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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119769
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】電子部品搬送システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024023397
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】23158086.1
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517438583
【氏名又は名称】ネクスペリア ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ファン デ レイト ヨハネス フベルトゥス アントニウス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッセリン ヤスパー
【テーマコード(参考)】
5F044
【Fターム(参考)】
5F044KK01
5F044KK19
5F044LL01
5F044LL04
5F044PP15
5F044PP16
5F044QQ01
5F044RR12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光源を電子部品の解放及び搬送に使用する電子部品搬送システムを提供する。
【解決手段】システム300は、レーザなどの光源301と、ソース基板を保持し、移動させるソースキャリア302と、ターゲット基板を保持し、移動させるターゲットキャリア303と、ソースキャリア及びターゲットキャリアのうちの少なくとも一方を移動させるために、ソースキャリアを移動させる一次駆動部304A及び/又はターゲットキャリアを移動させる二次駆動部304Bを有する第1の駆動ユニット304と、光源を移動させるため及び/又は光源によって出力された光ビームを移動させるための第2の駆動ユニット305と、を備える。システムはまた、第1、第2の駆動ユニット及び光源を制御するコントローラ306を備え、コントローラは、どの部品をどのターゲット位置にどの順序で配置するかに関する情報を記憶するために使用するメモリ306Aを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源(301;420)と、
複数の部品(321)を備えるソース基板(320;412A、412B)を保持するためのソースキャリア(302;411A、411B)と、
部品を配置する必要がある複数のターゲット位置(341)を備えるターゲット基板(340、403)を保持するためのターゲットキャリア(303、402)と、
前記ソースキャリアおよびターゲットキャリアのうちの少なくとも1つを移動させて、前記ソース基板からの部品を前記ターゲット基板の空のターゲット位置と整列させるための第1の駆動ユニット(304)と、
複数の部品(321)を備える前記ソース基板(320、412A、412B)の表面に平行な平面でx方向およびy方向に沿って、前記光源を移動させるため、および/または前記光源によって出力された光ビームを移動させるための第2の駆動ユニット(305)と、
前記光源および/または前記光源によって出力された前記光ビームを移動させて、前記ソース基板から部品を解放する位置から、前記ソース基板から次の部品を解放する位置に変更するように前記第2の駆動ユニットを制御するように構成されたコントローラ(306)と
を備える、電子部品搬送システム(300、400)。
【請求項2】
前記第2の駆動ユニットが、前記光源を移動させるためのアクチュエータを備える、請求項1に記載の電子部品搬送システム。
【請求項3】
前記第2の駆動ユニットが、前記光源によって出力された前記光ビームを移動させるための可動レンズおよび/またはミラーを有する光指向システムを備える、請求項1または2に記載の電子部品搬送システム。
【請求項4】
前記コントローラが、
前記ソースキャリアおよび前記ターゲットキャリアを相互に移動させて、次の部品を、まだ空である前記ターゲット基板のターゲット位置と整列させるように前記第1の駆動ユニットを制御し、
次の部品を解放するように前記光源を制御する
ように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品搬送システム。
【請求項5】
前記コントローラが、
まだ解放されていない部品の少なくともいくつかについて、その部品を、まだ空である前記ターゲット基板の最も近い利用可能なターゲット位置と整列させるために前記ソースキャリアおよび/またはターゲットキャリアがカバーすべき距離および/または必要とする時間を決定し、
決定された距離および/または時間に基づいて次の部品として少なくともいくつかの部品の中から部品を選択する
ように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の電子部品搬送システム。
【請求項6】
前記光源が部品を解放するためにあるべき第1の位置の配列、前記光源によって出力された前記光ビームが部品を解放すべきである第2の位置の配列、部品が解放されるときにキャリア基板があるべき第3の位置の配列、および/または解放された部品が受け取られるときに前記ターゲット基板があるべき第4の位置の配列を保持するためのメモリであって、前記コントローラが、前記第3の位置の配列および/または前記第4の位置の配列に基づいて前記第1の駆動ユニットを制御するように構成され、前記コントローラが、前記第1の位置の配列および/または前記第2の位置の配列に基づいて前記第2の駆動ユニットを制御するように構成される、メモリ、または
前記ソース基板上の電子部品の識別または位置の配列、および前記ターゲット基板上のターゲット位置の識別または位置の配列を保持するためのメモリであって、前記コントローラが、前記ソース基板上の電子部品の識別または位置の配列、および前記ターゲット基板上のターゲット位置の識別または位置の配列に基づいて前記第1の駆動ユニットおよび前記第2の駆動ユニットを制御するように構成される、メモリをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の電子部品搬送システム。
【請求項7】
前記ソース基板が、半導体ウェハに由来する複数のシンギュレートされた半導体ダイを備える半導体ウェハを備え、前記複数の部品が、前記半導体ウェハに由来する前記複数のシンギュレートされた半導体ダイに対応するか、または
前記ソース基板が、異なる半導体ウェハに由来する複数のシンギュレートされた半導体ダイを備える構造化された半導体ウェハを備え、前記複数の部品が、異なる半導体ウェハに由来する前記複数のシンギュレートされた半導体ダイに対応する、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子部品搬送システム。
【請求項8】
複数の半導体ダイの位置データを含むウェハマップを作製するためのマッピングユニット(430)をさらに備える、請求項7に記載の電子部品搬送システム。
【請求項9】
前記半導体ダイの少なくとも1つの電気的または光学的パラメータを測定するための測定ユニット(430)をさらに備え、前記ウェハマップが、前記半導体ダイおよび/またはこれらの半導体ダイの位置と、前記半導体ダイについての測定された少なくとも1つの電気的または光学的パラメータとの間の関連付けを含む、請求項8に記載の電子部品搬送システム。
【請求項10】
前記半導体ダイが、前記少なくとも1つの電気的または光学的パラメータに基づいてビン(b1~b4)に割り当てられ、前記コントローラが、次の半導体ダイのために意図された前記ターゲット位置に近接して前記ターゲット基板上に以前に配置された半導体ダイのビンを考慮して前記次の半導体ダイを決定するように構成される、請求項9に記載の電子部品搬送システム。
【請求項11】
電子部品が、はんだペースト、接着剤、粘着剤、アンダーフィル材、またはフラックスである、請求項1~6のいずれか一項に記載の電子部品搬送システム。
【請求項12】
前記ソースキャリアおよび前記ターゲットキャリアが、第1の方向および前記第1の方向に垂直な第2の方向に沿って前記第1の駆動ユニットによって互いに対して移動するように構成され、
前記第2の駆動ユニットが、前記第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも1つに沿って前記光源または前記光源によって出力された前記光ビームを移動させるように構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の電子部品搬送システム。
【請求項13】
前記第1の駆動ユニットが、前記第1の方向および/または第2の方向に沿って前記ソースキャリアを移動させるための一次駆動部(304A)と、前記第1の方向および/または第2の方向に沿って前記ターゲットキャリアを移動させるための二次駆動部(304B)とを備え、
前記第1の駆動ユニットおよび前記光源が、好ましくは、ガルバノメータ光スキャナとして具現化され、
前記第1の駆動ユニットが、好ましくは、1つまたは複数のリニアモータ、スピンドル、またはベルトドライブを備える、請求項12に記載の電子部品搬送システム。
【請求項14】
電子部品を搬送するための方法であって、
電子部品がターゲットキャリア上に保持されたターゲット基板上の空のターゲット位置と整列されると、ソースキャリア上に保持されたソース基板上に配置された第1の電子部品を解放するために光源を使用するステップ(S1)と、
前記ソースキャリアおよび前記ターゲットキャリアを相互に移動させて、次に搬送される前記ソース基板上に配置された第2の電子部品を、前記ターゲット基板上のさらなる空のターゲット位置と整列させるステップ(S2)と、
複数の部品(321)を備える前記ソース基板(320、412A、412B)の表面に平行な平面でx方向およびy方向に沿って、前記光源および/または前記光源によって出力された光ビームを移動させて、前記ソース基板から前記第1の電子部品を解放した位置から前記第2の電子部品を解放する位置に変更させるステップ(S3)と、
前記第2の電子部品を解放するために前記光源を使用するステップ(S4)と
を含む、方法。
【請求項15】
まだ解放されていない前記ソース基板上に配置された少なくともいくつかの電子部品について、その電子部品を、まだ空である前記ターゲット基板上の最も近い利用可能なターゲット位置と整列させるために前記ソースキャリアおよび/またはターゲットキャリアがカバーすべき距離および/または必要とする時間を決定するステップと、
決定された距離および/または時間に基づいて前記第2の電子部品として前記少なくともいくつかの電子部品の中から電子部品を選択するステップと
を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の態様は、電子部品搬送システムに関する。本開示のさらなる態様は、電子部品を搬送するための方法に関する。本開示は、特に、光源が電子部品の解放および搬送に使用される電子部品搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーダイ搬送プロセスでは、シンギュレートされた半導体ダイは、半導体ダイがキャリア箔に取り付けられている離型材を、レーザ光を使用してアブレーションすることによりウェハから搬送される。離型材のアブレーションにより、半導体ダイはキャリア箔からターゲット基板に向かって押し出される。同様の搬送プロセスが、はんだペースト、接着剤、または他の相互接続材料を分配するためにも行われる。
【0003】
図1Aおよび図1Bは、それぞれ、構造化されたキャリア基板から個別のはんだペースト容量を解放するための、およびキャリア箔から半導体ダイを解放するための公知のレーザ搬送プロセスを示す。
【0004】
図1Aにおいて、ソース基板120は、はんだペーストが配置される複数のキャビティ122を備える。ソース基板120はソースキャリア(図示せず)上に保持される。レーザ光150を使用して、はんだペースト121はキャビティ122から解放され、ターゲットキャリア(図示せず)上に保持されたターゲット基板140に向かって押し出される。ターゲット基板140上には、はんだペースト121が配置されるべきである複数のターゲット位置141が画定される。図1Aでは、ターゲット位置141に金属パッドが配置されている。
【0005】
図1Bにおいて、ソース基板220は、付着剤223を使用して箔222上に取り付けられたシンギュレートされた半導体ダイ221からなる半導体ウェハの形態である。ソース基板220は、ソースキャリア(図示せず)によって保持される。ターゲット基板240に面する側では、半導体ダイ221に、ターゲット基板240との電気的接続を可能にするための端子224が設けられている。
【0006】
ターゲットキャリア(図示せず)によって保持されるターゲット基板240は、半導体ダイ221が配置されるべき複数のターゲット位置241を備える。これらの位置には、はんだバンプ224を介して半導体ダイ221上の端子224との電気的接触を可能にするための、はんだバンプ242などを備えた1つまたは複数の金属パッドが設けられる。
【0007】
図1Aおよび図1Bに示したプロセスは組み合わせることができることに留意されたい。例えば、図1Aのプロセスは、図1Bのはんだバンプ242を配置するために行うことができる。半導体ダイ221を配置した後、はんだバンプ242が少なくとも部分的に溶融する間にリフロープロセスを使用し、それによって端子224をターゲット基板240上の対応する金属パッドに固定的かつ電気的に接続する。
【0008】
図1Aおよび図1Bに示した公知のプロセスでは、ソース基板120、220およびターゲット基板140、240は、電子部品、すなわち、はんだペースト121または半導体ダイ221を、空のターゲット位置141、241と繰り返し整列させるために相互に移動される。さらに、ターゲット位置141、241および電子部品121、221の両方は、レーザビーム150と整列させる必要がある。この目的のために、公知のレーザ搬送装置は、ソース基板120、220およびターゲット基板140、240がそれぞれ取り付けられたソースキャリアおよびターゲットキャリアを移動させるための駆動ユニットを備える。
【0009】
上記のタイプの搬送装置の重要な性能パラメータは、スループットと称される単位時間当たりに配置される電子部品の数である。この性能パラメータの大部分は、ソース基板120、220およびターゲット基板140、240を加速および移動させることができる速度によって決定される。残念ながら、ソースキャリアとソース基板の組み合わせ、およびターゲットキャリアとターゲット基板の組み合わせに関連する慣性質量は比較的大きい。慣性質量が比較的大きいため、得ることができるスループットが制限される。
【発明の概要】
【0010】
本開示の一態様によれば、スループットが改良された電子部品搬送システムが提供される。本開示の一態様によれば、この目的は、光源と、複数の部品を備えるソース基板を保持するためのソースキャリアと、部品を配置する必要がある複数のターゲット位置を備えるターゲット基板を保持するためのターゲットキャリアとを備える電子部品搬送システムによって達成される。このシステムは、ソースキャリアおよびターゲットキャリアのうちの少なくとも1つを移動させて、ソース基板からの部品をターゲット基板の空のターゲット位置と整列させるための第1の駆動ユニットをさらに備える。
【0011】
複数の部品は、光源からの光を使用して解放することができる。例えば、部品は、粘着剤または他の付着剤によってソース基板またはソースキャリアに取り付けることができる。粘着剤または付着剤の粘着作用または付着作用は、光源からの光を使用して終了させることができる。例えば、粘着剤または付着剤は、その粘着特性または付着特性を失うように光によって加熱することができる。一例として、粘着剤または付着剤を少なくとも部分的にアブレーションさせ、電子部品をソース基板から引き離すことができる。あるいは、粘着剤または付着剤がその粘着特性または付着特性を失うように、光によって化学反応を引き起こすこともできる。
【0012】
ソース基板は、典型的に、ターゲット基板と光源との間に配置される。このため、光が粘着剤に到達するためには、光源によって出力された光に対してソース基板の少なくとも一部が透明である必要がある。
【0013】
本開示の一態様によれば、このシステムは、光源を移動させるため、および/または光源によって出力された光ビームを移動させるための第2の駆動ユニットをさらに備える。このシステムは、光源および/または光源によって出力された光ビームを移動させて、ソース基板から部品を解放する位置から、ソース基板から次の部品を解放する位置に変更するように第2の駆動ユニットを制御するように構成されたコントローラをさらに備える。
【0014】
本出願人は、光源または光源によって出力された光ビームを加速および移動させることに伴う慣性質量が、ソース基板およびターゲット基板を加速および移動させることに伴う慣性質量よりもはるかに小さいことを見出した。これにより、光源からの光ビーム、電子部品、および空のターゲット位置の間の整列をより速く行うことができる。
【0015】
電子部品の搬送は、ソース基板上の電子部品の位置決めに関する位置情報、およびターゲット基板上のターゲット位置に関する位置情報を使用して、部品がソース基板から選択される順序、およびターゲット位置が充填される順序を決定することにより行われる。この順序は、まだ搬送されることが必要な部品をターゲット基板上の空のターゲット位置と整列させるのに必要な時間を最小化することによって決定される。
【0016】
本開示の一態様によれば、部品を解放する際の空間内の位置、例えば、静止フレームに対する位置は、通常、部品ごとに変化する。このような変化は、光源の位置を物理的に変化させることによって実現することができる。そのために、第2の駆動ユニットは、光源を移動させるためのアクチュエータを備えることができる。加えてまたは代替的に、第2の駆動ユニットは、光源によって出力された光ビームを移動させるための可動レンズおよび/またはミラーを有する光指向システムを備えることができる。このような光指向システムは、例えば、MEMS駆動マイクロレンズおよび/またはMEMS駆動マイクロミラーを備えることができる。
【0017】
コントローラは、ソースキャリアおよびターゲットキャリアを相互に移動させて、次の部品を、まだ空であるターゲット基板のターゲット位置と整列させるように第1の駆動ユニットを制御し、次の部品を解放するように光源を制御するように構成される。
【0018】
通常、ターゲット基板上に順次配置される部品は、ソース基板上には隣接して配置されない。ソース基板上のどの部品をターゲット基板上に次に配置するかの決定は、部品と適切な空のターゲット位置との間の近さに基づき得る。例えば、コントローラは、まだ解放されていない部品の少なくともいくつかについて、その部品を、まだ空であるターゲット基板の最も近い利用可能なターゲット位置と整列させるためにソースキャリアおよび/またはターゲットキャリアがカバーすべき距離および/または必要とする時間を決定し、決定された距離および/または時間に基づいて次の部品として少なくともいくつかの部品の中から部品を選択するように構成される。例えば、部品は、部品位置のグリッドによって表すことができる。同様に、空のターゲット位置もグリッドを形成する。ソース基板およびターゲット基板を相互に移動させることにより、グリッドを相互にシフトさせることができる。本開示の一態様によれば、部品を空の位置と整列させるためには、比較的小さなシフトが必要である。このような部品は、通常、最後に配置された部品に隣接していない。したがって、光源によって出力された光ビームは、通常、前の部品が解放された位置とは異なる位置で次の部品を解放しなければならない。しかしながら、光源または光源によって出力された光ビームを移動させることに伴う慣性質量は比較的小さいので、このような移動は、部品が適切な空のターゲット位置に整列するのに必要な時間内に実現することができる。
【0019】
一実施形態では、電子部品搬送システムは、光源が部品を解放するためにあるべき第1の位置の配列を保持するためのメモリを備える。加えてまたは代替的に、メモリは、光源によって出力された光ビームが部品を解放すべきである第2の位置の配列、部品が解放されるときにキャリア基板があるべき第3の位置の配列、および/または解放された部品が受け取られるときにターゲット基板があるべき第4の位置の配列を保持するように構成される。コントローラは、第3の位置の配列および/または第4の位置の配列に基づいて第1の駆動ユニットを制御するように構成され、および/またはコントローラは、第1の位置の配列および/または第2の位置の配列に基づいて第2の駆動ユニットを制御するように構成される。位置データの代わりに、メモリは、ソース基板上の電子部品の識別または位置の配列、およびターゲット基板上のターゲット位置の識別または位置の配列を保持するように構成することができ、コントローラは、ソース基板上の電子部品の識別または位置の配列、およびターゲット基板上のターゲット位置の識別または位置の配列に基づいて第1の駆動ユニットおよび第2の駆動ユニットを制御するように構成される。
【0020】
上記の両方の実施形態では、コントローラは、どの部品をどのターゲット位置に配置するかに関する情報、および部品を搬送する順序に関する情報を受信する。このような情報は、外部ソースから受信することができる。さらに、このような情報は搬送プロセスの前に計算することができる。あるいは、情報はシステム自体の内部で生成される。
【0021】
ソース基板は、前記半導体ウェハに由来する複数のシンギュレートされた半導体ダイを含む半導体ウェハを備えることができる。次いで、搬送される複数の電子部品は、前記半導体ウェハに由来する複数のシンギュレートされた半導体ダイに対応する。あるいは、ソース基板は、異なる半導体ウェハに由来する複数のシンギュレートされた半導体ダイを含む構造化された半導体ウェハを備えることができる。この場合、複数の部品は、異なる半導体ウェハに由来する複数のシンギュレートされた半導体ダイに対応する。
【0022】
電子部品搬送システムは、複数の半導体ダイの位置データを含むウェハマップを作製するためのマッピングユニットをさらに備えることができる。このようなウェハマップは、例えば、複数の座標を備えることができ、各座標または座標のセットは、コントローラが、その座標または座標のセットに関連付けられた部品を選択することを可能にする。
【0023】
電子部品搬送システムは、半導体ダイの少なくとも1つの電気的または光学的パラメータを測定するための測定ユニットをさらに備えることができる。このような場合、ウェハマップは、半導体ダイおよび/またはこれらの半導体ダイの位置と、半導体ダイについて測定された少なくとも1つの電気的または光学的パラメータとの間の関連付けを含むことができる。
【0024】
測定データを含むか、または含まない上述のウェハマップは、コントローラによって、どの部品をターゲット基板のどの場所に選択するかを決定するために使用される。この目的のために、コントローラは典型的に、ターゲット基板上のターゲット位置に関する情報も使用する。さらなる実施形態では、半導体ダイは、少なくとも1つの電気的または光学的パラメータに基づいてビンに割り当てられてもよい。このような割り当ては、コントローラによって実行されてもよいか、またはシステムの外部で実行されてもよい。両方の場合、割り当てはウェハマップに含まれてもよい。
【0025】
コントローラは、次の半導体ダイのために意図されたターゲット位置に近接してターゲット基板上に以前に配置された半導体ダイのビンを考慮して搬送される次の半導体ダイを決定するように構成される。例えば、一実施形態では、多数の同一の半導体ダイをターゲット基板上に配置することが望まれる場合がある。例えば、ターゲット基板はディスプレイパネルを形成する場合がある。均一な外観または性能を得るために、平均未満の性能の半導体ダイを平均を超える性能の半導体ダイの近くに配置するような程度まで、半導体ダイを混合することが好ましい。
【0026】
本開示は、半導体ダイの搬送に限定されない。例えば、本開示の態様は、はんだペースト、接着剤、粘着剤、アンダーフィル材、またはフラックスの搬送にも同様に関連する。
【0027】
ソースキャリアおよびターゲットキャリアは、第1の方向および第1の方向に垂直な第2の方向に沿って第1の駆動ユニットによって互いに対して移動するように構成される。第2の駆動ユニットは、第1の方向および第2の方向のうちの少なくとも1つに沿って光源または光源によって出力された光ビームを移動させるように構成される。
【0028】
典型的に、ソースキャリアおよびターゲットキャリアの各々は、それぞれの平面で移動するように配置され、これらの平面は平行である。光源または光源によって出力された光ビームも、平面で移動するように構成される。この後者の平面は、ソースキャリアおよびターゲットキャリアが移動する平面と平行であることが好ましい。
【0029】
第1の方向がx方向に対応し、第2の方向がy方向に対応すると仮定すると、光源OLS(optical light source)、ソースキャリアSC(source carrie)、およびターゲットキャリアTC(target carrier)がどの方向に沿って移動できるかを示す以下の表を構築することができる。
【0030】
【表1】
【0031】
一実施形態では、第1の駆動ユニットは、第1の方向および/または第2の方向に沿ってソースキャリアを移動させるための一次駆動部と、第1の方向および/または第2の方向に沿ってターゲットキャリアを移動させるための二次駆動部とを備える。
【0032】
第1の駆動ユニットおよび光源は、ガルバノメータ光スキャナとして具現化することができる。第1の駆動ユニット、より詳細には、一次および/または二次駆動部は、1つまたは複数のリニアモータ、スピンドルまたはベルトドライブを備えることができる。
【0033】
さらなる態様によれば、本開示は、電子部品を搬送するための方法であって、電子部品がターゲットキャリア上に保持されたターゲット基板上の空のターゲット位置と整列されると、ソースキャリア上に保持されたソース基板上に配置された第1の電子部品を解放するために光源を使用するステップを含む、方法に関する。この方法は、ソースキャリアおよびターゲットキャリアを相互に移動させて、次に搬送されるソース基板上に配置された第2の電子部品を、ターゲット基板上のさらなる空のターゲット位置と整列させるステップと、光源および/または光源によって出力された光ビームを移動させて、ソース基板から第1の電子部品を解放した位置から第2の電子部品を解放する位置に変更させるステップとをさらに含む。次に、光源は第2の電子部品を解放するために使用される。
【0034】
この方法は、まだ解放されていないソース基板上に配置された電子部品の少なくともいくつかについて、電子部品を、まだ空であるターゲット基板上の最も近い利用可能なターゲット位置と整列させるためにソースキャリアおよび/またはターゲットキャリアがカバーすべき距離および/または必要とする時間を決定するステップと、決定された距離および/または時間に基づいて第2の電子部品として少なくともいくつかの電子部品の中から電子部品を選択するステップとを含むことができる。このような決定は、搬送プロセスの前に行うこともできる。例えば、上述したようなウェハマップを使用して、どの電子部品をどのターゲット位置にどの配列で配置するかを決定することができる。追加的または代替的な実施形態では、まだ利用可能なダイの位置情報を含むウェハマップ、およびまだ利用可能なターゲット位置の位置情報を含む基板マップが、搬送プロセス中に連続的に更新される。例えば、ウェハマップ上の所定のソース位置にある半導体ダイが基板マップ上の所定のターゲット位置に搬送されると、ウェハマップは、前記ソース位置が現在空であることを反映するように更新され、基板マップは、前記ターゲット位置がもはや空ではないことを反映するように更新される。初期基板マップおよびウェハマップは典型的に、搬送プロセスの前に搬送システムに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の特徴を詳細に理解することができるように、より具体的な説明を実施形態を参照して行い、そのいくつかは添付の図面に例示される。しかしながら、添付の図面は、典型的な実施形態のみを例示するものであり、したがって、その範囲を限定するものとみなされるものではないことに留意されたい。図面は本開示の理解を容易にするためのものであり、したがって、必ずしも縮尺通りに描かれていない。特許請求される主題の利点は、添付の図面と併せて本明細書を読めば当業者に明らかになるであろう。図面において、同様の参照番号は同様の要素を示すために使用されている。
【0036】
図1】公知のレーザ搬送プロセスの2つの例を示す。
図2】本開示の態様による搬送システムの一実施形態を示す。
図3】本開示の態様による一般的概念を示す。
図4】半導体ダイのビンへの割り当てを示す。
図5】本開示の態様による搬送システムの一実施形態の上面図を示す。
図6】本開示の態様による電子部品を搬送するための方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図2は、本開示の一態様による搬送システム300の実施形態を示す。システム300は、レーザなどの光源301を備える。システム300は、ソース基板を保持するためのソースキャリア302と、ターゲット基板を保持するためのターゲットキャリア303とをさらに備える。ソースキャリア302は、ソース基板を保持することができ、それによってソース基板を移動させることができる構造を指す。同様に、ターゲットキャリア303は、ターゲット基板を保持することができ、それによってターゲット基板を移動させることができる構造を指す。
【0038】
システム300は、ソースキャリア302およびターゲットキャリア303のうちの少なくとも一方を移動させるための第1の駆動ユニット304と、光源301を移動させるため、および/または光源301によって出力された光ビームを移動させるための第2の駆動ユニット305とを備える。第1の駆動ユニット304は、ソースキャリア302を移動させるための一次駆動部304A、および/またはターゲットキャリア303を移動させるための二次駆動部304Bを備える。
【0039】
システム300はまた、第1の駆動ユニット304、第2の駆動ユニット305、および光源301を制御するように構成されたコントローラ306を備える。コントローラ306はメモリ306Aを備えてもよい。メモリ306Aは、後述するように、どの部品をどのターゲット位置にどの順序で配置するかに関する情報を記憶するために使用することができる。
【0040】
図3は、電子部品搬送システムの一般的概念を示す。図3は、複数のシンギュレートされた半導体ダイ321を備えるウェハ320の形態のソース基板の一部を示す。同じ図において、ターゲット基板上のターゲット位置341のグリッドが示されている。各ターゲット位置341には、ダイパッド342がターゲット基板上に設けられている。図3(左)では、例示目的のために1つのダイパッド342のみが示されていることに留意されたい。ダイパッド342は半導体ダイ321よりも大きく、隣接するダイパッド342間の距離がウェハ320上の隣接する半導体ダイ321間の距離よりも大きいマトリクス状に配置されている。
【0041】
左の図に示すように、また、ハッシュ化された矩形で示すように、左下隅の半導体ダイ321は、ターゲット位置341と整列されている。この位置で、半導体ダイ321は光源からの光350を使用して解放され、対応するターゲット位置341が充填される。中央の図では、これはパターン化された矩形で示されている。
【0042】
次のステップとして、ソース基板320およびターゲット基板を相互に移動させて、次の半導体ダイ321を空のターゲット位置341と整列する。先行技術のシステムでは、次に搬送される部品は、一般に、最後に搬送された部品の隣に配置される部品である。さらに、次の部品を受け取るターゲット位置は、直近の部品を受け取ったターゲット位置に隣接して配置される。先行技術のシステムにおける部品およびターゲット位置のこの配置は、隣接する部品の搬送間の時間を可能な限り短く保つために必要とされる。
【0043】
本開示の一態様によれば、光源が移動される。これにより、ソース基板320を保持するソースキャリアと、ターゲット基板を保持するターゲットキャリアとの間の比較的小さな相互変位で、まだソース基板320上に配置されている半導体ダイ321とターゲット基板上の空のターゲット位置341との間の整列を得ることができる。このような整列は、中央の図のハッシュ化された矩形を使用して示される。半導体ダイ341Bを整列させるためのソースキャリアとターゲットキャリアとの間の相互変位は、先行技術のシステムに必要とされる相互変位よりもはるかに小さいことが確認できる。これらの後者のシステムでは、光源が静止しているため、ソース基板は半導体ダイの幅または長さに対応する距離だけ移動しなければならず、ターゲット基板は隣接するターゲット位置間のピッチに対応する距離だけ移動しなければならない。これらの両方の距離は、一般に、図3の左に示した状態から図3の中央に示した状態に移動するのに必要とされる距離よりもはるかに大きい。
【0044】
光350を使用して半導体ダイ341Bを解放した後、図3の右に示した状態が得られる。
【0045】
図4の左は、抵抗、色温度などの電気的または光学的パラメータPの値の分布を、その値を有する部品の数#の関数として示す。半導体ダイは、ビンb1~b4に割り当てることができ、各ビンは、パラメータPの特定の範囲を有する半導体ダイを示す。
【0046】
図4の右は、半導体ダイ321の性能がソース基板320上にどのように分布するかを模式的に示す。この図では、半導体ダイがそれぞれビンb1~b4に属する4つの領域320A~320Dを識別することができる。ターゲット基板上に配置された最後の半導体ダイは、パターン化された矩形に対応する。この半導体ダイはビンb1に対応する。その半導体ダイの隣にさらに半導体ダイを配置する場合、ビンb1に属する半導体ダイの平均的ではない性能をビンb4に属する半導体ダイの平均的ではない性能で補償できるように、ビンb4の半導体ダイがその近傍に配置されることを確実にすべきである。ターゲット基板上に既に配置されている半導体ダイのビンを考慮することで、次に搬送される部品が、空のターゲット位置との整列に最短時間で到達できる部品ではないことも十分にあり得る。
【0047】
どの部品をどのターゲット位置に配置するかを決定することは、搬送プロセスの前に実行することができる。例えば、ターゲット基板上のターゲット位置に関する情報、および半導体ダイの位置に関する情報を、位置(position)の配列(sequence)を計算するコントローラ306に供給することができる。例えば、コントローラ306は、ソース基板上の半導体ダイの位置の配列を計算することができ、配列は、半導体ダイが搬送されるべき順序を表す。コントローラ306はまた、半導体ダイを配置する必要があるターゲット位置の対応する配列を計算してもよい。これらの位置に基づいて、コントローラ306は、ソースキャリア、ターゲットキャリア、および光源の移動を制御する方法を決定することができる。あるいは、コントローラ306は、ソース基板、ターゲット基板、および光源に必要な変位を計算してもよい。
【0048】
上述の位置データは、搬送システムのメモリ306Aにロードすることができる。あるいは、情報は、搬送プロセス中および/または搬送システム内で計算してもよい。
【0049】
図5は、本開示による搬送システム400の上面図である。示されるように、システム400は、ターゲット基板403を配置することができるターゲットキャリア402を有するガイドユニット401を備える。ガイドユニット401は、ターゲットキャリア402をy方向に移動させることができる。システム400は、ターゲットキャリアをx方向およびy方向に移動させるための二次駆動部をさらに備える。
【0050】
システム400は、2つの位置410A、410Bを有する回転可能なフレーム410を備えるソースユニットをさらに備える。これらの2つの位置には、ソース基板412A、412Bを配置することができるソースキャリア411A、411Bが設けられる。ソースキャリア411A、411Bをx方向およびy方向に移動させるために、別個の一次駆動部が設けられる。
【0051】
フレーム410は、ソース基板412A、412Bの位置を切り替えるために、軸413の周りを回転することができる。
【0052】
システム400は、ソース基板412Bの上方に配置されるレーザ420の形態の光源を備える。第2の駆動部は、レーザ420またはレーザ420によって出力された光ビームをx方向およびy方向に移動させるために使用される。第2の駆動部およびレーザ420は、ガルバノメータ光スキャナとして具現化される。
【0053】
ソース基板が位置410Aに配置されると、それは、電気的または光学的パラメータを測定するため、および/または半導体ウェハの形態であり得るソース基板412Aをマッピングするために使用することができる測定ユニット430によって測定することができる。
【0054】
測定情報はメモリ306Aに送ることができ、この情報は、ガルバノメータ光スキャナ、一次駆動部、および二次駆動部を制御するためにコントローラ306によって使用される。
【0055】
ソース基板412Bが位置410Bに配置されると、それは、搬送プロセス中にx方向およびy方向に移動させることができる。回転可能なフレーム410を用いると、位置410Aに配置された1つのソース基板412A上で測定ユニット430を使用した測定を実行すると同時に、位置410Bに配置された第2の基板412B上で搬送プロセスを実行することが可能である。
【0056】
図6は、本開示の一態様による方法を示す。この方法は、部品がターゲットキャリア上に保持されたターゲット基板上の空のターゲット位置と整列されると、ソースキャリア上に保持されたソース基板上に配置された第1の部品を解放するために光源を使用するステップS1を含む。この方法は、ソースキャリアおよびターゲットキャリアを相互に移動させて、次に搬送されるソース基板上に配置された第2の部品を、ターゲット基板上のさらに空のターゲット位置に整列させるステップS2をさらに含む。次の、前の、または同時のステップS3として、光源および/または光源によって出力された光ビームを移動させて、ソース基板から第1の部品を解放した位置から、第2の部品を解放する位置に変更する。最後に、ステップS4の間、光源が第2の部品を解放するために使用される。
【0057】
本開示の範囲は、明示的または黙示的に本明細書に開示されたいずれかの新規の特徴または特徴の組み合わせ、またはいずれかのその一般化を、それが特許請求される本発明に関連するか否かにかかわらず、または本発明によって対処される問題のいずれかまたは全てに対して軽減されるか否かにかかわらず含む。本出願人は、本出願または本出願から派生するいずれかのこのようなさらなる出願の審査中に、このような特徴に対して新たな請求項を策定することができることをここに通知する。特に、添付の特許請求の範囲を参照して、従属請求項の特徴を独立請求項の特徴と組み合わせることができ、それぞれの独立請求項の特徴は、特許請求の範囲に列挙された特定の組み合わせに限らず、いずれかの適切な方法で組み合わせることができる。
【0058】
別個の実施形態の文脈で説明される特徴も、単一の実施形態において組み合わせて提供することができる。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載される様々な特徴も、別個に、または任意の適切な下位の組み合わせで提供することができる。
【0059】
用語「含む」は、他の要素またはステップを排除するものではなく、用語「1つの(a)」または「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特許請求の範囲における参照符号は、特許請求の範囲を限定するものと解釈するべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】