(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024120003
(43)【公開日】2024-09-03
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
A01K 61/80 20170101AFI20240827BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240827BHJP
【FI】
A01K61/80
G06Q50/02
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098080
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2023003795の分割
【原出願日】2023-01-13
(71)【出願人】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石若 裕子
(57)【要約】
【課題】給餌装置による給餌を最適化することができる。
【解決手段】本願に係る情報処理装置は、魚の養殖環境における音を集音するマイクから音に関する音情報を取得する取得部と、音情報に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する推定部と、推定部によって魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する給餌制御部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚の養殖環境における音を集音するマイクから前記音に関する音情報を取得する取得部と、
前記音情報に基づいて、前記魚の摂餌活性が高いか否かを判定する推定部と、
前記推定部によって前記魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する給餌制御部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記推定部は、
前記音情報として、第1の周波数帯域の音の音量が第1閾値以上である状態が第1時間以上継続するか否かに基づいて、前記魚の摂餌活性が高いか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推定部は、
前記音情報として、前記音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状と前記魚の摂餌活性が高い時の前記音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状との比較に基づいて、前記魚の摂餌活性が高いか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行するプログラムにより実現される情報処理方法であって、
魚の養殖環境における音を集音するマイクから前記音に関する音情報を取得する取得工程と、
前記音情報に基づいて、前記魚の摂餌活性が高いか否かを判定する推定工程と、
前記推定工程によって前記魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する給餌制御工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
魚の養殖環境における音を集音するマイクから前記音に関する音情報を取得する取得手順と、
前記音情報に基づいて、前記魚の摂餌活性が高いか否かを判定する推定手順と、
前記推定手順によって前記魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する給餌制御手順と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、魚を飼育する生け簀などの養殖場に設置され水中の魚へ給餌する給餌装置に関する技術が知られている。例えば、自動給餌機からの給餌時間中における養殖魚の活性が高いか否かを、人工知能がネットワークカメラの撮影したライブ映像の解析処理により判定して、その判定結果に基づいて自動給餌機からの給餌を調整制御する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、海面養殖筏上に架設されたネットワークカメラによって撮影された映像に基づいて自動給餌機からの給餌時間中における養殖魚の活性が高いか否かを判定するにすぎないため、給餌装置による給餌を最適化することができるとは限らない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る情報処理装置は、魚の養殖環境における音を集音するマイクから前記音に関する音情報を取得する取得部と、前記音情報に基づいて、前記魚の摂餌活性が高いか否かを判定する推定部と、前記推定部によって前記魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する給餌制御部と、を備える。
【0006】
実施形態に係る情報処理装置は、生け簀に所在する魚の胃袋の大きさを示す胃袋情報、および、前記生け簀の水温を示す水温情報を取得する取得部と、前記胃袋情報および前記水温情報に基づいて、前記生け簀に所在する魚に対する給餌装置による給餌動作を制御する制御情報を生成する給餌制御部と、を備える。また、実施形態に係る情報処理装置は、前記生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定する推定部をさらに備える。前記取得部は、前記生け簀に所在する魚による前記給餌装置によって給餌される餌の消化率を示す消化情報を取得し、前記推定部は、前記胃袋情報、前記水温情報、および、前記消化情報に基づく入力情報の入力に応じて、前記生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報を出力情報として出力するよう学習された第1機械学習モデルを用いて、前記生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定し、前記給餌制御部は、前記生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報に基づいて、前記給餌動作の開始タイミングを示す前記制御情報を生成する。
【0007】
また、実施形態に係る情報処理装置は、前記生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量を推定する推定部をさらに備える。前記取得部は、前記生け簀に所在する魚の尾数に関する尾数情報、ならびに、前記給餌装置によって給餌される餌の大きさおよび餌の種類に関する餌情報を取得し、前記推定部は、前記胃袋情報、前記水温情報、前記尾数情報および前記餌情報に基づく入力情報の入力に応じて、前記餌の量を示す情報を出力情報として出力するよう学習された第2機械学習モデルを用いて、前記餌の量を推定し、前記給餌制御部は、前記餌の量を示す情報に基づいて、前記給餌装置によって給餌される餌の量を示す前記制御情報を生成する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、給餌装置による給餌を最適化することができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、第1の変形例に係る情報処理装置による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の変形例に係る給餌中に集音された音のスペクトログラムの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の変形例に係る情報処理装置による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
(実施形態)
〔1.はじめに〕
従来、生け簀などの養殖場に設置された自動給餌機(以下、給餌装置ともいう)の周囲に設置されたカメラの映像から、給餌装置による給餌時間中における魚の餌への食いつきが良い(魚の餌への食いつき度合が高い)か否かを判定する。そして、魚の餌への食いつきが悪い(魚の餌への食いつき度合が低い)と判定した場合、給餌装置による給餌を自動停止する技術が知られている。なお、給餌時間中における魚の餌への食いつきが良い(食いつき度合が高い)ことは、給餌時間中における魚の活性が高いこと、すなわち、魚の摂餌活性が高いことと言い換えることができる。また、給餌時間中における魚の餌への食いつきが悪い(食いつき度合が低い)ことは、給餌時間中における魚の活性が低いこと、すなわち、魚の摂餌活性が低いことと言い換えることができる。
【0012】
しかしながら、給餌装置の周囲に設置されたカメラの映像により魚の摂餌活性の高さを判定する方法は、判定の精度が高いとは言えない場合がある。例えば、生け簀などの養殖場の水がはねてカメラのレンズに付着する場合がある。この場合、レンズに付着した水滴によりカメラの映像が不鮮明になり、魚の摂餌活性の高さを適切に判定できない場合がある。また、カメラの映像から魚影を認識する場合、太陽光の角度によっては魚が全く見えず、波の陰影が魚と誤認識され、魚が餌を食べていないにもかかわらず、給餌をし続けるといったことが起こりえる。
【0013】
これに対し、実施形態に係る情報処理装置は、生け簀に所在する魚の胃袋の大きさを示す胃袋情報、生け簀の水温を示す水温情報、および、生け簀に所在する魚による給餌装置によって給餌される餌の消化率を示す消化情報を取得する。また、情報処理装置は、胃袋情報、水温情報、および、消化情報に基づく入力情報の入力に応じて、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報を出力情報として出力するよう学習された第1機械学習モデルを用いて、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定する。また、情報処理装置は、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報に基づいて、給餌動作の開始タイミングを示す制御情報を生成する。
【0014】
ここで、生け簀の水温は、例えば、魚の胃液に含まれる消化酵素の活性度合いと相関関係があると推定される。すなわち、生け簀の水温は、例えば、餌の消化率と相関関係があると推定される。これにより、実施形態に係る情報処理装置は、魚の胃袋の大きさ、生け簀の水温および餌の消化率に基づいて、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を適切に推定することができる。また、情報処理装置は、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を適切に推定することができるので、生け簀に所在する魚が空腹になる時間に基づいて、給餌装置による給餌動作を開始するタイミングを適切に判定することができる。したがって、情報処理装置は、給餌装置による給餌を最適化することができる。
【0015】
〔2.情報処理システムの構成〕
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、給餌装置10と、情報処理装置100とを含む。給餌装置10および情報処理装置100は、ネットワークNを介して、有線または無線により互いに通信可能に接続される。なお、
図1に示す情報処理システム1には、複数の給餌装置10や複数の情報処理装置100が含まれてもよい。
【0016】
給餌装置10は、生け簀(養殖場の一例)に設置され、生け簀で飼育されている魚に対する給餌を行う装置である。給餌装置10は、例えば、生け簀の水面の上であって、生け簀の水面から所定の距離だけ離間した位置に設置される。給餌装置10は、情報処理装置100から制御情報を受信し、受信した制御情報に従って給餌を行う。
【0017】
情報処理装置100は、生け簀に所在する魚の胃袋の大きさを示す胃袋情報、および、生け簀の水温を示す水温情報を取得する。また、情報処理装置は、胃袋情報および水温情報に基づいて、生け簀に所在する魚に対する給餌装置10による給餌動作を制御する制御情報を生成する。情報処理装置100は、制御情報を生成した場合、生成した制御情報を給餌装置10に対して送信する。
【0018】
〔3.情報処理装置の構成〕
図2は、実施形態に係る情報処理装置100の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130を有する。
【0019】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部110は、ネットワークNを介して給餌装置10と有線または無線で接続され、給餌装置10との間で情報の通信を司る通信インターフェイスである。
【0020】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、制御部130が実行するプログラム(情報処理プログラムの一例)、または、制御部130が処理するデータを記憶する。
【0021】
(制御部130)
制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報処理装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。
図2に示す例では、制御部130は、取得部131と、推定部132と、給餌制御部133とを有する。なお、制御部130の内部構成は、
図2に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、各機能部は、制御部130の機能を示したものであり、必ずしも物理的に区別されるものでなくともよい。
【0022】
(取得部131)
取得部131は、生け簀に所在する魚の胃袋の大きさを示す胃袋情報を取得する。具体的には、魚の胃袋の大きさは、魚種ごとに異なる。また、魚の胃袋の大きさは、尾斜長(魚の大きさの一例)によって異なる。なお、胃袋の大きさは、胃袋の容積であり、単位はミリリットルであってよい。そこで、記憶部120は、魚種および尾斜長ごとの魚の胃袋の大きさを示す胃袋情報を魚種および尾斜長と対応付けた胃袋辞書情報を記憶する。また、対象となる生け簀に所在する魚の魚種および魚の尾斜長(例えば、尾斜長の平均)は既知であるとする。取得部131は、記憶部120の胃袋辞書情報を参照して、対象となる生け簀に所在する魚の魚種および魚の尾斜長に対応する魚の胃袋の大きさを示す胃袋情報を取得する。
【0023】
また、取得部131は、生け簀の水温を示す水温情報を取得する。具体的には、取得部131は、生け簀の水中に設置された温度センサから生け簀の水温を示す水温情報を取得する。ここで、生け簀の水温は、魚の運動量(例えば、摂餌活性)と相関関係があると推定される。例えば、生け簀の水温が低いほど魚の運動量(例えば、摂餌活性)は低く、生け簀の水温が高いほど魚の運動量(例えば、摂餌活性)は高いと推定される。すなわち、生け簀の水温が低い場合と比べて、生け簀の水温が高い方が、魚は所定時間により多くの餌を食べると推定される。また、生け簀の水温は、魚の胃液に含まれる消化酵素の活性度合いと相関関係があると推定される。例えば、生け簀の水温が低いほど魚の胃液に含まれる消化酵素の活性度合いは低く、生け簀の水温が高いほど魚の胃液に含まれる消化酵素の活性度合いは高いと推定される。すなわち、生け簀の水温が低い場合と比べて、生け簀の水温が高い方が、魚が餌を消化する能力が高いと推定される。つまり、生け簀の水温が低い場合と比べて、生け簀の水温が高い方が、魚はより短い時間で空腹になると推定される。
【0024】
また、取得部131は、生け簀に所在する魚による給餌装置10によって給餌される餌の消化率を示す消化情報を取得する。具体的には、餌の消化率は、魚の胃液に含まれる消化酵素の種類や餌の種類によって異なる。なお、餌の消化率とは、単位時間あたりに消化される餌の量であってよい。そこで、記憶部120は、魚の胃液に含まれる消化酵素の種類および餌の種類ごとの餌の消化率を示す消化情報を魚の胃液に含まれる消化酵素の種類および餌の種類と対応付けた消化辞書情報を記憶する。また、対象となる生け簀に所在する魚の胃液に含まれる消化酵素の種類および給餌装置10によって給餌される餌の種類は既知であるとする。取得部131は、記憶部120の消化辞書情報を参照して、対象となる生け簀に所在する魚の胃液に含まれる消化酵素の種類および給餌装置10によって給餌される餌の種類に対応する餌の消化率を示す消化情報を取得する。
【0025】
(推定部132)
推定部132は、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定する。具体的には、推定部132は、胃袋情報、水温情報および消化情報と、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報(例えば、給餌装置10による1回目の給餌動作の開始時刻から2時間後など)との組を正解データとして、第1機械学習モデルを学習させる。より具体的には、推定部132は、胃袋情報、水温情報、および、消化情報に基づく入力情報の入力に応じて、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報を出力情報として出力するよう第1機械学習モデルを学習させる。続いて、推定部132は、取得部131によって取得された胃袋情報、水温情報、および、消化情報を学習済みの第1機械学習モデルに入力して、学習済みの第1機械学習モデルから出力された生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定結果として得る。
【0026】
(給餌制御部133)
給餌制御部133は、推定部132によって推定された生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報に基づいて、給餌装置10による給餌動作の開始タイミングを示す制御情報を生成する。例えば、推定部132によって推定された生け簀に所在する魚が空腹になる時間が給餌装置10による1回目の給餌動作の開始時刻から2時間後であるとする。この場合、給餌制御部133は、給餌動作の開始タイミングを示す制御情報として、給餌装置10による1回目の給餌動作の開始時刻から2時間後に給餌装置10による2回目の給餌動作を開始するよう指示する制御情報を生成する。給餌制御部133は、制御情報を生成した場合、生成した制御情報を給餌装置10に対して送信する。
【0027】
このように、給餌制御部133は、取得部131によって取得された胃袋情報および水温情報に基づいて、生け簀に所在する魚に対する給餌装置10による給餌動作を制御する制御情報を生成する。
【0028】
〔4.処理手順〕
図3は、実施形態に係る情報処理装置100による情報処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示す例では、取得部131は、胃袋情報、水温情報、および、消化情報を取得する(ステップS101)。また、推定部132は、第1機械学習モデルを用いて、取得部131が取得した胃袋情報、水温情報、および、消化情報から、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定する(ステップS102)。また、給餌制御部133は、推定部132によって推定された生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報に基づいて、給餌装置10による給餌動作の開始タイミングを示す制御情報を生成する(ステップS103)。続いて、給餌制御部133は、制御情報を生成した場合、生成した制御情報を給餌装置10に対して送信する(ステップS104)。
【0029】
〔5.変形例〕
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。ここから、実施形態の変形例について説明する。
【0030】
〔5-1.第1の変形例〕
上述した実施形態では、情報処理装置100が、胃袋情報、水温情報、および、消化情報から、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定し、生け簀に所在する魚が空腹になる時間に基づいて給餌装置10による給餌動作の開始タイミングを示す制御情報を生成する場合について説明した。第1の変形例では、情報処理装置100が、胃袋情報、水温情報、尾数情報および餌情報から、生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量を推定し、生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量に基づいて餌の量を示す制御情報を生成する場合について説明する。
【0031】
ここで、生け簀の水温は、例えば、魚の胃袋の柔軟性と相関関係があると推定される。すなわち、生け簀の水温は、例えば、魚が一度に消化可能な餌の量と相関関係があると推定される。また、生け簀に所在する魚の胃袋の大きさに魚の尾数を乗算することにより、生け簀に所在する魚が摂餌可能な餌の最大量が算出される。また、餌の最大量以上の給餌は無駄になると考えられる。これにより、第1の変形例では、情報処理装置100は、魚の胃袋の大きさ、生け簀の水温、生け簀に所在する魚の尾数、ならびに、給餌装置10によって給餌される餌のおよび餌の種類に基づいて、生け簀に所在する魚が摂餌可能な餌の最大量を適切に推定することができる。また、情報処理装置100は、生け簀に所在する魚が摂餌可能な餌の最大量を適切に推定することができるので、例えば、給餌装置10によって給餌される餌の量を最大量より少ない量とすることにより、給餌装置10によって給餌される餌の量を適切に推定することができる。したがって、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができる。
【0032】
具体的には、取得部131は、生け簀に所在する魚の尾数に関する尾数情報を取得する。例えば、取得部131は、生け簀の水中に設置されたカメラの画像を取得する。続いて、取得部131は、公知の画像認識技術を用いて、カメラの画像を解析することにより、画像に撮像された魚の尾数を推定する。また、取得部131は、画像に撮像された魚の尾数に基づいて、生け簀に所在する魚の尾数を推定する。あるいは、生け簀に所在する魚の尾数は既知である。記憶部120は、魚の尾数に関する尾数情報を生け簀を識別可能な情報と対応付けて記憶する。取得部131は、記憶部120を参照して、対象となる生け簀に所在する魚の尾数に関する尾数情報を取得する。このようにして、取得部131は、生け簀に所在する魚の尾数に関する尾数情報を取得する。
【0033】
また、取得部131は、給餌装置10によって給餌される餌の大きさおよび餌の種類に関する餌情報を取得する。記憶部120は、生け簀に所在する魚に対して給餌される餌の大きさおよび餌の種類に関する餌情報を生け簀を識別可能な情報と対応付けて記憶する。また、対象となる生け簀において給餌される餌の大きさおよび餌の種類は既知であるとする。取得部131は、記憶部120の餌情報を参照して、対象となる生け簀に所在する魚に対して給餌装置10によって給餌される餌の大きさおよび餌の種類に関する餌情報を取得する。
【0034】
また、推定部132は、生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量を推定する。具体的には、推定部132は、胃袋情報、水温情報、尾数情報および餌情報と、生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量を示す情報(例えば、生け簀に所在する魚に対して一度に給餌する餌の最大量)との組を正解データとして、第2機械学習モデルを学習させる。より具体的には、推定部132は、胃袋情報、水温情報、尾数情報および餌情報に基づく入力情報の入力に応じて、餌の量を示す情報を出力情報として出力するよう第2機械学習モデルを学習させる。続いて、推定部132は、取得部131によって取得された胃袋情報、水温情報、尾数情報および餌情報を学習済みの第2機械学習モデルに入力して、学習済みの第2機械学習モデルから出力された餌の量を示す情報を推定結果として得る。
【0035】
また、給餌制御部133は、推定部132によって推定された餌の量を示す情報に基づいて、給餌装置10によって給餌される餌の量を示す制御情報を生成する。例えば、推定部132によって推定された餌の量が生け簀に所在する魚に対して一度に給餌する餌の最大量であるとする。この場合、給餌制御部133は、給餌装置10によって給餌される餌の量を示す制御情報として、給餌装置10によって一度に給餌する餌の量を推定された最大量よりも少ない量(例えば、最大量の80%の量)とするよう指示する制御情報を生成する。なお、生け簀に所在する魚の成長が遅く、より早く魚を大きくしたい場合、給餌制御部133は、給餌装置10によって給餌される餌の量を示す制御情報として、給餌装置10によって一度に給餌する餌の量を推定された最大量よりも多い量(例えば、最大量の120%の量)とするよう指示する制御情報を生成してもよい。給餌制御部133は、制御情報を生成した場合、生成した制御情報を給餌装置10に対して送信する。
【0036】
図4は、第1の変形例に係る情報処理装置100による情報処理の一例を示すフローチャートである。
図4に示す例では、取得部131は、胃袋情報、水温情報、尾数情報および餌情報を取得する(ステップS201)。また、推定部132は、第2機械学習モデルを用いて、取得部131が取得した胃袋情報、水温情報、尾数情報および餌情報から、生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量を推定する(ステップS202)。また、給餌制御部133は、推定部132によって推定された餌の量を示す情報に基づいて、給餌装置10によって給餌される餌の量を示す制御情報を生成する(ステップS203)。続いて、給餌制御部133は、制御情報を生成した場合、生成した制御情報を給餌装置10に対して送信する(ステップS204)。
【0037】
〔5-2.第2の変形例〕
上述した実施形態では、情報処理装置100が、胃袋情報、水温情報、および、消化情報から、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定し、生け簀に所在する魚が空腹になる時間に基づいて給餌装置10による給餌動作の開始タイミングを示す制御情報を生成する場合について説明した。第2の変形例では、情報処理装置100が、魚の養殖環境における音に関する音情報に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する。また、情報処理装置100は、魚の摂餌活性が低いと判定した場合、給餌装置10による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する場合について説明する。
【0038】
これにより、第2の変形例では、情報処理装置100は、魚の養殖環境における音に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを適切に判定することができる。また、情報処理装置100は、魚の摂餌活性が高いか否かを適切に判定することができるので、例えば、魚の摂餌活性が低い(すなわち、魚がほとんど餌を食べていない)時間には、給餌装置10による給餌動作を停止することにより、餌のやり過ぎを防ぐことができる。したがって、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができる。
【0039】
具体的には、取得部131は、魚の養殖環境における音を集音するマイクから音に関する音情報を取得する。例えば、取得部131は、生け簀の周辺または生け簀に設置されたマイクによって集音された音に関する音情報を取得する。例えば、取得部131は、生け簀に設置された給餌装置10から所定の範囲内に位置する位置に設置されたマイクによって集音された音に関する音情報を取得する。
【0040】
また、推定部132は、音情報に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する。具体的には、推定部132は、取得部131が取得した音情報を、周波数と、音の強さ(振幅ともいう)と、周波数および音の強さの時間による変化を示す3次元データに加工する。例えば、推定部132は、短時間フーリエ変換(STFT)を用いて、取得部131が取得した音情報から
図5に示すようなスペクトログラムを生成する。
図5は、第2の変形例に係る給餌中に集音された音のスペクトログラムの一例を示す図である。
図5に示すグラフは、縦軸が周波数、横軸が時間、色の濃さが音の強さに対応する。
図5では、色が濃いほど、音の強さ(つまり、振幅)が大きいことを示す。また、
図5に示すT1~T8の各時間帯は、魚が餌に食いついており、水面をバシャバシャとする音がする時間帯である。つまり、
図5に示すT1~T8の各時間帯は、魚の摂餌活性が高い時間帯であることを示す。
【0041】
例えば、推定部132は、音情報として、第1の周波数帯域の音の音量(音の強さ、または音の振幅ともいう)が第1閾値以上である状態が第1時間以上継続するか否かに基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する。例えば、推定部132は、第1の周波数帯域(例えば、0~2キロヘルツの周波数帯域)の音の音量(音の強さ、または音の振幅ともいう)の大きさが第1閾値以上である状態が第1時間以上継続していると判定した場合、魚の摂餌活性が高いと判定する。一方、推定部132は、第1の周波数帯域(例えば、0~2キロヘルツの周波数帯域)の音の音量(音の強さ、または音の振幅ともいう)の大きさが第1閾値以上である状態が第1時間以上継続していないと判定した場合、魚の摂餌活性が低いと判定する。
【0042】
また、給餌制御部133は、推定部132によって魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置10による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する。給餌制御部133は、制御情報を生成した場合、生成した制御情報を給餌装置10に対して送信する。
【0043】
また、推定部132は、音情報として、音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状と魚の摂餌活性が高い時の音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状との比較に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する。より具体的には、推定部132は、魚の摂餌活性が高い時(または低い時)の音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状を示す情報と、魚の摂餌活性が高い(または低い)ことを示す情報とを正解データとして第3機械学習モデルを学習させる。例えば、推定部132は、魚の摂餌活性が高い(または低い時)時の音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状に基づく入力情報の入力に応じて、魚の摂餌活性が高い(または低い)ことを示す情報を出力情報として出力するよう第3機械学習モデルを学習させる。続いて、推定部132は、取得部131によって取得された音情報から生成された音の周波数スペクトルの波形の包絡線を示す情報を学習済みの第3機械学習モデルに入力して、学習済みの第3機械学習モデルから出力された出力結果を推定結果として得る。例えば、推定部132は、学習済みの第3機械学習モデルから出力された出力結果に基づいて、魚の摂餌活性が高いことを示す情報が第1時間以上継続して出力された場合、魚の摂餌活性が高いと判定する。一方、推定部132は、魚の摂餌活性が高いことを示す情報が第1時間以上継続して出力されなかった場合、魚の摂餌活性が低いと判定する。あるいは、推定部132は、魚の摂餌活性が低いことを示す情報が第2時間以上継続して出力された場合、魚の摂餌活性が低いと判定する。
【0044】
図6は、第2の変形例に係る情報処理装置による情報処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示す例では、取得部131は、生け簀で集音された音に関する音情報を取得する(ステップS301)。また、推定部132は、取得部131が取得した音情報に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する(ステップS302)。また、給餌制御部133は、推定部132によって魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置10による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する(ステップS303)。続いて、給餌制御部133は、制御情報を生成した場合、生成した制御情報を給餌装置10に対して送信する(ステップS304)。
【0045】
〔6.ハードウェア構成〕
また、上述してきた実施形態または変形例に係る情報処理装置100は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図7は、情報処理装置100の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0046】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0047】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0048】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0049】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0050】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る情報処理装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0051】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0052】
〔7.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0053】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0054】
例えば、上述した情報処理装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットホームなどをAPIやネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0055】
また、上述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0056】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置100は、取得部131と給餌制御部133を備える。取得部131は、生け簀に所在する魚の胃袋の大きさを示す胃袋情報、および、生け簀の水温を示す水温情報を取得する。給餌制御部133は、胃袋情報および水温情報に基づいて、生け簀に所在する魚に対する給餌装置10による給餌動作を制御する制御情報を生成する。
【0057】
これにより、情報処理装置100は、魚の胃袋の大きさや生け簀の水温に基づいて、例えば、生け簀に所在する魚が空腹になる時間や生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量を適切に推定することができる。したがって、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができる。また、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができるので、持続可能な開発目標(SDGs)の目標14「海の豊かさを守ろう」の達成に貢献できる。また、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができるので、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【0058】
また、情報処理装置100は、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定する推定部132をさらに備える。取得部131は、生け簀に所在する魚による給餌装置10によって給餌される餌の消化率を示す消化情報を取得する。推定部132は、胃袋情報、水温情報、および、消化情報に基づく入力情報の入力に応じて、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報を出力情報として出力するよう学習された第1機械学習モデルを用いて、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を推定する。給餌制御部133は、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を示す情報に基づいて、給餌動作の開始タイミングを示す制御情報を生成する。
【0059】
ここで、生け簀の水温は、例えば、魚の胃液に含まれる消化酵素の活性度合いと相関関係があると推定される。すなわち、生け簀の水温は、例えば、餌の消化率と相関関係があると推定される。これにより、情報処理装置100は、魚の胃袋の大きさ、生け簀の水温および餌の消化率に基づいて、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を適切に推定することができる。また、情報処理装置100は、生け簀に所在する魚が空腹になる時間を適切に判定することができるので、生け簀に所在する魚が空腹になる時間に基づいて、給餌装置10による給餌動作を開始するタイミングを適切に判定することができる。したがって、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができる。
【0060】
また、情報処理装置100は、生け簀に所在する魚に対して給餌する餌の量を推定する推定部132をさらに備える。取得部131は、生け簀に所在する魚の尾数に関する尾数情報、ならびに、給餌装置10によって給餌される餌の大きさおよび餌の種類に関する餌情報を取得する。推定部132は、胃袋情報、水温情報、尾数情報および餌情報に基づく入力情報の入力に応じて、餌の量を示す情報を出力情報として出力するよう学習された第2機械学習モデルを用いて、餌の量を推定する。給餌制御部133は、餌の量を示す情報に基づいて、給餌装置10によって給餌される餌の量を示す制御情報を生成する。
【0061】
ここで、生け簀の水温は、例えば、魚の胃袋の柔軟性と相関関係があると推定される。すなわち、生け簀の水温は、例えば、魚が一度に消化可能な餌の量と相関関係があると推定される。また、生け簀に所在する魚の胃袋の大きさに魚の尾数を乗算することにより、生け簀に所在する魚が摂餌可能な餌の最大量が算出される。また、餌の最大量以上の給餌は無駄になると考えられる。これにより、情報処理装置100は、魚の胃袋の大きさ、生け簀の水温、生け簀に所在する魚の尾数、ならびに、給餌装置10によって給餌される餌のおよび餌の種類に基づいて、生け簀に所在する魚が摂餌可能な餌の最大量を適切に推定することができる。また、情報処理装置100は、生け簀に所在する魚が摂餌可能な餌の最大量を適切に推定することができるので、例えば、給餌装置10によって給餌される餌の量を最大量より少ない量とすることにより、給餌装置10によって給餌される餌の量を適切に推定することができる。したがって、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができる。
【0062】
また、取得部131は、魚の養殖環境における音を集音するマイクから音に関する音情報を取得する。推定部132は、音情報に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する。給餌制御部133は、推定部132によって魚の摂餌活性が低いと判定された場合、給餌装置10による給餌動作を停止するタイミングを示す制御情報を生成する。
【0063】
これにより、情報処理装置100は、魚の養殖環境における音に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを適切に判定することができる。また、情報処理装置100は、魚の摂餌活性が高いか否かを適切に判定することができるので、例えば、魚の摂餌活性が低い(すなわち、魚がほとんど餌を食べていない)時間には、給餌装置10による給餌動作を停止することにより、餌のやり過ぎを防ぐことができる。したがって、情報処理装置100は、給餌装置10による給餌を最適化することができる。
【0064】
また、推定部132は、音情報として、第1の周波数帯域の音の音量が第1閾値以上である状態が第1時間以上継続するか否かに基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する。
【0065】
これにより、情報処理装置100は、例えば、魚の摂餌活性が高い時の音が所定時間以上継続していない時間は、魚の摂餌活性が低い状態であると判定することができる。
【0066】
また、推定部132は、音情報として、音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状と魚の摂餌活性が高い時の音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状との比較に基づいて、魚の摂餌活性が高いか否かを判定する。
【0067】
これにより、情報処理装置100は、音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状と魚の摂餌活性が高い時の音の周波数スペクトルの波形の包絡線の形状とが類似する場合は、魚の摂餌活性が高い状態であると判定することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 情報処理システム
10 給餌装置
100 情報処理装置
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
131 取得部
132 推定部
133 給餌制御部