(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119884
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】包装搬送装置および包装の受け渡し方法
(51)【国際特許分類】
B65B 43/54 20060101AFI20240827BHJP
B65G 47/84 20060101ALI20240827BHJP
B65G 54/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B65B43/54 D
B65G47/84 E
B65G54/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024089801
(22)【出願日】2024-06-03
(62)【分割の表示】P 2020184258の分割
【原出願日】2020-11-04
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004347
【氏名又は名称】弁理士法人大場国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 学
(57)【要約】
【課題】計量装置等の処理部への受け渡し時における包装の揺れを抑えることで、処理部
による安定した処理を実現すること。
【解決手段】包装を個々に把持しつつ搬送路に沿って搬送する搬送装置は、搬送路の方向に並び、搬送路の方向に移動可能な複数の可動子と、包装の両側の端部を把持し、隣接される可動子にそれぞれが支持される一対のグリッパと、を備える。搬送装置と、包装に処理を行う処理部との間の受け渡し箇所において、包装は、処理部により鉛直方向の上方から支持され、一対のグリッパがそれぞれ開き、かつ、可動子の互いに離隔する向きの移動により一対のグリッパを包装に対して両側に退避させることにより一対のグリッパから包装が分離し、処理が完了したならば、可動子の互いに近接する向きの移動により一対のグリッパが包装に対して近接し、かつ、それぞれ閉じて包装を把持してから、可動子が搬送路の方向に移動するように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装を個々に把持しつつ搬送路に沿って搬送する搬送装置であって、
前記搬送路の方向に並び、前記搬送路の方向に移動可能な複数の可動子と、
前記包装の両側の端部を把持し、隣接される前記可動子にそれぞれが支持される一対のグリッパと、を備え、
前記搬送装置と、前記包装に処理を行う処理部との間で前記包装を受け渡すために前記搬送路に定められた受け渡し箇所において、
前記包装は、前記処理部により鉛直方向の上方から支持され、
前記一対のグリッパがそれぞれ開き、かつ、前記可動子の互いに離隔する向きの移動により前記一対のグリッパを前記包装に対して両側に退避させることにより前記一対のグリッパから前記包装が分離し、
前記処理が完了したならば、前記可動子の互いに近接する向きの移動により前記一対のグリッパが前記包装に対して近接し、かつ、それぞれ閉じて前記包装を把持してから、前記可動子が前記搬送路の方向に移動するように構成されている、
包装搬送装置。
【請求項2】
前記複数の可動子のそれぞれの位置を制御可能な制御装置を備え、
前記制御装置により、
前記受け渡し箇所に位置する前記一対のグリッパに関し、
前記処理部に前記包装が支持されるのに続いて、前記グリッパを開く開指令が発せられた後、前記可動子を互いに離隔する向きに移動させる退避指令が発せられる、
請求項1に記載の包装搬送装置。
【請求項3】
前記受け渡し箇所において、
前記包装は、前記処理部により鉛直方向の上端部を把持され、
前記一対のグリッパは、前記搬送路が延びている水平方向に沿って前記包装から退避する、
請求項1または2に記載の包装搬送装置。
【請求項4】
前記処理部は、前記包装を計量する計量装置である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の包装搬送装置。
【請求項5】
前記グリッパは、把持する前記包装に対して前記包装の第1の面側または第2の面側のうちの一方に向けて開く、
請求項1から4のいずれか一項に記載の包装搬送装置。
【請求項6】
包装を個々に把持しつつ搬送路に沿って搬送する包装搬送装置と、前記包装に対して処理を行う処理部との間で前記包装を受け渡す方法であって、
前記包装搬送装置は、前記搬送路の方向に並び、前記搬送路の方向に移動可能な複数の可動子と、前記包装の両側の端部を把持し、隣接される前記可動子にそれぞれが支持される一対のグリッパと、を備え、
前記包装搬送装置と前記処理部との間で前記包装を受け渡すために前記搬送路に定められた受け渡し箇所において、
前記処理部に前記包装が鉛直方向の上方から支持されるのに続いて、前記一対のグリッパをそれぞれ開くステップと、
前記一対のグリッパのそれぞれを支持する前記可動子を互いに離隔する向きに移動させることで前記一対のグリッパを前記包装に対して両側に退避させることにより前記一対のグリッパから前記包装を分離させるステップと、
前記処理が完了したならば、前記可動子の互いに近接する向きの移動により前記一対のグリッパを前記包装に対して近接させ、かつ、それぞれ閉じて前記包装を把持してから、前記可動子を前記搬送路の方向に移動させるステップと、を含む、包装受け渡し方法。
【請求項7】
前記一対のグリッパを退避させるステップは、前記一対のグリッパをそれぞれ開くステップにより前記包装が前記グリッパから分離した時の位置に留まった状態で行われる、
請求項6に記載の包装受け渡し方法。
【請求項8】
前記処理部は、前記包装を計量する計量装置に相当する、
請求項6または7に記載の包装受け渡し方法。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか一項に記載の包装搬送装置と、前記包装に対して処理を行う前記処理部との間で前記包装を受け渡す方法であって、
前記受け渡し箇所において、
前記処理が行われた前記包装を前記処理部から前記一対のグリッパに受け取るステップは、
一対の前記可動子を互いに近接する向きに移動させるステップと、
前記一対のグリッパを閉じるステップと、を含む、包装受け渡し方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えばパウチ等の包装を把持して搬送し、計量装置等の処理部に受け渡し可能な装置、および包装を搬送装置のグリッパと処理部との間で受け渡す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばパウチ(パウチ包装)や、袋体等の包装入り製品は、包装が搬送される間に、内容物の充填、包装の密封、および計量による検査等の処理を経て製造される。
かかる包装入り製品の製造ラインには、例えば、特許文献1に示すように、包装を把持するグリッパが取り付けられた複数の可動子を電磁作用により周回軌道に沿って移動させる搬送装置が採用されている。
【0003】
計量時には、パウチの両端部を把持する搬送装置の一対のグリッパから、計量装置のグリッパへと包装が持ち替えられる。計量装置の吸引具等により包装が支持されると、搬送装置のグリッパが開き、搬送装置のグリッパから包装が引き抜かれる。そうすると包装が搬送装置のグリッパから分離するので、計量装置のグリッパのみに包装が接触した状態で包装の重量が測定される。計量後、計量装置から搬送装置のグリッパへと包装が戻される。
【0004】
特許文献2は、回転テーブルの周縁部に所定間隔で設けられた複数のグリッパにそれぞれ袋体を把持し、回転テーブルの回転に伴い、粉体の投入、計量、再投入・再計量、および袋体の密封の各処理を順次行う包装機を開示する。計量時には、回転テーブルに設けられて袋体の両側を把持するメイングリッパから、メイングリッパよりも上側に配置される計量装置の第1グリッパと、メイングリッパよりも下側に配置される計量装置の第2グリッパとに袋体が持ち替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-172141号公報
【特許文献2】特開2019-081552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
計量検査時に搬送装置のグリッパから包装を引き抜くと、内容物と共に包装が揺れるので、安定して計量することが難しい。包装の揺れが収まるまで待機するため、計量処理に時間が掛かる。
特許文献2のようにメイングリッパから計量装置の第1グリッパおよび第2グリッパへと包装を持ち替える場合も、包装の両側に第1グリッパおよび第2グリッパが接触する際に包装が揺れるおそれがあり、安定して計量することが難しい。
【0007】
以上より、本開示は、計量装置等の処理部への受け渡し時における包装の揺れを抑えることで、処理部による安定した処理を実現することが可能な包装搬送装置、および包装受け渡し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、包装を個々に把持しつつ搬送路に沿って搬送する搬送装置であって、搬送路の方向に並び、搬送路の方向に移動可能な複数の可動子と、包装の両側の端部を把持し、隣接される可動子にそれぞれが支持される一対のグリッパと、を備える。搬送装置と、包装に処理を行う処理部との間で包装を受け渡すために搬送路に定められた受け渡し箇所において、包装は、処理部により鉛直方向の上方から支持され、一対のグリッパがそれぞれ開き、かつ、可動子の互いに離隔する向きの移動により一対のグリッパを包装に対して両側に退避させることにより前記一対のグリッパから前記包装が分離し、前記処理が完了したならば、前記可動子の互いに近接する向きの移動により前記一対のグリッパが前記包装に対して近接し、かつ、それぞれ閉じて前記包装を把持してから、前記可動子が前記搬送路の方向に移動するように構成されている。
【0009】
また、本開示は、包装を個々に把持しつつ搬送路に沿って搬送する包装搬送装置と、包装に対して処理を行う処理部との間で包装を受け渡す方法であって、包装搬送装置は、搬送路の方向に並び、搬送路の方向に移動可能な複数の可動子と、包装の両側の端部を把持し、隣接される可動子にそれぞれ支持される一対のグリッパと、を備える。包装搬送装置と処理部との間で包装を受け渡すために搬送路に定められた受け渡し箇所において、処理部に包装が鉛直方向の上方から支持されるのに続いて、一対のグリッパをそれぞれ開くステップと、一対のグリッパのそれぞれを支持する可動子を互いに離隔する向きに移動させることで一対のグリッパを包装に対して両側に退避させることにより前記一対のグリッパから前記包装を分離させるステップと、処理が完了したならば、可動子の互いに近接する向きの移動により一対のグリッパを前記包装に対して近接させ、かつ、それぞれ閉じて前記包装を把持してから、前記可動子を前記搬送路の方向に移動させるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、包装に対する処理を行うために、包装を搬送路から離れた位置に移動させるのではなく、搬送路に定められた受け渡し箇所に包装を留めたまま、搬送路の方向への可動子の移動により包装の両側にグリッパを退避させる。グリッパを開いた時点ではグリッパの少なくとも一部に包装が接触しているとしても、可動子の移動による包装の両側へのグリッパの退避によって、グリッパから包装を確実に分離させることができる。
【0011】
本開示によれば、包装搬送装置に備わる可動子を利用して包装の受け渡しが行われるので、処理部に包装を受け取る把持機構等を付加する必要はない。包装搬送装置のグリッパおよび可動子をそれぞれ動作させるだけで、包装の揺れを抑えて、計量部等の処理部による安定した処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る包装搬送装置を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す可動子および搬送対象であるパウチを示す平面図である。
【
図3】
図2のIII矢印の向きから可動子およびパウチを示す側面図である。
【
図4】受け渡し箇所において、グリッパが開く動作、および可動子の移動により一対のグリッパがパウチから退避する動作を説明するための図である。
【
図5】
図4のV矢印の向きから可動子およびパウチを示す側面図である。
【
図6】第2実施形態に係る包装搬送装置の一対の可動子の一部と、受け渡し箇所において一対のグリッパと処理部との間で受け渡されるパウチとを示す図である。
【
図7】
図6のVII矢印の向きからグリッパの挟持部を示す図である。
【
図8】
図7のVIII矢印の向きからグリッパの挟持部を示す図である。楕円VIIIの内側に、第1挟持部と第2挟持部とが離れている状態を模式的に示す。
【
図9】第2実施形態の第1変形例に係る包装搬送装置の一対の可動子の一部と、受け渡し箇所において一対のグリッパと処理部との間で受け渡されるパウチとを示す図であり、
図7に対応する。
【
図10】
図9のX矢印の向きからグリッパの挟持部を示す図であり、
図8に対応する。
【
図11】第2実施形態の第2変形例に係る包装搬送装置の一対の可動子の一部と、受け渡し箇所において一対のグリッパと処理部との間で受け渡されるパウチとを示す図である。
【
図12】
図11のXII矢印の向きからグリッパの挟持部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態について説明する。
[第1実施形態]
〔全体の概略構成〕
図1に示す包装搬送装置1は、周回軌道を有する搬送路2と、搬送路2に沿って移動可能な複数の可動子10と、可動子10の走行を制御する制御部3とを備えている。
包装搬送装置1は、搬送路2と可動子10との間の電磁的相互作用により可動子10を走行させるリニアモータ式の搬送装置である。包装搬送装置1は、可動子10に備わるグリッパ13によりパウチ包装4(以下、パウチ4)を個々に把持しつつ搬送路2に沿って搬送する。
【0014】
〔パウチ〕
パウチ4は、フィルム状、あるいはシート状の柔軟な素材から、例えば飲料や食料、医薬品等の内容物を充填可能な袋状の形態に形成されている。パウチ4は、一例として、
図3に示すように、重ね合わせられたフィルム素材41から平坦に形成されている。重ねられたフィルム素材41の周縁41Aは、内容物の充填前は、開口部42を残して三辺に沿って、加熱および加圧により融着(熱融着)されることで封止されている。充填後、開口部42も熱融着により封止されることで、パウチ4は密閉される。
その他、パウチ4は、例えば、底部あるいは両サイドが内側に折り込まれることで、充填後に立体的な形状をなすものであってもよい。また、パウチ4は、フィルム素材に加えて、開口部に挿入されるスパウトと呼ばれる筒体を備えていてもよい。
【0015】
〔搬送路〕
搬送路2は、直線状の平行な直線路21,23と、直線路21,23を繋ぐ円弧状に湾曲した湾曲路22,24とを備え、全体として略楕円形状を呈している。搬送路2には、可動子10の永久磁石に対して電磁的に作用する図示しない電磁コイルが設けられている。制御部3は、搬送路2の電磁コイルを流れる電流を制御することで、各可動子10の位置および速度等を個別に制御可能である。
【0016】
〔可動子〕
複数の可動子10は、搬送路2の方向に並び、搬送路2を循環する。可動子10の移動に伴い、各パウチ4が直線路21、湾曲路22、および直線路23の順に搬送される間に、各パウチ4に対する充填や密閉、計量による検査等の処理が行われる。それらの処理を終えたパウチ4は、直線路23から図示しない下流の装置へと移送される。
【0017】
各可動子10は、
図2および
図3に一例を示すように、搬送路2の方向に移動可能な可動子本体11と、可動子本体11に設けられて搬送路2から離れる向きに突出したアーム12と、アーム12に支持されパウチ4の端部4Eを把持するグリッパ13とを備えている。
【0018】
また、各可動子10は、湾曲路22,24を移動中にアーム12を可動子本体11に対して傾転させる機構(図示しない)を備えている。この傾転機構により、可動子10が搬送路2を周回する間に亘り、パウチ4を把持したグリッパ13を支持する一対のアーム12を互いに平行に保つことができる。そのため、湾曲路22,24においてもパウチ4はグリッパ13から外れない。
【0019】
可動子本体11は、搬送路2を構成する部材に係合し、搬送路2の方向に並んでいる。可動子本体11には、図示しない永久磁石が設けられている。
本実施形態の搬送路2の略楕円形の軌道は、水平な同一面上に設置されている。
この搬送路2からアーム12が水平方向に突出している。搬送路2の方向に隣接するアーム12の間にパウチ4が配置される。
【0020】
アーム12は、グリッパ13の支持に足りる剛性を備えた適宜な金属や樹脂等の材料から構成することができる。
本実施形態では、ブロック状に形成された可動子本体11にアーム12が接合されているが、その限りではない。可動子本体11が、グリッパ13を支持する部分を含めて一体に形成されていてもよい。
【0021】
図2および
図3は、搬送路2に配置される可動子群の一部として、一対の可動子10を示している。一対の可動子10にそれぞれ、搬送路2の方向に互いに対向して設けられているグリッパ13は、対をなし、パウチ4の両側の端部4Eを把持することでパウチ4を吊り下げる。パウチ4を安定して吊り下げ、かつパウチ4の上端に位置する開口部42からの充填や、開口部42の密閉の処理を安定して行うため、グリッパ13によりパウチ4を重心よりも上方で把持することが好ましい。
搬送路2の方向をxで示し、可動子本体11から水平方向にアーム12が突出する方向をyで示し、鉛直方向をzで示す。y方向は、パウチ4の平面に対して直交する方向に相当する。
【0022】
本実施形態において、一対の可動子10および一対のグリッパ13は、それぞれのアーム12の間の中心線Lに対して対称に形成されている。こうした対称形状の可動子10およびグリッパ13により、パウチ4を両側から安定して支持することができる。
【0023】
〔グリッパ〕
グリッパ13は、パウチ4の端部4Eを間に挟み込んで把持する一対の挟持部130と、一対の挟持部130を
図2の部分拡大図に示すように開閉させる図示しない駆動機構とを備えている。
一対の挟持部130はいずれも、基端側がアーム12に支持され、パウチ4の幅方向(x方向)の内側に向けて突出している。以下、パウチ4の第1面4Aに接触する挟持部130を第1挟持部130-1と称し、パウチ4の第2面4Bに接触する挟持部130を第2挟持部130-2と称する場合がある。第1挟持部130-1は、第2挟持部130-2に対し、アーム12のより先端側に位置している。
【0024】
第1挟持部130-1および第2挟持部130-2は、把持するパウチ4に対して片側のみに開く。つまり、アーム12に設けられている駆動機構により、例えば、アーム12に固定されている第1挟持部130-1に対して第2挟持部130-2が離隔することで、一対の挟持部130がパウチ4の第2面4B側に開く。こうした片開き機構は、第1挟持部130-1および第2挟持部130-2の両方を駆動する両開き機構と比べて構成が簡略である。グリッパ13の駆動機構の構成簡略化により、可動子本体11に搭載される部材の重量を抑えることができるので、リニアモータの負荷を低減することができる。
【0025】
第1挟持部130-1および第2挟持部130-2のいずれも、基体131と、基体131およびパウチ4の間に介在する弾性体132とを有している。第1挟持部130-1および第2挟持部130-2は、基体131により押さえられて弾性変形する弾性体132の弾性力により、パウチ4を十分な力で確実に把持する。
【0026】
基体131は、把持に必要な剛性を備えた鋼材等の金属材料から板状に形成されている。基体131は、挟持部130の基端側でパウチ4の端部4Eの表面に沿って配置される押さえ部131Aと、挟持部130に連なり、押さえ部131Aに対してパウチ4の表面から離れる向きに傾斜したガイド部131Bとを含んでいる。
一対の挟持部130のそれぞれのガイド部131Bは、挟持部130の先端に向かうにつれて次第に広がっており、押さえ部131A間にパウチ4をガイドする。
【0027】
弾性体132は、典型的にはゴム材料から形成されており、基体131に接合されている。弾性体132には、パウチ4に向けて突出する複数の突起132Aが形成されていてもよい。突起132Aは、
図2に示すように、例えば円柱状に形成されている。パウチ4の第1面4Aを押さえる突起132Aと、パウチ4の第2面4Bを押さえる突起132Aとが、各弾性体132において互い違いに配列されていることが好ましい。
また、弾性体132の縁にパウチ4の端部4Eが突き当たることなく、第1挟持部130-1の弾性体132と第2挟持部130-2の弾性体132との間にパウチ4が挿入されるように、各弾性体132の縁の角は面取りされていると好ましい。
第1挟持部130-1の弾性体132と、第2挟持部130-2の弾性体132とは、パウチ4を挟んで対向し、かつ、第1挟持部130-1の押さえ部131Aと第2挟持部130-2の押さえ部131Aとの間に配置される。
図2のIII矢印の向きからの側面視において、弾性体132の領域と、押さえ部131Aの領域とはほぼ一致している。
【0028】
第1挟持部130-1と第2挟持部130-2とが開いた状態から、第2挟持部130-2が駆動機構によりy方向に駆動されて第1挟持部130-1に押し付けられると、第1挟持部130-1の押さえ部131Aと第2挟持部130-2の押さえ部131Aとの間に、第1、第2挟持部130-1,130-2のそれぞれの弾性体132が加圧される。そうすると、弾性変形した第1挟持部130-1の突起132Aと、弾性変形した第2挟持部130-2の突起132Aとの間にパウチ4が把持される。
【0029】
〔パウチに対する処理〕
上述したように可動子10により搬送路2をパウチ4が搬送される間、充填、密閉、および計量による検査等の各処理が順次行われる。
充填処理を行う際には、図示を省略するが、制御部3による位置制御により一対の可動子10を互いに近接する向きに移動させ、パウチ4を把持する一対のグリッパ13のx方向の間隔を狭めることにより、パウチ4を両側から押して開口部42を開く。開口部42を通じて内容物がパウチ4に供給される。
【0030】
その後、開口部42を封止する密閉処理を行う際には、制御部3による位置制御により一対の可動子10を互いに離隔する向きに移動させ、パウチ4を把持する一対のグリッパ13のx方向の間隔を広げることにより、パウチ4に張力を付与することが好ましい。張力の付与によりパウチ4が平坦な姿勢、形状に安定するので、図示しない加圧加熱用部材の間にパウチ4を挟んで熱融着させる密閉処理をパウチ4に皺を発生させずに安定して行うことができる。
【0031】
なお、充填処理や密閉処理等に際しての一対の可動子10間の距離の調整は、搬送路2を可動子10が移動している間に行うことができる。例えば、可動子10を搬送路2上の次の処理(例えば、密閉処理)が行われる箇所へと移動させつつ、次の処理に適合する距離を一対の可動子10間に与えることができる。そうすることで、次の処理が行われる箇所に可動子10を停止させて一対の可動子10間の距離の調整だけを行う場合に対して、生産能力を増大させることができる。
【0032】
また、密閉等の処理に際してパウチ4に張力が付与されていると、各処理のために可動子10を停止させた際にパウチ4が慣性力により揺れることを抑えて、パウチ4の姿勢、形状を安定させることができる。そのため、可動子10を停止させてからパウチ4の振れの収束を待って処理を開始し、処理を完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0033】
計量による検査の処理が行われる際は、グリッパ13から、充填済のパウチ4を計量する処理部としての計量部5(
図1)へとパウチ4を受け渡す。この受け渡しは、包装搬送装置1と、計量部5との間でパウチ4を受け渡すために搬送路2に定められた受け渡し箇所P1(
図1)において行われる。計量部5による計量処理を終えたパウチ4は、グリッパ13へと戻され、搬送路2から下流工程へと送られる。
【0034】
計量部5は、パウチ4を吊り下げた状態に支持し、内容物およびパウチ4の重量を計測する。計量部5により得られた計測値が所定の値の範囲内にある製品が良品として扱われる。計量部5は、パウチ4の上端部4Uを把持等の適宜な方法で支持する図示しない支持具を備えている。
【0035】
なお、パウチ4の重量計測は、パウチ4に規定の重量まで内容物を充填するために、搬送路2において受け渡し箇所P1とは別の箇所に設置された図示しない計量部により、充填中に行われてもよい。その場合も、密閉処理後に、検査のためパウチ4の重量が計測されることが好ましい。
【0036】
〔グリッパから計量部への受け渡し〕 以下、
図4および
図5を参照し、受け渡し箇所P1において包装搬送装置1のグリッパ13から計量部5へとパウチ4を受け渡す手順について説明する。
まず、制御部3による可動子10の位置制御により、一対の可動子10を受け渡し箇所P1に停止させる(可動子停止ステップS1)。これによって、計量部5の下方に計量対象のパウチ4が位置決めされる。このとき、一対の可動子10間の距離の設定により、パウチ4に張力が付与されていることが好ましい。
計量部5は、例えば、計量部5に備わる図示しない支持具によりパウチ4の上端部4Uを把持することで、パウチ4を支持する(パウチ支持ステップS2)。
【0037】
続いて、受け渡し箇所P1に位置する一対のグリッパ13に関し、制御部3から発せられる開指令に基づいて動作するグリッパ13の駆動機構により、グリッパ13を開く(グリッパ開ステップS3)。これによって第2挟持部130-2がパウチ4から分離し、グリッパ13から計量部5の支持具へとパウチ4が持ち替えられる。本実施形態のグリッパ13は、上述したように片側に開くので、この時点では、パウチ4の少なくとも一部が第1挟持部130-1には接触している。
【0038】
さらに、制御部3から発せられる退避指令に対応する位置制御により一対の可動子10を互いに離隔する向きに、搬送路2に沿って移動させることで、一対のグリッパ13をパウチ4に対して両側に退避させる(グリッパ退避ステップS4)。そうすると、パウチ4の幅方向の両側の端部4Eが、第1挟持部130-1および第2挟持部130-2のいずれからも分離する。
その結果、パウチ4が、グリッパ13により把持されていた時の位置に残され、計量部5の支持具のみに接触した状態に支持される。つまり、グリッパ退避ステップS4は、グリッパ開ステップS3によりパウチ4が挟持部130-1,130-2から分離した時の位置に留まった状態で行われる。
【0039】
グリッパ退避ステップS4は、グリッパ開ステップS3におけるグリッパ13の開く動作を終えた後に開始することができる。あるいは、グリッパ退避ステップS4は、グリッパ13の開く動作の開始直後に、グリッパ13の開く動作と並行して行うこともできる。この場合、グリッパ退避ステップS4とグリッパ13の開く動作とがほぼ同時に進行するため、計測等の処理に要する時間を短縮することができる。
【0040】
受け渡し箇所P1におけるグリッパ13から計量部5へのパウチ4の受け渡しのステップS1~S4を通じてパウチ4の位置は変化していない。引き続き、パウチ4がグリッパ13から分離した時の位置に留まった状態で、制御部3からの指令に従って、計量部5によりパウチ4の重量の計測が行われる(計量処理ステップS5)。
【0041】
本実施形態とは違い、パウチ4の例えば上端部を計量部5の支持具により把持し、開いた状態のグリッパ13から支持具によりパウチ4をアーム12の先端側に向けて引き抜くといった受け渡し方法を採用する場合は、パウチ4が移動するため、パウチ4が揺れ易い。それに対し、パウチ4の上端部4Uを計量部5により支持した状態でグリッパ13を開き、可動子10の移動に伴いグリッパ13をパウチ4から退避させる本実施形態の受け渡し方法によれば、極力、パウチ4を変位させずに、グリッパ13から離れた時の位置にパウチ4を留めたまま、グリッパ13から計量部5へのパウチ4の受け渡しが行われるので、受け渡し時にパウチ4が揺れるのを抑えることができる。
【0042】
受け渡し箇所P1に可動子10が停止する際、グリッパ13が開いて第2挟持部130-2がパウチ4から離れる際、あるいは可動子10の移動により第1挟持部130-1がパウチ4から離れる際にパウチ4の一部が僅かに変形・変位するとしても、パウチ4の全体の位置としては変化しない。
また、グリッパ13によりパウチ4が安定して把持されているため、計量部5の支持具がパウチ4の上端部4Uに接触した際にもパウチ4が揺れ難い。
【0043】
グリッパ退避ステップS4を経て、グリッパ13から計量部5へとパウチ4を動かさずにパウチ4の受け渡しが行われるので、揺れが計量の精度に影響することを避けて、内容物の入ったパウチ4の重量を精度よく計量することができる。
計量部5によるパウチ4の計量の開始時において、パウチ4が静止していることが好ましいが、計量開始時にパウチ4が若干揺れていたとしても、計量の進行に伴いパウチ4が静止し、あるいは揺れが許容限度まで収束するので、計量部5から安定した計測値を得ることができる。
つまり、本実施形態によれば、計量部5に向けてパウチ4が引き抜かれる場合等、計量部5へのパウチ4の受け渡し時にパウチ4が動くことで、パウチ4の揺れの度合が大きい場合と比べ、安定した計測値を得ることができるまでの時間を短縮することが可能となる。そうすると、受け渡し箇所P1に可動子10を停止させ、グリッパ13から計量部5へとパウチ4を受け渡した後、計測処理を完了するまでに要する時間を短縮することができる。
【0044】
計量が完了したならば、制御部3からの指令に基づいて、一対の可動子10を互いに近接させ、一対のグリッパ13をそれぞれ閉じる(
図2参照)。第1挟持部130-1と第2挟持部130-2との間にパウチ4の端部4Eが把持されたならば、計量部5によるパウチ4の支持を解除する。その後、搬送路2から下流工程へと移送される。
【0045】
以上より、本実施形態によれば、グリッパ13から計量部5へとパウチ4をその場に留めたまま受け渡し、引き続き、パウチ4の姿勢、形状が安定した状態でパウチ4の重量の計測が行われることにより、パウチ4の揺れを抑えて計量処理を安定して行うことができる。そのため、パウチ4の重量を精度良く迅速に計測することができるので、製品の品質安定および生産性向上に寄与することができる。
【0046】
本実施形態によれば、パウチ4と周囲の部材との接触を断つことが必要な重量計測のためにパウチ4を搬送路2から離れた位置に移動させるのではなく、搬送路2上の受け渡し箇所P1にパウチ4を留めたまま、搬送路2の方向への可動子10の移動によりパウチ4の両側にグリッパ13を退避させる。グリッパ13が片開き機構であるためグリッパ13を開いた時点では第1挟持部130-1にパウチ4が接触しているとしても、パウチ4の両側へのグリッパ13の退避により、第1挟持部130-1を含めたグリッパ13全体からパウチ4を確実に分離させることができる。
なお、グリッパ13が両開きであっても、開いた状態における第1挟持部130-1と第2挟持部130-2との間隔、および張力付与の解除された状態のパウチ4の上端部4Uよりも下側の姿勢、形状によっては、端部4Eがグリッパ13に接触する可能性があるから、やはり、可動子10の移動によるパウチ4の両側へのグリッパ13の退避によって、パウチ4をグリッパ13から確実に分離させることができる。
【0047】
本実施形態によれば、包装搬送装置1の必須の要素である可動子10を利用して受け渡しが行われる。包装搬送装置1に備えられているグリッパ13および可動子10をそれぞれ動作させるだけで、包装搬送装置1に他の要素を付加する必要なく、パウチ4の揺れを抑えて、計量部5等の処理部による安定した処理を実現することができる。
【0048】
[第2実施形態]
次に、
図6~
図8を参照して第2実施形態に係る包装搬送装置および包装受け渡し方法について説明する。以下、第1実施形態と相違する事項を中心に説明する。第1実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付している。
第2実施形態の包装搬送装置は、搬送路2(
図1)を移動可能な可動子10のアーム12の先端側およびグリッパ50を示している。可動子本体11(
図1)の図示は省略する。
【0049】
図6は、受け渡し箇所P1において計量部5によりパウチ4の重量の計測処理が行われ(計量処理ステップS5)、計量を終えたパウチ4を計量部5からグリッパ50に受け取るまでのステップS6,S7を示している。
パウチ4の計量処理を完了したならば、上述のステップS3,S4とは逆に、制御部3からの指令に基づいて一対の可動子10を互いに近接する向きに移動させることで一対のグリッパ50をパウチ4の端部4Eの位置まで移動させ(グリッパ位置決めステップS6)、さらに閉指令に基づいて各グリッパ50の駆動機構により第1挟持部51と第2挟持部52との間を閉じることで、パウチ4の両側の端部4Eを把持する(グリッパ閉ステップS7)。
【0050】
パウチ4は、柔軟な素材から形成されており、計量処理ステップS5においては、グリッパ50から分離している。そのため、計量部5により把持されている上端部4Uよりも下側、つまり部材によって支持されていない部分が、パウチ4のxz面に沿った基準の姿勢、形状から、面外方向(y方向)に変位している場合がある。
そのようにパウチ4が面外方向に変位していたとしても、一対の可動子10を互いに近接させるステップS6において、パウチ4の端部4Eに対して第1、第2挟持部51,52の弾性体等が干渉することのないよう、かつ、必要な把持力を確保できるように、第2実施形態のグリッパ50は構成されている。
パウチ4は柔軟であるため形状が定まりにくく、しかも片開きのグリッパ50が採用されているため、第1挟持部51と第2挟持部52との間のy方向の中央に対してパウチ4が片側(ここでは第1挟持部51側)に偏って配置される場合がある。パウチ4の偏在のため、パウチ4の端部4Eと第1挟持部51とが近接しているとしても、一対の可動子10を近接させるときのグリッパ50とパウチ4との干渉を防いで、パウチ4のグリッパ50への噛み込みや、パウチ4の傷付き等を避けることができる。
【0051】
第2実施形態のグリッパ50は、パウチ4を間に挟み込む第1挟持部51および第2挟持部52を備えている。
図7は、
図6のVII矢印の向きから第1挟持部51および第2挟持部52を示す図である。
図8は、
図7のVIII矢印の向きから第1挟持部51および第2挟持部52を示す図である。
グリッパ50は、第1実施形態のグリッパ13(
図2)と同様に、第1挟持部51をなす第1弾性体511および第1基体512と、第2挟持部52をなす第2弾性体521および第2基体522と、第1挟持部51および第2挟持部52を開閉させる図示しない駆動機構とを備えている。
【0052】
第1弾性体511および第2弾性体521はそれぞれ、第1実施形態の弾性体132と同様に構成されている。また、第1基体512および第2基体522は、それらの配置を除いて、第1実施形態の基体131と同様に構成されている。
また、第1実施形態と同様、アーム12に固定されている第1挟持部51に対して第2挟持部52が離隔することで、グリッパ50は、把持するパウチ4に対して片側のみに開く。グリッパ50の図示しない駆動機構は、第2基体522を第1基体512に対してパウチ4の面外方向(y方向であり、挟持部51,52間にパウチ4を挟む把持方向)に近接または離隔させる。このとき、第2弾性体521も、当該駆動機構により第2基体522と共にy方向に移動する。
以下において、搬送路2の方向(x方向)と、パウチ4を挟む把持方向(y方向)との両方に対して交差する方向(z方向)のことをパウチ4の長さ方向と称する。
【0053】
グリッパ50の特徴を説明する。
第1挟持部51は、パウチ4の第1面4Aに配置される第1弾性体511と、第1基体512からパウチ4の長さ方向(z方向)にシフトした位置で第1面4Aに配置される第1基体512とを含んでいる。
第2挟持部52は、第1弾性体511に対向してパウチ4の第2面4Bに配置される第2弾性体521と、第1基体512、第1弾性体511および第2弾性体521のいずれに対してもパウチ4の長さ方向にシフトした位置でパウチ4の第2面4Bに配置される第2基体522とを含んでいる。
上記のように、パウチ4を挟んで第1弾性体511と第2弾性体521とが対向し、それら弾性体511,521とはパウチ4の長さ方向(z方向)に異なる位置で、第1基体512と第2基体522とが互いにシフトした状態で配置されることに基づくと、グリッパ50に要請される把持力を確保しつつ、可動子10の移動により第1挟持部51と第2挟持部52との間にパウチ4の端部4Eを受け入れる際のグリッパ50とパウチ4との干渉を避けることができる。
【0054】
まず、グリッパ50の把持力の確保について説明する。第1弾性体511、第1基体512、第2弾性体521、および第2基体522の上記の配置に基づくと、第1弾性体511と第2弾性体521とが、把持力の確保に足りるほど互いに十分に押圧されるまで、第2基体522を第2面4B側から第1面4A側へと把持方向(y方向)に移動させることが可能となる。つまり、第1基体512の位置と第2基体522の位置とがシフトしているので、グリッパ50の駆動機構により、第1基体512に向けてy方向に移動する第2基体522の前方には第1基体512が存在しない(
図8に示す楕円形VIIIの内側の図を参照)。そのため、第1基体512と第2基体522とが干渉することなく、
図8に示すように第2基体522がy方向において第1基体512と一部重なる、あるいは第2基体522が第1基体512を超える位置まで、第2基体522をy方向に移動させることができる。こうした第1基体512と第2基体522との相対変位に伴い、第2弾性体521が、対向する第1弾性体511に対して加圧されることで、第1弾性体511と第2弾性体521とを十分に弾性変形させて把持力を確保することができる。
【0055】
第1実施形態(
図2の拡大図参照)では、第1、第2挟持部130-1,130-2のそれぞれの基体131、およびそれぞれの弾性体132のいずれも、パウチ4の長さ方向(z方向)における同じ位置に配置されている。第1、第2挟持部130-1,130-2のいずれにおいても、基体131の押さえ部131Aの内側に弾性体132が重ねて配置されているから、パウチ4を挟んで、第1挟持部130-1の基体131および弾性体132と、第2挟持部130-2の弾性体132および基体131とが積層される。
それに対し、第2実施形態では、
図8に示すように、パウチ4の厚さ方向(y方向)において、第1基体512と第2基体522とが重ねて配置されていない。これに基づいて、グリッパ50とパウチ4との干渉を避けることができるとともに、グリッパ50を全体として薄型に形成することができる。
【0056】
グリッパ50とパウチ4との干渉を避けることについて説明する。
第1基体512と第1弾性体511とがパウチ4の長さ方向(z方向)に並ぶので、例えば
図8の楕円形VIIIの内側の図に示すが如く、第1基体512の押さえ部501Aと、第1弾性体511との双方がパウチ4の第1面4Aに対向する。z方向に並ぶ第2基体522および第2弾性体521についても同様に、第2基体522の押さえ部501Aと、第2弾性体521との双方がパウチ4の第2面4Bに対向する。
そうすると、第1基体512および第2基体522のそれぞれのガイド部501B(
図6および
図7)の間に、
図8の紙面に対して直交する方向に沿って挿入されたパウチ4の端部4Eを、引き続き押さえ部501Aによってガイドしつつ、第1弾性体511と第2弾性体521との間の所定位置まで、弾性体511,521とパウチ4との干渉を抑えてスムーズに挿入させることが可能となる。
パウチ4との干渉をより十分に避けるため、
図8の楕円形VIIIの内側の図に示すように、グリッパ50が開いているとき(弾性体511,521がパウチ4から離れているとき)、パウチ4の第1面4Aに対して、第1基体512の押さえ部501Aが第1弾性体511よりも近接していることが好ましい。同様に、パウチ4の第2面4Bに対して、第2基体522の押さえ部501Aが第2弾性体521よりも近接していることが好ましい。
図8に示す例では、第1弾性体511の突起502を含めた厚さよりも第1基体512の厚さを大きく設定することにより、第1弾性体511と比べて第1基体512をパウチ4に近接させている。第2弾性体521および第2基体522についても同様である。
上記に限らず、第1基体512および第1弾性体511のそれぞれのパウチ4に接触する部分をパウチ4の第1面4Aを基準として略同一の高さに配置することができ、第2基体522および第2弾性体521のそれぞれのパウチ4に接触する部分をパウチ4の第2面4Bを基準として略同一の高さに配置することができる。
【0057】
パウチ4は、第1基体512の押さえ部501Aと、その押さえ部501Aに対してz方向にシフトしている第2基体522の押さえ部501Aとの間で、y方向に位置決めされる。そこで、本実施形態の
図7および
図8に示すように、z方向において、第1基体512の押さえ部501Aと、第2基体522の押さえ部501Aとの間に第1弾性体511および第2弾性体521を配置することにより、パウチ4と弾性体511,521との干渉をより十分に抑えることができる。
【0058】
図7および
図8に示す例では、第1弾性体511および第2弾性体521の位置を基準として、第1基体512が上側に、第2基体522が下側に配置されているが、逆でもよい。
【0059】
一対の可動子10を近接させる際のグリッパ50とパウチ4との干渉を避けるため、例えば、下記の構成を採用することができるが、本実施形態によれば、必ずしも、下記のように計量部5をグリッパ50に対して移動させる機構を追加したり、第1挟持部51を駆動する機構を追加してグリッパ50を両開きにしたりする必要がない。
例えば、グリッパ50を開いた状態でカメラ等により、第1挟持部51と第2挟持部52との間におけるパウチ4の端部4Eのy方向の位置を検知した結果に基づいて、第1挟持部51と第2挟持部52との間のy方向の中央にパウチ4が配置されるように、パウチ4を支持している計量部5の支持具をy方向に移動させるとよい。
あるいは、グリッパ50を両開きにすることで、片開きと比べ、第1挟持部51と第2挟持部52とのy方向の間隔を拡げることによっても、グリッパ50とパウチ4との干渉を避けることができる。
【0060】
本実施形態によれば、第1弾性体511、第1基体512、第2弾性体521、および第2基体522の上述した配置に基づいて、片開きを採用しつつ、第1挟持部51および第2挟持部52の間へのパウチ4の挿入時の干渉を避けることができ、かつ、第1弾性体511および第2弾性体521の弾性変形により把持力を担保することができる。
なお、第1弾性体511、第1基体512、第2弾性体521、および第2基体522の上述した配置を採用するとともに、上記に例示したような、パウチ4の位置の検知結果に基づく計量部5の移動や、両開きのグリッパを採用することは妨げられない。
【0061】
弾性体511,521間にパウチ4が挿入された状態で、第2挟持部52が図示しない駆動機構により第2面4B側から第1面4A側に向けてy方向に駆動される(グリッパ閉ステップS7)。そうすると、
図8に示すように、第1弾性体511に対して第2弾性体521が加圧されることで、第1弾性体511と第2弾性体521とが弾性変形するので、弾性体511,521間にパウチ4が十分な把持力により把持される(パウチ把持ステップS8)。その後、計量部5によるパウチ4の上端部4Uの支持を解除するとよい。
【0062】
[第2実施形態の変形例]
図9および
図10を参照して、第2実施形態を発展させた第1変形例に係るグリッパ80を説明する。第2実施形態(
図6~
図8)のグリッパ50からグリッパ80への代替が可能である。
図9に示すグリッパ80は、パウチ4を挟み込む第1挟持部81および第2挟持部82を備える。第1挟持部81はパウチ4の第1面4A側に配置される。第2挟持部82はパウチ4の第2面4B側に配置される。
第1挟持部81は、第1弾性体811と、第1基体812とを含む。第2挟持部82は、第2弾性体821と、第2基体822とを含む。第1挟持部81および第2挟持部82は全体として、パウチ4の長さ方向(z方向)に櫛歯状に配置されている。第1基体812および第2基体822の少なくとも一方、本例では第1基体812は、複数の櫛歯801を含んで櫛歯状に形成されている。
第1基体812は、z方向に分離した2つの櫛歯801と、これらの櫛歯801を基端側で連結する連結部802とを備えている。櫛歯801は、押さえ部501Aおよびガイド部501Bに相当する。第2基体822は、単一の櫛歯801のみを有している。
【0063】
本例においては、z方向にシフトしている2つの櫛歯801が、第1挟持部81および第2挟持部82の全体の櫛歯の列の両端に位置している。z方向において、2つの櫛歯801の間に、パウチ4を両面側から挟んで対向する第1弾性体811および第2弾性体821の2組が配置されている。第2基体822(櫛歯801)は、第1弾性体811および第2弾性体821の上側の組と、第1弾性体811および第2弾性体821の下側の組との間に配置されている。
その他、第1挟持部81および第2挟持部82のそれぞれに適宜な数の櫛歯801を与え、それら櫛歯801と、第1弾性体811および第2弾性体821とを適宜に組み合わせて櫛歯状に配置することが可能である。
【0064】
第1弾性体811と第2弾性体821との間にパウチ4を把持するとき、弾性体811,821が十分に弾性変形するまで第1基体812と第2基体822とを互いに干渉せずにy方向に相対変位させる必要がある。これを実現するため、第1基体812および第2基体822の少なくとも一方(ここでは第1基体812)に段差803を設けることで第1基体812と第2基体822とのそれぞれの基端側を離間させ、かつ、第1基体812および第2基体822のそれぞれの櫛歯801をz方向において互い違いに配置している。
【0065】
本変形例においても、上述の第2実施形態(
図7および
図8)と同様に、パウチ4を挟んで対向する弾性体811,821と、第1基体812と、第2基体822とがz方向に位置を違えて配置されている。この配置に基づいて、第2実施形態と同様に、把持力を確保しつつ、グリッパ80の弾性体811,821とパウチ4との干渉を避けることができる。
本変形例においても、パウチ4との干渉をより十分に避けるため、グリッパ80が開いているとき、パウチ4の第1面4Aに対して、第1基体812の押さえ部501Aが第1弾性体811よりも近接していることが好ましい。同様に、パウチ4の第2面4Bに対して、第2基体822の押さえ部501Aが第2弾性体821よりも近接していることが好ましい。
【0066】
加えて、本変形例によれば、第1基体812の櫛歯801の押さえ部501Aと、第2基体822の櫛歯801の押さえ部501Aとにより、z方向の複数の位置でパウチ4が両面側から安定して押さえられるので、パウチ4がy方向に安定した姿勢に維持される。
そのため、パウチ4と弾性体811,821との干渉を避けつつ、パウチ4を弾性体811,821の間に安定して把持することができる。
【0067】
[第2実施形態の第2変形例]
図11および
図12を参照して、第2実施形態の第2変形例に係るグリッパ70を説明する。
図11に示すグリッパ70は、パウチ4を挟み込む第1挟持部71および第2挟持部72を備える。
第1挟持部71は、第1弾性体511と、櫛歯状の第1基体712とを含む。第2挟持部72は、第2弾性体521と、櫛歯状の第2基体722とを含む。
第1基体712は、パウチ4の長さ方向(z方向)に分離した複数の櫛歯701と、複数の櫛歯701を基端側で連結する連結部702とを備えている。櫛歯701は、押さえ部501Aおよびガイド部501Bに相当する。第2基体722も、第1基体712と同様に構成されている。なお、第1基体712の櫛歯701の数と、第2基体722の櫛歯701の数は、同じでも相違していてもよい。また、第1基体712および第2基体722のいずれか一方が、単一の櫛歯701のみを有していてもよい。
【0068】
第2変形例においても、上記の第1変形例と同様に、第1基体712および第2基体722の少なくとも一方(ここでは第1基体712)に段差703を設けることで第1基体712の連結部702と第2基体722の連結部702とを離間させ、かつ、第1基体712および第2基体722のそれぞれの櫛歯701をz方向において互い違いに配置している。このように噛み合わせられる第1基体712および第2基体722は、第1弾性体511および第2弾性体521に対してz方向にシフトした位置に配置される。
【0069】
本変形例においても、パウチ4を挟んで対向する弾性体511,521と、第1基体712と、第2基体722とがz方向に位置を違えて配置されているので、把持力を確保しつつ、グリッパ70の弾性体511,521とパウチ4との干渉を避けることができる。
パウチ4との干渉をより十分に避けるため、グリッパ70が開いているとき、パウチ4の第1面4Aに対して、第1基体712の押さえ部501Aが第1弾性体511よりも近接していることが好ましい。同様に、パウチ4の第2面4Bに対して、第2基体722の押さえ部501Aが第2弾性体521よりも近接していることが好ましい。
【0070】
第1基体712の櫛歯701の押さえ部501Aと、第2基体722の櫛歯701の押さえ部501Aとにより、z方向の複数の位置でパウチ4が両面側から安定して押さえられるので、パウチ4がy方向に安定した姿勢に維持される。そのため、弾性体511,521のz方向における位置にかかわらず、パウチ4と弾性体511,521との干渉を避けつつ、パウチ4を弾性体511,521の間に安定して把持することができる。
【0071】
上記以外にも、上記実施形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
本開示における搬送対象たる包装は、パウチには限られず、例えば、樹脂製の袋体であってもよい。
【0072】
本開示の包装搬送装置のグリッパから包装が受け渡される処理部は、計量部には限らず、他の適宜な装置であってもよい。その場合も、受け渡し時の包装の揺れを抑え、処理を安定して行うことができる。
【0073】
一対の可動子のそれぞれに設けられるグリッパの数は問わない。例えば、各可動子に2つのグリッパが設けられていれば、一対の可動子に備わる二対のグリッパにより、2つの包装を把持して搬送することができるので、同一処理能力下において、搬送路長を抑えて装置のコストおよび設置スペースを節減することができる。
【0074】
〔付記〕
以上で説明した包装搬送装置および包装受け渡し方法は、以下を開示する。
[1]包装(4)を個々に把持しつつ搬送路2に沿って搬送する搬送装置1は、搬送路2の方向に並び、搬送路2の方向に移動可能な複数の可動子10と、可動子10にそれぞれ支持され、包装(4)の両側の端部4Eを把持する一対のグリッパ13(または50)と、を備える。搬送装置1と、包装(4)に処理を行う処理部(5)との間で包装(4)を受け渡すために搬送路2に定められた受け渡し箇所P1において、一対のグリッパ13(または50)がそれぞれ開き、かつ、可動子10の移動により一対のグリッパ13(または50)が包装(4)に対して両側に退避するように構成されている。
[2]複数の可動子10のそれぞれの位置を制御可能な制御装置3を備える。制御装置3により、受け渡し箇所P1に位置する一対のグリッパ13(または50)に関し、処理部に包装(4)が支持されるのに続いて、グリッパ13(または50)を開く開指令が発せられた後、可動子10を互いに離隔する向きに移動させる退避指令が発せられる。
[3]受け渡し箇所P1において、包装(4)は、処理部(5)により鉛直方向の上端部を把持され、一対のグリッパ13(または50)は、鉛直方向(z方向)に対して交差する方向に沿って包装(4)から退避する。
[4]処理部(5)は、包装(4)を計量する計量装置である。
[5]グリッパ13(または50)は、把持する包装(4)に対して包装(4)の第1の面4A側または第2の面4B側のうちの一方に向けて開く。
[6]グリッパ50は、包装(4)を間に挟み込む第1の挟持部51および第2の挟持部52を備え、搬送路2の方向(x方向)と、包装(4)を挟む把持方向(y方向)との両方に対して交差する方向(z方向)が、包装の長さ方向(z方向)であるものとして、第1の挟持部51は、包装(4)の第1の面4Aに配置される第1の基体512と、第1の基体512から長さ方向(z方向)にシフトした位置で第1の面4Aに配置される第1の弾性体511と、を含む。第2の挟持部52は、第1の弾性体511に対向して包装(4)の第2の面4Bに配置される第2の弾性体521と、第1の基体512、第1の弾性体511、および第2の弾性体521のいずれに対しても長さ方向(z方向)にシフトした位置で第2の面4Bに配置される第2の基体522と、を含む。
第1の基体512と第2の基体522との把持方向(y方向)への相対変位に伴い、第1の弾性体511と第2の弾性体521とが包装(4)を挟んで互いに押圧される。
[7]グリッパ50が開いているとき、第1の面4Aに対して、第1の基体512は第1の弾性体511よりも近接しており、第2の面4Bに対して、第2の基体522は第2の弾性体521よりも近接している。
[8]第1の基体(512,712,812)および第2の基体(522,722,822)の少なくとも一方が、櫛歯状に形成され、第1の基体(512,712,812)と第2の基体522(522,722,822)とにより、包装(4)は、包装(4)の長さ方向(z方向)における複数の位置で両面側から押さえられる。
[9]また、本開示は、包装(4)を個々に把持しつつ搬送路2に沿って搬送する包装搬送装置1と、包装(4)に対して処理を行う処理部(5)との間で包装(4)を受け渡す方法であって、包装搬送装置1は、搬送路2の方向に並び、搬送路2の方向に移動可能な複数の可動子10と、可動子10にそれぞれ支持され、包装(4)の両側の端部4Eを把持する一対のグリッパ13(または50)と、を備える。搬送装置と処理部(5)との間で包装(4)を受け渡すために搬送路2に定められた受け渡し箇所P1において、処理部(5)に包装(4)が支持されるのに続いて、一対のグリッパ13(または50)をそれぞれ開くステップS3と、一対の可動子10を互いに離隔する向きに移動させることで一対のグリッパ13(または50)を包装(4)に対して両側に退避させるステップS4と、を含む。
[10]一対のグリッパ13(または50)を退避させるステップS4は、一対のグリッパ13(または50)をそれぞれ開くステップS3により包装(4)がグリッパ13(または50)から分離した時の位置に留まった状態で行われる。
[11]処理部(5)は、包装(4)を計量する計量装置に相当する。
[12]上記(6)および(7)の包装搬送装置1と、包装(4)に対して処理を行う処理部(5)との間で包装(4)を受け渡す方法であって、受け渡し箇所P1において、処理が行われた包装(4)を処理部(5)から一対のグリッパ13(または50)に受け取るステップは、一対の可動子10を互いに近接する向きに移動させるステップS6と、一対のグリッパ13(または50)を閉じるステップS7と、を含む。
【符号の説明】
【0075】
1 包装搬送装置
2 搬送路
3 制御部(制御装置)
4 パウチ(包装)
5 計量部(処理部、計量装置)
4A 第1面
4B 第2面
4E 端部
4U 上端部
10 可動子
11 可動子本体
12 アーム
13 グリッパ
21,23 直線路
22,24 湾曲路
41 フィルム素材
41A 周縁
42 開口部
50,70,80 グリッパ
51,71,81 第1挟持部
52,72,82 第2挟持部
130 挟持部
130-1 第1挟持部
130-2 第2挟持部
131 基体
131A 押さえ部
131B ガイド部
132 弾性体
132A 突起
501A 押さえ部
501B ガイド部
502 突起
511,711,811 第1弾性体
512,712,812 第1基体
521,721,821 第2弾性体
522,722,822 第2基体
701,801 櫛歯
702,802 連結部
703,803 段差
L 中心線
P1 受け渡し箇所
S1 可動子停止ステップ
S2 パウチ支持ステップ
S3 グリッパ開ステップ
S4 グリッパ退避ステップ
S5 計量処理ステップ
S6 グリッパ位置決めステップ
S7 グリッパ閉ステップ
S8 パウチ把持ステップ
x 搬送路の方向
y パウチの面外方向、パウチの厚さ方向、把持方向
z パウチの長さ方向、鉛直方向