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特開2024-119860虚像表示装置、移動体、虚像表示装置の駆動方法、及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119860
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】虚像表示装置、移動体、虚像表示装置の駆動方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240827BHJP
   B60K 35/81 20240101ALI20240827BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/81
B60K35/23
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024084408
(22)【出願日】2024-05-23
(62)【分割の表示】P 2024505484の分割
【原出願日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2022159077
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 美樹
(72)【発明者】
【氏名】森下 克彦
(72)【発明者】
【氏名】小澤 良介
(72)【発明者】
【氏名】夷 洋一
(72)【発明者】
【氏名】小倉 健慈
(72)【発明者】
【氏名】島田 卓
(72)【発明者】
【氏名】望月 優
(57)【要約】      (修正有)
【課題】利用者に視認性の低下が低減された虚像を視認させることができるヘッドアップディスプレイを提供する。
【解決手段】虚像表示装置は、バックライトと、表示パネルと、光学系と、バックライト制御部とを備える。バックライトは、複数の発光部と、複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有する。表示パネルは、発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する。光学系は、表示面の像および発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる。バックライト制御部は、表示パネルに表示される画像に応じて、複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御する。発光面のサイズは、表示面のサイズよりも小さい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光部と、前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
前記表示パネルに表示される画像に応じて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するバックライト制御部と、を備え、
前記発光面のサイズは、前記表示面のサイズよりも小さく構成されている、虚像表示装置。
【請求項2】
複数の発光部と、前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
バックライト制御部と、を備え、
前記バックライト制御部は、
前記発光面内の領域であって、前記利用者の視野に前記領域の像が前記表示面の像と同一サイズの虚像として結像される領域を選択し、
前記複数の発光部のうち、前記選択された領域に対応する一部の発光部を、前記表示面に表示される画像に応じて発光状態および非発光状態のいずれかに切換えてローカルディミング制御する、虚像表示装置。
【請求項3】
前記光学系は複数の反射部を有し、
前記複数の反射部のうち第1反射部は、前記表示面の像および前記発光面の像を他の反射部である第2反射部に向けて反射させ、
前記第2反射部は、前記表示面の像および前記発光面の像を、前記利用者の視野に向けて反射させる、請求項1または2に記載の虚像表示装置。
【請求項4】
前記表示面は、前記発光面に対して傾斜して配設されている、請求項2または3に記載の虚像表示装置。
【請求項5】
請求項3に記載の虚像表示装置と、
前記第1反射部によって反射された前記画像光を前記利用者の眼に向けて反射させるウインドシールドと、を備える移動体。
【請求項6】
複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成し、前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するバックライト制御部と、を備える虚像表示装置。
【請求項7】
複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成し、前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するバックライト制御部と、を備える虚像表示装置。
【請求項8】
複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置の駆動方法であって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成することと、
前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御することと、を含む虚像表示装置の駆動方法。
【請求項9】
前記ローカルディミング制御することは、
前記第2画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、請求項8に記載の虚像表示装置の駆動方法。
【請求項10】
複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置の駆動方法であって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成することと、
前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御することと、を含む虚像表示装置の駆動方法。
【請求項11】
前記ローカルディミング制御することは、
前記第1画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、請求項10に記載の虚像表示装置の駆動方法。
【請求項12】
前記ローカルディミング制御することは、
利用者の視野の背景輝度に基づいて、発光状態に設定された発光部の発光輝度を設定すること、を含む、請求項8から11のいずれかに記載の虚像表示装置の駆動方法。
【請求項13】
前記ローカルディミング制御することは、
非発光状態に設定された発光部のうち発光状態に設定された発光部に隣接する発光部を発光状態に切換えること、を含む、請求項8から12のいずれかに記載の虚像表示装置の駆動方法。
【請求項14】
複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置が実行するプログラムであって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成し、
前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するためのプログラム。
【請求項15】
前記ローカルディミング制御することは、
前記第2画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、請求項14に記載のプログラム。
【請求項16】
複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置が実行するプログラムであって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成し、
前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するためのプログラム。
【請求項17】
前記ローカルディミング制御することは、
前記第1画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記ローカルディミング制御することは、
利用者の視野の背景輝度に基づいて、発光状態に設定された発光部の発光輝度を設定すること、を含む、請求項14から17のいずれかに記載のプログラム。
【請求項19】
前記ローカルディミング制御することは、
非発光状態に設定された発光部のうち発光状態に設定された発光部に隣接する発光部を発光状態に切換えること、を含む、請求項14から18のいずれかに記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、虚像表示装置、移動体、虚像表示装置の駆動方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された虚像表示装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112667号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態に係る虚像表示装置は、バックライトと、表示パネルと、光学系と、バックライト制御部と、を備える。前記バックライトは、複数の発光部と、前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有する。前記表示パネルは、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する。前記光学系は、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる。前記バックライト制御部は、前記表示パネルに表示される画像に応じて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御する。前記発光面のサイズは、前記表示面のサイズよりも小さく構成されている。
【0005】
本開示の他の実施形態に係る虚像表示装置は、バックライトと、表示パネルと、光学系と、バックライト制御部と、を備える。前記バックライトは、複数の発光部と、前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有する。前記表示パネルは、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する。前記光学系は、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる。前記バックライト制御部は、前記発光面内の領域であって、前記利用者の視野に前記領域の像が前記表示面の像と同一サイズの虚像として結像される領域を選択する。前記バックライト制御部は、前記複数の発光部のうち、前記選択された領域に対応する一部の発光部を、前記表示面に表示される画像に応じて発光状態および非発光状態のいずれかに切換えてローカルディミング制御する。
【0006】
本開示の一実施形態に係る移動体は、上記の虚像表示装置と、ウインドシールドと、を備える。前記光学系は、第1反射部と、第2反射部とを有する。前記第1反射部は、前記表示面の像および前記発光面の像を前記第2反射部に向けて反射させる。前記第2反射部は、前記第1反射部によって反射された前記表示面の像および前記発光面の像を、前記利用者の視野に向けて反射させる。前記ウインドシールドは、前記第1反射部によって反射された前記画像光を利用者の眼に向けて反射させる。
【0007】
本開示の他の実施形態に係る虚像表示装置は、バックライトと、表示パネルと、光学系と、バックライト制御部と、を備える。前記バックライトは、複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有する。前記表示パネルは、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する。前記光学系は、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる。前記バックライト制御部は、前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成し、前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御する。
【0008】
本開示の他の実施形態に係る虚像表示装置は、バックライトと、表示パネルと、光学系と、バックライト制御部と、を備える。前記バックライトは、複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有する。前記表示パネルは、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する。前記光学系は、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる。前記バックライト制御部は、前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成し、前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御する。
【0009】
本開示の虚像表示装置の駆動方法は、複数の発光部および前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面を有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置の駆動方法であって、前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成することと、前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御することと、を含む。
【0010】
本開示の虚像表示装置の駆動方法は、複数の発光部および前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面を有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置の駆動方法であって、前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成することと、前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御することと、を含む。
【0011】
本開示のプログラムは、複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置が実行するプログラムであって、前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成し、前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するためのプログラムである。
【0012】
本開示のプログラムは、複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置が実行するプログラムであって、前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成し、前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するためのプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示の目的、特色、及び利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
図1】本開示の一実施形態に係る虚像表示装置の構成を示す図である。
図2】利用者が光学系を介してバックライトの像及び表示パネルの像を見る場合における、バックライトの像及び表示パネルのそれぞれの虚像の見え方の例を示す図である。
図3A図1の虚像表示装置のバックライトを示す正面図である。
図3B図1の虚像表示装置の表示パネルを示す正面図である。
図4】虚像間視差によって視認性が低下した表示面虚像の一例を示す図である。
図5図1の虚像表示装置の利用者が視認する表示面虚像の一例を示す図である。
図6】本開示の他の実施形態に係る虚像表示装置の構成を示す図である。
図7A図6の虚像表示装置のバックライトを示す正面図である。
図7B図6の虚像表示装置の表示パネルを示す正面図である。
図8】虚像間視差によって視認性が低下した表示面虚像の一例を示す図である。
図9図6の虚像表示装置の利用者が視認する表示面虚像の一例を示す図である。
図10】本開示の他の実施形態に係る虚像表示装置の構成を示す図である。
図11図10の虚像表示装置の利用者が視認する表示面虚像の一例を示す図である。
図12】本開示の一実施形態に係る移動体の構成を示す図である。
図13】本開示の一実施形態に係る虚像表示装置の駆動方法を説明するフローチャートである。
図14】第1画像の一例を示す図である。
図15】第2画像の一例を示す図である。
図16】複数のローカルディミング領域を示す図である。
図17】階調値ヒストグラムの一例を示すグラフである。
図18】階調値ヒストグラムの他の例を示すグラフである。
図19】発光状態とする発光部及び非発光状態とする発光部を示す図である。
図20】周辺発光部の検出について説明する図である。
図21】周辺発光部の検出について説明する図である。
図22】利用者が視認する虚像を示す図である。
図23】第2画像の一例を示す図である。
図24】発光状態とする発光部及び非発光状態とする発光部を示す図である。
図25】利用者が視認する虚像を示す図である。
図26】第2画像の一例を示す図である。
図27】発光状態とする発光部及び非発光状態とする発光部を示す図である。
図28】利用者が視認する虚像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
従来、表示器から出射された画像光を反射部に反射させることによって、利用者に虚像を視認させる虚像表示装置が種々提案されている。表示器がバックライトと液晶パネルとを含んで構成されている場合、バックライトをローカルディミング制御することで、表示器の消費電力を抑えつつ、利用者にコントラストが向上した虚像を視認させることができる。しかしながら、そのような虚像表示装置においては、原理的に、液晶パネルの虚像(表示虚像という)とバックライトの虚像(光源虚像という)との間に視差が発生するため、利用者に視認させるべき表示虚像の視認性が低下してしまう。例えば特許文献1は、表示虚像の視認性の低下を低減するために、利用者の視線を推定し、推定された視線に基づいて、バックライトの複数の光源を部分的に発光させる虚像表示装置を開示している。
【0015】
従来の虚像表示装置は、表示虚像と光源虚像との間の視差を表示虚像全体にわたって低減することに関して、改善の余地がある。
【0016】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いられる図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
【0017】
図1に示されるように、本開示の一実施形態に係る虚像表示装置1は、表示部2と、光学系3と、バックライト制御部4とを備える。虚像表示装置1は、利用者5に虚像を視認させる。虚像表示装置1は、ヘッドアップディスプレイとも称される。ヘッドアップディスプレイは、HUD(Head Up Display)ともいう。虚像表示装置1は、車両、船舶、航空機等の移動体に搭載されてよい。虚像表示装置1が移動体に搭載される場合、利用者5は、移動体の運転者、操作者、又は同乗者であってよい。
【0018】
表示部2は、利用者5の視野に投影する画像を表示する。表示部2は、透過型の表示装置で構成されてよい。透過型の表示装置は、例えば、バックライト6と表示パネル(液晶パネル)7とを含むLCD(Liquid Crystal Display)等の液晶デバイスであってよい。バックライト6及び表示パネル7は、利用者5に対して表示される画像の画像光の光路に沿って、利用者5から遠い側から、バックライト6、表示パネル7の順に配置される。
【0019】
バックライト6は、直下型のバックライトであってよい。直下型のバックライト6は、複数の発光部61と、複数の発光部61からの光を出射可能な発光面6aとを含む。バックライト6は、基体62及び拡散板63を含んでよい。基体62は、表示パネル7に対向する主面62aを有してよく、複数の発光部61は、主面62aに2次元的に配列されてよい。拡散板63は、基体62の前方(図1における左側)に位置し、複数の発光部61を覆ってよい。拡散板63は、複数の発光部61から発せられた光を拡散してよく、これにより、バックライト6は表示パネル7を面的に照射することができる。発光面6aは、拡散板63における表示パネル7側の面であってよいし、基体62の主面62aであってよい。
【0020】
複数の発光部61はそれぞれ、少なくとも1つの光源を含んで構成される。光源は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の点状光源であってよい。LEDは、ミニLED及びマイクロLEDを含む。
【0021】
表示パネル7は、表示面7aを有する。表示面7aは、画像表示信号に基づいて表示を行う面であり、バックライト6の発光面6aから出射される光によって画像を光学系3側に出射することができる。
【0022】
表示パネル7は、公知の液晶パネルであってよい。公知の液晶パネルとしては、例えばIPS(In-Plane Switching)方式、FFS(Fringe Field Switching)方式、VA(Vertical Alignment)方式、ECB(Electrically Controlled Birefringence)方式等の液晶パネルが挙げられる。表示パネル7は、複数の液晶表示素子、複数の液晶表示素子を挟むように配置される2つのガラス基板、及びカラーフィルタを含むことができる。表示パネル7は、液晶パネルに限定されず、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッター式の表示パネルであってもよい。以下の説明においては、表示パネル7は液晶パネルであるとする。
【0023】
バックライト制御部(以下、単に、制御部ともいう)4は、バックライト6を制御する。制御部4は、複数の発光部61のそれぞれを発光状態および非発光状態のいずれかに切り換える。制御部4は、表示面7aに表示される画像の画像データに基づいて、発光状態とした発光部61の発光輝度を制御してよい。制御部4は、利用者5の視野の背景輝度に基づいて、発光状態とした発光部61の発光輝度を制御してよい。
【0024】
制御部4は、バックライト6を制御するだけなく、虚像表示装置1の各構成部を制御しうる。制御部4によって制御される構成部は、表示パネル7、表示パネル7に表示される画像の画像信号を発生する信号発生器等を含んでよい。また、制御部4は、ローカルディミング制御を実行するために、表示パネル7に表示するための画像に対して拡大、縮小、輝度解析等の画像処理を行うように構成されてよい。制御部4は、例えばプロセッサとして構成される。制御部4は、1以上のプロセッサを含んでよい。プロセッサは、特定のプログラムを読み込ませて特定の機能を実行する汎用のプロセッサ、及び特定の処理に特化した専用のプロセッサを含んでよい。専用のプロセッサは、特定用途向けIC(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)を含んでよい。プロセッサは、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)を含んでよい。PLDは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでよい。制御部4は、1以上のプロセッサが協働するSoC(System-on-a-Chip)、及びSiP(System In a Package)のいずれかであってよい。制御部4は、記憶部を備え、記憶部に各種情報、又は虚像表示装置1の各構成部を動作させるためのプログラム等を格納してよい。記憶部は、例えば半導体メモリ等で構成されてよい。記憶部は、制御部4のワークメモリとして機能してよい。
【0025】
光学系3は、表示部2から出射され、利用者5の眼に到達する画像光の光路に位置している。光学系3は、表示部2から出射された画像光を利用者5の眼に投影し、利用者5の眼に虚像を結像させる。光学系3は、表示部2に表示された画像を拡大したり縮小したりして、利用者5の眼に結像させてよい。光学系3は、第1光学部材(第1反射部ともいう)3a及び第2光学部材(第2反射部ともいう)3bを含む。第1反射部3aは、発光面6aの像及び表示面7aの像を、第2反射部3bに向けて反射する。第2反射部3bは、第1反射部3aによって反射された発光面6aの像及び表示面7aの像を、利用者5の眼に向けて反射する。光学系3を構成する光学部材の数は、2つに限られず、3つ以上であってもよいし、4つ以上であってもよい。光学部材は、凸面又は凹面ミラーを含む反射部材を含んでよい。光学部材は、自由曲面ミラーを含む反射部材を含んでよい。光学部材は、凸レンズ又は凹レンズを含む屈折部材を含んでよい。凸レンズは、両凸レンズ、平凸レンズ、凸メニスカスレンズを含む。凹レンズは、両凹レンズ、平凹レンズ、凹メニスカスレンズを含む。光学部材は、反射部材又は屈折部材に限られず、他の種々の光学部材を含んでよい。
【0026】
利用者5から見て最も近くに位置する第2光学部材3bから前方側(図1における左側)にまっすぐ延びる二点鎖線の先に、発光面6aの像の虚像10Qと、表示面7aの像の虚像20Qとが位置する。発光面6aの像とは、表示部2の正面側(図1における左側)から画像光の光路に沿って表示部2を見たときに、表示パネル7を介して観察される発光面6aの像を指す。表示面7aの像とは、表示部2の正面側から画像光の光路に沿って表示部2を見たときに観察される表示面7aの像を指す。表示面7aの像は、表示面7aに表示される画像とも言える。以下、発光面6aの像は、単に、発光面6aとも称される。表示面7aの像は、単に、表示面7aとも称される。また、虚像10Qは、発光面虚像とも称され、虚像20Qは、表示面虚像とも称される。表示面7aの大きさは表示パネル7の最大表示領域に対応した大きさであり、表示可能な有効表示領域の大きさである。また、発光面6aの大きさは表示パネル7の有効表示領域に対応して光源光を照射可能にする点灯最大領域の大きさである。
【0027】
虚像10Q及び虚像20Qは、利用者5の眼に結像される。利用者5は、虚像10Q及び虚像20Qを視認しうる。以下、図2を参照して、利用者5からの虚像10Q及び虚像20Qの見え方が説明される。
【0028】
バックライト6と、表示パネル7と、光学系3とは、Z軸に沿って並んでいる。光学系3は、レンズ又はミラー等の光学部材を1つだけ含むか、複数含むかにかかわらず、面であるものとみなされる。光学系3は、点Oを通りZ軸に直交する面の中に位置するものと仮定する。光学系3の中心は、点Oであるものと仮定する。光学系3の光軸は、Z軸に沿うものと仮定する。光学系3は、Y軸上の線分として表されている。光学系3を表す線分は、便宜上Z軸から上方にだけ延びているが、下方にも延びてよい。光学系3は、Z軸周りに対称であってよい。光学系3の焦点は、点OからZ軸の負の方向にfだけ離れて位置する点Fと、点OからZ軸の正の方向にfだけ離れて位置する点F’とに位置するものとする。fは、光学系3の焦点距離を表している。点Fから放射状に光学系3に進む光は、光学系3を通過する際に屈折し、光学系3よりもZ軸の正の方向に位置する領域において、Z軸に平行な方向に進むものと仮定する。つまり、光学系3は、点Fから放射状に広がる光を平行光線にする。
【0029】
発光面6aは、Z軸に直交する面とみなされる光学系3からZ軸の負の方向にa(ただし、a<f)だけ離れた、Z軸に直交する面に沿って位置するものと仮定する。発光面6aは、Y軸に沿った長さdを有する線分で表されている。
【0030】
表示面7aは、発光面6aが位置する面からZ軸の正の方向にc(ただし、c<a)だけ離れた、Z軸に直交する面に沿って位置するものと仮定する。表示面7aは、Y軸に沿った長さeを有する線分で表されている。
【0031】
点Fと、発光面6aを表す線分の両端のそれぞれとを結ぶ直線は、点O及び点Sにおいて光学系3を表す線分と交わる。すなわち、発光面6aに対応する線分は、光学系3を介してZ軸の正の方向の側から見たとき、線分OSに拡大する。
【0032】
点Oと発光面6aを表す線分のZ軸上の端点とは逆の端点とを結ぶ直線は、点Sを通りZ軸に平行な直線と、点S’において交わる。点S’からZ軸に下ろされた垂線は、Z軸と点S”において交わる。線分S’S”は、発光面6aの虚像10Qを表している。点Oと点S”との間の距離は、hで示されており、hは、h=a×f/(f-a)で表される。すなわち、利用者5が光学系3を介して発光面6aを見たとき、虚像10Qは、点OからZ軸の負の方向にhだけ離れて位置している。線分S’S”の長さDは、線分OSの長さと等しい。線分S’S”の長さDは、以下の式(1)で表される。
D=f×d/(f-a) …(1)
【0033】
点Fと、表示面7aを表す線分の両端のそれぞれとを結ぶ直線は、点Oおよび点Tにおいて光学系3を表す線分と交わる。すなわち、表示面7aに対応する線分は、光学系3を介してZ軸の正の方向の側から見たとき、線分OTに拡大する。
【0034】
点Oと表示面7aを表す線分のZ軸上の端点とは逆の端点とを結ぶ直線は、点Tを通りZ軸に平行な直線と、点T’において交わる。点T’からZ軸に下ろされた垂線は、Z軸と点T”において交わる。線分T’T”は、表示面7aの虚像20Qを表している。点Oと点T”との間の距離は、bで示されており、bは、b=(a-c)×f/(f-a+c)で表される。すなわち、利用者5が光学系3を介して表示面7aを見たとき、虚像20Qは、点OからZ軸の負の方向にbだけ離れて位置している。線分T’T”の長さは、線分OTの長さと等しい。線分T’T”の長さEは、以下の式(2)で表される。
E=f×e/(f-a+c) …(2)
【0035】
式(1)及び式(2)から分かるように、発光面6aの拡大倍率(すなわち、発光面6aに対する虚像10Qの倍率)α、及び、表示面7aの拡大倍率(すなわち、表示面7aに対する虚像20Qの倍率)βはそれぞれ、以下の式(3)及び(4)で表される。
α=f/(f-a) …(3)
β=f/(f-a+c) …(4)
【0036】
仮に、発光面6aの長さdと表示面7aの長さeとが等しい場合、式(3)及び(4)から分かるように、発光面6aの拡大倍率αと表示面7aの拡大倍率βとが異なるため、虚像10Qのサイズと虚像20Qのサイズとが異なる。式(1)及び式(2)から分かるように、虚像10QのY軸に沿った長さDと、虚像20QのY軸に沿った長さEとは、発光面6aの長さdが、d=e×(f-a)/(f-a+c)である場合に、等しくされうる。
【0037】
発光面6a及び表示面7aは、Y軸方向において拡大されるだけでなく、X軸方向においても拡大される。X軸方向における発光面6aの拡大倍率は、Y軸方向における発光面6aの拡大倍率αと異なってよい。X軸方向における表示面7aの拡大倍率は、Y軸方向における表示面7aの拡大倍率βと異なってよい。
【0038】
次に、図3A,3Bを参照して、制御部4が実行するローカルディミング制御の一例について説明する。図3Aは、表示部2の正面側(図1における左側)から画像光の光路に沿って表示部2を見たときの、バックライト6の正面図を示す。図3Bは、表示部2の正面側から画像光の光路に沿って表示部2を見たときの、表示パネル7の正面図を示す。発光面6a及び表示面7aは、矩形形状を有してよい。発光面6aは、表示面7aよりもサイズ(長辺及び短辺の長さ)が小さい。発光面6aの形状と表示面7aの形状とは、相似であってよいし、相似でなくてよい。発光面6aに対する虚像10Qの倍率α、及び表示面7aに対する虚像20Qの倍率βが、X軸方向とY軸方向とで異なる場合、発光面6aの形状と表示面7aの形状とは、相似でなくてよい。なお、ローカルディミング制御は、バックライト6の表示面7aと重畳する領域を複数のブロックに分割し、複数のブロックの輝度を、ブロックごとに独立して制御する方法である。例えば、表示面7aの特定ブロックの表示が暗い表示の場合、対応するバックライトの該当ブロックの輝度を下げて、画像をより暗く表示させることができる。このように、ローカルディミング制御を行うことで、虚像表示装置の表示性能を向上させ、コントラストを向上させることができる。
【0039】
図3Aに示されるように、バックライト6の複数の発光部61は、格子状に配列されてよい。この格子状に配列されたマス目が、上記ブロックに相当する。発光部61は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに、所定のピッチで並んでよい。X軸方向は、水平方向又は第1方向ともいう。Y軸方向は、垂直方向又は第2方向ともいう。図3Bに示されるように、表示パネル7は複数の画素71を有する。画素71は、複数の副画素を含んでよい。画素71は、例えば、赤色、緑色、及び青色の各色を表示する3個の副画素を含んでよい。画素71に含まれる副画素の数は、3個に限られず、2個であってよいし、4個以上であってよい。複数の画素71は、格子状に配列されてよい。画素71の配列を表す格子軸は、X軸及びY軸であるものと仮定する。画素71は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに、所定のピッチで並んでよい。発光部61と画素71とは、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに、同じピッチで並んでよいし、異なるピッチで並んでよい。
【0040】
表示面7aに表示される画像Gは、移動体外の景色と重畳する虚像として、利用者5に視認される。画像Gは、例えば、移動体の状態(速度、姿勢等)及びナビゲーション情報(レーンガイダンス、ナビガイダンス、車間警告、歩行者検知等)等を示す、文字又は図形であってよい。表示面7aのうちの一部分だけが画像Gの表示部分に設定される。表示部分に対応する画素(表示画素ともいう)71aは、液晶表示素子の透過率が所定値に設定され、発光面6aから出射される光によって画像が表示される。すなわち、表示部分に対応する表示画素71aからは、発光面6aから出射され、液晶表示素子によって変調された光が、画像光として出射される。表示面7aにおける表示部分と異なる部分は、背景部分に設定され、背景部分には、実質的に何も表示されない。背景部分に対応する画素(非表示画素ともいう)71bは、発光面6aから出射される光を透過させないように、液晶表示素子の透過率が0%又は0%に近い値に設定される。
【0041】
ローカルディミング制御において、バックライト6の複数の発光部61は、表示画素71aに対応する発光部61が発光状態とされ、非表示画素71bに対応する発光部61が非発光状態とされる。仮に、光学系3が、発光面6a及び表示面7aを等倍に拡大し、虚像10Q及び虚像20Qを同じ位置に形成する場合、正面視で表示画素71aと重なる発光部61を発光状態とし、正面視で表示画素71aと重ならない発光部61を非発光状態とすることで、視認性の低下が低減された表示面虚像を利用者5に視認させることができる。しかしながら、上述のとおり、光学系3は、発光面6a及び表示面7aを互いに異なる倍率で拡大し、虚像10Q及び虚像20Qを互いに異なる位置に形成する。このため、正面視で表示画素71aと重なる発光部61を発光状態とし、正面視で表示画素71aと重ならない発光部61を非発光状態とした場合、利用者5の視野において、発光面6aの虚像10Qと表示面7aの虚像20Qとの間に視差(以下、虚像間視差ともいう)が発生し、虚像20Qの視認性が低下してしまう。
【0042】
図4は、虚像間視差によって視認性が低下した虚像20Qの一例を示す図である。図4では、図解を容易にするために、画像Gが白黒のチェッカーパターンである場合を示している。図4では、表示面7aの虚像20Qだけでなく、発光面6aの虚像10Qが示されている。図4に示された虚像20Qにおいて、白色の部分20wが表示画素71aの虚像であり、黒色の部分20bが非表示画素71bの虚像である。図4に示された虚像10Qにおいて、白色の部分10wが発光状態とされた発光部61の虚像であり、灰色の部分10gが非発光状態とされた発光部61の虚像である。図4に示されるように、虚像間視差が発生している場合、表示画素71aの虚像が非発光状態とされた発光部61の虚像に重なったり、非表示画素71bの虚像が発光状態とされた発光部61の虚像に重なったりすることがあり、その結果、虚像20Qの視認性が低下する。図4から分かるように、虚像間視差は、虚像20Q全体にわたって一様ではなく、虚像20Qの中央部で小さく、虚像20Qの周辺部で大きい。また、虚像間視差は、水平方向(図4における水平方向)と垂直方向(図4における上下方向)とで大きさが異なっている。利用者5の視線を推定することで、推定された視線の中心付近における虚像間視差を低減することが可能となる。しかしながら、虚像表示装置の処理負担を考慮すると、虚像20Q全体にわたって虚像間視差を低減することは、困難である。
【0043】
本実施形態の虚像表示装置1は、発光面6aのサイズが表示面7aのサイズよりも小さい構成である。発光面6aのサイズは、虚像10Qと虚像20Qとが同一サイズとなるように、発光面6aの拡大倍率α及び表示面7aの拡大倍率βに基づいて、表示面7aのサイズよりも小さく設定されている。制御部4は、表示面7aに表示される画像Gの画像データ、発光面6aの拡大倍率α及び表示面7aの拡大倍率βに基づいて、複数の発光部61のそれぞれを発光状態及び非発光状態のいずれかに切換える。制御部4は、例えば、図3Aに示される発光面6aが図3Bに示される表示面7aと一致するように拡大されたときに、正面視で表示画素71aと重なる発光部61aを発光状態とし、正面視で表示画素71aと重ならない発光部61bを非発光状態としてよい。これにより、虚像表示装置1は、発光面6aの虚像10Qのサイズと、表示面7aの虚像20Qのサイズとを略等しくすることができる。図5は、虚像表示装置1の利用者5が視認する虚像10Q及び虚像20Qの一例を示す図である。図5は、図4と同様に、画像Gが白黒のチェッカーパターンである場合を示している。図5中の参照符は、図4中の参照符と同様である。図5から分かるように、虚像表示装置1は、虚像20Qの全体にわたって虚像間視差を低減することができ、その結果、視認性の低下が低減された虚像20Qを利用者5に視認させることができる。
【0044】
制御部4は、例えば、表示画素71aの虚像と重なる虚像10Qの一部に対応する発光部61を発光状態とし、表示画素71aの虚像と重ならない虚像10Qの一部に対応する発光部61を非発光状態としてよい。この場合、虚像20Qの全体にわたって虚像間視差を効果的に低減することができ、その結果、視認性の低下がより低減された虚像20Qを利用者5に視認させることができる。
【0045】
次に、本開示の他の実施形態に係る虚像表示装置について説明する。本実施形態の虚像表示装置1Aは、上記実施形態の虚像表示装置1に対して、表示部2及び制御部4の構成が異なっており、その他については、同様の構成であるので、同様の構成については、詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施形態の虚像表示装置1Aは、図6,7A,7Bに示されるように、発光面6aのサイズと、表示面7aのサイズとが略等しい構成である。発光面6aは、表示面7aと同じサイズであってよいし、表示面7aよりもサイズが大きくてよい。
【0047】
制御部4は、発光面6a内の領域(発光領域ともいう)6aaを選択する。制御部4は、利用者5の視野に結像される発光領域6aaの虚像10Q’のサイズが表示面7aの虚像20Qのサイズと略同一となるように、発光領域6aaを選択する。制御部4は、バックライト6の複数の発光部61のうちの発光領域6aaに対応する一部の発光部61cを選択し、選択した発光部61cのそれぞれを発光状態及び非発光状態のいずれかに切り換えるローカルディミング制御を実行する。発光部61cは、発光領域6aaに含まれる発光部61であってよい。制御部4は、発光領域6aaに対応しない発光部61dを、表示面7aに表示される画像Gにかかわらず、常に非発光状態とする。発光部61dは、発光領域6aaに含まれない発光部61であってよい。虚像表示装置1Aは、虚像20Qの全体にわたって虚像間視差を低減することができ、その結果、視認性の低下が低減された虚像20Qを利用者5に視認させることができる。発光領域6aaは表示面7aの有効表示領域に対応する大きさである。換言すれば、表示面7aの4隅の画像を表示する場合であっても4隅の画像に光を照射可能とする発光領域6aaとなる。
【0048】
図8は、虚像間視差によって視認性が低下した虚像20Qの一例を示す図である。図8は、図7A,7Bに示したバックライト6及び表示パネル7において、仮に、正面視で表示画素71aと重なる発光部61を発光状態とし、正面視で表示画素71aと重ならない発光部61を非発光状態とした場合に、利用者5が視認する虚像20Qの一例を示している。図8は、図4と同様に、画像Gが白黒のチェッカーパターンである場合を示している。図8中の参照符20w,20bは、図4中の参照符20w,20bと同様である。図8は、アイボックス8に配置した撮像装置を用いて、虚像20Qを撮像した撮像画像を示している。アイボックス8は、利用者5の眼が存在すると想定される実空間上の領域を指す。図8から分かるように、虚像20Qの周辺部(例えば図8中のA部)において、表示画素71aの虚像が非発光状態とされた発光部61の虚像に重なり、虚像20Qの視認性が低下している。図9は、虚像表示装置1Aの利用者5が視認する虚像20Qの一例を示す図である。図9は、図8と同様に、画像Gが白黒のチェッカーパターンである場合を示している。図9中の参照符20w,20bは、図4中の参照符20w,20bと同様である。図9から分かるように、虚像表示装置1Aは、虚像20Qの全体にわたって虚像間視差を低減することができ、その結果、視認性の低下が低減された虚像20Qを利用者5に視認させることができる。図9に示される虚像20Qの歪みは、光学系3を設計変更する、又は表示面7aに表示する画像Gを変形することによって、低減可能である。
【0049】
発光領域6aaは、次のようにして選択することができる。発光面6aの拡大倍率αが水平方向においてα1であり、垂直方向においてα2であるとし、表示面7aの拡大倍率βが水平方向においてβ1であり、垂直方向においてβ2であるとする。この場合、表示面7aを水平方向にβ1/α1倍に縮小し、垂直方向にβ2/α2倍に縮小した領域を、発光領域6aaとして選択することができる。発光領域6aaは、正面視における中心(図心)が発光面6aの中心と略一致するように選択されてよい。
【0050】
倍率α1,α2,β1,β2は、例えば、虚像表示装置1Aの製造時又は設置時に、光学系3を構成する光学部材の形状、屈折率、配置位置等に基づくシミュレーションによって決定されてよい。倍率α1,α2,β1,β2は、虚像表示装置1Aの製造時又は設置時に、アイボックス(利用者5の眼が存在すると想定される実空間上の領域)に配置された撮像装置によって撮像された、虚像10Q及び虚像20Qの撮像画像に基づいて決定されてよい。ただし、虚像10Qは、図7Aに示されるバックライト6において、正面視で表示画素71aと重なる発光部61を発光状態とし、正面視で表示画素71aと重ならない発光部61を非発光状態とした場合に形成される虚像である。倍率比β1/α1は、例えば図8に示されるように、虚像10Qの所定部分の水平長さH1に対する、虚像20Qの所定部分の水平長さH2の比H2/H1であってよい。虚像10Qの所定部分と、虚像20Qの所定部分とは、表示面7a上で同一の長さを有する部分であってよい。倍率β2/α2は、虚像10Q及び虚像20Qの撮像画像に基づいて、倍率β1/α1と同様に決定されてよい。
【0051】
虚像表示装置1Aは、光学系3の仕様(例えば、表示面7aの拡大倍率β等)が変更された場合であっても、バックライト6を虚像間視差の低減のために設計変更する必要がない。虚像表示装置1Aによれば、例えば虚像10Q、20Qの撮像画像に基づいて、発光領域6aaを選択し、発光領域6aaに含まれる発光部61cを選択し、発光部61cのそれぞれをローカルディミング制御することで、視認性の低下が低減された虚像20Qを利用者5に視認させることができる。また、虚像表示装置1Aによれば、光学系3の仕様を変更するだけで、虚像20Qのサイズを変更することが可能となる。したがって、虚像表示装置1Aは、表示部2の設計変更を行うことなく、多種多様の移動体に適用することができる。
【0052】
虚像表示装置1Aは、図10に示されるように、表示面7aが発光面6aに対して傾斜している構成であってよい。これにより、図11に示されるように、視認性の低下が低減されているとともに、奥行感のある虚像20Qを利用者5に視認させることができる。図11は、画像Gが白黒のチェッカーパターンである場合を示している。図11中の参照符20w,20bは、図4中の参照符20w,20bと同様である。表示面7aが発光面6aに対して傾斜している場合、表示面7aの拡大倍率βは、垂直方向(図11における上下方向)において変化しうる。発光領域6aaは、例えば、次のようにして選択することができる。アイボックス8に配置された撮像装置によって撮像された、発光面6aの虚像10Q及び表示面7aの虚像20Qの撮像画像に基づいて、倍率α1,α2,β2、及び、垂直方向において変化する倍率β1を算出する。算出した倍率α1,α2,β1,β2に基づいて、表示面7aを水平方向にβ1/α1倍に縮小し、垂直方向にβ2/α2倍に縮小することで、発光領域6aaを選択することができる。
【0053】
図12に示されるように、虚像表示装置1,1Aは、移動体100に搭載されてよい。虚像表示装置1,1Aが移動体100に搭載される場合、虚像表示装置1,1Aの構成の一部は、移動体100が備える他の装置、部品と兼用されてよい。例えば、移動体100のウインドシールド12は、虚像表示装置1,1Aの構成の一部として兼用されてよい。例えば図1に示されている第2反射部3bは、移動体100のウインドシールド12によって置き換えられてよい。虚像表示装置1,1Aの位置は、移動体100の内部及び外部において任意である。例えば、虚像表示装置1,1Aは、移動体100のダッシュボード内に位置してよい。
【0054】
虚像表示装置1,1Aは、利用者5の眼の位置を検出する検出装置11をさらに含んでよい。検出装置11は、利用者5の眼の位置を検出するように構成される。検出装置11は、検出した眼の位置に関する情報を制御部4に出力するように構成される。検出した眼の位置に関する情報は、眼位置情報とも称される。制御部4は、検出装置11が検出した利用者5の眼の位置に基づいて、複数の発光部61のそれぞれの発光、非発光を制御するように構成されてよい。虚像表示装置1,1Aが移動体100に搭載される場合、検出装置11の位置は、移動体100の内部及び外部において任意である。例えば、検出装置11は、移動体100のダッシュボード内に位置しうる。検出装置11は、例えば有線、無線、及びCAN(Controller Area Network)等を介して利用者5の眼の位置に関する情報を制御部4へ出力してよい。
【0055】
検出装置11は、撮像装置を含んで構成されてよい。撮像装置は、例えばCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含んでよい。撮像装置は、利用者5の顔を撮像可能に構成されてよい。撮像装置の撮像範囲は、アイボックスを含む。アイボックスは、例えば利用者5の体格、姿勢、及び姿勢の変化等を考慮して、利用者5の眼が存在すると想定される実空間上の領域である。利用者5は、例えば移動体100の運転者等を含んでよい。検出装置11は、撮像装置によって生成された撮像画像に基づいて、実空間における利用者5の両眼の位置を検出するように構成されてよい。
【0056】
検出装置11は、例えば、センサを含んでよい。センサは、超音波センサ又は光センサ等であってよい。検出装置11は、センサによって利用者5の頭部の位置を検出し、頭部の位置に基づいて、利用者5の眼の位置を検出するように構成されてよい。検出装置11は、2つ以上のセンサによって、利用者5の眼の位置を三次元空間の座標として検出するように構成してよい。
【0057】
表示部2は、利用者5に立体画像を視認させるための光学素子を含んで構成されてよい。光学素子は、利用者5の眼に到達する画像光の光路に沿って、バックライト6と表示パネル7との間に位置してよい。光学素子は、利用者5の眼に到達する画像光の光路に沿って、表示パネル7と光学系3との間に位置してよい。表示パネル7は、左眼画像と、左眼画像に対して視差を有する右眼画像とを表示面7aに表示するように構成されてよい。光学素子は、表示面7aから出射される画像光を、左眼画像を示す左眼画像光と右眼画像を示す右眼画像光とに分離するように構成されてよい。これにより、虚像表示装置1,1Aは、利用者5に視認性の低下が低減された立体画像を視認させることが可能となる。光学素子は、パララックスバリアで構成されてよいし、レンチキュラレンズで構成されてよい。パララックスバリアは、液晶パネルを含んで構成されてよい。
【0058】
以下、本開示の一実施形態に係る虚像表示装置の駆動方法について説明する。本実施形態の駆動方法は、バックライト6のローカルディミング制御に関する。図13は、本開示の一実施形態に係る虚像表示装置の駆動方法を説明するフローチャートであり、図14~28は、本実施形態の駆動方法を説明するための図及びグラフである。以下では、虚像表示装置1A(図6,10参照)の駆動方法について説明する。また、表示面7aに表示される画像は、基本的に、白黒のチェッカーパターンであるとするが、理解を容易にするために、図16,20,21では、表示面7aに白黒チェッカーパターンと異なる画像が表示されるものとする。
【0059】
(第1例)
先ず、本実施形態の駆動方法の第1例について説明する。図13のフローチャートは、制御部4によって実行される。制御部4は、図13のフローチャートが終了すると、〔S1〕に戻り、〔S1〕~〔S8〕を繰り返し実行する。
【0060】
制御部4は、〔S1〕において、表示面7aに表示される動画の動画データを外部から取得してよい。動画は、例えば30~120fps(frames per second)の動画であってよい。制御部4は、取得した動画データに基づいて、図14に示すようなフレーム毎の画像(第1画像G1ともいう)を生成してよい。
【0061】
〔S2〕において、制御部4は、表示面7aの像の拡大倍率(第1拡大倍率M1ともいう)及び発光面6aの像の拡大倍率(第2拡大倍率M2ともいう)に基づいて、第1画像G1を変形してなる第2画像G2を生成する。本例では、制御部4は、第1画像G1を所定の拡大倍率で水平方向(図14における左右方向)及び垂直方向(図14における上下方向)に拡大し、図15に示すような第2画像G2を生成する。所定の拡大倍率は、第2拡大倍率M2を第1拡大倍率M1で除算した値であり、虚像表示装置1Aにおいては、1より大きい値となる。
【0062】
〔S3〕において、制御部4は、図16に示すように、第1画像G1を複数のローカルディミング領域72に分割する。ローカルディミング領域72の数は、発光部61の数と同じであってよいし、異なっていてもよい。複数のローカルディミング領域72はそれぞれ、所定数の画素を含む矩形状の領域であってよい。複数のローカルディミング領域72はそれぞれ、該ローカルディミング領域72に対応する発光部61によって実質的に照射される。複数のローカルディミング領域72はそれぞれ、該ローカルディミング領域72の直下に位置する発光部61によって実質的に照射される。
【0063】
〔S4〕において、制御部4は、各ローカルディミング領域72について、階調ヒストグラムを生成する。階調ヒストグラムは、図17,18に示すように、縦軸を画素数とし、横軸を階調値としたヒストグラムである。階調値は、各ローカルディミング領域72の複数の画素毎に、画素の色調成分R,G,Bから算出される。階調値は、例えば、各画素の色調成分R,G,Bを重ね合せた値であってよい。言い換えると、階調値は、cr,cg,cbを所定の係数としたとき、cr×R+cg×G+cb×Bで表されてよい。係数cr,cg,cbは、cr+cg+cb=1を満たしてよい。図17,18は、階調値を0~255の範囲の整数で表した場合の階調ヒストグラムを示している。
【0064】
制御部4は、図17に示すように、階調値が閾値TH以下である画素数が全画素数(ローカルディミング領域の全画素数)のN%以上であるローカルディミング領域72を、背景領域72aと判定する。また、制御部4は、図18に示すように、階調値が閾値TH以下である画素数が全画素数のN%未満であるローカルディミング領域を、表示領域72bと判定する。閾値THは、階調値を0~255の範囲の整数で表す場合、例えば0~68の範囲の整数であってよい。Nは、例えば50~90の範囲の数であってよい。
【0065】
閾値THは、利用者5の視野の背景輝度(すなわち、移動体100の前景輝度)に基づいて決定されてよい。言い換えると、閾値THは、移動体100の周囲環境に基づいて決定されてよい。周囲環境は、時刻、移動体100の周囲の天候、路面状況等であってよい。例えば、周囲環境が夜間であり、利用者5の背景輝度が5(cd/m)である場合、利用者5に鮮明な虚像(白色虚像)を視認させるためには、表示面7aに表示する画像(白色画像)は350(cd/m)の表示輝度を有する必要があり、このとき、背景コントラストは、71となる。背景コントラストは、背景輝度をa(cd/m)とし、表示輝度をb(cd/m)としたとき、(a+b)/aで表され、背景コントラストが1.0になると、利用者5が虚像(白色)を視認しにくくなる。これらのことから、背景コントラストが1.0となる表示輝度bを、γ補正(γ=2.2)を考慮して、階調値に換算した値を階調値THMAXとしたとき、閾値THを0~THMAXの範囲の値に設定することで、背景領域72aを適切に判定することができる。表1に示すように、周囲環境が夜間であり、利用者5の背景輝度が5(cd/m)である場合には、閾値THを0~9の範囲の値に設定してよい。また、周囲環境が薄暮であり、利用者5の背景輝度が50(cd/m)である場合には、閾値THを0~17の範囲の値に設定してよく、周囲環境が雪壁または順光であり、利用者5の背景輝度が11,000(cd/m)である場合には、閾値THを0~68の範囲の値に設定してもよい。
【0066】
【表1】
【0067】
制御部4は、図19に示すように、正面視において(すなわち、第1画像G1と発光面6aとをバックライト6からの光の出射方向に重ねて見たときに)、表示領域に少なくとも一部が含まれる発光部61を発光状態とする発光部61ONとし、背景領域に完全に含まれる発光部61を非発光状態とする発光部61OFFとする。
【0068】
〔S5〕において、制御部4は、利用者5の視野の背景輝度を取得し、取得した背景輝度に基づいて、発光部61ONの発光輝度を設定する。制御部4は、背景輝度が高いほど、発光部61ONの発光輝度(すなわち、発光部61ONに供給する駆動電流値)を高く設定する。これにより、利用者5に鮮明な虚像20Qを視認させることができる。
【0069】
虚像表示装置1Aは、利用者5の視野の背景輝度を測定し、背景輝度を制御部4に出力する輝度計を備えてよい。移動体100がその前景輝度を測定する輝度計を備えている場合、制御部4は、移動体100の輝度計から前景輝度を取得し、取得した前景輝度を利用者5の視野の背景輝度としてよい。
【0070】
制御部4は、背景輝度の他に、移動体100の周囲環境にさらに基づいて、発光部61ONの発光輝度を設定してよい。例えば、表2に示すように、周囲環境が夜間のアスファルト道路であり、背景輝度が5(cd/m)である場合、鮮明な虚像(白色虚像)を利用者に視認させるためには、バックライト6の発光輝度を54,000(cd/m)に設定し、表示面7aに表示する画像(白色画像)の輝度を350(cd/m)としてよい。したがって、制御部4は、バックライト6の発光輝度が54,000(cd/m)となるように、発光部61ONの発光輝度を設定してよい。また、表2に示すように、周囲環境が夜間の雪道であり、利用者5の背景輝度が50(cd/m)である場合には、バックライト6の発光輝度が140,000(cd/m)になるように発光部61ONの発光輝度を設定し、表示面7aに表示する画像(白色画像)の輝度を900(cd/m)としてよい。その他の背景輝度及び周囲環境についても、表2に示す通りである。制御部4は、背景輝度及び周囲環境に応じた、バックライト6に設定すべき発光輝度を記憶したデータベースを有してよい。制御部4は、背景輝度及び周囲環境に応じて、データベースからバックライト6に設定すべき発光輝度を読み出し、読み出した発光輝度に基づいて、発光部61ONの発光輝度を設定してよい。
【0071】
【表2】
【0072】
〔S6〕において、制御部4は、各発光部61OFF図20参照)について、発光部61ONに隣接する発光部61OFFであるか否かを判定する。図21に示すように、制御部4は、発光部61ONに隣接する発光部61OFFでないと判定された発光部61OFFについては、非発光状態とする発光部61OFFのままとし、発光部61ONに隣接する発光部61OFFであると判定された発光部61OFFについては、発光状態とする発光部61OFF(周辺発光部61PERIともいう)としてよい。制御部4は、後述の〔S8〕において、周辺発光部61PERIを所定の発光輝度で発光させる。周辺発光部61PERIを検出し、周辺発光部61PERIを発光させることで、表示領域72bに表示される文字、図形等の輪郭がぼやける(不鮮明になる)虞を低減することが可能となる。また、利用者5の眼の位置がアイボックス8内で移動した場合に、利用者5が視認する虚像20Qの輝度低下を低減することができるため、利用者5に鮮明な虚像20Qを視認させることが可能となる。周辺発光部61PERIの発光輝度は、発光部61ONの発光輝度と同じ発光輝度であってよいし、発光部61ONの発光輝度の20~80%程度、30~70%程度、又は40~60%程度の発光輝度であってもよい。
【0073】
〔S7〕において、制御部4は、第2画像G2の画像データに、各発光部61に対する制御内容を示すバックライト制御コードを付加した画像データを生成する。
【0074】
〔S8〕において、制御部4は、表示パネル7が、バックライト制御コード付きの画像データに基づいて、表示面7aに第2画像G2を表示し、バックライト6が、バックライト制御コード付きの画像データに基づいて、発光部61ON及び周辺発光部61PERIを発光させるよう制御する。これにより、図22に示すように、利用者5にコントラストが向上した虚像20Qを視認させることが可能となる。
【0075】
上述の説明では、第1画像G1と、発光面6aにおける発光部61の配列とに基づいて、〔S3〕~〔S6〕の処理を行う例について説明したが、〔S3〕~〔S6〕の処理は、第2画像G2と、第2拡大倍率M2で拡大した発光面6aにおける発光部61の配列とに基づいて行ってもよい。
【0076】
(第2例)
次に、本実施形態の駆動方法の第2例について説明する。以下では、第1例における各処理と同様の処理については、詳細な説明を省略する。
【0077】
制御部4は、〔S1〕において、表示面7aに表示される動画の動画データを外部から取得してよい。制御部4は、取得した動画データに基づいて、図14に示すようなフレーム毎の第1画像G1を生成してよい。
【0078】
〔S2〕において、制御部4は、第1拡大倍率M1及び第2拡大倍率M2に基づいて、第1画像G1を変形してなる第2画像G2を生成する。本例では、制御部4は、第1画像G1を所定の縮小率で水平方向及び垂直方向に縮小し、図23に示すような第2画像G2を生成する。所定の縮小率は、第1拡大倍率M1を第2拡大倍率M2で除算した値であり、虚像表示装置1Aにおいては、1より小さい値となる。
【0079】
〔S3〕において、制御部4は、図16に示すように、第2画像G2を複数のローカルディミング領域72に分割する。
【0080】
〔S4〕において、制御部4は、各ローカルディミング領域72について、階調ヒストグラムを作成し、階調値が閾値TH以下である画素数が全画素数のN%以上であるローカルディミング領域72を、背景領域72aと判定し、階調値が閾値TH以下である画素数が全画素数のN%未満であるローカルディミング領域72を、表示領域72bと判定する。
【0081】
制御部4は、図24に示すように、正面視において、表示領域72bに少なくとも一部が含まれる発光部61を発光状態とする発光部61ONと判定し、背景領域に完全に含まれる発光部61を非発光状態とする発光部61OFFと判定する。
【0082】
〔S5〕において、制御部4は、利用者5の視野内の背景輝度を取得し、取得した背景輝度に基づいて、発光部61ONの発光輝度を設定する。
【0083】
〔S6〕において、制御部4は、各発光部61OFFについて、発光部61ONに隣接する発光部61OFFであるか否かを判定する。制御部4は、発光部61ONに隣接する発光部61OFFでないと判定された発光部61OFFについては、非発光状態とする発光部61OFFのままとし、発光部61ONに隣接する発光部61OFFであると判定された発光部61OFFについては、周辺発光部61PERIとしてよい。
【0084】
〔S7〕において、制御部4は、第1画像G1の画像データに、各発光部61に対する制御内容を示すバックライト制御コードを付加した画像データを生成する。
【0085】
〔S8〕において、制御部4は、表示パネル7が、バックライト制御コード付きの画像データに基づいて、表示面7aに第1画像G1を表示し、バックライト6が、バックライト制御コード付きの画像データに基づいて、発光部61ON及び周辺発光部61PERIを発光させるよう制御する。これにより、図25に示すように、利用者5にコントラストが向上した虚像20Qを視認させることが可能となる。
【0086】
(第3例)
次に、本実施形態の駆動方法の第3例について説明する。以下では、第1例及び第2例の各処理と同様の処理については、詳細な説明を省略する。本例の駆動方法によれば、表示面7aが発光面6aに対して傾斜している場合(図10参照)であっても、利用者5にコントラストが向上し、且つ奥行感のある虚像20Qを視認させることが可能となる。虚像表示装置1Aは、表示面7aの発光面6aに対する傾斜角度θが、例えば10°~45°であってよい。傾斜角度θは、表示面7aの法線と発光面6aの法線とがなす角度である。
【0087】
制御部4は、〔S1〕において、表示面7aに表示される動画の動画データを外部から取得してよい。制御部4は、取得した動画データに基づいて、図14に示すようなフレーム毎の第1画像G1を生成してよい。
【0088】
〔S2〕において、制御部4は、第1拡大倍率M1及び第2拡大倍率M2に基づいて、第1画像G1を変形してなる第2画像G2(図26参照)を生成する。本例では、制御部4は、第1拡大倍率M1及び第2拡大倍率M2に基づいて、第1画像G1を垂直方向において縮小する。制御部4は、表示面7aの発光面6aに対する傾斜角度θに基づいて、第1画像Gを垂直方向において(cosθ)倍に縮小してもよい。さらに、制御部4は、第1拡大倍率M1及び第2拡大倍率M2に基づいて、第1画像G1を水平方向において所定の比率で変形する。所定の比率は、第1画像G1の垂直方向において変化しうる。所定の比率は、第1画像G1を垂直方向における位置が互いに異なる複数の領域g1,g2,g3に仮想的に分割したとき、領域g1,g2,g3毎に表示面7aの水平方向における拡大倍率を発光面6aの水平方向における拡大倍率で除算した値である。なお、複数の領域g1,g2,g3の数(第1画像G1の分割数)は、任意であり、例えば第1画像G1の画素行の数と同じであってよい。
【0089】
〔S3〕において、制御部4は、図16に示すように、第2画像G2を複数のローカルディミング領域72に分割する。
【0090】
〔S4〕において、制御部4は、各ローカルディミング領域72について、階調ヒストグラムを作成し、階調値が閾値TH以下である画素数が全画素数のN%以上であるローカルディミング領域72、背景領域72aと判定し、階調値が閾値TH以下である画素数が全画素数のN%未満であるローカルディミング領域72を、表示領域72bと判定する。
【0091】
制御部4は、図27に示すように、正面視において、表示領域72bに少なくとも一部が含まれる発光部61を発光状態とする発光部61ONとし、背景領域72aに完全に含まれる発光部61を非発光状態とする発光部61OFFとする。
【0092】
〔S5〕において、制御部4は、利用者5の視野内の背景輝度を取得し、取得した背景輝度に基づいて、発光部61ONの発光輝度を設定する。
【0093】
〔S6〕において、制御部4は、各発光部61OFFについて、発光部61ONに隣接する発光部61OFFであるか否かを判定する。制御部4は、発光部61ONに隣接する発光部61OFFでないと判定された発光部61OFFについては、非発光状態とする発光部61OFFのままとし、発光部61ONに隣接する発光部61OFFであると判定された発光部61OFFについては、周辺発光部61PERIとしてよい。
【0094】
〔S7〕において、制御部4は、第1画像G1の画像データに、各発光部61に対する制御内容を示すバックライト制御コードを付加した画像データを生成する。
【0095】
〔S8〕において、制御部4は、表示パネル7が、バックライト制御コード付きの画像データに基づいて、表示面7aに第1画像G1を表示し、バックライト6が、バックライト制御コード付きの画像データに基づいて、発光部61ON及び周辺発光部61PERIを発光させるよう制御する。これにより、図28に示すように、利用者5にコントラストが向上し、且つ奥行感のある虚像20Qを視認させることが可能となる。
【0096】
虚像表示装置1Aの制御部4は、本開示の虚像表示装置の駆動方法における各処理を実行するように構成されてよい。また、本開示の虚像表示装置の駆動方法における各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてよい。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されていてよい。コンピュータ可読媒体は、例えば磁気記憶媒体、光学記憶媒体、光磁気記憶媒体、半導体記憶媒体等であってよい。
【0097】
本開示における「移動体」には、車両、船舶、航空機を含む。本開示における「車両」には、自動車及び産業車両を含むが、これに限られず、鉄道車両及び生活車両、滑走路を走行する固定翼機を含めてよい。自動車は、乗用車、トラック、バス、二輪車、及びトロリーバス等を含むがこれに限られず、道路上を走行する他の車両を含んでよい。産業車両は、農業及び建設向けの産業車両を含む。産業車両には、フォークリフト、及びゴルフカートを含むがこれに限られない。農業向けの産業車両には、トラクター、耕耘機、移植機、バインダー、コンバイン、及び芝刈り機を含むが、これに限られない。建設向けの産業車両には、ブルドーザー、スクレーパー、ショベルカー、クレーン車、ダンプカー、及びロードローラを含むが、これに限られない。車両は、人力で走行するものを含む。なお、車両の分類は、上述に限られない。例えば、自動車には、道路を走行可能な産業車両を含んでよく、複数の分類に同じ車両が含まれてよい。本開示における船舶には、マリンジェット、ボート、タンカーを含む。本開示における航空機には、固定翼機、回転翼機を含む。
【0098】
本開示によれば、表示虚像と光源虚像との間の視差を表示虚像全体にわたって低減することができ、表示虚像の視認性の低下を低減することができる。
【0099】
本開示に係る構成は、以上説明してきた実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形又は変更が可能である。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0100】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1反射部は、第2反射部と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【0101】
本開示において、X軸、Y軸、及びZ軸は、説明の便宜上設けられたものであり、互いに入れ替えられてよい。本開示に係る構成は、X軸、Y軸、及びZ軸によって構成される直交座標系を用いて説明されてきた。本開示に係る各構成の位置関係は、直交関係にあると限定されるものではない。
【0102】
本開示の虚像表示装置、移動体、虚像表示装置の駆動方法、及びプログラムは、以下の構成(1)~(19)で実施可能である。
【0103】
(1)複数の発光部と、前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
前記表示パネルに表示される画像に応じて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するバックライト制御部と、を備え、
前記発光面のサイズは、前記表示面のサイズよりも小さく構成されている、虚像表示装置。
【0104】
(2)複数の発光部と、前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
バックライト制御部と、を備え、
前記バックライト制御部は、
前記発光面内の領域であって、前記利用者の視野に前記領域の像が前記表示面の像と同一サイズの虚像として結像される領域を選択し、
前記複数の発光部のうち、前記選択された領域に対応する一部の発光部を、前記表示面に表示される画像に応じて発光状態および非発光状態のいずれかに切換えてローカルディミング制御する、虚像表示装置。
【0105】
(3)前記光学系は複数の反射部を有し、
前記複数の反射部のうち第1反射部は、前記表示面の像および前記発光面の像を他の反射部である第2反射部に向けて反射させ、
前記第2反射部は、前記表示面の像および前記発光面の像を、前記利用者の視野に向けて反射させる、上記構成(1)または(2)に記載の虚像表示装置。
【0106】
(4)前記表示面は、前記発光面に対して傾斜して配設されている、上記構成(1)~(3)のいずれかに記載の虚像表示装置。
【0107】
(5)上記構成(3)に記載の虚像表示装置と、
前記第1反射部によって反射された前記画像光を前記利用者の眼に向けて反射させるウインドシールドと、を備える移動体。
【0108】
(6)複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成し、前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するバックライト制御部と、を備える虚像表示装置。
【0109】
(7)複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、
前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、
前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成し、前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するバックライト制御部と、を備える虚像表示装置。
【0110】
(8)複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置の駆動方法であって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成することと、
前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御することと、を含む虚像表示装置の駆動方法。
【0111】
(9)前記ローカルディミング制御することは、
前記第2画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、上記構成(8)に記載の虚像表示装置の駆動方法。
【0112】
(10)複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置の駆動方法であって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成することと、
前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御することと、を含む虚像表示装置の駆動方法。
【0113】
(11)前記ローカルディミング制御することは、
前記第1画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、上記構成(10)に記載の虚像表示装置の駆動方法。
【0114】
(12)前記ローカルディミング制御することは、
利用者の視野の背景輝度に基づいて、発光状態に設定された発光部の発光輝度を設定すること、を含む、上記構成(8)~(11)のいずれかに記載の虚像表示装置の駆動方法。
【0115】
(13)前記ローカルディミング制御することは、
非発光状態に設定された発光部のうち発光状態に設定された発光部に隣接する発光部を発光状態に切換えること、を含む、上記構成(8)~(12)のいずれかに記載の虚像表示装置の駆動方法。
【0116】
(14)複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置が実行するプログラムであって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、前記表示パネルに表示する第1画像を変形して、第2画像を生成し、
前記第2画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するためのプログラム。
【0117】
(15)前記ローカルディミング制御することは、
前記第2画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、上記構成(14)に記載のプログラム。
【0118】
(16)複数の発光部と前記複数の発光部からの光を出射可能な発光面とを有するバックライトと、前記発光面から出射される光によって画像を表示する表示面を有する表示パネルと、前記表示面の像および前記発光面の像を異なる倍率で拡大し、利用者の視野に虚像として結像させる光学系と、を備える虚像表示装置が実行するプログラムであって、
前記光学系による前記表示面の像および前記発光面の像の拡大倍率に基づいて、第1画像を変形して、前記表示パネルに表示する第2画像を生成し、
前記第1画像に基づいて、前記複数の発光部を発光状態および非発光状態のいずれかに切換えて、ローカルディミング制御するためのプログラム。
【0119】
(17)前記ローカルディミング制御することは、
前記第1画像を複数のローカルディミング領域に分割し、前記ローカルディミング領域毎の階調ヒストグラムを生成することと、
前記階調ヒストグラムに基づいて、前記複数の発光部のそれぞれを、発光状態および非発光状態のいずれかに設定することと、を含む、上記構成(16)に記載のプログラム。
【0120】
(18)前記ローカルディミング制御することは、
利用者の視野の背景輝度に基づいて、発光状態に設定された発光部の発光輝度を設定すること、を含む、上記構成(14)~(17)のいずれかに記載のプログラム。
【0121】
(19)前記ローカルディミング制御することは、
非発光状態に設定された発光部のうち発光状態に設定された発光部に隣接する発光部を発光状態に切換えること、を含む、上記構成(14)~(18)に記載のプログラム。
【符号の説明】
【0122】
1,1A 虚像表示装置
2 表示部
3 光学系
3a 第1光学部材(第1反射部)
3b 第2光学部材(第2反射部)
4 バックライト制御部(制御部)
5 利用者
6 バックライト
6a 発光面
6aa 領域(発光領域)
61,61a,61b,61c,61d,61ON,61OFF,61PERI 発光部
62 基体
62a 主面
63 拡散板
7 表示パネル
7a 表示面
71 画素
71a 画素(表示画素)
71b 画素(非表示画素)
72 ローカルディミング領域
72a 背景領域
72b 表示領域
8 アイボックス
10Q,10Q’,20Q 虚像
10g 灰色の部分
10w 白色の部分
20b 黒色の部分
20w 白色の部分
11 検出装置
12 ウインドシールド
100 移動体
図1
図2
図3A
図3B
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図7A
図7B
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