(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119717
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
A61H23/02 386
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023114038
(22)【出願日】2023-07-11
(62)【分割の表示】P 2023025849の分割
【原出願日】2023-02-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-15
(71)【出願人】
【識別番号】517386974
【氏名又は名称】株式会社創和イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小山 定美
(72)【発明者】
【氏名】須藤 晴海
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA03
4C074AA04
4C074AA05
4C074BB01
4C074CC01
4C074CC20
4C074DD05
4C074EE01
4C074FF01
4C074FF09
4C074GG01
4C074HH03
(57)【要約】
【課題】高密度焦点式超音波を利用した美容機器であって、安全かつ効果的な施術ができる美容機器を提供することを目的とする。
【解決手段】上記課題を解決する本願発明は、細胞を収縮させるエネルギーを放出するヘッド1を複数備える美容機器Xであって、ヘッド1は、使用者が手に持つ筒状の把持部と、エネルギーを放出する放出部とを有し、前記放出部は、音波を焦点に集中させて放出する音波放出部を含み、前記音波放出部は、前記放出部の端面に設けられる複数の超音波放出部材を有し、同時に施術する人数を一人又は二人に選択可能な表示部32をさらに備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を収縮させるエネルギーを放出する複数のヘッドと、前記ヘッドを制御する制御部と、前記制御部を操作する操作装置と、を備える美容機器であって、
前記ヘッドは、使用者が手に持つ筒状の把持部と、エネルギーを放出する放出部とを有し、
前記放出部は、音波を焦点に集中させて放出する音波放出部を含み、
前記音波放出部は、前記放出部の端面に設けられる複数の超音波放出部材を有し、
前記操作装置は、同時に施術する人数を一人又は複数人に選択可能とする施術人数選択部を表示し、
前記制御部は、選択された前記人数に応じて、複数の前記ヘッドを同時に使用できるように電力を分配する出力調整部を有する美容機器。
【請求項2】
前記操作装置は、複数の前記ヘッドのうち、同時に使用可能な複数の前記ヘッドの組み合わせを選択可能とする放出装置選択部を表示する、
請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記放出装置選択部は、前記ヘッドの形状を選択可能に表示する、
請求項1又は2の何れかに記載の美容機器。
【請求項4】
前記放出部は、電磁波を放出する電磁波放出部を含み、
前記電磁波放出部は、複数の前記音波放出部を取り囲むように設けられている、請求項1に記載の美容機器。
【請求項5】
前記出力調整部は、前記音波放出部と、前記電磁波放出部と、の出力の強さをそれぞれ調整可能に設けられる請求項4に記載の美容機器。
【請求項6】
前記ヘッドと距離が異なる焦点に音波を集中させて放出する、超音波放出部材を有する第二ヘッドをさらに備え、
前記放出部にエネルギーを供給する供給部は、前記ヘッド及び前記第二ヘッドにそれぞれ対応するコンデンサを備える請求項5に記載の美容機器。
【請求項7】
前記把持部は、円筒形であって、前記放出部に向けて径が短いくびれ部が設けられている請求項1に記載の美容機器。
【請求項8】
前記音波放出部は、超音波を発生させる超音波放出部材を有し、
前記超音波放出部材は、50ns~500ns継続する音波を、少なくとも毎秒10回以上断続的に放出する請求項1に記載の美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シワやたるみに対する施術ができる美容機器に関するもので、特に業務用として用いられるものに関する。
【背景技術】
【0002】
美容機器の分野においては、皮膚の下にある細胞を加熱して収縮させることによって、たるみやシワを改善するための方法として、交流波形によるジュール熱刺激(以下、RF)や、高密度焦点式超音波(例えば、HIFU)を利用することが知られている。特許文献1には、上記の方法を利用することで美容効果を発揮するための器具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、RFやHIFUを利用した加熱方法では、施術を行う者(以下、施術者)が誤って長時間同一の個所を集中的に加熱してしまった場合、施術をされる者(以下、被施術者)がやけどを負ってしまう危険性がある。
簡単な解決策として、加熱する際の出力を低下させて照射する方法があるが、それだけであると施術の効果が低下してしまい、また施術に時間がかかると言った問題も生じる。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑み、高密度焦点式超音波を利用した美容機器であって、安全かつ効果的な施術ができる美容機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本願発明は、細胞を収縮させるエネルギーを放出するヘッドを備える美容機器であって、前記ヘッドは、使用者が手に持つ把持部と、エネルギーを放出する放出部とを有し、前記放出部は、音波を焦点に集中させて放出する音波放出部を含み、前記音波放出部は、前記音波放出部は、前記放出部の端面に設けられる複数の超音波放出部材を有する美容機器である。
複数の音波放出部があることによって、施術時間を短縮し、一つあたりのエネルギー放出が少なくとも効果的な施術を行うことができる。
【0007】
本発明の好ましい形態では、前記放出部は、電磁波を放出する電磁波放出部を含み、前記電磁波放出部は、複数の前記音波放出部を取り囲むように設けられている。
このような構成によって、皮膚の表面及び下層を同時に加熱収縮させることができるため、施術時間を短縮するとともに効果的な施術ができる。
【0008】
本発明の好ましい形態では、前記ヘッドが放出するエネルギーを調整可能な出力調整部を備え、前記出力調整部は、前記音波放出部と、前記電磁波放出部と、の出力の強さをそれぞれ調整可能に設けられる。
これにより、被施術者に合わせた最適な施術ができるため、安全性が高まる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記ヘッドと距離が異なる焦点に音波を集中させて放出する、超音波放出部材を有する第二ヘッドをさらに備え、前記放出部にエネルギーを供給する供給部は、前記ヘッド及び前記第二ヘッドにそれぞれ対応するコンデンサを備える。
このような構成によって、一つの施術装置で施術の部位に応じた適切な深度で施術できるため、安全性が高まる。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記出力調整部は、前記ヘッドと、前記第二ヘッドとを同時に使用できるように電力を分配する。
このような構成によって、複数の施術者が同時に施術を行うことで、施術時間を短縮して効果的な施術ができるようになる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記把持部は、円筒形であって、前記放出部に向けて径が短いくびれ部が設けられている。
このような構成によって、施術者によるヘッドの操作性が上がり、一点に照射する
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記音波放出部は、超音波を発生させる超音波放出部材を有し、前記超音波放出部材は、50ns~500ns継続する音波を、少なくとも毎秒10回以上断続的に放出する。
超音波の継続時間を短くしつつ複数回放出することによって、長時間継続する加熱によって身体の温度が上がりすぎることを防ぎつつ、効果的な施術ができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
上記課題を解決する本発明は、高密度焦点式超音波を利用した美容機器であって、安全かつ効果的な施術ができる美容機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る、美容機器の外観を表す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る、第一ヘッドの外観を表す斜視図及び正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る、第一ヘッドを分解したときの外観を表す側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る、他のヘッドの斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る、制御部を取り巻くシステムの構成図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る、第一ヘッドの断面を表す説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、電力供給部が、電磁波放出部及び音波放出部に与える電圧の出力波形を表す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る、表示部に表示される画像である。
【
図9】本発明の実施形態に係る、美容機器を実施する際のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の各実施形態に係る美容機器Xについて説明する。説明は、実施形態の構成、実施の方法、他の実施例の順に詳述する。
なお、以下に示す各実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の各実施形態に限定するものではない。
【0016】
≪第一の実施形態≫
美容機器Xは、
図1に示すように、細胞を収縮させるエネルギーを放出するヘッド1と、ヘッド1のエネルギー放出を制御する制御部2と、制御部2に情報を入出力するための操作装置3と、制御部2及び操作装置3を取り付けて支持するための取付台4と、を備えている。なお、取付台4はなくともよく、制御部2はヘッド1と一体に設けられていてもよい。
【0017】
ヘッド1は、線材として設けられている接続部10を介して制御部2と接続されている。接続部10は、制御部2から複数伸びておりそれぞれの末端とヘッド1の尾部とを接続する。
実施形態において、ヘッド1は4種設けられており、高密度焦点式超音波を真皮層よりも深い領域に放出する第一ヘッド11と、第一ヘッド11よりも浅い領域に高密度焦点式超音波を放出する第二ヘッド12と、脂肪のキャビテーションを行うための第三ヘッド13と、皮膚の吸引と加熱を同時に行う第四ヘッド14と、を含む。接続部10の末端からヘッド1を取り外せる構成としてもよい。
【0018】
第一ヘッド11は、被施術者の上体、臀部、二の腕、太もも等にエネルギーを放出することで、痩身、シワ改善、セルライト除去を図るヘッドである。第一ヘッド11は、
図2、3に示すように、施術者が把持するための第一把持部111と、第一把持部111と接続してエネルギーを放出する第一放出部112と、を備えている。
また、第一把持部111に対して、第一放出部112は取り外し可能に設けられており、取り外した状態において第一放出部112の放出源が露出することで、施術者による手入れができるようにしている。第一放出部112の位置固定のためのブラケットが、第一把持部111内部に設けられていてもよい。
【0019】
第一把持部111は、断面を略円形とする軸方向に長い筒状部材であって、軸方向長さは施術者の手の平の幅よりも長く設けられており、5cm~20cm程度である。また、その径は、2cm~7cm程度であり、施術者が容易に把持できるようになっている。
また、第一把持部111の径は、両端部に向けてすぼまるようにして設けられており、第一放出部112側の端部は、第一放出部112と協働してくびれを形成する。これによってすぼまっている部分を把持することで多様な持ち方ができるため、第一ヘッド11を傾けやすくすることでより安全な施術ができる。
なお、以下に詳述する第二把持部121と、第三把持部131と、第四把持部141とは、第一把持部111と略同様の機能・形状であるので説明を省略する。
【0020】
第一放出部112は、円錐台形状に設けられており、一方の端部が第一把持部111と接続されており、他方の端部は開放されている端面である。端面から把持部に向けては、直線的にすぼまるように設けられている。
第一放出部112は、表皮よりも深い領域に高密度焦点式超音波を放出する第一音波放出部113と、RF波を放出することで皮膚表面から加熱を行う第一電磁波放出部114と、を有する。
なお、以下に詳述する第二放出部122と、第三放出部132と、第四放出部142において、第一放出部112と略同様の機能・形状は説明を省略する。
【0021】
第一音波放出部113は、音波を焦点に放出する放出部であって、第一ヘッド11の内側に向けて凹面を形成するように設けられる。第一音波放出部113には、第一放出部112の端面に設けられている複数の超音波を放出する部材(以下、超音波放出部材S)が設けられている。好ましくは、超音波放出部材Sは、第一ヘッド11の軸中心から離れて設けられており、より好ましくは軸中心を囲むように設けられている。例えば、複数個の超音波放出部材Sを結ぶと、軸中心を内側に含む多角形を形成するように配置している。実施形態においては、超音波放出部材Sは3つで、それらを結ぶと正三角形となるように配置している。これにより、効果を損なわず、第一ヘッド11を軸中心で回転させると、超音波が一か所に集中的に放出されることを回避できる構造となっている。
【0022】
第一音波放出部113の超音波放出部材Sは、第一放出部112の端面から垂直に5mm~8mm離間した位置で超音波を集中させることができるように設けられており、これにより身体の真皮層や脂肪層の細胞を局所的に加熱できる。
【0023】
第一電磁波放出部114は、RF波を放出することによって、接触面付近を加熱することができるように設けられている。表皮層や真皮層の上部の加熱を行うことで、皮膚表面の代謝を促している。
第一電磁波放出部114は、第一音波放出部113の周囲を取り囲むように、第一放出部112端面の外周付近において等間隔に配置されている。第一電磁波放出部114は、相対する複数の電磁波を放出する部材(以下、電磁波放出部材T)からなり、相対する電磁波放出部材Tに電磁波が通ずるように設けられている。実施形態においては、6つの電磁波放出部材Tが設けられており、第一音波放出部113と協働して、皮膚の表面から脂肪層までを全体的に加熱する。また、第一電磁波放出部114は、第一放出部112の端面から突出して設けられており、突出高さは大きくとも5mm以下である。
これにより、施術時間を短縮するとともに皮膚層の全体的な収縮により、層毎の位相差が出にくいより効果的な施術ができるようになる。なお以下に詳述する、第二電磁波放出部124と、第三電磁波放出部134と、第四電磁波放出部144において第一電磁波放出部114と略同様の機能・形状は説明を省略する。
【0024】
第二ヘッド12は、
図4(a)に示すように、被施術者の顔にエネルギーを放出することで、皮膚の引き上げ、シワ除去、毛穴引き締めを図るヘッドである。第二ヘッド12は、第二把持部121と、第二把持部121と接続してエネルギーを放出する第二放出部122と、を備えている。
【0025】
第二放出部122は、第一放出部112のそれよりも端面の径が短く、好ましくは最大径が第二把持部121と略同一となる程度の大きさである。
第二放出部122は、表皮よりも深い領域に高密度焦点式超音波を放出する第二音波放出部123と、RF波を放出することで皮膚表面から加熱を行う第二電磁波放出部124と、を有する。
【0026】
第二音波放出部123は、第二放出部122の端面において、第二ヘッド12の軸中心上において凹面を形成するように設けられている超音波放出部材Sを有する。超音波放出部材Sが第二ヘッド12の中心軸上にあることで、放出する位置を定めやすくしている。
第二音波放出部123の超音波放出部材Sは、第二放出部122の端面から垂直に2~4mm離間した位置で超音波が集中するように設けられており、少なくとも第一音波放出部113の超音波放出部材Sよりも焦点までの距離が短い。これにより、真皮層が薄い顔などの領域にも適切な施術を行うことができる。
【0027】
第二電磁波放出部124は、第二音波放出部123の周縁に取り囲むように配置して設けられており、RF波を放出することによって皮膚の表層における代謝を促進する。
【0028】
第三ヘッド13は、
図4(b)に示すように、被施術者の身体にエネルギーを放出することによって、被施術者の脂肪細胞の減少及びリンパ節のつまりの解消を図るヘッドである。第三ヘッド13は、第三把持部131と、第三把持部131と接続してエネルギーを放出する第三放出部132とを備えている。
【0029】
第三放出部132は、椀型に設けられており、一方の端部が第三把持部131と接続されており、他方の端部は開放されている端面である。端面から把持部に向けては、曲線的にすぼまるように設けられている。第三放出部132は、キャビテーションを行う超音波を放出するキャビテーション部133と、RF波を放出することで皮膚表面の加熱を行う第三電磁波放出部134と、を有する。
【0030】
キャビテーション部133は、所定の周波数の超音波を放出することによって、身体の脂肪に働きかけてキャビテーションを発生させる。また、第三電磁波放出部134は、RF波を放出することによって皮膚の表層を加熱することでキャビテーションを促進する。
【0031】
第四ヘッド14は、
図4(c)に示すように、被施術者の身体を吸引しつつエネルギーを放出することによって、広範囲の脂肪細胞の溶解、むくみ改善、代謝促進を図るヘッドである。第四ヘッド14は、第四把持部141と、第四把持部141と接続して吸引及びエネルギーを放出する第四放出部142とを備えている。第四放出部142は、皮膚を吸引する吸引部143と、RF波の放出をすることで皮膚を加熱する第四電磁波放出部144と、を有する。
【0032】
第四放出部142は、第一放出部112等と比べて扁平に設けられる。円盤状の部材であって、端面側の軸中心には、吸引部143が設けられている。
吸引部143は、第四放出部142の外部から内部に向けて設けられる穴部分であって、その内部で負圧を発生させることによって皮膚の吸引を行う。
【0033】
第四電磁波放出部144は、第四放出部142の端面において吸引部143を取り囲むように設けられている。皮膚が吸引された状態でRF波による加熱を行うことによって、通常届かない層の加熱を行うことができる。
【0034】
制御部2は、ヘッド1の状態を検出する検出部21と、処理を行うための制御部本体22と、ヘッド1に電力の供給を行うための電力供給部23と、を備える。
なお、制御部2は、2つのヘッドを同時に使用可能になるように、ヘッド1に電力を分配できるように設けられている。
【0035】
検出部21は、少なくともヘッド1及び制御部本体22と電気的に接続している部材であって、ヘッド1毎に付された識別子を検出することによって、ヘッド1の種別を検出し該情報を制御部本体22に伝達する。また、断線等のヘッドの異常を検知する機能を有していてもよい。
【0036】
制御部本体22は、検出部21及び操作装置3をから入力された情報を処理して電力供給部を制御する。
制御部本体22は、記憶部221とプロセッサ222とを有する。記憶部221としてはROM、RAM等の種々の記憶媒体を使用してよく、プロセッサ222としてはCPU等の演算装置を用いることが想定される。
【0037】
電力供給部23は、制御部本体22の制御に基づき、ヘッド1に電力の供給を行う。電力供給部23は、電源231と、電源231の電力を一時的に貯留するコンデンサ232と、制御部本体22の指令に基づいてヘッドへの電力供給の調整を行う出力調整部233と、を有している。
【0038】
出力調整部233は、制御部本体22の指令を基に電力の供給を行う部材であって、IC、リレー、トランジスタ、コンバータ、インバータ等の電子回路部品の選択もしくは組み合わせによってなる。
電磁波放出部に与える電力は、
図7(a)に示すように、所定強さの電圧を出力した後に該電圧よりも弱い逆位相の電圧を出力し、所定時間置いた後に前述の電圧と逆位相となる電圧の出力を行うように調整する。
また、超音波放出部に与える電力は、
図7(b)に示すように、少なくとも1回に流す電圧を持続させる放出時間T1及び放出時間T1が開始する時点から次の放出時間T1が開始する時点までの電気が流れる間隔である放出間隔T2を調整することによって電力が制御される。必要に応じて、交流電源の周波数や電圧を変更するようにしてもよい。
好ましくは、電力供給部23は、静電容量の異なる複数のコンデンサ232を有しており、出力調整部233は、ヘッド1の放出素子のインピーダンスに応じて最適なコンデンサに電力を切り替えられるようにしている。
【0039】
操作装置3は、施術者の入力を受け付ける入力部31と、美容機器の設定項目や状態の表示を行う表示部32と、を有する。実施形態において、入力部31と表示部32とが一体になっている液晶タッチパネルが用いられている。
実施形態において、操作装置3は制御部2と一体に設けられており、実際に表示部32にされる表示を
図8(a)~
図8(c)に示す。
【0040】
取付台4は、立設して設けられる台本体41と、台本体41の上部に設けられ、少なくとも操作装置3を載置することができる載置部42と、台本体41の側部において物を投入して保持できる物入れ部43と、台本体41を移動自在にするキャスター44とを有する。
【0041】
台本体41は、少なくとも使用者の腰程度の高さを有するフレーム部分である。
載置部42は、台本体41の最上部において、地面に水平に設けられている平板部材であって、制御部2を載置可能な面積を有することで、安定して支持する。
【0042】
物入れ部43は、台本体41の側面に設けられており、手前側及び上方向に開口している。すなわち、底面及び側面を囲む箱体と、箱体の側面片から台本体41に接しつつ上部に延びるフラップを有する。これにより、使用していないヘッド1、説明書、交換用工具及びパーツ、パンフレット等を収納可能に設けて利便性を高めている。
【0043】
キャスター44は、台本体41の下部に設けられている車輪であって、力をかけない移動を可能とするため施術者の利便性を高める。
【0044】
以下、
図8、
図9を用いて、本発明の実施の方法及び制御部2の処理について詳述する。以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよい。
【0045】
施術者が美容機器Xを起動し準備が整うと、施術人数選択工程S1に移行する。
表示部32には、複数の施術人数選択部321が表示され、入力部31は施術を行う人数の選択を受け付ける。施術人数選択部321には、施術人数がシルエットの数で表示される。複数人で同時に施術できるようにすることで、施術時間の短縮ができる。
【0046】
施術人数が選択されると、放出装置選択工程S2に移行する。表示部32には、複数の放出装置選択部322が表示され、入力部31は施術を行うヘッド1の選択を受け付ける。放出装置選択部322には、用途により異なるヘッド1の形状が表示されることで、施術者が使用するヘッド1を直感的に選択できる。放出装置選択工程S2で複数人を選択した場合は、対応する数のヘッド1がそれぞれの放出装置選択部322に表示される。
【0047】
放出装置が選択されると、出力調整工程S3に移行する。表示部32には、出力を段階的に調整できる出力調整表示323が表示され、入力部31は出力の調整を受け付ける。実施形態において出力調整表示323は、施術を行う累計時間、電磁波放出部の出力強度、音波放出部の出力強度を、出力調整部233を通じてヘッド1ごとに調整できるようにしている。
【0048】
電磁波放出部の出力は最大電圧を変化させることによって調整することが好ましい。
一方、音波放出部の出力は、放出時間T1の長短や、放出間隔T2の長短を変化させることによって行う。実施形態において、放出時間T1は50nm~500nmから選択され、放出間隔T2は、100Hz(0.01秒)~10Hz(0.1秒)から選択できるようにしている。このように、従来のHIFUよりも放出時間T1を短く選択できることによってより安全に施術できるようにしている。
【0049】
実施形態においては、「小顔」、「しわ」、「美肌・毛穴引き締め」と施術項目が表示された出力調整表示323があり、入力を受け付けている。当該表示に入力が受け付けられると、予め設定された施術を行う累計時間、出力強度が設定される。
【0050】
上述の設定が終わり、
図7(c)のスタートボタンの入力を受け付けると、ヘッド1からエネルギーを放出する放出工程S4に移行する。すなわち、放出装置選択工程S2において選択されたヘッド1に、出力調整工程S3で設定された出力で電力の供給を行う。複数のヘッド1が選択された場合には、電力供給部23は、複数のヘッドに同時に電力を供給できるようにコンデンサ232を含む回路を切替えて電力を分配する。
【0051】
放出工程S4においては、プロセッサ222は、ヘッド1が放出を行った回数を記録し、当該回数が基準を上回った場合には、電力供給部23に電力供給を行わず、表示部32にヘッドを交換すべき旨の表示を行う処理を行う。それぞれのヘッド1に識別子を付して、識別子毎に放出回数を記憶部221に記憶するようにしてもよい。これにより、故障した状態で施術する可能性を減らし、事故を防ぎ安全性が高まる。
【0052】
以下、
図8、
図9を用いて、本発明の実施の方法について詳述する。本発明は、被施術者に施術を行う施術者によって実施される。また、以下に示す実施の方法は一例であり、実施の方法はこれに限られず、順番は前後してもよく、施術者は複数であってもよい。
【0053】
まず、施術者は美容機器Xの準備を行う。自身の使用したいヘッド1が制御部2と接続されているか、ヘッド1に破損がないかを確認する。
その後、扱い易い位置に美容機器を移動させ、美容機器Xを起動し、施術人数選択工程S1、放出装置選択工程S2、出力調整工程S3を行い、エネルギーの放出に向けて準備を行う。
【0054】
その後、施術者は、被施術者に第一ヘッド11の第一放出部112を当てて、エネルギーの放出を行う。第一音波放出部113が複数設けられていることで短時間でも効果的な施術ができる。
このとき、施術者は第一把持部111のくびれ部分を持つことによって、ヘッド1を傾けやすくし、さらに第一把持部111の軸で回転させやすくすることで、一点に超音波等が集中することに起因する事故を防ぎやすくする。
【0055】
また、施術者が第一ヘッド11のメンテナンスを行う際には、第一把持部111から第一放出部112を取り外し、内部の第一音波放出部113ないし第一電磁波放出部114を交換できるようにする。交換に必要なパーツ・工具や交換方法を記載した書面は、物入れ部43に入れることが好ましい。
【符号の説明】
【0056】
X 美容機器
1 ヘッド
10 接続部
11 第一ヘッド
111 第一把持部
112 第一放出部
113 第一音波放出部
114 第一電磁波放出部
12 第二ヘッド
121 第二把持部
122 第二放出部
123 第二音波放出部
124 第二電磁波放出部
13 第三ヘッド
131 第三把持部
132 第三放出部
133 キャビテーション部
134 第三電磁波放出部
14 第四ヘッド
141 第四把持部
142 第四放出部
143 吸引部
144 第四電磁波放出部
2 制御部
21 検出部
22 制御部本体
221 記憶部
222 プロセッサ
23 電力供給部
231 電源
232 コンデンサ
233 出力調整部
3 操作装置
31 入力部
32 表示部
321 施術人数選択部
322 放出装置選択部
323 出力調整表示
4 取付台
41 台本体
42 載置部
43 物入れ部
44 キャスター
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞を収縮させるエネルギーを放出する複数のヘッドと、前記ヘッドを制御する制御部と、前記制御部を操作する操作装置と、を備える美容機器であって、
前記ヘッドは、使用者が手に持つ筒状の把持部と、エネルギーを放出する放出部とを有し、
前記放出部は、音波を焦点に集中させて放出する音波放出部を含み、
前記音波放出部は、前記放出部の端面に設けられる複数の超音波放出部材を有し、
前記操作装置は、同時に施術する人数を一人又は複数人に選択可能とする施術人数選択部を表示し、
前記制御部は、選択された前記人数に応じて、複数の前記ヘッドを同時に使用できるように電力を分配する出力調整部を有する美容機器。
【請求項2】
前記操作装置は、複数の前記ヘッドのうち、同時に使用可能な複数の前記ヘッドの組み合わせを選択可能とする放出装置選択部を表示する、
請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記放出装置選択部は、前記ヘッドの形状を選択可能に表示する、
請求項2に記載の美容機器。
【請求項4】
前記放出部は、電磁波を放出する電磁波放出部を含み、
前記電磁波放出部は、複数の前記音波放出部を取り囲むように設けられている、請求項1に記載の美容機器。
【請求項5】
前記出力調整部は、前記音波放出部と、前記電磁波放出部と、の出力の強さをそれぞれ調整可能に設けられる請求項4に記載の美容機器。
【請求項6】
前記ヘッドと距離が異なる焦点に音波を集中させて放出する、超音波放出部材を有する第二ヘッドをさらに備え、
前記放出部にエネルギーを供給する供給部は、前記ヘッド及び前記第二ヘッドにそれぞれ対応するコンデンサを備える請求項5に記載の美容機器。
【請求項7】
前記把持部は、円筒形であって、前記放出部に向けて径が短いくびれ部が設けられている請求項1に記載の美容機器。
【請求項8】
前記音波放出部は、超音波を発生させる超音波放出部材を有し、
前記超音波放出部材は、50ns~500ns継続する音波を、少なくとも毎秒10回以上断続的に放出する請求項1に記載の美容機器。