(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024119994
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】改良された低電気抵抗微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、バッテリ及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/489 20210101AFI20240827BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/457 20210101ALI20240827BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20240827BHJP
【FI】
H01M50/489
H01M50/417
H01M50/457
H01M50/403 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097589
(22)【出願日】2024-06-17
(62)【分割の表示】P 2022179845の分割
【原出願日】2016-06-03
(31)【優先権主張番号】62/170,302
(32)【優先日】2015-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ライ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ERが非常に低いとともに、ガーレー数が低く、そして屈曲度が低い微多孔質セパレータ膜を提供する。
【解決手段】電気抵抗が、0.95オーム・cm2未満であり、ガーレー数が、500秒/100cc未満であり、屈曲度が1.5未満である微多孔質膜を含み、微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、非円形で台形状の細孔を有するポリオレフィンバッテリセパレータ膜とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
新規の、改良された又は改変されたポリオレフィンバッテリセパレータ膜であって、
電気抵抗が、0.95オーム・cm2未満であり、ガーレー数が、500秒/100cc未満であり、屈曲度が1.5未満である微多孔質膜を含み、
微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、非円形で台形状の細孔を有するポリオレフィンバッテリセパレータ膜。
【請求項2】
前記微多孔質膜の電気抵抗が、0.8オーム・cm2未満であり、
前記微多孔質膜のガーレー数が、150秒/100cc未満であり、
前記微多孔質膜の屈曲度が1.3未満であり、及び/又は、前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、ポリプロピレン、ポリエチレン、これらの混合物及びこれらの共重合体からなる、請求項1に記載のポリオレフィンバッテリセパレータ膜。
【請求項3】
前記微多孔質膜が、熱遮断機能を有する単層膜又は多層膜とすることができる、請求項1に記載のポリオレフィンバッテリセパレータ膜。
【請求項4】
前記微多孔質膜が、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリエチレンの三層からなる多層膜とすることができる、請求項1に記載のポリオレフィンバッテリセパレータ膜。
【請求項5】
前記微多孔質膜の厚さが25 μm未満である、請求項1に記載のポリオレフィンバッ
テリセパレータ膜。
【請求項6】
前記微多孔質膜が、該膜のそれぞれの面において、非円形で台形状の細孔を有する、請求項5に記載のポリオレフィンバッテリセパレータ膜。
【請求項7】
新規の、改良された又は改変されたポリオレフィンバッテリセパレータ膜であって、
1.0g/10分未満のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンを押し出して、単層非多孔質前駆体膜を形成することと、
非多孔質ポリプロピレン前駆体膜を機械方向に延伸して、350 gfを超える穿孔強
度及び600%を超えるTD伸び率を有する半多孔質中間体膜を形成することと、
半多孔質中間体膜を15~400%の延伸比を用いて横方向に延伸し、好ましくは、25~100%の延伸比を用いて延伸して、微多孔質セパレータ膜を形成することと、
を含む工程によって製造されるポリオレフィンバッテリセパレータ膜。
【請求項8】
前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において横方向に延伸されるときに形成され、前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において100フィート/分の速度で、好ましくは50フィート/分の速度で横方向に延伸されて形成され、膜を120~140℃において熱緩和させ、及び/又は、膜を、60~100℃の温度において、好ましくは8時間から2~3日間加熱処理する、請求項7に記載のポリオレフィンバッテリセパレータ膜。
【請求項9】
新規の、改良された又は改変されたポリオレフィン三層バッテリセパレータ膜であって、
1.0g/10分未満のメルトフローインデックスを有するポリエチレンを押し出して、単層非多孔質ポリエチレン前駆体膜を形成することと、
1.0g/10分未満のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンを押し出して、単層非多孔質ポリプロピレン前駆体膜を形成することと、
ポリエチレン前駆体膜の1つの内側層を挟む外側層として二層のポリプロピレン前駆体膜を積み重ねて、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリエチレン非多孔質前駆体の三層を
形成することと、
非多孔質ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリエチレン前駆体膜を機械方向に延伸して、350 gfを超える穿孔強度及び600%を超えるTD伸び率を有する半多孔質中間
体膜を形成することと、
半多孔質中間体膜を15~400%の延伸比を用いて横方向に延伸し、好ましくは、25~100%の延伸比を用いて延伸して、微多孔質三層セパレータ膜を形成することと、
を含む工程によって製造されるポリオレフィン三層バッテリセパレータ膜。
【請求項10】
前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において横方向に延伸されるときに形成され、前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において100フィート/分の速度で、好ましくは50フィート/分の速度で横方向に延伸されて形成され、膜を120~140℃において熱緩和させ、及び/又は、膜を、60~100℃の温度において、好ましくは8時間から2~3日間加熱処理する、請求項9に記載のポリオレフィン三層バッテリセパレータ膜。
【請求項11】
新規の又は改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、又はこのような膜、セパレータ若しくは電池を含むバッテリ、及び/又は、このような膜、セパレータ、電池及び/又はバッテリを製造する方法、及び/又はこのような膜、セパレータ、電池及び/又はバッテリを使用する方法を含む方法、0.95オーム・cm2未満、場合によっては0.8オーム・cm2未満の低い電気抵抗を有し得る、二次リチウム電池又は充電式リチウム電池用のバッテリセパレータであって、前記バッテリセパレータ膜又はセパレータが、低い電気抵抗、低いガーレー数、低い屈曲度、及び/又は特有の形状の細孔、場合によっては、台形の形状に近似するか若しくは台形状である細孔という考えられる相乗的な組合せに基づいて、充電式リチウム電池又は二次リチウム電池における電池性能レベルの向上を達成する手段、及び/又は多層による実施形態(一例にすぎないが、ポリエチレン層を挟む2つのポリプロピレン層からなる三層膜)を提供し、微多孔質膜又はバッテリセパレータが、本明細書に示されているか又は説明されている熱遮断の開始及び/又は熱遮断性能の割合が優れている、バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池又はバッテリ、及び/又は方法、バッテリセパレータ。
【請求項12】
改良されたセパレータにおいて、低いERと低いガーレー数と低い屈曲度とが相乗的に組み合わされ、そして、ポリマーの層状結晶領域が、垂直方向及び対角線上に細長いフィブリル構造の三次元配列によって接続された小さな島に似ている「編み込み状」構造に似た多孔質構造、走査型電子顕微鏡写真(SEM)分析において証明されているような特有の形態を有し、例えば、本発明による単層の実施例6及び実施例7の表面のSEM像がそれぞれ、
図12及び13に示され、細孔が非円形細孔形状を有するセパレータ。
【請求項13】
本明細書に示されているか又は説明されている膜又はセパレータ。
【請求項14】
図12又は13に示されているか又は描写されている、請求項13に記載の膜又はセパレータ。
【請求項15】
図13に示されているか又は描写されている、請求項14に記載の膜又はセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年6月3日に出願された米国仮特許出願第62/170,302号の優先権及び利益を主張し、当該仮特許出願は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願は、新規の又は改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池(cells)、又はこのような膜若しくはセパレータ
を含むバッテリ(batteries)、及び/又は、このような膜、セパレータ、電池及び/又は
バッテリを製造する方法、及び/又はこのような膜、セパレータ、電池及び/又はバッテリを使用する方法を含む方法を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本発明は、0.95オーム・cm2未満、場合によっては0.8オーム・cm2未満の低い電気抵抗を有し得る、二次リチウム電池又は充電式リチウム電池用のバッテリセパレータを対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、バッテリセパレータ膜又はセパレータは、低い電気抵抗、低いガーレー数(gurley)、低い屈曲度(tortuosity)、及び/又は特有の形状の細孔、場合によっては、台形の形状に近似するか若しくは台形状である細孔という考えられる相乗的な組合せに基づいて、充電式リチウム電池又は二次リチウム電池における電池性能レベルの向上を達成する手段を提供することができる。少なくとも特定の多層による実施形態(一例にすぎないが、ポリエチレン層を挟む2つのポリプロピレン層からなる三層膜)によれば、本明細書に説明されている微多孔質膜又はバッテリセパレータは、熱遮断の開始及び/又は熱遮断性能の割合が優れ得る。
【背景技術】
【0003】
米国特許第5,691,077号及び同第5,952,120号、並びに米国特許出願公開第2007/0148538号には、一軸延伸又は機械方向(MD)延伸を用いて乾式微多孔質バッテリセパレータ膜を製造する種々の方法が開示されている。非多孔質半結晶性押出ポリマー前駆体を延伸する一軸方式を用いる場合、乾式法(Celgard(登録商標
)法と呼ばれることが多い。)は、場合によっては、細長いスリット状の細孔を生じることがある。乾式一軸延伸法を用いて製造されたバッテリセパレータ膜は、場合によっては、横方向の引張強さよりも機械方向の引張強さが高いことがある。
【0004】
種々の乾式多孔質セパレータ膜において横方向の引張強さを高めるように、米国特許第8,795,565号、並びに米国特許出願公開第2011/0223486号、同第2014/0287322号及び同第2014/0302374号には、機械方向(MD)延伸(又は一軸延伸)と同時に及び/又は連続して行われる横方向(TD)延伸を含む種々の方法が提案されている。
【0005】
米国特許第8,795,565号、並びに米国特許出願公開第2014/0287322号及び同第2014/0302374号には、同時に制御された機械方向緩和ステップ、約0.5~約4.0のMD/TD延伸比、及び/又は最大約1450 kg/cm2の
MD引張強さを含み得る、種々の横方向延伸法が提案されている。特有の延伸工程によって、場合により、一部の乾式一軸延伸工程により見いだされることがある細長いスリット状の細孔から、円形状の細孔(又はほぼ円形の細孔)に、細孔の形状が変化することがある。細孔径及び細孔の形状は、充放電サイクル時にリチウムイオン充電式電池の電極間の電解質及びイオンの移動に影響を及ぼす可能性があるため、場合によっては、重要なセパレータ膜性能特性であることがある。米国特許出願公開第2011/0223486号には、種々の実施形態において、MD及びTD引張強さのバランスがとれた多孔質膜を生成
するように、MD/TD延伸比がほぼ1に等しい、MD及びTD延伸の量の調整が提案されている。そして、種々の例において、既知の二軸延伸乾式バッテリセパレータ膜のER値は、1オーム・cm2よりも大きい可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つ以上の実施形態の詳細を以下の説明に示す。他の特徴、目的及び利点は、本明細書及び特許請求の範囲から明らかになる。
【0007】
種々のリチウム電池、例えば、二次リチウムイオン電池又は充電式リチウムイオン電池の電力性能は、このようなバッテリに用いられるバッテリセパレータのER、ガーレー数、及び/又は屈曲度によって制限されるか又は影響を受けることがある。リチウムイオン充電式電池の電力を増加させ、レート特性を向上させ、サイクル性能を向上させ、サイクル寿命を延ばし、及び/又は高い充放電サイクル後の性能を向上させるように、ERが非常に低く、ガーレー数が低く、そして屈曲度が低い微多孔質セパレータ膜が必要である。場合によっては、ERが非常に低く、ガーレー数が低く、そして屈曲度が低い、改良されたセパレータは、バッテリサイクル時の電解質の流れに対してイオン抵抗が更に低いセパレータをもたらすことがあり、このような改良されたセパレータを含有するバッテリの性能の種々の向上に寄与し得る。電気駆動車(EDV)は、高電力性能のバッテリを必要とすることが多い。EDV最終用途のリチウムイオン電池においてより高い電力性能を達成する方法の一つは、リチウムイオン充電式電池において、ERが非常に低いとともに、ガーレー数が低く、そして屈曲度が低い微多孔質セパレータ膜を用いることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願又は本発明は、リチウム充電式電池、例えばリチウムイオン電池の改良された又は新規の微多孔質バッテリセパレータ膜、及びこのようなセパレータ膜を製造する種々の方法を対象とする。本明細書に説明されているバッテリセパレータは、一部の例では0.95オーム・cm2未満、場合によっては0.8オーム・cm2未満の、低い電気抵抗(ER)、低いガーレー数、低い屈曲度、及び円形状ではない特有の細孔を有し得る。ERが低く、ガーレー数が低く、屈曲度が低く、そして円形状ではない細孔(例えば、形状が台形に近似するか又は台形状である細孔)を達成する方法は、機械方向及び/又は横方向延伸工程時に細孔径を制御する新規の方法に基づき得る。
【0009】
少なくとも選択された実施形態によれば、本出願又は本発明は、上述の要求又は需要に対処することができ、及び/又は、新規の又は改良されたセパレータ膜、セパレータ、このようなセパレータを含むバッテリ、このような膜、セパレータ及び/又はバッテリを製造する方法、及び/又はこのような膜、セパレータ及び/又はバッテリを使用する方法を対象とする。本発明は、リチウムイオン電池の新規の又は改良された微多孔質セパレータ膜、並びにその製造方法及び使用方法に関する。考えられる好ましい本発明の微多孔質セパレータ膜は、一軸(機械)延伸及び横方向延伸工程のステップの方式を変える新規の方法により延伸される。
【0010】
加えて、非多孔質前駆体膜は、高い結晶性である。高い結晶性の非多孔質前駆体は、最初に、機械方向に延伸され、MD延伸の量が管理されて、高い横方向伸び率(TD伸び率)の「半多孔質中間体」膜を生成する。高い結晶性の非多孔質前駆体による最初のMD延伸は、一部の実施形態では600%よりも大きなTD伸び率、及び/又は、一部の実施形態では330 gfよりも大きく、一部の実施形態では350 gfよりも大きな突刺強度を有する半多孔質中間体を生成し、これらの特性は、本明細書の種々の実施形態に説明されている本発明の低ER微多孔質セパレータ膜を達成するうえで、重要であり得る。表1
は、半多孔質中間体膜の種々の特性を挙げている。半多孔質中間体は最終製品ではなく、特定の実施形態では、目標穿刺強度及び/又は目標TD伸び率を有する中間体膜である。種々の実施形態において、半多孔質中間体は、次に、好ましい温度及び速度において横方向に延伸され、TD延伸工程の後には、好ましくは120~140℃において行われるTD緩和ステップが続く。表4は、本明細書に説明されている種々の実施形態に従って製造された最終的なMD及びTD延伸微多孔質バッテリセパレータ膜のセパレータ特性を挙げている。
【0011】
選択された実施形態によれば、微多孔質セパレータ膜は、0.95オーム・cm
2未満、場合によっては0.8オーム・cm
2未満の低い電気抵抗(ER)とともに、低いガーレー数及び低い屈曲度を有する。加えて、微多孔質セパレータ膜は、
図9~13に示された走査型電子顕微鏡写真(SEM)により証明されるように、特有の形態を有する。特有の多孔質構造は、(
図3~8にSEMが含まれている膜のような)既知の乾式一軸延伸及び二軸延伸多孔質セパレータ膜とは異なる。本明細書の種々の実施形態に説明されている膜の多孔質構造は、ポリマーの層状結晶領域が、垂直方向及び対角線上に細長いフィブリル構造の三次元配列によって接続された小さな島に似ている「編み込み状(knitted-like)」構造に似ていてもよい。加えて、一部の実施形態において、細孔は、四辺の台形状の形状、又は一部では台形の形状に近似した形状を有するように見え得る。これらの膜の多孔質構造による特有の細孔形状は、既知の特定の二軸延伸乾式微多孔質バッテリセパレータ膜のほぼ円形の細孔とは異なるように見え、また、既知の特定の一軸延伸乾式微多孔質バッテリセパレータ膜の細長いスリット状の細孔とは異なるように見える。
図1には、細孔形状のこのような相違が、近似する形状のみにより示されている。細孔の形状は、場合によっては、微多孔質バッテリセパレータ膜の性能とともに、このような微多孔質バッテリセパレータ膜のER、ガーレー数、屈曲度及び全体的な多孔率において、重要な役割を果たすことがあるが、これは、細孔が電解質を貯蔵し、さらに、リチウムイオン充電式電池の充放電サイクル時に電解質媒体を介してアノードとカソードとの間においてイオンを輸送する屈曲した経路も形成するためである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、比較例CE1及びCE3による微多孔質セパレータ膜の近似する細孔形状と比較した、本明細書に説明されている実施形態に係る種々の微多孔質セパレータ膜の複数の近似する細孔形状を描写する。
【
図2】
図2には、実施例1~4の一部として形成された種々の三層微多孔質バッテリセパレータ膜についての、温度の関数としての電気抵抗(ER)のプロットが含まれる。
【
図3】
図3には、厚さ約25ミクロンのCelgard(登録商標)2500として知られている市販の微多孔質単層ポリプロピレンセパレータ膜の表面の、20,000倍の走査型電子顕微鏡写真(SEM)の像が含まれる。
【
図4】
図4には、市販のCelgard(登録商標)2500セパレータ膜の表面の5,000倍のSEM像が含まれる。
【
図5】
図5には、市販のCelgard(登録商標)2500セパレータ膜の断面の20,000倍のSEM像が含まれる。
【
図6】
図6には、本明細書のCE1(比較例1)に従って製造された微多孔質単層ポリプロピレンセパレータ膜の表面の20,000倍のSEM像が含まれる。
【
図7】
図7には、本明細書のCE2(比較例2)に従って製造された微多孔質三層PP/PE/PPセパレータ膜の表面の20,000倍のSEM像が含まれる。
【
図8】
図8には、本明細書のCE5(比較例5)に従って製造された微多孔質単層ポリプロピレンセパレータ膜の表面の20,000倍のSEM像が含まれる。
【
図9】
図9には、実施例2に従って製造された微多孔質PP/PE/PPセパレータ膜の表面の20,000倍のSEM像が含まれる。
【
図10】
図10には、実施例2に従って製造された微多孔質PP/PE/PPセパレータ膜の表面の5,000倍のSEM像が含まれる。
【
図11】
図11には、実施例2に従って製造された微多孔質PP/PE/PPセパレータ膜の断面の4,800倍のSEM像が含まれる。
【
図12】
図12には、実施例6に従って製造された微多孔質単層PPセパレータ膜の表面の20,000倍のSEM像が含まれる。
【
図13】
図13には、実施例7に従って製造された微多孔質単層PPセパレータ膜の表面の20,000倍のSEM像が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の膜、セパレータ、電池、バッテリ、方法及び/又は同種のものを開示及び説明する前に、これらは、特定の方法、構成要素、特定の組成物、又は同種のものに限定されないことが理解される。また、本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定されるものとはしないことも理解される。
【0014】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形「a」、「an」
及び「the」には、文脈上他に明確な指示がない限り、複数の指示対象が含まれる。範囲
は、本明細書では、「約(about)」により一方の特定の値として、及び/又は「約」によ
りもう一方の特定の値として表され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態には、一方の特定の値から、及び/又は他方の特定の値まで含まれる。同様に、値が近似値として表される場合、先行する「約」の使用によって、特定の値が別の実施形態を構成することが理解される。さらに、それぞれの範囲の終点は、他方の終点に関して重要であり、そして、他方の終点とは無関係で重要であることが理解される。
【0015】
「任意の(Optional)」又は「場合により(optionally)」とは、後に説明される事象又は状況が発生しても発生しなくてもよいこと、そして、その説明に、前述の事象又は状況が発生する場合及び発生しない場合が含まれることを意味する。本明細書の説明及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という語と、この語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」という語は、「~が含まれるが、これに限定されない(including but not limited to)」ことを意味し、例えば、他の付加物、構成要素、整数
又はステップを排除するものとはしない。「例示的な(Exemplary)」とは「~の例(an example of)」を意味し、好適な又は理想的な実施形態を示すことを伝えるものとはしない。「~など(Such as)」は限定的な意味ではなく、説明のために用いられる。
【0016】
開示されている特性、性能、方法及びシステムを実施するのに用いることができる、製品、形状、細孔、構成要素、材料、層、又は同種のものが開示されている。本明細書には、これらの構成要素及び他の構成要素が開示され、また、これらの構成要素の組合せ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、種々の個々の組合せ及び集合的な組合せのそれぞれの具体的な参照、並びにこれらの変形は明示的に開示されていなくてもよいが、すべての製品、方法及びシステムについて、それぞれ本明細書において具体的に考慮され説明されることが理解される。このことは、開示されている方法のステップを含むがこれに限定されない、本出願のすべての態様に該当する。このため、実施可能な種々の付加的なステップが存在する場合、これらの付加的なステップはそれぞれ、開示されている方法の特定の実施形態又は実施形態の組合せを用いて実施できることが理解される。
【0017】
選択された実施形態によれば、本発明は、微多孔質膜であって、半結晶性ポリマーであることが特徴であり得る熱可塑性ポリマーを含む微多孔質膜を対象とする。このようなポリマーとしては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPE及びUHMWPE)、ポリブテン、ポリメチルペンテン、これらの共重合体、並びにこれらのブレンド又は混合物を挙げることができる。ポリオレフィンは、ホモポリマー、
又はホモポリマーポリオレフィンのブレンドであり得る。ポリオレフィンは、ポリオレフィンの共重合体、又はポリオレフィンの共重合体のブレンドであり得る。一実施形態において、好ましいポリオレフィンは、1.0g/10分未満のメルトフローインデックス(mfi)を有するポリプロピレンであり得る。別の実施形態において、好ましいポリオレフィンは、0.5g/10分未満のmfiを有するポリエチレンであり得る。
【0018】
本発明の微多孔質膜は、単層(single-ply)又は多層(multi-ply)の微多孔質膜であり得
る。選択された実施形態によれば、本発明の微多孔質膜を製造する方法には、概して、米国特許第5,952,120号及び米国特許出願公開第2007/0148538号に記載されているように、環状のダイを用いて、インフレーションフィルムの非多孔質前駆体を泡状により押し出す工程と、このチューブラーバブル膜を平坦化して「泡崩壊(collapsed bubble)」非多孔質膜を形成する工程と、が含まれ得る。少なくとも選択された実施形態によれば、非多孔質前駆体は、泡崩壊ポリプロピレン(PP)膜であり得る。他の実施形態によれば、非多孔質前駆体は多層前駆体膜であり、多層前駆体膜は、ポリエチレン(PE)前駆体の中心層を挟むポリプロピレン(PP)の2つの外側層を備え、PP/PE/PP構成により積み重ねられた前駆体膜を形成する。一部の実施形態において、このような多層前駆体膜は、PP/PE/PP前駆体膜をともに積み重ねることによって形成される。他の実施形態において、非多孔質前駆体は、多層前駆体膜であって、ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)を共押し出しして、PP/PE/PP構成を有する非多孔質三層前駆体膜を形成し、そして、PP/PE/PP三層前駆体泡を崩壊させて多層PP/PE/PP前駆体膜を形成することによって生成する多層前駆体膜である。
【0019】
非多孔質単層又は多層前駆体膜は、前駆体膜中の層状結晶の量及びサイズを増加させて、前駆体膜の結晶度を増加させるようにアニール化することができる。
【0020】
本明細書に説明されているセパレータ膜の一実施形態において、非多孔質共押出PP/PE/PP又は積層PP/PE/PP前駆体膜は、最初に、機械方向(MD)に延伸される。MD延伸の量は、横方向(TD)伸び率が高い、約600%を超えることが好ましい半多孔質中間体膜を生成するように、選択又は最適化することができる。TD伸び率が高い、このような半多孔質中間体膜は、その後の横方向延伸工程のステップにおいて所望量のTD延伸を達成するうえで、役割を果たし得る。さらに、非多孔質前駆体において行われるMD延伸の量は、特定の多孔率、好ましくは20~50%の多孔率、一部の実施形態では約30~50%の多孔率の半多孔質中間体膜を生成するように最適化することができる。加えて、非多孔質前駆体膜において行われるMD延伸の量は、330 gfよりも高
い優れた穿刺強度を有する半多孔質中間体膜を生成するように最適化することができる。
【0021】
MD延伸工程のステップに続いて、半多孔質中間体膜は、好ましくは15~400%の延伸比、一部の実施形態では20~250%の延伸比、更に好ましくは25~100%の延伸比を用いて、横方向に延伸することができ、延伸比は、「差(膜の最終幅-膜の初期幅)を膜の初期幅で割った」ものと定義される。TD延伸は、100~300℃の温度において行われることが好ましく、ライン速度は25~250フィート/分、場合によっては50~200フィート/分、そして、場合によっては50~100フィート/分である。
【0022】
TD延伸工程のステップに続いて、微多孔質三層セパレータ膜は、好ましくは10~50%、更に好ましくは20~40%、横方向(TD)に緩和され得る。TD緩和は、好ましくは120~140℃の温度において行うことができる。
【0023】
TD緩和工程のステップに続いて、微多孔質三層セパレータ膜を、好ましくは60℃~
100℃の温度において、好ましくは8時間から2~3日間、加熱処理して膜を安定させることができる。
【0024】
微多孔質PP/PE/PPバッテリセパレータ膜は、内側PE層による熱遮断機能を有する。熱遮断は、温度が直線的に上昇している間に、インピーダンスを測定することによって決定される。熱遮断は、インピーダンス又は電気抵抗(ER)が1000倍になる温度と定義される。バッテリセパレータ膜がリチウムイオン電池の熱暴走を阻止するのに、インピーダンスが千倍になる必要があり得る。インピーダンスの上昇は、セパレータの溶融に起因する細孔構造の崩壊に相当する。熱遮断時に、考えられる好ましい本発明のセパレータ膜の内側PE層の細孔は、130℃~135℃の温度において合着して閉じることができ、これによって、
図2に示されているインピーダンスが1000倍になる。
【0025】
熱遮断は、ER、ガーレー数、細孔径、屈曲度及び/又は多孔率などの複数のセパレータパラメータの影響を受け得る。これらのパラメータのバランスは、熱遮断の低い開始温度を達成するうえで、重要な役割を果たし得る。
【0026】
考えられる好ましい本発明の微多孔質膜の熱遮断の優れた開始温度は、一部の実施形態では、横方向の延伸時に生じる細孔径の増加を制御することによって達成される。半多孔質中間体膜の横方向延伸は、三層膜中のポリプロピレン層の0.03~0.08 μm、
場合によっては0.04~0.06 μmの範囲の細孔径を生じるのに用いることができ
、これは、既知の多層PP/PE/PP微多孔質膜における一軸乾式延伸ポリプロピレン層の一般的な細孔径よりも大きい。横方向延伸ステップ時に到達する細孔径を制御することにより、考えられる好ましい本発明の膜の工程は、0.95オーム・cm2未満の低いER、場合によっては更に低い(例えば、0.9オーム・cm2未満、0.8オーム・cm2未満、0.7オーム・cm2未満、0.6オーム・cm2未満など)ERと、150秒/100cc未満の低いガーレー数と、1.2未満の低い屈曲度との組合せを有した微多孔質多層セパレータ膜を製造する。
【0027】
本明細書の種々の実施形態に係るセパレータ膜を製造する別の実施形態において、非多孔質単層ポリプロピレン前駆体膜は、最初に、機械方向(MD)に延伸されて「半多孔質中間体(semi-porous intermediate)」膜を生成する。MD延伸の量は、横方向(TD)伸び率が高い、好ましくは600%を超える「半多孔質中間体」膜を生成するように選択されることが好ましい。さらに、MD延伸の量は、特定の多孔率、好ましくは20~50%、場合によっては30~50%を有した「半多孔質中間体」膜を生成するように最適化される。加えて、MD延伸の量は、350 gfよりも大きい十分な穿刺強度を有する「半
多孔質中間体」膜、ここでは単層膜を生成するように最適化される。
【0028】
MD延伸ステップに続いて、単層多孔質膜は、好ましくは15~400%の延伸比、場合によっては20~250%の延伸比、更に場合によっては25~100%の延伸比を用いて横方向に延伸され、延伸比は、「(膜の最終幅-膜の初期幅)を膜の初期幅で割った」ものと定義される。TD延伸は、好ましくは100~300℃の温度、好ましくは25~250フィート/分、場合によっては50~200フィート/分、そして、場合によっては50~100フィート/分の速度において行われる。
【0029】
TD延伸に続いて、微多孔質単層セパレータ膜は、好ましくは10~50%のTD緩和、更に好ましくは20~40%のTD緩和において、横方向(TD)に緩和され得る。TD緩和温度は、120~140℃が好ましい。
【0030】
TD緩和に続いて、微多孔質単層セパレータ膜を、好ましくは60℃~100℃の温度において、好ましくは8時間から2~3日間、加熱処理して膜を安定させることができる
。
【0031】
さらに、本発明の単層微多孔質セパレータ膜は、特定の実施形態では、0.95オーム・cm2未満(場合によっては、0.9オーム・cm2未満、又は0.85オーム・cm2未満、又は0.8オーム・cm2未満など)のER、及び250 gfを超える穿刺強
度を有する。本発明の微多孔質単層バッテリセパレータ膜は、低いERと低いガーレー数と低い屈曲度との組合せを有すると同時に、細孔径は、0.03~0.08 μm、場合
によっては0.04~0.06 μm、そして場合によっては0.050~0.060 μmの範囲に制御されており、また、本発明の単層セパレータ膜の多孔率は、TD延伸を用いて60~70%の範囲にあることが好ましい。
【0032】
考えられる好ましい本発明の多層及び単層微多孔質バッテリセパレータ膜は、1.3未満の低い屈曲度を有する。屈曲度は、イオンが多孔質膜の外面(face)の一方の面から、膜本体の細孔を通って、膜の反対側の外面に移動する、曲がりくねった経路の指標として説明することができる。低い屈曲度は、リチウムイオン電池の充放電サイクル時に、(高い屈曲度と比較して)多孔質バッテリセパレータ膜を通るイオン及び電解質が多く移動するか又は速く移動するのを促進する。場合によっては、低い屈曲度の膜は、サイクル速度が高く、そしてサイクル寿命性能が向上したリチウムイオン電池に寄与し得る。炭素系又はリチウム金属アノードを有し得るリチウム充電式電池の充電サイクル時に、リチウムイオンは、カソードから電解質媒体を介してセパレータ膜の細孔を通ってバッテリのアノードに輸送される。その逆のことが放電サイクル時に生じ、リチウムイオンがアノードからカソードに移動する。連続充放電サイクルでは、低い屈曲度の膜は、場合によっては、サイクルの速度、電極利用及び電極サイクルを増加させ、このことにより、場合によっては、リチウム充電式電池のサイクル寿命性能を向上させ得る。
【実施例0033】
実施例
次の表1~4において、セパレータ膜特性のデータを、前述の工程を用いて製造された例について挙げる。表1は、最初のMD延伸工程のステップ後に生成した半多孔質三層(PP/PE/PP)中間体の2つの重要な特性を挙げているが、ここでは、MD延伸を行って半多孔質三層(PP/PE/PP)中間体膜を生成し、半多孔質中間体膜のTD伸び率は600%よりも大きく、穿刺強度は330 gfよりも大きい。
【0034】
【0035】
【0036】
表2は、比較例CE 2、比較例CE 3及び比較例CE 4とともに、本発明の実施例
1、実施例2、実施例3及び実施例4(本明細書に説明されている工程に従って製造された4つの三層セパレータ膜すべて)に関するセパレータの特性及び性能データを挙げている。CE 2は、二軸MD/TD延伸乾式微多孔質三層微多孔質膜である。比較例CE 3は、一軸MD延伸乾式積層三層微多孔質膜であり、また、比較例CE 4は、一軸MD延
伸乾式共押出三層微多孔質膜である。
【0037】
これらの実施例に示されている、選択された実施形態によれば、本発明の三層微多孔質セパレータ膜は、0.57オーム・cm
2以下の非常に低い電気抵抗(ER)、150秒/100cc以下の低いガーレー数、そして1.2以下の低い屈曲度を有する。CE 2
は、低いERを有する二軸延伸三層微多孔質膜であるが、バッテリサイクル性能に影響を及ぼし得るセパレータ特性である、高いガーレー数及び非常に低いMD引張強さを有する。本発明のセパレータ膜は、横方向の延伸を用いずに製造された多孔質膜であるCE 3
及びCE 4よりも大幅に改良された、低いER、低い屈曲度及び低いガーレー数を有す
る。本発明のセパレータ膜の独自性は、走査型電子顕微鏡写真(SEM)分析により証明されているように、その新規の形態によって示される。
図9は、本発明の実施例2のSEM像を示し、(
図7に示されている膜のような)既知の乾式二軸延伸多孔質セパレータ膜の細孔形状とは異なり、特有の細孔形状を有する。本発明の膜の多孔質構造は、ポリマーの層状結晶領域が、垂直方向及び対角線上に細長いフィブリル構造の三次元配列によって接続された小さな島に似ている「編み込み状」構造に似ている。
図9及び10に示されている、実施例2のセパレータ膜の細孔は、円形状ではなく、二等辺四辺形又は外観が台形状である細孔形状に類似するほぼ四辺の幾何形状を有するものとして説明することができる。この新規な形状の細孔は、特定の例では、1)
図7に示されているような円形状又はほぼ円形の細孔を有し得る、他の既知の二軸方向延伸乾式微多孔質バッテリセパレータ膜、及び/又は、2)
図3、4及び5に示されている、他の既知の一軸方向延伸乾式微多孔質バッテリセパレータ膜のような、他のバッテリセパレータ膜と比較した場合に、1つ以上のセパレータに種々の利点をもたらすことができる。
【0038】
考えられる好ましい本発明の三層微多孔質膜の熱遮断の優れた開始は、横方向の延伸時に生じる細孔径の増加を制御することによって達成され得る。半多孔質中間体の本発明の膜の横方向延伸によって、細孔径が0.046~0.051 μmである三層膜中にポリ
プロピレン層が生成したが、この細孔径は、多層CE 3及びCE 4微多孔質膜における種々の一軸延伸ポリプロピレン層の一般的な細孔径よりも大きいことが示されている。考えられる好ましい本発明の微多孔質セパレータ膜は、小さなPP細孔径に加えて、非常に低いER(場合によっては0.57オーム・cm2未満)、低いガーレー数(場合によっては150秒/100cc未満)とともに、低い屈曲度(場合によっては1.2未満)を有する。
【0039】
表3は、最初のMD延伸工程のステップにおいて生成した半多孔質単層中間体の2つの特性を挙げているが、ここでは、MD延伸を行って半多孔質中間体膜を生成し、半多孔質中間体膜のTD伸び率は600%よりも大きく、穿刺強度は350 gfよりも大きい。
【0040】
【0041】
表4は、比較例CE 1、比較例CE 5及び比較例CE 6とともに、すべてが本明細
書に説明されている工程に従って製造された単層ポリプロピレンセパレータ膜である、本発明の実施例5、実施例6及び実施例7に関するセパレータの特性及び性能データを挙げている。比較例CE 1は、単層二軸延伸微多孔質セパレータ膜であり、比較例CE 5は、β有核単層二軸延伸微多孔質セパレータ膜であり、また、比較例CE 6は、単層一軸
MD延伸微多孔質セパレータ膜である。
【0042】
【0043】
選択された実施形態によれば、本発明の単層微多孔質セパレータ膜は、0.77オーム・cm2以下の非常に低い電気抵抗(ER)、120秒/100cc以下の低いガーレー数とともに、約1.3以下の低い屈曲度を有する。
【0044】
本発明の実施例5、実施例6及び実施例7は、ガーレー数が120秒/100cc以下であり、これは、C E1、CE 5及びCE 6よりも有意に低い。二軸延伸されたCE 5は、本発明の膜と比較して、大きな細孔径及び高い屈曲度を有するが、高いERを有する。一軸延伸されたCE 6は、高い屈曲度及び同等の(comparative)細孔径を有するが、はるかに高いERを有する。CE 1は、本発明の膜と同等のERを有するが、これは、
高いガーレー数及びはるかに低い機械方向の引張強さを犠牲にしている。
【0045】
本発明の単層セパレータ膜における低いER、低いガーレー数及び低い屈曲度という相乗的な組合せは、本発明の三層セパレータ膜と同じ、上述した種々の実施形態において論じられている本発明の三層膜の「編み込み状」構造であって、ポリマーの層状結晶領域が、垂直方向及び対角線上に細長いフィブリル構造の三次元配列によって接続された小さな島に似ている「編み込み状」構造に似た多孔質構造に起因し得る。また、本発明の単層膜は、走査型電子顕微鏡写真(SEM)分析において証明されているように、特有の形態も有する。本発明による単層の実施例6及び実施例7の表面のSEM像はそれぞれ、
図12及び13に示されている。本発明の単層微多孔質膜の細孔は、本発明の三層微多孔質膜と同じ非円形細孔形状を有する。本発明の単層微多孔質膜は、1)Celgard(登録商標)乾
式バッテリセパレータ膜に一般的な細長いスリット状の細孔を有する、種々の既知の乾式一軸延伸単層多孔質セパレータ膜(例えば、
図6に示されているもの)、及び、2)β有核ポリプロピレン多孔質膜に一般的な厚く絡み合った層状繊維構造を有する血管状の多孔質構造を有する、
図8に示されている先行技術の乾式β有核二軸延伸多孔質セパレータ膜とは異なる細孔形状を有する。
【0046】
本発明の単層微多孔質膜の熱遮断の優れた開始は、横方向延伸工程のステップ時に生じる細孔径の増加を制御することによって達成される。半多孔質中間体膜のMD延伸に続く
、本発明の単層膜の横方向延伸によって、0.050~0.060 μmの細孔径が生じ
得るが、これは、二軸延伸されたCE 1よりも小さい。細孔径が小さくなるほど、熱遮
断時に細孔が効果的に閉じ、熱遮断の速度が速くなり得る。
【0047】
本発明のバッテリセパレータ膜は、低い電気抵抗と、低いガーレー数、低い屈曲度、及び特有な非円形で台形状(90度未満の内角)の細孔という相乗的な組合せに基づいて、充電式リチウム電池又は二次リチウム電池における電池性能レベルの向上を達成する手段を提供することができる。
【0048】
本発明は、その真意及び本質的な特質から逸脱することなく、他の形態により具体化することができ、その結果、本発明の範囲を示すものとして、前述の明細書ではなく、添付の特許請求の範囲が参照される。加えて、本明細書に例示的に開示されている本発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素が存在しない状態において、適切に実施されてもよい。
【0049】
試験方法
厚さ
厚さは、ASTM D374試験手順に従い、Emveco Microgage 210-A精密マイクロメ
ートル厚さ試験装置を用いて測定する。厚さの値は、マイクロメートル(μm)の単位により報告する。
【0050】
ガーレー数
ガーレー数は、日本工業規格(JISガーレー)JIS P8117として定義され、OHKEN透気度試験装置を用いて測定する透気度試験である。JISガーレー数は、4.8インチ水の一定圧において、1平方インチのフィルムに100 ccの空気を通すのに必要
な時間(秒)である。
【0051】
穿刺強度
試験サンプルを、最初に、最低20分間、73.4℃及び50%の相対湿度にあらかじめ調整する。Instron Model 4442を用いて、試験サンプルの穿刺強度を測定する。1 1
/4”×40”の連続試料(continuous sample specimen)の対角方向において30回測定し、これらを平均する。針の半径は0.5 mmである。降下率は25 mm/分である。フィルムは、Oリングを利用して試験サンプルを定位置にしっかりと保持するクランプ器具により、緊密に保持される。この固定領域の径は、25 mmである。針によって穿孔
されたフィルムの変位(mm)は、試験されたフィルムによって生じる抵抗力(グラム力)に対して記録される。最大抵抗力は、グラム力(gf)単位の穿刺強度である。この試験方法によって、荷重対変位のプロットが示される。
【0052】
細孔径
細孔径は、Porous Materials社(PMI)から入手可能なAquapore Porosimeterを用いて測
定する。細孔径は、μmにより表す。
【0053】
多孔率
微多孔質フィルムサンプルの多孔率は、ASTM法D‐2873を用いて測定し、微多孔質膜中の空隙の割合と定義される。
【0054】
TD及びMD引張強さ
MD及びTDにわたる引張強さは、ASTM D‐882法に従い、Instron Model 4201を用いて測定する。
【0055】
電気抵抗(ER)(イオン抵抗(IR)としても知られている。)
電気抵抗は、電解質を充填したセパレータの抵抗値(オーム・cm2)と定義される。電気抵抗の単位は、オーム・cm2である。セパレータの抵抗は、完成した材料からセパレータの小片を切り取ってから、これらの小片を2つのブロッキング電極の間に配置することによって特徴づける。セパレータを、容積比3:7のEC/EMC溶媒中1.0 M
のLiPF6塩を含む電池電解質を用いて飽和させる。セパレータの抵抗(R)(オーム(Ω))を、4プローブACインピーダンス法によって測定する。電極/セパレータ界面における測定誤差を少なくするには、更に多くの層を加えることによる多重測定が必要である。次いで、多重層測定に基づいて、電解質を用いて飽和させたセパレータの電気(イオン)抵抗(Rs)(Ω)を、式Rs = psl / A(式中、psは、セパレータのイオン抵抗率(Ω・cm)であり、Aは電極の面積(cm2)であり、そして、lは、セパレータの厚さ(cm)である。)によって算出する。ps/Aの比率は、多層(Δδ)に対するセパレータ抵抗(ΔR)の変化について算出した勾配であり、勾配=ps/A = ΔR/ Δδによって示される。
【0056】
高温電気抵抗(ER)
高温電気抵抗は、温度を60℃/分の速度で直線的に上昇させる間の、50ポンドの圧力下におけるセパレータフィルムの抵抗の指標である。セパレータの3/8”径の小片を、電解質を用いて飽和させ、Al又はCuからなる2つの電極ディスク間に挟む。インピーダンスとして測定される抵抗の上昇は、セパレータ膜の溶融又は「遮断(shutdown)」による細孔構造の崩壊に相当する。セパレータ膜が高温で高いレベルの電気抵抗を持続している場合、これは、セパレータ膜がバッテリの電極の短絡を防止できることを示す。
【0057】
混合物浸透度(Mixed Penetration)
混合物浸透度は、カソード材料とアノードの材料との間に配置されたときにセパレータを通って短絡させるのに必要な力である。この試験は、バッテリ組み立て時にセパレータが短絡を生じる傾向を示すのに用いられる。この方法の詳細は、米国特許出願公開第2010/209758号に記載されている。
【0058】
絶縁破壊(DB)
絶縁破壊(DB)は、セパレータの電気絶縁性の測定値である。サンプルの絶縁破壊が観察されるまで、電圧をセパレータ膜に6,000V/秒のランプ速度で印加する。高いDBは、セパレータが十分な巻き取り収率(winding yields)及び低いHiPot故障率を有することを示す。
【0059】
屈曲度
屈曲度(τ)は次式を用いて算出され、式中、Aは膜の面積(cm2)であり、Rは、膜の抵抗(オームcm(Ωcm))であり、εは多孔率であり、Lは膜の厚さであり、そして、ζは、電解質の抵抗(オームcm(Ωcm))である。
【0060】
【0061】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的によれば、本出願又は本発明は、新規の又は改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、又はこのような膜若しくはセパレータを含むバッテリ、及び/又は、このような膜、セパレータ、電池及び/又はバッテリを製造する方法、及び/又はこのような膜、セパレータ、電池及び/又はバッテリを使用する方法を含む方法を対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、本発明は、0.95オーム・cm2未満、場合によっては0.8オーム・cm2未満の低い
電気抵抗を有し得る、二次リチウム電池又は充電式リチウム電池用のバッテリセパレータを対象とする。少なくとも特定の実施形態によれば、バッテリセパレータ膜又はセパレータは、低い電気抵抗、低いガーレー数、低い屈曲度、及び/又は特有の形状の細孔、場合によっては、台形の形状に近似するか若しくは台形状である細孔という考えられる相乗的な組合せに基づいて、充電式リチウム電池又は二次リチウム電池における電池性能レベルの向上を達成する手段を提供することができる。少なくとも特定の多層による実施形態(一例にすぎないが、ポリエチレン層を挟む2つのポリプロピレン層からなる三層膜)によれば、本明細書に説明されている微多孔質膜又はバッテリセパレータは、熱遮断の開始及び/又は熱遮断性能の割合が優れ得る。
【0062】
少なくとも特定の実施形態、態様又は目的によれば、新規の又は改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、又はこのような膜、セパレータ若しくは電池を含むバッテリ、及び/又は、このような膜及び/又はセパレータを製造する方法、及び/又はこのような膜及び/又はセパレータを使用する方法が提供される。少なくとも特定の実施形態によれば、二次リチウム電池又は充電式リチウム電池用の改良された又は新規のバッテリセパレータは、0.95オーム・cm2未満、場合によっては0.8オーム・cm2未満の低い電気抵抗を有し得る。さらに、本発明のバッテリセパレータ膜は、低い電気抵抗、低いガーレー数、低い屈曲度、及び/又は特有の台形状の細孔という考えられる相乗的な組合せに基づいて、充電式リチウム電池又は二次リチウム電池における電池性能レベルの向上を達成する手段を提供することができる。少なくとも特定の多層による実施形態(一例にすぎないが、ポリエチレン層を挟む2つのポリプロピレン層からなる三層膜)によれば、本発明の微多孔質膜又はバッテリセパレータは、熱遮断の開始及び熱遮断性能の割合が優れ得るが、これらは、横方向の延伸を用いて細孔径の増加を制御することによって達成することができる。
【0063】
少なくとも特定の実施形態、態様又は目的によれば、本開示又は本発明は、種々のリチウム電池、例えば、二次リチウムイオン電池又は充電式リチウムイオン電池に用いられるバッテリセパレータのER、ガーレー数及び/又は屈曲度による影響を受け得る、このようなバッテリの更に十分な又は向上した電力性能における上述の必要性、問題、課題又は要求に対処することができる。リチウムイオン充電式電池の電力を増加させ、レート特性を向上させ、サイクル性能を向上させ、サイクル寿命を延ばし、及び/又は高い充放電サイクル後の性能を向上させるように、ERが非常に低く、ガーレー数が低く、そして屈曲度が低い微多孔質セパレータ膜が必要である。場合によっては、ERが非常に低く、ガーレー数が低く、そして屈曲度が低い、改良されたセパレータは、バッテリサイクル時の電解質の流れに対してイオン抵抗が更に低いセパレータをもたらすことができ、このような改良されたセパレータを含有するバッテリの性能の種々の向上に寄与し得る。電気駆動車(EDV)は、高電力性能のバッテリを必要とすることが多い。EDV最終用途のリチウムイオン電池においてより高い電力性能を達成する方法の一つは、リチウムイオン充電式電池において、ERが非常に低いとともに、ガーレー数が低く、そして屈曲度が低い微多孔質セパレータ膜を用いることである。
【0064】
特定の実施形態によれば、新規の又は改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、バッテリ、及び/又は、新規の、改良された又は改変されたポリオレフィンバッテリセパレータ膜であって、
微多孔質セパレータ膜の電気抵抗が、0.95オーム・cm2未満又は0.8オーム・cm2未満であり、
微多孔質セパレータ膜のガーレー数が、150秒/100cc未満であり、
微多孔質セパレータ膜の屈曲度が1.3未満であり、
前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、非円形で台形状の細孔を有し、及び/又は、改良され改変された前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、ポリプロピレン、
ポリエチレン、これらの混合物、及びこれらの共重合体からなり、改良され改変された前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、単層膜とすることができ、改良され改変された前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、熱遮断機能を有した多層膜とすることができ、改良され改変された前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリエチレンの三層からなる多層膜とすることができ、改良され改変された前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜の厚さが25 μm未満であり、及び/又
は、改良され改変された前記微多孔質ポリオレフィンセパレータ膜が、非円形で台形状の細孔を有し、及び/又は、新規の、改良された又は改変されたポリオレフィンバッテリセパレータ膜が、
1.0g/10分未満のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンを押し出して、単層非多孔質前駆体膜を形成することと、
非多孔質ポリプロピレン前駆体膜を機械方向に延伸して、350 gfを超える穿孔強
度及び600%を超えるTD伸び率を有する半多孔質中間体膜を形成し、半多孔質中間体膜を15~400%の延伸比を用いて横方向に延伸し、好ましくは、25~100%の延伸比を用いて延伸して、微多孔質セパレータ膜を形成することと、を含む工程によって製造され、及び/又は、前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において横方向に延伸されるときに形成され、前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において100フィート/分の速度で、好ましくは50フィート/分の速度で横方向に延伸されて形成され、膜を120~140℃において熱緩和させ、及び/又は、膜を、60~100℃の温度において、好ましくは8時間から2~3日間加熱処理し、及び/又は、新規の、改良された又は改変されたポリオレフィン三層バッテリセパレータ膜が、
1.0g/10分未満のメルトフローインデックスを有するポリエチレンを押し出して、単層非多孔質ポリエチレン前駆体膜を形成することと、
1.0g/10分未満のメルトフローインデックスを有するポリプロピレンを押し出して、単層非多孔質ポリプロピレン前駆体膜を形成することと、
ポリエチレン前駆体膜の1つの内側層(inner ply (layer))を挟む外側層(outer plies (layers))として二層のポリプロピレン前駆体膜を積み重ねて、ポリプロピレン/ポリエ
チレン/ポリエチレン非多孔質前駆体の三層を形成することと、
非多孔質ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリエチレン前駆体膜を機械方向に延伸して、350 gfを超える穿孔強度及び600%を超えるTD伸び率を有する半多孔質中間
体膜を形成することと、
半多孔質中間体膜を15~400%の延伸比を用いて横方向に延伸し、好ましくは、25~100%の延伸比を用いて延伸して、微多孔質三層セパレータ膜を形成することと、を含む工程によって製造され、及び/又は、前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において横方向に延伸されるときに形成され、前記半多孔質中間体膜が100~130℃の温度において100フィート/分の速度で、好ましくは50フィート/分の速度で横方向に延伸されて形成され、膜を120~140℃において熱緩和させ、及び/又は、膜を、60~100℃の温度において、好ましくは8時間から2~3日間加熱処理する、新規の又は改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、バッテリ、及び/又は、新規の、改良された又は改変されたポリオレフィンバッテリセパレータ膜、及び/又は、改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、又はこのような膜、セパレータ若しくは電池を含むバッテリ、及び/又は、このような膜、セパレータ、電池及び/又はバッテリを製造する方法、及び/又はこのような膜、セパレータ、電池及び/又はバッテリを使用する方法を含む方法、0.95オーム・cm2未満、場合によっては0.8オーム・cm2未満の低い電気抵抗を有し得る、二次リチウム電池又は充電式リチウム電池用のバッテリセパレータが提供され、バッテリセパレータ膜又はセパレータが、低い電気抵抗、低いガーレー数、低い屈曲度、及び/又は特有の形状の細孔、場合によっては、台形の形状に近似するか若しくは台形状である細孔という考えられる相乗的な組合せに基づいて、充電式リチウム電池又は二次リチウム電池における電池性能レベルの向上を達成する手段、及び/又は多層による実施形態(一例にすぎないが、ポリエチレ
ン層を挟む2つのポリプロピレン層からなる三層膜)を提供し、微多孔質膜又はバッテリセパレータが、本明細書に示されているか又は説明されている熱遮断の開始及び/又は熱遮断性能の割合及び/又は同種のものが優れている。
【0065】
新規の又は改良された微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、又はこのような膜、セパレータ若しくは電池を含むバッテリ、及び/又は、このような膜及び/又はセパレータを製造する方法、及び/又はこのような膜及び/又はセパレータを使用する方法が開示されている。少なくとも特定の実施形態によれば、二次リチウム電池又は充電式リチウム電池用の改良された又は新規のバッテリセパレータは、0.95オーム・cm2未満、又は、場合によっては0.8オーム・cm2未満の低い電気抵抗を有し得る。さらに、本発明のバッテリセパレータ膜は、低い電気抵抗、低いガーレー数、低い屈曲度、及び/又は特有の台形状の細孔という考えられる相乗的な組合せに基づいて、充電式リチウム電池又は二次リチウム電池における電池性能レベルの向上を達成する手段を提供することができる。少なくとも特定の多層による実施形態(一例にすぎないが、ポリエチレン層を挟む2つのポリプロピレン層からなる三層膜)によれば、本発明の微多孔質膜又はバッテリセパレータは、熱遮断の開始及び/又は熱遮断性能の割合が優れ得る。
【0066】
本発明の範囲は、上述の説明若しくは例、又は添付図面に限定されない。微多孔質バッテリセパレータ膜、セパレータ、電池、又はこのような膜、セパレータ若しくは電池を含むバッテリ、及び/又は、このような膜及び/又はセパレータを製造する方法、及び/又はこのような膜及び/又はセパレータを使用する方法、及び/又は添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様についての具体例であるものとする、本明細書に説明されている特定の例、組成物及び方法によって範囲が限定されず、機能的に同等である組成物及び方法は、特許請求の範囲内に入るものとする。本明細書に示され説明されているものに加えて、製品、組成物及び方法の種々の改変は、添付の特許請求の範囲内に入るものとする。さらに、本明細書に開示されている特定の代表的な製品、組成物及び方法のステップのみが具体的に説明されているが、構成要素、組成物及び方法のステップの他の組合せも、特に記載されていないとしても、添付の特許請求の範囲内に入るものとする。このため、ステップ、要素、構成要素(components)又は構成物(constituents)の組合せが、本明細書において明示的に言及されるか又はあまり言及されない可能性があるが、明示されていないとしても、ステップ、要素、構成要素及び構成物の他の組合せが含まれる。本明細書において用いられる「含む(comprising)」という用語とその変形は、「含む(including)」という用語とその変形と同義で用いられ、オープンで非限定
的な用語である。「含む(comprising)」及び「含む(including)」という用語は、本明細
書において種々の実施形態を説明するのに用いられているが、「~から本質的になる(consisting essentially of)」及び「~からなる(consisting of)」という用語は、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに用いて、本発明の更に特定の実施形態
を提供することができ、さらに開示もされる。例以外に、又は他に記載されていない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる成分の量、反応条件などを表すすべての数は、少なくとも理解され、そして、特許請求の範囲の均等論の適用を制限しようとするものではなく、有効数字の数及び通常の四捨五入の手法(rounding approaches)に照ら
して解釈され、本発明の原理、好適な実施形態及び動作の例は、前述の明細書に説明されている。ただし、本明細書において保護されることが意図される発明は、限定されずに例示的なものとみなされるため、開示されている特定の形態に限定されるものと解釈されない。本発明の真意から逸脱することなく、当業者であれば、変形及び変更を行うことができる。