(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119976
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】農業用製品のための界面活性剤
(51)【国際特許分類】
A01N 25/30 20060101AFI20240827BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240827BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20240827BHJP
A01P 7/04 20060101ALI20240827BHJP
C09K 23/18 20220101ALI20240827BHJP
C09K 23/16 20220101ALI20240827BHJP
【FI】
A01N25/30
A01P3/00
A01P13/00
A01P7/04
C09K23/18
C09K23/16
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096460
(22)【出願日】2024-06-14
(62)【分割の表示】P 2022554761の分割
【原出願日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】62/988,203
(32)【優先日】2020-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517213094
【氏名又は名称】アドバンシックス・レジンズ・アンド・ケミカルズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ADVANSIX RESINS & CHEMICALS LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】アシルバサム,エドワード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】界面活性剤を含む、農業用製品の製剤を提供する。
【解決手段】農薬、植物成長調整剤、殺菌剤、除草剤、及び殺虫剤などの農業用製品が、表面活性特性を有するアミノ酸の誘導体などの1又は複数種類の界面活性剤クラスからの1又は複数の界面活性剤を含むように製剤され得る。界面活性剤は、以下の式Iの少なくとも1つである。
(R
1及びR
2は、独立に、H又は置換されていてよいC
1~C
6アルキル;nは、5;mは、9~20の整数;末端NはR
3でさらに置換されてもよく、R
3は、置換されていてよいC
1~C
6アルキル)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農薬のための製剤であって:
式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【化1】
式中、R
1及びR
2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択されてよく、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;
nは、5であり;
mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);
前記末端窒素はR
3でさらに置換されてもよく、この場合R
3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択され、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;
所望に応じて存在してよく、存在する場合、水酸化物イオンである前記化合物に付随する対イオン;及び
農薬、
を含む、製剤。
【請求項2】
水不溶性溶媒をさらに含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記農薬が、殺虫剤である、請求項1又は請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
消泡剤をさらに含む、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
凍結防止剤をさらに含む、請求項3又は請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
水をさらに含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記界面活性剤が、以下の式:
【化2】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化3】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
及び
これらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
殺菌剤のための製剤であって:
式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【化4】
式中、R
1及びR
2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択されてよく、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;
nは、5であり;
mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);
前記末端窒素はR
3でさらに置換されてもよく、この場合R
3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択され、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;
所望に応じて存在してよく、存在する場合、水酸化物イオンである前記化合物に付随する対イオン;及び
殺菌剤、
を含む、製剤。
【請求項9】
共界面活性剤をさらに含む、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
キャリア剤をさらに含む、請求項8又は請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
前記界面活性剤が、以下の式:
【化5】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化6】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
及び
これらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
除草剤のための製剤であって:
式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【化7】
式中、R
1及びR
2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択されてよく、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;
nは、5であり;
mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);
前記末端窒素はR
3でさらに置換されてもよく、この場合R
3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC
1~C
6アルキルから成る群より選択され、前記C
1~C
6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;
所望に応じて存在してよく、存在する場合、水酸化物イオンである前記化合物に付随する対イオン;及び
除草剤、
を含む、製剤。
【請求項13】
第二の除草剤をさらに含む、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
水不溶性溶媒をさらに含む、請求項12又は請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
水をさらに含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
前記界面活性剤が、
以下の式:
【化8】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【化9】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
及び
これらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む、請求項12~15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
mが11である、請求項1に記載の製剤。
【請求項18】
mが11である、請求項8に記載の製剤。
【請求項19】
mが11である、請求項12に記載の製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に援用される2020年3月11日に出願された米国仮特許出願第62/988,203号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、農業用製品における使用のための界面活性剤に関する。そのような界面活性剤は、表面活性特性を有するアミノ酸の誘導体を含み得る。
【背景技術】
【0003】
界面活性剤(表面活性特性を有する分子)は、市販の農業用製剤に広く用いられている。これらの製剤は、農薬、植物成長調整剤、殺菌剤、除草剤、及び殺虫剤などの様々な活性農業用薬剤を含み得る。多くのそのような活性農業用薬剤は、限定的な水溶性を呈する、又は結晶化しやすい場合がある。活性農業用薬剤の析出は、効果を喪失させる結果となり得る。活性薬剤が析出物中に濃縮された場合、圃場への散布時に均一な分布が阻害される。したがって、活性薬剤の溶解性、濡れ性、及び展着性を改善するために、製剤中に界面活性剤が含まれ得る。
【0004】
界面活性剤は、非イオン性、双性イオン性、カチオン性、又はアニオン性であり得る。原理上は、いかなる界面活性剤のクラス(例:カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性)も適するものであるが、製剤が、2種類以上の界面活性剤クラスからの2つ以上の界面活性剤の組み合わせを含み得ることも可能である。
【0005】
多くの場合、界面活性剤は、相対的に非水溶性の疎水性「尾部」基及び相対的に水溶性の親水性「頭部」基を有する両親媒性分子である。これらの化合物は、2つの液体間、気液間、又は固液間の界面などの界面で吸着し得る。相対的に極性の成分と相対的に非極性の成分とを含む系では、疎水性の尾部は、相対的に非極性の成分と選択的に相互作用し、一方親水性の頭部は、相対的に極性の成分と選択的に相互作用する。水と油との間の界面の場合、親水性の頭部基は、選択的に水中へ延び、一方疎水性の尾部は、選択的に油中へ延びる。気水界面に添加されると、親水性の頭部基は、選択的に水中へ延び、一方疎水性の尾部は、選択的に気体中へ延びる。界面活性剤が存在すると、水分子間の分子間相互作用の少なくとも一部が乱され、水分子間の相互作用の少なくとも一部が、水分子の少なくとも一部と界面活性剤との間の一般的にはより弱い相互作用に置き換わる。これは、表面張力を低下させる結果となり、界面を安定化させるようにも働き得る。
【0006】
充分に高い濃度では、界面活性剤は、疎水性の尾部が極性溶媒に曝露することを制限するように作用する凝集体を形成する場合がある。1つのそのような凝集体は、ミセルである。典型的なミセルでは、分子は球状に配列されて、界面活性剤の疎水性の尾部が選択的に球の内側に位置し、界面活性剤の親水性の頭部が選択的にミセルの外側に位置した状態となり、この場合、頭部がより極性の高い溶媒と選択的に相互作用する。任意の化合物が表面張力に対して有する効果及びそれがミセルを形成する濃度は、界面活性剤を規定する特徴として有用であり得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、農薬、植物成長調整剤、殺菌剤、除草剤、及び殺虫剤などの農業用製品の製剤を提供する。これらの製品は、本明細書で開示する1又は複数種類の界面活性剤クラスからの1又は複数の界面活性剤を含むように製剤され得る。界面活性剤は、乳化剤、湿潤剤、分散剤、及び/又は展着性を改善する剤として用いられ得る。加えて、界面活性剤は
、補助剤及び飛散(spin drift)を抑制するための剤としても用いられ得る。
【0008】
本開示は、表面活性特性を有するアミノ酸の誘導体の形態である農業用製品のための界面活性剤を提供する。アミノ酸は、天然若しくは合成アミノ酸であってよい、又はカプロラクタムを例とするラクタムなどの分子の開環反応を介して得られてもよい。アミノ酸は、官能化されて、表面活性特性を有する化合物が形成されてもよい。特徴的なことには、これらの化合物は、低い臨界ミセル濃度(CMC)及び/又は液体の表面張力を低下させる能力を有し得る。
【0009】
本開示は、農薬又は植物成長調整剤のための製剤を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0010】
【0011】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;農薬又は植物成長調整剤;及び水不溶性溶媒、を含む。
【0012】
本開示はさらに、殺菌剤のための製剤を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0013】
【0014】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒ
ドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;所望に応じて存在してよい共界面活性剤、及び溶媒又は固体キャリアなどの所望に応じて存在してよいキャリア剤、を含む。
【0015】
本開示はさらに、除草剤のための製剤を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0016】
【0017】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;1又は複数の除草剤、水不溶性溶媒、及び水、を含む。
【0018】
本開示はさらに、殺虫剤のための製剤を提供し、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0019】
【0020】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、
所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;殺虫剤、所望に応じて存在してよい消泡剤、所望に応じて存在してよい凍結防止剤、及び水、を含む。
【0021】
本開示の上述の及び他の特徴、並びにそれらを達成する方法は、以下の実施形態の記述を添付の図面と合わせて参照することによって、より明らかとなり、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、例1bで述べるように、界面活性剤1についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図2】
図2は、例1cで述べるように、界面活性剤1についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図3】
図3は、例2bで述べるように、界面活性剤2についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図4】
図4は、例2cで述べるように、界面活性剤2についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図5】
図5は、例3bで述べるように、界面活性剤3についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図6】
図6は、例3cで述べるように、界面活性剤3についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図7】
図7は、例4bで述べるように、界面活性剤4についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図8】
図8は、例4cで述べるように、界面活性剤4についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【
図9】
図9は、例5bで述べるように、界面活性剤5についてpH=7で測定した表面張力対濃度のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力(γ)を表し、X軸は、ミリモル(mM)の単位の濃度(c)を表す。
【
図10】
図10は、例5cで述べるように、界面活性剤5についての時間に対する表面張力の変化としての動的表面張力のプロットを示し、Y軸は、ミリニュートン毎メートル(mN/m)の単位の表面張力を表し、X軸は、ミリ秒(ms)の単位の表面経過時間を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本明細書で用いられる場合、「これらの終点を用いたいずれかの範囲内」の句は、文字
通り、値が列挙の低い値の方にあるか、又は列挙の高い値の方にあるかにかかわらず、その句の前に列挙された値のいずれか2つからのいずれの範囲が選択されてもよいことを意味する。例えば、値の対は、低い方の値2つ、高い方の値2つ、又は低い方の値及び高い方の値、から選択されてよい。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」の語は、いずれの飽和炭素鎖をも意味し、直鎖であっても又は分岐鎖であってもよい。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「表面活性」の句は、関連する化合物が、それが少なくとも部分的に溶解されている媒体の表面張力及び/又は他の相との界面張力を低下させることができ、したがって、気液界面及び/又は他の界面に少なくとも部分的に吸着され得ることを意味する。「界面活性剤」の用語は、そのような化合物に適用され得る。
【0026】
不正確さの用語に関して、「約」及び「およそ」の用語は、交換可能に用いられてよく、記載された測定値を含み、その記載された測定値に対して合理的に近いいずれの測定値も含む測定値を意味する。記載された測定値に対して合理的に近い測定値は、該当する技術分野の当業者によって理解され、容易に確認される合理的に小さい量の分、記載された測定値から逸脱している。そのような逸脱は、例えば、測定誤差又は性能を最適化するために成される少しの調整に起因すると考えられ得る。該当する技術分野の当業者によって、そのような合理的に小さい差異に関する値が容易に確認されるものではないと判断される場合には、「約」及び「およそ」の用語は、記載された値のプラス又はマイナス10%を意味するものと理解されてよい。
【0027】
本開示は、農薬、植物成長調整剤、殺菌剤、殺虫剤、及び除草剤などの農業用製品の製剤を提供する。
【0028】
I.農薬及び植物成長調整剤の製剤
農薬などの活性農業用薬剤は、水又は他の適切な媒体でエンドユーザーが希釈してすぐに使用できる希釈製剤とされる様々な濃縮された形態で従来からエンドユーザーに提供されてきた。そのような濃縮された形態は、粉剤を例とする固形製剤及び液体製剤を含む。多くの用途において、毒性粉剤の飛び散りや希釈剤への溶解が遅いことといった問題が回避され得ることから、液体製剤が好まれる。
【0029】
液体濃縮製剤は、いわゆるエマルジョン濃縮物及び可溶性液体濃縮物を含む。エマルジョン濃縮物は、農薬、水不溶性溶媒、及び乳化剤を含み、水に添加されると、自然に又は混合後、農業用活性成分が主としてエマルジョン液滴中に存在する、水中油型エマルジョンを形成する。このタイプの濃縮製剤は、水不溶性である/低水溶性である農業用活性成分に特に適しており、この場合、すぐに使用できる製剤中の推奨される濃度が、農業用活性成分の溶解度を超えている。
【0030】
本開示は、長期間の保存に適すると共に、本明細書で述べる濃縮農薬製剤から調製される農業用製剤を植物と接触させることによって最終的に植物を処理することになるエンドユーザーへの納品に適するものである、高濃度の農業用活性薬剤を有する農薬又は植物成長調整剤の製剤を提供する。
【0031】
本開示の農薬製剤は、農業用活性薬剤(農薬又は植物成長調整剤)、1若しくは複数種類の界面活性剤クラスから選択される1若しくは複数の界面活性剤又は共界面活性剤、及び水不溶性溶媒を含み得る。
【0032】
1.農薬
「農薬」の用語は、本明細書で用いられる場合、本技術分野において公知であり、少なくとも、米国環境保護庁(EPA)により、連邦殺虫剤・殺菌剤・殺鼠剤法(FIFRA)、殺虫剤及び環境面での農薬管理の節(合衆国法典第7編第136条(u))、「環境の保護」に関する連邦規則(CFR)、及び合衆国法典第40編第152.3条のEPA規則に記載されている。農薬は、典型的には、いずれかの有害生物の予防、破壊、忌避、制御、及び/又は軽減のために用いられる物質として本技術分野において認識されている。有害生物とは、人間又は環境に対して有害である生物であるが、それには、生きている人間若しくは他の生きている動物のいずれの内部寄生生物も、又は生きている人間若しくは他の生きている動物の上若しくは中にいるいずれの真菌、細菌、ウィルス、若しくは他の微生物も含まれない。言い換えると、「有害生物」の用語には、典型的には、ヒト又は動物に対して感染又は疾患をもたらすいずれの生物も含まれない。加えて、「農薬」の用語には、本明細書で用いられる場合、典型的には、いずれのヒト若しくは動物用の薬物若しくは医薬も、本技術分野において定められる「新規動物用薬物」であるいずれの物品も、ヒトの体内に用いられるデバイスに適用されるいずれの液体滅菌剤も、及び/又は生きている人間若しくは他の生きている動物の中若しくは上にいる真菌、細菌、ウィルス、若しくは他の微生物に対して用いることを意図するいずれの製品も含まれない。さらに、本開示の農薬には、典型的には、ヒト又は動物(家畜及びペットなど)の疾患を抑制するために用いられる薬物又は医薬も含まれない。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「植物成長調整剤」の用語は、生理学的作用を介して成長の速度若しくは成熟の速度を加速若しくは遅延させる化合物、又はそうでなければ、観賞植物若しくは作物の挙動又はそれらの産物を変化させる化合物を意味する。
【0034】
本発明での使用のために特に考慮される農薬及び植物成長調整剤は、有機化合物、好ましくは合成有機化合物である。適切な農薬及び植物成長調整剤としては、トリアゾール、ストロビルリン、アルキレンビス(ジチオカルバメート)化合物、ベンズイミダゾール、フェノキシカルボン酸、安息香酸、尿素、スルホニル尿素、トリアジン、ピリジンカルボン酸、ネオニコチニド(neonicotinides)、アミジン、有機ホスフェート、及びピレスロイドが挙げられる。農薬は、1g/L以下の水溶解度を有し得る。
【0035】
本開示の濃縮製剤中に、農薬又は植物成長調整剤は、組成物の重量に対して、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、又は約25重量%以下、約30重量%以下、約35重量%以下、約40重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0036】
2.界面活性剤
本開示の農薬製剤は、界面活性剤系とも称される1又は複数の界面活性剤を含む。界面活性剤系は、組成物を乳化するために、及び/又は補助剤として作用するために含まれる。界面活性剤系は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であってよい少なくとも1つの界面活性剤、及び所望に応じて、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせであってよい少なくとも1つの他の界面活性剤を含む。そのような界面活性剤は、本明細書で述べる必須成分と物理的及び化学的に適合性を有するべきであり、又はそうでなければ、製品の安定性、審美性、若しくは性能を過度に損なうべきではない。
【0037】
本開示の農薬製剤での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0038】
【0039】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0040】
特に、適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のいずれか1つ以上を含み得る。
【0041】
農薬製剤中の界面活性剤系の濃度は、組成物の重量に対して、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、又は約50重量%以下、約60重量%以下、約70重量%以下、若しくは約80重量%以下の範囲内、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内であり得る。
【0042】
3.水不溶性溶媒
本開示の農薬製剤は、水不溶性溶媒を含み得る。溶媒は、その水溶解度が、20℃で約10g/1Lの水以下、約5g/1Lの水以下、約1g/1Lの水以下、又は約0.1g/1Lの水以下、である場合に、水不溶性と見なされる。
【0043】
適切な水不溶性溶媒としては、Solvessoの商品名で販売されているものなどの芳香族溶媒、及び少なくとも6個の炭素原子を有する直鎖状又は分岐鎖状で脂肪族又は芳香族の飽和又は不飽和アルコールなどの水不溶性アルコールが挙げられ得る。
【0044】
4.他の添加剤
農薬製剤は、さらなる界面活性剤、水、増粘剤、堆積促進剤、飛散抑制剤、塩、安定剤、浸透剤、展着剤、湿潤剤、ビルダー(building agent)、増量剤、乳化剤、分散剤、懸濁剤、植物浸透剤、トランスロケーター、油、活性化剤、葉面栄養素(foliar nutrients)、相溶化剤、飛散抑止剤、発泡抑止剤、緩衝剤、転相剤(inverting agents)、土壌浸透剤、安定剤、UVフィルター物質、摂食刺激物質、洗浄剤、沈降剤(sinking agents)、バインダー、液体キャリア、アタパルガイト、カオリナイト、バーミキュライト、デンプンポリマー、トウモロコシの穂軸などのドライキャリア、及びこれらの組み合わせ、などの他の添加剤を含み得る。農薬製剤はまた、活性化剤、摂食抑制物質、防汚剤、誘引剤、不妊化剤、消毒剤、燻蒸剤、フェロモン、忌避剤、落葉剤、乾燥剤、昆虫成長調整剤、植物成長調整剤、相乗剤、補助剤、及びこれらの組み合わせなど、農薬ではない追加の化学化合物も含み得る。
【0045】
これらの添加剤は、農薬製剤中に、独立して、約0重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、又は約20重量%以下、約25重量%以下、約30重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0046】
さらなるアニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、及び双性イオン性界面活性剤などのさらなる界面活性剤は、濃縮組成物中に、組成物の重量に対して、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、又は約25重量%以下、約30重量%以下、約35重量%以下、約40重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の濃度で存在し得る。
【0047】
水は、濃縮組成物中に、組成物の重量に対して、約0重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、又は約35重量%以下、約45重量%以下、約55重量%以下、約65重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の濃度で存在し得る。
【0048】
ポリマーは、増粘剤、堆積促進剤、又は飛散抑制剤として濃縮組成物中に含まれ得る。適切なポリマーとしては、ポリサッカリドエーテル及び合成ポリマーが挙げられ得る。
【0049】
ブチルジグリコールなどのグリコールエーテル、N-ホルミル-モルホリン、短鎖脂肪アルコール、炭酸プロピレンなどの水溶性有機溶媒が、最大1:2の水溶性有機溶媒:水不溶性有機溶媒の重量比で、農薬製剤中に存在してもよい。
【0050】
5.作製方法
方法は、界面活性剤系、農薬、及び所望に応じて存在してよい溶媒を組み合わせる工程を含む。この工程は、上記で述べたいずれかの添加剤を添加することも含み得る。上述した成分及び化合物は、全体を一度に又は少しずつを例とする1又は複数の個別の工程で、互いの1又は複数に対していかなる順序で及びいかなる量で添加されてもよい。
【0051】
6.使用方法
本開示の濃縮農薬製剤は、農業的に活性である原料成分が溶解されている、室温及び大気圧で液体の形態であってよい。
【0052】
濃縮農薬製剤は、最終使用の前に、水性媒体、典型的には水道水と混合されることを意図している。濃縮組成物のタンクへの添加は、水性媒体(水)をタンクに添加する前に、添加と同時に、又は添加の後に行われる。濃縮農薬組成物は、それによって、適切な濃度の農業用活性成分に希釈される。
【0053】
本開示の希釈農薬製剤中の水含有量は、希釈組成物の総重量に基づいて、約75重量%以上、約90重量%以上、約99重量%以上、又は約99.9重量%以上であってよく、最終的には、本開示の濃縮農薬製剤中の農業用活性原料成分をすぐに使用できる組成物の所望される濃度に希釈するのに必要とされる水の量に依存する。
【0054】
水性媒体と混合され、希釈されると、農業用活性成分は、溶液又は微細エマルジョンの形態で水性媒体中に均一に分布され、結晶成長をまったく起こすことなく、実質的に希釈することができる。
【0055】
植物の処理は、希釈されたすぐに使用できる農薬製剤で、処理されるべき植物を従来から用いられているいずれかの方法で希釈組成物と接触させることによって行われ得る。本明細書で用いられる場合、「植物」の用語は、地面の上にあって視認可能である植物の茎
、葉、及び果実だけでなく、根、さらには種子も意味する。植物と接触させる活性原料成分の量は、好ましくは、活性原料成分がその駆除活性又は植物成長調整活性を発揮するのに充分な量、すなわち、有効量である。
【0056】
II.殺菌剤製剤
本開示は、殺菌剤の製剤を提供する。殺菌剤製剤は、固体又は液体の形態であってよい。製剤が用いられ得る対象の真菌としては:担子菌類(Basidiomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、アダロミセテス(Adalomycetes)、又は不完全菌類の真菌、特にヘイファ
ース(heifers)、オイジウム(oidia)、眼紋病(eyespot)、フサリウム症(fusarioses)、フサリウムロセウム(Fusarium roseum)、フサリウムニバレ(Fusarium nivale)
、網斑病(net blotch)、葉枯病(leaf blotch)、アケビ斑点病(Septoria spot)、及びシンリゾクトニア(sin Rhizoctonia)が挙げられる。これらの有害な真菌は、ほとん
どの野菜及び植物に、しかし特には、コムギ、オオムギ、ライムギ、オートムギ、又はそれらのハイブリッド種、及びコメ、及びトウモロコシなどの穀類に病害を引き起こし得る。
【0057】
殺菌剤製剤は、殺菌剤、1又は複数種類の界面活性剤クラスから選択される1又は複数の界面活性剤又は共界面活性剤などの乳化剤成分、所望に応じて存在してよい共乳化剤、及び溶媒又は固体キャリアなどの所望に応じて存在してよいキャリア剤を含み得る。
【0058】
1.殺菌剤
殺菌剤製剤は、殺菌剤を含む。適切な殺菌剤としては、限定されるものではないが、アゾキシストロビン、ベナラキシル、カルベンダジム、クロロタロニル、クプファー(cupfer)、シモキサニル、シプロコナゾール(cyproconazol)、ジフェノコナゾール、ジノカップ、エポキシコナゾール、フルアジナム、フルシラゾール(flusilazol)、フルトリアホール、フォルペル(folpel)、ホセチルアルミニウム、クレソキシムメチル、ヘキサコナゾール、マンコゼブ(mancozeb)、メタラキシル、メトコナゾール、ミクロブタニル、オフレース(ofurace)、フェンチンヒドロキシド(phentinhydroxide)、プロクロラズ
、ピリメタニル、ソウフレ(soufre)、テブカナゾール(tebucanazol)、及びテトラコ
ナゾール、並びにこれらの混合物が挙げられる。適切な除草剤としては、限定されるものではないが、アラクロール、アクロニフェン、アセトクロル、アミドスルフロン、アミノトリアゾール、アトラジン、ベンタゾン、ビフェノックス、ブロモキシルオクタノエート(bromoxyl octanoate)、ブロモキシニル、クレトジム、クロジナホップ-プロパルギル、クロリダゾン、クロルスルフロン、クロルトルロン、クロマゾン、シクロキシジム、デスメジファン、ジカンバ、ジシクロホップ-メチル、ジウレア、ジフルフェニカニル、ジミテナミド(dimithenamid)、エトフメサート、フルアジホップ、フルアジホップ-p-ブチル、フルオロクロリドン、フルロキシピル、グルホシナート(glufosinat)、グリホサート、ガロキシホップ-R(galoxyfop-R)、イオキシニルオクタノエート、イソプロ
ツロン、イソキサベン、メタミトロン、メタザクロル、メトラクロル、メトスルフロン-メチル、ニコスルフロン、ノトフルラゾン、オリザリン、オキサジアゾン、オキシフルオルフェン、パラカト、ペンジメタリン、フェンメディファム、フェノキシプロプ-p-エチル、プロパキザホップ、プロスルホカルブ、キザロホップ、スルコトリオン、スルホサート、テルブチラジン、トリアスルフロン、トリクロピル、トリフルアリン(triflualin)、及びトリフルスルホロン-メチル(triflusulforon-methyl)が挙げられ、これらは
、個別に又は互いとの混合物として用いられてよい。
【0059】
殺菌剤の量は、液体殺菌剤製剤の総重量に基づいて、約1重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、又は約50重量%以下、約60重量%以下、若しくは約70重量%以下、約80重量%以下、約90重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲の組み合わせであり得る。
【0060】
2.界面活性剤
本発明の殺菌剤製剤は、界面活性剤系とも称される1又は複数の界面活性剤を含む。界面活性剤系は、分散剤又は湿潤剤として用いられ得る。界面活性剤系はまた、農業用途のために調製された場合に液体殺菌剤製剤の安定なエマルジョンを形成するための乳化剤成分としても用いられ得る。乳化剤成分はまた、安定な乳剤濃縮物を形成するためにも用いられ得る。界面活性剤系は、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤であってよい少なくとも1つの界面活性剤、及び所望に応じて、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせであってよい少なくとも1つの他の界面活性剤を含む。
【0061】
本開示の殺菌剤製剤での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0062】
【0063】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0064】
特に、適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のいずれか1つ以上を含み得る。
【0065】
殺菌剤製剤中の1又は複数の界面活性剤の総量は、約1重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、又は約15重量%以下、約20重量%以下、約25重量%以下、約30重量%以下、約35重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内であり得る。
【0066】
3.共乳化剤又は共界面活性剤
殺菌剤組成物は、所望に応じて存在してよい共乳化剤又は共界面活性剤を含み得る。所望に応じて存在してよい共界面活性剤は、アニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤であってよく、本開示の界面活性剤、さらには他の界面活性剤を含んでもよい。例えば、アニオン性界面活性剤としては、本開示の界面活性剤又は本技術分野において公知のいずれの界面活性剤も挙げられ、ステアリン酸カリウムなどの脂肪酸のアルカリ、ア
ルカリ土類、若しくはアンモニウム塩、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルスルホネート若しくはイソ-アルキルスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルメチルエステルスルホネート、アシルグルタメート、アルキルスルホスクシネート、ラウロイルサルコシンナトリウムなどのサルコシネート、又はタウレート、及びこれらの組み合わせが挙げられ得る。アニオン性界面活性剤は、乳化剤成分中に、いかなる量で存在してもよい。
【0067】
非イオン性乳化剤としては、本開示の界面活性剤又は本技術分野において公知のいずれの界面活性剤も挙げることができ、トウモロコシ油エトキシレート、ダイズ油エトキシレート、ヒマシ油エトキシレート、獣脂脂肪エトキシレート(tallow fatty ethoxylates)などのアルコキシル化された動物性若しくは植物性油脂、モノステアリン酸グリセロールなどのグリセロールエステル、脂肪アルコールアルコキシレート及びオキソアルコールアルコキシレート、オレイン酸エトキシレートなどの脂肪酸アルコキシレート、イソノニルフェノールエトキシレートなどのアルキルフェノールアルコキシレート、脂肪アミンアルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレート、ソルビタン脂肪酸エステル(例:モノオレイン酸ソルビタン及びトリステアリン酸ソルビタン)などの糖界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、N-アルキルグルコンアミド、アルキルメチルスルホキシド、テトラデシルジメチルホスフィンオキシドなどのアルキルジメチルホスフィンオキシド、及びこれらの組み合わせなどである。
【0068】
4.キャリア剤
本開示の殺菌剤製剤は、キャリア剤を含み得る。本明細書で用いられる場合、「キャリア」の用語は、活性原料成分と組み合わされた場合にその植物、種子、又は土壌への適用を促進するものである天然又は合成、有機又は無機の形態の物質を意味する。したがって、このキャリアは、通常は不活性であるが、同時に、特に処理されるべき植物に対して、農業的に許容されるものでなければならない。キャリアは、固体(クレー、天然若しくは合成シリケート、二酸化ケイ素、樹脂、ワックス、又は固形肥料など)又は液体(水、アルコール、ケトン、石油留分、芳香族又はパラフィン系炭化水素、塩素化炭化水素、液化ガスなど)であってよい。
【0069】
5.他の添加剤
殺菌剤製剤は、安定剤、浸透剤、展着剤、湿潤剤、ビルダー、増量剤、乳化剤、分散剤、懸濁剤、植物浸透剤、トランスロケーター、油、活性化剤、葉面栄養素、相溶化剤、飛散抑止剤、発泡抑止剤、緩衝剤、転相剤、土壌浸透剤、安定剤、UVフィルター物質、摂食刺激物質、洗浄剤、沈降剤、バインダー、液体キャリア、アタパルガイト、カオリナイト、バーミキュライト、デンプンポリマー、トウモロコシの穂軸などのドライキャリア、及びこれらの組み合わせ、などの他の添加剤を含み得る。農薬製剤はまた、活性化剤、摂食抑制物質、防汚剤、誘引剤、不妊化剤、消毒剤、燻蒸剤、フェロモン、忌避剤、落葉剤、乾燥剤、昆虫成長調整剤、植物成長調整剤、相乗剤、補助剤、及びこれらの組み合わせなど、農薬ではない追加の化学化合物も含み得る。
【0070】
これらの添加剤は、農薬製剤中に、独立して、約0重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約15重量%以上、又は約20重量%以下、約25重量%以下、約30重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0071】
6.殺菌剤エマルジョン
液体殺菌剤製剤は、水又は別の溶媒に添加されて、販売時及び/又は使用時に農業用エマルジョンが形成され得る。典型的には、良好に形成された農業用エマルジョンは、乳白色であり、自然にブルーム(bloom)(すなわち、形成)し、有効な適用のための充分な
安定性を有する。しかし、本開示の殺菌剤エマルジョンは、そのようなパラメータに限定
されず、良好なエマルジョン形成を示す他の特徴を有する場合もある。
【0072】
本開示は、上述の殺菌剤製剤及び水を含む水性殺菌剤製剤を提供する。液体殺菌剤製剤は、スプレータンク中で、又はスプレータンクへの添加前に独立したタンク中で水と組み合わせられ得る。例えば、液体殺菌剤製剤は、水を含む又は水と分離された独立した容器及び/又はスプレータンクに添加され得る。「希釈された」の用語は、農業用液体殺菌剤製剤が水を含んでいることを表す。
【0073】
希釈殺菌剤製剤の水は、希釈殺菌剤製剤に対して、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、又は約60重量%以下、約70重量%以下、約80重量%以下、約90重量%以下、約99重量%以下、約99.5重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0074】
殺菌剤は、希釈殺菌剤製剤中に、約0.00001重量%以上、約0.0001重量%以上、約0.001重量%以上、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上、約1重量%以上、又は約2重量%以下、約4重量%以下、約6重量%以下、約8重量%以下、約10重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0075】
殺菌剤は、約100g/ヘクタール以上、約200g/ヘクタール以上、約300g/ヘクタール以上、約400g/ヘクタール以上、約500g/ヘクタール以上、又は約600g/ヘクタール以下、約700g/ヘクタール以下、約800g/ヘクタール以下、約900g/ヘクタール以下、約1000g/ヘクタール以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で(又はこれらと同等の量で)存在し得る。
【0076】
7.乳剤濃縮物
本開示は、乳剤濃縮物(本技術分野において「EC」としても知られる)を用いて形成され得る殺菌剤エマルジョンを提供する。上述した液体殺菌剤組成物は、さらに、ECとして表されてよく、又はECでなくてもよい。乳剤濃縮物は、25℃で約1cps以上、20cps以上、40cps以上、60cps以上、80cps以上、100cps以上、又は120cps以下、140cps以下、160cps以下、180cps以下、200cps以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の粘度を、25℃で200cpsまで、50~200cps、100~200cps、又は約200cps以下の粘度を有する液体であり得る。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、25℃で約200cps以下の粘度は、乳剤濃縮物が用いられた場合に、エマルジョンのブルーム及び効率的な形成を促進するものと考えられる。
【0077】
乳剤濃縮物自体は、無水、すなわち水を含んでいなくてもよい。別の選択肢として、乳剤濃縮物は、水を含んでいてもよい。乳剤濃縮物は、5重量%以下、2.5重量%以下、1重量%以下、0.5重量%以下、又は0.1重量%以下の量で水を含み得る。乳剤濃縮物は、乳剤濃縮物の100重量部あたり15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1重量部未満の水を含み得る。乳剤濃縮物は、水を含まない単一の油様相、例えば疎水性相である。以下でより詳細に述べるように、水又は別の溶媒に添加されると、乳剤濃縮物は、ブルームし、相分離がほとんど又はまったくない乳白色の農業用エマルジョンを形成し得る。
【0078】
乳剤濃縮物は、単相を含み得る。言い換えると、乳剤濃縮物は、明確な非極性相及び明確な極性相を含まなくてよく、その代わりに、活性成分(殺菌剤)、界面活性剤系、所望に応じて存在してよい共界面活性剤、及び/又は所望に応じて存在してよい水不溶性溶媒を含む単相を含み得る。単相は、部分的な相分離を含んでいてもよいが、典型的には、完
全な相分離を含まないことは理解されたい。低い温度では、相分離が起こり得る。乳剤濃縮物は、上述の界面活性剤系及び殺菌剤を含むとして、又はそれらであるとして記載され得る(例:所望に応じて存在してよい溶媒を含まない、及び/又は所望に応じて存在してよい共界面活性剤を含まない)。
【0079】
8.固形製剤
固形の組成物については、散布(dusting)に適する粉剤又は分散体、特に、押出された
、押出された、又は押出された微粒子状組成物が言及され得る。固形製剤は、活性薬剤をキャリア粉末に含浸させることによって、又は粉剤の造粒によって形成され得る。
【0080】
これらの顆粒組成物中の活性薬剤の量は、約1重量%以上、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、又は約40重量%以下、約50重量%以下、約60重量%以下、約70重量%以下、約80重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内であり得る。
【0081】
水和剤製剤(又はスプレー粉剤)は、活性薬剤を、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、若しくは約50重量%以上、約60重量%以下、約70重量%以下、約80重量%以下、約90重量%以下、約95重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0082】
水和剤製剤は、本開示の界面活性剤を含んでよい界面活性剤などの湿潤剤を、約0重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、又は約3重量%以下、約4重量%以下、約5重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0083】
水和剤製剤は、本開示の界面活性剤を含んでよい界面活性剤などの分散剤を、約3重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、約6重量%以上、又は約7重量%以下、約8重量%以下、約9重量%以下、若しくは約10重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0084】
水和剤製剤は、本技術分野で公知のいずれの固体キャリアを含んでもよい固体キャリアを、約0重量%以上、約1重量%以上、約2重量%以上、約3重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上、又は約6重量%以下、約7重量%以下、約8重量%以下、約9重量%以下、約10重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0085】
水和剤製剤は、1若しくは複数の安定剤、及び/又は顔料、着色剤、浸透剤、接着促進剤、若しくは凝固防止剤などの他の添加剤を含有し得る。
【0086】
これらの水和剤製剤又はスプレー粉剤を製造するために、活性薬剤は、適切な混合装置中で他の成分と密接に混合され、得られた混合物は、ミル又は他の適切な粉砕設備で粉砕される。こうして、水和性及び懸濁性を有するスプレー粉剤が得られる。したがって、それらは、水中において任意の濃度で懸濁可能であり、これらの懸濁液は、特に種子の処理のために特に有用である。
【0087】
水和剤製剤に加えて、ペーストも製造され得る。ペーストの製造及び使用の条件及び方法、並びに使用は、水和剤又はスプレー粉剤と同様である。
【0088】
分散性顆粒剤組成物は、適切な造粒系での凝集によって水和剤製剤に類似の粉剤組成物を提供することによって製造され得る。
【0089】
III.除草剤製剤
本開示はさらに、除草剤の製剤を提供する。これらの製剤は、除草有効量で植物に対して適用されてよく、限定されることなく、1又は複数の以下の属の1又は複数の植物種を効果的に抑制することができる:アブチロン属(Abutilon)、アマランサス属(Amaranthus)、アルテミシア属(Artemisia)、アスクレピアス属(Asclepias)、アベーナ属(Avena)、アクソノプス属(Axonopus)、ボレリア属(Borreria)、ブラキアリア属(Brachiaria)、ブラシカ属(Brassica)、ブロムス属(Bromus)、ケノポディウム属(Chenopodium)、キルシウム属(Cirsium)、コムメリナ属(Commelina)、コンボルブルス属(Convolvulus)、キノドン属(Cynodon)、キペルス属(Cyperus)、ディジタリア属(Digitaria)、エキノクロア属(Echinochloa)、エレウシネ属(Eleusine)、エリムス属(Elymus)、エクイセツム属(Equisetum)、エロジウム属(Erodium)、ヘリアンタス属(Helianthus)、インペラタ属(Imperata)、イポモエア属(Ipomoea)、コキア属(Kochia)、ロリウム属(Lolium)、マルバ属(Malva)、オリザ属(Oryza)、オットクロア属(Ottochloa)、パニクム属(Panicum)、パスパルム属(Paspalum)、ファラリス属(Phalaris)、フラグミテス属(Phragmites)、ポリゴナム属(Polygonum)、ポーチュラカ属(Portulaca)、プテリジウム属(Pteridium)、プエラリア属(Pueraria)、ルブス属(Rubus)、サルソラ属(Salsola)、ステアリア属(Setaria)、シダ属(Sida)、シナピス属(Sinapis)、ソルグム属(Sorghum)、トリチクム属(Triticum)、タイファ属(Typha
)、ウレックス属(Ulex)、キサンチウム属(Xanthium)、及びゼア属(Zea)。
【0090】
本開示の除草剤製剤は、除草剤、所望に応じて存在してよい第二の除草剤、1又は複数種類の界面活性剤クラスから選択される1又は複数の界面活性剤、水不溶性溶媒、及び水を含み得る。
【0091】
1.除草剤
本開示の除草剤製剤は、除草剤又はその水溶性塩を含み得る。適切な除草剤としては、2,4-D(2,4-ジクロロフェノキシ酢酸)、2,4-DB(4-(2,4-ジクロロフェノキシ)酪酸)、アミノシクロピラクロル、アミノピラリド、クロピラリド、ジカンバ、グリホサート、MCPA、MCPB、ピクロラム、トリクロピル、又はこれらの混合物が挙げられ得る。
【0092】
除草剤の水溶性塩としては、有機アンモニウムカチオンのクラスから選択される1又は複数のカチオンを含有する塩を挙げることができ、有機アンモニウムカチオンは、1~約12個の炭素原子を有していてよく、有機アンモニウムカチオンとしては、例えば、イソプロピルアンモニウム、ジグリコールアンモニウム(2-(2-アミノエトキシ)エタノールアンモニウム)、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、モノエタノールアンモニウム、ジメチルエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、トリイソプロパノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、N,N,N-トリメチルエタノールアンモニウム(コリン)、及びN,N-ビス-(3-アミノプロピル)メチルアンモニウム(BAPMA)などが挙げられる。
【0093】
加えて、除草剤の水溶性塩としては、例えばナトリウム及び/又はカリウムなどの無機カチオンから選択される1又は複数のカチオンを含有する塩が挙げられ得る。
【0094】
オーキシン型除草剤などの酸性除草剤の場合、除草剤は、除草剤製剤中に、約100グラム酸当量毎リットル(g ae/L)以上、約200g ae/L以上、約300g ae/L以上、又は約400g ae/L以下、約500g ae/L以下、約600g
ae/L以下、約625g ae/L以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0095】
本明細書で述べるいくつかの除草剤活性薬剤は、酸型の官能基を含有せず、これらの活性原料成分の場合、「酸当量」及び「酸当量ベース」の用語は、存在する第二の除草剤の量を正確に表すものではない。一般に、そのような場合は、「活性原料成分」又は「活性原料成分ベース」の用語が、存在する第二の除草剤活性原料成分の量を表すために用いられ得る。活性原料成分が酸当量を有しない場合は、例えば、グラム活性原料成分毎リットル(g ai/L)が、グラム酸当量毎リットル(g ae/L)の代わりに用いられてよく、又はグラム活性原料成分毎キログラム(g ai/kg)が、グラム酸当量毎キログラム(g ae/kg)の代わりに用いられてもよい。
【0096】
2.所望に応じて存在してよい第二の除草剤
適切な第二の除草剤は、限定されるものではないが、4-CPA、4-CPB、4-CPP、2,4-D、3,4-DA、2,4-DB、3,4-DB、2,4-DEB、2,4-DEP、3,4-DP、2,4,5-T、2,4,5-TB、及び2,3,6-TBAのエステル、アリドクロル、アセトクロル、アシフルオルフェン、アクロニフェン、アラクロール、アロキシジム、アロラック、アメトリジオン、アメトリン、アミブジン、アミカルバゾン、アミドスルフロン、アミノシクロピラクロルエステル、アミノピラリドエステル、アミプロホス-メチル、アミトロール、アニロホス、アニスロン、アシュラム、アトラトン、アトラジン、アザフェニジン、アジムスルフロン、アジプロトリン、バーバン、BCPC、ベフルブタミド、ベナゾリン、ベンカルバゾン、ベンフルラリン、ベンフレセート、ベンスルフロン、ベンスリド、ベンタゾン、ベンザドクス、ベンズフェンジゾン、ベンジプラム、ベンゾビシクロン、ベンゾフェナプ、ベンゾフルオル、ベンゾイルプロップ、ベンズチアズロン、ビシロピロン(bicylopyrone)、ビフェノックス、ビラナフォス、ビスピリバック、ブロマシル、ブロモボニル、ブロモブチド、ブロモフェノキシム、ブロモキシニル、ブロムピラゾン、ブタクロール、ブタフェナシル、ブタミホス、ブテナクロール、ブチダゾール、ブチウロン、ブトラリン、ブトロキシジム、ブツロン、ブチレート、カフェンストロール、カフェンストロール、カンベンジクロル、カルバスラム、カルバスラム、カルベタミド、カルボキサゾール クロルプロカルブ、カルフェントラゾン、CDEA、CEPC、クロメトキシフェン、クロランベン、クロラノクリル、クロラジホップ、クロラジン、クロルブロムロン、クロルブファム、クロレツロン、クロルフェナック、クロルフェンプロップ、クロルフルラゾール、クロルフルレノール、クロリダゾン、クロリムロン、クロルニトロフェン、クロロポン、クロロトルロン、クロロクスロン、クロロキシニル、クロルプロファム、クロルスルフロン、クロルタール、クロルチアミド、シニドン-エチル、シンメチリン、シノスルフロン、シスアニリド、クレトジム、クリオジネート、クロジナホップ、クロホップ、クロマゾン、クロメプロップ、クロメプロップ、クロプロップ、クロプロキシジム、クロピラリドエステル、クロランスラム、CPMF、CPPC、クレダジン、クミルロン、シアナトリン、シアナジン、シクロエート、シクロスルファムロン、シクロキシジム、シクルロン、シハロホップ、シペルクアト、シプラジン、シプラゾール、シプロミド、ダイムロン、ダラポン、ダゾメット、デラクロル、デスメジファム、デスメトリン、ジアレート、ジカンバエステル、ジクロベニル、ジクロラルウレア、ジクロルメート、ジクロルプロップ、ジクロルプロップ-P、ジクロホップ、ジクロスラム、ジエタムクアット、ジエタチル、ジフェノペンテン、ジフェノクスロン、ジフェンゾコート、ジフルフェニカン、ジフルフェンゾピル、ジメフロン、ジメピペレート、ジメタクロル、ジメタメトリン、ジメテナミド、ジメテナミド-P、ジメキサノ、ジミダゾン、ジニトラミン、ジニトラミン、ジノフェネート、ジノプロップ、ジノサム、ジノセブ、ジノテルブ、ジフェナミド、ジプロペトリン、ジクワット、ジスル、ジチオピル、ジウロン、DMPA、DNOC、EBEP、エグリナジン、エンドサル、エプロナズ、エプロナズ、EPTC、エルボン、エスプロカルブ、エタルフルラリン、エタメツルフロン、エチジムロン、エチオレート、エトフメサート、エトキシフェン、エトキシスルフロン、エチノフェン、エトニプロミド、エトニプロミド、エトニプロミド、エトベンザ
ニド、EXD、フェナスラム、フェナスラム、フェナスラム、フェノプロップ、フェノキサプロップ、フェノキサプロップ-P、フェノキサスルホン、フェンテラコール、フェンチアプロップ、フェントラザミド、フェヌロン、フラムプロップ、フラムプロップ-M、フラザスルフロン、フロラスラム、フルアジホップ、フルアジホップ-P、フルアゾレート、フルカルバゾン、フルセトスルフロン、フルクロラリン、フルフェナセット、フルフェニカン、フルフェンピル、フルメツラム、フルメジン、フルミクロラック、フルミオキサジン、フルミプロピン、フルオメツロン、フルオロジフェン、フルオログリコフェン、フルオロミジン、フルオロニトロフェン、フルオチウロン、フルポキサム、フルポキサム、フルプロパシル、フルプロパネート、フルピルスルフロン、フルリドン、フルロクロリドン、非液体フルロキシピルエステル、フルロキシピル-メプチル、フルルタモン、フルチアセット、フォメサフェン、フォメサフェン、ホラムスルフロン、ホサミン、フリルオキシフェン、グリホサート、ハロウキシフェン(halauxfen)、ハロウキシフェン-メチ
ル(halauxfen-methyl)、ハロサフェン、ハロサフェン、ハロスルフロン、ハロキシジン、ハロキシホップ、ハロキシホップ-P、ヘキサジノン、イマザメタベンズ、イマザモックス、イマザピック、イマザピル、イマザキン、イマゼタピル、イマゾスルフロン、インダノファン、インダジフラム、ヨードボニル、ヨードスルフロン、イオキシニル、イパジン、イプフェンカルバゾン、イプリミダム、イソカルバミド、イソシル、イソメチオジン、イソノルロン、イソポリネート、イソプロパリン、イソプロツロン、イソウロン、イソキサベン、イソキサクロルトール、イソキサフルトール、イソキサピリホップ、カルブチレート、ケトスピラドックス、ラクトフェン、レナシル、リニュロン、MCPAエステル、MCPA-チオエチル、MCPA-EHE、MCPBエステル、メコプロップ、メコプロップ-P、メジノテルブ、メフェナセット、メフルイジド、メソプラジン、メソスルフロン、メソトリオン、メタム、メタミホップ、メタミホップ、メタミトロン、メタザクロル、メタゾスルフロン、メトフルラゾン、メタベンズチアズロン、メタルプロパリン、メタゾール、メチオベンカルブ、メチオゾリン、メチウロン、メチウロン、メトメトン、メトプロトリン、メチルダイムロン、メトベンズロン、メトブロムロン、メトラクロル、S-メトラクロル、メトスラム、メトクスロン、メトリブジン、メトスルフロン、モリネート、モナリド、モニソウロン、モノリニュロン、モニュロン、モルファムコート、ナプロアニリド、ナプロパミド、ナプタラム、ネブロン、ニコスルフロン、ニピラクロフェン、ニトラリン、ニトロフェン、ニトロフルオルフェン、ノルフルラゾン、ノルロン、OCH、オルベンカーブ、オルトスルファムロン、オリザリン、オリザリン、オキサジアルギル、オキサジアゾン、オキサピラゾン、オキサスルフロン、オキサジクロメホン、オキシフルオルフェン、パラフルロン、パラコート、ペブレート、ペラルゴン酸、ペンジメタリン、ペノキススラム、ペンタノクロル、ペントキサゾン、パーフルイドン、ペトキサミド、フェニソファム、フェンメディファム、フェンメディファム-エチル、フェノベンズロン、ピクロラムエステル、ピコリナフェン、ピノキサデン、ピペロホス、プレチラクロール、プリミスルフロン、プロシアジン、プロジアミン、プロジアミン、プロフルアゾール、プロフルラリン、プロホキシジム、プログリナジン、プロメトン、プロメトリン、プロパクロル、プロパニル、プロパキザホップ、プロパジン、プロファム、プロピソクロール、プロポキシカルバゾン、プロピリスルフロン、プロピザミド、プロスルファリン、プロスルホカルブ、プロスルフロン、プロキサン、プリナクロル、ピダノン、ピラクロニル、ピラフルフェン、ピラスルホトール、ピラゾリネート、ピラゾスルフロン、ピラゾキシフェン、ピリベンゾキシム、ピリブチカルブ、ピリクロル、ピリダフォル、ピリデート、ピリフタリド、ピリミノバック、ピリミスルファン、ピリチオバック、ピロスルホトール、ピロキサスルホン、ピロクススラム、キンクロラック、キンメラック、キノクラミン、キノナミド、キザロホップ、キザロホップ-P、ロデタニル、リムスルフロン、サフルフェナシル、セブチラジン、セクブメトン、セトキシジム、シデュロン、シマジン、シメトン、シメトリン、スルコトリオン、スルファレート、スルフェントラゾン、スルホメツロン、スルホスルフロン、スルグリカピン、スエップ、テブタム、テブチウロン、テフリルトリオン、テンボトリオン、テプラロキシジム、ターバシル、テルブカルブ、テルブクロル、
テルブメトン、テルブチラジン、テルブトリン、テトラフルロン、テニルクロール、チアザフルロン、チアゾピル、非液体トリクロピルエステル、チジアジミン、チジアズロン、チジアズロン、チエンカルバゾン-メチル、チフェンスルフロン、チオベンカルブ、チオカルバジル、チオクロリム、トプラメゾン、トラルコキシジム、トリアレート、トリアスルフロン、トリアジフラム、トリベニュロン、トリカンバ、トリジファン、トリエタジン、トリフロキシスルフロン、トリフルラリン、トリフルスルフロン、トリホップ、トリホプシム、トリヒドロキシトリアジン、トリメツロン、トリプロピンダン、トリタック、トリトスルフロン、バーノレート、キシラクロル、並びにこれらの混合物及び誘導体から選択され得る。
【0097】
第二の除草剤は、用いられる場合、約0g ae/L以上、0.1g ae/L以上、10g ae/L以上、50g ae/L以上、100g ae/L以上、又は200g
ae/L以下、約300g ae/L以下、約400g ae/L以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在する。
【0098】
本明細書で述べるいくつかの第二の除草剤活性薬剤は、酸型の官能基を含有せず、これらの活性原料成分の場合、「酸当量」及び「酸当量ベース」の用語は、存在する第二の除草剤の量を正確に表すものではない。一般に、そのような場合は、「活性原料成分」又は「活性原料成分ベース」の用語が、存在する第二の除草剤活性原料成分の量を表すために用いられ得る。活性原料成分が酸当量を有しない場合は、例えば、グラム活性原料成分毎リットル(g ai/L)が、グラム酸当量毎リットル(g ae/L)の代わりに用いられてよく、又はグラム活性原料成分毎キログラム(g ai/kg)が、グラム酸当量毎キログラム(g ae/kg)の代わりに用いられてもよい。
【0099】
3.界面活性剤
本開示の除草剤製剤での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0100】
【0101】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0102】
特に、適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のい
ずれか1つ以上を含み得る。
【0103】
除草剤製剤は、1又は複数の界面活性剤を、約0重量%以上、約2重量%以上、約4重量%以上、約6重量%以上、約8重量%以上、又は約10重量%以下、約12重量%以下、約14重量%以下、約16重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0104】
4.水不溶性溶媒
適切な水不溶性不混和性有機溶媒としては、例えば植物及び動物などの天然の非石油源から誘導又は製造される溶媒が挙げられ、植物油、種子油、動物油などを含み、N,N-ジメチルカプリルアミド(N,N-ジメチルオクタナミド)、N,N-ジメチルカプラミド(N,N-ジメチルデカナミド)、及びこれらの混合物などであり、これらは、BASF Corp.(Florham Park,N.J.)からAgnique(登録商標)AMD 810及びAgnique(登録商標)AMD 10として、Clariant(Charlotte,N.C.)からGenegen(登録商標)4166、Genegen(登録商標)4231、及びGenegen(登録商標)4296として、Stepan(Northfield,Ill.)から、Hallcomid M-8-10及びHallcomid M-10として、並びにAkzoNobel(Chicago,Ill.)からAmid DM10及びDM810として市販されている。天然由来の有機溶媒のさらなる例としては、Huntsman International LLC(The Woodlands,Tex.)からJEFFSOL(登録商標)AG-1730 Solventとして市販されているカプリル/カプリン脂肪酸(C8/C10)のモルホリンアミドが挙げられる。
【0105】
他の適切な水不溶性溶媒としては、芳香族炭化水素、混合ナフタレン及びアルキルナフタレン留分、芳香族溶媒、特に、キシレン又はプロピルベンゼン留分などのアルキル置換ベンゼンなど;カプロン酸メチル、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラルリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチルなどの植物油、種子油、又は動物油から誘導される脂肪酸のC1~C6エステル;イソホロン及びトリメチルシクロヘキサノン(ジヒドロイソホロン)などのケトン;酢酸メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、又はヘプチルなどの酢酸エステル;及びHuntsman(The Woodlands,Tex.)からJEFFSOL(登録商標)アルキレンカーボネートとして市販されている炭酸プロピレン及び炭酸ブチレンなどの環状アルキルカーボネート、やはりHuntsman製の炭酸ジブチル、並びに本明細書で述べる水不混和性有機溶媒のいずれかの混合物が挙げられ得る。
【0106】
水不溶性溶媒は、除草剤製剤中に、約0重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、又は約30重量%以下、約40重量%以下、約50重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0107】
5.水
水は、本開示の除草剤製剤中に、水性溶媒及び記載される組成物中の原料成分のためのキャリアの両方として作用するように存在し得る。
【0108】
本開示の除草剤製剤は、約200g/L以上、約300g/L以上、約400g/L以上、又は約500g/L以下、約600g/L以下、約700g/L以下、約800g/L以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で水を含み得る。
【0109】
6.他の添加剤
除草剤製剤は、1又は複数の適合性を有するさらなる原料成分を含み得る。これらのさらなる原料成分としては、例えば、組成物中に溶解又は分散されていてよい1若しくは複数の農薬又は他の原料成分を挙げることができ、殺ダニ剤、殺藻剤、摂食抑制物質、殺鳥剤、殺菌剤、鳥忌避剤、不妊化剤、落葉剤、乾燥剤、消毒剤、殺菌剤、除草剤セーフナー(herbicide safeners)、除草剤、昆虫誘引剤、殺虫剤、昆虫忌避剤、哺乳類忌避剤、交信撹乱剤、殺カタツムリ剤、殺線虫剤、植物活性化剤、植物成長調整剤、殺鼠剤、情報化学物質、相乗剤、及び殺ウィルス剤から選択され得る。また、例えば消泡剤、抗微生物剤、緩衝剤、腐食防止剤、分散剤、染料、香料、凝固点降下剤、中和剤、オドラント、浸透補助剤、封鎖剤、スプレー飛散抑制剤、展着剤、安定剤、粘着剤、粘度改質添加剤、水溶性溶媒などの機能的有用性を提供するいかなる他のさらなる原料成分も、これらの組成物中に含まれてよい。
【0110】
記載される除草剤製剤が、例えば除草剤活性原料成分などのさらなる活性原料成分と組み合わせて用いられる場合、本明細書で述べる組成物は、プレミックス濃縮物として他の1若しくは複数の活性原料成分と共に製剤され得る、又はスプレー適用のために、他の1若しくは複数の活性原料成分と共にタンク中で水と混合され得る、又は別々のスプレー適用によって、他の1若しくは複数の活性原料成分と共に順に適用され得る。
【0111】
7.作製方法
本開示の除草剤製剤は、1)有機溶媒中の1又は複数の第二の除草剤及び界面活性剤の溶液を調製する工程;2)工程1)で調製した溶液を、充分に混合しながら除草剤の水溶性塩の濃縮水溶液に添加して、透明溶液を形成する工程;及び3)所望に応じて、いずれかの適合性のあるさらなる活性又は不活性原料成分を添加する工程、によって製造され得る。
【0112】
別の選択肢として、本開示の除草剤製剤は、1)液体である第二の除草剤を提供し、所望に応じてそれを有機溶媒及び界面活性剤と混合する工程;2)工程1)で調製した組成物を、充分に混合しながら除草剤の水溶性塩の濃縮水溶液に添加して、透明溶液を形成する工程;及び3)所望に応じて、いずれかの適合性のあるさらなる活性又は不活性原料成分を添加する工程、によって製造され得る。
【0113】
除草剤製剤に添加され得る適切な水適合性原料成分としては、限定されるものではないが、本開示の界面活性剤などの水溶性又は水不溶性の分散性界面活性剤、水不溶性活性原料成分、並びに所望に応じて、pH緩衝剤、湿潤剤、凍結防止剤、消泡剤、及び殺生物剤などの他の不活性原料成分が挙げられる。
【0114】
8.使用方法
本明細書で述べる水性除草剤製剤は、所望に応じて、農地又は芝地での雑草抑制などのための農業用の適用を目的とする水性スプレー混合物に希釈され得る。そのような除草剤製剤は、典型的には、適用の前に、水などの不活性キャリアで希釈される。例えば雑草に、雑草が生えている場所に、又は最終的に雑草が発生する可能性のある場所に対して通常は適用される希釈除草剤製剤は、農業用活性薬剤(除草剤)を、約0.0001重量%以上、約0.001重量%以上、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上、約1重量%以上、又は約2重量%以下、約3重量%以下、約4重量%以下、若しくは約5重量%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含有し得る。本開示の除草剤製剤は、例えば、雑草又はその発生している場所に対して、従来の地上又は空中噴霧器の使用により、灌漑用水に添加することにより、及び当業者に公知の他の従来の手段により適用され得る。
【0115】
本開示の除草剤製剤は、単一又は複数の作用モードを有する1若しくは複数の除草剤化
学物質及び/又は阻害剤に対する耐性を付与する単一の、複数の、又は重なり合った(stacked)遺伝的形質を持つ作物において、望ましくない植生を抑制する際に用いられ得る
。
【0116】
IV.殺虫剤製剤
本開示は、殺虫剤の製剤も提供する。そのような製剤は、乳剤濃縮物、水中油型(O/W)エマルジョン、懸濁剤濃縮物、及び水和剤など、液体又は固体の形態であってよい。
【0117】
殺虫剤製剤は、殺虫剤、1又は複数種類の界面活性剤クラスから選択される1又は複数の界面活性剤、所望に応じて存在してよい消泡剤、所望に応じて存在してよい凍結防止剤、及び水を含み得る。
【0118】
1.殺虫剤
適切な殺虫剤としては、合成ピレスロイドなどの1又は複数のピレスロイド;クロルピリホス-エチル、クロルピリホス-メチル、ピリミホス-メチル、フェニトロチオンなどの有機ホスフェート化合物;ピリプロキシフェンなどのフェニルエーテル;フルフェノクスロンなどのベンゾイルウレア;フェノキシカルブ、カルボスルファンなどのカルバメート;アセタミプリドなどのニコチノイド;フロニカミドなどのピリジンカルボキサミド、などが挙げられ得る。ピレスロイドは、ビフェントリン、ゼータ-シペルメトリン、アルファ-シペルメトリン、テトラ-メトリン、ラムダ-シハロトリン、フェンバレレート、シフルトリン、バイオ-レスメトリン、ペルメトリン、デルタ-メトリンのうちの1又は複数から選択され得る。
【0119】
殺虫剤は、殺虫剤製剤中に、体積当たりの重量で測定して、約1%以上、約5%以上、約10%以上、又は約15%以下、約20%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0120】
2.界面活性剤
殺虫剤製剤は、まとめて界面活性剤系と称される、1又は複数種類の界面活性剤クラスから選択される1又は複数の界面活性剤を含み得る。
【0121】
本開示の殺虫剤製剤での使用に適する界面活性剤は、式Iの1又は複数の界面活性剤及び/又は共界面活性剤であって、
【0122】
【0123】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル
、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤及び/又は共界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を含む。
【0124】
特に、適切な界面活性剤又は共界面活性剤は、本明細書で述べる界面活性剤1~5のいずれか1つ以上を含み得る。
【0125】
界面活性剤系は、殺虫剤製剤中に、体積当たりの重量で測定して、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約15%以上、又は約20%以下、約25%以下、約30%以下、約35%以下、約40%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0126】
3.所望に応じて存在してよい消泡剤
殺虫剤製剤中の所望に応じて存在してよい消泡剤としては、シリコーンエマルジョン、及び/又は本開示の界面活性剤などの界面活性剤が挙げられ得る。
【0127】
消泡剤は、殺虫剤製剤中に、体積当たりの重量で測定して、約0.0%以上、約0.1%以上、約0.2%以上、約0.3%以上、約0.4%以上、約0.5%以上、又は約0.6%以下、約0.7%以下、約0.8%以下、約0.9%以下、約1.0%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0128】
4.所望に応じて存在してよい凍結防止剤
殺虫剤製剤は、所望に応じて存在してよい凍結防止剤を含み得る。適切な凍結防止剤としては、アルキルジオール又はジアルキルジオールなどのジオールが挙げられ得る。
【0129】
殺虫剤製剤は、凍結防止剤を、体積当たりの重量で測定して、約0%以上、約1%以上、約2%以上、約3%以上、約4%以上、約5%以上、又は約6%以下、約7%以下、約8%以下、約9%以下、約10%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0130】
5.水
殺虫剤製剤は、水を、体積当たりの重量で測定して、約25%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、又は約60%以下、約65%以下、約70%以下、約75%以下、約80%以下、約85%以下、約90%以下、約95%以下、約98%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で含み得る。
【0131】
6.他の添加剤
本開示の殺虫剤製剤は、粘度改質剤を含み得る。そのような粘度改質剤としては、セルロース誘導体、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及び天然ガムなどの増粘剤が挙げられ得る。
【0132】
粘度改質剤は、殺虫剤製剤中に、所望されるレベルまで粘度を改質するのに適するいかなる量で存在してもよい。
【0133】
本開示の殺虫剤製剤は、保存剤も含み得る。適切な保存剤としては、メチルパラベンが挙げられる。
【0134】
保存剤は、殺虫剤製剤中に、体積当たりの重量で測定して、0.0%以上、0.1%以
上、又は0.2%以下、又はこれらの終点を用いたいずれかの範囲内の量で存在し得る。
【0135】
V.補助剤
上記で述べた使用に加えて、本開示の界面活性剤は、農薬、植物成長調整剤、除草剤、殺菌剤、及び殺虫剤などの農業用活性薬剤の製剤中の補助剤としても用いられ得る。補助剤化合物は、例えば保存安定性、取り扱い易さ、対象生物に対する駆除効果など、農業用活性薬剤の製剤の1又は複数の特性を改善するために用いられ得る。
【0136】
VI.スプレー飛散低減剤
スプレー飛散とは、目標を外れた汚染を含む農薬及び他の農業用活性薬剤の意図しない拡散を意味する。これは、ヒトへの健康被害、環境汚染、及び土地への損害に繋がり得る。本開示の界面活性剤は、空中及び地上噴霧適用の両方において、農業用活性薬剤の製剤の飛散し得る微粒子の量を低減させるために用いられ得る。
【0137】
本開示の界面活性剤及びその混合物は、農薬、植物成長調整剤、殺菌剤、除草剤、又は殺虫剤などの農業用活性薬剤の希釈製剤と、例えば直接タンク混合することによって、水性スプレー混合物中に組み込まれ得る。
【0138】
最適なスプレー液滴径は、組成物が用いられる適用に依存する。液滴が大きすぎると、スプレーによる被覆が少なくなるものであり、例えば、大きい液滴は、ある特定の領域に着地するが、その間にある領域は、スプレーによる被覆をほとんど又はまったく受けなくなる。許容される最大液滴径は、単位面積あたりに適用される組成物の量及びスプレー被覆に必要とされる均一性に依存し得る。小さい液滴ほど、より均一な被覆をもたらすが、スプレー中の飛散をより起こし易い。したがって、スプレー被覆の均一性などの適用パラメータは、より小さい液滴が飛散し易い傾向と釣り合いを保っている必要がある。例えば、スプレー時に風が特に強い場合、飛散を低減するためにより大きい液滴が必要となる可能性があり、一方より穏やかな日では、より小さい液滴が許容され得る。特定の水性組成物の物理的特性に加えて、スプレー液滴径は、ノズルのサイズ及び構成を例とするスプレー装置にも依存し得る。
【0139】
スプレー飛散の低減は、微細スプレー液滴(最小径が<150μm)の生成の減少、及びスプレー液滴の体積メジアン径(VMD)の増加を含む様々な因子に起因し得る。いずれの場合でも、任意のスプレー装置、適用、及び条件において、並びに用いられる界面活性剤に基づいて、本明細書で述べる界面活性剤を用いて生成される複数のスプレー液滴のメジアン径は、本開示の界面活性剤を含まないスプレー組成物よりも増加する。
【0140】
VII.界面活性剤
本開示は、アミノ酸の誘導体の形態である農業用製品に使用するための界面活性剤を提供する。アミノ酸は、天然若しくは合成であってよい、又はカプロラクタムなどのラクタムの開環反応から得られてもよい。本開示の化合物は、表面活性特性を有することが示されており、例えば界面活性剤及び湿潤剤として用いられ得る。特に、本開示は、式Iの化合物であって:
【0141】
【0142】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、化合物;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン、を提供する。
【0143】
本開示によって提供される1つの具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド(界面活性剤1)であり、以下の式を有する:
【0144】
【0145】
本開示によって提供される第二の具体的な化合物は、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド(界面活性剤2)であり、以下の式を有する:
【0146】
【0147】
上記の構造において、「N→O」の表記は、窒素と酸素との間の非イオン性結合相互作用を意味することを意図している。
【0148】
本開示によって提供される第三の具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤3)であり、以下の式を有する:
【0149】
【0150】
本開示によって提供される第四の具体的な化合物は、4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート(界面活性剤4
)であり、以下の式を有する:
【0151】
【0152】
本開示によって提供される第五の具体的な化合物は、6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤5)であり、以下の式を有する:
【0153】
【0154】
これらの界面活性剤は、様々な方法によって合成され得る。1つのそのような方法は、ラクタムを開環してN末端及びC末端を有するアミノ酸を得ることを含む。N末端を、1又は複数のアルキル化剤及び/又は酸と反応させることで、第四級アンモニウム塩が得られ得る。別の選択肢として、N末端を酸化剤と反応させることで、アミンN-オキシドが得られ得る。C末端を、酸の存在下でアルコールと反応させることで、エステルが得られ得る。
【0155】
アミノ酸は、天然若しくは合成であってよい、又はカプロラクタムなどのラクタムの開環反応から誘導されてもよい。開環反応は、酸又はアルカリ触媒反応であってよく、酸触媒反応の例を以下のスキーム1に示す。
【0156】
【0157】
アミノ酸は、少なくは1個の又は多くは12個の炭素を、N末端とC末端との間に有し得る。アルキル鎖は、分岐鎖又は直鎖であってよい。アルキル鎖には、窒素、酸素、又は硫黄が介在していてもよい。アルキル鎖は、さらに、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてもよい。N末端窒素は、アシル化又は1若しくは複数のアルキル基でアルキル化されていてもよい。例えば、アミノ酸は、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸であってよい。
【0158】
界面活性剤1は、以下のスキーム2に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応する
エステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N末端が、炭酸ナトリウムの存在下、ヨウ化メチルでアルキル化される。
【0159】
【0160】
界面活性剤2は、以下のスキーム3に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N末端が過酸化水素で酸化されて、アミンオキシドが得られる。
【0161】
【0162】
界面活性剤3は、以下のスキーム4に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンス
ルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N末端が、炭酸ナトリウムの存在下、ヨウ化メチルでアルキル化される。
【0163】
【0164】
界面活性剤4は、以下のスキーム5に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、還流下、ギ酸中でホルムアルデヒドで処理されて、6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸が得られる。次に、遊離カルボン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でドデカノールなどのアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートが得られる。次に、N末端が、還流下の酢酸エチル中、1,4-ブタンスルトンで処理されて、所望されるスルホネートが得られる。
【0165】
【0166】
界面活性剤5は、以下のスキーム6に示すように合成され得る。示されるように、6-アミノヘキサン酸が、トルエン中、p-トルエンスルホン酸(PTSA)の存在下でアルコールで処理されて、対応するエステル、ドデシル6-アミノヘキサノエートが得られる。N末端が塩酸でプロトン化されて、所望される塩酸塩が得られる。
【0167】
【0168】
本開示の化合物は、表面活性特性を呈する。これらの特性は、様々な方法によって測定し、表され得る。界面活性剤を表し得る1つの方法は、分子の臨界ミセル濃度(CMC)による。CMCは、ミセルを形成する界面活性剤の濃度として定義され得るものであり、それよりも高い濃度では、追加の界面活性剤はすべてミセルに取り込まれる。
【0169】
界面活性剤濃度が上昇するに従って、表面張力は低下する。表面が界面活性剤分子で完全に覆われると、ミセルが形成し始める。この時点が、CMCを、さらには最小表面張力を表している。界面活性剤をさらに添加しても、表面張力にさらに影響を与えることはない。CMCは、したがって、界面活性剤濃度の関数として表面張力の変化を観察することによって測定され得る。この値を測定するためのそのような1つの方法は、ウィルヘルミープレート法である。ウィルヘルミープレートは、通常、ワイヤで天秤に取り付けられた薄いイリジウム-白金プレートであり、空気-液体界面に対して垂直に配置される。天秤を用いて、濡れによってプレートに働く力が測定される。次に、この値を用い、式1に従って表面張力(γ)が算出され:
式1:γ=F/l cosθ
式中、lは、濡れ周長(w及びdをそれぞれプレートの厚さ及び幅とした場合に、2w+2d)に等しく、cosθについては、液体とプレートとの間の接触角は、現存文献値がない場合は0と仮定する。
【0170】
界面活性剤の性能を評価するために用いられる別のパラメータは、動的表面張力である。動的表面張力は、特定の表面又は界面の経過時間に対する表面張力の値である。界面活性剤が添加された液体の場合、これは、平衡値と異なり得る。表面が生成された直後は、表面張力は、純液体の表面張力と等しい。上記で述べたように、界面活性剤は、表面張力を低下させるものであるため、表面張力は、平衡値に到達するまで低下する。平衡に到達するのに要する時間は、界面活性剤の拡散速度及び吸着速度に依存する。
【0171】
動的表面張力を測定する1つの方法は、最大泡圧式張力計によるものである。この装置は、キャピラリーによって液体中に形成された気泡の最大内圧を測定する。測定された値は、気泡形成の開始から最大圧力となるまでの時間である、ある特定の表面経過時間での表面張力に相当する。表面張力の表面経過時間に対する依存性は、気泡が生成される速度を変動させることによって測定することができる。
【0172】
表面活性化合物は、接触角によって測定される固体基材上での湿潤能力によっても評価され得る。液滴が、空気などの第三の媒体中で固体表面と接触する場合、液体、気体、及び固体間で三相線が形成される。三相線で役割を果たしており、液滴の接線である表面張力の単位ベクトルと、表面と、の間の角度が、接触角として表される。接触角(濡れ角としても知られる)は、液体による固体の濡れ性の尺度である。完全濡れの場合、液体は固体上に完全に拡がっており、接触角は0°である。濡れ特性は、典型的には、任意の化合物に対して1~100×CMCの濃度で測定されるが、濃度に依存する特性ではないことから、濡れ特性の測定値は、これよりも高い又は低い濃度で測定されてもよい。
【0173】
1つの方法では、光学接触角ゴニオメーターが、接触角の測定に用いられ得る。この装置は、デジタルカメラ及びソフトウェアを用いて、表面上の液体の静止液滴の輪郭形状を分析することによって接触角を求める。
【0174】
本開示の表面活性化合物に対する考え得る用途としては、シャンプー、ヘアコンディショナー、洗剤、スポットフリーリンス溶液、床及びカーペットクリーナー、落書き除去用の洗浄剤、作物保護用の湿潤剤、作物保護用の補助剤、並びにエアロゾルスプレーコーティング用の湿潤剤として用いるための製剤が挙げられる。
【0175】
当業者であれば、化合物間の少しの相違が、著しく異なる界面活性剤特性に繋がり得ることから、異なる用途においては、異なる基材と共に異なる化合物が用いられ得ることは理解される。
【0176】
以下の限定されない実施形態は、異なる界面活性剤の異なる特性を示すために提供される。以下の表1では、界面活性剤の略称と、それらの対応する化学構造との関連を示している。
【0177】
【0178】
5つの化合物の各々は、表面活性剤として有効であり、数ある用途の中でも、湿潤剤又は発泡剤、分散剤、乳化剤、及び洗剤用として有用である。
【0179】
界面活性剤1、界面活性剤3、及び界面活性剤5は、カチオン性である。これらの界面活性剤は、上記で述べた用途、及び表面処理剤などの、パーソナルヘアケア製品などの、いくつかのさらなる特別な用途の両方に有用であり、また、撥水性表面を生成するために用いることもできる。
【0180】
界面活性剤4は、非イオン性であり、シャンプー、洗剤、硬質表面クリーナー、及び様々な他の表面洗浄製剤に用いることができる。
【0181】
界面活性剤5は、双性イオン性である。これらの界面活性剤は、上記で述べた用途のすべてにおける共界面活性剤として有用である。
【0182】
実施例
核磁気共鳴(NMR)分光法は、Bruker 500MHz分光計で行った。臨界ミセル濃度(CMC)は、ウィルヘルミープレート法により、Pt-Irプレートを備えた張力計(DCAT 11,DataPhysics Instruments GmbH
)を用いて23℃で特定した。動的表面張力は、最大泡圧式張力計(Kruss BP100,Kruss GmbH)を用いて23℃で特定した。接触角は、デジタルカメラを備えた光学接触角ゴニオメーター(OCA 15 Pro,DataPhysics GmbH)を用いて特定した。
【0183】
例1a:
6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド(界面活性剤1)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0184】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、アセトニトリル(10mL)中に溶解した。次に、炭酸ナトリウム(0.388g、3.66mmol)を添加し、反応物を室温で10分間撹拌した。ヨウ化メチル(0.57mL、9.16mmol)を添加し、反応混合物を24時間にわたって40℃に加熱し、続いて室温まで冷却した。この混合物をろ過し、濃縮して、6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドを、黄色固体として92%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.7Hz,2H),3.30-3.22(m,2H),3.04(s,9H),2.34(t,J=7.4Hz,2H),1.70-1.63(m,2H),1.62-1.46(m,4H),1.31-1.20(m,20H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0185】
例1b:
界面活性剤1の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約1mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約33mN/m、すなわち33mN/m±3.3mN/mである。
図1は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。プロットから、表面張力は、CMCでは約34mN/mであり、1.0mmol以上の濃度では、約33.8mN/mである。
【0186】
例1c:
界面活性剤1の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図2は、表面張力対時間としての結果のプロットを表し、1ms~75msの時間間隔で、表面張力が約55.5mN/mから約39.9mN/mに急速に低下することを示している。75ms~50,410msの時間間隔では、表面張力は、約39.9mN/mから約34mN/mにゆっくり低下し、CMCでの表面張力の飽和値に漸近的に近づいている。
【0187】
例1d:
界面活性剤1の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角32°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、67.1°であった(表2)。
【0188】
【0189】
例2a:
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド(界面活性剤2)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0190】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、蒸留水(80mL)中に溶解した。過酸化水素(50%溶液、1.04g、30.5mmol)を添加した。反応物を加熱して12時間還流し、次に溶媒を真空除去した。得られた固体をアセトンで洗浄して、所望されるN-オキシドを90%の収率で得た。1H NMR(500MHz,DMSO)δ 4.00(t,J=6.6Hz,2H),3.30-3.26(m,2H),3.18(s,6H),2.31(t,J=7.4Hz,2H),1.76-1.73(m,2H),1.54-1.57(m,4H),1.30-1.24(m,22H),0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0191】
例2b:
界面活性剤2の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.08mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約28mN/m、すなわち28mN/m±2.8mN/mである。
図3は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、CMCでの表面張力は、約30mN/m以下である。プロットはさらに、0.08mmol以上の濃度において、表面張力が30mN/m以下であることも示している。
【0192】
例2c:
界面活性剤2の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図4は、表面張力対時間のプロットを表し、化合物が、およそ7.6秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから分かるように、動的表面張力は、4900ms以上の表面経過時間で、40mN/m以下である。
【0193】
例2d:
界面活性剤2の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、水よりも非常に低い接触角39.3°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、57.4°であった(表3)。
【0194】
【0195】
例3a:
6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤3)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0196】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(100mg、0.305mmol)を、水(10mL)中に溶解した。濃塩酸(11.14mg、0.305mmol)を添加した。
【0197】
例3b:
界面活性剤3の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約1.4mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約30mN/m、すなわち30mN/m±3mN/mである。
図5は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、CMCでの表面張力は、約30mN/m以下である。プロットはさらに、2.7mmol以上の濃度において、表面張力が33mN/m以下であることも示している。
【0198】
例3c:
界面活性剤3の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図6は、表面張力対時間のプロットを表し、1~100msの時間間隔で、表面張力が約50mN/mから約40mN/mに急速に低下することを示している。100~50000msの時間間隔では、表面張力は、40mN/mから約34mN/mにゆっくり低下し、CMCでの表面張力の飽和値に漸近的に近づいている。
【0199】
例3d:
界面活性剤3の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角42.5°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、66.6°であった(表4)。
【0200】
【0201】
例4a:
4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート(界面活性剤4)の合成
6-(ジメチルアミノ)ヘキサン酸(11.99g、75.36mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(12.68g、75.36mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(14.33g、75.36mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートを51%の収率で得た。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.5Hz,2H),2.27(t,J=7.3Hz,2H),2.13-2.16(m,2H),2.01(s,6H),1.54-1.53(m,6H),1.27-1.18(m,20H),0.86(t,3H)。
【0202】
ドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエート(1.0g、3.05mmol)を、酢酸エチル(30mL)中に溶解した。次に、1,4-ブタンスルトン(0.62g、4.57mmol)を添加し、この混合物を加熱して12時間還流した。反応物を室温まで冷却し、溶媒を真空除去した。1H NMR(DMSO)δ 4.00(t,J=6.7Hz,2H),3.29-3.15(m,4H),2.97(s,6H),2.47(t,J=7.4Hz,2H),2.33(t,J=7.4Hz,2H),1.81-1.70(m,2H),1.66-1.55(m,6H),1.32-1.23(m,20H)
,0.86(t,J=6.9Hz,3H)。
【0203】
例4b:
界面活性剤4の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.1mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約38mN/m、すなわち38mN/m±3.8mN/mである。
図7は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、表面張力は、CMCでは約38mN/mであり、1mmol以上の濃度では、表面張力は37mN/m以下である。
【0204】
例4c:
界面活性剤4の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図8は、表面張力対時間のプロットを表し、化合物が、およそ1秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから、動的表面張力は、4000ms以上の表面経過時間で、40.5mN/m以下である。
【0205】
例4d:
界面活性剤4の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、接触角46.5°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、62.7°であった(表5)。
【0206】
【0207】
例5a:
6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド(界面活性剤5)の合成
6-アミノヘキサン酸(5.0g、38.11mmol)を、Dean-Starkトラップを取り付けた丸底フラスコ中のトルエン(50mL)に溶解した。次に、ドデカノール(6.41g、38.11mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(PTSA)(7.24g、38.11mmol)を添加した。反応物を加熱し、Dean-Starkトラップに水が見られなくなるまで、24時間にわたって還流させた。溶媒を真空除去し、得られた固体をヘキサンで洗浄した。固体をジクロロメタン(200mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウムで洗浄して、ドデシル6-アミノヘキサノエートを40%の収率で得た。
【0208】
ドデシル6-アミノヘキサノエート(100mg、0.363mmol)を、水(10mL)中に溶解した。次に、濃塩酸(13.23mg、0.363mmol)を添加した
。
【0209】
例5b:
界面活性剤5の臨界ミセル濃度(CMC)の特定
臨界ミセル濃度(CMC)を調べた。水中での濃度と共に変化する表面張力から、CMCは、約0.75mmolであると特定した。この界面活性剤で到達可能である最小表面張力のプラトー値は、約23mN/m、すなわち23mN/m±2.3mN/mである。
図9は、これらの結果のプロットであり、表面張力対濃度を示している。結果のプロットから、表面張力は、CMCでは約23mN/mであり、0.7mmol以上の濃度では、表面張力は23.2mN/m以下である。
【0210】
例5c:
界面活性剤5の動的表面張力の特定
動的表面張力を、新たに作り出された空気-水界面の表面張力の経時での変化を測定する最大泡圧式張力計で特定した。
図10は、表面張力対時間のプロットを示し、化合物が、およそ1.5秒で表面を完全に飽和したことを示している。プロットから、動的表面張力は、3185ms以上の表面経過時間で、28.5mN/m以下である。
【0211】
例5d:
界面活性剤5の濡れ特性の特定
表面張力及び表面動態に加えて、化合物の濡れ特性を様々な表面上で試験した。例えば、ポリエチレン-HDなどの疎水性基材は、非常に低い接触角16.6°の表面濡れを呈する。テフロン(登録商標)などの疎油性及び疎水性基材上では、測定した接触角は、水よりも非常に低く、39.3°であった(表6)。
【0212】
【0213】
例6:
農薬用製剤
この例では、本明細書で述べる界面活性剤1~5のうちの1又は複数であってよい界面活性剤を含む、農薬として用いるための濃縮製剤を提供する。製剤の成分を以下の表7に示す。製剤は、さらなる界面活性剤、水、増粘剤、堆積促進剤、飛散抑制剤、及び塩も含み得る。
【0214】
【0215】
例7:
液体殺菌剤組成物用製剤
この例では、本明細書で述べる界面活性剤1~5のうちの1又は複数であってよい界面活性剤を含む、液体殺菌剤組成物として用いるための製剤を提供する。製剤を以下の表8に示す。
【0216】
【0217】
例8:
除草剤用製剤
この例では、本明細書で述べる界面活性剤1~5のうちの1又は複数であってよい界面活性剤を含む、除草剤として用いるための製剤を提供する。製剤を以下の表9に示す。
【0218】
【0219】
例9:
殺虫剤用製剤
この例では、本明細書で述べる界面活性剤1~5のうちの1又は複数であってよい界面活性剤を含む、殺虫剤として用いるための製剤を提供する。製剤を以下の表10に示す。
【0220】
【0221】
態様
態様1は、農薬のための製剤であり、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0222】
【0223】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;及び農薬、を含む。
【0224】
態様2は、水不溶性溶媒をさらに含む、態様1に記載の製剤である。
【0225】
態様3は、界面活性剤が、以下の式:
【0226】
【0227】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、態様1又は態様2に記載の製剤である。
【0228】
態様4は、界面活性剤が、以下の式:
【0229】
【0230】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、態様1又は態様2に記載の製剤である。
【0231】
態様5は、界面活性剤が、以下の式:
【0232】
【0233】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様1又は態様2に記載の製剤である。
【0234】
態様6は、界面活性剤が、以下の式:
【0235】
【0236】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、態様1又は態様2に記載の製剤である。
【0237】
態様7は、界面活性剤が、以下の式:
【0238】
【0239】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様1又は態様2に記載の製剤である。
【0240】
態様8は、殺菌剤のための製剤であり、それは、式Iであって、
【0241】
【0242】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、式I;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;及び殺菌剤、を含む。
【0243】
態様9は、共界面活性剤をさらに含む、態様8に記載の製剤である。
【0244】
態様10は、キャリア剤をさらに含む、態様8又は態様9に記載の製剤である。
【0245】
態様11は、界面活性剤が、以下の式:
【0246】
【0247】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、態様8~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0248】
態様12は、界面活性剤が、以下の式:
【0249】
【0250】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、態様8~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0251】
態様13は、界面活性剤が、以下の式:
【0252】
【0253】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様8~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0254】
態様14は、界面活性剤が、以下の式:
【0255】
【0256】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、態様8~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0257】
態様15は、界面活性剤が、以下の式:
【0258】
【0259】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様8~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0260】
態様16は、除草剤のための製剤であり、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0261】
【0262】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、
所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;及び除草剤、を含む。
【0263】
態様17は、第二の除草剤をさらに含む、態様16に記載の製剤である。
【0264】
態様18は、水不溶性溶媒をさらに含む、態様16又は態様17に記載の製剤である。
【0265】
態様19は、水をさらに含む、態様16~18のいずれか1つに記載の製剤である。
【0266】
態様20は、界面活性剤が、以下の式:
【0267】
【0268】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、態様16~19のいずれか1つに記載の製剤である。
【0269】
態様21は、界面活性剤が、以下の式:
【0270】
【0271】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、態様16~19のいずれか1つに記載の製剤である。
【0272】
態様22は、界面活性剤が、以下の式:
【0273】
【0274】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様16~19のいずれか1つに記載の製剤である。
【0275】
態様23は、界面活性剤が、以下の式:
【0276】
【0277】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、態様16~19のいずれか1つに記載の製剤である。
【0278】
態様24は、界面活性剤が、以下の式:
【0279】
【0280】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様16~19のいずれか1つに記載の製剤である。
【0281】
態様25は、殺虫剤のための製剤であり、それは、式Iの少なくとも1つの界面活性剤であって、
【0282】
【0283】
式中、R1及びR2は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素及びC1~C6アルキルから成る群より選択されてよく、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよく;nは、2~5の整数であり(2及び5を含む);mは、9~20の整数であり(9及び20を含む);末端窒素はR3でさらに置換されてもよく、この場合R3は、水素、酸素、ヒドロキシル、及びC1~C6アルキルから成る群より選択され、C1~C6アルキルは、所望に応じて、ヒドロキシル、アミノ、アミド、スルホニル、スルホネート、カルボニル、カルボキシル、及びカルボキシレートから成る群より選択される1又は複数の置換基で置換されていてよい、界面活性剤;所望に応じて存在してよく、存在する場合、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、及び水酸化物イオンから成る群より選択される、この化合物に付随する対イオン;及び殺虫剤、を含む。
【0284】
態様26は、消泡剤をさらに含む、態様25に記載の製剤である。
【0285】
態様27は、凍結防止剤をさらに含む、態様25又は態様26に記載の製剤である。
【0286】
態様28は、水をさらに含む、態様25~27のいずれか1つに記載の製剤である。
【0287】
態様29は、界面活性剤が、以下の式:
【0288】
【0289】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージドである、態様25~27のいずれか1つに記載の製剤である。
【0290】
態様30は、界面活性剤が、以下の式:
【0291】
【0292】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシドである、態様25~27のいずれか1つに記載の製剤である。
【0293】
態様31は、界面活性剤が、以下の式:
【0294】
【0295】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様25~27のいずれか1つに記載の製剤である。
【0296】
態様32は、界面活性剤が、以下の式:
【0297】
【0298】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネートである、態様25~27のいずれか1つに記載の製剤である。
【0299】
態様33は、界面活性剤が、以下の式:
【0300】
【0301】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリドである、態様25~27のいずれか1つに記載の製剤である。
【0302】
態様34は、農薬が、殺虫剤である、態様1又は態様2に記載の製剤である。
【0303】
態様35は、消泡剤をさらに含む、態様34に記載の製剤である。
【0304】
態様36は、凍結防止剤をさらに含む、態様34又は態様35に記載の製剤である。
【0305】
態様37は、水をさらに含む、態様34~36のいずれか1つに記載の製剤である。
【0306】
態様38は、界面活性剤が、以下の式:
【0307】
【0308】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0309】
【0310】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0311】
【0312】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0313】
【0314】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0315】
【0316】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及びこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む、態様1、態様2、又は態様34~37のいずれか1つに記載の製剤である。
【0317】
態様39は、界面活性剤が、以下の式:
【0318】
【0319】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0320】
【0321】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0322】
【0323】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0324】
【0325】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0326】
【0327】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及びこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む、態様8~10のいずれか1つに記載の製剤である。
【0328】
態様40は、界面活性剤が、以下の式:
【0329】
【0330】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N,N-トリメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムヨージド;
以下の式:
【0331】
【0332】
を有するドデシル6-(ジメチルアミノ)ヘキサノエートN-オキシド;
以下の式:
【0333】
【0334】
を有する6-(ドデシルオキシ)-N,N-ジメチル-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;
以下の式:
【0335】
【0336】
を有する4-((6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキシル)ジメチルアンモニオ)ブタン-1-スルホネート;
以下の式:
【0337】
【0338】
を有する6-(ドデシルオキシ)-6-オキソヘキサン-1-アミニウムクロリド;及びこれらの組み合わせ、のうちの少なくとも1つを含む、態様16~19のいずれか1つに記載の製剤である。