(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119724
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】光学センサ、製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/00 20210101AFI20240827BHJP
G01S 7/481 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
G02B7/00 B
G01S7/481 A
G02B7/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145606
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2023026476
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】青木 慶伸
(72)【発明者】
【氏名】加野 裕士
(72)【発明者】
【氏名】正垣 好朗
【テーマコード(参考)】
2H043
5J084
【Fターム(参考)】
2H043AA02
2H043AB02
2H043AB07
2H043AB08
2H043AB15
2H043AB21
5J084AA05
5J084AA10
5J084AB01
5J084AB07
5J084AB20
5J084AC02
5J084BA04
5J084BA06
5J084BA20
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA48
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB28
5J084DA07
5J084FA01
(57)【要約】
【課題】光軸調整精度を確保する光学センサの提供。
【解決手段】光学センサ10は、YZ平面に沿うベース面141及びXZ平面に沿うベース面142を形成するセンサベース14と、三次元座標系における姿勢の調整された受光光軸Orに沿って反射ビームを受光する受光ユニット41と、センサベース14に対して受光ユニット41をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めする三箇所の第一シム15と、センサベース14に対して受光ユニット41をX軸まわりに位置決めする二箇所の第二シム16とを備える。各第一シム15は、受光光軸Orの姿勢角θに応じた厚さにより角部を受光ユニット41の接触面と接触させた状態下、当該接触面と面141との間に螺子留めされ、各第二シム16は、姿勢角θに応じた厚さにより角部160を面142と接触させた状態下、受光ユニット41において接触面451とは直交位置関係の接触面452と面142との間に螺子留めされる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサ(10)であって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
前記三次元座標系のYZ平面に沿う第一ベース面(141)、及び前記三次元座標系のXZ平面に沿う第二ベース面(142)を、形成するセンサベース(14)と、
前記センサベースに固定され、前記三次元座標系における姿勢の調整された受光光軸(Or)に沿って前記反射ビームを受光する受光ユニット(41)と、
前記センサベースに対して前記受光ユニットを前記Y軸まわり及び前記Z軸まわりに位置決めする三箇所(P11,P12,P13)の第一シム(15)と、
前記センサベースに対して前記受光ユニットを前記X軸まわりに位置決めする二箇所(P21,P22)の第二シム(16)とを、備え、
各前記第一シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記受光光軸の調整姿勢角(θ)に応じた個別の厚さにより角部(150)を、前記受光ユニットにおける第一接触面(451)と前記第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留めされ、
各前記第二シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記受光光軸の前記調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部(160)を、前記受光ユニットにおいて前記第一接触面とは直交位置関係の第二接触面(452)と前記第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めされる光学センサ。
【請求項2】
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記受光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部における角部(170,180)が前記受光ユニット又は前記センサベースと接触した状態下、当該個別対応の前記固定螺子により螺子留めされる請求項1に記載の光学センサ。
【請求項3】
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記受光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部と、前記受光ユニット又は前記センサベースとの間にスプリングワッシャ(2017,2018)を挟んで、螺子留めされる請求項1に記載の光学センサ。
【請求項4】
前記センサベースに固定され、前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って導光する投光ユニット(21)を、備え、
前記受光光軸が前記投光光軸と沿う前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する請求項1に記載の光学センサ。
【請求項5】
前記投光ユニットには、前記Z軸に沿う投光仮想軸(Vp)が想定されると共に、前記受光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う受光仮想軸(Vr)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と、前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)との、相対誤差(δp_r)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する請求項4に記載の光学センサ。
【請求項6】
前記受光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う受光仮想軸(Vr)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する請求項1に記載の光学センサ。
【請求項7】
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサ(10)であって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
前記三次元座標系のYZ平面に沿う第一ベース面(141)、及び前記三次元座標系のXZ平面に沿う第二ベース面(142)を、形成するセンサベース(14)と、
前記センサベースに固定され、前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って導光する投光ユニット(21)と、
前記センサベースに対して前記投光ユニットを前記Y軸まわり及び前記Z軸まわりに位置決めする三箇所(P11,P12,P13)の第一シム(15)と、
前記センサベースに対して前記投光ユニットを前記X軸まわりに位置決めする二箇所(P21,P22)の第二シム(16)とを、備え、
各前記第一シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記投光光軸の調整姿勢角(θ)に応じた個別の厚さにより角部(150)を、前記投光ユニットにおける第一接触面(451)と前記第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留めされ、
各前記第二シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記投光光軸の前記調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部(160)を、前記投光ユニットにおいて前記第一接触面とは直交位置関係の第二接触面(452)と前記第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めされる光学センサ。
【請求項8】
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記投光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部における角部(170,180)が前記投光ユニット又は前記センサベースと接触した状態下、当該個別対応の前記固定螺子により螺子留めされる請求項7に記載の光学センサ。
【請求項9】
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記投光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部と、前記投光ユニット又は前記センサベースとの間にスプリングワッシャ(2017,2018)を挟んで、螺子留めされる請求項7に記載の光学センサ。
【請求項10】
前記センサベースに固定され、前記三次元座標系における姿勢の調整された受光光軸(Or)に沿って前記反射ビームを受光する受光ユニット(41)を、備え、
前記投光光軸が前記受光光軸と沿う前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する請求項7に記載の光学センサ。
【請求項11】
前記投光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う投光仮想軸(Vp)が想定されると共に、前記受光ユニットには、前記Z軸に沿う受光仮想軸(Vr)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と、前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)との、相対誤差(δr_p)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する請求項10に記載の光学センサ。
【請求項12】
前記投光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う投光仮想軸(Vp)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する請求項7に記載の光学センサ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記三次元座標系における前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装することと、
各前記第一シムを前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留め後、各前記第二シムを前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めすることとを、含む製造方法。
【請求項14】
各前記第一シムを前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留めすることは、
各前記第一シム同士では、厚さの薄い前記第一シムから順に螺子留めすることを、含み、
各前記第二シムを前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めすることは、
各前記第二シム同士では、厚さの薄い前記第二シムから順に螺子留めすることを、含む請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
請求項5に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記投光仮想軸に対して前記投光光軸のなす投光合焦角(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光ユニットにおいて投光光源モジュール(22)から投光された前記投光ビームを前記投光光軸に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)を、投光接着材(210)を介して前記投光光源モジュールに接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(ρp)を、測定することと、
前記受光仮想軸に対して前記受光光軸のなす受光合焦角(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光ユニットにおいて前記外界側からの前記反射ビームを受光検出モジュール(45)により受光して前記外界を検出するために前記反射ビームを前記受光光軸に沿って前記受光検出モジュールへ導光する受光レンズモジュール(42)を、受光接着材(410)を介して前記受光検出モジュールに接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(ρr)を、測定することと、
前記投光ユニットを前記センサベースに固定することと、
前記投光合焦角と前記投光誤差角との総和を前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と定義し、前記受光合焦角と前記受光誤差角との総和を前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と定義すると、前記三次元座標系における前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記投光光軸との前記受光光軸との前記姿勢角偏差同士での相対誤差(δp_r)に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【請求項16】
請求項6に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記受光仮想軸に対して前記受光光軸のなす受光合焦角(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光ユニットにおいて前記外界側からの前記反射ビームを受光検出モジュール(45)により受光して前記外界を検出するために前記反射ビームを前記受光光軸に沿って前記受光検出モジュールへ導光する受光レンズモジュール(42)を、受光接着材(410)を介して前記受光検出モジュールに接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(ρr)を、測定することと、
前記受光合焦角と前記受光誤差角との総和を前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と定義すると、前記三次元座標系における前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を前記受光光軸の前記姿勢角偏差に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【請求項17】
請求項11に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記投光仮想軸に対して前記投光光軸のなす投光合焦角(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光ユニットにおいて投光光源モジュール(22)から投光された前記投光ビームを前記投光光軸に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)を、投光接着材(210)を介して前記投光光源モジュールに接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(ρp)を、測定することと、
前記受光仮想軸に対して前記受光光軸のなす受光合焦角(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光ユニットにおいて前記外界側からの前記反射ビームを受光検出モジュール(45)により受光して前記外界を検出するために前記反射ビームを前記受光光軸に沿って前記受光検出モジュールへ導光する受光レンズモジュール(42)を、受光接着材(410)を介して前記受光検出モジュールに接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(ρr)を、測定することと、
前記受光ユニットを前記センサベースに固定することと、
前記投光合焦角と前記投光誤差角との総和を前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と定義し、前記受光合焦角と前記受光誤差角との総和を前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と定義すると、前記三次元座標系における前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を前記受光光軸と前記投光光軸との前記姿勢角偏差同士での相対誤差(δr_p)に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【請求項18】
請求項12に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記投光仮想軸に対して前記投光光軸のなす投光合焦角(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光ユニットにおいて投光光源モジュール(22)から投光された前記投光ビームを前記投光光軸に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)を、投光接着材(210)を介して前記投光光源モジュールに接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(ρp)を、測定することと、
前記投光合焦角と前記投光誤差角との総和を前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と定義すると、前記三次元座標系における前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を前記投光光軸の前記姿勢角偏差に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投光ビームを外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビームを受光することで、外界を検出する光学センサは、広く知られている。この種の光学センサとして特許文献1に開示される技術では、投光ビームを発生させる光源モジュールに対して、光源モジュールからの投光ビームを外界側へ導光するレンズモジュールの光軸が、姿勢調整されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示の装置では、光源モジュール及びレンズモジュールから構成される投光ユニットに対して、投光ビームに対する反射ビームを受光する受光ユニットの光軸も、さらに姿勢調整する必要がある。そうした受光ユニットの光軸調整では、特許文献1に開示されるように三軸方向での調整手法が適用可能であるものの、当該三軸方向に実質限定される調整では製造公差に起因して調整精度に限界が生じてしまう。
【0005】
以上より本開示の課題は、光軸調整精度を確保する光学センサ及びその製造方法を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、外界を検出する光学センサ(10)であって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
三次元座標系のYZ平面に沿う第一ベース面(141)、及び三次元座標系のXZ平面に沿う第二ベース面(142)を、形成するセンサベース(14)と、
センサベースに固定され、三次元座標系における姿勢の調整された受光光軸(Or)に沿って反射ビームを受光する受光ユニット(41)と、
センサベースに対して受光ユニットをY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めする三箇所(P11,P12,P13)の第一シム(15)と、
センサベースに対して受光ユニットをX軸まわりに位置決めする二箇所(P21,P22)の第二シム(16)とを、備え、
各第一シムは、それぞれ三次元座標系における受光光軸の調整姿勢角(θ)に応じた個別の厚さにより角部(150)を、受光ユニットにおける第一接触面(451)と第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第一ベース面及び第一接触面間に螺子留めされ、
各第二シムは、それぞれ三次元座標系における受光光軸の調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部(160)を、受光ユニットにおいて第一接触面とは直交位置関係の第二接触面(452)と第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第二ベース面及び第二接触面間に螺子留めされる。
【0008】
本開示の第二態様は、
第一態様の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
三次元座標系における調整姿勢角に応じた厚さの各第一シムと各第二シムとを、それぞれ第一ベース面及び第一接触面間と第二ベース面及び第二接触面間とに介装することと、
各第一シムを第一ベース面及び第一接触面間に螺子留め後、各第二シムを第二ベース面及び第二接触面間に螺子留めすることとを、含む。
【0009】
これら第一及び第二態様によると、三箇所の各第一シムは、それぞれ三次元座標系における受光光軸の調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部を、受光ユニットにおける第一接触面とセンサベースにおいてYZ平面に沿う第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第一ベース面及び第一接触面間に螺子留めされる。これにより、センサベースに対する受光ユニットのY軸まわり及びZ軸まわりにおける位置決め状態は、受光光軸の調整姿勢角に合わせた三点支持の状態に、一義的に規定され得る。
【0010】
それと共に第一及び第二態様によると、二箇所の各第二シムは、それぞれ三次元座標系における受光光軸の調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部を、受光ユニットにおいて第一接触面とは直交位置関係の第二接触面とセンサベースにおいてXZ平面に沿う第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第二ベース面及び第二接触面間に螺子留めされる。これにより、センサベースに対する受光ユニットのX軸まわりにおける位置決め状態は、受光光軸の調整姿勢角に合わせただけでなく、上記三点支持への干渉を抑制できる二点支持の状態に規定され得る。
【0011】
このような第一及び第二態様によれば、センサベースの三次元座標系において受光ユニットの受光光軸を、XYZの各軸まわりに姿勢調整することができる。故に、光軸調整精度の確保が可能となる。
【0012】
しかも第二態様によると、センサベースに対して受光ユニットを三点支持状態に位置決めする三箇所での第一シムの螺子留め後に、センサベースに対して受光ユニットを二点支持状態に位置決めする二箇所での第二シムの螺子留めが、実行される。これによれば、一義的な三点支持状態への干渉を回避しつつ、二点支持状態を実現することができるので、光軸調整精度を高めることが可能となる。
【0013】
本開示の第三態様は、
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、投光ビームに対して外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、外界を検出する光学センサ(10)であって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
三次元座標系のYZ平面に沿う第一ベース面(141)、及び三次元座標系のXZ平面に沿う第二ベース面(142)を、形成するセンサベース(14)と、
センサベースに固定され、投光ビームを投光光軸(Op)に沿って導光する投光ユニット(21)と、
センサベースに対して投光ユニットをY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めする三箇所(P11,P12,P13)の第一シム(15)と、
センサベースに対して投光ユニットをX軸まわりに位置決めする二箇所(P21,P22)の第二シム(16)とを、備え、
各第一シムは、それぞれ三次元座標系における投光光軸の調整姿勢角(θ)に応じた個別の厚さにより角部(150)を、投光ユニットにおける第一接触面(451)と第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第一ベース面及び第一接触面間に螺子留めされ、
各第二シムは、それぞれ三次元座標系における投光光軸の調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部(160)を、投光ユニットにおいて第一接触面とは直交位置関係の第二接触面(452)と第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第二ベース面及び第二接触面間に螺子留めされる。
【0014】
本開示の第四態様は、
第三態様の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
三次元座標系における調整姿勢角に応じた厚さの各第一シムと各第二シムとを、それぞれ第一ベース面及び第一接触面間と第二ベース面及び第二接触面間とに介装することと、
各第一シムを第一ベース面及び第一接触面間に螺子留め後、各第二シムを第二ベース面及び第二接触面間に螺子留めすることとを、含む。
【0015】
これら第三及び第四態様によると、三箇所の各第一シムは、それぞれ三次元座標系における投光光軸の調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部を、投光ユニットにおける第一接触面とセンサベースにおいてYZ平面に沿う第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第一ベース面及び第一接触面間に螺子留めされる。これにより、センサベースに対する投光ユニットのY軸まわり及びZ軸まわりにおける位置決め状態は、投光光軸の調整姿勢角に合わせた三点支持の状態に、一義的に規定され得る。
【0016】
それと共に第三及び第四態様によると、二箇所の各第二シムは、それぞれ三次元座標系における投光光軸の調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部を、投光ユニットにおいて第一接触面とは直交位置関係の第二接触面とセンサベースにおいてXZ平面に沿う第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、第二ベース面及び第二接触面間に螺子留めされる。これにより、センサベースに対する投光ユニットのX軸まわりにおける位置決め状態は、投光光軸の調整姿勢角に合わせただけでなく、上記三点支持への干渉を抑制できる二点支持の状態に規定され得る。
【0017】
このような第三及び第四態様によれば、センサベースの三次元座標系において投光ユニットの投光光軸を、XYZの各軸まわりに姿勢調整することができる。故に、光軸調整精度の確保が可能となる。
【0018】
しかも第四態様によると、センサベースに対して投光ユニットを三点支持状態に位置決めする三箇所での第一シムの螺子留め後に、センサベースに対して投光ユニットを二点支持状態に位置決めする二箇所での第二シムの螺子留めが、実行される。これによれば、一義的な三点支持状態への干渉を回避しつつ、二点支持状態を実現することができるので、光軸調整精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第一実施形態による光学センサの全体構成を示す断面図である。
【
図2】第一実施形態による投光ユニットを示す斜視図である。
【
図3】第一実施形態による投光ユニットを模式的に示すXY平面視図である。
【
図4】第一実施形態による受光ユニットを示す斜視図である。
【
図5】第一実施形態による受光ユニットを模式的に示すXY平面視図である。
【
図6】第一実施形態による投光ユニット及び受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
【
図7】第一実施形態による投光ユニットの構成を模式的に示すXZ平面視図である。
【
図8】第一実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すXZ平面視図である。
【
図9】第一実施形態による投光ユニット及び受光ユニットの構成を示すXY平面視図である。
【
図10】第一実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すYZ断面図である。
【
図11】第一実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すXZ断面図である。
【
図12】第一実施形態による受光ユニットの構成を示すXY断面図である。
【
図13】
図6の変形例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を示すYZ平面視図である。
【
図14】
図6の変形例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を示すYZ平面視図である。
【
図15】第一実施形態による光学センサの製造方法を示すフローチャートである。
【
図16】第二実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すYZ断面図である。
【
図17】第二実施形態による受光ユニットの構成を模式的に示すXZ断面図である。
【
図18】第二実施形態による受光ユニットの構成を示すXY断面図である。
【
図19】第三実施形態による光学センサの製造方法を示すフローチャートである。
【
図20】第三実施形態による製造方法のうち、準備サブルーチンの投光シーケンスを模式的に説明するためのYZ平面視図である。
【
図21】第三実施形態による製造方法のうち、準備サブルーチンの投光シーケンスを模式的に説明するためのYZ平面視図である。
【
図22】第三実施形態による製造方法のうち、準備サブルーチンの受光シーケンスを模式的に説明するためのYZ平面視図である。
【
図23】第三実施形態による製造方法のうち、準備サブルーチンの受光シーケンスを模式的に説明するためのYZ平面視図である。
【
図24】第四実施形態による投光ユニット及び受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
【
図25】第四実施形態による光学センサの製造方法を示すフローチャートである。
【
図26】第五実施形態による投光ユニット及び受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
【
図27】第五実施形態による光学センサの製造方法を示すフローチャートである。
【
図28】
図8の変形例による受光ユニットの構成を模式的に示すXZ平面視図である。
【
図29】
図9の変形例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を示すXY平面視図である。
【
図30】
図8の変形例による受光ユニットの構成を模式的に示すXZ平面視図である。
【
図31】
図9の変形例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を示すXY平面視図である。
【
図32】
図6の変化例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
【
図33】
図6の変化例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
【
図34】
図24の変化例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
【
図35】
図26の変化例による投光ユニット及び受光ユニットの構成を模式的に示すYZ平面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
図1に示すように、本開示の第一実施形態による光学センサ10は、移動体に配置されて外界を光学的に検出するための、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)である。光学センサ10の配置対象となる移動体は、手動運転、自動運転、及び遠隔運転のうち少なくとも一種類の運転が可能な、例えば自動車等の車両である。尚、以下の説明では断り書きがない限り、前、後、上、下、左、及び右が示す各方向は、水平面上の車両を基準として定義される。また、以下の説明において水平方向及び鉛直方向とは、それぞれ水平面上の車両における、当該水平面に対しての平行方向及び垂直方向を意味する。
【0021】
光学センサ10は、例えば前方部、左右の側方部、後方部、及び上部ルーフ等のうち、車両における少なくとも一箇所に配置される。光学センサ10は、外界のうち車両での配置箇所に応じた検出領域Adへと向けて、投光ビームBpを投光する。光学センサ10は、外界において投光ビームBpが検出領域Adの物標により反射されることで戻ってくる戻り光を、反射ビームBrとして検出する。こうして反射ビームBrとなる投光ビームBpには、人間から視認困難な近赤外域の光が選択される。
【0022】
光学センサ10は、投光ビームBpに対して反射された反射ビームBrを受光することで、外界のうち検出領域Adに存在する物標を、検出する。こうした外界物標の検出とは、例えば光学センサ10から物標までの距離、物標が存在する方向、及び物標からの反射ビームBrの反射強度等のうち、少なくとも距離を含む一種類又は複数種類の検出である。車両に適用の光学センサ10において代表的な検出対象となる物標は、例えば歩行者、サイクリスト、人間以外の動物、及び他車両等の移動物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。車両に適用の光学センサ10において代表的な検出対象となる物標は、例えばガードレール、道路標識、道路脇の構造物、及び道路上の落下物等の静止物体のうち、少なくとも一種類であってもよい。
【0023】
光学センサ10には、互いに直交した三軸となるX軸、Y軸、及びZ軸により、三次元座標系が定義されている。特に光学センサ10の三次元座標系では、Y軸方向が車両の鉛直方向に沿って規定されていると共に、X軸方向及びZ軸方向がそれぞれ車両の相異なる水平方向に沿って規定されている。これにより水平面上の車両では、三次元座標系のXY平面及びYZ平面が水平面に垂直な鉛直面に沿うと共に、XZ平面が水平面に沿うこととなる。尚、
図1においてY軸方向に沿う一点鎖線よりも左側部分(後述の光学窓13側)は、実際には当該一点鎖線よりも右側部分(後述のユニット21,41側)に対して垂直な断面を図示している。
【0024】
光学センサ10は、ハウジングユニット11、投光ユニット21、走査ユニット31、受光ユニット41、及び制御ユニット51を備えている。外界と内部とを仕切るハウジングユニット11は、ハウジング本体12、及び光学窓13を含んで構成されている。遮光性のハウジング本体12は、例えば金属又は樹脂等により箱状に形成されている。ハウジング本体12は、投光ユニット21、走査ユニット31、受光ユニット41、及び制御ユニット51を内部に収容している。ハウジングユニット11は、光学窓13により閉塞された開口部を、有している。透光性の光学窓13は、例えば樹脂又はガラス等により、板状に形成されている。
【0025】
図1,2に示すように投光ユニット21は、投光光源モジュール22、及び投光レンズモジュール26を含んで構成されている。
図3に示すように投光光源モジュール22は、複数の投光光源24が基板224上においてアレイ状に実装されることで、構築されている。特に本実施形態の各投光光源24は、Y軸方向に沿って単列に配列された、レーザダイオードである。各投光光源24は、制御ユニット51からの制御信号に従うことで、それぞれ投光ビームBpの一部となるレーザ光を、パルス状に生成する。各投光光源24は、エッジエミッタレーザであってもよいし、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)であってもよい。
【0026】
図1,3に示すように投光光源モジュール22は、各投光光源24の発光により投光ビームBpを投射する発光面226を、基板224の片面側に形成している。発光面226は、各投光光源24におけるレーザ発振部の集合によって擬似的に、Y軸方向に長手且つX軸方向に短手の長方形輪郭に規定される。各投光光源24のレーザ発振部から投射されるレーザ光は、検出領域Adにおいては上下に長いライン状に整形される投光ビームBpとして、発光面226から投射される。
【0027】
図1,2に示すように投光レンズモジュール26は、少なくとも一つの投光レンズ260が鏡筒261によって保持される構造に、構築されている。透光性の投光レンズ260は、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。投光レンズ260は、例えば集光、コリメート、及び整形等のうち少なくとも一種類の光学作用を、投光光源モジュール22からの投光ビームBpに対して発揮する。投光レンズ260は、例えば金属又は樹脂等により形成された遮光性の鏡筒261内に、位置決めされている。
【0028】
こうした構成の投光レンズモジュール26は、投光光軸Opを形成するように、投光光源モジュール22と位置合わせされている。そこで、投光光源モジュール22から投射された投光ビームBpは、投光レンズモジュール26からの光学作用により投光光軸Opに沿って車両の外界側へと導光される。
【0029】
図1に示すように走査ユニット31は、走査ミラー32、及び走査モータ35を含んで構成されている。走査ミラー32は、基材の片面である反射面33に反射膜が蒸着された板状に、形成されている。走査ミラー32は、Y軸方向の回転中心線まわりに回転駆動可能に、ハウジングユニット11によって支持されている。走査ミラー32は、機械的又は電気的なストッパにより有限となる駆動範囲内において、揺動運動する。走査モータ35は、例えばボイスコイルモータ、ブラシ付きDCモータ、又はステッピングモータ等である。走査モータ35の出力軸は、走査ミラー32に対して直接的に、又は例えば減速機等の駆動機構を介して間接的に、結合されている。走査モータ35は、出力軸と共に走査ミラー32を回転駆動可能に、ハウジングユニット11によって保持されている。走査モータ35は、制御ユニット51からの制御信号に従うことで、走査ミラー32を有限の駆動範囲内にて回転駆動(即ち、揺動駆動)する。
【0030】
走査ミラー32は、投光ユニット21から入射する投光ビームBpを、反射面33により反射して光学窓13を通して検出領域Adへと照射することで、当該領域Adを走査モータ35の回転角度に応じて走査する。このとき検出領域Adに対しての投光ビームBpによる走査は、走査ミラー32の回転駆動に従って、本実施形態では水平方向での走査に実質制限される。
【0031】
走査ミラー32は、検出領域Adの物標から光学窓13を通して入射してくる反射ビームBrを、反射面33により走査モータ35の回転角度に応じて受光ユニット41側へと反射する。このとき走査ミラー32の回転運動速度に対しては、投光ビームBp及び反射ビームBrの速度が十分に大きい。これにより反射ビームBrは、投光ビームBpに対する角度が実質同一回転角度と擬制可能な走査ミラー32から反射作用を受けることで、投光ビームBpとは逆行するように受光ユニット41側へと導光される。
【0032】
図1,4に示すように受光ユニット41は、受光レンズモジュール42、及び受光検出モジュール45を含んで構成されている。受光レンズモジュール42は、少なくとも一つの受光レンズ420が鏡筒421によって保持される構造に、構築されている。透光性の受光レンズ420は、例えば樹脂又はガラス等の基材を主体として、発揮する光学作用に応じたレンズ形状に形成されている。受光レンズ420は、走査ミラー32からの反射ビームBrを受光検出モジュール45へ結像させるように、光学作用を発揮する。受光レンズ420は、例えば金属又は樹脂等により形成された遮光性の鏡筒421内に、位置決めされている。
【0033】
こうした構成の受光レンズモジュール42は、受光光軸Orを形成するように、受光検出モジュール45と位置合わせされている。ここで受光レンズモジュール42の受光光軸Orは、投光レンズモジュール26の投光光軸Opに対してY軸方向にずらされている。これにより、走査ミラー32の反射面33からY軸方向にずれて反射されてくる反射ビームBrは、受光レンズモジュール42からの光学作用により受光光軸Orに沿って導光されることで、受光検出モジュール45に結像される。
【0034】
図5に示すように受光検出モジュール45は、複数の受光画素46が基板454上においてアレイ状に実装されることで、構築されている。各受光画素46は、少なくともY軸方向に配列されている。各受光画素46はさらに、それぞれ複数ずつの受光素子460としての、例えばシングルフォトンアバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode)等から形成されている。
【0035】
図1,5に示すよう受光検出モジュール45は、受光面456を、基板454の片面側に形成している。受光面456は、各受光画素46における入射面の集合により、Y軸方向に長手且つX軸方向に短手の長方形輪郭に構成されている。各受光画素46は、受光レンズモジュール42から受光面456へと入射したライン状の反射ビームBrを、受光光軸Orに沿って受光する。
【0036】
図1に示すように受光検出モジュール45は、出力回路47を有している。出力回路47は、投光光源モジュール22による投光ビームBpの投光周期に同期した、走査ミラー32の回転角度に対応付けられる走査ライン別の検出フレームにおいて、制御ユニット51からの制御信号に従う制御周期毎にサンプリング処理を実行する。このとき出力回路47は、制御周期毎に各受光画素46の受光素子460からの応答出力を合成することで、検出信号を生成する。こうして生成された検出信号は、出力回路47から走査ライン別に制御ユニット51へと出力される。
【0037】
制御ユニット51は、外界の検出領域Adに対する物標検出を、制御する。制御ユニット51は、プロセッサ及びメモリを含むコンピュータの、少なくとも一つを主体として構築されている。制御ユニット51は、投光光源モジュール22、走査モータ35、及び受光検出モジュール45と接続されている。制御ユニット51は、投光周期毎に投光ビームBpを生成するように、投光光源モジュール22を制御する。それと共に制御ユニット51は、投光光源モジュール22による投光周期に同期した走査ミラー32による走査及び反射を制御するように、走査モータ35を制御する。さらに制御ユニット51は、投光光源モジュール22による投光周期、並びに走査ミラー32による走査及び反射に合わせて受光検出モジュール45から出力される検出信号を処理することで、検出領域Adにおける物標の検出データを生成する。
【0038】
(詳細構成)
ハウジングユニット11は、
図6~12に示すセンサベース14、二種類のシム15,16、及び三種類の固定螺子17,18,19を、さらに含んで構成されている。
【0039】
図6~9に示すように遮光性のセンサベース14は、例えば樹脂又は金属等の基材を主体として、ハウジング本体12(
図1参照)内を二分する隔壁状に形成されている。センサベース14は、ハウジング本体12により外周側から囲まれて保持されることで、光学窓13の内面に片面を向き合わせて位置決めされている。これによりセンサベース14には、上述した定義の三次元座標系が想定されている。センサベース14は、受光ユニット41を固定するための構造として、二種類のベース面141,142を有している。
【0040】
第一ベース面141は、センサベース14において光学窓13側を向く片面に、形成されている。第一ベース面141は、YZ平面に沿って広がる平面状に、規定されている。第一ベース面141は、センサベース14に対して受光ユニット41をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするための、三箇所P11,P12,P13に共通な連続面状に構築されていてもよい。第一ベース面141は、センサベース14に対して受光ユニット41をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするための、三箇所P11,P12,P13毎に個別な複数の分割面状に構築されていてもよい。尚、
図6,8,9は、連続面状に構築された第一ベース面141の例を示している。
【0041】
第二ベース面142は、センサベース14において第一ベース面141を形成する片面からX軸方向へブロック状に突出する凸部の、側面に形成されている。第二ベース面142は、XZ平面に沿って広がる平面状に規定されることで、第一ベース面141とは実質直交位置関係をもって配置されている。第二ベース面142は、センサベース14に対して受光ユニット41をX軸まわりに位置決めするための二箇所P21,P22に共通な連続面状に、構築されていてもよい。第二ベース面142は、センサベース14に対して受光ユニット41をX軸まわりに位置決めするための、二箇所P21,P22毎に個別な複数の分割面状に構築されていてもよい。尚、
図6は、連続面状に構築された第二ベース面142の例を示している。
【0042】
センサベース14は、投光ユニット21を固定するための構造として、受光ユニット41用のベース面141,142とは別に、投光ベース面143を有している。投光ベース面143は、センサベース14において第一ベース面141と同じ側の片面に、形成されている。投光ベース面143は、YZ平面に沿って広がる平面状に、規定されている。投光ベース面143は、第一ベース面141と連続する、連続面状に構築されていてもよい。投光ベース面143は、第一ベース面141とは分離した、分離面状に構築されていてもよい。尚、
図6,9は、連続面状に構築された投光ベース面143の例を示している。
【0043】
図2,6,7,9に示すように、投光ユニット21において投光光源モジュール22は、投光レンズモジュール26の鏡筒261とはZ軸方向に並んで接着される投光ホルダ220を、有している。遮光性の投光ホルダ220は、例えば樹脂又は金属等の基材を主体として、筒状に形成されている。投光ホルダ220の内部には、投光光源24(
図3参照)の複数実装された基板224が、保持されている。
【0044】
投光ホルダ220は、センサベース14に対して投光ユニット21を固定するための構造として、
図7,9に示すように投光接触面221を有している。投光接触面221は、投光ベース面143と面接触する平面状に規定されることで、当該投光ベース面143による位置決め状態ではYZ平面に沿って広がる姿勢に配置される。投光接触面221は、センサベース14に対して投光ユニット21を位置決めするための、複数箇所に共通な連続面状に構築されていてもよい。投光接触面221は、センサベース14に対して投光ユニット21を位置決めするための、複数箇所毎に個別な複数の分割面状に構築されていてもよい。尚、
図7,9は、分割面状に構築された投光接触面221の例を示している。
【0045】
図6,7,9に示すように投光ホルダ220は、投光ベース面143にて投光接触面221と面接触するセンサベース14に対して、複数の投光固定螺子19により螺子留めされている。それらの各投光固定螺子19は、例えば金属等により雄螺子状に形成されている。各投光固定螺子19は、それぞれの軸部をX軸方向に沿って投光ホルダ220における個別の通し孔に遊挿されている。それと共に各投光固定螺子19は、それぞれの軸部をX軸方向に沿ってセンサベース14における個別の雌螺子孔に螺着されている。このような螺子留め構造により各投光固定螺子19は、それぞれ頭部端面を投光ホルダ220のセンサベース14とは反対側面に面接触させた状態下、投光ユニット21をセンサベース14に固定している。
【0046】
投光ホルダ220には、投光ベース面143による位置決め状態にてZ軸方向に沿う投光仮想軸Vpが、幾何学的に想定される。この想定により投光仮想軸Vpは、投光接触面221に沿って定義される。投光ホルダ220では、基板224の保持姿勢、及び/又は基板224における各投光光源24の実装姿勢に関して、三次元座標系での投光仮想軸Vpに対する姿勢角公差が想定される。同様に鏡筒261では、投光ホルダ220に対する接着姿勢、及び/又は投光レンズ260の保持姿勢に関して、三次元座標系での投光仮想軸Vpに対する姿勢角公差が想定される。
【0047】
これらのことから光学センサ10の製品上、
図6,7,9の如くYZ平面視、XZ平面視、及びXY平面視のうち少なくとも一平面視では、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの三次元座標系での姿勢角偏差δpが現出する。具体的に
図6のYZ平面視では、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの姿勢角偏差δpとして、鏡筒261及び投光ホルダ220の接着界面を中心に投光仮想軸Vpから、X軸まわりに投光光軸Opの傾斜した傾斜角が現出する。それと共に
図7のXZ平面視では、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの姿勢角偏差δpとして、鏡筒261及び投光ホルダ220の接着界面を中心に投光仮想軸Vpから、Y軸まわりに投光光軸Opの傾斜した傾斜角が現出する。さらに
図9のXY平面視では、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの姿勢角偏差δpとして、鏡筒261及び投光ホルダ220の接着界面にて投光仮想軸Vp上での理想的な投光ビームBpvから、Z軸まわりに投光光軸Op上での投光ビームBpの回転する回転角が現出する。
【0048】
図4,6,8,9に示すように受光ユニット41において受光検出モジュール45は、受光レンズモジュール42の鏡筒421とはZ軸方向に並んで接着される受光ホルダ450を、有している。遮光性の受光ホルダ450は、例えば樹脂又は金属等の基材を主体として、筒状に形成されている。受光ホルダ450の内部には、受光画素46(
図5参照)の複数配列された基板454が、保持されている。受光ホルダ450は、センサベース14に対して受光ユニット41を固定するための構造として、
図6,8,9~12に示すように二種類の接触面451,452を有している。
【0049】
図8,9,11,12に示すように第一接触面451は、第一ベース面141との間においてX軸方向に各第一シム15を挟持する平面状に、規定されている。第一接触面451は、センサベース14に対して受光ユニット41をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするための、三箇所P11,P12,P13に共通な連続面状に構築されていてもよい。第一接触面451は、センサベース14に対して受光ユニット41をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするための、三箇所P11,P12,P13毎に個別な複数の分割面状に構築されていてもよい。尚、
図8,9は、分割面状に構築された第一接触面451の例を示している。
【0050】
図8,9,11,12に示すように、第一接触面451及び第一ベース面141間となる三箇所P11,P12,P13には、センサベース14に対して受光ユニット41をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第一シム15が介装されている。各第一シム15は、例えば金属又は樹脂等により、全体として円形平板状に形成されている。各第一シム15は、それぞれ一枚のシム材により構成されてもよい。各第一シム15は、それぞれ複数枚のシム材の組み合わせにより構成されてもよい。
【0051】
各第一シム15は、それぞれ片面を第一ベース面141と面接触させることで、当該面141の法線方向(第一実施形態ではX軸方向)に厚さを有して配置されている。各第一シム15の厚さは、それぞれ個別の厚さT11,T12,T13に設定されている。これらの厚さ設定により各第一シム15は、それぞれ第一ベース面141とは反対側面における角部(即ち外周縁部)150を、第一接触面451と接触させている。ここで特に光学センサ10では、介装箇所(即ち位置決め箇所)P11,P12の第一シム15同士が、Y軸方向に並んで配置されている。それと共に介装箇所P13の第一シム15は、Z軸方向位置が介装箇所P11,P12とはずれる共に、Y軸方向位置が介装箇所P11よりも介装箇所P12側に偏位して、配置されている(
図6も参照)。これらより各箇所P11,P12,P13では、YZ平面に沿って第一シム15同士が相互離間して位置決めされている。
【0052】
各第一シム15は、それぞれ個別に対応する第一固定螺子17により、第一接触面451及び第一ベース面141間に螺子留めされている。それらの各第一固定螺子17は、例えば金属等により雄螺子状に形成されている。各第一固定螺子17は、それぞれの軸部を第一接触面451の法線方向に沿って受光ホルダ450における個別の通し孔に遊挿されている。それと共に各第一固定螺子17は、それぞれの軸部を第一接触面451の法線方向に沿って第一シム15の嵌合孔に嵌挿されている。さらに各第一固定螺子17は、それぞれの軸部を第一接触面451の法線方向に沿ってセンサベース14における個別の雌螺子孔に螺着されている。このような螺子留め構造により各第一固定螺子17は、それぞれの頭部における軸部側端面の角部(即ち外周縁部)170を、受光ホルダ450における第一シム15とは反対側面に接触させた状態下、受光ユニット41をセンサベース14に固定している。
【0053】
図6,10に示すように第二接触面452は、第二ベース面142との間においてY軸方向に各第二シム16を挟持する平面状に規定されることで、第一接触面451とは実質直交位置関係をもって配置されている。第二接触面452は、センサベース14に対して受光ユニット41をX軸まわりに位置決めするための、二箇所P21,P22に共通な連続面状に構築されていてもよい。第二接触面452は、センサベース14に対して受光ユニット41をX軸まわりに位置決めするための、二箇所P21,P22毎に個別な複数の分割面状に構築されていてもよい。尚、
図6,10は、連続面状に構築された第二接触面452の例を示している。
【0054】
第二接触面452及び第二ベース面142間となる二箇所P21,P22には、センサベース14に対して受光ユニット41をX軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第二シム16が介装されている。各第二シム16は、例えば金属又は樹脂等により、全体として円形平板状に形成されている。各第二シム16は、それぞれ一枚のシム材により構成されてもよい。各第二シム16は、それぞれ複数枚のシム材の組み合わせにより構成されてもよい。
【0055】
各第二シム16は、それぞれ片面を第二接触面452と面接触させることで、当該面452の法線方向(第一実施形態ではY軸方向に対する傾斜方向)に厚さを有して配置されている。各第二シム16の厚さは、それぞれ個別の厚さT21,T22に設定されている。これらの厚さ設定により各第二シム16は、それぞれ第二接触面452とは反対側面における角部(即ち外周縁部)160を、第二ベース面142と接触させている。ここで特に光学センサ10では、介装箇所(即ち位置決め箇所)P21,P22の第二シム16同士が、Z軸方向に並んで配置されている。これより各箇所P21,P22では、XZ平面に沿って第二シム16同士が相互離間して位置決めされている。
【0056】
各第二シム16は、それぞれ個別に対応する第二固定螺子18により、第二接触面452及び第二ベース面142間に螺子留めされている。それらの各第二固定螺子18は、例えば金属等により雄螺子状に形成されている。各第二固定螺子18は、それぞれの軸部を第二接触面452の法線方向に沿ってセンサベース14における個別の通し孔に遊挿されている。それと共に各第二固定螺子18は、それぞれの軸部を第二接触面452の法線方向に沿って第二シム16の嵌合孔に嵌挿されている。さらに各第二固定螺子18は、それぞれの軸部を第二接触面452の法線方向に沿って受光ホルダ450における個別の雌螺子孔に螺着されている。このような螺子留め構造により各第二固定螺子18は、それぞれの頭部における軸部側端面の角部(即ち外周縁部)180を、センサベース14の凸部における第二シム16とは反対側面に接触させた状態下、受光ユニット41をセンサベース14に固定している。
【0057】
図6,8,9に示すように受光ホルダ450には、各ベース面141,142による対応シム15,16を介した位置決め状態として、同種のシム15,16同士での厚さがそれぞれ共通となる理想(即ち設計上)の状態ではZ軸方向に沿って設計される受光仮想軸Vrが、幾何学的に想定される。この想定により受光仮想軸Vrは、第一接触面451及び第二接触面452の双方に沿って定義される。受光ホルダ450では、基板454の保持姿勢、及び/又は基板454における各受光画素46の配列姿勢に関して、三次元座標系での受光仮想軸Vrに対する姿勢角公差が想定される。同様に鏡筒421では、受光ホルダ450に対する接着姿勢、及び/又は受光レンズ420の保持姿勢に関して、三次元座標系での受光仮想軸Vrに対する姿勢角公差が想定される。
【0058】
これらのことから光学センサ10の製品上、
図6,8,9の如くYZ平面視、XZ平面視、及びXY平面視のうち少なくとも一平面視では、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの三次元座標系での姿勢角偏差δrが現出する。具体的に
図6のYZ平面視では、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrとして、鏡筒421及び受光ホルダ450の接着界面を中心に受光仮想軸Vrから、X軸まわりに受光光軸Orの傾斜した傾斜角が現出する。それと共に
図8のXZ平面視では、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrとして、鏡筒421及び受光ホルダ450の接着界面を中心に受光仮想軸Vrから、Y軸まわりに受光光軸Orの傾斜した傾斜角が現出する。さらに
図9のXY平面視では、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrとして、鏡筒421及び受光ホルダ450の接着界面にて受光仮想軸Vr上での理想的な反射ビームBrvから、Z軸まわりに受光光軸Or上での反射ビームBrの回転する回転角が現出する。
【0059】
以上を踏まえて光学センサ10の製品状態では、
図6~9の如くYZ平面視、XZ平面視、及びXY平面視のいずれにおいても、三次元座標系での受光光軸Orの調整姿勢角θは、受光光軸Orが投光光軸Opに沿う角度に調整されている。これにより受光光軸Orの調整姿勢角θは、三次元座標系における投光仮想軸Vpに対しての投光光軸Opの姿勢角偏差δpと実質一致する。そこで調整姿勢角θは、三次元座標系における受光仮想軸Vrの位置決め姿勢角ψを、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの姿勢角偏差δpと受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrとの、相対誤差δp_r(=δp-δr)と実質合致させるように選定される。ここで各姿勢角偏差δp,δrは、相対誤差δp_rの対象となる平面視毎に、
図6~9のうちそれぞれ対応する図面上での、時計まわりを正且つ反時計まわりを負とする符号付き角度に定義されることで、当該平面視毎の相対誤差δp_rも符号付き角度として位置決め姿勢角ψの選定に供される。
【0060】
具体的に
図6及びその変形例
図13,14のYZ平面視では、Z軸からX軸まわりに受光光軸Orを傾斜させた傾斜角が、受光光軸Orを投光光軸Opに沿わせる姿勢角θとして、調整される。そこでYZ平面視では、Z軸からX軸まわりに受光仮想軸Vrを傾斜させる位置決め姿勢角ψを、YZ平面視での姿勢角偏差δp,δr同士の相対誤差δp_rに、実質合致させる調整姿勢角θが選定される。ここで
図6は、負の姿勢角偏差δpに対して姿勢角偏差δrが正となるパターンにおいて、それら姿勢角偏差δp,δrの絶対値同士の和をもって負の符号をとる相対誤差δp_rの例を、示している。
図13は、負の姿勢角偏差δpの絶対値よりも負の姿勢角偏差δrの絶対値が小さくなるパターンにおいて、それら姿勢角偏差δp,δr同士の絶対差をもって負の符号をとる相対誤差δp_rの例を、示している。
図14は、負の姿勢角偏差δpの絶対値よりも負の姿勢角偏差δrの絶対値が大きくなるパターンにおいて、それら姿勢角偏差δp,δr同士の絶対差をもって正の符号をとる相対誤差δp_rの例を、示している。尚、以上の各例示に対して姿勢角偏差δp,δrの正負関係が逆となるパターンでは、相対誤差δp_rの正負関係も逆となる。
【0061】
それと共に
図7,8のXZ平面視では、Z軸からY軸まわりに受光光軸Orを傾斜させた傾斜角が、受光光軸Orを投光光軸Opに沿わせる姿勢角θとして、調整される。そこでXZ平面視では、Z軸からY軸まわりに受光仮想軸Vrを傾斜させる位置決め姿勢角ψを、XZ平面視での姿勢角偏差δp,δr同士の相対誤差δp_rに、実質合致させる調整姿勢角θが選定される。ここで
図7,8は、正の姿勢角偏差δpに対して姿勢角偏差δrが負となるパターンにおいて、それら姿勢角偏差δp,δrの絶対値同士の和をもって正の符号をとる相対誤差δp_rの例を、示している。この例示以外のパターンでの相対誤差δp_rは、YZ平面でのパターンに準ずるものとなる。
【0062】
さらに
図9のXY平面視では、理想のライン状反射ビームBrが沿うべきY軸から、Z軸まわりに受光光軸Or上での反射ビームBrを回転させる回転角が、受光光軸Orを投光光軸Opに沿わせる姿勢角θとして、調整される。そこでXY平面視では、Y軸からZ軸まわりに受光仮想軸Vrをそれ上に想定の反射ビームBrvと共に回転させるような位置決め姿勢角ψを、XY平面視での姿勢角偏差δp,δr同士の相対誤差δp_rに、実質合致させる調整姿勢角θが選定される。ここで
図9は、負の姿勢角偏差δpに対して姿勢角偏差δrが正となるパターンにおいて、それら姿勢角偏差δp,δrの絶対値同士の和をもって負の符号をとる相対誤差δp_rの例を、示している。この例示以外のパターンでの相対誤差δp_rは、YZ平面でのパターンに準ずるものとなる。
【0063】
このような調整原理から、XZ平面視における調整姿勢角θの絶対値及びY軸まわりの符号と、XY平面視における調整姿勢角θの絶対値及びZ軸まわりの符号との、相関に応じて各第一シム15の個別厚さT11,T12,T13が
図11,12の如く決定される。それと共に、YZ平面視における調整姿勢角θの絶対値及びX軸まわりの符号に応じて、各第二シム16の個別厚さT21,T22が
図10の如く決定される。
【0064】
(製造方法)
次に、光学センサ10の製造方法を、
図15に示す製造フローに従って説明する。尚、
図15の製造フローにおいて「S」は、光学センサ10を製造するための「製造工程」を、意味している。
【0065】
S10の準備工程は、三次元座標系における受光光軸Orの調整姿勢角θを選定して、各第一シム15の個別厚さT11,T12,T13及び各第二シム16の個別厚さT21,T22を決定する。具体的にはまず、投光ユニット21における投光仮想軸Vpに対しての投光光軸Opの姿勢角偏差δpと、受光ユニット41における受光仮想軸Vrに対しての受光光軸Orの姿勢角偏差δrとが、それぞれ測定される。このとき各姿勢角偏差δp,δrは、それぞれ対応するビームBp,Brの特定位置での合焦状態から、それぞれ対応する光軸Op,Orが特定されることで、測定可能となる。
【0066】
S10の準備工程では、これらの測定の結果から、センサベース14により定義される三次元座標系における受光仮想軸Vrの位置決め姿勢角ψを、各姿勢角偏差δp,δr同士の相対誤差δp_rと実質合致させるように、調整姿勢角θが選定される。さらに、選定された調整姿勢角θを実現するように、各第一シム15の個別厚さT11,T12,T13と各第二シム16の個別厚さT21,T22とが決定される。
【0067】
S20のセット工程は、S10による調整姿勢角θに応じた厚さの各第一シム15と各第二シム16とを、それぞれ第一ベース面141及び第一接触面451間と第二ベース面142及び第二接触面452間とに介装する。これにより、投光ユニット21と共に受光ユニット41が、投光光軸Opに沿う姿勢角θに調整された受光光軸Orを与える位置決め状態にて、センサベース14にセットされる。
【0068】
S30の第一固定工程は、S20による調整姿勢角θの受光光軸Orを維持した状態の受光ユニット41に関して、個別の第一固定螺子17により各第一シム15を第一ベース面141及び第一接触面451間に螺子留めする。このとき各第一シム15同士では、厚さの薄い第一シム15から順に螺子留めが実行される。
【0069】
S40の第二固定工程は、S30による第一固定工程後にも継続的に調整姿勢角θの受光光軸Orを維持した状態の受光ユニット41に関して、個別の第二固定螺子18により各第二シム16を第二ベース面142及び第二接触面452間に螺子留めする。このとき各第二シム16同士では、厚さの薄い第二シム16から順に螺子留めが実行される。これにより、受光ユニット41がセンサベース14に対して固定される。
【0070】
これらS20~S40と並行して又は前後するS50(
図15は並行の例)の第三固定工程は、受光光軸Orが沿う投光光軸Opを形成するように投光ユニット21を、センサベース14に対して螺子留めにより固定することになる。以上、S40,S50の実行完了により、光学センサ10の製造が完了する。
【0071】
(作用効果)
ここまで説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0072】
第一実施形態によると、三箇所P11,P12,P13の各第一シム15は、それぞれ三次元座標系における受光光軸Orの調整姿勢角θに応じた個別の厚さT11,T12,T13により角部150を、受光ユニット41における第一接触面451と接触させた状態下、センサベース14においてYZ平面に沿う第一ベース面141及び第一接触面451間に螺子留めされる。これにより、センサベース14に対する受光ユニット41のY軸まわり及びZ軸まわりにおける位置決め状態は、受光光軸Orの調整姿勢角θに合わせた三点支持の状態に、一義的に規定され得る。
【0073】
それと共に第一実施形態によると、二箇所P21,P22の各第二シム16は、それぞれ三次元座標系における受光光軸Orの調整姿勢角θに応じた個別の厚さT21,T22により角部160を、センサベース14においてXZ平面に沿う第二ベース面142に接触させた状態下、受光ユニット41において第一接触面451とは直交位置関係の第二接触面452及び第二ベース面142間に螺子留めされる。これにより、センサベース14に対する受光ユニット41のX軸まわりにおける位置決め状態は、受光光軸Orの調整姿勢角θに合わせただけでなく、上記三点支持への干渉を抑制できる二点支持の状態に規定され得る。
【0074】
このような第一実施形態によれば、センサベース14の三次元座標系において受光ユニット41の受光光軸Orを、XYZの各軸まわりに姿勢調整することができる。故に、光軸調整精度の確保が可能となる。
【0075】
第一実施形態における各第一シム15と各第二シム16とは、それぞれ個別に対応して受光ユニット41をセンサベース14に固定する固定螺子17,18の、頭部における角部170,180が受光ユニット41又はセンサベース14と接触した状態下、当該個別対応の固定螺子17,18により螺子留めされる。これによれば、三次元座標系における受光光軸Orの調整姿勢角θに応じた個別厚さをそれぞれ有する各第一シム15及び各第二シム16の螺子留めにより、YZ平面に沿って離間する箇所P11,P12,P13での三点支持状態と、XZ平面に沿って離間する箇所P21,P22での二点支持状態とを、正確に実現することができる。故に、光軸調整精度を確保する効果の信頼性アップに貢献することが可能となる。
【0076】
第一実施形態によると、三次元座標系における受光光軸Orの調整姿勢角θとして、受光光軸Orが投光光軸Opと沿う角度に応じた厚さを、各第一シム15と各第二シム16とがそれぞれ有する。これによれば、投光光軸Opに沿って受光光軸Orを正しく姿勢調整することができるので、投光ユニット21及び受光ユニット41間での光軸調整精度を確保することが可能となる。
【0077】
第一実施形態では、Z軸に沿う投光仮想軸Vpが投光ユニット21に想定されると共に、第一接触面451及び第二接触面452の双方に沿う受光仮想軸Vrが受光ユニット41に想定される。そこで第一実施形態によると、三次元座標系において受光仮想軸Vrの位置決め姿勢角ψを、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの姿勢角偏差δpと、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrとの、相対誤差δp_rに合致させる調整姿勢角θに応じた厚さを、各第一シム15と各第二シム16とがそれぞれ有する。これによれば、投光光軸Opに対して受光光軸Orを幾何学的に正確に姿勢調整することができるので、投光ユニット21及び受光ユニット41間での光軸調整精度を高めることが可能となる。
【0078】
第一実施形態によると、センサベース14に対して受光ユニット41を三点支持状態に位置決めする三箇所P11,P12,P13での第一シム15の螺子留め後に、センサベース14に対して受光ユニット41を二点支持状態に位置決めする二箇所P21,P22での第二シム16の螺子留めが、実行される。これによれば、一義的な三点支持状態への干渉を回避しつつ、二点支持状態を実現することができるので、光軸調整精度を高めることが可能となる。
【0079】
第一実施形態によると、各第一シム15同士では、厚さの薄い第一シム15から順に螺子留めが実行され、同様に各第二シム16同士では、厚さの薄い第二シム16から順に螺子留めが実行される。これによれば、特に最薄厚さの第一シム15と最薄厚さの第二シム16との各螺子留め時に受光ユニット41へ作用するモーメントを低減して、当該モーメントにより受光ユニット41に生じる応力歪みを抑止することができる。故に、応力歪に起因する螺子軸力のばらつきを抑えて、光軸調整精度を確保することが可能となる。
【0080】
(第二実施形態)
図16~18に示すように第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0081】
第二実施形態において
図17,18に示す各第一シム15は、それぞれ個別に対応して受光ユニット41をセンサベース14に固定する第一固定螺子17の頭部と、受光ユニット41の受光ホルダ450との間に金属製のスプリングワッシャ2017を挟んで、螺子留めされる。それと共に第二実施形態において
図16に示す各第二シム16は、それぞれ個別に対応して受光ユニット41をセンサベース14に固定する第二固定螺子18の頭部と、センサベース14との間に金属製のスプリングワッシャ2018を挟んで、螺子留めされる。
【0082】
このような第二実施形態よっても、三次元座標系における受光光軸Orの調整姿勢角θに応じた個別厚さをそれぞれ有する各第一シム15及び各第二シム16の、相異なる箇所での螺子留めにより、YZ平面に沿って離間する箇所P11,P12,P13での三点支持状態と、XZ平面に沿って離間する箇所P21,P22での二点支持状態とを、正確に実現することができる。故に、光軸調整精度を確保する効果の信頼性アップに貢献することが可能となる。しかも第一実施形態によると、スプリングワッシャ2017,2018により車両振動に起因する各ユニット21,41の姿勢ずれが抑制され得るので、光軸調整精度を継続的に確保することも可能となる。
【0083】
(第三実施形態)
図19~23に示すように第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0084】
第三実施形態による光学センサ10の製造方法においてS10の準備工程は、
図19に示す準備サブルーチンに従って実行される。尚、後述する
図20~23では説明の理解を容易にするために、第一実施形態に対応する角度の図示が模式的に拡大されている。
【0085】
準備サブルーチンのうち、投光シーケンスにおいてS100の第一投光測定工程は、投光仮想軸Vpに対して投光光軸Opのなす投光合焦角ωpを、投光ビームBpの合焦状態において測定する。具体的に第一投光測定工程は、
図20に示す製造装置1の可動ステージ3における可動ベース面3aに対して、投光ホルダ220を一体駆動可能に取り付ける。このとき、鏡筒261及び投光ホルダ220間の接着界面には、例えばゲル状等の未硬化状態にある投光接着材210が挟持させられる。
【0086】
そこで第一投光測定工程は、投光レンズモジュール26から設定距離のスクリーンにおいて投光ビームBpの、例えば結像サイズ等といった集光度合いを評価するデフォーカスにより、当該スクリーンの位置での合焦状態を与える投光合焦角ωpを三次元に探索する。ここで合焦状態とは、ライン状投光ビームBpが長手方向において全体的に許容錯乱円の範囲で合焦する状態を、意味するとよい。こうした探索による投光合焦角ωpの測定値は、可動ステージ3における可動ベース面3aの三次元での姿勢角誤差により、補正されてもよい。
【0087】
準備サブルーチンのうち、投光シーケンスにおいてS110の投光接着工程は、鏡筒261及び投光ホルダ220間の投光接着材210を硬化させることで、当該投光接着材210を介して投光レンズモジュール26を投光光源モジュール22に接着する。このとき投光接着材210は、少なくとも投光光軸Opまわりの外周側からの紫外線照射によって硬化する。投光接着材210は、こうした紫外線硬化に加えて、加熱硬化されてもよい。
【0088】
準備サブルーチンのうち、投光シーケンスにおいてS120の第二投光測定工程は、投光接着材210の硬化により投光光源モジュール22と接着された投光レンズモジュール26の投光光軸Opに、
図21に示すように生じた投光誤差角ρpを測定する。そこで第二投光測定工程では、投光レンズモジュール26から設定距離のスクリーンにおいて投光ビームBpの合焦状態がS100に準じて三次元探索されることで、当該合焦状態のズレに応じた投光光軸Opの投光誤差角ρpが三次元測定される。こうした探索の結果、S100による投光合焦角ωpとS120による投光誤差角ρpとの総和が、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの三次元での姿勢角偏差δp(=ωp+ρp)として取得される。
【0089】
第二投光測定工程では投光誤差角ρpの測定値が、可動ステージ3における可動ベース面3aの三次元での姿勢角誤差により、補正されてもよい。但し、S120においてS100とは異なる可動ステージ3により、S100での可動ベース面3aの姿勢が再現されるような場合には、S100,S120の各々における可動ベース面3aの姿勢角誤差により、補正されるとよい。
【0090】
準備サブルーチンのうち、投光シーケンスと関連付けて実行される受光シーケンスにおいてS130の第一受光測定工程は、受光仮想軸Vrに対して受光光軸Orのなす受光合焦角ωrを、反射ビームBrの合焦状態において測定する。具体的に第一受光測定工程は、
図22に示す製造装置1の可動ステージ3における可動ベース面3aに対して、受光ホルダ450を一体駆動可能に取り付ける。このとき、鏡筒421及び受光ホルダ450間の接着界面には、例えばゲル状等の未硬化状態にある受光接着材410が挟持させられる。
【0091】
そこで第一受光測定工程は、受光検出モジュール45の受光面456において反射ビームBrの、例えば結像サイズ又はエネルギー等といった集光度合いを評価するデフォーカスにより、当該受光面456の位置での合焦状態を与える受光合焦角ωrを探索する。ここで合焦状態とは、ライン状反射ビームBrが長手方向において全体的に許容錯乱円の範囲で合焦する状態を、意味するとよい。こうした探索による受光合焦角ωrの測定値は、可動ステージ3における可動ベース面3aの三次元での姿勢角誤差により、補正されてもよい。
【0092】
準備サブルーチンのうち、受光シーケンスにおいてS140の受光接着工程は、鏡筒421及び受光ホルダ450間の受光接着材410を硬化させることで、当該受光接着材410を介して受光レンズモジュール42を受光検出モジュール45に接着する。このとき受光接着材410は、少なくとも受光光軸Orまわりの外周側からの紫外線照射によって硬化する。受光接着材410は、こうした紫外線硬化に加えて、加熱硬化されてもよい。
【0093】
準備サブルーチンのうち、受光シーケンスにおいてS150の第二受光測定工程は、受光接着材410の硬化により受光検出モジュール45と接着された受光レンズモジュール42の受光光軸Orに、
図23に示すように生じた受光誤差角ρrを測定する。そこで第二受光測定工程では、受光検出モジュール45の受光面456において反射ビームBrの合焦状態がS120に準じて三次元探索されることで、当該合焦状態のズレに応じた受光光軸Orの受光誤差角ρrが三次元測定される。こうした探索の結果、S130による受光合焦角ωrとS150による受光誤差角ρrとの総和が、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの三次元での姿勢角偏差δr(=ωr+ρr)として取得される。
【0094】
第二受光測定工程では受光誤差角ρrの測定値が、可動ステージ3における可動ベース面3aの三次元での姿勢角誤差により、補正されてもよい。但し、S150においてS130とは異なる可動ステージ3により、S130での可動ベース面3aの姿勢が再現されるような場合には、S130,S150の各々における可動ベース面3aの姿勢角誤差により、補正されるとよい。
【0095】
準備サブルーチンのうち、受光シーケンスにおいてS160の受光調整工程には、投光シーケンスのS120で取得された投光光軸Opの姿勢角偏差δpと、受光シーケンスのS150で取得された受光光軸Orの姿勢角偏差δrとが、申し送りされる。そこで受光調整工程は、三次元座標系における受光仮想軸Vrの位置決め姿勢角ψを、各姿勢角偏差δp,δr同士の相対誤差δp_rと実質合致させるように、調整姿勢角θを選定する。さらに受光調整工程は、選定した調整姿勢角θを実現するように、各第一シム15の個別厚さT11,T12,T13と各第二シム16の個別厚さT21,T22とを決定する。
【0096】
以上の第三実施形態では、S10の準備サブルーチンに続くS20~S50が、第一実施形態に準じて実行される。その結果、特に受光ユニット41に関してS20~S40では、S160による調整姿勢角θに応じた厚さの各第一シム15と各第二シム16とが、それぞれ第一ベース面141及び第一接触面451間と第二ベース面142及び第二接触面452間とに介装されて螺子留めされる。
【0097】
このような第三実施形態によれば、位置決め姿勢角ψと相対誤差δp_rとの合致から、投光光軸Opに対して受光光軸Orを幾何学的に高精度に姿勢調整することができるので、各ユニット21,41間での光軸調整精度を担保することが可能となる。さらに、そうした角度合致以外の作用効果も、第一実施形態の作用効果と同様に発揮され得る。
【0098】
(第四実施形態)
図24~25に示すように第四実施形態は、第三実施形態の変形例である。
【0099】
図24に示す第四実施形態の光学センサ10では、ベース面141,142が投光ユニット21用に設けられていると共に、ベース面143が受光ユニット41用に設けられている。それと共に、接触面451,452が投光ホルダ220に設けられていると共に、接触面221が受光ホルダ450に設けられている。
【0100】
第四実施形態の光学センサ10では、第一接触面451及び第一ベース面141間となる三箇所P11,P12,P13には、センサベース14に対して投光ユニット21をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第一シム15が介装されている。そこで、各第一シム15を螺子留めする第一固定螺子17は、それぞれの軸部を第一接触面451の法線方向に沿って投光ホルダ220における個別の通し孔に遊挿されて、第一シム15の嵌合孔に嵌挿及びセンサベース14の雌螺子孔に螺着されている。このような螺子留め構造により各第一固定螺子17は、それぞれの頭部における軸部側端面の角部(即ち外周縁部)170を、投光ホルダ220における第一シム15とは反対側面に接触させた状態下、投光ユニット21をセンサベース14に固定している。
【0101】
第四実施形態の光学センサ10では、第二接触面452及び第二ベース面142間となる二箇所P21,P22には、センサベース14に対して投光ユニット21をX軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第二シム16が介装されている。そこで、各第二シム16を螺子留めする第二固定螺子18は、それぞれの軸部を第二接触面452の法線方向に沿ってセンサベース14における個別の通し孔に遊挿されて、第二シム16の嵌合孔に嵌挿及び投光ホルダ220の雌螺子孔に螺着されている。このような螺子留め構造により各第二固定螺子18は、それぞれの頭部における軸部側端面の角部(即ち外周縁部)180を、センサベース14の凸部における第二シム16とは反対側面に接触させた状態下、投光ユニット21をセンサベース14に固定している。
【0102】
第四実施形態において固定螺子19は、ベース面143にて接触面221と面接触するセンサベース14に対して、受光ホルダ450を螺子留めするために、複数設けられている。各固定螺子19は、それぞれの軸部をX軸方向に沿って受光ホルダ450における個別の通し孔に遊挿されて、センサベース14の雌螺子孔に螺着されている。このような螺子留め構造により各投光固定螺子19は、それぞれ頭部端面を受光ホルダ450のセンサベース14とは反対側面に面接触させた状態下、受光ユニット41をセンサベース14に固定している。
【0103】
第四実施形態では、投光ホルダ220における投光仮想軸Vpが第一接触面451及び第二接触面452の双方に沿って定義される一方、受光ホルダ450における受光仮想軸VrがZ軸方向及び接触面221に沿って定義される。これらの定義下においても、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの三次元座標系での姿勢角偏差δpと、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrとは、第一実施形態に準ずる。
【0104】
第四実施形態による光学センサ10の製品状態では、三次元座標系での投光光軸Opの調整姿勢角θは、投光光軸Opが受光光軸Orに沿う角度に調整されている。これにより投光光軸Opの調整姿勢角θは、三次元座標系における受光仮想軸Vrに対しての受光光軸Orの姿勢角偏差δrと実質一致する。そこで調整姿勢角θは、三次元座標系における投光仮想軸Vpの位置決め姿勢角ψを、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrと投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの姿勢角偏差δpとの、相対誤差δr_p(=δr-δp)と実質合致させるように選定されることになる。
【0105】
このような第四実施形態による光学センサ10の製造方法においてS10の準備工程は、
図25に示す準備サブルーチンに従って実行される。
【0106】
第四実施形態の準備サブルーチンのうち、受光シーケンスには第三実施形態によるS160の受光調整工程が省かれる代わりに、投光シーケンスにおいてS120に続くS4160の投光調整工程が実行される。具体的に投光調整工程には、受光シーケンスのS150で取得された受光光軸Orの姿勢角偏差δrと、投光シーケンスのS120で取得された投光光軸Opの姿勢角偏差δpとが、申し送りされる。そこで投光調整工程は、三次元座標系における投光仮想軸Vpの位置決め姿勢角ψを、各姿勢角偏差δr,δp同士の相対誤差δr_pと実質合致させるように、調整姿勢角θを選定する。さらに投光調整工程は、選定した調整姿勢角θを実現するように、各第一シム15の個別厚さT11,T12,T13と各第二シム16の個別厚さT21,T22とを決定する。
【0107】
以上の第四実施形態では、S10の準備サブルーチンに続くS20~S50が、第一実施形態に準じて実行される。但し、投光ユニット21に関する工程となるS20~S40では、S4160による調整姿勢角θに応じた厚さの各第一シム15と各第二シム16とが、それぞれ第一ベース面141及び第一接触面451間と第二ベース面142及び第二接触面452間とに介装されて螺子留めされる。これにより、投光ユニット21がセンサベース14に対して固定される。一方、受光ユニット41に関する工程となるS50では、投光光軸Opが沿う受光光軸Orを形成するように同ユニット41が、センサベース14に対して螺子留めにより固定されることとなる。
【0108】
このような第四実施形態によれば、位置決め姿勢角ψと相対誤差δr_pとの合致から、受光光軸Orに対して投光光軸Opを幾何学的に高精度に姿勢調整することができるので、各ユニット21,41間での光軸調整精度を担保することが可能となる。さらに、そうした角度合致以外の作用効果としては、第一実施形態に準じて「投光」と「受光」とを入れ替えた作用効果も、発揮され得る。
【0109】
(第五実施形態)
図26~27に示すように第五実施形態は、第三実施形態と第四実施形態とを組み合わせて、さらに変形させた変形例である。
【0110】
図26に示す第五実施形態の光学センサ10では、ベース面141,142が受光ユニット41用及び投光ユニット21用にそれぞれ設けられている。それと共に、接触面451,452が受光ホルダ450及び投光ホルダ220にそれぞれ設けられている。
【0111】
第五実施形態の光学センサ10では、受光ホルダ450の第一接触面451と受光ユニット41用の第一ベース面141との間となる三箇所P11,P12,P13には、センサベース14に対して受光ユニット41をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第一シム15が介装されている。それと共に、投光ホルダ220の第一接触面451と投光ユニット21用の第一ベース面141間となる三箇所P11,P12,P13には、センサベース14に対して投光ユニット21をY軸まわり及びZ軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第一シム15が介装されている。
【0112】
第五実施形態の光学センサ10では、受光ホルダ450の第二接触面452と受光ユニット41用の第二ベース面142との間となる二箇所P21,P22には、センサベース14に対して受光ユニット41をX軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第二シム16が介装されている。それと共に、投光ホルダ220の第二接触面452と投光ユニット21用の第二ベース面142との間となる二箇所P21,P22には、センサベース14に対して投光ユニット21をX軸まわりに位置決めするために、それぞれ個別の第二シム16が介装されている。
【0113】
第五実施形態では、受光ホルダ450における受光仮想軸Vrは、同ホルダ450の第一接触面451及び第二接触面452の双方に沿って定義される。それと共に、投光ホルダ220における投光仮想軸Vpは、同ホルダ220の第一接触面451及び第二接触面452の双方に沿って定義される。これらの定義下においても、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの三次元座標系での姿勢角偏差δpと、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrとは、第一実施形態に準ずる。
【0114】
第五実施形態による光学センサ10の製品状態では、三次元座標系での受光光軸Orの調整姿勢角θは、受光光軸Orが投光光軸Opに沿う角度として、実質0値(0度)に調整されている。このために受光光軸Orの調整姿勢角θは、三次元座標系における受光仮想軸Vrの位置決め姿勢角ψを、受光仮想軸Vrに対する受光光軸Orの姿勢角偏差δrと実質合致させるように、選定されることになる。また一方、第五実施形態による光学センサ10の製品状態では、三次元座標系での投光光軸Opの調整姿勢角θは、投光光軸Opが受光光軸Orに沿う角度として、実質0値(0度)に調整されている。このために投光光軸Opの調整姿勢角θは、三次元座標系における投光仮想軸Vpの位置決め姿勢角ψを、投光仮想軸Vpに対する投光光軸Opの姿勢角偏差δpと実質合致させるように、選定されることになる。
【0115】
このような第五実施形態による光学センサ10の製造方法においてS10の準備工程は、
図27に示す準備サブルーチンに従って実行される。
【0116】
第五実施形態の準備サブルーチンのうち、受光シーケンスには第三実施形態によるS160に代えて、S5160の受光調整工程が実行される。具体的に受光調整工程には、受光シーケンスのS150で取得された受光光軸Orの姿勢角偏差δrが、申し送りされる。そこで受光調整工程は、三次元座標系における受光仮想軸Vrの位置決め姿勢角ψを、受光光軸Orの姿勢角偏差δrと実質合致させるように、調整姿勢角θを実質0値(0度)選定する。さらに受光調整工程は、選定した調整姿勢角θを実現するように受光ユニット41に関して、各第一シム15の個別厚さT11,T12,T13と各第二シム16の個別厚さT21,T22とを決定する。
【0117】
第五実施形態の準備サブルーチンのうち、投光シーケンスには第四実施形態によるS4160に代えて、S5170の投光調整工程が実行される。具体的に投光調整工程には、投光シーケンスのS120で取得された投光光軸Opの姿勢角偏差δpが、申し送りされる。そこで投光調整工程は、三次元座標系における投光仮想軸Vpの位置決め姿勢角ψを、投光光軸Opの姿勢角偏差δpと実質合致させるように、調整姿勢角θを実質0値(0度)選定する。さらに受光調整工程は、選定した調整姿勢角θを実現するように投光ユニット21に関して、各第一シム15の個別厚さT11,T12,T13と各第二シム16の個別厚さT21,T22とを決定する。
【0118】
以上の第五実施形態では、S10の準備サブルーチンに続くS20~S50が、第一実施形態に準じて実行される。但し、受光ユニット41に関してのS20~S40では、S5160による調整姿勢角θに応じた厚さの各第一シム15と各第二シム16とが、それぞれ第一ベース面141及び第一接触面451間と第二ベース面142及び第二接触面452間とに介装されて螺子留めされる。それと共に、投光ユニット21に関してのS20~S40では、S5170による調整姿勢角θに応じた厚さの各第一シム15と各第二シム16とが、それぞれ第一ベース面141及び第一接触面451間と第二ベース面142及び第二接触面452間とに介装されて螺子留めされる。尚、S50の実行は、こうした第五実施形態では省かれる。
【0119】
このような第五実施形態によれば、各位置決め姿勢角ψと姿勢角偏差δp又はδrとの合致から、投光光軸Opと受光光軸Orとを幾何学的に互いに高精度に姿勢調整することができるので、各ユニット21,41間での光軸調整精度を担保することが可能となる。さらに、そうした角度合致以外の作用効果としては、第一実施形態の作用効果と、第一実施形態に準じて「投光」と「受光」とを入れ替えた作用効果も、発揮され得る。
【0120】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0121】
図28~31に示すように変形例において各第一シム15は、それぞれ面接触する第一接触面451とは、反対側面における角部150を、第一ベース面141と接触させてもよい。ここで
図28,29の変形例において各第一固定螺子17は、それぞれの頭部における軸部側端面の角部170を、センサベース14における第一シム15とは反対側面に接触させるとよい。さらに
図30,31の変形例において第二実施形態に準じて用いられる場合のスプリングワッシャ2017は、第一固定螺子17の頭部とセンサベース14との間に挟まれるとよい。
【0122】
図32,33に示すように変形例において各第二シム16は、それぞれ面接触する第二ベース面142とは、反対側面における角部160を、第二接触面452と接触させてもよい。ここで
図32,33の変形例において各第二固定螺子18は、それぞれの頭部における軸部側端面の角部180を、受光ホルダ450における第二シム16とは反対側面に接触させるとよい。さらに
図33の変形例において第二実施形態に準じて用いられる場合のスプリングワッシャ2018は、第二固定螺子18の頭部と受光ユニット41の受光ホルダ450との間に挟まれるとよい。
【0123】
第二実施形態は又は上述の各変形例に関するスプリングワッシャ2017,2018は、第三~第五実施形態に適用されてもよい。ここで、第四実施形態にスプリングワッシャ2017,2018を適用した例を
図34に示し、第五実施形態にスプリングワッシャ2017,2018を適用した例を
図35に示す。
【0124】
変形例においてS30,S40の実行順は、入れ替えられてもよい。変形例のS30では、各第一シム15同士において厚さの厚い第一シム15から順に、螺子留めが実行されてもよい。変形例のS40では、各第二シム16同士において厚さの厚い第二シム16から順に、螺子留めが実行されてもよい。
【0125】
変形例では、シム15,16に代えて、例えばスプリングスクリュー等の姿勢調整部材を用いて、ユニット21及び/又は41の姿勢が調整されていてもよい。この場合にも、第三~第五実施形態に準ずる姿勢調整は有効となる。
【0126】
変形例では、水平方向に沿うY軸方向と、鉛直方向に沿うX軸方向とが、規定されてもよい。変形例において光学センサ10の適用対象となる移動体は、例えば走行をリモート制御可能な走行ロボット等であってもよい。変形例において光学センサ10の適用対象は、移動体以外、例えば静止構造物等であってもよい。
【0127】
(付言)
本明細書には、以下に列挙する複数の技術的思想と、それらの複数の組み合わせが開示されている。
【0128】
(技術的思想1)
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサ(10)であって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
前記三次元座標系のYZ平面に沿う第一ベース面(141)、及び前記三次元座標系のXZ平面に沿う第二ベース面(142)を、形成するセンサベース(14)と、
前記センサベースに固定され、前記三次元座標系における姿勢の調整された受光光軸(Or)に沿って前記反射ビームを受光する受光ユニット(41)と、
前記センサベースに対して前記受光ユニットを前記Y軸まわり及び前記Z軸まわりに位置決めする三箇所(P11,P12,P13)の第一シム(15)と、
前記センサベースに対して前記受光ユニットを前記X軸まわりに位置決めする二箇所(P21,P22)の第二シム(16)とを、備え、
各前記第一シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記受光光軸の調整姿勢角(θ)に応じた個別の厚さにより角部(150)を、前記受光ユニットにおける第一接触面(451)と前記第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留めされ、
各前記第二シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記受光光軸の前記調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部(160)を、前記受光ユニットにおいて前記第一接触面とは直交位置関係の第二接触面(452)と前記第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めされる光学センサ。
【0129】
(技術的思想2)
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記受光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部における角部(170,180)が前記受光ユニット又は前記センサベースと接触した状態下、当該個別対応の前記固定螺子により螺子留めされる技術的思想1に記載の光学センサ。
【0130】
(技術的思想3)
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記受光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部と、前記受光ユニット又は前記センサベースとの間にスプリングワッシャ(2017,2018)を挟んで、螺子留めされる技術的思想1に記載の光学センサ。
【0131】
(技術的思想4)
前記センサベースに固定され、前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って導光する投光ユニット(21)を、備え、
前記受光光軸が前記投光光軸と沿う前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する技術的思想1~3のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0132】
(技術的思想5)
前記投光ユニットには、前記Z軸に沿う投光仮想軸(Vp)が想定されると共に、前記受光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う受光仮想軸(Vr)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と、前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)との、相対誤差(δp_r)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する技術的思想4に記載の光学センサ。
【0133】
(技術的思想6)
前記受光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う受光仮想軸(Vr)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する技術的思想1~4のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0134】
(技術的思想7)
投光ビーム(Bp)を外界へ向けて投光し、前記投光ビームに対して前記外界から反射された反射ビーム(Br)を受光することにより、前記外界を検出する光学センサ(10)であって、X軸、Y軸、及びZ軸により三次元座標系が定義され、
前記三次元座標系のYZ平面に沿う第一ベース面(141)、及び前記三次元座標系のXZ平面に沿う第二ベース面(142)を、形成するセンサベース(14)と、
前記センサベースに固定され、前記投光ビームを投光光軸(Op)に沿って導光する投光ユニット(21)と、
前記センサベースに対して前記投光ユニットを前記Y軸まわり及び前記Z軸まわりに位置決めする三箇所(P11,P12,P13)の第一シム(15)と、
前記センサベースに対して前記投光ユニットを前記X軸まわりに位置決めする二箇所(P21,P22)の第二シム(16)とを、備え、
各前記第一シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記投光光軸の調整姿勢角(θ)に応じた個別の厚さにより角部(150)を、前記投光ユニットにおける第一接触面(451)と前記第一ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留めされ、
各前記第二シムは、それぞれ前記三次元座標系における前記投光光軸の前記調整姿勢角に応じた個別の厚さにより角部(160)を、前記投光ユニットにおいて前記第一接触面とは直交位置関係の第二接触面(452)と前記第二ベース面とのうち一方に接触させた状態下、前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めされる光学センサ。
【0135】
(技術的思想8)
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記投光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部における角部(170,180)が前記投光ユニット又は前記センサベースと接触した状態下、当該個別対応の前記固定螺子により螺子留めされる技術的思想7に記載の光学センサ。
【0136】
(技術的思想9)
各前記第一シムと各前記第二シムとは、それぞれ個別に対応して前記投光ユニットを前記センサベースに固定する固定螺子(17,18)の頭部と、前記投光ユニット又は前記センサベースとの間にスプリングワッシャ(2017,2018)を挟んで、螺子留めされる技術的思想7に記載の光学センサ。
【0137】
(技術的思想10)
前記センサベースに固定され、前記三次元座標系における姿勢の調整された受光光軸(Or)に沿って前記反射ビームを受光する受光ユニット(41)を、備え、
前記投光光軸が前記受光光軸と沿う前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する技術的思想7~9のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0138】
(技術的思想11)
前記投光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う投光仮想軸(Vp)が想定されると共に、前記受光ユニットには、前記Z軸に沿う受光仮想軸(Vr)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と、前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)との、相対誤差(δr_p)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する技術的思想10に記載の光学センサ。
【0139】
(技術的思想12)
前記投光ユニットには、前記第一接触面及び前記第二接触面の双方に沿う投光仮想軸(Vp)が想定されるとすると、
前記三次元座標系において前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)に合致させる前記調整姿勢角に応じた厚さを、各前記第一シムと各前記第二シムとがそれぞれ有する技術的思想7~10のいずれか一項に記載の光学センサ。
【0140】
(技術的思想13)
技術的思想1~12のいずれか一項に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記三次元座標系における前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装することと、
各前記第一シムを前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留め後、各前記第二シムを前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めすることとを、含む製造方法。
【0141】
(技術的思想14)
各前記第一シムを前記第一ベース面及び前記第一接触面間に螺子留めすることは、
各前記第一シム同士では、厚さの薄い前記第一シムから順に螺子留めすることを、含み、
各前記第二シムを前記第二ベース面及び前記第二接触面間に螺子留めすることは、
各前記第二シム同士では、厚さの薄い前記第二シムから順に螺子留めすることを、含む技術的思想13に記載の製造方法。
【0142】
(技術的思想15)
技術的思想5に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記投光仮想軸に対して前記投光光軸のなす投光合焦角(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光ユニットにおいて投光光源モジュール(22)から投光された前記投光ビームを前記投光光軸に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)を、投光接着材(210)を介して前記投光光源モジュールに接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(ρp)を、測定することと、
前記受光仮想軸に対して前記受光光軸のなす受光合焦角(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光ユニットにおいて前記外界側からの前記反射ビームを受光検出モジュール(45)により受光して前記外界を検出するために前記反射ビームを前記受光光軸に沿って前記受光検出モジュールへ導光する受光レンズモジュール(42)を、受光接着材(410)を介して前記受光検出モジュールに接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(ρr)を、測定することと、
前記投光ユニットを前記センサベースに固定することと、
前記投光合焦角と前記投光誤差角との総和を前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と定義し、前記受光合焦角と前記受光誤差角との総和を前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と定義すると、前記三次元座標系における前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を、前記投光光軸との前記受光光軸との前記姿勢角偏差同士での相対誤差(δp_r)に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【0143】
(技術的思想16)
技術的思想6に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記受光仮想軸に対して前記受光光軸のなす受光合焦角(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光ユニットにおいて前記外界側からの前記反射ビームを受光検出モジュール(45)により受光して前記外界を検出するために前記反射ビームを前記受光光軸に沿って前記受光検出モジュールへ導光する受光レンズモジュール(42)を、受光接着材(410)を介して前記受光検出モジュールに接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(ρr)を、測定することと、
前記受光合焦角と前記受光誤差角との総和を前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と定義すると、前記三次元座標系における前記受光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を前記受光光軸の前記姿勢角偏差に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【0144】
(技術的思想17)
技術的思想11に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記投光仮想軸に対して前記投光光軸のなす投光合焦角(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光ユニットにおいて投光光源モジュール(22)から投光された前記投光ビームを前記投光光軸に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)を、投光接着材(210)を介して前記投光光源モジュールに接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(ρp)を、測定することと、
前記受光仮想軸に対して前記受光光軸のなす受光合焦角(ωr)を、前記反射ビームの合焦状態において測定することと、
前記受光ユニットにおいて前記外界側からの前記反射ビームを受光検出モジュール(45)により受光して前記外界を検出するために前記反射ビームを前記受光光軸に沿って前記受光検出モジュールへ導光する受光レンズモジュール(42)を、受光接着材(410)を介して前記受光検出モジュールに接着することと、
前記受光接着材の硬化により前記受光検出モジュールと接着された前記受光レンズモジュールの前記受光光軸に、前記三次元座標系において生じた受光誤差角(ρr)を、測定することと、
前記受光ユニットを前記センサベースに固定することと、
前記投光合焦角と前記投光誤差角との総和を前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と定義し、前記受光合焦角と前記受光誤差角との総和を前記受光仮想軸に対する前記受光光軸の姿勢角偏差(δr)と定義すると、前記三次元座標系における前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を前記受光光軸と前記投光光軸との前記姿勢角偏差同士での相対誤差(δr_p)に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【0145】
(技術的思想18)
技術的思想12に記載の光学センサ(10)を製造する製造方法であって、
前記投光仮想軸に対して前記投光光軸のなす投光合焦角(ωp)を、前記投光ビームの合焦状態において測定することと、
前記投光ユニットにおいて投光光源モジュール(22)から投光された前記投光ビームを前記投光光軸に沿って前記外界側へ導光する投光レンズモジュール(26)を、投光接着材(210)を介して前記投光光源モジュールに接着することと、
前記投光接着材の硬化により前記投光光源モジュールと接着された前記投光レンズモジュールの前記投光光軸に、前記三次元座標系において生じた投光誤差角(ρp)を、測定することと、
前記投光合焦角と前記投光誤差角との総和を前記投光仮想軸に対する前記投光光軸の姿勢角偏差(δp)と定義すると、前記三次元座標系における前記投光仮想軸の位置決め姿勢角(ψ)を前記投光光軸の前記姿勢角偏差に合致させる、前記調整姿勢角に応じた厚さの各前記第一シムと各前記第二シムとを、それぞれ前記第一ベース面及び前記第一接触面間と前記第二ベース面及び前記第二接触面間とに介装して螺子留めすることとを、含む製造方法。
【符号の説明】
【0146】
10:光学センサ、14:センサベース、15:第一シム、16:第二シム、17 第一固定螺子、18:第二固定螺子、21:投光ユニット、22:投光光源モジュール、26:投光レンズモジュール、41:受光ユニット、42:受光レンズモジュール、45:受光検出モジュール、141:第一ベース面、142:第二ベース面、150,160,170,180:角部、210:投光接着材、410:受光接着材、451:第一接触面、452:第二接触面、2017,2018:スプリングワッシャ、Bp:投光ビーム、Br:反射ビーム、Op:投光光軸、Or:受光光軸、Vr:受光仮想軸、Vp:投光仮想軸、δp,δr:姿勢角偏差、δp_r,δr_p:相対誤差、θ:調整姿勢角、ρp:投光誤差角、ρr:受光誤差角、ψ:位置決め姿勢角、ωp:投光合焦角、ωr:受光合焦角