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特開2024-119800パーソナルデジタルフェノタイプを使用して健康を維持するシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119800
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】パーソナルデジタルフェノタイプを使用して健康を維持するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240827BHJP
   A61B 5/346 20210101ALI20240827BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20240827BHJP
   A61B 18/12 20060101ALI20240827BHJP
   A61N 1/18 20060101ALI20240827BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20240827BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20240827BHJP
【FI】
A61B5/00 A
A61B5/346
A61B34/20
A61B18/12
A61N1/18
A61B17/32 510
G16H20/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024074227
(22)【出願日】2024-05-01
(62)【分割の表示】P 2020559358の分割
【原出願日】2019-04-24
(31)【優先権主張番号】62/664,833
(32)【優先日】2018-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SWIFT
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】515158308
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤン,サンジヴ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】アルフセイニ,マフムード
(57)【要約】      (修正有)
【課題】患者内の疾病を識別及び治療するシステム及び方法を提供する。
【解決手段】時間に伴って患者の組織内において生成される生物学的信号を検出するように構成されたセンサから1つ又は複数のデータストリームを収集する。患者の、人口統計、臨床、研究室、病理学、化学、画像、履歴、遺伝性、及び活動データのうちの1つ又は複数を含む患者データ要素が、収集され、且つ、パーソナライズされたデジタルフェノタイプ(PDP)を生成するべく、データストリームと共に処理されている。PDPは、患者を治療するためのパーソナライズされた介入をガイドするために、患者を1つ又は複数の定量的疾病分類に分類するべく、以前のデータを有するデジタルタクソノミーと比較されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の疾病を識別及び治療する方法において、
時間に伴って患者の組織内において生成される生物学的信号を検出するように構成された少なくとも1つのセンサによって生成される少なくとも1つのデータストリームを収集するステップと、
前記患者の、人口統計、臨床、研究室、病理学、化学、画像、履歴、遺伝性、及び活動データのうちの1つ又は複数を有する患者データ要素を取得するステップと、
パーソナライズされたデジタルフェノタイプ(PDP)を生成するべく、パーティション化アルゴリズムを実行するように構成された処理モジュールにより、前記少なくとも1つのデータストリーム及び前記患者データ要素を処理するステップと、
前記患者を1つ又は複数の定量的疾病分類に分類するべく、前記PDPを以前のデータから構築されたデジタルタクソノミーと比較するステップと、
前記1つ又は複数の定量的疾病分類に基づいて前記患者用の治療をパーソナライズするステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記少なくとも1つのセンサは、前記患者の身体との物理的接触状態にあり、且つ、前記少なくとも1つの収集されたデータストリームは、有線又は無線通信のうちの1つにより送信されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記少なくとも1つのセンサは、電極、光学センサ、圧電センサ、音響センサ、電気抵抗値センサ、熱センサ、加速度計、圧力センサ、フローセンサ、及び電気化学センサのうちの1つ又は複数であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記生物学的信号は、電気心臓信号、機械心臓信号、心拍数、心臓音、呼吸音、呼吸数、呼吸容積、神経活動、及び免疫学的信号のうちの1つ又は複数を有することを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法において、前記患者データ要素は、電気信号、血行動態データ、撮像からの心臓構造、心臓又は肺伝導と関連する臨床因子、神経信号、遺伝性プロファイル、代謝状態のバイオマーカー、及び患者運動のうちの1つ又は複数を有することを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法において、処理の前に、タイムスタンプを前記少なくとも1つの検知されたデータストリーム及び前記患者データ要素のそれぞれに適用するステップを更に有することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法において、前記パーティション化アルゴリズムは、教師付き機械学習、ニューラルネットワーク、相関分析、ロジスティック回帰分析、決定木、時間ドメイン分析、周波数ドメイン分析、三角法変換、対数変換、クラスタ分析、及び教師なし機械学習のうちの1つ又は複数を有することを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法において、前記デジタルタクソノミーは、前記患者の以前のデータを更に含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法において、前記1つ又は複数の定量的疾病分類は、前記個人内の、回転又は局所アクティベーションパターン、間欠的回転又は局所アクティベーションパターン、不完全なアクティベーションパターン、並びに、特定の心臓構造のサイト又は特定の解剖学的サイトのうちの1つ又は複数を有することを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法において、前記患者の組織は、心臓、前記心臓の領域に供給する神経、前記神経を制御する脳の領域、前記心臓の領域に供給する血管、及び前記心臓に隣接する組織を有することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法において、前記疾病は、心房細動、心室細動、心房性頻脈、心房性粗動、多形性若しくは単形性心室頻脈、心室性粗動、又は前記心臓内のその他の電気異常のうちの1つ又は複数を有する心拍リズム障害であることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、処理の前に、前記少なくとも1つのデータストリームを使用することによりマップを生成するステップを更に有し、前記マップは前記心臓内の場所におけるアクティベーションを表す画像を有し、且つ、処理ステップは相対的に高いアクティベーションの場所を識別するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、前記少なくとも1つのデータストリームは偽のディフレクションを含む臨床エレクトログラムを有し、且つ、処理ステップは、異なる心拍リズムと関連する1つ又は複数の基準信号についてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用することにより、再構築されたエレクトログラムを生成するステップを更に有することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法において、パーソナライズされた介入は、接触装置を介したエネルギー配給、非接触装置によるエネルギー配給によるアブレーション、電気療法、熱療法、機械療法、薬剤療法の配給、免疫抑制の配給、幹細胞療法の配給、及び遺伝子療法の配給、のうちの1つ又は複数により、前記患者の組織の少なくとも一部分を変更するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法において、前記PDP用の更新済みのパーソナル履歴データ、前記分類された1つ又は複数の定量的疾病分類、前記パーソナライズされた介入、及び介入結果を生成するステップを更に有することを特徴とする方法。
【請求項16】
患者の疾病を識別及び治療するシステムにおいて、
経時的に患者の組織内において生成される生物学的信号を検出するように、且つ、少なくとも1つのデータストリームを生成するように、構成された少なくとも1つのセンサと、
前記少なくとも1つのデータストリームを収集するように;
前記患者の、人口統計、臨床、研究室、病理学、化学、画像、履歴、遺伝性、及び活動データのうちの1つ又は複数を有する患者データ要素を収集するように;
パーソナライズされたデジタルフェノタイプ(PDP)を生成するべく、パーティション化アルゴリズムを実行するように構成された処理モジュール内において前記少なくとも1つのデータストリーム及び前記患者データ要素を処理するように;
前記患者を1つ又は複数の定量的疾病分類に分類するべく、前記PDPを保存されている以前のデータを有するデジタルタクソノミーと比較するように、及び、
前記分類された1つ又は複数の定量的疾病分類に基づいて、前記患者を治療するべくパーソナライズされた介入を判定するように、
構成された演算装置と、
を有することを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのセンサは前記患者の身体との物理的な接触状態にあり、且つ、前記少なくとも1つの検知されたデータストリームは有線又は無線通信のうちの1つにより送信されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのセンサは、電極、光学センサ、圧電センサ、音響センサ、電気抵抗値センサ、熱センサ、加速度計、圧力センサ、フローセンサ、及び電気化学センサのうちの1つ又は複数であること特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記生物学的信号は、電気心臓信号、機械心臓信号、心拍数、心臓音、呼吸音、呼吸数、呼吸容積、神経活動、及び免疫学的信号のうちの1つ又は複数を有することを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記患者データ要素は、電気信号、血行動態、撮像からの心臓構造、心臓又は肺伝導と関連する臨床因子、神経信号、遺伝性プロファイル、代謝状態のバイオマーカー、及び患者運動のうちの1つ又は複数を有することを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記演算装置は、タイムスタンプを前記少なくとも1つのデータストリーム及び前記患者データ要素のそれぞれに適用するように更に構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記パーティション化アルゴリズムは、教師付き機械学習、ニューラルネットワーク、相関分析、ロジスティック回帰分析、決定木、時間ドメイン分析、周波数ドメイン分析、三角法変換、対数変換、クラスタ分析、及び教師なし機械学習のうちの1つ又は複数を有することを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記デジタルタクソノミーは、前記患者の以前のデータを更に含むことを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記1つ又は複数の定量的疾病分類は、前記患者内の、回転又は局所アクティベーションパターン、間欠的回転又は局所アクティベーションパターン、不完全なアクティベーションパターン、及び、特定の心臓構造のサイト又は特定の解剖学的サイトのうちの1つ又は複数を有することを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記患者の組織は、心臓、前記心臓の領域に供給する神経、前記神経を制御する脳の領域、前記心臓の領域に供給する血管、及び前記心臓に隣接する組織を有することを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記疾病は、心房細動、心室細動、心房性頻脈、心房性粗動、多形性又は単形性心室頻脈、心室性粗動、又は前記心臓内のその他の電気異常のうちの1つ又は複数を有する心拍リズム障害であることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記演算装置は、前記少なくとも1つのデータストリームを使用することによりマップを生成するように更に構成されており、前記マップは前記心臓内の場所におけるアクティベーションを表す画像を有し、且つ、処理ステップは相対的に高いアクティベーションの場所を識別するステップを有することを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項26に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのデータストリームは偽のディフレクションを含む臨床エレクトログラムを有し、且つ、処理ステップは、異なる心拍リズムと関連する1つ又は複数の基準信号についてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用することにより、再構築されたエレクトログラムを生成するステップを更に有することを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項16に記載のシステムにおいて、パーソナライズされた介入は、接触装置を介したエネルギー配給、非接触装置によるエネルギー配給によるアブレーション、電気療法、熱療法、機械療法、薬剤療法の配給、免疫抑制の配給、幹細胞療法の配給、及び遺伝子療法の配給のうちの1つ又は複数により、前記患者の組織の少なくとも一部分を変更するステップを有することを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記PDP用の更新されたパーソナル履歴データ、前記分類された1つ又は複数の定量的疾病分類、前記パーソナライズされた介入、及び介入結果を生成するステップを更に有することを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記分類された1つ又は複数の定量的疾病分類を表示するように構成された表示装置を更に有することを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記演算装置は、前記少なくとも1つのセンサから更なるデータストリームを反復的に収集するように、且つ、デジタル化されたデータ要素を取得するように、更に構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項16に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つのセンサは、心臓信号を検出するように構成された複数の電極を有するカテーテルを有することを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年4月30日付けで出願された米国仮特許出願第62/664,833号の優先権の利益を主張するものであり、この特許出願の内容は、引用により、そのすべてが本明細書に包含される。
【0002】
政府の権利
本発明は、国立衛生研究所(NIH:National Institutes of Health)によって付与された認可番号第HL83359号及び第HL103800号の下に、政府の支援によって実施されたものである。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、一般に、疾病及び健康の維持のためのパーソナライズされた療法に関し、且つ、更に詳しくは、母集団からのデータに基づいて疾病用のデジタルタクソノミーを基準としうる特定の人物について収集されたデータに基づいた疾病用のデジタルフェノタイプを定義し、これにより、パーソナライズされた療法の重要な異常性の識別を提供するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
医学療法は、しばしば、過剰に一般的であり、且つ、パーソナライズによって改善されうることが益々理解されるようになっている。多くの受け入れられている療法は、母集団に跨ってそれぞれ十分に機能しているが、重要なマイノリティの場合には乏しく機能するか、或いは、まったく機能していない。その療法が機能する者の場合にも、通常、個人に跨る応答のグラデーションが存在する。しばしば、特定の療法が所与の患者においては機能しえないという先験的な手掛かりが存在する。応答又は失敗の先験的な「予測子」は、実際には、通常、観察される事後の成功及び失敗に基づいており、且つ、療法を改善するべくこれらを使用する試みは、しばしば大きな利益ではなく、増分的な利益しか生成していない。
【0005】
記述されている状態用の現時点の医療慣行は、明らかに、統計的なマイノリティよりも、個人のマジョリティにおける適用可能性を優先しており、その理由は、マジョリティにおいて機能する療法のみが促進されているからである。重要な、但し、見落とされている課題は、マジョリティにおいて使用されているものとは異なる療法に対して応答しうる、記述されている状態を有する個人のマイノリティの運命である。このマイノリティは相当な数の個人を有しうるが、療法は、しばしば、例えば、記述されている状態を有するその他の者から容易に識別(フェノタイプ化)される際を除いて、これらの個人の場合にも断念されている。このような「サブ」フェノタイプ化は、しばしば困難であり、その理由は、さもなければ、このような個人は、記述されている状態を有するその他の者から異なるサブカテゴリに予め分離されていたであろう、からである。
【0006】
療法をパーソナライズするための、即ち、療法が機能する可能性が高い患者、療法が機能する可能性が低い患者、を先験的に識別するための、且つ、理想的には、個人のために療法を最適化するための、緊急のニーズが存在する。これらの目的を充足するべく、状態の遺伝性の原因を識別し、相応して個人をフェノタイプ化し、且つ、このフェノタイプに基づいて療法を適合させるための方式を使用することにより、パーソナライズされた医療が益々研究されるようになっている。
【0007】
パーソナライズされた医療は、最も頻繁には、遺伝性の異常(「メカニズム」)の結果としてもたらされる状態について適用されているが、明瞭な遺伝性の特性が実証不能な状態においては、あまり頻繁に適用されていない。残念ながらこれには、すべての臓器系の大部分の流行疾病の多数が含まれている。心臓においては、例えば、遺伝性のケースは、例えば、遺伝によって受け継いだ家族性高コレステロール血症又は孤立性AFを有する患者などの心房細動を含む冠状動脈疾病又は心拍リズム異常などの状態について識別されうるが、このようなケースはマイノリティである。大部分のケースは、明らかに実証可能な遺伝性の原因を有してはおらず、且つ、複数の因子に起因する(多因子的である)と考えられる。いくつかの最近の研究は、若者における遺伝によって受け継がれた突然の心停止、即ち、突然不整脈死症候群(「SADS:Sudden Arrhythmic Death Syndrome」)を含む遺伝性であると見なされている状態においてさえ、遺伝性の異常を示すことに失敗する。
【0008】
その他の状態は、部分的に遺伝性であるものとして現れうる、或いは、「不完全な浸透度」を有する遺伝性の原因を有しうる。疾病発現又は療法に対する応答における、このような可変性の原因は、未知であり、且つ、例えば、心房細動用の多くの療法に伴って、発生する。このような可変性は、しばしば、「環境」に帰せられており、且つ、細胞「プロテオーム」又は「メタボローム」における変動として表されうるが、識別が困難でありうると共に、しばしば証明されてはおらず、且つ、療法をガイドするべく、めったに使用されてはいない。
【0009】
心拍リズム障害は、一般的なものであり、且つ、世界中において、病的状態及び死亡の重要な原因である。正常な状態において、洞結節は心臓を洞律動において維持する。特定の状態下において、正常な洞結節の迅速なアクティベーションは、不適切な洞性頻脈又は洞結節リエントリを引き起こす可能性があり、これらは、いずれも、心拍リズム障害を表している。
【0010】
心臓における電気システムの誤動作は、心拍リズム障害の近因である。心拍リズム障害は、単純なもの又は複合的なものとして分類されうる。これは、リズムが、現時点において十分に理解されており、且つ、治療可能であるかどうか、に基づいて、ある程度まで任意である。但し、単純なリズムは、大部分の分析(マッピング)の方法による合意を伴って、時間に伴って安定した、十分に定義された回路を有するものと見なされうる。例は、洞リズム(SR)、心房性頻脈(AT)又は粗動(AFL)、房室結節性リエントリ性頻脈(AVNRT)、及び房室回帰頻脈(AVRT)を含む。逆に、複合的なリズム障害は、心房細動(AF)、心室細動(VF)、並びに、多形性心室頻脈(PMVT)、複数の早期心房波形(PAC)、複数の早期心室波形(PVC)、及び相互に関係する心房マクロリエントリ回路などの、回路が時間に伴って変化する、リズムのその他の形態を含む。
【0011】
心拍リズム障害、特に、AF、VF、及びVTの複合的なリズム障害、の治療は、困難でありうる。複合的なリズム障害用の薬理療法は、最適なものではない。心拍リズム障害の場合に、心拍リズム障害を軽減するべく、且つ、いくつかのケースにおいては、これを除去するべく血管を通じて、或いは、直接的に手術において、センサ/プローブを心臓まで操作し、且つ、エネルギーを心臓の場所まで配給することにより、アブレーションが益々使用されるようになっている。但し、複合的なリズム障害においては、アブレーションはしばしば困難であり、且つ効果的ではなく、その理由は心拍リズム障害の原因(ソース)を識別及び特定するツールが不十分であり、これにより障害を除去するべく心臓の適切な領域にエネルギーを配給する試みが妨げられるからである。最良の努力にもかかわらず、複合的な不整脈用の薬剤療法は中長期において、30~60%の成功しか有していない。アブレーションは、益々使用されているが、複合的な状態の場合には、次善のものである。例えば、最も単純な形態であると見なされている「発作性」のAF用の単一のアブレーション手順の成功は、1年において、65%であり、これは、最近の多施設試験においては、時間に伴って、50%に低下している。相対的に複合的な、永続的な、AFを有する患者の場合には、「絶対的基準」技法による単一手順の成功は、Vermaらによる最近の多施設試験においては、1年の投薬において、約40~50%である(“Approaches to catheter ablation for persistent atrial fibrillation,”N Engl J Med.2015;372:1812-22)。これらの研究のそれぞれは、多くのその他の多施設予測調査の結果と合致する。
【0012】
新しい科学的なブレークスルー又は発明によって対処された場合に、これらの療法の成功レートの改善を支援しうる、いくつかの充足されてはいないニーズが存在する。複数の試みにもかかわらず、同一のアブレーション方式がいくつかの患者においては機能するが、その他の者においてはそうではない理由は何であるか?個人の間において類似する又は異なっているリズム障害のメカニズムは、何であるか?並びに、我々は、彼らのフェノタイプを識別することができるのか?などの、多くの答えられていない疑問が残っている。現時点の疾病分類は、この目的のために理想的なものではなく、その理由は、肺静脈隔離は、1~2年においては、「単純」な突発性AFのケースの35~50%において失敗しているが、1~2年において「進行」した持続的なAFのケースの40~50%においては、機能している、からである。いくつかの患者は、提案されたAFソースのアブレーションの後に、健康を回復している一方で、その他の者はそうではない理由は何であるか?ソースによって駆動されたAFにおいて、いくつかの個人が、複合的なAFの場合にも1つのソースしか有していない一方で、その他の者がいくつかのものを持っている理由は何であるか?ソース又はドライバ領域が、いくつかの個人においては磁気共鳴撮像又は電圧分析における線維症などの構造的な異常に関係している一方で、その他の者においてはそうでない理由は何であるか?(Narayan et al.,Circulation Arrhythmia/Electrophysiology 2013;6(1):58-67)。AFなどの心拍リズム状態が、いくつかの個人においては神経刺激などのプロセス又は真性糖尿病などの代謝性疾病に関係している一方で、その他の者はそうではない理由は何であるか?
【0013】
心拍リズム障害は、心臓内における、その電気的なパターンによって分類されている。詳細なマッピングが、AVRTなどの状態の定義、さもなければ類似の症状又はECGの外観を有しうるその他の状態からのその分離、並びに、その結果、治癒力を有する療法を開発するための原因の識別、に結び付いている。心拍リズム障害用の電気的な原因を分類するための従来の技術方式は、いくつかの方法を使用している。心房性頻脈などの単純な心拍リズム障害においては、障害のソースはアクティベーションを最も早期の場所まで辿ることにより識別することが可能であり、障害を軽減するべく、且つ、いくつかのケースにおいてはこれを除去するべく、焼灼(アブレーズ)することができる。但し、単純な心拍リズム障害の場合にも、心拍リズム障害の原因をアブレーズすることは困難であり、且つ、熟練の医師でもしばしば、心房性頻脈などの一貫性を有する鼓動間のアクティベーションパターンを示す単純なリズム障害をアブレーズするのに数時間を必要としている。
【0014】
複合的なリズム障害において、診断及び治療はしばしば、患者の血管を通じた心臓内への、複数のセンサ/プローブを有するカテーテルの導入を伴う。センサは、心臓内のセンサ場所において、心臓の電気活動を検出する。電気活動は一般に、センサ場所における心臓のアクティベーションを表すエレクトログラム信号に処理されている。複合的な障害において、それぞれのセンサ場所における信号は、様々な形状の、1つの、いくつかの、及び複数のディフレクションの間において、拍動から拍動へと遷移しうる。例えば、AF内のセンサ場所の信号が、5個、7個、11個、又はこれらを上回る数のディフレクションを含んでいる際には、心臓内のセンサ場所にローカルである信号内のディフレクション(即ち、ローカルなアクティベーションの開始)対心臓内の近傍のセンサ場所にローカルである信号内のディフレクション(即ち、ファーフィールドなアクティベーションの開始)、或いは、患者の心臓の別の部分、その他の解剖構造、又は外部の電子システムからのノイズを識別することは困難である。このような不規則なディフレクションは、最近、試みが実施されてはいるものの(Sahli et al.,Ann Biomed Eng 2018;46(2):257-269;Zaman et al.,Circ Arrhythm Electrophysiol 2018;11:e005258)、不可能でない場合にも、センサ場所における信号内の拍動のアクティベーション開始時間を識別することを困難にする。
【0015】
心拍リズム障害の原因を識別するべく、いくつかの試みが実施されている。1つの方法は、センサ場所における信号内の規則性を複合的なリズム障害のソース用の代理者として取り扱っており、この場合に、ソースは隣接するセンサ場所よりも組織化されているものと見なされている。例えば、Berenfeldらに対する米国特許7,117,030号明細書、Grayらに対する米国特許第5,792,189号明細書、Sahadevanら(Circulation 2004)、及びSandersら(Circulation 2005)は、しばしば、高規則性インデックスを有する高スペクトル優勢周波数を使用することにより、可変心房細動(AF)のソースを高度に規則的且つ迅速なエリアとして識別する方式について記述している。Nademanee他(J Am Coll Cardiol 2004)によるものなどのその他の研究は、複合的な細分された心房エレクトログラム(CFAE)が、AF用の重要領域でありうることを示唆している。Cuculichら(Circulation 2010)などのその他の研究は、大部分が解体された一時的なアクティベーションパターンと、まれに、ソース領域と、を示すべく、身体表面撮像を使用している。臨床における使用の際に、このような方法は、多くの研究において、アブレーションをガイドした際に残念な結果を生成している(例えば、Verma et al.,2015;Wong,2015、並びに、その他のもの)。
【0016】
従来技術は、最近になって、心房細動及び/又は心室細動を含む複合的なリズム障害の別個のソースを識別するための方法及びシステムについて記述している。例えば、Narayanらに対する米国特許第8,676,303号明細書及び同第8,521,266号明細書、Narayanら(J Am Coll Cardiol 2012)、Haissaguerre(Circulation 2014)、並びに、Krummenら(J Am Coll Cardiol 2014)を参照されたい。これらのシステムは、障害が更なる競合するソース、ノイズ、又はその他の因子を反映する状態において、周囲の複雑な衝突波及び解体にも拘らず、局所的な組織化されたソースを示す。また、複合的なリズム用のソース又はドライバを識別するべく、いまやオンラインシステムも利用可能である(Al-Husseini,et al.,J.Cardiovasc.Electrophysiol.2017,28:615-622)。これらの研究は、同一のエレクトログラフィックデータを使用することにより、いくつかの分析システムが安定的なソースを示す一方で、その他のシステムはソースにおける相対的に大きな可変性を示すことを見出している(Alhusseini,et al.J.Cardiovasc.Electrophysiol.2017;Zaman and Narayan,Circ Arrhythm Electrophysiol 2017;10(12):e006022)。但し、いくつかの患者対その他の患者において適用されるパターンと、従って、療法をこれらの異なる患者サブタイプに対して最適化する方法と、については明らかではない。
【0017】
従来技術は、機械学習技法を使用することにより生物学的データをマイニングするためのツールについて記述している。例えば、Guyonら(米国特許第7,542,947号明細書)は、疾病の試験及び治療のための分子マーカーの識別及びランキングを促進するべく、異種の既存のデータソースからのデータを遺伝性/プロテオーム及び臨床データと統合する、決定システム内のサポートベクトルマシン(SVM:support vector machine)などの、カーネルに基づいた学習機械の内蔵について教示している。Guyonにおいては、異種のデータセットは、遺伝子又はタンパク質発現データ、質量分光データ、抗体レベル、臨床観察及び履歴、薬剤、ホルモン、免疫学的試験、遺伝性及び家族性履歴、物理的又は化学的計測、オンラインジャーナル、オンライン遺伝性データベース、及びその他のソースを含みうる。Guyonにおいて開示されている方法は、療法のガイドを具体的に対象とするものではなく、むしろ、疾病の診断用の分子マーカーの識別を対象とする。
【0018】
Schafferに対する米国特許第8,954,339号明細書は、専門的知識及び公開された研究に基づいて診断及び/又は治療用の推奨を実施するべく、既定の診断及び治療規則を計測された生理学的パラメータ及び患者試験に適用する推定エンジンを有する臨床決定サポートシステム(CDSS:clinical decision support system)を開示している。追加された機能は、誤った推奨に結び付きうる推定エンジン内の潜在的な欠点にフラグを付与する、データセット内の異常値の識別を含む。このような決定サポートシステムは、既知の障害用の一般的な決定を提供してはいるが、現時点において専門家によって識別されていない問題に対する解決策を教示又は示唆してはいない。例えば、リズム障害がアブレーションに応答することになるのか又は応答することにならないのか、心房細動の別個の形態に対する方式、或いは、除細動器を必要とするのではなくアブレートされうる心室細動の形態に関する疑問については、専門家にとっても現時点において明らかではなく、且つ、従って、従来技術のCDSSにおいても利用可能とはならないであろう。これに加えて、従来技術のCDSSは、個々の患者内の症状又はサインの臨床的な重要性、或いは、電気データの特定の特徴の存在又は不存在、コンピュータ断層撮像又は磁気共鳴撮像からの構造的データの特定の特徴、血液試験、遺伝性試験、又は任意その他のデータセットの特定の特徴を認識するのに失敗しうる。
【0019】
いくつかの従来技術の方法では、機械学習及びニューラルネットワークをリズム障害に適用しているが、専門家によって既に知られていることから拡張されておらず、且つ、治療のために重要である疑問に対処してもいない。例えば、Elghazzawiに対する米国特許第5,819,007号明細書及び中国特許出願公開第CN107203692A号明細書は、それぞれ、高精度を提供しうる、ニューラルネットワークを介して処理された電気データを使用することにより、AFを検出する方法について開示している。中国特許出願公開第CN106066933A号明細書において記述されているように、この方式は拡張されており、これにより、保存されているデータベース(MIT-BIHデータベース)からAFを識別するべく、重み付けされた値の行列を人工ニューラルネットワーク(ANN:artificial neural network)に追加する方法について開示している。その他の研究においては、皮膚科医に匹敵する精度により、例えば悪性の皮膚病変などの疾病の存在を診断するべく、トレーニング済みの学習機械が使用されている。例えば、深層畳み込みニューラルネットワーク(CNN:convolutional neural network)を使用しているEstevaら(Nature 2017)、或いは、悪性又は良性として皮膚病変の画像を分類するためのSVMの使用について記述しているGuyonらに対する米国特許第8,543,519号明細書を参照されたい。Hannun、RajpurkarらのNature Medicin 2019は、心臓内科医に匹敵する精度を有する、ECGから不整脈を検出するためのCNNの使用を開示している。但し、この従来技術は、AFと既に診断されている、AFを有する患者にはあまり適しておらず、その理由は、専門家の既知の知識に基づいて改善されておらず、且つ、従って、現時点の次善のレベルから治療を進化させていないからである。Addisonらに対する米国特許第7,171,269B1号明細書は、細動用の電気ショック療法のタイミングを調節するためのニューラルネットワークの使用について記述しているが、アブレーション又は薬剤療法、或いは、これらが多くの患者において機能しない理由に対処していない。Comaniciuらに対する米国特許出願公開第2015/0042646A1号明細書は、介入を計画するべく電気及び構造データを内蔵する、個人における不整脈用の演算モデルを開示している。但し、このモデルは、AF用の肺静脈隔離の40~60%の成功レート、或いは、心臓再同期療法の60~70%の成功レートなどの、相対的に有効ではない療法については考慮していない。
【0020】
多くの専門家は、侵襲的な療法を非侵襲的な療法と組み合わせるなどのような、不整脈を診断、追跡、又は治療するべく複数の方式を統合するニーズについて記述しているが、この方式は、客観的にはまれにしか適用されておらず、或いは、定量的なツールを使用して滴定されていない。例えば、減量はAFを改善及び低減しうるが、これが最良に適用される患者が明らかではなく、或いは、このような個人が別個のグループとして識別されうるかどうかが明らかではなく、その理由は、いくつかの肥満した個人がAFを発症しない一方で、多くの肥満していない個人が発症しているからである。また、これは、体操などのその他のライフスタイルの変化にも適用可能であり、このような変化は、極端な努力のケースにおいてAFを引き起こす可能性がある一方で、非常に座りがちなライフスタイルを有するその他の患者もAFを経験している。炎症はAFを含む多くの疾病の原因となりうるが、検出及び/又は療法を全体的な管理に統合する方法について明らかではない。
【0021】
すべての患者において機能しないとしても、理想的に広い母集団をカバーする、個人内において機能しうる療法をパーソナライズするための方式を開発することは、社会にとって大きな利益を有することになろう。これは、その疾病に、又は療法に対する応答に関して識別された遺伝性の原因を有していないか、或いは有している、個人を含みうる。これは、複数の形態の療法を定量的にガイドするための、且つ、いくつかのケースにおいて、療法用の個々の人物内における多因子疾病の正確な原因を識別するための、パーソナルな診断を含む。1つの例示用の実施形態は、複合的な心拍リズムにおけるものである。現時点においては、これらの目的を実現するための従来技術におけるシステムは、存在するとしてもわずかしか存在していない。
【発明の概要】
【0022】
例示用の一実施形態において、本発明の方法及びシステムは、個人内における疾病を治療するべく、且つ/又は、健康を維持するべく、パーソナライズされた方式をガイドするために、アルゴリズム、機械学習、及び確率論的分析を使用する数学的ネットワーク、センサから検知されたほぼリアルタイムのデータ、及び予め保存されている(履歴)データのうちの1つ又は複数を使用することにより、健康及び疾病のパーソナルデジタルフェノタイプ(「PDP:personal digital phenotype」)を生成する。例示用の実装形態は、心拍リズム障害における、肝臓動脈疾患における、且つ、心不全における、心臓用途を含む。
【0023】
本発明の技法は、現時点において専門家にとっては明らかではない、生物学的且つ臨床的な重要性のパーソナルなフェノタイプを自動的に生成するように設計されており、且つ、従って、専門家の能力を近似する、或いは、専門家による方式又は規則に基づきうる、従来技術のCDSSに対する大きな進歩を表す。
【0024】
心拍リズム障害に対する適用においては、複合的なリズム障害は、専門家による理解が困難であるが療法のために正確な原因を見出すべく、電気、構造、及び臨床データ入力からパーソナルフェノタイプを生成することにより解明され且つ治療される、心臓アクティベーションのパターンを生成しうる。この混合された方式は、アクティベーションの異なる電気パターン、或いは、電気パターンと構造的又は臨床的データ要素の組合せを得るべく、回転又は局所ドライバ(rotational or focal driver)、或いは、「ランダム」なウェーブレットの従来の原因を超えて拡張されている。
【0025】
本明細書において記述されている本発明の方式は、心拍リズム疾病、冠状動脈疾病、及び心不全、を含む複合的な疾病の場合に良好に適しており、これらのそれぞれは単一の疾病ではなく、異なる要素からなる症候群である。例えば、AFにおいては、様々な電気、構造、及び代謝メカニズムがその発症及び変化に寄与する場合があり、これらのそれぞれは個人の間において異なりうる。原則的に、(それぞれが、定義されたアクションのメカニズムを有する)多様なAF療法に対する応答又は非応答によってトレーニングされた、多様な人口統計及び「従来の」フェノタイプを有する患者内における、検知された、且つ、アーカイブされた入力データ(データ要素)の大きな組から、しばしば電子健康レコードから、構築されたネットワークを使用することにより、療法(「パーソナライズされた医療」)を個別化することにより、それぞれの個人内のAFの療法に合焦されたフェノタイプ又はメカニズムを識別することができる。
【0026】
本発明の方式は、いくつかの因子に起因して、多くの複合的な臓器機能の詳細なメカニズムに基づいた管理の利用可能性の欠如により、更に動機付けされている。第1に、心拍リズム異常、心不全、或いは、場合によっては、虚血に対する生理学的寄与の概念的な知識が限られている。第2に、前記生理学的寄与には個人の間における可変性が存在しており、例えば、構造的異常性の影響が、一人の個人対別の者における心房細動又は心不全を変更しうる。第3に、生理学的相互作用はしばしば動的であり、且つ、環境の変化に応答しうる。動的な変化は、正常な又は異常な年齢に関係する変化、或いは、疾病の開始又は回帰を反映するべく、複数の年、複数の月、或いは、場合によっては、複数の週にわたって発生しうると共に、初期において機能していた管理が有効ではなくなる理由を説明しうる。第4に、この病理生理学を変調することは、定義されている場合にも、しばしば、些細なことではない。これらの制限は、複数の臓器系に適用される。従って、既知の関連付け又は生理学的パターンから心臓又は身体の残りの部分の機能を先験的に変調することは、大きな課題である。
【0027】
いくつかのイノベーションが、本発明の方式を従来技術から分離している。第1に、この方式は、「パーソナライズされた医療」又は「高精度医療」のデジタルベッドサイド実装である、定量的パーソナルデジタルフェノタイプ(PDP)を生成しており、これは、多くの疾病において欠如しうる細胞又は遺伝性データを必要としてはいない。第2に、PDPは、容易に入手可能な信号を含む、複数のデータ入力の組合せを表す。これらの信号は、単純に集計されてはおらず、且つ、健康又は疾病をパーティション化するべく、その個人内の裁定された正常な状態における信号に照らして決定されている。これは、複雑なデータ入力を必要としない場合がある。第3に、この方式は、母集団内の(電子健康記録からのものを含む)検知されたデータストリーム及び/又は入力データ要素を使用することにより、所与の疾病又は健康状態用の新規のデジタルタクソノミーを生成する。疾病プロセスの定量的な形態を定義するべく、これらのデータセットを分類又はパーティション化をするために、数学的、統計的、及び機械的学習技法が使用されている。母集団データ要素が、より詳細且つ広範である、即ち、より「豊富」である、ほど、演算されるデジタルタクソノミーも、より広範なものとなりうる。一実施形態においては、異なる病院が、データの匿名化された大きなデジタルパースペクティブレジストリに寄与しており、これは、異なる患者グループ、多様な療法からの結果に関する実施パターン及びデータに寄与することになる。第4に、本発明の方式は、更新されたデータ及び演算された変動を使用することにより、時間に伴ってPDP及びタクソノミーを適合させることができる。第5に、本発明のシステムは、新規のセンサのみならず、別個の又は組合せにおいて動作しうる(例えば、ネットワーク化された)既存の健康管理装置を利用する。また、第6に、クラウドソーシングされた分析を可能にするべく、撮像装置などの専門的な医療機器からのデータ、個人内の多くのセンサからの、或いは、場合によっては、その他の個人からの、データストリーム、を含む、複合的な入力を内蔵することができる。第7に、本発明の方式を使用して生成されたフェノタイプは、「パーソナライズされた医療」の適合を可能にする。最後に、本明細書において記述されているシステム及び方法は、ライフスタイルの変化、薬物治療、電気又は機械的療法、外科的な又は最小限に侵襲的なアブレーション、遺伝性又は幹細胞療法のうちの1つ又は組合せを介して、療法を提供するべく、定量的な手段を提供する。
【0028】
心拍リズム障害に対する特定の適用においては、心房細動などの複雑な不整脈用の療法のこれまでは認識されていない形態である、タクロリマスなどの物質を利用した免疫抑制を含む抗炎症療法を使用することにより、不整脈をターゲットとすることできる。従って、本発明の方式は、反復的な介入を除去することにより、結果を改善することができる--最高の予測された初期成功を有する方式を開始時点において所与の個人のために設計及び適用し、これにより、治療における費用及び遅延を低減することができる。
【0029】
一実施形態において、PDPは、個人からの検知されたデータ及びデータ要素の複数のストリームを使用することにより、定義されている。これは、母集団内の類似のデータの数学的表現に類似しており、これは、新規の疾病タクソノミーを構成し、これにより、個人用の療法を含む個別化された管理を可能にする。本発明の方式は、機械学習を含む決定論的且つ確率論的方法を使用することにより、その個人内の心臓状態の定量的なフェノタイプとして、これらのデータをデジタル的に表する、直接的に検知されたデータ及び多様なソースからの臨床データを利用しており、且つ、統合された又は外部の装置を使用することにより、療法をガイドする。本発明のシステムは、変化する状態において療法を適合させるべく、或いは、心臓状態における悪化又は改善を予測するべく、時間に伴って反復される計測を使用することにより、パーソナルフェノタイプを更新する能力を有する。本発明の方式は、個々に、或いは、基準母集団との比較において、患者内の健康の豊富なデジタルポートレートを形成する、時間に伴ってデータの範囲及び更新の数によって増大する広範な用途を有する。また、パーソナライズされたデジタルネットワークは、疾病における混乱と成功的な療法の際の正常化を識別するべく、所与の臓器系内のホメオスタシスを追跡することができる。データストリームは、電気活動の侵襲的記録(エレクトログラム)、血液の流れ及び圧力(血行動態)、壁張力(心臓収縮及び弛緩)、及び関係するインデックスを含む、容易に計測されるシステムから、侵襲的又は非侵襲的に導出することができる。センサは、非侵襲的に、心電図から、神経活動の皮膚反応尺度及び皮膚反射率を記録することができる。使用されうる検知信号のその他のタイプについては、当業者には明らかであろう。
【0030】
生物学的臓器又はプロセスの異なる側面を表すべく、本発明の方法において使用されるデータタイプを選択及びソートすることができる。心臓内において、データストリームは、個人の、電気信号、3次元の解剖学的且つ構造的な異常性、履歴及び物理的検査から抽出された臨床データ、病理生理学的併存症のインデックス、血液及び組織バイオマーカー、並びに、遺伝性及び細胞構造のうちの1つ又は複数を有する。
【0031】
候補パーソナルデジタルフェノタイプは、信号処理から導出されたインデックス、教師なし機械学習からのものを含むデータクラスタ、及び類似の且つ非類似の個人内のラベル付与されたイベントによってトレーニングされた教師付きネットワークを表す、病理生理学的ネットワークのオブジェクト化された表現である。デジタルオブジェクトは、疾病のネットワーク内の欠陥及び健康における矯正をピンポイントするべく、内観的な分析を使用することにより、病理生理学の広範なポートレートを提供する。
【0032】
一実施形態において、本発明の方法及びシステムは、複雑な生理学的及び臨床的入力を患者レベルにおいて結果にリンクする分類を開発及び学習するべく、機械学習を使用する。次いで、これは、個人の特定の特性に基づいて最適な療法を予測するべく、前向きに使用されている。従って、この技法は、療法をパーソナライズするべく定量的に使用されうるデジタルフェノタイプから構成された疾病用の新規の患者固有のタクソノミーを生成する。
【0033】
本発明の方式の用途は、データ入力の豊富さに伴って広がる。時間不変性及び時間変化性のデータストリームは、正常な変動又は疾病状態を表しうる重要な入力である。特に、機械学習及び深層ニューラルネットワークは、本発明の望ましい特徴である、ネットワークのサイズが大きい際に、且つ、本発明のおけるデジタルタクソノミーの生成と一体的である、データリポジトリが大きい際に、最も有用である、と考えられる。
【0034】
データストリームは、複数であり、これらは、正常範囲、ノモグラム、及び臨床研究が、しばしば、個人、エスニックグループ、母集団、或いは、治療されている個人内の疾病を反映しえないあまり明確に定義されてはいない疾病状態において実行されている、という従来技術における制限に対処するべく、設計されている。複数のデータストリームは、管理及び療法のパーソナライズを支援するように設計されている。これは、疾病用の家族性傾向(メンデル又は非メンデル)、識別可能な遺伝性座、体重の変動、或いは、たばこ又はアルコールなどの毒素に対する感受性を含みうる。その他のフェノタイプは、臨床的に識別可能でありうるが、バイオマーカーによって追跡されえず、或いは、人種又は民族的感受性などの緩い統計的な定義を有することもできる。
【0035】
信号は、センサとの物理的接触を伴うことなしに検知することができる。例は、心磁図(MCG:magnetocardiogram)からの放出電磁界から、或いは、心臓モーションの赤外線シグネチャから心臓拍動を検知することを含む。
【0036】
また、信号は、センサとの物理的接触を介して検知することもできる。例は、呼吸又は心臓拍動からの胸壁運動、特定のタイプの呼吸(例えば、大きな閉塞性呼吸音)又は心臓音(例えば、所謂、医療文献における「スリル」)からの胸壁振動のモーション検知を含む。電磁センサは、筋電図(EMG:electromyogram)、脳波図(EEG:electroencephalogram)、心電図(ECG:electrocardiogram)、又はその他のエミッタに関係する電磁信号を検知することができる。呼吸センサは、胸壁、腹部、又は換気と関連するその他の身体部分の運動、或いは、呼吸と関連する音響データ(音)、或いは、呼吸と関連する酸素化を検出することができる。化学センサは、酸素化及び脱酸素、代謝性アシドーシス、ストレス、又は生化学技術分野における熟練者が精通するその他の状態などの、生体化学を反映する、皮膚又はその他のメンブレン上の化学信号を検出することができる。また、センサは、指紋又はその他の身体部分からの接触を必要とするカメラ又はレンズを使用して画像を検出することが可能であり、又は、特定の筋肉からの運動を検知することが可能であり、或いは、虹彩拡大又はコンタクトレンズ内のフォトセンサからの発振を検知することができる。位置センサは、身体部分の位置及び時間に伴う変化(歩行を含む)、或いは、一時点における又は時間に伴う特定の身体部分の位置(例えば、顔面垂下、顔面チック、又はその他の特異体質運動)の接触検知を識別しうる。
【0037】
あまり一般的に使用されていないセンサは、炎症を検出するべく使用されているものを含む。従来技術において、炎症の見出しの重要性は、しばしば、一時点において又は時間に伴って、任意の所与の人物において、且つ、人々の間において、明らかではない。「インフラモソーム」は、いまだ一般的には実行されてはおらず、昼間変動を評価することができず、身体全体の炎症状態に対する明らかではない関係を有する場合があり、且つ、個人の間において明らかではない相違点を有する場合があり、即ち、「ノモグラム」、或いは、正常又は異常な状態、を確立するための方法が明らかではないが、細胞又は組織レベルにおける様々な病理生理学的傷害からの炎症の影響を計測することができる。これは、パーソナライズされたデジタルフェノタイプに良好に適した疾病追跡及び治療用の別のエリアである。
【0038】
本発明において、炎症のパーソナライズされた状態は、主に炎症を起こした臓器系内の、或いは、血液、尿、又は脳脊髄流体などの身体流体内の、炎症細胞の存在によって検出することができる。また、炎症の副産物は、インターロイキン6、神経成長因子、マトリックスメタロプロテアーゼなどのバイオマーカー及びサイトカインの上昇した濃度により、検出することもできる。その一方で、炎症の文脈においては、様々な生理学的マーカー(所謂、「急性期反応物質」)が異常である。炎症は、上昇した白血球カウントに加えて、赤血球カウントにおける、ヘモグロビン濃度における、且つ、C-反応性タンパク質、赤血球沈降速度又は白血球カウントなどの、無数の急性期反応物質における異常性をもたらす。心臓内において、心臓細胞破壊のマーカーである血清トロポニンは、そのレベルが炎症に伴って低下する急性期反応物質(「逆急性期反応物質)」)であることが周知である。
【0039】
心房細動などの心拍リズム障害の好適な一実施形態の場合に、(移植のために使用される)免疫抑制療法、ステロイド又は非ステロイド剤、又は細胞療法は有効でありうる。この実施形態用の理論的根拠は、免疫抑制剤を受け取る心臓移植後の患者がAFをめったに発症しない、という点にある。この利益は手術の傷による肺静脈の隔離に帰されるが、その他の母集団の場合に、肺静脈の隔離は、最良でも、50~70%のAFからの自由しか提供していない。本発明の概念を支援するべく、炎症は、孤立性AF、並びに、肥満、心膜脂肪、又は反応性酸素種からの酸化ストレスに関係するAFにおけるAFの原因として見なされている。但し、AFを含む複合的なリズム障害用の免疫抑制の使用は、過去において、めったに実装されていない。本発明の方式を使用することにより、デジタルタクソノミー及びPDPは、免疫抑制を含む抗炎症療法が有用でありうる、炎症性不整脈を有する可能性の高い個人を識別することになる。
【0040】
本発明のシステムは、新規のセンサを使用することにより、身体系からデータ信号を検知することができる。検知されたデータストリームは、デジタルネットワーク表現を生成するべくその他のデータ要素と組み合わせられてもよく、その個人内のその他の系により検知又は検出されてもよい。計測可能な身体系からの検知信号は、中枢及び末梢神経系、心血管系、呼吸器系、骨格筋肉及び皮膚、並びに、任意のその他の身体系を含みうる。その他の入力データ要素は、撮像、核、遺伝性、研究室、又はその他のソースから到来してもよく、且つ、ストリームとして検知されてもよく(即ち、システムに送信されてもよく)、或いは、特定の時点における値として入力されてもよい。
【0041】
本発明の一態様において、患者内の疾病は、時間に伴って患者の組織内において生成される生物学的信号を検出するように構成された少なくとも1つのセンサによって生成される少なくとも1つのデータを収集し、患者の、人口統計、臨床、研究室、病理学、化学、画像、履歴、遺伝性、及び活動データうちの1つ又は複数を有する患者データ要素を取得し、パーソナライズされたデジタルフェノタイプ(PDP)を生成するべく、パーティション化アルゴリズムを実行するように構成された処理モジュールにより、少なくとも1つのデータストリーム及び取得された患者データ要素を処理し、患者を1つ又は複数の定量的疾病分類に分類するべく、PDPを以前のデータから構築されたデジタルタクソノミーと比較し、且つ、1つ又は複数の定量的疾病分類に基づいて患者用の治療をパーソナライズすることにより、識別及び治療されている。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つのセンサは、患者の身体との物理的接触状態にあり、且つ、データストリームは、有線又は無線通信のうちの1つにより送信される。センサは、電極、光学センサ、圧電センサ、音響センサ、電気抵抗値センサ、熱センサ、加速度計、圧力センサ、フローセンサ、及び電気化学センサのうちの1つ又は複数であってよい。生物学的信号は、電気心臓信号、機械心臓信号、心拍数、心臓音、呼吸音、呼吸数、呼吸容積、神経活動、及び免疫学的信号、のうちの1つ又は複数を含みうる。患者データ要素は、電気信号、血行動態データ、撮像からの心臓構造、心臓又は肺伝導と関連する臨床因子、神経信号、遺伝性プロファイル、代謝状態のバイオマーカー、及び患者運動のうちの1つ又は複数のインデックスを含みうる。
【0042】
本発明の方法は、処理の前に、タイムスタンプを少なくとも1つのデータストリーム及び患者データ要素のそれぞれに適用するステップを更に含むことができる。パーティション化アルゴリズムは、教師付き機械学習、ニューラルネットワーク、相関分析、ロジスティック回帰分析、決定木、時間ドメイン分析、周波数ドメイン分析、三角法変換、対数変換、クラスタ分析、及び教師なし機械学習、のうちの1つ又は複数であってよい。デジタルタクソノミーは、患者の以前のデータを含みうる。1つ又は複数の定量的疾病分類は、前記個人内の、回転又は局所アクティベーションパターン、間欠的回転又は局所アクティベーションパターン、不完全なアクティベーションパターン、並びに、特定の心臓構造のサイト又は特定の解剖学的サイトのうちの1つ又は複数であってよい。患者の組織は、心臓、心臓の領域に供給する神経、神経を制御する脳の領域、心臓の領域に供給する血管、及び心臓に隣接する組織であってよい。いくつかの実施形態にいて、疾病は、心房細動、心室細動、心房性頻脈、心房性粗動、多形性若しくは単形性心室頻脈、心室性粗動、又は心臓内のその他の電気異常のうちの1つ又は複数を有する心拍リズム障害であってよい。このような実施形態において、方法は、処理の前に、少なくとも1つのデータストリームを使用することによりマップを生成するステップを更に含んでいてもよく、マップは心臓内の場所におけるアクティベーションを表す画像であり、且つ、処理ステップは相対的に高いアクティベーションの場所を識別するステップを含む。その他の実施形態において、データストリームは偽のディフレクションを含む臨床エレクトログラムであり、且つ、処理ステップは、異なる心拍リズムと関連する1つ又は複数の基準信号についてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用することにより、再構築されたエレクトログラムを生成するステップを更に含む。
【0043】
いくつかの実施形態において、パーソナライズされた介入は、接触装置を介したエネルギー配給、非接触装置によるエネルギー配給によるアブレーション、電気療法、熱療法、機械療法、薬剤療法の配給、免疫抑制の配給、幹細胞療法の配給、及び遺伝子療法の配給、のうちの1つ又は複数により、患者の組織の少なくとも一部分を変更するステップを含みうる。方法は、PDP用の更新されたパーソナル履歴データ、分類された1つ又は複数の定量的疾病分類、パーソナライズされた介入、及び介入結果を生成するステップを更に含みうる。
【0044】
本発明の別の態様において、患者内の疾病を識別及び治療するシステムは、経時的に患者の組織内において生成される生物学的信号を検出するように、且つ、少なくとも1つのデータストリームを生成するように、構成された少なくとも1つのセンサと、少なくとも1つのデータストリームを収集するように;患者の、人口統計、臨床、研究室、病理学、化学、画像、履歴、遺伝性、及び活動データのうちの1つ又は複数を有する患者データ要素を収集するように;パーソナライズされたデジタルフェノタイプ(PDP)を生成するべく、パーティション化アルゴリズムを実行するように構成された処理モジュール内において少なくとも1つのデータストリーム及び患者データ要素を処理するように;患者を1つ又は複数の定量的疾病分類内に分類するべく、PDPを保存されている以前のデータを有するデジタルタクソノミーと比較するように、及び、分類された1つ又は複数の定量的疾病分類に基づいて、患者を治療するべくパーソナライズされた介入を判定するように、構成された演算装置と、を含む。
【0045】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つのセンサは患者の身体との物理的接触状態にあり、且つ、データストリームは有線又は無線通信のうちの1つにより送信されている。センサは、電極、光学センサ、圧電センサ、音響センサ、電気抵抗値センサ、熱センサ、加速度計、圧力センサ、フローセンサ、及び電気化学センサのうちの1つ又は複数であってよい。生物学的信号は、電気心臓信号、機械心臓信号、心拍数、心臓音、呼吸音、呼吸数、呼吸容積、神経活動、及び免疫学的信号のうちの1つ又は複数を含みうる。患者データ要素は、電気信号、血行動態、撮像からの心臓構造、心臓又は肺伝導と関連する臨床因子、神経信号、遺伝性プロファイル、代謝状態のバイオマーカー、及び患者運動のうちの1つ又は複数を含みうる。
【0046】
本発明のシステムは、処理の前に、タイムスタンプを少なくとも1つのデータストリーム及び患者データ要素のそれぞれに適用する演算装置を更に含む。パーティション化アルゴリズムは、教師付き機械学習、ニューラルネットワーク、相関分析、ロジスティック回帰分析、決定木、時間ドメイン分析、周波数ドメイン分析、三角法変換、対数変換、クラスタ分析、及び教師なし機械学習のうちの1つ又は複数であってよい。デジタルタクソノミーは、患者の以前のデータを含みうる。1つ又は複数の定量的疾病分類は、前記患者内の、回転又は局所アクティベーションパターン、間欠的回転又は局所アクティベーションパターン、不完全なアクティベーションパターン、及び、特定の心臓構造のサイト又は特定の解剖学的サイトのうちの1つ又は複数であってよい。患者の組織は、心臓、心臓の領域に供給する神経、神経を制御する脳の領域、心臓の領域に供給する血管、心臓に隣接する組織であってよい。いくつかの実施形態において、疾病は、心房細動、心室細動、心房性頻脈、心房性粗動、多形性又は単形性心室頻脈、心室性粗動、又は心臓内のその他の電気異常のうちの1つ又は複数を有する心拍リズム障害であってよい。このような実施形態において、方法は、処理の前に、少なくとも1つのデータストリームを使用することによりマップを生成するステップを更に含んでいてもよく、マップは心臓内の場所におけるアクティベーションを表す画像であり、且つ、処理ステップは相対的に大きなアクティベーションの場所を識別するステップを含む。その他の実施形態において、データストリームは偽のディフレクションを含む臨床エレクトログラムであり、且つ、処理ステップは、異なる心拍リズムと関連する1つ又は複数の基準信号についてトレーニングされた機械学習アルゴリズムを使用することにより、再築されたエレクトログラムを生成するステップを更に含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、パーソナライズされた介入は、接触装置を介したエネルギー配給、非接触装置を介したエネルギー配給によるアブレーション、電気療法、熱療法、機械療法、薬剤療法の配給、免疫抑制の配給、幹細胞療法の配給、及び遺伝子療法の配給のうちの1つ又は複数により、患者の組織の少なくとも一部分を変更するステップを含みうる。演算装置は、PDP、分類された1つ又は複数の定量的疾病分類、パーソナライズされた介入、及び介入結果を有する更新されたパーソナル履歴データを生成するように更に構成することができる。
【0048】
本発明の方式の大きな一利点は、デジタルタクソノミーがクラウドソーシングを介して生成及び更新されることを可能にするべく、現時点の患者に類似の又は非類似のプロファイルを伴って、その他の個人からのストリームを分析するその能力である。
【0049】
一態様において、本発明のシステムは、プロセッサと、プロセッサによって実行された際に、人間の身体と関連する1つ又は複数のセンサにおいて1つ又は複数の身体的機能と関連する身体信号を検出するステップ、1つ又は複数の検知されたシグネチャを生成すべく身体信号を処理するステップ、エフェクタ応答を判定するべくデジタルオブジェクトを使用してシグネチャを処理するステップ、身体タスクを制御するべく1つ又は複数のエフェクタ応答を配給するステップ、及び前記応答を監視するステップを含む動作を実行する命令を保存したメモリと、を含む。
【0050】
好適な一実施形態は、心拍リズム障害に関係する。電気信号を使用することにより、本発明のシステムは、従来技術を拡張した療法用の正確なターゲットを提供するべく、前記個人に関する統計的な計測及び推定されたデータによってパーソナライズされたリズム異常の原因を識別することができる。電気信号を解剖学的、臨床的、又はその他のデータと組み合わせることより、ネットワークは、心臓-生理学的ネットワーク内の欠陥を識別し、これにより、パーソナライズされた療法が個人内の心拍リズム障害を治療することを可能にする。この実施形態においては、侵襲的又は非侵襲的療法をガイドするべく、心拍リズム障害の開始を予測することが可能であり、且つ、開始されたら、それらのソースを識別することができる。
【0051】
要すれば、本発明は、個別化されたデジタルフェノタイプを生成するべく、複数の検知及び入力されたデータを使用しており、これらのフェノタイプは、既知の結果を有する者を含む、類似の又は非類似の個人からのデジタルタクソノミーと比較され、且つ、健康を維持するためのパーソナライズされたデジタル医療方式として、或いは、疾病を矯正するための療法として、適用されている。限定を意図していない好適な実施形態は、心拍リズム障害における、冠状動脈疾病における、並びに、心不全における、心臓用途を含む。
【0052】
いくつかの実施形態は、限定ではなく例として、以下の添付図面の図において示されている。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1図1は、デジタルタクソノミー及びフェノタイプ固有の療法用の本発明の一実施形態の概要を有するブロック図である。
図2図2は、心臓又は関係する臓器からストリーミングされたデータを多くの臨床ソースからの入力データと統合する、心臓アプリケーションを有する、本発明のシステムの一実施形態の図である。
図3A図3Aは、パーソナルデジタルフェノタイプ(PDP)の分析処理用の信号を検知する例示用の装置の回路図を提供する。
図3B図3Bは、パーソナルデジタルフェノタイプ(PDP)の分析処理用の信号を検知する例示用の装置の回路図を提供する。
図4図4は、パーソナルデジタルフェノタイプ及びデジタルタクソノミーを使用する例示用のワークフローの図である。
図5図5は、パーソナルデジタルフェノタイプ(PDP)を生成する例示用のプロセスを示すフロー図である。
図6図6は、パーソナルフェノタイプ及びデジタルタクソノミーが、健康、疾病を定義するべく、或いは、継続する観察を正当化するべく、使用されうる方式を示すフロー図である。
図7図7は、パーソナルデジタルフェノタイプの特定の乱れた要素を識別するプロセスフローを要約する。
図8図8は、心房細動用のPDPに基づいた例示用の治療シーケンスを示す。
図9図9は、(A)ソース/ドライバから離れた細動伝導、(B)ソース/ドライバを混乱させない解体された活動、(C)構造的異常性に基づいた不整脈、を含む複合的な不整脈の例示用のフェノタイプを示す。
図10図10Aは、不整脈のソースの空間的位置特定を制約又は混乱させるステップ、或いは、不整脈用のソースを終了させるステップ、を含む、不整脈のパーソナルデジタルフェノタイプに基づいて設計された介入を示す。図10Bは、不整脈のソースの空間的位置特定を制約又は混乱させるステップ、或いは、不整脈用のソースを終了させるステップ、を含む、不整脈のパーソナルデジタルフェノタイプに基づいて設計された介入を示す。図10Cは、不整脈のソースの空間的位置特定を制約又は混乱させるステップ、或いは、不整脈用のソースを終了させるステップ、を含む、不整脈のパーソナルデジタルフェノタイプに基づいて設計された介入を示す。
図11図11は、入力データとしてエレクトログラム(電圧-時間信号)を有する不整脈の分析及び治療用の本発明の方法の一実施形態のプロセスフローを示す。
図12A図12Aは、入力データとして任意のマッピング方法からの回転アクティベーションのマップを有する、不整脈の分析及び治療用の本発明の方法の一実施形態のプロセスフローを示す。
図12B図12B図12Eは、所与の患者の不整脈用のマップを導出するべく図12Aの本発明の方式を使用するステップの詳細を示しており、図12Bは、ディフレクションを識別するステップにおける課題の例を提供する。
図12C図12Cは、本発明の方法の一実施形態による再構築を示す。
図12D図12Dは、異なる臨床信号に対する本発明の方式の適用を図式的に示す。
図12E図12Eは、信号を再構築するための本発明の方式の適用を示す。
図13A図13Aは、CNNを使用する機械学習方式の例示用の設計を示す。
図13B図13Bは、パーソナルデジタルフェノタイプ用の教師付き機械学習方式用の例示用のプロセスフローを示す。
図14図14A図14Dは、心拍リズム障害用の本発明のシステムの一実施形態において生成される例示用の出力情報を提供しており、図14Aは、回転及び非回転領域にセグメント化されたAFマップ及びAFの不整脈マップの試験セットにおけるニューラルネット精度のプロットを示し、図14Bは、AFマップ用の機械学習の解釈の例示用の実施形態を示し、図14Cは、心拍リズム障害の原因を特定するための解釈可能性分析の精度を示し、及び、図14Dは、ユーザーインターフェイス/モバイル装置における可能な表示内容を示す。
図15図15は、本発明を実装するための一般的なコンピュータシステムの例示用の実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本開示の目的のために以下の定義が適用される。
【0055】
「連合学習」は、入力データを計測可能な生理学又は臨床結果とリンクするプロセスを意味する。連合学習は、反復的であってもよく、これにより、関連付けが、入力と計測された出力(生理学的又は臨床エンドポイント)との間の変化のパターンに基づいて、変更(「学習」)されることを可能にする。
【0056】
「生物学的信号」は、身体によって生成される信号を意味しており、且つ、1つ又は複数の身体系を反映しうる。例えば、心拍数は、心臓機能、自律神経系の緊張、及びその他の因子を反映する。また、非生物学的信号も、参照されたい。
【0057】
「バイオメトリック信号」は、人間の特性のメトリックを提供する信号を意味する。バイオメトリック識別子は、生理学的なものであってもよく、或いは、振る舞い的なものであってもよい。生理学的バイオメトリックは、限定を伴うことなしに、個人の、DNA、指紋又は掌紋、口腔スワブ、組織又は尿サンプル、網膜画像、顔面認識、手又は足の形状、虹彩の認識、或いは、匂い/香りを含む。また、これは、バイタルサイン、ECG、EEG、EMGなどのような、信号にも適用されうる。振る舞い的バイオメトリックは、歩行の歩調又はタイピングリズムなどのパターンを含む。本発明の実施形態は、時間に伴う組み合わせられた生理学的且つ振る舞い的バイオメトリックの動的なパターンを使用しており、これらは、個人内の変化に適合しており、且つ、従って、人物のシグネチャの以前の「バージョン」からの偽造に対して安定する。
【0058】
「身体」は、単細胞の生物、多細胞の生物、ウイルス、及びプリオンの物理的構造を意味する。生物は、(限定を伴うことなしに、人間及びその他の哺乳動物などの)動物、植物、バクテリア、などを含む。
【0059】
「消費者装置」は、医療処方を伴うことなしに消費者が直接的に利用可能である装置を意味する。過去においては、このような装置は、通常、米国食品医薬品局又はその他の国の類似の規制当局などの、医療規制当局又は組織によって規制されてはいなかったが、最近では、いくつかの装置がFDAの承認を受けている。消費者装置は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれらの組合せを含みうる。これは、通常、医療装置ではなく、医療装置は、人間又はその他の動物内の、疾病又はその他の状態の診断、或いは、疾病の治癒、軽減、治療、又は防止において、使用されるべく意図された、コンポーネント部分又はアクセサリを含む、インスツルメント、装置、実装、機械、工夫、埋植物、体内試薬、或いは、その他の類似の又は関係する物品として定義されている。医療装置の定義は、医療決定サポートソフトウェアを除外する。
【0060】
「エフェクタ」は、身体タスクを実行する手段であり、且つ、物理的アプライアンス、人工補綴物、機械的又は電気的装置を含みうる。物理的アプライアンスは、睡眠の際に呼吸を改善するべく四肢を運動させる又はダイアフラムを運動させるための装置、睡眠の際に気道を開放した状態において維持するためのスプリント、睡眠の際に呼吸を改善するための横隔神経の電気刺激などの、身体機能を刺激するための1つ又は複数の信号、或いは、サイバネティック四肢、或いは、末梢又は中枢神経系用の埋め込まれた回路、などの人工補綴物などのように、身体機能を改善することができる。
【0061】
「データストリーム」又は「データのストリーム」は、検知されている生物学的プロセスに関するリアルタイム又はほぼリアルタイムの情報を提供しうる、1つ又は複数のセンサによって検知された生物学的データを意味する。心臓内のセンサは、心電図(ECG)、心拍数、脈動波形、並びに、従って、心臓血行動態を有するストリームを提供しうる。その他のデータストリームは、心臓音、心雑音の分析、及び心臓に関係する血行動態の高度な分析を含む、心臓音を含みうる。肺機能は、胸運動、聴診音、及び呼吸と関連する神経発火として検知することができる。胃腸疾病は、音(腹鳴)、腹壁上の運動、及び内臓の滑らかな筋肉活動に関係する電気信号として、検知することができる。中枢及び末梢神経系活動は、頭皮上の(エレクトロエンセファログラム、EEG)、頭皮から離れた、但し、依然として、EEGを反映する、且つ、末梢神経発火からの、神経活動として検知することができる。
【0062】
本明細書において使用されている「人口統計」は、限定を伴うことなしに、年齢、性別、疾病の家族履歴、及び併存症の存在を含みうる、臨床的に関係するパーソナル情報を意味する。
【0063】
「デジタルタクソノミー」は、定量的インデックスに基づいた疾病又は健康の異なる状態のパーティションを意味する。従来の疾病分類は、「心房細動は、相対的に高齢の個人、弁膜症又は心不全などの心臓併存症を有する者、メタボリックシンドロームを有する者において、より一般的である」と述べうる。逆に、デジタルタクソノミーは、定量的なものになるように設計されており、これにより、定量化可能な一次的及び二次的データ要素(即ち、データベクトル)の観点において特定の疾病における個人の健康状態について記述する。疾病エンティティDが特定の個人内に存在する尤度は、確率p(D)により近似される。
ここで、mは、利用可能なデータ入力タイプの数であり、nは、検討されている疾病であり、且つ、p(Vn,i)は、データベクトルVn,iが、入力iにおいて疾病nに寄与する確率であり、且つ、kは、疾病n用の重み付け定数である。これらの要素は、デジタルタクソノミーにより、推定されており、デジタルタクソノミーは、特定のデータ入力がその疾病に寄与する特定の確率を演算する。確率は、母集団データから取得することが可能であり、この場合に、特定の人物は、この確率を推定するべく、その母集団からの最も近接した個人に対してマッチングされている。また、確率は、健康の可能性が高い又は裁定された時点において、且つ、理想的には、疾病の可能性が高い又は裁定された時点において、この特定の個人のみから取得することもできる。これらの計算は、従来の推定式により、実行されうるが、機械学習により、形成することもできる。このようにして、デジタルタクソノミーは、複数の関係するデータ入力における異常性の集合体からの疾病エンティティの確率を確率論的に表す。従って、このプロセスは動的であり、その理由は、特に、裁定された疾病状態が相応して更新される場合に、より多くのデータ入力が利用可能となるのに伴って、且つ、データストリームが変化するのに伴って、任意の所与の疾病用のタクソノミー式が変化することになるからである。従って、このデジタルタクソノミーは、クラウドソーシングされたパラダイムとして、個人内のウェアラブル装置からの大量のデータ又はいくつかの個人からの大量のデータを分析するのに非常に適する。
【0064】
「履歴データ」は保存されているデータを意味しており、これは、例えば、臓器の磁気共鳴撮像(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、放射線、又はその他のスキャンなどの、医療撮像からの報告、遺伝性な試験分析からのデータ(例えば、1つ又は複数のゲノム変形の存在)、予め取得されたECG報告、病理学、細胞学、及びその他の研究室報告のみならず、年齢、性別、疾病の家族履歴、及び併存症の存在などの、臨床人口統計を含みうる。履歴データは、例えば、精神病、ストレスの多い職業における雇用、妊娠の回数(女性の場合)、喫煙、薬物又はアルコールの乱用などのようなハイリスクな振る舞いの実行などのような、PDPの生成に関連しうる、更なるパーソナル履歴詳細を更に含みうる。
【0065】
「入力データ」又は「データ入力」は、システムの物理的コンポーネントに直接検知されないデータ、但し、PDP及びデジタルタクソノミーを生成するべく、検知されたデータとの関連において処理ユニットによって利用されるデータ、を意味する。データソースからの入力データは、例えば、外部ECG又はEEGシステムなどの、その他のシステムを使用して検出されたデータのストリーム、臨床、研究室、病理学、化学、又はその他のデータ、或いは、医療撮像装置からのデータ、を含んでいてもよく、このデータは処理ユニットに送信されている。
【0066】
「機械学習」は、静的なプログラミング命令に従うのではなくモデルを構築することによりデータから学習することが可能であり、且つ、データに基づいて予測を実施することができる、一連の分析方法及びアルゴリズムを意味する。機械学習は、しばしば、人工知能の1つのブランチとして分類されており、且つ、新しいデータに曝露された際に変化しうるコンピュータプログラムの開発に焦点を合わせている。本発明において、機械学習は、検知されたシグネチャをそれぞれの個人内の身体タスクとリンクするデジタルネットワークを生成するべく使用されうる、即ち、パーソナライズされた解決策が健康を維持し、且つ、疾病を診断するための1つのツールである。機械学習技法は、教師付き学習、転位学習、教師なし学習、又は強化学習を含む。いくつかのその他の分類が存在しうるが、大部分は以下の概念を実施しうる。
【0067】
「教師なし機械学習」は、潜在的には、臨床データ(心房細動の診断)などの、データの間の内部リンク、家族履歴、物理的検査からのデータ(不規則に不規則な脈動)、センサからのデータ、電気データ(ECG上の不規則な心房信号)、構造的撮像データ(肥大した左心房)、バイオマーカー、遺伝性及び組織データの間におけるリンクを識別するべく使用されうる、クラスタ分析などの方法を含む。
【0068】
「教師付き機械学習」は、明示的に入力をモデル化することなしに、即ち、潜在的に不正確な(「バイアスされた」)機構仮説を採用することなしに、一連の関係する又は関係していないと思われる入力を1つ又は複数の出力クラスに分類しうる方法を含む。
【0069】
「強化学習」は、心理学に関係する機械学習の一形態であり、これは、ソフトウェアエージェントが、累積報酬を極大化するべく特定の環境においてアクションを実行する方式に焦点を合わせている。強化学習は、しばしば、ゲーム理論、オペレーションリサーチ、群知能、及び遺伝的アルゴリズムにおいて使用されており、且つ、近似ダイナミックプログラミングなどの、その他の名称を有する。機械学習における1つの実装形態は、マルコフ決定プロセス(MDP:Markov Decision Process)としての定式化を介したものである。強化学習は、マッチングされた入力及びラベル付与された出力を必要としてはいない、並びに、(例えば、パーセプトロンにおける逆伝播アルゴリズムなどを介して、次善の報酬を補正しうる教師付き学習とは異なって)次善の報酬を結果的にもたらすアクションが明示的に補正されてはいない、という点において、教師付き機械学習とは異なっている。
【0070】
「医療装置」は、人間又はその他の動物内の、疾病又はその他の状態の診断において、或いは、疾病の治癒、軽減、治療、又は防止において、使用されるべく意図された、コンポーネント部分又はアクセサリを含む、インスツルメント、装置、実装、機械、工夫、埋植物、生体内試薬、又はその他の類似の又は関係する物品を意味する。医療装置の定義は、医療決定サポートソフトウェアを除外する。
【0071】
「ニューラルネットワーク」は、パターンを認識するべく使用されうる人間脳に緩やかに則ってモデル化された、相互接続されたノードの自己学習ネットワークを意味する。人工ニューラルネットワークは、経験則、決定論的規則、及び詳細なデータベースと組み合わせることができる。
【0072】
「パーソナルデジタルフェノタイプ」(「PDP」)は、個人内の疾病エンティティ又は健康の側面を表す、複数のデータ入力及びストリームのデジタル的な組合せを意味する。データ要素は、特定の年齢、性別、及び疾病率のその個人の疾病又は健康に対する寄与のその尤度をよって重み付けされた、個人の健康状態を直接又は間接的に表すことができる。デジタル的な組合せ及び重み付けは、健康及び疾病に対する影響の算出された且つ文書化された確率により、異なる要素を機能グループにパラメータ化するアルゴリズム分析により、実行されている。組合せは、機械学習の決定論的なアルゴリズム及び形態を有しうる。例えば、心拍リズムフェノタイプは、主には、心拍数及び(表面ECG及び心臓内の)エレクトログラフィック信号を考慮することになる。相対的に大きな数学的重み付けが、これらのデータ要素に付与されることになる。その他の(間接的な)臓器系からのデータストリームは、心拍数に伴う呼吸数の変化(即ち、肺センサ)、心拍数に伴う神経発火(即ち、神経機能)の変化を含みうる。その他の重要なデータ要素は、異常な心臓駆出率、心臓の構造的異常性の場所及び存在を含む。また、年齢、性別、及び家族履歴を含む、履歴データは、デジタルパーソナルフェノタイプの全体に影響を及ぼしうる。
【0073】
「指標個人」は、パーソナルデジタルフェノタイプが生成されうる、研究又は評価の患者又はターゲットを意味する。
【0074】
本明細書において使用されている「母集団データ」は、本発明の方式の精度の主要な決定因である。基準母集団が指標個人と非常に異なる場合には、デジタルタクソノミーはこのフェノタイプの個人を含んでいない場合があり、且つ、その個人を表す場合もあり、或いは、そうではない場合もある。このケースにおいては、母集団データ及びデジタルタクソノミーは、主には、個人内の以前の裁定されたデータ、即ち、個人が良好であった際及び個人が良好ではなかった際のデータポイントから導出されている。基準母集団が、広範であり、且つ、包含的であるが、この疾病に寄与するデータ要素について良好にフェノタイプ化されていないか、或いは、良好にラベル付与されていない場合には、この場合にも、タクソノミーは、有用ではなくなる。従って、理想的なデータセットは、良好にラベル付与されていない、且つ、良好に定義されていない母集団である、ユビキタスなセンサを使用した「ラージスケール」又は「ビッグスケール」の集合体ではない。その代わりに、理想的なデータセットは、デジタルタクソノミー内の異なるクラスをパーティション化するべくクラスタリングを介して自己組織化されうる、パラレルデータストリームを有する。
【0075】
「センサ」は、個人の身体から生物学的信号を検出しうる装置を含む。センサは、身体との直接的接触状態にあってもよく、或いは、リモート状態にあってもよい。個人のグループに適用された際に、センサは、定義された母集団のすべて又は一部分を表しうる。センサは、ECG、EEG、EMG、又は神経発火を表す電圧又は電流などの、電気情報を検出することができる。「センサ」という用語は、特に、電気情報が検出される本発明の特定の心臓用途について記述する際には、「電極」、「電極カテーテル」、又は「カテーテル」との間において相互交換可能に使用されうる。また、電気センサは、交感神経系が優勢である時点において発生しうる、人物が発汗した際に減少する皮膚に跨るコンダクタンスなどの、生体インピーダンスを検出することもできる。また、センサは、電流フローを介してその他の化学的変化を検出することもできる。また、センサは、サーミスタ又はその他の熱検出器などの、温度を検出する装置をも含む。センサは、拍動する心臓活動(フォトプレチスモグラフィ)からの反射光の色の変化、周辺酸素化(例えば、チアノーゼ、貧血、皮膚における血管拡張など)などの、光を検出することができる。センサは、マイクロフォンを介して音を検出しうる。センサは、圧電要素を介して、その他の振動又は運動を検出しうる。センサは、通常は、装置上において電気信号に変換されるホルモン、薬剤、バクテリア、及びその他の要素用の専門的なセンサを使用することにより、化学物質を直接的に検出することができる。本発明のシステムの例示用の実施形態において、複数のセンサは、中央演算装置との通信状態において使用されていてもよく、或いは、生物学的センサのIoT(internet of things)を形成するべく、BLUETOOTH(登録商標)、WiFi(商標)、又はその他のプロトコルを介してリンクされたネットワークを形成していてもよい。
【0076】
「信号」は、検知又は取得されうる、電子、電磁、デジタル、又はその他の情報を含む。検知された信号は、変換を伴うことなしに、その自然な形態から不変の状態において検出される(即ち、記録される)。検知される信号は、通常、生物学的信号である。検知される信号は、人間により、検出されうるが(例えば、音、視覚、温度)、マイクロフォン、オーディオレコーダ、カメラ、温度計などの機械によっても、検出されうる。取得される信号は、ECG記録などの、変換された状態において検出される。このような信号は、生物学的なものであってもよく、その理由は、心臓生体電気は、ECGを生成し、或いは、例えば、音又は超音波エネルギーの適用の後に検知される振動、或いは、検知された電気、音、又はその他の信号から変換された触覚信号などの、非生物学的信号をも生成するからである。
【0077】
「スマートデータ」は、用途における正常又は異常な機能を識別するべく、且つ/又は、これに基づいて機能するべく、使用されうる、ソースから取得された用途固有の情報を意味する。従って、スマートデータは、「ビッグデータ」という用語とは異なっている。「スマートデータ」は、個人に対して適合されており、且つ、健康及び敏捷性を維持するため、或いは、睡眠呼吸障害などの疾病を検出及び治療するため、などのように、特定のタスク又は要素に対処するべく、適合されている。適合は、システムが対象のタスクに影響を及ぼしうるものに関する知識に基づいている。このような知識は、心理学、工学、又はその他の原理に基づいたものであってよい。逆に、「ビッグデータ」は、しばしば、個別に適合されたリンクを伴うことなしに統計的パターン又は傾向を識別する、ということを目的として、極めて大きなデータセットに合焦されている。機械学習の用語法において、スマートデータは既知の出力に対するデータセットの教師付き学習から結果的に得られうる一方で、ビッグデータは、特定のデータセットの重要性のなんらの知識をも必ずしても意味することなしに、単にデータの量について言及する。
【0078】
その他の生物学的用語は、心不全、1回換気量、睡眠時無呼吸、肥満などのような、その標準的な定義を踏襲する。
【0079】
以下の説明及び添付の図は、パーソナライズされた方式が、個人内の疾病を治療し、且つ/又は、健康を維持する、ことを可能にするべく、デジタルタクソノミーと比較された状態において、健康及び疾病のパーソナルデジタルフェノタイプ(PDP)を生成する本発明のシステム及び方法のアプリケーションの例を提供する。本明細書において記述されている例は、例示を目的としたものに過ぎない。当業者には明らかとなるように、本明細書において開示されている本発明の原理を利用することにより、更なる変形及び組合せを形成することができる。
【0080】
図1は、パーソナルデジタルフェノタイプを定義し、デジタルタクソノミーと比較し、且つ、パーソナライズされた療法を設計するための、例示用のシステム内のフローを示す。パーソナルI/Oデータストリーム100は、外部装置(実線)又は内部(埋植された)装置(破線)でありうる1つ又は複数のセンサ102において検知された信号を介して、指標個人10(患者)から、時変(動的)データを取得する。埋植された装置は、PDPを生成/維持することを目的として、明示的に挿入されてもよく、或いは、異なる目的のために埋植されてもよい。このような装置は、タイムスタンプを有するデータが入力ユニット110に送信される状態において、IoT(Internet of Things)を使用して通信することができる。このようなデータは、接続された又は無線の手段を介して送信されていてもよく、且つ、連続的な、ほぼ連続的な、リアルタイムの、ほぼリアルタイムの、或いは、なんらかのその他のフォーマットの時間取得信号であってもよい。
【0081】
正常からの逸脱は、予め規定された「許容範囲限度」を超えて、個人の独自のデータとの比較において、且つ、異なる母集団との比較において、指標個人内において定量化することができる。好適な一実施形態においては、これは、データストリーム100を検知することにより、或いは、反復された方式により、データを取得することにより、実現されている。データストリームは、新規の、消費者グレードの、又は医療グレードの、センサを使用することにより、取得することができる。データは、その人物内のその臓器系用の裁定された「健康」の期間において、且つ、同様に、裁定された低減された健康/「疾病」の期間において、いくつかのソースから入力されうる。蓄積されたデータは、デジタルフェノタイプを検証するべく、将来の教師付き学習を支援する。個人の、且つ、それらの間の、健康又は疾病の状態又はグレード(例えば、体操対休息)を変更するべく、異なる状態を検出することができる。この方式は、「正常」及び「疾病」用の「母集団」の範囲が、個人に適合させるための範囲をほとんど有することなしに、複数の患者に跨って適用されている、現時点の医療実践とは異なっている。本発明のこの態様は、「パーソナライズされた医療」又は「高精度医療」を可能にする。
【0082】
入力データ105は、人口統計、研究室、化学、及び画像データを含みうる。例えば、人物用の重要なデータ入力は、誕生日(年齢)、性別、及び人種などの、「静的」な保存されているデータを含みうる。また、入力データ105は、別個の装置からの患者運動(例えば、トレッドミル、建物内のモーションセンサ)、別個の装置からの患者のECG又は心臓情報(例えば、病院テレメトリ、ICUベッドモニタ)、呼吸センサ、別個の装置からの時間経過又は時系列データ(例えば、血糖値計からの血糖の定期的なカウント)、又はその他のデータ入力、などの、ほぼリアルタイムデータを含みうる。また、入力データ105は、有線又は無線接続を介して、タイムスタンプと共に、入力ユニット110に送信されている。
【0083】
従来のクラウドに基づいた演算/ストレージ115は、任意選択により、100又は105において装置上において保存されているものに加えて、或いは、これに対するバックアップとして、データを保存するように、且つ/又は、データの処理を実行するように、使用することができる。クラウドに基づいた演算/ストレージ内において保存又は生成された未加工データ及び分析結果は、インターネット(図示されてはいない接続)を介して接続された外部サーバーに別個に伝達することができる。例えば、独立した受領者は、患者によって認可された研究施設、臨床試験管理者、又はその他の受領者を含みうる。
【0084】
母集団データベース120は、パーソナルデータ用の数学的基準を提供しており、且つ、母集団保存データと、任意選択のデータストリームと、を含みうる。このデータベース内のデータは、時変ストリームデータの形態を有しうるが、データベースからの蓄積及び保存データを含むこともできる。
【0085】
処理ユニット125は、ステップ130において、パーソナルデジタルフェノタイプ(PDP)を生成するべく、且つ、ステップ135において、PDPを指標個人10の以前の裁定された時点からのデータのみならず、母集団データベース120からのデータをも有するデジタルタクソノミーと比較するべく、決定論的な定式のみならず、ニューラルネットワーク(或いは、その他の学習機械)及びその他の分散表現をも含む、アルゴリズムを実行するように、プログラミングされている。一実施形態において、入力データを処理するべく、患者レベルにおいて複合的な生理学的且つ臨床入力を結果にリンクする分類を生成及び学習するべく(即ち、PDPを生成するべく)、関連する母集団内の特性(健康又は疾病のデジタルタクソノミー)を定量化するために、これらを比較するべく、且つ、個人内の以前の観察、比較母集団内の以前の観察、或いは、数学的に推定された予測との関係における個人の特定の特性に基づいて「最適な」又は「パーソナライズされた」療法を前向きに設計するべく、機械学習が使用されている。
【0086】
ステップ135において実行された比較は、ステップ145において、患者の状態、即ち、健康又は疾病、を識別及び/又は追跡するべく、使用されている。状態情報は、ステップ150において、表示のために、例えば、スマートフォンapp、専用の装置、又は既存の医療装置などの、ユニットに伝達されている。健康/疾病情報は、療法ユニット155を介して、療法をガイドするべく、使用することができる。心拍リズム障害と共に使用される実施形態における療法ユニット155は、パーソナライズされたデジタルフェノタイプを介して判定された不整脈の電気及び/又は構造ターゲットの範囲を定めている組織に電気介入(ペーシング)又は破壊エネルギー(アブレーション)を配給するステップを有する。その他の療法ユニットは、抗炎症療法を配給する注入ポンプを使用して抗不整脈薬を配給してもよく、その理由は、炎症が、細動などの心拍リズム異常性の、或いは、遺伝子又は幹細胞療法の配給の近因でありうるからである。別の実施形態においては、不整脈をトリガしうる延伸を改善するべく、機械的制約を配給するための療法を配給することができる。
【0087】
図2は、臨床、研究室、遺伝性、又はその他のデータを含む、センサ200又は入力ストリーム205を使用することにより、特に心拍リズム用の、心臓内のパーソナルデジタルフェノタイプを定義し、且つ、デジタルタクソノミーと比較し、且つ、パーソナライズされた不整脈療法を配給するための例示用のシステムを示す。
【0088】
心臓210は、食道内の電極カテーテル225、右心房230内の電極230、隔膜又は左心房内の電極220などの、電気又は電磁信号センサ、或いは、冠状静脈洞内の様々な場所(電極235、240、245)への、左又は右心室にアクセスする前心房静脈(電極215)への、或いは、直接的にこれらのチャンバのいずれかへの、大心臓静脈を介したもの、を含む、多くの方法により、計測することができる。ECG電極は、身体表面250に適用することができる。また、電極は、その他の血管内において、或いは、心臓210の近傍のその他の場所において、存在しうる。これらの電極は、心臓内の心臓アクティベーション情報を検出するように、且つ、検出された心臓アクティベーション情報を、電極コントローラを介してプロセスコントローラ285に送信するように、構成されている。データは、有線又は無線手段により、送信することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、センサのうちの1つ又は複数は、患者の心臓の外部に位置していてもよい。例えば、センサ250は、患者の表面を介して、心臓アクティベーションを検出する(例えば、心電図-ECG)。その他のセンサ(図示されてはいない)は、患者との接触を伴うことなしに、心臓アクティベーションをリモート検出することができる(例えば、心磁図)。また、別の例として、いくつかのセンサは、非電気検知装置の心臓モーションから心臓アクティベーション情報を導出することもできる(例えば、心エコー図、血流のドップラー信号、赤血球によってタグ付けされたスキャン)。このようなセンサは、一般に、患者の身体内に、心臓(又は、その他の臓器)内に、又はその近傍に、挿入される、カテーテル及び電極、即ち、「内部センサ」、から弁別するべく、「外部センサ」として分類されうる。様々な実施形態において、様々な外部センサは、別個に又は異なる組合せにおいて使用されてもよく、且つ、更には、外部センサのこれらの別個の又は異なる組合せは、1つ又は複数の内部センサとの組合せにおいて使用することもできる。
【0090】
身体の異常な炎症又は免疫学的状態を検出するべく、更なるセンサを提供し、これにより、このような状態の変調が生物学的リズムを維持、改善、又は矯正することを可能にすることができる。心臓用途用の一実施形態において、センサは、異常な免疫学的状態を検出するべく、且つ、心房細動又は心室細動の複合的な心拍リズム異常を防止又は治療するためにこれを変調するべく、提供されている。
【0091】
本発明のステップは、限定を伴うことなしに、「免疫学的状態」の直接的且つ間接的尺度を検知するステップと、これらのメトリックを反復的に検知するステップと、個人内のメトリックを、母集団に基づいたメトリックではなく、その個人内の正常な且つ異常な値と比較するステップと、正常な免疫学的均衡を維持するべく、或いは、損なわれた均衡を矯正するべく、介入及び療法を制御するステップと、含みうる。この文脈において、メトリックの「検知」は、検出装置から未加工の信号及びデータを収集する、という従来の解釈を超越しており、且つ、例えば、臨床、研究室、化学などのような、その他の試験手順から生成されたデータと、試験データをプロセスコントローラ285に入力するステップと、を含みうる。図2に示されているように、情報は、検出された信号を有線又は無線送信を通じてプロセスコントローラ285に伝達するためのトランスミッタとの組合せにおいて、例えば、ECG又は生体インピーダンスセンサなどの電気信号を検知する装置200によって生成することができる。また、臨床システム、病院データベース、病院装置、又は研究室機器から得られたストリーミング又は入力データのその他のソース205を有線又は無線送信を通じてプロセスコントローラ285に提供することもできる。
【0092】
炎症/免疫学的均衡の直接的な尺度は、限定を伴うことなしに、炎症細胞のカウント又は身体流体内又は影響を受けた臓器内のサイトカインの濃度を含む。炎症/免疫学的均衡の間接的な尺度は、体温、身体流体組成、心拍リズム、神経発火レート、及び脳造影図の静的且つ中間尺度における様々な臓器システムの異常性に対する炎症の変幻自在な影響を表す。
【0093】
指標個人の心臓内のセンサ場所において位置決めされたセンサ215~245は、その個々の場所において心臓アクティベーション情報を更に検出することが可能であり、且つ、センサ場所における心臓をアブレートするべくエネルギーを更に配給することができる。また、センサ215~245は、心臓のオーバーラップした領域(例えば、右心房及び左心房220)から心臓アクティベーション情報を検出することもできることに留意されたい。
【0094】
プロセスコントローラ285は、身体の異なる部分/神経を刺激するように構成された出力要素とインターフェイスするべく、或いは、外部機械内の機械的アクションを生成するべく、デジタル信号プロセッサを含みうる。このような要素は、隔離状態における集積回路、或いは、ネットワーク化(例えば、クラウド演算)された、生物学的演算、集積された生物学的/人工装置(サイバネティック)を有する、或いは、特定の対象であるタスクを実行するべく未使用の生物学的能力を利用する、従来の演算機械を含みうるであろう。療法装置は、直接的な電気出力、圧電装置、視覚/赤外線、又はその他の刺激システム、神経刺激電極、或いは、場合によっては、問い合わせされうる大きなデータベース内の仮想世界インターフェイス又は要素内のアバターなどの仮想化されたデータ、のみならず、当業者には明らかであるその他のエフェクタ要素を含みうる。
【0095】
プロセスコントローラ285は、様々な入力ソース(センサ200、入力データソース205、センサ215~245)によって生成された心臓アクティベーション情報を電気、機械、又はその他の機能の心臓信号として処理(例えば、明確化及び増幅)するように、且つ、処理済みの信号を本明細書において開示されている方法による分析のためにプロセスコントローラ285に提供するように、構成されている。図1を簡単に参照すれば、入力ユニット110及び処理ユニット125に対応する機能は、プロセスコントローラ285内において実行される演算動作のうちに含まれることになろう。センサ200、215~245及び入力データソース205からの心臓アクティベーション情報の処理において、処理コントローラ285は、分析のために処理済みの信号を提供するべく、心臓のオーバーラップする領域から心臓情報を減算することができる。いくつかの実施形態において、プロセスコントローラ285は、ユニポーラ信号を分析するように構成されており、その他の実施形態において、プロセスコントローラ285は、バイポーラ信号を分析しており、且つ、その他の実施形態おいては、モーション、光学、その他の電磁信号が分析されている。
【0096】
プロセスコントローラ285は、個人内の心臓(リズム)のパーソナライズされたデジタルフェノタイプを生成するべく、機能モジュール(図1のステップ130に対応する、PDPモジュール260)を実装するように、母集団データベース290からのデータを使用することにより、PDPをデジタルタクソノミー(図1のステップ135に対応する、タクソノミーモジュール265)とマッチング又はアライメントさせるように、パーソナライズされた介入を設計するように(設計モジュール270)、且つ、介入モジュール275を通じて介入の配給をガイドするように、プログラミングされている。
【0097】
いくつかの実施形態において、プロセスコントローラ285は、心拍リズム障害のソースを見出すべく、且つ、ソースを除去するべく、使用されうる、心臓アクティベーションのインデックスのマップ(表現)を生成しうるように、容易に入手可能な方法又は本明細書において開示されているものに従って、信号を分析する。次いで、マップを出力装置上において表示することが可能であり、且つ、PDPと共に、データベース内において保存することができる。
【0098】
母集団データ290は、プロセスコントローラ285による信号の分析をサポート又は支援するように構成されている。いくつかの実施形態において、データベース290は、既知の匿名化されたパーソナルデジタルフェノタイプのその他の個人用の潜在的なAFソース場所のマップを保存することが可能であり、これは、(フェノタイプが類似する場合に)この個人内において療法をガイドするべく、或いは、(フェノタイプ又はタクソノミーによって示唆されているように)この領域から離れるように療法をガイドするべく、使用することができる。また、母集団データベース290は、中間データを保存するべく、使用することもできる。
【0099】
適切な療法が設計モジュール270内において設計されたら、これを配給することができる。例えば、パーソナライズされた介入を使用することにより、命令が介入モジュール275によって生成されることになり、これにより、プロセスコントローラ285は、ペーシングモジュール255からペーシングを配給する。別の例においては、既存の内部電極(例えば、センサ215、230~245)を使用することにより、プロセスコントローラ285及び介入モジュール275によって制御されているエネルギー生成器280からのアブレーションエネルギーを配給することができる。また、プロセスコントローラ及び介入モジュール275によって制御されている適切な療法装置の使用と共に、例えば、加熱、冷却、超音波、レーザーなどの、その他の形態のエネルギーを配給することもできる。療法は、パーソナライズされたデジタルフェノタイプを介して判定された不整脈用の電気及び/又は構造ターゲットの範囲を定めている組織に配給される。その他の療法ユニットは、抗炎症療法を配給する注入ポンプを使用することにより、抗炎症薬を配給してもよく、その理由は、炎症が、細動又は遺伝子又は幹細胞療法の配給などの、心拍リズム異常の近因でありうるからである。別の実施形態においては、不整脈をトリガしうる延伸を改善するべく、機械的な制約を配給する療法を配給することができる。また、療法は、外部放射を含んでいてもよく、これにより、エネルギーが、高エネルギー電磁放射を使用することにより、心臓の内側の不整脈用の重要なターゲットにおいて合焦されている、十分に非侵襲的な療法が可能となる。
【0100】
検知される信号の1つのカテゴリは、心臓からのものである。これは、本発明の好適な一実施形態であり、且つ、いくつかの心臓信号タイプを有しうる。電気活動は、心臓電気活動によって生成された磁界を検知する磁気心電計などの、心臓上において、且つ、接触状態において又は非接触状態において、配置されうるセンサ、その他の身体領域の近傍(例えば、食道、気管支、及び気道、縦隔)の、身体表面上の、或いは、身体に接触してはいない、センサ、を使用することにより、心臓から直接的に検知することができる。センサは、心臓モーション又はこれを通じて血液の運動を検出することにより、心臓機能、モーション、電気アクティベーションパターン、又は虚血領域の存在を計測することができる。心臓モーションは、心臓モーションからの身体の領域上の運動(弾道心電図)から、心臓チャンバ容積の変化に起因した電気インピーダンスの変化から、例えば、心エコー図又は超音波などの、非電気装置を使用することにより、検知することができる。血流は、例えば、赤血球などのキャリアにタグ付けする、ドップラー心エコー図、4DフローMRI、撮像方法など、から検出することができる。様々な実施形態において、これらのセンサは、別個に又は異なる組合せにおいて使用することが可能であり、且つ、更には、これらの別個の又は異なる組合せは、患者の心臓内に挿入されたセンサとの組合せにおいて使用することもできる。
【0101】
神経活動は、本発明の一実施形態において、発火のレート及び周期、日中の且つ日と日の間の周期、神経発火のタイプ及びパターン、並びに、これらの尺度の空間的分布などのインデックスと共に、使用されうる、別の検知信号の一例である。一実施形態において、非侵襲的記録が皮膚パッチから生成されているが、その他の実施形態は、電極が、近傍の神経組織から記録するべく、皮膚内に突き刺される、神経電気記録図(ENG:electroneurogram)を使用しうるであろう。侵襲的な方式は、入院治療には適しうるが、連続的記録又は消費者用途には、あまり適しえない。センサは、異なる領域内において配置された場合に、異なる領域の神経から記録することが可能であり、例えば、胸部上の電極は、心臓又はその神経に関係する神経活動を計測してもよく、首又は頭部上の電極は、心臓又は当業者には馴染み深いその他の場所を制御するものを含むニューラル信号を計測しうる。
【0102】
肺臓(肺)機能活動は、検知される信号の別のタイプの一例であり、且つ、心臓とは独立的に、或いは、心臓内の変化の結果として、変化しうる。これは、呼吸音、胸壁運動、酸素化、横隔神経の電気活動のセンサ、又はその他のセンサにより、計測することができる。
【0103】
図3A及び図3Bは、本発明の実施形態における分析要素及びパーソナルデジタルフェノタイプとの関連において使用されうる装置の例を提供する。図3Aは、例示用のソース回路300及びシンク回路330用の単純な回路図を提供する。ソース回路300の場合には、電源は、好ましくは、ウェアラブル又はポータブル装置の場合には、低パワーである。図示の例においては、統合されたフォトセンサ305が、光学的に検出可能な信号を検出するべく含まれているが、当業者には明らかなように、例えば、圧電、音響、電気抵抗値、熱、加速度計、圧力、フロー、電気化学、又はその他のセンサタイプなどの、その他のセンサタイプ320が、化学、光、皮膚活動/湿気レベル、圧力、運動、及びPDPの生成に関連するその他のパラメータを計測するべく、使用されうる。センサは、それぞれのハードウェア実施形態において、相互交換可能でありうるか、或いは、固定されうる。適切なコンポーネント値(抵抗器、コンデンサ、など)及び回路性能特性の選択、のみならず、支援するコンポーネント/回路(フィルタ、増幅器、など)の追加は、当業者には既知であり、従って、本明細書においては、その説明を省略する。電圧出力307は、例えば、図1のI/Oデータストリーム100へ、などの、データのストリーミングのために、信号を入力チャネルに提供する。シンク回路330の場合には、出力電圧335がI/Oデータストリームに送信されている状態において、フォトセンサ340が示されている。
【0104】
図3Bは、装置の好適な実施形態の更なる詳細を提供する。この実施形態は、センサを論理回路に接続しており、これらの論理回路は、パーソナルデジタルフェノタイプの最適な使用法のために1つ又は複数の信号の組合せを処理し、且つ、未加工の又は処理済みの信号を別の演算装置に送信する。センサ出力350は、センサ1...n(例えば、図3Aの出力307及び335)からの出力を含む。これらの出力は、ロジックユニット355(例えば、マイクロプロセッサ)、RAM358、電池/電源362、並びに、USBケーブル367を介した有線接続のためのUSBポート360用などの、バス及びI/Oポートを含む、その他のコンポーネントへの入力(v_input 1...n)353を形成する。パワー及び/又はデータ転送のために、USBリンクを使用することができる。装置は、好ましくは、例えば、無線送信のために、BLUETOOTH(登録商標)又はWiFiなどの、無線通信モジュール365を含む。データ及び制御信号は、相対的に要求の多い演算を実行するべく使用されうるグラフィカル処理ユニット(GPU:graphical processing unit)378を含む、高速プロセッサ、パラレルプロセッサを有しうる別の中央処理ユニット(CPU:Central processing unit)375に送信されている。
【0105】
装置による演算は、パーソナルデジタルフェノタイプを生成するべく、センサからの電圧出力を読み取り、圧縮し、又は保存し、信号をフィルタリングし、或いは、相対的に高度な演算を実行するステップ、或いは、PDPに基づいて信号を処理するステップ、を有しうる。次いで、装置は、未加工又は処理済みの信号を送信することが可能であり、或いは、USB又は無線方法(Bluetooth又はWIFI)を使用することにより、別の装置への信号(例えば、検知された信号に基づいた論理的決定)を制御することもできる。IoT(Internet of Things)366は、センサ及び/又は演算装置の1つ又は複数のグループをリンクするべく、使用することができる。或いは、この代わりに、データは、(有線又は無線通信を介して)クラウド保存及びクラウド演算サービスのために、保護されたクラウド370に直接的に転送することもできる。クラウドエンジン370は、最適な速度において数学的動作及び演算を実行できることになり、且つ、任意のインターネット接続からの通信を許容できることになる。
【0106】
図4は、パーソナライズされた療法をガイドするための、且つ、療法の効果を監視するための、パーソナルデジタルフェノタイプの使用のためのワークフローを要約する。時間に伴って更新されうる、データストリーム400と、パーソナルな保存データ420と、という、パーソナル入力の2つの形態が存在する。データストリーム400は、ウェアラブル装置又は消費者製品からなどの新規の又は既存のセンサ402からの、埋植された装置404からの、皮膚、鼻、角膜、頬、肛門、又は聴覚プローブなどの最小限に侵襲的な製品を含む既存の又は専用の装置からの侵襲的な検知信号406からの、モーション及び赤外線プローブからの温度を含むデータを提供しうる非侵襲的センサ408からの、並びに、既存の医療機器からのテレメトリなどの送信されたデータ410からの、検知されたデータを含みうる。
【0107】
保存データ420は、理想的には、傷、線維症、虚血、低減された収縮機能、及び潜在的な境界領域組織を含む、撮像データなどの静的なデータ422、生化学レベルを含む、但し、遺伝性、プロテオーム、及び代謝データをも含む(入手可能な際)、研究室値424、人口統計データ426、糖尿病又は高血圧の存在、心エコー図からの左心房サイズなどの患者履歴からの要素、例えば、「健康」又は「相対的に不健康」などの、患者が良好に感じているかどうかの自覚症状を含みうる結果データ428を含みうる。また、結果データ428は、理想的には、抗生物質による解熱などの、或いは、好適な一実施形態においては、アブレーションによる心房細動の終了などの、療法の急性エンドポイントなどの、客観的なエビデンスをも含む。また、客観的なエビデンスは、感染の不存在又は長期フォローアップにおける心房細動の再発の欠如などの、慢性エンドポイントを含むこともできる。後述するように、本発明の方式は、健康及び病気を識別するべく、健康状態に基づいてデータクラスをパーティション化するべく、且つ、母集団クラスを個人と比較するべく、疾病タクソノミー446を定義するべく、母集団保存データ449、母集団データストリーム452、及びドメイン知識455を含む、母集団データの組合せを使用する。
【0108】
ステップ440は、パーソナルデジタルフェノタイプの機械による連続的な更新を示す。これは、既定の時点において周期的に、或いは、連続的に、実行することができる。ステップ443は、母集団保存データ449、母集団データストリーム452、及びドメイン知識455のうちの1つ又は複数から生成された、外部的に判定されたデジタル疾病タクソノミー446に対するパーソナルデジタルフェノタイプの比較を実行する。これらのステップについては、図5において更に詳述する。
【0109】
ステップ460においては、療法が、パーソナルデジタルフェノタイプに対して適合されており、且つ、ステップ463において、療法の効果が、以前のステップ440において既に保存されているデータの文脈において、データストリームを使用することにより、反復的に監視されている。最後に、ステップ466において、データを報告するための対話型インターフェイスが提供されている。ディスプレイ470は、コンピュータ又はモバイル装置上のアプリケーションを介して表示されうる多くのタイプのデータの一例を提供する(図示の例においては、スマートフォンが示されている)。Xcodeを介してSwiftにおいて記述された、アプリケーション(「app」)の一実装形態が、APPLE(登録商標)iPhone(登録商標)のために生成されている。図示の表示画面には、アブレーション用のターゲットを有する複雑な不整脈のサンプルマップ、心臓の3-D画像、多数の座標、テキスト記述、及び定量的スコアが示されている。本発明の方式は、専門家規則によるガイダンスを伴うことなしに、管理及び治療決定を提供しうるパーソナルフェノタイプをパーソナルデータ及び母集団データから生成する。
【0110】
本発明によれば、フェノタイプは、患者が病気であるかどうか、患者が病気である方式、及び健康を維持するべく又は病気を治療するべく患者を治療する最良の方法、のグラウンドトゥルースに基づいている。これらの臨床又は生物学的に関連する動作は、ステップ428、446~455において含まれている。本発明は、その個人内(420~428)の又は比較母集団446~455内の保存データ内のデータタイプに常に対応するわけではない、データタイプを使用することにより、パーソナライズされたフェノタイプを生成するべく、ステップ402~410において新規のデータを取得する。このようなデータタイプは、パーソナルフェノタイプが療法を相対的に良好にガイドしうる、システムによって能動的に取得されており、且つ、電気情報又は心臓構造を含むデータタイプを含む。
【0111】
図5は、PDPを生成するためのフローの詳細な説明である。ステップ500は、1つ又は複数の時点を有する時間ベクトル[T]においてパーソナルデータを取得する。これは、(図4のステップ400に対応する)データストリーム502及び図4のパーソナルな保存データ420に類似したチャート504からのパーソナルな保存データを含み、これは、急性又は慢性の結果などの、生物学的又は臨床的重要性の尺度を含む。
【0112】
母集団データストリーム506(図4のブロック452)は、益々利用可能になっている。このようなデータストリームは、指標個人と同一の又は異なる検知されたデータを有する、人物からのデータを含みうる。いくつかの例を提供するべく、このデータは、様々なバイタルサインについて監視されている、ICU病棟内の患者、類似のウェアラブル装置を使用する個人、或いは、現場の兵士、からのテレメトリデータを含みうる。
【0113】
母集団保存データベース508からのデータ(図4のデータベース449)は、弱化する傾向を有する統計的関連付けを使用することにより、内蔵されている。例えば、AFは、母集団を統計的に評価する際に、肥満と大きく関連付けられるが、AFを発症する痩せた個人及び発症しない多くの肥満した個人も存在する。同様に、心房傷密度又は心房傷負担とAFとの間には、関連付けが存在してはいるが、AFを有する多くの個人は、最小限の傷を有する一方で、AFを有していないいくつかの個人は、相当な傷を有する。但し、実際のリアルな関連付けは、文献から、且つ、多変量推定を使用して個々の人口統計について調節するべく使用される数学的重み付けから、取得される。
【0114】
データベース508からの母集団データは、(図4のステップ446に類似する)ステップ510において統合されており、これは、診断又は治療の有用性の基準として機能する急性又は慢性の結果などの生物学的又は臨床的重要性のインデックスを含む。第1ステップは、ステップ514においてデータを特徴付ける、というものである。このステップは、一般に、特徴(変数)低減ステップとして、且つ、機械学習において次元の呪いに対処するべく、設計されている。特徴低減及び特徴抽出技法は、当技術分野においては、周知である。この特徴低減ステップ526のために使用されうる可能な動作は、平均化、積分、エリア分析、相関、主成分分析などの、時間ドメイン分析を含む。周波数ドメイン分析は、フーリエ分析、ウェーブレット変換、時間-周波数分析を含む。周波数分析は、周波数スペクトルを生成するべく、複数の座標ペア(又は、ループ)と関連する選択されたパラメータを使用することにより、実行することができる。選択されるパラメータは、振幅(例えば、電圧)、角度、ベクトル、エリア、及び導関数であってよい。いくつかの実施形態において、ピークは、基本周波数を含むことが可能であり、その他の実施形態において、ピークは、基本周波数と、基本周波数の1つ又は複数の調波と、を含みうる。その他の実施形態において、ピークは、調波及び基本周波数のうちの1つ又は複数のみを含みうる。また、多項式フィッティングは、データセットを多項式係数として要約することができる。TSFresh(Time Series FeatuRe Extraction)などの広く利用可能なライブラリを使用する、その他の一般的な特徴化ステップを使用することができる。並行して、母集団データは、類似の又は異なる動作を使用することにより、ステップ534においてパラメータ化されている。
【0115】
ステップ518は、データを個人内のデジタル「疾病フェノタイプ」を表すクラス又は母集団内のデジタル「疾病タクソノミー」にパーティション化する。目的は、データ-臨床データであるが、きめの細かい侵襲的データポイント及び研究室試験でもある-を、所与の療法(成功対不成功)からの、類似すると見えうるが、異なる結果を有する、個人のパーティションに相対的に良好に分離する、というものである。数学的に、これは、1つの結果を有する患者をそうではない者から分離する「ハイパープレーン」をk-パラメータ空間内において構築することにより、実行されている。例えば、不整脈の好適な実施形態の場合に、類似のプロファイルを有する2つの患者内の「発作性」AFが、薬剤治療又は肺静脈アブレーションに対してまったく異なる方式で応答しうる理由は、不明な状態において留まっている。パーソナルフェノタイプは、その他の者ではなく、いくつかの患者内のAFが、ソース/ドライバ領域、構造的異常性、神経成分、及び肥満を含む代謝併存症を反映する理由についてのクラウドソーシングされたパーティション(「デジタルタクソノミー」)に複数の患者からの観察をコード化する。これらの因子は、「発作性」又は「持続性」のAFの従来のタクソノミーによっては、予測されていない。パーソナルデジタルフェノタイプを使用することにより、統計及び機械学習を含む推定方法が、最良の管理を推定するためにデータを基準母集団と比較するべく、使用されている。
【0116】
ステップ530は、データを分類方式としてパーティション化する。パーティション化は、限定を伴うことなしに、クラスタ分析、並びに、サポートベクトルマシン(SVM:support vector machine)、ロジスティック回帰、ナイーブベイズ、決定木、又はその他の方式を含む、その他のタイプの教師なし学習又は教師付き学習方法を含む、当技術分野において既知の多くの技法により、実行することができる。このパーティション化は、パーソナルデータ(ステップ518)と、並行して、母集団データ(ステップ538)と、のために実行されている。使用されるパーティション化技法は、それぞれのステップごとに異なりうることに留意されたい。
【0117】
既知の教師なし学習技法である、クラスタ分析は、ラベル付与されていないデータ(例えば、複数のセンサからのデータストリーム、入力データ、その他のもの)を、1つのクラスタには馴染み深いが、その他の者には馴染み深くない、項目の集合体としてグループ化するべく、ステップ530において使用することができる。これは、明らかな自然なグループ化が伴わない場合にも、発生することが可能であり、これは、しばしば、これらの用途において真であって、その理由は、通常のフェノタイプは、臨床データ、撮像及び連続データストリームをめったに含んでいないからである。クラスタ化は、本発明において、強力なツールであるが、最終的なクラスタパターンは、初期クラスタに依存することから、初期クラスタパターンを識別する際の任意の曖昧さは、バイアスに結び付きうるであろう。クラスタ化の結果については、ステップ558において、後から検証されている。
【0118】
ステップ546は、母集団からのデータストリーム及び保存データ(データベース508)、データ低減方式(ステップ534)、及びデータパーティション(ステップ538)を統合するべく、数学的モデルを使用することにより、母集団データから疾病タクソノミーを生成する。数学的関係をフィルタリングするべく、ドメイン知識データベース574からのデータが内蔵されている。例えば、数学的重み付けは、一般的である冠状動脈疾病を有する高齢の男性の場合には、増大させるが、めったにない男性における肺がんの場合には、或いは、めったにない若い子供におけるAFの場合には、最小化することができる。このような従来のドメイン知識は、疫学的データ及び母集団統計から入手可能であり、また、保存されている母集団データからも入手可能であってもよく、且つ、容易に数学的重み付けに変換される。
【0119】
ステップ550は、疾病タクソノミーから母集団のデジタルフェノタイプを生成する。換言すれば、母集団デジタルフェノタイプは、定量的データから自己一貫性を有する疾病クラスを形成するデータのパーティションに対応する。例えば、いくつかの研究における低マグネシウムレベルと心房細動との間のリンクなどのように、これらは、臨床的に明らかである場合もあり、或いは、臨床的に曖昧である場合もある。これらのパーティションは、それぞれ、コンフィデンスインターバルにより、統計的に表現され、且つ、パーソナルデジタルフェノタイプに照らした比較のために使用されることになる。
【0120】
ステップ522は、ステップ518からのパーソナル疾病パーティションを基礎として使用することにより、プロトタイプパーソナルデジタルフェノタイプを生成する。ステップ542は、最良にマッチングする母集団のデジタルフェノタイプを見出すべく、パーソナルデジタルフェノタイプ(PDP)を比較する。候補パーソナルフェノタイプは、ステップ554において、ベクトル[P]の行列により、付与されている。これは、複数のデータ要素、データタイプ、なんらかの序数、なんらかのベクトル性、及びなんらかの時間依存性を有する。
【0121】
好適な一実施形態においては、定義された結果を予測するためにデジタルフェノタイプを高度化するべく、教師付き学習が使用されている。これは、特徴の選択、ネットワークアーキテクチャの選択、及びトレーニング及び試験用の適切なデータを必要とする。
【0122】
特徴は、疎入力「ベクトル」を意図的に生成することにより、機械学習がオーバーフィッティング(即ち、将来において観察されない入力に対する乏しい一般化)を回避するように、識別及び「チューニング」されることになる。本発明は、基礎をなす入力データを広範なものにするべく、冗長な特徴を除去し、且つ、入力特徴の多様性を極大化させている。
【0123】
一実施形態において、特徴は、(a)従来の臨床変数(人口統計、併存症、バイオマーク)、(b)電気信号(その信号処理済みのパラメータがAFフェノタイプを分離しうる、12-リードECG及び心臓内信号)、及び(c)限定を伴うことなしに、2-D心エコー図画像(心房形状)、3-D CTデータ(形状)、3-D MRIデータ(線維症エリア、形状)、及びEP研究において生成された電圧及び複合的なエレクトログラム分布の3-D電気解剖学的シェル、という、3つのタイプにグループ化されている。クラスタ(教師なし学習)は、データ低減を支援することになり、且つ、更なる入力特徴として使用されることになる。特徴の重要性を理解するべく、フィルタリング及び正則化が使用されている。本発明は、トレーニングにおいて、応答クラスと関連してはいない変数を除去する。1つの方式は、予測誤りを最小化するべく、フィルタ及びラッパ方法の利点を組み合わせた、LASSO(least ablolute shrinkage and selection operator)を使用しており、且つ、最終的なモデルにおける回帰分析に寄与する変数を含んでいる。
【0124】
それぞれの特徴グループ内の消失データは、a)中央値、b)複数の帰属を使用した予測値(統計学の技法)、c)文献からのそのデータタイプの予測値、及びd)消失データを意味する定数、を挿入(入力)することにより、処理されることになる。それぞれの方式は、様々なネットワークモデルのトレーニングの際に比較されることになる。
【0125】
入力画像及び信号のフォーマッティング。本発明は、それぞれの3D MRI、CT、又は疑似着色された心房電気解剖学的画像(解剖構造を表記する、例えば、電圧などの、特定のタイプのエレクトログラムの分布)を3D行列としてフォーマットすることになる。時系列データ(12-リードECG、バイポーラ冠状静脈洞エレクトログラム、ユニポーラ心臓内エレクトログラム)は、特徴抽出、クラスタ分析、事前処理ネットワークを使用することにより、最終的なネットワークに入力する前に、処理されることになる。
【0126】
フェノタイプをトレーニングするべく使用される結果は、それぞれの用途に伴って変化することになる。心拍リズム障害の好適な実施形態の場合には、フェノタイプをトレーニングするべく、いくつかの結果を使用することができる。1つの結果は、高電圧対低電圧(<0.1mVなどの)のエレクトログラム信号であってよく、高電圧信号と関連するフェノタイプは、相対的に高度な治療結果を有しうる。別の潜在的な結果は、一貫性を有するローター又は局所ソース/ドライバを示す、AFのクリーンな空間的マップの存在であり、これらのサイトは、効果的な治療ターゲットでありうる。別の望ましい結果は、薬剤療法又はアブレーションによるAFの終了、或いは、薬剤療法又はアブレーションからの長期にわたる成功である。これらは、いずれも、デジタルタクソノミーを形成するべく、基準母集団内において過去に遡って判定することが可能であり、且つ、次いで、マッチングするパーソナルフェノタイプを識別するべく、使用することができる。
【0127】
一実施形態において、個々の人物及び母集団用の多様な入力データ及びデータストリームを表すべく、通常は、人工ニューラルネットワーク(「ANN」)として実装される、教師付き学習が使用されている。ANNは、通常、3つの要素を有する。第1に、それぞれが複数のノード/層を含む可変数の層のネットワークを形成する、ノードの異なる層の間の接続パターン(人工ニューロン)である。実装形態は、パーセプトロン、適応型線形ネットワーク、或いは、深層学習ネットワークを含む多くのその他の設計と同じ程度に単純でありうる。実際のネットワーク設計は、特定のタスク及びデータパーティションの複雑さに対して適応的なものであってよい。第2に、ノードの間の接続重みは、変化することが可能であり、且つ、複数の学習規則に従って更新することができる。第3に、それぞれの重み付けされた入力がその出力に変換される方式を判定する、アクティベーション関数である。通常、アクティベーション関数f(x)は、その他の関数g(x)の複合体であり、これらのその他の関数g(x)も、その他の関数の複合体として表現されうる。非線形の重み付けされた合計、即ち、f(x)=K(Σ(x)、が使用されてもよく、この場合に、K(アクティベーション関数)は、シグモイド、双曲線、又はその他の関数であってよい。
【0128】
様々な接続パターン、重み、及び数学的アクティベーション関数を選択することが可能であり、且つ、様々な更新関数が任意の実施形態について可能である。特定の形態が、異なる疾病状態及びタスクのために最適である。例えば、既知の心房細動において異常な心拍数を検出するための装置は、心房細動の開始を予測するべく、心不全の悪化を予測するべく、或いは、冠状動脈虚血の開始を予測するべく、心房細動におけるアブレーション用のサイトを識別するための装置ほどには、複雑にならないであろう。
【0129】
学習の代替形態は、線形ロジスティック回帰、サポートベクトルマシン、「if-then-else」記述における決定木、ランダムフォレスト、及びk-最近隣者分析を含む、教師付き及び教師なし方法を含む。このような定式化は、心房細動のソースの存在又は不存在、或いは、入力データを個人用の臨床又は生理学的結果とリンクするその他の関連付け、などの、望ましい決定の間の境界を増強又は生成するべく、独立的に、或いは、機械学習の一部分として、適用することができる。いくつかのその他の形態の機械学習を適用することが可能であり、これらについては、当業者には、明らかとなろう。
【0130】
様々な接続パターン、重み付け、ノードアクティベーション関数、及び更新方式を選択することが可能であり、且つ、特定の形態が、データ入力に応じて、異なるアプリケーションについて最適である。例えば、撮像入力及び連続的な一連のデータ(例えば、エレクトログラム信号)は、異なるネットワークにより、表されてもよく、大きなトレーニングデータを有する好適な実施形態においては、所与の基準母集団内のそれぞれのデータセットに対して最適化されてもよい。従って、用途に応じて、本発明は、EEGデータ、心臓及び呼吸シグネチャ、重み、皮膚インピーダンス、呼吸数、及び心臓出力を最良に表すべく、適合させることができる。回帰型ニューラルネットワークは、ネットワークがそのトレーニングされた結論を保管する方式の分析を可能にするデータ構造である。手動的に設計されたスカラー特徴(例えば、臨床データ要素)は、全結合層を使用することにより、内蔵することができる。特徴化された時系列(即ち、12-リードECG、或いは、心臓の内側からの所謂「エレクトログラム」)は、畳み込みニューラルネットワークを介して処理される。オーバーフィッティングを回避するべく、ドロップアウト、バッチ正規化、及びハイパーパラメータチューニングの標準的な技法が使用される。
【0131】
機械学習方式の重要な一特徴は、人間の病理生理学の詳細に関する先験的な知識を必要としておらず、且つ、その代わりに、健康における検知された信号及び入力データのパターン及び疾病における逸脱を学習する、というものである。従って、これらは、次善でありうる現時点の機構仮説に基づいた現時点の疾病分類を改善するのに、非常に適する。
【0132】
ステップ558は、検証されうる1つ又は複数の候補フェノタイプ、即ち、任意の信頼できる結果尺度を予測するもの、を判定する。AFの場合に、これは、アブレーションがAFを終了させるサイトであってよい。冠状動脈疾病の場合には、これは、心外膜冠状血管の重大な狭窄を予測する臨床コンステレーション、即ち、高度な冠状動脈リスクスコア、であってよい。拡張により、このような候補は、非心臓疾病について定義することができる。マッチングが実現されない場合には、プロセスは、反復されるか522、或いは、受け入れ可能な許容範囲X(ブロック562)が拡幅される。マッチングが受け入れ可能な許容範囲(ベクトルX)内において実現される場合には、候補は、ステップ566において、時点Tにおける許容範囲X内のパーソナルデジタルフェノタイプPになる。次いで、フェノタイプは、フェノタイプを検証するべく使用されるラベル付与された結果に照らして、データベース570内のその個人のパーソナル履歴データを更新するべく、使用される。このステップは、先行するステップにおいて定義されたクラスタを検証するため、のみならず、教師付きレーニングについても、使用される。
【0133】
図6は、パーソナルデジタルフェノタイプを使用することにより、健康及び疾病を定義する。ステップ600は、ステップ600のそれぞれの時点Tにおいて、それぞれのデジタルフェノタイプを取得し、且つ、それぞれごとに、フェノタイプ603内の信号タイプを検査する。数学及びネットワーク分析606は、第1に、データベース609内の保存されているパーソナルフェノタイプ(即ち、個人が、快適に又は不快に感じていた(症状)、或いは、例えば、AF症状の出現などの、疾病存在の客観的なエビデンスを有していた、或いは、悪化する疾病を有していた(例えば、発作性から永続性のAFへの進行)、際を含む、結果に対して裁定された以前の時点からのデータ)に対して比較される状態において、異常性を識別するべく、使用されている。ステップ612は、この分析に基づいて、パーソナルな健康又は疾病のポートレートを生成する。
【0134】
ステップ615は、いまや、これが、受け入れられる許容範囲内において、個人についての健康618を表すかどうかを判定する。これが、その個人における、健康の「範囲外」である場合には、個人は、潜在的な疾病状態621に入っている場合がある。
【0135】
数学及びネットワーク分析624は、個人の異常性が母集団の「健康の範囲外」にも含まれているかどうかを判定するべく、母集団の疾病タクソノミー627との比較において、実行されている。統計的に定義された、母集団の異常の固定及び可変定義に照らした比較の際に(ステップ630)、本発明は、いまや、ステップ633において、疾病が存在するかどうかを尋ねている。「はい」の場合には、疾病639が宣言され、そうでない場合には、観察ステップ636において、患者の慎重な観察が継続される。いずれのケースにおいても、プロセスは、監視の継続において反復される。
【0136】
図7は、教師付きネットワークの新規の解釈可能性分析、即ち、いずれの信号タイプ及び入力タイプが、いずれの時点において異常なパーソナルデジタルフェノタイプに最も寄与するのかの識別、の概要を説明する。解釈可能性は、機械学習が「ブラックボックス」である、という主な従来の批判に対処する、本発明の方式の主要な新規の特徴である。専門家知識は、大量のデータを特徴化するべく、使用することができる(即ち、ネットワークを「次元」によって圧倒することのなしに重要なデータを追加することによる改善である)。また、本発明者らは、二次的な手動解釈のために、ドメイン知識を使用する。そして、ステップ700は、パーソナルフェノタイプの一部分である、すべての信号を分析する。そして、データ要素703、706...709は、(入力データであるのか、又はデータストリームであるのか、とは無関係に)それぞれのデータ要素を検討する。ステップ715においては、ニューラルネットワーク712による分類、即ち、「疾病」対「健康」分類をもたらした1つ又は複数のコンポーネント、を説明するべく、いくつかの方式が使用されている。
【0137】
いくつかの解釈技法を使用することが可能であり、これらは、当業者には馴染み深いものであろう。第1の方式は、回帰型ニューラルネットワーク内における注意層の使用を含む。或いは、この代わりに、本発明は、解釈可能なモデルを近似することによって予測を説明するべく、LIME(Local Interpretable Model-agnostic Explanation)を使用することができる。LIMEは、心臓内からのECG又は電気信号(エレクトログラム)、数値特徴、又は画像などの、1次元データのために使用される。第3の方式は、Grad-CAM(Gradient-weighted Class Activation Mapping)であり、これは、最も重要なノードを最終的な畳み込み層の下流の逆伝播されたプーリング済みの勾配によって乗算された最大重みとして識別する。別の実施形態は、モデルが、無関係の概念において収束しないことを保証するべく、ドメイン電気生理学的「概念」に対する適合された解釈を可能にする、画像内の空間ドメインを含む、モデルの一部分であることを要する又は要さない特徴(例えば、心房ドライバ領域のサイズ、又は心室伝導速度、又は人間心臓内の線維症の空間的な広がり)を規定する。その一例が、TCAV(Testing with Concept Activation Vector)方式である。これは、モデルの一部分であることを要する又は要さない、特定の特徴(例えば、AFドライバ領域のサイズ)を検査し、これにより、本発明の技法が、受け入れられた「概念」に対して解釈可能性を適合させることを可能にすることができる。別の例として、例えば、右心房近傍の線維症の存在などの、解釈可能モデルにより、AF結果の予測(例えば、アブレーションの成功又は失敗)を試験することができる。この方式は、数値モデルが予測に適する、且つ、モデルが無関係の概念において収束しない、ことを保証するべく、試みている。従って、結果を予測する説明可能な特徴が定量的に識別されることになる。例えば、肥満がアブレーション又は薬剤療法からの否定的な結果を予測する一方で、肯定的な結果を予測する髪の色は、そうでない場合がある、という判定などの、ドメイン知識を介して、臨床の理論的説明を後から追加することができる574。また、クラスICの抗不整脈薬(AAD:Anti-Arrhythmic Drug)が使用されうる母集団に関するデータを含むことができる。
【0138】
デジタルタクソノミーの主要な特徴は、調和しないケース、即ち、ニューラルネットワークが実際の結果を予測することに失敗する場合、をコーディングする、というものである。例えば、そのプロファイルがMRI上において心房の傷を含む、失敗したアブレーション療法を有する患者においては、本発明は、傷の場所をアブレーション損傷の場所と、結果と、リンクするべく、トレーニングされることになる。トレーニング済みのネットワークからの1つの潜在的な出力は、傷の領域を逃したアブレーションは、乏しい結果を生成しうる、というものであってよい。ドメイン知識(生理学的解釈)は、信じがたい(又は、不可能な)リンクが構築されないことを数学的に保証するために、且つ、従って、ネットワークを修正するために、任意のトレーニング済みのネットワークのもっともらしさを提供するべく、使用されている。この組み合わせられた機構/機械学習方式は、既知のドメイン知識に照らしてデータ表現をチェックしてはいない機械学習システムからしばしば省略されている、本発明の新規の強みである。既存のネットワークにおける有名な誤りは、敵対的な例を含み、画像認識においては、1つのピクセルの変更が「猫」から「犬」に分類を変更しうる用途である。本発明は、このようなトレーニング済みのネットワークが、誤りが極小化されなければならない医療空間内において、生成されることを防止する
【0139】
従って、本発明は、益々解釈可能であるデータ構造を生成、試験、及び修正することに合焦されている。モデルが、統計分析を失敗/成功のケースの専門家解釈と組み合わせることになる。単純な統計試験及び線形モデルは、システム内の異なる変数の間の相関の識別を支援しうるが、これらの研究された複合的な臨床問題の基礎をなす複雑さ及び非線形性をキャプチャ可能ではない場合がある。決定木(CART)は、ネットワークの層からのそれぞれの抽出された特徴の重要性の相対的に大きな解釈可能性を許容することができる。決定木に対する入力は、画像及び時系列信号からの抽出された特徴となる。
【0140】
本発明における別の方式は、「ネットワーククランピング」と呼称される。ステップ715において、ネットワークのトレーニング済みのベースライン「健康」バージョンから、入力が、1つずつ又はバッチにおいて、範囲を逸脱しており、従って、ネットワークが最も近接して「疾病状態」を要約するようにする異常な入力の組合せを識別するべく、ネットワーク712が再実行されている。
【0141】
これらのステップは、ステップ721における健康、疾病、及び結果の状態を特徴付ける入力のコンステレーションを識別するべく、ステップ718において評価されている。次いで、この結果は、データベース724内のパーソナル履歴データを更新するべく、使用される。
【0142】
図8は、異常なパーソナルデジタルフェノタイプを使用したAFのトレーニングに関する例を提供する。ステップ800は、パーソナルデータを有しており、且つ、ステップ803は、上述のように、母集団データを有する。ステップ806は、パーソナルAFフェノタイプとデジタルタクソノミーとの間の最良のマッチングを見出す。ステップ809は、その個人内のAFプロセスのマーカーを識別するべく、図7からの重要要素分析(ステップ718)を使用する。ステップ812~824は、マッピングによって識別されうる、AFの異なる特徴を識別する。これらのステップについては、図9図11を参照して更に詳述する。ステップ830は、データベース724内のパーソナル履歴データを更新する。
【0143】
ステップ812は、構造的異常性を伴うことなしに、完全な回転(ローター)又は局所ソースの電気パターンを明示する、患者フェノタイプを識別する。このケースにおける治療827は、ドライビングソースに対するアブレーションを含みうる。
【0144】
ステップ815は、電気完全回転(ローター)又は局所ソース、低電圧により、或いは、潜在的に、遅延した改善済みの磁気共鳴撮像における異常性により、マーキングされた、関連する近傍の構造的異常性、を明示する患者フェノタイプを識別する。このケースにおける治療827は、非伝導性の傷又は線維症の領域へのアブレーションの拡張を伴う、1つ又は複数のドライビングソースに対するアブレーションを含みうる。
【0145】
ステップ818は、低電圧或いは遅延した改善済みの磁気共鳴撮像における潜在的な異常性によってマーキングされた構造異常性を明示するが、従来の電気回転(ローバー)又は局所ソースを示しえない、患者フェノタイプを識別する。このケースにおいて、代表的なネットワークは、療法用のターゲットである、患者内の部分的な回転又は反復的なアクティベーションなどの、その他の電気パターンを見出すことになる。このような異常なパターンは、例えば、進行した疾病と一貫性を有するなどの、特定の併存症を有する患者内において有用でありうる。このケースにおける治療827は、非伝導性の傷又は線維症の領域への損傷の拡張を伴う、1つ又は複数のこれらの異常な電気ソースにおけるアブレーションを含みうる。
【0146】
ステップ821は、疾病予測用の選択肢を提供する。このステップにおいて、本発明の技法は、AFを明示していないが、低電圧によってマーキングされた構造的異常性の特定のパターン、或いは、遅延された改善済みの磁気共鳴撮像における潜在的な異常、に起因してリスク状態にありうる、患者フェノタイプを識別する。このケースにおいて、本発明は、AF予測を提供する。このケースにおける理想的な入力データは、ネットワークによる構造的リスクプロファイルの非侵襲的な検出が予測又は療法用の潜在的なターゲットを提供することを可能にするべく、MRI異常性を示すきめの細かい撮像データ又は低電圧の領域に関するきめの細かいデータを有しうる。治療827は、これらの傷又は線維症の領域を接続するためのアブレーションを含みうる。
【0147】
ステップ824は、予測用の別の選択肢である。本発明は、AFを明示していないが、レート依存性ブロックを通知する変化するレートを有する電気伝播、或いは、不応性又は伝導の離断を示唆する特定のエリアに対する伝導における発振、を変更することによってマーキングされた特定の電気パターンに起因して、リスク状態にありうる、患者フェノタイプを識別する。このケースにおける、理想的な入力データは、ネットワークによる電気リスクプロファイルの非侵襲的な検出を可能にするべく、身体表面電位信号を有しうる。このケースにおける、治療827は、これらの電気的脆弱性の領域を除去するべく、アブレーションを含みうる。
【0148】
図9は、例示用のパーソナライズされたフェノタイプが、心拍リズム障害のそれぞれに対して療法を適合させるべく使用されうる、方式について説明する、複合的な不整脈の例を示す。解体されたアクティベーションは、多数の効果をソースに対して有しうる。図の左側において、図900は、ソースから発せられる解体されたアクティベーションを示す。この振る舞いは、しばしば、ローター、局所ソース、又はその他のドライビングメカニズムからの「細動伝導」と呼ばれている。このケースにおいて、本発明は、主に回転又は局所アクティベーションドライブAFの(即ち、シーケンス1、2、3、4、5によって示されているコア内の)パターンを判定するべく、(無償で入手可能であるものを含む)いくつかのマッピングシステムのうちの1つを使用することができる。或いは、この代わりに、右側の図910内において、解体されたアクティベーションは、第2のソースからのものなどのいまだ内向きに方向付けられるべきソース(「外側の解体」)を取り囲むこともできる。この外側の解体がドライバを混乱させない場合には、本発明は、(Lin,FedorovらのCirculation 2016による人間光学マッピングによって、且つ、臨床的にはKowalewskiらのCirculation Arrhythmia/Electrophysiology 2018によって示されているように)前記取り囲んでいる障害によって周期的に妨害される場合にも、回転又は局所アクティベーション(この場合にも、シーケンス1、2、3、4、5)が、AFをドライブすることを継続しうることを示すことができる。第2のソースは、「衝突」又は「融合」と呼称されるインターフェイスにおける解体を伴う、複合的なリズムのローター又は局所ソースであってよい。第3に、解体されたアクティベーションは、クリアな回転又は局所活動を伴うことなしに、解剖学的異常性930のサイトの近傍においてクラスタ化することもできる。ここで、1つ又は複数の構造的障害物930は、リズム異常を維持することができる。本発明の方式は、部分的回転又は部分的局所アクティベーションの特定の要素、構造的要素、又はこれらの相互作用を示すアクティベーションがドライバでありうると判定することができる。更には、本発明の方式は、心房の相対的に大きなエリアを制御する対象の領域が、療法用の肥沃なエリアであると判定することができる。この判定は、詳述した心臓マッピングに基づいてパーソナライズされたデジタルフェノタイプを伴う機械学習及びその他の処理要素を使用することにより、それぞれの個人ごとに実施される。
【0149】
図10A図10Cは、療法が、リズム異常のために、パーソナライズされたデジタルフェノタイプに対して適合されうる方式の例であり、これらのそれぞれは、電気ドライバを含むパーソナライズされたフェノタイプを示す。簡潔性を目的として、それぞれのケースにおける、リズム異常は、回転的なものとして示されているが、局所又は別のパターン(例えば、反復的、部分的に局所、又は部分的に回転的なもの)でありうるであろう。図10Aにおいて、ペーシング(1005、1010)などの介入は、その空間的場所を制限することにより、重要なドライバを変更し、これにより、それが動作することを継続しつつ、細動コアのモーションを制限するべく、電気及び構造サイトにおいて遮断することができる。このソースは、限られた空間的エリア1020内において歳差運動し、これにより、これを安定化しうる。いまや、療法は、これが固定され、これにより、複合的なリズム障害を、治療が相対的に容易である局所的な心房頻脈などの、単純なリズム障害に変換するように、ソースの歳差運動を制限するべく、適合させることができる。図10Bにおいて、療法はソースの空間的場所を意図的に変更し、重要なドライバを、例えば心臓の不活発な領域などの、もはや維持しえない境界又は領域、或いは、場合によっては心臓の外側、に押出し、これにより座を不安定化させるべく、適合されている。ペーシング1025は、取り囲んでいる衝突波から重要なドライバを保護していた機能的ブロック(電気)又は解剖学的ブロック(構造)の領域を通過する。到来ペーシング波は、治療が相対的に容易でありうるサイトへのソース移動1035をもたらすか、或いは、障害物に遭遇し、且つ、終了する。図10Cにおいて、ペーシング1040は、取り囲んでいる波から重要なドライバを保護していた機能ブロック(電気)又は解剖学的ブロック(構造)の領域を通過し、こうしてソースを侵襲し、ソースを終了させる。この終了は、永久的な、又は一時的なものであってよい。
【0150】
図11は、不整脈用の例示用の動作を示す。この好適な実施形態は、療法を提供するべく、ウェアラブル又は埋植型の装置によって検出される、或いは、電気生理学的研究における、心臓内エレクトログラム又はECGからの未加工電圧-時間データのストリームを分析する。単純な不整脈のエレクトログラム1100及び複合的な不整脈のエレクトログラム1105が示されている。一例として、心拍リズム障害は、複合的なリズム障害AF、VF、及び多形性VT、或いは、別の心拍リズム障害であってよい。
【0151】
この例において、1100及び1105内の信号は、アクティベーションの開始を表す(例えば、心拍の)ディフレクション1103のみならず、ノイズ1108を表すディフレクションをも示す。AFにおいて、複数の衝突波は、任意の1つの電極が、ローカル活動に加えて、その他のサイトからの活動又はノイズを検出しうることを意味する。主要な課題は、そのサイトにおける「ローカル」な心臓アクティベーションを表す、AF内のディフレクションを識別する、というものである。次いで、この情報は、取り囲んでいる障害を有する活動をドライブしうる、組織化された回転又は局所アクティベーションの領域を指し示すAFのマップを生成するべく、使用される。但し、真のアクティベーションが、異なる方法によって検出される場合には、マップは、これらの特徴を曖昧にしうる。いくつかの信号は、例えば、ノイズ1108などのように、(例えば、心拍の)識別可能なアクティベーションの開始を示さない。このような信号は、アクティベーションの開始(脱分極)の識別を潜在的に困難にする、且つ、クリアなグラウンドトゥルースをほとんど有してはいない、心拍リズム障害によってもたらされる短い持続時間の複数のディフレクションを含む。従来の方法は、心臓アクティベーションの真のサイト対通常は100ms~250msという持続時間を有する再分極の穏やかな低逸脱スロープを示すべく、鋭い変化ポイント及び脱分極の高スロープなどの特徴を使用する。これは、以下において、アクティベーション時間のグラウンドトゥルース及び単相アクション電位記録からの再分極時間を使用することによってトレーニングされた、本発明の方式により、対処されている。
【0152】
そのタイムスタンプを有する、リアルタイムデータストリームは、ステップ1120において、システム用の入力を形成する。この個人用のその他の非ストリーミングデータは、ステップ1123において、入力されている。ステップ1126は、(このケースにおいては、エレクトログラムデータ用の)異なるデータタイプ、値を含む、行列Pによって付与される、初期データパーティション又はデータベクトルを生成する。ステップ1126からのパーティションは、パーソナルデータからの又は母集団データからの結果にリンクされている。結果は、主観的なもの(症状)であってもよく、或いは、客観的なもの(アブレーションによる急性的な終了又はAFからの慢性的な長期にわたる自由)であってよい。
【0153】
ステップ1129~1147は、母集団のフェノタイプ(即ち、デジタルタクソノミー)に対するパーソナルフェノタイプに対応する。ステップ1129は、ステップ1132から入力されたすべてのパーソナルフェノタイプ及びすべての母集団タクソノミー(フェノタイプ)をスキャニングする。
【0154】
ステップ1138は、用途(エレクトログラム分析)及びフェノタイプについてチューニングされた、ベクトルXによって定義された受け入れ限度内の、パーソナル及び母集団デジタルフェノタイプのマッチングを判定する。マッチングは、図5のステップ542に対応するステップを使用することにより、実行されている。いくつかの方式が利用されうるが、好ましい一実装形態は、機械学習を使用する。マッチングが発生した場合に、ステップ1144は、デジタルタクソノミー及びデータベース1147を基準として参照するデータから、療法ターゲットを定義する。
【0155】
AFアブレーションターゲットとしての候補でありうる、フェノタイプは、エレクトログラム特徴に加えて、臨床併存症(例えば、高肥満度指数、糖尿病、高血圧)、人口統計(例えば、年齢、性別、事前アブレーションであるか又はそうではないか)、並びに、入手可能な場合に、遺伝性、代謝、及びバイオマーカー情報の、学習された数学的組合せを含む。
【0156】
本発明の適用は、相対的に良好なAFマップを生成するために、ローカルな電気アクティベーションの識別を改善するべく、機械学習を使用しており、且つ、その人物内のAFにとって重要でありうる、回転又は局所活動以外の、特徴を識別するべく、パーソナルデジタルフェノタイプを使用する。この用途用の特定のデジタルタクソノミーは、アブレーションがAFを終了させた又は終了させなかったサイトにおけるエレクトログラムを有する。これらのデータは、様々な方式によって生成されたマップを比較するための入力-出力ペアとして機能する。例えば、局所又は回転ソース又は低電圧を示すなどの、AF終了のサイトを説明するマップを生成する方式は、優秀な機械学習において、相対的に大きく重み付けされている。これらのエレクトログラム特徴及び最適なマッピングは、異なる心房サイズ、壁の厚さ(従って、電圧)、及び傷の広がりについて、患者ごとに異なりうる。これは、要素1103及び1108において、ローカルアクティベーションとファーフィールドアクティベーションとの間の弁別を支援しうる。
【0157】
潜在的なエレクトログラムターゲットは、低電圧、(図12のパターン1205によって例示された)回転エレクトログラムパターン、局所アクティベーションパターン(即ち、一貫性を有する遠心発散のサイト)、部分的な回転パターン、部分的な局所パターン、高い優位周波数のサイト、高信号複雑性のサイト、並びに、(因果的役割をサポートする)AFの心房の大きな領域を制御しうるこれらのサイトのそれぞれを含む。それぞれのサイトは、一貫性を有する場合には、リズム障害の維持に重要である領域を通知しうる。本発明は、パーソナルエレクトログラムフェノタイプとして、これらのエレクトログラム特徴を臨床データと組み合わせている。
【0158】
パーソナルデジタルフェノタイプは、「従来」のターゲットを超えて分析することにより、新規のエレクトログラムターゲットを識別するべく、使用することができる。例えば、研究は、反復的なパターン、又は一時的な回転又は局所パターン、又は妨害された回転又は局所パターンなどの、ターゲットは、いくつかの個人において不整脈を維持するべく重要でありうる、ことを示唆する。本発明のこの好ましい実施形態は、個々の患者内において、好ましい結果に関係付けられうるものを判定することにより、これらのエレクトログラム特徴を定義する。その結果、相対的に多くの個人からのデータが、ラベル付与され、且つ、蓄積されるのに伴って、これが、デジタルタクソノミー内の数値分類となる。
【0159】
図11を依然として参照すれば、ステップ1150~1159は、パーソナライズされたエレクトログラムに基づいたフェノタイプに基づいて、いくつかの療法選択肢を提供する。療法選択肢1150は、明瞭な電気ターゲットの範囲を定めている組織領域を識別する。患者に応じて、これは、構造とは無関係に、回転又は局所ソース/ドライバ、或いは、その他の電気特徴であってよい。選択肢1153は、構造異常性の範囲を定めている組織の領域をターゲットとする。特定の個人内のフェノタイプには、中間フェノタイプ(例えば、健康状態の変化に伴って動的に変化しうる、電気又は構造的なもの)が存在しうる。この場合にも、複数の形態の電気パターンが、この構造要素と共存しうると共に、且つ、本発明は、パーソナル及び母集団データベース(1147)を更新するべく、これらのサイトと関連する電気信号を保存することになる。両方のケースにおいて、選択肢1155は、電気ペーシング又は機械ペーシング、或いは、遺伝子療法又は幹細胞療法、或いは、薬剤療法を介して、これを変調するべく、外科的又は最小限に侵襲的なアブレーションにより、組織の破壊を含む療法を提供する。薬剤治療は、心房伝導速度を減少させるためのクラスI作用物質と、不応性を延長するためのクラスIII作業物質と、を含みうる。AFアブレーションは、組織を正確に除去しなくてもよく、且つ、線維症と境を接するターゲットエリア又は電気的な脆弱性のエリアを除去してもよい。また、療法は、これらの領域に対する関係する組織、その神経供給、又はその他の変調する生物学的システムを対象とすることができる。
【0160】
選択肢1159は、(体重の減少、心室後負荷又はその他の因子の制御などの)ライフスタイルの変化を含む、その他のAF療法選択肢を提供する。このパーソナライズされた方式は、結果を改善することができ、所与の個人用の最大の予測初期成功を有する方式を選択することによって反復介入を除去することができると共に、従って、治療における費用及び遅延を低減することができる。
【0161】
図12Aは、無償で入手可能なソース及びプロプライエタリなシステムから益々利用可能である、AFのマップについて示された、不整脈用の好適な実施形態の別の例を示す。AFマップ1200は、領域1206及び1207内の特徴を示すべく、着色(シェーディング)され、且つ、注釈が付与されている。タイミング、形状、及び複雑性を含む、いくつかの特徴が、重要なドライバでありうる。これは、推定回路内においてサイト1~5用の回転アクティベーション時間シーケンス1205を使用することにより、或いは、θと表記された位相角度情報を使用することにより、識別されうる、(図示されている)回転回路を含む。その他の新規の特徴は、機械学習された部分的な回転的、部分的な局所的、且つ、反復的空間特徴を含む。マップは、商用ベンダーから、無償で入手可能なオンラインマッピングツール(Alhusseini、2017)から、或いは、その他の新しいシステムから、入手可能なソフトウェアを使用することにより、生成することが可能であり、且つ、入力として使用することができる。これらのマップは、電気生理学的レコーダ、専用のマッピング機器、オンラインリソース、スマートフォンapp(例えば、図14Eを参照されたい)によって生成することが可能であり、且つ、システムに対して入力1220としてストリーミングすることができる。図11におけるように、例えば、年齢、性別、臨床、撮像、遺伝性などの、パーソナライズされた入力データをステップ1223において入力することができる。
【0162】
ステップ1226は、AFマップに基づいて、データパーティションを生成する。本発明の利点の1つは、ちょうど心拍リズムを超えて延在するデータを使用することにより、個人内の複合的なリズム障害の1つ又は複数のソースを識別する能力である。複合的な心拍リズム障害は、混沌とした方式によって出現しうるが、複合的なリズム障害を生成するべくアクティベーションが生じる、少数(1~5)のソースに起因したものでありうる。ソースは、波、通常は、螺旋波、が、解体されたアクティベーションを生成するべく、生じる、回転回路(ローター)を含みうる。また、ソースは、解体されたアクティベーションを生成するべく、アクティベーションが遠心的に生じる、局所インパルス領域(局所ソース)を含むこともできる。本発明の方式は、いくつかの個人において価値を有しうる、反復パターン、或いは、一時的な回転又は局所パターン、或いは、妨害された回転又は局所パターンなどの、更なるあまり十分に研究されてはいないターゲットと共に、その回路タイプを識別する。
【0163】
従来技術における主要な問題点は、いくつかの患者内のAFは、回転サイト又は局所サイトに強力に関係付けられうるが、その他の個人内のAFは、あまり強力ではない関係を示しうると共に、更にその他の患者内のAFは、非常に異なるメカニズムを有しうる、という点にある。また、AFが、複数の併存症又は疾病の「最終的な共通経路」であり、これは、異なるタイプのAFのいくつかを表しうる、というケースも存在する。現時点において、これらのタイプのAFは、分離することができない。本発明の方式は、心臓の機械的及びその他の機能、磁気共鳴などの撮像からの心臓の構造異常性、並びに、年齢、性別、人口統計、家族履歴を含む、臨床パラメータ、肥満、糖尿病の存在、遺伝性及び代謝プロファイルのインデックスなどの併存症、に関するデータを含む、パーソナルデジタルフェノタイプを生成するべく、詳細な臨床データを電気データに追加することにより、従来技術を拡張する。極端な肥満を有する患者においては、例えば、AFは、回転又は局所ドライバによって駆動されない場合があり、より構造的因子に依存する。タクソノミーは、これらの臨床因子を考慮することになり、フェノタイプを生成することになり、且つ、相応して療法を個別化することになる。異なる且つ/又はあまり高度ではない臨床因子を有する別の患者においては、AFは、特定の領域から駆動しうると共に(局所又は回転)、且つ、これらのサイトは、主には、肺静脈の近傍において位置しうる。
【0164】
ステップ1229は、AFマップ上においてセンタリングされたフェノタイプを母集団のデジタル(ベイズ)タクソノミー1232と比較する。ステップ1238は、ステップ1241においてベクトルXによって定義された受け入れ許容範囲限度を使用することにより、図5のステップ542において記述されている機械学習などの方法を使用して比較を実行する。ステップ1244は、デジタルタクソノミー及びデータベース1247からのデータに照らした比較に基づいて、このAFフェノタイプにより、療法ターゲットを定義する。
【0165】
ステップ1250~1259は、パーソナルAFマップに合焦したフェノタイプに基づいた療法の選択肢を表す。選択肢1250は、明瞭な電気ターゲットの範囲を定めている組織領域を識別する。患者に応じて、これは、構造とは無関係に、明瞭な回転又は局所ソース/ドライバ、或いは、その他の電気特徴であってよい。選択肢1253は、構造異常性の範囲を定めている組織の領域をターゲットとする。任意の形態の電気指紋が、この構造要素内において存在しうると共に、本発明は、パーソナル及び母集団データベース1247を更新するべく、これらのサイトと関連する電気信号を保存することになる。両方のケースにおいて、療法選択肢1259は、外科的又は最小限に侵襲的なアブレーションによる組織の破壊、電気ペーシング又は機械ペーシングを介した組織の変調、遺伝子療法又は幹細胞療法、或いは、薬剤療法などの治療を含む。薬剤治療は、心房伝導速度を減少させるためのクラスI作用物質と、不応性を延長するためのクラスIII作用物質と、を含みうる。AFアブレーションは、組織を除去するためのみに使用されなくてもよく、線維症と境を接するエリア又は電気的脆弱性のエリアをターゲットとしうる。また、療法は、これらの領域に対する関係する組織、その神経供給、又はその他の変調する生物学的システムを対象とすることもできる。
【0166】
療法選択肢1256は、例えば、体重の減少、心室後負荷の制御、及びその他の因子などの、ライフスタイルの変化などの、その他のAF療法方式を含む。この選択肢は、特に、AFマップ上の明瞭ではないAFドライバ/ソースを有する患者などの、進行したAFを有する患者において有効でありうる。この選択肢は、身体表面ECG情報(ステップ1220)からのマップを非侵襲的に判定することにより、実現することができよう。全体として、このパーソナライズされた方式は、所与の個人用の最大の予測初期成功を有する、且つ、従って、治療における費用及び遅延を低減する、方式を選択することにより、結果を改善する、且つ/又は、反復介入を除去/極小化する、メカニズムを提供する。
【0167】
また、療法選択肢1256において、本発明の方式は、特定のデジタルフェノタイプ用の不整脈の新規の療法として、抗炎症剤と免疫抑制を統合するべく、使用することができる。抗炎症療法は、ステロイド又は非ステロイド剤、移植のために使用される作用物質を使用する免疫抑制、及び細胞療法を含みうる。
【0168】
図12B~Dは、アブレーション療法のガイドなどの、個人にパーソナライズされた心拍リズム障害の原因を識別(マッピング)するための本発明の方式の有用性を示す。図12Bは、複合的なリズム障害における臨床エレクトログラムが、曖昧でありうると共に、実験モデル(例えば、動物)内において原因(メカニズム)を確立するべく必要とされる詳細情報をめったに提供しえない、という事実から生じる、充足されていないニーズを示す。図12Cは、本発明の方式が、個人に対してパーソナライズされた、実験モデル内においてのみ以前に観察された、信号タイプを再構築するべく、臨床エレクトログラムを分析することにより、このニーズに対処する方式の一例を示す。図12Dは、これが、それぞれの個人ごとに療法をパーソナライズするべく、不整脈の適合されたマップを生成しうる方式を示す。図12B図12Dは、心房細動(AF)の例を通じて、本発明の方式を示すが、この例は、本発明の範囲の限定を意図したものではなく、これは、心房又は心室のその他のリズム異常に、或いは、脳などのその他の臓器系内の電気障害に、適用することができる。
【0169】
図12Bを参照すれば、例示用の臨床AF信号1265は、近傍(ローカル)組織のアクティベーションを恐らくは表しえない成分、即ち、偽のディフレクション、を含んでおり、その理由は、これらが、細胞が回復しうるよりも迅速に発生するからである(再分極は、通常、(Narayan et al.,J Am Coll Cardiol 2008によれば)、>120~200msである)。これは、外科的マッピングにおける、人間の心臓との直接的な接触状態にある非常に小さな(例えば、0.3mm)電極の場合にも、当て嵌まり(Allessie et al.,Circulation 2010)、且つ、患者の治療において専門家によって使用されている相対的に大きな電極(2~4mm)に伴って、相対的に曖昧になる可能性が高い、ことに留意されたい。専門家は、アクティベーションとして選択するべきそれぞれのAF「拍動」からのディフレクションについては不明な状態にあり、その理由は、回復(再分極)が未知であるからである。パネル1267は、(専門家に基づいた規則:1次導関数(dV/dt)の最小値に基づいて)臨床信号内の3つの受け入れ可能なディフレクションのうちの任意のものを選択することにより、同一の記録から非常に異なるAFのマップが生成されることを示す(Zaman et al.,Circulation Arrhythmia and Electrophysiology,2018)。パネル1269は、これらの臨床的にマーキングされた信号のいくつかが、脱分極(MAPの開始、「0」)及び再分極(MAPのオフセット、「E」)を正確に表すことが示されている、基準信号-単相アクション電位(MAP)記録からのこれらの患者内のアクション電位-と実際に一致する場合があり、或いは、そのいずれもが実際に一致しない場合があることを示す。臨床AFエレクトログラムのいくつかのディフレクションは、基準の開始又はオフセットと一致しておらず、且つ、「ファーフィールド」(即ち、ローカルではなく、「F」)というラベルが付与されている。
【0170】
図12Cは、本発明の方法が、曖昧な臨床入力信号からAF内の基準(アクション電位、MAP出力)を再構築する方式の一例を提供する。臨床信号内の複数のディフレクションは、MAPの開始1275(即ち、アクティベーション、脱分極)について、本発明の方式により、自動的にタグ付けされており、この場合に、実線の垂直ラインは、「予測」を表し、且つ、破線の垂直ラインは、「真」及びMAPのオフセット1277(即ち、回復、再分極)を通知する。それぞれのパネルは、それぞれのプロットの下部部分における臨床AFエレクトログラム及び上部部分におけるMAPからの入力を伴って、独立的なラベル付与されたトレーニングデータについて本発明の方式のこのコンポーネントをトレーニングした後の、ブラインド試験セットにおける、AFの実際のデータ、即ち、具体化、を示す。MAPの開始1275及びオフセット1277のラベル付与は、標準的な方式からの決定論的なものであった。開始パネル1275の下部境界に沿って観察されうるように、脱分極及び再分極のマーキングにおける再構築における誤りは、非常に小さく(7.2~16.5ms)、その結果、人間専門家のマーキング誤り以内に十分に含まれている。プロット1279は、ほぼ100%の精度に収束するアルゴリズムを伴う、16,560個のEGM/MAPサンプルを有する機械学習アルゴリズムのトレーニング精度を示す。機械学習は、臨床信号に対する適合を許容する、のみならず、患者タイプ(男性/女性、異なる年齢、肥満度指数、併存症状態など)、信号記録の場所(右心房、左心房、近傍の肺静脈、左心耳、左心房後壁、及びその他の領域)、並びに、その他の組織特性(例えば、組織のアクション電位との関係における信号特性を変更しうる、線維症の存在)に対するパーソナライズをも許容する。
【0171】
図12Dは、患者用のAF内の入力臨床信号を使用する、本発明のパーソナライズされたマッピング方式の実装形態を図式的に示す。臨床信号1281は、アブレーション又はマッピングカテーテル1282などの、単一電極、或いは、円形1283、バスケット1284、又はその他の形状のマッピングカテーテル内の複数の電極、を使用することにより、生成することができる。マッピング方式は、(図12Cの単相アクション電位などの)相対的に高度な詳細及び解釈可能性の信号を再構築するべく、機械学習アルゴリズム1285(又は、当技術分野において既知の、その他のクラシファイア)を適用する。この処理は、臨床信号のみの使用を通じて得られる、或いは、従来の専門家に基づいた規則によって分析される、であろうものとは異なりうる、不整脈マップ1290を結果的にもたらす。これらのマップは、臨床記録カテーテルからの「機械学習されたMAPマップ」又は「仮想的なMAPマップ」と呼称される。具体的には、結果的に得られた不整脈マップは、いくつかの患者が、1つ又は複数の組織化されたドライバ領域を有することを明らかにしうる。これらは、心臓の大きな領域(1291)のその制御によって証拠付けられた状態において、優勢でありうるか、或いは、これらは、心臓の相対的に小さな領域(1292)のその制御によって証拠付けられた状態において、二次的でありうる。いくつかの患者は、その時点において明らかなドライバ領域を有していない場合もあり、且つ、非常に解体されたAF(1293)を有する場合もある。これらの不整脈マップは、その個人に対してパーソナライズされたアブレーションなどの療法をガイドするべく、使用することができる。また、この分析は、複合的な不整脈マップが時間に伴って変化するかどうかを判定するべく、或いは、出現しうる、消失しうる、且つ、再出現しうる、二次的なドライバ領域を識別するべく、反復的に実行することもできる。
【0172】
人間心臓内のアクション電位マッピングを再構築するための本発明の方式の能力は、固有のものである。この方式は、生きている患者内において、臨床信号の曖昧さを回避するべくアクション電位をマッピングするが、生きている患者には適用されえない、絶対的基準である、外植された人間心臓の光学撮像のプロセスを近似する(Hansen,Fedorov et al.,JACC Clin.Electrophysiol.2018)。本発明の方式は、解体されたリズム内の組織化された領域の識別を許容する。相対的に大きなサイズを有する組織化された領域は、相対的に小さなサイズの組織化された領域よりも、優勢でありうると共に、療法用の相対的に良好なターゲットでありうる。このような領域を識別する能力は、アクション電位を再構築してはいない従来の方法においては、利用可能ではない。
【0173】
図12Eは、本発明の方式が、曖昧な臨床入力信号1295から「仮想的信号バスケットカテーテル」1297を生成しうる方式を図式的に示す。この例において、入力信号1295は、機械学習アルゴリズム1296に入力される、入力バスケットプローブからのユニポーラエレクトログラムである。1298において、再構築された波形は、本発明が、複数のリズム(例えば、図12Cなどの、AF、VT、VF)用のラベル付与された基準トレーニングデータについて既にトレーニング済みである、馴染み深い生理学的信号としての、アクション電位である。但し、特定のタスクのために最適化された、その他の生物工学によって生成された信号タイプが生成されうる。1298における方形波は、再分極の時点まで遮断された、ローカルな脱分極を示しており、これは、アクティベーションマッピングに適しうる(偽のディフレクションを極小化する)。1298における勾配(三角形、鋸歯)信号は、開示から再分極までの振幅における漸進的な勾配を示しており、且つ、位相マッピングのために有用でありうる。既知のアクティベーション、回復、及びレート情報を使用することにより、マッピング方式に対して最適化された、その他の形状を設計することができる。それぞれの信号タイプは、本発明により、傷又は線維症の近傍の領域用の相対的に小さな振幅(図示されている)、或いは、左心房内の僧帽弁峡部などの厚い組織領域の近傍の相対的に大きな振幅などのような、個々の特性に対して適合させることができる。いくつかのその他の信号タイプは、様々な用途用に再構築することが可能であり、且つ、当業者に明らかとなろう。
【0174】
本発明の方式は、(Narayan et al.,Heart Rhythm 2016によって説明されているように)回復(再分極)時間内に含まれていることから、再分極のみならず、脱分極をも表現しておらず、且つ、従って、ファーフィールドでありうる信号を識別することができない(偽陽性)、複合的な不整脈用のすべての従来のマッピング方式とは異なっている。本明細書において記述及び図示されている実施形態は、機械学習及びニューラルネットワークを利用するが、当業者には、記述されているように、複数のパラレルアルゴリズムを含む、その他のクラシファイアが適用されうることが容易に明らかとなろう。
【0175】
図13Aは、機械学習アルゴリズムの例示用の図を示す。このケースにおいては、複数の入力1300が、入力層1302を介して提供されている。それぞれの入力は、データタイプに伴って異なることになる。例えば、エレクトログラムストリームは、複数のチャネル用の電圧-時間を表す1次元アレイの行列の形態を有しうる。撮像データは、3次元空間内のそれぞれの座標におけるボクセル又は2次元空間内のピクセルの強度(浮動小数点整数)を表す行列として表すことができる。男性/女性の性別、年齢用の単純な変数を表すべく、序数値を使用することができる。
【0176】
接続が、それぞれの入力を隠蔽層1(1304)、隠蔽層2(1306)、...、隠蔽層n-1(1308)、及び隠蔽層n(1310)内の1つ又は複数のノード(また、「ニューロン」又は「要素」とも呼称される)とリンクする。全体として、隠蔽層1312は、このシステムに対する入力データの複雑さに伴って変化しうる、可変数を有しうる。隠蔽層1312は、限定を伴うことなしに、畳み込み、プーリング、ローカル接続された、反復、埋め込み、マージ、アクティベーション、正規化、ノイズ、ドロップアウト、高密度、平坦化された、再成形、順序が変えられた、反復-ベクトル、規則化、マスキング、層を含む、層の任意の直列の組合せであってよい。ネットワーク内のそれぞれの層又は層のグループの実装形態は、別の層又は層のグループとは異なりうる。出力1314は、分類タスクをコーディングする、1つ又は複数のノードを有しうる。特定の用途においては、これは、「心房細動の診断」、「はい」又は「いいえ」などの二値(整数)値であってよい。その他のケースにおいて、出力は、0.0が不存在となる、1.0がその領域内において連続的に存在することになる、且つ、0.7が時間のなんらかの割合において間欠的であるが存在しうる、「心房細動におけるソース/ドライバの存在」などの、連続的な変数によって付与されるスペクトル又は範囲によって表すことができる。
【0177】
図13Bにおいて、ステップ1320~1347は、AlexNet(畳み込みニューラルネットワーク)から変更された、別の例示用の実施形態を示しており、これは、(好適な一実施形態である、図12のAFマップ分析用の)画像入力のステップに入力しうる。ステップは、画像入力、畳み込み、ReLU(rectified linear unit)、クロスチャネル正規化、最大プーリング、最大及び平均プーリング層(図示されている)、全結合層、並びに、所与の確率によって層の入力要素をゼロに設定するドロップアウト層を循環する。分類問題の場合に、Softmax層又はバイナリクロスエントロピー層は、最後の全結合層を辿らなければならない。ステップ1320は、ネットワークに対する入力(例えば、画像)を表す。ステップ1323~1326は、2つの連続的なブロック畳み込み(Conv)、アクティベーション(ReLU)、バッチ正規化(BN)、及びMaxプーリング(MP)CNN層を表す。ステップ1329~1335は、3つの連続的なConv及びReLUブロックを表す。ステップ1338~1341は、全結合(FC)、ReLU、及びドロップアウト(DP)ブロックの2つの連続的なブロックを表す。1344は、1つのFCブロックを表しており、1347は、バイナリクロスエントロピー出力分類層を表す。上述の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、PythonにおけるAlexNet実装形態の一例示である。限定を伴うことなしに、異なる演算プラットフォームにおいて、Inception-v3、ResNet-50、ResNet-101、GoogLeNet、VGG-16、VGG-19、及びDenseNetを含む、その他のネットワークを使用することができる。特定のネットワーク設計は、望ましいデータのすべてを内蔵するべく、実装することができる。その他のネットワークアーキテクチャを利用することが可能であり、その選択については、当業者に容易に明らかとなろう。
【0178】
図14A図14Eは、図13A及び図13Bの実施形態を使用することにより、具体化された、本発明の方法に伴う処理の例示用の結果を提供する。図14Aは、回転を示すサブ領域と、回転を有していないサブ領域と、にセグメント化された、位相分析によって生成されたAFマップを示す。図14Bは、AFの重要領域を検出するための非常に高精度を有するCNNのトレーニング振る舞いのプロットであり、この場合に、局所化されたアブレーションが、肺静脈隔離の前に持続的なAFを終了させている。これらのデータは、試験データ、即ち、畳み込みニューラルネットワークのトレーニングのためには使用されなかったデータ、に関する、>90%の精度の結果を示す。
【0179】
図14Cは、不整脈疾病における機械学習を解釈するための、本発明の方式の固有の一態様を示す。解釈可能性の欠如は、大部分の従来の機械学習アプリケーションの制限であると見なされていることから、本発明の方式は、その学習されたパターン用の解釈可能性を提供するように、設計されている。図14Cは、トレーニング済みのネットワークがその分類を実現した方式を図式的に説明する。いくつかの方式が、使用されうると共に、当業者に馴染み深いものとなろう。図示のプロセスは、RR.Selvarajuらによって設計されたGrad-CAM(Gradient-weighted Class Activation Mapping)であり、これは、画像上の微細な詳細を強調表示するべく、CAMのクラス条件付きプロパティを既存のピクセル-空間勾配視覚化技法と融合する。Grad-CAMは、アーキテクチャの変更又は再トレーニングを伴わない、全結合層(例えば、VGG19)を有するCNN、構造化された出力に使用されるCNN(例えば、キャプショニング)、マルチモード入力を有するタスクにおいて使用されるCNN(例えば、VQA)、或いは、強化学習を含む、様々なCNNモデルファミリーに適用可能でありうる。
【0180】
図14Cにおいて、入力マップ1405は、標準的なマッピング方式を使用することにより、取得された、AF内の回転アクティベーションを示す画像である。入力マップ1405からのデータは、機械学習のために変換されおり、且つ、1407において、例えば、「回転存在」などの、予測されたラベル(1/0)を生成するべく、入力ベクトルの順方向伝播が、トレーニング済みのCNN(Conv5+ReLU)を通じて実行されている。ステップ1409において、それぞれの畳み込み層との関係において出力ラベル(1/0)の勾配を演算するべく、逆方向伝播アルゴリズムが実行されており、このそれぞれは、畳み込み層(m,n,k)と等しい次元のニューロン重要性重みを表す。ステップ1411において、値が、m及びnに沿って平均化されており、その結果、サイズ(k)のベクトルがもたらされている。ステップ1413において、平均勾配ベクトルと第3次元(k次元)に沿った畳み込み層の出力との間のドット積が、m×n行列1415を結果的にもたらしており、この場合に、相対的に大きな値1417は、相対的に小さな値1418よりも重要な領域を表す(図示の容易性を目的として、畳み込み層のみが示されている)。熱マップ1415においては、相対的に温かい色(色スペクトルの上端部における、色スケール1419において「赤色」、「黄色」、「緑色」、「青色」とラベル付与されたもの)は、分類の最大の責任を担っているトレーニング済みのネットワークの領域を通知する。換言すれば、これらは、ネットワークがその決定を下す方式を通知する。
【0181】
図14Dは、図14Cのプロセスの結果の例を提供する。入力マップ1420は、64歳の男性におけるAFの対象である単一のサイト(回転活動)を示す。トレーニング済みのネットワークは、このサイトを検出することが可能であり、且つ、結果的に得られた熱マップ1422は、回転活動のサイトとして専門家によってコーディングされたであろう、心臓内の場所1423を正確に示す。74歳の男性におけるAFを示す、入力マップ1425からの、熱マップ1426は、専門家によって選択されたであろう、サイトとの優れた一致を示す、Grad-CAM処理によって自動的に識別された、対象の2つの同時の領域1427を通知する。入力マップ1430は、65歳の男性におけるAFを示しており、熱マップ1431が、専門家によって同様にフラグ付けされたであろう、それぞれの領域1432を正確に示す、対象の3つの領域が、Grad-CAMによって図示及び検出されている。
【0182】
以上のネットワークの「説明性」分析は、トレーニング済みのネットワークが、AFの病理生理学(原因)における明白なトレーニングを伴うことなしに、専門家によって選択されたであろう、特徴を経験的に識別することにより、その成功的な分類決定を下したことを示す。全体として、一連の35人の患者及び175,000個の画像において、この方式は、>90%の感度及び>90%の特異度により、専門家によって選択されたであろう、特徴を識別する。
【0183】
異なる解釈可能性分析が、使用されうると共に、当業者には明らかとなろう。Grad-CAMは、トレーニング済みのCNNの変更を必要とはしておらず、且つ、自動化されうるが、その他の方式を使用することができる。1つの方式は、異なる層から特徴を抽出し、それらを画像として視覚化し、且つ、特定の特徴についてそれらを視覚的に分析する、というものである。入力の各部分が、体系的に省略及びグレーアウトされ、且つ、その重要性が、結果的に得られる分類の変化によって推定されている、感度分析が提案される。このような方法は、複数の同時の領域を同時に精査することが困難であることから、制限される場合があり、その理由は、入力の各部分を省略することにより、分類のアーチファクト特徴が生成されうると共に、表現を変更することにより、ネットワーク予測におけるコンフィデンスが基本的に変更されうる、からである。異なる解釈可能性分析において、ネットワークは、専門家によって識別されたものとは異なる特徴を識別する場合がある。これは、本発明のそれぞれの実施形態において、利点又は欠点でありうる。
【0184】
図14Eは、カスタム設計されたスマートフォンappにおけるデータの例示用のユーザーインターフェイスディスプレイを示す。ディスプレイパネル1440は、撮像/マッピングシステムからのデジタル的に取得されたパーソナルデータからの終了のサイトを示す。この例示用の表示は、ラベル付与された、左上肺静脈(LSPV)、左下肺静脈(LIPV)、右上肺静脈(RSPV)、及び右下肺静脈(RIPV)を有する、左心房を示す。終了のサイトは、この特定の患者の丸で囲まれたエリア1442内の損傷に対応する。パーソナルデジタルデータ1445は、洞リズムに対するAFの終了におけるエレクトログラムを示す。表示パネル1450は、スマートフォンapp内において稼働する無償で入手可能なオンライン方法によって生成された、AFマップのパーソナルストリーミングデータを示す。表示パネル1455は、パーソナライズされた療法用の重要なサイトを識別するための医師との間における対話型入力を示す。
【0185】
図15は、パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)、タブレットPC、パーソナルデジタルアシスタント(PDA:personal digital assistant)、モバイル装置、パームトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、通信装置、制御システム、ウェブアプライアンス、或いは、その機械によって実行されるべきアクションを規定する命令の組を(順番に又はその他の方法で)実行する能力を有する任意のその他の機械などの、様々な装置に内蔵されうる、本発明の方法を実装するべく使用されうるコンピュータシステムを図式的に示す。更には、単一のコンピュータシステム2300が示されているが、「システム」という用語はまた、1つ又は複数の演算機能を実行するべく命令の1つの組又は複数の組を個々に又は協働して実行しうる、システム又はサブシステムの任意の集合体を含むべく、解釈することを要する。
【0186】
図15に示されているように、コンピュータシステム2300は、例えば、中央処理ユニット(CPU:central processing unit)、グラフィクス処理ユニット(GPU:graphics-processing unit)、或いは、これらの両方などの、プロセッサ2302を含みうる。コンピュータシステムは、バス2326を介して互いに通信しうる、メインメモリ2304及びスタティックメモリ2306を含みうる。図示されているように、コンピュータシステム2300は、液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)、有機発光ダイオード(OLED:organic light emitting diode)、フラットパネルディスプレイ、半導体ディスプレイ、又は陰極線管(CRT:cathode ray tube)などの、ビデオ表示ユニット2310を更に含みうる。これに加えて、コンピュータシステム2300は、キーボードなどの入力装置2312と、マウスなどのカーソル制御装置2314と、を含みうる。また、コンピュータシステム2300は、ドライブユニット2316、スピーカ又は遠隔制御装置などの信号生成装置2322、並びに、ネットワークインターフェイス装置2308を含みうる。
【0187】
特定の一実施形態において、図15に描かれているように、ドライブユニット2316は、例えば、ソフトウェアなどの、命令の1つ又は複数の組2320が保存される、コンピュータ可読媒体2318を含みうる。ドライブユニット2316は、ディスクドライブ、サムドライブ(USBフラッシュ装置)、或いは、その他のストレージ装置であってよい。更には、命令2320は、本明細書において記述されている方法又はロジックの1つ又は複数をも実施することができる。特定の一実施形態において、命令2320は、コンピュータシステム2300による実行の際に、完全に、或いは、少なくとも部分的に、メインメモリ2304、スタティックメモリ2306、及び/又はプロセッサ2302内において存在しうる。また、メインメモリ2304及びプロセッサ2302は、コンピュータ可読媒体をも含みうる。
【0188】
一代替実施形態においては、本明細書において記述されている方法のうちの1つ又は複数を実装するべく、アプリケーション固有の集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、プログラム可能なロジックアレイ(PLA:programmable logic array)、及びその他のハードウェア装置などの、専用のハードウェア実装形態を構築することができる。様々な実施形態の装置又はシステムを含みうる用途は、様々な電子及びコンピュータシステムを広範に含みうる。本明細書において記述されている1つ又は複数の実施形態は、モジュールの間において且つモジュールを通じて、或いは、用途固有の集積回路の一部分として、伝達されうる、関係する制御及びデータ信号を有する、2つ以上の特定の相互接続されたハードウェアモジュール又は装置を使用することにより、機能を実装することができる。従って、本システムは、ソフトウェア、ファームウェア、及びハードウェア実装形態を包含する。
【0189】
様々な実施形態によれば、本明細書において記述されている方法は、プロセッサ可読媒体内において有体的に実施されたソフトウェアプログラムによって実装することができると共に、プロセッサによって実行することができる。更には、例示用の非限定的な実施形態において、実装形態は、分散処理、コンポーネント/オブジェクト分散処理、及びパラレル処理を含みうる。或いは、この代わりに、本明細書において記述されている方法又は機能のうちの1つ又は複数を実装するべく、仮想コンピュータシステム処理を構築することもできる。
【0190】
また、コンピュータ可読媒体は、ネットワーク2324に接続された装置が、ネットワーク2324上において、音声、ビデオ、又はデータを伝達しうるように、命令2320を含み、且つ、命令2320を受け取り、且つ、伝播された信号に応答して実行するものと想定されている。更には、命令2320は、ネットワークインターフェイス装置2308を介して、ネットワーク2324上において送信又は受信することもできる。
【0191】
コンピュータ可読媒体は、単一の媒体として示されているが、「コンピュータ可読媒体」という用語は、中央集中化された又は分散されたデータベース及び/又は命令の1つ又は複数の組を保存する関連するキャッシュ及びサーバーなどの、単一の媒体又は複数の媒体を含む。また、「コンピュータ可読媒体」という用語は、プロセッサによる実行のための、或いは、コンピュータシステムが本明細書において開示されている方法又は動作のうちの任意の1つ又は複数を実行するようにする、命令の組を保存、エンコーディング、又は担持する能力を有する任意の媒体を含むことになる。
【0192】
以上の内容は、疾病のパーソナライズされたデジタルフェノタイプを生成するためのシステム及び方法の実施形態について記述しており、これらのフェノタイプは、療法をパーソナライズするべく、デジタルタクソノミーと比較されている。特定の例示用の実施形態について記述されているが、本発明の相対的に広い範囲を逸脱することなしに、様々な変更及び変形が、これらの実施形態に対して実施されうる、ことが明らかであろう。従って、本明細書及び図面は、限定的な意味ではなく、例示を目的としたものであると見なすことを要する。本明細書の一部分を形成する添付図面は、限定ではなく、例として、主題が実施されうる特定の実施形態を示す。図示の実施形態は、当業者が本明細書において開示されている教示内容を実施することを可能にするべく、十分詳細に記述されている。構造的且つ論理的な置換及び変更が、本開示の範囲を逸脱することなしに、実施されうるように、その他の実施形態が、利用されうると共に、これから導出されうる。従って、この詳細な説明は、限定の意味において解釈されるべきではなく、且つ、様々な実施形態の範囲は、添付の請求項に付与される均等物の最大範囲を伴って、添付の請求項によってのみ、定義される。
【0193】
このような本発明の主題の実施形態は、本明細書においては、個別に且つ/又は集合的に、利便を目的として、且つ、複数が実際に開示されている場合には、本出願の範囲を任意の単一の発明又は発明概念に自発的に限定する意図を伴うことなしに、単に、「発明」という用語により、呼称されている場合がある。従って、特定の実施形態が本明細書において図示及び記述されているが、同一の目的を実現するべく算出された任意の構成が、図示の特定の実施形態を代替しうることを理解されたい。
【0194】
参照文献(引用により本明細書に包含されるもの)
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図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
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図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の心拍リズム障害に対する療法をパーソナライズするためのシステムにおいて、当該システムが、
少なくとも1つの電気センサを有する電極カテーテルであって、前記電気センサが、ある時間にわたって患者の心臓で生成された電気信号データを記録することによって、患者の心臓の電気活動をを検出するように構成された電極カテーテルと、
メモリおよび1以上のプロセッサを有するコンピュータデバイスと、を備え、
前記メモリが命令を保存するように構成され、前記命令が前記1以上のプロセッサにより実行されたときに、前記1以上のプロセッサが、
前記電極カテーテルによって記録された前記電気信号データを受信し、
ライフスタイル、活動、研究室、人口統計、病理学、科学、画像、履歴、および遺伝、の情報のうちの1以上を含む臨床データを取得し、
前記電気信号データと前記臨床データとをネットワーク内のノードによりリンクさせ、
前記ノードの間の重みづけを計算し、
前記ノードの間の重みづけに基づいて、患者の療法をパーソナライズする、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記ネットワークが、既知の治療の成功をトレーニングサンプルとしてトレーニングされることを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、平均よりも高い重みづけを有するノードの一部分は、治療の成功を予測する可能性が高い臨床インプットを表すことを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、異なる重みづけを有するノードの一部分が、心拍リズム障害が経時的に進行するかどうかを予測する臨床フェノタイプを表すことを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記心拍リズム障害が心房細動であり、平均よりも高い重みづけを有するノードの一部分にリンクされた臨床データは、患者が薬物療法またはアブレーションに反応するかどうかを予測するために使用されることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記心拍リズム障害が心室頻脈であり、平均よりも高い重みづけを有するノードの一部分にリンクされた臨床データは、患者が薬物療法またはアブレーションに反応するかどうかを予測するために使用されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、平均よりも高い重みづけを有するノードの一部分にリンクされた臨床データが、前記電気信号データと組み合わされて、アブレーション治療を目的とするパーソナライズされたマップを生成することを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記臨床データにリンクされたノードの一部分は、焦点性、回転性、反復性、または他の電気的アクティベーションのマップパターンが治療の標的となるかどうかを特定するために使用されることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムにおいて、前記パーソナライズされたマップが、心臓内の位置におけるアクティベーションを示す画像を含み、前記命令が実行されると、1以上の前記プロセッサが、前記パーソナライズされたマップにおいて相対的に高いアクティベーションの位置を特定することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記命令が実行されると、1以上の前記プロセッサがさらに、生体信号センサから生体信号のデータストリームを収集し、
前記生体信号センサが、電極、光学センサ、圧電センサ、音響センサ、電気抵抗値センサ、熱センサ、加速度計、圧力センサ、フローセンサ、および電気化学センサのうちの1つ又は複数であることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムにおいて、前記生体信号が、電気心臓信号、機械心臓信号、心拍数、心臓音、呼吸音、呼吸数、呼吸容積、神経活動、および免疫学的信号、のうちの1つ又は複数を含むことを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記臨床データが、血行動態データ、肺伝導と関連する臨床因子、神経信号、および代謝状態のバイオマーカー、のうちの1つ又は複数を含むことを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記ノードが、
相関分析、ロジスティック回帰分析、決定木、時間ドメイン分析、周波数ドメイン分析、三角法変換、対数変換、クラスタ分析、および教師なし機械学習、のうちの1以上に基づいて重みづけされることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記心拍リズム障害が、
心房細動、心室細動、心房性頻脈、心房性粗動、多形性若しくは単形性心室頻脈、心室性粗動、および心臓内の電気異常、のうちの1以上を含むことを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記命令が実行されると、1以上の前記プロセッサがさらに、異なる心拍リズムに関連する1以上の基準信号で訓練された機械学習アルゴリズムを使用して、アクション電位を再構成することを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1に記載のシステムにおいて、パーソナライズされた療法が、接触装置によるエネルギー送達によるアブレーション、非接触装置によるエネルギー送達、電気療法、熱療法、機械療法、薬剤療法、免疫抑制、幹細胞療法、および遺伝子療法、のうちの1つ又は複数により、患者の組織の少なくとも一部分を変更することを含むことを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記命令が実行されると、1以上の前記プロセッサがさらに、更新された前記患者のパーソナル履歴データを生成し、前記パーソナル履歴データが、定量的疾病分類、パーソナライズされた療法、および個人の治療結果、のうちの1つ以上を含むことを特徴とするシステム。
【外国語明細書】