(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011984
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】薬剤セット具、並びに、薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法
(51)【国際特許分類】
A61J 7/04 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
A61J7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114378
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】小池 教文
(72)【発明者】
【氏名】金田 始
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN02
4C047NN05
(57)【要約】
【課題】搬送し易く、使用し易い薬剤セット具を提供する。また、そのような薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法を提供する。
【解決手段】薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有する薬剤セット具において、前記薬剤収容部は、前記薬剤包装を導入する導入口を有し、第一状態と第二状態の間で切り替え可能であり、前記第一状態は、前記薬剤セット具を壁掛姿勢とした際に前記導入口が上方を向く状態であり、前記第二状態は、前記薬剤セット具を平置姿勢とした際に前記導入口が上方を向く状態である、構成とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有する薬剤セット具において、
前記薬剤収容部は、前記薬剤包装を導入する導入口を有し、
第一状態と第二状態の間で切り替え可能であり、
前記第一状態は、前記薬剤セット具を壁掛姿勢とした際に前記導入口が上方を向く状態であり、前記第二状態は、前記薬剤セット具を平置姿勢とした際に前記導入口が上方を向く状態である、薬剤セット具。
【請求項2】
全長を伸縮可能であり、全長を伸縮することで前記第一状態と前記第二状態が切り替わる、請求項1に記載の薬剤セット具。
【請求項3】
前記薬剤セット具を前記第一状態で前記壁掛姿勢として使用する際の壁側を背面側としたとき、
前記第一状態で前記背面側を下方に向けた姿勢とした際の前記導入口の向きと、前記第二状態で前記背面側を下方に向けた姿勢とした際の前記導入口の向きとが異なる向きとなる、請求項1又は2に記載の薬剤セット具。
【請求項4】
前記薬剤収容部は、前記薬剤収容部の内周面の一部を形成する第一立板部を有し、
前記薬剤セット具を前記第二状態で前記平置姿勢として水平面に載置したとき、前記第一立板部は水平面に対して45度以上傾斜した姿勢となる、請求項1又は2に記載の薬剤セット具。
【請求項5】
前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで前記薬剤収容部が回動する、請求項1又は2に記載の薬剤セット具。
【請求項6】
前記薬剤収容部が複数行及び複数列からなる行列状に配され、前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで同じ行に属する前記薬剤収容部が同時に回動する、請求項1又は2に記載の薬剤セット具。
【請求項7】
ヘッダ部材を有し、
前記ヘッダ部材は、前記第一状態で前記薬剤セット具を前記壁掛姿勢とした状態において、行列状に配される前記薬剤収容部の上方に位置し、
前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで前記ヘッダ部材が回動する、請求項1又は2に記載の薬剤セット具。
【請求項8】
切替規制手段を有し、
前記切替規制手段は、前記第一状態において前記第二状態への切り替えを規制し、且つ、前記第二状態において前記第一状態への切り替えを規制する、請求項1又は2に記載の薬剤セット具。
【請求項9】
薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有し、全長を伸縮可能であり、前記薬剤収容部のそれぞれが前記薬剤包装を導入する導入口を有する薬剤セット具を使用し、
前記薬剤セット具の全長を縮めて、前記導入口を前記伸縮の伸縮方向に対して交差する方向に向いた状態とする工程と、
前記導入口から前記薬剤包装を前記薬剤収容部に導入する工程と、
前記薬剤セット具を縮めた状態から展開し、前記導入口を前記伸縮方向に沿う方向に向くように姿勢変更する工程を有する、薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法。
【請求項10】
前記導入口から前記薬剤包装を前記薬剤収容部に導入する工程では、全長を縮めた前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に前記薬剤包装を導入する、請求項9に記載の薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、お薬カレンダーや投薬カレンダー等の薬剤セット具に関する。また、薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢の患者(服用者)や、症状が急性期を脱した患者は、在宅で療養する場合が多い。また高血圧症や高脂血圧の様な緊急性を要しない患者についても、在宅で療養する場合が多い。在宅で療養する患者は、自己管理に基づいて服薬を行う必要がある。
例えば、医師の処方の内、その用法が、朝にA薬とB薬を服用し、昼にB薬を服用し、夕食後に朝の倍量のA薬とC薬を服用するものであるならば、患者自らが決められた時刻に決められた種類の薬剤を決められた量だけ薬箱等から取り出し、服用する必要がある。
しかしながら、現実問題として、飲むべき薬の種類や量を間違ったり、飲み忘れたりすることがある。また逆に重複して服用してしまうこともある。
特に、高齢者や気力が低下した患者にとっては、決められた種類の薬剤を決められた量だけ薬箱等から取り出すことが困難であり、正確に薬剤を服用できていない場合もある。
【0003】
この問題を解決する手段として、投薬カレンダー又はお薬カレンダーと称される薬剤セット具が特許文献1に提案されている。
特許文献1に開示された発明は、カレンダーに薬剤を収容する薬剤収容部を設けたものである。
特許文献1に開示された発明では、日付けの下方に、それぞれ4個の薬剤収容部が並べられている。4個の薬剤収容部は、それぞれ服用のタイミング(用法)に対応するものであり、特許文献1の記載に基づけば、「朝」「昼」「夜」「ネル前」と表示されている。
そして投薬カレンダー(薬剤セット具)の薬剤収容部に、服用のタイミングに対応した薬剤を収容しておく。服用のタイミングが到来すると、該当する薬剤収容部から薬剤を取り出して服用する。
【0004】
前記した投薬カレンダーは、個人宅のみならず、高齢者の介護施設等や、入院施設を有する病院でも採用される傾向にある。
特許文献1に開示された投薬カレンダーは、薬剤をセットする薬剤セット具であり、患者の自宅や介護施設等に設置される。
【0005】
なお、投薬カレンダーの形式であるが、特に法律の定めはなく、各施設によって各種のものが使用されている。
いずれの形式にしても、投薬カレンダーは複数の薬剤配置部を有し、当該薬剤配置部は、服用者と服用のタイミングに基づいて定められる特定の位置にある。
代表的な投薬カレンダー(図の表示は「お薬カレンダー」)の形式は、
図11、
図12、
図13に記載の3種類である。
【0006】
第一の形式は、
図11の様な個人用投薬カレンダー300であり、曜日軸と、服用のタイミング軸によって構成されるマトリックス形状(行列状)である。
具体的には、月、火、水、木、金、土、日の7曜を縦軸とし、「朝用」「昼用」「夜用」「寝る前」を横軸とする行列状である。
個人用投薬カレンダー300は、一人の服用者が専用に使用するものであり、例えば服用者の村松が一週間に服用する薬剤が、曜日と服用のタイミングごとに収容される。
例えば、水曜日の昼食後には、水曜列の昼用の位置に収容された薬剤を服用者たる村松が服用する。
個人用投薬カレンダー300は、一週間を一つの単位とするものが多いが、何日を一単位とするのかは任意であり、10日単位や、二週間単位、28日単位等であってもよい。
【0007】
第二の形式は、
図12の様な複数の服用者を対象とする一日用投薬カレンダー301(図の表示は「お薬カレンダー」)である。一日用投薬カレンダー301は、日めくりカレンダーのごとく、服用すべき曜日が大きく記載されている。また、一日用投薬カレンダー301は、服用者名と服用のタイミング軸によって構成される行列状に薬剤収容部が配置されている。
具体的には、村松、早田、嵐、富士、井手、霧島、諸星の七名の名前を縦軸とし、「朝用」「昼用」「夜用」「寝る前」を横軸とする行列状である。
一日用投薬カレンダー301は、複数の服用者が共同で使用するものであり、例えば7人の服用者が一日に服用する薬剤が、服用者名と服用のタイミングごとに収容される。
例えば、当日の朝には、村松、早田、嵐、富士、井手、霧島、諸星の七名が、それぞれの「朝用」の薬剤収容部に収容された薬剤を服用する。昼食を終えれば前記した七名が、それぞれの「昼用」の薬剤収容部に収容された薬剤を服用する。
複数の服用者を対象とする一日用投薬カレンダー301は、介護施設や病院で使用される。一日用投薬カレンダー301において、何名の服用者を一単位とするかは任意であり、5名であっても10名であってもよい。
【0008】
第三の形式は、
図13の様な複数の服用者を対象とする服用時点別投薬カレンダー302(
図13の表示は「お薬カレンダー」)である。
具体的には、上部に大きく「朝」という様に服用のタイミングが記され、本郷、一文字、・・・・東條、佐野の28名の名前が並べられている。
服用時点別投薬カレンダー302は、複数の服用者が共同で使用するものであり、介護施設や病院で使用される。例えば28人の服用者それぞれが、一日の特定時期に服用する薬剤が、服用者名別に収容される。
例えば、当日の朝には、カレンダーに名前のある28名が、それぞれの名前が付された薬剤収容部に収容された薬剤を服用する。
全員が服用を終えると、服用時点別投薬カレンダー302を外し、昼用の服用時点別投薬カレンダー302を用意する。
服用時点別投薬カレンダー302において、何名の服用者を一単位とするかは任意であり、10名であっても30名であってもよい。
【0009】
このように、投薬カレンダーには複数の形式のもの(個人用投薬カレンダー300、一日用投薬カレンダー301、服用時点別投薬カレンダー302)がある。
このような投薬カレンダーを運用するとき、薬剤師が自己の薬局(調剤室)で処方箋情報に従って投薬カレンダー(薬剤セット具)の薬剤配置部に薬剤を収容し、薬剤が収容された状態の薬剤セット具を患者の自宅や介護施設に持ち込むことがある。
【0010】
ここで、薬剤師が手作業で薬剤セット具に薬剤を収容する作業を行うことは大変に手間であった。そこで、このような薬剤師の手間を軽減する手段として、特許文献2に開示された薬剤セット装置がある。この薬剤セット装置は、薬剤包装が収容されていない(セットされていない)投薬カレンダーを搬送する動作と、薬剤包装を投薬カレンダーの薬剤収容部まで搬送してセットする動作と、薬剤包装がセットされた投薬カレンダーを搬送する動作を実行する。このため、薬剤師の業務を効率化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001-258999号公報
【特許文献2】特開2021-168791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ここで、従来の薬剤セット具は、搬送し易く、且つ、使用し易いものとするという観点から改良の余地があった。
【0013】
そこで本発明は、搬送し易く、使用し易い薬剤セット具を提供することを課題とする。また、そのような薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための本発明の一つの様相は、薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有する薬剤セット具において、前記薬剤収容部は、前記薬剤包装を導入する導入口を有し、第一状態と第二状態の間で切り替え可能であり、前記第一状態は、前記薬剤セット具を壁掛姿勢とした際に前記導入口が上方を向く状態であり、前記第二状態は、前記薬剤セット具を平置姿勢とした際に前記導入口が上方を向く状態である、薬剤セット具である。
【0015】
本様相の薬剤セット具は、第一状態で壁掛姿勢とすることで投薬カレンダーとして好適に使用できる。また、第二状態で平置姿勢とすることで搬送し易く、且つ、薬剤収容部への薬剤包装の出し入れが容易である。
【0016】
上記した様相は、全長を伸縮可能であり、全長を伸縮することで前記第一状態と前記第二状態が切り替わる、ことが好ましい。
【0017】
係る様相によると、コンパクト化した状態での搬送が可能であり、搬送が容易である。
【0018】
上記した様相は、前記薬剤セット具を前記第一状態で前記壁掛姿勢として使用する際の壁側を背面側としたとき、前記第一状態で前記背面側を下方に向けた姿勢とした際の前記導入口の向きと、前記第二状態で前記背面側を下方に向けた姿勢とした際の前記導入口の向きとが異なる向きとなる、ことが好ましい。
【0019】
上記した様相は、前記薬剤収容部は、前記薬剤収容部の内周面の一部を形成する第一立板部を有し、前記薬剤セット具を前記第二状態で前記平置姿勢として水平面に載置したとき、前記第一立板部は水平面に対して45度以上傾斜した姿勢となる、ことが好ましい。
【0020】
係る様相によると、第二状態で平置姿勢とした際に薬剤収容部に薬剤包装を収容し易く、且つ、薬剤収容部に収容した薬剤包装を視認し易い。
【0021】
上記した様相は、前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで前記薬剤収容部が回動する、ことが好ましい。
【0022】
上記した様相は、複数の前記薬剤収容部を形成する収容部形成部材を有し、前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで前記収容部形成部材が回動することで、複数の前記薬剤収容部が同時に回動する、ことが好ましい。
【0023】
上記した様相は、1又は複数の前記薬剤収容部を形成する収容部形成部材を複数有し、前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで複数の前記収容部形成部材が同時に回動する、ことが好ましい。
【0024】
上記した様相は、前記薬剤収容部が複数行及び複数列からなる行列状に配され、前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで同じ行に属する前記薬剤収容部が同時に回動する、ことが好ましい。
【0025】
これらの様相によると、第一状態と第二状態を切り替える際の作業が容易である。
【0026】
上記した様相は、前記第一状態で前記薬剤セット具を前記壁掛姿勢とした際の前記第一立板部の水平面に対する傾斜角度を第一角度とし、前記第二状態で前記薬剤セット具を前記平置姿勢とした際の前記第一立板部の水平面に対する傾斜角度を第二角度としたとき、前記第一角度と前記第二角度の差が25度以下である、ことがより好ましい。
【0027】
係る様相によると、第一状態で壁掛姿勢として使用する場合と、第二状態で平置姿勢として使用する際のそれぞれにおいて、薬剤収容部に薬剤包装を収容し易く、且つ、薬剤収容部に収容した薬剤包装を視認し易い。
【0028】
上記した様相は、ヘッダ部材を有し、前記ヘッダ部材は、前記第一状態で前記薬剤セット具を前記壁掛姿勢とした状態において、行列状に配される前記薬剤収容部の上方に位置し、前記第一状態と前記第二状態の間の切り替えで前記ヘッダ部材が回動する、ことが好ましい。
【0029】
係る様相によると、第一状態から第二状態とする際にさらなるコンパクト化が可能である。
【0030】
上記した様相は、切替規制手段を有し、前記切替規制手段は、前記第一状態において前記第二状態への切り替えを規制し、且つ、前記第二状態において前記第一状態への切り替えを規制する、ことが好ましい。
【0031】
係る様相によると、意図しない第一状態と第二状態との間での切り替えを抑制(防止)できる。
【0032】
本発明に関連する様相は、薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有する薬剤セット具において、前記薬剤収容部は、前記薬剤包装を導入する導入口を有し、全長を伸縮可能であり、第一状態と第二状態の間で切り替え可能であり、前記第一状態は、前記導入口が前記伸縮の伸縮方向に沿う方向に向く状態であり、前記第二状態は、前記導入口が前記伸縮方向に対して交差する方向に向く状態である、薬剤セット具である。
【0033】
本様相の薬剤セット具においても、第一状態とすることで投薬カレンダーとして好適に使用可能であり、第二状態とすることで搬送し易く、且つ、薬剤収容部への薬剤包装の出し入れが容易である。
【0034】
本発明のさらに他の様相は、薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有し、全長を伸縮可能であり、前記薬剤収容部のそれぞれが前記薬剤包装を導入する導入口を有する薬剤セット具を使用し、前記薬剤セット具の全長を縮めて、前記導入口を前記伸縮の伸縮方向に対して交差する方向に向いた状態とする工程と、前記導入口から前記薬剤包装を前記薬剤収容部に導入する工程と、前記薬剤セット具を縮めた状態から展開し、前記導入口を前記伸縮方向に沿う方向に向くように姿勢変更する工程を有する、薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法である。
【0035】
本様相の薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法もまた、全長を縮めることで薬剤セット具を搬送し易くすることが可能であり、また、縮めた状態でも薬剤収容部への薬剤包装の出し入れが容易であって、薬剤収容部に収容した薬剤包装を視認し易い。また、縮めた状態から展開することで、投薬カレンダーとして好適に使用できる。
【0036】
上記した様相は、前記導入口から前記薬剤包装を前記薬剤収容部に導入する工程では、全長を縮めた前記薬剤セット具の前記薬剤収容部に前記薬剤包装を導入する、ことが好ましい。
【0037】
本発明に関連する様相は、薬剤包装を収容可能な薬剤収容部を複数有する薬剤セット具において、前記薬剤収容部は、前記薬剤包装を導入する導入口を有し、全長を伸縮可能であり、第一状態と第二状態の間で切り替え可能であり、前記第一状態は、前記導入口が前記伸縮の伸縮方向に沿う方向に向く状態であり、前記第二状態は、前記導入口が前記伸縮方向に対して交差する方向に向く状態であり、前記第一状態と前記第二状態を切り替えることで前記導入口の向きが変化するものであり、前記第一状態の際の前記導入口の向きを第一の向きとし、前記第二状態の際の前記導入口の向きを第二の向きとしたとき、前記第一状態と前記第二状態の切り替え中の状態では、前記導入口が前記第一の向きと前記第二の向きの間を向く、薬剤セット具である。
【0038】
本様相の薬剤セット具においても、第一状態とすることで投薬カレンダーとして好適に使用可能であり、第二状態とすることで搬送し易く、且つ、薬剤収容部への薬剤包装の出し入れが容易である。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、搬送し易く、使用し易い薬剤セット具を提供できる。また、そのような薬剤セット具を用いた薬剤の提供方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明の実施形態に係る薬剤セット具を第一状態とし、壁掛姿勢として台部材に取り付けた様子を示す正面図である。
【
図2】
図1の薬剤セット具を台部材から取り外した状態を示す斜視図である。
【
図3】
図1のヘッダ部と収容部分形成部を示す斜視図であり、収容部分形成部を分解して示す。
【
図4】
図3のヘッダ部と収容部分形成部を別の方向からみた様子を示す斜視図であり、収容部分形成部を分解して示す。
【
図5】
図1の薬剤セット具を示す側面図であり、(a)は、第一状態として背面側を下方に向けた様子を示し、(b)は、第二状態として背面側を下方に向けた様子を示す。
【
図6】
図5の薬剤セット具の一部を示す分解斜視図である。
【
図7】
図5の薬剤セット具の一部であって
図6とは異なる部分を示す分解斜視図である。
【
図9】(a)は、
図1の薬剤セット具を第二状態として搬送用容器に収容しようとする様子を示す斜視図であり、(b)は、
図1の薬剤セット具を第二状態として搬送用容器に収容した様子を示す斜視図である。
【
図11】従来技術の個人用投薬カレンダーの正面図である。
【
図12】従来技術の一日用投薬カレンダーの正面図である。
【
図13】従来技術の服用時点別投薬カレンダーの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、さらに本発明の実施形態に係る薬剤セット具1について説明する。
【0042】
本実施形態の薬剤セット具1は、
図1、
図2で示されるように、台板部材2に取り付けた状態で投薬カレンダーとしての使用が可能なものである。また、本実施形態の薬剤セット具1は、詳しくは後述するが、第一状態から第二状態として全長を縮めることで、搬送用容器85(
図9参照)に収容可能となる。
なお、以下の薬剤セット具1の説明において、特に断りのない限り、上下方向、前後方向(正面、背面)は、
図1の状態及び姿勢を基準として説明する。
【0043】
薬剤セット具1は、
図1、
図2で示されるように、ヘッダ部10と、複数(本実施形態では7つ)の収容部分形成部11(収容部形成部材)を有している。そして、これらヘッダ部10と複数の収容部分形成部11とが連結機構部12によって連結されている。
なお、作図の都合上、
図1では一部の収容部分形成部11にのみ符号を付し、他への符号を省略する。また、以下の説明においても同様に、それぞれの図面で同じものが複数描写される場合、必要に応じて一部の符号を省略する。
【0044】
ヘッダ部10は、
図3、
図4で示されるように、概形が細長い略直方体状の部材である。詳細には、長手方向の両端側にそれぞれ位置する立板状の側壁形成部10aと、その間で延びるヘッダ本体部10bを有する。
2つの側壁形成部10aの下端部分は、ヘッダ本体部10bの下端よりも下側に突出している。そして、側壁形成部10aの下方に突出している部分には、リンク連結部20と、ヘッダ係止部21とが設けられている。
【0045】
リンク連結部20は、周囲よりも内側(ヘッダ本体部10b側)に窪んだ凹部と、凹部の底部分に形成された貫通孔部分によって構成される部分である。
ヘッダ係止部21は、側壁形成部10aを厚さ方向に貫通する貫通孔である。
【0046】
ヘッダ本体部10bには、複数のヘッダ側情報表示部23が設けられている。
本実施形態のヘッダ側情報表示部23は、第一情報表示部23aと、第二情報表示部23bから構成されている。
第一情報表示部23aは、文字等の情報を記載した紙、カード等の薄いシート状体(板状体)を配することが可能な凹部である。例えば、二次元コード等を記載したシート状体を正面側から記載内容が目視できるように配することが可能であり、シート状体を両面テープ等の適宜な取付手段によって取り付けることができる。
なお、ここでいう「文字等」とは、文字、数字、記号、図形、グラフ、表、絵柄又はその他の符号とする。また、模様に情報を持たせた一次元コード、二次元コード等の識別子を含む。
【0047】
第二情報表示部23bは、シート状体を保持可能なスリット溝(保持部)と、スリット溝の内外を連通する貫通孔(窓部)によって構成されている。すなわち、シート状体の一部(文字等の情報を記載した部分等)を外部から視認可能な状態で保持できる。特に限定されるものではないが、例えば、4つの第二情報表示部23bのそれぞれに「朝」、「昼」、「夜」、「寝る前」等の文字を記載した紙(カード)を保持させてもよい。すなわち、薬剤の服用時期(服用する時間帯の目安)に関する情報を表示してもよい。
【0048】
なお、ヘッダ側情報表示部23は、所定の情報が表示できればよく、例えば、電子ペーパー(情報表示手段)と、電子ペーパーを保持する保持部によって構成してもよい。すなわち、本実施形態では情報を表示する情報表示媒体に紙(シート状体)を採用したが、情報表示媒体は電子ペーパーであってもよい。この場合、電子ペーパーは、外部の装置から受信した信号に基づいて表示内容を変更する等、表示内容を電気的に書き換えることが可能なものでもよい。また、内部に電池を有するものとし、表示内容を表示させた(又は書き換えた)後、無通電状態でも表示内容の表示が維持されるものとしてもよい。
【0049】
収容部分形成部11は、
図3、
図4で示されるように、形成部本体11aと補助部材11bを有しており、これらが互い連結して形成される。
【0050】
形成部本体11aは、複数(本実施形態では4つ)の薬剤収容部26を形成する部材であり、複数の薬剤収容部26が列をなすように並んだ状態で一体化された部材である。本実施形態の形成部本体11aは、横並びに並んだ薬剤収容部26(薬剤収容部26の郡)が一体化されている。そして、形成部本体11aの長手方向は、複数の薬剤収容部26の並び方向(並列方向)と同方向となっている。
【0051】
薬剤収容部26は、ポケット状(袋状)に形成され、上側から内部に物を入れることが可能な構造となっている。
すなわち、薬剤収容部26は、それぞれの薬剤収容部26毎に底部30と、第一立板部31と、第二立板部32と、第一立板部31及び第二立板部32の間を繋ぐように延びる2つの第三立板部33,33を有する。
ここで、第一立板部31は、背面壁を形成する部分であり、第二立板部32は、正面壁を形成する部分である。そして、第三立板部33,33は、側壁(右側壁、左側壁)を形成する部分である。そして、これら4つの立板部(第一立板部31、第二立板部32、第三立板部33,33)は、いずれも底部30と連続し、四角環状に連続して周壁部分を形成する。
【0052】
このことから、薬剤収容部26は、上側が開放された空間である収容空間37を有する。収容空間37は、周壁部分によって囲まれ、底部30によって下側部分を閉塞されている。そして、上側の導入口38(導入部)を介して外部と連通している。
【0053】
そして、1つ1つの薬剤収容部26は、内部に一又は複数の薬剤包装(図示しない)を収容可能な構造となっている。つまり、それぞれの導入口38から薬剤包装を収容空間37に導入することで、内部に薬剤包装を収容できる。
なお、ここでいう薬剤包装は、同一人物が同時期に服用する一又は複数種類の薬剤が内包されたものである。ここで、薬剤包装に内包する薬剤の剤形は、散剤、錠剤、内用液剤等の適宜なものでよい。つまり、薬剤包装は、容器に収容された内用液剤を含む。したがって、内部に薬剤が収容される薬剤包装の外装部分は、薬剤の剤形によって適宜変更してよく、例えば、分包紙によって形成された袋状のものでもよく、内用液剤を収容する樹脂製の容器でもよい。
【0054】
本実施形態の薬剤収容部26は、第二立板部32の外側に収容部側情報表示部42を有する。この収容部側情報表示部42は、上記した第二情報表示部23bと同様に、文字等の情報を記載した部分等のシート状体の一部を外部から視認可能な状態で保持できるように形成されている。なお、この情報表示部(収容部側情報表示部42)もまた、上記した他の情報表示部と同様に、所定の情報が表示できればよく、情報表示媒体は適宜なものを採用できる。
【0055】
本実施形態の薬剤収容部26は、背面壁を形成する第一立板部31の上部よりも、正面壁を形成する第二立板部32の上部が低位置に位置するように形成している。また、第二立板部32の上部に欠落部を設けており、第二立板部32の上部は、下方に向かって凸となる円弧状に欠落している。このことから、内部に収容した薬剤包装を正面側から視認し易い構造となっている。
【0056】
本実施形態の形成部本体11aは、隣り合う薬剤収容部26の第三立板部33が共通のものとなっている。例えば、
図3において左から2番目の第三立板部33は、左から1番目の薬剤収容部26の周壁(右側壁)を形成する第三立板部33であり、左から2番目の薬剤収容部26の周壁(左側壁)を形成する第三立板部33でもある、といった具合である。したがって、それぞれの薬剤収容部26の収容空間37は、形成部本体11aの長手方向の両端に位置する2つの第三立板部33,33の間の空間を、仕切板として機能する他の第三立板部33によって複数の小空間に区画した空間であるとも言える。
【0057】
形成部本体11aは、
図3、
図4で示されるように、2つの突条部44,44が設けられている。2つの突条部44,44は、上下で離れた位置にそれぞれ設けられ、いずれも形成部本体11aの長手に沿って互いに平行となるように延びている。
この突条部44は、長手方向の両端のそれぞれが第三立板部33の外側面よりも外側に突出している。すなわち、形成部本体11a全体の側壁部分を形成する第三立板部33よりも外側側方に突出している。そして、この外側に突出した部分が形成部側係合部47となる。
【0058】
形成部側係合部47は、略四角柱状となる基端側部の外側端部から、略円柱状となる先端側部が外側に突出した形状としている。この形成部側係合部47は、先端側部の外周面と基端側部の外周面の間に段差を有している。
【0059】
補助部材11bは、
図3、
図4で示されるように、ブロック状の部材であって、左右方向の両側壁を形成する第一側壁部50及び第二側壁部51を有する。そして、第一側壁部50及び第二側壁部51の間に補助側情報表示部52が設けられている。
【0060】
第一側壁部50には、補助側第一係合部56が形成され(
図3参照)、第二側壁部51には、補助側第二係合部57が形成されている(
図4参照)。
【0061】
補助側第一係合部56は、
図3で示されるように、形成部側係合部47と同形の部分である。すなわち、略四角柱状の基端側部と略円柱状の先端側部を有しており、基端側部の外側端部から先端側部が突出している。
補助側第二係合部57は、
図4で示されるように、内側に窪む凹部と、凹部の底部分からさらに内側に延びる2つの孔部を有する。この補助側第二係合部57の2つの孔部は、形成部本体11aの片側(
図4では左側)に位置する2つの形成部側係合部47と係合する部分である。つまり、補助側第二係合部57と形成部側係合部47とが対となり互いに係合する係合部となっており、これらが係合することで形成部本体11aと補助部材11bが連結した状態となる。なお、形成部本体11aと補助部材11bが連結した状態では、補助側第二係合部57が形成される第二側壁部51の外側面と、第三立板部33の外側面とが密着する(
図1参照)。
【0062】
補助側情報表示部52は、
図1の状態で正面壁を形成する部分の上側に形成されている。そして、上記した第二情報表示部23b、収容部側情報表示部42と同様に、文字等の情報を記載した部分等のシート状体の一部を外部から視認可能な状態で保持できる構造となっている。例えば、補助側情報表示部52には、「月」、「火」、「水」、「木」、「金」、「土」、「日」等の文字を記載した紙(カード)を保持させてもよい。すなわち、薬剤の服用時期(服用する曜日)に関する情報を表示してもよい。
なお、この情報表示部(補助側情報表示部52)もまた、他の情報表示部と同様に所定の情報が表示できればよく、情報表示媒体は紙に限らず適宜なものを採用できる。
【0063】
連結機構部12は、
図1、
図2で示されるように、薬剤セット具1の幅方向(
図1の左右方向)の片側に位置する第1連結機構部12aと、他方側に位置する第2連結機構部12bを有する。
第1連結機構部12a、第2連結機構部12bは、いずれもヘッダ部10と複数の収容部分形成部11のそれぞれを互いに相対移動が可能な状態で連結する部材である。詳細には、第1連結機構部12aは、ヘッダ部10と複数の補助部材11bを連結しており、第2連結機構部12bは、ヘッダ部10と複数の形成部本体11aを連結している。
【0064】
第1連結機構部12aは、
図5、
図6で示されるように、複数の固定板部60と、複数の連結板部61と、複数の連結用部材62を有している。また、
図5、7で示されるように、ヘッダ係止部材63を有している。
【0065】
固定板部60は、
図6、
図7で示されるように、補助部材11b(収容部分形成部11)に取り付ける薄板状の部材である。具体的には、角部分が丸みを帯びた略長方形長板状の部材であり、3つの固定側孔部70と、2つの取付用孔部71が形成されている。
3つの固定側孔部70は、いずれも固定板部60を厚さ方向に貫通する貫通孔である。詳細には、固定板部60の長手方向の両端側にそれぞれ位置する第一固定側孔部70a及び第二固定側孔部70bと、その間であって同長手方向における中心近傍に位置する第三固定側孔部70cから構成されている。
【0066】
2つの取付用孔部71は、いずれも固定板部60を厚さ方向に貫通する貫通孔であり、
一方は、第一固定側孔部70aと第三固定側孔部70cの間に形成され、他方は、第二固定側孔部70bと第三固定側孔部70cの間に形成されている。つまり、2つの取付用孔部71は、いずれも第三固定側孔部70cから固定板部60の長手方向の端部側にやや離れた位置に形成されている。
ここで、取付用孔部71は、内部に補助側第一係合部56の先端側部分を略丁度挿入可能な孔である。すなわち、2つの取付用孔部71は、2つの補助側第一係合部56と対となり互いに係合する係合部となっている。そして、2つの取付用孔部71に2つの補助側第一係合部56の先端側部分を挿入することで、これらが互いに係合した状態となる。そして、固定板部60を補助部材11b(収容部分形成部11)に取り付ける際には、2つの取付用孔部71と2つの補助側第一係合部56を互いに係合させた状態とする(
図7参照)。
【0067】
連結板部61は、薄板状であり、角部分が丸みを帯びた略長方形長板状の部材である。特に限定されるものではないが、固定板部60と同じ(略同じ)長さとなっている。連結板部61には、3つの連結側孔部75が設けられており、これらはいずれも連結板部61を厚さ方向に貫通する貫通孔である。3つの連結側孔部75は、連結板部61の長手方向の両端側にそれぞれ位置する第一連結側孔部75a及び第二連結側孔部75bと、その間であって同長手方向における中心近傍に位置する第三連結側孔部75cによって構成されている。
【0068】
連結用部材62は、固定板部60と連結板部61を連結する際にこれらの間に介在する樹脂製の部材であり、係止ピンである。詳細には、
図6で示されるように、円筒状の本体部62aと、本体部62aの片側開口を囲むように形成されるフランジ部62bを有している。
【0069】
ヘッダ係止部材63は、側面視形状(厚さ方向を視線方向とした平面視形状)が略「十」字状となる薄板状の部材である。
すなわち、ヘッダ係止部材63は、角部分が丸みを帯びた略長方形長板状となる本体板部63aと、本体板部63aの長手方向の中途部分から分岐して延びる第一分岐板部63b、第二分岐板部63cを有する。第一分岐板部63b、第二分岐板部63cは、いずれも略長方形板状の部分であり、延設方向の端部側の角部分が丸みを帯びた形状となっている。
【0070】
本体板部63aには、長手方向の一方端側に第一係止側孔部78が設けられ、他方端側の第一係止突起79が設けられている。そして、第一係止側孔部78と第一係止突起79の間に第二係止側孔部80が設けられている。
第一係止側孔部78、第二係止側孔部80は、いずれもヘッダ係止部材63(本体板部63a)を厚さ方向に貫通する貫通孔である。
【0071】
第一分岐板部63b、第二分岐板部63cは、少なくとも一部が第二係止側孔部80から本体板部63aの幅方向外側に離れた位置に配される。また、第一分岐板部63bに第二係止突起81が設けられ、第二分岐板部63cに第三係止突起82が設けられている。
第一係止突起79、第二係止突起81、第三係止突起82は、いずれも略半球状の突起部分であり、ヘッダ係止部材63の片側主面(一主面)に形成されている。そして、いずれもヘッダ係止部材63の厚さ方向の外側に向かって突出する。これら第一係止突起79、第二係止突起81、第三係止突起82は、いずれもヘッダ係止部21内に挿入することで、ヘッダ係止部21と係合させることが可能な形状となっている。
【0072】
続いて、ヘッダ部10と複数の収容部分形成部11とを連結機構部12を介して連結させる連結構造のうち、第1連結機構部12aによる片側の連結構造について詳細に説明する。
【0073】
図5、
図6、
図7等で示されるように、それぞれの補助部材11b(収容部分形成部11)に固定板部60を取り付ける。このとき、補助部材11bの補助側第一係合部56の先端側部分を固定板部60の取付用孔部71に挿通し互いに係合させた状態とする(
図5,
図7参照)。
【0074】
また、
図5、
図6等で示されるように、それぞれの固定板部60に対して連結板部61を相対的に回動自在となる状態で取り付ける。すなわち、固定板部60の第三固定側孔部70cと、連結板部61の第三連結側孔部75cとを重ねて連通孔を形成し、連結用部材62の本体部62aをこの連通孔に挿入する。このことにより、連結板部61は、固定板部60(収容部分形成部11)に対して相対的に回動自在となる状態で取り付けられる。すなわち、本体部62aを回動軸として、長手方向の中途部分(中心近傍)を中心に回動可能となる。
【0075】
このとき、
図5、
図7等で示されるように、最もヘッダ部10に近接する固定板部60には、ヘッダ係止部材63を取り付ける。すなわち、固定板部60の第三固定側孔部70cと、ヘッダ係止部材63の第二係止側孔部80とを重ねて連通孔を形成し、連結用部材62の本体部62aをこの連通孔に挿入する。このことにより、ヘッダ係止部材63は、固定板部60(収容部分形成部11)に対して相対的に回動自在となる状態で取り付けられる。すなわち、本体部62aを回動軸として、第二係止側孔部80が形成されている部分を中心に回動可能となる。
【0076】
前後して、
図5、
図6等で示されるように、それぞれの連結板部61の長手方向における片側又は両側の端部側に位置する部分と、固定板部60の長手方向における端部側に位置する部分とを互いに回動自在となるように連結する。
すなわち、
図6で示されるように、連結板部61の第一連結側孔部75aと、固定板部60の第二固定側孔部70bとを重ねて連通孔を形成し、連結用部材62の本体部62aをこの連通孔に挿入する。また、連結板部61の第二連結側孔部75bと、固定板部60の第一固定側孔部70aとを重ねて連通孔を形成し、連結用部材62の本体部62aをこの連通孔に挿入する。このことにより連結した連結板部61と固定板部60の端部側部分同士が、本体部62aを回動軸として連通孔が形成されている部分を中心に互いに回動可能な状態で連結される。
【0077】
また、
図7で示されるように、ヘッダ係止部材63の第一係止側孔部78と固定板部60の第一固定側孔部70aとを重ねて連通孔を形成し、連結用部材62の本体部62aをこの連通孔に挿入する。このことにより、本体板部63aの長手方向における片側端部と、固定板部60の長手方向における片側端部とで連通孔が形成されている部分を中心に互いに回動可能な状態で連結される。
さらに、ヘッダ部10の側壁形成部10aに設けたリンク連結部20の貫通孔と、固定板部60の第一固定側孔部70aとを重ねて連通孔を形成し、連結用部材62の本体部62aをこの連通孔に挿入する。このことにより、側壁形成部10aが固定板部60を介して収容部分形成部11に回動自在に取り付けられた状態となる。
【0078】
さらに詳細に説明すると、
図5で最も右側に位置する固定板部60を第1の固定板部60aとし、右から二番目に位置する固定板部60を第2の固定板部60bとする。三番目以降も同様に第3の固定板部60c・・・とする。同様に、右側から一番目、二番目、三番目・・・の連結板部61をそれぞれ第1の連結板部61a、第2の連結板部61b、第3の連結板部61c・・・とする。
【0079】
このとき、第1の連結板部61aと第1の固定板部60aの長手方向の中心側同士を連結する。以下同様に、第2の連結板部61bと第2の固定板部60bの長手方向の中心側同士、第3の連結板部61cと第3の固定板部60cの長手方向の中心側同士・・・を連結していく。なお、最も左側に位置する第7の固定板部60gには、連結板部61に替わってヘッダ係止部材63を連結する。
【0080】
また、第1の連結板部61aの長手方向の端部側部分と、第1の固定板部60aの隣にある第2の固定板部60bの長手方向の端部側部分とを互いに回動可能な状態で連結する。
つまり、第1の連結板部61aは、長手方向の中心側同士を連結させた第1の固定板部60aの隣に位置する固定板部60(第2の固定板部60b)と長手方向の端部側同士を連結させる。
【0081】
第2の連結板部61bもまた、長手方向の中心側同士を連結させた第2の固定板部60bの隣に位置する固定板部60(第1の固定板部60a、第3の固定板部60c)と長手方向の端部側同士を連結させる。すなわち、第2の連結板部61bの長手方向の一端側部分を第1の固定板部60aの長手方向の端部側部分と連結し、他端側部分を第3の固定板部60cの長手方向の端部側部分と連結する。第3の連結板部61c以降の連結板部61もまた、第2の連結板部61bと同様に、長手方向の中心側同士を連結させた固定板部60の隣に位置する固定板部60と連結させていく。
そして、上記したように、第7の固定板部60gの長手方向の端部側部分であり、ヘッダ部10側に位置する端部側部分をヘッダ部10と連結させる。
また、ヘッダ係止部材63における本体板部63aの長手方向の端部側部分と、第7の固定板部60gの隣に位置する第6の固定板部60fの長手方向の端部側部分とを互いに回動可能な状態で連結させる。そして、第一係止突起79、第二係止突起81から選択される一つをヘッダ係止部21と係合させた状態とする。
【0082】
以上により、薬剤セット具1の幅方向(左右方向)における片側が第1連結機構部12aによって連結される。第2連結機構部12bによる他方側の連結構造は、上記の第1連結機構部12aによる片側の連結構造と略同じ構造であるので重複する説明を省略する。
なお、第1連結機構部12aを介した連結構造では、上記したように、固定板部60の2つの取付用孔部71と2つの補助側第一係合部56とが対となる係合部となっており、これらを互いに係合させた状態とした。これに対し、第2連結機構部12bを介した連結構造では、2つの取付用孔部71と形成部本体11aの2つの形成部側係合部47とが対となる係合部となっており、これらを互いに係合させた状態とするという点が異なる。つまり、固定板部60の2つの取付用孔部71は、形成部側係合部47の先端側部分を略丁度挿入可能な孔でもある。
なお、上記した対となる係合部、すなわち、第1連結機構部12a、第2連結機構部12bによる連結構造での係合部、及び、形成部本体11aと補助部材11bを係合させる係合部は、1つの突起部分と1つの孔部で構成してもよい。すなわち、対となる係合部の一方を1又は複数の突起部分とし、他方を1又は複数の孔部としてもよい。このとき、上記とは逆に形成部本体11aに孔部を設け、補助部材11bに突起部分を設けてもよい。すなわち、二部材に対となる係合部をそれぞれ設ける場合、突起部分を設ける部材と、孔部を設ける部材は適宜変更してもよい。
また、1つの突起部分と1つの孔部によって対となる係合部を構成する場合、形成部本体11aが係合部分を中心に回転可能(連結機構部12、補助部材11b等の他部材に対して相対回転可能)としてもよい。
【0083】
台板部材2は、
図2等で示されるように、立板状の基板部材2aと、基板部材2aの上側に取り付けられた壁掛用紐部材2bを有する。
ここで、基板部材2aの一主面と薬剤セット具1の背面側部分のそれぞれには、対となって互いに係合する係合部(例えば、鉤状突起と孔の組み合わせ等であり、図示しない)が設けられている。このため、基板部材2aの一主面側に、第一状態(詳しくは後述する)とした薬剤セット具1を壁掛姿勢(詳しくは後述する)で着脱自在に取り付け可能となっている。
また、基板部材2aの一主面側の適宜な位置に情報表示部が設けられている。この基板部材2aの情報表示部は、上記した薬剤セット具1の各情報表示部と同様の構造である。つまり、所定の情報が表示できればよく、情報表示媒体は適宜なものを採用できる。
【0084】
本実施形態の薬剤セット具1は、
図5で示されるように、全長を長くした第一状態(
図5(a)参照)と、第一状態よりも全長を短くした第二状態(
図5(b)参照)との間で切り替えが可能である。すなわち、第一状態から第二状態に切り替えることで伸縮方向X1の長さが短くなる。なお、伸縮方向X1は、薬剤セット具1を投薬カレンダーとして使用する際(
図1の状態)の上下方向であり、薬剤セット具1の幅方向と直交する方向である。また、伸縮方向X1は、
図5で示されるように、ヘッダ部10と複数の収容部分形成部11の並び方向(並列方向であり、
図5の左右方向)でもある。
【0085】
第一状態から第二状態に切り替える際には、まず、ヘッダ係止部21と第一係止突起79の係合を解除させる。そして、それぞれの収容部分形成部11を回動させていく。すなわち、それぞれの収容部分形成部11に属する薬剤収容部26が回動し、薬剤収容部26の導入口38(開口)もまた回動する。このとき、一の収容部分形成部11が回動することで、一の収容部分形成部11に属する複数の薬剤収容部26が同時に回動する。そして、これらの回動に伴って、隣接する収容部分形成部11の一方に属する薬剤収容部26の導入口38と、他方に属する薬剤収容部26の導入口38からなる2つの導入口38,38間の距離が短くなっていく。つまり、隣接する2つの導入口38,38が互いに近づいていく。また、第一係止突起79との係合を解除させたヘッダ部10と、ヘッダ係止部材63をそれぞれ回動させ、ヘッダ係止部21と第二係止突起81を係合させる。このことにより、薬剤セット具1が第二状態に切り替わる。そして、薬剤セット具1が第二状態となると、伸縮方向X1の長さが短くなり、伸縮方向X1及び幅方向と直交する方向(
図5の上下方向であり、図中Y1で示す方向)の長さが長くなる。
【0086】
対して、第二状態から第一状態に切り替える際には、まず、ヘッダ係止部21と第二係止突起81の係合を解除させる。そして、それぞれの収容部分形成部11を回動させていく。このとき、収容部分形成部11は、第一状態から第二状態に切り替える際とは逆側に回動させる。したがって、この回動に伴って、隣接する収容部分形成部11の一方に属する薬剤収容部26の導入口38と、他方に属する薬剤収容部26の導入口38からなる2つの導入口38,38間の距離が長くなっていく。そして、第二係止突起81との係合を解除させたヘッダ部10と、ヘッダ係止部材63をそれぞれ回動させ、ヘッダ係止部21と第一係止突起79を係合させる。このことにより、薬剤セット具1が第二状態に切り替わる。
【0087】
ここで、本実施形態では、上記したように、第一状態と第二状態とを切り替える際、ヘッダ部10とヘッダ係止部材63の係合位置を変更している。本実施形態の薬剤セット具1では、このヘッダ部10(ヘッダ係止部21)とヘッダ係止部材63が、意図しない第一状態と第二状態の間での切り替わりを防止(抑制)する切替規制手段として機能する。
すなわち、薬剤セット具1では、第一状態でヘッダ係止部21と第一係止突起79とが係合した状態では、それぞれの収容部分形成部11の回動が規制される(それぞれの収容部分形成部11が回動しない)構造としている。すなわち、連結機構部12の一部を構成するヘッダ係止部材63の回動が規制されることで、連結する連結機構部12の他の部分の回動が規制され、連結機構部12を介して連結された複数の収容部分形成部11の回動が規制される。同様に、第二状態でヘッダ係止部21と第二係止突起81とが係合した状態でも、それぞれの収容部分形成部11の回動が規制される。
【0088】
本実施形態の薬剤セット具1は、
図1で示されるように、第一状態で投薬カレンダーとして使用することを想定している。このとき、薬剤セット具1は、伸縮方向X1が上下方向に沿う方向となる姿勢(以下、壁掛姿勢とも称す)とする。
すなわち、薬剤セット具1を第一状態として壁掛姿勢とすることで、薬剤セット具1の上端側にヘッダ部10が位置し、ヘッダ部10の下で複数の収容部分形成部11が一部重なりつつ並んだ状態となる。そして、薬剤収容部26が正面視において平面的且つ行列状(マトリックス状)に分布された状態となる。本実施形態では、7×4行列状に28の薬剤収容部26が配される。言い換えると、薬剤収容部26が複数行及び複数列からなる行列状に配される。また、ヘッダ部10の長手方向(薬剤セット具1の幅方向)が、
図1の手前側を前方としたときの左右方向と同方向となる。
【0089】
そして、
図8で示されるように、薬剤セット具1を第一状態で壁掛姿勢としたとき、それぞれの薬剤収容部26の導入口38が上方を向いた状態となる。すなわち、導入口38の向き(開口の向き、以下、開口方向X2とも称す)が伸縮方向X1(上下方向)に沿う方向となる。
ここで、本実施形態では、薬剤収容部26の底部分の中心と導入口38の中心を通過して延びる仮想線の延在方向を開口方向X2としている。また、「伸縮方向X1に沿う方向」とは、伸縮方向X1と互いに平行となる方向に限らず、伸縮方向X1に対する傾斜角度θAが規定角度(本実施形態では35度)以下となる方向を含む。本実施形態では、開口方向X2が真上から微細に正面側(
図8では右側)に傾斜した方向となっている。
【0090】
また、薬剤セット具1を第一状態で壁掛姿勢としたとき、第一立板部31もまた正面側にやや傾斜した姿勢となる。詳細には、第一立板部31は、水平面に対する傾斜角度が所定角度θ1(第一角度)となるように傾斜させており、この所定角度θ1を45度以上としている。なお、本実施形態では、所定角度θ1を74度程度としている。言い換えると、第一立板部31の内側面と平行な方向に延びる仮想線と水平面のなす角が、所定角度θ1となる。
以上のことから、薬剤セット具1を第一状態で壁掛姿勢としたとき、薬剤包装を導入口38から収容空間37に導入し易く、正面側(
図1の正面側)から見たときに収容空間37に導入した薬剤包装を確認し易くなっている。
【0091】
また、本実施形態の薬剤セット具1は、薬剤セット具1を搬送したり、棚にしまったりする(棚台に載置したりする)際に、薬剤セット具1を第二状態とすることを想定している。また、監査等を行う際に第二状態とすることを想定している。例えば、
図9のように、薬剤セット具1を第二状態として搬送用容器85内に収容し、搬送用容器85ごと搬送するといった運用を想定している。
なお、搬送用容器85は、上方が開放された容器であり、底板部分85aと、4つの側壁部が環状に連続して形成される周壁部85bを有する。
【0092】
このとき、薬剤セット具1は、伸縮方向X1が載置場所の載置面(水平面)と平行となる姿勢(以下、平置姿勢とも称す)とする。なお、平置姿勢は、第一状態として壁掛姿勢とした薬剤セット具1の背面側(壁側)が下方側を向く姿勢でもある。
図9で示されるように、薬剤セット具1を第二状態として平置姿勢では、平面視において薬剤収容部26が行列状に並んだ状態となる。また、伸縮方向X1であってヘッダ部10側へ向かう方向(
図9(a)においてXαで示す方向)を視線方向とした平面視において、手前側に位置する収容部分形成部11とその奥側に位置する収容部分形成部11の大部分が重なった状態となる。したがって、同平面視において奥側の収容部分形成部11が視認できない(又は略視認できない)状態となる。
【0093】
そして、
図9(a)、
図10で示されるように、薬剤セット具1を第二状態で平置姿勢とした場合においても、それぞれの薬剤収容部26の導入口38が上方を向いた状態となる。すなわち、導入口38の開口方向X2が伸縮方向X1と交わる方向となる。詳細には、上記した伸縮方向X1(水平方向)に沿う方向とは異なる方向であり、伸縮方向X1と交わる方向となる。
【0094】
したがって、開口方向X2の伸縮方向X1に対する傾斜角度θB、すなわち、開口方向X2の水平面に対する傾斜角度θBは、上記した傾斜角度θAよりも大きくなる。本実施形態の開口方向X2は、真上からやや伸縮方向X1の一方端側(ヘッダ部10側)に傾斜した姿勢となっている。
【0095】
また、薬剤セット具1を第二状態で平置姿勢としたとき、第一立板部31もまた伸縮方向X1の一方端側(ヘッダ部10側)にやや傾斜した姿勢となる。詳細には、第一立板部31を水平面に対する傾斜角度が所定角度θ2(第二角度)となるように傾斜させている。言い換えると、第一立板部31の内側面と平行な方向に延びる仮想線と水平面のなす角が、所定角度θ2となる。
ここで、所定角度θ2は、45度以上の角度であり、且つ、上記した所定角度θ1との差が20度以下となる角度である。本実施形態では、所定角度θ2を58度とし、本所定角度θ1と所定角度θ2の差を16度としている。以上のことから、薬剤セット具1を第二状態で平置姿勢とした際にも、薬剤包装を導入口38から収容空間37に導入し易い。また、上方側からみたときに収容空間37に導入した薬剤包装を確認し易い。
【0096】
以上のことから、薬剤セット具1は、
図5、
図8、
図10で示されるように、第一状態における導入口38の向き(開口方向X2)を第一の向きとし、第二状態における導入口38の向きを第二の向きとすると、第一の向きと第二の向きが異なる向きとなる。
例えば、
図5で示されるように、第一状態、第二状態のそれぞれにおいて、いずれも壁掛姿勢とした際の薬剤セット具1の背面側が下方側を向く姿勢(平置姿勢)とする。このとき、
図5(a)で示されるように、第一の向きは、導入口38が側方側(
図5(a)の左側)を向く向きとなる。対して、第二の向きは、導入口38が上方側(
図5(b)の上側)を向く向きとなる。詳細には、上記したように、第一の向きでの開口方向X2の伸縮方向X1に対する傾斜角度θAが、第二の向きでの開口方向X2の伸縮方向X1に対する傾斜角度θBよりも小さくなる。なお、上記したように第一状態と第二状態の間で切り替えを行う際、切り替え中の状態では、導入口38が第一の向きと第二の向きの間を向く状態となる。すなわち、切り替え中の状態での開口方向X2(図示しない)の伸縮方向X1に対する傾斜角度は、上記した傾斜角度θAよりも大きく、上記した傾斜角度θBよりも小さい。なお、切り替え中の状態での傾斜角度、傾斜角度θA,θBは、いずれも開口方向に延びる仮想線と、伸縮方向に延びる仮想線(又は伸縮方向と平行な仮想面)のなす角とする。
【0097】
ここで、本実施形態の薬剤セット具1は、外部の薬剤セット装置によって自動で薬剤包装を薬剤収容部26に導入して運用してもよい。つまり、本実施形態の薬剤セット具1と、薬剤セット具1に対して薬剤包装をセットする薬剤セット装置を備えた薬剤セットシステムを構築してもよい。
【0098】
薬剤セット装置は、薬剤セット具1を第一状態と第二状態の間で切り替える状態切替部を有していてもよい。状態切替部では、薬剤セット具1に対して伸縮方向X1に力を付与する状態切替手段によって状態の切り替えを実行する。この状態切替手段としては、例えば、ロボットアーム等を採用できる。また、状態切替手段は、第一状態から第二状態への切り替えを行う第1切替手段と、第二状態から第一状態への切り替えを行う第2切替手段を別途設けてもよく、共通の切替手段が2つの切替手段を兼ねる構成でもよい。
【0099】
また、薬剤セット装置は、第二状態とした薬剤セット具1を搬送用容器85に収容するセット具導入部を有していてもよい。このセット具導入部では、セット具搬送手段(第1セット具搬送手段)によって薬剤セット具1を搬送し、薬剤セット具1を搬送用容器85に収容する。セット具搬送手段としては、例えば、ロボットアーム等を採用できる。
さらに、薬剤セット装置は、薬剤セット具1を収容した搬送用容器85を搬送する容器搬送部を有していてもよい。容器搬送部で搬送用容器85を搬送する容器搬送手段には、例えば、コンベヤ装置を採用できる。また、容器搬送部で薬剤セット具1を収容した搬送用容器85を容器搬送手段(コンベヤ装置の上)に移動させるセット具搬送手段(第2セット具搬送手段)には、上記と同様にロボットアームを採用できる。同様に、容器搬送手段(コンベヤ装置の上)から薬剤セット具1を収容した搬送用容器85を移動させるセット具搬送手段(第3セット具搬送手段)には、上記と同様にロボットアームを採用できる。
【0100】
そして、薬剤セット装置は、搬送用容器85に収容された薬剤セット具1の一又は複数の薬剤収容部26に対し、薬剤包装をセットする薬剤セット部を有していてもよい。薬剤セット部で薬剤収容部26まで薬剤包装を搬送する薬剤セット手段としては、ロボットアーム、又は、コンベヤとロボットアーム組み合わせ等が採用できる。
【0101】
さらに、薬剤セット装置は、一又は複数の薬剤収容部26に薬剤包装を導入した第二状態の薬剤セット具1を搬送用容器85から取り出すセット具取出部を有していてもよい。このセット具取出部では、セット具搬送手段(第4セット具搬送手段)によって薬剤包装が導入された薬剤セット具1を搬送用容器85から取り出す動作を実行する。このセット具搬送手段も上記と同様に、ロボットアーム等を採用できる。第1セット具搬送手段乃至第4セット具搬送手段は、それぞれ別途設けてもよく、共通のセット具搬送手段が2以上を兼ねていてもよい。
【0102】
そして、薬剤セット装置は、薬剤包装を導入した第二状態の薬剤セット具1を搬送用容器85から取り出した後、上記した状態切替手段によって薬剤セット具1を第二状態から第一状態に切り替えてもよい。
【0103】
以上のことから、薬剤セット具1を用いた薬剤の提供方法は、薬剤セット具1を第一状態から第二状態とし、前後して又は同時に平置姿勢とする工程(第二状態変更工程)と、薬剤セット具1の薬剤収容部26に導入口38から薬剤包装を導入する工程(導入工程)と、薬剤セット具1を第二状態から第一状態とし、前後して又は同時に壁掛姿勢とする工程(第一状態変更工程)とを有する方法としてもよい。
【0104】
なお、第二状態変更工程、導入工程、第一状態変更工程は、この順で実行してもよく、順番が変更されてもよい。第二状態変更工程、導入工程、第一状態変更工程の順で実行する場合、導入工程では第二状態の薬剤セット具1に薬剤包装をセットする。すなわち、全長を縮めた状態の薬剤セット具1の薬剤収容部26に薬剤包装を導入する。これに対し、第二状態変更工程、第一状態変更工程、導入工程の順、すなわち、導入工程を第一状態変更工程の後に実行する場合、第一状態の薬剤セット具1に薬剤包装をセットする。なお、第二状態変更工程の後、薬剤セット具1を搬送用容器85内に収容する工程(収容工程)や、薬剤セット具1を搬送する工程(搬送工程)を実行してもよい。
【0105】
上記した実施形態の薬剤セット具1は、台板部材2に取り付けて投薬カレンダーとして使用可能なものとした。言い換えると、上記の薬剤セット具1は、セット具本体(本体部)と台板部材2を有する薬剤セット具(服薬補助具)において、薬剤包装セット具の一部であるセット具本体となるものとした。
しかしながら、本発明はこれに限るものではない。薬剤セット具1を台板部材2に取り付けずにそのまま壁等に掛け、投薬カレンダーとして使用してもよい。
【0106】
対して、薬剤セット具を台板部材2に取り付けて投薬カレンダーとして使用する場合、薬剤セット具は、ヘッダ部10と補助部材11bを設けない構成としてもよい。すなわち、薬剤セット具は、複数の形成部本体11aを連結機構部(固定板部60、連結板部61、連結用部材62)によって連結させて形成してもよい。
この場合、台板部材2に情報表示部を設け、上記したヘッダ側情報表示部23、補助側情報表示部52で表示した情報を表示してもよい。すなわち、台板部材2の情報表示部は、二次元コードや、服用時期を示す情報を表示してもよい。この場合の「服用時期を示す情報」もまた、上記と同様に、「朝」、「昼」、「夜」、「寝る前」等の服用する時間帯を示す情報や、「月」、「火」、・・・、「日」等の服用する曜日を示す情報となる。
【0107】
すなわち、上記した実施形態の収容部分形成部11は、形成部本体11aと補助部材11bを有する構成としたが、補助部材11bは必ずしも設けなくてもよい。また、上記した実施形態では、補助部材11bを向かって左側(
図1参照)に配したが、補助部材11bは向かって右側に配してもよい。この場合、第一側壁部50に補助側第二係合部57を形成し、第二側壁部51に補助側第一係合部56を形成してもよい。
【0108】
上記した実施形態では、薬剤セット具1を第一状態として壁掛姿勢とすることで、7×4行列状に28の薬剤収容部26が配される構成とした(
図1参照)。しかしながら、列の数、行の数は適宜変更してもよい。例えば、第一状態として壁掛姿勢とすることで、2×1行列状(1列×2行)に2つの薬剤収容部26が配される構成とすることが考えられる。
すなわち、上記した実施形態の収容部分形成部11(形成部本体11a)は、複数の薬剤収容部26が一体化したものとしたが、本発明はこれに限るものではない。形成部本体は、1つの薬剤収容部26を形成するものでもよい。そして、1つの薬剤収容部26を形成する形成部本体を2つ有する薬剤セット具を形成し、第一状態で壁掛姿勢とした際に2つの形成部本体が上下方向に並ぶようにしてもよい。このように、形成部本体は、1又は複数の薬剤収容部26を形成するものでもよい。
また、薬剤セット具1における行の数は、7に限らず、2以上7以下となる整数であってもよい。また、薬剤セット具1の列の数は、1以上の整数であってもよい。
【0109】
なお、上記したように、形成部本体を1つの薬剤収容部26を形成するものとする場合、複数の形成部本体を横並びに配し、互いに係合させてもよい。すなわち、上記した形成部本体11aは、同じ行に属する薬剤収容部26が一体化したものとしたが、これらは複数の部材を組み合わせて形成してもよい。
【0110】
上記した実施形態では、固定板部60及び連結板部61とは別途形成された連結用部材62を有し、固定板部60と連結板部61を連結用部材62介して連結させた構造について記載したが、本発明はこれに限るものではない。連結用部材は、固定板部又は連結板部と一体に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1;薬剤セット具、10;ヘッダ部材、11,111;収容部分形成部(収容部形成部材)、26,126;薬剤収容部、31;第一立板部、38;導入口