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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119757
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電子錠用カバー
(51)【国際特許分類】
   E05B 13/00 20060101AFI20240827BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20240827BHJP
   E05B 17/20 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
E05B13/00 A
E05B47/00 J
E05B17/20 Z
E05B17/20 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024020385
(22)【出願日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】63/486,278
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鐘井 聡
(57)【要約】
【課題】電子錠に設けられる手動操作用のノブを介したサムターン回しを防止できる電子錠用カバーを提供する。
【解決手段】電子錠用カバー10は、ノブ3が配置される電子錠1の前面2Aに取り付けられ、前面2Aのうち少なくとも一部を覆うよう形成されるカバー本体11と、カバー本体11の前面2Aと対向する部分である対向壁111に設けられ、ノブ3の回動範囲を覆ってノブ3の回動が可能な空間を形成するノブ収容部12と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設の扉のサムターンに係合して前記サムターンを操作する電子錠に取り付けられる電子錠用カバーであって、
前記電子錠は、手動操作用のノブと、前記ノブに回転軸を介して連結され、前記サムターンに係合するサムターンホルダと、を備え、
当該電子錠用カバーは、
前記ノブが配置される前記電子錠の前面に取り付けられ、前記前面のうち少なくとも一部を覆うよう形成されるカバー本体と、
前記カバー本体の前記前面と対向する部分に設けられ、前記ノブの回動範囲の少なくとも一部を覆って前記ノブの回動が可能な空間を形成するノブ収容部と、
を備える電子錠用カバー。
【請求項2】
前記カバー本体は前記前面と対向配置される対向壁を有し、
前記ノブ収容部は前記対向壁に設けられ、前記対向壁よりも前記前面から離れる側に窪んで形成され、
前記ノブは前記回転軸を通り径方向に延在するツマミ部を有し、前記ツマミ部は前記回転軸上の中央部が最も突出量が大きく、径方向外側に進むほど突出量が小さくなる円弧形状であり、
前記ノブ収容部は、前記円弧形状のツマミ部の回動が可能な球冠形状に形成される、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【請求項3】
前記カバー本体は前記前面と対向配置される対向壁を有し、
前記ノブ収容部は前記対向壁に設けられ、前記対向壁よりも前記前面から離れる側に窪んで形成され、
前記ノブ収容部は、前記ノブを収容可能な有底円筒形状に形成される、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【請求項4】
前記ノブは、前記前面の長手方向の一方の端部側に配置され、
前記カバー本体は前記前面と対向配置される対向壁を有し、
前記ノブ収容部は前記対向壁に設けられ、前記対向壁よりも前記前面から離れる側に窪んで形成され、
前記ノブ収容部は、前記対向壁との距離が均等となるよう形成され、かつ、前記ノブを含む前記前面の短手方向の幅全体を含むよう形成される、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【請求項5】
前記ノブ収容部は、前記前面の全体を覆うよう形成される、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【請求項6】
前記対向壁は、前記前面のうち前記ノブが配置される部分以外の全体を覆うよう形成される、
請求項2~4のいずれか一項に記載の電子錠用カバー。
【請求項7】
前記ノブは、前記前面の長手方向の一方の端部側に配置され、
前記対向壁は、前記前面のうち前記ノブが配置される部分以外の一部、かつ、前記前面のうち前記一方の端部側の一部を覆うよう形成される、
請求項2または3に記載の電子錠用カバー。
【請求項8】
前記カバー本体は、前記対向壁と前記ノブ収容部との境界に直角に形成される段差面を有する、
請求項4に記載の電子錠用カバー。
【請求項9】
前記カバー本体は、前記対向壁と前記ノブ収容部との境界に傾斜状に形成される傾斜面を有する、
請求項4に記載の電子錠用カバー。
【請求項10】
前記ノブは前記回転軸を通り径方向に延在するツマミ部を有し、前記ツマミ部は前記回転軸上の中央部が最も突出量が大きく、径方向外側に進むほど突出量が小さくなる円弧形状であり、
前記ノブ収容部には補強用のリブが設けられ、前記リブには、前記円弧形状のツマミ部の回動が可能となるように前記ツマミ部の回動範囲に沿って切り欠きが設けられる、
請求項3~5のいずれか一項に記載の電子錠用カバー。
【請求項11】
前記電子錠は前記前面に動作状態を点灯表示する光源を有し、
前記カバー本体のうち前記光源と重なる位置に開口部が設けられる、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【請求項12】
前記開口部には導光材が設けられる、
請求項11に記載の電子錠用カバー。
【請求項13】
前記ノブは前記前面の長手方向の一方の端部側に配置され、
前記サムターンホルダは前記前面と反対側の背面に、前記前面側から視たときに前記ノブと重畳する位置に配置され、
前記背面のうち前記サムターンホルダが配置される部分は、前記扉との間に隙間を空けて形成され、
前記カバー本体は、前記前面の短手方向の両側からそれぞれ前記背面側に延在して前記背面に係止可能な一対の係止部を備え、前記係止部によって前記電子錠に連結固定される、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【請求項14】
前記係止部は、
前記長手方向の両側に前記背面側の端部から前記前面側に沿って設けられる切り欠きと、
前記端部から前記背面の前記短手方向の中央側に屈曲して形成される爪と、
を有する、
請求項13に記載の電子錠用カバー。
【請求項15】
前記ノブ収容部は、前記ノブの回動範囲の全体を覆うよう形成される、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【請求項16】
前記カバー本体と前記電子錠とを繋ぐ線状部材を備える、
請求項1に記載の電子錠用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子錠用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
扉のサムターンを回転動作させることにより、自動で扉を施錠又は解錠できる錠開閉装置(電子錠)が知られている。特許文献1には、サムターンのつまみを挟持可能なサムターンホルダを備え、つまみを挟持した状態でサムターンホルダを回転駆動させることでサムターンを操作する、所謂後付けタイプの電子錠が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-003419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のサムターン錠では、屋外から扉に穴を開けてこの穴から特殊な工具などを使用して、扉の屋内側に設けられるサムターンのつまみを回転させて扉のロックを解除する侵入手口、所謂サムターン回しが行われる場合があり得る。
【0005】
一方、上述のような電子錠をサムターンに取り付けた状態では、サムターンが電子錠によって覆われているので、サムターン回しを困難にできる。ただし、電子錠の設置後でも施解錠の手動操作を可能とするために、電子錠にも手動操作用のノブが設けられる場合が多い。この場合、電子錠をサムターンに取り付けた状態においても、電子錠のノブを外部から回転させるサムターン回しが行われるのを防止できるのが望ましい。
【0006】
本開示は、電子錠に設けられる手動操作用のノブを介したサムターン回しを防止できる電子錠用カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一観点に係る電子錠用カバーは、既設の扉のサムターンに係合して前記サムターンを操作する電子錠に取り付けられる電子錠用カバーであって、前記電子錠は、手動操作用のノブと、前記ノブに回転軸を介して連結され、前記サムターンに係合するサムターンホルダと、を備え、当該電子錠用カバーは、前記ノブが配置される前記電子錠の前面に取り付けられ、前記前面のうち少なくとも一部を覆うよう形成されるカバー本体と、前記カバー本体の前記前面と対向する部分に設けられ、前記ノブの回動範囲の少なくとも一部を覆って前記ノブの回動が可能な空間を形成するノブ収容部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電子錠に設けられる手動操作用のノブを介したサムターン回しを防止できる電子錠用カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電子錠の扉への設置状態の一例を示す平面図
図2】電子錠の扉への設置状態の一例を示す側面図
図3】第1実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を示す斜視図
図4】第1実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠から取り外された状態を示す斜視図
図5】第1実施形態に係る電子錠用カバーを背面側から視た斜視図
図6】第1実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を背面側から視た斜視図
図7】第1実施形態におけるノブ収容部へのノブの収容状態を示す模式図
図8】第2実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を示す斜視図
図9】第2実施形態に係る電子錠用カバーを背面側から視た斜視図
図10】第3実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を示す斜視図
図11】第3実施形態に係る電子錠用カバーを背面側から視た斜視図
図12】第3実施形態におけるノブ収容部へのノブの収容状態を示す模式図
図13】第4実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を示す斜視図
図14】第4実施形態に係る電子錠用カバーを背面側から視た斜視図
図15】第5実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を示す斜視図
図16】第5実施形態に係る電子錠用カバーを背面側から視た斜視図
図17】第5実施形態におけるノブ収容部へのノブの収容状態を示す模式図
図18】第6実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を示す斜視図
図19】第6実施形態に係る電子錠用カバーを背面側から視た斜視図
図20】第7実施形態に係る電子錠用カバーが電子錠に取り付けられた状態を示す斜視図
図21】第7実施形態に係る電子錠用カバーを背面側から視た斜視図
図22】第7実施形態におけるノブ収容部へのノブの収容状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0011】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向は扉40の上下方向であり鉛直方向である。Y方向は扉40の左右幅方向であり水平方向である。Z方向は、扉40のサムターン41や、電子錠のサムターンホルダ9の回転軸の延在方向であり、水平方向である。また、図1に示す電子錠1の設置例では、X方向及びY方向が扉40の電子錠1を設置する面40Aの延在方向であり、X方向が電子錠1の長手方向であり、Y方向が電子錠の短手方向である。以下の説明では、X正方向側を「上側」、X負方向側を「下側」と表記する場合がある。Z正方向側を「前側」や「屋内側」、Z負方向側を「裏側」や「背面側」、「屋外側」などと表記する場合がある。
【0012】
<電子錠の概略構成>
まず図1図2を参照して、実施形態に係る電子錠用カバーが取り付けられる電子錠1の概略構成について説明する。図1は、電子錠1の扉40への設置状態の一例を示す平面図である。図2は、電子錠1の扉40への設置状態の一例を示す側面図である。なお、図1では、図示の都合上、電子錠1のノブ3のツマミ部3Bと、サムターン41のツマミ部42の長手方向が直交するよう図示しているが、実装の際には図2に示すように同方向であるのが好ましい。
【0013】
図1図2に示すように、電子錠1は、既設の扉40の室内側の面40Aに設けられるサムターン41に後付けされるものである。サムターン41は、扉40の解錠及び施錠を操作するための要素であり、例えばZ正方向側の端面に設けられるツマミ部42をユーザが回転軸43まわりに回転操作することによって解錠や施錠を行うことができる。周知のサムターン41は、例えば円錐台形状であり、ツマミ部42は、その円形の端面において、回転軸43を通り、かつ、端面の円形状の直径に沿って延在するよう形成される。
【0014】
電子錠1は、このような本来手動で操作するサムターン41を自動で回転操作するための装置である。
【0015】
電子錠1は、Z方向に対向配置される前面2A及び背面2Bと、Y方向に対向配置される一対の側面2C、2Dと、Z方向に対向配置される上面2Eと下面2Fとを有する筐体2を備える。また、図2に示すように、筐体2は、Z負方向側を向く背面2Bの下側約半分が切り取られ、側面2C、2D及び下面2Fと共にZ正方向側に凹んで形成されている。背面2B下側凹んだ部分には、扉40のサムターン41のツマミ部42に係合するサムターンホルダ5が設けられている。
【0016】
サムターンホルダ5は、電子錠1の筐体2の内部に設けられるモータなどの動力源(図示せず)によって、図2に示す回転軸4まわりに回転駆動される。サムターンホルダ5は、例えばZ方向を軸方向とする略円柱状に形成され、Z負方向側の端面には、回転中心を通り、かつ、直径方向に延在する溝部51が形成されている。サムターンホルダ5の回転軸4は、サムターン41の回転軸43と同軸上となるように設置されるのが好ましい。溝部51は、サムターン41のツマミ部42が挿入できる幅で形成される。
【0017】
電子錠1は、サムターンホルダ5の溝部51にサムターン41のツマミ部42が挿入された状態で、筐体2の背面2Bが扉40の室内側の面40Aと面接触するように扉40に設置される。そして、このような設置状態において、モータなどの駆動源によりサムターンホルダ5を回転駆動させることによって、溝部51に挿入されているサムターン41を回転操作する。
【0018】
電子錠1の筐体2の前面2Aには、サムターンホルダ5の反対側の位置に、ユーザが手動により操作可能なノブ3が設けられている。ノブ3は、例えば図1に示すようにノブ3の回転軸に直交する円形面3Aと、この円形面3Aの中央部に設けられた略半月状のツマミ部3Bとを有している。ノブ3には、回転軸4を介してサムターンホルダ5が固定され、ノブ3とともにサムターンホルダ5とが回転する。ユーザはノブ3を操作することによってサムターン41を手動でも回転操作することができる。
【0019】
電子錠1は、スマートフォンや制御盤等のコントローラ(図示せず)から無線または有線により操作指示を受けて対応する動作(施錠、解錠等)を行うようになっている。無線の方式としては、Bluetooth(登録商標)やWiFi(登録商標)等が用いられる。
【0020】
後付けタイプの電子錠1では、図1図2に示すような扉40への設置時には、サムターンホルダ5によりサムターン41のツマミ部42を挟持する状態を維持するために、電子錠1の筐体2を扉40の面40Aなどサムターン41の周囲に固定する必要がある。電子錠1を扉40に固定する手法としては、主に両面テープが用いられる。例えば筐体2の背面2Bが扉40の面40Aと面接触できるため、この背面2Bに両面テープを貼付して扉40に接着することによって、電子錠1を扉40に設置できる。
【0021】
なお、図1図2の例では、電子錠1の筐体2の長手方向が扉40の上下方向(X方向)となる向きで電子錠1を扉40に設置する場合を例示したが、電子錠1は扉40に対して任意の方向に設置することができる。例えば電子錠1の筐体2の長手方向が扉40の左右方向(Y方向)となる向きで電子錠1を扉40に設置してもよい。要は、電子錠1のサムターンホルダ5がサムターン41のツマミ部42と係合できればよい。
【0022】
図1に示すように、電子錠1の筐体2の短手方向(図1ではY方向)の中心を通り、長手方向(図1ではX方向)に沿って延在する中心線C上に、サムターンホルダ5及びノブ3の回転軸4が配置される。これにより、上述のように扉40に対する電子錠1の設置方向を変更する際にも、中心線Cを基準とすればサムターンホルダ5や回転軸4の位置を容易に把握できるので、サムターンホルダ5のサムターン41への係合作業を容易にできる。
【0023】
図1図2に示す電子錠1には、実施形態に係る電子錠用カバーが取り付け可能である。以下、複数の実施形態を例示して、実施形態に係る電子錠用カバーの構成について説明する。
【0024】
[第1実施形態]
図3図7を参照して第1実施形態を説明する。図3は、第1実施形態に係る電子錠用カバー10が電子錠1に取り付けられた状態を示す斜視図である。図4は、第1実施形態に係る電子錠用カバー10が電子錠1から取り外された状態を示す斜視図である。図5は、第1実施形態に係る電子錠用カバー10を背面側から視た斜視図である。図6は、第1実施形態に係る電子錠用カバー10が電子錠1に取り付けられた状態を背面側から視た斜視図である。図7は、第1実施形態におけるノブ収容部12へのノブ3の収容状態を示す模式図である。
【0025】
図3図4に示すように、電子錠1には、第1実施形態に係る電子錠用カバー10が取り付け可能である。電子錠用カバー10は、カバー本体11と、ノブ収容部12とを有する。
【0026】
カバー本体11は、電子錠1のノブ3が配置される電子錠1の前面2Aに取り付けられ、ノブ3の回動範囲を覆うよう形成される。
【0027】
ノブ収容部12は、カバー本体11のうち前面2Aと対向して設けられ、ノブ3の回動が可能な空間を形成する。本実施形態では、ノブ3は円形面3Aの中心を回転軸として、略半月状のツマミ部3Bが回動するので、このツマミ部3Bが回動する際に通過する領域を包含できるようにドーム状の空間を形成するよう、カバー本体11からZ正方向側に突出して形成される。この例では、ノブ収容部12は、図5に示すように、電子錠1側から視たときに半球状の凹部として形成されている。
【0028】
特に第1実施形態では、電子錠用カバー10のカバー本体11は、電子錠1の筐体2の前面2Aと対向配置される対向壁111を有する。対向壁111は、前面2Aのうちノブ3が配置される部分以外の全体を覆うよう形成される。つまり対向壁111は、電子錠1の筐体2の前面2Aとほぼ同形状の略矩形状に形成されている。また、対向壁111は、Z方向に所定の厚さを有する板状に形成され、Z負方向側の主面が前面2Aと対向するよう配置される。
【0029】
ノブ収容部12は、カバー本体11の対向壁111に設けられる。ノブ収容部12は、対向壁111よりも前面2Aから離れる側、すなわちZ正方向側に窪んで形成される。つまり、ノブ収容部12は電子錠1のノブ3よりもZ正方向側に突出している。ノブ収容部12は、対向壁111と一体的に形成される。
【0030】
電子錠1のノブ3は、図1図2を参照して説明したように、回転軸4を通り径方向に延在するツマミ部3Bを有し、ツマミ部3Bは回転軸4上の中央部が最も突出量が大きく、径方向外側に進むほど突出量が小さくなる円弧形状である。そして、第1実施形態では、図3図5に示すように、ノブ収容部12は、このようなノブ3の円弧形状のツマミ部3Bが収容時に回動可能な球冠形状に形成される。
【0031】
カバー本体11は、略矩形状の対向壁111の外縁部分に、Z負方向側に突出して形成される外枠112を有する。外枠112は、電子錠1の筐体2のZ正方向側の端部に篏合可能に形成される。外枠112が筐体2に篏合した状態において、対向壁111が筐体2の前面2Aと対向して配置され、かつ、Z方向から視たときに前面2Aと重畳して配置される。
【0032】
外枠112は、図5に示すように、筐体2の形状に沿ってZ負方向側から視た形状が略矩形状に形成される。また、外枠112は、略矩形状に沿った周方向に沿って所定の厚さを有する板状に形成される。なお、外枠112の厚さは、対向壁111の厚さと略同一であるのが好ましい。
【0033】
外枠112は、上面部112Aと、下面部112Bと、一対の側面部112C、112Dとを有する。外枠112が筐体2に篏合したときに、上面部112Aは筐体2の上面2Eと対向配置され、下面部112Bは筐体2の下面2Fと対向配置され、一方の側面部112Cは筐体2の一方の側面2Cと対向配置され、他方の側面部112Dは筐体2の他方の側面2Dと対向配置される。
【0034】
ここで、図1図2に示すように、電子錠1では、ノブ3は筐体2の前面2Aの長手方向の一方の端部側(図1図2の例ではX負方向側)に配置される。サムターンホルダ5は前面2Aと反対側の背面2Bに、前面2A側から視たときにノブ3と重畳する位置に配置される。図2に示すように、筐体2の背面2Bのうちサムターンホルダ5が配置される部分は、扉40との間に隙間を空けて形成される。つまり、電子錠1の背面2Bは、扉40と接触する第1背面2B1と、第1背面2B1に対してZ正方向側に窪み、サムターンホルダ5が設置される第2背面2B2とを有する。前面2Aに対しては、第1背面2B1よりも第2背面2B2のほうが近い。
【0035】
また、筐体2の一対の側面2C、2Dは、上述の第1背面2B1と前面2Aとの間に配置される第1側面2C1、2D1と、第2背面2B2と前面2Aとの間に配置される第2側面2C2、2D2とを有する。なお、図2には、一対の側面のうち側面2Cの第1側面2C1と第2側面2C2のみが図示されているが、図2の図面奥側に配置される側面2Dも同様に第1側面2D1と第2側面2D2とを有する。上述のように、前面2Aに対しては、第1背面2B1よりも第2背面2B2のほうが近いので、第2側面2C2、2D2のZ方向の寸法は、第1側面2C1、2D1のZ方向の寸法より短く形成される。
【0036】
カバー本体11の一対の側面部112C、112Dには、電子錠1の筐体2の前面2Aの短手方向(Y方向)の両側からそれぞれ第2背面2B2側に延在して、第2背面2B2に係止可能な一対の係止部113、114が設けられる。係止部113、114は、それぞれ第2側面2C2、2D2と対向するX方向の位置に配置される。カバー本体11は、外枠112が電子錠1の筐体2に篏合され、さらに係止部113、114が第2背面2B2に係合することによって、電子錠1の筐体2に連結固定される。
【0037】
また、係止部113、114は、前面2Aの長手方向(X方向)の両側に、第2背面2B2側の端部から前面2A側に沿ってスリット状に設けられる切り欠き113A、114Aを有する。また、係止部113、114は、第2背面2B2側の端部から第2背面2B2の短手方向(Y方向)の中央側に屈曲して形成される爪113B、114Bを有する。この構成により、係止部113、114が筐体2に沿って挿入される際に、それぞれ第2側面2C2、2D2側に突出している爪113B、114Bが第2側面2C2、2D2に突き当たることによって、係止部113、114が切り欠き113A、114Aに沿って筐体2のY方向外側に弾性変形して湾曲する。これにより、爪113B、114Bを第2側面2C2、2D2に沿って移動しやすくでき、係止部113、114の挿入を容易にできる。また、爪113B、114Bが第2背面2B2よりZ負方向側に進出した後には、切り欠き113A、114Aによって筐体2のY方向外側に湾曲していた係止部113、114が弾性復帰して、図6図7に示すように、爪113B、114Bがそれぞれ第2側面2C2、2D2よりY方向の中心側へ入り込み、第2背面2B2に係止される。この結果、一対の係止部113、114によってY方向の両側から電子錠1の筐体2が把持されて、これにより電子錠用カバー10が電子錠1に装着される。このような係止部113、114の構造とすることにより、手作業以外で電子錠1から電子錠用カバー10を取り外すことを困難にでき、防犯効果を向上できる。
【0038】
図7に示すように、カバー本体11が電子錠1の筐体2に連結固定された状態では、ノブ収容部12は電子錠1のノブ3のツマミ部3Bの外形に沿ってノブ3の全体を覆うように配置される。ノブ収容部12の球冠形状は、例えば図7に示すようにノブ3のツマミ部3Bがノブ収容部12の内壁面と一定の距離を空けて収容されるように、ツマミ部3Bと同様の曲率で形成されるのが好ましい。これにより、電子錠用カバー10の形状を電子錠1の外形に沿ったものにできるので、電子錠1に電子錠用カバー10を取り付けても電子錠1とほぼ同等の形状や大きさを維持でき、無駄な大型化を抑制できる。また、ノブ収容部12に無駄な隙間がないため、カバー製造に係るコスト低減に繋がる。さらに、ノブ収容部12をこのような球冠形状とすることにより、ノブ3の回動範囲を干渉せずにノブ3の全体を内部に収容することができる。
【0039】
電子錠1をサムターン41に取り付けた状態では、扉40の屋内側に設けられるサムターン41が電子錠1によって覆われているので、屋外から扉に穴を開けてこの穴から特殊な工具などを使用してサムターン41を回転させて扉40のロックを解除する侵入手口、所謂サムターン回しを困難にできる。ただし、電子錠1の手動操作用のノブ3はサムターンホルダ5を介してサムターン41と連結されているので、サムターン回しと同様の要領で屋外からノブ3を回転させて扉40のロックを解除する状況も考えられる。
【0040】
このような問題に対して、第1実施形態では電子錠用カバー10を電子錠1に取り付ける構成をとる。第1実施形態の電子錠用カバー10は、球冠形状のノブ収容部12を備えることによって、電子錠1への取り付け時に電子錠1のノブ3の回動範囲の全体を覆うことが可能となる。この結果、第1実施形態に係る電子錠用カバー10は、屋外から電子錠1のノブ3に直接接触することを阻害でき、ノブ3の物理的な回動操作を防止できるので、電子錠1に設けられる手動操作用のノブ3を介したサムターン回しを防止できる。
【0041】
また、図3図4に示すように、電子錠1は、筐体2の前面2Aに、電子錠1の動作状態を点灯表示する光源6を有する。電子錠用カバー10は、カバー本体11のうち光源6と重なる位置に開口部116が設けられる。本実施形態では、図1に示すように、光源6は筐体2の中心線C上に配置され、中心線Cに沿った細長い形状で形成される。また、図3図4に示すように、光源6は筐体2の前面2Aの上端と、上面2Eの前端との間に亘って配置される。開口部116も、中心線C上に配置され、カバー本体11の対向壁111の上端と、上面部112Aの前端との間に亘って、光源6の外形に沿って形成される。これにより、電子錠1に電子錠用カバー10を取り付けた状態でも、電子錠1の光源6が外部に露出するので、利用者が電子錠1の動作状態を視認可能となる。
【0042】
なお、開口部116には導光材が設けられる構成としてもよい。これにより、光源6の点灯状態や、点灯色などを外部からより視認しやすくできる。
【0043】
また、カバー本体11と電子錠1とを繋ぐ紐やワイヤなどの線状部材を備える構成でもよい。これにより、電子錠用カバー10を電子錠1と常時つなげておくことができるので、電子錠1から電子錠用カバー10を取り外している状態でも、カバーの紛失を抑制できる。
【0044】
なお、本実施形態では、ノブ収容部12がノブ3の回動範囲の全体を覆う構成を例示しているが、ノブ収容部12はノブ3の回動範囲の少なくとも一部を覆うよう形成されればよく、例えばノブ収容部12の一部が開口される形状でもよい。要は、ノブ収容部12は、ノブ3の回動が可能な空間を形成できればよい。ノブ収容部12によるノブ3を覆う範囲は、少なくともサムターン回しのための工具がノブ3と接触することを防げる程度であればよい。例えば、施錠時における電子錠1のノブ3のツマミ部3Bの長手方向に沿って、ノブ収容部12にスリットを設けて一部開口する構成や、ノブ収容部12を網目状に形成する構成や、ノブ収容部12の任意の位置にスリットや穴を設ける構成などが挙げられる。
【0045】
[第2実施形態]
図8図9を参照して第2実施形態を説明する。図8は、第2実施形態に係る電子錠用カバー10Aが電子錠1に取り付けられた状態を示す斜視図である。図9は、第2実施形態に係る電子錠用カバー10Aを背面側から視た斜視図である。
【0046】
図8図9に示すように、第2実施形態に係る電子錠用カバー10Aは、ノブ収容部12の構成は第1実施形態のものと同様である。
【0047】
カバー本体11Aの対向壁111Aは、電子錠1の筐体2の前面2Aのうちノブ3が配置される部分以外の一部、かつ、前面2Aのうちノブ3が配置される側の一部を覆うよう形成される。ここで、図1図2を参照して説明したように、本実施形態に係る電子錠1のノブ3は、筐体2の前面2Aの長手方向の一方の端部側(X負方向側)に配置される。このため、図8に示すように、第2実施形態に係る電子錠用カバー10Aでは、カバー本体11Aの対向壁111Aは、前面2Aの長手方向のうちノブ3が配置される前面2Aの一部、つまり前面2AのうちX負方向側の約半分の部分、を覆うよう形成される。なお、このような対向壁111Aの構成は、ノブ収容部12の外周を囲んで形成される、とも表現できる。
【0048】
第2実施形態のカバー本体11Aのように、電子錠用カバーのカバー本体は、電子錠1の筐体2の前面2Aのうち少なくともノブ3の回動範囲を覆うように形成されればよい。要は、カバー本体11Aは、前面2Aのうち少なくともノブ収容部12が設置される範囲を覆うよう形成されればよい。
【0049】
また、図8図9に示すように、第2実施形態の電子錠用カバー10Aでは、カバー本体11Aは、第1実施形態の外枠112に対応する要素として対向壁111AのY方向両側に配置される一対の側壁のみを有する。このため、カバー本体11Aは、電子錠用カバー10Aが電子錠1に取り付けられるときに、電子錠1の筐体2の側面2C、2Dのうち第1側面2C1、2D1を覆わず、第2側面2C2、2D2(図2など参照)のみを覆うよう形成されている。
【0050】
第2実施形態の電子錠用カバー10Aでは、カバー本体11AのY方向両側の一対の側面部は、それぞれの全体が係止部113、114として機能する。したがって、電子錠用カバー10Aが電子錠1の筐体2に取り付けられる際には、それぞれ第2側面2C2、2D2側に突出している爪113B、114Bが第2側面2C2、2D2に突き当たることによって、係止部113、114としてのカバー本体11Aの一対の側面部が筐体2のY方向外側に弾性変形して湾曲する。また、爪113B、114Bが第2背面2B2よりZ負方向側に進出した後には、筐体2のY方向外側に湾曲していた係止部113、114としてのカバー本体11Aの一対の側面部が弾性復帰して、爪113B、114Bがそれぞれ第2側面2C2、2D2よりY方向の中心側へ入り込み、第2背面2B2に係止される。この結果、一対の係止部113、114によってY方向の両側から電子錠1の筐体2が把持されて、これにより電子錠用カバー10Aが電子錠1に装着される。このような係止部113、114の構造とすることにより、手作業以外で電子錠1から電子錠用カバー10を取り外すことをより一層困難にでき、防犯効果をさらに向上できる。
【0051】
第2実施形態の電子錠用カバー10Aでは、カバー本体11Aの対向壁111Aに第1実施形態と同様の球冠形状のノブ収容部12が設けられる。これにより、第2実施形態の電子錠用カバー10Aも、第1実施形態と同様に電子錠1への取り付け時に電子錠1のノブ3の全体を覆うことが可能となるので、屋外から電子錠1のノブ3に直接接触することを阻害してノブ3の物理的な回動操作を防止でき、電子錠1に設けられる手動操作用のノブ3を介したサムターン回しを防止できる。また、第2実施形態の電子錠用カバー10Aでは、カバー本体11Aが電子錠1の筐体2の前面2Aのうち、ノブ収容部12が設置される範囲を含む一部のみを覆うよう形成されるので、カバー全体のサイズを小型化でき、カバー製造に係るコスト削減に繋がる。
【0052】
[第3実施形態]
図10図12を参照して第3実施形態を説明する。図10は、第3実施形態に係る電子錠用カバー10Bが電子錠1に取り付けられた状態を示す斜視図である。図11は、第3実施形態に係る電子錠用カバー10Bを背面側から視た斜視図である。図12は、第3実施形態におけるノブ収容部12Bへのノブ3の収容状態を示す模式図である。
【0053】
図10図11に示すように、第3実施形態に係る電子錠用カバー10Bは、カバー本体11の対向壁111や外枠112の構造は第1実施形態と同様である。
【0054】
一方、第3実施形態に係る電子錠用カバー10Bでは、カバー本体11の対向壁111に、第1実施形態とは異なる形状のノブ収容部12Bが設けられる。図10図12に示すように、ノブ収容部12Bは、ノブ3を収容可能な有底円筒形状に形成される。ノブ収容部12Bは、対向壁111からZ正方向側に円形状に窪んで形成され、Z正方向側に円形の端面を有する。図12に示すように、ノブ収容部12Bの円形状の直径の寸法は、ノブ3の円形面3Aより大きく形成される。また、ノブ収容部12BのZ方向の深さの寸法は、ノブ3のツマミ部3Bの最大高さより大きく形成される。これにより、ノブ収容部12Bは、電子錠用カバー10Bが電子錠1に取り付けられたときに、ノブ3の回動範囲を干渉せずにノブ3の全体を内部空間に収容することができる。
【0055】
したがって、第3実施形態の電子錠用カバー10Bも、上記実施形態と同様に電子錠1への取り付け時に電子錠1のノブ3の全体を覆うことが可能となるので、屋外から電子錠1のノブ3に直接接触することを阻害してノブ3の物理的な回動操作を防止でき、電子錠1に設けられる手動操作用のノブ3を介したサムターン回しを防止できる。
【0056】
また、第3実施形態の電子錠用カバー10Bでは、ノブ収容部12Bはノブ3を収容可能な有底円筒形状に形成される。これにより、図12に示すように、ツマミ部3Bが半月形状のノブ3を内部に収容した場合にはノブ3との間の空隙を、上記実施形態のノブ収容部12と比較して大きく取れる。このため、第3実施形態の電子錠用カバー10Bでは、ツマミ部3Bが図12に例示するものより大きいタイプのノブ、例えばツマミ部が略矩形状のノブであっても、ノブ収容部12Bの深さより高さ寸法が短ければ収容可能である。つまり、第3実施形態の電子錠用カバー10Bは、より多くの種類の形状のノブ3を収容できるので、様々なタイプの電子錠1に適用でき、汎用性を向上できる。
【0057】
[第4実施形態]
図13図14を参照して第4実施形態を説明する。図13は、第4実施形態に係る電子錠用カバー10Cが電子錠1に取り付けられた状態を示す斜視図である。図14は、第4実施形態に係る電子錠用カバー10Cを背面側から視た斜視図である。
【0058】
図13図14に示すように、第4実施形態に係る電子錠用カバー10Cは、ノブ収容部12Bの構成は第3実施形態のものと同様である。
【0059】
カバー本体11Cの対向壁111Cは、電子錠1の筐体2の前面2Aのうちノブ3が配置される部分以外の一部、かつ、前面2Aのうちノブ3が配置される側の一部を覆うよう形成される。ここで、図1図2を参照して説明したように、本実施形態に係る電子錠1のノブ3は、筐体2の前面2Aの長手方向の一方の端部側(X負方向側)に配置される。このため、図13に示すように、第4実施形態に係る電子錠用カバー10Cでは、カバー本体11Cの対向壁111Cは、前面2Aの長手方向のうちノブ3が配置される前面2Aの一部、つまり前面2AのうちX負方向側の約半分の部分、を覆うよう形成される。なお、このような対向壁111Cの構成は、ノブ収容部12Bの外周を囲んで形成される、とも表現できる。
【0060】
また、図13図14に示すように、第4実施形態の電子錠用カバー10Cでは、カバー本体11Cは、第3実施形態の外枠112に対応する要素として対向壁111CのY方向両側に配置される一対の側壁のみを有する。このため、カバー本体11Cは、電子錠用カバー10Cが電子錠1に取り付けられるときに、電子錠1の筐体2の側面2C、2Dのうち第1側面2C1、2D1を覆わず、第2側面2C2、2D2(図2など参照)のみを覆うよう形成されている。
【0061】
これらのカバー本体11Cの構成は、第2実施形態の電子錠用カバー10Aのカバー本体11Aと同様であるので、取り付け時の作用の説明は省略する。
【0062】
第4実施形態の電子錠用カバー10Cでは、カバー本体11Cの対向壁111Cに第3実施形態と同様の有底円筒形状のノブ収容部12Bが設けられる。これにより、第4実施形態の電子錠用カバー10Cも、第1~第3実施形態と同様に電子錠1への取り付け時に電子錠1のノブ3の全体を覆うことが可能となるので、屋外から電子錠1のノブ3に直接接触することを阻害してノブ3の物理的な回動操作を防止でき、電子錠1に設けられる手動操作用のノブ3を介したサムターン回しを防止できる。また、第4実施形態の電子錠用カバー10Cは、第3実施形態と同様に、より多くの種類の形状のノブ3を収容できるので、様々なタイプの電子錠1に適用でき、汎用性を向上できる。
【0063】
[第5実施形態]
図15図17を参照して第5実施形態を説明する。図15は、第5実施形態に係る電子錠用カバー10Dが電子錠1に取り付けられた状態を示す斜視図である。図16は、第5実施形態に係る電子錠用カバー10Dを背面側から視た斜視図である。図17は、第5実施形態におけるノブ収容部12Dへのノブ3の収容状態を示す模式図である。
【0064】
図15図16に示すように、第5実施形態に係る電子錠用カバー10Dは、カバー本体11Dの対向壁111Dや外枠112の基本的な構造は第1、第3実施形態と同様である。
【0065】
一方、第5実施形態に係る電子錠用カバー10Dでは、カバー本体11Dの対向壁111Dに、上記実施形態とは異なる形状のノブ収容部12Dが設けられる。図15図17に示すように、ノブ収容部12Dは、対向壁111Dとの距離が均等となるよう形成され、かつ、ノブ3を含む前面2Aの短手方向(Y方向)の幅全体を含むよう形成される。言い換えると、ノブ収容部12Dは、ノブ3を収容可能な有底矩形状に形成される。ノブ収容部12Dは、対向壁111DからZ正方向側に矩形状に窪んで形成され、Z正方向側に矩形の端面を有する。このノブ収容部12Dの端面が対向壁111Dとの距離が均等となるよう形成され、かつ、対向壁111Dに対してZ正方向側に所定距離だけ離れた位置に配置されるよう形成される。なお、ノブ収容部12Dの端面と対向壁111Dとの距離が「均等」とは、ノブ収容部12Dの端面の全体に亘って対向壁111Dとの距離が同一である場合に限られず、距離に所定範囲内の差異はあるが、ノブ収容部12Dの端面と、対向壁111Dのうちノブ収容部12Dの端面と対向配置する部分との形状が略同一である場合なども含まれる。また、「ノブ収容部12Dの端面と対向壁111Dとの距離が均等」な構成には、対向壁111Dのうちノブ収容部12Dの端面と対向配置する部分が平面状に形成される場合には、ノブ収容部12Dの端面も平面で形成され、対向壁111Dと端面とが平行となるよう形成される構成も含まれる。
【0066】
また、カバー本体11Dは、対向壁111Aとノブ収容部12Dとの境界に直角に形成される段差面117を有する。
【0067】
ノブ収容部12DのうちX負方向側を向く下面は、カバー本体11Dの外枠112の下面部112Bと面一となるよう形成される。ノブ収容部12DのうちY方向を向く一対の側面は、カバー本体11Dの外枠112の側面部112C、112Dとそれぞれ面一となるよう形成される。また、上述の段差面117が、ノブ収容部12DのうちX正方向側を向く上面となる。
【0068】
つまり、ノブ収容部12Dは、図17に示すように、Y方向の寸法が電子錠1の筐体2の前面2AのY方向の寸法より大きく形成される。したがって、段差面117のX方向の位置をノブ3の上端位置より上方にすれば、ノブ収容部12Dは、電子錠用カバー10Dが電子錠1に取り付けられたときに、ノブ3の回動範囲を干渉せずにノブ3の全体を内部空間に収容することができる。
【0069】
したがって、第5実施形態の電子錠用カバー10Dも、上記実施形態と同様に電子錠1への取り付け時に電子錠1のノブ3の全体を覆うことが可能となるので、屋外から電子錠1のノブ3に直接接触することを阻害してノブ3の物理的な回動操作を防止でき、電子錠1に設けられる手動操作用のノブ3を介したサムターン回しを防止できる。
【0070】
また、図17に示すように、ノブ収容部12Dは、ツマミ部3Bが半月形状のノブ3を内部に収容した場合にはノブ3との間の空隙を、第3、第4実施形態のノブ収容部12Bと比較してさらに大きく取れる。このため、第5実施形態の電子錠用カバー10Dは、さらに多くの種類の形状のノブ3を収容できるので、さらに様々なタイプの電子錠1に適用でき、汎用性をさらに向上できる。
【0071】
また、第5実施形態の電子錠用カバー10Dでは、上述のようにノブ収容部12DのうちY方向を向く一対の側面がカバー本体11Dの外枠112の側面部112C、112Dとそれぞれ面一となるよう形成される。この構成により、図15などに示すように、第1実施形態の電子錠用カバー10(図3参照)や、第3実施形態の電子錠用カバー10B(図10参照)と比較して、係止部113、114の切り欠き113A、114Aを長く形成できる。これにより、爪113B、114Bを筐体2の第2側面2C2、2D2に対して撓みやすくできるので、係止部113、114の脱着操作をより容易にできる。
【0072】
[第6実施形態]
図18図19を参照して第6実施形態を説明する。図18は、第6実施形態に係る電子錠用カバー10Eが電子錠1に取り付けられた状態を示す斜視図である。図19は、第6実施形態に係る電子錠用カバー10Eを背面側から視た斜視図である。
【0073】
第6実施形態に係る電子錠用カバー10Eの基本的な構成は第5実施形態と同様である。
【0074】
図18図19に示すように、第6実施形態に係る電子錠用カバー10Eでは、カバー本体11Eは、対向壁111Eとノブ収容部12Eとの境界に傾斜状に形成される傾斜面118を有する。傾斜面118は、Z正方向側に進むほどX負方向側となるよう、つまり、ノブ収容部12Eの端面側に進むほど下方に下がるように形成される。
【0075】
第6実施形態の電子錠用カバー10Eも、上記実施形態と同様に電子錠1への取り付け時に電子錠1のノブ3の全体を覆うことが可能となるので、屋外から電子錠1のノブ3に直接接触することを阻害してノブ3の物理的な回動操作を防止でき、電子錠1に設けられる手動操作用のノブ3を介したサムターン回しを防止できる。
【0076】
また、カバー本体11Eの対向壁111Eとノブ収容部12Eとの境界部分を傾斜面118にすることにより、境界部分に埃が溜まることを抑制でき、利便性を向上できる。
【0077】
[第7実施形態]
図20図22を参照して第7実施形態を説明する。図20は、第7実施形態に係る電子錠用カバー10Fが電子錠1に取り付けられた状態を示す斜視図である。図21は、第7実施形態に係る電子錠用カバー10Fを背面側から視た斜視図である。図22は、第7実施形態におけるノブ収容部12Fへのノブ3の収容状態を示す模式図である。
【0078】
図20に示すように、ノブ収容部12Fは、電子錠1の筐体2の前面2Aの全体を覆うよう形成される。
【0079】
図21に示すように、ノブ収容部12Fは、筐体2の前面2Aと所定間隔を取って対向配置される底面121を有する。底面121は、電子錠1の筐体2の前面2Aとほぼ同形状の略矩形状に形成されている。電子錠用カバー10Fでは、この底面121からZ負方向側に向けて外枠112が設けられる。つまり本実施形態では、ノブ収容部12Fが第1~第6実施形態の「カバー本体」として機能する。
【0080】
ノブ収容部12Fには補強用のリブが設けられる。図21の例では、複数のリブが底面121からZ負方向側に立設して形成されている。また、図21の例では、複数のリブのうちの一部として、底面121の長手方向(X方向)に延在する3個のリブ122A、122B、122Cが設けられる。これらのリブ122A、122B、122Cには、円弧形状のツマミ部3Bの回動が可能となるようにツマミ部3Bの回動範囲に沿って切り欠き123A、123B、123Cが設けられる。
【0081】
図21の例では、リブ122Bが底面121の短手方向(Y方向)の略中央に配置され、リブ121A、121Cはリブ122BからY方向の反対側の略同一距離を取った位置に配置されている。このため、リブ122Bに設けられる切り欠き123Bの深さは、リブ121A、121Cに設けられる切り欠き123A、123Cより大きい。また、リブ121A、121Cに設けられる切り欠き123A、123Cの深さは略同一である。
【0082】
このような切り欠き123A、123B、123Cを設けることにより、図22に示すように、ノブ収容部12Fは、電子錠用カバー10Fが電子錠1に取り付けられたときに、各リブ122A、122B、122Cがノブ3のツマミ部3Bと接触することを回避できるので、ノブ3の回動範囲を干渉せずにノブ3の全体を内部空間に収容することができる。
【0083】
したがって、第7実施形態の電子錠用カバー10Fも、上記実施形態と同様に電子錠1への取り付け時に電子錠1のノブ3の全体を覆うことが可能となるので、屋外から電子錠1のノブ3に直接接触することを阻害してノブ3の回動操作を防止でき、電子錠1に設けられる手動操作用のノブ3を介したサムターン回しを防止できる。
【0084】
なお、第7実施形態のようにノブ収容部12Fの内部空間に複数の補強用のリブ122A、122B、122Cを設け、各リブ122A、122B、122Cにノブ3が回動可能な空間を形成するための切り欠き123A、123B、123Cを設ける構成は、第3、第4実施形態のノブ収容部12B、第5実施形態のノブ収容部12D、第6実施形態のノブ収容部12Eにも適用可能である。
【0085】
また、第7実施形態の電子錠用カバー10Fでは、ノブ収容部12FのうちY方向を向く一対の側面が外枠112の側面部112C、112Dとそれぞれ面一となるよう形成される。この構成により、図20などに示すように、第1実施形態の電子錠用カバー10(図3参照)や、第3実施形態の電子錠用カバー10B(図10参照)と比較して、係止部113、114の切り欠き113A、114Aを長く形成できる。これにより、爪113B、114Bを筐体2の第2側面2C2、2D2に対して撓みやすくできるので、係止部113、114の脱着操作をより容易にできる。
【0086】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【0087】
電子錠用カバーの形状は、上記の第1~第7実施形態のものに限られない。電子錠用カバーは「カバー本体(符号11など)」と「ノブ収容部(符号12など)」とを備え、「カバー本体」は、ノブ3が配置される電子錠1の前面2Aに取り付けられ、前面2Aのうち少なくとも一部を覆うよう形成されるものであり、「ノブ収容部」は、カバー本体の前面2Aと対向する部分に設けられ、ノブ3の回動範囲の少なくとも一部を覆ってノブ3の回動が可能な空間を形成するものであればよい。
【0088】
上記実施形態では、電子錠用カバーを電子錠1に係止するための係止部113、114として、切り欠き113A、114Aと爪113B、114Bとを有する構成を例示したが、少なくとも電子錠用カバーを電子錠1に脱着自在に取り付け可能であれば、係止部113、114の構成は上記実施形態以外のものでもよい。例えば、電子錠用カバー及び電子錠1の一方に磁石を設置して、他方の磁石と対向する位置に金属片を設置して、金属片を磁石にくっつけることによって電子錠用カバーを電子錠1に取り付ける構成などが挙げられる。また、係止部113、114の大きさや配置は、電子錠1の形状に応じて適宜変更してよい。
【符号の説明】
【0089】
1…電子錠、3…ノブ、3B…ツマミ部、4…回転軸、5…サムターンホルダ、6…光源、10、10A、10B、10C、10D、10E、10F…電子錠用カバー、11、11A、11C、11D、11E…カバー本体、12、12B、12D、12E、12F…ノブ収容部、111、111A、111C、111D、111E…対向壁、113、114…係止部、113A、114A…切り欠き、113B、114B…爪、116…開口部、117…段差面、118…傾斜面、122A、122B、122C…リブ、123A、123B、123C…切り欠き、40…扉、41…サムターン
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