(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119944
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】複数の整流回路を使用する電力変換を備える装置及び方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240827BHJP
B64U 50/16 20230101ALN20240827BHJP
【FI】
H02M3/28 W
H02M3/28 Q
B64U50/16
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024095244
(22)【出願日】2024-06-12
(62)【分割の表示】P 2020546914の分割
【原出願日】2019-03-07
(31)【優先権主張番号】62/639,865
(32)【優先日】2018-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】リバス‐ダヴィラ,ジュアン,エム.
(72)【発明者】
【氏名】グ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】レイモンド,ルーク,シー.
(72)【発明者】
【氏名】パーク,シャンヒョン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の整流回路を使用する電力変換を備える装置を提供する。
【解決手段】装置は、直流(DC)-交流(AC)逆変換回路と、第1の回路と、第2の回路と、出力回路と、を備える。直流-交流逆変換回路は、入力電圧に対応する少なくとも1つの直流入力信号を少なくとも1つの交流信号に逆変換する。第1の回路及び第2の回路は、それぞれ、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する誘導的絶縁回路と、第1の整流信号及び第2の整流信号を出力することにより、誘導的絶縁回路に応答する整流回路と、を備え、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする。出力回路は、直流出力電圧信号を提供し、第1の整流信号及び第2の整流信号を含む複数の信号を縦続させ、第1の整流信号及び第2の整流信号に従属し、電圧破壊定格よりも大きい、電圧源を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧に対応する少なくとも1つの直流(DC)入力信号を少なくとも1つの交流信号(AC)に逆変換するように構成される直流-交流(AC)逆変換回路と、
前記少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第1の誘導的絶縁回路を含み、出力端子の第1のペアに第1の整流信号を出力することにより、前記第1の誘導的絶縁回路に応答する第1の整流回路を含む、第1の回路と、
前記少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第2の誘導的絶縁回路を含み、出力端子の第2のペアに第2の整流信号を出力することにより、前記第2の誘導的絶縁回路に応答する第2の整流回路を含み、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つは、電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする、第2の回路と、
電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、出力端子のペアの他方の出力端子の1つへの供給の供給源である出力端子の前記ペアの一方の出力端子の1つにより、前記第1の整流信号及び前記第2の整流信号を含む複数の信号を縦続させるように構成及び配置され出力回路であって、前記電圧源端子は、前記第1の整流信号及び前記第2の整流信号に従属し、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つの前記電圧破壊定格よりも大きい、電圧源を提供する、出力回路と、
を備える装置。
【請求項2】
前記第1の誘導的絶縁回路及び前記第2の誘導的絶縁回路の少なくとも1つは、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つの前記電圧破壊定格よりも大きい別の電圧破壊定格に関連している、請求項1の装置。
【請求項3】
前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つは、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つの前記電圧破壊定格の2倍よりも大きい直流出力電圧信号を、前記関連する整流信号に提供するように構成及び配置される、請求項1の装置。
【請求項4】
前記第1の誘導的絶縁回路及び前記第2の誘導的絶縁回路のそれぞれは、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つ前記の電圧破壊定格よりも大きく、前記第1の誘導的絶縁回路及び前記第2の誘導的絶縁回路に含まれる回路についての最小全体電圧破壊定格を定義する、関連電圧破壊定格を有する、空芯トランスを備える、請求項1の装置。
【請求項5】
前記電圧破壊定格は、前記誘導的絶縁回路の出力端子及び前記整流回路のダイオードの間の、前記第1の回路及び前記第2の回路の1つの信号路に使用される直流絶縁キャパシタにより定義される、請求項1の装置。
【請求項6】
前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路のそれぞれは、DE級整流器を含む又はDE級整流器として構成される、請求項1の装置。
【請求項7】
前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路に縦続する出力を有する追加の整流回路をさらに備え、
前記整流回路のそれぞれは、DE級整流器を含む若しくはDE級整流器として構成される、前記入力電圧から直流絶縁され、300ボルト以上に定格される、
請求項1の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第3の誘導的絶縁回路を含み、出力端子の第3のペアに第3の整流信号を出力することにより、前記第3の誘導的絶縁回路に応答する第3の整流回路を含む、第3の回路をさらに備え、
前記出力回路は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、電力の縦続された電力源として出力端子の前記第1のペア、前記第2のペア、及び前記第3のペアの前記出力端子の選択された1つと、前記第1の整流信号、前記第2の整流信号、及び前記第3の整流信号に従属し、前記電圧破壊定格よりも大きい電圧源を提供するために集合的に配置される前記第1の電圧源端子、前記第2の電圧源端子、及び前記第3の電圧源端子と、を結合させることにより、前記第1の整流信号、前記第2の整流信号、及び前記第3の整流信号を含む複数の信号を縦続させる、
請求項1の装置。
【請求項9】
前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路のそれぞれは、並列接続される複数の整流段階の1つである、請求項1の装置。
【請求項10】
直流(DC)電圧入力信号から少なくとも1つの交流(AC)信号を提供することと、
それぞれ、誘導的絶縁を提供し、前記少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動し、出力端子の関連するペアにおいて整流された信号を出力することにより、前記誘導的絶縁に応答して整流する、並列の第1の回路及び第2の回路を使用することであって、前記第1の回路及び前記第2の回路の少なくとも1つに関連する前記整流は、電圧破壊定格により制限されることを特徴とする、使用することと、
前記整流信号を含む複数の信号を、第2の整流信号に従属し、前記電圧破壊定格よりも大きい直流出力電圧信号に縦続させることにより、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供することと、
を備える方法。
【請求項11】
入力電圧信号に関連する少なくとも1つの交流(AC)信号に応答して直流電圧を提供するための直流(DC)電源であって、
前記少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第1の誘導的絶縁回路を含み、出力端子の第1のペアに第1の整流信号を出力することにより、前記第1の誘導的絶縁回路に応答する第1の整流回路を含む、第1の回路と、
前記少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第2の誘導的絶縁回路を含み、出力端子の第2のペアに第2の整流信号を出力することにより、前記第2の誘導的絶縁回路に応答する第2の整流回路を含み、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つは、電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする、第2の回路と、
電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、出力端子のペアの他方の出力端子の1つへの供給の供給源である出力端子の前記ペアの一方の出力端子の1つにより、前記第1の整流信号及び前記第2の整流信号を含む複数の信号を縦続させるように構成及び配置され出力回路であって、前記電圧源端子は、前記第1の整流信号及び前記第2の整流信号に従属し、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つの前記電圧破壊定格よりも大きい、電圧源を提供する、出力回路と、
を備える直流電源。
【請求項12】
前記少なくとも1つの交流信号を、前記第1の誘導的絶縁回路及び前記第2の誘導的絶縁回路に提供するように構成及び配置されるフロントエンド駆動回路をさらに備える、請求項11の直流電源。
【請求項13】
前記フロントエンド駆動回路は、前記入力電圧信号に対応する少なくとも1つの直流入力信号を前記少なくとも1つの交流信号に逆変換し、前記少なくとも1つの交流信号を介して、前記第1の誘導的絶縁回路及び前記第2の誘導的絶縁回路を駆動するように構成及び配置される1つ以上の直流-交流逆変換回路を備える、請求項12の直流電源。
【請求項14】
前記フロントエンド駆動回路は、前記入力電圧信号及び第1の周波数に対応する少なくとも1つの交流入力信号を、第2の周波数に対応する前記少なくとも1つの交流信号に逆変換し、前記第2の周波数における前記少なくとも1つの交流信号を介して、前記第1の誘導的絶縁回路及び前記第2の誘導的絶縁回路を駆動するように構成及び配置される交流-交流逆変換回路を備える、請求項12の直流電源。
【請求項15】
前記第1の誘導的絶縁回路及び前記第2の誘導的絶縁回路のそれぞれは、空芯トランスであって、前記空芯トランスの巻線の間の材料に関連し、前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つの前記電圧破壊定格よりも大きい別の電圧破壊定格を有する空芯トランスを備える、請求項11の直流電源。
【請求項16】
前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つは、前記誘導的絶縁回路の出力端子及び前記整流回路のダイオードの間の、前記第1の回路及び前記第2の回路の1つの信号路に使用される直流絶縁キャパシタを備え、
前記直流絶縁キャパシタは、前記電圧破壊定格により制限されることを特徴とする、
請求項11の直流電源。
【請求項17】
電圧レールの間の配置において縦続する、前記第1の回路及び前記第2の回路を含む複数の回路をさらに備え、
前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の少なくとも1つは、それぞれ、前記電圧レールの1つに最近接して配置される、
請求項11の直流電源。
【請求項18】
前記第1の整流回路及び前記第2の整流回路の入力端子は並列接続され、出力端子の前記ペアの前記出力端子は、前記出力回路を介して、直列接続される、請求項11の直流電源。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
高電圧(例えば、10~100キロボルト)低電流(1~100ミリアンペア)電源は、中でも医療、環境、保安、及び航空宇宙の分野を含む多数の応用に有益であり得る。さらに、高電圧装置の携帯性の向上は、技術の新規使用、改良された性能、及び/又は新規の応用に繋がり得る。
【0002】
上記及び他の論点は、様々な応用における電力変換に課題をもたらしてきた。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施の形態の様態は、複数の整流回路を使用する電力変換を備える装置及び/又は方法を対象とする。以下の説明において、非限定的で例示的な実施の形態により本開示への理解をもたらすために、様々な実装及び適用が開示される。
【0004】
様々な様態は、複数の積層整流回路により提供される電力変換を対象とする及び/又は含み、整流回路の少なくとも1つは、フロントエンド部分及びバックエンド部分の間に誘導的絶縁を有し、バックエンド部分は、フロント部分の1つ以上の要素に関連する電圧ストレス/破壊定格よりも大幅に大きい定常電圧を備える電力変換された出力段階信号を提供するために使用可能である。
【0005】
多数の様態は、数百ボルトを発電する、容量性直流(DC)絶縁を備えるDE級共振整流器を有する電力変換器を対象とする。整流ダイオード及び出力端子が入力から直流絶縁されると、数十の整流器のユニットが積層され、それにより、ユニットにより出力される信号は直列となり、数キロボルトの出力電圧を発電される。本構成において、絶縁された合計出力電圧が正方向及び負方向へと対称的に分岐する条件では、出力電圧は、最上部及び最下部の整流器のキャパシタに対する電圧ストレスが合計出力電圧の半分であるため、最大で直流絶縁キャパシタの電圧定格の2倍であってよい。より高い出力電圧を達成するために、様々な実施の形態は、追加的な直流絶縁バリアとして働く空芯トランスを備える。上記のように、多段階DE級整流器の複数のユニットは、縦続していてよい。そのような例示的な構成を使用すれば、達成可能な電圧がトランスの一次巻線及び二次巻線の間の誘導的絶縁バリアの破壊電圧となるため、高出力電圧が発電可能となる。
【0006】
より具体的な様態は、直流-交流(AC)逆変換回路と、第1の回路と、第2の回路と、出力回路と、を備える装置を対象とする。直流-交流逆変換回路は、入力電圧に対応する少なくとも1つの直流入力信号を少なくとも1つの交流信号に逆変換する。第1の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第1の誘導的絶縁回路と、第1の整流回路と、を備える。第1の整流回路は、出力端子の第1のペアに第1の整流信号を出力することにより、第1の誘導的絶縁回路に応答する。第2の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第2の誘導的絶縁回路と、第2の整流回路と、を備える。第2の整流回路は、出力端子の第2のペアに第2の整流信号を出力することにより、第2の誘導的絶縁回路に応答する。第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする。出力回路は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、出力端子のペアの他方の出力端子の1つへの供給の供給源である出力端子のペアの一方の出力端子の1つにより、第1の整流信号及び第2の整流信号を含む複数の信号を縦続させる。電圧源端子は、第1の整流信号及び第2の整流信号に従属し、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい、電圧源を提供する。
【0007】
関連するより具体的な様態において、第1の整流回路及び第2の整流回路のそれぞれは、DE級整流器を含む若しくはDE級整流器として構成される、及び/又は、各整流回路は、並列接続される多段階整流器の1つである。電圧破壊定格は、誘導的絶縁回路の出力端子及び整流回路のダイオードの間の、第1の回路及び第2の回路の1つの信号路に使用される直流絶縁キャパシタにより定義される。特定の実施の形態において、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格の2倍よりも大きい直流出力電圧信号を、関連する整流信号に供給する。より具体的な関連する実施の形態において、直流出力電圧信号は、電圧破壊定格の3倍、4倍、5倍、6倍、又はそれ以上より大きい。
【0008】
第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路の少なくとも1つは、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい別の電圧破壊定格に関連している。例えば、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路のそれぞれは、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい関連電圧破壊定格を有する空芯トランスを備え、誘導的絶縁回路に含まれる回路についての最小全体電圧破壊定格を定義する。
【0009】
多くの関連する様態において、装置は、さらに、第1の整流回路及び第2の整流回路に縦続する出力を有する追加の整流回路を備える。整流回路のそれぞれは、DE級整流器を含む若しくはDE級整流器として構成される、入力電圧から直流絶縁される、及び/又は300ボルト以上に定格される。装置は、さらに、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第3の誘導的絶縁回路と、出力端子の第3のペアに第3の整流信号を出力することにより、第3の誘導的絶縁回路に応答する第3の整流回路と、を有する第3の回路を備える。出力回路は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、電力の縦続された電力源として出力端子の第1のペア、第2のペア、及び第3のペアの出力端子の選択された1つと、第1の整流信号、第2の整流信号、及び第3の整流信号に従属し、電圧破壊定格よりも大きい電圧源を提供するために集合的に配置される第1の電圧源端子、第2の電圧源端子、及び第3の電圧源端子と、を結合させることにより、第1の整流信号、第2の整流信号、及び第3の整流信号を含む複数の信号を縦続させる。そのような構成において、複数の整流回路への入力端子は並列であり、出力端子は直列である。
【0010】
別の様態は、入力電圧信号に関連する少なくとも1つの交流信号に応答して直流電圧を供給するための直流電源を対象とする。直流電源は、第1の回路と、第2の回路と、出力回路と、を備える。第1の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第1の誘導的絶縁回路と、出力端子の第1のペアに第1の整流信号を出力することにより、第1の誘導的絶縁回路に応答する第1の整流回路と、を備える。第2の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第2の誘導的絶縁回路と、出力端子の第2のペアに第2の整流信号を出力することにより、第2の誘導的絶縁回路に応答する第2の整流回路と、を備え、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする。出力回路は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、出力端子のペアの他方の出力端子の1つへの供給源である出力端子のペアの一方の出力端子の1つにより、第1の整流信号及び第2の整流信号を含む複数の信号を縦続させ、電圧源端子は、第1の整流信号及び第2の整流信号に従属し、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい、電圧源を提供する。
【0011】
上記のように、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路のそれぞれは、空芯トランスの巻線の間の材料に関連し、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい別の電圧破壊定格を有する空芯トランスを備える。第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、誘導的絶縁回路の出力端子及び整流回路のダイオードの間の、第1の回路及び第2の回路の1つの信号路に使用される直流絶縁キャパシタを備える。直流絶縁キャパシタは、電圧破壊定格により制限されることを特徴とする。装置は、さらに、電圧レールの間の配置において縦続する、第1の回路及び第2の回路を含む複数の回路を備え、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、それぞれ、電圧レールの1つに最近接して配置される。
【0012】
多くの関連するより具体的な様態において、直流電源及び/又は直流電源を備える装置は、さらに、少なくとも1つの交流信号を、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路に提供するフロントエンド駆動回路を備える。より具体的な様態において、フロントエンド駆動回路は、入力電圧信号に対応する少なくとも1つの直流入力信号を少なくとも1つの交流信号に逆変換し、少なくとも1つの交流信号を介して、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路を駆動するように構成及び配置される1つ以上の直流-交流逆変換回路を備える。別の様態において、フロントエンド駆動回路は、入力電圧信号及び第1の周波数に対応する少なくとも1つの交流入力信号を、第2の周波数に対応する少なくとも1つの交流信号に逆変換し、第2の周波数における少なくとも1つの交流信号を介して、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路を駆動するように構成及び配置される交流-交流逆変換回路を備える。
【0013】
多数の様態は、上記の装置の1つ以上を使用する電力変換方法を対象とする。方法は、直流(DC)電圧入力信号から少なくとも1つの交流(AC)信号を提供することと、それぞれ、誘導的絶縁を提供し、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動し、出力端子の関連するペアにおいて整流された信号を出力することにより、誘導的絶縁に応答して整流する、並列の第1の回路及び第2の回路を使用することと、を備える。第1の回路及び第2の回路の少なくとも1つに関連する整流は、電圧破壊定格により制限されることを特徴とする回路に関連する。方法は、さらに、整流信号を含む複数の信号を、整流信号に従属し、電圧破壊定格よりも大きい直流出力電圧信号に縦続させることにより、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供することを備える。
【0014】
従って、様々な実施の形態は、様々な電力変換器及び/又は多段階整流器に対して有益になり得る上記の様態及び他に関する課題を解決することを対象とする。上記の説明/概要は、本開示の各実施の形態又はすべての実装例を説明することを意図しない。以下の図面及び詳細な説明は、また、様々な実施の形態を例示する。
【0015】
様々な例示的な実施の形態は、付された図面と共に、以下の詳細な説明を考慮してより完全に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の様々な実施の形態に係る、電力変換を備える装置の一例を示す。
【
図2】
図2A-2Bは、本開示の様々な実施の形態に係る、電力変換を備える装置の別の例を示す。
【
図3】
図3は、本開示の様々な実施の形態に係る、装置のフロントエンド駆動回路の例を示す。
【
図4】
図4A-4Cは、本開示の様々な実施の形態に係る、装置の誘導的絶縁回路の実験例を示す。
【
図5】
図5A-5Bは、本開示の様々な実施の形態に係る、装置の多段階整流器の実験例を示す。
【
図6】
図6A-6Cは、本開示の様々な実施の形態に係る、電力変換器の実験結果の例を示す。
【
図7】
図7A-7Dは、本開示の様々な実施の形態に係る、別の電力変換器の実験結果の例を示す。
【
図8】
図8A-8Bは、本開示の様々な実施の形態に係る、別の電力変換器の実験性能結果の例を示す。
【
図9】
図9は、本開示の様々な実施の形態に係る、装置を有するコンピュータ断層撮影(CT)スキャナの一例を示す。
【
図10】
図10は、本開示の様々な実施の形態に係る、進行波管(TWT)レーダー電源の例を示す。
【0017】
本明細書において説明される様々な実施の形態は変形及び変更を行うことが可能であり、その様態は、図面によって例として示され、詳細に説明される。しかしながら、その意図が本開示を特定の実施の形態に限定するものではないことが理解される。むしろ、その意図は、請求の範囲において画定される様態を含む本開示の範囲内の全ての変形例、同等例、又は代替例を含む。また、本出願を通して使用される「例」に用語は、説明のためのみであり、限定をするものではない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の様態は、複数の整流回路を使用する電力変換を含む様々な種類の装置、システム、及び方法に適用可能であることが信じられる。特定の実施の形態において、電力変換装置は、層で縦続する複数の整流回路のキャパシタの破壊電圧定格の2倍よりも大きい電圧を出力する。本発明は必ずしもそのような適用に限定されないが、本発明の様々な様態がこの文脈を使用する様々な例の説明に利用される。
【0019】
従って、以下の説明において、様々な詳細な説明は、本明細書の特定の例を説明する。しかしながら、1つ以上の別の例及び又はこれらの例の変形例が、以下に全ての特定の詳細な説明がなくとも実行可能である点、当業者にとって明らかである。例えば、本明細書の例の説明を妨害しないように、既知の特徴についての詳細な説明はされない。説明の簡略化のために、異なる図において、同じ参照番号が、同じ要素又は同じ要素の追加の例を参照するために使用される。また、いくつかの場合における様態及び特徴は個別の図で説明されるが、1つの図又は実施の形態からの特徴は、その組み合わせが明示されていない又は組み合わせとして明示されていないとしても、別の図又は実施の形態の特徴と組み合わせることができることが理解される。
【0020】
特定の例の実施の形態は、誘導的に絶縁された複数の積層整流回路を有する電力変換器を対象とする。例えば、少なくとも1つの整流回路は、フロントエンド部分及びバックエンド部分の間に誘導的絶縁を有し、バックエンド部分の1つ以上の要素に関連する電圧破壊定格より大幅に大きい定常電圧を備える電力変換された出力段階信号をもたらすためにバックエンド部分を使用することを可能にする。1つ以上の要素は、整流ダイオードに直流絶縁をもたらす、整流回路の1つ以上の直流絶縁キャパシタを備えてよい。フロントエンド部分及びバックエンド部分の間の、空芯トランス等の誘導的絶縁回路により、さらなる誘導的絶縁がもたらされる。本明細書において、フロントエンド部分は、「フロントエンド駆動回路」と称される。バックエンド部分は、複数の整流回路を備える。誘導的絶縁回路は、バックエンド部分の1つ以上の要素に関連する電圧破壊定格と比較して、電力変換回路の最大出力電圧を増加させることができる。例えば、実施の形態は、整流回路からフロントエンド駆動回路を誘導的に絶縁し、各整流回路の要素に関連する電圧破壊定格の2倍よりも大きい定常電圧を備える電力変換された出力段階信号を提供するために使用することを含んでよい。そのような実施の形態は、2つの整流回路の少なくとも1つがそれぞれ電圧レールに最近接して配置される状態で、電圧レールの間に縦続配置される複数の整流回路の使用を含んでよい。
【0021】
特定の実施の形態は、高直流電圧に関する課題を解決することを対象とする。数十キロボルト(kV)以上である高直流電圧は、様々なシステム、装置、及び/又は方法に有益である。その性能を妥協せずに以下に説明される装置の携帯性を向上させるために、小型、軽量、高ワット数の電源がしばしば使用される。本明細書においてさらに説明されるように、様々な実施の形態は、様々な適用のために使用されてよい高速過渡応答を有する小型、軽量、高電圧電力(すなわち、直流-直流)変換器を対象とする。いくつかの例示的なシステム、装置、及び/又は方法は、電気集塵機(ESP)、空港警備用のX線源及び中性子源、兵器及び爆発物検知、及び歯科用X線又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャナ等の医療機器を含む。
【0022】
本開示の特定の様態は、DE級整流器のキャパシタ電圧定格により設定される制限を超過する誘導的絶縁を備える多段階DE級整流器等の複数の積層整流回路により提供される電力変換を対象とする。空芯トランスの挿入は、トランス巻線の間の材料の破壊電圧に対する直流電圧絶縁能力を向上させる。さらに、段階の並列接続は、高速立ち上がり時間を可能にし、パルス直流電圧を必要とするシステムに特別に適する回路を作成する。様々な実施の形態は、整流器の全ての入力端子を並列で、出力端子を直列で接続することを可能にする多段階DE級整流器等の複数の積層整流回路を備え、それにより、電流を入力から全てのノードに同時に提供する。そのような構成において、縦続できる整流器段階の最大数は、最上部及び最下部における直流絶縁キャパシタの電圧定格により制限され、従って、変換器の出力電圧は、キャパシタの電圧定格の2倍を超えない。本開示に係るさらなる特定の実施の形態は、キャパシタ電圧定格により設定される制限を破壊する誘導的絶縁を備える複数の積層整流回路を備える。空芯トランスの挿入は、トランス巻線の間の材料の破壊電圧に対する直流電圧絶縁能力を向上させる。さらに、段階の並列接続は、高速立ち上がり時間を可能にし、パルス直流電圧を必要とするシステムに特別に適する回路を作成する。
【0023】
特定の例示的な実施の形態は、直流-交流逆変換回路と、第1の回路と、第2の回路と、出力回路と、を備える方法及び/又は装置を対象とする。直流-交流逆変換回路は、入力電圧に対応する少なくとも1つの直流入力信号を少なくとも1つの交流信号に逆変換する。第1の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第1の誘導的絶縁回路と、第1の整流回路と、を備える。第1の整流回路は、出力端子の第1のペアに第1の整流信号を出力することにより、第1の誘導的絶縁回路に応答する。第2の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第2の誘導的絶縁回路と、第2の整流回路と、を備える。第2の整流回路は、出力端子の第2のペアに第2の整流信号を出力することにより、第2の誘導的絶縁回路に応答する。第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする。出力回路は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、出力端子のペアの他方の出力端子の1つへの供給の供給源である出力端子のペアの一方の出力端子の1つにより、第1の整流信号及び第2の整流信号を含む複数の信号を縦続させる。電圧源端子は、第1の整流信号及び第2の整流信号に従属し、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい、電圧源を提供する。
【0024】
関連するより具体的な様態において、各整流回路は、DE級整流器を含む若しくはDE級整流器として構成される、及び/又は、各整流回路は、並列接続される複数の整流段階の1つである。電圧破壊定格は、誘導的絶縁回路の出力端子及び整流回路のダイオードの間の、第1の回路及び第2の回路の1つの信号路に使用される直流絶縁キャパシタにより定義される。特定の実施の形態において、整流回路の少なくとも1つは、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格の2倍よりも大きい直流出力電圧信号を、関連する整流信号に供給する。
【0025】
誘導的絶縁回路の少なくとも1つは、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい別の電圧破壊定格に関連してよい。例えば、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路のそれぞれは、前記の第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい関連電圧破壊定格を有する空芯トランスを備え、誘導的絶縁回路に含まれる回路についての最小全体電圧破壊定格を定義する。
【0026】
上記の装置は、さらに、第1の整流回路及び第2の整流回路に縦続する出力を有する追加の整流回路を備えてよい。整流回路のそれぞれは、DE級整流器を含む若しくはDE級整流器として構成される、入力電圧から直流絶縁される、及び/又は300ボルト以上に定格される。例えば、装置は、さらに、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第3の誘導的絶縁回路と、出力端子の第3のペアに第3の整流信号を出力することにより、第3の誘導的絶縁回路に応答する第3の整流回路と、を有する第3の回路を備える。出力回路は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、電力の縦続された電力源として出力端子の第1のペア、第2のペア、及び第3のペアの出力端子の選択された1つと、第1の整流信号、第2の整流信号、及び第3の整流信号に従属し、電圧破壊定格よりも大きい電圧源を提供するために集合的に配置される第1の電圧源端子、第2の電圧源端子、及び第3の電圧源端子と、を結合させることにより、第1の整流信号、第2の整流信号、及び第3の整流信号を含む複数の信号を縦続させる。
【0027】
別の実施の形態は、入力電圧信号に関連する少なくとも1つの交流信号に応答して直流電圧を供給するための直流電源を対象とする。直流電源は、上記の第1の回路と、第2の回路と、出力回路と、を備える。上記のように、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路のそれぞれは、空芯トランスの巻線の間の材料に関連し、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい別の電圧破壊定格を有する空芯トランスを備える。第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、第1の回路及び第2の回路の1つの信号路に使用される直流絶縁キャパシタを備え、直流絶縁キャパシタは、電圧破壊定格により制限されることを特徴とする。装置は、さらに、電圧レールの間の配置において縦続する、第1の回路及び第2の回路を含む複数の回路を備え、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つは、それぞれ、電圧レールの1つに最近接して配置される。
【0028】
多くの関連するより具体的な様態において、装置は、さらに、少なくとも1つの交流信号を、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路に提供するフロントエンド駆動回路を備える。フロントエンド駆動回路は、入力電圧に対応する少なくとも1つの直流入力信号を少なくとも1つの交流信号に逆変換し、少なくとも1つの交流信号を介して、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路を駆動する1つ以上の直流-交流逆変換回路を備える。別の実施の形態において、フロントエンド駆動回路は、第1の周波数(及び入力電圧)に対応する少なくとも1つの交流入力信号を、第2の周波数に対応する少なくとも1つの交流信号に逆変換し、第2の周波数における少なくとも1つの交流信号を介して、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路を駆動する1つ以上の交流-交流逆変換回路を備える。
【0029】
1つ以上の実施の形態は、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナガントリ及び回転ガントリ部材等の高速回転部材を有する他の装置(例えば、遠心タイプの装置)を備えるシステム及び/又は方法を対象とする。CTスキャナは、電力変換回路及びその重量に基づいて設計及び/又は構成されて、より速い回転速度を可能にし、その上限速度は、当該CTスキャナに電力を供給する電力変換回路に少なくとも部分的に起因して制限される。例えば、CTスキャナの全体の使用及びその重量は、ガントリが回転する特定に回転速度に関連する。より速い回転がより短い時間、患者に放射線を照射(例えば、局所的な照射)するため、より速い回転速度は、より短い出力電圧の上昇及び低減と組み合わされ、患者の被ばくを低減させる。
【0030】
1つ以上の別の実施の形態は、上記の電力変換回路を有する進行波管(TWT)レーダー電源を備える機械を対象とする。電力変換回路は、システム全体のサイズを低減し、従来はそのシステムサイズと重量に起因して大きすぎた強力なレーダーシステムをモバイルアプリケーションにおいて使用する又はより小さい車両(例えば、ドローン、自動車、その他)に搭載することを可能にする。例えば、機械の重量は、静電接着の準備に使用される回路をつけるために使用される電力変換回路に関連する重量に依拠する。
【0031】
実施の形態は上記のシステム及び/又は方法に限定されない点、当業者にとって理解される。上記の電力変換を備える別のシステム及び/又は方法は、別の種類のシステム及び/又は方法の中でも、静電塗装、電気流体力学推進装置、高出力レーザー電源、テーザー銃、粒子加速器、プラズマ発生器、キャパシタ充電、及びオゾン発生器を含む。いくつかの実施の形態は、電圧ベースの放射線量を患者に提供可能なガントリを備える医療システム(例えば、X線照射機械)を含む又は備え、当該医療システムは、高速で回転するように構成されるガントリを備えるように設計及び/又は構成され、その回転速度の上限は、電力変換回路に少なくとも部分的に起因して制限され、放射線量は、ガントリの上限回転速度により少なくとも部分的に特定される。別の実施の形態は、電圧ベースの部材又は電圧ベースのガントリを備えるイオン源機械(例えば、X線照射機械、線形加速器、爆発物検知用の中性子発生器、石油検層及び地質調査のために掘削/撮像をするように構成されるドリルヘッド/システム)を含む又は備え、イオン源機械は、携帯型の機械として持ち運びできるように構成及び配置され、携帯型の機械の重量は、電圧ベースの部材又は電圧ベースのガントリの回転に影響を与えるために使用される電力変換回路に関連する重量に依拠する。追加の実施の形態は、静電接着を提供するように構成される機械を含む又は備え、機械の重量は、静電接着の準備に使用される回路をつけるために使用される電力変換回路に関連する重量に依拠する。
【0032】
上記の装置は、本明細書においてさらに説明されるように、電力を変換するための様々な方法を実装するために使用できる。
【0033】
図面を参照すると、
図1は、本開示の様々な実施の形態に係る、電力変換を備える装置の一例を示す。図示されるように、装置は、フロントエンド駆動回路102と、(以下に詳細に説明される)第1の回路及び第2の回路と、出力回路112と、を備える。様々な実施の形態において、装置は、縦続配置される逆変換回路、誘導的絶縁回路、及び整流回路を備える電力変換器を備える。本明細書においてさらに説明されるように、第1の回路及び第2の回路は、それぞれ、誘導的絶縁回路104及び108と、整流回路106及び110と、を備える。
【0034】
フロントエンド駆動回路102は、1つ以上の交流信号等の振動信号を誘導的絶縁回路104及び108に提供する。特定の実施の形態において、フロントエンド駆動回路102は、入力電圧に対応する少なくとも1つの直流入力信号(例えば、VDD)を少なくとも1つの交流信号に逆変換する1つ以上の直流-交流逆変換回路103及び105を備える。以下において1つずつ説明されるが、例えば第1の回路及び第2の回路は、実施の形態に限定されない。少なくとも1つの交流信号は、第1の回路及び第2の回路を駆動するために使用される。また、実施の形態は、直流-交流逆変換回路に限定されない。例えば、フロントエンド駆動回路102は、振動信号を提供する回路を備えてよい。いくつかの特定の実施の形態において、フロントエンド駆動回路102は、第1の周波数における交流入力信号を、第2の周波数における出力交流信号に逆変換する1つ以上の交流-交流逆変換回路を備える。別の実施の形態において及び/又は追加的にフロントエンド駆動回路102は、交流信号を直接誘導する。
【0035】
第1の回路及び第2の回路は、それぞれ、誘導的絶縁回路104及び108と、整流回路106及び110と、を備える。例えば、第1の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第1の誘導的絶縁回路104と、第1の整流回路106と、を備える。第1の整流回路106は、出力端子の第1のペアに第1の整流信号を出力することにより、第1の誘導的絶縁回路104に応答する。第2の回路は、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第2の誘導的絶縁回路108と、出力端子の第2のペアに第2の整流信号を出力することにより、第2の誘導的絶縁回路108に応答する第2の整流回路110と、を備える。本明細書においてさらに説明されるように、第1の整流回路106及び/又は第2の整流回路110は、誘導的絶縁回路104及び/又は108の出力端子並びに整流回路106及び/又は110のダイオードの間の、第1の回路及び第2の回路の1つの信号路に使用される1つ以上の直流絶縁キャパシタを備える。例えば、第1の整流回路106及び/又は第2の整流回路110は、DE級整流器として構成される。そのような実施の形態において、第1の回路及び第2の回路は、直流絶縁キャパシタに関連していてよい電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする。本明細書においてさらに説明されるように、キャパシタは、キャパシタの破壊を定義する電圧破壊定格を有してよいことが明らかである。
【0036】
第1の誘導的絶縁回路104及び第2の誘導的絶縁回路108は、空芯トランス等のトランスを備える。第1の誘導的絶縁回路104及び第2の誘導的絶縁回路108の1つ以上は、第1の整流回路106及び第2の整流回路110の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい並びに/又は第1の誘導的絶縁回路104及び第2の誘導的絶縁回路108含まれる回路についての最小全体電圧破壊定格を定義する、別の電圧破壊定格に関連する。
【0037】
整流回路は、縦続配置であってよく、出力回路112は、整流回路106及び110の間の縦続接続に影響する又は縦続接続を提供する。本明細書において使用されるように、出力回路112は、少なくとも、整流回路の縦続接続に影響を与えるために使用される配線を備える又は配線を示す。例えば、出力回路112は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、出力端子のペアの他方の出力端子の1つへの供給の供給源である出力端子のペアの一方の出力端子の1つにより、第1の整流信号及び第2の整流信号を含む複数の信号を縦続させる。電圧源端子は、第1の整流信号及び第2の整流信号に従属し、第1の整流回路及び第2の整流回路の少なくとも1つの電圧破壊定格よりも大きい、電圧源を提供する。本明細書においてさらに説明されるように、整流回路106及び110の少なくとも1つは、第1の整流回路106及び第2の整流回路110の少なくとも1つの電圧破壊定格の2倍よりも大きい直流出力電圧信号を、関連する整流信号に供給する。
【0038】
特定の実施の形態において、整流回路106及び110のそれぞれは、出力回路112を介して接続される複数の整流段階の1つである。例えば、入力端子は並列であり、出力端子は直列である。
図1の実施の形態は2段階(例えば、2つの整流器)を示すが、実施の形態はそれに限定されない。例えば、装置は、第1の整流回路106及び第2の整流回路110に縦続する出力を有する追加の整流回路を備える。整流回路のそれぞれは、DE級整流器を含む若しくはDE級整流器として構成される、入力電圧から直流絶縁される、及び/又は300ボルト以上に定格される。より具体的な例において、装置は、さらに、少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動する第3の誘導的絶縁回路と、出力端子の第3のペアに第3の整流信号を出力することにより、第3の誘導的絶縁回路に応答する第3の整流回路と、を有する第3の回路を備える少なくとも1つの追加の回路を備えてよい。出力回路112は、電圧源端子の間に直流出力電圧信号を提供し、電力の縦続された電力源として出力端子の第1のペア、第2のペア、及び第3のペアの出力端子の選択された1つと、第1の整流信号、第2の整流信号、及び第3の整流信号に従属し、電圧破壊定格よりも大きい電圧源を提供するために集合的に配置される第1の電圧源端子、第2の電圧源端子、及び第3の電圧源端子と、を結合させることにより、第1の整流信号、第2の整流信号、及び第3の整流信号を含む複数の信号を縦続させる。
【0039】
図1の実施の形態はフロントエンド駆動回路102を備える装置を示すが、実施の形態はそれに限定されない。例えば、装置は、入力電圧信号に関連する少なくとも1つの交流信号に応答して直流電圧を提供する直流電源を備えてよい。
図1により説明及び図示されるように、直流電源は、上記の第1の回路(例えば、第1の誘導的絶縁回路104及び第1の整流回路106)と、第2の回路(例えば、第2の誘導的絶縁回路108及び第2の整流回路110)と、出力回路112と、を備える。
【0040】
上記の装置は、キャパシタ電圧定格により設定される制限を破壊する誘導的絶縁を備える1つ以上の整流回路を備える電力変換器を備えてよい。空芯トランスの使用は、トランス巻線の間の材料の破壊電圧に対する直流電圧絶縁能力を向上させる。さらに、整流段階の並列接続は、十分な立ち上がり時間を可能にし、パルス直流電圧を必要とするシステムに適する回路を作成する。
【0041】
図2A及び2Bは、本開示の様々な実施の形態に係る、電力変換を備える装置の別の例を示す。
図2Aに示される装置は、
図1と同様に、逆変換回路220と、誘導的絶縁回路222と、複数の整流回路224-1、224-2、...224-N(説明の簡略化のため本明細書においては「整流回路224」と称する)と、を備える。
【0042】
整流回路224は、多段階DE級整流器として配置されてよい。各整流回路224は、整流器の入力端子(又はポート)を並列で、出力端子(又はポート)を直列で接続する出力回路を介して接続され、それにより、入力からの電流を各整流回路224に同時に提供する。そのため、整流回路は、縦続配置にある。装置は、
図1に示される第1の回路及び第2の回路を含む複数の回路を備え、電圧レールの間の配置において縦続している。少なくともそれぞれ電圧レールに最近接して配置される回路、及びいくつかの実施の形態においては全ての回路、はさらなる絶縁を提供する空芯トランスに結合された少なくとも1つの直流絶縁キャパシタを有するDE級整流器を備えてよい。特定の実施の形態において、積層内の整流回路224は、(例えば出力回路を介して)並列接続される入力端子/ポート及び直列接続される出力端子/ポートを有してよい。
【0043】
出力回路を備えるDE級整流器224-2の例は、
図2Bにより示される。図示されるように、DE級整流器224-2は、整流回路224が直流出力電圧信号を出力している時に整流ダイオードを絶縁する1つ以上の直流絶縁キャパシタを備える。より具体的には、直流絶縁キャパシタは、誘導的絶縁回路の出力端子及び整流回路224のダイオードの間の、第1の回路及び第2の回路の1つ以上の信号路に使用される。整流ダイオード及び出力端子が入力から直流絶縁されると、整流器の出力端子が直列となり、特定の電圧出力を提供するように、整流器の複数のユニットが積層される。いくつかの実施の形態において、20個の300V整流器が積層され、6kV電圧を提供するために使用されるが、実施の形態はこれに限定されない。上記の通り、直流絶縁キャパシタは、電圧破壊定格により特徴づけられる。
【0044】
様々な実施の形態によれば、縦続される整流段階の数は、最上部及び最下部等の1つ以上の段階における直流絶縁キャパシタの電圧破壊定格により制限されず、従って、電力変換器の出力電圧は、1つ以上の整流回路224の各キャパシタの電圧破壊定格の2倍を超えてよい。上記を含む特定の実施の形態において、
図2Bにより示されるように、出力電圧Voutは、直流絶縁キャパシタC
Bt及びC
Bbの電圧定格の2倍よりも大きくてよく、これは、誘導的絶縁回路222により提供される追加の直流絶縁に起因する。より高い出力電圧を達成するために、様々な実施の形態は、追加の直流絶縁バリアとして働く空芯トランスを備える。追加の直流絶縁がない場合、絶縁された合計出力電圧が正方向及び負方向へと対称的に分岐する条件では、出力電圧Voutは、最上部及び最下部の整流器のキャパシタに対する電圧ストレスが合計出力電圧の半分であるため、最大で直流絶縁キャパシタの電圧定格の2倍であってよい。一般的に、縦続するDE級整流器の数がNであり、直流絶縁静電容量がダイオード分岐静電容量よりも大幅に大きい場合、N段階キャパシタの電圧ストレスは、以下の
C
Bt、nの電圧ストレスは、
【数1】
ここで、nは、1、2、...Nであり、
C
Bb、nの電圧ストレスは、
【数2】
ここで、nは、1、2、...Nである。
の通りである。
特定の例として、
図2Bの直流絶縁キャパシタが、それぞれ、+5kV及び-5kVに抵抗できるように定格されたと仮定する。
図2Aの誘導的絶縁回路222により提供されるさらなる直流絶縁を使用しない場合、整流段階がいくら積まれようとも、最上部及び最下部の整流器を5kV以上の電圧ストレスにより動作させない限り、この多段階整流器の合計出力電圧は10kVを超えることがなかった。誘導的絶縁回路222により提供される追加の直流絶縁は、多段階DE級整流器の複数のユニットを縦続させることにより、多段階整流器が10kVを超えることを可能にする。この構成を使用して、高出力電圧(例えば、キャパシタ破壊電圧定格の2倍よりも大きい)が提供される。達成可能な電圧の限界は、トランスの一次巻線及び二次巻線の間の誘導的絶縁バリアの破壊電圧となる。特定の実施の形態において、達成可能な電圧(例えば、直流出力電圧信号)は、電圧破壊定格の2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、又はそれ以上より大きい。
【0045】
上記の様々な実施の形態によれば、装置は、様々な方法を実装するために使用されてよい。方法の例は、直流電圧入力信号から少なくとも1つの交流信号を提供することと、それぞれが誘導的絶縁を提供し、それぞれが少なくとも1つの交流信号からの電力に応答して駆動され、それぞれが出力端子の関連するペアに整流信号を出力することによる誘導的絶縁に応答して整流を行う第1の回路及び第2の回路を使用することと、を備える。上記のように、各整流回路は、整流器の入力端子を並列で、出力端子を直列で接続する出力回路を介して接続される。第1の回路及び第2の回路の少なくとも1つに関連する整流は、電圧破壊定格により制限されていることを特徴とする回路に関連する。方法は、さらに、(例えば、第1及び第2の)整流信号を含む複数の信号を、整流信号に従属し、電圧破壊定格よりも大きい直流出力電圧信号に縦続させることを備える。
【0046】
また、上記の装置は、様々なシステム、装置、及び/又は方法等の様々な適用に使用することができる。いくつかの例示的なシステム、装置、及び/又は方法は、電気集塵機(ESP)、空港警備用のX線源及び中性子源、兵器及び爆発物検知、及び歯科用X線又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャナ等の医療機器を含む。
【0047】
特定の例として、ESPは、高電圧を使用して、埃の粒子を静電的に集めてその後に除去するための空気清浄装置である。ESPは、毎年4千3百万人を殺す大気汚染問題への実行可能な解決策を示す。様々な実施の形態に係る電力変換器を使用するESPの設計は、より小さなスペースに設置可能である及び/又はより少ない高電力を必要とするため、発展途上国の農村地域におけるESPの最小化及び利用を可能とする。
【0048】
CTスキャナは、別の特定の例を含む。人体の画像を取得するために、CTスキャナは、高電界から生成されるX線を使用する。CTスキャンは、潜在的に有害な放射線を患者に照射する。X線源を高速で変調させることにより照射レベルは低減できるが、様々な実施の形態に係る電力変換器を使用するCTスキャナは、十分に高速な立ち上がり時間及び立ち下り時間(例えば、10~100us)を提供できる。そのような例示的なCTスキャナは、スキャナがより早く回転し、回転部分の機械的なストレスをも低減させるため、臨床設定における患者に必要なCTスキャン時間を短くすることができる。そのような実施の形態において、搭載される電子機器の重量及びサイズは低減され、システムがより早く回転し、スキャン時間を低減させることが可能となる。
【0049】
別の特定の例は、電気流体力学(EHD)イオン推進航空機を含む。EHDイオン推進航空機は、空気分子をイオン化させる複数の電極ペアにより推力が生成される新たな航空宇宙適である。EHDは、軍事行動において有用であり得る無音無人航空機に利用可能であり得る。これを実現するために、飛行のために十分軽い電源が使用され、同時に、航空機に対して、数百ワット及び100kVに近い電圧の電力を提供する。
【0050】
他のシステム、装置、及び/又は方法は、X線、イオン、及び中性子源を使用する警備スキャナに使用される高電力電子機器を含んでよい。そのようなスキャナは、空港、国境、検問所、その他における貨物検査に使用される。携帯可能な装置として作成すれば、そのようなスキャナは、国境警備隊等の爆発物処理隊又は法執行官にとって有用であり得る。高性能中性子発生器は、石油産業にも有益であり得、これは、油井検層動作に広く使用されているからである。
【0051】
実施の形態は限定されず、小型、軽量、高速応答高電圧電力(例えば、直流-直流)変換器に関する様々な適用及び/又はその方法を含んでよい。
【0052】
上記のように、様々な実施の形態は、電力変換を備える装置を対象とする。特定の実施の形態において、装置は、複数の積層整流回路(例えば、
図2Bにより示される、直列の300VDE共振級整流器等の多段階整流器)を有する。装置は、追加の直流絶縁バリアとして働く空芯トランスを備えてよい。上記のように、かつ基礎仮出願の付録Aにさらに示されるように、
図2Bは、高電圧発電機に使用されてよい静電的直流絶縁を備える300VDE共振級整流器の例を示す。整流ダイオード及び出力端子が入力から直流絶縁されているため、
図2B及び付録Aの
図1bに示されるように、300V整流器の複数のユニット(例えば、20個のユニット)は、積層されて6kVの電圧出力を生成してよい。
図2Aにより示される装置の例を使用して、高出力電圧を生成可能であり、これは、達成可能な電圧の限界がトランスの一次巻線及び二次巻線の間の誘導的絶縁バリアの破壊電圧であるためである。
【0053】
様々な実施の形態において、本明細書に説明される、逆変換回路を備えてよい装置は、直流入力を高周波交流電圧に変換する。装置は、直流-交流段階のために実装されるフルブリッジ共振逆変換器を備えてよい。様々な実施の形態は、逆変換回路と、複数に積層整流回路と、トランス回路と、を有する装置を対象とする。PCBトランスの設計の例は、
図4A、また付録Aの
図3a~3dによりさらに示される。
【0054】
様々な実験的な実施の形態は、誘導的絶縁を備える多段階DE級整流構造を対象とする。高周波動作は、出力電圧において高速過渡応答を可能にする。高直流電圧絶縁能力を備える空芯PCBを使用する入力並列出力直列構造は、直流-直流変換器の高い達成可能な出力電圧をもたらす。60Vto6kV直流-直流変換器は、36Wの電力を負荷に提供可能な1.25MHzスイッチング周波数において、及び73パーセントの効率を維持しつつ35kVの電圧及び203ワット(W)の電力を負荷に提供し、296マイクロ秒(μs)の立ち上がり時間で出力をパルス可能な多段階構成におけるハイゲイン直流-直流変換器で実証される。
【0055】
図3は、本開示の様々な実施の形態に係る、装置のフロントエンド駆動回路の例を示す。上記の通り、フロントエンド駆動回路330は、少なくとも1つの交流信号を第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路に提供し、それにより、第1の誘導的絶縁回路及び第2の誘導的絶縁回路をそれぞれ駆動する。上記のように、フロントエンド駆動回路330は、1つ以上の直流-交流逆変換回路又は1つ以上の交流-交流逆変換回路を備えてよい。
【0056】
図3の特定の例により示されるように、フロントエンド駆動回路330は、ゲートドライバ(例えば、ゲート信号生成器)331及び電力段階333を使用して直流入力を高周波交流電圧に変換する直流-交流逆変換器を備える。直流-交流逆変換器は、本明細書において「一次側」と称される、誘導的絶縁回路335の少なくとも一部分に結合される。
【0057】
図3に示されるように、直流-交流逆変換器は、直流-交流段階に対して実装されるフルブリッジ共振逆変換器である。特定の実施の形態において、直流入力V
DDが60Vであると、フルブリッジを形成するために2つの80Vハーフブリッジ回路が使用される。各ハーフブリッジは、統合ゲートドライバ331を備えるGaN電力段階を使用して実装される。対称性を維持するために、直列の2つの静電容量により共振静電容量が提供される。以下に詳細に示されるように、プリント回路基板(PCB)プランナートランスパラメータに基づいて、特定の実施の形態における一次側の直列漏れインダクタンスは、1.7マイクロヘンリー(μH)である。1メガヘルツ(MH)になる直列共振周波数を提供するために、直列共振静電容量は、15ナノファラド(nF)であり、各静電容量は、30nFである。各Csについて、22nFセラミックキャパシタ及び8.2nFセラミックキャパシタは、並列に配置されてよい。タイミング回路からの低電圧入力信号は、デジタル絶縁器を使用してGaNハーフブリッジモジュールから絶縁される。絶縁された5Vは、プッシュプルトランスドライバを使用して、不感時間及びパルス回路に提供される。基礎仮出願の付録Aの表1及び2は、様々な実験的な実施の形態に係る絶縁された5Vについての逆変換器の設計例及びトランスの設計例を提供するが、本出願はそれらに限定されない。
【0058】
図4A-4Cは、本開示の様々な実施の形態に係る、装置の誘導的絶縁回路の例を示す。より具体的には、
図4Aは、一次側巻線(例えば、フロントエンド駆動側)及び二次側巻線(例えば、整流側)の両方についてのトランスPCB設計450の例を示す。トランスはコイルモデルに結合されてよいことが理解される。トランスは、誘導的絶縁を提供する空芯平面PCBトランスを備える。逆変換側の一次巻線のPCB設計及び整流側の二次巻線のPCB設計の両方は、上側銅及び下側銅、及びその間を備える。基礎仮出願の付録Aの表2は、トランス設計の幾何学的パラメータをリストする。
【0059】
図4Aにより示されるトランスの特定の断面図は、4.5kV/milの絶縁耐力にそれぞれ定格される厚さ3mil~(76.2μm~)のカプトンシートの配置を示す。特定の実験的な例において、本明細書にさらに説明されるように、4枚の3mil(76.2μm)のカプトンシートが2つのトランス巻線の間で使用され、54kVの直流絶縁能力を提供する。最上部から2つのカプトンシートは、直流-直流変換器が積層された際の整流器の間のアークを防止又は低減するために、整流器の最下部側を覆う。同様に、最下部の2枚のカプトンシートは、多段階構成における逆変換器及びその下の直流-直流変換器の一次巻線の間に直流絶縁を提供するために、曲げられて逆変換器の最下部を覆う。2オンス~(71ミクロン~)の銅が、トレース実装のために使用されてよい。一般的に、メガヘルツ周波数におけるトランス巻線の交流抵抗は銅の厚さに反比例するため、より厚い銅が使用される。これは、銅の内側に向かって密集する電流は、高周波においてトレースするからである。
【0060】
特定の実験的な実施の形態において、回路基板及びカプトンシートは、ナイロンねじ及びナットにより共に固定される。ねじ穴を通るアークを防止又は低減するために、ねじ穴には、高電圧絶縁コーティングが充填される。この設計によれば、得られるトランスは、Lp=7:1μH、Ls=99:7μH、k=0:87である。
図4Bは、この結合された絶縁モデルを示し、
図4Cは、トランスの等価漏れ及び磁化インダクタンスモデルを示す。
【0061】
図5A-5Bは、本開示の様々な実施の形態に係る、装置の多段階整流器の実験例を示す。より具体的には、
図5A-5Bは、6kV直流出力用の20段階縦続DE級整流器の例を示す。
図5Aは、PCB設計であり、
図5Bは、実験的な実施の形態からの写真である。
図5A-5Bにより示される20段階縦続DE級整流器は、上記において
図2Bにより示されるC
Bt及びC
Bb等の直流絶縁キャパシタを備える。特定の実験的な実施の形態において、直流絶縁キャパシタは、33ピコファラド(pF)のX
1Y
2キャパシタである。
図2BにおいてDと符合されるようなダイオードについては、2つの240VSiショットキーバリアダイオードが、480V定格整流装置として、直列接続される。基礎仮出願の付録Aの表3は、要素のパーツ数をリストする。
【0062】
様々な実験的な実施の形態は、60Vto6kV電力変換器、60Vto24kV電力変換器、60Vto30kV電力変換器、及び60Vto35kV電力変換器を対象とする。整流器は、単一段階又は多段階縦続であってよい。特定の実験的な実施の形態において、60Vto6kV電力変換器は、6インチ×2インチ(例えば、15cm×5cm)であってよい。60Vto35kV直流-直流変換器は、6つの60Vto6kV直流-直流変換器を積層し、変換器が多段階縦続されることにより実装される。
【0063】
様々な実施の形態において、60Vto6kV直流-直流変換器を作成するために、前述される60Vto高周波(RF)逆変換器、トランス、及びRFto6kV整流器が組み合わされる。絶縁ワニスがねじ穴に塗布されてよい。
【0064】
また、複数の60Vto6kV直流-直流変換器は、多段階構成で積層されてよい。直流-直流変換器は、4段階から6段階まで積層されてよい。6kV整流器の複数のユニットは直列接続され、60V逆変換器は並列接続される。6段階変換器の実験的な寸法の例は、幅×長さ×高さが8インチ×2.5インチ×2インチ(20cm×6cm×5cm)である。変換器の重量は188gであるが、実施の形態はそれに限定されない。
【0065】
様々な実験的な実施の形態は、試験下において直流-直流変換器に接続される電源、プローブ、及びオシロスコープを備える。実験は数十kVの高電圧を含むため、実験者がいかなる電気的又は物理的危険にもさらされないように特別な注意がなされる。高電圧直流-直流変換器及び負荷は、近くの水管にショートされるファラデーケージにより接地する。また、実験者及び高電圧変換器の間にはアクリルシートが配置され、(起こる可能性が低い)大事故の際の飛んでくるスパーク又はデブリから受けるかもしれない怪我を防止する。±15kVまで測定できる作動プローブ(モデルナンバーCT4079;Elditestより製造)が使用される。プローブの電圧適格の限界により、レジスタチェーンの1つ又は2つのレジスタユニットの一方の電圧測定が使用される(レジスタの各ユニットは1M)。測定された電圧は、電圧分周比によりスケールアップされ、レジスタチェーンに印加されるエンドツーエンド電圧が測定される。
【0066】
図6A-6Cは、本開示の様々な実施の形態に係る、電力変換器の実験結果の例を示す。より具体的には、
図6A-6Cは、60Vto6kV直流-直流変換器の実験結果の例を示す。変換器は、0.9~1MHzのスイッチング周波数の範囲においてその出力電圧のピークを有し、1.25の周波数が、適度に高い出力電圧及び速い立ち上がり時間を同時に達成するために使用される。6.1kVの出力電圧を使用することで、37Wの電力が負荷用の1Mレジスタに供給される。
【0067】
図6Aは、6kV及び36W出力の直流-直流変換器の3分の継続動作後のトランスの熱画像を示す。より具体的には、示される画像は、60Vto6kV直流-直流変換器のものである。平面PCBトランスの温度は、動作の間、ゆっくりと、しかし確実に増加し、トランスの損傷を回避するために変換器が停止される、3分の継続動作後に155摂氏温度(C)に達した。特定の実験的な実施の形態において、FR4基板が130摂氏温度のTg定格と共に使用された。
【0068】
図6Bは、10パーセントから90パーセントの立ち上がり時間が135μsであると測定された変換器がつけられた瞬間の出力電圧及び逆変換器ハーフブリッジ出力の波形を示す。図示される波形は、横スケールが50μs/div及び縦スケールが1kV/divである、変換器がつけられた際の出力電圧660(青)及び逆変換ハーフブリッジ出力661(黄)を示す。
図6Cは、変換器の0~6kVのパルス動作を示し、例えば、変換器のパルス動作を示す。定常状態の出力電圧は、6.08kVであり、DCtoDC効率は81パーセントである。
【0069】
様々な実験は、多段階構成の60Vto24kV電力変換器、60Vto30kV電力変換器、及び60Vto35kV直流-直流変換器を対象とする。そのような実験的な実施の形態において、積層直流-直流変換ユニットの数は、4から6であり、各構成の性能が測定される。
【0070】
図7A-7Dは、本開示の様々な実施の形態に係る、別の電力変換器の実験結果の例を示す。より具体的には、
図7A-7Dは、4段階、5段階、及び6段階縦続変換器の出力電圧波形を示し、定常状態におけるその出力電圧は、23.9kV、30.4kV、及び35.0kVであると測定された。
図7Aは、4段階60Vto24kV直流-直流変換器のパルス動作を示す。横スケールが500μs/div及び縦スケールが4kV/divである(スクリーン上では、電圧は2:1の比率でスケールダウンされる)。
図7Bは、5段階60Vto30kV直流-直流変換器のパルス動作を示す。横スケールが500μs/div及び縦スケールが5kV/divである(スクリーン上では、電圧は5:1の比率でスケールダウンされる)。
図7Cは、6段階60Vto35kV直流-直流変換器のパルス動作を示す。横スケールが100μs/div及び縦スケールが6kV/divである(スクリーン上では、電圧は3:1の比率でスケールダウンされる)。
図7Dは、6段階60Vto35kV直流-直流変換器のパルス動作を示す。横スケール及び縦スケールは、
図7Cと同様である。
【0071】
図8A-8Bは、本開示の様々な実施の形態に係る、別の電力変換器の実験性能結果の例を示す。より具体的には、
図8A-8Bは、6kVユニットが異なる数で積層された直流-直流変換器の性能変化を示し、
図8は効率変化を示し、
図8Bは10パーセントから90パーセントの立ち上がり時間の変化を示す。効率は、積層されたユニットの数により減少する傾向にあり、単一の6kVユニットにおける82パーセントから6段階構成の73パーセントまで減少した。この効率の減少の考えられる理由の1つは、これらの複数のトランスの密着した積層によるトランス巻線の高周波電流分布が単一段階の場合と異なっており、これにより、平面PCBトランスの導電損失が増加していることである。逆変換の立ち上がり時間は、積層されたユニットの数により増加する傾向にあり、単一のユニットの135μsから6ユニット縦続の296μsまで増加した。この増加は、主に、変換器がつけられた際の、直流-直流変換器出力の電圧の半分まで充電されるトランスの一次巻線及び二次巻線の間の規制容量が原因である。
【0072】
上記の通り、上記の装置は、様々なシステム及び他の装置に実装することができる。システムの例は、CTスキャナガントリ、イオン源(例えば、医療画像用のX線源、線形加速器、爆発物検知用の中性子発生器、石油検層及び地質調査用のドリルヘッド画像化)、静電接着(例えば、材料処理、ロボットグリッパー、及びドローンの待機等の静電接着用途を可能にする携帯型高電圧電源)、TWT電源、静電フィルタ、静電スプレー(例えば、コーティング用途における接着のために粒子をイオン化させるための大きな電界の使用)、電気流体力学推進(例えば、航空推進のための推力を発生させるために空気をイオン化及び加速させるための大きな電界の使用)、高出力レーザー電源、テーザー銃、粒子加速器、プラズム発生器(例えば、航空力学において表面を制御し、気流を調整するためのもの)、キャパシタ充電、及びオゾン発生器を含む。
【0073】
図9は、本開示の様々な実施の形態に係る、装置を有するコンピュータ断層撮影(CT)スキャナガントリの一例を示す。CTスキャナガントリ970は、高電圧発電機972の一部を形成する1つ以上の上記の装置を備える。上記の電力変換装置を利用するCTスキャナガントリは、他の解決策よりも小型、軽量であり、ガントリの回転971をより早くする。より早い回転は、患者への放射線量を低減させる。様々な実施の形態に係るCTスキャナガントリを使用することは、患者への放射線量の低下をもたらす。
【0074】
図10は、本開示の様々な実施の形態に係る、進行波管(TWT)レーダー電源の例を示す。上記の装置1080を利用するTWTレーダー電源は、そのサイズを小さくすることが可能であり、従来はそのシステムサイズと重量に起因して大きすぎた強力なレーダーシステムをモバイルアプリケーションにおいて使用する又はより小さい車両(例えば、ドローン、自動車、その他)に搭載することを可能にする。装置1080は、TWT1081と、上記の電力変換器を備えるHV源1082と、を備える。
【0075】
本明細書の実施の形態は、
図9-10により示されるような特定の例示的なシステム及び/又は方法には限定されず、付録B及びCは、電力変換を備え、様々な特定の実施の形態において使用できる例示的なシステム及び/又は方法を示す。
【0076】
本明細書において説明されるように、様々な実施の形態は、誘導的絶縁を備える多段階DE級整流回路を対象とする。高周波動作は、出力電圧における高速過渡応答を可能にする。こう直流電圧絶縁能力を備える空芯PCBトランスを使用する入力並列出力直列構成は、直流-直流変換器の高出力電圧をもたらす。特定の実験的な実施の形態は、36Wの電力を負荷に提供可能な1.25MHzスイッチング周波数における60Vto6kV直流-直流変換器、及び73パーセントの効率を維持しつつ35kVの電圧及び203Wの電力を負荷に提供し、296マイクロ秒(μs)の立ち上がり時間で出力をパルス可能な多段階構成におけるハイゲイン直流-直流変換器を実証する。
【0077】
様々な実施の形態は、その利益が請求され、本明細書において参照として完全に組み込まれる、2018年3月7日に出願された「Apparayusses and Methods Involving a Power Converter that includes a Multi-stage Rectifier」と題される基礎仮出願(Ser.No.62/639,865)及びその3つの付録によって実装される。例えば、本明細書及び/又は(その付録を含む)基礎仮出願における実施の形態は、(全部を含む)異なる程度で組み合わされてよい。仮出願の一部を形成する付録を含む基礎仮出願において提供される実験的教示及び基礎参照も、参照されてよい。付録に説明される実施の形態は、特別に記載にされていない限り、いかなる場合においても、全ての技術的開示又は請求される発明の一部を限定するものではない。
【0078】
基礎仮出願の付録は、その一般的及び特定の開示を参照として完全に組み込まれる。「60 V-to-35 kV Input-Parallel Output-Series DC-DC Converter Using Multi-Level Class-DE Rectifiers」と題される付録Aは、本明細書の示されるような様々な電力変換器、整流器、多段階整流積層体、逆変換器、及びその使用方法を一般的及び具体的に説明する。「High-Voltage-High-Gain DC-DC Converter with Inductive Isolation for Multi-Level Cascade of Class-DE Rectifiers」と題される付録Bは、本明細書の示されるような電力変換器も用途を一般的及び具体的に説明する。「High Voltage Generator」と題される付録Cは、本明細書に示されるような高電圧発電機を備える電力変換器の使用及び用途を一般的及び具体的に説明する。これらの文書は、そこに説明及び記載される構造、工程、方法、及び使用の一般的及び具体的な(そこに挙げられる背景の参照を含み、本開示の様態に有益な適用である)教示が、本明細書において参照として完全に組み込まれる。
【0079】
様々なブロック、モジュール、又は他の回路は、本明細書に説明される及び/又は図面に示される1つ以上の動作及び活動を実行するために実装されてよい。これらの文脈では、「ブロック(しばしば「論理回路」又は「モジュール」とも称される)」は、(例えば、
図1に示される1つ以上のブロック又は回路要素において図示されるように)1つ以上のこれら又は関連する動作/活動を実行するための回路である。例えば、特定の上記の実施の形態において、
図1に示される回路モジュールのように、1つ以上のモジュールは、これらの動作/活動を実装するために構成及び配置される個別の論理回路又はプログラマブル論理回路である。特定の実施の形態において、そのようなプログラマブル回路は、命令(及び/又は構成データ)のセット(又は複数のセット)を実行するようにプログラムされた1つ以上のコンピュータ回路である。命令(及び/又は構成データ)は、メモリに保存され、メモリからアクセス可能なファームウェア又はソフトウェアの形態であってよい。例として、第1のモジュール及び第2のモジュールは、CPUハードウェアベースの回路ファームウェアの形態における命令のセットの組み合わせを含み、第1のモジュールは、命令の1セットを備える第1のCPUハードウェア回路であり、第2のモジュールは、命令の別のセットを備える第2のCPUハードウェア回路である。
【0080】
特定の実施の形態は、その動作/活動を実行するように、コンピュータ(又は他の電子機器)によって実行される命令を保存する機械又はコンピュータ読取可能媒体を含む、コンピュータプログラム製品(例えば、不揮発性メモリ)を対象とする。
【0081】
上記の説明及び図示に基づいて、本明細書において説明及び図示される例示的な実施の形態及び適用に厳密に追従せずに、様々な変形及び変更を行うことができる点、当業者にとって明らかである。例えば、本明細書において説明される様々な画像化処理回路が実装されてよい。また、本明細書において説明される様々な実施の形態は、特定の実施の形態と組み合わされてよく、個別の実施の形態の様々な様態は、別個の実施の形態として実装されてもよい。そのような変形例は、請求の範囲に記載される様態を含む、開示の様々な様態の真の精神及び範囲から逸脱しない。