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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119943
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20240827BHJP
   F23G 5/02 20060101ALI20240827BHJP
【FI】
F23G5/50 Q
F23G5/50 Z
F23G5/02 Z
F23G5/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024095203
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2024525718の分割
【原出願日】2023-12-18
(31)【優先権主張番号】P 2022202415
(32)【優先日】2022-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼川 暁大
(72)【発明者】
【氏名】小池 純
(72)【発明者】
【氏名】森永 謙二郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 薫平
(72)【発明者】
【氏名】豊國 紘基
(57)【要約】      (修正有)
【課題】プラットフォームにおけるごみ搬入車の待機時間を短縮すること。
【解決手段】ごみクレーン制御装置1は、ごみピット130にごみを搬入する際に開かれる複数の受入扉161~166に隣接するスペースである扉前スペースS1、及び、扉前スペースS1に連続し少なくとも扉前スペースに向かうごみ搬入車Cが通過する通過スペースを撮像した撮像画像を取得する取得部と、撮像画像に基づき、扉前スペース又は通過スペースに存在する一又は複数のごみ搬入車Cの動作状態を判定する状態判定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみピットに隣り合うように設けられ、ごみ搬入車が走行するプラットフォームのうちの所定のスペースを撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像に基づき、前記所定のスペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する状態判定部と、を備え、
前記状態判定部は、
前記所定のスペースは、前記ごみピットにごみを搬入する際に開かれる複数の受入扉に隣接するスペースである扉前スペース、及び、前記扉前スペースに連続し少なくとも前記扉前スペースに向かうごみ搬入車が通過する通過スペースを含むものとして、
前記撮像画像に基づき、前記扉前スペース又は前記通過スペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する、制御装置。
【請求項2】
前記状態判定部によって判定された前記一又は複数のごみ搬入車の動作状態に基づき、ごみ処理に係るごみ処理機構を制御するごみ処理制御部を更に備える、請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記ごみ処理機構は、前記ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンであり、
前記状態判定部は、前記撮像画像に基づき、前記通過スペースに入場後、前記扉前スペースに到達していないごみ搬入車について、ごみ搬入前状態であると判定し、更に、前記ごみ搬入前状態であるごみ搬入車が、いずれかの前記受入扉に対応する前記通過スペースの領域に向かう場合に、当該ごみ搬入車が搬入準備状態であると判定し、
前記ごみ処理制御部は、前記搬入準備状態であるごみ搬入車が向かう前記受入扉に対応する前記ごみピットの領域に係る動作以外の動作を実行するように、前記ごみクレーンを制御する、請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記ごみ処理制御部は、前記搬入準備状態であるごみ搬入車が向かう前記受入扉以外の受入扉に対応する前記ごみピットの領域に移動するように、前記ごみクレーンを制御する、請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記ごみ処理機構は、前記複数の受入扉それぞれについて扉開閉の可否を示す開閉可否信号機であり、
前記ごみ処理制御部は、前記状態判定部によって前記ごみ搬入前状態であると判定されたごみ搬入車が1台以上存在する場合に、扉を開状態とすることができないことが示されないように、各受入扉の前記開閉可否信号機を制御する、請求項3記載の制御装置。
【請求項6】
前記ごみ処理機構は、前記ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンと、前記複数の受入扉それぞれについて扉開閉の可否を示す開閉可否信号機であり、
前記状態判定部は、前記ごみピット内の領域を複数の番地に分けて管理し、番地ごとにごみの堆積高さであるごみレベルを把握し、
前記ごみ処理制御部は、
前記状態判定部によってごみレベルが所定のレベルになっている番地が複数存在すると判定された場合には、当該番地に対応する複数の前記受入扉のうちの、向かってくるごみ搬入車が存在しない受入扉に対応する1つの開閉可否信号機のみ、扉を開状態とすることができないことを示すように制御し、
開状態とすることができないことが示された前記受入扉に対応する当該番地のごみの積替動作を行うように前記ごみクレーンを制御する、請求項2記載の制御装置。
【請求項7】
ごみ処理設備に係る制御を行う制御装置が実行する制御方法であって、
ごみピットに隣り合うように設けられ、ごみ搬入車が走行するプラットフォームのうちの所定のスペースを撮像した撮像画像を取得するステップと、
前記撮像画像に基づき、前記所定のスペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する状態判定ステップと、を備え、
前記状態判定ステップでは、
前記所定のスペースは、前記ごみピットにごみを搬入する際に開かれる複数の受入扉に隣接するスペースである扉前スペース、及び、前記扉前スペースに連続し少なくとも前記扉前スペースに向かうごみ搬入車が通過する通過スペースを含むものとして、
前記撮像画像に基づき、前記扉前スペース又は前記通過スペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~3には、ごみ処理施設においてごみを運搬するごみクレーンの動作を制御するシステムが記載されている。このような技術では、例えば、ごみピット内のごみの攪拌状態が把握され、攪拌状態を向上させるようにごみクレーンの動作が制御される。ごみピット内の攪拌状態は、例えば、ごみピット内の画像データに基づき判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6731680号
【特許文献2】特許第6651309号
【特許文献3】特許第6659474号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば上述したごみクレーンの動作を制御する場合において、ごみクレーンの動作を優先すると、ごみピットに搬入されるごみを運搬するごみ搬入車(ごみ収集車など)の待ち時間が長くなる場合がある。すなわち、ごみクレーンの動作を優先する場合には、受入扉(ごみ搬入車がごみをごみピットに搬入する際の扉)に対してごみクレーンが近づいた際に、プラットフォームに並んでいるごみ搬入車を待機させ、その間にごみクレーンによるごみ掴み等が実施されるので、ごみ搬入車の待ち時間が長くなる。受入扉近くでごみクレーンが長時間稼働を続けた場合には、プラットフォームに並んでいるごみ搬入車は長時間待機することになる。
【0005】
本発明の一態様は上記実情に鑑みてなされたものであり、プラットフォームにおけるごみ搬入車の待機時間を短縮することができる制御装置及び制御方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る制御装置は、ごみピットに隣り合うように設けられ、ごみ搬入車が走行するプラットフォームのうちの所定のスペースを撮像した撮像画像を取得する取得部と、撮像画像に基づき、所定のスペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する状態判定部と、を備え、状態判定部は、所定のスペースは、ごみピットにごみを搬入する際に開かれる複数の受入扉に隣接するスペースである扉前スペース、及び、扉前スペースに連続し少なくとも扉前スペースに向かうごみ搬入車が通過する通過スペースを含むものとして、撮像画像に基づき、扉前スペース又は通過スペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する、制御装置。
【0007】
本発明の一態様に係る制御装置では、ごみ搬入車が走行するプラットフォームのうちの所定のスペースを撮像した撮像画像に基づいて、所定のスペースに存在するごみ搬入車の動作状態が判定される。具体的には、撮像画像に基づき、扉前スペース又は通過スペースに存在するごみ搬入車の動作状態が判定される。このように、扉前スペースだけでなく、扉前スペースに向かうごみ搬入車が通過する通過スペースについて撮像された画像から、ごみ搬入車の動作状態が判定されることにより、扉前スペースに至る前の早い段階でのごみ搬入車の動作状態を特定することができる。このような情報が特定されることにより、ごみ搬入車がどのような動きをするかを事前に予測することが可能になり、扉前スペースに至る前段階において、例えば、各種制御対象の効率的な制御計画を立てることが可能になる。以上のように、扉前スペースに至る前のごみ搬入車の動作状態が撮像画像から特定されることにより、ごみ搬入車の動きが事前に予測しやすくなり、効率的な制御が可能になることによって、プラットフォームにおけるごみ搬入車の待機時間を短縮することができる。なお、従来、受入扉前のループコイルで車両を検知していたが、本実施形態に係る技術によれば、ループコイル上に車両がくるまでの間(1~3分前)にどの受入扉にどの車両が向かっているのかを判定できるので、車両の待機時間を適切に短縮することができる。
【0008】
上記制御装置は、状態判定部によって判定された一又は複数のごみ搬入車の動作状態に基づき、ごみ処理に係るごみ処理機構を制御するごみ処理制御部を更に備えていてもよい。このような構成によれば、早い段階で特定することができたごみ搬入車の動作状態を考慮して、ごみ処理機構の制御を行うことができ、ごみ搬入車の待機時間が短くなるような制御を好適に実施することができる。
【0009】
ごみ処理機構は、ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンであり、状態判定部は、撮像画像に基づき、通過スペースに入場後、扉前スペースに到達していないごみ搬入車について、ごみ搬入前状態であると判定し、更に、ごみ搬入前状態であるごみ搬入車が、いずれかの受入扉に対応する通過スペースの領域に向かう場合に、当該ごみ搬入車が搬入準備状態であると判定し、ごみ処理制御部は、搬入準備状態であるごみ搬入車が向かう受入扉に対応するごみピットの領域に係る動作以外の動作を実行するように、ごみクレーンを制御してもよい。このような構成によれば、撮像画像に基づき特定されたごみ搬入車が向かう受入扉に対応するごみピットの領域では、ごみクレーンの動作が実行されない。このため、ごみクレーンの動作を理由として、ごみ搬入車の待機が発生することがなく、ごみ搬入車の待機時間を好適に短縮することができる。
【0010】
ごみ処理制御部は、搬入準備状態であるごみ搬入車が向かう受入扉以外の受入扉に対応するごみピットの領域に移動するように、ごみクレーンを制御してもよい。このような構成によれば、ごみクレーンによって、ごみ搬入車が向かう受入扉以外での積替動作等を適切に実施しながら、ごみクレーンの動作を理由として、ごみ搬入車の待機が発生することを適切に回避することができる。
【0011】
ごみ処理機構は、複数の受入扉それぞれについて扉開閉の可否を示す開閉可否信号機であり、ごみ処理制御部は、状態判定部によってごみ搬入前状態であると判定されたごみ搬入車が1台以上存在する場合に、扉を開状態とすることができないことが示されないように、各受入扉の開閉可否信号機を制御してもよい。このような構成によれば、ごみ搬入前状態のごみ搬入車が移動可能な受入扉を適切に確保することができ、ごみ搬入車の待機が発生することを適切に回避することができる。
【0012】
ごみ処理機構は、ごみピット内でごみを運搬するごみクレーンと、複数の受入扉それぞれについて扉開閉の可否を示す開閉可否信号機であり、記状態判定部は、ごみピット内の領域を複数の番地に分けて管理し、番地ごとにごみの堆積高さであるごみレベルを把握し、ごみ処理制御部は、状態判定部によってごみレベルが所定のレベルになっている番地が複数存在すると判定された場合には、当該番地に対応する複数の受入扉のうちの、向かってくるごみ搬入車が存在しない受入扉に対応する1つの開閉可否信号機のみ、扉を開状態とすることができないことを示すように制御し、開状態とすることができないことが示された受入扉に対応する当該番地のごみの積替動作を行うようにごみクレーンを制御してもよい。
【0013】
本発明の一態様に係る制御方法は、ごみ処理設備に係る制御を行う制御装置が実行する制御方法であって、ごみピットに隣り合うように設けられ、ごみ搬入車が走行するプラットフォームのうちの所定のスペースを撮像した撮像画像を取得するステップと、撮像画像に基づき、所定のスペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する状態判定ステップと、を備え、状態判定ステップでは、所定のスペースは、ごみピットにごみを搬入する際に開かれる複数の受入扉に隣接するスペースである扉前スペース、及び、扉前スペースに連続し少なくとも扉前スペースに向かうごみ搬入車が通過する通過スペースを含むものとして、撮像画像に基づき、扉前スペース又は通過スペースに存在する一又は複数のごみ搬入車の動作状態を判定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、プラットフォームにおけるごみ搬入車の待機時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係るごみクレーン制御装置を含むごみ処理設備を模式的に示す図である。
図2図2は、ごみピット内におけるエリア設定の一例を説明する図である。
図3図3は、ごみクレーンを模式的に示す図である。
図4図4は、プラットフォームにおける車両検知を説明する図である。
図5図5は、車両検知における画像認識処理を説明する図である。
図6図6は、ごみクレーン制御装置の機能を示すブロック図である。
図7図7は、受入エリアにおけるごみレベルについて説明する図である。
図8図8は、ごみクレーンの制御について説明する図である。
図9図9は、比較例とのごみ搬入車の待機時間の差について説明する図である。
図10図10は、制御手順を示すフローチャートである。
図11図11は、第1積替運転処理の詳細を示すフローチャートである。
図12図12は、第2積替運転処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態に係るごみクレーン制御装置1(制御装置)を含むごみ処理設備100を模式的に示す図である。ごみ処理設備100は、ごみクレーン110と、ごみピット130と、プラットフォーム150と、ごみ投入部180と、炉190(図7参照)と、ごみクレーン制御装置1と、を備えている。なお、図1においては、後述する仕切壁133(図2(a)(b)参照)の図示を省略している。
【0018】
炉190(図6参照)は、ごみ投入部180を介して投入されたごみピット130内のごみGを処理するものである。炉190は、例えば、シャフト式ガス化溶融炉等の溶融炉であってもよいし、ストーカ式焼却炉等の焼却炉であってもよい。溶融炉は、ごみGを高温溶融(例えば、1,700~1,800℃)により安定・確実に処理し、ごみを無害の溶融物として資源化可能に構成されている。焼却炉は、ごみGを焼却することにより処理するように構成されている。ごみ処理設備100は、さらにボイラと蒸気タービン発電機とを備え、ごみGを処理することにより発電も行う発電プラントであってもよい。なお、炉190は、ごみピット130に隣接して設置されていると好ましい。
【0019】
プラットフォーム150は、ごみピット130に隣り合うように設けられており、ごみピット130に搬入されるごみを運搬するごみ搬入車Cが走行する領域である。プラットフォーム150におけるごみピット130との境界部分には、壁部160が設けられている。壁部160には、複数の受入扉161~166が設けられている。なお、受入扉の数は、上記(6つ)に限定されない。ごみ搬入車Cは、プラットフォーム150における走行路151を走行し、いずれかの受入扉161~166の前で停車する。ごみ搬入車Cは、他のごみ搬入車Cが停車していない受入扉161~166の前に停車する。ごみ搬入車Cは、更に、ごみピット130内におけるごみGの状況(ごみGの量等)が考慮されて決定される受入扉161~166の前に停車してもよい。ごみ搬入車Cが停車している受入扉161~166が開かれて、ごみ搬入車Cからごみが落とし込まれることにより、ごみピット130内にごみGが搬入される。プラットフォーム150及び受入扉161~166の詳細については後述する。
【0020】
ごみ投入部180は、ごみピット130と炉190とを接続する部分であり、ごみピット130から投入されたごみGを炉190の内部に供給する。ごみ投入部180は、炉190の上部にあり、炉190の構成要素の1つと捉えることもできる。ごみ投入部180は、複数(ここでは一例として2つ)のホッパー181,182を有している。ごみピット130内のごみは、ホッパー181,182に投入されて、ホッパー181,182を通って炉190に送り込まれる。なお、ホッパー181,182は、同一の炉190にごみGを供給するものであってもよいし、互いに異なる炉190にごみGを供給するものであってもよい。
【0021】
ごみピット130は、ごみ搬入車Cが搬入するごみGを一時的に貯留する。ごみピット130は、受入ピット131と、投入攪拌ピット132と、を有している(図2(a)参照)。図2(a)(b)は、ごみピット130を平面視した図であり、ごみピット130内におけるエリア設定の一例を説明する図である。受入ピット131は、ごみピット130においてごみの受け入れを行う部分である。受入ピット131は、ごみピット130におけるプラットフォーム150寄りの位置に設けられている。投入攪拌ピット132は、ごみクレーン110が、ホッパー181,182を介して炉190へごみGを投入する投入動作、及び、ごみGを混ぜる攪拌動作を行う部分である。投入攪拌ピット132は、ごみピット130におけるごみ投入部180寄りの位置に設けられている。受入ピット131及び投入攪拌ピット132は、仕切壁133を介して互いに隣り合っている。なお、仕切壁133は、設けられていなくてもよい。
【0022】
ごみピット130においては、後述するごみクレーン制御装置1によって(又は、クレーンオペレータによる手動操作によって)、ごみクレーン110が行う動作に係るエリア設定が行われる。図2(a)に示されるように、ごみピット130の平面視における各領域は、9(1~9)×4(A~D)の36個の番地に分けられる。当該番地の1つの大きさは、例えば、ごみクレーン110のバケット111(図3参照。後述)の大きさに応じて設定されていてもよい。また、番地の数は、ごみピット130の大きさに応じて決めてもよい。番地の数や分け方は、その他の方法・考え方により決めてもよい。
【0023】
例えば図2(a)に示される例では、受入ピット131の1~9×Aの領域が、受入エリア131aに設定されている。また、投入攪拌ピット132の2~9×Dの領域が、投入エリア132a及び攪拌エリア132bの兼用エリアに設定されている。また、投入攪拌ピット132の2~9×B,Cの領域が、積替エリア132cに設定されている。また、投入攪拌ピット132の1×B~Dの領域が、草木退避エリア132dに設定されている。受入エリア131aは、ごみピット130においてごみGの受け入れを行うエリアである。投入エリア132aは、ごみクレーン110がホッパー181,182を介してごみを炉へ投入する投入動作を行うエリアである。攪拌エリア132bは、ごみクレーン110がごみを混ぜる攪拌動作を行うエリアである。積替エリア132cは、ごみクレーン110が受入ピット131から投入攪拌ピット132へごみを移動させる積替動作を行うエリアである。
【0024】
ごみピット130におけるエリア設定は上記に限定されず、例えばごみ搬入車Cからのごみの受け入れがない時間帯においては、図2(b)に示されるように、受入エリア131a、積替エリア132c、及び草木退避エリア132dが設定されずに、投入エリア132a及び攪拌エリア132bのみが設定されてもよい。図2(b)に示される例では、投入攪拌ピット132の1~9×C,Dの領域が投入エリア132aに設定されており、投入攪拌ピット132の1~9×B~Dの領域が攪拌エリア132bに設定されている。1~9×C,Dの領域は、投入エリア132a及び攪拌エリア132bの兼用エリアに設定されている。なお、図2(a)(b)に示されるエリア設定は、一例に過ぎず、ごみピット130におけるエリア設定はこれに限定されない。
【0025】
図1に戻り、ごみクレーン110は、ごみピット130内でごみGを運搬するクレーンである。ごみクレーン110は、ごみクレーン制御装置1の制御に応じて、上述した投入動作、攪拌動作、及び積替動作を行う。なお、図1においては、ごみクレーン110を1台のみ図示しているが、ごみクレーン110は複数台設けられていてもよい。ごみクレーン110の詳細について、図3を参照して説明する。
【0026】
図3は、ごみクレーン110を模式的に示す図である。図3に示されるように、ごみクレーン110は、バケット111と、モータ112と、バケット開閉機構113と、ワイヤ114と、ケーシング115と、モータ116と、ケーシング117と、モータ118,119と、車輪120と、を備えている。
【0027】
ワイヤ114は、上下方向に延びており、上端部がケーシング115に収容されたモータ116に接続されると共に、下端部がバケット開閉機構113に接続されている。バケット開閉機構113は、モータ112からの動力に応じてバケット111を開閉動作させる機構である。モータ112は、バケット開閉機構113に動力を与える油圧モータである。バケット111は、ごみGを挟み込むことによりごみGを保持する。
【0028】
ケーシング115は、モータ116を収容するケーシングである。モータ116は、ワイヤ114を巻き上げ/巻き下げするモータである。ケーシング117は、ケーシング115及びロードセル400を収容するケーシングである。ケーシング117の下面には、例えば前後左右4つの車輪120が設けられている。
【0029】
モータ118は、車輪120に動力を与えることにより、車輪120を回転させる走行モータである。車輪120は、レール500上を回転する。これにより、下面に車輪120が取り付けられたケーシング117(及び、ワイヤ114を介してつながったバケット111)がレール500に沿って走行方向に動くことになる。
【0030】
モータ119は、上述した走行方向に交差する方向にケーシング117(及び、ワイヤ114を介してつながったバケット111)を動かす動力を与える横行モータである。図3においては、モータ119の動力に応じた横行に関するレールの図示を省略している。このように、バケット111は、モータ116に基づき上下方向に動作し、モータ118に基づき走行方向に動作し、モータ119に基づき走行方向に交差する方向に動作する。
【0031】
ロードセル400は、ケーシング115、モータ116、ワイヤ114、モータ112、バケット開閉機構113、バケット111、及びバケット111が保持するごみGの重量を測定する。ロードセル400が重量を測定することにより、バケット111によってごみGが保持された状態であるか否かを、判定することができる。ロードセル400は、例えば、車輪120毎に設けられている。すなわち、ロードセル400は、1台のごみクレーン110につき4つ設けられている。4つのロードセル400の測定値の合計から、予め特定されている、ケーシング115、モータ116、ワイヤ114、モータ112、バケット開閉機構113、及びバケット111の重量を差し引くことにより、バケット111が保持するごみGの重量を導出することができる。
【0032】
なお、ロードセル400は、バケット111が保持するごみGの重量を測定することができれば、設置場所、設置個数、及び重量導出方法については、上記に限定されない。例えば、ロードセル400は、必ずしもケーシング117に収容されていなくてもよく、また、車輪120毎に設けられていなくてもよい。
【0033】
図1に戻り、ごみクレーン制御装置1は、ごみピット130内でごみGを運搬するごみクレーン110の動作を制御する装置である。ごみクレーン制御装置1は、マイクロコンピュータ(CPU)を有すると共に、RAMやROM等の記憶素子(記憶媒体)を有する電子制御ユニットである。ごみクレーン制御装置1は、ごみクレーン110を制御するモードとして、ごみクレーン110が自動で制御される自動制御モードと、ごみクレーン110がクレーンオペレータの操作によって制御される手動操作モードとを有する。ごみクレーン制御装置1では、自動制御モード及び手動操作モードのいずれか一方が選択されてごみクレーン110の制御が行われる。
【0034】
ごみクレーン制御装置1では、ごみピット130内のごみ性状の把握を可能にするごみピットMAPシステムが採用されている。ごみピットMAPシステムは、ごみピット130内を数値モデル化することにより、ごみGの搬入・移動(受入・積替・攪拌)(運搬・搬送)をトレースし、ごみGの貯留状況を記録する技術である。本システムが活用されることにより、ごみピット130内の全域について、ごみGの堆積状況や性状を継続的に把握することができる。
【0035】
図1に示されるように、ごみピットMAPシステムでは、ごみピット130内の空間が直方体状の所定の大きさの領域であるメッシュ(単位空間)(ブロック)に分割され、ごみピット130全体がモデル化されている。各メッシュに関して、ごみGの堆積状況や性状を表すパラメータとして、(1)ごみレベル、(2)攪拌回数、(3)ごみ種の3つがデータとして管理されている。
【0036】
ごみレベルは、ごみピット130内のごみ堆積高さを表す指標である。投入動作、積替動作、攪拌動作等のごみクレーン110の動作に応じて、ごみピットMAPシステム内において対象メッシュに対してごみレベルの加減算が行われる。なお、ごみピット130の近辺に設置された電磁波式レベル計等のレベルセンサの測定結果や、ごみクレーン110が着床した際の高さ情報等から、実際のごみ堆積高さが推定され、推定結果に基づきごみピットMAPシステムのごみレベルが補正されてもよい。
【0037】
攪拌回数は、ごみの攪拌度合いを表す指標であり、ごみクレーン110の動作に応じて、ごみピットMAPシステム内において対象メッシュに対して攪拌回数の加算を行う。
【0038】
ごみ種は、画像認識技術を用いることにより、通常のごみと草木を含むごみとを判別・分類し、該当メッシュに記録する。なお、ごみクレーン110の動作によって、ごみGが移動したり炉内に投入されたりした場合には、攪拌回数やごみ種が記録されたごみの移動がトレースされて、該当メッシュの情報が更新される。
【0039】
このようなごみピットMAPシステムにより、ごみのGの堆積状況や性状を定量的に把握することが可能になり、例えば、ごみピット130内の状況に応じた最適な攪拌を実現することができる。
【0040】
ここで、本実施形態に係るごみクレーン制御装置1は、プラットフォーム150において検知されたごみ搬入車Cの動作状態に基づいて、各種制御、例えばごみクレーン110に対する制御を行う。まず、図4を参照して、プラットフォーム150における車両検知について説明する。
【0041】
図4は、プラットフォーム150における車両検知を説明する図である。図4に示されるように、プラットフォーム150は、大きく、扉前スペースS1と、通過スペースS2と、を含んで構成されている。扉前スペースS1は、ごみピット130にごみを投入する際に開かれる複数の受入扉161~166に隣接するスペースである。扉前スペースS1は、各受入扉161~166に1対1で対応付けられて設けられており、ごみピット130にごみを搬入するごみ搬入車Cが搬入作業可能な程度の大きさとされている。
【0042】
通過スペースS2は、扉前スペースS1に連続し、扉前スペースS1に向かう(ごみの搬入前の)ごみ搬入車C、及び、ごみの搬入後に扉前スペースS1から退場するごみ搬入車Cの両方が通過するスペースである。通過スペースS2は、その入出口において、プラットフォーム150外部の走行路S3に接続されている。すなわち、ごみ搬入車Cは、ごみの搬入時においては、走行路S3から通過スペースS2に入場し、通過スペースS2を経て、いずれかの受入扉161~166に隣接する扉前スペースS1に停車する。また、ごみ搬入車Cは、ごみの搬入後においては、扉前スペースS1から通過スペースS2を経て、走行路S3を通ってプラットフォーム150の外部に退場する。なおプラットフォーム150は建屋の中の領域である(屋根および側壁で囲まれた領域である)と好ましい。そして、扉前スペースS1と通過スペースS2は建屋の中にあり、走行路S3は建屋の外にあると好ましい。通過スペースS2の入出口は建屋の側壁に設けられた開口部として、走行路S3は、当該開口部を通じて通過スペースS2に接続されていると好ましい。
【0043】
図4に示されるように、プラットフォーム150には、上述した扉前スペースS1及び通過スペースS2を撮像可能な複数(例えば2台)のカメラ301,302が設けられている。カメラ301,302は、例えば、通過スペースS2における扉前スペースS1の反対側の壁部(不図示)に設けられており、扉前スペースS1及び通過スペースS2の全体を撮像可能な位置に設けられている。カメラ301は、例えば、通過スペースS2における入出口(走行路S3との接続箇所)の近傍に設けられている。カメラ302は、例えば、通過スペースS2における入出口(走行路S3との接続箇所)から最も離間した領域(奥の領域)に設けられている。カメラ301は、通過スペースS2と、入出口側の扉前スペースS1(受入扉161~163に隣接する扉前スペースS1)とを主に撮像する。カメラ302は、通過スペースS2と、奥の領域の扉前スペースS1(受入扉164~166に隣接する扉前スペースS1)とを主に撮像する。このように、カメラ301,302それぞれが担当する範囲が分けられていることにより、近い範囲を中心に担当して、検出精度を向上させることができる。なお、プラットフォーム150の外部の走行路S3を走行するごみ搬入車C4については、今回の検知の対象外とされてもよい。カメラ301,302の位置は一例であり、上記に限定されない。また、撮像するカメラは1台であってもよいし、3台以上であってもよい。カメラ301,302は、撮像画像をごみクレーン制御装置1に送信する。
【0044】
図4に示されるように、プラットフォーム150においては、(1)ごみ搬入前状態であるごみ搬入車C1と、(2)ごみ搬入中状態であるごみ搬入車C2と、(3)ごみ搬入後状態であるごみ搬入車C3と、が存在する。ごみ搬入前状態とは、通過スペースS2に入場後、まだ扉前スペースS1に到達していない状態である。ごみ搬入中状態とは、リアルタイムに扉前スペースS1にいる状態である。ごみ搬入後状態とは、ごみ搬入中状態になった後に、通過スペースS2の入出口に向かう状態である。これらの各状態は、上述した撮像画像からごみ搬入車Cの位置を検出し、当該位置の状態をトレースすることにより、導出可能である。なお、撮像画像からごみ搬入車Cの位置を検出する手法は、既存の画像認識技術が用いられればよい。例えば、撮像画像に対してディープラーニングモデルが適用されることにより、ごみ搬入車Cの位置が検出されてもよい。
【0045】
図5は、車両検知における画像認識処理を説明する図である。図5に示される例では、上述したディープラーニングモデルが撮像画像に対して適用されることにより、撮像画像の中から2つのごみ搬入車Cが検出されている。ここで、ごみ搬入車Cの位置が検出できるため、予め画角内に設定された範囲にごみ搬入車Cが進入しているか否かを判断することにより、ごみ搬入中状態であるごみ搬入車C2を検知することや、ごみ搬入前状態であるごみ搬入車C1を検知することができる。なお、ごみ搬入車Cの検出においては、複数フレーム判定を行うことにより、瞬間的な誤認識の影響を軽減することができる。
【0046】
図6は、プラットフォーム150において検知されたごみ搬入車Cの動作状態に基づく制御を実施するごみクレーン制御装置1の機能を示すブロック図である。図6に示されるように、ごみクレーン制御装置1は、取得部11と、状態判定部12と、信号制御部13(ごみ処理制御部)と、クレーン制御部14(ごみ処理制御部)と、を備えている。本実施形態においては、ごみクレーン制御装置1が、ごみクレーン110以外の制御対象に対しても制御を行うとして説明するが、これに限定されない。すなわち、後述する各種制御の内、ごみクレーン110に対する制御のみをごみクレーン制御装置1が実施し、その他の制御を他の制御装置(不図示)が実施してもよい。
【0047】
取得部11は、カメラ301,302より、扉前スペースS1及び通過スペースS2を撮像した撮像画像を取得する(取得するステップ)。取得部11は、例えば所定の時間間隔で、継続的に、カメラ301,302から撮像画像を取得する。
【0048】
状態判定部12は、取得部11によって取得された撮像画像に基づき、扉前スペースS1又は通過スペースS2に存在する一又は複数のごみ搬入車Cの動作状態を判定する(状態判定ステップ)。状態判定部12は、判定したごみ搬入車Cの動作状態を示す情報を、信号制御部13及びクレーン制御部14に出力する。
【0049】
状態判定部12は、例えば上述したディープラーニングモデルを撮像画像に適用することにより、撮像画像の中からごみ搬入車Cを検出し、更に、当該ごみ搬入車Cの動作状態を判定する。状態判定部12は、例えば、予めプラットフォーム150の2つのスペースである扉前スペースS1及び通過スペースS2の範囲を画角内に設定し、設定した範囲にごみ搬入車Cが進入しているか否かを判断することにより、ごみ搬入車Cの動作状態を判定する。
【0050】
状態判定部12は、検出したごみ搬入車Cの動き(時系列の動き)から、ごみ搬入前状態であるか、ごみ搬入中状態であるか、又は、ごみ搬入後状態であるかを特定してもよい。状態判定部12は、例えば、通過スペースS2の入出口から入場後、扉前スペースS1に到達していないごみ搬入車Cについて、ごみ搬入前状態であると判定する。状態判定部12は、例えば、通過スペースS2から扉前スペースS1に移動したごみ搬入車Cについて、ごみ搬入中状態であると判定する。状態判定部12は、例えば、扉前スペースS1から通過スペースS2に向かったごみ搬入車Cについて、ごみ搬入後状態であると判定する。
【0051】
状態判定部12は、更に、ごみ搬入前状態であるごみ搬入車が、いずれかの受入扉に対応する通過スペースS2の領域(受入扉に近接する通過スペースS2の領域)に向かう場合に、当該ごみ搬入車Cが搬入準備状態であると判定してもよい。
【0052】
状態判定部12は、ごみピット130に係る、ごみ搬入車Cの動作状態以外の状態の判定を行ってもよい。状態判定部12は、例えば、受入エリア131aに、ごみレベルが所定値以上である番地が存在するか否かを判定してもよい。状態判定部12は、上述したごみピットMAPシステムを利用することにより、メッシュ毎のごみレベル等を導出することができる。状態判定部12は、判定したごみレベルが所定値以上である番地に係る情報を、信号制御部13及びクレーン制御部14に出力する。
【0053】
図7は、受入エリア131aにおけるごみレベルについて説明する図である。図7に示される例では、ごみレベルとして3段階設定されており、ごみ搬入車Cの1台分のごみの受け入れが難しい程度にごみレベルが高くなっている場合にはレベル「HH」と判定される。また、積替が要求される程度にごみレベルが高くなっている場合にはレベル「H」と判定される。また、積替が完了している程度にごみレベルが低くなっている場合にはレベル「L」と判定される。
【0054】
状態判定部12は、炉190から投入要求があるか否かを判定する。状態判定部12は、投入エリア132a及び攪拌エリア132bに攪拌回数が所定の閾値以下である番地が存在するか否かを判定してもよい。状態判定部12は、投入要求の有無及び攪拌の要否を、クレーン制御部14に出力する。
【0055】
信号制御部13は、状態判定部12によってごみ搬入前状態であると判定されたごみ搬入車Cが1台以上存在する場合に、受入扉を開状態とすることができないことが赤信号で示されないように、各受入扉161~166の扉前信号200(図7参照)を制御してもよい。なお、受入扉を開状態とすることができないことは、赤信号以外で示されてもよく、例えば、単に信号が点灯する、等により示されてもよい。扉前信号200は、図7に示されるように、複数の受入扉161~166それぞれについて扉開閉の可否を示す開閉可否信号機である。扉前信号200において赤信号が灯った状態とは、当該扉前信号200に対応する受入扉を開状態とすることが禁止されている状態である。ごみ搬入前状態であると判定されたごみ搬入車Cが1台以上存在する場合に、扉前信号200の赤信号が灯らないことにより、ごみ搬入前状態であると判定されたごみ搬入車Cが待機状態となることを好適に抑制できる。
【0056】
信号制御部13は、状態判定部12から出力された、受入エリア131aにおけるごみレベルが所定値以上である番地に係る情報に基づき、レベル「HH」以上の番地に対応する受入扉の扉前信号200については、赤信号を灯らせる(扉開禁止とする)。信号制御部13は、レベル「H」以上レベル「HH」未満の番地(ごみレベルが所定のレベルになっている番地)が複数番地ある場合には、選択された1つの番地に対応する受入扉の扉前信号200について赤信号を灯らせる。具体的には、信号制御部13は、上記複数番地のそれぞれに対応する受入扉のうち、向かってくるごみ搬入車Cが存在しない受入扉に対応する1つの扉前信号200のみ、扉を開状態とすることができないことを示すように赤信号を灯らせる。信号制御部13は、レベル「H」以上レベル「HH」未満の番地については、同時に2つ以上の扉前信号200に赤信号が灯る(扉開禁止とする)ことが無いように制御する。ごみレベルが所定値以上である場合に、扉前信号200に赤信号が灯り扉開禁止となることにより、適切に積替動作を行うことができる。
【0057】
クレーン制御部14は、状態判定部12によって判定された一又は複数のごみ搬入車Cの動作状態に基づき、ごみ処理に係るごみ処理機構であるごみクレーン110を制御する。クレーン制御部14は、上述した搬入準備状態であるごみ搬入車Cが向かう受入扉に対応するごみピット130の領域に係る動作以外の動作を実行するように、ごみクレーン110を制御する。クレーン制御部14は、搬入準備状態であるごみ搬入車Cが向かう受入扉以外の受入扉に対応するごみピット130の領域に移動するように、ごみクレーン110を制御してもよい。この場合、クレーン制御部14は、ごみ搬入車Cが向かう受入扉以外の受入扉に対応するごみピット130の領域に関して、積替動作が実施されるように、ごみクレーン110を制御してもよい。
【0058】
図8は、ごみクレーン110の制御について説明する図である。従来、図8(a)に示されるように、受入扉162に向かうごみクレーン110の動きが優先され、受入扉162に近づいたごみ搬入車Cに対して待機命令若しくは別の受入扉161への再誘導が行われていた。この点、図8(b)に示されるように、本実施形態では、撮像画像に基づいて、ごみ搬入車Cの動きが早期に判定されるので、ごみクレーン110側の動きを変更する(受入扉161へ優先的に移動する)ことにより、ごみ搬入車Cが待機しなくてよくなる。更に、ごみクレーン110も意味のある積替動作等を実施することが可能になる。
【0059】
図9は、比較例とのごみ搬入車Cの待機時間の差について説明する図である。比較例では、図9(a)に示されるように、プラットフォームで待機していた搬入車両が、ある受入扉(No1受入扉)に移動したとする。そして、そのタイミングで、ごみクレーンがNo1受入扉(No1受入扉の裏のごみピット130の番地)に移動し、No1受入扉が扉開禁止になるとする。このような制御は、搬入車両の動きが見られていない(考慮されていない)状況においては頻発し、搬入車両を待たせることになる。これに対して、図9(b)に示される本実施形態に係る制御では、搬入車両がNo1受入扉に移動した際に、それを考慮して、ごみクレーンがNo2受入扉に移動し積替等の作業を行うので、No1受入扉に向かった搬入車両が待機する必要がない。以上のように、搬入車両側の動きを考慮してごみクレーンの移動態様を変更させることにより、搬入車両(ごみ搬入車C)の待機時間を大幅に削減することができる。
【0060】
クレーン制御部14は、具体的には、モータ116,118,119を制御することにより、ごみクレーン110のバケット111を3次元方向に移動させ、モータ112を制御することにより、バケット開閉機構113によってバケット111が開閉動作する。このように、バケット111の移動及び開閉動作が実現されることにより、上述した積替動作を適切に実施することができる。
【0061】
なお、クレーン制御部14は、必ずしも積替動作をごみクレーン110に実施させなくてもよく、「ごみ搬入車Cが向かう受入扉に対応するごみピット130の領域に係る動作以外の動作」として、ごみクレーン110に投入又は攪拌動作を実施させてもよい。
【0062】
クレーン制御部14は、状態判定部12から出力された、受入エリア131aにおけるごみレベルが所定値以上である番地に係る情報に基づき、当該番地に係る積替動作が実施されるように、ごみクレーン110を制御する。また、クレーン制御部14は、状態判定部12から出力された、投入要求の有無及び攪拌の要否に係る情報に基づき、投入動作又は攪拌動作が実施されるように、ごみクレーン110を制御する。
【0063】
次に、図10を参照して、ごみクレーン制御装置1において実施される制御手順について説明する。図10は、制御手順を示すフローチャートである。
【0064】
最初に、受入エリア131aに、ごみレベル「HH」以上の番地があるか否かが判定される(ステップS1)。ごみレベル「HH」以上の番地がある場合には、第1積替運転が実施される(ステップS2)。ステップS2については、図11を参照して後述する。
【0065】
ステップS1において、ごみレベル「HH」以上の番地が無いと判定された場合には、炉190から投入動作の要求があるか否かが判定される(ステップS3)。投入動作の要求がある場合には、投入運転が実施される(ステップS4)。この場合、ごみクレーン110が投入動作を実施するように制御される。
【0066】
ステップS3において炉190からの投入要求が無いと判定された場合、ごみレベル「H」以上の番地があるか否かが判定される(ステップS5)。ごみレベル「H」以上の番地がある場合には、第2積替運転が実施される(ステップS6)。ステップS6については、図12を参照して後述する。
【0067】
ステップS5において、ごみレベル「H」以上の番地が無いと判定された場合には、投入攪拌エリアに、攪拌回数n回以下の番地があるか否かが判定される(ステップS7)。ステップS7において、攪拌回数n回以下の番地がある場合には、攪拌運転が実施される(ステップS8)。この場合、ごみクレーン110が攪拌動作を実施するように制御される。
【0068】
図11は、第1積替運転処理の詳細を示すフローチャートである。図11に示されるように、最初に、ごみレベル「HH」以上の番地が複数番地あるか否かが判定される(ステップS21)。複数番地ある場合には、ごみレベル「HH」以上の番地に対応する全ての受入扉の扉前信号200が赤信号とされて(ステップS26)、扉開禁止となる。そして、ごみレベル「HH」以上の全ての番地でごみレベル「H」未満になるまで積替動作が繰り返し実施されて(ステップS27)、全ての番地でごみレベル「H」未満になった段階で、全ての扉前信号200が、受入扉を開状態とすることができることを示す青信号にされる(ステップS29)。
【0069】
一方で、ステップS21においてごみレベル「HH」以上の番地が複数番地ない場合には、ごみレベル「HH」以上の番地の扉前信号を赤信号にし(ステップS22)、当該番地でごみレベル「H」未満になるまで積替動作が繰り返し実施されて(ステップS23)、当該番地でごみレベル「H」未満になった(ステップS24)段階で、扉前信号200が青信号にされる(ステップS25)。
【0070】
なお、図11に示される例では、ごみレベル「HH」以上の全ての番地でごみレベル「H」未満になった段階で、その全ての扉前信号200が青信号に一斉に変わるようになっているが、積替動作によってごみレベル「H」未満になった番地に対応する扉前信号200から順に青信号にされてもよい。また、図11に示される例では、ステップS21の判定結果でフローが分岐しているが、ごみレベル「HH」以上の番地が複数あるか否かに関わらず、ごみレベル「HH」以上の番地に対応する扉前信号200であれば、当該扉前信号200の個数に関係なく当該扉前信号200の全てが赤信号とされるステップを実行し、さらにその後に続く、積替ステップ(図11のステップS23、S27に相当するステップ)、ごみレベル「H」未満判定ステップ(図11のステップS24、S28に相当するステップ)、及び、青信号変更ステップ(図11のステップS25、S29に相当するステップ)を共通して実行してもよい。また、受入扉を開状態とすることができることは、青信号以外で示されてもよく、例えば、点灯していた信号が消える、等により示されてもよい。
【0071】
図12は、第2積替運転処理の詳細を示すフローチャートである。図12に示されるように、ごみレベル「H」以上の番地が複数番地あるか否かが判定される(ステップS61)。複数番地ある場合には、対象番地の受入扉前に車両があるか否かが判定される(ステップ62)。また、ステップS61において、ごみレベル「H」以上の番地の中に受入扉前に車両無しの番地があるか否かが判定される(ステップS67)。そのような番地がある場合には、車両なしの番地から1つの対象番地が選択される(ステップS68)。
【0072】
ステップS62及びS68につづいて、扉前信号200を赤信号にする処理が実施される(ステップS63)。そして、ごみレベルがL未満(積替完了レベル)になるまで、積替動作が実施され(ステップS64)、ごみレベルがL未満になった場合に、扉前信号200が青信号にされる(ステップS66)。
【0073】
次に、本実施形態に係るごみクレーン制御装置1の作用効果について説明する。
【0074】
本実施形態に係るごみクレーン制御装置1は、ごみピット130にごみを搬入する際に開かれる複数の受入扉161~166に隣接するスペースである扉前スペースS1、及び、扉前スペースS1に連続し少なくとも扉前スペースS1に向かうごみ搬入車Cが通過する通過スペースS2を撮像した撮像画像を取得する取得部11と、撮像画像に基づき、扉前スペースS1又は通過スペースS2に存在する一又は複数のごみ搬入車Cの動作状態を判定する状態判定部12と、を備える。
【0075】
本実施形態に係るごみクレーン制御装置1では、扉前スペースS1及び通過スペースS2を撮像した撮像画像に基づいて、これらのスペースに存在するごみ搬入車Cの動作状態が判定される。このように、扉前スペースS1だけでなく、扉前スペースS1に向かうごみ搬入車Cが通過する通過スペースS2について撮像された画像から、ごみ搬入車Cの動作状態が判定されることにより、扉前スペースS1に至る前の早い段階でのごみ搬入車Cの動作状態を特定することができる。このような情報が特定されることにより、ごみ搬入車Cがどのような動きをするかを事前に予測することが可能になり、扉前スペースS1に至る前段階において、例えば、各種制御対象の効率的な制御計画を立てることが可能になる。以上のように、扉前スペースS1に至る前のごみ搬入車Cの動作状態が撮像画像から特定されることにより、ごみ搬入車Cの動きが事前に予測しやすくなり、効率的な制御が可能になることによって、ごみ搬入車の待機時間を短縮することができる。
【0076】
ごみクレーン制御装置1は、状態判定部12によって判定された一又は複数のごみ搬入車Cの動作状態に基づき、ごみ処理に係るごみ処理機構を制御するごみ処理制御部を更に備えていてもよい。このような構成によれば、早い段階で特定することができたごみ搬入車Cの動作状態を考慮して、ごみ処理機構の制御を行うことができ、ごみ搬入車Cの待機時間が短くなるような制御を好適に実施することができる。
【0077】
ごみ処理機構は、ごみピット内でごみを運搬するごみクレーン110であり、状態判定部12は、撮像画像に基づき、通過スペースS2に入場後、扉前スペースS1に到達していないごみ搬入車Cについて、ごみ搬入前状態であると判定し、更に、ごみ搬入前状態であるごみ搬入車Cが、いずれかの受入扉に対応する通過スペースS2の領域に向かう場合に、当該ごみ搬入車Cが搬入準備状態であると判定し、搬入準備状態であるごみ搬入車が向かう受入扉に対応するごみピット130の領域に係る動作以外の動作を実行するように、ごみクレーン110を制御してもよい。このような構成によれば、撮像画像に基づき特定されたごみ搬入車Cが向かう受入扉に対応するごみピット130の領域では、ごみクレーン110の動作が実行されない。このため、ごみクレーン110の動作を理由として、ごみ搬入車Cの待機が発生することがなく、ごみ搬入車Cの待機時間を好適に短縮することができる。
【0078】
クレーン制御部14は、搬入準備状態であるごみ搬入車Cが向かう受入扉以外の受入扉に対応するごみピット130の領域に移動するように、ごみクレーン110を制御してもよい。このような構成によれば、ごみクレーン110によって、ごみ搬入車Cが向かう受入扉以外での積替動作等を適切に実施しながら、ごみクレーン110の動作を理由として、ごみ搬入車Cの待機が発生することを適切に回避することができる。
【0079】
ごみ処理機構は、複数の受入扉それぞれについて扉開閉の可否を示す扉前信号であり、信号制御部13は、状態判定部12によってごみ搬入前状態であると判定されたごみ搬入車Cが1台以上存在する場合に、扉を開状態とすることができないことが示されないように、各受入扉の扉前信号200を制御してもよい。このような構成によれば、ごみ搬入前状態のごみ搬入車Cが移動可能な受入扉を適切に確保することができ、ごみ搬入車Cの待機が発生することを適切に回避することができる。
【0080】
本明細書における開示はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。すなわち、特許請求の範囲及びその要旨を逸脱しない範囲において、以上の例に対して種々の省略、置換、変更などが行われてもよい。
【0081】
例えば、図7に示される例では、受入エリア131aにおけるごみレベルとして3段階設定されているが、4段階以上設定されていてもよい。この場合、例えば、ごみレベル「HH」よりも高いごみレベル「H4」をさらに設定してもよい。図7に示される例に対してさらにごみレベル「H4」を追加した4段階の設定がある場合であって、且つ、新たなごみを受け入れることが困難なごみレベル「HH」以上の番地が複数ある場合、積替を実施する番地の順序を次のようにしてもよい。例えば、ごみレベル「HH」以上の複数の番地の中に、ごみレベル「H4」以上の番地と、ごみレベル「H4」未満「HH」以上の番地とが含まれる場合には、ごみレベル「H4」以上の番地を優先して積替動作を実施してもよいし、「H4」未満「HH」以上の番地を優先して積替動作を実施してもよい。「H4」未満の番地を優先して積替動作を実施した場合には、「H4」以上の番地を積み替えるよりも早く(少ない積替回数で)当該番地のごみレベルを下げることができるので、開放が禁止されない受入扉を早く用意することができ、ごみ搬入車Cの待機が発生することをより適切に回避することができる。ごみレベル「HH」以上の番地が複数ある場合には、当該番地のうちの最も低い番地を優先して積替動作を実施してもよい。この場合も開放が禁止されない受入扉を早く用意することができる。また、各受入扉の扉前信号200が、赤信号になった後に青信号に変える条件(扉開禁止になった後に扉開禁止が解除される解除条件)は、対応する番地のごみレベルが「H」以下になった場合であってもよいし、「HH」以下になった場合であってもよいし、「L」以下になった場合であってもよい。プラットフォームにおけるごみ搬入車Cの動作状態(例えばごみ搬入前状態のごみ搬入車Cの状況)に応じて、当該解除条件を可変にしてもよい。
【0082】
また、受入エリア131aの番地と受入扉とは、一対一の対応関係であってもよいし、一対複数であってもよいし、複数対一であってもよい。すなわち、1つの番地に対応する受入扉が複数あってもよい。複数の番地が1つの受入扉に対応づけられていてもよい。例えば、図2(a)に示すように、番地2×Aは、受入扉165と受入扉166の両方に対応していてもよい。また、例えば、番地1×Aと番地2×Aの2つが、受入扉166に対応づけられていてもよい。1つの番地を複数の受入扉で共有(重複)する状態となっていてもよい。受入エリア131aの番地の数と受入扉の数とは、同数であってもよいし、異なっていてもよい。受入エリア131aの番地の数と受入扉の数とが異なっている場合、受入エリア131aの番地の数は、受入扉の数の倍数であってもよい。
【符号の説明】
【0083】
1…ごみクレーン制御装置、11…取得部、12…状態判定部、13…信号制御部、14…クレーン制御部、110…ごみクレーン、130…ごみピット、200…扉前信号、301,302…カメラ、S1…扉前スペース、S2…通過スペース。
図1
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図12