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特開2024-119918光電池モジュール及び当該光電池モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119918
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】光電池モジュール及び当該光電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/048 20140101AFI20240827BHJP
【FI】
H01L31/04 560
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024094120
(22)【出願日】2024-06-11
(62)【分割の表示】P 2020555917の分割
【原出願日】2019-04-12
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/059637
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502121731
【氏名又は名称】セ エス エ エム サントル スイス デレクトロニク エ ド ミクロテクニク ソシエテ アノニム ルシェルシェ エ ディベロップメント
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘンユ リ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルディ エスカレ パロウ
(72)【発明者】
【氏名】カリン ソデルストロム
(72)【発明者】
【氏名】シャビエル ブリアルド
(72)【発明者】
【氏名】ローレ-エマニュエレ ペレト-アエビ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ バリフ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】建築物への組み込み用途に特に適した有色光電池モジュール及び当該有色光電池モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】光電池モジュールであって、当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、前記前面シートに対して反対面となる当該光電池モジュールの面上に配置される背面シートと、前記前面シートと前記背面シートとの間に設けられる光電変換素子と、内部に分配される色素粒子を含む、前記光電変換素子と前記前面シートとの間に設けられる少なくとも1つの前面封止層を、を備え、前記前面封止層は第1領域と第2領域を備え、前記第1領域は、前記第2領域よりも前記前面シートの近くに設けられ、前記第2領域よりも高い濃度の色素粒子を含む、ことを特徴とする光電池モジュール。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電池モジュールであって、
当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、
前記前面シートに対して反対面となる当該光電池モジュールの面上に配置される背面シートと、
前記前面シートと前記背面シートとの間に設けられる光電変換素子と、
内部に分配される色素粒子を含む、前記光電変換素子と前記前面シートとの間に設けられる少なくとも1つの前面封止層を、を備え、
前記前面封止層は第1領域と第2領域を備え、
前記第1領域は、前記第2領域よりも前記前面シートの近くに設けられ、
前記第2領域よりも高い濃度の色素粒子を含む、
ことを特徴とする光電池モジュール。
【請求項2】
前記色素粒子の少なくとも一部―好適には少なくとも50%でさらには少なくとも75%―は、100nm~1μm―好適には300nm~700nmで、より好適には400nm~600nm―の範囲の直径を有する、請求項1に記載の光電池モジュール。
【請求項3】
前記色素粒子は、100の前記樹脂当たり0.01~10部の質量濃度で前記前面封止層内に供される、請求項1又は2に記載の光電池モジュール。
【請求項4】
前記色素粒子は、亜鉛系色素、チタン系色素、鉄系色素、クロム系色素、ビスマス系色素、コバルト系色素、アルミニウム系色素、スズ系色素、銅系色素のうちの少なくとも一を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の光電池モジュール。
【請求項5】
前記前面封止層と前記光電変換素子との間に設けられる内部前面シートと内部前面封止層をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の光電池モジュール。
【請求項6】
光電池モジュールの製造方法であって、
積層装置を提供する段階と、
当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、前記前面シートに対して反対面となる当該光電池モジュールの面上に配置される背面シートと、前記前面シートと前記背面シートとの間に設けられる光電変換素子と、内部に分配される色素粒子を含む、前記光電変換素子と前記前面シートとの間に設けられる少なくとも1つの前面封止層を備える層積層体を前記積層装置内に設ける段階と、
前記封止層の融合及び/又は架橋によって前記層積層体を当該光電池モジュールへ一体化するように前記層積層体へ熱と圧力を加える段階と、を有し、
前記前面封止層は第1膜と第2膜を備え、
前記第1膜は、前記第2膜よりも前記前面シートの近くに設けられ、
前記第2膜よりも高い濃度の色素粒子を含むことを特徴とする、
方法。
【請求項7】
光電池モジュールの製造方法であって、
積層装置を提供する段階と、
事前製造された光電池モジュールと、内部に分配される色素粒子を含む、入射光を受けるように意図された前記事前製造された光電池モジュールの面上に設けられる少なくとも1つの前面封止層、当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、を備える層積層体を前記積層装置内に設ける段階と、
前記封止層の融合及び/又は架橋によって前記層積層体を当該光電池モジュールへ一体化するように前記層積層体へ熱と圧力を加える段階と、を有し、
前記前面封止層は第1膜と第2膜を備え、
前記第1膜は、前記第2膜よりも前記前面シートの近くに設けられ、
前記第2膜よりも高い濃度の色素粒子を含むことを特徴とする、
方法。
【請求項8】
前記第1膜は、前記の熱と圧力を加える間、前記第2膜よりも高い粘性を有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記の熱と圧力を加える間中、前記第1膜は0.8未満のタンジェントδ値を有し、前記第2膜は少なくとも0.9で、好適には少なくとも1.2のタンジェントδ値を有し、
前記積層温度では、前記第2膜の粘性は、最大でも前記第1膜の粘性の80%で、好適には最大50%である、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1膜は架橋不可能で85℃で400000Pa・s超で、105℃で50000Pa・s超で、165℃で1000Pa・s超の複素粘性を有し、
前記第2膜は85℃で100000Pa・s未満で、105℃で20000Pa・s未満で、165℃で15000Pa・s未満の複素粘性を有し、
前記最大積層温度が165℃未満である場合、前記165℃での条件は任意である、
請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1膜は少なくとも部分的に架橋可能で、85℃で20000Pa・s超で、105℃で15000Pa・s超で、165℃で5000Pa・s超の複素粘性を有し、
前記第2膜は85℃で100000Pa・s未満で、105℃で20000Pa・s未満で、165℃で10000Pa・s未満の複素粘性を有し、
前記最大積層温度が165℃未満である場合、前記165℃での条件は任意である、
請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記色素粒子の少なくとも一部は、100nm~1μm―好適には300nm~700nmで、より好適には400nm~600nm―の範囲の直径を有する、請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記色素粒子は、100の前記樹脂当たり0.01~10部の質量濃度で前記前面封止層内に供される、請求項6から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記色素粒子は、亜鉛系色素、チタン系色素、鉄系色素、クロム系色素、ビスマス系色素、コバルト系色素、アルミニウム系色素、スズ系色素、銅系色素のうちの少なくとも一を含む、請求項6から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記前面封止層は、前記色素粒子と基部樹脂とを混合して、前記前面封止層を膜として押し出すことによって製造される、請求項6から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から4のいずれか一項に記載の光電池モジュールを少なくとも1つ備える建築構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電池モジュールの技術分野に関する。より詳細には本発明は、建築物への組み込み用途に特に適した有色光電池モジュール及び当該有色光電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光電池(PV)デバイス―太陽電池又はソーラーパネルとも呼ばれる―は、黒に近い色になる傾向がある。通常は紫又は藍色の色合いで、個々のセルの明確に定められるパターンが視認可能である。そのようなPVデバイスが建築物に設けられているとき、そのようなPVデバイスは目障りであり、このような理由で建築物のクラッドとして直接的に用いることは通常耐え難い。
【0003】
この問題を解決するため、建築物の構造物に―特に外部クラッドとして―組み込むことが可能な有色PVデバイスが提案されてきた。
【0004】
特許文献1(米国特許第9281186号公報)は、モジュールの外見を修正するようにPVデバイスの前面シートに設けられる膜を開示している。しかしこの膜は、モジュールを構成する個々のPVセルの幾何学形状との位置合わせを必要とする特定のプロファイルを必要とし、かつ、前面シート内のファセット及びモジュールの不活性部内の埋め込み素子を含む複雑な設計に依拠する。
【0005】
特許文献2(米国特許出願公開第2014/326292号公報)は、モジュール内部に設けられたグラフィック膜を含むPVデバイスを開示している。この膜は、色又はテクスチャを備えるように印刷され、かつ、膜がモジュールの効率へ及ぼす影響を限定するように選択反射層を必要とする。
【0006】
特許文献3(米国特許第9276141号公報)と特許文献4と特許文献5はPVモジュール上又はその内部に設けられる装飾膜オーバーレイを開示している。
【0007】
特許文献6は、全可視スペクトルにわたってある量の光を反射するように干渉フィルタが光電池モジュールの光入射面上に設けられる中間層上に形成される白色光電池モジュールを開示している。この干渉膜を生成するには特別な装置と方法が必要となる。
【0008】
特許文献7は封止層の上部での印刷について記載している。
【0009】
しかしこれらの従来技術の解決手段はすべて、複雑であるか、あるいは、モジュールに追加の層を設けることを必要とする。本質的にはモジュールに加えられる追加層の各々については、分離可能な複数の層の間に界面が存在するので、モジュールの剥離の危険性が増大する。さらに特殊な製造技術又は装置が必要となる恐れもある。
【0010】
特許文献8はこの問題に対する解決策を提案している。特許文献8の図7の実施形態では、前面封止層自体は、内部で無作為に分散する色素粒子を含む。これはしたがって、前面封止層に加えて追加の有色膜を必要としないが、全く異なる一連の問題を引き起こす。特許文献8で用いられた封止体は従来のものである。このため配色が顕著に不均一になってしまう恐れがある。さらに極端の場合では、過剰に封止材が流れることで、モジュール内部で-特にPVセルが存在する領域と存在しない領域とで-厚さが顕著にばらついてしまう。この結果繰り返しになるが、モジュール全体にわたって望ましくない色のばらつきが起こってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第9281186号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/326292号公報
【特許文献3】米国特許第9276141号公報
【特許文献4】国際公開第2016/118885号公報
【特許文献5】米国特許第8513517号公報
【特許文献6】欧州特許第2793271号公報
【特許文献7】米国特許出願公開第2012/247541号公報
【特許文献8】国際公開第2009/089236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって本発明の目的は、従来技術に係る上述の問題の少なくとも一部を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
より詳細には本発明は光電池モジュールに関する。当該光電池モジュールは、たとえばガラス、透明セラミックス、ポリマー、又は他の適切な透明材料で作られる、当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、たとえばガラス、金属、ポリマー、セラミックス、又は他の材料で作られる、前記前面シートに対して反対面となる当該光電池モジュールの面上に配置される背面シートと、前記前面シートと前記背面シートとの間に設けられる、任意の便利な型であり得る光電変換素子と、熱可塑性又は少なくとも部分的に架橋するポリマー―たとえばEVA、ポロオレフィン等―で、内部に分配される色素粒子を含む、前記光電変換素子と前記前面シートとの間に設けられる少なくとも1つの前面封止層を備える。必要であれば、前記PV変換素子と前記背面シートとの間に背面封止体が供されてもよい。
【0014】
本発明によると、前記前面封止層は第1領域と第2領域を備える。前記第1領域は、前記第2領域よりも前記前面シートの近くに設けられ、前記第2領域よりも高い濃度の色素粒子を含む。前記第2領域は特に色素粒子を実質的に含まなくてもよい。この粒子の分配は、当該モジュールに配色を与えることで、たとえば建築用クラッドとしての使用に適するようにするだけではなく、積層中に前記第1領域内の色素粒子のマイグレーション及び凝集を回避することで、意図しない色の分配の変化を防止する。さらに当該PVモジュールは、標準的な積層装置によって、テクスチャ、構造化等の特別な機能を設けることなく標準的な前面シートの形態を用いて一体化され得るため、特殊な製造法を必要としない。
【0015】
有利となるように、前記色素粒子の少なくとも一部は、100nm~1μm―好適には300nm~700nmで、より好適には400nm~600nm―の範囲の直径を有する。前記粒子の直径は、前記前面封止層の所望の光学特性に合わせて最適化され得る。同様に前記色素粒子は、100の前記樹脂当たり0.01~10部の質量濃度で前記前面封止層内に供されてよい。これは繰り返しになるが、所望の特性を最適化するように調整され得る。
【0016】
有利となるように前記色素粒子は、亜鉛系色素(たとえば酸化亜鉛又はジンククロメート)、チタン系色素(たとえば酸化チタン又はチタンイエロー)、鉄系色素(たとえば酸化鉄又はプルシアンブルー)、クロム系色素(たとえば酸化クロム)、ビスマス系色素(たとえばバナジン酸ビスマス)、コバルト系色素(たとえばコバルトブルー)又はコバルトスズ酸塩又はコバルト/リチウム/チタン酸化物)アルミニウム系色素(硫黄含有珪酸ナトリウム複合物)、スズ系色素(たとえば硫化スズ)又は銅系色素のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0017】
有利となるように、当該光電池モジュールは、前記前面封止層と前記光電変換素子との間に設けられる内部前面シートと内部前面封止層をさらに備えてよい。その結果、本発明のモジュールは単純に、事前に製造された既存のPVモジュール上に前記前面封止層と前記前面シートを積層することによって作ることができる。よって本発明のモジュールは、既存の市販モジュールに基づく注文によって製造可能である。
【0018】
有利となるように、像、パターン等が印刷されたグラフィック膜が、前記前面シートの前記光入射面上に設けられてよい。従って前記の有色前面封止体は、前記グラフィック膜に良好なコントラストを与える均一な背景色(たとえば白であって良い)を供する。
【0019】
本発明はまた、光電池モジュールの製造方法にも関する。当該方法は、たとえば加熱された真空バッグ積層装置又は他の適切な装置のような積層装置を提供する段階と、たとえばガラス、透明セラミックス、ポリマー、又は他の適切な透明材料で作られる、当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、たとえばガラス、金属、ポリマー、セラミックス、又は他の適切な透明材料で作られる、前記前面シートに対して反対面となる当該光電池モジュールの面上に配置される背面シートと、前記前面シートと前記背面シートとの間に設けられる、任意の便利な型であり得る光電変換素子と、熱可塑性又は少なくとも部分的に架橋するポリマー―たとえばEVA、ポロオレフィン等―で、内部に分配される色素粒子を含む、前記光電変換素子と前記前面シートとの間に設けられる少なくとも1つの前面封止層を備える層積層体(必要であれば、前記PV変換素子と前記背面シートとの間に背面封止体が供されてもよいことに留意して欲しい。)を前記積層装置内に設ける段階と、前記封止層の融合及び/又は架橋によって前記層積層体を当該光電池モジュールへ一体化するように前記層積層体へ熱と圧力を加える段階と、を有する。
【0020】
本発明によると、前記前面封止層は第1膜と第2膜を備える。前記第1膜は、前記第2膜よりも前記前面シートの近くに設けられ、前記第2膜よりも高い濃度の色素粒子を含む。換言すると、前記第2膜は色素粒子を実質的に含まないか、あるいは、前記第1膜よりも少ない色素粒子を含む。
【0021】
前記粒子は、当該モジュールに配色を与えることで、たとえば建築用クラッドとしての使用に適するようにして、さらにはある量の入射光を散乱させることで、前記光電変換素子の構造を隠すのを容易にする。前記の2層の膜構造―この結果上述の二領域構造となる―は、積層中での前記第1膜中での前記色素粒子のマイグレーションと凝集を制限、またさらには完全に排除する。それにより完成したモジュールに所望の色分布を与える。この色分布は典型的には均一であるが、パターンを有してもよい。前記第2膜も色素粒子を含む場合、内部の低濃度の色素のマイグレーションは、高濃度第1膜によってマスクされる。さらに当該PVモジュールは、標準的な積層プロセスによって、テクスチャ、構造化等の特別な機能を設けることなく標準的な前面シートの形態を用いて一体化され得るため、特殊な製造法を必要としない。
【0022】
代替プロセスでは、光電池モジュールの製造方法は、
たとえば加熱された真空バッグ積層装置又は他の適切な装置のような積層装置を提供する段階と、事前製造された光電池モジュールと、内部に分配される色素粒子を含む、入射光を受けるように意図された前記事前製造された光電池モジュールの面上に設けられる少なくとも1つの前面封止層、当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、を備える層積層体を前記積層装置内に設ける段階と、前記封止層の融合及び/又は架橋によって前記層積層体を当該光電池モジュールへ一体化するように前記層積層体へ熱と圧力を加える段階と、を有する。
【0023】
繰り返しになるが、前記前面封止層は第1膜と第2膜を備える。前記第1膜は、前記第2膜よりも前記前面シートの近くに設けられ、前記第2膜よりも高い濃度の色素粒子を含む。
【0024】
よって本発明の利点は、事前に製造された既存のPVモジュールに適用可能である。よって本発明のモジュールは、既存の市販モジュールに基づく注文によって製造可能である。これは特に効率的である。なぜなら有色モジュールは、標準的な市販モジュールの在庫品に基づく指示によって容易に製造可能である。
【0025】
有利となるように、前記第1膜は、熱と圧力を加える間中―つまり積層中―常に前記第2膜よりも高い粘性を有する。その結果、内部に分配される前記色素粒子のマイグレーションと凝集はより強く防止される。
【0026】
有利となるように、熱と圧力を加える間中、前記第1膜は0.8未満のタンジェントδ値を有し、前記第2膜は少なくとも0.9で、好適には少なくとも1.2のタンジェントδ値を有する。さらに少なくとも積層温度では、前記第2膜の粘性は、最大でも前記第1膜の粘性の80%で、好適には最大50%である。これは前記積層温度に接近する場合にも当てはまる。このことは、前記第1膜が積層中に固体のように振舞うことを保証することで、前記第2膜は液体のように振舞う一方で、色素粒子のマイグレーションを防止し、色素含有層の厚さを実質的に一定に維持する。
【0027】
有利となるように、前記第1膜は架橋不可能で85℃で400000Pa・s超で、105℃で50000Pa・s超で、165℃で1000Pa・s超の複素粘性を有し、前記第2膜は85℃で100000Pa・s未満で、105℃で20000Pa・s未満で、165℃で15000Pa・s未満の複素粘性を有する。前記最大積層温度が165℃未満である場合、165℃での条件は任意である。これらの範囲が重なるとしても、これは、粘性の関係に関する前段落での説明―これは積層温度で満たされる重要な基準である―と矛盾するわけではない。
【0028】
あるいはその代わりに前記第1膜は少なくとも部分的に架橋可能で、85℃で20000Pa・s超で、105℃で15000Pa・s超で、165℃で5000Pa・s超の複素粘性を有し、前記第2膜は85℃で100000Pa・s未満で、105℃で20000Pa・s未満で、165℃で10000Pa・s未満の複素粘性を有する。繰り返しになるが前記最大積層温度が165℃未満である場合、165℃での条件は任意である。同様にこれらの重なる範囲は、積層温度で満たされる重要な粘性基準に関する前段落での説明と矛盾するわけではない。
【0029】
有利となるように前記層積層体は、前記前面シートの前記光入射面上に設けられるグラフィック膜をさらに有する。よって前記グラフィック膜は、積層中に前記モジュールへ直接組み込まれてよい。あるいはその代わりに前記グラフィック膜は積層後に設けられてよい。
【0030】
有利となるように、前記色素粒子の少なくとも一部―好適には少なくとも50%でさらには少なくとも75%―は、100nm~1μm―好適には300nm~700nmで、より好適には400nm~600nm―の範囲の直径を有する。前記粒子の直径は、前記前面封止層の所望の光学特性に合わせて最適化され得る。同様に前記色素粒子は、100の前記樹脂当たり0.01~10部の質量濃度で前記前面封止層内に供されてよい。これは繰り返しになるが、所望の特性を最適化するように調整され得る。
【0031】
有利となるように前記色素粒子は、亜鉛系色素(たとえば酸化亜鉛又はジンククロメート)、チタン系色素(たとえば酸化チタン又はチタンイエロー)、鉄系色素(たとえば酸化鉄又はプルシアンブルー)、クロム系色素(たとえば酸化クロム)、ビスマス系色素(たとえばバナジン酸ビスマス)、コバルト系色素(たとえばコバルトブルー)又はコバルトスズ酸塩又はコバルト/リチウム/チタン酸化物)アルミニウム系色素(硫黄含有珪酸ナトリウム複合物)、スズ系色素(たとえば硫化スズ)又は銅系色素のうちの少なくとも1つを含む。
【0032】
有利となるように前記前面封止層は、前記色素粒子と基部樹脂とを混合して、前記前面封止層を膜として押し出すことによって製造される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明のさらなる詳細は、以下の図とともに以降の説明を読むことでより明確になる。
図1】本発明による光電池モジュールの概略的断面図である。
図2】本発明による他の光電池モジュールの概略的断面図である。
図3】グラフィック膜が供された本発明による光電池モジュールの一部の概略的断面図である。
図4】積層装置による光電池モジュールの製造方法の概略図である。
図5】本発明と同様の光電池モジュールで得られた実験結果のグラフである。
図6】本発明と同様の光電池モジュールで得られた実験結果のグラフである。
図7】本発明と同様の光電池モジュールで得られた実験結果のグラフである。
図8】本発明と同様の光電池モジュールで得られた実験結果のグラフである。
図9】PVモジュールが供される建築構造の概略図である。
図10】前面封止層の典型的な対についての温度に対する複素粘性のグラフである。
図11】同じ膜についてのタンジェントδ値のグラフである。
【本発明を実施するための形態】
【0034】
以降では、特定の層が隣接層上に直接設けられていることが明記されていなければ、1層以上の中間層も上述の層間に存在できることに留意して欲しい。そのため、「上に」とは、特に断りがなければ「直接的又は間接的に上に」という意味にとられなければならない。さらにある層やコネクタ等のパターニングは、当業者に周知であるため表されていない。
【0035】
図1は、本発明による光電池(PV)モジュールの第1実施形態を表す。
【0036】
このモジュール1は、使用時に照射される(図中では太陽のシンボルで示されている)ように意図された、モジュールの光入射面上に存在する前面シート11と、前面シート11とは反対に位置するモジュール11の面上に存在する背面シート19を有する。前面シートは、ガラス、透明セラミックス、ポリマー、又は任意の他の便利で実質的に透明な材料であってよい。背面シートは、金属、ガラス、セラミックス、ポリマー、又は任意の他の便利な材料であってよい。前面シート11は構造化されよく、かつ、前面シート11にはコーティングが供されてよい。
【0037】
広く知られているようにNIP、PIN、NP、又はPN接合を有する1つ以上のPVセルを備え、パターニングされ、かつ、相互接続される光電変換素子15が、前面シートと背面シートとの間に設けられている。PVセルは、薄膜シリコン、結晶シリコン、ゲルマニウム、ペロブスカイト、色素増感セル、又は、PVモジュール1の光入射面上に入射してPVモジュール1の光入射面に衝突する光から電力を生成するように適合する任意の他の型のPV技術に基づいてよい。
【0038】
PV変換素子15は、前面上では、該前面を前面シート11に密閉させる前面封止層13によって、背面上では背面封止層17によって封止される。この背面封止層17は、PV変換素子15を背面シート19に密閉させる。とはいえ背面封止層17自身が背面シートを構成してもよい。封止層は標準的な物質―たとえばポリオレフィン、EVA(エチレンビニルアセテート)、アイオノマー、ポリビニルブチラル、修飾フルオロポリマー等―であってよい。封止層13,17の各々は典型的には、200μmから1mmで、最大2mmの厚さである。さらに複数の前面封止層13は互いの上部に積層されてよい。透明(たとえばガラス)又は非暗色の背面シートの場合では、背面封止層17は、モジュール内に存在する相互接続と構造を隠すのを容易にするため、暗色(たとえば黒、暗褐色、ダークブルー等)によって着色又は染色されてよい。本発明においては、封止層は一の層を他の層に密閉することに留意して欲しい。その結果、前面封止層13は内部の層であるため、モジュール構造の外側の層―たとえば前面シート又はグラフィック膜―ではない。
【0039】
他の中間層が図示された層間に供されよく、かつ、層は平坦である必要はなく曲面又はより複雑な表面を表してよいことに留意して欲しい。
【0040】
本発明によると、前面封止層13は内部に取り込まれた色素粒子21を有する。具体的には前面封止層13は第1領域13aと第2領域13bを有する。第1領域13aは、第2領域13bよりも前面シート11の近くに(つまりはモジュール1の光入射面に向かって)設けられている。第2領域13bは、第1領域13aよりもPV変換素子15の近くに設けられている。第1領域13aと第2領域13bは典型的には、互いに直接隣接しているので接している。しかし第1領域13aと第2領域13bとの間の中間領域が存在することは排除されない。
【0041】
第1領域13aは、第2領域13bよりも高い濃度の色素粒子21を含む。第2領域13bは色素粒子21を実質的に含まないか、あるいは、第1領域13aよりも少ない色素粒子を含む。第2領域13bが色素粒子21を含む場合、第1領域13a内の色素粒子の最大50%で、好適には最大30%で、さらに好適には最大20%の濃度の色素粒子21が供される。色素粒子が第1領域13aと第2領域13bの各々に存在する場合、それらは同一であってもよいし、あるいは異なってもよい。
【0042】
前面封止層13の他の領域(図示されていない)は、前面シート11上及び/又はPV装置15上に供されてよい。これらの他の領域は典型的には色素粒子が存在しないが、これらの他の領域が低濃度の色素を含むことも排除されない。
【0043】
色素粒子21がかなり概略的に表されている。粒子の少なくとも一部―好適には少なくとも50%で、さらに好適には少なくとも75%(さらには実質的にすべて)―は典型的に、100nm~1μm―もっとも顕著には300nm~700nmで、最も特別には400nm~600nm―の範囲のサイズを有する。色素粒子は、封止体内の分子レベルで分散する着色剤又は既に着色された材料から作られる封止体とは明確に異なる離散的粒子であることに留意して欲しい。色素粒子21は、第1領域13aの厚さ全体にわたって分配される(ので、表面やその付近だけではない)。色素粒子が第2領域13b内に存在する場合も同様に、この領域の厚さ全体にわたって分配される。前面封止層13によって含まれる2つの領域13a,13bが形成される方法については図4のところで後述する。第1領域が作られる膜が押し出されるときの色素粒子21の分配は無作為であってよいし、あるいは、特定のパターンを構成してもよい。色素の分配は本発明によって維持される(以降参照)。
【0044】
化学的に安定で、単体又は適切な紫外安定剤―たとえばヒンダードアミン光安定剤(HALS)、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、シュウ酸アニリド、ベンゾフェノン、ベンゾトラゾール、ヒドロキシフェニルトリアジン等―との併用によって長時間の紫外光露光下で安定でれば、広範にわたる色素が使用可能である。適切な色素の例として、酸化チタン又は酸化亜鉛が白色を生成するのに用いられてよい。黄色、オレンジ色、及び茶色は、様々な鉄酸化物―赤褐色にはFe又は黄色にはFeO(OH)若しくは黄土―を用いて生成され得る。黄色はまた、バナジン酸ビスマス、チタンイエロー、ジンククロメート、又は硫化スズによって生成されてもよい。緑色はクロム酸化物又はCo/Li/Ti酸化物によって生成され得る。青色はたとえば、硫黄含有ナトリウムシリケート複合体又はプルシアンブルー又はコバルトスズ酸塩によって生成され得る。当然のこととして本発明は、そのような色素に限定されず、多くの他の色素が市場で入手可能である。
【0045】
色素粒子21は、前面封止層13の基礎として機能する樹脂100部当たり(phr)0.01~10部の範囲の濃度で供されてよい。前面封止層13の厚さに依存して、より具体的には0.1~5phr、さらにより具体的には0.1~1phrの色素粒子が用いられてよい。典型的には薄い封止層ほど、高い濃度の色素粒子21からの利益を享受する。
【0046】
色素粒子21は、所望の色を生成するようにPVデバイス1に入射する可視光の一部を吸収し、かつ、均一な色を供してPV変換素子15の様々な特徴を隠す光を拡散する。様々な特徴とはたとえば、PV変換素子15のパターニング、個々のセル間の電気的相互接続、個々のセルの端部、個々のセルと背面封止体17及び/又は背面シート19との間の色のズレなどである。
【0047】
この散乱効果は、分子レベルで内部に分散する着色剤によって着色される前面封止体を単純に供するよりも特に有利である。なぜならそのような着色剤は、光の散乱がないことで光の透明度がはるかに大きくなることで、上述したPV変換素子15の様々な特徴を隠す。
【0048】
さらに散乱効果は、PV変換素子7の光入射面上のPVモジュール1内に含まれる従来の拡散素子と同様な方法で、前面封止体5を通過してPV変換素子7の光電的に活性な部分へ入射する光の拡散を容易にすることで、セルを通り抜ける光の平均光路長を増大させる。当然のこととして全体的な効率は、PVデバイスの光入射面へ向かうように反射すなわち後方に散乱される光に比例して減少する。
【0049】
色素粒子21のサイズは、IR光に敏感なPV変換素子5の赤外範囲内での透過率を増大させるように調節され得る。前面封止層5内での色素粒子のサイズと密度を最適化することによって、輝き、かすかな光、又は虹の効果を与える色素粒子21間での干渉が生じ得る。より具体的には、色素粒子のサイズと濃度、前面封止層等は、所望の色、光学効果、透過率、反射率等を実現するための上述の範囲内での通常の実験によって調整可能である。厳密な粒子サイズ及び粒子濃度は、所望の光学特性(色、反射率、透過率、特殊干渉効果等)を実現する通常の実験によって想到し得ることが可能で、かつ、先験的な粒子サイズと粒子濃度との関係―この関係は所望の光学特性に依存する―は特別には存在しない。
【0050】
前面封止層13の製造に関しては、要求される量の色素粒子21は単純に、基部樹脂又は封止層13の第1領域13aを構成する樹脂前駆体と混合され、着色されている場合には任意で第2領域13bの樹脂前駆体と混合されてよい。必要な場合には、適切な紫外安定剤(上述)もまた、同時に樹脂に混入されてよい。続いてこれは、特殊な装置や方法を用いることなく、通常通りに押し出されてよい。この構成の結果、有色のフリットガラス等は前面シート11としては必要とされないので、本発明は特殊な装置なしで実行可能で、かつ、PVモジュール1は従来の積層装置によって一体化可能である(後述)。
【0051】
図2は、本発明によるPVモジュール1の他の実施形態を表している。この変形例では、前面封止層13と前面シート11は、既存の事前に製造されたPVモジュール27の前面上に積層された。その結果、本発明による最終PVモジュール1は、内部前面シート25と内部前面封止層23をも有する。なぜならそれらの層は既に既存の事前に製造されたPVモジュール27内に存在しているからである。残りの層15,17,19は、事前に製造されたPVモジュールに含まれ、上述したので、ここで再度説明する必要はない。
【0052】
この構成は、前面封止層13と前面シート11を既存のモジュールに追加導入することによって、任意の市販されたPVモジュールに対する本発明の利点をもたらすことを可能にする。これは特に有利である。なぜならエンドユーザーの要求に従って様々なモジュール1を製造することが容易になるからである。本質的には製造者は、事前に製造された標準PVモジュール27の在庫品を維持し、適切に着色された前面封止層13を在庫品から選択することによって、又は、注文して製造することによって、要求に従って前面封止層13と前面シート11を事前に製造された標準PVモジュール27上に積層することができる。
【0053】
図3は、前面シート11の光入射面に設けられるグラフィック膜29を備える本発明によるPVモジュール1のさらなる変形例を部分的に表している。このグラフィック膜29はたとえば、市販されているPET膜のようなポリマー膜であってよい。このグラフィック膜29上には、像、パターン等が任意の便利な手段によって印刷された。グラフィック膜29は、積層中(後述)又はグラフィック膜29以外の処理が完了したPVモジュール1の製造後のいずれかの時点で設けられてもよい。
【0054】
グラフィック膜29は図1の実施形態又は図2の実施形態のいずれに設けられてよい。そのためPVモジュール1の他の部分は図3では表されていない。
【0055】
あるいはその代わりに、図示されていない実施形態では、グラフィック膜29は前面封止層13と前面シート11との間に積層されてよい。
【0056】
上述の実施形態のいずれかで適切に設けられえる他の可能性として、上述の色素粒子を含むポリマー層が、前面シート11として―たとえば前面封止層13に接するように直接的に―用いられてよいし、あるいは、ガラス又はポリマーシートの上部の追加層として供されてもよい。そのような場合、前面封止体13は、本発明による粒子を含んでもよいし、あるいは、従来のものであってもよい。この粒子含有層の特別な利点は、たとえば(旭硝子製の)ルミフロン(Lumiflon)のようなフルオロオレフィンであるが、他のポリマーも可能である。
【0057】
図4は、本発明によるPVモジュール1の製造方法を概略的に表している。
【0058】
少なくとも層11,13,15,17,19とともに存在する他の層を含む層積層体31が積層装置33内で一体化される。図2の実施形態の場合では、層積層体は事前に製造されたPVモジュール27を有する。事前に製造されたPVモジュール27上には、前面封止層13と前面シート13(と他の任意の所望の層)が設けられた。積層装置33内での層積層体31の一体化は、完成したPVモジュールの光入射面が上方を向いた状態でも下方を向いた状態でもよい。前面封止層13が2つの領域13a,13bを有するので、前面封止層13は2つの独立した膜から生成される。第1領域となる(ため同一の参照符号が付されている)第1膜13aと、第2領域となる(ため同一の参照符号が付されている)第2膜13bである。従って第1膜13aは上述の粒子21を含む。これらは、積層装置33内において、それらの一の面又は他の面上に設けられる追加の膜とともに、正しい順序で設けられる。
【0059】
積層装置は、真空バッグ積層装置、ローラー型積層装置、又は任意の他の便利な型であってよい。積層装置33は続いて、たとえば温度は140℃から180℃で、圧力は最大1バール(典型的には0.4バールから1バール)で、熱と圧力を適切な期間加える。これにより、様々な封止層が融合及び架橋することで最終的なPVモジュール1に一体化される。
【0060】
その結果、本発明によるPVモジュール1は、特別な装置を必要とすることなく従来のPV処理装置で作ることができる。
【0061】
第1膜13aと第2膜13bの特性は、積層中での色素のマイグレーションを良好に防止するために最適化され得る。上述したように、従来技術では、色素が注入された封止材が熱と圧力を加えた状態で流れるため、色素粒子はマイグレーションと凝集を起こしてしまう恐れがある。この結果、たとえばPV変換素子15を構成する個々のセルの周りでは、色素粒子がマイグレーションし、封止層の厚さはばらついてしまい、大抵の場合で配色は非常に不均一となる。
【0062】
この特別な問題に対する解決手段は、それぞれ0.05mm~2mmの厚さを有し得る第1膜と第2膜の材料の選択が重要である。
【0063】
本質的には、第1膜13aの材料は色素粒子21のマイグレーションが制限されるように選ばれる一方で、第2膜13bの材料は封止特性及び特徴部―たとえば中間層が存在しないのであれば下に存在するPVセル15の細部-の周りを流れる性質の観点で選ばれる。このため、積層中での第1膜13aの粘性は、第2膜13bの粘性よりも高くなりように選ばれる。このような高い粘性によって横方向(膜13aの面内で)の流れは制限されることで色素のマイグレーションが防止されることで、色素の不均一な分布は回避される。他方粘性の低い第2膜は通常通りに流れることで、通常通りに下地層を密閉する。さらに第2膜は「緩衝」層として機能することで、下地の特徴部―例えば個々のセル―に起因する第1膜13aの厚さのばらつく傾向を減少させる。
【0064】
さらに第1膜13aの材料は粘弾性特性を有する場合、これもさらに完成した第1領域の厚さの変化を制限するため、結果として光吸収の変化を回避する。
【0065】
封止材料の選択の観点では、第1膜13aが架橋可能ポリマーで作られているのか否かに依存して複数の可能性が考えられる。
【0066】
第1の場合では、第1膜13aの基部樹脂は架橋不可能な、たとえばポリエチレン(PE)、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリアミド、ナイロン、ポリ(酸化メチレン)、POM、ポリ(4―メチルペンテン)、ポリ(スチレン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(塩化ビニール)、ポリ(塩化ビニール)、ポリ(フッ化ビニール)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリウレタン、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレン、硫化ポリフェニレン、又は、スチレンアクリロニトリルである。いずれの場合でも、要求される粘性は、封止材の組成を選択及び/又は適合させることによって得られる。これは積層中での所望の膜の特性に基づけば当業者には単純な作業である(後述)。単純な意味で、第2膜13bは典型的には、第1膜13aよりも低い融点を有する。第2膜13bの粘性が第1膜13aの粘性よりも十分に小さいままとなるように積層温度は選ばれる。理想的には積層中では、第2膜13bの複素粘性は第1膜13aの複素粘性よりも少なくとも20%低く、好適には少なくとも50%低く、さらに好適には少なくとも10倍小さいままである。所望の特性に基づいて、対応する市販製品が、既製品から得られるか、あるいは適切に調節されてよい。
【0067】
より具体的には所望の特性は好適には以下の通りである。・複素粘性 85℃では400000Pa・s超、105℃では50000Pa・s超、165℃では1000Pa・s超で、積層温度よりも高温では複素粘性は関係ない。・タンジェントδ 全積層プロセスを通じて0.8未満上述の範囲で色素粒子を加えることで、粘性は最大10%増加し得る。
【0068】
参考までに、複素粘性は、せん断応力の強制調和振動中に決定される周波数依存粘性関数で、かつ、複素弾性率を角周波数で除したものと定義される。ここで複素弾性率は、材料の変形-その変形が回復可能(つまり弾性的)、又は、非回復可能(つまり粘性的)であるかにかかわらず-に対する全体的抵抗を表す。これは、動的ムービングダイレオメーター又は同様の装置によって、本願では周波数が1Hzで歪が10%で測定される。タンジェントデルタ-「損失正接」としても知られている―は、損失弾性率(G’’)と貯蔵弾性率(G’)との比で与えられる位相角で、流体中での弾性の存在と大きさを表す。繰り返しになるが周波数1Hzで歪みが10%では、タンジェントデルタが1.0未満であるということは、弾性が支配的(つまり固体状)な挙動であることを示唆し、1よりも大きな値は、粘性が支配的(つまり液体状)な挙動であることを示唆している。
【0069】
この架橋不可能な第1膜13aと対をなす第2膜13bは以下の特性を有する。・複素粘性 85℃では100000Pa・s未満、105℃では20000Pa・s未満、165℃では15000Pa・s未満で、繰り返しになるが積層温度よりも高温では複素粘性は関係ない。・タンジェントδ 積層温度で0.9超で、好適には1.2超
【0070】
第2膜13bの基部樹脂が顕著なクリープ耐性を示さない場合、第2膜13bの基部樹脂は、積層前及び/又は積層中及び/又は積層後で少なくとも一部が架橋可能であることに留意して欲しい。
【0071】
第1膜13aが架橋する場合、この膜の予備重合の大きさが、粘性の決定に寄与する。理想的なパラメータは以下の通りである。
・複素粘性 85℃では20000Pa・s超、105℃では15000Pa・s超、165℃では5000Pa・s超で、積層温度よりも高温では複素粘性は関係ない。
・タンジェントδ 全積層プロセスを通じて0.8未満
【0072】
それらの要求される特性の少なくとも一部は、様々な硬化機構―たとえば放射線硬化、湿度硬化、過酸化物で開始される硬化―を介して第1膜13aの予備架橋を実行することによって得ることができることに留意して欲しい。
【0073】
第2膜13bについての対応するパラメータは以下の通りである。
・複素粘性 85℃では100000Pa・s未満、105℃では20000Pa・s未満、165℃では10000Pa・s未満
・タンジェントδ 積層温度で0.9超で、好適には1.2超
【0074】
第1膜13aの封止体が予備架橋するとき、同じ基部樹脂が両方の層に用いられてよい。このとき第1膜13aのみが予備重合する。
【0075】
第1膜13aの粘性が高すぎて積層条件下で隣接層(たとえば前面シート11)の良好な濡れ性及び適切な接合を保証できない場合、補助封止膜が第1膜13aと前記隣接層との間に設けられてよいことに留意して欲しい。この膜は従来の粘性の封止材で、第2膜13bと類似の機能を示す。
【0076】
いかなる場合でも一般的な原則は以下の通りである。
・ 第1膜13aは、全積層プロセスでより固体状の挙動を与えるために0.8未満のタンジェントδの値を有する。
・ 第2膜13bは、少なくとも積層温度でより液体状の挙動を与えるために0.9声で、好適には少なくとも1.2のタンジェントδの値を有する。
・ 第2膜13bの粘性は、少なくとも積層温度では第1膜13aの粘性の80%を超えず、好適には第1膜13aの粘性の50%を超えず、さらに好適には第1膜13aの粘性の10%を超えない。
【0077】
図10は、温度(横軸線形スケール)に対する複素粘性(縦軸対数スケール)のグラフを表している。図11は、第1膜13aと第2膜13bの材料の例についてのタンジェントδの値(線形スケール)を表している。より具体的には、これらの材料は、日本の企業である三井化学が供給したCSEM及びXLPOグレードのASCEで社内開発されたXLPO封止材である。グラフ全体を通じて、右側へ最大約165℃まで、第2膜13bの複素粘性η*は第1膜13aの複素粘性の50%にも届かないので、十分受容可能な制限(最大80%)の範囲内である。したがってこの例では、第2膜13bのタンジェントδが0.9未満に落ち込むとき、最大165℃の積層温度は可能である。しかし理想的には、第2膜13bの複素粘性は第1膜13aの複素粘性の10%を超えず、第2膜13bのタンジェントδは1.2超のままである。このことは、160℃周辺で最大積層温度となることを示唆している。
【0078】
第1膜13aが架橋可能でない場合、粘性は本質的に温度上昇ともに減少する。そのため第2膜13bの材料は、全積層プロセスを通じて十分な粘性の差異に耐えるように慎重に選ばれなければならない。最大温度も同様に慎重に選ばれなければならない。必要な場合―たとえば暑い天候での使用―には、第2膜13bもまた、十分なクリープ耐性を有するため架橋可能であってよい。
【0079】
第1膜13aが架橋可能で、かつ、先立って行われる予備架橋後に十分架橋しないとき、第1膜13aは、積層の初期段階中では低い粘性を有する。これは、架橋が粘性を増大させて、大きな機械的強度を与える前に、気泡を満たすことを容易にする。積層中の任意の所与の瞬間で、粘性とタンジェントδは、膜の温度と網状構造(架橋)の程度に依存する。これは、積層が進むことでさらに進み得る。従って温度上昇の際の本質的な粘性の減少とタンジェントδの増加は、網状構造を増大させることによって補償され、第2膜13bの材料の選択の幅が広がる。なぜなら積層プロセス中では十分低い粘性を有する材料を選ぶことが相対的に容易だからである。特に良好なクリープ耐性のために第2膜13b用の架橋可能樹脂を選ぶことは、架橋不可能な第1膜13aの場合よりも容易である。
【0080】
いずれの場合でも、積層後での2つの膜13a,13bの間の海面は完全で気泡が存在しない。さらに色素粒子21の交差拡散は界面全体にわたって最小となる。
【0081】
第1膜13aと第2膜13bの材料の対の具体例は以下の表で与えられる。与えられた商業的な参照記号は、変化しない組成を表すので再現性を保証する。
【表1】
【0082】
図5は、封止体と色素のある組み合わせの効果を表すため、図2の実施形態によるが第2領域13bのないPVモジュール1を製造することによって得られる実験結果のグラフを表す。この場合では、前面封止層13は、ダウエンゲージPV POE XUS38660.00ポリオレフィン系基部樹脂と、1phrのデュポンTi-ピュアR-960二酸化チタン系色素で作られた。他に添加剤は入っていなかった。中央値となる色素粒子のサイズは500nmだった。
【0083】
色素粒子が加えられて基部樹脂と相互に混ぜられ、厚さ0.85mmの白色架橋可能ポリオレフィンを得るために二軸押出機によって170℃で押し出された。
【0084】
結果として得られた白色前面封止シートは、50μmのETFE前面シートと結合され、事前に製造されたPVモジュール上に165℃の温度かつ約1bar(±0.99bar)の圧力で720秒間積層された。
【0085】
PVモジュールの金属接続には黒色が付された。背面シート19もまたコントラストを低減させるために黒色にされた。
【0086】
図のグラフは、上述した本発明によるPVモジュールについて350nmからちょうど1150nmまでの波長範囲にわたる外部量子効率(EQE)と反射率(R)を表している(W1)。同一の構成だが透明な前面封止層13を備える参照用セルのデータが対比されている。図からわかるように、広い波長帯域にわたってEQEは減少して反射率は増大した。
【0087】
さらにセルの性能と”Lab”色空間座標であらわされた色も測定された。その結果は以下の表であらわされている。
【表2】
【0088】
表からわかるように、構成されたモジュール1は白色を有し、電流損失は約58%である。
【0089】
図6は、図2の実施形態による他のPVモジュール1を製造することによって得られる実験結果のグラフを表している(繰り返しになるが下地の層13bは存在しない)。前面封止層13はエクソンモービルエスコレンウルトラ(Escorene Ultra)UL00728CC EVAコポリマー基部樹脂と、内部に分散された0.05質量%のショルツレッド(Scholz Red)110M色素粒子で作られた。
【0090】
赤色色素粒子が基部樹脂に相互に混ぜられ、その後厚さ0.9mm膜の前面封止層を生成するために95℃で押し出された。これは続いて厚さ100μmのETFE前面シートと結合されて、150℃かつ実質的に1barの圧力で720秒間積層された。前述の例の通り、金属接続には黒色が付された。黒色にされた背面シート19が用いられた。
【0091】
結果として得られたPVモジュールは、赤褐色タイルが共通する領域での屋根に取り付けるのに特に適した赤褐色を有する。繰り返しになるが図6のグラフは、このPVモジュール(T2)で得られたEQEと反射率を示し、従来の透明な前面封止層を用いた同じようにされた参考用モジュール(R2)と対比されている。この場合では、赤褐色モジュールT2のEQEは約650nmの波長未満でのみ顕著に減少した。反射率プロファイルは約600nm超の波長でわずかに上昇するのみである。
【0092】
さらに性能と色の結果は以下の表に表されている。
【表3】
【0093】
電流損失は、これまでの白色モジュールで測定された57.7%の損失と比較して28.5%に制限されている。
【0094】
図7はEQEのグラフを表している。図8は、図1によって構築されたPVモジュールによって得られた光の波長に対する反射率のグラフを表している(繰り返しになるが下地の領域13bは存在しない)。
【0095】
この一連の実験では、以下の1層以上の層で作られた様々な前面封止層を備える本発明による様々なPVモジュールが、図1の構造に従って構築された。
【表4】
【0096】
基部樹脂は、パダナプラスト(Padanaplast)製のポリジエン(Polidiemme)FE1252 EP修飾ポリオレフィンで、色素粒子は上述のデュポン社製Ti―ピュアR-960だった。基部樹脂と色素は最初に二軸押出機上で170℃にて化合されてペレットにされた。続いてペレットは一軸押出機上で170℃にて押し出されて規定された厚さの膜が生成された。これらの膜の着色は、光拡散効果と白色を与えるように適応された。以下のモジュールが構築された。
【表5】
【0097】
図7図8のグラフを検討すると、PVモジュールWD_3は、性能と美感との良好なトレードオフを表している。
【0098】
同一のPVモジュールにもまた性能試験が行われた。380nmから780nmの反射率試験と結果が以下で再現されている。
【表6】
【0099】
最後の例として、図3によるイメージ層29が付与された図1の実施形態による3つのモジュール(繰り返しになるが下地の領域13bは存在しない)が製造された。繰り返しになるが参考用モジュールは透明な前面封止層13を備えた。その後前面封止層13とともにWD_3とWD_4による他の層も製造された。参考用モジュール上ではイメージグラフィックはほとんど視認できない一方、他の2層上では明確に視認できた。
【0100】
3つのモジュールの性能結果は以下に再現されている。
【表7】
【0101】
繰り返しになるが前面封止層WD_3は、無色の参考値と比較して美感と電力/電流の損失との間で良好な妥協を表している。
【0102】
最後に図9は、建築構造35の天井に載置される本発明による光電池モジュール1を表している。あるいはその代わりに、PVモジュール1は、外壁に載置されてよいし、あるいは、壁及び/又は天井の構造―たとえばクラッドとしての―に統合されてよい。一般的な意味では、PVモジュール1は、建築構造35上又は内部に載置され得る。
【0103】
本発明は具体的な実施形態で説明されてきたが、本発明の変化型は、「特許請求の範囲」で定義される本発明の技術的範囲から逸脱することなく可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電池モジュールの製造方法であって、
積層装置を提供する段階と、
当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、前記前面シートに対して反対面となる当該光電池モジュールの面上に配置される背面シートと、前記前面シートと前記背面シートとの間に設けられる光電変換素子と、内部に分配される色素粒子を含む、前記光電変換素子と前記前面シートとの間に設けられる少なくとも1つの前面封止層を備える層積層体を前記積層装置内に設ける段階と、
前記封止層の融合及び/又は架橋によって前記層積層体を当該光電池モジュールへ一体化するように前記層積層体へ熱と圧力を加える段階と、を有し、
前記前面封止層は第1膜と第2膜を備え、
前記第1膜は、前記第2膜よりも前記前面シートの近くに設けられ、
前記第2膜よりも高い濃度の色素粒子を含み、
前記第1膜は少なくとも部分的に架橋可能で、85℃で20000Pa・s超で、105℃で15000Pa・s超で、165℃で5000Pa・s超の複素粘性を有し、
前記第2膜は85℃で100000Pa・s未満で、105℃で20000Pa・s未満で、165℃で10000Pa・s未満の複素粘性を有し、
積層温度が165℃未満である場合、前記165℃での条件は任意であることを特徴とする、
方法。
【請求項2】
光電池モジュールの製造方法であって、
積層装置を提供する段階と、
事前製造された光電池モジュールと、内部に分配される色素粒子を含む、入射光を受けるように意図された前記事前製造された光電池モジュールの面上に設けられる少なくとも1つの前面封止層、当該光電池モジュールの光入射面上に配置される前面シートと、を備える層積層体を前記積層装置内に設ける段階と、
前記封止層の融合及び/又は架橋によって前記層積層体を当該光電池モジュールへ一体化するように前記層積層体へ熱と圧力を加える段階と、を有し、
前記前面封止層は第1膜と第2膜を備え、
前記第1膜は、前記第2膜よりも前記前面シートの近くに設けられ、
前記第2膜よりも高い濃度の色素粒子を含み、
前記第1膜は少なくとも部分的に架橋可能で、85℃で20000Pa・s超で、105℃で15000Pa・s超で、165℃で5000Pa・s超の複素粘性を有し、
前記第2膜は85℃で100000Pa・s未満で、105℃で20000Pa・s未満で、165℃で10000Pa・s未満の複素粘性を有し、
積層温度が165℃未満である場合、前記165℃での条件は任意であることを特徴とする、
方法。
【請求項3】
前記第1膜は、前記の熱と圧力を加える間、前記第2膜よりも高い粘性を有する、請求項又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記の熱と圧力を加える間中、前記第1膜は0.8未満のタンジェントδ値を有し、前記第2膜は少なくとも0.9のタンジェントδ値を有し、
前記積層温度では、前記第2膜の粘性は、最大でも前記第1膜の粘性の80%である、
請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記色素粒子の少なくとも一部は、100nm~1μmの範囲の直径を有する、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記色素粒子は、100の樹脂当たり0.01~10部の質量濃度で前記前面封止層内に供される、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記色素粒子は、亜鉛系色素、チタン系色素、鉄系色素、クロム系色素、ビスマス系色素、コバルト系色素、アルミニウム系色素、スズ系色素、銅系色素のうちの少なくとも一を含む、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記前面封止層は、前記色素粒子と基部樹脂とを混合して、前記前面封止層を膜として押し出すことによって製造される、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】