報は、例えば、関連付けられている受信機200の識別情報、及び送信機100に対してペアリングすることが予め設定されている受信機200の識別情報を含む。送信機100に対してペアリングすることが予め設定されている受信機200の識別情報は、例えば、記憶部106に予め記憶されていてもよいし、第1情報処理装置300から送信されてもよい。また、送信機100に対してペアリングすることが予め設定されている受信機200の識別情報は、記憶されていなくてもよい。
【0038】
受信機200は、例えば、受信アンテナ201、整流器202、復調器209、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207、記憶部208を有する。受信アンテナ201、整流器202、復調器209、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207、記憶部208、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0039】
受信アンテナ201は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。受信アンテナ201は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0040】
整流器202は、給電信号として受信した電波を整流し、直流電圧に変換する。
【0041】
復調器209は、例えば、受信アンテナ201で受信された給電信号から、例えば、方向性結合器等により取り出された信号を受信する。復調器209は、取り出された信号を復調し、所定の信号を生成する。復調器209は、生成した信号をマイコン205へ出力する。
【0042】
電力管理部203は、直流電圧を管理する。例えば、電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御する。電力管理部203は、充電電圧を制御することで、蓄電部204を充電する。また、電力管理部203は、例えば、蓄電部204に所定容量以上の電力が蓄えられると、直流電圧を、接続される部材へ供給する。
【0043】
また、電力管理部203は、マイコン205からの制御に応じ、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0044】
蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて電力を蓄える。蓄電部204は、例えば、バッテリー、又はキャパシタ等により実現される。また、蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて蓄えている電力を放出する。
【0045】
マイコン205は、受信機200の動作を制御する。マイコン205は、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204に蓄えられた電力により駆動される。マイコン205は、電力管理部203を制御し、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0046】
また、マイコン205は、送信機100と、受信機200とを関連付ける処理を制御する。つまり、マイコン205は、送信機100と、受信機200とのペアリングを制御する。
【0047】
受信機200には、例えば、種々のセンサが接続可能である。例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ等が受信機200に接続される。受信機200に接続されたセンサは、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等を、継続的又は断続的に監視する。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等をデジタルデータとしてデータ送受信機206へ送信する。なお、センサは、受信機200に内蔵されていてもよい。
【0048】
データ送受信機206は、マイコン205から供給されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機206は、データ送受信アンテナ207で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機206は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0049】
データ送受信アンテナ207は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ207は、データ送受信機206から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ207は、送信機100から送信されたデータ信号を受信する。例えば、データ送受信アンテナ207は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0050】
記憶部208は、例えば、メモリ等により実現され、受信機200が使用するデータ、及びプログラムを記憶する。記憶部208は、例えば、送信機情報2081、及び受信機情報2082を記憶する。送信機情報2081は、例えば、関連付けられている送信機100に関する情報を含む。関連付けられている送信機100に関する情報は、例えば、送信機100の識別情報を含む。
【0051】
受信機情報2082は、例えば、自装置に関する情報を含む。自装置に関する情報は、例えば、自装置の識別情報、ペアリング時にデータ信号を送信する仕様に関する情報、及び蓄電部204の閾値に関する情報を含む。
【0052】
ペアリング時にデータ信号を送信する仕様に関する情報は、例えば、データ信号を送信する際の周波数チャンネルを表す。例えば、周波数チャンネルは、識別情報に基づいて設定されている。具体的には、例えば、識別情報としてのIDが偶数である場合はチャンネル1が設定されており、奇数である場合はチャンネル2が設定されている。
【0053】
また、ペアリング時にデータ信号を送信する仕様に関する情報は、例えば、データ信号を送信する周期を表す。例えば、周期は、識別情報に基づいて設定されている。具体的には、例えば、識別情報としてのIDが偶数である場合は0.7秒が設定されており、奇数である場合は0.8秒が設定されている。
【0054】
なお、ペアリング時にデータ信号を送信する仕様は、識別情報が奇数か偶数かに基づいて異なるものに限定されない。所定の自然数の約数毎に仕様が異なってもよい。また、ペアリング時にデータ信号を送信する仕様に関する情報は、受信機200の識別情報に基づくものに限定されず、受信機200毎に設定されていてもよい。
【0055】
蓄電部204の閾値に関する情報は、受信機200が送信機100へ応答する際に利用する情報である。閾値は、例えば、受信機200がペアリング処理を実施可能な程度の電力値である。この電力値は、例えば、受信機200が動作する際に求められる電力値よりも低い。閾値は、例えば、全ての受信機200で同じ値である。蓄電部204に蓄電されている電力の初期値は、受信機200毎に異なる。そのため、閾値をそれぞれ同値に設定したとしても、充電開始から設定されている電力値まで達成する時間は受信機200毎に異なる。なお、閾値は、受信機200毎に異なっていてもよい。これにより、初期電力値に関わらず、充電開始から設定されている電力値まで達成する時間は受信機200毎に異なることになる。
【0056】
また、閾値は、複数の値が記憶されていてもよい。例えば、初回のペアリングと、2回目以降のペアリングとで異なる閾値が使用されてもよい。初回のペアリングでは、例えば、受信機200が動作する際に求められる電力値よりも低い電力値が閾値として設定される。そのため、動作を停止し、2回目以降のペアリングの対象となる受信機200の蓄電部204の蓄電量が、初回のペアリングのために設定されている閾値を超えている可能性がある。そのため、2回目以降のペアリングでは、初回のペアリングで用いる閾値よりも高い電力値を閾値として設定する。これにより、例えば、受信機200の動作を停止させてペアリングをする場合であっても、すでに蓄積されている電力が閾値を超えている可能性を抑えることが可能となる。
【0057】
<2 データ構造>
図3は、送信機100に記憶される送信機情報1061のデータ構造の例を示す模式図である。なお、
図3は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。また、同一のテーブルに記載されるデータであっても、記憶部106において離れた記憶領域に記憶されていることもあり得る。
【0058】
図3に示す受信機情報1062は、例えば、識別情報1をキーとして、識別情報2、日時のカラムを有するテーブルである。識別情報1は、ペアリングする予定の受信機200の識別情報を記憶する項目である。識別情報1に記憶される情報は、記憶部106に予め記憶されていてもよいし、第1情報処理装置300から送信されてもよい。識別情報2は、ペアリング処理により関連付けられた受信機200の識別情報を記憶する項目である。識別情報2に記憶される情報は、受信機200から送信される情報に基づいて更新新される。日時は、受信機200と関連付けられた日時を記憶する項目である。
【0059】
図4は、受信機200に記憶される送信機情報2081のデータ構造の例を示す模式図である。なお、
図4は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。また、同一のテーブルに記載されるデータであっても、記憶部208において離れた記憶領域に記憶されていることもあり得る。
【0060】
図4に示す送信機情報2081は、例えば、識別情報をキーとして、日時のカラムを有するテーブルである。識別情報は、ペアリング処理により関連付けられた送信機100の識別情報を記憶する項目である。識別情報に記憶される情報は、送信機100から送信される情報に基づいて更新新される。日時は、送信機100と関連付けられた日時を記憶する項目である。
【0061】
図5は、受信機200に記憶される受信機情報2082のデータ構造の例を示す模式図である。なお、
図5は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。また、同一のテーブルに記載されるデータであっても、記憶部208において離れた記憶領域に記憶されていることもあり得る。
【0062】
図5に示す受信機情報2082は、識別情報をキーとして、送信の仕様、閾値のカラムを有するテーブルである。識別情報は、自装置の識別情報を記憶する項目である。送信の仕様は、ペアリング時にデータ信号を送信する仕様に関する情報を記憶する項目である。具体的には、例えば、送信の仕様は、「EVEN:チャンネル1、ODD:チャンネル2」のように、識別情報に基づく送信の仕様が記憶されている。また、例えば、送信の仕様は、「EVEN:0.7s、ODD:0.8s」のように、識別情報に基づく送信の仕様が記憶されている。閾値は、送信機100へ応答する際の蓄電量の閾値を記憶する項目である。
【0063】
<3 送信機と受信機のペアリング時の動作>
(第1例)
図6は、送信機100と複数の受信機200とがペアリングする際の送信機100及び複数の受信機200の動作を説明するための図である。第1例では、複数の受信機200を、通常の動作モードから、第1モードへ遷移させてから、送信機100と受信機200とを関連付ける場合について説明する。通常の動作モードは、例えば、受信機200が、送信機100から送信される給電信号を利用し、センサ等によるセンシングをするモードである。第1モードは、送信機100と受信機200とを関連付けるためのモードである。例えば、第1モードでは、送信機100と受信機200とを関連付けるため、センシング等の動作が停止されている。
【0064】
第1例において、例えば、受信機200は、送信機100と初めてペアリングをする受信機200であってもよい。つまり、例えば、受信機200は、所定の位置に設置される前の、初めて駆動される受信機200であってもよい。本実施形態において、送信機100と初めてペアリングをする受信機200は、例えば、初めて電源が入れられた受信機200、ROMにペアリングの識別状態が書き込まれていない受信機200等を含む。また、例えば、受信機200は、送信機100とペアリングをされて所定の位置に設置された後、改めてペアリングをする必要が発生した受信機200であってもよい。つまり、例えば、受信機200は、すでに所定の位置に設置された後の駆動済みの受信機200であってもよい。
【0065】
WPTシステム1の管理者は、例えば、複数の受信機200が所定の範囲内に存在する送信機100に対し、ペアリングの開始を指示する。ペアリング開始の指示は、送信機100に設けられている物理ボタンを押下することで入力してもよいし、第1情報処理装置300を介して入力してもよい。
【0066】
ペアリングが開始されると、ステップS11において、送信機100のマイコン103は、複数の受信機200へ第1モードへの遷移を指示する。具体的には、例えば、マイコン103は、給電信号を所定の規則で変調する。マイコン103は、例えば、受信機200を第1モードへの切り替えるための指示信号で給電信号を変調する。より具体的には、例えば、マイコン103は、受信機200を第1モードへの切り替えるためのコマンドで給電信号を振幅変調、周波数変調、又は位相変調するように、変調器107を制御する。送信アンテナ102は、指示信号で変調された給電信号を空間へ放射する。第1モードへの切り替えるためのコマンドは、例えば、0と1とから成り立つ。
【0067】
送信機100から所定の範囲内に存在する複数の受信機200は、送信機100から放射された給電信号を受信する。
【0068】
ステップS12において、受信機200のマイコン205は、指示信号で変調された給電信号を受信すると、受信機200のモードを第1モードに遷移させる。具体的には、受信アンテナ201は、指示信号で変調された給電信号を受信する。整流器202は、受信した給電信号を整流し、直流電圧に変換する。電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御し、蓄電部204を充電する。
【0069】
給電信号の一部は、例えば、方向性結合器(図示せず)により取り出され、復調器209へ送信される。復調器209は、取り出された信号を復調し、給電信号に変調されていた指示信号を生成する。復調器209は、指示信号をマイコン205へ出力する。マイコン205は、指示信号を受信すると、受信機200を第1モードに遷移させる。
【0070】
ステップS13において、マイコン103は、自身の識別情報を複数の受信機200へ通知する。具体的には、例えば、マイコン103は、給電信号を所定の規則で変調する。例えば、マイコン103は、指示信号を変調した給電信号の送信が所定の要件を満たすと、変調する信号を切り替える。より具体的には、例えば、マイコン103は、指示信号を変調した給電信号を所定期間送信すると、変調する信号を切り替える。また、例えば、マイコン103は、指示信号を変調した給電信号を所定回数送信すると、変調する信号を切り替える。
【0071】
マイコン103は、例えば、自装置の識別情報で給電信号を変調する。具体的には、例えば、マイコン103は、自装置のID:「1001」で給電信号を振幅変調、周波数変調、又は位相変調するように、変調器107を制御する。送信アンテナ102は、識別情報で変調された給電信号を空間へ放射する。
【0072】
送信機100から所定の範囲内に存在する複数の受信機200は、送信機100から放射された給電信号を受信する。
【0073】
ステップS14において、マイコン205は、送信機100を登録する。具体的には、受信アンテナ201は、送信機100の識別情報で変調された給電信号を受信する。整流器202は、受信した給電信号を整流し、直流電圧に変換する。電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御し、蓄電部204を充電する。
【0074】
給電信号の一部は、例えば、方向性結合器(図示せず)により取り出され、復調器209へ送信される。復調器209は、取り出された信号を復調し、給電信号に変調されていた識別情報を生成する。復調器209は、識別情報をマイコン205へ出力する。マイコン205は、識別情報を受信すると、受信した識別情報を送信機情報2081に記憶する。
【0075】
ステップS15において、マイコン103は、指示信号及び識別情報を変調していない給電信号を送信アンテナ102に送信させる。例えば、マイコン103は、識別情報を変調した給電信号の送信が所定の要件を満たすと、識別情報の変調を停止する。具体的には、例えば、マイコン103は、識別情報を変調した給電信号を所定期間送信すると、識別情報の変調を停止する。また、例えば、マイコン103は、識別情報を変調した給電信号を所定回数送信すると、識別情報の変調を停止する。
【0076】
送信機100から所定の範囲内に存在する複数の受信機200は、送信機100から放射された給電信号を受信する。
【0077】
ステップS16において、マイコン205は、蓄電部204の充電量が所定値に達したかを判断する。具体的には、受信アンテナ201は、給電信号を受信する。整流器202は、受信した給電信号を整流し、直流電圧に変換する。電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御し、蓄電部204を充電する。マイコン205は、蓄電部204の充電量が受信機情報2082に記憶される閾値に達したか否かを判断する。例えば、ペアリング処理の開始時に蓄電部204に充電されている電力量は、受信機200毎に異なる。そのため、蓄電部204の電力量が閾値に達するタイミングは、
図6で示すように、受信機200毎に異なることになる。
【0078】
受信機情報2082に複数の閾値が記憶されている場合、例えば、マイコン205は、ペアリングの回数に応じて閾値を設定する。例えば、今回が初めてのペアリングである場合、マイコン205は、低い閾値を設定する。また、ペアリングの回数が2回目以降である場合、マイコン205は、高い閾値を設定する。
【0079】
ステップS17において、蓄電部204の充電量が閾値に達すると、マイコン205は、受信機200の識別情報を含めたデータ信号を送信機100へ送信する。具体的には、マイコン205は、蓄電部204の充電量が閾値に達すると、受信機情報2082から自装置の識別情報を読み出す。データ送受信機206は、読み出した識別情報で搬送波を変調し、データ信号とする。マイコン205は、送信機情報2081から、関連付けられている送信機100の識別情報を読み出し、送信先として設定する。マイコン205は、受信機情報2082から、データ送信の仕様に関する情報を読み出し、読み出した仕様で、送信機100を宛先としてデータ信号をデータ送受信アンテナ207から放射する。
【0080】
マイコン205は、例えば、受信機情報2082に記憶されている識別情報が偶数であり、受信機情報2082に記憶されている仕様が偶数である場合の所定の送信チャンネル、所定の送信周期である場合、偶数に割り当てられている所定の送信チャンネル、所定の送信周期でデータ信号を送信する。また、マイコン205は、例えば、受信機情報2082に記憶されている識別情報が奇数であり、受信機情報2082に記憶されている仕様が奇数である場合の所定の送信チャンネル、所定の送信周期である場合、奇数に割り当てられている所定の送信チャンネル、所定の送信周期でデータ信号を送信する。
【0081】
受信機200から所定の範囲内に存在する送信機100は、受信機200から放射されたデータ信号を受信する。
【0082】
ステップS18において、マイコン103は、受信機200を登録する。具体的には、データ送受信機104は、受信したデータ信号を復調し、受信機200の識別情報を取得する。マイコン103は、取得した識別情報を受信機情報1062に記憶する。
【0083】
ペアリングする予定の受信機200が受信機情報1062に予め登録されている場合、マイコン103は、ペアリングが完了したかをこの情報に基づいて判断してもよい。例えば、マイコン103は、ペアリング予定の受信機200の識別情報と、新たに記憶した受信機200の識別情報とを突合する。データ信号による応答を受信していない受信機200が存在する場合、マイコン103は、ペアリングが完了していないと判断する。マイコン103は、第1モードを継続し、給電信号の放射を続ける。
【0084】
ステップS19において、マイコン103は、複数の受信機200へ通常の動作モードへの遷移を指示する。具体的には、例えば、ペアリングが予定されている全ての受信機200からの応答があると、マイコン103は、受信機200を第1モードから通常の動作モードへ遷移させる。例えば、マイコン103は、通常の動作モードへ遷移する旨の指示をデータ信号で受信機200へ指示する。つまり、マイコン103は、通常の動作モードへの遷移を指示するコマンドで搬送波を変調し、データ信号とする。マイコン103は、受信機情報1062から、関連付けられている受信機200の識別情報を読み出し、送信先として設定する。マイコン103は、受信機200を宛先としてデータ信号をデータ送受信アンテナ105から放射する。
【0085】
ステップS110において、受信機200は、データ信号を受信すると、第1モードから通常の動作モードへ遷移する。これにより、送信機100と受信機200とは関連付けられ、関連付けられた送信機100と受信機200との間でデータ信号が送受信されるようになる。
【0086】
図6の説明では、ステップS15において、送信機100が、指示信号及び識別情報を変調していない給電信号を送信する例を説明した。しかしながら、送信機100は、ステップS15の処理を実施せず、識別情報を変調した給電信号の送信を続けてもよい。
【0087】
(第2例)
第1例では、受信機200は、ペアリングを開始する時点において通常の動作モードであり、送信機100からの指示により第1モードへ遷移する場合を説明した。受信機200は、ペアリングを開始する時点において、第1モードとなっていてもよい。
【0088】
図7は、送信機100と複数の受信機200とがペアリングする際の送信機100及び複数の受信機200の動作のその他の例を説明するための図である。
【0089】
第2例において、例えば、受信機200は、送信機100と初めてペアリングをする受信機200である。本実施形態において、送信機100と初めてペアリングをする受信機200は、例えば、初めて電源が入れられた受信機200、ROMにペアリングの識別状態が書き込まれていない受信機200等を含む。WPTシステム1の管理者は、例えば、複数の受信機200が所定の範囲内に存在する送信機100に対し、ペアリングの開始を指示する。ペアリング開始の指示は、送信機100に設けられている物理ボタンを押下することで入力してもよいし、第1情報処理装置300を介して入力してもよい。
【0090】
ペアリングが開始されると、ステップS21において、マイコン103は、自身の識別情報を複数の受信機200へ通知する。具体的には、例えば、マイコン103は、給電信号を所定の規則で変調する。マイコン103は、例えば、自装置の識別情報で給電信号を変調する。具体的には、例えば、マイコン103は、自装置のID:「1001」で給電信号を振幅変調、周波数変調、又は位相変調するように、変調器107を制御する。送信アンテナ102は、識別情報で変調された給電信号を空間へ放射する。
【0091】
送信機100から所定の範囲内に存在する複数の受信機200は、送信機100から放射された給電信号を受信する。
【0092】
送信機100、受信機200は、
図6で示す例と同様にステップS14からステップS110を介し、互いを関連付ける。つまり、送信機100及び受信機200は、ペアリングする。
【0093】
以上のように、上記実施形態では、システム1は、送信機100と、複数の受信機200とを備える。送信機100は、給電信号を送信する。送信機100は、受信機200から、受信機200の識別情報を含むデータ信号を受信する。送信機100は、受信したデータ信号に基づき、受信機200を登録する。受信機200は、固有の識別情報が割り当てられており、送信機100から送信される給電信号により、蓄電部204に蓄電される容量が所定値に達すると、識別情報を含むデータ信号を送信する。
【0094】
蓄電部204に蓄電されている容量は、受信機200毎に異なる。そのため、蓄電部204における所定容量に達したタイミングで応答信号を送信することで、複数の受信機200からデータ信号が送信されるタイミングをばらけさせることが可能となる。このため、複数の受信機200から送信機100へ送信されるデータ信号が干渉することを避け、送信機100で受信できない状況を改善することが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態では、空間全体で略均一に給電できるように送信機100が配置されることを想定している。そのため、本実施形態におけるペアリングは、送信機100から受信機200へ効率的に給電信号を送信するためのペアリングとは異なる。
【0096】
したがって、本実施形態に係るシステム1によれば、ワイヤレス給電するシステムにおいて、送信機100と、複数の受信機200とのペアリングを効率的に実施できる。
【0097】
また、上記実施形態では、送信機100は、送信機100と受信機200とを関連付けるための第1モードへの遷移を複数の受信機200へ指示する。送信機100は、第1モードへの遷移を指示した後、複数の受信機200へ送信機100の識別情報を送信する。受信機200は、受信した識別情報により特定される送信機100へ、データ信号を送信する。これにより、初期のペアリングに加え、すでに動作している受信機200に対しても効率的にペアリング処理を実施することが可能となる。動作中の受信機200は、対応するセンサの近傍の位置に設置されている。動作中の受信機200に対して一括してペアリング処理を実施することができるようになるため、受信機200が設置されているそれぞれの位置へ管理者が行く必要がなくなり、ペアリングの負担が軽減される。また、無線で第1モードへの遷移が指示可能となるため、例えば、受信機200に設けられる物理ボタンを押下してペアリングのためのモードへ遷移させる必要がなくなり、ペアリングの負担が軽減される。
【0098】
また、上記実施形態では、送信機100は、複数の受信機200へ第1モードへの遷移を指示するための情報で給電信号を変調する。これにより、給電信号を送信することで、第1モードへの遷移を受信機200へ指示することが可能となるため、ペアリング処理をより効率的に実施することが可能となる。
【0099】
また、上記実施形態では、送信機100は、送信機100の識別情報で給電信号を変調して送信することで、送信機100の識別情報を受信機200へ送信する。これにより、給電信号を送信することで、送信機100の識別情報を受信機200へ通知することが可能となるため、ペアリング処理をより効率的に実施することが可能となる。
【0100】
また、上記実施形態では、受信機200は、送信機100と受信機200とを関連付けるための第1モードが予め設定されている。送信機100は、第1モードの受信機200へ送信機の識別情報を送信する。受信機200は、受信した識別情報により特定される送信機100へ、データ信号を送信する。これにより、初期状態として第1モードに設定されている受信機200に対し、効率的にペアリング処理を実施することが可能となる。
【0101】
また、上記実施形態では、受信機200は、自己の識別情報に基づく仕様でデータ信号を送信する。これにより、複数の受信機200からデータ信号が略同時に送信された場合であっても、これらのデータ信号が干渉し合うことを抑えることが可能となる。つまり、送信機100は、これらのデータ信号それぞれを受信することが可能となる。
【0102】
また、上記実施形態では、受信機200は、自己の識別情報に応じた周波数、周期、又はこれらの組み合わせでデータ信号を送信する。これにより、複数の受信機200からデータ信号が略同時に送信された場合であっても、これらのデータ信号が干渉し合うことを高確率で抑えることが可能となる。
【0103】
<変形例>
上記実施形態では、送信機100が給電信号を所定の信号で変調して送信する場合を説明した。しかしながら、給電信号は必ずしも変調されなくてもよい。
【0104】
図8は、変形例に係る送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図8では、
図2に示す送信機100と受信機200と異なり、送信機100に変調器107が設置されておらず、受信機200に復調器209が設置されていない。
【0105】
図9は、送信機100と複数の受信機200とがペアリングする際の送信機100及び複数の受信機200の動作のその他の例を説明するための図である。
図9で説明する例では、例えば、受信機200は、送信機100と初めてペアリングをする受信機200である。
【0106】
WPTシステム1の管理者は、例えば、複数の受信機200が所定の範囲内に存在する送信機100に対し、ペアリングの開始を指示する。ペアリング開始の指示は、送信機100に設けられている物理ボタンを押下することで入力してもよいし、第1情報処理装置300を介して入力してもよい。
【0107】
ペアリングが開始されると、ステップS31において、送信機100のマイコン103は、指示信号及び識別情報を変調していない給電信号を送信アンテナ102に送信させる。例えば、送信アンテナ102は、発振器101で発振された信号を、給電信号として放射する。
【0108】
送信機100から所定の範囲内に存在する複数の受信機200は、送信機100から放射された給電信号を受信する。受信機200は、送信機100から放射された給電信号により充電する。例えば、受信アンテナ201は、給電信号を受信する。整流器202は、受信した給電信号を整流し、直流電圧に変換する。電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御し、蓄電部204を充電する。
【0109】
送信機100、受信機200は、
図6で示す例と同様にステップS16からステップS18を実施する。なお、
図9におけるステップS17では、受信機200は、送信機100の識別情報を認識していないため、送信機100の識別情報を指定せずにデータ信号を送信する。これにより、マイコン103は、受信機200の識別情報を受信機情報1062に記憶する。
【0110】
ステップS32において、マイコン103は、自装置の識別情報を含むデータ信号を複数の受信機200へ送信する。具体的には、マイコン103は、自装置の識別情報を送信機情報1061から読み出し、読み出した識別情報で搬送波を変調し、データ信号とする。マイコン103は、受信機情報1062から、関連付けられている受信機200の識別情報を読み出し、送信先として設定する。マイコン103は、受信機200を宛先としてデータ信号をデータ送受信アンテナ105から放射する。
【0111】
ステップS33において、マイコン205は、送信機100を登録する。具体的には、受信アンテナ201は、受信したデータを復調し、送信機100の識別情報を取得する。マイコン103は、取得した識別情報を送信機情報2081に記憶する。
【0112】
ステップS34において、マイコン103は、ペアリング処理を終了させる。具体的には、マイコン103は、受信機200へ送信したデータ信号の全てが受信機200で正常に受信されると、ペアリング処理を終了させる。データ信号が受信機200で正常に受信されない場合、マイコン103は、正常にデータ信号を受信していない受信機200へデータ信号の送信を繰り返す。
【0113】
これにより、送信機100と受信機200とが関連付けられ、関連付けられた送信機100と受信機200との間でデータ信号が送受信される。
【0114】
このように、送信機100は、自装置の識別情報を含むデータ信号を受信機200へ送信することで、送信機100に変調器107が設置されておらず、受信機200に復調器209が設置されていない場合であっても、送信機100と受信機200とのペアリングを効率的に実施することが可能となる。
【0115】
また、上記実施形態の
図6及び
図7では、ステップS17で示すように、受信機200が送信機100の識別情報を指定してデータ信号を送信する場合を例に説明した。しかしながら、このときの受信機200の動作は、これに限定されない。
図6及び
図7のステップS17において、受信機200は、識別情報を設定せずにデータ信号を送信してもよい。
【0116】
<4 コンピュータの基本ハードウェア構成>
図10は、コンピュータ90の基本的なハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、通信IF99(インタフェース、Interface)を少なくとも備える。これらはバスにより相互に電気的に接続される。
【0117】
プロセッサ91とは、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアである。プロセッサ91は、演算装置、レジスタ、周辺回路等から構成される。
【0118】
主記憶装置92とは、プログラム、及びプログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものである。例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。
【0119】
補助記憶装置93とは、データ及びプログラムを保存するための記憶装置である。例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0120】
通信IF99とは、有線又は無線の通信規格を用いて、他のコンピュータとネットワークを介して通信するための信号を入出力するためのインタフェースである。
ネットワークは、インターネット、LAN、無線基地局等によって構築される各種移動通信システム等で構成される。例えば、ネットワークには、3G、4G、5G移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)、所定のアクセスポイントによってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えばWi-Fi(登録商標))等が含まれる。無線で接続する場合、通信プロトコルとして例えば、Z-Wave(登録商標)、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等が含まれる。有線で接続する場合は、ネットワークには、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により直接接続するものも含む。
【0121】
なお、各ハードウェア構成の全部または一部を複数のコンピュータ90に分散して設け、ネットワークを介して相互に接続することによりコンピュータ90を仮想的に実現することができる。このように、コンピュータ90は、単一の筐体、ケースに収納されたコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0122】
<コンピュータ90の基本機能構成>
図10に示すコンピュータ90の基本ハードウェア構成により実現されるコンピュータの機能構成を説明する。コンピュータは、制御部、記憶部、通信部の機能ユニットを少なくとも備える。
【0123】
なお、コンピュータ90が備える機能ユニットは、それぞれの機能ユニットの全部または一部を、ネットワークで相互に接続された複数のコンピュータ90に分散して設けても実現することができる。コンピュータ90は、単一のコンピュータ90だけでなく、仮想化されたコンピュータシステムも含む概念である。
【0124】
制御部は、プロセッサ91が補助記憶装置93に記憶された各種プログラムを読み出して主記憶装置92に展開し、当該プログラムに従って処理を実行することにより実現される。制御部は、プログラムの種類に応じて様々な情報処理を行う機能ユニットを実現することができる。これにより、コンピュータは情報処理を行う情報処理装置として実現される。
【0125】
記憶部は、主記憶装置92、補助記憶装置93により実現される。記憶部は、データ、各種プログラム、各種データベースを記憶する。また、プロセッサ91は、プログラムに従って記憶部に対応する記憶領域を主記憶装置92または補助記憶装置93に確保することができる。また、制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶されたデータの追加、更新、削除処理を実行させることができる。
【0126】
データベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するためのキーとなるカラムが設定されるが、カラムへのキーの設定は必須ではない。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、記憶部に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0127】
通信部は、通信IF99により実現される。通信部は、ネットワークを介して他のコンピュータ90と通信を行う機能を実現する。通信部は、他のコンピュータ90から送信された情報を受信し、制御部へ入力することができる。制御部は、各種プログラムに従ってプロセッサ91に、受信した情報に対する情報処理を実行させることができる。また、通信部は、制御部から出力された情報を他のコンピュータ90へ送信することができる。
【0128】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0129】
また、以上の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0130】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0131】
また、以上の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
【0132】
また、以上の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0133】
また、以上の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部などを用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス、マイコン)とされてもよい。
【0134】
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0135】
また、以上の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0136】
また、以上の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0137】
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0138】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
送信機と、1又は複数の受信機とを備え、送信機は、給電信号を送信するステップと、受信機から、受信機の識別情報を含むデータ信号を受信するステップと、受信したデータ信号に基づき、受信機を登録するステップとを実行し、受信機は、固有の識別情報が割り当てられており、送信機から送信される給電信号により、蓄電部に蓄電される容量が所定値に達すると、識別情報を含むデータ信号を送信するステップを実行するシステム。
(付記2)
送信機は、送信機と受信機とを関連付けるための第1モードへの遷移を複数の受信機へ指示するステップと、第1モードへの遷移を指示した後、複数の受信機へ送信機の識別情報を送信するステップとを実行し、受信機は、データ信号を送信するステップにおいて、受信した識別情報により特定される送信機へ、データ信号を送信する(付記1)に記載のシステム。
(付記3)
送信機は、指示するステップにおいて、複数の受信機へ第1モードへの遷移を指示するための情報で給電信号を変調する(付記2)に記載のシステム。
(付記4)
送信機は、送信するステップにおいて、送信機の識別情報で給電信号を変調して送信することで、送信機の識別情報を受信機へ送信する(付記2)又は(付記3)に記載のシステム。
(付記5)
受信機は、送信機と受信機とを関連付けるための第1モードが設定されており、送信機は、第1モードの受信機へ送信機の識別情報を送信するステップを実行し、受信機は、データ信号を送信するステップにおいて、受信した識別情報により特定される送信機へ、データ信号を送信する(付記1)から(付記4)のいずれかに記載のシステム。
(付記6)
送信機は、登録した受信機へ自己の識別情報を含むデータ信号を送信するステップを実行する(付記1)から(付記5)のいずれかに記載のシステム。
(付記7)
受信機は、データ信号を送信するステップにおいて、自己の識別情報に基づく仕様でデータ信号を送信する(付記1)から(付記6)のいずれかに記載のシステム。
(付記8)
受信機は、データ信号を送信するステップにおいて、自己の識別情報に応じた周波数、周期、又はこれらの組み合わせでデータ信号を送信する(付記7)に記載のシステム。
(付記9)
(付記1)から(付記8)に記載のシステムで使用される送信機。
(付記10)
(付記1)から(付記8)に記載のシステムで使用される受信機。
(付記11)
送信機と、受信機とを備えるシステムで実行される方法であって、送信機及び受信機が、(付記1)から(付記8)に係る発明のうちいずれかの発明が有する全てのステップを実行する方法。
(付記12)
送信機と、受信機とを備えるシステムで実行されるプログラムであって、送信機及び受信機に、(付記1)から(付記8)に係る発明のうちいずれかの発明が有する全てのステップを実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0139】
1…WPTシステム
100…送信機
101…発振器
102…送信アンテナ
103…マイコン
104…データ送受信機
105…データ送受信アンテナ
200…受信機
201…受信アンテナ
202…整流器
203…電力管理部
204…蓄電部
205…マイコン
206…データ送受信機
207…データ送受信アンテナ
300…第1情報処理装置
400…第2情報処理装置