(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119825
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】鎮痛化合物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C07D 487/10 20060101AFI20240827BHJP
A61P 25/04 20060101ALN20240827BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20240827BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20240827BHJP
A61K 31/499 20060101ALN20240827BHJP
【FI】
C07D487/10 CSP
A61P25/04
A61P25/00
A61P29/00
A61K31/499
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024080487
(22)【出願日】2024-05-16
(62)【分割の表示】P 2022093166の分割
【原出願日】2018-12-07
(31)【優先権主張番号】201711334106.5
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519347650
【氏名又は名称】魯南製薬集団股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李潤涛
(72)【発明者】
【氏名】叶加
(72)【発明者】
【氏名】王欣
(72)【発明者】
【氏名】葛沢梅
(72)【発明者】
【氏名】梁瑩瑩
(72)【発明者】
【氏名】杜小雷
(72)【発明者】
【氏名】王丁
(72)【発明者】
【氏名】張貴民
(72)【発明者】
【氏名】姚景春
(72)【発明者】
【氏名】趙桂芳
(57)【要約】 (修正有)
【課題】神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群を治療する新規な化合物、その製造方法及びその使用を提供する。
【解決手段】一般式(I)で示される化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩、前記化合物の製造方法が提供される。
式中、R
1は、水素、ハロゲン、アルキル基、シアノ基とハロゲン化アルキル基から選ばれ、R
2、R
3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれ、且つ、R
1とR
2とR
3は同時に水素ではなく、且つ、R
2とR
3の一方がニトロ基又はハロゲンである場合は、R
1、R
2とR
3の残りの2つは同時に水素ではない。当該化合物は、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群に対する治療効果と抗炎症効果に優れており、しかも薬物依存性等の副作用はない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
[式中、R
1は、水素、ハロゲン、アルキル基、シアノ基とハロゲン化アルキル基から選ばれ、
R
2、R
3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれ、且つ、R
1とR
2とR
3は同時に水素にならず、
且つ、R
2とR
3の一方がニトロ基又はハロゲンである場合は、R
1、R
2とR
3の残りの2つは同時に水素ではない]で示される化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
[式中、R
1は、水素、ハロゲン、アルキル基、シアノ基とハロゲン化アルキル基から選ばれ、
R
2は、水素、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれ、且つ、R
1とR
2は同時に水素ではない]で示される請求項1に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
[式中、R
1は、水素、ハロゲン、又はハロゲン化アルキル基から選ばれ、R
2は、水素又はニトロ基から選ばれる]で示される請求項2に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R1はアルキル基、シアノ基、ハロゲン、又はハロゲン化アルキル基から選ばれ、且つ、R2は水素である請求項2に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R1はハロゲン、又はハロゲン化アルキル基から選ばれ、且つ、R2は水素である請求項2~4のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項6】
前記アルキル基は、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる請求項2~5のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項7】
前記ハロゲン化アルキル基は、トリフルオロメチル基である請求項2~6のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項8】
選ばれる化合物である請求項2~7のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項9】
原料のハロゲン化ベンゼン試薬(A)、金属触媒、配位子、塩基を溶媒に溶解し、次に1-Boc-ピペラジン(B)を加え、アルゴンガスで保護して40~140℃の反応温度で反応させることによって、中間体化合物(C)を得るステップ(1)と、
前記中間体化合物(C)に塩酸-有機溶媒を加え、室温で攪拌して、脱保護中間体(D)を得るステップ(2)と、
前記脱保護中間体(D)を溶媒に溶解し、NaHCO
3の存在下で1,4-ジブロモブタンと反応させて、式(I)で示される前記化合物を得るステップ(3)とを含み、
ステップ(1)及びステップ(3)において、前記溶媒はアルコール系、ケトン系、ニトリル系、塩素化炭化水素系溶媒、ベンゼン系溶媒、DMSO又はDMFであり、
前記金属触媒は、塩化パラジウム、酢酸銅、ヨウ化第一銅又は塩化第二鉄から選ばれ、
前記配位子はα-アミノ酸、o-ヒドロキシベンズアミド、又はビナフトールであり、
ステップ(2)において、前記有機溶媒はアルコール系溶媒又はエステル系溶媒である式(I)で示される化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩を含み、所望により薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む抗神経障害性疼痛用の医薬品。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩を含む抗炎症用の医薬品。
【請求項13】
請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩をその必要がある被験者に投与することを含む鎮痛方法。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩をその必要がある被験者に投与することを含む抗炎症方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群を治療する新規な化合物、その製造方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は一般的な疾患であり、生理性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛(neuropathic pain、略称NPP)の3つの種類に大別される。
【0003】
神経障害性疼痛は臨床でよく見られる1種の疾患であり、2008年国際疼痛学会(IASP)ではこれを体性感覚系の損傷又は疾患により生じる疼痛と定義している。神経障害性疼痛は例えば、末梢神経系又は中枢神経系の損傷又は機能障害により引き起こされ、臨床ではまだ効果的な治療手段がない難治性の慢性疼痛である。神経障害性疼痛に属する疾患には、例えば、帯状疱疹後神経痛、三叉神経痛、糖尿病性神経痛、手術後持続性疼痛もしくは外傷後疼痛等、痛覚過敏又は異常な疼みを症状とする疾患が含まれる。世界的難題ともいえる神経障害性疼痛は、全世界で患者数が百万人に上り、患者の生活の質に深刻な影響を与えている。
【0004】
慢性疼痛に分類されているとはいえ、神経障害性疼痛は炎症性疼痛と本質的に違っている。従来、神経障害性疼痛の治療方法としては、非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド系物質等の伝統的な鎮痛薬、及び抗けいれん薬や三環系抗うつ薬を含む他の薬物の使用が挙げられる(Max,M.B. Ann.Neurol,35(Suppl):S50-S53(1994);Raja,S.N. et al.,Neurology,59:1015(2002);Galer,B.S. et al.,Pain,80:533(1999))。しかしながら、これらの薬物は痛みを十分に緩和できないか、例えば薬剤耐性、薬物依存性等の好ましくない副作用が伴う。
【0005】
スピロピペラジン第四級アンモニウム塩系化合物は、北京大学の李潤涛氏が率いる研究グループが、第四級アンモニウム塩系ニコチン受容体作動薬1,1-ジメチル-4-フェニルヨウ化ピペラジン(DMPP)の構造を改変して得た1種の化合物である。これまでは、スピロピペラジン第四級アンモニウム塩系化合物の鎮痛活性に関する研究が報告されており、当該化合物には薬物依存性がない(Yue,C.Q.,Ye,J.,Li,C.L.,Li,R.T.,Sun,Q.,2007.Antinociceptive effects of the novel spirocyclopiperazinium salt compound LXM-10 in mice.Pharmacol Biochem Behav 86,p643-650参照)。その鎮痛メカニズムは、アセチルコリン受容体の活性化と関係する可能性がある(Zhao,X.,Ye,J.,Sun,Q.,Xiong,Y.,Li,R.,Jiang,Y.,2011.Antinociceptive effect of spirocyclopiperazinium salt compound LXM-15 via activating peripheral alpha7 nAChR and M4 mAChR in mice.Neuropharmacology 60,p446-452参照)。
【0006】
しかしながら、当該スピロピペラジン第四級アンモニウム塩系化合物の鎮痛作用については、これらのスピロピペラジン第四級アンモニウム塩系化合物(特に、化合物LXM-10)の生理性疼痛と炎症性疼痛に対する阻害効果が報告されているが(例えば、WO2007/147346)、神経障害性疼痛を治療するために当該化合物が有効であるかどうかは言及されていない。
【0007】
このため、神経障害性疼痛のより効果的な治療薬物を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
本発明の一つの態様において、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群を治療する新規な化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の別の態様において、上記化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は下記の式(I)で示される化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩を提供する。
式中、R
1は、水素、ハロゲン、アルキル基、シアノ基とハロゲン化アルキル基から選ばれ、
R
2、R
3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれ、且つ、R
1とR
2とR
3は同時に水素ではなく、
且つ、R
2とR
3の一方がニトロ基又はハロゲンである場合は、R
1、R
2とR
3の残りの2つは同時に水素ではない。
【0011】
本発明で使用される用語「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味し、フッ素原子、塩素原子、又は臭素原子であることが好ましい。
【0012】
本発明で使用される用語「ハロゲン化」とは、フッ素化、塩素化、臭素化、又はヨウ化を意味する。
【0013】
本発明で使用される用語「アルキル基」は、炭素数1~6の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基であることが特に好ましい。
【0014】
本発明で使用される用語「ハロゲン化アルキル基」とは、上記のように定義されたアルキル基が1つ又は複数の、好ましくは1つから5つのハロゲン原子によって置換されたものを意味し、前記ハロゲン原子は本願で定義された用語と同じ意味である。ハロゲン化アルキル基は、モノハロゲン化アルキル基、ジハロゲン化アルキル基、トリハロゲン化アルキル基、ペルハロゲン化アルキル基等、例えば、クロロメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2-トリフルオロエチル基、パーフルオロエチル基、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジクロロエチル基等を含む。なお、ハロゲン化アルキル基はトリハロゲン化アルキル基であることが好ましく、トリフルオロメチル基であることがより好ましい。
【0015】
本発明で使用される用語「ニトロ基」とは、-NO2基を意味する。
【0016】
本発明で使用される用語「シアノ基」とは、-CN基を意味する。
【0017】
本発明の式(I)の実施形態において、R2、R3はそれぞれ独立してアルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれ、R1は水素である。
【0018】
本発明の式(I)の実施形態において、R2、R3はそれぞれ独立してメチル基、エチル基、トリフルオロメチル基又はニトロ基から選ばれ、R1は水素である。
【0019】
本発明の実施形態において、本発明の化合物は下記の式(II)で示され、
式中、R
1は、水素、ハロゲン、アルキル基、シアノ基とハロゲン化アルキル基から選ばれ、
R
2は、水素、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれ、且つ、R
1とR
2は同時に水素ではない。
【0020】
本発明の式(II)の実施形態において、R1は、ハロゲン、アルキル基、シアノ基とハロゲン化アルキル基から選ばれ、R2は、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれる。
【0021】
本発明の式(II)の実施形態において、R1は、フッ素、塩素、臭素、メチル基、エチル基、シアノ基とトリフルオロメタンから選ばれ、R2は、フッ素、塩素、臭素、メチル基、エチル基、トリフルオロメタンとニトロ基から選ばれる。
【0022】
本発明の式(II)の実施形態において、R1とR2は同時にハロゲンである。
【0023】
本発明の実施形態において、前記R1は、水素、ハロゲン、又はハロゲン化アルキル基から選ばれ、R2は、水素又はニトロ基から選ばれる。
【0024】
本発明の式(II)の実施形態において、R1はアルキル基、シアノ基、ハロゲン、又はハロゲン化アルキル基から選ばれ、且つ、R2は水素である。
【0025】
本発明の式(II)の実施形態において、R1はハロゲン、又はハロゲン化アルキル基から選ばれ、且つ、R2は水素である。
【0026】
本発明の式(II)の実施形態において、前記アルキル基は、メチル基、エチル基、又はプロピル基から選ばれる。
【0027】
本発明の式(II)の実施形態において、前記ハロゲン化アルキル基は、トリフルオロメチル基である。
【0028】
【0029】
より好ましくは、本発明の化合物は、
から選ばれる。
【0030】
本発明の化合物は本分野の通常の方法に従って製造でき、以下の反応プロセスに従って製造することが好ましい。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、一般式(I)の化合物の製造方法が提供される。当該方法は、
原料のハロゲン化ベンゼン試薬(A)、金属触媒、配位子、塩基を溶媒に溶解し、次に1-Boc-ピペラジン(B)を加え、アルゴンガスで保護して40~140℃の反応温度で反応させることによって、中間体化合物(C)を得るステップ(1)と、
中間体化合物(C)に塩酸-有機溶媒を加え、室温で攪拌して、脱保護中間体(D)を得るステップ(2)と、
脱保護中間体(D)を溶媒に溶解し、NaHCO3の存在下で1,4-ジブロモブタンと反応させて、本発明の一般式(I)の化合物を得るステップ(3)とを含む。
【0032】
上記の方法において、ハロゲン化ベンゼン試薬は、トリフルオロメチル基によって置換されたブロモベンゼン、トリフルオロメチル基によって置換されたヨードベンゼン、又はジフルオロメチル基によって置換されたブロモベンゼン、ジフルオロメチル基によって置換されたヨードベンゼン、又はブロモヨードベンゼン、又はニトロ基によって置換されたクロロベンゼン、ニトロ基によって置換されたブロモベンゼン、ニトロ基によって置換されたヨードベンゼン等から選ばれてもよい。
【0033】
上記の方法において、金属触媒は、塩化パラジウム、酢酸銅、ヨウ化第一銅、塩化第二鉄等から選ばれてもよく、ヨウ化第一銅であることが好ましい。
【0034】
上記の方法において、配位子は異なるα-アミノ酸、o-ヒドロキシベンズアミド、ビナフトール等から選ばれてもよい。なお、配位子は、ビナフトールであることが好ましい。
【0035】
上記の方法において、塩基は、有機塩基及び無機塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等から選ばれてもよい。なお、塩基は、リン酸カリウムであることが好ましい。
【0036】
上記の方法のステップ(1)において、使用される溶媒は、アルコール系、ケトン系、ニトリル系、塩素化炭化水素系溶媒、ベンゼン系溶媒、DMSO又はDMFであり、前記アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等であり、前記ケトン系溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等であり、前記ニトリル系溶媒は、例えば、アセトニトリル等であり、前記塩素化炭化水素系溶媒は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等であり、前記ベンゼン系溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等である。溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルム、又はジクロロメタンであることが好ましく、DMFであることがより好ましい。
【0037】
上記の方法のステップ(1)において、反応温度は100℃であることが好ましい。
【0038】
上記の方法のステップ(1)において、反応時間は6~48時間であってもよく、12~32時間であることが好ましく、24時間であることがより好ましい。
【0039】
上記の方法のステップ(2)において、有機溶媒はアルコール系溶媒又はエステル系溶媒から選ばれ、前記アルコール系溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等であり、前記エステル系溶媒は、例えば、ギ酸エチル、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等である。有機溶媒は酢酸エチルであることが好ましい。
【0040】
本発明において、室温は0~40℃であってもよく、10~30℃であることが好ましく、15~25℃であることがより好ましい。
【0041】
上記の方法のステップ(3)において、使用される溶媒は、アルコール系、ケトン系、ニトリル系、塩素化炭化水素系溶媒、ベンゼン系溶媒、DMSO又はDMFであり、前記アルコール系溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等であり、前記ケトン系溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等であり、前記ニトリル系溶媒は、例えば、アセトニトリル等であり、前記塩素化炭化水素系溶媒は、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム等であり、前記ベンゼン系溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等であり、溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、アセトン、トルエン、ベンゼン、DMSO、DMF、クロロホルム、ジクロロメタン、又はエチレングリコールであることが好ましく、エタノールであることがより好ましい。
【0042】
上記の方法で得た目的生成物は、通常の方法で精製・純化することができ、例えば、再結晶の方法で分離・純化することができ、再結晶に使用される溶媒は、酢酸エチル-エタノール、アセトン-エタノール、酢酸エチル-メタノール、アセトン-メタノール、アセトン-水、メタノール、エタノール、又はイソプロパノール等であってもよく、酢酸エチル-エタノールであることが好ましい。
【0043】
本発明の別の態様において、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群を治療する本発明の化合物を含む医薬組成物を提供することを目的とする。当該医薬組成物は所望により薬学的に許容される担体を含んでもよい。必要に応じて、医薬組成物における有効成分の含有量は0.1~99%であり、残りは薬学的に許容される担体である。
【0044】
本発明の医薬組成物は、所望により、製薬分野の通常の方法に従って、例えば、経口製剤、注射剤、直腸投与製剤、局所投与製剤等、例えば、錠剤、丸剤、分散粉末、カプセル剤、顆粒剤、乳剤、溶液剤、懸濁液、シロップ、経膣もしくは直腸投与用の固形坐剤製剤、局所用テープ剤等のさまざまな製剤形態として製剤化されてもよい。注射剤形、経口剤形又は経皮局所投与剤形として製剤化されることが好ましく、徐放型又は放出制御型の剤形が特に好ましい。
【0045】
本発明の医薬組成物及び当該組成物の各種の製剤は、製薬分野で既知の通常の方法に従って製造できる。
【0046】
適切な剤形を製造するために、必要に応じて、例えば、賦形剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、界面活性剤、湿潤剤、防腐剤、甘味料、色素等のさまざまな医薬用補助剤を含む医薬用担体を加えてもよい。
【0047】
疾患の種類、重症度、患者の状況、例えば、性別、年齢、体重等によって、適切な剤形及び投与量を選択し、一般に、成人の場合は、投与量は1~200mg/kg体重/日であり、1~50mg/kg体重/日であることが好ましい。
【0048】
本発明の別の態様において、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群の治療における一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩の使用であって、上記の物質を適用に適するさまざまな薬用剤形として製造することを含む使用を提供することを目的とする。
【0049】
好ましくは、本発明は、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群の治療における化合物DXL-A-16、DXL-A-19、DXL-A-21、DXL-A-22、DXL-A-23、DXL-A-24、これらの立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0050】
本発明の別の態様において、抗炎症における一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩の使用であって、上記の物質を適用に適するさまざま薬用剤形として製造すること含む使用を提供することを目的とする。
【0051】
本発明の別の態様において、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群の治療薬物を製造するための、一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供することを目的とする。
【0052】
本発明の別の態様において、抗炎症薬物を製造するための、一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩の使用を提供することを目的とする。
【0053】
好ましくは、本発明は、抗炎症薬物を製造するための、化合物DXL-A-16、DXL-A-19、DXL-A-21、DXL-A-22、DXL-A-23、DXL-A-24、これらの立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩の使用に関する。
【0054】
本発明のさらなる目的は、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群の治療方法であって、治療有効量の、一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩をそのような治療を必要とする患者に投与することを含む治療方法を提供することである。
【0055】
本発明のさらなる目的は、抗炎症方法であって、治療有効量の、一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩をそのような治療を必要とする患者に投与することを含む抗炎症方法を提供することである。
【0056】
本発明において、神経障害性疼痛は、中枢神経系における原発性病巣又は機能障害によって引き起こされる痛みを意味する。
【0057】
例えば、神経障害性疼痛症候群は、帯状疱疹後神経痛(帯状疱疹により引き起こされる)、引き抜き損傷、痛みを伴う外傷性単神経障害、痛みを伴う多発性神経障害(特に糖尿病による)、中枢性疼痛症候群(どのような程度の神経系の損傷によっても引き起こされ得る)、術後疼痛症候群(例えば、乳房切除術後症候群、開胸術後症候群、幻覚痛)、複雑な局所疼痛症候群(反射性交感神経ジストロフィー、灼熱痛)を含む。
【0058】
場合によっては、神経障害性疼痛は、例えば、鈍感(自発的な又は誘発される灼熱痛で、多くの場合はズキズキとする痛みが伴う)等の典型的な症状が伴うが、激しい痛みや薄々と感じた痛みであることもある。他の感覚(例えば、感覚過敏、痛覚過敏、異常な痛み(害のない刺激による痛み)、痛覚過敏(特に不快で、必要以上に感じられる痛み反応))が生じる可能性もある。
【0059】
本発明において、神経障害性疼痛は、「外周」(末梢神経系による)、「中央」(脳又は脊髄による)に分類される。
【0060】
中央神経障害性疼痛は、主に視床における脳病変、又は梗塞、例えば、視床梗塞もしくは脳幹梗塞、又は脳腫瘍もしくは膿瘍による視床や脳幹の圧迫、又は多発性硬化症、又は脳部開放手術、例えば、筋肉運動の障害の場合の視床切開術、又は脊髄病変、又は脊髄損傷、又は脊髄手術、例えば、脊髄前外側柱切断術、又は血液性病変、又は前脊髄動脈症候群、又は延髄外側症候群、又は脊髄空洞症等から選ばれる原因となる疼痛である。
【0061】
本発明において、神経障害性疼痛は中央神経障害性疼痛症候群である。中央神経障害性疼痛症候群は、例えば、脊髄損傷及び/又は脊髄挫傷により引き起こされる。
【0062】
場合によっては、神経障害性疼痛は中枢性疼痛メカニズムにより引き起こされる頭部疼痛症候群であり、例えば、片頭痛又は頭部の片側に生じる疼痛である。
【0063】
場合によっては、神経障害性疼痛は、末梢神経障害性疼痛である。末梢神経障害性疼痛は、例えば、慢性圧迫損傷又は坐骨神経結紮により引き起こされる。
【0064】
本発明において、主な末梢神経障害性疼痛は、全身性疾患、例えば、糖尿病性神経病変、又は薬物誘発性病変、例えば、化学療法により引き起こされる神経病変、又は外傷後症候群と神経圧迫症候群、又は神経根と神経節の病変、又はHIV感染による神経病変、又は疱疹若しくはヘルペス感染による神経痛、又は神経根裂傷、又は脳神経病変、又は脳神経痛、例えば、三叉神経痛、又は神経性癌性疼痛、又は幻覚痛、又は末梢神経、神経叢と神経根の圧迫、又は腫瘍担持性末梢神経病変と神経節病変、又は癌治療、例えば、化学療法、放射療法、外科手術の合併症、又は複雑な領域に生じる疼痛症候群、I型病変(旧称は反射性交感神経ジストロフィー)と、II型病変(灼熱痛に相当する)から選ばれる種類の神経障害性疼痛及び/又はこれらが原因となる神経障害性疼痛を含む。
【0065】
本発明の一般式(I)の化合物、その立体異性体、互変異性体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩は、神経障害性疼痛及び/又は神経障害性疼痛症候群に対する治療効果と抗炎症効果に優れており、しかも薬物依存性等の副作用はない。
【発明を実施するための形態】
【0066】
次に、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
当業者であれば理解されるように、以下の実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。実施例で技術又は条件の記載がない場合は、本分野の文献に記載される技術もしくは条件、又は製品取扱説明書に準じる。使用される試薬又は装置はメーカーが明記されない場合は、いずれも市販される一般的な製品である。
【0067】
試薬及び溶媒はいずれも化学用又は分析用の純度の市販品であり、説明がない限り、処理せずに直接使用する。石油エーテルは60~90℃の留分であり、無水ジオキサンは活性化されたモレキュラーシーブによって乾燥され、無水THFはナトリウムで処理される。原料及び試薬は中国メーカー、Arcos社、薩恩社、伊諾凱社等から提供される。
【0068】
カラムクロマトグラフィー:青島海洋化工厂製、シリカゲル200~300メッシュ、発色剤としてヨウ素を使用、又はUVランプにより検出。
【0069】
核磁気共鳴装置:BrukerAVANCE III 400、高分解能質量分析計:Waers Xevo G2 Q-TOF液体クロマトグラフ質量分析計。
【0070】
合成法1(化合物DXL-A-10の合成を例に)
イソプロパノール25mLが入った100mL丸底フラスコに3-ヨードトルエン(2.18g、0.01mol)を加え、次に無水ピペラジン(1.76g、0.02mol)、ヨウ化第一銅(0.5g、25mmol)、リン酸カリウム(4.66g、17.5mmol)、エチレングリコール(1.5mL)を加え、アルゴンガスで保護して18時間還流して反応させた。TLC(PE:EA=20:1、DCM:MeOH=10:1)により反応終了を検出した。濾過し、減圧して溶媒を除去し、水20mLを加え、クロロホルムで30mL抽出し(3回)、抽出液を合わせ、飽和食塩水と水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。液体がなくなるまで濃縮させ、カラムクロマトグラフィー(EA:MeOH:NH
3・H
2O=25:3:2)により無色の油状生成物2-22 0.5gを得た。収率は23%であった。
【0071】
1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 7.18(t,J=7.7Hz,1H),6.74(dd,J=17.8,8.7Hz,3H),3.14(s,8H),2.35(s,3H).
【0072】
50mL丸底フラスコにエタノール18mLを加え、原料3-1(0.5g、2.84mmol)、1,4-ジブロモブタン(0.6g、2.84mmol)を加え、NaHCO
3(1.67g、19.88mmol)を細かく研磨し、攪拌しながら上記の体系に加え、80℃で加熱して6時間還流して反応させ、薄層クロマトグラフィーにより検出して原料が残る場合は、引き続き18時間まで反応させて、反応終了とした。濾過して、炭酸水素ナトリウム固体を除去し、濾液をエバポレーターで乾燥させ白色固体となる粗生成物(0.93g)を得た。当該固体に酢酸エチル20mLを加え、5分間超音波処理し、濾過して、酢酸エチルを除去して、固体の粗生成物を得た。次に、酢酸エチル/エタノール再結晶により白色固体となる生成物730mgを得た。収率は83%であった。
【0073】
合成法2(化合物DXL-A-08の合成を例に)
1,4-ジオキサン40mLが入った250mL丸底フラスコに、原料2-23の3-ブロモ安息香酸メチル(2.15g、10mmol)、BINAP(622mg、1mmol)、酢酸パラジウム(45mg、0.2mmol)、炭酸セシウム(6.5g、20mmol)、2-24のBoc-ピペラジン(1.86g、10mmol)を加え、アルゴンガスで保護して、100℃で18時間還流して反応させ、TLC(PE:EA=10:1)により反応終了を検出した。珪藻土で濾過して、固体を除去した。濾液をエバポレーターで乾燥させ、カラムクロマトグラフィー(PE:EA=10:1)により淡黄色の油状生成物720mgを得た。収率は23%であった。
【0074】
原料2-25(720mg、2.25mmol)を50mL丸底フラスコに加え、塩化水素・酢酸エチル(2.8M)を加え、5時間攪拌し、TLCにより原料の反応終了を検出した。濾過して、塩化水素・酢酸エチルを除去し、酢酸エチルで繰り返し洗浄し、薄層クロマトグラフィーにより1つの生成物だけが検出され、白色固体となる生成物2-26 570mgを得た。収率は99%であった。
【0075】
原料2-26(570mg、2.22mmol)をエタノール(15mL)に溶解し、次にNaHCO
3(1.5g、17.76mmol)を加え、室温で10分間攪拌し(HCl解離)、次に1,4-ジブロモブタン(527mg、2.44mmol)を加え、6時間還流して反応させ、薄層クロマトグラフィーにより反応終了を検出した。濾過して、NaHCO
3固体を除去し、濾液をエバポレーターで乾燥させ、酢酸エチル20mLを加え、2回洗浄した。濾過して白色の粗生成物を得た。酢酸エチル/エタノール再結晶により、白色固体となる生成物160mgを得た。収率は20.3%であった。
【0076】
合成法3(化合物DXL-A-26の合成を例に)
原料4-ヨードアニソール2-27(2.34g、10mmol)、配位子(430mg、1.5mmol)、CuI(580mg、2mmol)、K
3PO
4(5.32g、20mmol)を無水DMF(30mL)に溶解し、次にBoc-ピペラジン2-24(2.8g、15mmol)を加え、アルゴンガスで保護して、100℃で24時間反応させた。TLC(PE:EA=5:1)により原料の反応終了を検出した。ジクロロメタン50mLで3回抽出し、抽出液を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液と水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1)により黄色固体となる生成物720mgを得た。収率は24.6%であった。
【0077】
原料2-28(720mg、2.46mmol)を50mL丸底フラスコに加え、塩化水素・酢酸エチル(3.8M)を加え、室温で24時間攪拌し、濾過して、白色固体となる生成物600mgを得た。収率は90%であった。
【0078】
原料2-29(600mg、2.62mmol)をエタノール(15mL)に溶解し、NaHCO
3(1.76g、20.96mmol)を加え、攪拌しながら1,4-ジブロモブタン(567mg、2.62mmol)を加えた。6時間還流して反応させて、TLCにより反応終了を検出した。濾過してNaHCO
3を除去し、エバポレーターで溶媒を乾燥させ固体を得る。当該固体を酢酸エチル(20mL)で2回洗浄し、濾過して固体を得た。当該固体は加熱してジクロロメタンで2回洗浄し、濾過して固体の粗生成物を得た。酢酸エチル/ジクロロメタン再結晶により、白色固体となる生成物800mgを得た。収率は93%であった。
【0079】
実施例1 DXL-A-16の製造
8-(4-フルオロフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(4-フルオロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0080】
合成法3により、白色の固体を得た。収率は43%であった。
【0081】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.24(d,J=9.0Hz,2H),6.94(d,J=9.0Hz,2H),3.61-3.26(m,12H),2.10(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 159.26,156.89,145.41,119.27,119.19,116.03,115.81,62.66,59.01,45.69,21.08.
ES-HRMS:C14H20BrFN2[M-Br]+の計算値は235.31985、測定値は235.16041であった。
【0082】
実施例2 DXL-A-19の製造
8-(4-シアノフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(4-シアノフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウムブロミド
【0083】
合成法2により、白色の固体を得た。収率は37.1%であった。
【0084】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.54(d,J=8.8Hz,2H),6.97(d,J=8.9Hz,2H),3.54(dd,J=17.0,9.7Hz,12H),2.11(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 152.22,133.92,120.55,115.30,100.85,62.52,58.55,42.79,21.03.
ES-HRMS:C15H20BrN3[M-Br]+の計算値は242.33885、測定値は242.16511であった。
【0085】
実施例3 DXL-A-21の製造
8-(3,4-ジフルオロフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(3,4-ジフルオロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0086】
合成法3により、白色の固体を得た。収率は59.3%であった。
【0087】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.10(dd,J=19.3,9.4Hz,1H),6.89(m,J=13.1,6.8,2.7Hz,1H),6.72(d,J=8.7Hz,1H),3.69-3.44(m,8H),3.38(s,4H),2.11(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 151.37,151.22,148.93,148.81,146.35,146.22,146.09,145.97,143.96,143.84,117.65,117.48,113.06,113.04,113.01,112.98,106.61,106.41,62.61,58.85,45.08,21.07.
ES-HRMS:C14H19BrF2N2[M-Br]+の計算値は253.31032、測定値は253.15087であった。
【0088】
実施例4 DXL-A-22の製造
8-(4-ブロモフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(4-ブロモフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0089】
合成法3により、白色の固体を得た。収率は86.9%であった。
【0090】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.38(d,J=8.9Hz,2H),6.89(d,J=8.9Hz,2H),3.50(dd,J=12.4,7.3Hz,8H),3.39(s,4H),2.10(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 148.30,132.21,118.64,113.20,62.56,58.83,44.37,21.13.
ES-HRMS:C14H20Br2N2[M-Br]+の計算値は296.22545、測定値は296.08329であった。
【0091】
次の方法でDXL-A-22を製造することもできる。
【0092】
1.中間体4-(4-ブロモフェニル)-1-Boc-ピペラジン(C)の調製
原料の4-ブロモヨードベンゼンA(10mmol)、1,1’-ジ-2-ナフトール(430mg、1.5mmol)、CuI(580mg、2mmol)、K3PO4(5.32g、20mmol)を無水DMF(30mL)に溶解し、次にBoc-ピペラジンB(2.8g、15mmol)を加え、アルゴンガスで保護して、100℃の温度で24時間反応させた。TLC(PE:EA=5:1)により原料の反応終了を検出した。ジクロロメタンで3回抽出し(50mL×3)、抽出液を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(PE:EA=5:1)により黄色固体となる生成物4-(4-ブロモフェニル)-1-BocピペラジンCを得た。
【0093】
2.中間体1-(4-ブロモフェニル)ピペラジン(D)の調製
4-(4-ブロモフェニル)-1-BocピペラジンC(2.46mmol)を50mL丸底フラスコに加え、塩化水素・酢酸エチル(3.8M)を加え、室温で24時間攪拌し、濾過して、白色固体となる脱保護中間体1-(4-ブロモフェニル)ピペラジン(D)を得た。
【0094】
3.Iaの調製
脱保護中間体1-(4-ブロモフェニル)ピペラジンD(2.62mmol)をエタノール(15mL)に溶解し、NaHCO3(1.76g、20.96mmol)を加え、攪拌しながら1,4-ジブロモブタン(567mg、2.62mmol)を加えた。6時間還流して反応させて、TLCにより反応終了を検出する。濾過してNaHCO3を除去し、エバポレーターで溶媒を乾燥させ固体を得た。当該固体は酢酸エチル、ジクロロメタンで洗浄し、粗生成物を得て、酢酸エチル/ジクロロメタンにより再結晶させ、白色固体となる生成物Iaを得た。収率は86.9%であった。
【0095】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.38(d,J=8.9Hz,2H),6.89(d,J=8.9Hz,2H),3.50(dd,J=12.4,7.3Hz,8H),3.39(s,4H),2.10(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 148.30,132.21,118.64,113.20,62.56,58.83,44.37,21.13.
ES-HRMS:C14H20Br2N2[M-Br]+の計算値は296.22545、測定値は296.08329であった。
【0096】
実施例5 DXL-A-23の製造
8-(4-クロロフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(4-クロロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0097】
合成法3により、白色の固体を得た。収率は17.5%であった。
【0098】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.25(d,J=8.8Hz,2H),6.95(d,J=8.9Hz,2H),3.51(dd,J=11.6,7.1Hz,8H),3.40(s,4H),2.10(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 147.75,129.23,125.89,118.38,62.56,58.85,44.63,21.08.
ES-HRMS:C14H20BrClN2[M-Br]+の計算値は251.77445、測定値は251.13077であった。
【0099】
実施例6 DXL-A-24の製造
8-(4-トリフルオロメチルフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0100】
合成法3により、白色の固体を得た。収率は70.7%であった。
【0101】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.54(d,J=8.7Hz,2H),7.05(d,J=8.6Hz,2H),3.52(d,J=11.3Hz,12H),2.11(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 151.55,126.66,126.63,125.83,123.15,121.91,121.59,121.25,115.82,62.52,58.68,43.62,21.02.
ES-HRMS:C15H20BrF3N2[M-Br]+の計算値は285.32736、測定値は285.15687であった。
【0102】
次の方法でDXL-A-24を製造することもできる。
【0103】
製造方法は、Aは4-トリフルオロメチルブロモベンゼンである以外、実施例4に記載のDXL-A-22の第2の製造方法と同じである。白色固体となる生成物Ibを得た。収率は70.7%であった。
【0104】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.54(d,J=8.7Hz,2H),7.05(d,J=8.6Hz,2H),3.52(d,J=11.3Hz,12H),2.11(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 151.55,126.66,126.63,125.83,123.15,121.91,121.59,121.25,115.82,62.52,58.68,43.62,21.02.
ES-HRMS:C15H20BrF3N2[M-Br]+の計算値は285.32736、測定値は285.15687であった。
【0105】
実施例7 DXL-A-27の製造
8-(3,5-ビストリフルオロメチルフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0106】
合成法2により、白色の固体を得た。収率は75%であった。
【0107】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.52(s,1H),7.48(s,2H),3.62(s,12H),2.21(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 149.95,132.36,132.03,131.71,131.44,124.86,122.20,116.17,114.18,114.10,114.06,114.02,62.71,58.78,43.86,21.16.
ES-HRMS:C16H19BrF6N2[M-Br]+の計算値は353.32533、測定値は353.14369であった。
【0108】
実施例8 DXL-A-28の製造
8-(3-ニトロ-5-トリフルオロメチルフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0109】
合成法2により、黄色の固体を得た。収率は43.2%であた。
【0110】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.88(d,J=12.1Hz,2H),7.54(s,1H),3.59(t,J=16.9Hz,12H),2.18(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 150.36,148.96,132.63,132.27,131.83,131.49,124.47,118.28,113.33,111.74,62.70,58.66,43.53,21.17.
ES-HRMS:C15H19BrF3N3O2[M-Br]+の計算値は330.32492、測定値は330.14195であった。
【0111】
実施例9 DXL-A-29の製造
8-(3-メチル-5-ニトロフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(3-メチル-5-ニトロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0112】
合成法2により、黄色の固体を得た。収率は27.1%であった。
【0113】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.50(s,2H),7.20(s,1H),3.79-3.32(m,12H),2.34(s,3H),2.26(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 149.43,148.38,123.19,116.18,107.69,62.63,58.78,43.99,21.14,20.64.
ES-HRMS:C15H22BrN3O2[M-Br]+の計算値は276.35353、測定値は276.17033であった。
【0114】
実施例10 DXL-A-30の製造
8-(3-ニトロ-4-メチルフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(4-メチル-3-ニトロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0115】
合成法2により、黄色の固体を得た。収率は18.2%であった。
【0116】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.31(s,1H),7.10(t,J=6.6Hz,2H),3.67-3.49(m,8H),3.40(s,4H),2.19(s,4H),2.17(s,3H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 148.67,147.64,133.68,126.13,121.81,111.63,62.70,58.87,44.16,21.18,18.78.
ES-HRMS:C15H22BrN3O2[M-Br]+の計算値は276.35353、測定値は276.17085であった。
【0117】
実施例11 DXL-A-32の製造
8-(3-ニトロ-4-シアノフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(4-シアノ-3-ニトロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0118】
合成法2により、黄色の固体を得た。収率は32.6%であった。
【0119】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.58(dd,J=10.9,5.5Hz,2H),7.14(dt,J=33.4,16.7Hz,1H),3.73(s,4H),3.66-3.51(m,8H),2.16(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 152.27,136.61,118.50,117.34,110.52,94.25,62.60,58.29,42.14,21.05.
ES-HRMS:C15H19BrN4O2[M-Br]+の計算値は287.33641、測定値は287.15134であった。
【0120】
実施例12 DXL-A-05の製造
8-(3-クロロフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(3-クロロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0121】
合成法3により、白色の固体を得た。収率は58.8%であった。
【0122】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.23(d,J=8.1Hz,1H),7.01(d,J=1.8Hz,1H),6.92(dd,J=17.4,8.1Hz,2H),3.47(dd,J=30.2,26.7Hz,12H),2.14(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 150.24,134.62,130.77,121.34,116.65,115.14,62.62,58.81,44.36,21.09.
ES-HRMS:C14H20BrClN2[M-Br]+の計算値は251.77445、測定値は251.13082であった。
【0123】
実施例13 DXL-A-06の製造
8-(3-トリフルオロメチルフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5イウムブロミド
【0124】
合成法2により、白色の固体を得た。収率は23.7%であった。
【0125】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.46(t,J=7.9Hz,1H),7.31(s,1H),7.26(t,J=7.6Hz,2H),3.58(dd,J=13.8,5.7Hz,12H),2.17(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 149.37,131.22,130.90,130.29,125.46,122.77,120.24,117.94,113.20,62.65,58.87,44.39,21.11.
ES-HRMS:C15H20BrF3N2[M-Br]+の計算値は285.32736、測定値は285.15715であった。
【0126】
実施例14 DXL-A-10の製造
8-(3-トリル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(m-トリル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0127】
合成法1により、白色の固体を得た。収率は83%であった。
【0128】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.22(t,J=7.8Hz,1H),6.90(s,1H),6.85(d,J=6.8Hz,2H),3.62-3.49(m,8H),3.44(s,4H),2.24(s,3H),2.15(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 160.00,150.52,130.67,110.01,107.15,103.40,62.61,58.90,55.44,44.80,21.07.
ES-HRMS:C15H23BrN2[M-Br]+の計算値は231.35597、測定値は231.18548であった。
【0129】
実施例15 DXL-A-18の製造
8-(2-フルオロフェニル)-8-アザ-5-アザスピロ[4.5]デカンブロミド
8-(2-フルオロフェニル)-5,8-ジアザスピロ[4.5]デカン-5-イウム ブロミド
【0130】
合成法3により、白色の片状結晶を得た。収率は91%であった。
【0131】
1H NMR(400MHz,D2O)δ 7.15-6.98(m,4H),3.63-3.43(m,8H),3.31(s,4H),2.11(s,4H).
13C NMR(101MHz,D2O)δ 156.72,154.51,137.09,137.00,125.09,125.05,125.02,119.84,116.47,116.27,62.82,59.20,45.73,21.03.
ES-HRMS:C14H20BrFN2[M-Br]+の計算値は235.31985、測定値は235.16094であった。
【0132】
効果実施例
化合物LXM-21、LXM-22の製造に関しては、WO2007/147346A1を参照する。引用により当該文献の全体が組み込まれる。
【0133】
各化合物の投与量は0.4、1、3、4、6、9、12mg/kgであり、各化合物が低投与量で投与され、薬効に有意差が認められない場合は、順次投与量を増やす。即ち投与量0.4mg/kgは対照と有意差が認められない場合は、投与量を1mg/kgに調整し、このように試験を繰り返す。
【0134】
化合物DXL-A-27、DXL-A-28、DXL-A-29、DXL-A-30、DXL-A-32の分子量は他の化合物の分子量と差が大きいため、これらの化合物の投与量は4μmol/kgとする。
【0135】
実験動物:
北京大学実験動物部が提供するICR系マウスを用いる(許可番号:SCXK(京)2016-0010)。体重は18~22gであり、オスとメスの数量は50:50である。
【0136】
以下の試験により、本発明の化合物の鎮痛効果を測定する。
【0137】
下記の実施例は本発明の化合物の薬力学実験である。下記の実験において、薬力学実験結果は全て統計処理を行っている。実験結果はソフトウェアSPSS 13.0を用いて分析する。酢酸ライジングテスト、ホルマリン実験では各群間の比較に一元配置分散分析を用いる。ホットプレートテスト及びキシレン誘発マウス耳部浮腫試験には反復測定分散分析を用いる。有意性検定ではP<0.05を基準とする。
【0138】
効果実施例1 ホットプレートテスト
ホットプレートの温度を55℃に調整し、観察指標はマウスが後足を舐める行動、跳躍反応であり、マウスが銅板に置かれてから前記反応が出現するまでの時間は潜伏期(laiencytime)である。投与から30分間前に3回潜伏期を測定し、その平均値を基礎閾値とする。これは基礎潜伏期(Baseline latency、略称BL)ともいう。潜伏期が15秒を上回る又は5秒未満の動物を除去し、マウスを無作為に群分けし、各群は8匹であった。溶媒対照群(二回蒸留水)、各被検サンプル群(化合物及びその投与量は表1参照)を設けた。全ての薬物は使用直前に生理食塩水で溶解して、強制経口投与した。投与から2.0時間後の潜伏期を測定した。以下の式により化合物によるマウス疼痛閾値上昇率(Percentage of Pain Threshold Elevated Rate、略記PTE%)を算出した。 PTE%=(試験群の潜伏期-溶媒対照群の潜伏期)/溶媒対照群の潜伏期×100
【0139】
実験結果を表1に示す。本発明の化合物の結果は溶媒群と比較してP<0.05であり、化合物DXL-A-16、DXL-A-19、DXL-A-21、DXL-A-22、DXL-A-23、DXL-A-24、DXL-A-27、DXL-A-28、DXL-A-29、DXL-A-32は溶媒群と比較してP<0.01である。
【0140】
【0141】
効果実施例2 酢酸ライジング実験
ICR系マウスを用い、オスとメスの数量は50:50であった。無作為に群分けし、各群は8匹であった。溶媒対照群(二回蒸留水)、イブプロフェン対照群、各被検サンプル群(化合物及びその投与量は表2参照)を設けた。全ての薬物は使用直前に二回蒸留水で溶解して、所定の投与量で強制経口投与した。投与から2時間後、マウスに0.6%酢酸溶液を腹腔内注射し(10ml/kg、i.p.)、5~20分間内にマウスが躯幹をねじる(腹部を細くし、臀部を持ち上げ、身体を引き伸ばす)回数を記録し、以下の式によりマウスの躯幹ねじり行動に対する化合物の疼痛阻害率%を算出した。
阻害率%=(溶媒対照群の躯幹をねじる回数-試験群の躯幹をねじる回数)/溶媒対照群の躯幹をねじる回数×100
【0142】
酢酸刺激による痛みに対する本発明の化合物の鎮痛作用を表2に示す。本発明の化合物の結果は溶媒群と比較してP<0.05であり、化合物DXL-A-29及びDXL-A-30は溶媒群と比較してP<0.01である。
【0143】
注:符号「-」は、当該投与量において得られたデータが溶媒対照群と有意差が認められないことを示す。
【0144】
効果実施例3 ホルマリン実験
ICR系マウスを用い、オスとメスの数量は50:50であった。無作為に群分けし、各群は8匹であった。溶媒対照群(二回蒸留水)、各被検サンプル群(化合物及びその投与量は表3参照)を設けた。全ての薬物は使用直前に二回蒸留水で溶解して、所定の投与量で強制経口投与した。投与から2時間後、マウスの右後足底に2.5%ホルマリン溶液20μlを注射し、マウスが足をなめる又は足を噛む行動の続く時間(秒)を疼痛反応の指標として記録し、0~5分は第I相であり、10~60分は第II相であり、60分間観察した。以下の式によりマウスの疼痛の第II相に対する化合物の阻害率%を算出した。
阻害率%=(溶媒対照群の足をなめる又は足を噛む行動の続く時間-試験対照群の足をなめる又は足を噛む行動の続く時間)/(溶媒対照群の足をなめる又は足を噛む行動の続く時間)×100
【0145】
ホルマリン刺激による疼痛に対する本発明の化合物の影響を表3に示す。本発明の化合物の結果は溶媒群と比較してP<0.05であり、DXL-A-05、DXL-A-10、DXL-A-16、DXL-A-19、DXL-A-21、DXL-A-22、DXL-A-23、DXL-A-24は溶媒群と比較してP<0.01である。
【0146】
【0147】
効果実施例4 キシレン誘発マウス耳部浮腫試験
ICR系マウスを用いった。無作為に群分けし、各群は8匹であり、オスとメスは各4匹であった。溶媒対照群(二回蒸留水)、各被検サンプル群(化合物及びその投与量は表4参照)を設けた。全ての薬物は使用直前に二回蒸留水で溶解して、所定の投与量で強制経口投与した。化合物投与から2時間後、マウスの右耳の内側と外側にキシレン50μLを均一に塗布し、30分間後にマウスの左耳と右耳をカットし、パンチャーを用いて左右に同一の位置でそれぞれ同じ大きさの円形の部分を取得して、秤量した。以下の式によりマウスの耳部浮腫に対する化合物の阻害率を算出した。
阻害率%=(溶媒対照群の耳部浮腫度-試験群の耳部浮腫度)/溶媒対照群の耳部浮腫度×100
【0148】
キシレン誘発マウス耳部浮腫に対する本発明の化合物の影響を表4に示す。本発明の化合物の結果は溶媒群と比較してP<0.05であり、化合物DXL-A-05、DXL-A-06、DXL-A-21、DXL-A-22、DXL-A-24、DXL-A-29は溶媒群と比較してP<0.01である。
【0149】
注:符号「-」は、当該投与量において得られたデータが溶媒対照群と有意差が認められないことを示す。
【0150】
効果実施例5 化合物DXL-A-22及びDXL-A-24の抗神経障害性疼痛作用に関する研究
材料及び方法:
1 材料:
1.1 動物:
北京大学実験動物部が提供するSD系ラットを用いった。体重は180~220gであり、オスとメスの数量は同じであった。温度22±0.5℃と相対湿度55±5%の標準環境でラットを飼育し、12時間交代で明暗周期を切り替え、標準飼料を給餌した。
【0151】
1.2 試薬:
化合物DXL-A-22及び化合物DXL-A-24(北京大学化学生物学学部が合成する)、ガバペンチン(江蘇恒瑞医薬股フン有限公司が提供する)。
1.3 装置:
von Frey電子痛覚計(IITC 2390、米国製)、熱刺激鎮痛効果測定計(LE 7406、米国製)。
【0152】
2 方法:
2.1 坐骨神経慢性圧迫性損傷(CCI)モデル:
ラットをペントバルビタールナトリウム(60mg/kg、i.p.)で麻酔し、右後肢の施術部を剃毛し、伏臥位で固定し、ラットの右後肢大腿骨の中央に縦方向の切り目を入れ、筋肉を鈍性に分離し、坐骨神経を暴露し、坐骨神経が二股に分かれた位置で、近位端で4-0絹糸を用いて約1mmの間隔で4回緩く結紮し、右後脚が軽く振るのが観察されるように締め付けた。結紮後に筋肉、皮膚を縫合し、偽手術群は坐骨神経を暴露し、結紮はしなかった。手術後ラットの側後肢に足指が閉じる、わずか外反する、常に持ち上げた状態であるかどうかを観察し、機械的刺激によるラット足引っ込め閾値及び熱刺激による足引っ込め潜伏期を測定したことによって、モデル作成の成否を判断した。
【0153】
手術前に機械的刺激によるラット足引っ込め閾値及び熱刺激による足引っ込め潜伏期を測定し、測定結果によって、偽手術群(sham)、溶媒群(二回蒸留水、i.g.)、DXL-A-22群(2mg/kg、i.g.)、DXL-A-24群(1mg/kg、i.g.)、ガバペンチン群(100mg/kg、i.g.)と群分けし、使用される化合物及び薬物は全て二回蒸留水で溶解し、1mL/100gで強制経口投与した。手術後の1日目から毎日投与し、投与から2時間後に機械的刺激による足引っ込め閾値及び熱刺激による足引っ込め潜伏期を測定した。
【0154】
2.2 機械的刺激による足引っ込め閾値(MWT)の測定:
von Frey電子痛覚計を用いて機械的刺激によるラット足引っ込め閾値(MWT)を測定した。手術後5日目、7日目、14日目にそれぞれ測定した。ラットを透明なアクリル樹脂製ボックス(底部に1mm2メッシュの鉄網が敷かれた)に入れ、30分間環境に順応させ、ラットは探索行動をやめてから、von Frey電子痛覚計を用いてラットの施術側の足底の中央部を刺激し、痛覚計によってラットの足引っ込め反応を引き起こす最大作用力(即ちMWT)を記録した。以下の式により化合物の阻害率を算出した。
絶対上昇率(即ちPTE%):PTE%=(試験群MWT-溶媒群MWT)/溶媒群MWT×100 (1)
相対上昇率:阻害率%=(試験群MWT-溶媒群MWT)/(偽手術群MWT-溶媒群MWT)×100 (2)
【0155】
2.3 熱刺激による足引っ込め潜伏期(PWL)の測定:
ホットプレートテストにより、熱刺激による足引っ込め潜伏期(PWL)を測定した。手術後5日目、7日目、14日目にそれぞれ測定した。ホットプレートの温度は50.5℃であり、ラットがホットプレートテスターに置かれてから身震い、足をなめる反応が出現するまでを計時し、この期間はラットPWLであった。ホットプレート解除時間は14秒であり、次の式(3)により鎮痛パーセント(即ちMPE%)を算出した。
MPE%=(試験群PWL-溶媒群PWL)/(解除時間-溶媒群PWL)×100 (3)
【0156】
2.4 統計処理:
結果はいずれも平均値±標準誤差(mean±SEM)で示す。ソフトウェアSPSS 19.0を用いて分析し、機械的刺激試験の各群間の比較及び熱刺激試験の各群間の比較ではいずれも反復測定分散分析を用いる。有意性検定ではP<0.05を基準とする。
【0157】
3 実験結果:
3.1 機械的刺激によるCCIラット足引っ込め閾値(MWT)に対するDXL-A-22の影響(mean±SEM、n=8)
**は、溶媒群と比較してP<0.01であることを示す。
【0158】
3.2 熱刺激によるCCIラット足引っ込め潜伏期(PWL)に対するDXL-A-22の影響(mean±SEM、n=8)
**は、溶媒群と比較してP<0.01であることを示す。
【0159】
3.3 機械的刺激によるCCIラット足引っ込め閾値(MWT)に対するDXL-A-24の影響(mean±SEM、n=8)
**は、溶媒群と比較してP<0.01であることを示す。
【0160】
3.4 熱刺激によるCCIラット足引っ込め潜伏期(PWL)に対するDXL-A-24の影響(mean±SEM、n=8)
**は、溶媒群と比較してP<0.01であることを示す。
【0161】
効果実施例6 化合物DXL-A-22、DXL-A-24の抗炎症作用に関する研究
1 材料:
1.1 動物:
北京大学実験動物部が提供するICR系マウスを用いた。体重は18~22gであり、オスとメスの数量は同じであった。温度23±1℃、相対湿度55±5%の標準環境で動物を飼育し、12時間交代で明暗周期を切り替え、標準顆粒飼料を給餌した。
【0162】
1.2 試薬:
化合物DXL-A-22とDXL-A-24(北京大学化学生物学学部が合成する)、酢酸デキサメタゾン錠剤(浙江仙キョ制薬股フン有限公司提供、承認番号:120415)、キシレン(北京化工厂提供、承認番号:20100513)、カラギーナン(米シグマアルドリッチ社提供、承認番号:015K0172)。
1.3 装置:
自製パンチャー(直径6mm)、YLS-7B型足底容積測定計(山東省医学科学院装置所提供)。
【0163】
2 方法:
2.1 キシレン誘発マウス耳部浮腫試験:
マウスを無作為に5群に分け、各群は8匹であり、オスとメスは各4匹であった。溶媒対照群(二回蒸留水、i.g.)、デキサメタゾン対照群(2mg/kg、i.g.)、化合物DXL-A-22群(1mg/kg、i.g.)、化合物DXL-A-24群(1mg/kg、i.g.)を設けた。全ての薬物は使用直前に二回蒸留水で溶解して、0.1mL/10gで強制経口投与した。投与から1時間後、マウスの右耳の内側と外側にそれぞれキシレン30μLを均一に塗布することで炎症を誘発し、30分間後にマウスの左耳と右耳をカットし、パンチャー(直径6mm)を用いて、左耳と右耳の同一の位置でそれぞれ同じ大きさの円形の部分を取得して、秤量し、左耳部分と右耳部分の重量を計算する。キシレンが塗布された右耳の重量とキシレンを塗布していない左耳の重量の差(即ち浮腫度)を浮腫の度合いを表す指標とした。次の式(1)により浮腫度を算出した。抗炎症作用の強さは阻害率(%)で表す。次の式(2)により阻害率(%)を算出した。
浮腫度=右耳部分の重量-左耳部分の重量 (1)
炎症阻害率(%)=(溶媒対照群の耳部浮腫度-投与群の耳部浮腫度)/溶媒対照群の耳部浮腫度×100% (2)
【0164】
2.2 カラギーナン誘発マウス足浮腫試験:
マウスを専用のホルダー内に固定し、両側の後足を露出し、試験前に足底容積測定の基準として、マーカーでマウスの足首関節より下方0.5cmの位置に線を描いた。投与から30分間前に、基礎閾値として右後足の容積を測定した。マウスを無作為に5群に分け、各群は8匹であり、オスとメスは各4匹であった。溶媒対照群(二回蒸留水、i.g.)、デキサメタゾン対照群(0.5mg/kg、i.g.)、化合物DXL-A-22群(1mg/kg、i.g.)、DXL-A-24群(1mg/kg、i.g.)を設けた。全ての薬物は使用直前に二回蒸留水で溶解して、0.1mL/10gで投与した。強制経口投与後、直ちにマウスの右後足底に5%カラギーナン含有生理食塩水溶液20μLを皮下注射し、注射から30分間後、1時間後、2時間後にそれぞれ足底容積を測定した。カラギーナン注射後の右足底容積と注射前の右足底容積の差(浮腫度)を浮腫の度合いを表す指標とした。次の式(3)により浮腫度を算出した。抗炎症作用の強さは阻害率(%)で表す。次の式(4)により阻害率(%)を算出した。
浮腫度=注射後の右足底容積-注射前の右足底容積 (3)
炎症阻害率(%)=(溶媒対照群の足底浮腫度-投与群の足底浮腫度)/溶媒対照群の足底浮腫度×100% (4)
【0165】
2.3 統計処理:
結果はいずれも平均値±標準偏差(mean±SD)で示す。ソフトウェアSPSS 19.0を用いて分析する。キシレン誘発マウス耳部浮腫実験では各群間の比較に一元配置分散分析を用い、カラギーナン誘発マウス足底浮腫実験では各群間の比較に反復測定分散分析を用いる。有意性検定ではP<0.05を基準とする。
【0166】
3 実験結果:
3.1 キシレン誘発マウス耳部浮腫に対する化合物DXL-A-22及びDXL-A-24の影響(mean±SD、n=8)
**は、溶媒対照群と比較してP<0.01であることを示す。
【0167】
3.2 カラギーナン誘発マウス足浮腫に対する化合物DXL-A-22及びDXL-A-24の影響(mean±SD、n=8)
**は、同一の時間での溶媒対照群と比較してP<0.01であることを示す。
【0168】
上記の結果から、本発明の化合物は明らかな鎮痛作用を有する化合物であると推測できる。次世代の鎮痛薬として開発されることが期待できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
[式中、R
1は、水素、ハロゲン、アルキル基、シアノ基とハロゲン化アルキル基から選ばれ、
R
2、R
3はそれぞれ独立して水素、ハロゲン、アルキル基、ハロゲン化アルキル基とニトロ基から選ばれ、且つ、R
1とR
2とR
3は同時に水素にならず、
且つ、R
2とR
3の一方がニトロ基又はハロゲンである場合は、R
1、R
2とR
3の残りの2つは同時に水素ではない]で示される化合物、その立体異性体、互変異性体、誘導体、プロドラッグ、又はそれらの薬学的に許容される塩。
【外国語明細書】