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特開2024-119772維持回路、メモリ回路及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119772
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】維持回路、メモリ回路及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/78 20060101AFI20240827BHJP
   H03K 3/42 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
H03K17/78 G
H03K17/78 K
H03K3/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024166
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2023026556
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519310193
【氏名又は名称】株式会社GSEC
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 義亮
(72)【発明者】
【氏名】竹之上 典昭
【テーマコード(参考)】
5J050
【Fターム(参考)】
5J050BB21
5J050FF04
5J050FF08
(57)【要約】
【課題】フォトリレーを用いたメモリ回路などを提供すること。
【解決手段】 メモリ回路30は、フォトリレー1aと、フォトリレー1aの入力側の入力端子2に当該フォトリレー1aの発光部10を発光させる電源Eを供給するためのセット・スイッチSWと、フォトリレー1aの出力側の出力端子5に接続された出力端子OUTと、セット・スイッチSWによりフォトリレー1aの入力側に電源Eを供給してフォトリレー1aの発光部を発光させたときに当該フォトリレー1aの出力側に供給されている電源Eによってフォトリレー1aの発光部の発光を維持する維持回路とを具備する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトリレーの入力側に当該フォトリレーの発光部を発光させる電源を供給して当該フォトリレーの出力側で前記電源の導通・非導通を切換えるように構成し、前記フォトリレーの発光部を発光させたときに当該フォトリレーの出力側に供給されている前記電源によって前記フォトリレーの発光部の発光を維持する維持回路。
【請求項2】
フォトリレーと、
前記フォトリレーの入力側に当該フォトリレーの発光部を発光させる電源を供給して当該フォトリレーの出力側で前記電源の導通・非導通を切換えるためのセット・スイッチと、
前記フォトリレーの出力側にある出力端子と、
前記セット・スイッチにより前記フォトリレーの入力側に前記電源を供給して前記フォトリレーの発光部を発光させたときに当該フォトリレーの出力側に供給されている前記電源によって前記フォトリレーの発光部の発光を維持する維持回路と
を具備するメモリ回路。
【請求項3】
請求項2に記載のメモリ回路であって、
前記フォトリレーは、通常は開のaタイプのフォトリレーであり、
前記出力端子は、前記フォトリレーの出力側の2つの端子間を介して前記電源に接続され、
前記維持回路は、前記フォトリレーの入力側の電源側端子に、前記フォトリレーの出力側の2つの端子間を介して前記電源を接続するものである
メモリ回路。
【請求項4】
請求項3に記載のメモリ回路であって、
前記維持回路は、前記電源と前記セット・スイッチと前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿された第1の抵抗器と、前記電源と前記フォトリレーの出力側の2つの端子間と前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿され、前記第1の抵抗器と抵抗値が同等の第2の抵抗器を含む
メモリ回路。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のメモリ回路であって、
前記フォトリレーの入力側の電源側端子に前記発光部を非発光とする電圧を印加又は電流を流すためのリセット・スイッチ
を更に具備するメモリ回路。
【請求項6】
請求項2に記載のメモリ回路であって、
前記フォトリレーは、通常は閉のbタイプのフォトリレーであり、
前記出力端子は、前記フォトリレーの出力側の電源側端子に接続され、
前記維持回路は、前記フォトリレーの入力側の電源側端子に、前記電源を接続するものである
メモリ回路。
【請求項7】
請求項6に記載のメモリ回路であって、
前記維持回路は、前記電源と前記セット・スイッチと前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿された第3の抵抗器と、前記電源と前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿され、前記第3の抵抗器と抵抗値が同等の第4の抵抗器を含む
メモリ回路。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のメモリ回路であって、
前記フォトリレーの入力側の電源側端子に前記発光部を非発光とする電圧を印加又は電流を流すためのリセット・スイッチ
を更に具備するメモリ回路。
【請求項9】
請求項2から請求項8のうちいずれか1項に記載のメモリ回路の構成を有する第1のメモリ回路と、
請求項2から請求項8のうちいずれか1項に記載のメモリ回路の構成を有する第2のメモリ回路と
を具備するメモリ回路。
【請求項10】
請求項9に記載のメモリ回路であって、
前記第1のメモリ回路を構成する前記電源と前記第2のメモリ回路を構成する前記電源とを共有の電源とし、フリップ・フロップ回路と同等の機能を有するメモリ回路。
【請求項11】
第1のフォトリレー及び第2のフォトリレーと、
前記第1のフォトリレーの入力側にあり、当該第1のフォトリレーの発光部を発光させる第1の電源からの電源を供給するための第1のスイッチと、
前記第2のフォトリレーの入力側にあり、当該第2のフォトリレーの発光部を発光させる第2の電源からの電源を供給するための第2のスイッチと、
前記第1のフォトリレーの出力側にあり、前記第1のフォトリレーの出力側の切り替えにより前記第2の電源からの電源の供給が切り替えられる第1の出力端子と、
前記第2のフォトリレーの出力側にあり、前記第2のフォトリレーの出力側の切り替えにより前記第1の電源からの電源の供給が切り替えられる第2の出力端子と、
前記第1のスイッチにより前記第1のフォトリレーの入力側に前記第1の電源を供給して前記第1のフォトリレーの発光部を発光させたときに当該第1のフォトリレーの出力側に供給されている前記第1の電源によって前記第1のフォトリレーの発光部の発光を維持する第1の維持回路と、
前記第2のスイッチにより前記第2のフォトリレーの入力側に前記第2の電源を供給して前記第2のフォトリレーの発光部を発光させたときに当該第2のフォトリレーの出力側に供給されている前記第2の電源によって前記第2のフォトリレーの発光部の発光を維持する第2の維持回路と
を具備するメモリ回路。
【請求項12】
請求項11に記載のメモリ回路を用い、
前記第1のスイッチ及び前記第2の出力端子を少なくとも有する第1の通信端末と、
伝送路を介して前記第1の通信端末と接続され、前記第2のスイッチ及び前記第1の出力端子を少なくとも有する第2の通信端末と
を有する通信システム。
【請求項13】
請求項12に記載の通信システムであって、
前記第1の通信端末及び前記第2の通信端末は、それぞれ、符号化のビット数に応じた数の独立した前記第1のスイッチ及び前記第2の出力端子、並びに前記第2のスイッチ及び前記第1の出力端子を有する通信システム。
【請求項14】
通常は開のaタイプの第1のフォトリレーと、
通常は閉のbタイプの第2のフォトリレーと、
前記第1のフォトリレーの入力側にあり、当該フォトリレーの発光部を発光させる第1の電源からの電源を供給するためのセット・スイッチと、
前記第1のフォトリレーの出力側にあり、当該フォトリレーの出力側の切り替えにより前記第2の電源からの電源の供給が切り替えられる第1の出力端子と、
前記第2のフォトリレーの出力側にあり、当該フォトリレーの出力側の切り替えにより前記第1の電源からの電源の供給が切り替えられる第2の出力端子と、
前記セット・スイッチにより前記第1のフォトリレーの入力側に前記第1の電源を供給して前記第1のフォトリレーの発光部を発光させたときに当該第1のフォトリレーの出力側に供給されている前記第2の電源によって前記第2のフォトリレーを介して前記第1のフォトリレーの発光部の発光を維持する維持回路と、
前記第2のフォトリレーの入力側にあり、当該フォトリレーの発光部を発光させる第2の電源からの電源の供給を断とし、前記第2のフォトリレーを介して前記第1のフォトリレーの発光部を非発光とするためのリセット・スイッチと
を具備するメモリ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトリレーを用いた維持回路、メモリ回路及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道信号制御には、電磁リレーが用いられている。電磁リレーは大きなノイズや外来サージの多発する環境下でも安定し、安全性を確保した動作が期待できる(非特許文献1参照)が、よりコンパクトで省電力化が可能なフォトリレーを鉄道信号制御に用いることが検討されている(特許文献1参照)。この種の制御にフォトリレーを採用する場合には、電磁リレーと同等の安全性を確保することが要求される。本発明者等は、電磁リレーと同等の安全性を確保しつつ、よりコンパクトで省電力化が可能なフォトリレーを用いたリレー回路及びリレー回路を用いて論理回路を構成する方法を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-98081号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】https://www.signal.co.jp/products/railway/faq/faq09/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、電磁リレー回路ばかりでなくフォトリレーを用いた電子回路として、フォトリレーをその特性を生かし他の電子回路にも採用できないかを鋭利検討し、本発明を創案するに至った。すなわち、本発明は、フォトリレーを用いた維持回路、メモリ回路及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る維持回路は、フォトリレーの入力側に当該フォトリレーの発光部を発光させる電源を供給して当該フォトリレーの出力側で前記電源の導通・非導通を切換えるように構成し、前記フォトリレーの発光部を発光させたときに当該フォトリレーの出力側に供給されている前記電源によって前記フォトリレーの発光部の発光を維持する。
【0007】
本発明に係る維持回路では、フォトリレーの出力側の導通・非導通の状態を当該フォトリレーの当該状態によって維持することができる。これにより、例えばメモリ回路を実現することができる。
【0008】
本発明に係る維持回路は、フォトリレーがaタイプの場合には、フォトリレーの入力側に当該フォトリレーの発光部を発光させる電源を供給して当該フォトリレーの出力側で前記電源の導通・非導通を切換えるように構成し、前記フォトリレーの発光部を発光させたときに当該フォトリレーの出力側を介して当該フォトリレーの出力側の一端に供給されている前記電源によって前記フォトリレーの発光部の発光を維持する。
【0009】
本発明に係る維持回路は、フォトリレーがbタイプの場合には、フォトリレーの入力側に当該フォトリレーの発光部を発光させる電源を供給して当該フォトリレーの出力側で前記電源の導通・非導通を切換えるように構成し、前記フォトリレーの発光部を発光させたときに当該フォトリレーの出力側の電源供給側の一端に供給されている前記電源によって前記フォトリレーの発光部の発光を維持する。
【0010】
以下の発明は、かかる維持回路を用いたメモリ回路や通信システムである。
【0011】
本発明に係るメモリ回路は、フォトリレーと、前記フォトリレーの入力側に当該フォトリレーの発光部を発光させる電源を供給して当該フォトリレーの出力側で前記電源の導通・非導通を切換えるためのセット・スイッチと、前記フォトリレーの出力側にある出力端子と、前記セット・スイッチにより前記フォトリレーの入力側に前記電源を供給して前記フォトリレーの発光部を発光させたときに当該フォトリレーの出力側に供給されている前記電源によって前記フォトリレーの発光部の発光を維持する維持回路とを具備する。
【0012】
本発明に係るメモリ回路は、フォトリレーと、前記フォトリレーの入力側に当該フォトリレーの発光部を発光させる電源を供給するためのセット・スイッチと、前記フォトリレーの出力側にある出力端子と、前記セット・スイッチにより前記フォトリレーの入力側に前記電源が供給されたとき、前記フォトリレーの出力側の切り替えによって前記セット・スイッチを介することなく前記フォトリレーの入力側への前記電源の供給を維持するための維持回路とを具備する。
【0013】
本発明により、フォトリレーを用いたメモリ回路が実現できる。「フォトリレーの出力側の切り替え」とは、例えばフォトリレーの出力側の2つの出力端子間が非導通から導通、或いは導通から非導通に切り替わることである。本発明では、維持回路によりセット・スイッチを介することなくフォトリレーの入力側への電源の供給が維持されるので、メモリ機能を実現することができる。本発明に係るメモリ回路は、電源を内蔵してもよいし、外部から電源を供給するものであってもよい。
【0014】
本発明に係るメモリ回路では、前記フォトリレーは、通常は開のaタイプのフォトリレーであり、前記出力端子は、前記フォトリレーの出力側の2つの端子間を介して前記電源に接続され、前記維持回路は、前記フォトリレーの入力側の電源側端子に、前記フォトリレーの出力側の2つの端子間を介して前記電源を接続するものであるように構成してもよい。
【0015】
その場合に、前記維持回路は、前記電源と前記セット・スイッチと前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿された第1の抵抗器と、前記電源と前記フォトリレーの出力側の2つの端子間と前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿され、前記第1の抵抗器と抵抗値が同等の第2の抵抗器を含むように構成してもよい。
【0016】
前記フォトリレーの入力側の電源側端子に前記発光部を非発光とする電圧を印加又は電流を流すためのリセット・スイッチを更に具備するように構成してもよい。
【0017】
本発明に係るメモリ回路では、前記フォトリレーは、通常は閉のbタイプのフォトリレーであり、前記出力端子は、前記フォトリレーの出力側の電源側端子に接続され、前記維持回路は、前記フォトリレーの入力側の電源側端子に、前記電源を接続するものであるように構成してもよい。
【0018】
その場合に、前記維持回路は、前記電源と前記セット・スイッチと前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿された第3の抵抗器と、前記電源と前記フォトリレーの入力側の電源側端子との間に介挿され、前記第3の抵抗器と抵抗値が同等の第4の抵抗器を含むように構成してもよい。
【0019】
前記フォトリレーの入力側の電源側端子に前記発光部を非発光とする電圧を印加又は電流を流すためのリセット・スイッチを更に具備するように構成してもよい。
【0020】
本発明に係るメモリ回路は、上記の通常は開のaタイプのフォトリレー又は通常は閉のbタイプのフォトリレーによるメモリ回路の構成を有する第1のメモリ回路と、同様に上記の通常は開のaタイプのフォトリレー又は通常は閉のbタイプのフォトリレーによるメモリ回路の構成を有する第2のメモリ回路とを具備する。つまり、当該メモリ回路は、第1及び第2のメモリ回路がaタイプのフォトリレーを有する場合、第1及び第2のメモリ回路がbタイプのフォトリレーを有する場合、或いは第1のメモリ回路がaタイプのフォトリレーを有し第2のメモリ回路がbタイプのフォトリレーを有する場合がある。また、この場合に、前記第1のメモリ回路を構成する前記電源と前記第2のメモリ回路を構成する前記電源とを共有の電源とし、フリップ・フロップ回路と同等の機能を有するように構成してもよい。
【0021】
本発明に係るメモリ回路は、第1のフォトリレー及び第2のフォトリレーと、前記第1のフォトリレーの入力側にあり、当該第1のフォトリレーの発光部を発光させる第1の電源からの電源を供給するための第1のスイッチと、前記第2のフォトリレーの入力側にあり、当該第2のフォトリレーの発光部を発光させる第2の電源からの電源を供給するための第2のスイッチと、前記第1のフォトリレーの出力側にあり、前記第1のフォトリレーの出力側の切り替えにより前記第2の電源からの電源の供給が切り替えられる第1の出力端子と、前記第2のフォトリレーの出力側にあり、前記第2のフォトリレーの出力側の切り替えにより前記第1の電源からの電源の供給が切り替えられる第2の出力端子と、前記第1のスイッチにより前記第1のフォトリレーの入力側に前記第1の電源を供給して前記第1のフォトリレーの発光部を発光させたときに当該第1のフォトリレーの出力側に供給されている前記第1の電源によって前記第1のフォトリレーの発光部の発光を維持する第1の維持回路と、前記第2のスイッチにより前記第2のフォトリレーの入力側に前記第2の電源を供給して前記第2のフォトリレーの発光部を発光させたときに当該第2のフォトリレーの出力側に供給されている前記第2の電源によって前記第2のフォトリレーの発光部の発光を維持する第2の維持回路とを具備する。
【0022】
本発明により、階層化し安全性を確保したメモリ機能を有するメモリ回路が実現できる。
【0023】
本発明に係る通信システムは、上記のメモリ回路を用い、前記第1のスイッチ及び前記第2の出力端子を少なくとも有する第1の通信端末と、伝送路を介して前記第1の通信端末と接続され、前記第2のスイッチ及び前記第1の出力端子を少なくとも有する第2の通信端末とを有する。
【0024】
上記の階層化されたメモリ回路の構成うち、前記第1のセット・スイッチ、前記第2の出力端子、前記第2のセット・スイッチ及び前記第1の出力端子以外の構成は、第1の通信端末又は第2の通信端末が有していればよく、或いは第1の通信端末と第2の通信端末との間の伝送路上のどこかに別途配置するように構成してもよい。
【0025】
ここで、前記第1の通信端末及び前記第2の通信端末は、それぞれ、符号化のビット数に応じた数の独立した前記第1のスイッチ及び前記第2の出力端子、並びに前記第2のスイッチ及び前記第1の出力端子を有するものであってもよい。
【0026】
これにより、第1の通信端末と第2の通信端末との間でパラレル伝送ができる。
【0027】
本発明に係るメモリ回路は、通常は開のaタイプの第1のフォトリレーと、通常は閉のbタイプの第2のフォトリレーと、前記第1のフォトリレーの入力側にあり、当該フォトリレーの発光部を発光させる第1の電源からの電源を供給するためのセット・スイッチと、前記第1のフォトリレーの出力側にあり、当該フォトリレーの出力側の切り替えにより前記第2の電源からの電源の供給が切り替えられる第1の出力端子と、前記第2のフォトリレーの出力側にあり、当該フォトリレーの出力側の切り替えにより前記第1の電源からの電源の供給が切り替えられる第2の出力端子と、前記セット・スイッチにより前記第1のフォトリレーの入力側に前記第1の電源を供給して前記第1のフォトリレーの発光部を発光させたときに当該第1のフォトリレーの出力側に供給されている前記第2の電源によって前記第2のフォトリレーを介して前記第1のフォトリレーの発光部の発光を維持する維持回路と、前記第2のフォトリレーの入力側にあり、当該フォトリレーの発光部を発光させる第2の電源からの電源の供給を断とし、前記第2のフォトリレーを介して前記第1のフォトリレーの発光部を非発光とするためのリセット・スイッチとを具備する。
【0028】
本発明により、電気的に絶縁された2つの出力を有するメモリ回路を実現できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、少なくとも1つのフォトリレー、すなわち少なくとも1つの「能動素子であるリレー」でメモリ回路が実現できる。また、少なくとも2つのフォトリレー、すなわち少なくとも2つの「能動素子であるリレー」で階層化メモリ機能を有するメモリ回路や通信システムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の各実施形態で用いられるフォトリレーの内部構造を示す図である。
図2】aタイプ及びbタイプのフォトリレーの記号図である。
図3】本発明の一実施形態に係るaタイプのフォトリレーを1つ用いたメモリ回路の回路図であり、セット・スイッチとリセット・スイッチをオフの状態を示している。
図4】本発明の一実施形態に係るaタイプのフォトリレーを1つ用いたメモリ回路の回路図であり、セット・スイッチをオンの状態を示している。
図5】本発明の一実施形態に係るbタイプのフォトリレーを1つ用いたメモリ回路の回路図であり、セット・スイッチとリセット・スイッチをオフの状態を示している。
図6】本発明の一実施形態に係るbタイプのフォトリレーを1つ用いたメモリ回路の回路図であり、セット・スイッチをオンの状態を示している。
図7】本発明の一実施形態に係るaタイプのフォトリレーを2つ用いて階層化メモリ構造としたメモリ回路の回路図である。
図8】本発明の一実施形態に係るbタイプのフォトリレーを2つ用いて階層化メモリ構造としたメモリ回路の回路図である。
図9】本発明の一実施形態に係るaタイプのフォトリレーとbタイプのフォトリレーを用いたメモリ回路の回路図である。
図10】本発明の一実施形態に係る通信システムの構成示す回路図である。
図11】本発明の別の実施形態に係る通信システムの構成示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明は以下の実施形態によって限定的に解釈されるものではない。
【0032】
図1は、本発明の各実施形態で用いられるフォトリレーの内部構造を示す図である。同図左側はこのフォトリレーを構成するデバイスを示しており、同図右側はこのデバイスに対応する回路を示している。
【0033】
同図に示すフォトリレー1は、発光部を有する発光LED10と、受光部21及び増幅部22を有する受光増幅デバイス20とを有する。フォトリレー1は、入力端子2、3及び出力端子4、5を有する。発光LED10は、入力端子2、3に接続され、受光増幅デバイス20は、出力端子4、5に接続されている。
【0034】
図2は、本発明の各実施形態で用いられるフォトリレーの記号図を示している。同図左側に示すものは通常は開(open)のaタイプのフォトリレーであり、同図右側に示すものは通常は閉(close)のbタイプのフォトリレーである。ここで、「通常」とはトリガー電流がない場合である。以下の実施形態においては、aタイプのフォトリレーの符号を「1a」とし、bタイプのフォトリレーの符号を「1b」とする。
≪単独のフォトリレーによるメモリ機能について≫
【0035】
(aタイプのフォトリレーによる単独メモリ機能)
図3及び図4は、aタイプのフォトリレー1aを用いたメモリ回路の構成を示す回路図である。図3は、フォトリレー1aの発光LED10が非発光(フォトリレー1aが「断」)の状態を示しており、図4は、フォトリレー1aの発光LED10が発光(フォトリレー1aが「接」)の状態を示している。
【0036】
図3及び図4に示すメモリ回路30は、フォトリレー1aと、フォトリレー1aの入力側の入力端子2に当該フォトリレー1aの発光部10を発光させる電源Eを供給するためのセット・スイッチSWと、フォトリレー1aの出力側の出力端子5に接続された出力端子OUTと、セット・スイッチSWによりフォトリレー1aの入力側の入力端子2に電源Eが供給されたとき、フォトリレー1aの出力側の出力端子4、5の出力の切り替えによってセット・スイッチSWを介することなくフォトリレー1aの入力側の入力端子2への電源Eの供給を維持するための維持回路(抵抗器R、R及びこれらを含む線路)とを具備する。別言すると、維持回路は、セット・スイッチSWによりフォトリレー1aの入力側に電源Eを供給してフォトリレー1aの発光部を発光させたときに当該フォトリレー1aの出力側に供給されている電源Eによってフォトリレー1aの発光部の発光を維持するものである。
【0037】
このメモリ回路30では、フォトリレー1aの出力端子4は例えば5Vの直流の電源Eに接続され、フォトリレー1aの出力端子5は抵抗器Rを介して接地されている。フォトリレー1aの入力端子2は抵抗器R及びセット・スイッチSWを介して電源Eに接続されるとともに抵抗器R及びリセット・スイッチSWを介して接地されている。フォトリレー1aの入力端子3は接地されている。フォトリレー1aの入力端子2は、抵抗器Rを介してフォトリレー1aの出力端子5に接続されている。このメモリ回路30の出力端子OUTは、フォトリレー1aの出力端子5側にある。
【0038】
製造会社から提供されるフォトリレーの資料を基にするとフォトリレー1aの発光LED10における非発光時の内部抵抗値をほぼ無限大、発光時の内部抵抗値をほぼ0、受光増幅デバイス20の非導通時の内部抵抗値をほぼ無限大、導通時の内部抵抗値をほぼ0とすることができる。各抵抗器R、R、Rの抵抗値をそれぞれの抵抗器の符号と同じものとし、電源Eの電圧も符号と同じものとする。ここで、一例として、E=5Vのとき、R=R=2KΩ、R、R=220Ω程度とした。フォトリレー1aのしきい値電圧をVon、しきい値電流をIonとする。以上の条件については、後述するフォトリレー1bの場合も同様である。また、後述する階層化メモリ機能のメモリ回路の場合も同様である。
【0039】
図3及び図4に示した回路おいて、発光LED10が発光するためには、以下の条件を満たす必要がある。
【0040】
図4においてSWをオン(閉)にすると電源電圧Eの電圧が発光LED10の端子2に印加されて
E/R>Ion
となって受光増幅デバイス20は発光LED10が発光すると、その光エネルギを受光し、その電力により受光増幅デバイスの導通時の内部抵抗値はほぼ0となる。この抵抗値はたかだか数mΩ程度であり、数アンペアの電流を流すことができる受光増幅デバイス20として数十mΩのaタイプのフォトリレーがすでに市販されている。
【0041】
図3及び図4に示した回路は上記の条件を満たしているものとする。
【0042】
リセット・スイッチSWをオン(閉)からオフ(開)とした状態(リセット状態)の図3に示したメモリ回路30においてはフォトリレー1aの発光LED10は非発光のままで、出力端子OUTの出力は抵抗器Rを通じて接地電圧(0V)である。
【0043】
図4に示したようにセット・スイッチSWのオンにより抵抗器Rによってフォトリレー1aにそのしきい値(Von、Ion)を越える電圧と電流を加えて発光LED10を発光させると、抵抗器Rのフォトリレー1aに接続されている端子には電圧が発生する。
【0044】
セット・スイッチSWをオフ(開)として抵抗器Rを切り離してもこれと同等の抵抗値の抵抗器Rにより発光LED10に同等の電気エネルギを供給でき、フォトリレー1aの出力側の受光増幅デバイス20は導通状態となって内部抵抗値はほぼ0により電源Eに接続されるので、メモリ機能を維持できる。ここにaタイプのメモリ機能を利用する場合は過大な電流負荷によりフォトリレー1aに損傷が生じないように抵抗器Rの抵抗値を設定しておくことが必要である。
【0045】
メモリ機能のリセットはリセット・スイッチSWをオン(閉)とし、次式による発光LED10に印加している電圧をしきい値以下にすることで実行できる。しきい値以下の電圧をVoffとする。
【0046】
off>E・R/(R+R
offはR>>Rと設定すればよいことがいえる。特に支障が生じなければRについては0Ωであってもよい。
【0047】
本発明者らはリセット・スイッチSWをリセットしない限り、Rの負荷の抵抗器を取り去って開放状態にしてもメモリ機能が持続することを確認している。
【0048】
本実施形態に係るメモリ回路30は、1つのフォトリレー、すなわち1つの「能動素子であるリレー」でメモリ回路が構成できる。
【0049】
加えて、本実施形態に係るメモリ回路30の出力端子OUTより電源Eの電源電圧をほぼそのまま出力できる。この点で後述するbタイプのフォトリレー1bを用いたメモリ回路と比べて優れている。
【0050】
(bタイプのフォトリレーによる単独メモリ機能)
図5及び図6は、bタイプのフォトリレー1bを用いたメモリ回路の構成を示す回路図である。図5は、フォトリレー1bの発光LED10が非発光(フォトリレー1bが「接」)の状態を示しており、図6は、フォトリレー1bの発光LED10が発光(フォトリレー1bが「断」)の状態を示している。
【0051】
図5及び図6に示すメモリ回路40では、フォトリレー1bの出力端子4は抵抗器Rを介して電源Eに接続され、フォトリレー1bの出力端子5は接地されている。フォトリレー1bの入力端子2は抵抗器R及びセット・スイッチSWを介して電源Eに接続されるとともに抵抗器Rを介してフォトリレー1bの出力端子4に接続され、かつ、抵抗器R及びリセット・スイッチSWを介して接地されている。フォトリレー1bの入力端子3は接地されている。このメモリ回路40の出力端子OUTは、フォトリレー1bの出力端子4側にある。
【0052】
本実施形態に係るメモリ回路40も、セット・スイッチSWによりフォトリレー1bの入力側に電源Eを供給してフォトリレー1aの発光部を発光させたときに当該フォトリレー1bの出力側に供給されている電源Eによってフォトリレー1bの発光部の発光を維持する維持回路を有する。
【0053】
図5及び図6に示した回路おいて、発光LED10が発光するためには、以下の条件を満たす必要がある。bタイプのフォトリレー1bは発光LED10が発光していない場合、出力側の受光増幅デバイス20は導通状態となっているのでその内部抵抗値はほぼ0とみなすことができるので電位はほぼ接地電圧の0Vである。
【0054】
リセット・スイッチSWをオン(閉)からオフ(開)とした状態(リセット状態)の図5に示したメモリ回路40においてはフォトリレー1bの発光LED10は非発光のままで、フォトリレー1bの出力側の受光増幅デバイス20は導通状態で出力端子OUTの出力は接地電圧(0V)である。
【0055】
outを0Vとみなしてセット・スイッチSWのオン(閉)により抵抗器Rによってフォトリレー1bのしきい値を越える次の条件の電圧はほぼEと次の条件を満たすと電流を加えると入力側の発光LED10が発光する。
【0056】
(E-Von)・(R+R+R)/(R・(R+R))>Ion
図6に示したようにセット・スイッチSWのオンによりフォトリレー1bの入力側の発光LED10が発光すると、フォトリレー1bの出力側の受光増幅デバイス20は非導通で内部抵抗値が無限大となり、負荷抵抗器Rと直列に接続された抵抗器Rによって発光LED10の発光を維持させてメモリ機能が持続する。出力端子OUTの出力は抵抗器Rと抵抗器Rを通じて電源Eよりしきい値以上の電圧が供給される。この状態でセット・スイッチSWのオフとしても発光LED10の発光が維持されてメモリ機能が持続し、出力端子OUTの出力は抵抗器Rと抵抗器Rを通じて電源Eよりしきい値以上の電圧が供給される。過大な電流が抵抗器Rに流れて前記の条件式が成立しない場合、メモリ機能はリセットされる。
【0057】
メモリ機能のリセットは、リセット・スイッチSWのオン(閉)により抵抗器Rの抵抗値が抵抗器Rと相まってフォトリレー1bの発光LED10のしきい値電圧以下の電圧となるように設定すれば、フォトリレー1bの発光LED10は非発光となってフォトリレー1bの出力増幅デバイス20は導通状態となりメモリ状態はリセットされる。bタイプのフォトリレー1bのメモリ機能は抵抗器Rの過大な電流より電圧が低下する状態になるとメモリ機能はリセットされる。
【0058】
本実施形態に係るメモリ回路40も、1つのフォトリレー、すなわち1つの「能動素子であるリレー」でメモリ回路が構成できる。
【0059】
以上の本実施形態に係るaタイプやbタイプのフォトリレーを使ったメモリ機能は一般の単独の半導体素子では実現できず、フォトリレーを使うことで初めて実現できる。また単独のフォトリレーのいずれかの構成素子の故障やフォトリレーの受光増幅デバイスと発光LEDの故障もその故障によりメモリ機能が喪失するので、故障有無の診断はメモリ機能が正常動作するかどうかで確認できる。
≪フォトリレーによる階層化メモリ機能≫
フォトリレーは入力側と出力側は光学的に結合されて相互間で電気的に高い絶縁性がある。以下の実施形態では、これを利用した階層化メモリ機能を有するメモリ回路を説明する。
【0060】
(aタイプのフォトリレーによる階層化メモリ機能)
図7は、2つのaタイプの第1及び第2のフォトリレー1a、1aを用いたメモリ回路の構成を示す回路図である。
【0061】
図7に示すメモリ回路50は、第1のフォトリレー1a及び第2のフォトリレー1aと、第1のフォトリレー1aの入力側にあり、当該第1のフォトリレー1aの発光部10を発光させる第1の電源Eからの電源を供給するための第1のセット・スイッチSWと、第2のフォトリレー1aの入力側にあり、当該第2のフォトリレー1aの発光部10を発光させる第2の電源Eからの電源を供給するための第2のセット・スイッチSWと、第1のフォトリレー1aの出力側にあり、第1のフォトリレー1aの出力側の切り替えにより第2の電源Eからの電源の供給が切り替えられる第1の出力端子OUTと、第2のフォトリレー1aの出力側にあり、第2のフォトリレー1aの出力側の切り替えにより第1の電源Eからの電源の供給が切り替えられる第2の出力端子OUTとを具備する。
【0062】
図7に示すメモリ回路50は、図7中の中央のaタイプの第1及び第2のフォトリレー1a、1aを挟んで2つの電気的に絶縁された図中左側の第1回路50a及び図中右側の第2回路50bを有する。
【0063】
第1回路50aでは、第1のフォトリレー1aの入力端子2は第1のセット・スイッチSW及び抵抗器Rを介して例えば5Vの直流の第1の電源Eに接続され、第1のフォトリレー1aの入力端子3は接地されている。第2のフォトリレー1aの出力端子4は抵抗器Rを介して第1の電源Eに接続され、第2のフォトリレー1aの出力端子5は接地されている。第1のフォトリレー1aの入力端子2と第2のフォトリレー1aの出力端子4は抵抗器Rを介して接続されている。第1のセット・スイッチSWに対する出力は、第2回路60b側である第1のフォトリレー1aの出力端子4側の第1の出力端子OUTより出力される。すなわち、第1のセット・スイッチSWと第1の出力端子OUTとは、電気的に絶縁されている。
【0064】
第2回路50bでは、第2のフォトリレー1aの入力端子2は第2のセット・スイッチSW及び抵抗器Rを介して例えば5Vの直流の第2の電源Eに接続され、第2のフォトリレー1aの入力端子3は接地されている。第1のフォトリレー1aの出力端子4は抵抗器Rを介して第2の電源Eに接続され、第1のフォトリレー1aの出力端子5は接地されている。第2のフォトリレー1aの入力端子2と第1のフォトリレー1aの出力端子4は抵抗器Rを介して接続されている。第2のセット・スイッチSWに対する出力は、第1回路60a側である第2のフォトリレー1aの出力端子4側の第2の出力端子OUTより出力される。すなわち、第2のセット・スイッチSWと第2の出力端子OUTとは、電気的に絶縁されている。
【0065】
本実施形態に係るメモリ回路50は、第1のセット・スイッチSWにより第1のフォトリレー1aの入力側に第1の電源Eを供給して第1のフォトリレー1aの発光部を発光させたときに当該第1のフォトリレー1aの出力側に供給されている第1の電源Eによって第1のフォトリレー1aの発光部の発光を維持する第1の維持回路と、第2のセット・スイッチSWにより第2のフォトリレー1aの入力側に第2の電源Eを供給して第2のフォトリレー1aの発光部を発光させたときに当該第2のフォトリレー1aの出力側に供給されている第2の電源Eによって第2のフォトリレー1aの発光部の発光を維持する第2の維持回路とを有する。
【0066】
aタイプの第1及び第2のフォトリレー1a、1aの発光LED10が発光するための条件は上記の図3及び図4に示した実施形態と同様であり、本実施形態に係るメモリ回路50もこの条件を満たしているものとする。
【0067】
第1回路50aの第1のセット・スイッチSWがオフ(断)のとき第1のフォトリレー1aの発光LED10が非発光であり、第1のフォトリレー1aの受光増幅デバイス20は非導通状態(図7で図示する状態)であるので、第2回路50b側の負荷抵抗器Rによりメモリ回路50における第1の出力端子OUTは第2の電源Eによる電源出力(ただし、内部抵抗値Rがある。)となっている。
【0068】
第1回路50aの第1のセット・スイッチSWをオン(接)にすると第1の電源Eから抵抗器Rに通じる電圧と電流により第1のフォトリレー1aの発光LED10が発光し、第1のフォトリレー1aの受光増幅デバイス20はほぼ導通する状態となるので、第1のフォトリレー1aの出力端子5は接地側の0Vとみなせる電位の接続となり、メモリ回路50における第1の出力端子OUTは接地出力となる。第2のフォトリレー1a側の発光LED10は抵抗器Rにより接地接続の0Vとなっているので、非発光の状態であり、第2のフォトリレー1aの受光増幅デバイス20は非導通のままであり、第1回路50a側の負荷抵抗器Rと直列に接続された抵抗器Rによってたとえ第1のセット・スイッチSWがオフ(断)となっても第1のフォトリレー1aの発光LED10にはしきい値を越える電圧と電流が保持されて発光状態は維持され、メモリ回路50における第1の出力端子OUTの接地出力は維持される。
【0069】
第2回路50b側の第2の電源Eによる電源接続がない場合には、第1の出力端子OUTは非接地になるので、メモリ機能は喪失する。すなわち、本来は第1回路50aの第1のセット・スイッチSWをオン(接)にするとメモリ回路50における第1の出力端子OUTは接地出力となるはずであるが、第2の電源Eによる電源接続がない場合つまり第2の電源Eを喪失した場合には第1の出力端子OUTは非接地になり、これにより第2の電源Eが喪失したことを検知できる。つまり、本実施形態に係る階層化メモリ回路はセット・リセットができないことから相手側の電源が喪失したことがわかる。
【0070】
メモリ回路の階層化はこれまでの電子回路では実現できなかった。これに対して、本実施形態に係る階層化メモリ回路50ではフォトリレー1a、1aを使って上記のような電子回路を構成することで、メモリ回路の階層化が可能となる。本実施形態に係る階層化メモリ回路50は、電源E、Eが階層ごとに必要で電源が不良となればメモリ機能は失われる特徴がある。本実施形態に係るフォトリレーにより絶縁されている階層化メモリ回路50は通常分散した電源E、Eにより構成される大きなネットワークで利用されることを前提としており、本実施形態に係る階層化メモリ回路50はセット・リセットができないことから相手側の電源が喪失したことがわかる、という故障診断に利用できる機能を有する。
【0071】
第2回路50bの第2のセット・スイッチSWがオフ(断)の状態では、メモリ回路50における第2の出力端子OUTは第1回路50a側の負荷抵抗器Rにより電源出力(ただし、内部抵抗値Rがある。)となっている。
【0072】
第2回路50bの第2のセット・スイッチSWをオン(接)にすると、第2の電源Eから抵抗器Rに通じる電圧と電流により第2のフォトリレー1aの発光LED10が発光し、第2のフォトリレー1aの受光増幅デバイス20はほぼ導通する状態となるので、第2のフォトリレー1aの出力端子5は接地側の0Vとみなせる電位の接続となり、メモリ回路50における第2の出力端子OUTは接地出力となる。これにより、第1の出力端子OUTから第2の出力端子OUTにメモリ機能は切り換えられるので、本実施形態に係るメモリ回路50は半導体デバイスと同様なフリップ・フロップのメモリ機能があることになる。従って、第1回路50aの第1の電源Eと第2回路50bの第2の電源Eを同一とすれば、半導体デバイスによるフリップ・フロップのメモリ機能と同一の動作となる。
【0073】
図7に示すメモリ回路50の状態遷移は以下のとおりとなる。
【0074】
【0075】
このメモリ回路50では、セット・スイッチの入れる順序によって出力が決まり、初期状態は不定となる。不定とは、0になるか1になるかが特定できないことである。つまり、電源を同時に入れたときもいずれになるかはフォトリレーのバラツキによって異なり、いずれか一方が1になり他方は0の状態となる。
【0076】
(bタイプのフォトリレーによる階層化メモリ機能)
図8は、2つのbタイプの第1及び第2のフォトリレー1b、1bを用いたメモリ回路の構成を示す回路図である。
【0077】
図8に示すメモリ回路60は、図中中央のbタイプの第1及び第2のフォトリレー1b、1bを挟んで2つの電気的に絶縁された図中左側の第1回路60a及び図中右側の第2回路60bを有する。
【0078】
第1回路60aでは、第1のフォトリレー1bの入力端子2は第1のセット・スイッチSW及び抵抗器Rを介して例えば5Vの直流の第1の電源Eに接続され、第1のフォトリレー1bの入力端子3は接地されている。第2のフォトリレー1bの出力端子5は第1の電源Eに接続され、第2のフォトリレー1bの出力端子4は抵抗器Rを介して接地されている。第2のフォトリレー1bの入力端子2と第1のフォトリレー1bの出力端子4は抵抗器Rを介して接続されている。第1のセット・スイッチSWに対する出力は、第2回路60b側である第1のフォトリレー1bの出力端子5側の第1の出力端子OUTより出力される。すなわち、第1のセット・スイッチSWと第1の出力端子OUTとは、電気的に絶縁されている。
【0079】
第2回路60bでは、第2のフォトリレー1bの入力端子2は第2のセット・スイッチSW及び抵抗器Rを介して例えば5Vの直流の第2の電源Eに接続され、第2のフォトリレー1bの入力端子3は接地されている。第1のフォトリレー1bの出力端子5は抵抗器Rを介して接地され、第1のフォトリレー1bの出力端子4は第2の電源Eに接続されている。第1のフォトリレー1bの入力端子2と第2のフォトリレー1bの出力端子4は抵抗器Rを介して接続されている。第2のセット・スイッチSWに対する出力は、第1回路60a側である第2のフォトリレー1bの出力端子5側の第2の出力端子OUTより出力される。すなわち、第2のセット・スイッチSWと第2の出力端子OUTとは、電気的に絶縁されている。
【0080】
本実施形態に係るメモリ回路60は、第1のセット・スイッチSWにより第1のフォトリレー1bの入力側に第1の電源Eを供給して第1のフォトリレー1bの発光部を発光させたときに当該第1のフォトリレー1bの出力側に供給されている第1の電源Eによって第1のフォトリレー1bの発光部の発光を維持する第1の維持回路と、第2のセット・スイッチSWにより第2のフォトリレー1bの入力側に第2の電源Eを供給して第2のフォトリレー1bの発光部を発光させたときに当該第2のフォトリレー1bの出力側に供給されている第2の電源Eによって第2のフォトリレー1bの発光部の発光を維持する第2の維持回路とを有する。
【0081】
bタイプの第1及び第2のフォトリレー1b、1bの発光LED10が発光するための条件は上記の図5及び図6に示した実施形態と同様であり、本実施形態に係るメモリ回路60もこの条件を満たしているものとする。
【0082】
第1回路60aの第1のセット・スイッチSWがオフ(断)のとき第1のフォトリレー1bの発光LED10が非発光であり、第1のフォトリレー1bの受光増幅デバイス20は導通状態(図8で図示する状態)であるので、第2回路60b側のメモリ回路60における第1の出力端子OUTは第2の電源Eによる電源出力となっている。
【0083】
第1回路60aの第1のセット・スイッチSWをオン(接)にすると第1の電源Eから抵抗器Rに通じる電圧と電流により第1のフォトリレー1bの発光LED10が発光し、第1のフォトリレー1bの受光増幅デバイス20は非導通状態となるので、第1のフォトリレー1bの出力端子5は接地側の0Vとみなせる電位の接続となり、メモリ回路60における第1の出力端子OUTは接地出力(ただし、内部抵抗値Rがある。)となる。
【0084】
第1のフォトリレー1bの受光増幅デバイス20は非導通状態であるので、第2回路60bの抵抗器Reにより第2のフォトリレー1bの発光LED10は非発光の状態であり、第2のフォトリレー1bの受光増幅デバイス20は導通状態である。これにより、第1回路60aの第1の電源Eから抵抗器Reに流れている第1のフォトリレー1bの発光LED10の電圧と電流が維持される(第1のフォトリレー1bの発光LED10の発光、受光増幅デバイス20の非導通状態、出力端子5の「接地」)。第2回路60b側の第2の電源Eによる電源接続がない場合には、第1の出力端子OUTは非接地になるので、メモリ機能は喪失する(第1のフォトリレー1bの発光LED10の発光、受光増幅デバイス20の非導通状態、出力端子5の「非接地」)。これにより、前述の実施形態と同様に電源喪失の検知が可能となる。
【0085】
第2回路60bの第2のセット・スイッチSWがオフ(断)の状態では、第2のフォトリレー1bの発光LED10が非発光であり、第2のフォトリレー1bの受光増幅デバイス20は導通状態であるので、メモリ回路60における第2の出力端子OUTは電源出力となっている。
【0086】
第2回路60bの第2のセット・スイッチSWをオン(接)にすると、第2の電源Eから抵抗器Rに通じる電圧と電流により第2のフォトリレー1bの発光LED10が発光し、第2のフォトリレー1bの受光増幅デバイス20は非導通状態となるので、メモリ回路60における第2の出力端子OUTは接地出力(ただし、内部抵抗値Rがある。)となる。これにより、第1の出力端子OUTから第2の出力端子OUTにメモリ機能は切り換えられるので、本実施形態に係るメモリ回路60は半導体デバイスと同様なフリップ・フロップのメモリ機能があることになる。従って、第1回路60aの第1の電源Eと第2回路60bの第2の電源Eを同一とすれば、半導体デバイスによるフリップ・フロップのメモリ機能と同一の動作となる。
【0087】
図8に示すメモリ回路60の状態遷移は以下のとおりとなる。
【0088】
【0089】
このメモリ回路60においても、セット・スイッチの入れる順序によって出力が決まり、初期状態は不定となる。
【0090】
(aタイプ及びbタイプのフォトリレーによる階層化メモリ機能)
図9は、aタイプの第1のフォトリレー1a及びbタイプの第2のフォトリレー1bを用いたメモリ回路の構成を示す回路図である。
【0091】
図9に示すメモリ回路70は、aタイプの第1のフォトリレー1aと、bタイプの第2のフォトリレー1bと、第1のフォトリレー1aの入力側にあり、当該第1のフォトリレー1aの発光部10を発光させる第1の電源Eからの電源を供給するためのセット・スイッチSWと、第2のフォトリレー1bの入力側にあり、当該第2のフォトリレー1bの発光部10を発光させる第2の電源Eからの電源を供給するためのリセット・スイッチSWと、第1のフォトリレー1aの出力側にあり、第1のフォトリレー1aの出力側の切り替えにより第2の電源Eからの電源の供給が切り替えられる第1の出力端子OUTと、第2のフォトリレー1bの出力側にあり、第2のフォトリレー1bの出力側の切り替えにより第1の電源Eからの電源の供給が切り替えられる第2の出力端子OUTとを具備する。
【0092】
図9に示すメモリ回路70は、図9中の中央のaタイプの第1のフォトリレー1a及びbタイプの第2のフォトリレー1bを挟んで2つの電気的に絶縁された図中左側の第1回路70a及び図中右側の第2回路70bを有する。
【0093】
第1回路70aでは、第1のフォトリレー1aの入力端子2はセット・スイッチSW及び抵抗器Rを介して例えば5Vの直流の第1の電源Eに接続され、第1のフォトリレー1aの入力端子3は接地されている。第2のフォトリレー1bの出力端子4は抵抗器Rを介して第1の電源Eに接続され、第2のフォトリレー1bの出力端子5は接地されている。第1のフォトリレー1aの入力端子2と第2のフォトリレー1bの出力端子4は抵抗器Rを介して接続されている。
【0094】
第2回路70bでは、第2のフォトリレー1bの入力端子2はリセット・スイッチSWを介して接地されている。第2のフォトリレー1bの入力端子3は接地されている。第1のフォトリレー1aの出力端子4は例えば5Vの直流の第2の電源Eに接続されている。第1のフォトリレー1aの出力端子5は第1の出力端子OUTに接続されるとともに、抵抗器Rを介して接地され、かつ抵抗器Rを介して第2のフォトリレー1bの入力端子2に接続されている。
【0095】
本実施形態に係るメモリ回路70は、セット・スイッチSWにより第1のフォトリレー1aの入力側に第1の電源Eを供給して第1のフォトリレー1aの発光部を発光させたときに当該第1のフォトリレー1aの出力側に供給されている第2の電源Eによって第2のフォトリレー1bを介して第1のフォトリレー1aの発光部の発光を維持する維持回路と、第2のフォトリレー1bの入力側にあり、当該フォトリレー1bの発光部を発光させる第2の電源Eからの電源の供給を断とし、第2のフォトリレー1bを介して第1のフォトリレー1aの発光部を非発光とするためのリセット・スイッチSWとを有する。この実施形態において、「第2のフォトリレー1bを介して」とは、第2のフォトリレー1bを非発光として出力側を導通状態とすることであり、これにより第1のフォトリレー1aの入力側の入力端子2、3間が接地となり、第1のフォトリレー1aの発光部が非発光となる。
【0096】
リセット・スイッチSWがオフの状態でセット・スイッチSWをオンにすると、第2回路70b側である第1のフォトリレー1aの出力端子5側の第1の出力端子OUT及び第1回路70a側である第2のフォトリレー1bの出力端子4側の第2の出力端子OUTの両側が電源出力となり、第1回路70a側のセット・スイッチSWをオフとしてもその電源出力が維持される。セット・スイッチSWがオフの状態でリセット・スイッチSWをオン(リセット)すると、第2回路70b側である第1のフォトリレー1aの出力端子5側の第1の出力端子OUT及び第1回路70a側である第2のフォトリレー1bの出力端子4側の第2の出力端子OUTの両側の出力が接地状態にすなわちリセットされる。従って、図9に示すメモリ回路70は、電気的に絶縁された2つメモリ出力を有する回路を実現できる。
【0097】
図9に示すメモリ回路70の状態遷移は以下のとおりとなる。
【0098】
【0099】
≪フォトリレーを使った通信システム≫
図10は、本発明の一実施形態に係る通信システムの構成を示す回路図である。
【0100】
図10に示す通信システム90は、例えば図7に示した階層化されたメモリ回路50を用い、第1のセット・スイッチSW及び第2の出力端子OUTを少なくとも有する第1の通信端末92と、伝送路91を介して第1の通信端末92と接続され、第2のセット・スイッチSW及び第1の出力端子OUTを少なくとも有する第2の通信端末93とを有する。
【0101】
本実施形態に係る通信システム90は、特に、相手側の通信端末の電源が喪失したことがわかる、という故障診断に利用できる機能を有する。
【0102】
図10に示した通信システム90では、図7に示した階層化されたメモリ回路50の構成うち、第1のセット・スイッチSW、第2の出力端子OUT、第2のセット・スイッチSW及び記第1の出力端子OUT以外の構成は、第1の通信端末92又は第2の通信端末93が有していればよく、或いは第1の通信端末92と第2の通信端末93との間の伝送路上のどこかに別途配置するように構成してもよい。図8に示した階層化されたメモリ回路60を使っても勿論本発明に係る通信システムを構成できる。
【0103】
図11は、本発明の別の実施形態に係る通信システムの構成を示す回路図である。
【0104】
図11に示す通信システム100は、第1の通信端末102及び第2の通信端末103が、それぞれ、符号化のビット数に応じた数の独立した第1のセット・スイッチSW及び第2の出力端子OUTを有する構成(図10に示した符号92の構成)、第2のセット・スイッチSW及び第1の出力端子OUTを有する構成(図10に示した符号93の構成)有し、パラレル伝送路101を介して接続するように構成している。これにより、第1の通信端末102と第2の通信端末103との間でパラレル伝送が実現できる。
【0105】
本発明は上記の実施形態には限定されない。本発明は、その技術思想に基づき様々応用や変形が可能であり、その応用や変形の範囲もその特許発明の技術的範囲に属するものである。
【0106】
図3又は図5に示したメモリ回路を2組用い、通常は開のaタイプのフォトリレー又は通常は閉のbタイプのフォトリレーによるメモリ回路30又は40の構成を有する第1のメモリ回路と、同様に通常は開のaタイプのフォトリレー又は通常は閉のbタイプのフォトリレーによるメモリ回路30又は40の構成を有する第2のメモリ回路により、メモリ回路を構成してもよい。この場合に、第1のメモリ回路を構成する電源と第2のメモリ回路を構成する電源とを共有の電源とし、フリップ・フロップ回路と同等の機能を有するように構成してもよい。
【0107】
本発明に係るメモリ回路や通信システムは、背景技術で説明した鉄道信号制御の分野だけでなく他の分野においても勿論用いることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 フォトリレー
1a 通常は開(open)のaタイプのフォトリレー
1b 通常は閉(close)のbタイプのフォトリレー
2、3 入力端子
4、5 出力端子
10 発光LED
20 受光増幅デバイス
21 受光部
22 増幅部
30、40、50、60、70 メモリ回路
90、100 通信システム
91、101 伝送路
92、102 第1の通信端末
93、103 第2の通信端末
SW、SW、SW セット・スイッチ
SW リセット・スイッチ
OUT、OUT、OUT 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11