(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119747
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】分解性プラスチックボトル及びその製造方法並びに分解プロセス
(51)【国際特許分類】
B65D 1/00 20060101AFI20240827BHJP
C08L 101/16 20060101ALI20240827BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20240827BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20240827BHJP
B29B 7/38 20060101ALI20240827BHJP
B29C 49/00 20060101ALI20240827BHJP
C08J 11/00 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B65D1/00 110
C08L101/16 ZBP
C08L67/00 ZAB
B65D65/46 BRQ
B29B7/38
B29C49/00
C08J11/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024010383
(22)【出願日】2024-01-26
(31)【優先権主張番号】202310150872.5
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】524036701
【氏名又は名称】江蘇仁信作物保護技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU TRUST CROP PROTECTION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.168, Zhaoqiaohe South Road, Nanjing Chemical Industry Park, Nanjing, Jiangsu 210044, China
(71)【出願人】
【識別番号】524036712
【氏名又は名称】南京優聚環保材料有限公司
【氏名又は名称原語表記】NANJING YOUJU ENVIRONMENTAL PROTECTION MATERIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.88, Guanqu South Road, Jiangbei New Area, Nanjing, Jiangsu 210044, China
(71)【出願人】
【識別番号】524036723
【氏名又は名称】江蘇新晟祺塑業科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU XINSHENGQI PLASTICS INDUSTRY TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.118, Fuqiang Road, Industrial Concentration Zone, Yintu Town, Jinhu County, Huaian, Jiangsu 211641, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】車▲フン▼
(72)【発明者】
【氏名】江偉
【テーマコード(参考)】
3E033
3E086
4F201
4F208
4F401
4J002
4J200
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA13
3E033CA20
3E033FA03
3E033GA02
3E086AD04
3E086BA02
3E086BA15
3E086BA35
3E086BB90
3E086CA29
3E086DA08
4F201AA24
4F201AB11
4F201AG07
4F201AH55
4F201BA01
4F201BC01
4F201BC02
4F201BD05
4F208AA24
4F208AB11
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA09
4F208LB01
4F401AA22
4F401AA30
4F401AC11
4F401BB20
4F401CA14
4F401EA90
4F401FA01Z
4F401FA06Z
4F401FA07Z
4J002CF03Z
4J002CF07X
4J002CF18W
4J002CF18Z
4J002CF19Z
4J002CG01Y
4J002DE236
4J002GA00
4J002GG01
4J200AA04
4J200AA06
4J200AA08
4J200AA17
4J200BA13
4J200BA14
4J200BA18
4J200BA19
4J200BA20
4J200DA17
4J200EA04
4J200EA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分解性プラスチックボトル及びその製造方法並びに分解プロセスを提供する。
【解決手段】分解性プラスチックボトルは、分解性組成材料をブロー加工することによって得られ、前記分解性組成材料は、樹脂混合物を溶錬及び押出成形することによって得られ、前記樹脂混合物は、重量部で、PLA10-60部、PBAT20-50部、PPC0.5-20部、PGA0.5-20部、炭酸カルシウム1-10部の組成を含む。PPCを添加することによりPLAの結晶性を改善し、続いてPGAの核生成作用でPLAの結晶化度を向上させ、農薬用ボトルの有機溶剤に対するバリア効果を改善し、農薬における成分が流失する可能性を減少させ、農薬の長期間貯蔵に有利である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分解性組成材料をブロー加工することによって得られる分解性プラスチックボトルであって、前記分解性組成材料は、樹脂混合物を溶錬及び押出成形することによって得られ、前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 10-60部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 20-50部、ポリプロピレンカーボネート 0.5-20部、ポリグリコール酸 0.5-20部、炭酸カルシウム 1-10部の組成を含む、ことを特徴とする分解性プラスチックボトル。
【請求項2】
前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 20-50部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 30-40部、ポリプロピレンカーボネート 5-15部、ポリグリコール酸 5-15部、炭酸カルシウム 3-7部の組成を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の分解性プラスチックボトル。
【請求項3】
前記樹脂混合物は、重量部が0.5-20部のポリブチレンサクシネートをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の分解性プラスチックボトル。
【請求項4】
前記樹脂混合物は、重量部が0.5-20部のポリカプロラクトンをさらに含む、ことを特徴とする請求項3に記載の分解性プラスチックボトル。
【請求項5】
前記ポリ乳酸は、ポリL-乳酸、PDLAのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の分解性プラスチックボトル。
【請求項6】
前記ポリ乳酸におけるPDLAとポリL-乳酸との重量比は、1:(0.8-1.2)である、ことを特徴とする請求項5に記載の分解性プラスチックボトル。
【請求項7】
前記ポリL-乳酸の平均分子量は、1000-4200である、ことを特徴とする請求項6に記載の分解性プラスチックボトル。
【請求項8】
前記PDLAの平均分子量は、1000-20000である、ことを特徴とする請求項7に記載の分解性プラスチックボトル。
【請求項9】
重量部で、ポリ乳酸 10-60部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 20-50部、ポリプロピレンカーボネート 0.5-20部、ポリグリコール酸 0.5-20部、炭酸カルシウム 1-10部の組成を含む、ことを特徴とする分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項10】
前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 20-50部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 30-40部、ポリプロピレンカーボネート 5-15部、ポリグリコール酸 5-15部、炭酸カルシウム 3-7部の組成を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項11】
前記樹脂混合物は、重量部が0.5-20部のポリブチレンサクシネートをさらに含む、ことを特徴とする請求項9に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項12】
前記樹脂混合物は、重量部が0.5-20部のポリカプロラクトンをさらに含む、ことを特徴とする請求項11に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項13】
前記ポリ乳酸は、ポリL-乳酸、PDLAのうちの少なくとも1種を含む、ことを特徴とする請求項9に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項14】
前記ポリ乳酸におけるPDLAとポリL-乳酸との重量比は、1:(0.8-1.2)である、ことを特徴とする請求項13に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項15】
前記ポリL-乳酸の平均分子量は、1000-4200である、ことを特徴とする請求項14に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項16】
前記PDLAの平均分子量は、1000-20000である、ことを特徴とする請求項15に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。
【請求項17】
100-400℃の条件で請求項2-16のいずれか1項に記載の分解性材料を製造するため樹脂混合物を溶融し、押出成形した後に分解性組成材料を得るステップ(1)と、
60-160℃でステップ(1)の分解性組成材料に対してブロー成形を行い、分解性プラスチックボトルを得るステップ(2)と、を含む、ことを特徴とする分解性プラスチックボトルの製造方法。
【請求項18】
請求項1-8のいずれか1項に記載の分解性プラスチックボトルを回収した後に粉砕し、粉砕物を得るステップ(1)と、
粉砕物とコンポストを(20-80):(80-20)の重量比で混合し、続いて通気性袋に入れ、さらに通気袋を50-65℃のコンポストに埋め込み、145-180日間待った後に通気性袋を取り出すと、分解性プラスチックボトルの分解を完了することができるステップ(2)と、を含む、ことを特徴とする分解性プラスチックボトルの分解プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、プラスチック製品技術の分野に関し、より具体的には、それは分解性プラスチックボトル及びその製造方法並びに分解プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄プラスチックの蓄積状況がますます深刻になるため、生分解性材料の応用は、ますます注目され、廃棄プラスチックの蓄積を減少する有効な方法の1つは、分解性材料を用いて様々なプラスチック製品を生産し、対応する回収分解プロセスを採用して回収された分解性プラスチック製品を無害化することである。
【0003】
関連技術では、農薬用分解性プラスチックボトルは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)とポリ乳酸(PLA)とのブレンド物をブロー成形することによって製造され、該ブレンド物の組成は、10-60重量部のPLA、20-50重量部のPBAT及び1-10重量部の炭酸カルシウムを含み、該ブレンド物は、以下の方法で製造され、(1)炭酸カルシウム、PBAT及びPLAを混合し、樹脂混合物を得、樹脂混合物を溶融加工した後に溶融体を得、(2)溶融体に対して押出成形を行い、分解性組成材料を得る。PBATとPLAをブレンドすることにより、PBATは、PLAの靭性を向上させることができ、農薬用ボトルの力学的性能の改善に役立つ。
【0004】
上記関連技術について、発明者らは、関連技術におけるPBATがPLAの力学的性能を改善するが、PBAT分子鎖におけるベンゼン環がPLA分子鎖の規則性を破壊し、PLAの結晶化度を低下させると考えられる。既存の農薬製品の多くは、有機溶剤を含み、PLAの結晶化度が低下すると農薬用ボトルの有機溶剤に対するバリア効果を低下させ、既存の農薬製品の貯蔵期間に対する要求を満たしにくく、農薬製品の長期間貯蔵に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連技術では、PBATがPLAの結晶化度の低下を引き起こすことで、該農薬用分解性プラスチックボトルは、既存の農薬製品の貯蔵期間に対する要求を満たしにくく、農薬の長期間保存に不利である。この欠点を改善するために、本願は、分解性プラスチックボトル及びその製造方法並びに分解プロセスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本願は、分解性プラスチックボトルを提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
分解性プラスチックボトルであって、前記分解性プラスチックボトルは、分解性組成材料をブロー加工することによって得られ、前記分解性組成材料は、樹脂混合物を溶錬及び押出成形することによって得られ、前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸10-60部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 20-50部、ポリプロピレンカーボネート(PPC) 0.5-20部、ポリグリコール酸(PGA) 0.5-20部、炭酸カルシウム 1-10部の組成を含む。
【0008】
上記技術的解決手段を採用することにより、関連技術に比べて、本願は、樹脂混合物にPPC及びPGAを添加する。PPCは、PLAとの相容性がPBATとPLAとの相容性よりも優れるため、PLA中に均一に分散しやすい。溶融状態で、PLAにおけるPPCは、溶剤の役割を果たし、PLAのセグメント転位に有利であり、PLAの結晶性を改善する。PLA結晶性の改善に加えて、PGAがPLA結晶過程において核生成作用を発揮できることにより、PLAの結晶化度を向上させ、それにより分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果の改善に役立つ。
【0009】
本願の分解性プラスチックボトルは、液体農薬を収容する時に、農薬における有機溶剤がボトルの壁を通過しにくく、それにより農薬における成分が流失する可能性を減少させ、農薬用ボトルの生産における分解性材料の成功した応用を実現し、農薬の長期間貯蔵に有利である。
【0010】
好ましくは、前記樹脂混合物は、重量部で、PLA 20-50部、PBAT 30-40部、PPC 5-15部、PGA 5-15部、炭酸カルシウム 3-7部の組成を含む。
【0011】
上記技術的解決手段を採用することにより、樹脂混合物の配合比を最適化し、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果の改善に役立つ。
【0012】
好ましくは、前記樹脂混合物の組成は、重量部が0.5-20部のポリブチレンサクシネート(PBS)をさらに含む。
【0013】
上記技術的解決手段を採用することにより、PBSとPLAをブレンドした後に衝撃強度がPLAよりも優れるブレンド物を生成することができ、分解性プラスチックボトルの外力衝撃に対する抵抗効果を向上させ、分解性プラスチックボトルの耐落下性能の補強に役立つ。
【0014】
好ましくは、前記樹脂混合物の組成は、重量部が0.5-20部のポリカプロラクトン(PCL)をさらに含む。
【0015】
上記技術的解決手段を採用することにより、PCLの添加は、PBSの脆性を軽減させ、しかもPCLは、PLAとPBATの相容性をさらに向上させ、PBATとPLAとの相界面を改善する。相界面の改善及びPLAとPBATとの相容性向上の共同作用で、分解性プラスチックボトルの耐落下性能がさらに向上する。
【0016】
好ましくは、前記PLAの組成は、ポリL-乳酸(PLLA)、ポリD-乳酸(PDLA)のうちの少なくとも1種を含む。
【0017】
上記技術的解決手段を採用することにより、PLLA及びPDLAは、PLAの1対の鏡像異性体であり、PLAの組成がPLLA及びPDLAを同時に含む場合に、PLLA及びPDLAは、溶融ブレンドするとステレオコンプレックス結晶を生成し、ステレオコンプレックス結晶の分子鎖の積み重ねは、PLLA結晶、PDLA結晶に比べてより緊密である。しかも、ステレオコンプレックス結晶の形成により、PLAの規則度が向上し、それによりPLAのPBATにより損失した規則度に対して補償を実現し、PBATによるPLAの結晶化度に対する悪影響を減少させる。そのため、PLLA及びPDLAを同時に含むPLAは、加工成形されると、より高い結晶化度を有することができ、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果の改善に役立つ。
【0018】
好ましくは、前記PLAにおけるPDLAとPLLAとの重量比は、1:(0.8-1.2)である。
【0019】
上記技術的解決手段を採用することにより、PDLAとPLLAとの重量比を最適化し、PDLAとPLLAの含有量が接近する場合に、PLAにおけるステレオコンプレックス結晶の形成に有利である。ステレオコンプレックス結晶の含有量の増加は、PLAの結晶化度を向上させ、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果の改善に役立つ。
【0020】
好ましくは、前記PLLAの平均分子量は、1000-4200である。
【0021】
上記技術的解決手段を採用することにより、PLLAの平均分子量が大きすぎる場合に、PLLA及びPDLAは、ステレオ結晶を生成することがなく、ホモ結晶を形成しやすく、そのため、本願は、PLLAの平均分子量を最適化し、この範囲内ではステレオコンプレックス結晶の形成に有利であり、それによりPLAの結晶化度を向上させ、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果を改善する。
【0022】
好ましくは、前記PDLAの平均分子量は、1000-20000である。
【0023】
上記技術的解決手段を採用することにより、PDLAの平均分子量が大きすぎる場合に、PLLA及びPDLAは、同様にステレオ結晶ではなく、ホモ結晶を形成しやすく、そのため、本願は、さらにPDLAの平均分子量を最適化し、ステレオコンプレックス結晶の形成に有利であり、PLAの結晶化度を向上させ、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果の改善に有利である。
【0024】
また、本願の樹脂混合物には、性能を向上させるために、例えば改質澱粉、タルク粉及び複合架橋剤(ペクチンとナノ有機ベントナイトとの複合物)など、いくつかの補助組成をさらに添加してもよい。
【0025】
第2の態様において、本願は、分解性材料を製造するための樹脂混合物を提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
【0026】
前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 10-60部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 20-50部、ポリプロピレンカーボネート 0.5-20部、ポリグリコール酸 0.5-20部、炭酸カルシウム 1-10部の組成を含む。
【0027】
好ましくは、前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 20-50部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 30-40部、ポリプロピレンカーボネート 5-15部、ポリグリコール酸 5-15部、炭酸カルシウム 3-7部の組成を含む。
【0028】
好ましくは、前記樹脂混合物は、重量部が0.5-20部のポリブチレンサクシネートをさらに含む。
【0029】
好ましくは、前記樹脂混合物は、重量部が0.5-20部のポリカプロラクトンをさらに含む。
【0030】
好ましくは、前記ポリ乳酸は、ポリL-乳酸、PDLAのうちの少なくとも1種を含む。
【0031】
好ましくは、前記ポリ乳酸におけるPDLAとポリL-乳酸との重量比は、1:(0.8-1.2)である。
【0032】
好ましくは、前記ポリL-乳酸の平均分子量は、1000-4200である。
【0033】
好ましくは、前記PDLAの平均分子量は、1000-20000である。
【0034】
第3の態様において、本願は、分解性プラスチックボトルの製造方法を提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
【0035】
分解性プラスチックボトルの製造方法は、
100-400℃の条件で上記樹脂混合物を溶融し、押出成形した後に分解性組成材料を得るステップ(1)と、
60-160℃でステップ(1)の分解性組成材料に対してブロー成形を行い、分解性プラスチックボトルを得るステップ(2)と、を含む。
【0036】
上記技術的解決手段を採用することにより、本願は、まず樹脂混合物を溶融し、続いて押出成形加工により分解性組成材料を得、次に60-160℃の中低温条件でブロー成形を行い、分解性プラスチックボトルを得る。
【0037】
第4の態様において、本願は、分解性プラスチックボトルの分解プロセスを提供し、以下の技術的解決手段を採用する。
【0038】
分解性プラスチックボトルの分解プロセスは、
上記分解性プラスチックボトルを回収した後に粉砕し、粉砕物を得るステップ(1)と、
粉砕物とコンポストを(20-80):(80-20)の重量比で混合し、続いて通気性袋に入れ、さらに通気性袋を50-65℃のコンポストに埋め込み、145-180日間待った後に通気性袋を取り出すと、分解性プラスチックボトルの分解を完了することができるステップ(2)と、を含む。
【0039】
上記技術的解決手段を採用することにより、本願の分解性プラスチックボトルにおける各有機組成は、いずれも分解性材料である。実際に本願の方法に従って分解処理を行う時に、まず回収された分解性プラスチックボトルを粉砕し、粉砕物を得る。その上で、本願は、粉砕物とコンポストを混合する重量比範囲を最適化し、この質量比に従って、50-65℃で14-20日間コンポスト化処理すると分解を完了することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように、本願は、以下の少なくとも1つの有益な効果を有する。
【0041】
1、本願は、分解性プラスチックボトルの原料体系にPPC及びPGAを添加し、PPCによりPLAの結晶性を改善し、続いてPGAの核生成作用でPLAの結晶化度を向上させ、農薬用ボトルの有機溶剤に対するバリア効果を改善し、農薬における成分が流失する可能性を減少させ、農薬用ボトル生産における分解性材料の成功した応用を実現し、農薬の長期間貯蔵に有利である。
【0042】
2、本願において、前記PLAの組成は、PLLA、PDLAのうちの少なくとも1種を含むことが好ましく、PLAの組成がPLLA及びPDLAを同時に含む場合に、PLLA及びPDLAは、溶融ブレンドするとステレオコンプレックス結晶を生成し、PLAの結晶化度を向上させ、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果を改善する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、実施例、製造例及び比較例と結び付けて本願をさらに詳細に説明し、本願に係る原料は、いずれも市販により取得することができる。
【実施例0044】
(実施例1-5)
以下、実施例1を例に説明する。
【0045】
(実施例1)
本実施例は、分解性組成材料をブロー加工することによって得られる分解性プラスチックボトルを提供し、前記分解性組成材料は、樹脂混合物を溶錬及び押出成形することによって得られ、前記樹脂混合物は、重量部で、PLA 10kg、PBAT 20kg、PPC 0.5kg、PGA 0.5kg、炭酸カルシウム 1kgの組成を含み、そのうち、PLAは、平均分子量が5000のPLLAであった。
【0046】
本実施例において、分解性プラスチックボトルは、以下のステップで製造され、
(1)240℃の条件で樹脂混合物を溶融し、押出成形した後に分解性組成材料を得、
(2)70℃でステップ(1)の分解性組成材料に対してブロー成形を行い、分解性プラスチックボトルを得た。
【0047】
表1に示すように、実施例1-5の異なる点は、主に、樹脂混合物の原料配合比が異なることである。
【0048】
本実施例は、以下のステップを含む分解性プラスチックボトルの分解プロセスをさらに提供し、
(1)分解性プラスチックボトルを回収した後に粉砕し、粉砕物を得、
(2)粉砕物とコンポスト原料を80:20の重量比で混合し、続いて通気性袋に入れ、さらに通気性袋を60℃のコンポスト層に埋め込み、150日間待った後に通気性袋を取り出すと、分解性プラスチックボトルの分解を完了することができ、本ステップにおいて、コンポスト原料は、豚糞、トウモロコシ藁、草木灰を4:6:1の重量比で混合してなされた。
【0049】
【0050】
(実施例6)
本実施例と実施例4の異なる点は、樹脂混合物の組成がPBS 0.5kgをさらに含むことである。
【0051】
表2に示すように、実施例6-10の異なる点は、PBSの使用量が異なることである。
【0052】
【0053】
(実施例11)
本実施例と実施例9の異なる点は、樹脂混合物の組成がPCL 0.5kgをさらに含むことである。
【0054】
表3に示すように、実施例11-15の異なる点は、PCLの使用量が異なることである。
【0055】
【0056】
(実施例16)
本実施例と実施例4の異なる点は、PLAが平均分子量20000のPDLAのことである。
【0057】
(実施例17)
本実施例と実施例4の異なる点は、PLAが平均分子量5000のPDLAと平均分子量が24000のPDLAを1:0.6の重量比で混合してなされることである。
【0058】
表4に示すように、実施例17-21の異なる点は、PDLAとPLLAの重量比が異なることである。
【0059】
【0060】
表5に示すように、実施例22-25と実施例19の異なる点は、PLLAの平均分子量が異なることである。
【0061】
【0062】
表6に示すように、実施例26-29と実施例24の異なる点は、PDLAの平均分子量が異なることである。
【0063】
『BB/T0044-2007 包装容器 農薬用プラスチックボルト』の記載を参照して全ての実施例について漏洩量(熱貯蔵重量減少)及び気密性能の検証を行い、結果を表8に示す。
また、『BB/T0044-2007 包装容器 農薬用プラスチックボトル』に規定される5回の落下回数に従い、別に全ての実施例について落下性能検査を行い、結果を表10に示す。
実施例1-5及び比較例1と結び付け表7と結び付けて分かるように、実施例1-5で測定された相対滲漏率は、いずれも比較例1よりも小さく、本願は、PPCを添加することによりPLAの結晶性を改善し、PGAの核生成作用でPLAの結晶化度を向上させ、農薬用ボトルの有機溶剤に対するバリア効果を改善することが示される。本願の分解性プラスチックボトルは、従来の農薬用ボトルの技術的指標を満たすことができるだけでなく、さらに従来の農薬用ボトルに比べてもっと長時間に農薬を漏洩せず貯蔵することができ、農薬の長期間貯蔵に有利である。実施例1-5において、実施例4のPLA含有量が相対的に高いため、PLA結晶化度を向上させることによる効果が顕著であり、したがって、実施例4の耐浸透性が相対的に高い。
実施例3及び比較例2-3と結び付け表7と結び付けて分かるように、樹脂混合物にPPCが欠ける場合に、PGAが核生成作用を発揮できても、PLAの結晶化度の改善が顕著ではない。樹脂混合物にPGAが欠ける場合に、PPCはPLAのセグメント転位を促進することによりPLAの結晶性を改善しても、PLAの結晶化度の向上も相対的に限られる。
実施例1-29と結び付け表8と結び付けて分かるように、本願の実施例の分解性プラスチックボトルは、従来技術指標における気密性能、漏洩量に対する関連規定を満たす。
実施例4及び実施例6-10と結び付け表9と結び付けて分かるように、樹脂混合物にPBSを添加すると分解性プラスチックボトルの落下性能を改善することができ、PBS添加量の増加に伴い、落下性能もますます向上するが、PBS添加量の増加に伴い、落下性能の向上は、線形増加過程ではなく、PBS添加量が20部を超えた後に、PBSを添加し続けると、落下性能の向上幅が相対的に小さいことが発見された。原料を十分に節約しコストを制御し、良好な性能を実現するために、PBSの添加量は0.5-20部であることが好ましい。
実施例9、実施例11-15と結び付け表7と結び付けて分かるように、PBSを添加する上で、樹脂混合物にPCLを添加すると分解性プラスチックボトルの落下性能をさらに改善することができ、PCL添加量の増加に伴い、落下性能もますます向上するが、PCL添加量の増加に伴い、落下性能の向上も線形増加過程ではない。PCLの添加量が20部を超えた後に、PCLを添加し続けると落下性能の向上幅が相対的に小さいことが発見された。原料を十分に節約しコストを制御し、良好な性能を実現するために、PBSの添加量は0.5-20部であることが好ましい。
実施例4、実施例16と結び付け表7と結び付けて分かるように、PLLAをPDLAに置き換えた後に、分子量が増大するため、PLAの結晶化度が低下し、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果が低下する。
実施例4、実施例16、実施例17-21と結び付け表7と結び付けて分かるように、PLLAとPLLAとのブレンドにより、分解性プラスチックボトルにステレオコンプレックス結晶が生成され、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果が改善される。また、PLLAとPDLAとの使用量の比が1:(0.8-1.2)範囲内にある場合に、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果が高く、農薬の長期間貯蔵に有利である。
実施例19、実施例22-29と結び付け表7と結び付けて分かるように、PLLA及びPDLAの適切な範囲内の平均分子量は、ステレオ結晶の形成に有利であり、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果の改善に有利である。PLLAの平均分子量が4200よりも大きく、PDLAの分子量が20000よりも大きい場合に、分解性プラスチックボトルの有機溶剤に対するバリア効果は、相対的にあまり顕著ではない。
実施例1-29と結び付け表10-13と結び付けて分かるよう、本願の実施例の分解性プラスチックボトルは、従来技術指標における落下性能、軸方向耐圧力、耐内圧力、分解性能、外観の品質に対する関連規定を満たす。
本具体的な実施例は、本願に対する解釈に過ぎず、それは本願を限定するものではなく、当業者は本明細書を読んだ後に必要に応じて本実施例に創造的な貢献がない修正を行うことができるが、本願の特許請求の範囲内にあるものであれば、いずれも専利法の保護を受ける。
分解性組成材料をブロー加工することによって得られる分解性プラスチックボトルであって、前記分解性組成材料は、樹脂混合物を溶錬及び押出成形することによって得られ、前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 10-60部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 20-50部、ポリプロピレンカーボネート 0.5-20部、ポリグリコール酸 0.5-20部、炭酸カルシウム 1-10部の組成を含み、
前記ポリ乳酸は、ポリD-乳酸(PDLA)とポリL-乳酸(PLLA)を含み、前記ポリ乳酸におけるPDLAとPLLAとの重量比は、1:(0.6-1.2)であり、
前記PLLAの平均分子量は、1000-5000であり、
前記PDLAの平均分子量は、1000-24000である、
ことを特徴とする分解性プラスチックボトル。
前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 20-50部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 30-40部、ポリプロピレンカーボネート 5-15部、ポリグリコール酸 5-15部、炭酸カルシウム 3-7部の組成を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の分解性プラスチックボトル。
重量部で、ポリ乳酸 10-60部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 20-50部、ポリプロピレンカーボネート 0.5-20部、ポリグリコール酸 0.5-20部、炭酸カルシウム 1-10部の組成を含み、
前記ポリ乳酸は、ポリD-乳酸(PDLA)とポリL-乳酸(PLLA)を含み、前記ポリ乳酸におけるPDLAとPLLAとの重量比は、1:(0.6-1.2)であり、
前記PLLAの平均分子量は、1000-5000であり、
前記PDLAの平均分子量は、1000-24000である、
ことを特徴とする分解性材料を製造するための樹脂混合物。
前記樹脂混合物は、重量部で、ポリ乳酸 20-50部、ポリブチレンアジペートテレフタレート 30-40部、ポリプロピレンカーボネート 5-15部、ポリグリコール酸 5-15部、炭酸カルシウム 3-7部の組成を含む、ことを特徴とする請求項5に記載の分解性材料を製造するための樹脂混合物。