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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011983
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】燃料キャップ及び歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240118BHJP
   B62D 51/06 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B60K15/05 A
B62D51/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114377
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】瀬崎 恵一
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA32
3D038CB07
3D038CC15
3D038CC20
3D038CD03
3D038CD14
3D038CD18
(57)【要約】
【課題】利便性を向上させることができる燃料キャップ及び歩行型管理機を提供する。
【解決手段】歩行型管理機1の燃料タンク5用の燃料キャップ100であって、前記燃料タンク5に固定される固定部110と、前記固定部110に対して、ヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)を介して回動可能に取り付けられ、回動することで前記燃料タンク5の給油口5aを開閉可能な蓋部120と、閉じた状態の前記蓋部120を回動不能に規制するロック位置と、前記蓋部120の規制を解除するロック解除位置と、に変位可能なロック部152と、作業者の操作により、前記ロック部152を前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位させる操作部153と、を具備する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行型管理機の燃料タンク用の燃料キャップであって、
前記燃料タンクに固定される固定部と、
前記固定部に対して、ヒンジを介して回動可能に取り付けられ、回動することで前記燃料タンクの給油口を開閉可能な蓋部と、
閉じた状態の前記蓋部を回動不能に規制するロック位置と、前記蓋部の規制を解除するロック解除位置と、に変位可能なロック部と、
作業者の操作により、前記ロック部を前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位させる操作部と、
を具備する燃料キャップ。
【請求項2】
前記蓋部に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部を閉じた状態で前記給油口を閉塞する閉塞部と、
前記蓋部と前記閉塞部との間に設けられ、前記閉塞部を前記給油口側に向けて押し付ける付勢部と、
を具備する、
請求項1に記載の燃料キャップ。
【請求項3】
前記固定部は、
前記給油口に対して嵌合することで固定可能に形成され、前記給油口に固定された状態で当該給油口と連通する開口部を有し、
前記閉塞部は、
前記付勢部により前記固定部に当接するように押し付けられることで、前記開口部を介して前記給油口を閉塞する、
請求項2に記載の燃料キャップ。
【請求項4】
前記蓋部に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部を閉じた状態で前記給油口を閉塞する閉塞部を具備し、
前記閉塞部は、
前記給油口を閉塞した状態で下方を向く閉塞面を有し、
前記閉塞面には、中央側に向かうに従い下側に傾斜する傾斜部が形成されている、
請求項1に記載の燃料キャップ。
【請求項5】
前記蓋部に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部を閉じた状態で前記給油口を閉塞する閉塞部を具備し、
前記閉塞部の前記給油口と対向する面の中央には、当該閉塞部を貫通する孔部が形成されており、
前記蓋部と前記閉塞部との間には、外部と前記孔部とを連通する経路が形成されている、
請求項1に記載の燃料キャップ。
【請求項6】
前記経路には、前記蓋部に形成された溝部が含まれる、
請求項5に記載の燃料キャップ。
【請求項7】
前記ヒンジには、
前記固定部に対する前記蓋部の回動を許容する隙間が形成されており、
前記溝部は、
前記隙間を介して外部と連通する、
請求項6に記載の燃料キャップ。
【請求項8】
前記経路には、ラビリンス構造に形成されたラビリンス部が含まれる、
請求項5に記載の燃料キャップ。
【請求項9】
前記操作部は、
前記蓋部に設けられている、
請求項1に記載の燃料キャップ。
【請求項10】
前記操作部は、
作業者の操作により、前記ロック部を前記ロック位置に位置させる第一位置と、前記ロック部を前記ロック解除位置に位置させる第二位置と、に変位可能であり、
前記蓋部は、
当該蓋部を閉じた状態で、前記第一位置及び前記第二位置の前記操作部を上方から覆うカバー部を有する、
請求項1に記載の燃料キャップ。
【請求項11】
前記固定部は、
前記燃料タンクの前記給油口に固定され、前記給油口とは異なる材料で形成されている、
請求項1に記載の燃料キャップ。
【請求項12】
請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の燃料キャップを具備する、
歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料キャップ及び燃料キャップを備える歩行型管理機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歩行型管理機に設けられる燃料キャップの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、歩行型管理機の燃料タンクの給油口に取り付けられるねじ式のキャップが開示されている。上記歩行型管理機では、給油口からキャップを取り外すことで、燃料タンクへの給油が可能となる。
【0004】
しかしながら、上述のような歩行型管理機のキャップはねじ式であるため、キャップをひねって給油口を開閉させる作業が煩雑となる。また、給油口から取り外したキャップは、給油作業の邪魔になるため、どこかに置く必要がある。このため、取り外したキャップを保管する場所を確保する必要がある。このように、上述のような歩行型管理機のキャップは、利便性の観点から更なる改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-86707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の一態様は、以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、利便性を向上させることができる燃料キャップ及び歩行型管理機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
本開示の一態様に係る燃料キャップは、前記燃料タンクに固定される固定部と、前記固定部に対して、ヒンジを介して回動可能に取り付けられ、回動することで前記燃料タンクの給油口を開閉可能な蓋部と、閉じた状態の前記蓋部を回動不能に規制するロック位置と、前記蓋部の規制を解除するロック解除位置と、に変位可能なロック部と、
作業者の操作により、前記ロック部を前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位させる操作部と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、利便性を向上させることができる。
【0009】
本開示の一態様に係る燃料キャップは、前記蓋部に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部を閉じた状態で前記給油口を閉塞する閉塞部と、前記蓋部と前記閉塞部との間に設けられ、前記閉塞部を前記給油口側に向けて押し付ける付勢部と、を具備するものである。
本開示の一態様によれば、給油口を好適に閉塞させることができる。
【0010】
本開示の一態様に係る前記固定部は、前記給油口に対して嵌合することで固定可能に形成され、前記給油口に固定された状態で当該給油口と連通する開口部を有し、前記閉塞部は、前記付勢部により前記固定部に当接するように押し付けられることで、前記開口部を介して前記給油口を閉塞するものである。
本開示の一態様によれば、給油口に対して固定部を容易に固定することができる。
【0011】
本開示の一態様に係る燃料キャップは、前記蓋部に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部を閉じた状態で前記給油口を閉塞する閉塞部を具備し、前記閉塞部は、前記給油口を閉塞した状態で下方を向く閉塞面を有し、前記閉塞面には、中央側に向かうに従い下側に傾斜する傾斜部が形成されているものである。
本開示の一態様によれば、蓋部に燃料を付着し難くすることができる。
【0012】
本開示の一態様に係る燃料キャップは、前記蓋部に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部を閉じた状態で前記給油口を閉塞する閉塞部を具備し、前記閉塞部の前記給油口と対向する面の中央には、当該閉塞部を貫通する孔部が形成されており、前記蓋部と前記閉塞部との間には、外部と前記孔部とを連通する経路が形成されているものである。
本開示の一態様によれば、揮発した燃料の経路を好適に形成することができる。
【0013】
本開示の一態様に係る前記経路には、前記蓋部に形成された溝部が含まれるものである。
本開示の一態様によれば、溝部を通過させることで、揮発した燃料を好適に排出することができる。
【0014】
本開示の一態様に係る前記ヒンジには、前記固定部に対する前記蓋部の回動を許容する隙間が形成されており、前記溝部は、前記隙間を介して外部と連通するものである。
本開示の一態様によれば、蓋部の開閉を許容するヒンジの隙間を利用して、揮発した燃料を好適に排出することができる。
【0015】
本開示の一態様に係る前記経路には、ラビリンス構造に形成されたラビリンス部が含まれるものである。
本開示の一態様によれば、ラビリンス部を設けたことで、経路を介した燃料の漏れを抑制することができる。
【0016】
本開示の一態様に係る前記操作部は、前記蓋部に設けられているものである。
本開示の一態様によれば、燃料キャップの開閉の利便性をより向上させることができる。
【0017】
本開示の一態様に係る前記操作部は、作業者の操作により、前記ロック部を前記ロック位置に位置させる第一位置と、前記ロック部を前記ロック解除位置に位置させる第二位置と、に変位可能であり、前記蓋部は、当該蓋部を閉じた状態で、前記第一位置及び前記第二位置の前記操作部を上方から覆うカバー部を有するものである。
本開示の一態様によれば、操作部が、異物を噛み込むことを抑制することができる。
【0018】
本開示の一態様に係る前記固定部は、前記燃料タンクの前記給油口に固定され、前記給油口とは異なる材料で形成されているものである。
本開示の一態様によれば、固定部を好適に形成することができる。
【0019】
本開示の一態様に係る歩行型管理機は、本開示の一態様に係る燃料キャップを具備するものである。
本開示の一態様によれば、利便性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
本開示の一態様によれば、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示の一実施形態に係る歩行型管理機を示した側面図。
図2】燃料キャップ及び給油口を示した斜視図。
図3】燃料キャップ及び給油口を示した分解斜視図。
図4】燃料キャップを示した拡大分解斜視図。
図5】燃料キャップ及び給油口を示した側面断面図。
図6】(a)蓋部を示した底面図。(b)閉塞部を示した平面図。
図7】燃料キャップを示した拡大側面断面図。
図8】燃料キャップのロック部をロック解除位置に変位させた状態を示した側面断面図。
図9】燃料キャップの蓋部を開放した状態を示した側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。
【0023】
以下では、図1を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
【0024】
歩行型管理機1は、機体フレーム2、車輪3、エンジン4、燃料タンク5、ボンネット6、ミッションケース7、ロータリ耕耘装置8、クラッチ機構9、ハンドルフレーム10、ハンドル連結部11、操縦ハンドル12及び燃料キャップ100を具備する。
【0025】
図1に示す機体フレーム2は、板材を適宜折り曲げて形成される部材である。機体フレーム2は、左右一対の車輪3に支持される。エンジン4は、機体フレーム2に載置される。燃料タンク5は、エンジン4の後方に配置される。当該エンジン4及び燃料タンク5は、ボンネット6によって覆われる。
【0026】
図1に示すミッションケース7は、エンジン4からの動力を、車輪3やロータリ耕耘装置8に伝達する動力伝達機構(不図示)を収容するケースである。ミッションケース7の後部には、ロータリ耕耘装置8が設けられる。ロータリ耕耘装置8は、回転軸に固定される耕耘爪が固定される。クラッチ機構9は、車輪3や耕耘爪の回転及び回転の停止を切り替えるためのものである。
【0027】
図1に示すように、ロータリ耕耘装置8の上方には、ハンドルフレーム10が配置される。ハンドルフレーム10は、操縦ハンドル12を支持するためのフレームである。ハンドルフレーム10は、後上方へ延びるように形成される。ハンドルフレーム10の後上端部には、ハンドル連結部11を介して操縦ハンドル12が取り付けられる。操縦ハンドル12には、作業者が歩行型管理機1を操縦するためのスイッチやレバー等が設けられる。
【0028】
燃料タンク5は、燃料(例えばガソリン等)を貯留可能な本体部と、本体部に給油可能な給油口5aと、を備えている。給油口5aは、燃料タンク5の上部から上方に向けて突出する略筒形状に形成されている(図2図3及び図5を参照)。なお、図2及び図3では、燃料タンク5のうち、本体部の図示は省略している。ボンネット6には、給油口5aの上部を露出させる開口が形成されている。給油口5aの上部における側面には、おねじ部5bが形成される。
【0029】
給油口5aは、例えばインサート成形等により本体部と一体的に形成される。本実施形態では、給油口5aと、本体部と、を同じ材料(例えばポリエチレン)で形成している。これにより、両部材を好適に一体化することができる。
【0030】
給油口5aには、燃料タンク5に供給される燃料を濾過するためのフィルタ13が設けられる。図3に示すように、フィルタ13は、上下に長尺であり、上端部が拡径した略筒形状に形成される。また、図5に示すように、給油口5aの内側面には、フィルタ13の上端部を支持するように径方向中心側に突出する支持部5cが形成されている。
【0031】
給油口5aには、燃料タンク5用の燃料キャップ100が設けられる。以下では、燃料キャップ100の詳細な構成について説明する。
【0032】
図2から図7までに示す燃料キャップ100は、給油口5aを開放又は閉塞可能なものである。燃料キャップ100は、給油口5aの上部に取り付けられる。燃料キャップ100は、後述する蓋部120を、左右方向に向く中心軸(後述する回動軸A)回りに回動させることで、給油口5aを開閉可能に形成される(図5及び図9を参照)。なお、蓋部120の詳細な説明は後述する。
【0033】
以下では主として、蓋部120を閉じた状態(図2図5に示す状態)の燃料キャップ100の構成を説明する。燃料キャップ100は、固定部110、蓋部120、閉塞部130、皿ばね140、ロック部材150及びロック付勢部160を具備する。
【0034】
図2から図5までに示す固定部110は、給油口5aに対して固定される部分である。図4及び図5に示すように、固定部110は、軸線を上下方向に向けた略筒形状に形成される。固定部110は、上側部分に対して下側部分が拡径した形状に形成されている。
【0035】
固定部110は、給油口5a(燃料タンク5)とは異なる材料で形成されている。本実施形態では、固定部110を給油口5aよりも強度の高い材料(例えばナイロン系の素材)により形成している。これにより、固定部110の耐久性を向上させることができる。固定部110は、開口部111、第一ヒンジ部112、被係合部113及びガイド部114を具備する。
【0036】
開口部111は、上下方向に開口する部分である。図5に示すように、開口部111は、下側部分の内径が、上側部分の内径よりも大きく形成されている。開口部111の下側部分の内面には、給油口5aのおねじ部5bに嵌合するめねじ部111aが形成されている。また、開口部111の上側部分と下側部分との段差を構成する面(下方を向く面)には、環状のシール部材が設けられる溝が形成されている。また、開口部111の上端部は、上方に向かうに従い徐々に拡径する傾斜面状に形成されている。
【0037】
第一ヒンジ部112は、後述する蓋部120に対して接続される部分である。第一ヒンジ部112は、軸線を左右方向に向けた略筒形状に形成されている。第一ヒンジ部112は、固定部110の後端部における上部に設けられる。
【0038】
被係合部113は、後述するロック部材150のロック部152と係合する部分である。被係合部113は、固定部110の前端面において、前方に突出するように形成される。
【0039】
ガイド部114は、後述するロック部材150の変位をガイドするものである。ガイド部114は、被係合部113の左右両側に位置するように、一対形成される。ガイド部114は、板面を左右方向に向けた略板形状に形成される。
【0040】
上述の如き固定部110は、めねじ部111a及びおねじ部5bを嵌合させるように給油口5aに対してねじ込まれることで、給油口5aに固定される。このように、本実施形態では、給油口5aに対して固定部110を容易に固定することができる。
【0041】
図4から図6(a)までに示す蓋部120は、給油口5aを開閉可能なものである。蓋部120は、固定部110に対して、ヒンジ(後述する第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)を介して回動可能に取り付けられる。蓋部120は、下方に向けて開口する略有底円筒形状に形成される。図5及び図6(a)に示すように、蓋部120は、径方向中心側(内側)に向く内側面120aと、上端面に対する裏側の面である裏面120bと、により下方に向けて開口する空間が形成されている。蓋部120は、係止部121、第一環状部122、第二環状部123、溝部124、第二ヒンジ部125及びカバー部126を具備する。なお、図6(a)では、説明の便宜ため、第一環状部122及び第二環状部123に色を付している。
【0042】
図5及び図6に示す係止部121は、後述する閉塞部130を係止する部分である。係止部121は、蓋部120の内側面120aから、閉塞部130の径方向中心側に向けて突出するように形成される。係止部121は、板面を上下方向に向けた略板形状に形成される。図5に示すように、係止部121は、蓋部120の裏面120bから所定の距離を空けて配置される。また、図6に示すように、係止部121は、蓋部120の周方向に等間隔で配置されるように複数(本実施形態では3つ)形成される。
【0043】
第一環状部122は、蓋部120の裏面120bにおいて下方に突出する環状(略筒状)の部分である。第一環状部122は、蓋部120の裏面120bにおける中央部に設けられる。
【0044】
第二環状部123は、蓋部120の裏面120bのうち第一環状部122の外側において、下方に突出する環状(略筒状)の部分である。図6(a)に示すように、第二環状部123は、第一環状部122を囲むように設けられる。
【0045】
溝部124は、蓋部120の裏面120b及び内側面120aにおいて凹む部分である。溝部124は、第二環状部123よりも後方側の部分において、後方に向かって延びるように形成される。より詳細には、溝部124は、裏面120bのうち第二環状部123の後端部が位置する部分から、内側面120aの下端部まで、前後方向に延びるように形成される。溝部124は、蓋部120の左右方向中央に位置するように配置される。
【0046】
図4及び図6(a)に示す第二ヒンジ部125は、固定部110の第一ヒンジ部112に対して接続される部分である。第二ヒンジ部125は、軸線を左右方向に向けて配置されると共に、左右方向に離間した一対の略筒形状の部分により形成されている。第二ヒンジ部125は、蓋部120の後端部において、第一ヒンジ部112を左右から挟むように配置される(図6(a)を参照)。
【0047】
第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125は、軸線を左右方向に向けた回動軸Aが挿通されることで、互いに回動可能に接続される。上記第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125が接続された部分には、固定部110に対して蓋部120を回動させる際の各部の干渉を回避する(回動を許容する)隙間Cが形成される。具体的には、隙間Cは、図7に示すように、第一ヒンジ部112の上端部と蓋部120との間に形成される。また、隙間Cには、溝部124の端部(内側面120aに形成された部分の下端部)が接続される(図6(a)及び図7を参照)。
【0048】
図2、及び図4から図6(a)までに示すカバー部126は、後述するロック部材150の操作部153を、上方及び左右両側から覆うものである。カバー部126は、上板部126a、側板部126b及び軸受部126cを具備する。
【0049】
上板部126aは、操作部153を上方から覆う部分である。上板部126aは、板面を上下方向に向けた略板形状に形成される。上板部126aは、蓋部120の前端部に設けられる。
【0050】
側板部126bは、操作部153を左右両側から覆う部分である。側板部126bは、板面を左右方向に向けた略板形状に形成される。側板部126bは、上板部126aの左右方向両側から下方に延びるように、一対形成される。
【0051】
軸受部126cは、後述するロック部材150を回動可能に支持するものである。具体的には、軸受部126cは、ロック部材150の回動中心となる回動軸Bを支持する(図5を参照)。軸受部126cは、一対の側板部126bの下端部にそれぞれ設けられる。
【0052】
図4図5及び図6(b)に示す閉塞部130は、蓋部120に設けられ、蓋部120を閉じた状態で開口部111を閉塞する(シールする)ものである。本実施形態では、閉塞部130により開口部111を閉塞することで、間接的に給油口5aを閉塞している。閉塞部130は、可撓性を有する材料で形成される。閉塞部130は、下方に凹む略皿形状に形成されている。閉塞部130は、下面130aが、開口部111(給油口5a)と対向するように配置される。また、閉塞部130は、上面130bが、蓋部120の裏面120bと対向するように配置される。閉塞部130は、突部131、テーパ部132、被係止部133、第一環状部134、第二環状部135及び第三環状部136を具備する。なお、図6(b)では、説明の便宜ため、第一環状部134、第二環状部135、第三環状部136、及び閉塞部130の外周部分に色を付している。
【0053】
突部131は、閉塞部130の下面130aの径方向中央部において、下方に突出する部分である。突部131は、閉塞部130の径方向中央側に向かうに従い下側に傾斜する形状に形成される。突部131の径方向中央部には、突部131(閉塞部130)を上下方向に貫通する孔部131aが形成される。
【0054】
テーパ部132は、閉塞部130の下面130aのうち、突部131の径方向外側の部分であって、閉塞部130の径方向中央側に向かうに従い下側に傾斜する部分である。
【0055】
被係止部133は、蓋部120の係止部121により係止される部分である。被係止部133は、閉塞部130の径方向外側端部(テーパ部132よりも外側の部分)を構成する。被係止部133は、水平方向に延びるように形成される。図5に示すように、蓋部120の裏面120bと係止部121との間で被係止部133が挟まれることで、蓋部120に対して閉塞部130が係止される。
【0056】
第一環状部134は、閉塞部130の上面130bの径方向中央側において、上方に突出する環状(略筒状)の部分である。図5に示すように、閉塞部130が蓋部120に取り付けられた状態では、第一環状部134は、蓋部120の第一環状部122の径方向内側に位置する。また、図6(b)に示すように、孔部131aは、第一環状部134により囲まれた部分に位置する。
【0057】
図4及び図6(b)に示すように、第一環状部134には、周方向の一部が切り欠かれた第一切欠部134aが形成される。第一切欠部134aは、上下方向に延びるように(スリット状に)形成される。
【0058】
第二環状部135は、閉塞部130の上面130bのうち第一環状部134の外側において、上方に突出する環状(略筒状)の部分である。図6(b)に示すように、第二環状部135は、第一環状部134を囲むように設けられる。図5に示すように、閉塞部130が蓋部120に取り付けられた状態では、第二環状部135は、蓋部120の第一環状部122と第二環状部123との間に位置する。
【0059】
図4及び図6(b)に示すように、第二環状部135には、周方向の一部が切り欠かれた第二切欠部135aが形成される。第二切欠部135aは、上下方向に延びるように(スリット状に)形成される。第二切欠部135aは、閉塞部130の径方向に見て第一切欠部134aと重複しない位置に形成される。
【0060】
第三環状部136は、閉塞部130の上面130bのうち第二環状部135の外側において、上方に突出する環状(略筒状)の部分である。図6(b)に示すように、第三環状部136は、第二環状部135を囲むように設けられる。図5に示すように、閉塞部130が蓋部120に取り付けられた状態では、第三環状部136は、蓋部120の第二環状部123の径方向外側に位置する。
【0061】
図4及び図6(b)に示すように、第三環状部136には、周方向の一部が切り欠かれた第三切欠部136aが形成される。第二切欠部135aは、上下方向に延びるように(スリット状に)形成される。第三切欠部136aは、閉塞部130の径方向に見て第二切欠部135aと重複しない位置に形成される。
【0062】
また、本実施形態では、第一環状部134の内側に、略円筒形状のスポンジ137を設けている(図7を参照)。スポンジ137を設けたことで、孔部131aを介して燃料タンク5内の燃料が外に漏れることを抑制することができる。
【0063】
皿ばね140は、閉塞部130を固定部110側に付勢するものである。皿ばね140は、中心に開口が形成された略皿形状(円錐台形状)に形成される。本実施形態では、複数の皿ばね140を、上下方向に積層させている。
【0064】
皿ばね140は、蓋部120と閉塞部130との間に設けられる。具体的には、皿ばね140は、蓋部120の第二環状部123に嵌装され、蓋部120の裏面120bと、閉塞部130の第三環状部136と、の間に配置される(図5及び図6(a)を参照)。
【0065】
皿ばね140の付勢力により、閉塞部130は、固定部110に当接するように押し付けられる。これにより、例えば燃料等の影響により閉塞部130に変形が生じた場合でも、皿ばね140の付勢力により閉塞部130を固定部110に当接するように押し付けることで、開口部111を介して給油口5aを好適に閉塞させることができる。
【0066】
図4及び図5に示すロック部材150は、閉じた状態の蓋部120を回動不能に規制可能なものである。ロック部材150は、蓋部120に対して回動軸Bを回動中心として回動可能に支持される。ロック部材150は、操作者の操作により回動(変位)する。具体的には、ロック部材150は、固定部110の被係合部113に係合し、閉じた状態の蓋部120を回動不能に規制するロック位置(図5を参照)と、ロック位置から左側面視時計回りに回動し、蓋部120の回動の規制を解除するロック解除位置(図8を参照)に変位可能である。なお、ロック部材150の回動動作の詳細な説明は後述する。
【0067】
以下では主として、ロック位置の状態(図2図5に示す状態)のロック部材150の構成を説明する。ロック部材150は、軸受部151、ロック部152及び操作部153を具備する。
【0068】
軸受部151は、回動軸Bが挿通される部分である。軸受部151は、左右方向に貫通する略筒形状に形成される。軸受部151は、カバー部126に設けられた一対の軸受部126cに挟まれるように配置される。軸受部151は、規制部151aを具備する。
【0069】
図5に示す規制部151aは、ロック位置において蓋部120の下端部と当接し、左側面視反時計回りへの回動を規制するものである。軸受部151は、軸受部151から後方に突出するように形成される。
【0070】
ロック部152は、固定部110の被係合部113に係合する部分である。ロック部152は、軸受部151から下方に延びるように形成される。ロック部152は、ロック位置において下端部が被係合部113に係合するフック形状に形成されている。
【0071】
また、図5に示すように、ロック部152の後下部分(後下側の角部)には、後側に向かうに従い上側に傾斜する傾斜部152aが形成されている。
【0072】
操作部153は、操作者により操作される部分である。操作部153は、軸受部151から上方に延びるように形成される。操作部153は、カバー部126により、上方及び左右両側から覆われる。
【0073】
ロック付勢部160は、ロック部材150をロック位置側に付勢するものである。ロック付勢部160は、操作部153と蓋部120との間に設けられ、蓋部120に対して操作部153を離間させるように付勢する圧縮ばね(圧縮コイルばね)を構成する。操作部153及び蓋部120には、ロック付勢部160の端部が嵌装される突起が形成されている。
【0074】
また、上述の如き燃料キャップ100には、燃料タンク5において揮発した燃料(以下では「揮発燃料」と称する。)を外部に排出する経路Dが形成されている。ここで、「外部」とは、燃料タンク5及び燃料キャップ100の外側の空間である。以下では、図5から図7までを用いて、経路Dの詳細について説明する。
【0075】
経路Dは、蓋部120と閉塞部130との間に形成され、閉塞部130の孔部131aと、隙間Cと、を連通するように形成される。経路Dには、ラビリンス部Eと、蓋部120の溝部124と、が含まれる。
【0076】
ラビリンス部Eは、蓋部120の各環状部(第一環状部122及び第二環状部123)と、閉塞部130の各環状部(第一環状部134、第二環状部135及び第三環状部136)と、によりラビリンス構造に形成された部分である。ラビリンス部Eは、燃料タンク5の内部と外部とを連通しながらも、液状の燃料の流通を阻害する構造(ラビリンス構造)に形成されている。より詳細には、ラビリンス部Eは、流通方向が一定方向とならないように、通路の形状を複雑化したことで、液状の燃料の流通を阻害する。
【0077】
図6(b)及び図7に示すように、ラビリンス部Eは、径方向中心側(閉塞部130の第一環状部134の内側)において、孔部131a(燃料タンク5の内部側)と接続されている。また、図7に示すように、ラビリンス部Eは、径方向外側(蓋部120の第二環状部123と閉塞部130の第三環状部136との間)において、溝部124(外部側)と接続されている。
【0078】
図7において矢印Xで示すように、燃料タンク5の揮発燃料は、閉塞部130の孔部131aを介してラビリンス部Eに導入される。この際に、揮発燃料は、第一環状部134の内側に設けられたスポンジ137を通過する。
【0079】
また、図6(b)及び図7において矢印Xで示すように、上記揮発燃料は、閉塞部130の各環状部(第一環状部134、第二環状部135及び第三環状部136)に形成された各切欠部(第一切欠部134a、第二切欠部135a及び第三切欠部136a)を通過することで、ラビリンス部Eの径方向外側へ移動する。本実施形態では、上記各切欠部を閉塞部130の径方向に見て互いに重複しない位置に形成したことで、揮発燃料が流通する通路を複雑化させている。図6(b)において矢印Xで示すように、上記ラビリンス部Eを流通する揮発燃料は、閉塞部130の周方向の通路と径方向の通路とを交互に流通するように複数回屈曲する。
【0080】
また、図7において矢印Yで示すように、揮発燃料は、蓋部120と閉塞部130との間の隙間を通過することでも、ラビリンス部Eの径方向外側へ移動する。矢印Yで示すように、上記揮発燃料は、蓋部120及び閉塞部130の各環状部(第一環状部122や第二環状部123、第二環状部135等)により、閉塞部130の径方向の通路と上下方向の通路とを交互に流通するように複数回屈曲する。
【0081】
また、図6(b)及び図7に示すように、ラビリンス部Eの径方向外側(蓋部120の第二環状部123と閉塞部130の第三環状部136との間)に移動した揮発燃料(矢印X及び矢印Yで示す揮発燃料)は、矢印Zで示すように溝部124へ移動する。上記揮発燃料は、溝部124を通過すると共に、第一ヒンジ部112の上端部と蓋部120との間の隙間Cから排出される。このように、本実施形態では、蓋部120の開閉を許容する隙間Cを利用して、揮発燃料を好適に排出することができる。
【0082】
上述の如き経路Dは、ラビリンス部Eを設けたことで、揮発燃料の径方向外側への流通を許容しながらも、液状の燃料の径方向外側への流通を阻害し、液状の燃料の漏れを抑制することができる。また、経路Dは、ラビリンス部Eを通過した揮発燃料を、溝部124を通過させることで好適に排出することができる。
【0083】
以下では、上述の如き燃料キャップ100を開閉する際の操作について説明する。
【0084】
図5は、蓋部120を閉じた状態の燃料キャップ100を示している。この状態では、閉塞部130のテーパ部132が固定部110の上端部と当接し、開口部111が閉塞されている。また、図5に示す状態では、ロック部材150がロック位置に位置している。この状態では、ロック部材150のロック部152が固定部110の被係合部113に係合しており、蓋部120の回動が規制される。
【0085】
給油を行う場合等に、燃料キャップ100の蓋部120を開ける際には、作業者は、図8に示すように、ロック部材150の操作部153を後方へ向けて押圧する。上記操作により、ロック付勢部160の付勢力に抗してロック部材150が左側面視時計回りに回動し、ロック解除位置となる。この状態では、蓋部120の回動の規制が解除される。
【0086】
次に、作業者は、図9に示すように、蓋部120を開く方向(左側面視時計回り)に回動させる。これにより、給油口5aを開放することができる。本実施形態では、ロック部材150を蓋部120側に設けているので、作業者の手により操作部153による操作を行った状態で、同じ手でそのまま蓋部120を回動させることで、片手で開閉動作を行うことができる。
【0087】
また、蓋部120を閉じる際には、作業者は、蓋部120を閉じる方向(左側面視反時計回り)に回動させる。本実施形態では、ロック部材150に傾斜部152aを形成している。これにより、蓋部120と共に回動するロック部材150の傾斜部152aが、固定部110の被係合部113に当接することで、蓋部120の回動に伴ってロック部材150がロック付勢部160の付勢力に抗して左側面視時計回りに回動する。この状態で、更に蓋部120を回動させることで、ロック部材150のロック部152が被係合部113を乗り越え、ロック位置に変位する(図5を参照)。
【0088】
このように、本実施形態では、蓋部120を閉じる際には、操作部153による操作を行なわずとも、ロック部材150を変位させて、閉じた状態の蓋部120の回動を規制することができる。なお、蓋部120を閉じる際にも、操作部153による操作を行なってロック部材150を変位させるようにしてもよい。
【0089】
上述の如き燃料キャップ100によれば、第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125を介して蓋部120を開閉する構成としているので、ねじ式の蓋とは異なり蓋部120が完全に取り外されない(固定部110と蓋部120とが常時接続されている)。このため、例えば給油の際に外した蓋部120を置く場所を確保する必要がなく、また、給油作業中に取り外した蓋部120を紛失するようなことを回避することができ、利便性を向上させることができる。また、本実施形態では、操作部153の操作により蓋部120の開閉を行う構成としているので、ねじ式の蓋をひねって給油口を開閉するものとは異なり、蓋部120の開閉動作を容易に行うことができる。
【0090】
また、図5及び図8に示すように、本実施形態では、蓋部120のカバー部126により、ロック位置及びロック解除位置の両方のロック部材150(操作部153)を上方及び左右両側から覆うことができる。これにより、操作部153やロック付勢部160が異物を噛み込むことを抑制することができる。
【0091】
また、上記燃料キャップ100においては、蓋部120の開閉だけでなく、給油口5aから燃料キャップ100(固定部110)を取り外すことでも、給油口5aを開けることができる。この場合は、給油口5aに対して固定部110を嵌合させる方向とは逆方向に燃料キャップ100(固定部110)をひねって(回転させて)、燃料キャップ100を取り外す。
【0092】
また、上記燃料キャップ100においては、固定部110の開口部111の内径が、フィルタ13の上端部の外径よりも大きく形成されている(図9を参照)。これにより、蓋部120を開けた状態で、開口部111を介して、給油口5aに設けられたフィルタ13の脱着を行うことができる。
【0093】
なお、上記態様に代えて、開口部111の内径を、フィルタ13の上端部(拡径した部分)よりも小さく形成してもよい。これによれば、固定部110と、給油口5aの支持部5cと、によりフィルタ13の上端部を挟んで固定することができる。なお、この場合は、燃料キャップ100を給油口5aから取り外すことで、フィルタ13の脱着を行うことができる。
【0094】
以上の如く、本実施形態に係る燃料キャップ100は、
歩行型管理機1の燃料タンク5用の燃料キャップ100であって、
前記燃料タンク5に固定される固定部110と、
前記固定部110に対して、ヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)を介して回動可能に取り付けられ、回動することで前記燃料タンク5の給油口5aを開閉可能な蓋部120と、
閉じた状態の前記蓋部120を回動不能に規制するロック位置と、前記蓋部120の規制を解除するロック解除位置と、に変位可能なロック部152と、
作業者の操作により、前記ロック部152を前記ロック位置から前記ロック解除位置に変位させる操作部153と、
を具備するものである。
【0095】
このように構成することにより、利便性を向上させることができる。すなわち、ヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)を介して蓋部120を開閉する構成としているので、ねじ式の蓋とは異なり蓋部120が完全に取り外されない。このため、例えば給油の際に外した蓋部120をどこかに置く必要がなく、利便性を向上させることができる。
【0096】
また、燃料キャップ100は、
前記蓋部120に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部120を閉じた状態で前記給油口5aを閉塞する閉塞部130と、
前記蓋部120と前記閉塞部130との間に設けられ、前記閉塞部130を前記給油口5a側に向けて押し付ける付勢部(皿ばね140)と、
を具備するものである。
【0097】
このように構成することにより、給油口5aを好適に閉塞させることができる。すなわち、燃料等の影響により閉塞部130に変形が生じた場合でも、付勢部(皿ばね140)の付勢力により閉塞部130を給油口5a側に押し付けることで、給油口5aを好適に閉塞させることができる。
【0098】
また、前記固定部110は、
前記給油口5aに対して嵌合することで固定可能に形成され、前記給油口5aに固定された状態で当該給油口5aと連通する開口部111を有し、
前記閉塞部130は、
前記付勢部(皿ばね140)により前記固定部110に当接するように押し付けられることで、前記開口部111を介して前記給油口5aを閉塞するものである。
【0099】
このように構成することにより、給油口5aに対して固定部110を容易に固定することができる。また、固定部110を介して閉塞部130による給油口5aの閉塞を行うことができる。また、本実施形態では、固定部110を、給油口5aに対してねじ込むことで嵌合可能に形成している。これにより、例えば特許文献1で示したようなねじ式のキャップに替えて、本実施形態に係る固定部110(燃料キャップ100)を既存の給油口5aに取り付けることができる。
【0100】
また、燃料キャップ100は、
前記蓋部120に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部120を閉じた状態で前記給油口5aを閉塞する閉塞部130を具備し、
前記閉塞部130は、
前記給油口5aを閉塞した状態で下方を向く閉塞面(下面130a)を有し、
前記閉塞面(下面130a)には、中央側に向かうに従い下側に傾斜する傾斜部(突部131及びテーパ部132)が形成されているものである。
【0101】
このように構成することにより、蓋部120に燃料を付着し難くすることができる。すなわち、閉塞部130に傾斜部(突部131及びテーパ部132)を形成したことで、閉塞部130に付着した燃料が傾斜部(突部131及びテーパ部132)を伝って落ち易くなる。また、このように閉塞部130に燃料を付着し難くすることで、蓋部120の開閉時に燃料が飛び散ることを抑制することができる。
【0102】
また、燃料キャップ100は、
前記蓋部120に設けられ、可撓性を有すると共に、前記蓋部120を閉じた状態で前記給油口5aを閉塞する閉塞部130を具備し、
前記閉塞部130の前記給油口5aと対向する面の中央には、当該閉塞部130を貫通する孔部131aが形成されており、
前記蓋部120と前記閉塞部130との間には、外部と前記孔部131aとを連通する経路Dが形成されているものである。
【0103】
このように構成することにより、揮発した燃料の経路Dを好適に形成することができる。
【0104】
また、前記経路Dには、前記蓋部120に形成された溝部124が含まれるものである。
【0105】
このように構成することにより、溝部124を通過させることで、揮発した燃料を好適に排出することができる。
【0106】
また、前記ヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)には、
前記固定部110に対する前記蓋部120の回動を許容する隙間Cが形成されており、
前記溝部124は、
前記隙間Cを介して外部と連通するものである。
【0107】
このように構成することにより、蓋部120の開閉を許容するヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)の隙間Cを利用して、揮発した燃料を好適に排出することができる。このため、揮発した燃料を排出するための隙間を、加工等により別途形成する必要がない。
【0108】
また、前記経路Dには、ラビリンス構造に形成されたラビリンス部Eが含まれるものである。
【0109】
このように構成することにより、ラビリンス部Eを設けたことで、経路Dを介した燃料の漏れを抑制することができる。
【0110】
また、前記操作部153は、
前記蓋部120に設けられているものである。
【0111】
このように構成することにより、燃料キャップ100の開閉の利便性をより向上させることができる。すなわち、作業者の手により操作部153による操作を行った状態で、同じ手でそのまま蓋部120を回動させることで、片手で開閉動作を行うことができる。また、操作部153の重量により、蓋部120が急に開くことを抑制することができる。
【0112】
また、前記操作部153は、
作業者の操作により、前記ロック部152を前記ロック位置に位置させる第一位置(ロック位置)と、前記ロック部152を前記ロック解除位置に位置させる第二位置(ロック解除位置)と、に変位可能であり、
前記蓋部120は、
当該蓋部120を閉じた状態で、前記第一位置(ロック位置)及び前記第二位置(ロック解除位置)の前記操作部153を上方から覆うカバー部126を有するものである。
【0113】
このように構成することにより、操作部153が、異物を噛み込むことを抑制することができる。
【0114】
また、前記固定部110は、
前記燃料タンク5の前記給油口5aに固定され、前記給油口5aとは異なる材料で形成されているものである。
【0115】
このように構成することにより、固定部110を好適に形成することができる。
すなわち、給油口5aは、燃料タンク5と同じ材料(例えばポリエチレン)で一体的に形成されることが想定される。このような給油口5aよりも強度の高い材料(例えばナイロン系の素材)により固定部110を形成することで、固定部110の耐久性を向上させることができる。
【0116】
また、本実施形態に係る歩行型管理機1は、本実施形態に係る燃料キャップ100を具備するものである。
【0117】
このように構成することにより、利便性を向上させることができる。
【0118】
なお、本実施形態に係る第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125は、ヒンジの実施の一形態である。
また、本実施形態に係る皿ばね140は、付勢部の一形態である。
また、本実施形態に係る下面130aは、閉塞面の一形態である。
また、本実施形態に係るロック位置は、第一位置の一形態である。
また、本実施形態に係るロック解除位置は、第二位置の一形態である。
【0119】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0120】
例えば、本実施形態では、皿ばね140により閉塞部130を付勢する例を示したが、このような態様に限られない。例えば、皿ばね140に代えて、板ばねやコイルばね等の他の付勢部により閉塞部130を付勢するようにしてもよい。また、皿ばね140等の付勢部を設けないようにしてもよい。
【0121】
また、本実施形態では、ロック部材150を蓋部120に設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、ロック部材150を固定部110に設けるようにしてもよい。
【0122】
また、本実施形態では、閉塞部130を固定部110に当接させることで、間接的に給油口5aを閉塞した例を示したが、このような態様に限られない。例えば、閉塞部130を給油口5aに当接させて、給油口5aを直接閉塞するようにしてもよい。
【0123】
また、本実施形態では、閉塞部130の閉塞面(下面130a)に傾斜部(突部131及びテーパ部132)を設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、閉塞部130の閉塞面(下面130a)を平坦面形状に形成してもよい。
【0124】
また、傾斜部(突部131及びテーパ部132)を形成する構成に代えて、又は加えて、閉塞部130の閉塞面(下面130a)に、燃料の付着を抑制可能なコーティングを施すようにしてもよい。このような構成によっても、閉塞部130に燃料を付着し難くすることができる。
【0125】
また、本実施形態では、固定部110を、給油口5aと連通する略筒形状に形成した例を示したが、このような態様に限られない。固定部110としては、燃料タンク5に固定されると共に、ヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)を介して蓋部120を回動可能に取り付け可能な種々の構成を採用可能である。
【0126】
また、本実施形態では、固定部110を給油口5aに固定した例を示したが、このような態様に限られない。例えば、固定部110を燃料タンク5の本体部に固定してもよい。
【0127】
また、本実施形態では、押圧操作によりロック部材150を回動させることで、ロック位置とロック解除位置とに変位させる例を示したが、このような態様に限られない。例えば、ロック部材150をスライドさせる態様等、ロック部材150の操作態様(動作態様)としては種々の態様を採用可能である。
【0128】
また、本実施形態では、ロック付勢部160を圧縮ばねとした例を示したが、このような態様に限られない。例えば、ロック付勢部160として、ねじりばね(トーションばね)等を用いるようにしてもよい。
【0129】
また、本実施形態に係る経路Dのラビリンス部Eの構成は、上述した態様に限定されない。ラビリンス部Eとしては、種々のラビリンス構造(流通方向を複雑化させた構造)を採用可能である。また、経路Dの溝部124の構成は、上述した態様に限定されない。溝部124の形状や位置、数等は、揮発燃料を好適に排出する観点等から適宜設定可能である。
【0130】
また、本実施形態では、経路Dを、ラビリンス部E及び溝部124を含むものとした例を示したが、このような態様に限られない。例えば、ラビリンス部E及び溝部124の一方、又は両方を含まないものとしてもよい。
【0131】
また、本実施形態では、経路Dを、ヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)の隙間Cを介して、外部と連通させた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、隙間Cに限らず、任意の場所で経路Dを外部と連通(外部へ開放)させるようにしてもよい。
【0132】
また、本実施形態では、蓋部120を開ける際に、作業者の手によって蓋部120を回動させる例を示したが、このような態様に限られない。例えば、ヒンジ(第一ヒンジ部112及び第二ヒンジ部125)にトーションばね等の付勢部を設け、ロック部材150をロック解除位置に変位すれば、付勢部の付勢力で蓋部120が自動的に開くように形成してもよい。これによれば、ロック部材150の操作のみで(ワンタッチで)蓋部120を開けることができる。
【0133】
また、固定部110の形状は、本実施形態で示した形状に限定されない。例えば、固定部110の軸方向の長さや角度を変更してもよい。固定部110の軸方向の長さや、給油口5aに対する角度を変えることで、燃料キャップ100を、歩行型管理機1における任意の位置や角度に配置することが可能である。
【0134】
また、本実施形態では、固定部110のめねじ部111aに、給油口5aのおねじ部5bを嵌合させる例を示したが、このような態様に限られない。給油口5aに対する固定部110の固定態様としては、例えば、給油口5aに対して固定部110(燃料キャップ100)をはめ込むことで固定するはめ込み式としてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 歩行型管理機
100 燃料キャップ
110 固定部
120 蓋部
130 閉塞部
140 皿ばね
150 ロック部材
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9