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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011987
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】材料試験機
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/06 20060101AFI20240118BHJP
【FI】
G01N3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022114382
(22)【出願日】2022-07-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 昴
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA01
2G061AB01
2G061CC11
2G061CC14
2G061CC16
2G061CC18
2G061DA19
2G061EA02
2G061EB02
(57)【要約】
【課題】標線間距離設定部材の取り付けミスを発見・抑止し易くできる材料試験機を提供する。
【解決手段】材料試験機(1)は、試験片(T)の標線間距離(λ1、λ2)に応じて長さが異なる複数の標線間距離設定部材(96、97、78)を備える材料試験機において、前記複数の標線間距離設定部材(96、97、78)の装着部(151、152、153)を含む収納体(150)を備え、前記装着部(151、152、153)に前記標線間距離設定部材(96、97、78)の誤装着を防止する防止機構を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片の標線間距離に応じて長さが異なる複数の標線間距離設定部材を備える材料試験機において、
前記複数の標線間距離設定部材の装着部を含む収納体を備え、
前記装着部に前記標線間距離設定部材の誤装着を防止する防止機構を備えた
材料試験機。
【請求項2】
前記装着部に前記標線間距離設定部材の検知センサーを設けた
請求項1に記載の材料試験機。
【請求項3】
前記検知センサーからの信号に基づいて前記標線間距離設定部材が使用されているか否かを判別する制御部を備えた
請求項2に記載の材料試験機。
【請求項4】
前記標線間距離設定部材は前記試験片を把持する一対の掴み具間距離に応じて長さが異なるアジャスターを含む
請求項1から3のいずれかに記載の材料試験機。
【請求項5】
前記標線間距離設定部材に異形部が形成される
請求項1から3のいずれかに記載の材料試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料試験機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料試験において伸び計を用いた試験が行われており、伸び計は標線距離の設定が必要な場合があった(特許文献1)。また伸び計に限らず、試験片の標線間距離に応じて長さが異なる、複数の標線間距離設定部材による標線間距離の設定を用いる材料試験機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-238286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、試験片の長さが変わるたびに、手作業により、標線間距離設定部材を別の標線間距離設定部材に組み換える。
この場合に、従来では、利用者が各人各様で標線間距離設定部材を収納、管理しているため、組み換えにあたって、標線間距離設定部材の選び間違いや交換忘れなど、取り付けミスの生じる恐れがある。また取り付けミスに気づけず、そのまま試験を実行してしまう恐れがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、標線間距離設定部材の取り付けミスを発見・抑止し易くできる材料試験機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、試験片の標線間距離に応じて長さが異なる複数の標線間距離設定部材を備える材料試験機において、前記複数の標線間距離設定部材の装着部を含む収納体を備え、前記装着部に前記標線間距離設定部材の誤装着を防止する防止機構を備えた材料試験機である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の態様によれば、誤装着を防止する防止機構により、所定の標線間距離設定部材は、所定の装着部に収納されるため、標線間距離設定部材の選び間違いを抑制し易くできる。また、装着部に標線間距離設定部材が装着されているか否かにより、材料試験機で使用されている標線間距離設定部材を認識し易くできる。したがって、標線間距離設定部材の取り付けミスを発見・抑止し易くできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る材料試験機の図である。
図2】伸び測定装置と試験装置の要部を示す側面図である。
図3】伸び測定装置と試験装置の要部を示す斜視図である。
図4】第一の標線間距離の試験を行う場合の伸び測定装置と試験装置の要部を示す側面図である。
図5】第二の標線間距離の試験を行う場合の伸び測定装置と試験装置の要部を示す側面図である。
図6】標線間距離設定部材の収納体の斜視図である。
図7】収納プレートを収納プレートの正面から見た図である。
図8】収納プレートを側方から見た図である。
図9】制御装置の開始判別処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0009】
[1.実施形態]
図1は、実施形態に係る材料試験機1の図である。
本実施形態の材料試験機1は、試験片Tに対して試験力としての試験荷重を付与することにより、試験片Tの引張力及び伸びを測定する。
【0010】
材料試験機1は、試験片供給装置10と、試験装置30と、試験片回収装置50と、伸び測定装置70と、制御装置200と、を備える。
【0011】
試験片供給装置10は、パレット11に試験片Tを収容した状態で収納する試験片収納装置12と、試験片Tの測寸を行う測寸装置14と、試験片収納装置12からパレット11が搬送される搬送台13と、搬送台13に供給されたパレット11から試験片Tを試験装置30に搬送する搬送装置20と、を備える。
【0012】
試験片収納装置12は、試験片Tが収められた複数のパレット11を、例えば、上下に重ねて収納する。
【0013】
試験装置30は、試験片供給装置10から供給された試験片Tに試験荷重を付与して試験片Tを試験する。
ここで、本実施形態では、図1に示す試験装置30を基準にして、上下方向TD、幅方向SD、および前後方向FDを使用する。なお、幅方向SDは、左右方向ともいう。
【0014】
試験装置30は、台座31を有する。台座31の上部にはテーブル32が設けられている。テーブル32には、鉛直方向上方に延びる支柱33が立設されている。支柱33は、試験装置30の幅方向(図1の左右方向)SDに一対設けられている。支柱33の上部には、一対の支柱33の間に延びるクロスヨーク34が架け渡されている。支柱33の内部には、図示しないねじ棒が設けられている。ねじ棒はボールネジで構成されている。ねじ棒には、クロスヘッド35の両端が図示しないナットを介して連結されている。クロスヘッド35は、ねじ棒の回転によりテーブル32に対して昇降する。なお、ねじ棒は、図示しないモータにより回転駆動される。
【0015】
クロスヘッド35には、ロードセル36が設置されている。ロードセル36には、継手37が取り付けられる。継手37は、下方に延びている。継手37の下端には、上掴み具38が接続されている。上掴み具38には、不図示のシリンダ装置が配置されている。不図示のシリンダ装置が作動することにより、上掴み具38は幅方向SDに開閉される。上掴み具38には、起立された状態の試験片Tの上側の端部が掴まれる。試験片Tは、上掴み具38の掴み中心L上に配置される。
【0016】
上掴み具38の下方には、下掴み具39が配置される。下掴み具39は、接手40を介してテーブル32の上面に固定される。下掴み具39は、上掴み具38に対して上下対称に構成されること以外は、上掴み具38と同様に構成される。下掴み具39には、起立された状態の試験片Tの下側の端部が掴まれる。試験片Tは、下掴み具39の掴み中心L上に配置される。
【0017】
上掴み具38及び下掴み具39によって試験片Tが掴まれた状態で、上掴み具38がクロスヘッド35と共に昇降する。これにより、上掴み具38と下掴み具39との間に掴まれた試験片Tには、試験力が付与される。この際に、ロードセル36は、継手37を介して、上掴み具38が付与する試験力を計測する。ロードセル36の計測信号は制御装置200に入力される。
【0018】
上掴み具38及び下掴み具39の右側には、試験片回収装置50が配置されている。試験片回収装置50は、試験装置30から試験片Tを回収する。
試験片回収装置50は、上掴み具38に対応して設けられた上部回収装置51と、下掴み具39に対応して設けられた下部回収装置61とを備える。上部回収装置51は、クロスヘッド35に固定されており、クロスヘッド35と共に昇降可能である。下部回収装置61は、テーブル32の上面に固定されている。
【0019】
図2は、伸び測定装置70と試験装置30の要部を示す側面図である。
材料試験機1は、試験装置30により試験力が付与される際に試験片Tの伸びを計測する伸び測定装置70を備える。本実施形態の伸び測定装置70は、試験片Tにアーム80、90が接触して伸びを計測する接触式伸び計である。
伸び測定装置70は、クロスヘッド35の後方(図1の紙面裏側)に配置される。伸び測定装置70は、例えば、試験装置30のテーブル32の上面に固定される。伸び測定装置70は、上下方向に延びる外装フレーム71を備える。外装フレーム71の前方には、ガイドロッド72が支持される。ガイドロッド72は、試験装置30の支柱33(図1参照)に沿って延びる。ガイドロッド72には、上アーム80と下アーム90とが摺動可能に支持される。上アーム80と下アーム90とは、試験装置30の上掴み具38と下掴み具39との間に配置される。
【0020】
外装フレーム71の上端部内部には、アーム80、90のそれぞれに対応して、一対のプーリー73A、73Bが回転可能に支持される。各プーリー73A、73Bには、連結部材の一例としてのベルト75A、75Bが上方から巻き掛けられている。ベルト75A、75Bの一端は、アーム80、90に連結される。ベルト75A、75Bの他端には、バランスウエイト76A、76Bが吊り下げられる。バランスウエイト76A、76Bは、対応するアーム80、90の重さに対応する重さに設定される。バランスウエイト76A、76Bは、ベルト75A、75Bを介しアーム80、90の重さを打ち消す力をアーム80、90に作用させる。これにより、アーム80、90は、上下方向の外力が作用すると、その外力に応じてガイドロッド72に沿って上下方向に移動する。
【0021】
各プーリー73A、73Bには、ロータリーエンコーダー74A、74Bが接続される。ロータリーエンコーダー74A、74Bは、プーリー73A、73Bの回転量を検出する。ここで、アーム80、90が上下方向に移動する場合には、ベルト75A、75Bを介してプーリー73A、73Bが回転する。よって、プーリー73A、73Bの回転量がロータリーエンコーダー74A、74Bにより計測され制御装置200に入力されることにより、制御装置200では、プーリー73A、73Bの回転量に基づいて、アーム80、90の移動量が計測可能になっている。
【0022】
図3は、伸び測定装置70と試験装置30の要部を示す斜視図である。
上アーム80は、ガイドロッド72に摺動自在に支持される摺動部81を有する。摺動部81は、例えば、リニアブッシュを介してガイドロッド72に支持される。摺動部81には、前方に延びる一対の挟持部材82が支持される。挟持部材82は、アクチュエータ85により開閉可能に構成される。挟持部材82が閉じられることで、上アーム80が試験片Tを挟持して試験片Tに固定される。
本実施形態では、上アーム80には、板状の押圧受部86(図2参照)が形成される。
【0023】
下アーム90は、上アーム80と略上下対称に構成される。下アーム90は、上アーム80の部材81、82、85に対応する部材91、92、95を有する。
また、下アーム90には、台座部92Aが形成されている。台座部92Aには、下方に凹んで雌ねじが形成された孔(不図示)が形成される。台座部92Aには、「標線間設定距離部材」の一例としての上下方向に延びる標線棒96、97(図4図5参照)が着脱可能に支持される。標線棒96、97は、試験片Tの標線間距離λ1、λ2(図4図5参照)に応じる長さを有する。標線棒96、97の端部には、ねじ部96B、97B(図6参照)が形成されている。標線棒96、97は台座部92Aにねじ部96B、97Bがねじ止めされて固定される。台座部92Aに固定された標線棒96、97の上面に上アーム80が当接することにより、上アーム80と下アーム90との間が標線間距離λ1、λ2に設定される。
【0024】
第一の標線間距離λ1は、第二の標線間距離λ2よりも長い。本実施形態では、一例として、第一の標線間距離λ1は25mmに設定される。また、第二の標線間距離λ2は、一例として、20mmに設定される。
【0025】
ガイドロッド72の下部にはストッパ77が固定される。ストッパ77は、クランプ構造を有する。ストッパ77は、ガイドロッド72をクランプすることにより、ガイドロッド72の所定の高さに固定される。所定の高さは、下掴み具39の高さに応じた高さである。ストッパ77は、その上面が、下アーム90に接触して下アーム90の下方への移動を規制する。ストッパ77は、下アーム90の下限位置を設定する。
【0026】
ストッパ77の上面には、「標線間設定距離部材」の一例としてのアジャスター78が着脱可能に支持される。アジャスター78は、上掴み具38と下掴み具39との間の掴み具間距離L1、L2(図4図5参照)に応じて配置される厚さ(長さ)が異なる部材である。本実施形態では、アジャスター78は一種類である。
【0027】
アジャスター78には、ガイドロッド72に嵌合する略U字板状の開口78A(図6参照)が形成される。アジャスター78がガイドロッド72に嵌合してストッパ77の上面に支持される。これにより、ストッパ77は、アジャスター78の厚さ分だけ、上面が嵩上げされた状態となる。すなわち、アジャスター78は、ストッパ77により設定された下アーム90の下限位置を変更可能に調節する部材である。
【0028】
本実施形態では、アジャスター78が選択的に使用される。なお、ストッパ77に対してアジャスター78が選択的に配置されるとは、ストッパ77に対してアジャスター78が配置されない場合も含んだ意味で使用する。これにより、ストッパ77をアンクランプ、クランプして、下掴み具39に対してストッパ77の位置を調整する場合に比べて、容易に下アーム90の下限位置を調整可能になっている。
ストッパ77と、アジャスター78とにより、本実施形態の下アーム90のストッパ機構79が構成される。
【0029】
図2および図3に示すように、上アーム80の上方に位置するクロスヘッド(負荷機構)35には、位置決め機構100が設けられる。
位置決め機構100は、クロスヘッド35に連結された連結フレーム101を有する。連結フレーム101の下端には、アクチュエータ102が支持される。
【0030】
アクチュエータ102は、本実施形態では、エアシリンダで構成される。アクチュエータ102は、シリンダ部102Aと、シリンダ部102Aに対して上下方向に伸縮可能に支持されるロッド部102Bとを備える。
【0031】
ロッド部102Bには、折り曲げ板状の接続板103を介して、押圧機構(衝撃吸収部材)104が連結される。
押圧機構104は、クロスヘッド35と共に一体に下降し、上アーム80の押圧受部86(図2参照)に接触すると押圧受部86を下方に押す。押圧機構104は、本実施形態では、エアシリンダにより構成される。
【0032】
図1に示すように、材料試験機1には、材料試験機1の各部を制御する制御装置200が配置される。制御装置200は、材料試験機1との間で信号を送受信可能に接続される。制御装置200が受信する信号は、ロードセル36が出力する計測信号や、ロータリーエンコーダー74A、74Bが出力する計測信号、制御や試験に要する適宜の信号である。制御装置200が送信する信号は、試験片供給装置10の制御信号、掴み具38、39の図示しないシリンダ装置の制御信号や、図示しないネジ棒のモータの制御信号、回収装置51、61の制御信号、アクチュエータ102の図示しないシリンダ装置の制御信号、その他の制御や試験に要する適宜の信号である。
【0033】
制御装置200はコンピュータを備え、このコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などのプロセッサと、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリデバイスと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージ装置と、制御装置200や各種の周辺機器などを接続するためのインターフェース回路と、を備える。そして、プロセッサがメモリデバイス又はストレージ装置に記憶された制御プログラムを実行することで、材料試験機1の各種の機能を実現する。
【0034】
図4は、第一の標線間距離λ1の試験を行う場合の伸び測定装置70と試験装置30の要部を示す側面図である。図5は、第二の標線間距離λ2の試験を行う場合の伸び測定装置70と試験装置30の要部を示す側面図である。
材料試験機1では、第一の標線間距離λ1の試験片Tを試験する場合には、図4に示すように、第一の標線棒96およびアジャスター78が伸び測定装置70に取付けられる。また、材料試験機1では、第二の標線間距離λ2の試験片Tを試験する場合には、図5に示すように、第一の標線棒96およびアジャスター78に代えて、第二の標線棒97が伸び測定装置70に取付けられる。
【0035】
そして、材料試験機1では、試験が開始されると、クロスヘッド35が所定の位置まで上昇する。試験片供給装置10では、搬送装置20がパレット11から、試験片Tを一片ずつ取り出して保持し、図2に示すように、試験片Tを試験装置30の上掴み具38に供給し、試験片Tを上掴み具38に把持させる。
【0036】
この際に、位置決め機構100のアクチュエータ102は、試験片Tの標線間距離λ1、λ2に応じて作動し、クロスヘッド35に対する押圧機構104の位置が設定される。クロスヘッド35を降下させて、上掴み具38を下掴み具39に向けて移動させると、クロスヘッド35とともに、位置決め機構100が降下し、やがて押圧機構104が上アーム80に当接する。
【0037】
クロスヘッド35の降下を継続すると、上アーム80が押圧機構104に押されて降下し、上アーム80が標線棒96、97に当接する。更に、クロスヘッド35の降下を継続すると、上アーム80が標線棒96、97を介して下アーム90を押下げ始め、下アーム90が上アーム80と一体となって降下する。そして、クロスヘッド35は所定量、降下して停止し、下掴み具39に試験片Tが進入して下掴み具39が試験片Tを掴む。このとき、下アーム90はストッパ機構79に当たって下方への移動が停止される。
【0038】
このとき、伸び測定装置70では、上アーム80および下アーム90の位置が試験片Tの標線M1、M2の位置に一致し、一対の掴み具38、39の中心位置M0に対して上下に均等な位置で、上アーム80の挟持部材82および下アーム90の挟持部材92を閉じて試験片Tが固定される。これにより、アーム80、90は、試験片Tの伸びに応じて標線M1、M2に追従可能となる。
【0039】
試験片Tに試験力が付与される際には、クロスヘッド35が上昇して、上掴み具38が下掴み具39に対して離間することにより、試験片Tには引張荷重が付与される。これに伴い、試験片Tは上掴み具38に引っ張られて上方に延び、下アーム90、上アーム80が標線M1、M2の移動に追従して上方に移動し、試験片Tの引張荷重が計測されると共に、試験時のアーム80、90間の距離の変動により試験片Tの伸びが計測される。
【0040】
図6は、標線間距離設定部材96、97、78の収納体150の斜視図である。
図1図6に示すように、制御装置200の外装パネル201には、収納体(以下、収納プレートという。)150が取付けられる。収納プレート150は、標線間距離設定部材96、97、78の装着部151、152、153を有する。本実施形態では、標線間距離設定部材96、97、78は、長さが互いに異なる標線棒96、97と、掴み具38、39間の距離L1、L2の変更に伴って使用されるストッパ機構79のアジャスター78とを含む。換言すれば、標線間距離設定部材96、97、78は、第一の標線間距離λ1の伸び測定で使用される第一の標線棒96およびアジャスター78と、第二の標線間距離λ2の伸び測定で使用される第二の標線棒97と、である。収納プレート150は、各装着部151、152、153に、誤装着を防止する防止機構を備えている。
【0041】
第一の標線棒96は、第二の標線棒97よりも長い。各標線棒96、97は、円柱状の本体部96A、97Aを有する。本体部96A、97Aの一端には本体部96A、97Aよりも小径の円柱状のねじ部96B、97Bが形成される。ねじ部96B、97Bの外周面には雄ねじが形成されている。標線棒96、97は、本体部96A、97Aの長さが異なることにより長さが異なる。
【0042】
標線棒96、97の何れか一方には異形部が形成される。本実施形態では、短い第二の標線棒97に、異形部の一例としてのフランジ部97Cが形成される。フランジ部97Cは、本体部97Aの一端部に形成される。第一の標線棒96と第二の標線棒97とは、フランジ部97Cの有無により、本体部96A、97Aの長さ以外の点で形状が異なる。
【0043】
アジャスター78は、矩形の板状に形成される。アジャスター78には、略U字状に切り欠かれた開口78Aが形成される。アジャスター78は、第一の標線棒96と共に使用される。アジャスター78は、ストッパ77の上面に配置され、開口78Aにガイドロッド72が進入した状態で、装着される。
【0044】
図7は、収納プレート150を収納プレート150の正面から見た図である。図8は、収納プレート150を側方から見た図である。
収納プレート150は、所定の厚みを有する矩形板状に形成される。本実施形態では、収納プレート150は前後方向FDに長い矩形板状である。収納プレート150は上下方向(重力方向)TDに沿った状態で配置される。具体的には、収納プレート150は正面150Aがやや上向きに傾斜した状態で配置される。収納プレート150は、上方に進むに連れて外装パネル201に近接するように傾斜している。収納プレート150の背面150Bには、ステー171が固定される。ステー171はフレーム172を介して、制御装置200の外装パネル201に固定される。フレーム172には、横長の溝172Aが形成されている。収納プレート150は、フレーム172の溝172Aに沿ってスライド可能である。収納プレート150は、制御装置200の操作部(不図示)の近傍に配置される。収納プレート150は、操作部(不図示)の近傍に配置されるため、利用者が操作部を操作する際に、収納プレート150における標線間距離設定部材96、97、78の有無を利用者が認識し易くなっている。
【0045】
収納プレート150の長手方向中央部には、第一の装着部151が形成される。第一の装着部151は、正面150Aに対して凹んだ本体凹部151Aを有する。本体凹部151Aは、上下方向に延びる軸状に凹んでいる。本体凹部151Aは、第一の標線棒96の長さに応じた上下長さを有する。また、本体凹部151Aは、第一の標線棒96の径に応じた幅を有する。本体凹部151Aには、第一の標線棒96が着脱可能に収容される。
【0046】
本体凹部151Aの上部には、本体凹部151Aよりも幅広の幅広部151Cが形成される。幅広部151Cは、本体凹部151Aよりも正面150Aに対して浅く凹んでいる。幅広部151Cには、例えば、利用者が指を挿入することにより、第一の標線棒96の上端部、すなわち、ねじ部96Bを手前に掻き出すようにして、第一の標線棒96を本体凹部151Aから取り出し可能になっている。第一の装着部151の本体凹部151Aは、第一の標線棒96の径に対応する凹みであるため、第二の標線棒97を収容しようとしても、フランジ部97Cが干渉し収容不能である。すなわち、第一の装着部151には、第二の標線棒97は装着できない。よって、第一の装着部151は、第二の標線棒97の誤装着を防止する防止機構を備える。なお、第一の装着部151には、アジャスター78は装着不能である。
【0047】
第一の装着部151の後側(長手方向第一側)には、第二の装着部152が形成される。第二の装着部152は、第一の装着部151と上下方向の位置が異なるように形成される。本実施形態では、第二の装着部152は、第一の装着部151よりも低い位置に形成される。第二の装着部152は、正面150Aに対して凹んだ本体凹部152Aを有する。本体凹部152Aは、上下方向に延びる軸状に凹んでいる。本体凹部152Aは、第二の標線棒97の長さに応じた上下長さを有する。また、本体凹部152Aは、第二の標線棒97の本体部97Aの径に応じた幅を有する。
【0048】
本体凹部152Aの上部には、本体凹部152Aよりも幅広のフランジ収容凹部152Bが形成される。フランジ収容凹部152Bは、フランジ部97Cが収容可能な幅を有する。第二の装着部152の本体凹部152Aおよびフランジ収容凹部152Bには、第二の標線棒97が着脱可能に収容される。すなわち、第二の標線棒97は、本体部97Aが本体凹部152Aに収容され、フランジ部97Cがフランジ収容凹部152Bに収容される。本体凹部152Aの上部には、フランジ収容凹部152Bよりも幅広の幅広部152Cが形成される。幅広部152Cは、本体凹部152Aよりも浅く凹んでいる。
【0049】
第二の装着部152の下方には、本体凹部152Aから下方に延びる誤装着防止溝152Dが形成されている。誤装着防止溝152Dは、本体凹部152Aと一体的に形成される。誤装着防止溝152Dは、収納プレート150の下方まで貫通している。第二の装着部152に、第二の標線棒97が装着される場合には、フランジ部97Cがフランジ収容凹部152Bに収容されるため、フランジ部97Cが幅広部152Cの内面に引っかかった状態で収容される。これに対して、第一の標線棒96の本体部96Aを、第二の装着部152の本体凹部152Aに装着しようとすると、第一の標線棒96にはフランジ部97Cが無いため、第一の標線棒96は、自重により、本体凹部152Aおよび誤装着防止溝152Dを通過して下方に落下する。すなわち、第二の装着部152には、第一の標線棒96は装着できない。よって、第二の装着部152は、第一の標線棒96の誤装着を防止する防止機構を備える。なお、第二の装着部152には、アジャスター78は装着不能である。
【0050】
第一の装着部151の前側(長手方向第二側)には、第三の装着部153が形成される。第三の装着部153には、アジャスター78が着脱可能に収納される。第三の装着部153は、正面150Aに対して矩形状に凹んだ本体凹部153Aを有する。本体凹部153Aは、アジャスター78の縦幅に応じた上下長さを有する。また、本体凹部153Aは、アジャスター78の横幅に応じた幅を有する。本体凹部153Aの上部には、本体凹部153Aよりも幅広の幅広部153Cが形成される。幅広部153Cは、本体凹部151Aよりも正面150Aに対して浅く凹んでいる。なお、第三の装着部153には、標線棒96、97は装着不能である。
【0051】
各装着部151~153の上方には、ネームプレート151G~153Gが設けられている。ネームプレート151G~153Gには、各装着部151~153に装着される部品名が記載される。
【0052】
各装着部151~153には、標線間距離設定部材96、97、78の検知センサー161~163が配置される。検知センサー161~163は、それぞれの装着部151~153に標線間距離設定部材96、97、78が装着されているか否かを検知する。換言すれば、検知センサー161~163は、標線間距離設定部材96、97、78が装着されているか否かの信号を出力する。本実施形態では、検知センサー161~163は制御装置(制御部)200に電気的に接続される。検知センサー161~163が出力する信号は制御装置200に入力される。
【0053】
本実施形態の検知センサー161~163は、透過型の光センサーである。すなわち、検知センサー161、162、163は、発光部161A、162A、163Aと受光部161B、162B、163Bとを有する。発光部161A~163Aと受光部161B~163Bとは、装着部151~153の両側に配置される。
【0054】
具体的には、各装着部151~153の本体凹部151A~153Aの下端部には、本体凹部151A~153Aを貫通するように交差する光路151E~153Eが形成される。光路151E~153Eは、正面150Aに対して直線状に凹んだ溝である。光路151E~153Eの両側には、検知センサー161~163が配置されるセンサー凹部154が形成される。各光路151E~153Eにおいて、光路151E~153Eの第一端側のセンサー凹部154には、発光部161A~163Aが配置される。また、光路151E~153Eの第二端側のセンサー凹部154には、受光部161B~163Bが配置される。発光部161A~163Aと、受光部161B~163Bとは、本体凹部151A~153Aを挟んで対向して配置される。
【0055】
装着部151~153に標線棒96、97やアジャスター78が装着され、標線棒96、97やアジャスター78が光路151E~153Eに進入することにより、発光部161A~163Aからの光が受光部161B~163Bで受光されなくなる。これにより、検知センサー161~163は、装着部151~153に標線間距離設定部材96、97、78が装着されている旨の信号を出力する。なお、以下では、検知センサー161~163が装着部151~153に標線間距離設定部材96、97、78が装着されている旨の信号を出力している場合に、検知センサー161~163がOFFになるという。
【0056】
また、装着部151~153から、標線棒96、97やアジャスター78がとり外されると、光路151E~153Eが連通することになり、発光部161A~163Aからの光が受光部161B~163Bで受光される。これにより、検知センサー161~163は、装着部151~153に標線間距離設定部材96、97、78が装着されていない旨の信号を出力する。なお、以下では、検知センサー161~163が装着部151~153に標線間距離設定部材96、97、78が装着されていない旨の信号を出力している場合に、検知センサー161~163がONになるという。
【0057】
制御装置200は、検知センサー161~163からの信号に基づいて、標線間距離設定部材96、97、78が使用されているか否かを判別する。
具体的には、制御装置200は、第一の検知センサー161からの信号に基づいて、第一の標線棒96が伸び測定装置70に装着されているか否かを判別する。すなわち、制御装置200は、第一の検知センサー161からONの信号を受け取ると、第一の標線棒96が収納プレート150に装着されておらず、伸び測定装置70に装着されていると判別する。また、制御装置200は、第一の検知センサー161からOFFの信号を受け取ると、第一の標線棒96が収納プレート150に装着されており、伸び測定装置70に装着されていないものと判別する。
【0058】
同様にして、制御装置200は、第二の検知センサー162からの信号に基づいて、第二の標線棒97が伸び測定装置70に装着されているか否かを判別する。また、制御装置200は、第三の検知センサー163からの信号に基づいて、アジャスター78が伸び測定装置70に装着されているか否かを判別する。
【0059】
制御装置200には、図示しない入力装置、例えば、キーボードやマウスなどにより、試験条件が入力される。試験条件としては、例えば、標線間距離λ1、λ2が入力される。また、制御装置200には、標線間距離λ1、λ2の伸び測定で使用される標線間距離設定部材96、97、78の情報が記憶される。
【0060】
すなわち、制御装置200には、第一の標線間距離λ1(=25mm)の場合には、第一の標線棒96およびアジャスター78が使用されることが記憶される。換言すれば、制御装置200には、第一の標線間距離λ1の場合には、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がONであり、第二の検知センサー162がOFFであることが、第一の標線間距離λ1の試験条件に合致していることが記憶される。
【0061】
また、制御装置200には、第二の標線間距離λ2(=20mm)の場合には、第二の標線棒97が使用されることが記憶される。換言すれば、制御装置200には、第二の標線間距離λ2の場合には、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がOFFであり、第二の検知センサー162がONであることが、第二の標線間距離λ2の試験条件に合致していることが記憶される。
制御装置200には、試験開始の操作前にこれらの情報が予め記憶される。
【0062】
制御装置200は、試験条件が設定されるなどして、試験開始の操作入力があると、試験条件と検知センサー161~163の検知結果とに基づいて、試験の実行の可否を判別する。すなわち、制御装置200は、試験開始の操作入力があると、試験条件と検知センサー161~163の検知結果とに基づいて、試験条件に合致する標線間距離設定部材96、97、78が伸び測定装置70に装着されているか否かを判別する。
【0063】
制御装置200は、第一の標線間距離λ1の試験を開始する場合には、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がONであり、且つ、第二の検知センサー162がOFFであるか否かを判断する。制御装置200は、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がONであり、且つ、第二の検知センサー162がOFFである場合には、試験の実行を許可する。
【0064】
また、制御装置200は、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がONであり、且つ、第二の検知センサー162がOFFでない場合には、エラー告知動作を実行して、試験の実行を禁止する。制御装置200が実行するエラー告知動作としては、例えば、制御装置200のディスプレイ(不図示)に標線間距離設定部材96、97、78が誤装着されていることを表示する動作である。
【0065】
同様に、制御装置200は、第二の標線間距離λ2の試験を開始する場合には、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がOFFであり、且つ、第二の検知センサー162がONであるか否かを判断する。制御装置200は、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がOFFであり、且つ、第二の検知センサー162がONである場合には、試験の実行を許可する。また、制御装置200は、第一の検知センサー161と第三の検知センサー163がOFFであり、且つ、第二の検知センサー162がONでない場合には、エラー告知動作を実行し、試験の実行を禁止する。
【0066】
制御装置200は、試験の実行が許可されると、試験片供給装置10や試験装置30などを制御して、試験条件に基づく試験を開始する。
【0067】
図9は、制御装置200の開始判別処理のフローチャートである。「開始判別処理」とは、試験を開始するか否かを判別する処理である。換言すれば、「開始判別処理」とは、伸び測定装置70による伸び測定を開始するか否かを判別する処理である。
ステップST11において、制御装置200は、試験開始の操作入力があるか否かを判断する。
制御装置200は、試験開始の操作入力がないと判断する場合(ステップST11:NO)には、ステップST11を繰り返す。
制御装置200は、試験開始の操作入力があると判断する場合(ステップST11:YES)には、処理をステップST12に進める。
【0068】
ステップST12において、制御装置200は、試験条件を取得する。
ステップST13において、制御装置200は、検知センサー161~163の検知結果を取得する。
【0069】
ステップST14において、制御装置200は、試験条件と検知センサー161~163の検知結果とが合致するか否かを判断する。
制御装置200は、試験条件と検知センサー161~163の検知結果とが合致すると判断する場合(ステップST14:YES)には、処理をステップST15に進める。
ステップST15において、制御装置200は、試験の実行を許可して、開始判別処理を終了する。
【0070】
制御装置200は、試験条件と試験条件と検知センサー161~163の検知結果とが合致しないと判断する場合(ステップST14:NO)には、処理をステップST16に進める。
ステップST16において、制御装置200は、エラー告知動作を実行する。
ステップST17において、制御装置200は、試験の実行を禁止して、開始判別処理を終了する。
【0071】
上述の通り、本実施形態では、標線間距離設定部材96、97、78は、収納プレート150に収納される。収納プレート150は、標線間距離設定部材96、97、78の装着部151、152、153を備える。装着部151、152、153には、標線間距離設定部材96、97、78の誤装着を防止する防止機構を備える。
【0072】
ここで、異なった標線間距離λ1、λ2の試験を行う際には、アーム80、90からそれまで使用していた標線棒96、97を取り外し、これから実施する標線間距離λ1、λ2に対応した長さの標線棒96、97を手作業で取り付ける。また、この際には、アジャスター78の着脱も要求される。
【0073】
このように、標線間距離設定部材96、97、78は手作業での交換が必要となるため、交換を忘れたり、つけ間違えたりして、本来の標線間距離λ1、λ2とは異なる距離にて試験を実施してしまうことが生じえる。特に、本実施形態のように、標線間距離λ1(=25mm)と、標線間距離λ2(=20mm)等のように、標線棒96、97の長さの違いが僅か5mmと少なく、取り付けミスが生じ易い恐れがある。また、取り付けミスが生じても、標線間距離λ1、λ2の相違が小さいために、間違った状態で伸び測定を行ってしまう恐れもある。
【0074】
これに対して、本実施形態では、収納プレート150には、誤装着を防止する防止機構が設けられおり、所定の位置の装着部151~153には、所定の標線間距離設定部材96、97、78が収納される。このため、所定の装着部151、152、153には、所定の標線間距離設定部材96、97、78が装着されるため、標線間距離設定部材96、97、78の選び間違いを抑制し易くできる。また、装着部151、152、153に標線間距離設定部材96、97、78が装着されているか否かにより、伸び測定装置70に使用されている標線間距離設定部材96、97、78を認識し易くできる。特に、操作部の近傍に収納プレート150が配置されるため、操作時に、標線間設定距離部材96、97、78の有無に気づき易くなっている。したがって、標線間距離設定部材96、97、78の取り付けミスを発見・抑制し易くできる。
【0075】
また、本実施形態では、検知センサー161~163が設けられており、検知センサーの検知結果により、試験条件に合致しない場合には、エラー告知動作が実行され、試験が開始されない。したがって、より確実に、標線棒96、97の交換忘れ、標線棒96、97の交換間違い、アジャスター78の取り付け忘れなどを抑制し易くなっており、標線間距離設定部材96、97、78の取り付けミスを発見・抑制し易くできる。よって、誤った試験が抑制される。
【0076】
[2.変形例]
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を例示するものであって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変形、および応用が可能である。
【0077】
上述した実施形態においては、収納プレート150には、装着部151~153が3つ形成された構成を説明したが、装着部151~153の数は3つに限定されず、伸び測定装置70で使用される標線間距離設定部材の数に応じて、収納プレート150には、任意の数の装着部を形成してもよい。
【0078】
上述した実施形態においては、収納プレート150は一つのみ設ける構成を説明したが、収納プレートは複数設けてもよい。
【0079】
上述した実施形態においては、制御装置200が、試験片供給装置10や試験装置30や伸び測定装置70を制御する構成を説明したが、制御装置200にPLC(Programmable Logic Controller)を含んでもよく、PLCが、試験片供給装置10や試験装置30や伸び測定装置70を制御してもよい。
【0080】
上述した実施形態においては、検知センサー161~163の信号が、いずれの標線間距離設定部材96、97、78を示す信号であるか否かを判定するのは、制御装置200で行う構成を例示した。これに代えて、PLCを設ける場合には、PLCにおいて、検知センサー161~163の信号が、いずれの標線間距離設定部材96、97、78を示す信号であるか否かを判定してもよい。また、例えば、収納プレート150に制御基板を設け、収納プレート150において、検知センサー161~163の信号が、いずれの標線間距離設定部材96、97、78を示す信号であるか否かを判定し、制御装置200やPLCに送信してもよい。
【0081】
上述した実施形態においては、試験片Tの標線間距離λ1、λ2に関する試験条件と、検知センサー161~163の検知結果とに基づいて、試験の実行を行うか否かを、収納プレート150とは、別の制御装置200において判別する構成を説明したが、収納プレート150に、少なくともCPUとROMを備える制御部を備え、収納プレート150の制御部において、試験片Tの標線間距離λ1、λ2に関する試験条件と、検知センサー161~163の検知結果とに基づいて、試験の実行の許可をするか否かを判別してもよい。
【0082】
上述した実施形態においては、制御装置200が試験装置30や伸び測定装置70を制御することにより、アーム80、90が試験片Tの標線間距離λ1、λ2に対応して移動する構成を説明した。しかしながら、例えば、試験片供給装置10などが省略され、利用者が、試験片Tを掴み具38、39にセットすると共に、伸び測定装置70のアーム80、90を標線間距離λ1、λ2に合わせて移動させる材料試験機に本発明の態様を適用してもよい。
【0083】
上述した実施形態においては、異形部としてフランジ部97Cの構成を例示したが、標線棒97の本体部97Aの径を太くする構成や、複数のフランジ形状を設ける構成、角柱に形成するなど、任意の異形部の形状が可能である。
【0084】
上述した実施形態においては、検知センサー161~163として、透過型の光センサーを例示したが、近接センサーなど、標線間距離設定部材96、97、78の有無を検知できれば任意の構成のセンサーを検知センサー161~163として適用可能である。
【0085】
上述した実施形態においては、試験片Tは、いわゆる、ダンベル形状の試験片を例示したが、試験片は、円柱状や、角柱状でもよく、円柱状や角柱状の試験片の伸びを測定する伸び測定装置70にも適用可能である。
【0086】
[3.態様]
上述した例示的な実施形態、及び変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0087】
(第1項)
一態様に係る材料試験機は、試験片の標線間距離に応じて長さが異なる複数の標線間距離設定部材を備える材料試験機において、前記複数の標線間距離設定部材の装着部を含む収納体を備え、前記装着部に前記標線間距離設定部材の誤装着を防止する防止機構を備えてもよい。
【0088】
第1項に記載の材料試験機によれば、誤装着を防止する防止機構により、所定の標線間距離設定部材は、所定の装着部に収納されるため、標線間距離設定部材の選び間違いを抑制し易くできる。また、装着部に標線間距離設定部材が装着されているか否かにより、材料試験機で使用されている標線間距離設定部材を認識し易くできる。したがって、標線間距離設定部材の取り付けミスを発見・抑止し易くできる。
【0089】
(第2項)
第1項に記載の材料試験機において、前記装着部に前記標線間距離設定部材の検知センサーを設けてもよい。
【0090】
第2項に記載の材料試験機によれば、装着部に標線間距離設定部材が装着されているか否かを検知できる。
【0091】
(第3項)
第2項に記載の材料試験機において、前記検知センサーからの信号に基づいて前記標線間距離設定部材が使用されているか否かを判別する制御部を備えてもよい。
【0092】
第3項に記載の材料試験機によれば、標線間距離設定部材が使用されているか否かを判別することができる。
【0093】
(第4項)
第1項から第3項のいずれかに記載の材料試験機において、前記標線間距離設定部材は前記試験片を把持する一対の掴み具間距離に応じて長さが異なるアジャスターを含んでもよい。
【0094】
第4項に記載の材料試験機によれば、異なる標線間距離にする場合に使用される着脱可能な標線間距離設定部材を同じ収納体に収納できる。
【0095】
(第5項)
第1項から第3項のいずれかに記載の材料試験機において、前記標線間距離設定部材に異形部が形成されてもよい。
【0096】
第5項に記載の材料試験機によれば、異形部により標線間距離設定部材を識別し易くできる。また、異形部を利用して誤装着を防止する防止機構を設けることができる。
【0097】
(第6項)
第2項又は第3項に記載の材料試験機において、試験片の標線間距離に関する試験条件と、前記検知センサーの検知結果とに基づいて、試験を実行するか否かを判別する制御部を備えてもよい。
この構成によれば、試験条件に合致しない標線間距離設定部材を用いて試験を行うことを防止することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 材料試験機
70 伸び測定装置
78 アジャスター(標線間距離設定部材)
96 第一の標線棒(標線間距離設定部材)
97 第二の標線棒(標線間距離設定部材)
97C フランジ部(異形部)
150 収納プレート(収納体)
151 第一の装着部
152 第二の装着部
153 第三の装着部
161 第一の検知センサー
162 第二の検知センサー
163 第三の検知センサー
200 制御装置(制御部)
L1 掴み具間距離
L2 掴み具間距離
T 試験片
λ1 第一の標線間距離
λ2 第二の標線間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9