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特開2024-119913画像処理装置及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119913
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】画像処理装置及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/42 20060101AFI20240827BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240827BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
B41J29/42 F
H04N1/00 E
H04N1/00 127A
B41J29/38 204
B41J29/42 E
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024093842
(22)【出願日】2024-06-10
(62)【分割の表示】P 2020165327の分割
【原出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 佑香
(57)【要約】
【課題】必要な時だけサーバに接続可能とすることで、無駄な通信やユーザの不意の誤操作を回避する。
【解決手段】複合機200、情報管理サーバ100と通信可能な通信インタフェース270と、操作部250と、プロセッサ210と、を備え、プロセッサ210は、情報管理サーバ100を利用したサービスの提供を行う契約が成立していない場合において、操作部250により複合機200と情報管理サーバ100とを通信させる特定操作を操作不能とする操作不能化処理と、契約が成立した場合は、操作部250の特定操作を操作可能とする操作可能化処理と、を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと通信可能な通信部と、
操作部と、
制御部と、
カートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、
を備え、
前記制御部は、
前記サーバを利用したサービスの提供を行う契約が成立していない場合において、前記操作部により前記通信部と前記サーバとを通信させる特定操作を操作不能とする操作不能化処理と、
前記契約が成立した場合は、前記操作部の前記特定操作を操作可能とする操作可能化処理と、
を実行し、
前記カートリッジ装着部へ装着することにより前記契約に基づく課金が開始されるように構成された特定カートリッジを当該カートリッジ装着部へ装着したことに応じて、前記契約が成立したとして前記操作可能化処理を実行することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記操作部は、
前記サーバとの接続が途切れた場合に、当該サーバとの再接続を試行する再接続指示部を含む
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、
前記サーバとの接続が維持されている状態で前記再接続指示部が操作された場合は、当該サーバとの再接続を試行し、試行した結果接続されたか否かを前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
表示部をさらに備え、
前記操作部は、
前記表示部に操作可能に表示される第1オブジェクトを含む
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記操作不能化処理において前記第1オブジェクトを前記表示部に表示せず、
前記操作可能化処理において前記第1オブジェクトを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1オブジェクトの表示データを記憶している記憶部をさらに備え、
前記記憶部に記憶されていた前記表示データを用いて、前記第1オブジェクトを、前記操作不能化処理による前記特定操作が不能な状態から前記操作可能化処理による前記特定操作が可能な状態に切り替える
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに
前記契約の成立後、前記サーバとの接続状態が維持されている間は、前記接続状態であることを表す第2オブジェクトを前記表示部に表示する第2オブジェクト表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第2オブジェクト表示処理で前記第2オブジェクトが前記表示部に表示されている場合には、前記操作可能化処理において例外的に前記操作部の特定操作を不能化する
を実行することを特徴とする請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、さらに、
前記契約の成立前においては、前記第1オブジェクトを含む前記契約に関わる情報にアクセスするための第3オブジェクトを前記表示部において操作不能な状態とする第3オブジェクト不能化処理と、
前記契約の成立後においては、前記第3オブジェクトを前記表示部において操作可能な状態とする第3オブジェクト可能化処理と、
を実行することを特徴とする請求項4乃至請求項8のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第3オブジェクト可能化処理において、
電源がONされた後に前記サーバとの接続が完了するまでの間は例外的に前記第3オブジェクトを操作不能な状態とし、前記サーバとの接続が完了した後には前記第3オブジェクトを操作可能な状態とする
ことを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
表示部をさらに有し、
前記操作部は、
前記表示部に操作可能に表示され、前記サーバとの接続が途切れた場合に当該サーバとの再接続を試行する再接続ボタンであり、
前記制御部は、さらに
前記契約の成立後、前記サーバとの接続状態が維持されている間は、前記接続状態であることを表す接続状態表示を前記表示部に表示する接続表示処理と、
前記契約の成立前においては、前記再接続ボタン及び前記接続状態表示にアクセスするためのアクセスボタンを前記表示部において操作不能な状態とするアクセスボタン不能化処理と、
前記契約の成立後においては、前記アクセスボタンを前記表示部において操作可能な状態とすることで、前記再接続ボタン及び前記接続状態表示にアクセス可能とするアクセスボタン可能化処理と、
を実行することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、さらに
前記契約の成立後、前記サーバとの接続状態が維持されている間は、前記接続状態であることを表すランプを点灯させる点灯処理
を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記点灯処理で前記ランプが点灯されている場合には、前記操作可能化処理において例外的に前記操作部の特定操作を操作不能とする
ことを特徴とする請求項12記載の画像処理装置。
【請求項14】
被記録媒体に画像を記録する記録部と、
表示部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記サーバとの接続が途切れた状態における前記記録部による印刷した数が所定の上限値に到達したか否かを判定する上限判定処理と、
前記上限判定処理により前記印刷した数が前記上限値に到達したと判定された場合に、対応する警告表示を前記表示部にて行う警告表示処理と、
前記警告表示が行われた状態で前記操作部による前記特定操作が行われた場合に、前記サーバとの再接続を試行する再接続試行処理と、
前記再接続の試行により前記サーバとの接続に成功したとき、対応する警告解除表示を前記表示部にて行う警告解除表示処理と、
を実行することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記制御部は、さらに、
前記契約が解除された場合に、前記操作可能化処理により操作可能とされた前記操作部の前記特定操作を再び操作不能とする不能化復帰処理
を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、
前記契約の完了通知を前記画像処理装置がサーバから受信した時に、前記契約が成立したとして前記操作可能化処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、
前記契約の完了通知を前記画像処理装置がサーバから受信し、対応する応答を前記サーバに送信した時に、前記契約が成立したとして前記操作可能化処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項18】
サーバと通信可能な通信部と、操作部と、プロセッサと、カートリッジが装着されるカートリッジ装着部と、を有する画像処理装置に備えられた前記プロセッサに対し、
前記サーバを利用したサービスの提供を行う契約が成立していない場合において、前記操作部により前記通信部と前記サーバとを通信させる特定操作を操作不能とする操作不能化ステップと、
前記契約が成立した場合は、前記操作部の前記特定操作を操作可能とする操作可能化ステップと、を実行させ、
前記カートリッジ装着部へ装着することにより前記契約に基づく課金が開始されるように構成された特定カートリッジを当該カートリッジ装着部へ装着したことに応じて、前記契約が成立したとして前記操作可能化ステップを実行させる画像処理プログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を処理する画像処理装置及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、ネットワークプリンタシステムにおいて、プリンタとホストコンピュータとを接続させるための接続ボタンをプリンタに設けた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-104586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、画像処理装置を使用するユーザがその画像処理装置を販売するサービス業者に対し印刷内容に応じた課金料金を支払う、サブスクリプション契約が結ばれる場合がある。このサブスクリプション契約が締結された場合は、ネットワークを介して画像処理装置とサーバとが常時接続されていることが望ましく、もし接続が切れた場合にはすみやかに再接続することが必要である。したがって、このようなサブスクリプション契約が締結された画像処理装置において、上記従来技術を適用して接続ボタンを設けることが考えられる。
【0005】
しかしながら上記の場合、サブスクリプション契約が結ばれる前の状態では画像処理装置とサーバとを接続する必要はなく、接続ボタンを設けることで無駄な通信が行われたりユーザによる不意の誤操作が生じたりする弊害がある。
【0006】
本発明の目的は、必要な時だけサーバに接続可能とすることで、無駄な通信やユーザの不意の誤操作を回避することができる画像処理装置及び画像形成処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本願発明は、サーバと通信可能な通信部と、操作部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記サーバを利用したサービスの提供を行う契約が成立していない場合において、前記操作部により前記通信部と前記サーバとを通信させる特定操作を操作不能とする操作不能化処理と、前記契約が成立した場合は、前記操作部の前記特定操作を操作可能とする操作可能化処理と、を実行することを特徴とする。
【0008】
本願発明の画像処理装置においては、サーバに対し通信可能な通信部が設けられている。通信部は、操作部において特定操作がなされたことを契機に、サーバに対し通信を行うことができる。そして、この通信部とサーバとの間の通信の可否が、サーバを利用したサービスの提供を行う所定の契約が成立しているか否かで切り替えられる。
【0009】
すなわち、上記契約が成立していない場合は、制御部が操作不能化処理を実行することにより、通信部とサーバとを通信させる上記特定操作が操作不能とされる。したがってこの場合は、ユーザが操作部を介し特定操作を行ったとしても、通信部とサーバとの間で通信が行われることはない。
【0010】
一方、上記契約が成立した場合、その成立後に制御部が操作可能化処理を実行することにより、上記特定操作が操作可能とされる。したがって、ユーザが操作部を介し特定操作を行うことで、通信部とサーバとの間で通信を行わせることができる。
【0011】
以上の結果、本願発明によれば、画像処理装置とサーバとの通信が必要でない契約締結前には画像処理装置をサーバに接続不能としつつ、画像処理装置とサーバとの通信が必要な契約締結後には画像処理装置をサーバに接続可能とすることができる。この結果、前述した無駄な通信やユーザの不意の誤操作を回避することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、必要な時だけサーバに接続可能とすることで、無駄な通信やユーザの不意の誤操作を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態による印刷システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
図2】情報端末、複合機、情報管理サーバ、配送サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図3】印刷契約の締結後における、複合機のタッチパネルでの操作及び画面表示の遷移を表す説明図である。
図4】印刷契約の締結前における、複合機のタッチパネルでの操作及び画面表示の遷移を表す説明図である。
図5】印刷契約の締結後における、複合機のタッチパネルでの操作及び画面表示の遷移を表す説明図である。
図6】印刷制限制御を実現するために複合機のプロセッサが実行する制御手順を表すフローチャートである。
図7】契約了承通知を情報管理サーバへ送信後に「Subscription Service」ボタンを表示開始する変形例において、情報端末、複合機、情報管理サーバ、配送サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
図8】カートリッジを装着後に「Subscription Service」ボタンを表示開始する変形例において、情報端末、複合機、情報管理サーバ、配送サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る印刷システムを図1に示す。本実施形態は、顧客であるユーザがサーバを利用したサービスの提供を受ける契約、詳細には、ユーザが料金を支払って複合機200の印刷機能を使用するいわゆるサブスクリプション契約等の印刷契約を実行可能な、印刷システム1の実施形態である。
【0015】
<印刷システムの概要>
図1において、この印刷システム1は、情報管理サーバ100と、複合機200と、モバイル端末300と、配送管理サーバ400と、を含んでいる。これら情報管理サーバ100、複合機200、モバイル端末300、及び配送管理サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。なお、複合機200が画像処理装置の一例である。
【0016】
<情報管理サーバ>
情報管理サーバ100は、例えば複合機200のメーカーが設置及び管理するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、インタフェース190と、を有している。なお、情報管理サーバ100がサーバの一例である。それらプロセッサ110、記憶装置115、及びインタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。
【0017】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。
揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、ユーザID記憶領域121を有している。揮発性記憶装置120は、複合機200から受信した契約ページカウント値を保存する。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131と、料金テーブル記憶領域132と、を有している。
【0018】
料金テーブル記憶領域132には、印刷に対応してユーザに課金される料金を計算するための所定の相関が記憶されている。この相関には、例えば、カバレッジ、用紙サイズ、カラーかモノクロか、等に応じた印刷ページ数あたりの課金料金が対応付けられている。
【0019】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ110は、プログラム記憶領域131に格納されたプログラムを実行することによって、ネットワークNTに接続されたモバイル端末300、複合機200、配送管理サーバ400に対するデータ通信を含む、後述の図2等に示す各種の処理を実行する。
【0020】
インタフェース190は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0021】
<配送管理サーバ>
配送管理サーバ400は、例えば各種物品の配送サービスを行う会社に設置されており、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。
【0022】
<複合機>
複合機200は、例えば、上記サービスを提供する事業者によって保有されている。複合機200は、スキャナ部280と、印刷部290と、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、操作部250と、ページカウンタ260と、通信部285と、通信インタフェース270と、を有している。これらスキャナ部280、印刷部290、プロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、ページカウンタ260、通信部285、及び通信インタフェース270は、バス205を介して互いに接続されている。複合機200は、通信インタフェース270によりネットワークNTを介し情報管理サーバ100と通信することができるので、通信インタフェース270は通信部の一例である。
【0023】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230とを、含んでいる。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMであり、オブジェクト記憶部221を備えている。このオブジェクト記憶部221の詳細については、後述する。なお揮発性記憶装置220が記憶部の一例である。不揮発性記憶装置230は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置230は、プログラム記憶領域232を備えている。プログラム記憶領域232に格納された各種プログラムのうち、後述の図2図6図7図8等のシーケンス又はフローの実行に係わる本実施形態の画像処理プログラムは、例えば、ファームウェアとして不揮発性記憶装置230に予め格納されている。
【0024】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。なおプロセッサ210が制御部の一例である。プロセッサ210は、プログラム記憶領域232に格納された上記画像処理プログラムを実行し、本実施形態の印刷システム1による画像処理方法をプロセッサ110と協働して実行する。
【0025】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイである。操作部250は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。通信インタフェース270は、他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。なお、本実施形態では、表示部240は、操作部250を兼ねたタッチパネルとして構成されており、このタッチパネルは複合機200の操作パネル内に設けられている。以下適宜、「タッチパネル240」と称する。
【0026】
スキャナ部280は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に読取り対象物である原稿を読み取ることによって、読み取った画像を表すスキャンデータを生成する。
【0027】
印刷部290は、図示しない搬送機構により給紙トレイ中の用紙を取り出して搬送しつつ、その搬送される用紙に対して所定の方式で画像を印刷する。以下は、インクジェット方式で印刷が行われる場合を例にとって説明する。すなわち、印刷部290は、カートリッジホルダ51に着脱可能に装着されるインクカートリッジ50のインクを用いて、用紙に対し画像の記録を行う。印刷部290が記録部の一例であり、用紙が被記録媒体の一例であり、インクカートリッジ50がカートリッジの一例であり、カートリッジホルダ51がカートリッジ装着部の一例である。なお、詳細には、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、それぞれのインクカートリッジ50が含まれるが、以下、便宜上、特に断らない限り、それらを区別せず単に「インクカートリッジ50」と表記して説明する。
【0028】
通信部285は、例えば端子などであり、カートリッジホルダ51に装着されたインクカートリッジ50が有するカートリッジメモリ(ICチップ)に電気的に接続される。本実施形態の複合機200は、所定の印刷契約に基づくサービスにおいて使用することができる。このような契約に基づいて使用されるインクカートリッジ50(以下適宜、単に「契約カートリッジ50」と称する)は、例えば複合機200の所有者が自ら購入して使用する通常のインクカートリッジ50(以下適宜、単に「通常カートリッジ50」と称する)とは異なる仕様となっている。そこでこれに対応し、インクカートリッジ50には、それぞれカートリッジメモリ(図示省略)が備えられ、このカートリッジメモリに、カートリッジ情報が記憶されている。このカートリッジ情報は、当該インクカートリッジ50が、契約カートリッジ50であるか通常カートリッジ50であるかを表すカートリッジ種類情報を含む。プロセッサ210は、通信部285によって接続された各インクカートリッジ50のカートリッジメモリから上記カートリッジ情報を取得する。これにより、プロセッサ210は、その取得結果に基づき、カートリッジホルダ51に装着されたインクカートリッジ50が契約カートリッジ50であるか通常カートリッジ50であるかを識別することができる。
【0029】
ページカウンタ260は、プロセッサ210の制御に基づき、印刷部290により印刷が実行された際にその印刷数の累積値をカウントアップすなわち加算する機能を有する。印刷数は、詳細には印刷ページ数であり、例えばシート状の上記用紙1枚に片面印刷するときは1ページ、その1枚に両面印刷するときは2ページとしてカウントされる。またこのときのページカウント値は、例えば複合機200の製造及び出荷時にゼロリセットされており、その後印刷が行われるたびに例外なくカウントアップされる。プロセッサ210は、ページカウンタ260に対し上記カウントアップを実行させ、そのページカウント値を取得することで、種々の処理を行うことができる。
【0030】
<モバイル端末>
モバイル端末300は、ユーザの所有するスマートフォン等のモバイル端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。モバイル端末300は、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。なお、モバイル端末300に代えて、例えばパソコンやタブレットコンピュータ、等の他の情報端末を用いてもよい。以下適宜、それら情報端末を総称して、単に「情報端末300」と称する。
【0031】
<実施形態の特徴>
上記構成の印刷システム1において、本実施形態の特徴は、複合機200と情報管理サーバ100との接続のための操作と、その操作及び接続状態に関する表示とにある。
【0032】
すなわち、上述したように、例えばサブスクリプション契約等の印刷契約が締結された場合は、ネットワークNTを介して複合機200と情報管理サーバ100とが常時接続されていることが望ましく、もし接続が切れた場合にはすみやかに再接続することが必要である。したがって、例えば複合機200において、情報管理サーバ100との接続を図るための接続ボタン等を設けることが考えられる。しかしながらこの場合、印刷契約が結ばれる前の状態では複合機200と情報管理サーバ100とを接続する必要はなく、接続ボタンを設けることで無駄な通信が行われたりユーザによる不意の誤操作が生じたりする弊害がある。
【0033】
<処理の流れ>
そこで、上記に対応するために、本実施形態において、複合機200のプロセッサ210と、情報管理サーバ100のプロセッサ110と、配送管理サーバ400のプロセッサと、情報端末300のプロセッサと、により実行される処理を表す制御手順を、図2に示すシーケンス図により説明する。なお、以下、図2等に関する説明においては、各プロセッサの記述を省略し、「複合機200のプロセッサにおいて」「複合機200のプロセッサにより」等、を単に「複合機200において」「複合機200により」等で記載する。
【0034】
図2において、まず複合機200において、ユーザがタッチパネル240を介し適宜の操作を行うことで表示できる「Subscription Service」ボタンを隠蔽する(S1)。この処理の詳細を、タッチパネル240での表示内容の一例を表す図3により説明する。
【0035】
<タッチパネルでの画面表示の遷移例>
図3に、上述の表示の隠蔽が行われない場合、言い換えれば後述の印刷契約が締結された後の、タッチパネル240での操作及び画面表示の遷移を示す。まず複合機200の電源をONした状態では、タッチパネル240には初期画面としての待機画面240Aが表示される。この待機画面240Aでは、「Fax」「Copy」「Scan」等の各操作メニューを表すアイコンが表示される。それらの中でユーザが「Setting Menu」アイコンを操作することで、各種設定画面240Bが表示される。
【0036】
各種設定画面240Bには、設定を行える項目を表すボタンとして、「Maintenance」「Wifi(登録商標)」「Quiet Mode」「Tray Setting」「Fax Preview」「All Settings」の各ボタンが表示される。それらの中でユーザが「All Setting」ボタンを操作することで、詳細設定画面240Cが表示される。
【0037】
詳細設定画面240Cには、詳細設定を行える項目を表すボタンとして、「General Setup」「Shortcut Settings」「Network」「Print Reports」「Machine Info.」「Initial Setup」「Subscription Service」等の各ボタンが表示される。なおこの時点では、カートリッジホルダ51には通常カートリッジ50が装着されているか、あるいはカートリッジ50が何も装着されておらず、印刷契約は締結されていない状態である。したがって、このS1では、図4に示すように、「Subscription Service」ボタンはグレーアウトにより隠蔽され、操作不能となっている。
【0038】
この「Subscription Service」ボタンの意義、及び、これを隠蔽することの意義、を説明するために、図3に示す詳細設定画面240Cにおける「Subscription Service」ボタンを操作した場合の画面遷移を、図5に示す。
【0039】
図5において、前述の図3の詳細設定画面240Cにおける「Subscription Service」ボタンを操作することで、サービス表示画面240Dが表示される。なお「Subscription Service」ボタンが第3オブジェクトの一例であり、アクセスボタンの一例でもある。
【0040】
サービス表示画面240Dには、表示可能な項目を選択するボタンとして、「Server Connection Status」ボタンと、「Connection Wizard」ボタンと、が表示される。「Server Connection Status」ボタンは、現状の複合機200と情報管理サーバ100とが通信可能かどうかの接続状態を表示するためのボタンである。「Connection Wizard」ボタンは、情報管理サーバ100に対する複合機200の接続を試行するためのボタンである。なお、この「Connection Wizard」ボタンの表示は、プロセッサ210の制御により、これ以外のタッチパネル240の各画面に表示されるボタンとともに、記憶装置215のオブジェクト記憶部221に予め記憶されたボタン表示データを利用して行われる。このボタン表示データが表示データの一例である。
【0041】
上記2つのボタンの中でユーザが「Server Connection Status」ボタンを操作することで、ステータス表示画面240Eが表示される。ステータス表示画面240Eでは、複合機200と情報管理サーバ100とが通信可能に接続されている接続状態であれば、図示のように「Connecting」と表示される。この「Connecting」表示が第2オブジェクトの一例であり、接続状態表示の一例でもある。またプロセッサ210がこの表示を表示部240に行わせる処理が第2オブジェクト表示処理の一例であり、接続表示処理の一例でもある。一方、複合機200と情報管理サーバ100とが通信不能な非接続状態であれば、「Connection Failure」と表示される(図示省略)。なお、これら「Connecting」表示又は「Connection Failure」表示を、前述のサービス表示画面240Dにおける「Server Connection Status」ボタンの中に併せて表示するようにしてもよい。
【0042】
一方、サービス表示画面240Dで、ユーザが「Connection Wizard」ボタンを操作した場合、ネットワークNTの関連においてこの時点で特にエラーが生じてなければ、接続試行表示画面240Fへと移行する。「Connection Wizard」ボタンが第1オブジェクトの一例である。この接続試行表示画面240Fの表示とともに、プロセッサ210は、複合機200と情報管理サーバ100とのネットワークNTを介した接続を試行する。接続試行表示画面240Fにおいては「Please Wait」の項目表示と、「サーバへ接続試行しています」「お待ちください」のメッセージとが表示される。
【0043】
その後、プロセッサ210による上記接続試行により、複合機200と情報管理サーバ100との接続が成功すると、接続成功表示画面240Gへと移行する。この接続成功表示画面240Gは、「Succeed」の項目表示と、「接続成功しました」のメッセージと、「OK」ボタンと、が表示される。上記の接続成功を確認したユーザが「OK」ボタンを操作すると、タッチパネル240は前述の待機画面240Aへ戻る。
【0044】
また、前述のサービス表示画面240Dでユーザが「Connection Wizard」ボタンを操作した場合で、ネットワークNTの関連においてこの時点で何らかのエラーが生じていた場合は、エラー対応表示画面240H,240I,240Jのいずれかの画面へと移行する。何らかのネットワーク設定の不備であると識別できた場合はエラー対応表示画面240Hへ移行し、何らかのDNS設定の不備であると識別できた場合はエラー対応表示画面240Iへ移行し、それ以外の場合は、エラー対応表示画面240Jへ移行する。
【0045】
エラー対応表示画面240Hでは、「サーバとの接続が切れています」の項目表示と、「ネットワーク設定を確認してください」のメッセージと、「OK」ボタンと、が表示される。表示内容を了承したユーザが例えばネットワーク設定を修正して「OK」ボタンを操作することで、タッチパネル240は前述のサービス表示画面240Dへ戻る。
【0046】
エラー対応表示画面240Iでは、「サーバとの接続が切れています」の項目表示と、「DNS設定を確認してください」のメッセージと、「OK」ボタンと、が表示される。表示内容を了承したユーザが例えばDNS設定を修正して「OK」ボタンを操作することで、タッチパネル240は前述のサービス表示画面240Dへ戻る。
【0047】
エラー対応表示画面240Jでは、「サーバとの接続が切れています」の項目表示と、「接続リトライしますか?」のメッセージと、「Retry Connecting」ボタンと、「Cancel」ボタンと、が表示される。ユーザが複合機200と情報管理サーバ100との接続の再試行、言い換えれば再接続を希望して「Retry Connecting」ボタンを操作すると、タッチパネル240は前述の接続試行表示画面240Fへ移行する。これにより、前述同様、プロセッサ210により、複合機200と情報管理サーバ100との接続の試行が再び行われることとなる。この「Retry Connecting」ボタン及び「Connection Wizard」ボタンは、再接続ボタンの一例であり、再接続指示部の一例でもある。そして、前述の詳細設定画面240Cの「Subscription Service」ボタンの操作、サービス表示画面240Dの「Connection Wizard」ボタンの操作、及び、エラー対応表示画面240Jの「Retry Connecting」ボタンの操作が、特定操作の一例である。
一方、「Cancel」ボタンが操作された場合は、タッチパネル240は前述のサービス表示画面240Dへ戻る。
【0048】
なお、上記エラー対応表示画面240H,240I以外に、例えばBOC設定が不適切等に由来するサーバ設定エラーの場合に対応するエラー対応表示画面(不図示)、契約に係わる情報管理サーバ100とのPINコードの不一致に対応するエラー対応表示画面(不図示)、等を設けてもよい。
【0049】
<Subscription Serviceボタンの隠蔽の意義>
図2に戻り、以上の説明でわかるように、S1で「Subscription Service」ボタンが隠蔽され操作不能となる(図4参照)ことで、前述の特定操作、すなわち、「Subscription Service」ボタンの操作及びその後のサービス表示画面240Dの「Connection Wizard」ボタンの操作が不能となる。
【0050】
特に、図5に示す全画面240D,240E,240F,240G,240H,240I,240Jへの移行が不能となる。言い替えれば、「Subscription Service」ボタンの操作を契機とする、「Connection Wizard」ボタンを含む、図5の全画面240D~240Jに表示される前述の印刷契約に係わる情報へのアクセスができなくなる。特に、「Subscription Service」ボタンの操作を契機とする、サービス表示画面240Dの「Connection Wizard」ボタン、ステータス表示画面240Eの「Connecting」表示、エラー対応表示画面240Jの「Retry Connecting」ボタンへのアクセスが不能となる。
【0051】
以上の結果、S1が操作不能化ステップの一例である。またプロセッサ210がS1で実行する処理が操作不能化処理の一例であり、第3オブジェクト不能化処理の一例でもあり、アクセスボタン不能化処理の一例でもある。
【0052】
<印刷契約の成立>
図2に戻り、以上のようなS1が行われた後の状態で、ユーザが、前述の印刷契約に基づき複合機200を使用する意図で情報端末300における適宜の操作を行うことにより、情報端末300から情報管理サーバ100へ契約要求が送信され、情報管理サーバ100において受信される(S5)。
【0053】
これに対応して、情報管理サーバ100では、ページカウンタ260によるページカウント値に基づく、月額枚数カウンタ機能の準備が行われる(S7)。この月額枚数カウンタ機能は、後述の印刷契約が成立した後の特定期間にページカウンタ260によりカウントされるページカウント値のうち、印刷契約に対応した印刷が正しく行われた印刷ページ数のみをカウントする機能である。なお本実施形態では、特定期間は「1か月」となっており、特定期間の印刷数の一例として、1か月ごとの印刷ページ数(以下適宜、単に「月額枚数」と称する)のカウントが行われる。この月額枚数カウンタ機能は、当該情報端末300に対応するユーザIDと紐づけられた状態で情報管理サーバ100内に備えられる。
【0054】
その後、情報管理サーバ100から契約開始情報すなわちActivation指示が送信され、複合機200において受信される(S9)。これにより、前述の印刷契約が成立した状態となる。なおこの契約開始情報が、契約の完了通知の一例である。
【0055】
<Subscription Serviceボタンの表示開始>
その後、複合機200では、契約成立に対応し、前述の図4に示したタッチパネル240の画面遷移の態様から図3に示した画面遷移の態様に切り替わる。すなわち、詳細設定画面240Cにおいて「Subscription Service」ボタンの隠蔽が解けて明確に表示されるようになる(S11)。この結果、図5を用いて説明した各種の操作により、各画面240D,240E,240F,240G,240H,240I,240Jへの移行が可能となる。詳細には、「Subscription Service」ボタンの操作を契機とする、「Connection Wizard」ボタンを含む、図5の全画面240D~240Jに表示される前述の印刷契約に係わる情報へのアクセスが可能となる。
【0056】
特に、前述の特定操作、すなわち、「Subscription Service」ボタンの操作及びその後のサービス表示画面240Dの「Connection Wizard」ボタンの操作が可能となる。また、「Subscription Service」ボタンの操作を契機とする、サービス表示画面240Dの「Connection Wizard」ボタン、ステータス表示画面240Eの「Connecting」表示、エラー対応表示画面240Jの「Retry Connecting」ボタンへのアクセスが可能となる。
【0057】
なお、上記S1で前述のように「Subscription Service」ボタンを隠蔽するのに代え、すなわち詳細設定画面240Cに「Subscription Service」ボタンのスペースを設けず全く表示しないようにしてもよい。この場合は上記S11で詳細設定画面240Cに「Subscription Service」ボタン用のスペースが新たに設けられて新規に「Subscription Service」ボタンが出現して表示されることとなる。
【0058】
以上の結果、S11が操作可能化ステップの一例である。またプロセッサ210がS11で実行する処理が操作可能化処理の一例であり、第3オブジェクト可能化処理の一例でもあり、アクセスボタン可能化処理の一例でもある。
【0059】
その後、複合機200から契約了承通知すなわちActivation通知が送信され(S15)、情報管理サーバ100において受信される(S17)。なお、情報管理サーバ100から問い合わせを行い、それに対して複合機200から応答としてActivation通知が送信されるようにしてもよい。これにより、情報管理サーバ100において、前述の印刷契約が契約済であることが認識される。以降、複合機200は、情報管理サーバ100と定期的に契約に関する情報交換を行う通信を実施する。本実施例では12時間ごとに定期通信を行い情報を交換し、サービスに必要な情報を情報管理サーバ100にて管理する。その後、当該ユーザに対し契約カートリッジ50を配送するための配送情報が、情報管理サーバ100より配送管理サーバ400へ送信される(S19)。これにより、配送サービスを行う会社から当該ユーザへ契約カートリッジ50が配送される。なお、この契約カートリッジ50を用いて後述のS27による印刷処理が行われている間、契約カートリッジ50内のインクが消費され残量がなくなった若しくは少なくなったことが公知の手法で検出される。この時、情報管理サーバ100は、先に述べた定期通信のタイミングでインク残量の減少を把握する。情報管理サーバ100は、インク残量が少なくなったことを受け、上記S19と同様、当該ユーザに対し、追加の契約カートリッジ50を配送するための配送情報を配送管理サーバ400へ送信する。これによりユーザは自身でカートリッジの残量管理を気にすることなく複合機200を使うことができる。
【0060】
その後、上記のようにして配送された契約カートリッジ50をユーザが複合機200のカートリッジホルダ51に装着すると(S21)、通信部285によってカートリッジ情報が取得される。取得されたカートリッジ情報は複合機200から送信され、情報管理サーバ100において受信される(S23)。
【0061】
その後、複合機200において、ページカウンタ260によるページカウント値に基づき、契約カウンタ機能によるカウントが開始される(S25)。この契約カウンタ機能は、前述の印刷契約が成立した後にページカウンタ260によりカウントされるページカウント値のうち、印刷契約に対応した印刷が正しく行われた印刷ページ数のみをカウントする機能である。したがって、例えば、いわゆるテスト印刷が行われた場合、両面印刷の契約であるのに片面しか印刷できなかった場合、用紙の搬送トラブル等の複合機200側に起因する理由で印刷不良となった場合、等の印刷ページ数は除外される。この契約カウンタ機能によりカウントされる印刷ページ数を以下適宜、「契約ページカウント値」と称する。
【0062】
複合機200において印刷部290により印刷処理が実行され(S27)、ページカウンタ260によりページカウント値が加算されるとき、印刷契約に対応した印刷が正しく行われるのに従って契約ページカウント値も同様に加算される。この契約ページカウント値を含む各種情報は、複合機200から情報管理サーバ100へと送信される(S29)。
【0063】
情報管理サーバ100では、S7で準備済の月額枚数カウンタ機能により、複合機200から受信された契約ページカウント値に基づき、月額枚数のカウントが行われる(S31)。以下、月額枚数のカウントについて詳細に説明する。先に述べたように、情報管理サーバ100は、定期サイクルである12時間ごとに複合機200と情報の受け渡しをする定期通信をしている。情報管理サーバ100は、定期通信にて複合機200から受信した契約ページカウント値を揮発性記憶装置120に保存する。ここで、情報管理サーバ100は、月額枚数のカウントを特定期間すなわち1か月ごとに更新している。つまり1か月毎に月額枚数をゼロにリセットしている。情報管理サーバ100は、リセットされた後に複合機200から定期通信にて受信した契約ページカウント値と、リセットされる前に複合機200から受信していた契約ページカウント値とを比較し、その差分を月額枚数として記憶する。情報管理サーバ100は、特定期間である1か月の期間が終わるまでこの処理を繰り返す。これによりユーザは、定期通信である12時間ごとに更新された最新の月額枚数を知ることができる。つまり月額枚数とはその月に使った印刷枚数である。なお、本実施形態では月額による印刷枚数を表示するために特定期間を1か月としたが、2か月であってもよいし、1週間であってもよい。それぞれのサービスの形態に合わせて期間は適宜変更が可能である。また、月額枚数の更新を定期通信である12時間ごとにしていたが、この限りではない。例えば1日おきなどなどのサイクルで定期通信を実施してもよく、印刷後などの不定期のタイミングで通信を行い契約ページカウント値を更新してもよい。
【0064】
その後、情報管理サーバ100では、S31でカウントされた月額枚数カウント値を複合機200へ送信し(S33)、複合機200は送信された月額枚数カウント値を受信し、取得する(S35)。
【0065】
また情報管理サーバ100では、S31でカウントされた月額枚数カウント値を情報端末300へも送信し(S33)、情報端末300は送信された月額枚数カウント値を受信し、取得する(S39)。情報端末300では、その取得された月額枚数カウント値が表示される(S41)。
【0066】
その後、所望の印刷を完了したユーザが、前述の印刷契約を解除する意図で情報端末300における適宜の操作を行うことにより、情報端末300から情報管理サーバ100へ退会要求が送信され(S43)、情報管理サーバ100において受信される(S45)。情報管理サーバ100では、これに対応して、S31で開始していた月額枚数カウンタ機能による月額枚数のカウントを終了し、その旨を複合機200へ通知する。複合機200では、これに対応して、S25で開始していた契約カウンタ機能による契約ページカウント値のカウントを終了する(S49)。
【0067】
その後、情報管理サーバ100からは契約終了情報すなわちInactivation指示が送信され、複合機200において受信される(S51)。これにより、前述の印刷契約が解除された状態となる。複合機200では、これに対応して、前述の図3に示したタッチパネル240の画面遷移の態様から図4に示した画面遷移の態様に再び切り替わる。
【0068】
すなわち、詳細設定画面240Cにおいて「Subscription Service」ボタンが再び隠蔽されるようになる(S53)。この結果、図5を用いて説明した各種の操作により、各画面240D,240E,240F,240G,240H,240I,240Jへの移行が再び不能となる。詳細には、「Subscription Service」ボタンの操作を契機とする、「Connection Wizard」ボタンを含む、図5の全画面240D~240Jに表示される前述の印刷契約に係わる情報へのアクセスが不能となる。
【0069】
また、前述した特定操作、すなわち、「Subscription Service」ボタンの操作及びその後のサービス表示画面240Dの「Connection Wizard」ボタンの操作が再び不能となる。また、「Subscription Service」ボタンの操作を契機とする、サービス表示画面240Dの「Connection Wizard」ボタン、ステータス表示画面240Eの「Connecting」表示、エラー対応表示画面240Jの「Retry Connecting」ボタンへのアクセスも再び不能となる。このS53で実行される処理が不能化復帰処理の一例である。その後、このシーケンスを終了する。
【0070】
<複合機における印刷制限制御の詳細>
なお、上述のように印刷契約が結ばれて複合機200が使用される際は、複合機200と情報管理サーバ100とが接続されることが前提であるが、本実施形態では例外的に、情報管理サーバ100と非接続の状態でも限定的に印刷を行うことができる。このような印刷制限制御を実現するために複合機200のプロセッサ210が実行する制御手順を、図6のフローチャートにより説明する。
【0071】
図6において、まずS105で、印刷ページ数が後述の上限値に達し警告が発せられたことを表す警告フラグFaが0に初期化される。その後S110へ移行し、この時点で複合機200と情報管理サーバ100とが接続されているか否か、が判定される。
【0072】
情報管理サーバ100と接続されずいわゆるオフラインの状態にある場合はS110がNo判定され、S112で情報管理サーバ100との接続状態を表す接続フラグFcを0とした後、後述のS125へ移行する。情報管理サーバ100と接続されたオンラインの状態にある場合はS110がYes判定され、S115へ移行する。S115では、この時点で前述の警告フラグFa=1であるか否かが判定される。
【0073】
この時点において後述のS145でFa=1とされずFa=0のままであればS115の判定が満たされず、S120で上記接続フラグFcを1とした後、S125へ移行する。
【0074】
S125では、印刷部290により用紙に画像を形成する印刷処理が行われる。その際、前述のページ数が順次カウントされる。その後S130で、ユーザの所望する印刷処理が全ページ完了したか否かが判定される。印刷処理が完了していればYes判定され、このフローを終了する。印刷処理が完了していなければNo判定され、S135へ移行する。
【0075】
S135では、この時点で上記接続フラグFc=1であるか否かが判定される。この時点で複合機200と情報管理サーバ100との接続が成立しておりFc=1である場合はYes判定され、前述のS110へ戻って同様の手順が繰り返される。接続が成立しておらずFc=0の場合はNo判定され、S140へ移行する。S140では、S125でカウントアップされている前述の印刷ページ数が、この時点で、予め定められた上限値に達したか否か、が判定される。なおこのときに対象とする印刷ページ数は、前述の月額枚数でもよいし、契約ページカウント値でもよいし、月額枚数でもよいし、ページカウンタ260によるページカウント値であってもよい。上限値に達していなければNo判定され、前述のS110へ戻って同様の手順が繰り返される。上限値に達していたらYes判定され、S145に移行する。なお、プロセッサ210がこのS140で実行する処理が上限判定処理の一例である。
【0076】
S145では、タッチパネル240の適宜の画面において、上記上限値に達しておりこれ以上印刷ができない旨の所定の警告表示が行われる。プロセッサ210がこのS145で実行する処理が警告表示処理の一例である。その後、S150に移行し、上記警告フラグFa=1とされる。
【0077】
その後、S155へ移行し、タッチパネル240の前述した画面上において、複合機200と情報管理サーバ100との再接続を試行する指示があったか否かが判定される。再接続指示がなされるまではNo判定されてループ待機し、再接続指示がなされたらYes判定され、S160へ移行する。このときプロセッサ210により実行される複合機200と情報管理サーバ100との再接続を試行する処理が、再接続試行処理の一例である。
【0078】
S160では、前述の再接続指示に基づき、複合機200と情報管理サーバ100とが再び接続状態になったか否か、が判定される。再び接続状態となるまではNo判定されてループ待機し、接続状態となったらYes判定され、前述のS115へ戻る。この場合、上記S150でFa=1となっていることからS115がYes判定されてS170へ移行し、タッチパネル240の適宜の画面において、S145で表示されていた警告が解除され印刷が可能となったことを表す警告解除表示がなされる。このS170でプロセッサ210が実行する処理が警告解除表示処理の一例である。その後、S125へ移行し、前述と同様の手順が繰り返される。
【0079】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、複合機200は、前述の特定操作がなされることで情報管理サーバ100に対し通信を行うことができる。そして、この複合機200と情報管理サーバ100との間の通信の可否が、前述の印刷契約が成立しているか否かで切り替えられる。
【0080】
すなわち、印刷契約が成立していない場合は、前述の「Subscription Service」ボタンの隠蔽化等が実行されることにより、前述の特定操作が操作不能とされる(S1)。したがってこの場合は、ユーザの上記特定操作により複合機200と情報管理サーバ100との間で通信が行われることはない。
一方、上記契約が成立した場合、その成立後に前述の「Subscription Service」ボタンの表示開始等が実行されることにより、上記特定操作が操作可能とされる(S11)。したがって、ユーザが上記特定操作を行うことで、複合機200と情報管理サーバ100との間で通信を行わせることができる。
【0081】
以上の結果、本実施形態によれば、複合機200と情報管理サーバ100との通信が必要でない契約締結前には複合機200を情報管理サーバ100に接続不能としつつ、複合機200と情報管理サーバ100との通信が必要な契約締結後には複合機200を情報管理サーバ100に接続可能とすることができる。この結果、前述した無駄な通信やユーザの不意の誤操作を回避することができる。
【0082】
また、本実施形態では特に、タッチパネル240が、情報管理サーバ100との再接続を試行する再接続指示部としての「Connection Wizard」ボタン又は「Retry Connecting」ボタンを含む。すなわち、複合機200と情報管理サーバ100との接続が途切れたいわゆるオフライン状態において、「Connection Wizard」ボタン又は「Retry Connecting」ボタンの操作がなされた場合に、情報管理サーバ100への再接続を試行させ、通信を行うことができる。
前述の印刷契約が成立していない場合、上記「Subscription Service」ボタンの隠蔽化等の処理が実行されることにより、複合機200と情報管理サーバ100とを再接続させる上記「Connection Wizard」ボタン又は「Retry Connecting」ボタンの操作は操作不能とされる。一方、前述の契約が成立した場合には上記「Subscription Service」ボタンの表示開始等の処理が実行されることにより上記「Connection Wizard」ボタン又は「Retry Connecting」ボタンの操作が操作可能とされる。この結果、ユーザが複合機200と情報管理サーバ100との間を再接続させ、通信を行わせることができる。
【0083】
以上の結果、本実施形態によれば、複合機200と情報管理サーバ100との再接続及び通信が必要でない契約締結前には複合機200を情報管理サーバ100に再接続不能としつつ、複合機200と情報管理サーバ100との通信のために再接続が必要な契約締結後には複合機200を情報管理サーバ100に接続可能とすることができる。
【0084】
また、本実施形態では特に、タッチパネル240が、操作可能に表示される「Connection Wizard」ボタンを含む。これにより、前述の印刷契約が成立していない場合は、「Connection Wizard」ボタンが表示されないことで、前述の特定操作が操作不能とされる。これにより、複合機200と情報管理サーバ100との間で確実に通信が行われないようにすることができる。
【0085】
また、本実施形態では特に、契約成立後には「Connection Wizard」ボタンがタッチパネル240に表示されず、契約成立後にはタッチパネル240に表示可能となる。これにより、契約締結前には複合機200を確実に情報管理サーバ100に対し接続不能としつつ、契約締結後には複合機200を確実に情報管理サーバ100に接続可能とすることができる。
【0086】
また、本実施形態では特に、揮発性記憶装置220のオブジェクト記憶部221に、予め「Connection Wizard」ボタン等を表示するためのオブジェクト表示データが記憶されている。これにより、前述の印刷契約が成立した場合に、その記憶されたオブジェクト表示データを用いることで、当該ボタン等を表示するための特別なプログラム等を用いなくても、「Connection Wizard」ボタンを操作可能な表示状態に切り替えることができる。
【0087】
また、本実施形態では特に、印刷契約の成立後、複合機200と情報管理サーバ100との接続状態が維持されている間は、「Connecting」表示がステータス表示画面240Eに表示される。これにより、複合機200が情報管理サーバ100と接続状態であることを明確に表し、ユーザに確実に認識させることができる。
【0088】
また、本実施形態では特に、「Connection Wizard」ボタンを含む上記印刷契約に関わる情報にアクセスするための「Subscription Service」ボタンが詳細設定画面240Cに設けられる。すなわち印刷契約の成立前に「Subscription Service」ボタンが操作不能な状態となり、印刷契約の成立後には「Subscription Service」ボタン操作可能な状態となる。これにより、契約締結前には「Connection Wizard」ボタンにアクセスできないようにして複合機200を確実に情報管理サーバ100に接続不能としつつ、契約締結後に「Connection Wizard」ボタンへのアクセスを介し複合機200を確実に情報管理サーバ100に接続可能とすることができる。
【0089】
また、本実施形態では特に、タッチパネル240において「Retry Connecting」ボタン及び「Connection Wizard」ボタンが設けられ、また情報管理サーバ100と接続状態であることを表す「Connecting」表示が設けられる。さらに表示部には、それらにアクセスするための「Subscription Service」ボタンが設けられる。そして、印刷契約が成立していない状態においては、「Subscription Service」ボタンが操作不能な状態とされ、契約成立後においては「Subscription Service」ボタンが操作可能な状態とされる。これにより、契約が成立していない場合には「Connecting」表示や「Retry Connecting」ボタン及び「Connection Wizard」ボタンに無駄にアクセスできないようにする一方、契約が成立している場合には、それらに確実にアクセスできるようにすることができる。
【0090】
また、前述したように情報管理サーバ100に関する契約の成立を前提とする複合機200の場合、ネットワークNTを介して情報管理サーバ100と常時接続されていることが望ましい。したがって、本実施形態では特に、情報管理サーバ100との接続が途切れたいわゆるオフライン状態での印刷ページ数に所定の上限値が設けられる。そして、図6のS140において印刷ページ数が上記上限値に達したと判定された場合には、その後のS145で所定の警告表示が行われる。その後、警告表示が行われた状態でユーザがタッチパネル240の操作を行って複合機200と情報管理サーバ100との再接続が図られ再接続に成功したら、S170においてタッチパネル240に所定の警告解除表示が行われる。以上の結果、ユーザは、一時的にオフライン状態となり所定の制限の下で印刷部290による画像形成が行われていること、及び、その後自動的に情報管理サーバ100との再接続がなされ上述の制限がなくなったことで本来の契約に基づく印刷が実行可能となったこと、を明確に認識することができる。
【0091】
また、本実施形態では特に、前述のようにして締結が完了した所定の契約がその後に解除された場合、「Subscription Service」ボタンの再隠蔽化等が実行されることにより、前述の特定操作が再び操作不能とされる(S53)。すなわち、複合機200と情報管理サーバ100との通信が必要でなくなったことに対応し、無駄な通信やユーザの不意の誤操作を回避することができる。
【0092】
また、本実施形態では特に、印刷契約の完了通知を複合機200が情報管理サーバ100から受信した後に前述の特定操作が可能とされる(図2のS9,S10参照)。言い換えれば、その完了通知が受信されるよりも前は当該特定操作は不能とされている。これにより、印刷契約の完了後速やかに、無駄な通信の防止やユーザの不意の誤操作防止を図ることができる。
【0093】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0094】
(1)契約了承通知を情報管理サーバへ送信後に「Subscription Service」ボタンの表示を開始する場合
本変形例において、複合機200、情報管理サーバ100、配送管理サーバ400、情報端末300、により実行される処理を、上記図2に対応する図7のシーケンス図に示す。
【0095】
図7に示すように、本変形例では、図2におけるS11が、S15の後に実行される。すなわち、情報管理サーバ100からの契約開始情報が複合機200において受信されたら(S9)、複合機200から契約了承通知が送信され(S15)、情報管理サーバ100において受信される(S17)。その後、S11における複合機200における「Subscription Service」ボタンの表示開始が行われる。これ以外は図2と同様であり、説明を省略する。
【0096】
本変形例によれば、印刷契約の契約開始情報を複合機200が情報管理サーバ100から受信してその応答を情報管理サーバ100へ送信した後に、「Subscription Service」ボタンが表示され、前述の特定操作が可能となる。言い換えれば、その契約開始情報が受信されるよりも前は特定操作は不能とされている。これにより、印刷契約の完了後速やかに、無駄な通信の防止やユーザの不意の誤操作防止を図ることができる。
【0097】
(2)カートリッジを装着後に、「Subscription Service」ボタンの表示を開始する場合
本変形例において、複合機200、情報管理サーバ100、配送管理サーバ400、情報端末300、により実行される処理を、上記図2に対応する図8のシーケンス図に示す。
【0098】
本変形例では、前述の契約カートリッジ50の中でも、特に、カートリッジホルダ51への装着により前述の印刷契約に基づく課金が開始されるように予め構成された種類のインクカートリッジ50が使用される。この種類のインクカートリッジ50は、装着後におけるプロセッサ210の制御に基づき、印刷契約の成立前は通常カートリッジ50として機能し、印刷契約の成立後は契約カートリッジ50として機能することができる。以下適宜、この種類のインクカートリッジ50を「多機能カートリッジ50」と称する。なお多機能カートリッジ50が特定カートリッジの一例である。この多機能カートリッジ50は、例えば複合機200がユーザによって購入され搬入される際、その搬入される複合機200と同梱されているか、同じタイミングでユーザに提供される。この結果、図8においては、図2におけるS19が省略される。
【0099】
そして、図8に示すように、本変形例では、図2におけるS11が、S23の後に実行される。すなわち、情報管理サーバ100からの契約開始情報が複合機200において受信され(S9)、複合機200から契約了承通知が送信されて(S15)情報管理サーバ100において受信される(S17)。その後、ユーザにより上記多機能カートリッジ50がカートリッジホルダ51に装着されると(S21)、通信部285によって取得されたカートリッジ情報が複合機200から情報管理サーバ100へ送信される(S23)。なお装着時において既に印刷契約が成立していることから(S15,S17)、多機能カートリッジ50はプロセッサ210の制御により契約カートリッジ50として機能することができる。
【0100】
その後、S11における「Subscription Service」ボタンの表示開始が行われる。以上説明した以外は図2と同様であるため、説明を省略する。
【0101】
本変形例によれば、多機能カートリッジ50が装着されたタイミングの後に、「Subscription Service」ボタンが表示され、前述の特定操作が可能とされる。言い換えれば、その多機能カートリッジ50が装着されるよりも前は特定操作は不能とされている。これにより、前述の無駄な通信の防止やユーザの不意の誤操作防止を、多機能カートリッジ50の装着に起因する契約の課金開始以降、速やかに図ることができる。
【0102】
(3)契約後の処理における例外(その1)
すなわち、上記実施形態においては、印刷契約の締結後は、「Subscription Service」ボタンが表示開始され前述の特定操作を可能としたが、本変形例は、その場合にも例外的に特定操作を不能とする場合である。
【0103】
本変形例では、印刷契約締結後で「Subscription Service」ボタンの表示中でも、既に複合機200と情報管理サーバ100とが接続されステータス表示画面240Eで「Connecting」表示がなされている場合はプロセッサ210により特定操作が例外的に不能とされる。これにより、印刷契約が成立していても、既に複合機200が情報管理サーバ100と接続されており再接続が不要である場合には、ユーザの不意の誤操作を未然に防止することができる。
【0104】
なお、上記の場合でもユーザのニーズを優先し、図5の接続試行表示画面240F及び接続成功表示画面240Gで前述したように、プロセッサ210が複合機200と情報管理サーバ100との再接続を試行しその結果をタッチパネル240に表示してもよい。
すなわち、複合機200と情報管理サーバ100との接続が維持されているいわゆるオンライン状態でも「Retry Connecting」ボタン又は「Connection Wizard」ボタンが操作された場合は、情報管理サーバ100への再接続が試行され、その結果がタッチパネル240に表示される。これにより、ユーザが何らかの意図により再接続したいというニーズに対応するとともに、その結果を明確にしてユーザに認識させることができる。
【0105】
(4)契約後の処理における例外(その2)
本変形例においても、上記変形例(3)と同様、印刷契約の締結後も、「Subscription Service」ボタンを例外的に操作不能な状態とする。
【0106】
すなわち本変形例においては、既に印刷契約の締結状態であっても、複合機200の電源がONされた後に情報管理サーバ100との接続が完了するまでの間は、プロセッサ210の制御により、例外的に「Subscription Service」ボタンが隠蔽される。そして、その後情報管理サーバ100との接続が完了した後に、「Subscription Service」ボタンが表示開始され操作可能な状態とされる。
【0107】
本変形例の上記手法には以下の意義がある。すなわち、複合機200と情報管理サーバ100との接続が完了する前、すなわちネットワーク接続の形成前までは、仮に「Subscription Service」ボタンを表示してユーザが操作したとしても「Connection Wizard」ボタン等の上記契約に関わる情報にはアクセスできない。本変形例においてはこれに対応し、印刷契約が成立していたとしても、「Subscription Service」ボタンが例外的に操作不能な状態にされる。これにより、印刷契約が成立していてもまだネットワーク接続が形成されず通信できない状態である場合には、無駄に「Subscription Service」ボタンが操作されるのを未然に防止することができる。
【0108】
(5)複合機の機械的なボタンを用いる場合
すなわち、以上説明した手法とは別の手法として、タッチパネル240とは別に複合機200に機械的な操作手段として設けた電源スイッチ、「Copy」ボタン、「Scan」ボタン(図示省略)を同時に押す等の複合操作でサービス表示画面240Dを表示するようにしてもよい。そしてこの場合も、サービス表示画面240D上の「Connection Wizard」ボタンの操作で複合機200と情報管理サーバ100とが接続試行されるようにしてもよい。この場合、これらの一連の操作が特定操作の一例となる。また、前述のように複合機200と情報管理サーバ100との再接続を試行するための「再接続」ボタン(図示省略)を設けてもよい。
【0109】
この変形例では、上記S1のように印刷契約が締結される前の段階では、プロセッサ210の制御に基づき、前述の複合操作を行ってもサービス表示画面240Dへの移行が行われずに操作が無効化されることで、実質的に上記特定操作が不能とされる。そしてその後、上記S11のように印刷契約の締結後の段階では、プロセッサ210の制御に基づき、前述の複合操作を行うことでサービス表示画面240Dへの移行が行われ、各種操作が有効化されて、実質的に上記特定操作が可能とされる。このような手法の本変形例でも、上記実施形態と同様、複合機200と情報管理サーバ100との通信が必要でない契約締結前には複合機200を情報管理サーバ100に接続不能としつつ、複合機200と情報管理サーバ100との通信が必要な契約締結後には複合機200を情報管理サーバ100に接続可能とすることができる。この結果、前述した無駄な通信やユーザの不意の誤操作を回避することができる。
【0110】
またこの変形例のバリエーションとして、複合機200の適宜の箇所に点灯可能なランプを設け、印刷契約の成立後、情報管理サーバ100との接続状態が維持されている間は、ランプを点灯させて当該接続状態であることを示すようにしてもよい。プロセッサ210が実行するこのような処理が点灯処理の一例である。このように印刷契約の成立後、情報管理サーバ100との接続状態が維持されている間はランプを点灯させることで、複合機200が情報管理サーバ100と接続状態であることを明確に表し、ユーザに確実に認識させることができる。
【0111】
さらに、上記のようにランプが点灯されている場合には、プロセッサ210の制御により、印刷契約後であっても例外的に前述の特定操作を操作不能としてもよい。これにより、契約が成立していても、既に複合機200が情報管理サーバ100と接続されており再接続が不要である場合には、ユーザの不意の誤操作を未然に防止することができる。
【0112】
(6)その他
以上においては、印刷装置としての、インクジェット方式の複合機200を例にとって説明したが、これに限られず、別の方式、例えばレーザ方式や熱転写方式の印刷装置を用いてもよく、この場合も同様の効果を得る。
【0113】
また、以上においては、画像処理装置の一例として被記録媒体に画像を形成する印刷装置を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、画像読み取り装置で対象物を読み取って生成した画像データがサーバへ送信され、サーバからの当該画像データがモバイル端末、パソコン、タブレットコンピュータ、等の情報端末へ送信されるサービス契約において、上記画像読み取り装置に本発明を適用してもよい。この場合、上記画像読み取り装置が画像処理装置の一例である。この変形例においても、前述と同様の効果を得る。
【0114】
また、図2図6図7図8等に示すシーケンス又はフローは、本発明を上記シーケンス又はフローに示す手順に限定するものではなく、手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0115】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0116】
50 インクカートリッジ(カートリッジの一例)
51 カートリッジホルダ(カートリッジ装着部の一例)
100 情報管理サーバ(サーバの一例)
200 複合機(画像処理装置の一例)
210 プロセッサ(制御部の一例)
220 揮発性記憶装置(記憶部の一例)
240 表示部
270 通信インタフェース(通信部の一例)
290 印刷部(記録部の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと通信可能な通信部と、
表示部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記サーバを利用したユーザの課金に応じた枚数の印刷ができるサービスの提供を行う契約が成立していない場合には、前記通信部と前記サーバとの通信状態に関する通信状態情報を表示させず、前記契約が成立した場合には、前記通信状態情報を表示させる表示変更処理を行う
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
サーバと通信可能な通信部と、
表示部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記サーバを利用しユーザの課金に応じた枚数の印刷ができるサービスの提供を行う契約が成立していない場合には、前記通信部と前記サーバとの通信ができない場合に前記通信部と前記サーバとの通信をできる状態にするため接続ボタンを表示させず、前記契約が成立した場合には、前記接続ボタンを表示させる表示変更処理を行う
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
作部をさらに備え、
前記制御部は、
記契約が成立していない場合において、前記操作部により前記通信部と前記サーバとを通信させる特定操作を操作不能とする操作不能化処理と、
前記契約が成立した場合は、前記操作部の前記特定操作を操作可能とする操作可能化処理と、
を実行することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記操作部は、
前記サーバとの接続が途切れた場合に、当該サーバとの再接続を試行する再接続指示部を含む
ことを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
記制御部は、
前記サーバとの接続が維持されている状態で前記再接続指示部が操作された場合は、当該サーバとの再接続を試行し、試行した結果接続されたか否かを前記表示部に表示する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
前記操作部は、
前記表示部に操作可能に表示される第1オブジェクトを含む
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記操作不能化処理において前記第1オブジェクトを前記表示部に表示せず、
前記操作可能化処理において前記第1オブジェクトを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1オブジェクトの表示データを記憶している記憶部をさらに備え、
前記記憶部に記憶されていた前記表示データを用いて、前記第1オブジェクトを、前記操作不能化処理による前記特定操作が不能な状態から前記操作可能化処理による前記特定操作が可能な状態に切り替える
ことを特徴とする請求項6又は請求項7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、さらに
前記契約の成立後、前記サーバとの接続状態が維持されている間は、前記接続状態であることを表す第2オブジェクトを前記表示部に表示する第2オブジェクト表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記第2オブジェクト表示処理で前記第2オブジェクトが前記表示部に表示されている場合には、前記接続ボタンを表示しない
を実行することを特徴とする請求項9記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御部は、さらに、
前記契約の成立前においては、前記契約に関わる情報にアクセスするための第3オブジェクトを前記表示部において操作不能な状態とする第3オブジェクト不能化処理と、
前記契約の成立後においては、前記第3オブジェクトを前記表示部において操作可能な状態とする第3オブジェクト可能化処理と、
を実行することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記制御部は、
前記第3オブジェクト可能化処理において、
電源がONされた後に前記サーバとの接続が完了するまでの間は例外的に前記第3オブジェクトを操作不能な状態とし、前記サーバとの接続が完了した後には前記第3オブジェクトを操作可能な状態とする
ことを特徴とする請求項11記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御部は、さらに
前記契約の成立後、前記サーバとの接続状態が維持されている間は、前記接続状態であることを表すランプを点灯させる点灯処理
を実行することを特徴とする請求項3記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記点灯処理で前記ランプが点灯されている場合には、前記操作可能化処理において例外的に前記操作部の特定操作を操作不能とする
ことを特徴とする請求項13記載の画像処理装置。
【請求項15】
被記録媒体に画像を記録する記録部をさらに備え、
前記制御部は、
前記サーバとの接続が途切れた状態における前記記録部による印刷した数が所定の上限値に到達したか否かを判定する上限判定処理と、
前記上限判定処理により前記印刷した数が前記上限値に到達したと判定された場合に、対応する警告表示を前記表示部にて行う警告表示処理と、
前記警告表示が行われた状態で前記操作部による前記特定操作が行われた場合に、前記サーバとの再接続を試行する再接続試行処理と、
前記再接続の試行により前記サーバとの接続に成功したとき、対応する警告解除表示を前記表示部にて行う警告解除表示処理と、
を実行することを特徴とする請求項4又は請求項5記載の画像処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記表示変更処理において、
前記契約が解除された場合に前記通信状態情報を表示させないようにすることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記制御部は、前記表示変更処理において、
前記契約が解除された場合に前記接続ボタンを表示させないようにすることを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記制御部は、
前記契約の完了通知を前記画像処理装置がサーバから受信した時に、前記契約が成立したとして前記表示変更処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記契約の完了通知を前記画像処理装置がサーバから受信し、対応する応答を前記サーバに送信した時に、前記契約が成立したとして前記表示変更処理を実行する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像処理装置。
【請求項20】
サーバと通信可能な通信部と、操作部と、表示部と、プロセッサと、を有する画像処理装置に備えられた前記プロセッサに対し、
前記サーバを利用したユーザの課金に応じた枚数の印刷ができるサービスの提供を行う契約が成立していない場合には、前記通信部と前記サーバとの通信状態に関する通信状態情報を表示させず、前記契約が成立した場合には、前記通信状態情報を表示させる表示変更ステップを実行させるための、画像処理プログラム。
【請求項21】
サーバと通信可能な通信部と、操作部と、表示部と、プロセッサと、を有する画像処理装置に備えられた前記プロセッサに対し、
前記サーバを利用したユーザの課金に応じた枚数の印刷ができるサービスの提供を行う契約が成立していない場合には、前記通信部と前記サーバとの通信ができない場合に前記通信部と前記サーバとの通信をできる状態にするため接続ボタンを表示させず、前記契約が成立した場合には、前記接続ボタンを表示させる表示変更ステップを実行させるための、画像処理プログラム。