(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119986
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】処理装置及び処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240827BHJP
G08G 1/123 20060101ALI20240827BHJP
B60W 40/09 20120101ALI20240827BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/123 A
B60W40/09
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024096881
(22)【出願日】2024-06-14
(62)【分割の表示】P 2022579461の分割
【原出願日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2021015884
(32)【優先日】2021-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】馬場 厚志
(72)【発明者】
【氏名】小坂 晋
(72)【発明者】
【氏名】阿南 愛
(72)【発明者】
【氏名】神田 規史
(72)【発明者】
【氏名】早川 祐
(57)【要約】 (修正有)
【課題】手動運転での安全性向上を促進する処理装置を提供する。
【解決手段】リモートセンタ(8)と通信可能なホスト車両(2)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサを含む処理装置(1a)において、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信するように生成することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから取得することとを、実行するように構成される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト移動体(2,3a)及び前記ホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタ(9)と通信可能なリモートセンタ(8)において、前記ホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(82)を含む処理装置(8a)であって、
前記プロセッサは、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転の前記ホスト移動体から取得することと、
前記シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、前記ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成され、
前記フィードバック情報を生成することは、
前記ライドシェアリングサービス又は前記カーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するために前記サービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、前記シーン情報に基づき判断される前記安全エンベロープ違反の要因を表す前記フィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む処理装置。
【請求項2】
前記シーン情報を取得することは、
前記安全エンベロープ違反の状況を表す前記シーン情報として、状況情報を取得することを、含む請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記フィードバック情報を生成することは、
前記シーン情報に基づき判断される前記運転の支援内容を表す前記フィードバック情報として、支援情報を生成することを、含む請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記フィードバック情報を生成することは、
前記ホスト移動体のドライバに対して前記シーン情報に基づき判断される運転スコアを表す前記フィードバック情報として、スコア情報を生成することを、含む請求項1~3のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項5】
前記フィードバック情報を生成することは、
前記公開情報を、前記シーン情報及び前記フィードバック情報のうち少なくとも一方に基づき生成することを、含む請求項1~4のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項6】
前記フィードバック情報を生成することは、
前記シーン情報を取得するのに応答して、前記フィードバック情報を生成することを、含む請求項1~5のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記シーン情報を取得することは、
複数時点に取得した前記シーン情報を、前記リモートセンタの記憶媒体(80)に蓄積することを、含み、
前記フィードバック情報を生成することは、
前記記憶媒体に記憶された前記複数時点での前記シーン情報の統計分析に基づき、前記フィードバック情報を生成することを、含む請求項1~6のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記フィードバック情報を生成することは、
前記フィードバック情報の生成又は送信に応答して、前記複数時点での前記シーン情報を前記記憶媒体から削除することを、含む請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
ホスト移動体(2,3a)及び前記ホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタ(9)と通信可能なリモートセンタ(8)において、前記ホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(82)により実行される処理方法であって、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転の前記ホスト移動体から取得することと、
前記シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、前記ホスト移動体へ送信するように生成することとを、含み、
前記フィードバック情報を生成することは、
前記ライドシェアリングサービス又は前記カーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するために前記サービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、前記シーン情報に基づき判断される前記安全エンベロープ違反の要因を表す前記フィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む処理方法。
【請求項10】
ホスト移動体(2,3a)及び前記ホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタ(9)と通信可能なリモートセンタ(8)において、前記ホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(80)に記憶され、プロセッサ(82)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、
前記命令は、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転の前記ホスト移動体から取得させることと、
前記シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、前記ホスト移動体へ送信するように生成させることとを、含み、
前記フィードバック情報を生成することは、
前記ライドシェアリングサービス又は前記カーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するために前記サービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、前記シーン情報に基づき判断される前記安全エンベロープ違反の要因を表す前記フィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む処理プログラム。
【請求項11】
リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、前記ホスト移動体の第一プロセッサ(12)と、前記ホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタ(9)と通信可能な前記リモートセンタの第二プロセッサ(82)とを含む処理システム(1)であって、
前記第一プロセッサは、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転の前記ホスト移動体において監視することと、
前記安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、前記安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、前記ホスト移動体から前記リモートセンタへ送信するように生成することとを、実行するように構成され、
前記第二プロセッサは、
前記シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、前記リモートセンタから前記ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成され、
前記フィードバック情報を生成することは、
前記ライドシェアリングサービス又は前記カーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するために前記サービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、前記シーン情報に基づき判断される前記安全エンベロープ違反の要因を表す前記フィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む処理システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2021年2月3日に日本に出願された特許出願第2021-15884号を基礎としており、基礎の出願の内容を、全体的に、参照により援用している。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するための、処理技術に関する。
【背景技術】
【0003】
特許文献1に開示される技術は、ホスト車両のナビゲーション動作に関する運転制御を、ホスト車両の内外環境に関する検知情報に応じて計画している。そこで、運転ポリシに従う安全モデルと検知情報とに基づき潜在的な事故責任があると判断される場合には、運転制御に対して制約が与えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
しかし、特許文献1に開示される技術から、手動運転での安全性向上まで想定することは、困難である。
【0006】
本開示の課題は、手動運転での安全性向上を促進する処理装置を、提供することにある。本開示のまた別の課題は、手動運転での安全性向上を促進する処理方法を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、手動運転での安全性向上を促進する処理プログラムを、提供することにある。本開示のまたさらに別の課題は、手動運転での安全性向上を促進する処理システムを、提供することにある。
【0007】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。
【0008】
本開示の第一態様は、
ホスト移動体及びホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタと通信可能なリモートセンタにおいてホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサを含む処理装置であって、
プロセッサは、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得することと、
シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成され、
フィードバック情報を生成することは、
ライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するためにサービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、シーン情報に基づき判断される安全エンベロープ違反の要因を表すフィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む。
【0009】
本開示の第二態様は、
ホスト移動体及びホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタと通信可能なリモートセンタにおいてホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサにより実行される処理方法であって、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得することと、
シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ホスト移動体へ送信するように生成することとを、含み、
フィードバック情報を生成することは、
ライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するためにサービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、シーン情報に基づき判断される安全エンベロープ違反の要因を表すフィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む。
【0010】
本開示の第三態様は、
ホスト移動体及びホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタと通信可能なリモートセンタにおいてホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体に記憶され、プロセッサに実行させる命令を含む処理プログラムであって、
命令は、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得させることと、
シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ホスト移動体へ送信するように生成させることとを、含み、
フィードバック情報を生成することは、
ライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するためにサービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、シーン情報に基づき判断される安全エンベロープ違反の要因を表すフィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む。
【0011】
本開示の第四態様は、
リモートセンタと通信可能なホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために、ホスト移動体の第一プロセッサと、ホスト移動体に関連するライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスを提供するサービスセンタと通信可能なリモートセンタの第二プロセッサとを含む処理システムであって、
第一プロセッサは、
意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、
安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ホスト移動体からリモートセンタへ送信するように生成することとを、実行するように構成され、
第二プロセッサは、
シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、リモートセンタからホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成され、
フィードバック情報を生成することは、
ライドシェアリングサービス又はカーシェアリングサービスが運転スコアの高いドライバを選択するためにサービスセンタへ公開される公開情報に用いられ、シーン情報に基づき判断される安全エンベロープ違反の要因を表すフィードバック情報として、手動運転での誤判断又は誤制御を特定する要因情報を生成することを、含む。
【0012】
これら第一~第四態様によると、手動運転のホスト移動体において、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報に基づき、フィードバック情報がリモートセンタからホスト移動体へフィードバックされる。これによりホスト移動体では、安全エンベロープ違反に対する判定の適正度が、第三者判断となるフィードバック情報に基づき認識され得る。したがって、ホスト移動体において手動運転での安全性向上を促進することが、可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示における用語の説明を示す説明表である。
【
図2】本開示における用語の説明を示す説明表である。
【
図3】本開示における用語の説明を示す説明表である。
【
図4】本開示における用語の定義を示す説明表である。
【
図5】本開示における用語の定義を示す説明表である。
【
図6】第一実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図7】第一実施形態の適用されるホスト車両の走行環境を示す模式図である。
【
図8】第一実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図9】第一実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図10】第一実施形態の車線構造例を示す模式図である。
【
図11】第一実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図12】第一実施形態の処理方法を説明する説明表である。
【
図13】第二実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図14】第二実施形態の処理方法を説明するグラフである。
【
図15】第三実施形態の機能ブロックを示すブロック図である。
【
図16】第三実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図17】第四実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図18】第四実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図19】第四実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図20】第五実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図21】第五実施形態の処理方法を示すフローチャートである。
【
図22】第六実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図23】第七実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図24】第八実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図25】第八実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図26】第八実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図27】第九実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図28】第十実施形態の処理システムを示すブロック図である。
【
図29】第十実施形態の変形例の処理システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示による複数の実施形態を、図面に基づき説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0015】
図1~5は、本開示の各実施形態に関連する用語の説明を、示している。但し、用語の定義は、
図1~5に示される説明に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において解釈されるものである。
【0016】
(第一実施形態)
図6に示される第一実施形態の処理システム1は、ホスト移動体の運転に関連する処理(以下、運転関連処理と表記)を、遂行する。処理システム1が運転関連処理の対象とするホスト移動体は、
図6,7に示されるホスト車両2である。ホスト車両2の視点において、ホスト車両2は自車両(ego-vehicle)であるともいえる。
【0017】
ホスト車両2においては、自動運転が実行される。自動運転は、動的運転タスク(Dynamic Driving Task:以下、DDTと表記)における乗員の手動介入度に応じて、レベル分けされる。自動運転は、条件付運転自動化、高度運転自動化、又は完全運転自動化といった、作動時のシステムが全てのDDTを実行する自律走行制御により、実現されてもよい。自動運転は、運転支援、又は部分運転自動化といった、乗員としてのドライバが一部若しくは全てのDDTを実行する高度運転支援制御において、実現されてもよい。自動運転は、それら自律走行制御と高度運転支援制御とのいずれか一方、組み合わせ、又は切り替えにより実現されてもよい。
【0018】
ホスト車両2には、
図6,8に示されるセンサ系5、通信系6、及地
図DB(Data Base)7、及び情報提示系4が搭載される。センサ系5は、処理システム1により利用可能なセンサデータを、ホスト車両2における外界及び内界の検出により取得する。そのためにセンサ系5は、外界センサ50及び内界センサ52を含んで構成される。
【0019】
外界センサ50は、ホスト車両2の外界に存在する物標を、検出してもよい。物標検出タイプの外界センサ50は、例えばカメラ、LiDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)、レーザレーダ、ミリ波レーダ、及び超音波ソナー等のうち、少なくとも一種類である。外界センサ50は、ホスト車両2の外界における大気の状態を、検出してもよい。大気検出タイプの外界センサ50は、例えば外気温センサ、及び湿度センサ等のうち、少なくとも一種類である。
【0020】
内界センサ52は、ホスト車両2の内界において車両運動に関する特定の物理量(以下、運動物理量と表記)を、検出してもよい。物理量検出タイプの内界センサ52は、例えば速度センサ、加速度センサ、及びジャイロセンサ等のうち、少なくとも一種類である。内界センサ52は、ホスト車両2の内界における乗員の状態を、検出してもよい。乗員検出タイプの内界センサ52は、例えばアクチュエータセンサ、ドライバステータスモニタ、生体センサ、着座センサ、及び車内機器センサ等のうち、少なくとも一種類である。ここで特にアクチュエータセンサとしては、ホスト車両2の運動アクチュエータに関する乗員の操作状態を検出する、例えばアクセルセンサ、ブレーキサンサ、及び操舵センサ等のうち、少なくとも一種類が採用される。
【0021】
通信系6は、処理システム1により利用可能な通信データを、無線通信により取得する。通信系6は、ホスト車両2の外界に存在するGNSS(Global Navigation Satellite System)の人工衛星から、測位信号を受信してもよい。測位タイプの通信系6は、例えばGNSS受信機等である。通信系6は、ホスト車両2の外界に存在するV2Xシステムとの間において、通信信号を送受信してもよい。V2Xタイプの通信系6は、例えばDSRC(Dedicated Short Range Communications)通信機、及びセルラV2X(C-V2X)通信機等のうち、少なくとも一種類である。通信系6は、ホスト車両2の内界に存在する端末との間において、通信信号を送受信してもよい。端末通信タイプの通信系6は、例えばブルートゥース(Bluetooth:登録商標)機器、Wi-Fi(登録商標)機器、及び赤外線通信機器等のうち、少なくとも一種類である。
【0022】
こうした通信系6は、
図9に示されるように、少なくとも一種類の通信装置6aを主体に構築されるとよい。この場合に通信装置6aは、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成される。また、この場合に通信装置6aを構成する専用コンピュータは、メモリ60及びプロセッサ62を、少なくとも一つずつ有している。ここで通信装置6aのメモリ60及びプロセッサ62は、後述する処理装置1aのメモリ10及びプロセッサ12に準ずる。
【0023】
図6,8に示される地
図DB7は、処理システム1により利用可能な地図データを、記憶する。地
図DB7は、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)を含んで構成される。地
図DB7は、自己位置を含んだホスト車両2の自己状態量を推定するロケータの、DBであってもよい。地
図DBは、ホスト車両2の走行経路をナビゲートするナビゲーションユニットの、DBであってもよい。地
図DB7は、複数種類のDBの組み合わせにより、構築されてもよい。
【0024】
地
図DB7は、例えばV2Xタイプの通信系6を介した外部センタとの通信等により、最新の地図データを取得して記憶する。地図データは、ホスト車両2の走行環境を表すデータとして、二次元又は三次元にデータ化されている。三次元の地図データとしては、高精度地図のデジタルデータが採用されてもよい。地図データは、例えば道路構造の位置座標、形状、及び路面状態等のうち、少なくとも一種類を表した道路データを含んでいてもよい。地図データは、例えば道路に付属する道路標識、道路表示、及び区画線の、位置座標並びに形状等のうち、少なくとも一種類を表した標示データを含んでいてもよい。地図データに含まれる標示データは、ランドマークのうち、例えば交通標識、矢印マーキング、車線マーキング、停止線、方向標識、ランドマークビーコン、長方形標識、ビジネス標識、又は道路のラインパターン変化等を表していてもよい。地図データは、例えば道路に面する建造物及び信号機の、位置座標並びに形状等のうち、少なくとも一種類を表した構造物データを含んでいてもよい。地図データに含まれる標示データは、ランドマークのうち、例えば街灯、道路のエッジ、反射板、ポール、又は道路標識の裏側等を表していてもよい。
【0025】
情報提示系4は、ホスト車両2のドライバを含む乗員へ向けた報知情報を提示する。情報提示系4は、視覚提示ユニット、聴覚提示ユニット、及び皮膚感覚提示ユニットを含んで構成される。視覚提示ユニットは、乗員の視覚を刺激することより、報知情報を提示する。視覚提示ユニットは、例えばHUD(Head-up Display)、MFD(Multi Function Display)、コンビネーションメータ、ナビゲーションユニット、及び発光ユニット等のうち、少なくとも一種類である。聴覚提示ユニットは、乗員の聴覚を刺激することにより、報知情報を提示する。聴覚提示ユニットは、例えばスピーカ、ブザー、及びバイブレーションユニット等のうち、少なくとも一種類である。皮膚感覚提示ユニットは、乗員の皮膚感覚を刺激することにより、報知情報を提示する。皮膚感覚提示ユニットにより刺激される皮膚感覚には、例えば触覚、温度覚、及び風覚等のうち、少なくとも一種類が含まれる。皮膚感覚提示ユニットは、例えばステアリングホイールのバイブレーションユニット、運転席のバイブレーションユニット、ステアリングホイールの反力ユニット、アクセルペダルの反力ユニット、ブレーキペダルの反力ユニット、及び空調ユニット等のうち、少なくとも一種類である。
【0026】
図6に示されるように処理システム1は、ホスト車両2の処理装置1aと、リモートセンタ8の処理装置8aとを、含んで構築される。ここで処理システム1は、ホスト車両2におけるセンサ系5、通信系6、地
図DB7、及び情報提示系4のうち、少なくとも通信系6を含んで構築されてもよい。処理装置1aは、例えばLAN(Local Area Network)、ワイヤハーネス、内部バス、及び無線通信回線等のうち、少なくとも一種類を介してセンサ系5、通信系6、地
図DB7、及び情報提示系4に接続される。処理装置1aは、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成される。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2の運転制御を統合する、統合ECU(Electronic Control Unit)であってもよい。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2の運転制御におけるDDTを判断する、判断ECUであってもよい。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2の運転制御を監視する、監視ECUであってもよい。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2の運転制御を評価する、評価ECUであってもよい。
【0027】
処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2の走行経路をナビゲートする、ナビゲーションECUであってもよい。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2の自己位置を含む自己状態量を推定する、ロケータECUであってもよい。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2の運動アクチュエータを制御する、アクチュエータECUであってもよい。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、ホスト車両2における情報提示を制御する、HCU(HMI(Human Machine Interface) Control Unit)であってもよい。処理装置1aを構成する専用コンピュータは、例えば通信系6を介して通信可能なモバイル端末等を構築する、少なくとも一つの外部コンピュータであってもよい。
【0028】
処理装置1aを構成する専用コンピュータは、メモリ10及びプロセッサ12を、少なくとも一つずつ有している。メモリ10は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びRISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。
【0029】
プロセッサ12は、ソフトウェアとしてメモリ10に記憶された処理プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これにより処理装置1aは、ホスト車両2の運転関連処理を遂行するための機能ブロックを、構築する。このように処理装置1aでは、ホスト車両2の運転関連処理を遂行するためにメモリ10に記憶された処理プログラムが複数の命令をプロセッサ12に実行させることにより、機能ブロックが構築される。処理装置1aにより構築される機能ブロックには、
図8に示されるように検知ブロック100、計画ブロック120、リスク監視ブロック140、及び制御ブロック160が含まれる。
【0030】
検知ブロック100は、センサ系5の外界センサ50及び内界センサ52からセンサデータを取得する。検知ブロック100は、通信系6から通信データを取得する。検知ブロック100は、地
図DB7から地図データを取得する。検知ブロック100は、これらの取得データを入力としてフュージョンすることにより、ホスト車両2の内外環境を検知する。内外環境の検知により検知ブロック100は、後段の計画ブロック120とリスク監視ブロック140とへ与える検知情報を生成する。このように検知情報の生成に当たって検知ブロック100は、センサ系5及び通信系6からデータを取得し、取得データの意味を認識又は理解し、ホスト車両2の外界状況及びその中での自己の置かれた状況、並びにホスト車両2の内界状況を含む状況全般を、取得データを統合して把握するといえる。検知ブロック100は、計画ブロック120とリスク監視ブロック140とへ実質同一の検知情報を与えてもよい。検知ブロック100は、計画ブロック120とリスク監視ブロック140とへ相異なる検知情報を与えてもよい。
【0031】
検知ブロック100が生成する検知情報は、ホスト車両2の走行環境においてシーン毎に検知される状態を、記述している。検知ブロック100は、ホスト車両2の外界における道路ユーザ、障害物、及び構造物を含んだ物体を検知することにより、当該物体の検知情報を生成してもよい。物体の検知情報は、例えば物体までの距離、物体の相対速度、物体の相対加速度、物体の追尾検知による推定状態等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。物体の検知情報はさらに、検知された物体の状態から認識又は特定される種別を、表していてもよい。検知ブロック100は、ホスト車両2の現在及び将来に走行する走路を検知することにより、当該走路の検知情報を生成してもよい。走路の検知情報は、例えば路面、車線、道路端、及びフリースペース等のうち、少なくとも一種類の状態を表していてもよい。
【0032】
検知ブロック100は、ホスト車両2の自己位置を含む自己状態量を推定的に検知するローカリゼーションにより、当該自己状態量の検知情報を生成してもよい。検知ブロック100は、自己状態量の検知情報と同時に、ホスト車両2の走路に関する地図データの更新情報を生成して、当該更新情報を地
図DB7へフィードバックしてもよい。検知ブロック100は、ホスト車両2の走路に関連付けられた標示を検知することにより、当該標示の検知情報を生成してもよい。標示の検知情報は、例えば標識、区画線、及び信号機等のうち、少なくとも一種類の状態を表していてもよい。標示の検知情報はさらに、標示の状態から認識又は特定される交通ルールを、表していてもよい。検知ブロック100は、ホスト車両2の走行するシーン毎の気象状況を検知することにより、当該気象状況の検知情報を生成してもよい。検知ブロック100は、ホスト車両2の走行シーン毎の時刻を検知することにより、当該時刻の検知情報を生成してもよい。
【0033】
計画ブロック120は、検知ブロック100から検知情報を取得する。計画ブロック120は、取得した検知情報に応じてホスト車両2の運転制御を計画する。運転制御の計画では、ホスト車両2のナビゲーション動作及びドライバの支援動作に関する制御指令が生成される。即ち計画ブロック120は、ホスト車両2の運動制御要求として制御指令を生成する、DDT機能を実現する。計画ブロック120が生成する制御指令は、ホスト車両2の運動アクチュエータを制御するための制御パラメータを、含んでいてもよい。制御指令の出力対象となる運動アクチュエータとしては、例えば内燃機関、電動モータ、及びそれらが組み合わされたパワトレイン、ブレーキ装置、並びに操舵装置等のうち、少なくとも一種類が挙げられる。
【0034】
計画ブロック120は、運転ポリシとその安全性に従って記述された安全モデルを用いることにより、当該運転ポリシと適合するように制御指令を生成してもよい。安全モデルの従う運転ポリシとは、例えば意図された機能の安全性(Safety Of The Intended Functionality:以下、SOTIFと表記)を保証する車両レベル安全戦略を踏まえて、規定される。換言すれば安全モデルは、車両レベル安全戦略の実装となる運転ポリシに従うことにより、且つSOTIFをモデリングすることにより、記述される。計画ブロック120は、運転制御結果を安全モデルに逆伝播させる機械学習アルゴリズムにより、安全モデルをトレーニングしてもよい。トレーニングされる安全モデルとしては、例えばDNN(Deep Neural Network)といったニュラーラルネットワークによるディープラーニング、及び強化学習等のうち、少なくとも一種類の学習モデルが用いられてもよい。ここで安全モデルとは、他の道路ユーザの合理的に予見可能な行動についての仮定に基づく運転行動の安全関連側面を表現した、安全関連モデル(safety-related models)そのものに定義されてもよいし、当該安全関連モデルのうち一部を構成するモデルに定義されてもよい。このような安全モデルは、例えば車両レベル安全を定式化した数理モデル、及び当該数理モデルに従った処理を実行するコンピュータプログラム等のうち、少なくとも一種類の形態で構築されているとよい。
【0035】
計画ブロック120は、運転制御によってホスト車両2に将来走行させる経路を、制御指令の生成に先立って計画してもよい。経路計画は、検知情報に基づいてホスト車両2をナビゲートするために、例えばシミュレーション等の演算によって実行されてもよい。即ち計画ブロック120は、ホスト車両2の戦術的行動として経路を計画する、DDT機能を実現してもよい。計画ブロック120はさらに、計画経路を辿るホスト車両2に対して、取得した検知情報に基づく適正な軌道を、制御指令の生成に先立って計画してもよい。即ち計画ブロック120は、ホスト車両2の軌道を計画する、DDT機能を実現してもよい。計画ブロック120が計画する軌道は、ホスト車両2に関する運動物理量として、例えば走行位置、速度、加速度、及びヨーレート等のうち、少なくとも一種類を時系列に規定してもよい。時系列な軌道計画は、ホスト車両2のナビゲートによる将来走行のシナリオを、構築する。計画ブロック120は、安全モデルを用いた計画によって軌道を生成してもよい。この場合には、生成された軌道に対してコストを与えるコスト関数が演算されることにより、当該演算結果に基づく機械学習アルゴリズムによって安全モデルがトレーニングされてもよい。
【0036】
計画ブロック120は、ホスト車両2における自動運転レベルの調整を、取得した検知情報に応じて計画してもよい。自動運転レベルの調整には、自動運転と手動運転との間での引き継ぎも含まれていてもよい。自動運転と手動運転との間での引き継ぎは、自動運転を実行する運行設計領域(Operational Design Domain:以下、ODDと表記)の設定により、当該ODDに対する進入又は退出に伴うシナリオにおいて実現されてもよい。ODDからの退出シナリオ、即ち自動運転から手動運転への引き継ぎシナリオでは、例えば安全モデル等に基づき不合理なリスクが存在すると判断される不合理な状況が、ユースケースとして挙げられる。このユースケースにおいて計画ブロック120は、フォールバック予備ユーザとなるドライバが最小リスク操作をホスト車両2に与えてホスト車両2を最小リスク状態へ移行させるためのDDTフォールバックを、計画してもよい。
【0037】
自動運転レベルの調整には、ホスト車両2の縮退走行が含まれてもよい。縮退走行のシナリオでは、手動運転への引き継ぎによっては不合理なリスクが存在すると、例えば安全モデル等に基づき判断される不合理な状況が、ユースケースとして挙げられる。このユースケースにおいて計画ブロック120は、自律走行及び自律停止によりホスト車両2を最小リスク状態へ移行させるためのDDTフォールバックを、計画してもよい。ホスト車両2を最小リスク状態へ移行させるためのDDTフォールバックは、自動運転レベルを引き下げる調整において実現されるだけでなく、自動運転レベルを維持して縮退走行させる調整、例えばMRM(Minimum Risk Maneuver)等において実現されてもよい。ホスト車両2を最小リスク状態へ移行させるためのDDTフォールバックでは、例えば照明、ホーン音、信号、及びジェスチャー等のうち、少なくとも一種類により当該移行状況の目立ち易さが高められてもよい。
【0038】
リスク監視ブロック140は、検知ブロック100から検知情報を取得する。リスク監視ブロック140は、取得した検知情報に基づくことにより、ホスト車両2とその他のターゲット移動体3(
図7参照)との間におけるリスクを、シーン毎に監視する。リスク監視ブロック140は、ターゲット移動体3に対してホスト車両2のSOTIFを保証するように、検知情報に基づくリスク監視を時系列に実行する。リスク監視において想定されるターゲット移動体3は、ホスト車両2の走行環境に存在する他の道路ユーザである。ターゲット移動体3には、例えば自動車、トラック、バイク、及び自転車といった脆弱性のない道路ユーザと、歩行者といった脆弱な道路ユーザとが、含まれる。ターゲット移動体3にはさらに、動物が含まれてもよい。
【0039】
リスク監視ブロック140は、ホスト車両2においてSOTIFを保証する、例えば車両レベル安全戦略等を踏まえた安全エンベロープを、取得したシーン毎の検知情報に基づき設定する。リスク監視ブロック140は、上述の運転ポリシに従う安全モデルを用いて、ホスト車両2及びターゲット移動体3間における安全エンべーロープを設定してもよい。安全エンベロープの設定に用いられる安全モデルは、不合理なリスク又は道路ユーザの誤用に起因する潜在的な事故責任を、事故責任規則に則って回避するように設計されてもよい。換言すれば安全モデルは、運転ポリシに従う事故責任規則をホスト車両2が遵守するように設計されてもよい。こうした安全モデルとしては、例えば特許文献1に開示されるような責任敏感型安全性モデル(Responsibility Sensitive Safety model)等が、挙げられる。
【0040】
ここで安全エンベロープとは、許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するためにシステムが制約又は制御の対象として動作するように設計されている、一連の制限及び条件として定義されてもよい。このような安全エンベロープは、ホスト車両2及びターゲット移動体3を含んだ各道路ユーザの周囲における物理ベースのマージンとして、例えば距離、速度、及び加速度等のうち少なくとも一種類の運動物理量に関するマージンにより、設定可能である。例えば安全エンベロープの設定では、運転ポリシに従うと仮定したホスト車両2及びターゲット移動体3に対する安全モデルに基づくことにより、少なくとも一種類の運動物理量に関するプロファイルから、安全距離が想定されてもよい。安全距離は、予測されるターゲット移動体3の運動に対して、ホスト車両2の周囲に物理ベースのマージンを確保した境界を、画定する。安全距離は、道路ユーザにより適切な応答が実行されるまでの反応時間を加味して、想定されてもよい。安全距離は、事故責任規則を遵守するように、想定されてもよい。例えば車線等の車線構造が存在するシーンでは、ホスト車両2の縦方向において追突及び正面衝突のリスクを回避する安全距離と、ホスト車両2の横方向において側面衝突のリスクを回避する安全距離とが、演算されてもよい。一方、車線構造が存在しないシーンでは、ホスト車両2の任意方向において軌道の衝突するリスクを回避する安全距離が、演算されてもよい。
【0041】
リスク監視ブロック140は、ホスト車両2及びターゲット移動体3間における相対運動のシーン毎での状況を、上述した安全エンベロープの設定に先立って特定してもよい。例えば車線等の車線構造が存在するシーンでは、縦方向において追突及び正面衝突のリスクが想定される状況と、横方向において側面衝突のリスクが想定される状況とが、特定されてもよい。これら縦方向及び横方向の状況特定では、直線状の車線を前提とする座標系へ、ホスト車両2及びターゲット移動体3に関する状態量が変換されてもよい。一方、車線構造が存在しないシーンでは、ホスト車両2の任意方向において軌道が衝突するリスクの想定される状況が、特定されてもよい。尚、以上の状況特定機能については、検知ブロック100により少なくとも一部が実行されることにより、状況特定結果が検知情報としてリスク監視ブロック140に与えられてもよい。
【0042】
リスク監視ブロック140は、ホスト車両2及びターゲット移動体3間における安全判定を、設定した安全エンベロープと、取得したシーン毎の検知情報とに基づき、実行する。即ちリスク監視ブロック140は、ホスト車両2及びターゲット移動体3間において検知情報に基づき解釈される走行シーンには、安全エンベロープの違反となる安全エンベロープ違反があるか否かをテストすることにより、安全判定を実現する。安全エンベロープの設定において安全距離が想定される場合には、ホスト車両2及びターゲット移動体3間の現実距離が当該安全距離超過となることにより、安全エンベロープ違反はないとの判定が下されてもよい。一方、ホスト車両2及びターゲット移動体3間の現実距離が安全距離以下となることにより、安全エンベロープ違反があるとの判定が下されてもよい。
【0043】
リスク監視ブロック140は、安全エンベロープ違反ありとの判定を下した場合に、適切な応答として取るべき適正な行動をホスト車両2へ与えるための合理的なシナリオを、シミュレーションにより演算してもよい。合理的シナリオのシミュレーションでは、ホスト車両2及びターゲット移動体3間での状態遷移が推定されることにより、遷移する状態毎に取るべき行動が、ホスト車両2に対する制約(後に詳述)として設定されてもよい。行動の設定では、ホスト車両2へ与える少なくとも一種類の運動物理量を、ホスト車両2に対する制約として制限するように、当該運動物理量に対して仮定される制限値が演算されてもよい。
【0044】
リスク監視ブロック140は、運転ポリシに従うと仮定したホスト車両2及びターゲット移動体3に対しての安全モデルに基づくことにより、少なくとも一種類の運動物理量に関するプロファイルから、事故責任規則を遵守するための制限値を直接的に演算してもよい。直接的な制限値の演算は、それ自体が安全エンべーロープの設定であって、運転制御に対する制約の設定でもあるといえる。そこで、制限値よりも安全側の現実値が検知される場合、安全エンベロープ違反なしとの判定が下されてもよい。一方、制限値を外れる側の現実値が検知される場合、安全エンベロープ違反ありとの判定が下されてもよい。
【0045】
リスク監視ブロック140は、例えば安全エンベロープの設定に用いられた検知情報、安全エンベロープの判定結果を表す判定情報、当該判定結果を左右した検知情報、及びシミュレートしたシナリオ等のうち、少なくとも一種類のエビデンス情報をメモリ10に記憶してもよい。エビデンス情報の記憶されるメモリ10は、処理装置1aを構成する専用コンピュータの種類に応じて、ホスト車両2内に搭載されていてもよいし、例えばホスト車両2外の外部センタ等に設置されていてもよい。エビデンス情報は、非暗号化状態で記憶されてもよいし、暗号化又はハッシュ化されて記憶されてもよい。エビデンス情報の記憶は、安全エンベロープ違反はあるとの判定の場合に、少なくとも実行される。勿論、安全エンベロープ違反はないとの判定の場合にも、エビデンス情報の記憶は実行されてもよい。安全エンベロープ違反なしとの判定の場合におけるエビデンス情報は、記憶時点では遅行型指標として利活用可能であり、将来に対しては先行型指標としても利活用可能となる。
【0046】
制御ブロック160は、計画ブロック120から制御指令を取得する。制御ブロック160は、リスク監視ブロック140から安全エンベロープに関する判定情報を取得する。即ち制御ブロック160は、ホスト車両2の運動を制御する、DDT機能を実現する。制御ブロック160は、安全エンベロープ違反なしとの判定情報を取得した場合に、計画されたホスト車両2の運転制御を、制御指令に従って実行する。
【0047】
これに対して制御ブロック160は、安全エンベロープ違反ありとの判定情報を取得した場合に、計画されたホスト車両2の運転制御に対して、判定情報に基づき運転ポリシに従う制約を与える。運転制御に対する制約は、機能的な制約(functional restriction)であってもよい。運転制御に対する制約は、縮退した制約(degraded constraints)であってもよい。運転制御に対する制約は、これらとは別の制約であってもよい。運転制御に対して制約は、制御指令の制限によって与えられる。合理的なシナリオがリスク監視ブロック140によりシミュレートされている場合に制御ブロック160は、当該シナリオに従って制御指令を制限してもよい。このとき、ホスト車両2の運動物理量に関して制限値が設定されている場合には、制御指令に含まれる運動アクチュエータの制御パラメータが、当該制限値に基づき補正されてもよい。
【0048】
ターゲット移動体3のうち、
図7に示されるターゲット車両3aは、ホスト車両2に準ずる処理装置1a、センサ系5、通信系6、地
図DB7、及び情報提示系4を、搭載していてもよい。この場合にリモートセンタ8からの視点では、ホスト車両2が「第一ホスト移動体」に相当し、別のホスト車両2となるターゲット車両3aが「第二ホスト移動体」に相当する、と考えることができる。また、この場合に処理システム1は、ターゲット車両3aにおけるセンサ系5、通信系6、地
図DB7、及び情報提示系4のうち、少なくとも通信系6を含んで構築されてもよい。
【0049】
図6に示されるようにリモートセンタ8は、処理装置8aと共に通信系8bを備える、例えばクラウドサーバ、及びエッジサーバ等のうち、少なくとも一種類を主体に構築される。通信系8bは、ホスト車両2の通信系6と間において通信可能なV2Xシステムの、少なくとも一部を形成する。通信系8bは、ターゲット車両3aに搭載される場合の通信系6との間においても、通信可能であってもよい。処理装置8aは、有線通信回線、及び無線通信回線のうち、少なくとも一種類を介して通信系8bに接続される。処理装置8aは、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成される。処理装置8aでは、通信系8bを通じて通信可能な、ホスト車両2を含む道路ユーザに関しての情報を、例えばリモートセンタ8のオペレータへ表示する等の出力制御処理が、実行されてもよい。処理装置8aでは、通信可能な道路ユーザへフィードバックされる情報を、例えばリモートセンタ8のオペレータから受付する等の入力制御処理が、実行されてもよい。
【0050】
処理装置8aを構成する専用コンピュータは、メモリ80及びプロセッサ82を、少なくとも一つずつ有している。処理装置8aのメモリ80及びプロセッサ82は、処理装置1aのメモリ10及びプロセッサ12に準ずる。プロセッサ82は、ソフトウェアとしてメモリ80に記憶された処理プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これにより処理装置8aは、ホスト車両2の運転関連処理を処理装置1aとの協働により遂行するための機能ブロックを、構築する。処理装置8aは、ターゲット車両3aに搭載される場合の処理装置1aとの協働により、ターゲット車両3aの運転関連処理を遂行するための機能ブロックを、構築してもよい。
【0051】
このように処理装置8aでは、ホスト車両2等の運転関連処理を遂行するためにメモリ80に記憶された処理プログラムが複数の命令をプロセッサ82に実行させることにより、機能ブロックが構築される。これは処理システム1全体の視点では、メモリ10,80にそれぞれ記憶された処理プログラムが、プロセッサ12,82に命令を協働して実行させることにより、各装置1a,8aの機能ブロックが構築される、と考えることができる。このとき、ホスト車両2等において通信系6を構成する通信装置6aを含んで構築される場合の処理システム1では、メモリ10,80,60にそれぞれ記憶された処理プログラムが、プロセッサ12,62,82に命令を協働して実行させてもよい。
【0052】
一方で処理システム1全体の視点であれば、メモリ10,80の一方(特にクラウドサーバのメモリ80)に記憶された処理プログラムが、プロセッサ12,82に命令を協働して実行させることにより、各装置1a,8aの機能ブロックが構築されてもよい。このとき、ホスト車両2等において通信系6を構成する通信装置6aを含んで構築される場合の処理システム1では、メモリ10,80の一方に記憶された処理プログラムと、メモリ60に記憶された処理プログラムとが、プロセッサ12,62,82に命令を協働して実行させてもよい。
【0053】
以上のいずれの場合においても、ホスト車両2等のプロセッサ12及びメモリ10が「第一プロセッサ」及び「第一記憶媒体」にそれぞれ相当し、リモートセンタ8のプロセッサ82及びメモリ80が「第二プロセッサ」及び「第二記憶媒体」にそれぞれに相当する。
【0054】
図9に示されるように、処理装置8aにより構築される機能ブロックには、センタ管理ブロック880が含まれる。センタ管理ブロック880は、ホスト車両2を含む道路ユーザが複数存在している交通環境を、管理する。センタ管理ブロック880は、通信可能な道路ユーザの走行シーンに関するシーン情報を、通信系8bを通じてリアルタイムに取得して、交通環境の管理に利用してもよい。センタ管理ブロック880は、シーン情報に基づき交通環境を管理するために、通信可能な道路ユーザへフィードバックするフィードバック情報を、通信系8bを通じてリアルタイムに又は事後的に送信してもよい。
図9は、リモートセンタ8の処理装置8aにより構築されるセンタ管理ブロック880と、ホスト車両2の処理装置1aにより構築されるリスク監視ブロック140との間において、必要情報が通信系8b,6を介して送受信される例を、示している。
【0055】
以下、第一実施形態の詳細を説明する。
【0056】
図10に示されるように第一実施形態では、車線の区切られた車線構造Lsが、想定される。車線構造Lsは、車線の延伸する方向を縦方向として、ホスト車両2及びターゲット移動体3の運動を規制する。車線構造Lsは、車線の幅方向又は並ぶ方向を横方向として、ホスト車両2及びターゲット移動体3の運動を規制する。
【0057】
車線構造Lsにおけるホスト車両2及びターゲット移動体3間の運転ポリシは、例えばターゲット移動体3がターゲット車両3aの場合、次の(1)~(5)等に規定される。尚、ホスト車両2を基準とする前方とは、例えばホスト車両2の現在舵角における旋回円上の進行方向、ホスト車両2の車軸と直交する車両重心を通る直線の進行方向、又はホスト車両2のセンサ系5のうちフロントカメラモジュールから同カメラのFOE(Focus of Expansion)の軸線上における進行方向等を、意味する。(1) 車両は、前方を走行している車両に、後方から追突しない。(2) 車両は、他の車両間に強引な割り込みをしない。(3) 車両は、自己が優先の場合でも、状況に応じて他の車両と譲り合う。(4) 車両は、見通しの悪い場所では、慎重に運転する。(5) 車両は、自責他責に関わらず、自己で事故を防止可能な状況であれば、そのために合理的行動を取る。
【0058】
運転ポリシに従うモデルであって、SOTIFのモデリングされた安全モデルは、不合理な状況には至らない道路ユーザの行動を、取るべき適正な合理的行動として想定する。車線構造Lsにおけるホスト車両2及びターゲット移動体3間での不合理な状況とは、正面衝突、追突、及び側面衝突である。正面衝突における合理的行動は、例えばホスト車両2に対するターゲット移動体3がターゲット車両3aの場合、逆走している車両がブレーキを掛けること等を、含む。追突における合理的行動は、例えばホスト車両2に対するターゲット移動体3がターゲット車両3aの場合、前方を走行している車両が一定以上の急ブレーキを掛けないこと、及びそれを前提として後方を走行している車両が追突を回避すること等を、含む。側面衝突における合理的行動は、例えばホスト車両2に対するターゲット移動体3がターゲット車両3aの場合、並走する車両同士が互いの離間方向へ操舵すること等を、含む。合理的行動の想定に際してホスト車両2及びターゲット移動体3に関する状態量は、車線がカーブする車線構造Lsと、車線が高低する車線構造Lsとのいずれであっても、直線状且つ平面状の車線構造Lsを仮定して縦方向及び横方向を規定する、直交座標系に変換される。
【0059】
安全モデルは、合理的行動を取らなかった移動体が事故責任を負うとする、事故責任規則に則って設計されるとよい。車線構造Lsでの事故責任規則下、ホスト車両2及びターゲット移動体3間のリスクを監視するために用いられる安全モデルは、合理的行動によって潜在的な事故責任を回避するように、ホスト車両2に対する安全エンベロープをホスト車両2に対して設定する。そこで、処理装置1aの全体が正常な状況でのリスク監視ブロック140は、ホスト車両2及びターゲット移動体3間の現実距離に対して、走行シーン毎に安全モデルに基づく安全距離を照らし合わせることにより、安全エンベロープ違反の有無を判定する。安全エンベロープ違反がある場合にリスク監視ブロック140は、合理的行動をホスト車両2へ与えるためのシナリオを、シミュレーションする。シミュレーションによりリスク監視ブロック140は、制御ブロック160での運転制御に対する制約として、例えば速度及び加速度等のうち少なくとも一方に関する制限値を、設定する。
【0060】
第一実施形態では、
図11に示されるフローチャートに従って運転関連処理を遂行する処理方法が、複数機能ブロックの共同により実行される。第一実施形態の処理方法は、計画ブロック120により計画される手動運転及び自動運転のいずれにおいても、またそれらのうち一方に対する他方の介入に関わらず、繰り返し実行される。ここで処理方法の各「S」は、メモリ10,80の少なくとも一方に記憶の処理プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味している。また、ホスト車両2等において通信系6を構成する通信装置6aを含んで処理システム1が構築される場合に処理方法の各「S」は、メモリ10,80の少なくとも一方に記憶の処理プログラムに加えて、メモリ60に記憶の処理プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味していてもよい。
【0061】
処理方法のS100におけるリスク監視ブロック140は、SOTIFを運転ポリシに従って設定した安全エンベロープに関する安全エンベロープ違反を、手動運転及び自動運転のうち計画ブロック120により選択されている一方のホスト車両2において、監視する。S100において、安全エンベロープ違反は発生していない(即ち、安全エンベロープ違反なし)との判定をリスク監視ブロック140が下した場合には、処理方法の今回フローが終了する。一方でS100において、安全エンベロープ違反は発生した(即ち、安全エンベロープ違反あり)との判定をリスク監視ブロック140が下した場合には、処理方法がS110へ移行する。
【0062】
処理方法のS110においてリスク監視ブロック140は、選択されている手動運転又は自動運転のホスト車両2に発生した安全エンベロープ違反のシーンである、違反シーンを表すシーン情報Isを、通信系6を通じてホスト車両2からリモートセンタ8へ送信するように、生成する。シーン情報Isは、安全エンベロープ違反の発生タイミングにおける情報であってもよい。シーン情報Isは、例えばEDR(Event Data Recorder)等の観点から、安全エンベロープ違反の発生タイミング前後における情報を含むものであってもよい。シーン情報Isは、検知ブロック100による検知情報に基づき生成されて安全エンベロープ違反の状況を表す状況情報Iaを、含む。
【0063】
状況情報Iaは、リスク監視ブロック140の制約設定による制限値から外れた、安全エンベロープ違反の運動物理量として、例えば
図12に示されるホスト車両2の速度、及び加減速度等のうち、少なくとも一種類の現実値を表していてもよい。状況情報Iaが表す運動物理量としては、車線構造Lsにおける縦方向及び横方向の違いも考慮される。状況情報Iaは、違反シーンにおけるホスト車両2の状態として、例えば位置を含む自己状態量(即ち、ローカリゼーション推定値)、ベクトル、積算走行距離、積算走行時間、積載重量、摩耗を含むタイヤ状態、メンテナンス状態、運転アクチュエータの作動状態、及び車種等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。状況情報Iaは、ホスト車両2において外界センサ50としてのカメラにより撮影された画像又は映像を、含んでいてもよい。
【0064】
状況情報Iaは、違反シーンにおけるホスト車両2の計画ブロック120での計画状況として、例えば経路、軌道、制御パラメータ、自動運転レベル(手動運転をレベル0とした場合を含む)等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。状況情報Iaが表す経路の計画状況は、例えば目的地までのルート、及び複数車線構造における走行車線等のうち、少なくとも一種類に関する計画結果を、含んでいてもよい。手動運転における状況情報Iaは、違反シーンにおいてホスト車両2を操作しているドライバの状態として、例えば違反シーン以前の運転スコアを含む運転傾向、走行距離の履歴、走行時間の履歴、安全エンベロープ違反の履歴、及び身体状態等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。
【0065】
状況情報Iaは、違反シーンにおけるターゲット移動体3の状態として、例えば位置、距離、速度、加減速度、相対速度、相対加速度、及びそれらのベクトルを含む推定状態、並びに種別等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。状況情報Iaは、ターゲット移動体3の種別が脆弱な道路ユーザである場合に、当該道路ユーザの少なくとも一部となる人物の、例えば年齢、及び身体状態等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。
【0066】
状況情報Iaは、ホスト車両2及びターゲット移動体3間での相対状態として、例えばリスク種別を表していてもよい。状況情報Iaの表すリスク種別は、安全エンベロープ違反の判定基準となった安全エンベロープを規定する安全モデルにて
図12の如く想定される、例えば追突リスク、正面衝突リスク、側面衝突リスク、交差リスク、死角リスク、及びそれらの詳細状況のうち、少なくとも一種類であってもよい。状況情報Iaは、違反シーンの道路状況として、例えば交通ルール、標示、道路構造、ロケーション、区間、路面状態、明暗状況、工事状況、渋滞状況、落下物を含む障害物の存在状況、道路周辺の地物構造、及び当該地物構造又は移動体種別に起因する死角等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。ここで移動体種別とは、車両に関しての、例えば自動車、トラック、及びバス等の区別である。道路状況を表す状況情報Iaとしては、道路状況と関連付けられた地図データを、含んでいてもよい。状況情報Iaは、違反シーンの時刻、昼夜の区別を含む違反シーンの時間帯、及び違反シーンの気象状況(即ち、天候)等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。
【0067】
S110においてリスク監視ブロック140は、安全エンベロープ違反の要因を判断してもよく、この場合にシーン情報Isは、当該要因を表す要因情報Ibを含んでいてもよい。
図12に示されるように要因情報Ibは、ホスト車両2及びターゲット移動体3のうち安全エンベロープ違反と判定された少なくとも一方(即ち、自責及び他責)に対して、生成されるとよい。要因情報Ibは、例えば操作タイミング、車間距離、交通優先度、速度等のうち、少なくとも一種類について不合理なリスクを招いたと判断される安全エンベロープ違反の要因として、手動運転での誤判断又は自動運転での誤制御を特定するように、生成されてもよい。要因情報Ibは、不合理なリスクを招いたと判断される安全エンベロープ違反の要因として、手動運転又は自動運転での安全エンベロープ違反により遵守されていない運転ポリシを特定するように、生成されてもよい。尚、
図12は、ターゲット移動体3がターゲット車両3aの場合における上述番号(1)~(5)の運転ポリシのうち、違反された運転ポリシの特定結果を当該番号により例示している。
【0068】
S110においてリスク監視ブロック140が生成したシーン情報Isは、認証キーを含むユーザIDに対してのリモートセンタ8による認証完了下、リスク監視ブロック140による通信系6(通信装置6aのプロセッサ62)での送信制御に従ってリモートセンタ8へアップロード送信可能となる。S110においてリスク監視ブロック140は、生成したシーン情報Isを、メモリ10に記憶してもよい。シーン情報Isは、リスク監視ブロック140による生成時刻を表すタイムスタンプと関連付けてメモリ10に記憶されることにより、メモリ10には、複数時点でのシーン情報Isが蓄積されてもよい。シーン情報Isは、メモリ10への記憶に際して、暗号化又はハッシュ化されてもよい。記憶されるシーン情報Isがハッシュ化される場合、シーン情報Isの一部を構成することになるハッシュ値が、リモートセンタ8へ送信されてもよい。
【0069】
リモートセンタ8の視点で別のホスト車両2と想定される場合のターゲット車両3aでは、S110においてリスク監視ブロック140が、シーン情報Isの生成及び通信系6を通じたターゲット車両3aからの送信制御を、実行してもよい。この想定ケースでのシーン情報Isは、ターゲット車両3aにおいて発生した安全エンベロープ違反のシーン、即ち違反シーンを表す情報となる。
【0070】
図11に示される処理方法のS120においてセンタ管理ブロック880は、リスク監視ブロック140からアップロードされるシーン情報Isを、選択されている手動運転又は自動運転のホスト車両2から、通信系8bを通じて取得する。リモートセンタ8の視点で別のホスト車両2と想定される場合のターゲット車両3aでは、S120においてセンタ管理ブロック880が、ターゲット車両3aからのシーン情報Isも、通信系8bを通じて取得する。
【0071】
S120においてセンタ管理ブロック880は、取得したシーン情報Isを、メモリ80に記憶してもよい。シーン情報Isは、リスク監視ブロック140による生成時刻又はセンタ管理ブロック880による取得時刻を表すタイムスタンプと関連付けてメモリ80に記憶されることにより、メモリ80には、複数時点でのシーン情報Isが蓄積されてもよい。シーン情報Isは、メモリ80への記憶に際して、暗号化又はハッシュ化されてもよい。シーン情報Isが取得時点で暗号化されている場合には、当該暗号化のシーン情報Isが、復号化処理されてからメモリ80に記憶されてもよい。シーン情報Isが取得時点でハッシュ値である場合には、当該ハッシュ値がメモリ80に一旦記憶されてもよい。メモリ80に記憶されたハッシュ値は、後述するS130でのシーン情報Isの利用に際して、処理装置1a側のメモリ10に記憶されたシーン情報Isに対するハッシュ値と照合されることにより、シーン情報Isのセキュアな取得を可能にする。
【0072】
処理方法のS130においてセンタ管理ブロック880は、取得したシーン情報Isに基づきホスト車両2へフィードバックするフィードバック情報Ifを、通信系8bを通じてリモートセンタ8からホスト車両2へ送信するように、生成する。フィードバック情報Ifは、検証及び妥当性確認(Verification and Validation)をホスト車両2においてオンボードで実現するために、生成される情報であってもよい。フィードバック情報Ifは、ホスト車両2及びリモートセンタ8間でのフィードバックループの概念に基づき、生成される情報であってもよい。フィードバック情報Ifは、シーン情報Isを取得するのに応答して、当該取得のシーン情報Isに基づきリアルタイムに生成されてもよい。S130においてセンタ管理ブロック880は、メモリ80に蓄積される場合の複数時点におけるシーン情報Isに対して、集計処理を含む統計分析処理を施してもよく、この場合にフィードバック情報Ifは、当該統計分析処理の出力結果に基づき事後的に生成されてもよい。事後的なフィードバック情報Ifの生成は、例えばデイリー、ウィークリー、マンスリー、及び所定回数のトリップ(即ち運行)毎のうち、少なくとも一種類のスパンで実行されてもよい。
【0073】
メモリ80に記憶のシーン情報Isは、フィードバック情報Ifの生成又は送信に応答して、削除されてもよい。メモリ80に記憶のシーン情報Isは、例えば設定期間、オペレータの指示、及び同一シーン又は同一ロケーションでの安全エンベロープ違反の不発生期間等のうち、少なくとも一種類をトリガとして削除されてもよい。
【0074】
フィードバック情報Ifは、シーン情報Isに基づき判断される、ホスト車両2での運転に対する支援内容を表す支援情報Icを、含む。支援情報Icは、ホスト車両2において計画された安全エンベロープ違反の運転制御に対してリスク監視ブロック140が設定した制約を許可する、許可指令を表していてもよい。支援情報Icが表す制約の許可指令は、例えばホスト車両2の速度制限、及び加減速度制限等のうち、少なくとも一種類を許可するように設定されてもよい。支援情報Icは、ホスト車両2において安全エンベロープ違反の判定基準となった安全エンベロープを規定する安全モデルでの、設定用パラメータ又は学習用パラメータの変更指令を表していてもよい。
【0075】
支援情報Icは、ホスト車両2の検知ブロック100による、例えばフュージョン、物体検知、走路検知、標示検知、及びローカリゼーション等のうち、少なくとも一種類に関する検知アルゴリズムの、更新指令又はパラメータ調整指令を表していてもよい。支援情報Icは、ホスト車両2のセンサ系5における内部パラメータ及び外部パラメータのうち、少なくとも一方の調整指令を表していてもよい。
【0076】
支援情報Icは、ホスト車両2の計画ブロック120による、例えば経路、軌道、自動運転レベル(手動運転をレベル0と想定した場合を含む)、運行設計領域、及び制御パラメータ等のうち、少なくとも一種類に関して最小リスク状態へ移行するための変更指令を表していてもよい。支援情報Icが表す経路の変更指令は、例えば目的地までのルート、及び複数車線構造における走行車線等のうち、少なくとも一種類に関して安全エンベロープ違反の少ない経路を判断した選択結果を、含んでいてもよい。支援情報Icが表す制御パラメータの変更指令は、例えば速度制限、加減速度制限、ブレーキへの介入、操舵への介入、オートクルーズコントロールへの介入、及びトラクションコントロールへの介入等のうち、少なくとも一種類を計画するように設定されてもよい。このとき変更指令の設定は、例えば安全エンベロープ違反が多い移動体種別、安全エンベロープ違反が多い気象状況、及び安全エンベロープ違反が多い時間帯等のうち、少なくとも一種類に固有又は特有の制御パラメータに関して、実行されるとよい。手動運転のホスト車両2に対する支援情報Icは、安全エンベロープ違反を発生させたドライバへの警告指令を、表していてもよい。手動運転のホスト車両2に対する支援情報Icは、ホスト車両2の計画ブロック120による自動運転の介入指令を、表していてもよい。
【0077】
S130においてセンタ管理ブロック880は、安全エンベロープ違反の要因をシーン情報Isに基づき判断してもよく、この場合にフィードバック情報Ifは、
図12に示されるように当該要因を表す要因情報Ibを含んでいてもよい。要因情報Ibは、上述のS110に準じて生成されるとよい。リモートセンタ8の処理装置8aにより構築されるセンタ管理ブロック880は、ホスト車両2の処理装置1aにより構築されるリスク監視ブロック140に比べて高精度且つ緻密な要因分析(上述の統計分析を含む)により、要因情報Ibを生成することが可能である。これは、処理装置1aに対して処理装置8a(特にクラウドサーバ主体の装置8a)では、コンピュータ設計上の自由度が高くなるからである。また処理装置8aのセンタ管理ブロック880では、不合理なリスク状態に陥った車両同士の情報がアップロードされた場合に、それらの情報を総合して、いずれの車両に事故責任があったのかを判断するという、第三者的な視点を与えることが可能である。
【0078】
要因情報Ibを含む場合のフィードバック情報Ifでは、支援情報Icの表す支援内容が、要因情報Ibの表す要因に関連付けて指令されているとよい。一具体例において、要因が速度超過である安全エンベロープ違反に対しての支援内容は、制約設定又は運転制御計画により加減速度制限等をホスト車両2へ与える指令であってもよい。別の具体例において、要因が交差タイミングの誤判断若しくは誤制御である安全エンベロープ違反に対しての支援内容は、制約設定又は運転制御計画により加減速度制限、ブレーキ介入、又は操舵介入等をホスト車両2へ与える指令であってもよい。
【0079】
要因情報Ibを含む場合のフィードバック情報Ifは、センタ管理ブロック880により取得されたシーン情報Isのうち、センタ管理ブロック880により判断された要因を裏付ける、例えば映像等を含んでいてもよい。手動運転のホスト車両2に対して要因を裏付けるシーン情報Isは、例えば短距離の合流部における合流シーン、又は渋滞末尾が位置する死角への進入シーン等、ドライバが安全エンベロープ違反を余儀なくされた違反シーンの映る映像を、含んでいるとよい。
【0080】
S130においてセンタ管理ブロック880が生成したフィードバック情報Ifは、認証キーを含むユーザIDに対してのリモートセンタ8による認証完了下、センタ管理ブロック880による通信系8bの制御に従ってホスト車両2へ送信可能となる。フィードバック情報Ifの送信タイミングは、上述したフィードバック情報Ifの生成タイミングに依拠することにより、安全エンベロープ違反に対してリアルタイムに又事後的に制御されてもよい。フィードバック情報Ifの送信タイミングは、後述するホスト車両2からの要求に対して応答するように、制御されてもよい。フィードバック情報Ifが事後的に生成若しくは送信、又はホスト車両2からの要求への応答により送信される場合でのS130の実行完了後には、処理方法が今回フローにおいてはS140,S150へ移行せず、必要に応じて当該移行が実現されてもよい。
【0081】
S130においてセンタ管理ブロック880は、生成したフィードバック情報Ifを、メモリ80に記憶してもよい。フィードバック情報Ifは、センタ管理ブロック880による生成時刻を表すタイムスタンプと関連付けてメモリ80に記憶されることにより、メモリ80には、複数時点でのフィードバック情報Ifが蓄積されてもよい。フィードバック情報Ifは、暗号化又はハッシュ化されてから、メモリ80に記憶されてもよい。メモリ80に記憶のフィードバック情報Ifは、フィードバック情報Ifの生成又は送信に応答して、削除されてもよい。メモリ80に記憶のフィードバック情報Ifは、例えば設定期間、オペレータの指示、及び同一シーン又は同一ロケーションでの安全エンベロープ違反の不発生期間等のうち、少なくとも一種類をトリガとして削除されてもよい。
【0082】
リモートセンタ8の視点で別のホスト車両2と想定される場合のターゲット車両3aでは、S130においてセンタ管理ブロック880が、フィードバック情報Ifの生成及び通信系8bを通じたターゲット車両3aへの送信制御を、実行してもよい。この想定ケースでのフィードバック情報Ifは、シーン情報Isに基づきターゲット車両3aへフィードバックされる情報となる。また、この想定ケースでのフィードバック情報Ifは、例えば安全エンベロープ違反の発生確率が高いロケーション、安全エンベロープ違反の要因、及び安全エンベロープ違反を回避する支援内容等のうち、少なくとも一種類を各車両へ配信するように、生成されてもよい。
【0083】
図11に示される処理方法のS140においてリスク監視ブロック140は、選択されている手動運転又は自動運転のホスト車両2においてセンタ管理ブロック880からダウンロードされるフィードバック情報Ifを、通信系6(通信装置6aのプロセッサ62)での受信制御に従って取得する。フィードバック情報Ifは、ホスト車両2に生じた安全エンベロープ違反に対するリアルタイム又は事後的なセンタ管理ブロック880からの送信により、取得されてもよい。フィードバック情報Ifは、例えば任意のタイミング又は経路上の所定範囲等での、ホスト車両2からの要求に応答したセンタ管理ブロック880からの送信により、取得されてもよい。リモートセンタ8の視点で別のホスト車両2と想定される場合のターゲット車両3aでは、S140においてリスク監視ブロック140が、センタ管理ブロック880からターゲット車両3aへのフィードバック情報Ifを、同様に通信系6を通じて取得する。
【0084】
S140においてリスク監視ブロック140は、取得したフィードバック情報Ifを、メモリ10に記憶してもよい。フィードバック情報Ifは、センタ管理ブロック880による生成時刻又はリスク監視ブロック140による取得時刻を表すタイムスタンプと関連付けてメモリ10に記憶されることにより、メモリ10には、複数時点でのフィードバック情報Ifが蓄積されてもよい。フィードバック情報Ifは、メモリ10への記憶に際して、暗号化又はハッシュ化されてもよい。フィードバック情報Ifが取得時点で暗号化されている場合には、当該暗号化のフィードバック情報Ifが、復号化処理されてからメモリ10に記憶されてもよい。フィードバック情報Ifが取得時点でハッシュ値である場合には、当該ハッシュ値がメモリ10に一旦記憶されてもよい。メモリ10に記憶されたハッシュ値は、後述するS150でのフィードバック情報Ifの利用に際して、処理装置8a側のメモリ80に記憶されたフィードバック情報Ifに対するハッシュ値と照合されることにより、フィードバック情報Ifのセキュアな取得を可能にする。
【0085】
S140におけるリスク監視ブロック140は、メモリ10に記憶のシーン情報Isを、フィードバック情報Ifの取得に応答して、当該取得時又はS150でのフィードバック情報Ifの利用後に削除してもよい。S140におけるリスク監視ブロック140は、メモリ80に記憶のシーン情報Isを、例えば設定期間、及び同一シーン又は同一ロケーションでの安全エンベロープ違反の不発生期間等のうち、少なくとも一種類をトリガとして削除してもよい。
【0086】
処理方法のS150において、リスク監視ブロック140、検知ブロック100、及び計画ブロック120のうち少なくとも一ブロックは、取得したフィードバック情報Ifに基づき選択されるアプリケーションを、実行する。S150では、リスク監視ブロック140、検知ブロック100、及び計画ブロック120のうち、フィードバック情報Ifに含まれた支援情報Icの表す支援内容に対応のブロックが、支援内容を実現するためのアプリケーションを実行してもよい。このとき、フィードバック情報Ifが要因情報Ib及びシーン情報Isの少なくとも一方をさらに含んでいる場合には、支援内容の対応ブロックにより、当該少なくとも一方の情報がアプリケーションの実行に反映されるとよい。特にフィードバック情報Ifのうち支援情報Icが、計画された安全エンベロープ違反の運転制御に対する制約の許可指令を表す場合、S150においてリスク監視ブロック140は、制御ブロック160の実行する運転制御に制約を与えることとなる。
【0087】
S150では、安全エンベロープ違反に対する判定の適正度をフィードバック情報Ifに基づき認識可能なアプリケーションを、リスク監視ブロック140が実行してもよい。S150でのアプリケーションの実行による適正度認識は、安全エンベロープ違反の判定に対する検証(Verification)であるともいえる。S150におけるアプリケーションの実行は、フィードバック情報Ifの取得に応答してリアルタイムに、又は当該取得情報Ifをメモリ10に蓄積して事後的に、実現されてもよい。以上、S150の実行が完了することにより、処理方法の今回フローが終了する。但し、S150において事後的となる場合でのアプリケーションの実行は、次回以降のフローまで保留とされて、処理方法の今回フローが終了してもよい。また、S150におけるアプリケーションは、チェック専用のアプリケーションだけでなく、上述した支援内容の実現アプリケーションであって、副次的又は間接的に認識されるものを含む。
【0088】
さて、先に説明した特許文献1に開示される技術では、ホスト車両において運転制御への制約が自動運転に対して想定されるに、留まっている。そのため、ホスト車両において手動運転での安全性は、ドライバへと委ねられてしまう。また、特許文献1に開示される技術は、運転制御に対して制約を与えるに当たって、ホスト車両の判断が適正であることを、前提にしている。そのため、特許文献1に開示される技術が手動運転に適用されたとしても、ホスト車両におけるドライバの判断に誤りがあった場合には、当該誤判断が安全性に影響を与えてしまう。さらに、特許文献1に開示される技術は、自動運転での運転制御に対して制約を与えるに当たって、ホスト車両の判断が適正であることを、前提にしている。そのため、ホスト車両の判断に誤りがあった場合には、当該誤判断が自動運転における運転精度に影響を与えてしまう。
【0089】
これに対して、以上説明した第一実施形態によると、手動運転及び自動運転のいずれにおいても、SOTIFを運転ポリシに従って設定した安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報Isに基づき、フィードバック情報Ifがリモートセンタ8からホスト車両2へフィードバックされる。これによりホスト車両2では、安全エンベロープ違反に対する判定の適正度が、第三者判断となるフィードバック情報Ifに基づき認識され得る。したがって、ホスト車両2において、手動運転での安全性向上を促進すると共に、自動運転での運転精度を確保することが、可能となる。また、リモートセンタ8の視点でターゲット車両3aが別のホスト車両2と想定される場合も同様に、「第二ホスト移動体」としてのターゲット車両3aにおいて、手動運転での安全性向上を促進すると共に、自動運転での運転精度を確保することが、可能となる。
【0090】
(第二実施形態)
第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。以下では、手動運転における第一実施形態との運転関連処理の違いを中心に、第二実施形態が説明される。したがって、第二実施形態において説明される手動運転での運転関連処理は、第一実施形態の運転関連処理において対応するステップに組み込まれて又は並行して実行されてもよいし、第一実施形態の運転関連処理に代えて実行されてもよい。
【0091】
図13に示されるように、第二実施形態の処理方法においてS100に対応するS200ではリスク監視ブロック140が、手動運転のホスト車両2における安全エンベロープ違反を監視する。S200におけるリスク監視ブロック140は、
図14に示されるように、制約設定による制限値R1から運動物理量の現実値が外れた場合に、安全エンベロープ違反が発生したとの判定を下してもよい。
【0092】
処理方法においてS110に対応するS210ではリスク監視ブロック140が、手動運転のホスト車両2での違反シーンを表すシーン情報Isとして、少なくとも状況情報Iaを生成する。S210におけるリスク監視ブロック140は、運転スコアの演算に必要な、ホスト車両2におけるドライバ状態を安全エンベロープ違反と関連付けて表すように、状況情報Iaを生成する。運転スコアに必要なドライバ状態は、例えば違反シーン以前の運転スコアを含む運転傾向、走行距離の履歴、走行時間の履歴、及び安全エンベロープ違反の履歴等のうち、少なくとも一種類である。運転スコアに必要な状況情報Iaは、ドライバの過失判断を左右するようなホスト車両2の状態として、例えば積載重量、摩耗を含むタイヤ状態、メンテナンス状態、運転アクチュエータの作動状態、及び移動体種別等のうち、少なくとも一種類を表していてもよい。
【0093】
S210におけるリスク監視ブロック140は、
図14に示されるように運動物理量が制限値R1~R3を外れた違反シーンの、例えば時刻、ロケーション、及びローカリゼーション推定値等のうち少なくとも一種類を表す状況情報Iaを、生成してもよい。S210におけるリスク監視ブロック140は、
図14に示されるように運動物理量が制限値R1~R3を外れた違反区間Δsの距離が設定範囲外となった場合に、地図データにおいて当該違反区間Δsでのホスト車両2の軌道(即ち、軌跡)を表す状況情報Iaを、生成してもよい。S210におけるリスク監視ブロック140は、
図14に示されるように運動物理量が制限値R1~R3を外れた違反時間Δtの長さが設定範囲外となった場合に、当該違反時間Δtを表す状況情報Iaを生成してもよい。尚、違反区間Δs及び違反時間Δtの判断基準となる設定範囲は、閾値以下又は閾値未満の範囲に設定されるとよい。また、
図14は、時刻t1~t2間では上限制限値R1から運動物理量が外れ、時刻t2~t3の間では変更された上限制限値R2から運動物理量が外れ、時刻t4以降は下限制限値R3から運動物理量が外れた例を、示している。
【0094】
図13に示されるように、処理方法においてS120に対応するS220ではセンタ管理ブロック880が、手動運転のホスト車両2からのシーン情報Isを、通信系8bを通じて取得する。処理方法においてS130に対応するS230ではセンタ管理ブロック880が、取得したシーン情報Isに基づきホスト車両2へフィードバックするフィードバック情報Ifとして、少なくともスコア情報Idを生成する。スコア情報Idは、ホスト車両2のドライバに対する運転スコアを表す。センタ管理ブロック880により運転スコアは、シーン情報Isに基づき判断される。運転スコアは、ホスト車両2を操作するドライバを客観的に評価する指標として、数値又はレベルの高低により表現されるとよい。
【0095】
S230におけるセンタ管理ブロック880は、安全エンベロープ違反を回避するために推奨される手動運転の模範指令を表すように、フィードバック情報Ifとしての支援情報Icを生成してもよい。支援情報Icの表す模範指令としては、例えば縦方向前方のターゲット車両3aに対してブレーキタイミングを早める、又は横方向のターゲット車両3aとの並走時間を短縮する等、の指令が挙げられる。S230におけるセンタ管理ブロック880は、安全エンベロープ違反の要因を表す要因情報Ib、及び当該要因を裏付けるシーン情報Isのうち少なくとも一方を、模範指令を表す支援情報Icと関連付けたフィードバック情報Ifとして、生成してもよい。
【0096】
第二実施形態の処理方法では、フィードバック情報Ifを取得するS140と、フィードバック情報Ifに基づきアプリケーションを実行するS150とが、ホスト車両2において実現される。リモートセンタ8の視点で別のホスト車両2と想定される場合のターゲット車両3aにおいても、処理方法のS200,S210,S220,S230,S140,S150が実現されてもよい。この想定ケースでは、S220,S230のセンタ管理ブロック880において、車両2,3a毎及びそれら車両2,3aのドライバ毎のうち少なくとも一方の観点で安全エンベロープ違反のシーン情報Isがメモリ80に蓄積且つ集計されて、当該集計結果に対する統計分析により運転スコアが演算されてもよい。
【0097】
ここまで説明の第二実施形態において、シーン情報Is及びフィードバック情報Ifそれぞれの送信、記憶、並びに削除については、第一実施形態に準ずる。これによりS140では、少なくともスコア情報Idを含むフィードバック情報Ifが取得されることになる。以上の第二実施形態によると、フィードバック情報Ifのうちスコア情報Idの表す運転スコアに基づくことにより、安全エンベロープ違反に対する判定の適正度が手動運転中のドライバによっても認識可能となる。故に第二実施形態は、特に手動運転での安全性向上の促進に有利となる。
【0098】
(第三実施形態)
第三実施形態は、第一実施形態の変形例である。以下では、手動運転における第一実施形態との運転関連処理の違いを中心に、第三実施形態が説明される。したがって、第三実施形態において説明される手動運転での運転関連処理は、第一及び第二実施形態のうち少なくとも一方の運転関連処理において対応するステップに組み込まれて又は並行して実行されてもよいし、第一実施形態の運転関連処理に代えて実行されてもよい。
【0099】
図15に示されるように、第三実施形態による処理システム1のリモートセンタ8は、通信系8bを通じてサービスセンタ9と通信可能となっている。サービスセンタ9は、ホスト車両2を含む道路ユーザに関連するサービスを提供するために、当該サービスを事業とするサービス事業者により管理される。サービスセンタ9により提供されるサービスは、例えば都市計画サービス、道路整備サービス、地図情報サービス、運行管理サービス、交通管理サービス、車両保険サービス、ライドシェアリングサービス、及びカーシェアリングサービス等のうち、少なくとも一種類である。
【0100】
サービスセンタ9は、リモートセンタ8に準ずる構成の処理装置9a及び通信系9bを、備える。但し、処理装置9aは、リモートセンタ8における処理プログラムとの協働、又はその一部若しくは相違となる個別プログラムの実行により、リモートセンタ8から提供される情報を、通信系9bを通じて取得する。サービスセンタ9は、リモートセンタ8からの提供情報を、サービス事業者のサービスに利活用する。
【0101】
そこで
図16に示されるように、第三実施形態の処理方法においてS130に対応するS330ではセンタ管理ブロック880が、サービスセンタ9へ公開される公開情報Ioを、シーン情報Is及びフィードバック情報Ifのうち少なくとも一方に基づき生成する。公開情報Ioは、例えば都市計画サービス、道路整備サービス、地図情報サービス、運行管理サービス、又は交通管理サービス等を提供するサービスセンタ9に対しては、安全エンベロープ違反の発生確率が高いロケーションを公開するように、生成されてもよい。公開情報Ioは、例えば車両保険サービス等を提供するサービスセンタ9に対しては、車両保険の査定基準となる情報を公開するように、生成されてもよい。
【0102】
公開情報Ioは、例えばライドシェアリングサービス、又はカーシェアリングサービス等を提供するサービスセンタ9に対しては、手動運転でのドライバ毎に関連付けられる安全エンベロープ違反の要因を公開するように、生成されてもよい。この場合に公開情報Ioは、さらに要因に合わせた支援内容を公開するように、生成されてもよい。要因に合わせた支援内容の一具体例では、要因が対向車優先の誤判断である場合に、対向車線への食み出しが不要となるような、路上駐車の少ない経路が検索されることより、当該経路検索の結果が公開情報Ioとして提供される。要因に合わせた支援内容の別の具体例では、要因が交差タイミングの誤判断である場合に、信号機システムにより制御されている交差点を通過するように経路が検索されることにより、当該経路検索の結果が公開情報Ioとして提供される。
【0103】
第三実施形態の処理方法では、第二実施形態のS200,S210,S220,S230に準じて、S100,S110,S120,S330が実行されてもよい。S230に準ずる場合のS330において、上述のように生成される公開情報Ioが安全エンベロープ違反の要因に合わせて支援内容を公開する場合には、ドライバ毎に運転スコアが演算されてもよい。要因に合わせた支援内容の一具体例では、ライドシェアリングサービスを提供するサービスセンタ9に対して、運転スコアの高いドライバを選択するための公開情報Ioが、提供される。
【0104】
このような第三実施形態によると、安全エンベロープ違反に関するシーン情報Is及びフィードバック情報Ifの少なくとも一方に基づくことにより、サービスセンタ9に対する公開情報Ioが生成される。故に第三実施形態は、サービス事業者の参加も相俟って、手動運転における安全性向上の促進に有利となる。
【0105】
(第四実施形態)
第四実施形態は、第一実施形態の変形例である。以下では、自動運転における第一実施形態との運転関連処理の違いを中心に、第四実施形態が説明される。したがって、第四実施形態において説明される自動運転での運転関連処理は、第一実施形態の運転関連処理において対応するステップに組み込まれて又は並行して実行されてもよいし、第一実施形態の運転関連処理に代えて実行されてもよい。
【0106】
図17に示されるように、第四実施形態の処理方法においてS100に対応するS400ではリスク監視ブロック140が、自動運転のホスト車両2に対して監視サブルーチンを実行する。
図18に示されるように、監視サブルーチンのS401においてリスク監視ブロック140は、S100に準じて、ホスト車両2における安全エンベロープ違反を監視する。S401において、安全エンベロープ違反なしとの判定をリスク監視ブロック140が下した場合には、監視サブルーチン及び処理方法の今回フローが終了する。一方でS401において、安全エンベロープ違反ありとの判定をリスク監視ブロック140が下した場合には、監視サブルーチンがS402へ移行する。
【0107】
S402においてリスク監視ブロック140は、安全エンベロープ違反の発生頻度が許容範囲外となったか否かを、判定する。発生頻度の判定基準となる許容範囲は、安全エンベロープ違反の連続することが許容される回数を上限値として、当該上限値以下に設定されてもよい。発生頻度の判定基準となる許容範囲は、設定時間内において安全エンベロープ違反の発生が許容される回数を上限値として、当該上限値以下に設定されてもよい。S402において、発生頻度が許容範囲内との判定をリスク監視ブロック140が下した場合には、監視サブルーチン及び処理方法の今回フローが終了する。一方でS402において、発生頻度が許容範囲外との判定をリスク監視ブロック140が下した場合には、監視サブルーチンの今回フローが終了して、
図17に示されるS410へ処理方法が移行する。
【0108】
処理方法においてS110に対応するS410ではリスク監視ブロック140が、自動運転のホスト車両2での違反シーンを表すシーン情報Isとして、少なくとも状況情報Iaを生成する。S410におけるリスク監視ブロック140は、安全エンベロープ違反の発生頻度が許容範囲外となった高頻度違反シーンを表すように、状況情報Iaを生成する。このような第四実施形態では、リモートセンタ8の視点で別のホスト車両2と想定されることになるターゲット車両3aにおいても、S400,S410が実行される。但し、ターゲット車両3aのリスク監視ブロック140において発生頻度の判定基準となる許容範囲は、例えば車両毎の個別設定等により、ホスト車両2のリスク監視ブロック140における場合と同一又は相違の範囲に設定されてもよい。
【0109】
処理方法においてS120,S130にそれぞれ対応するS420,S430では、センタ管理ブロック880が第一及び第二管理サブルーチンを順次実行する。
図19に示されるように、第一管理サブルーチンのS421においてセンタ管理ブロック880は、高頻度違反シーンを表すシーン情報Isを、自動運転のホスト車両2からS120に準じて取得する。
【0110】
第一管理サブルーチンのS422においてセンタ管理ブロック880は、高頻度違反シーンを表すシーン情報Isを、自動運転のターゲット車両3aからもS120に準じて取得したか否かを、判定する。このときシーン情報Isの取得対象となるターゲット車両3aは、「第一移動体」に相当するホスト車両2に対して、設定範囲内の周囲に存在する他の道路ユーザに定義されることにより、「第二移動体」に相当することとなる。
【0111】
高頻度違反シーンを表すシーン情報Isを取得したとの判定を、S422においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチンが終了して第二管理サブルーチンのS431へ移行する。即ちS431は、ターゲット車両3aにおける安全エンベロープ違反の発生頻度も許容範囲外となった場合での、ホスト車両2の高頻度違反シーンに対して、実行される。S431においてセンタ管理ブロック880は、取得したシーン情報Isに基づきホスト車両2へフィードバックするフィードバック情報Ifとして、少なくとも支援情報Icを生成する。S431におけるセンタ管理ブロック880は、ホスト車両2における自動運転でのODDから特定違反シーンの走行領域を除外する、変更指令を表すように支援情報Icを生成する。以上、S431の実行が完了することにより、第二管理サブルーチンの今回フローが終了して、
図17に示されるS140へ処理方法が移行する。
【0112】
図19に示されるように、高頻度違反シーンを表すシーン情報Isを取得していないとの判定を、S422においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチンが終了して第二管理サブルーチンのS432へ移行する。即ちS432は、ターゲット車両3aにおける安全エンベロープ違反の発生頻度は許容範囲内となった場合での、ホスト車両2の高頻度違反シーンに対して、実行される。S432においてセンタ管理ブロック880は、取得したシーン情報Isに基づきホスト車両2へフィードバックするフィードバック情報Ifとして、少なくとも支援情報Icを生成する。S432におけるセンタ管理ブロック880は、ホスト車両2を停止させる、例えばMRM等の停止指令を表すように支援情報Icを生成してもよい。ホスト車両2がリモートセンタ8により運行サービスを管理される、例えばバス又はタクシー等のサービスカーである場合には、運行サービスを停止してサービス工場での点検に向かわせる運行指令を、支援情報Icが表していてもよい。以上、S432の実行が完了することにより、第二管理サブルーチンの今回フローが終了して、
図17に示されるS140へ処理方法が移行する。尚、シーン情報Is及びフィードバック情報Ifそれぞれの送信、記憶、並びに削除については、第一実施形態に準ずる。また第四実施形態の処理方法では、フィードバック情報Ifを取得するS140と、フィードバック情報Ifに基づき上述のようなアプリケーションを実行するS150とが、ホスト車両2及びターゲット車両3aにおいて実現される。
【0113】
ここまで説明の第四実施形態では、リモートセンタ8の視点でホスト車両2とターゲット車両3aとの関係を入れ替えたS420,S430が、並行して実行されてもよい。以上の第四実施形態によると、フィードバック情報Ifのうち支援情報Icが表す指令に基づくことにより、安全エンベロープ違反に対する判定の適正度が自動運転中のリスク監視ブロック140によっても認識可能となる。故に第四実施形態は、特に自動運転での運転精度の確保に有利となる。
【0114】
(第五実施形態)
第五実施形態は、第一実施形態の変形例である。以下では、自動運転における第一実施形態との運転関連処理の違いを中心に、第五実施形態が説明される。したがって、第五実施形態において説明される自動運転での運転関連処理は、第一及び第四実施形態のうち少なくとも一方の運転関連処理において対応するステップに組み込まれて又は並行して実行されてもよいし、第一実施形態の運転関連処理に代えて実行されてもよい。
【0115】
図20に示されるように、第五実施形態の処理方法においてS100に対応するS500ではリスク監視ブロック140が、リモートセンタ8の視点で別のホスト車両2と想定されることになるターゲット車両3aと、自動運転のホスト車両2との間の安全エンベロープ違反を監視する。処理方法において110に対応するS510ではリスク監視ブロック140が、ホスト車両2及びターゲット車両3a間に発生した特定違反シーンを表すシーン情報Isとして、少なくとも状況情報Iaを生成する。S510におけるリスク監視ブロック140は、生成する状況情報Iaが表す安全エンベロープ違反の運転に対して、現在最新の制約を当該生成に先立って設定するものとする。このような第五実施形態では、特定違反シーンを構成するターゲット車両3aにおいても、S500,S510が実行される。
【0116】
処理方法においてS120,S130にそれぞれ対応するS520,S530では、センタ管理ブロック880が第一及び第二管理サブルーチンを順次実行する。
図21に示されるように、第一管理サブルーチンのS521においてセンタ管理ブロック880は、特定違反シーンを表すシーン情報Isを、自動運転のホスト車両2からS120に準じて取得したか否かを判定する。
【0117】
特定違反シーンを表すシーン情報Isをホスト車両2から取得していないとの判定を、S521においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチンがS522へ移行する。即ちS522は、ホスト車両2においてターゲット車両3aとの間の安全エンベロープ違反が発生していないと判定される場合に、実行される。S522においてセンタ管理ブロック880は、特定違反シーンを表すシーン情報Isを、自動運転のターゲット車両3aからはS120に準じて取得したか否かを判定する。このとき、シーン情報Isの取得対象となるターゲット車両3aは、「第一移動体」に相当するホスト車両2に対して、設定範囲内の周囲に存在する他の道路ユーザに定義されることにより、「第二移動体」に相当することとなる。尚、特定違反シーンを表すシーン情報Isをターゲット車両3aからも取得していないとの判定を、S522においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチン及び処理方法の今回フローが終了する。
【0118】
特定違反シーンを表すシーン情報Isをターゲット車両3aからは取得したとの判定を、S522においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチンが終了して第二管理サブルーチンのS531へ移行する。即ちS531は、ターゲット車両3aにおいてはホスト車両2との間の安全エンベロープ違反が発生したと判定される特定違反シーンでの、ホスト車両2においてはターゲット車両3aとの間の安全エンベロープ違反が発生していないと判定される場合に、実行される。S531においてセンタ管理ブロック880は、取得したシーン情報Isに基づきフィードバックするフィードバック情報Ifとして、少なくとも支援情報Icを生成する。
【0119】
S531におけるセンタ管理ブロック880は、ターゲット車両3aでは安全エンベロープ違反との判定が下された特定違反シーンに関わらず、安全エンベロープ違反なしとの判定を下したホスト車両2に対しての指令を表すように、支援情報Icを生成する。支援情報Icの表す指令とは、例えば制約設定又は運転制御計画により最小リスク状態に縮退させる縮退指令、及び運転制御計画の経路を変更させる変更指令等のうち、少なくとも一種類である。特に縮退指令は、例えば手動運転への引き継ぎを含む自動運転のレベルダウン、及びMRM等のうち、少なくとも一種類であってもよい。ホスト車両2がリモートセンタ8により運行サービスを管理される、例えばバス又はタクシー等のサービスカーである場合には、リモートセンタ8からの縮退指令又は経路変更指令に従ってホスト車両2に提供させる運行サービスを、支援情報Icが表していてもよい。
【0120】
S531におけるセンタ管理ブロック880は、安全エンベロープ違反ありの判定を下したターゲット車両3aに対して、ホスト車両2では安全エンベロープ違反なしとの判定が下されたことを通知する通知指令を表すように、支援情報Icを生成してもよい。S531におけるセンタ管理ブロック880は、安全エンベロープ違反ありの判定を下したターゲット車両3aにおいてS510のリスク監視ブロック140により設定された、安全エンベロープ違反の運転に対しての制約を許可する許可指令を表すように、支援情報Icを生成してもよい。S531におけるセンタ管理ブロック880は、安全エンベロープ違反ありの判定を下したターゲット車両3aに対しても、上述したホスト車両2の場合に準ずる縮退指令又は経路変更指令を表すように、支援情報Icを生成してもよい。以上、S531の実行が完了することにより、第二管理サブルーチンの今回フローが終了して、
図20に示されるS140へ処理方法が移行する。
【0121】
図21に示されるように、特定違反シーンを表すシーン情報Isをホスト車両2から取得したとの判定を、S521においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチンがS523へ移行する。即ちS523は、ホスト車両2においてターゲット車両3aとの間の安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、実行される。S523においてセンタ管理ブロック880は、特定違反シーンを表すシーン情報Isを、ターゲット車両3aからもS120に準じて取得したか否かを判定する。このとき、シーン情報Isの取得対象となるターゲット車両3aは、「第一移動体」に相当するホスト車両2に対して、設定範囲内の周囲に存在して特定違反シーンを構成する他の道路ユーザに定義されることにより、「第二移動体」に相当することとなる。
【0122】
特定違反シーンを表すシーン情報Isをターゲット車両3aからは取得していないとの判定を、S523においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチンが終了して第二管理サブルーチンのS532へ移行する。即ちS532は、ホスト車両2においてはターゲット車両3aとの間の安全エンベロープ違反が発生したと判定される特定違反シーンでの、ターゲット車両3aにおいてはホスト車両2との間の安全エンベロープ違反が発生していないと判定される場合に、実行される。S532においてセンタ管理ブロック880は、取得したシーン情報Isに基づきフィードバックするフィードバック情報Ifとして、少なくとも支援情報Icを生成する。このとき支援情報Icの生成は、ホスト車両2とターゲット車両3aとの関係が入れ替えられたS531に準じて、実行される。以上、S532の実行が完了することにより、第二管理サブルーチンの今回フローが終了して、
図20に示されるS140へ処理方法が移行する。
【0123】
図21に示されるように、特定違反シーンを表すシーン情報Isをターゲット車両3aからも取得したとの判定を、S523においてセンタ管理ブロック880が下した場合には、第一管理サブルーチンが終了して第二管理サブルーチンのS533へ移行する。即ちS533は、ホスト車両2においてはターゲット車両3aとの間の安全エンベロープ違反が発生したと判定される特定違反シーンでの、ターゲット車両3aにおいてもホスト車両2との間の安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、実行される。S533においてセンタ管理ブロック880は、取得したシーン情報Isに基づきフィードバックするフィードバック情報Ifとして、少なくとも支援情報Icを生成する。S533におけるセンタ管理ブロック880は、ホスト車両2及びターゲット車両3aの各々においてS510のリスク監視ブロック140により設定された、安全エンベロープ違反の運転に対しての制約を許可する許可指令を表すように、支援情報Icを生成する。以上、S533の実行が完了することにより、第二管理サブルーチンの今回フローが終了して、
図20に示されるS140へ処理方法が移行する。尚、シーン情報Is及びフィードバック情報Ifそれぞれの送信、記憶、並びに削除については、第一実施形態に準ずる。また第五実施形態の処理方法では、フィードバック情報Ifを取得するS140と、フィードバック情報Ifに基づきアプリケーションを実行するS150とが、ホスト車両2及びターゲット車両3aにおいて実現される。
【0124】
ここまで説明の第五実施形態では、リモートセンタ8の視点でホスト車両2とターゲット車両3aとの関係を入れ替えたS520,S530が、並行して実行されてもよい。一方でリモートセンタ8の視点であれば、ホスト車両2及びターゲット車両3aを含む複数車両のうち、一車両からのシーン情報IsがS521において取得された場合に、他車両からのシーン情報Isの取得がS523において判定されてもよい。後者の場合、ホスト車両2とターゲット車両3aとの関係を、それら一車両と他車両との関係に読み替えたS532,S533が実行されることにより、S522,S531の実行は省かれてもよい。以上の第五実施形態によると、フィードバック情報Ifのうち支援情報Icが表す指令に基づくことにより、安全エンベロープ違反に対する判定の適正度が自動運転中のリスク監視ブロック140によっても認識可能となる。故に第五実施形態は、特に自動運転での運転精度の確保に有利となる。
【0125】
(第六実施形態)
第六実施形態は、第一実施形態の変形例である。但し、第六実施形態は、第二~第五実施形態と組み合わされてもよい。
【0126】
図22に示されるように第六実施形態の制御ブロック6160では、リスク監視ブロック140から安全エンベロープに関する判定情報の取得処理が、省かれている。そこで第六実施形態の計画ブロック6120は、リスク監視ブロック140から安全エンベロープに関する判定情報を取得する。計画ブロック6120は、安全エンベロープ違反なしとの判定情報を取得した場合に、計画ブロック120に準じてホスト車両2の運転制御を計画する。一方、安全エンベロープ違反ありとの判定情報を取得した場合に計画ブロック6120は、計画ブロック120に準じた運転制御を計画する段階において、判定情報に基づく制約を当該運転制御に与える。即ち計画ブロック6120は、計画する運転制御に対して制限を与える。いずれの場合においても、計画ブロック6120により計画されたホスト車両2の運転制御を、制御ブロック6160が実行する。
【0127】
このような第六実施形態の処理方法では、例えばフィードバック情報Ifのうち支援情報Icが安全モデルでの設定用パラメータ又は学習用パラメータの変更指令を表す場合、S150においてリスク監視ブロック140は、当該変更指令を実行するとよい。以上より第六実施形態では、第一実施形態に準ずる原理により、手動運転での安全性向上を促進すると共に、自動運転での運転精度を確保することが、可能となる。
【0128】
(第七実施形態)
第七実施形態は、第一実施形態の変形例である。但し、第七実施形態は、第二~第五実施形態と組み合わされてもよい。
【0129】
図23に示されるように第七実施形態の制御ブロック7160では、リスク監視ブロック7140から安全エンベロープに関する判定情報の取得処理が、省かれている。そこで第七実施形態のリスク監視ブロック7140は、ホスト車両2に対して制御ブロック7160により実行された運転制御の結果を表す情報を、取得する。リスク監視ブロック7140は、運転制御の結果に対して安全エンベロープに基づく安全判定を実行することにより、当該運転制御を評価する。
【0130】
このような第七実施形態の処理方法では、例えばフィードバック情報Ifのうち支援情報Icが安全モデルでの設定用パラメータ又は学習用パラメータの変更指令を表す場合、S150においてリスク監視ブロック140は、当該変更指令を実行するとよい。これらの設定用パラメータ及び学習用パラメータは、リモートセンタ8等において検証及び妥当性確認(Verification and Validation)が実施されることにより変更されてもよいし、フィードバックループの概念に基づき変更されてもよい。以上より第七実施形態では、第一実施形態に準ずる原理により、手動運転での安全性向上を促進すると共に、自動運転での運転精度を確保することが、可能となる。
【0131】
(第八実施形態)
第八実施形態は、第一実施形態の変形例である。但し、第八実施形態は、第二~第五実施形態と組み合わされてもよい。
【0132】
図24~26に示されるように第八実施形態には、処理装置1aによる運転制御を、例えば安全性認可用等にテストするテストブロック8180が、追加されている。テストブロック8180には、検知ブロック100及びリスク監視ブロック140に準ずる機能が、与えられる。テストブロック8180は、各ブロック100,120,140,160を構築する処理プログラムに追加されるテストプログラムを、
図24に示される処理装置1aが実行することにより、構築されてもよい。テストブロック8180は、各ブロック100,120,140,160を構築する処理プログラムとは異なるテスト用の処理プログラムを、
図25,26に示されるように処理装置1aとは異なるテスト用の処理装置1bが実行することにより、構築されてもよい。
図25の例では、運転制御をテストするために処理装置1aと接続される(通信系6を通じた接続の場合の図示は省略)、メモリ10及びプロセッサ12を有した少なくとも一つの専用コンピュータにより、テスト用の処理装置1bが構成されている。
図26の例では、リモートセンタ8の処理装置8aによりテスト用の処理装置1bが代替されている。
【0133】
このような第八実施形態では、第一実施形態に準ずる原理により処理システム1及び処理装置1aによる処理方法をテストして、手動運転での安全性向上を促進すると共に、自動運転での運転精度を確保することが、可能となる。
【0134】
(第九実施形態)
第九実施形態は、第六実施形態の変形例である。但し、第九実施形態は、第二~第五実施形態と組み合わされてもよい。
【0135】
図27に示されるように、第九実施形態による処理装置1aにおいて計画ブロック9120には、リスク監視ブロック140の機能がリスク監視サブブロック9140として取り込まれている。そこで第九実施形態の計画ブロック9120は、リスク監視サブブロック9140により安全エンベロープ違反なしとの判定情報を取得した場合に、計画ブロック120に準じてホスト車両2の運転制御を計画する。一方、リスク監視サブブロック9140により安全エンベロープ違反ありとの判定情報を取得した場合に計画ブロック9120は、計画ブロック120に準じた運転制御を計画する段階において、判定情報に基づく制約を当該運転制御に与える。即ち計画ブロック9120は、計画する運転制御に対して制限を与える。いずれの場合においても、計画ブロック9120により計画されたホスト車両2の運転制御を、制御ブロック6160が実行することになる。
【0136】
このような第九実施形態の処理方法では、例えばフィードバック情報Ifのうち支援情報Icが安全モデルでの設定用パラメータ又は学習用パラメータの変更指令を表す場合、S150においてリスク監視サブブロック9140は、当該変更指令を実行するとよい。以上より第九実施形態では、第一実施形態に準ずる原理により、手動運転での安全性向上を促進すると共に、自動運転での運転精度を確保することが、可能となる。
【0137】
(第十実施形態)
第十実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0138】
図28に示されるように第十実施形態の処理システム1は、ホスト車両2及びターゲット車両3aにそれぞれ搭載される処理装置1aを、含んで構築される。ここで第十実施形態の処理システム1は、各車両2,3a毎にそれぞれ、センサ系5、通信系6、地
図DB7、及び情報提示系4のうち、少なくとも通信系6を含むように構築されてもよい。この場合に、各車両2,3aにおいて通信系6を構成する通信装置6a間で可能となる通信は、例えばV2V通信等により直接的に実現されてもよいし、クラウドサーバ等のリモートセンタを経由して間接的に実現されてもよいし、車両2,3aを含む複数車両間において構成されたメッシュネットワークを経由して実現されてもよい。こうした第十実施形態において、ホスト移動体としての車両2の視点では車両3aがターゲット移動体に相当するが、逆の視点ではホスト移動体としての車両3aに対して車両2がターゲット移動体に相当することになる。
【0139】
第十実施形態による各車両2,3aの処理装置1aでは、それら車両2,3a別に運転関連処理を遂行するために各々のメモリ10に記憶された処理プログラムが、各々のプロセッサ12に命令を実行させることにより、機能ブロックがそれぞれ個別に構築される。これは処理システム1全体の視点では、各車両2,3aのメモリ10に記憶された処理プログラムが、各車両2,3aのプロセッサ12に命令を協働して実行させることにより、それら車両2,3a別に機能ブロックが構築される、と考えることができる。このとき、各車両2,3a毎に通信装置6aを含んで構築される場合の処理システム1では、各車両2,3a毎のメモリ10,60に記憶された処理プログラムが、各車両2,3a毎のプロセッサ12,62に命令を協働して実行させてもよい。このような第十実施形態の各車両2,3aにおいて各々の処理装置1aに構築されるリスク監視ブロック10140には、センタ管理ブロック880の機能がターゲット管理サブブロック10880として取り込まれている。
【0140】
そこで第十実施形態の処理方法では、車両2のリスク監視ブロック140等によりS100,110,S140,S150が実行される場合、車両3aのターゲット管理サブブロック10880によりS120,S130が実行されるとよい。この場合のS120においてターゲット管理サブブロック10880は、車両2からのシーン情報Isを車両3aにおいて、通信装置6aのプロセッサ62での受信制御に従って取得、且つメモリ10に記憶するとよい。また、この場合のS130においてターゲット管理サブブロック10880は、情報Ic,Ib,Isのうち車両3aにおいて取得可能な情報として少なくとも支援情報Icを含むように、フィードバック情報Ifを生成してもよい。さらに、この場合のS130においてターゲット管理サブブロック10880は、生成したフィードバック情報Ifを車両3aにおいて、通信装置6aのプロセッサ62での送信制御に従って車両2へ送信、且つメモリ10に記憶するとよい。
【0141】
一方、車両3aのリスク監視ブロック140等によりS100,110,S140,S150が実行される場合に第十実施形態の処理方法では、車両2のターゲット管理サブブロック10880によりS120,S130が実行されるとよい。この場合のS120においてターゲット管理サブブロック10880は、車両3aからのシーン情報Isを車両2において、通信装置6aのプロセッサ62での受信制御に従って取得、且つメモリ10に記憶するとよい。また、この場合のS130においてターゲット管理サブブロック10880は、情報Ic,Ib,Isのうち車両2において取得可能な情報として少なくとも支援情報Icを含むように、フィードバック情報Ifを生成してもよい。さらに、この場合のS130においてターゲット管理サブブロック10880は、生成したフィードバック情報Ifを車両2において、通信装置6aのプロセッサ62での送信制御に従って車両3aへ送信、且つメモリ10に記憶するとよい。
【0142】
加えて、いずれの場合においても第十実施形態の処理方法では、例えば車両3a,2のうち一方からのフィードバック情報Ifとしての支援情報Icが安全モデルでの設定用パラメータ又は学習用パラメータの変更指令を表す場合、車両3a,2のうち他方のリスク監視サブブロック10140がS150において当該変更指令を実行するとよい。以上より第十実施形態では、一方が他方のターゲット移動体に対してホスト移動体となる車両2,3aのいずれにおいても、第一実施形態に準ずる原理により、手動運転での安全性向上を促進すると共に、自動運転での運転精度を確保することが、可能となる。尚、このような第十実施形態は、第二~第九実施形態と組み合わされてもよい。
【0143】
ここまで説明した第十実施形態のさらなる変形例では、
図29に示されるように、第一実施形態によるセンタ管理ブロック880の機能が取り込まれないリスク監視ブロック140とは別に、ターゲット管理サブブロック10880の機能を実現するターゲット管理ブロック10880aが、各車両2,3aの処理装置1aにおいて構築されてもよい。尚、このような第十実施形態の変形例は、第二~第九実施形態と組み合わされてもよい。
【0144】
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0145】
変形例において装置1a,8a,6aのうち少なくとも一種類を構成する専用コンピュータは、デジタル回路及び/又はアナログ回路をプロセッサとして含んでいてもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを記憶したメモリを、有していてもよい。
【0146】
ここまでの説明形態の他に、上述の実施形態及び変形例による処理装置1aは、プロセッサ12及びメモリ10を少なくとも一つずつ有する半導体装置(例えば半導体チップ等)として実施されてもよい。また、上述の実施形態及び変形例による処理装置8aは、プロセッサ82及びメモリ80を少なくとも一つずつ有する半導体装置(例えば半導体チップ等)として実施されてもよい。さらにまた、上述の実施形態及び変形例による通信装置6aは、プロセッサ62及びメモリ60を少なくとも一つずつ有する半導体装置(例えば半導体チップ等)として実施されてもよい。
【0147】
(付言)
上述した各実施形態の技術的特徴をまとめると、以下の通りである。
【0148】
(技術的特徴1)
技術的特徴1は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)を含む処理装置(1a)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信するように生成することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから取得することとを、実行するように構成される。
【0149】
(技術的特徴2)
技術的特徴1においてシーン情報を生成することは、安全エンベロープ違反の状況を表すシーン情報として、状況情報を生成することを、含む。
【0150】
(技術的特徴3)
技術的特徴1又は2においてフィードバック情報を取得することは、シーン情報に基づき判断される運転の支援内容を表すフィードバック情報として、支援情報を取得することを、含む。
【0151】
(技術的特徴4)
技術的特徴1~3のいずれか一つにおいてフィードバック情報を取得することは、シーン情報に基づき判断される安全エンベロープ違反の要因を表すフィードバック情報として、要因情報を取得することを、含む。
【0152】
(技術的特徴5)
技術的特徴1~4のいずれか一つにおいてフィードバック情報を取得することは、ホスト移動体のドライバに対してシーン情報に基づき判断される運転スコアを表すフィードバック情報として、スコア情報を取得することを、含む。
【0153】
(技術的特徴6)
技術的特徴1~5のいずれか一つにおいてシーン情報を生成することは、生成したシーン情報をホスト移動体の記憶媒体(10)に記憶することを、含み、フィードバック情報を取得することは、フィードバック情報の取得に応答して、シーン情報を記憶媒体から削除することを、含む。
【0154】
(技術的特徴7)
技術的特徴7は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信するように生成することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから取得することとを、含む。
【0155】
(技術的特徴8)
技術的特徴8は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10)に記憶され、プロセッサ(12)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視させることと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信するように生成させることと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから取得させることとを、含む。
【0156】
(技術的特徴9)
技術的特徴9は、ホスト移動体(2,3a)と通信可能なリモートセンタ(8)においてホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(82)を含む処理装置(8a)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成される。
【0157】
(技術的特徴10)
技術的特徴9においてシーン情報を取得することは、安全エンベロープ違反の状況を表すシーン情報として、状況情報を取得することを、含む。
【0158】
(技術的特徴11)
技術的特徴9又は10においてフィードバック情報を生成することは、シーン情報に基づき判断される運転の支援内容を表すフィードバック情報として、支援情報を生成することを、含む。
【0159】
(技術的特徴12)
技術的特徴9~11のいずれか一つにおいてフィードバック情報を生成することは、シーン情報に基づき判断される安全エンベロープ違反の要因を表すフィードバック情報として、要因情報を生成することを、含む。
【0160】
(技術的特徴13)
技術的特徴9~12のいずれか一つにおいてフィードバック情報を生成することは、ホスト移動体のドライバに対してシーン情報に基づき判断される運転スコアを表すフィードバック情報として、スコア情報を生成することを、含む。
【0161】
(技術的特徴14)
技術的特徴9~13のいずれか一つにおいてリモートセンタは、ホスト移動体に関連するサービスを提供するサービスセンタ(9)と通信可能であり、フィードバック情報を生成することは、サービスセンタへ公開される公開情報を、シーン情報及びフィードバック情報のうち少なくとも一方に基づき生成することを、含む。
【0162】
(技術的特徴15)
技術的特徴9~14のいずれか一つにおいてフィードバック情報を生成することは、シーン情報を取得するのに応答して、フィードバック情報を生成することを、含む。
【0163】
(技術的特徴16)
技術的特徴9~15のいずれか一つにおいてシーン情報を取得することは、複数時点に取得したシーン情報を、リモートセンタの記憶媒体(80)に蓄積することを、含み、フィードバック情報を生成することは、記憶媒体に記憶された複数時点でのシーン情報の統計分析に基づき、フィードバック情報を生成することを、含む。
【0164】
(技術的特徴17)
技術的特徴16においてフィードバック情報を生成することは、フィードバック情報の生成又は送信に応答して、複数時点でのシーン情報を記憶媒体から削除することを、含む。
【0165】
(技術的特徴18)
技術的特徴18は、ホスト移動体(2,3a)と通信可能なリモートセンタ(8)においてホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(82)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ホスト移動体へ送信するように生成することとを、含む。
【0166】
(技術的特徴19)
技術的特徴19は、ホスト移動体(2,3a)と通信可能なリモートセンタ(8)においてホスト移動体の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(80)に記憶され、プロセッサ(82)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得させることと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ホスト移動体へ送信するように生成させることとを、含む。
【0167】
(技術的特徴20)
技術的特徴20は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、ホスト移動体の第一プロセッサ(12)とリモートセンタの第二プロセッサ(82)とを含む処理システム(1)であって、第一プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ホスト移動体からリモートセンタへ送信するように生成することとを、実行するように構成され、第二プロセッサは、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、リモートセンタからホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成される。
【0168】
(技術的特徴21)
技術的特徴21は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、ホスト移動体の第一プロセッサ(12)とリモートセンタの第二プロセッサ(82)との協働により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ホスト移動体からリモートセンタへ送信するように生成することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、リモートセンタからホスト移動体へ送信するように生成することとを、含む。
【0169】
(技術的特徴22)
技術的特徴22は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、ホスト移動体の第一記憶媒体(10)とリモートセンタの第二記憶媒体(80)とのうち少なくとも一方に記憶され、ホスト移動体の第一プロセッサ(12)とリモートセンタの第二プロセッサ(82)とに協働して実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視させることと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ホスト移動体からリモートセンタへ送信するように生成させることと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、リモートセンタからホスト移動体へ送信するように生成させることとを、含む。
【0170】
(技術的特徴23)
技術的特徴23は、リモートセンタ(8)と通信可能に構成され、ホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を技術的特徴1~6のいずれか一つの処理装置(1a)と協働して遂行するために、プロセッサ(62)を含む通信装置(6a)であって、プロセッサは、安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生したと処理装置により判定される場合に、シーン情報をリモートセンタへ送信することと、フィードバック情報をリモートセンタから受信することとを、実行するように構成される。
【0171】
(技術的特徴24)
技術的特徴24は、リモートセンタ(8)と通信可能に構成され、ホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(62)を含む通信装置(6a)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生した場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから受信することとを、実行するように構成される。
【0172】
(技術的特徴25)
技術的特徴25は、リモートセンタ(8)と通信可能な通信装置(6a)においてホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(62)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生した場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから受信することとを、含む。
【0173】
(技術的特徴26)
技術的特徴26は、リモートセンタ(8)と通信可能な通信装置(6a)においてホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(60)に記憶され、プロセッサ(62)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生した場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信させることと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから受信させることとを、含む。
【0174】
(技術的特徴27)
技術的特徴27は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12,62)を含む処理システム(1)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから受信することとを、実行するように構成される。
【0175】
(技術的特徴28)
技術的特徴28は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12,62)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから受信することとを、含む。
【0176】
(技術的特徴29)
技術的特徴29は、リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10,60)に記憶され、プロセッサ(12,62)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視させることと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信させることと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、リモートセンタから受信させることとを、含む。
【0177】
(技術的特徴30)
技術的特徴30は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)を含む処理装置(1a)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信するように生成することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から取得することとを、実行するように構成される。
【0178】
(技術的特徴31)
技術的特徴31は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信するように生成することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から取得することとを、含む。
【0179】
(技術的特徴32)
技術的特徴32は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10)に記憶され、プロセッサ(12)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視させることと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信するように生成させることと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から取得させることとを、含む。
【0180】
(技術的特徴33)
技術的特徴33は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能に構成され、ホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を技術的特徴30の処理装置(1a)と協働して遂行するために、プロセッサ(62)を含む通信装置(6a)であって、プロセッサは、安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生したと処理装置により判定される場合に、シーン情報をターゲット移動体へ送信することと、フィードバック情報をターゲット移動体から受信することとを、実行するように構成される。
【0181】
(技術的特徴34)
技術的特徴34は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能に構成され、ホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(62)を含む通信装置(6a)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生した場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から受信することとを、実行するように構成される。
【0182】
(技術的特徴35)
技術的特徴35は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能な通信装置(6a)においてホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(62)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生した場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から受信することとを、含む。
【0183】
(技術的特徴36)
技術的特徴36は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能な通信装置(6a)においてホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(60)に記憶され、プロセッサ(62)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反が、手動運転のホスト車両において発生した場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信させることと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から受信させることとを、含む。
【0184】
(技術的特徴37)
技術的特徴37は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12,62)を含む処理システム(1)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から受信することとを、実行するように構成される。
【0185】
(技術的特徴38)
技術的特徴38は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12,62)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信することと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から受信することとを、含む。
【0186】
(技術的特徴39)
技術的特徴39は、ターゲット移動体(3a,2)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10,60)に記憶され、プロセッサ(12,62)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反を、手動運転のホスト移動体において監視させることと、安全エンベロープ違反が発生したと判定される場合に、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、ターゲット移動体へ送信させることと、シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報を、ターゲット移動体から受信させることとを、含む。
【0187】
(技術的特徴40)
技術的特徴40は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3a,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)を含む処理装置(1a)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から取得することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成される。
【0188】
(技術的特徴41)
技術的特徴41は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3a,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から取得することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信するように生成することとを、含む。
【0189】
(技術的特徴42)
技術的特徴42は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3a,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10)に記憶され、プロセッサ(12)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から取得させることと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信するように生成させることとを、含む。
【0190】
(技術的特徴43)
技術的特徴43は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能に構成され、ホスト移動体(3a,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を技術的特徴40の処理装置(1a)と協働して遂行するために、プロセッサ(62)を含む通信装置(6a)であって、プロセッサは、安全エンベロープ違反のシーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から受信することと、フィードバック情報をターゲット移動体へ送信することとを、実行するように構成される。
【0191】
(技術的特徴44)
技術的特徴44は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能に構成され、ホスト移動体(3a,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(62)を含む通信装置(6a)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から受信することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信することとを、実行するように構成される。
【0192】
(技術的特徴45)
技術的特徴45は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3a,2)の通信装置(6a)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(62)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から受信することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信することとを、含む。
【0193】
(技術的特徴46)
技術的特徴46は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3a,2)の通信装置(6a)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(60)に記憶され、プロセッサ(62)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から受信させることと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信させることとを、含む。
【0194】
(技術的特徴47)
技術的特徴47は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3a,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12,62)を含む処理システム(1)であって、プロセッサは、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から受信することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信することとを、実行するように構成される。
【0195】
(技術的特徴48)
技術的特徴48は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12,62)により実行される処理方法であって、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から受信することと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信することとを、含む。
【0196】
(技術的特徴49)
技術的特徴49は、ターゲット移動体(2,3a)と通信可能なホスト移動体(3,2)においてターゲット移動体の運転に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10,60)に記憶され、プロセッサ(12,62)に実行させる命令を含む処理プログラムであって、命令は、意図された機能の安全性を運転ポリシに従って設定した安全エンベロープの違反である安全エンベロープ違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のターゲット移動体から受信させることと、シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報を、ターゲット移動体へ送信させることとを、含む。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転操作に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)を含む処理装置(1a)であって、
前記ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
前記プロセッサは、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反を、手動運転の前記ホスト移動体において監視することと、
前記違反が発生した場合に、前記違反のシーンを表すシーン情報を、前記リモートセンタへ送信するように生成することと、
前記シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報として、前記検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、前記リモートセンタから取得することとを、実行するように構成される処理装置。
【請求項2】
前記検知アルゴリズムは、複数の前記センサから取得した前記センサデータを統合して前記環境を検知するフュージョンに関するアルゴリズムを含み、
前記プロセッサは、前記監視することにおいて、前記フュージョンに関するアルゴリズムにより検知された結果に基づいて、前記違反を監視する請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記検知アルゴリズムは、前記ホスト移動体の外界における物体を検知する物体検知に関するアルゴリズムを含み、
前記プロセッサは、前記監視することにおいて、前記物体検知に関するアルゴリズムにより検知された結果に基づいて、前記違反を監視する請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記検知アルゴリズムは、前記ホスト移動体の現在及び将来に走行する走路を検知する走路検知に関するアルゴリズムを含み、
前記プロセッサは、前記監視することにおいて、前記走路検知に関するアルゴリズムにより検知された結果に基づいて、前記違反を監視する請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記検知アルゴリズムは、前記ホスト移動体の走路に関連付けられた標示を検知する標示検知に関するアルゴリズムを含み、
前記プロセッサは、前記監視することにおいて、前記標示検知に関するアルゴリズムにより検知された結果に基づいて、前記違反を監視する請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記検知アルゴリズムは、前記ホスト移動体の自己位置を含む自己状態量を推定的に検知するローカリゼーションに関するアルゴリズムを含み、
前記プロセッサは、前記監視することにおいて、前記ローカリゼーションに関するアルゴリズムにより検知された結果に基づいて、前記違反を監視する請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
前記ホスト移動体は、自動運転を実行可能に構成され、前記検知アルゴリズムにより検知された結果に基づいて、前記ホスト移動体における自動運転レベルの調整として、自動運転と手動運転との間での引き継ぎを計画するように構成されており、
前記プロセッサは、前記取得することにおいて、前記自動運転レベルの調整に用いられる前記検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、前記リモートセンタから取得する請求項1に記載の処理装置。
【請求項8】
ホスト移動体(2,3a)と通信可能なリモートセンタ(8)において前記ホスト移動体の運転操作に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(82)を含む処理装置(8a)であって、
前記ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
前記プロセッサは、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転の前記ホスト移動体から取得することと、
前記シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報として、前記検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、前記ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成される処理装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記生成することにおいて、前記違反の要因を前記シーン情報に基づき判断する要因分析により、前記フィードバック情報を生成する請求項8に記載の処理装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記検知アルゴリズムの更新指令又は前記パラメータ調整指令の内容を、公開情報として公開するように生成する請求項8に記載の処理装置。
【請求項11】
リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転操作に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10)に記憶される処理プログラムであって、
前記ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
前記ホスト移動体のプロセッサ(12)に、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反を、手動運転の前記ホスト移動体において監視することと、
前記違反が発生した場合に、前記違反のシーンを表すシーン情報を、前記リモートセンタへ送信するように生成することと、
前記シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報として、前記検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、前記リモートセンタから取得することとを、実行させる処理プログラム。
【請求項12】
ホスト移動体(2,3a)と通信可能なリモートセンタ(8)において前記ホスト移動体の運転操作に関連する処理を遂行するために記憶媒体(80)に記憶される処理プログラムであって、
前記ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
前記リモートセンタのプロセッサ(82)に、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転の前記ホスト移動体から取得することと、
前記シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報として、前記検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、前記ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行させる処理プログラム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示の課題は、手動運転での安全性向上を促進する処理装置を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、手動運転での安全性向上を促進する処理プログラムを、提供することにある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本開示の第一態様は、
リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転操作に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(12)を含む処理装置(1a)であって、
ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
プロセッサは、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、
違反が発生した場合に、違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信するように生成することと、
シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報として、検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、リモートセンタから取得することとを、実行するように構成される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本開示の第二態様は、
ホスト移動体(2,3a)と通信可能なリモートセンタ(8)においてホスト移動体の運転操作に関連する処理を遂行するために、プロセッサ(82)を含む処理装置(8a)であって、
ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
プロセッサは、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得することと、
シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報として、検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行するように構成される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本開示の第三態様は、
リモートセンタ(8)と通信可能なホスト移動体(2,3a)の運転操作に関連する処理を遂行するために記憶媒体(10)に記憶される処理プログラムであって、
ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
ホスト移動体のプロセッサ(12)に、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反を、手動運転のホスト移動体において監視することと、
違反が発生した場合に、違反のシーンを表すシーン情報を、リモートセンタへ送信するように生成することと、
シーン情報に基づきフィードバックされるフィードバック情報として、検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、リモートセンタから取得することとを、実行させる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本開示の第四態様は、
ホスト移動体(2,3a)と通信可能なリモートセンタ(8)においてホスト移動体の運転操作に関連する処理を遂行するために記憶媒体(80)に記憶される処理プログラムであって、
ホスト移動体は、センサ(50,52)から取得したセンサデータを、検知アルゴリズムによって処理して環境を検知するように構成されており、
リモートセンタのプロセッサ(82)に、
許容可能なリスクのレベル内で操作を維持するための制限又は条件に対する違反の、シーンを表すシーン情報を、手動運転のホスト移動体から取得することと、
シーン情報に基づきフィードバックするフィードバック情報として、検知アルゴリズムの更新指令又はパラメータ調整指令を、ホスト移動体へ送信するように生成することとを、実行させる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】