(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119973
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】マルチツールデバイス
(51)【国際特許分類】
B25F 1/04 20060101AFI20240827BHJP
【FI】
B25F1/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096303
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2020511520の分割
【原出願日】2018-08-21
(31)【優先権主張番号】62/548,901
(32)【優先日】2017-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520059535
【氏名又は名称】ニューマン プロダクツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】NEWMAN PRODUCTS,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, マイケル スコット
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分離可能なヒンジ構造および開端レンチ機構を含むマルチツールデバイスを開示する。
【解決手段】開端レンチ機構は、一体型または別個の外爪および滑動しかつ回転する内爪を備えるフレーム部材と、これらの爪を閉じるように付勢するためのばねとを含む。ストローク上の動きを阻止するための様々な手段を提示する。ヒンジは、2つのマルチツールモジュールの機械的締結が共通の手段を介して選択可能な位置においてペアにされかつ回転式にロックされることを可能にする、正または負のオリフィスを介する2つの平行な回転ジョイントを具現する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチツールデバイスであって、
ハンドル部分と、
開端レンチ機構と、を備え、前記開端レンチ機構は、
前記開端レンチ機構の外爪部分を画定するレンチフレーム部材であって、前記レンチフレーム部材は、さらにその内部にスロットを画定する、レンチフレーム部材と、
滑動ピボットにより前記レンチフレーム部材へ変位可能に連結される内爪部材であって、前記内爪部材の一部分は、前記レンチフレーム部材の前記スロット内に受け入れられる、内爪部材と、
前記内爪部材を、前記レンチフレーム部材の外爪部分との閉位置へ向けて付勢するように構成されるばね部材と、を含み、
前記レンチフレーム部材の外爪部分は、ユーザが前記マルチツールデバイスのハンドル部分に力を加えると、前記内爪部材と協働して、前記開端レンチ機構に締結具へトルクを印加させるように構成される、マルチツールデバイス。
【請求項2】
前記レンチフレーム部材は、第1の軸受け面を備え、かつ前記内爪部材は、第2の軸受け面を備え、前記レンチフレーム部材の第1の軸受け面は、前記内爪部材の第2の軸受け面と対向する関係性で配置され、前記レンチフレーム部材の第1の軸受け面は、前記内爪部材の第2の軸受け面上の第2の輪郭セットと協働するように構成される第1の輪郭セットを有し、
前記開端レンチ機構が係合された締付け位置にあるとき、前記個々の第1および第2の軸受け面の第1および第2の輪郭セットは、前記開端レンチ機構の締結具接触面と前記締結具との間に、前記開端レンチ機構が締付け方向へ回転される際の前記滑動ピボットの作用線に対する既定の角度で締付け接触を提供するように構成され、かつ、
前記開端レンチ機構の第1および第2の軸受け面が非係合位置にあるとき、前記締結具の接触面は、前記開端レンチ機構が前記締結具に対して非締付け方向へ回転されるにつれて、前記締結具を中心とする前記開端レンチ機構のフォロワ面として動作するように構成される、請求項1に記載のマルチツールデバイス。
【請求項3】
前記レンチフレーム部材の第1の軸受け面は、前記第1の輪郭セットを形成する第1のラックギヤ部分を備え、かつ前記内爪部材の第2の軸受け面は、前記第2の輪郭セットを形成する第2のラックギヤ部分を備え、前記第1のラックギヤ部分は、前記第2のラックギヤ部分と対向する関係性で配置される、請求項2に記載のマルチツールデバイス。
【請求項4】
前記レンチフレーム部材または前記内爪部材は、前記レンチフレーム部材に対する前記内爪部材の回転を制限すべく、前記内爪部材の回転を前記滑動ピボットを中心とする既定の角度に抑えるように構成される回転制限部材を備える、請求項1に記載のマルチツールデバイス。
【請求項5】
マルチツールデバイスであって、
内面および外面を有する第1のツールサブアッセンブリであって、前記第1のツールサブアッセンブリの内面は、前記第1のツールサブアッセンブリの外面の反対側に配置される、第1のツールサブアッセンブリと、
内面および外面を有する第2のツールサブアッセンブリであって、前記第2のツールサブアッセンブリの内面は、前記第2のツールサブアッセンブリの外面の反対側に配置される、第2のツールサブアッセンブリと、
前記第1のツールサブアッセンブリを前記第2のツールサブアッセンブリへ回転可能に連結するヒンジ部材であって、前記ヒンジ部材は、前記第1のツールサブアッセンブリがそれを中心にして旋回可能な第1の回転軸と、前記第2のツールサブアッセンブリがそれを中心にして旋回可能な第2の回転軸とを画定し、前記第1の回転軸は、概して前記第2の回転軸に平行であり、かつ前記第1の回転軸は、前記第1のツールサブアッセンブリをある形状に折りたためることによって前記第1のツールサブアッセンブリが前記第2のツールサブアッセンブリと略平行に配置され、かつ前記第1のツールサブアッセンブリの内面が前記第2のツールサブアッセンブリの内面に対向する関係性で配置される既定の間隔で前記第2の回転軸から離隔される、ヒンジ部材と、を備える、マルチツールデバイス。
【請求項6】
前記第1のツールサブアッセンブリは、1つまたは複数のツール部材を備え、かつ前記第2のツールサブアッセンブリは、1つまたは複数の追加的なツール部材を備える、請求項5に記載のマルチツールデバイス。
【請求項7】
前記第1のツールサブアッセンブリの1つまたは複数のツール部材は、1対の折りたたみプライヤを含み、前記折りたたみプライヤは、第1のハンドル端と、前記第1のハンドル端の反対側に配置されるプライヤヘッドを有する第2のヘッド端とを有し、前記折りたたみプライヤの前記第1のハンドル端は、1対の離隔した開口を含み、前記対の離隔した開口のうちの第1の開口は、前記折りたたみプライヤの第1のハンドル部分に配置され、かつ前記対の離隔した開口のうちの第2の開口は、前記折りたたみプライヤの第2のハンドル部分に配置され、前記離隔された開口は、前記折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分の閉位置において互いに同一直線上にあるように構成され、かつ前記マルチツールデバイスのヒンジ部材は、さらに、
1対の共線的ポストであって、前記ヒンジ部材の第1の回転軸に沿って配置され、前記第1のツールサブアッセンブリが前記第2のツールサブアッセンブリと係合されると、前記離隔された開口の個々の開口内に受け入れられるように構成される1対の共線的ポストを備える、請求項6に記載のマルチツールデバイス。
【請求項8】
前記第1のツールサブアッセンブリは、前記折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分上の前記離隔された開口の各々から前記ヒンジ部材の共線的ポスト対の係合を解除することにより、前記第2のツールサブアッセンブリから取り外されるように構成され、かつ前記第1のツールサブアッセンブリは、前記折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分上の前記離隔された開口を前記ヒンジ部材の共線的ポストのうちの個々のポストと係合させ、かつ前記折りたたみプライヤの第2のヘッド端における前記プライヤヘッドを用いて前記折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分を互いに対して所定位置にロックすることにより、前記第2のツールサブアッセンブリへ取り付けられるように構成される、請求項7に記載のマルチツールデバイス。
【請求項9】
前記第1のツールサブアッセンブリ、前記第2のツールサブアッセンブリおよび前記ヒンジ部材のうちの1つは、さらに、前記第1のツールサブアッセンブリの前記第2のツールサブアッセンブリに対する回転を拘束する回転制限部材を備える、請求項5に記載のマルチツールデバイス。
【請求項10】
前記ヒンジ部材は、さらに、第1の面と、前記第1の面の反対側に配置される第2の面とを備え、前記第1の面および前記第2の面のうちの少なくとも一方の内部には、締結具駆動部材を受け入れるためのリセスが設けられている、請求項5に記載のマルチツールデバイス。
【請求項11】
締結具駆動部材を受け入れるための前記リセスは、前記第1のツールサブアッセンブリの内面が前記第2のツールサブアッセンブリの内面へ折りたたまれると、前記リセスの長手軸が前記マルチツールデバイスの中心軸に略一致するように、実質的に前記ヒンジ部材の中心に置かれる、請求項10に記載のマルチツールデバイス。
【請求項12】
前記ヒンジ部材の第1および第2の面は各々、内部に形成される、個々の締結具駆動部材を受け入れるためのリセスを備える、請求項10に記載のマルチツールデバイス。
【請求項13】
マルチツールデバイスであって、
1対の折りたたみプライヤを備え、前記1対の折りたたみプライヤは、
プライヤハンドル本体部分であって、第1のハンドル部材および第2のハンドル部材を含むプライヤハンドル本体部分と、
前記プライヤハンドル部分へ連結されるプライヤヘッド部分とを含み、前記プライヤヘッド部分は、第1の回転軸を中心にして第2の爪部材へ旋回可能に連結される第1の爪部材を含み、前記プライヤヘッド部分は、前記プライヤハンドル本体部分へと折りたたまれて前記折りたたみプライヤの収納形状になるように構成され、かつ前記第1および第2の爪部材は各々、前記プライヤにより操作されている物体に係合するための第1の端と、個々の第1および第2のハンドル部材へ旋回可能に連結される、反対側に配置される第2の端とを有し、第1および第2の爪部材の前記第2の端は、個々の第2および第3の回転軸を中心に前記個々の第1および第2のハンドル部材に対して旋回するように構成される、マルチツールデバイス。
【請求項14】
前記第1のハンドル部材および前記第2のハンドル部材のうちの一方は、動作可能な、展開された状態の前記折りたたみプライヤおよび動作不能な、折りたたまれた状態の前記折りたたみプライヤを画定するように、前記第1の回転軸を中心にして前記第1のハンドル部材および前記第2のハンドル部材のうちのもう一方に対して折りたたみ可能であり、かつ、
前記折りたたみプライヤが前記折りたたまれた状態にあるとき、前記第1および第2の爪部材の第2の端がそれらを中心にして前記個々の第1および第2のハンドル部材に対して旋回するように構成される前記第2および第3の回転軸は、互いに同一直線上にある、請求項13に記載のマルチツールデバイス。
【請求項15】
前記第1および第2のハンドル部材は、第1および第2の爪部材の前記第2の端で前記第1および第2の爪部材の外面へ旋回可能に連結され、かつ、
前記折りたたみプライヤが前記折りたたまれた状態にあるとき、前記第1および第2のハンドル部材は、概して、互いに平行に配置される、請求項14に記載のマルチツールデバイス。
【請求項16】
前記プライヤヘッド部分が前記プライヤハンドル本体部分に折りたたまれると、前記第1および第2のハンドル部材は、前記折りたたまれた状態にロックされる、請求項14に記載のマルチツールデバイス。
【請求項17】
前記第1のハンドル部材および前記第2のハンドル部材のうちの一方は、その内部に形成される、前記第1および第2の爪部材を閉位置に固定するように前記プライヤヘッド部分の先端を受け入れるためのノッチを備える、請求項13に記載のマルチツールデバイス。
【請求項18】
マルチツールデバイスであって、
1つまたは複数のツール部材を含むツール本体部分と、ドライバビット延長部保持部分とを備え、前記ドライバビット延長部保持部分は、
前記ツール本体部分により形成されるドライバビット延長部クレードルであって、ドライバビット延長部の一部分を受け入れるように構成されるドライバビット延長部クレードルと、
前記ドライバビット延長部を前記ドライバビット延長部クレードル内に保持するように構成される保持部材とを備え、前記保持部材は、前記ドライバビット延長部の長さの一部分に沿って延びかつ前記ドライバビット延長部の円周部分に外接するように構成される、マルチツールデバイス。
【請求項19】
前記ドライバビット延長部保持部分の保持部材は、前記ドライバビット延長部を前記ドライバビット延長部クレードル内へ導く、前記ドライバビット延長部に保持力を加えるように構成される片持ちばね部材の形態である、請求項18に記載のマルチツールデバイス。
【請求項20】
前記片持ちばね部材は、前記ドライバビット延長部の円周部分に外接するように構成される下向きに曲がった部分を備え、前記片持ちばね部材の下向きに曲がった部分は、前記ドライバビット延長部に前記保持力を加えるように構成される、請求項19に記載のマルチツールデバイス。
【請求項21】
マルチツールデバイスであって、
ハンドル部分と、
開端レンチ機構と、を備え、前記開端レンチ機構は、
前記開端レンチ機構の外爪部分を画定するレンチフレーム部材であって、前記レンチフレーム部材は、さらにその内部にスロットを画定する、レンチフレーム部材と、
前記レンチフレーム部材へ変位可能に連結される内爪部材であって、前記内爪部材の一部分は、前記レンチフレーム部材の前記スロット内に受け入れられる、内爪部材と、を含み、
前記レンチフレーム部材の外爪部分は、ユーザが前記マルチツールデバイスのハンドル部分に力を加えると、前記内爪部材と協働して、前記開端レンチ機構に締結具へトルクを印加させるように構成される、マルチツールデバイス。
【請求項22】
前記外爪部分は、ピンを介して蝶番式に連接されかつばねにより閉位置へと付勢される第1および第2の外爪部分を備え、
前記第1の外爪部分は、前記第2の外爪部分の前記閉位置への移動を制限する停止装置を有する、請求項21に記載のマルチツールデバイス。
【請求項23】
前記内爪部材は、第1の位置において、前記内爪部分の前記外爪部分に対する長手方向移動を許容し、かつ第2の位置において、前記内爪部分の前記外爪部分に対する長手方向移動を制限するように適合化されるピボット部分を有する、請求項21に記載のマルチツールデバイス。
【請求項24】
前記内爪部材は、前記レンチフレーム部材へスリーブによって変位可能に連結され、前記内爪部材は、前記スリーブへ旋回可能に連接され、前記スリーブは、前記外爪部分へ滑動可能に連結され、かつ、
ばねは、第1の端で前記外爪部分へ連接され、かつ第2の端で前記スリーブへ連接され、これにより、前記スリーブおよび内爪部分は、閉位置へと付勢され、
前記内爪部材の一部分に配置される2つ以上の歯は、ロック位置において、前記外爪部材の一部分に配置される2つ以上の歯に協働して係合するように適合化される、請求項21に記載のマルチツールデバイス。
【請求項25】
前記内爪部材は、前記レンチフレーム部材へスリーブによって変位可能に連結され、前記内爪部材は、前記スリーブへ固定的に連接され、前記スリーブは、前記外爪部分へ滑動可能に連結され、かつ、
ばねは、第1の端で前記外爪部分へ連接され、かつ第2の端で前記スリーブへ連接され、これにより、前記スリーブおよび内爪部分は、閉位置へと付勢され、
さらに、これにより、前記スリーブおよび内爪部分は、前記レンチフレーム部材に対し、開位置と閉位置との間で回転するように適合化され、前記スリーブおよび内爪部分は、前記閉位置において、前記レンチフレーム部材に対する長手方向移動を制限される、請求項21に記載のマルチツールデバイス。
【請求項26】
前記内爪部材は、前記レンチフレーム部材へスリーブによって変位可能に連結され、前記内爪部材は、前記スリーブへ固定的に連接され、前記スリーブは、前記外爪部分へ滑動可能に連結され、
前記スリーブは、線形移動を阻止するロックにより、前記レンチフレーム部材に沿った移動レンジにおける離散位置においてロック可能である、請求項21に記載のマルチツールデバイス。
【請求項27】
前記外爪部分は、ピンを介して蝶番式に連接されかつばねにより閉位置へと付勢される第1および第2の外爪部分を備え、
前記第1の外爪部分は、前記第2の外爪部分の前記閉位置への移動を制限する停止装置を有する、請求項26に記載のマルチツールデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年8月22日に提出された米国暫定出願第62/548,901号明細書に対する優先権を主張するものであり、該出願の内容は全て、参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、マルチツールデバイスに関する。より具体的には、本発明は、使いやすく、そのユーザが容易に持ち運ぶことができるモジュール式ツールセットを含むマルチツールデバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
ツールのセット全体を修理現場に運ぶことは、簡便ではなく、また、緊急修理の場合は、ツールが即、最大限の効率で手許にあることが求められる。また、異なる用途用にツールを替えることも不便である。
【0004】
従来のマルチツールは、この問題に、利用可能な複数の機能を有する持ち運びやすいツールを生産することによって対処すべく開発されてきた。しかし、これらの従来のマルチツールは、回転力を与える必要性に十分に対処したものではなく、よって、扱いにくく、効力がなく、または使いにくいものである可能性がある。また、従来のマルチツールは、モジュール式でない一体形のツールを有し、よって、従来のマルチツールは、ツールの補充が有限である。他のツールを使えるようにするためには、まったく別のツールを購入しなければならない。
【0005】
さらに、携帯用のユニバーサルレンチを生産する試みも様々に存在するが、分野によっては、その全てが規準に達していない。たとえば、これらの従来的な持ち運べるレンチには、調整が難しく、サイズスパンが限定的であり、トルク長さが限定的であることがあり、位置合わせを手動で直さなければならず、かさばる、といったことがある。
【0006】
したがって、使用がより容易であって、簡単に持ち運べるより高性能なモジュール式ハンドツールセットを含む、マルチツールデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は、関連技術に係る限定および欠陥に起因する1つまたは複数の問題点を略取り除くマルチツールデバイスに関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つまたは複数の実施形態によれば、ハンドル部分と、開端レンチ機構とを含むマルチツールデバイスが提供されている。開端レンチ機構は、開端レンチ機構の外爪部分を画定するレンチフレーム部材であって、該レンチフレーム部材は、さらにその内部にスロットを画定する、レンチフレーム部材と、滑動ピボットによりレンチフレーム部材へ変位可能に連結される内爪部材であって、該内爪部材の一部分は、レンチフレーム部材のスロット内に受け入れられる、内爪部材と、内爪部材を、レンチフレーム部材の外爪部分との閉位置へ向けて付勢するように構成されるばね部材と、を含む。これらの1つまたは複数の実施形態において、レンチフレーム部材の外爪部分は、ユーザがマルチツールデバイスのハンドル部分に力を加えると、内爪部材と協働して、開端レンチ機構に締結具へトルクを印加させるように構成される。
【0009】
本発明のさらなる実施形態において、レンチフレーム部材は、第1の軸受け面を備え、かつ内爪部材は、第2の軸受け面を備え、レンチフレーム部材の第1の軸受け面は、内爪部材の第2の軸受け面と対向する関係性で配置され、レンチフレーム部材の第1の軸受け面は、内爪部材の第2の軸受け面上の第2の輪郭セットと協働するように構成される第1の輪郭セットを有する。開端レンチ機構が係合された締付け位置にあるとき、個々の第1および第2の軸受け面の第1および第2の輪郭セットは、開端レンチ機構の締結具接触面と締結具との間に、開端レンチ機構が締付け方向へ回転される際の滑動ピボットの作用線に対する既定の角度で締付け接触を提供するように構成される。開端レンチ機構の第1および第2の軸受け面が非係合位置にあるとき、締結具の接触面は、開端レンチ機構が締結具に対して非締付け方向へ回転されるにつれて、締結具を中心とする開端レンチ機構のフォロワ面として動作するように構成される。
【0010】
さらなる実施形態において、レンチフレーム部材の第1の軸受け面は、第1の輪郭セットを形成する第1のラックギヤ部分を備え、かつ内爪部材の第2の軸受け面は、第2の輪郭セットを形成する第2のラックギヤ部分を備え、第1のラックギヤ部分は、第2のラックギヤ部分と対向する関係性で配置される。
【0011】
さらに別の実施形態において、レンチフレーム部材または内爪部材は、レンチフレーム部材に対する内爪部材の回転を制限すべく、内爪部材の回転を、滑動ピボットを中心とする既定の角度に抑えるように構成される回転制限部材を備える。
【0012】
本発明の1つまたは複数の他の実施形態によれば、提供されているマルチツールデバイスは、内面および外面を有する第1のツールサブアッセンブリであって、該第1のツールサブアッセンブリの内面は、第1のツールサブアッセンブリの外面の反対側に配置される、第1のツールサブアッセンブリと、内面および外面を有する第2のツールサブアッセンブリであって、該第2のツールサブアッセンブリの内面は、第2のツールサブアッセンブリの外面の反対側に配置される、第2のツールサブアッセンブリと、第1のツールサブアッセンブリを第2のツールサブアッセンブリへ回転可能に連結するヒンジ部材であって、該ヒンジ部材は、第1のツールサブアッセンブリがそれを中心にして旋回可能な第1の回転軸と、第2のツールサブアッセンブリがそれを中心にして旋回可能な第2の回転軸とを画定し、第1の回転軸は、概して第2の回転軸に平行であり、かつ第1の回転軸は、第1のツールサブアッセンブリをある形状に折りたためることによって第1のツールサブアッセンブリが第2のツールサブアッセンブリと略平行に配置され、かつ第1のツールサブアッセンブリの内面が第2のツールサブアッセンブリの内面に対向する関係性で配置される既定の間隔で第2の回転軸から離隔される、ヒンジ部材と、を含む。
【0013】
本発明のさらなる実施形態において、第1のツールサブアッセンブリは、1つまたは複数のツール部材を備え、かつ第2のツールサブアッセンブリは、1つまたは複数の追加的なツール部材を備える。
【0014】
さらに別の実施形態において、第1のツールサブアッセンブリの1つまたは複数のツール部材は、1対の折りたたみプライヤを含み、該折りたたみプライヤは、第1のハンドル端と、該第1のハンドル端の反対側に配置されるプライヤヘッドを有する第2のヘッド端とを有し、折りたたみプライヤの第1のハンドル端は、1対の離隔した開口を含み、1対の離隔した開口のうちの第1の開口は、折りたたみプライヤの第1のハンドル部分に配置され、かつ1対の離隔した開口のうちの第2の開口は、折りたたみプライヤの第2のハンドル部分に配置され、離隔された開口は、折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分の閉位置において互いに同一直線上にあるように構成され、かつマルチツールデバイスのヒンジ部材は、さらに、ヒンジ部材の第1の回転軸に沿って配置される1対の共線的ポストであって、第1のツールサブアッセンブリが第2のツールサブアッセンブリと係合されると、離隔された開口の個々の開口内に受け入れられるように構成される1対の共線的ポストを備える。
【0015】
さらに別の実施形態において、第1のツールサブアッセンブリは、折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分上の離隔された開口の各々からヒンジ部材の共線的ポスト対の係合を解除することにより、第2のツールサブアッセンブリから取り外されるように構成され、かつ第1のツールサブアッセンブリは、折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分上の離隔された開口をヒンジ部材の共線的ポストのうちの個々のポストと係合させ、かつ折りたたみプライヤの第2のヘッド端におけるプライヤヘッドを用いて折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分を互いに対して所定位置にロックすることにより、第2のツールサブアッセンブリへ取り付けられるように構成される。
【0016】
さらに別の実施形態において、第1のツールサブアッセンブリ、第2のツールサブアッセンブリおよびヒンジ部材のうちの1つは、さらに、第1のツールサブアッセンブリの第2のツールサブアッセンブリに対する回転を拘束する回転制限部材を備える。
【0017】
さらに別の実施形態において、ヒンジ部材は、さらに、第1の面と、第1の面の反対側に配置される第2の面とを備え、第1の面および第2の面のうちの少なくとも一方の内部には、締結具駆動部材を受け入れるためのリセスが設けられている。
【0018】
さらに別の実施形態において、締結具駆動部材を受け入れるためのリセスは、第1のツールサブアッセンブリの内面が第2のツールサブアッセンブリの内面へ折りたたまれると、リセスの長手軸がマルチツールデバイスの中心軸に略一致するように、実質的にヒンジ部材の中心に置かれる。
【0019】
さらに別の実施形態において、ヒンジ部材の第1および第2の面は各々、内部に形成される、個々の締結具駆動部材を受け入れるためのリセスを備える。
【0020】
本発明のさらに他の1つまたは複数の実施形態によれば、1対の折りたたみプライヤを含むマルチツールデバイスが提供されている。1対の折りたたみプライヤは、プライヤハンドル本体部分であって、第1のハンドル部材および第2のハンドル部材を含むプライヤハンドル本体部分と、プライヤハンドル部分へ連結されるプライヤヘッド部分とを含み、該プライヤヘッド部分は、第1の回転軸を中心にして第2の爪部材へ旋回可能に連結される第1の爪部材を含み、プライヤヘッド部分は、プライヤハンドル本体部分へと折りたたまれて折りたたみプライヤの収納形状になるように構成され、かつ第1および第2の爪部材は各々、プライヤにより操作されている物体に係合するための第1の端と、個々の第1および第2のハンドル部材へ旋回可能に連結される、反対側に配置される第2の端とを有し、第1および第2の爪部材の第2の端は、個々の第2および第3の回転軸を中心に個々の第1および第2のハンドル部材に対して旋回するように構成される。
【0021】
本発明のさらなる実施形態において、第1のハンドル部材および第2のハンドル部材のうちの一方は、動作可能な、展開された状態の折りたたみプライヤおよび動作不能な、折りたたまれた状態の折りたたみプライヤを画定するように、第1の回転軸を中心にして第1のハンドル部材および第2のハンドル部材のうちのもう一方に対して折りたたみ可能である。折りたたみプライヤが折りたたまれた状態にあるとき、第1および第2の爪部材の第2の端がそれらを中心にして個々の第1および第2のハンドル部材に対して旋回するように構成される第2および第3の回転軸は、互いに同一直線上にある。
【0022】
さらに別の実施形態において、第1および第2のハンドル部材は、第1および第2の爪部材の第2の端で第1および第2の爪部材の外面へ旋回可能に連結される。折りたたみプライヤが折りたたまれた状態にあるとき、第1および第2のハンドル部材は、概して、互いに平行に配置される。
【0023】
さらに別の実施形態において、プライヤヘッド部分がプライヤハンドル本体部分に折りたたまれると、第1および第2のハンドル部材は、折りたたまれた状態にロックされる。
【0024】
さらに別の実施形態において、第1のハンドル部材および第2のハンドル部材のうちの一方は、その内部に形成される、第1および第2の爪部材を閉位置に固定するようにプライヤヘッド部分の先端を受け入れるためのノッチを備える。
【0025】
本発明のさらに他の1つまたは複数の実施形態によれば、1つまたは複数のツール部材を含むツール本体部分と、ドライバビット延長部保持部分とを含むマルチツールデバイスが提供されている。ドライバビット延長部保持部分は、ツール本体部分により形成されるドライバビット延長部クレードルであって、ドライバビット延長部の一部分を受け入れるように構成されるドライバビット延長部クレードルと、ドライバビット延長部をドライバビット延長部クレードル内に保持するように構成される保持部材とを含み、該保持部材は、ドライバビット延長部の長さの一部分に沿って延びかつドライバビット延長部の円周部分に外接するように構成される。
【0026】
本発明のさらなる実施形態において、ドライバビット延長部保持部分の保持部材は、ドライバビット延長部をドライバビット延長部クレードル内へ導く、ドライバビット延長部に保持力を加えるように構成される片持ちばね部材の形態である。
【0027】
さらに別の実施形態において、片持ちばね部材は、ドライバビット延長部の円周部分に外接するように構成される下向きに曲がった部分を備え、片持ちばね部材の下向きに曲がった部分は、ドライバビット延長部に保持力を加えるように構成される。
【0028】
本発明に関するこれまでに述べた概説および以後の詳細な説明が、元来、例示的かつ説明的なものにすぎないことは、理解されるべきである。したがって、本発明に関するこれまでに述べた概説および以後の詳細な説明は、いかなる意味においても、添付の特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の実施形態のさらなる特徴は、添付の図面を参照して本明細書および特許請求の範囲を読むことにより、実施形態が関係する当業者に明らかとなるであろう。
【
図1】本発明の一実施形態によるマルチツールデバイスを示す斜視図であって、マルチツールデバイスの2つの半分は、展開された状態にあり、マルチツールデバイスのレンチ部分のサイドカバーは、レンチ部分の内部コンポーネントを示すために外されている。
【
図2】
図1のマルチツールデバイスの底面図である。
【
図3】
図1のマルチツールデバイスの側面図であって、マルチツールデバイスのレンチ部分のサイドカバーは、レンチ部分の内部コンポーネントを示すために外されている。
【
図4】
図1のマルチツールデバイスのレンチ部分の拡大側面図であって、マルチツールデバイスのレンチ部分のサイドカバーは、レンチ部分の内部コンポーネントを示すために外されている。
【
図5】
図1のマルチツールデバイスを示す別の斜視図であって、マルチツールデバイスの第1の半分は、マルチツールデバイスの第1の半分のプライヤが使用され得るように、マルチツールデバイスの第2の半分から分離されて示されている。
【
図6】
図5に示すマルチツールデバイスの第1の側面図であり、マルチツールデバイスの半分同士が互いに分離されて示されている。
【
図7】
図5に示すマルチツールデバイスの第2の側面図であり、マルチツールデバイスの半分同士が互いに分離されて示されている。
【
図8】
図1のマルチツールデバイスの端面図であり、レンチを含むマルチツールデバイスの第2の半分の端が示されている。
【
図9】
図1のマルチツールデバイスのさらに別の斜視図であって、マルチツールデバイスの第1および第2の半分が部分的に展開された状態で示されている。
【
図10】本発明の一実施形態によるマルチツールデバイスのさらに別の斜視図であり、この場合も、マルチツールデバイスの2つの半分が展開された状態で示されている。
【
図11】
図1のマルチツールデバイスの別の端面図であり、レンチを含むマルチツールデバイスの第2の半分の端が示されている。
【
図12】
図1のマルチツールデバイスの別の底面図である。
【
図13】
図1のマルチツールデバイスの別の側面図であり、サイドカバーは、マルチツールデバイスのレンチ部分に配置されている。
【
図14】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスの第1の側面図であり、折りたたみナイフ刃を含むマルチツールデバイスの側面が示されている。
【
図15】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスのレンチ部分の第2の側面図であり、レンチを含むマルチツールデバイスの側面が示されている。
【
図16】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスの底面図である。
【
図17】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスの平面図である。
【
図18】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスの第1の端面図であり、レンチのヘッド端が示されている。
【
図19】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスの第2の端面図であり、マルチツールデバイスのヒンジ部材が示されている。
【
図20】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスの斜視図であり、折りたたみナイフの刃が伸長されて示されている。
【
図21】折りたたまれた状態における
図1のマルチツールデバイスの斜視図であり、ドライバビットが連結された状態のドライバビット延長部がマルチツールのヒンジ部材におけるリセスに挿入されて示されている。
【
図22】展開された状態における
図1のマルチツールデバイスの斜視図であり、ドライバビットが連結された状態のドライバビット延長部がマルチツールのヒンジ部材におけるリセスに挿入されて示され、マルチツールデバイスの両半分の延長された位置は、ドライバビットにより駆動される締結具へユーザがかなりのトルクを印加できるように、二重ハンドルとして機能する。
【
図23】
図1のマルチツールデバイスのレンチ部分の斜視図であり、ドライバビットが連結された状態のドライバビット延長部がマルチツールのヒンジ部材におけるリセスに挿入されて示され、ドライバビットにより駆動される締結具へトルクを印加するための単一のハンドルとして機能するマルチツールデバイスのレンチ部分が示されている。
【
図24】
図1のマルチツールデバイスのレンチ部分の別の斜視図であり、マルチツールデバイスのヒンジ部材におけるドライバビットリセスが示されている。
【
図25】
図1のマルチツールデバイスの分解斜視図であり、マルチツールデバイスを形成するコンポーネントが互いに分解されて示されている。
【
図26】マルチツールデバイスの第2の半分の代替実施形態を二重ばねレンチと共に示す側面図であり、付勢されて閉じられた第2の外爪部分を示す。
【
図27】
図26の側面図であり、回転して開いた第2の外爪部分を示す。
【
図28】マルチツールデバイスの第2の半分の代替実施形態をカムロック内爪旋回レンチと共に示す側面図である。
【
図29】マルチツールデバイスの第2の半分の代替実施形態をリニアシャフトレンチと共に示す側面図である。
【
図30】マルチツールデバイスの第2の半分の代替実施形態をカムラップレンチと共に示す側面図である。
【
図31】マルチツールデバイスの第2の半分の代替実施形態を可変レンジレンチと共に示す側面図であり、閉位置における第2の外爪部分を示す。
【
図32】
図31の側面図であり、回転して開いた第2の外爪部分を示す。
【
図33】マルチツールデバイスのピボットアッセンブリの代替実施形態をキー付き定張力ピボットの分解図と共に示す斜視図である。
【
図34A】組み立てられた
図33のマルチツールデバイスを示す底面図である。
【
図34B】
図34Aのマルチツールデバイスのキー付き定張力ピボットを介する拡大断面図である。
【
図34C】
図34Bのマルチツールデバイスのキー付き定張力ピボットを介する部分断面図である。
【0030】
諸図を通じて、同じパーツは、常に同じ参照文字を用いて示し、よって、原則として、その説明は一度きりである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の論考では、諸図において、類似の参照数字を用いて類似の構造およびエレメントを参照する。
【0032】
マルチツールデバイスの例示的な実施形態は、
図1~
図3、
図5~
図22および
図25において、全体が100で示されている。図示されている実施形態において、マルチツールデバイス100は、自己調整式、開端式のラチェットレンチ機構を備える、分離可能なモジュール式マルチツールの形態である。後に詳述するように、マルチツールデバイス100は、効果的には、開端レンチ機構、締結具にトルクを印加するための締結具駆動部材を受け入れるヒンジ部材、1対の折りたたみプライヤ、折りたたみナイフ、折りたたみ金属鋸刃および折りたたみ木工鋸刃などの複数の異なるツールを、1つのコンパクトな配置で含む。
【0033】
まず、
図1~
図4を参照し、例示的な実施形態のマルチツールデバイス100の開端レンチ機構について説明する。
図1および
図4に示すように、開端レンチ機構(すなわち、レンチ部分72-
図4参照)は、概して、(i)開端レンチ機構の外爪部分を画定するレンチフレーム部材12であって、該レンチフレーム部材12は、さらにその内部に長手方向へ延びるスロット74を画定する(
図4参照)、レンチフレーム部材12と、(ii)滑動ピボット76によりレンチフレーム部材12へ変位可能に連結される内爪部材18であって、該内爪部材18の一部分は、レンチフレーム部材12のスロット74内に受け入れられる、内爪部材18と、(iii)内爪部材18を、レンチフレーム部材12の外爪部分との閉位置へ向けて付勢するように構成されるばね部材68と、を含む。レンチフレーム部材12の外爪部分は、ユーザがマルチツールデバイス100のハンドル部分20に力を加えると、内爪部材18と協働して、開端レンチ機構に締結具(たとえば、ボルト頭またはナット)へトルクを印加させるように構成される(
図3参照)。
【0034】
再び
図4を参照すると、レンチフレーム部材12は、第1の軸受け面78を備え、かつ内爪部材18は、第2の軸受け面80を備えることが分かる。レンチフレーム部材12の第1の軸受け面78は、内爪部材18の第2の軸受け面80と対向する関係で配置される。レンチフレーム部材12の第1の軸受け面78は、内爪部材18の第2の軸受け面80上の第2の輪郭セットと協働するように構成される第1の輪郭セットを有する。マルチツールデバイス100の開端レンチ機構が係合された締付け位置にあるとき、個々の第1および第2の軸受け面78、80の第1および第2の輪郭セットは、開端レンチ機構の締結具接触面と締結具(たとえば、ボルト頭またはナット)との間に、開端レンチ機構が締付け方向へ回転される際の滑動ピボット76の作用線に対する既定の角度(たとえば、20度)で締付け接触を提供するように構成される。逆に、開端レンチ機構の第1および第2の軸受け面78、80が非係合位置にあるとき、締結具の接触面は、開端レンチ機構が締結具に対して非締付け方向へ回転されるにつれて、締結具(たとえば、ボルト頭またはナット)を中心とする開端レンチ機構のフォロワ面として動作するように構成される。図示の実施形態に描かれているように、レンチフレーム部材12の第1の軸受け面78は、第1の輪郭セットを形成する第1のラックギヤ部分を備え、内爪部材18の第2の軸受け面80は、第2の輪郭セットを形成する第2のラックギヤ部分を備える。第1のラックギヤ部分は、第2のラックギヤ部分と対向する関係で配置される。
【0035】
図示された実施形態において、内爪部材18は、レンチフレーム部材12に対する内爪部材18の回転を制限すべく、内爪部材18の回転を滑動ピボット76を中心とする既定の角度(たとえば、2度)に拘束するように構成される回転制限部材82(すなわち、半円突起の形態)を備える。したがって、内爪部材18は、2つの末端角度の間(たとえば、0度と2度との間)で滑動ピボット76を中心にして回転することができる。1つまたは複数の代替実施形態において、回転制限部材は、内爪部材18上ではなく、レンチフレーム部材12上に設けられてもよい。
【0036】
図5、
図15、
図24および
図25を併せて参照すると、例示的な実施形態において、マルチツールデバイス100の開端レンチ機構は、さらに、レンチフレーム部材12および内爪部材18の内側部分を隠す2つのカバー部材14、16を備えることが分かる。開端レンチ機構の第1のカバー部材14は、上側および下側のフランジ部分と、フィンガチョイルとを含む(
図25参照)。
図5に示すように、第1のカバー部材14は、レンチフレーム部材12の第1の側面へ、複数の締結具部材(たとえば、6つのねじ部材48)によって固定される。開端レンチ機構の第2のカバー部材16は、平板の形態である(
図25参照)。
図15に示すように、第2のカバー部材16は、レンチフレーム部材12の第2の側面へ、複数の締結具部材(たとえば、6つのねじ部材48)によって固定される。
【0037】
開端レンチ機構が動作する間、締結具(たとえば、ボルト頭またはナット)の中心軸を中心とする両爪の回転によって生じる爪面上の反力の成分により、第1および第2のギヤラック部分が回転して接触すると、ギヤ歯が噛み合い、よって、内爪部材18の動きがばね68の作用線上で阻止される。なお、反力成分の全体的な力に対する比は、先に述べた既定の角度によって設定される。第1および第2のギヤラック部分が回転されて互いに接触すると、爪が所定の位置にロックされ、これにより、爪面を介して締結具へトルクを加えることができるようになる。逆に、アッセンブリが締結具を中心にして反対方向へ回転されると、締結具接触による摩擦力および反力によってラック歯の噛み合いが外れ、爪が、回転制限部材82により設定されるもう一方の極限位置まで回転される。この位置において、内爪部材18は、ばね68に抗する滑動ピボット76の作用線上を自由に滑動することができる。次に、爪面は、締結具の表面をカムとして用いて、締結具の周りを締結具との新たな相対位置まで辿ることができる。爪アッセンブリを締結具の回転軸上で交互のストロークで回転させることにより、締結具は、閉止されたストローク毎に一方向へ回転され、かつ開端レンチ機構は、開放されたストロークで締結具との相対位置を変えられ、その結果、締結具のラチェット式一方向回転変位がもたらされる。
【0038】
マルチツールデバイス100のこれまでに述べた開端レンチ機構が多くの特徴および利点を提供することは、容易に明らかである。第1に、開端レンチ機構の革新的設計は、これを広範な締結具サイズで用いることを可能にし、よってこれは、この点に関してスケーラブルである。第2に、開端レンチ機構は、表面を中心にして一方向へカムし、所定位置でラチェット動作のための他の方向にロックする。第3に、開端レンチ機構の場合、手動調整が不要である。開端レンチ機構の爪は、自動調整式であり、締結具周りに嵌め合い隙間を設けるためにだけ手動で開く必要がある。緩めると、爪は、自動的に締結具の面まで跳ね上がり、ラチェット動作を開始することができる。第4に、開端レンチ機構の開いた爪は、閉じた爪が通れないパイプ継手などの物体に対する使用を可能にする。第5に、爪は、ツールの前方に向かって存在し、かつ本機構の中心は、ツールのトルク長さに沿って置かれることから、狭いスペースにおけるレンチヘッドに要する隙間は、最小限でよい。第6に、レンチの幾何学形状は、レンチが十分な強度を有する材料(たとえば、鋼)から製造されている限り、破損することなく高いトルクを印加できる類のものである。第7に、爪は、ツールとしての性質上、締結具に2つの場所で連結する。効果的には、これは、締結具の角ではなく面上で発生し、よって、回りがなくなる。第8に、レンチに印加されるトルクが大きいほど、締結具に対する締付け力が大きくなり、よって、スリップがなくなる。
【0039】
次に、
図5~
図19および
図21~
図23を参照して、例示的な実施形態によるマルチツールデバイス100のヒンジ部材10の構造および機能を説明する。まず、
図9、
図10、
図16および
図17を参照すると、マルチツールデバイス100は、概して、(i)内面および外面を有する第1のツールサブアッセンブリ(すなわち、折りたたみプライヤおよび折りたたみナイフを有する第1のツール半分)であって、該第1のツールサブアッセンブリの内面は、第1のツールサブアッセンブリの外面の反対側に配置される、第1のツールサブアッセンブリと、(ii)内面とフィンガチョイルを有する外面とを有する第2のツールサブアッセンブリ(たとえば、開端レンチ機構を有する第2のツール半分)であって、該第2のツールサブアッセンブリの内面は、第2のツールサブアッセンブリの外面の反対側に配置される、第2のツールサブアッセンブリと、(iii)第1のツールサブアッセンブリを第2のツールサブアッセンブリへ回転可能に連結するヒンジ部材10であって(
図9参照)、該ヒンジ部材10は、第1のツールサブアッセンブリがそれを中心にして旋回可能な第1の回転軸RA1と、第2のツールサブアッセンブリがそれを中心にして旋回可能な第2の回転軸RA2とを画定し、第1の回転軸RA1は、概して第2の回転軸RA2に平行であり、かつ第1の回転軸RA1は、第1のツールサブアッセンブリをある形状に折りたためることによって第1のツールサブアッセンブリが第2のツールサブアッセンブリへ付着されたままとなりかつ第2のツールサブアッセンブリと略平行に配置され、かつ第1のツールサブアッセンブリの内面が第2のツールサブアッセンブリの内面に対向する関係性(たとえば、
図14~
図19の折りたたまれた形状のマルチツールデバイス100参照)で配置される既定の間隔(たとえば、8.73ミリメートル)で第2の回転軸RA2から離隔される、ヒンジ部材10と、を備えることが分かる。後にさらに詳述するように、ヒンジ部材10は、効果的には、第1および第2のツールサブアッセンブリ間の分離可能な蝶番動作を可能にする(たとえば、
図5~
図7参照)。
【0040】
図5および
図9に示すように、第1のツールサブアッセンブリは、折りたたみプライヤ、折りたたみナイフ刃34、折りたたみ金属鋸刃38および折りたたみ木工鋸刃40などの複数のツール部材を備える。同様に、第2のツールサブアッセンブリも、先に述べた開端レンチ機構およびドライバビット延長部58(たとえば、1/4インチ六角駆動ビット延長部)などの複数のツール部材を備える。代替実施形態において、第1のツールサブアッセンブリは、多目的の折りたたみプライヤを組み込む代わりに、はさみ、手ばさみ、フェンシングプライヤ、他を含んでもよい。
図14および
図21に最もよく示されているように、第1のツールサブアッセンブリは、マルチツールデバイス100のユーザがナイフ刃34によって不注意に切られることを防止するように、折りたたみナイフ刃34がその格納状態にあるとき(
図21参照)に折りたたみナイフ刃34の鋭い刃先を覆うための成形カバー28を備える。ナイフを使用する準備ができると、ユーザは、ナイフ刃のピボットボルト50を中心にナイフ刃34を約180度、ナイフ刃34がその展開状態(
図20参照)になるまで回転させる。
図25の分解図に示すように、ナイフ刃ピボットサブアッセンブリは、さらに、ナイフ刃ピボットボルト50の周りに配置される関連のナイフ刃ワッシャ部材36と、第1のツールサブアッセンブリの反対側の、ナイフ刃ピボットボルト50にねじ式に係合する相補的なねじ締結具56と、折りたたみナイフ刃34を取り付けるためのねじバレルを形成するバレル部材54とを備える(
図25参照)。
【0041】
図1、
図3および
図6を参照すると、例示的な実施形態において、第2のツールサブアッセンブリのレンチ部分フレーム12は、対向して配置される1対の締結具部材52によってヒンジ部材10へ接合されることが分かる。
【0042】
次に、
図5~
図7を参照して、第1のツールサブアッセンブリ上の折りたたみプライヤについて説明する。まず、
図5に示すように、折りたたみプライヤは、第1のハンドル端と、プライヤヘッドが第1のハンドル端の反対側に配置されている第2のヘッド端とを有する。折りたたみプライヤの第1のハンドル端は、1対の離隔された開口またはリセス84、86を備える(
図5参照)。離隔された開口またはリセス対84、86のうちの第1の開口またはリセス84は、折りたたみプライヤの第1のハンドル部分20上に配置され、かつ離隔された開口またはリセス84、86のうちの第2の開口またはリセス86は、折りたたみプライヤの第2のハンドル部分22上に配置される。離隔された開口またはリセス対84、86は、(たとえば、
図1に示すように)折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分20、22の閉位置において互いに同一直線上にあるように構成される。再び
図5を参照すると、マルチツールデバイス100のヒンジ部材10は、さらに、ヒンジ部材10の第1の回転軸RA1に沿って配置される、(たとえば、
図1に示すように)第1のツールサブアッセンブリが第2のツールサブアッセンブリと係合されると離隔された開口84、86の各々に受け入れられるように構成される1対の共線的ポスト15、17を備えることが分かる。
【0043】
図5~
図7に示すように、第1のツールサブアッセンブリは、折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分20、22上の離隔された開口またはリセス84、86の各々からヒンジ部材10の共線的ポスト対15、17の係合を解除することによって、第2のツールサブアッセンブリから分離されるように構成される。逆に、第1のツールサブアッセンブリは、折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分20、22上の離隔された開口またはリセス84、86をヒンジ部材10の共線的ポスト15、17のうちの個々のポストと係合させ、かつ折りたたみプライヤの第2のヘッド端におけるプライヤヘッドを用いて折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分20、22を互いに対して所定位置にロックすることにより、第2のツールサブアッセンブリへ取り付けられるように構成される。プライヤヘッドが回転して、折りたたみプライヤの第1および第2のハンドル部分20、22が互いに対して所定の位置にロックされると、第1のツールサブアッセンブリは、ヒンジ部材10の第1の回転軸RA1を中心とする回転を拘束される。次に、第1および第2のツールサブアッセンブリは、その個々の拘束軸(すなわち、RA1およびRA2)を中心にして独立的に、共線的位置(たとえば、
図1および
図13参照)、いずれかの極値におけるオフセットされた平行位置(たとえば、
図14~
図17参照)、またはあらゆる中間位置へと回転されてもよい。また、第1および第2のツールサブアッセンブリとヒンジとのインタフェースも、それらの軸を中心とする回転を所望されるあらゆる形に制限するための回転ロック機構または回転停止装置を有してもよい。たとえば、この例示的な実施形態において、第1のツールサブアッセンブリ(たとえば、プライヤである半分)は、停止装置によりヒンジ10に対して90~180度の範囲に拘束され、かつ第2のツールサブアッセンブリ(たとえば、レンチである半分)は、90度および180度でロック可能である。
【0044】
図示の実施形態において、第1のツールサブアッセンブリ、第2のツールサブアッセンブリおよびヒンジ部材10のうちの少なくとも1つは、さらに、第1のツールサブアッセンブリの第2のツールサブアッセンブリに対する回転を拘束する回転制限部材42、46を備える。たとえば、例示する実施形態において、
図1は、レンチ部分のフレーム12から突き出る平らなピボットヒンジロック42のサムスタッドを示している。平らなピボットヒンジロック42は、ヒンジ部材10内のチャネルに嵌まり、ヒンジ10とレンチツールである半分との間の回転を制限するためにレンチツールである半分へ回転可能に固定される。内部的には、
図3および
図9において、平らなピボットヒンジロック42は、平らなピボットヒンジロック42をレンチツールである半分とヒンジ10との間の回転軸に平行なヒンジチャネルとの係合へと付勢する片持ちばね46にもたれていることが分かる(すなわち、ばね46は、平らなピボットヒンジロック42をヒンジチャネル内の着座位置へと付勢する)。もう一方のツールである半分は、成形ナイフカバー28およびヒンジ部材の幾何学形状に依存する。ヒンジ10に隣接する成形ナイフカバー28の端は、展開位置においてヒンジ部材10の突出面に接触し(
図22参照)、過剰回旋を制止する。マルチツールデバイス100の幾何学形状は、プライヤを含むツール半分が、それ自体の折りたたまれた形状にあるときに、その端でヒンジ部材10の1つの軸を中心とする回転を拘束され、かつその展開時に拘束から解放される類のものである。
【0045】
この例示的な実施形態では、
図1、
図5および
図25を参照すると、折りたたみプライヤの第2のハンドル部分22が、折りたたみ金属鋸刃38および折りたたみ木工鋸刃40を内部に収容して備えることが分かる。加えて、
図25に示すように、第2のハンドル部分22は、さらに、突き錐とやすりのコンビ30を内部に収容して備えてもよい。また、
図25に示すように、第2のハンドル部分22は、さらに、ヒンジ部材10の共線的ポスト17の端部分を受け入れるための、第2のハンドル部分22内でヒンジ部材10に最も近い第2のハンドル部分22の端に配置されるピボットインサート部材24を備えてもよい。突き錐とやすりのコンビ30、折りたたみ金属鋸刃38および折りたたみ木工鋸刃40は、締結具部材62を中心にして回転する。ワッシャ部材32は、折りたたみ鋸刃38、40の軸受けピボットとして機能する。
【0046】
再び
図5~
図7および
図9を参照すると、ヒンジ部材10は、さらに、第1の面と、第1の面の反対側に配置される第2の面とを備えることが分かる。この例示的な実施形態において、ヒンジ部材10の第1の外面には、締結具駆動部材(たとえば、ドライバビット延長部58の端部分)を受け入れるために内部に形成される六角リセス11(たとえば、1/4インチの六角リセス)が備わっている。すなわち、ヒンジ部材10内のリセス11は、締結具にトルクを印加するための締結具駆動部材を受け入れるように構成される。
図9、
図19および
図21に示すように、この例示的な実施形態において、六角リセス11は、第1のツールサブアッセンブリの内面が第2のツールサブアッセンブリの内面へ折りたたまれると、六角リセス11の長手軸LA1(
図21参照)がマルチツールデバイス100の中心軸に略一致するように、実質的にヒンジ部材10の中心に置かれる。ある代替実施形態において、ヒンジ部材10の第2の面には、第1の面ではなく第2の面内に形成されるドライバリセスが備わってもよい。また、別の代替実施形態において、ヒンジ部材10の第1および第2の面の各々には、個々の締結具駆動部材を受け入れるために内部に形成されるドライバリセスが備わってもよい。
【0047】
この例示的な実施形態に示されている1/4インチの六角リセスの代わりに、またはこれに加えて、ヒンジ部材10の面には、1/4インチの方形ボス、他などの他の駆動に適する幾何学形状が備わってもよい。駆動用幾何学形状は、人間工学を最大限にすべく、折りたたまれたツールの中心軸の真ん中に置かれる場合もあれば、人間工学をやや低減させて、複数の幾何学形状が1つの面上に存在する場合もある。効果的には、折りたたまれたツールの外部体積にヒンジの両側を提示できるようにする蝶番動作の能力は、2つの駆動用幾何学形状がツールの中心軸上でヒンジ10の片側に1つずつ具現されることをも可能にする。
【0048】
マルチツールデバイス100のこれまでに述べた分離可能なヒンジの構造および機能が多くの特徴および利点を提供することは、容易に明らかである。第1に、マルチツールデバイス100の分離可能なヒンジ構成は、効果的には、様々なツールから成るモジュール式である半分をペアにすることを通して、マルチツールデバイス100のユーザカスタマイズを可能にする。第2に、第1および第2のツールサブアッセンブリが接合されると、一方のツール半分を用いて、これとペアにされたツールの有効レバー長さを延長することができる。これは、ペアにされるツールが主としてレンチまたはバールなどのトルクデバイスとして使用される場合に特に有益であり、またはその他、使用に際して追加される長さの恩恵を受ける。第3に、本ツールは、2つのツール半分を互いに対して135度に配向して鋸ハンドルの近接性を形成するといった特定のタスクを支援するように構成されることが可能であり、または、2つの半分は、新しい、両手用の強化されたナイフ用カットグリップ、他を可能にすべく互いに対して90度でロックされてもよい。第4に、この幾何学形状は、(たとえば、
図21に示すような)折りたたみモードにおいて、締結具の回転駆動軸をツールの中心軸に、または中心軸の近くに置き、駆動に関して優れた人間工学を提供する。第5に、ツールは、全長時に締結具の駆動軸を長さの中心に、またはその近くに置き、ツールを(たとえば、
図22に示すような)Tハンドルドライバとして使用できるようにする。第6に、(たとえば、
図23に示すように)一方のツール半分が取り外されても、ヒンジ10は、なおもあらゆる角度でドライバ機能を提供することができ、連結された残りのツール半分とヒンジ10とがなおもねじ回しとして、または直角ドライバとして機能することを可能にする。第7に、ツールの半分が取り外された状態で、これは、もう一方の半分と連動して動作することができる。この場合、レンチまたはねじ回しは、プライヤと連動して動作することができる。たとえば、レンチは、プライヤがボルト頭を保持している間にナットを回すことができる。第8に、ツールの折りたたまれる性質を所与として、ツールを閉位置に固定する方法(たとえば、ロック、磁石、他)は、ツールをポケットまたはベルトの上に留めて持ち運べるようにする。1つまたは複数の実施形態において、マルチツールデバイス100には、デバイス100が磁性金属材料から製造されていれば、デバイス100を閉位置(すなわち、折りたたまれた状態)に保持するための磁石60(
図25参照)が備わってもよい。第9に、実施形態によっては、2つのツール半分は、洗浄のために互いに取り外して使用されることが可能である。第10として、本明細書に記述するマルチツールデバイス100は、効果的には、複数のツールのコンパクトで簡便な持ち運びを可能にする。
【0049】
次に、再び
図5~
図7を参照して、マルチツールデバイス100の第1のツールサブアッセンブリにおける折りたたみプライヤについてさらに説明する。先に説明したように、1対の折りたたみプライヤは、プライヤハンドル本体部分と、プライヤハンドル部分に連結されるプライヤヘッド部分とを含む(
図5参照)。プライヤハンドル本体部分は、第1のハンドル部材20と、第2のハンドル部材22とを含む。プライヤヘッド部分は、爪回転軸RA3を中心にして第2の爪部材27へ旋回可能に連結される第1の爪部材26を含む(
図5参照)。この例示的な実施形態において、プライヤヘッド部分は、プライヤハンドル本体部分内へ折りたたみプライヤの収納形状で折りたたまれるように構成される。第1および第2の爪部材26、27は、各々、プライヤにより操作される物体に係合するための第1の端と、個々の第1および第2のハンドル部材20、22へ旋回可能に連結される反対側に配置される第2の端とを有する。第1および第2の爪部材26、27の第2の端は、個々の第1および第2のハンドル部材20、22に対し個々の回転軸RA4、RA5を中心にして旋回するように構成される。
図1に示すように、この例示的な実施形態において、第1の爪部材26は、第1のハンドル部材20へ締結具部材64(たとえば、超薄型肩付きねじ)によって旋回可能に連結され、一方で、第2の爪部材27は、第2のハンドル部材22へ締結具部材62(たとえば、超薄型肩付きねじ)によって旋回可能に連結される。第1および第2の爪部材26、27は、爪部材26、27が爪回転軸RA3(
図5参照)を中心にして回転できるように、プライヤピボットリベット66によって互いに旋回可能に連結される。
【0050】
図5および
図13を併せて参照すると、この例示的な実施形態において、第2のハンドル部材22は、第1のハンドル部材20に対し、爪回転軸RA3を中心にして折りたたみ可能であり、折りたたみプライヤの(たとえば、
図5~
図7に示すような)動作可能な展開状態、および折りたたみプライヤの(たとえば、
図13に示すような)動作不能な折りたたまれた状態が画定されることが分かる。折りたたみプライヤが(
図13に示すように)折りたたまれた状態にあるとき、第1および第2の爪部材26、27の第2の端がそれらを中心にして個々の第1および第2のハンドル部材20、22に対して旋回するように構成される回転軸RA4、RA5は、互いに同一直線上にある。
図5~
図7に示すように、第1および第2のハンドル部材20、22は、第1および第2の爪部材26、27の第2の端で第1および第2の爪部材26、27の外面へ旋回可能に連結される。折りたたみプライヤが折りたたまれた(すなわち、
図13に示すような)状態にあるとき、第1および第2のハンドル部材20、22は、概して、互いに平行に配置される。また、プライヤヘッド部分が
図13に示すようにプライヤハンドル本体部分に折りたたまれると、第1および第2のハンドル部材20、22は、折りたたまれた状態にロックされる。
【0051】
この例示的な実施形態では、
図5を参照すると、第1のハンドル部材20が、その内部に形成される、第1および第2の爪部材26、27を閉位置に固定するようにプライヤヘッド部分の先端を受け入れるためのノッチ88を備えることが分かる。プライヤの爪26、27が閉じられ、ハンドル20、22の内面の間に入ってハンドル20、22の上面および底面と同一平面となるような位置まで回転されると、プライヤの先端は、回転してハンドル20の幾何学形状における対応するノッチ88に入り、プライヤヘッドの開放が拘束される。次いで、これにより、こうして拘束されたプライヤハンドル20、22が、双軸ヒンジ上の対応する幾何学形状内に位置づけられる場合の所定位置にロックされる。これにより、第1のツールサブアッセンブリ(すなわち、第1のツール半分)をツール全体の一体部分として、延長レバー、ハンドル、他に使用できるようになる。閉止時にヒンジと繋がり合う嵌合幾何学形状が存在し、かつ両ハンドルをヒンジ上に拘束するための方法が採用されていれば、ツール半分の他の代替実施形態が、他の用途用に、異なる配向の軸上で折りたたまれる可能性もある。
【0052】
マルチツールデバイス100の折りたたみ式ロッキングプライヤのこれまでに述べた革新的設計が多くの特徴および利点を提供することは、容易に明らかである。第1に、折りたたみ式ロッキングプライヤは、コンパクトであって、マルチツールデバイス100の全体的な小型性に寄与する。第2に、折りたたみ式ロッキングプライヤの設計は、効果的には、一部のハンドル表面が、内部のより小さいコンポーネントを拘束するために、異なる形状の他の表面に隣接することを可能にする。第3に、折りたたみ式ロッキングプライヤの設計は、プライヤヘッドがハンドルに対して様々な角度で使用されることを可能にする。第4に、折りたたみ式ロッキングプライヤの設計は、ツールの半分がてこ、他のためにツール全体の延長部として使用されることを可能にする。第5に、折りたたみ式ロッキングプライヤの設計は、ツール半分のロックをツール全体へ一体化して使用法および製造を単純にする。
【0053】
次に、
図1、
図15、
図16および
図24を参照して、例示的な実施形態によるマルチツールデバイス100のドライバビット延長部保持部分を説明する。ドライバビット延長部保持部分は、マルチツールデバイス100のツール本体部分に設けられる。具体的には、この例示的な実施形態において、ドライバビット延長部保持部分は、第2のツールサブアッセンブリ上へ開端レンチ機構に隣接して設けられる(
図15参照)。
図15および
図24に示すように、ドライバビット延長部保持部分は、概して、(i)ツール本体部分により形成されるドライバビット延長部クレードル90であって(すなわち、第2のツールサブアッセンブリがその中に形成されたキャビティまたはリセスを備え)、(
図15に示すような)ドライバビット延長部58の一部分を受け入れるように構成されるドライバビット延長部クレードル90と、ドライバビット延長部58をドライバビット延長部クレードル90(
図24参照)内に保持するように構成される保持部材44とを備え、該保持部材44は、ドライバビット延長部58の長さの一部分に沿って延びかつドライバビット延長部58の円周部分に外接するように構成される(
図15および
図16参照)。この例示的な実施形態において、ドライバビット延長部クレードル90は、ドライバビット延長部58を抱えるに足る受容的な幾何学形状を有する。たとえば、
図24に示すように、第1のカバー部材14のフランジ部分96および第2のカバー部材16のフランジ部分98は、ドライバビット延長部58によるクレードル効果のための側軸受け面を形成する。同じく
図24に示すように、クレードル90は、第1および第2のカバー部材14、16のフランジ部分96、98の間に配置される床を有する。
【0054】
この例示的な実施形態において、ドライバビット延長部保持部分の保持部材44は、ドライバビット延長部58をドライバビット延長部クレードル90内へ導く、ドライバビット延長部58に保持力を加えるように構成される片持ち式カラビナ型ばね部材の形態である(
図15および
図24参照)。
図15に示すように、片持ちばね部材44は、長手方向に延びる部分92と、ドライバビット延長部58の円周部分を囲むように構成される下向きに曲がった半円部分94とを備える。
【0055】
図1および
図21の例示的な実施形態に示すように、折りたたみプライヤの第1のハンドル部分20は、内部に形成される、複数のビット部材70を受け入れるための(たとえば、4つのシングルエンド・クォータービットを受け入れるための)ビット格納キャビティを備える。ビット格納キャビティの底壁には、内部に形成される、ビット部材70を摩擦嵌合タイプの係合で受け入れるための複数のビットリセス21が備わっている(
図1参照)。
【0056】
片持ちばね部材44の下向きに曲がった半円部分94は、ドライバビット延長部58へ保持力を印加するように構成される。この例示的な実施形態において、ばね44の下向きに曲がった半円部分94は、それがドライバビット延長部の丸い部分ないしは断面を捉えるためにばね44の長さに垂直な平面に押さえつけられる、ドライバビット延長部58の外径に等しい、または該外径に幾分かの公差を与えている内半径を有する。ばね44の下向きに曲がった半円部分94は、ドライバビット延長部へ捕捉力を印加する。クレードルの幾何学形状は、ドライバビット延長部によるばね44の下からその大きい方の径部分の方向への滑動を阻止するための停止装置となり、かつばね44の下向きに曲がった半円部分94も、反対方向へ滑動するために同じ機能を果たす。ドライバビット延長部58の大きい方の径部分は、把持されかつクレードルの幾何学形状から離れる法線方向へ引っ張られてもよい。この力により、ばね44は、その反対側の端を中心にして上へ回転し、変形して開く。ドライバビット延長部58は、ばね44に抗して、ある定位に到達するほど十分に回転することができ、よって、クレードル幾何学形状の停止装置を越えて滑動される。ドライバビット延長部58は、この定位においてホルダから軸方向へ離脱されることが可能であり、ばね44は、この時点で空であるその静止位置へ戻る。ドライバビット延長部58のホルダ内への据付けは、この手順の逆で行なう。
【0057】
マルチツールデバイス100のドライバビット延長部保持部分のこれまでに述べた革新的設計が多くの特徴および利点を提供することは、容易に明らかである。第1に、ドライバビット延長部保持部分は、ドライバビット延長部58の信頼できる保持を提供する。第2に、マルチツールデバイス100のドライバビット延長部保持部分は、ドライバビット延長部58の片手による容易な挿入および取り外しを可能にする。第3に、ドライバビット延長部保持部分は、必要であれば、ばね44の容易な交換を可能にする。第4に、ドライバビット延長部保持部分のクレードルの幾何学形状は、ツールの形態へ直に統合されることが可能であり、部品数が減りかつ製造が容易になる。
【0058】
図26および
図27は、内爪18が本明細書に記述する主たる実施形態と全く同様に機能する二重ばねレンチの実施形態を示す。外爪部材12は、ピン206を介して蝶番式に連接されかつここでは平坦な片持ちばね208によって具現されているばねにより付勢されて閉じられている第1および第2の外爪部分202、204(集合的に付加物と称する)を備える。他のタイプのばねも実現可能であることは、理解されるべきである。
【0059】
第1の外爪部分202は、閉位置での移動を制限してレンチフレーム部材12の第1の軸受け面78および内爪部材18の第2の軸受け面80と共に垂直の軸受け面を確立する停止装置210を含む。これは、ツールの適用を単純化する上で望ましい。この停止位置において、軸受け面は、ヒンジ軸に垂直であり、付加物は、2つの力部材として作用し、すなわち回転安定性および耐滑動性がある。内爪18は、記述通りにロックされて外爪部材12と組み合わされ、双方が共に、ハンドルへ印加されるトルクを伝達する。ツールが反転すると、反力によって内爪のロックが解除され、内爪がカム動作する準備が整って、第2の外爪部分204(別名、外側フィンガ)が締結具面からの反力により自由に回転されて開き、同じくカム動作する。自己調整およびラチェッティングが、広範囲で達成される。
【0060】
図28は、内爪ピボット76がもはや円形ではなく、回転制限停止装置82まで回転された際のチャネル内のスリップフィットに等しい断面幅で突き出ているカムロックレンチの実施形態を示す。締結具からの反力によりフレームに向かって(すなわち、第1の軸受け面78に向かって)回転されると、作用線に沿って互いからオフセットされた、ピボット76上の2点(第1および第2の点)212、214は、チャネルの内面と接触してこれらの内面に対してくさび止めされる。垂直な反力からの摩擦により、チャネルの作用線上の爪の移動が阻止され、トルクの締結具への伝達が可能となる。対向するラックギヤ歯は、省かれていて、爪は、そのレンジ上のどの位置でも停止されることが可能であり、ギヤ歯で達成される離散位置とは対照的な無限の調整が生み出される。
【0061】
図29は、線形滑りを実行するフレーム上のスリーブ216を介して一次運動学が達成される、リニアシャフトレンチの一実施形態を示す。内爪18は、218でスリーブへ旋回可能に連結される。爪のフレームに隣接する側は、ヒンジ中心とフレーム面との距離に等しい半径のフィレットにより所望される回転レンジを表す角度で接合される2つの平坦なファセット(第1および第2のファセット)220、222で構成される。こうして爪は、線形滑りのレンジ上で、設定された均一のヒンジ-フレーム間距離に拘束される。内爪は、2つのファセット220、222により設定されるレンジである2つの設定角度間で自由に回転し、回転レンジの最大値および最小値で交互にフレームへ接触する。ロックおよびラチェッティングの運動学に必要な回転制限は、こうして達成される。滑りおよび爪アッセンブリは、先に述べた運動学の主要な実施形態と同等のばね224のあらゆる十分な幾何学形状によって、爪の閉位置へと付勢される。
【0062】
図30は、線形滑りを実行するフレーム上のスリーブ225を介して一次運動学が達成される、カムラップレンチの一実施形態を示す。内爪18は、227でスリーブへ堅固に固定されている。爪のフレームに隣接する側は、ヒンジ中心とフレーム面との距離に等しい半径のフィレットにより所望される回転レンジを表す角度で接合される2つの平坦なファセット229、231で構成される。回転の開放限界を表す停止面は、平行かつスリーブの反対側の内面から一定の距離で固定される。開位置にあるとき、爪アッセンブリは、フレーム上を自由に滑動する。トルクによる締結具上の反力によって閉位置へ付勢されると、スリーブの内面は、先に述べた爪のフィレット半径がそうであるように、フレームへ押しやられて接触する。これらの反力から結果的に生じる摩擦は、爪を拘束し、よってトルクが伝達され得る。この実施形態では、ギヤ歯が省かれる。
【0063】
図31および
図32は、線形滑りを実行するフレーム上のスリーブ235を介して修正された運動学が達成される、可変レンジレンチの一実施形態を示す。内爪18は、スリーブへ堅固に固定されている。爪のフレームに隣接する側は、1つの平坦なファセット234で構成される。このファセットは、フレーム内面に平行であり、スリーブ開口の幅により接触状態に保たれる。スリーブは、歯238を有するスリーブロック部材236を含む、線形移動を阻止するロックにより、フレーム上のその移動レンジ上の離散位置においてロック可能である。外爪部材12は、先の実施形態で説明したように、ヒンジで留められてばねで付勢される。ばね付勢式の可動性外爪のみを備えるレンチのレンジは、限定的であるが、このレンジ自体は、ロック可能な可動性内爪でより大きくも小さくもオフセットされることが可能である。
【0064】
図33および
図34A~
図34Cは、キー付き定張力ピボットの一実施形態を示し、このピボットアッセンブリは、溝付きの円形開口/穴を備えるプライヤフレームハンドルと、溝付き雌ねじピボットバレル250と、ねじ252と、2つの軸受けワッシャ254、256と、キーとして機能する、ある長さの方形ワイヤ258と、刃260とから成る。フレーム開口およびバレルの溝は、締結具の挿入軸と位置合わせされる。溝は、ワイヤ断面の半分を表し、位置合わせされると、ワイヤのキー溝となる。ワイヤを挿入すると、ピボットバレルによるそのリセス内の回転が防止される。対応するねじは、フレーム開口のショルダ上に存在し、ピボットバレルの親ねじとして機能する。この構成では、ピボットは、回転し得ず、刃を開くには、刃の方がバレルと相対的に回転しなければならない。この回転は、締結具へ伝達され得ず、締結具は、累積的に、設定されたピボット張力を緩ませる結果となる交互的な動きに曝されない。ピボットは、万力/クランプに似たものとなり、よって、ユーザは、好みのオープン行動に合わせて、好ましい摩擦を半永久的に設定することができる。
【0065】
これまでに述べた実施形態および変形例の特徴または属性はいずれも、所望に応じて、これまでに述べた実施形態および変形例の他の特徴および属性のいずれかと組み合わせて使用されることが可能である。
【0066】
本発明を所定の1つまたは複数の実施形態に関連して示しかつ説明したが、本発明を多くの異なる形態で具現できること、および本発明の精神および範囲を逸脱することなく他の多くの改変および変形が可能であることは、明らかである。
【0067】
さらに、本明細書では、例示的な実施形態を説明したが、当業者には、これまでに述べた例示的な実施形態が元来単に例示であって、いかなる形であれ特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきでないことが容易に認識されるであろう。本発明の範囲は、逆に、前述の明細書本文ではなく、添付の特許請求の範囲およびその同等物によってのみ規定される。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開端レンチ機構を備え、前記開端レンチ機構は、
前記開端レンチ機構の外爪部分を画定するレンチフレーム部材と、
前記レンチフレーム部材へスリーブによって変位可能に連結される内爪部材であって、前記内爪部材は、前記スリーブへ旋回可能に連接され、前記スリーブは、前記外爪部分へ滑動可能に連結される、内爪部材と、かつ、
ばねであって、前記ばねは、第1の端で前記外爪部分へ連接され、かつ第2の端で前記スリーブへ連接され、これにより、前記スリーブおよび内爪部分は、閉位置へと付勢される、ばねと、
前記内爪部材の一部分に配置される2つ以上の歯であって、前記歯は、ロック位置において、前記外爪部材の一部分に配置される2つ以上の歯に協働して係合するように適合化される、前記内爪部材の一部分に配置される2つ以上の歯と、を含み、
前記レンチフレーム部材の外爪部分は、ユーザが前記開端レンチ機構に力を加えると、前記内爪部材と協働して、前記開端レンチ機構に締結具へトルクを印加させるように構成される、
マルチツールデバイス。
【請求項2】
開端レンチ機構を備え、前記開端レンチ機構は、
前記開端レンチ機構の外爪部分を画定するレンチフレーム部材と、
前記レンチフレーム部材へスリーブによって変位可能に連結される内爪部材であって、前記内爪部材は、前記スリーブへ固定的に連接され、前記スリーブは、前記外爪部分へ滑動可能に連結される、内爪部材と、かつ、
ばねであって、前記ばねは、第1の端で前記外爪部分へ連接され、かつ第2の端で前記スリーブへ連接され、これにより、前記スリーブおよび内爪部分は、閉位置へと付勢され、
さらに、これにより、前記スリーブおよび内爪部分は、前記レンチフレーム部材に対し、開位置と閉位置との間で回転するように適合化され、前記スリーブおよび内爪部分は、前記閉位置において、前記レンチフレーム部材に対する長手方向移動を制限される、ばねと、を含み、
前記レンチフレーム部材の外爪部分は、ユーザが前記開端レンチ機構に力を加えると、前記内爪部材と協働して、前記開端レンチ機構に締結具へトルクを印加させるように構成される、マルチツールデバイス。
【請求項3】
開端レンチ機構を備え、前記開端レンチ機構は、
前記開端レンチ機構の外爪部分を画定するレンチフレーム部材と、
前記レンチフレーム部材へスリーブによって変位可能に連結される内爪部材であって、前記内爪部材は、前記スリーブへ固定的に連接され、前記スリーブは、前記外爪部分へ滑動可能に連結され、
前記スリーブは、線形移動を阻止するロックにより、前記レンチフレーム部材に沿った移動レンジにおける離散位置においてロック可能である、内爪部材と、を含み、
前記レンチフレーム部材の外爪部分は、ユーザが前記開端レンチ機構に力を加えると、前記内爪部材と協働して、前記開端レンチ機構に締結具へトルクを印加させるように構成される、マルチツールデバイス。
【請求項4】
前記外爪部分は、ピンを介して蝶番式に連接されかつばねにより閉位置へと付勢される第1および第2の外爪部分を備え、
前記第1の外爪部分は、前記第2の外爪部分の前記閉位置への移動を制限する停止装置を有する、請求項3に記載のマルチツールデバイス。